(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】分離装置
(51)【国際特許分類】
B01D 43/00 20060101AFI20241030BHJP
C02F 11/125 20190101ALI20241030BHJP
B30B 9/16 20060101ALI20241030BHJP
B30B 9/14 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
B01D43/00 Z ZAB
C02F11/125
B30B9/16
B30B9/14 B
(21)【出願番号】P 2022509960
(86)(22)【出願日】2021-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2021010458
(87)【国際公開番号】W WO2021193210
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2020053417
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 嘉規
(72)【発明者】
【氏名】井上 聡
【審査官】葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/179569(WO,A1)
【文献】特開昭57-118899(JP,A)
【文献】特開2001-321989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 43/00
B30B 9/14- 9/16
C02F 11/125
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部側に設けられ脱水した対象物を排出する対象物排出口、及び、他方の端部側に設けられ分離液を排出する分離液排出口が設けられるケーシングと、
前記ケーシングの内部に設けられて前記一方の端部から前記他方の端部への方向である延在方向に沿って延在するスクリュー軸と、
前記スクリュー軸の外周面に螺旋状に延在する第1スクリュー羽根と、
前記第1スクリュー羽根に対して前記延在方向に沿って所定間隔を隔てるように前記スクリュー軸の外周面に螺旋状に延在する第2スクリュー羽根と、を備え、
前記第1スクリュー羽根及び前記第2スクリュー羽根の少なくとも1つは、各スクリュー羽根からの分離液及び固形分の流出に基づいて設計された、一方の面から他方の面まで貫通する開口を有
し、
前記第2スクリュー羽根の前記一方の端部側を向く第1面と、前記第1スクリュー羽根の前記他方の端部側を向く第2面との間に、前記対象物を搬送する第1空間が形成され、前記第2スクリュー羽根の前記他方の端部側を向く第2面と、前記第1スクリュー羽根の前記一方の端部側を向く第1面との間に、前記分離液を搬送する第2空間が形成され、
前記第1スクリュー羽根の開口は、前記第1空間内で前記対象物から分離した分離液を、前記一方の端部側の前記第2空間に流出させ、前記第2スクリュー羽根の開口は、前記第1空間内で前記対象物から分離した分離液を、前記他方の端部側の前記第2空間に流出させ、
前記第2スクリュー羽根の開口は、前記第2面側から前記第1面側に向かうに従って、開口面積が小さくなる、
分離装置。
【請求項2】
一方の端部側に設けられ脱水した対象物を排出する対象物排出口、及び、他方の端部側に設けられ分離液を排出する分離液排出口が設けられるケーシングと、
前記ケーシングの内部に設けられて前記一方の端部から前記他方の端部への方向である延在方向に沿って延在するスクリュー軸と、
前記スクリュー軸の外周面に螺旋状に延在する第1スクリュー羽根と、
前記第1スクリュー羽根に対して前記延在方向に沿って所定間隔を隔てるように前記スクリュー軸の外周面に螺旋状に延在する第2スクリュー羽根と、を備え、
前記第1スクリュー羽根及び前記第2スクリュー羽根の少なくとも1つは、各スクリュー羽根からの分離液及び固形分の流出に基づいて設計された、一方の面から他方の面まで貫通する開口を有
し、
前記第2スクリュー羽根の前記一方の端部側を向く第1面と、前記第1スクリュー羽根の前記他方の端部側を向く第2面との間に、前記対象物を搬送する第1空間が形成され、前記第2スクリュー羽根の前記他方の端部側を向く第2面と、前記第1スクリュー羽根の前記一方の端部側を向く第1面との間に、前記分離液を搬送する第2空間が形成され、
前記第1スクリュー羽根の開口は、前記第1空間内で前記対象物から分離した分離液を、前記一方の端部側の前記第2空間に流出させ、前記第2スクリュー羽根の開口は、前記第1空間内で前記対象物から分離した分離液を、前記他方の端部側の前記第2空間に流出させ、
前記第2スクリュー羽根の開口は、前記第1面側から前記第2面側に向かうに従って、前記第2スクリュー羽根の面に直交する軸に対して、前記スクリュー軸の回転方向側に傾斜している、
分離装置。
【請求項3】
一方の端部側に設けられ脱水した対象物を排出する対象物排出口、及び、他方の端部側に設けられ分離液を排出する分離液排出口が設けられるケーシングと、
前記ケーシングの内部に設けられて前記一方の端部から前記他方の端部への方向である延在方向に沿って延在するスクリュー軸と、
前記スクリュー軸の外周面に螺旋状に延在する第1スクリュー羽根と、
前記第1スクリュー羽根に対して前記延在方向に沿って所定間隔を隔てるように前記スクリュー軸の外周面に螺旋状に延在する第2スクリュー羽根と、を備え、
前記第1スクリュー羽根及び前記第2スクリュー羽根の少なくとも1つは、各スクリュー羽根からの分離液及び固形分の流出に基づいて設計された、一方の面から他方の面まで貫通する開口を有
し、
前記第2スクリュー羽根の前記一方の端部側を向く第1面と、前記第1スクリュー羽根の前記他方の端部側を向く第2面との間に、前記対象物を搬送する第1空間が形成され、前記第2スクリュー羽根の前記他方の端部側を向く第2面と、前記第1スクリュー羽根の前記一方の端部側を向く第1面との間に、前記分離液を搬送する第2空間が形成され、
