(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】基板を結合する装置および方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20241030BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/68 N
(21)【出願番号】P 2022523348
(86)(22)【出願日】2019-11-08
(86)【国際出願番号】 EP2019080718
(87)【国際公開番号】W WO2021089173
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】508333169
【氏名又は名称】エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ブルクグラーフ
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-146449(JP,A)
【文献】特開2011-023438(JP,A)
【文献】米国特許第05129827(US,A)
【文献】国際公開第2018/143344(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0214260(US,A1)
【文献】特表2019-509627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板(2o)を第2の基板(2u)に、該基板(2o,2u)の接触面(17u,17o)において結合する方法であって、以下のステップ、すなわち
-前記第1の基板(2o)を第1の基板ホルダ(1o)の第1の収容面(18o)に収容し、前記第2の基板(2u)を第2の基板ホルダ(1u)の第2の収容面(18u)に収容するステップであって、前記基板ホルダ(1o,1u)が、チャンバ(3)内に配置されている、ステップと、
-前記接触面(17u,17o)を結合開始面(10)において接触接続させるステップであって、環状の接触接続が行われる、ステップと、
-前記結合開始面(10)から前記基板(2o,2u)の中心に向かって前記第1の基板(2o)を前記第2の基板(2u)に結合させるステップと
を有し、
前記接触接続させるステップ後、かつ/または前記結合させるステップ中に、前記チャンバ(3)内のチャンバ圧を高める、方法。
【請求項2】
前記結合開始面(10)は、前記接触面(17u,17o)のうちの少なくとも1つの接触面の周縁部に配置されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記接触接続させるステップ前に、前記第2の基板(2u)に対する前記第1の基板(2o)の凹状の変形を行う、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記結合開始面(10)は、環状に形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記第1の基板(1o)および/または前記第2の基板(1u)を、専ら前記接触面(17u,17o)の側縁部(2r)の領域において、前記第1の収容面(18o)および/または前記第2の収容面(18u)において背後から位置固定する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
第1の基板(2u)を第2の基板(2o)に、該基板(2u,2o)の接触面(17u,17o)において結合する装置であって、
-前記第1の基板(2o)を収容する第1の基板ホルダ(1o)の第1の収容面(18o)と、