前記第1スクリュー羽根の開口は、前記第1空間内で前記対象物から分離した分離液を、前記一方の端部側の前記第2空間に流出させ、前記第2スクリュー羽根の開口は、前記第1空間内で前記対象物から分離した分離液を、前記他方の端部側の前記第2空間に流出させ、
前記第1スクリュー羽根の開口は、前記第2面側から前記第1面側に向かうに従って、開口面積が小さくなる、
分離装置。
【請求項4】
一方の端部側に設けられ脱水した対象物を排出する対象物排出口、及び、他方の端部側に設けられ分離液を排出する分離液排出口が設けられるケーシングと、
前記ケーシングの内部に設けられて前記一方の端部から前記他方の端部への方向である延在方向に沿って延在するスクリュー軸と、
前記スクリュー軸の外周面に螺旋状に延在する第1スクリュー羽根と、
前記第1スクリュー羽根に対して前記延在方向に沿って所定間隔を隔てるように前記スクリュー軸の外周面に螺旋状に延在する第2スクリュー羽根と、を備え、
前記第1スクリュー羽根及び前記第2スクリュー羽根の少なくとも1つは、各スクリュー羽根からの分離液及び固形分の流出に基づいて設計された、一方の面から他方の面まで貫通する開口を有
し、
前記第2スクリュー羽根の前記一方の端部側を向く第1面と、前記第1スクリュー羽根の前記他方の端部側を向く第2面との間に、前記対象物を搬送する第1空間が形成され、前記第2スクリュー羽根の前記他方の端部側を向く第2面と、前記第1スクリュー羽根の前記一方の端部側を向く第1面との間に、前記分離液を搬送する第2空間が形成され、
前記第1スクリュー羽根の開口は、前記第1空間内で前記対象物から分離した分離液を、前記一方の端部側の前記第2空間に流出させ、前記第2スクリュー羽根の開口は、前記第1空間内で前記対象物から分離した分離液を、前記他方の端部側の前記第2空間に流出させ、
前記第1スクリュー羽根の開口は、前記第1面側から前記第2面側に向かうに従って、開口面積が小さくなる、
分離装置。
【請求項5】
前記第1スクリュー羽根の開口と前記第2スクリュー羽根の開口とは、前記開口からの分離液の流出量と前記開口からの固形分の流出のリスクとが、前記第1スクリュー羽根の開口と前記第2スクリュー羽根の開口とで異なるものとして、設計されている、請求項1
から請求項4のいずれか1項に記載の分離装置。
【請求項6】
前記第1スクリュー羽根の単位面積あたりにおける前記開口が形成される領域の合計面積と、前記第2スクリュー羽根の単位面積あたりにおける前記開口が形成される領域の合計面積とは、異なる、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のように、2つのスクリュー羽根を設けたスクリューを回転させて、汚泥を搬送しつつ圧搾する分離装置が知られている。この分離装置は、側面に汚泥投入口が設けられたケーシングの内部に、2つのスクリュー羽根に挟まれた第1空間と第2空間を形成する。この分離装置は、第1空間で原汚泥を脱水して排出し、脱水により生じた分離液を、スクリュー羽根の外周とケーシング内周との間の間隙を介して、第1空間から第2空間に流出させて、排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、特許文献1の分離装置は、間隙を利用して固液分離を行うため、固液分離効率を高くすることができる。このような分離装置において、さらに固液分離効率を高めることができればより好ましい。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、固液分離効率をより高めることが可能な分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の分離装置は、一方の端部側に設けられ脱水した対象物を排出する対象物排出口、及び、他方の端部側に設けられ分離液を排出する分離液排出口が設けられるケーシングと、前記ケーシングの内部に設けられて前記一方の端部から前記他方の端部への方向である延在方向に沿って延在するスクリュー軸と、前記スクリュー軸の外周面に螺旋状に延在する第1スクリュー羽根と、前記第1スクリュー羽根に対して前記延在方向に沿って所定間隔を隔てるように前記スクリュー軸の外周面に螺旋状に延在する第2スクリュー羽根と、を備え、前記第1スクリュー羽根及び前記第2スクリュー羽根の少なくとも1つは、各スクリュー羽根からの分離液及び固形分の流出に基づいて設計された、一方の面から他方の面まで貫通する開口を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、固液分離効率をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る分離装置の一部断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態におけるスクリュー羽根の模式的な断面図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態におけるスクリュー羽根の模式的な断面図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態におけるスクリュー羽根の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る分離装置の一部断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る分離装置1は、スクリュー型分離装置であり、ケーシング10、スクリュー軸12、第1スクリュー羽根14、第2スクリュー羽根16、第1隔壁部18、第2隔壁部20、カバー部22、投入部24、排出ポンプ26、傾斜調整部28、及び制御部29を有している。分離装置1は、後述の対象物投入口11Aからケーシング10内に投入された対象物A0を脱水して、脱水した後の濃縮対象物Aを、後述する対象物排出口11Bから排出する。そして、分離装置1は、脱水により対象物A0から分離された分離液Cを、後述する分離液排出口11Cから排出する。対象物A0は、分離装置1に脱水される前の対象物であり、本実施形態では、含水率が高い下水や工場排水等の汚泥である。対象物A0は、凝集剤が添加されて固形成分がフロック化していてもよいし、凝集剤が添加されずにフロック化されていない汚泥であってもよい。
【0011】
以下、地表Gに平行な方向、すなわち水平方向を、方向Xとする。そして、方向Xのうちの一方の方向を、方向X1とし、方向Xのうちの他方の方向、すなわちX1方向と反対の方向を、X2方向とする。また、地表Gにも直交する方向、すなわち鉛直方向を、方向Zとする。そして、方向Zのうちの一方の方向である鉛直方向の上方に向かう方向を、Z1方向とし、方向Zのうちの他方の方向である鉛直方向の下方に向かう方向を、Z2方向とする。
【0012】
ケーシング10は、軸方向である延在方向Eに沿って一方の端部10Bから他方の端部10Cまで延在し、内部に空間が設けられる筒状の部材である。延在方向Eは、端部10B側から端部10C側(X2方向側)に向かう方向であり、端部10B側から端部10C側に向かうに従って、X2方向に対してZ1方向側に傾斜している。従って、ケーシング10は、端部10Bが、端部10Cよりも、Z2方向側に位置している。
【0013】
ケーシング10は、中間部10Aにおける側面(外周面)に対象物投入口11Aが開口しており、端部10Bに対象物排出口11Bが開口しており、端部10Cに分離液排出口11Cが開口している。中間部10A(対象物投入口11A)は、ケーシング10の延在方向Eに沿った端部10B(対象物排出口11B)と端部10C(分離液排出口11C)との間の箇所である。中間部10Aは、延在方向Eに沿ったケーシング10の中央に位置しているが、延在方向Eに沿った端部10Bと端部10Cとの間の任意の位置にあってよい。なお、対象物投入口11Aは、ケーシング10の側面に設けられることに限られない。例えば、対象物投入口11Aは、スクリュー軸12に形成されてもよい。この場合例えば、対象物投入口11Aは、後述の第1空間S1におけるスクリュー軸12の外周面に開口しており、スクリュー軸12の内部には、分離装置1の外部から対象物A0が供給されて対象物投入口11Aに連通する流路が形成されている。
【0014】
ケーシング10は、対象物投入口11A、対象物排出口11B、及び分離液排出口11C以外には、内部と外部とを連通する穴が形成されていないが、それら以外にも開口が形成されていてもよい。ただし、ケーシング10は、メッシュ及びパンチングプレートなどのスクリーンとは異なり、全域にわたり多数の開口が形成される構造ではないといえる。
【0015】
スクリュー軸12は、円柱形状であり、ケーシング10の内部に設けられて延在方向Eに沿って延在している。スクリュー軸12は、一方の端部12B又は他方の端部12Cの少なくともいずれかが、軸受けによって軸支持されたモータ(いずれも図示せず)に連結されている。スクリュー軸12は、このモータが制御部29によって駆動されることにより、延在方向Eを軸中心として、回転方向Rに回転される。本実施形態では、回転方向Rは、端部12C側から見て、反時計回りの方向であるが、それに限られない。
【0016】
第1スクリュー羽根14は、一方の端部14Bから他方の端部14Cまで、ケーシング10の内部を、スクリュー軸12の外周面に螺旋状に延在するよう設けられている。端部14Bは、対象物排出口11B側の端部であり、対象物投入口11Aよりも対象物排出口11B側に位置している。端部14Cは、分離液排出口11C側の端部であり、対象物投入口11Aよりも分離液排出口11C側に位置している。第1スクリュー羽根14は対象物排出口11B側を向く表面である第1面14aと、分離液排出口11C側を向く表面である第2面14bとを有する。第1スクリュー羽根14を延在方向Eに沿って貫通する仮想の直線は、延在方向Eに進むに従って、第1面14aと第2面14bとに交互に交差することとなる。
【0017】
第1スクリュー羽根14は、端部14Cから端部14Bに向かって、回転方向Rと反対方向に巻回されている。すなわち、回転方向Rが端部12C側から見て反時計回りの場合は、第1スクリュー羽根14は、いわゆるZ巻き(右手)の螺旋状に設けられる。反対に、回転方向Rが、端部12C側から見て時計回りの場合は、第1スクリュー羽根14は、いわゆるS巻き(左手)の螺旋状に設けられる。第1スクリュー羽根14は、スクリュー軸12の回転に伴い、回転する。
【0018】
第1スクリュー羽根14の外周部14cは、ケーシング10の内周面10aとは接触せず、外周部14cと内周面10aと間には、間隙Hが形成されている。この間隙Hは、微小な隙間であり、濃縮対象物Aの少なくとも一部の通過を抑制する(せき止める)程度の大きさであって、分離液Cなどの液体成分が通過可能な大きさとなっている。間隙Hは、例えば、1mm以上2mm以下程度の隙間である。
【0019】
第1スクリュー羽根14には、第1面14aから、その第1面14aの反対側の表面である第2面14bまで貫通する開口14Hが形成されている。本実施形態では、開口14Hは、円形であり、第1スクリュー羽根14の全域にわたって複数形成されている。開口14Hは、濃縮対象物Aの少なくとも一部の通過を抑制する(せき止める)程度の大きさであって、分離液Cなどの液体成分が通過可能な大きさとなっている。開口14Hは、例えば径が1mm以上2mm以下程度であってよい。ここでの径とは、開口14Hが円形である場合は直径を指すが、開口14Hが円形でない場合は、例えば、開口14Hの内接円の径であってよい。
【0020】
第2スクリュー羽根16は、ケーシング10の内部において、延在方向Eに沿ってスクリュー軸12の外周面に螺旋状に延在する。第2スクリュー羽根16は、第1スクリュー羽根14に対して、延在方向Eに沿って所定間隔を隔ててずれた位置に設けられており、第1スクリュー羽根14と同じ巻回方向で巻回されている。第2スクリュー羽根16も、スクリュー軸12の回転に伴い、回転する。第2スクリュー羽根16は、対象物排出口11B側を向く表面である第1面16aと、分離液排出口11C側を向く表面である第2面16bとを有する。第2スクリュー羽根16を延在方向Eに沿って貫通する仮想の直線は、延在方向Eに進むに従って、第1面16aと第2面16bとに交互に交差することとなる。
【0021】
第2スクリュー羽根16は、一方の端部16Bから他方の端部16Cまで、螺旋状に延在する。端部16Bは、対象物排出口11B側の端部であり、対象物投入口11Aよりも対象物排出口11B側に位置している。端部16Cは、分離液排出口11C側の端部であり、対象物投入口11Aよりも分離液排出口11C側に位置している。
図1の例では、端部16Bは、延在方向Eにおいて、第1スクリュー羽根14の端部14Bよりも対象物排出口11B側にあり、端部16Cは、延在方向Eにおいて、第1スクリュー羽根14の端部14Cよりも分離液排出口11C側にある。ただし、端部16B、16Cと第1スクリュー羽根14の端部14B、14Cの位置関係は、以上の説明に限られず任意であってよい。
【0022】
第2スクリュー羽根16の外周部16cは、ケーシング10の内周面10aとは接触せず、外周部16cと内周面10aと間には、間隙Hが形成されている。
【0023】
第2スクリュー羽根16には、第1面16aから、その第1面16aの反対側の表面である第2面16bまで貫通する開口16Hが形成されている。本実施形態では、開口16Hは、円形であり、第2スクリュー羽根16の全域にわたって複数形成されている。開口16Hは、濃縮対象物Aの少なくとも一部の通過を抑制する(せき止める)程度の大きさであって、分離液Cなどの液体成分が通過可能な大きさとなっている。開口16Hは、例えば径が1mm以上2mm以下程度であってよい。なお、詳しくは後述するが、開口16Hは、第1スクリュー羽根14の開口14Hと異なる考え方で設計されている。
【0024】
第1スクリュー羽根14と第2スクリュー羽根16とは以上のような位置に設けられているため、第1スクリュー羽根14の端部14Bから端部14Cまでの区間(以下、この区間を搬送促進区間K1とする)では、第1スクリュー羽根14と第2スクリュー羽根16との両方が設けられている。また、第2スクリュー羽根16の端部16Bから第1スクリュー羽根14の端部14Bまでの区間(以下、この区間を対象物搬送区間K2とする)では、第2スクリュー羽根16が設けられて第1スクリュー羽根14が設けられていない。また、第2スクリュー羽根16の端部16Cから第1スクリュー羽根14の端部14Cまでの区間(以下、この区間を分離液搬送区間K3とする)でも、第2スクリュー羽根16が設けられて第1スクリュー羽根14が設けられていない。
【0025】
搬送促進区間K1は、第1スクリュー羽根14と第2スクリュー羽根16とが設けられるダブルスクリュー区間である。搬送促進区間K1は、中心軸AXを中心とした径方向から見て、少なくとも一部の区間において、対象物投入口11Aに重なるように設定されている。搬送促進区間K1においては、対象物A0や濃縮対象物Aが搬送される第1空間S1と、分離液Cが搬送される第2空間S2とが形成される。第1空間S1は、第2スクリュー羽根16の第1面16aと、その第1面16aに対向する第1スクリュー羽根14の第2面14bとの間に形成される。第1面16aは、第1空間S1の分離液排出口11C側に面しており、第2面14bは、第1空間S1の対象物排出口11B側に面している。第2空間S2は、第2スクリュー羽根16の第2面16bと、その第2面16bに対向する第1スクリュー羽根14の第1面14aとの間に形成される。第2面16bは、第2空間S2の対象物排出口11B側に面しており、第1面14aは、第2空間S2の分離液排出口11C側に面している。
【0026】
対象物搬送区間K2は、搬送促進区間K1よりも対象物排出口11B側の区間である。対象物搬送区間K2内の空間S3は、対象物排出口11Bと、搬送促進区間K1の第1空間S1とに連通する。空間S3は、後述する第1隔壁部18に遮られることで、間隙Hや開口14H、16H以外の領域においては、搬送促進区間K1の第2空間S2から遮断されている。なお、対象物搬送区間K2は、本実施形態では、第2スクリュー羽根16が設けられて第1スクリュー羽根14が設けられないシングルスクリュー区間であるが、例えば第1スクリュー羽根14の端部14Bと第2スクリュー羽根16の端部16Bとが同じ位置にある場合は、第1スクリュー羽根14及び第2スクリュー羽根16の両方が設けられない区間となる。
【0027】
分離液搬送区間K3は、搬送促進区間K1よりも分離液排出口11C側の区間である。分離液搬送区間K3内の空間S4は、分離液排出口11Cと、搬送促進区間K1の第2空間S2とに連通する。空間S4は、後述する第2隔壁部20に遮られることで、間隙Hや開口14H、16H以外の領域においては、搬送促進区間K1の第1空間S1とは遮断されている。なお、分離液搬送区間K3は、本実施形態では、第2スクリュー羽根16が設けられて第1スクリュー羽根14が設けられないシングルスクリュー区間であるが、例えば第1スクリュー羽根14の端部14Bと第2スクリュー羽根16の端部16Bとが同じ位置にある場合は、第1スクリュー羽根14及び第2スクリュー羽根16の両方が設けられない区間となる。
【0028】
第1隔壁部18は、第1スクリュー羽根14から、その第1スクリュー羽根14に対して延在方向Eにおいて隣り合う第2スクリュー羽根16までにわたって設けられる壁状の部材である。第1隔壁部18は、第2スクリュー羽根16の端部16Bに設けられている。第1隔壁部18は、第2空間S2と空間S3とを区切るように設けられており、第2空間S2を、対象物搬送区間K2の空間S3から遮蔽する。なお、第1隔壁部18は、必須の構成でなく、省略可能である。
【0029】
第2隔壁部20は、第1スクリュー羽根14から、その第1スクリュー羽根14に対して延在方向Eにおいて隣り合う第2スクリュー羽根16までにわたって設けられる壁状の部材である。第2隔壁部20は、第2スクリュー羽根16の端部16Cに設けられている。第2隔壁部20は、第1空間S1と空間S4とを区切るように設けられており、第1空間S1を、分離液搬送区間K3の空間S4から遮蔽する。なお、第2隔壁部20は、必須の構成でなく、省略可能である。
【0030】
カバー部22は、第2空間S2を形成する第1スクリュー羽根14と第2スクリュー羽根16との間における、対象物投入口11Aと重なる領域に設けられている。このカバー部22は、対象物投入口11Aと重なる区間における第2空間S2の外周を覆うことで、対象物投入口11Aからの対象物A0が、第2空間S2に投入されることを抑制することができる。ただし、カバー部22は必須の構成ではない。例えば、第2空間S2に重畳しない位置に対象物投入口11Aを設ければ、対象物A0が、第2空間S2に投入されることが抑制できるため、カバー部22が不要となる。
【0031】
投入部24は、対象物投入口11Aに接続されており、ケーシング10内への対象物A0の投入量を制御する装置である。投入部24は、例えば、開閉弁や、対象物A0を搬送するポンプなどである。
【0032】
排出ポンプ26は、対象物排出口11Bに接続されるポンプである。排出ポンプ26は、停止時には、ケーシング10の端部10Bまで移動してきた濃縮対象物Aをせき止める。また、排出ポンプ26は、駆動時には、排出管24Aを吸引することにより、ケーシング10内の濃縮対象物Aを、対象物排出口11Bから強制的に排出する。ただし、排出ポンプ26は必須の構成でなく、例えば重力により排出させてもよい。
【0033】
傾斜調整部28は、ケーシング10に取付けられて、ケーシング10の傾斜角度を変化させる。ただし、傾斜調整部28は必須の構成でなく、傾斜角度は一定であってもよい。
【0034】
制御部29は、分離装置1の動作を制御する制御装置である。制御部29は、モータによるスクリュー軸12の回転と、投入部24による対象物A0の投入量と、排出ポンプ26の動作、すなわちケーシング10内の濃縮対象物Aの排出量と、傾斜調整部28による傾斜角度と、の少なくとも1つを制御する。制御部29は、例えば、演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)を有するコンピュータであり、CPUの演算により、分離装置1の動作を制御する。
【0035】
(分離装置の動作)
次に、上述のように構成された分離装置1の動作および対象物の挙動について説明する。
図1に示すように、制御部29は、投入部24を制御して、対象物投入口11Aから、ケーシング10内に対象物A0を投入する。対象物投入口11Aの位置は搬送促進区間K1に重なるため、対象物投入口11Aからの対象物A0は、搬送促進区間K1の第1空間S1内に投入される。制御部29は、スクリュー軸12を回転させる。第1空間S1内に投入された対象物A0は、重力と、第2スクリュー羽根16の第1面16aに押されることとにより、液体成分が分離されつつ、対象物排出口11B側に移動する。第1空間S1内の対象物A0の固形成分は、間隙Hや開口14H、16Hを通り難いため第2空間S2への流入が抑えられつつ、第1空間S1内を通って第1空間S1に連通する空間S3に流入する。そして、空間S3に流入した対象物A0の固形成分は、制御部29に駆動される排出ポンプ26により、液体成分が分離された濃縮対象物Aとして、対象物排出口11Bから、ケーシング10の外部に排出される。なお、第1空間S1内の対象物A0の固形成分は、第1空間S1内を対象物排出口11B側に堆積するが、第1空間S1と空間S4とを遮断する第2隔壁部20により、空間S4への侵入がせき止められる。
【0036】
図2は、第1実施形態におけるスクリュー羽根の模式的な断面図である。
図2に示すように、第1空間S1において対象物A0から分離された分離液Cは、間隙Hを通って第2空間S2に流入すると共に、第1スクリュー羽根14の開口14Hと、第2スクリュー羽根16の開口16Hとを通って、第2空間S2に流入する。第1空間S1においては、対象物A0の固形成分(濃縮対象物A)は、第2スクリュー羽根16の第1面16aに押されるため、第1面16a側に堆積する。一方、分離液Cは、第1空間S1において、対象物A0の固形成分の第2面14b側に分離される。そのため、分離液Cは、第2面14bに形成された開口14Hを通って、対象物排出口11B側の第2空間S2に流入する。第2面14bは、固形成分が堆積する側と反対側なので、開口14Hの近傍は固形成分が少ない。そのため、第1空間S1に開口14Hを設けることで、固形成分の流出を抑制しつつ、分離液Cを適切に第2空間S2に排出できる。第1面16aに堆積した対象物A0の固形成分からの分離液Cは、第1面16a側にも染み出す。
図3に示すように、第1面16a側に染み出した分離液Cは、第1面16aに形成された開口16Hを通って、分離液排出口11C側の第2空間S2に流入する。このように固形成分が堆積する第1面16aに開口16Hを設けることで、第1面16a側に染み出した分離液Cを、固形成分に戻すことなく、第2空間S2に適切に排出できる。
【0037】
(開口の設け方)
このように、第1空間S1においては、対象物A0を押す第2スクリュー羽根16側に固形成分が堆積し、第1スクリュー羽根14側には固形成分が堆積しにくい傾向にある。本実施形態においては、この傾向に着目して、第1スクリュー羽根14の開口14Hと、第2スクリュー羽根16の開口16Hとは、異なる考え方を適用して設計されている。具体的には、第1スクリュー羽根14は、第2スクリュー羽根16よりも、固形成分が堆積しにくく固形成分の流出のリスクが少ないため、開口14Hは、固形成分の流出抑制よりも、分離液Cの流出量を多くすることに重点をおいて設けられている。一方、第2スクリュー羽根16は、第1スクリュー羽根14よりも、固形成分が堆積しやすく固形成分の流出のリスクが高いため、開口16Hは、分離液Cの流出量の増加よりも、固形成分の流出を抑制することに重点をおいて設けられている。第1スクリュー羽根14の開口14Hと第2スクリュー羽根16の開口16Hとは、開口からの分離液Cの流出量と開口からの固形分の流出のリスクとが、開口14Hと開口16Hとで異なるものとして、設計されているといえる。
【0038】
第1スクリュー羽根14の開口14Hと第2スクリュー羽根16の開口16Hとは、開口からの分離液及び固形分の流出に基づいて設計されていれば、開口14Hと開口16Hとで、同じ態様(例えば形状、面積、及び数)で設けられていてもよい。開口14Hと開口16Hとは、上記の設計思想に基づいて設計されていれば、結果的に態様が同じとなっていてもよい。なお、本実施形態では、開口14Hと開口16Hとの両方が、開口からの分離液Cと固形分との流出に基づいて設計されているが、それに限られず、少なくとも開口14Hと開口16Hとの一方が、開口からの分離液Cと固形分との流出に基づいて設計されていてよい。
【0039】
以下、開口14H、16Hの設け方の例について説明する。
図3は、開口の例を示す模式図である。
図3の例においては、開口16Hは、第2面16b(第2空間S2側)における開口面積よりも、第1面16a(第1空間S1側)における開口面積の方が小さく形成されている。さらにいえば、開口16Hは、第2面16b側から第1面16a側に向かうに従って、開口面積が小さくなるように形成されていてもよい。このように、第1空間S1側の第1面16aにおける開口面積が小さいことで、第1空間S1の固形成分を開口16Hに入り難くして、固形成分の流出を抑制できる。また、
図3の例において、開口16Hは、第1面16a側から第2面16b側に向かうに従って、第2スクリュー羽根16の面に直交する軸LP0に対して、スクリュー軸12の回転方向R側に傾斜している。すなわち、開口16Hの中心軸LPは、第1面16a側から第2面16b側に向かうに従って、軸LP0に対して回転方向R側に傾斜している。固形成分は、第1面16aに対して、相対的に回転方向Rの反対方向側に滑るため、開口16Hの回転方向Rと反対側のエッジに当たる可能性がある。その場合、固形成分と当たるエッジが例えば鋭角になっていると、固形成分がエッジに掻き取られて、開口16Hに混入するおそれが高くなる。それに対し、
図3のように開口16Hを回転方向R側に傾斜させることで、固形成分と当たるエッジを鈍角として、固形成分が掻き取られるリスクを低減できる。
【0040】
図3の例における開口14Hは、第2面14b(第1空間S1側)における開口面積よりも、第1面14a(第2空間S2側)における開口面積の方が小さく形成されている。さらにいえば、開口14Hは、第2面14b側から第1面14a側に向かうに従って、開口面積が小さく形成されている。開口14Hは、固形成分が少ない位置に形成されているため、第1空間S1側の第2面14bの開口面積を大きくしても、固形成分が流出するリスクが、開口16Hより少ない。さらに、第1空間S1側の第2面14bの開口面積を大きくすることで、第1空間S1より低圧の第2空間S2に分離液Cを適切に排出することが可能となる。ただし、それとは逆に、開口14Hは、第1面14aにおける開口面積よりも、第2面14bにおける開口面積の方が小さく形成されていてもよく、第1面14a側から第2面14b側に向かうに従って、開口面積が小さくなるように形成されていてもよい。このように開口14Hを形成することで、例えば第1面14aの近傍に浮遊している固形成分の流出を抑制できる。また、開口14Hは、第2面14b側から第1面14a側に向かうに従って、第1スクリュー羽根14の面に直交する軸LQ0に対して、スクリュー軸12の回転方向R側に傾斜している。すなわち、開口14Hの中心軸LQは、第2面14b側から第1面14a側に向かうに従って、軸LQ0に対して回転方向R側に傾斜している。浮遊する固形成分は、第2面14bに対して、相対的に、回転方向Rの反対方向側に滑るため、開口16Hの回転方向Rと反対側のエッジに当たる可能性がある。開口14Hは、回転方向R側に傾斜させることで、固形成分と当たるエッジを鈍角として、固形成分が開口16H内に取り込まれるリスクを低減できる。
【0041】
開口14H、16Hは、以上説明した第1実施形態や他の例以外の形状であってもよい。例えば、開口14H、16Hは、円形に限られず、例えば、楕円、三角、矩形、正方形、菱形、V字状、十字状、星型、T字状など、任意の形状であってもよい。例えば、開口14H、16Hの開口面積を大きくしたい場合には、円形や楕円などの角が無い形状よりも、多角形などの角がある形状がより好ましい。角がある形状の場合、開口の内接円を小さくしたまま、開口面積を大きくすることも可能となり、例えば、開口面積を大きくして分離液Cの流出量を増やしつつ、開口の幅が小さい部分で固形成分を受け止めて固形物の流出を抑制できる。一方、洗浄の効率を考えた場合は、多角形などの角がある形状よりも、円形や楕円などの角が無い形状の方が、詰りを抑制できるため好ましい。また、開口14H、16Hの数を多くしたい場合は、開口同士の間の部分の強度の観点から、多角形などの角がある形状よりも、円形や楕円などの角が無い形状の方が好ましい。また、開口14H、16Hは、全て同じ形状であることに限られず、それぞれの開口14H同士や開口16H同士が、異なる形状であってもよい。
【0042】
図4は、開口の他の例を示す模式図である。
図4に示すように、開口14H、16Hは、スリット状であってもよい。例えば、開口14H1、16H1のように、回転方向Rに沿ったスリット形状であってもよいし、開口14H2、16H2のように、延在方向Eに沿った中心軸AXを中心とした場合の径方向に沿ったスリット形状であってもよいし、開口14H3、16H3のように、径方向や回転方向Rに交差する方向に沿ったスリット形状であってもよい。また、開口14H4、16H4のように、スリットの延在方向毎に、幅が異なるように形成されていてもよい。なお、
図4では、説明の便宜上、1つの第1スクリュー羽根14や第2スクリュー羽根16に、異なるスリット形状の開口が形成されているが、それに限られず、同じスリット形状の開口が形成されていてよい。
【0043】
また、第1スクリュー羽根14の面上での開口14Hの並び方や、第2スクリュー羽根16の面上での開口16Hの並び方も、任意であってよい。例えば、開口14H、16Hは、回転方向R及び径方向にマトリクス状に並んでもよいし、千鳥格子状に並んでもよい。例えば千鳥格子状に並ぶことで、開口同士の間の距離を小さくし過ぎることなく、開口の数を増やすことができるため、スクリュー羽根の強度低下を抑えつつ分離液Cの排出量を向上できる。
【0044】
また、開口14Hと開口16Hとは、互いに異なる態様で形成されていてもよい。例えば、分離装置1においては、開口14Hが、分離液Cの流出量を多くすることを実現でき、開口16Hが、固形成分の流出を抑制することを実現できるように、開口14Hと開口16Hとが異なる態様で形成されていることが好ましい。ここでの態様とは、例えば、形状、面積、及び数の少なくとも1つを指す。開口14Hと開口16Hとは、どのように異なる態様で形成されていてもよいが、以下、その具体例を説明する。
【0045】
例えば、開口14Hと開口16Hとは、異なる形状であってもよい。また例えば、1つの開口14Hの開口面積と、1つの開口16Hの開口面積とを、異ならせてもよい。この場合例えば、開口14Hの開口面積を、開口16Hの開口面積よりも大きくすることが好ましい。固形成分が少ない側の開口14Hの開口面積を大きくすることで、固形成分の流出を抑えつつ、分離液Cを適切に排出できる。また例えば、第1スクリュー羽根14の単位面積あたりにおける開口14Hが形成される領域の合計面積と、第2スクリュー羽根16の単位面積あたりにおける開口16Hが形成される領域の合計面積とは、異なっていてもよい。開口14Hは、固形成分が少ない側に形成されており、開口16Hは、固形成分が堆積している側に形成されているため、そのような形成されている位置に応じて、開口の合計面積を異ならせることで、固液分離を適切に実施できる。この場合、例えば、第1スクリュー羽根14の単位面積あたりにおける開口14Hが形成される領域の合計面積は、第2スクリュー羽根16の単位面積あたりにおける開口16Hが形成される領域の合計面積よりも、大きいことが好ましい。固形成分の流出のリスクが少ない側の開口14Hの合計の開口面積を大きくすることで、固形成分の流出を抑えつつ、分離液Cを適切に排出できる。
【0046】
また、開口14Hと開口16Hとは、延在方向Eにおける位置に応じて、態様が異なってもよい。例えば、第1スクリュー羽根14や第2スクリュー羽根16は、対象物排出口11B側と分離液排出口11C側とで、開口14H、16Hの形状、開口面積、合計面積の少なくとも1つを異ならせてもよい。例えば、第2スクリュー羽根16は、対象物投入口11Aよりも対象物排出口11B側における開口16Hの開口面積や単位面積あたりの合計面積を、対象物投入口11Aよりも分離液排出口11Cにおける開口16Hの開口面積や単位面積あたりの合計面積よりも、大きくしてもよい。また、第2スクリュー羽根16は、対象物排出口11B側に向かうに従って、開口16Hの開口面積や単位面積あたりの合計面積を、大きくしてよい。固形成分は、対象物排出口11B側に向かうに従って圧縮されるため、開口面積を大きくしても、流出のリスクは小さくなる。それを利用して、対象物排出口11B側の開口面積を大きくすることで、固形成分の流出を抑えつつ、分離液Cを適切に排出できる。
【0047】
第1スクリュー羽根14の開口14Hの設け方と、第2スクリュー羽根16の開口16Hの設け方との違いは、以上の例に限られず、任意の内容であってよい。なお、開口14H、16H及び間隙Hを通って、第2空間S2に流入した分離液Cは、液位の上昇に伴い、第2空間S2を分離液排出口11C側に流れて、空間S4に流入して、分離液排出口11Cからケーシング10の外部に排出される。第2空間S2の分離液Cは、第1隔壁部18により、空間S3への侵入がせき止められる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る分離装置1は、ケーシング10と、スクリュー軸12と、第1スクリュー羽根14と、第2スクリュー羽根16とを備える。ケーシング10は、一方の端部10B側に設けられ脱水した濃縮対象物Aを排出する対象物排出口11Bと、他方の端部10C側に設けられ分離液Cを排出する分離液排出口11Cが設けられる。スクリュー軸12は、ケーシング10の内部に設けられて端部10Bから端部10Cへの方向である延在方向Eに沿って延在する。第1スクリュー羽根14は、スクリュー軸12の外周面に螺旋状に延在する。第2スクリュー羽根16は、第1スクリュー羽根14に対して延在方向Eに沿って所定間隔を隔てるようにスクリュー軸12の外周面に螺旋状に延在する。第1スクリュー羽根14及び第2スクリュー羽根16の少なくとも1つは、各スクリュー羽根からの分離液C及び固形分の流出に基づいて設計された、一方の面から他方の面まで貫通する開口を有する。
【0049】
本実施形態に係る分離装置1は、第1スクリュー羽根14及び第2スクリュー羽根16に設けた開口14H、16Hから、第1空間S1の分離液Cを第2空間S2に流出させることができるため、固液分離効率を向上させることができる。すなわち、分離装置1は、間隙Hに加えて、開口14H、16Hも分離液Cの流出経路としているため、例えば流出経路として間隙Hのみが設けられている場合よりも、分離液Cの排出量を多くして、固液分離効率を向上させることができる。なお、開口14H、16Hを設けず、間隙Hを大きくして分離液Cの流出量を増やすことも考えられるが、間隙Hを大きくし過ぎると固形成分も一緒に流出してしまう懸念もある。それに対し、分離装置1は、開口14H、16Hを設けることで、間隙Hを大きくすることによる固形成分流出のリスクを抑制しつつ、分離液Cの排出量を多くすることができる。さらに、本実施形態においては、開口14H、16Hは、分離液C及び固形分の流出に基づいて設計されているため、固液分離効率をより高めることができる。
【0050】
また、第1スクリュー羽根14の開口14Hと第2スクリュー羽根16の開口16Hとは、開口からの分離液Cの流出量と開口からの固形分の流出のリスクとが、第1スクリュー羽根14の開口14Hと第2スクリュー羽根16の開口16Hとで異なるものとして、設計されている。このように、分離装置1は、第1スクリュー羽根14及び第2スクリュー羽根16が第1空間S1で果たす機能に応じて、分離液Cの流出量と固形分の流出のリスクが開口14Hと開口16Hとで異なるものとして、設計されている。そのため、分離装置1によると、より適切に分離効率を向上させることができる。例えば、開口14Hは、固形成分の流出抑制よりも、分離液Cの流出量を多くすることに重点をおいて設けられ、開口16Hは、分離液Cの流出量の増加よりも、固形成分の流出を抑制することに重点をおいて設けられている。そのため、固形成分が堆積しやすい第2スクリュー羽根16における固形成分の流出を抑制しつつ、固形成分が堆積しにくい第1スクリュー羽根14における分離液Cの排出効率を向上させることができる。
【0051】
また、第2スクリュー羽根16の一方の端部10B側を向く第1面16aと、第1スクリュー羽根14の他方の端部10C側を向く第2面14bとの間には、対象物A0を搬送する第1空間S1が形成され、第2スクリュー羽根16の他方の端部10C側を向く第2面16bと、第1スクリュー羽根14の一方の端部10B側を向く第1面14aとの間は、分離液Cを搬送する第2空間S2が形成される。第1スクリュー羽根14の開口14Hは、第1空間S1内で対象物A0から分離した分離液Cを、端部10B(対象物排出口11B)側の第2空間S2に流出させ、第2スクリュー羽根16の開口16Hは、第1空間S1内で対象物A0から分離した分離液Cを、端部10C(分離液排出口11C)側の第2空間S2に流出させる。本実施形態に係る分離装置1において、開口14Hは、第1空間S1において、固形成分が少ない位置(固体成分が堆積する側とは反対側)に形成されているため、固体成分の流出を抑制しつつ、分離液Cを適切に第2空間S2に流出できる。また、開口16Hは、第1空間S1において、固形成分が堆積している側に設けられているため、固形成分から染み出した分離液Cを、固形成分に戻すことなく、適切に排出できる。
【0052】
また、第2スクリュー羽根16の開口16Hは、第2面16b側から第1面16a側に向かうに従って、開口面積が小さくなってよい。本実施形態に係る分離装置1は、第1面16a側に向かうに従って開口16Hの開口面積を小さくすることで、第1空間S1の固形成分を開口16Hに入り難くして、固形成分の流出を抑制できる。
【0053】
また、第2スクリュー羽根16の開口16Hは、第1面16a側から第2面16b側に向かうに従って、第2スクリュー羽根16の面に直交する軸LP0に対して、スクリュー軸12の回転方向R側に傾斜していてもよい。本実施形態に係る分離装置1は、開口16Hを回転方向R側に傾斜させることで、固形成分と当たるエッジを鈍角として、固形成分が掻き取られるリスクを低減できる。
【0054】
また、第1スクリュー羽根14の開口14Hは、第2面14b側から第1面14a側に向かうに従って、開口面積が小さくなってよい。本実施形態に係る分離装置1は、固形成分が少ない位置にある第2面14b側の開口14Hの開口面積を大きくすることで、固形成分が流出するリスクを抑制しつつ、分離液Cを適切に排出できる。
【0055】
また、第1スクリュー羽根14の開口14Hは、第1面14a側から第2面14b側に向かうに従って、開口面積が小さくなってもよい。本実施形態に係る分離装置1は、第1空間S1側の第2面14b側の開口14Hの開口面積を小さくすることで、例えば第1面14aの近傍に浮遊している固形成分の流出を抑制できる。
【0056】
また、第1スクリュー羽根14の単位面積あたりにおける開口14Hが形成される領域の合計面積と、第2スクリュー羽根16の単位面積あたりにおける開口16Hが形成される領域の合計面積とは、異なる。本実施形態に係る分離装置1は、形成されている位置が異なる開口14Hと開口16Hとの合計面積を異ならせることで、固液分離を適切に実施できる。
【0057】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態に係る分離装置1aは、第2スクリュー羽根16に開口が形成されていない点で、第1実施形態とは異なる。第2実施形態において第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0058】
図5は、第2実施形態におけるスクリュー羽根の模式的な断面図である。
図5に示すように、第2実施形態に係る分離装置1aの第1スクリュー羽根14は、第1実施形態と同様に、開口14Hが形成されている。一方、第2実施形態に係る分離装置1aの第2スクリュー羽根16は、開口が形成されていない。すなわち、第2実施形態においては、第1スクリュー羽根14と第2スクリュー羽根16とのうち、第1スクリュー羽根14のみに、開口が形成されている。
【0059】
第2実施形態に係る分離装置1aによると、固形成分が少ない位置(固体成分が堆積する側とは反対側)に開口14Hが形成されているため、固体成分の流出を抑制しつつ、分離液Cを適切に第2空間S2に流出できる。また、固形成分が堆積する第2スクリュー羽根16の第1面16a側に開口を設けないことで、固形成分から染み出した分離液の排出量は第1実施形態より少なくなるものの、固形成分の流出をより適切に抑制できる。
【0060】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態に係る分離装置1bは、第1スクリュー羽根14に開口が形成されていない点で、第1実施形態とは異なる。第3実施形態において第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0061】
図6は、第3実施形態におけるスクリュー羽根の模式的な断面図である。
図6に示すように、第3実施形態に係る分離装置1bの第2スクリュー羽根16は、第1実施形態と同様に、開口16Hが形成されている。一方、第3実施形態に係る分離装置1bの第1スクリュー羽根14は、開口が形成されていない。すなわち、第3実施形態においては、第1スクリュー羽根14と第2スクリュー羽根16とのうち、第2スクリュー羽根16のみに、開口が形成されている。
【0062】
第3実施形態に係る分離装置1bによると、固形成分が堆積している側に開口16Hが設けられているため、固形成分から染み出した分離液Cを、固形成分に戻すことなく、適切に排出できる。また、第1スクリュー羽根14に開口を設けないことで、分離液の排出量は第1実施形態より少なくなるものの、例えば浮遊する固形物の流出を抑制できる。
【0063】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態等の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0064】
1 分離装置
10 ケーシング
11A 対象物投入口
11B 対象物排出口
11C 分離液排出口
12 スクリュー軸
14 第1スクリュー羽根
14a、16a 第1面
14b、16b 第2面
14H、16H 開口
16 第2スクリュー羽根
S1 第1空間
S2 第2空間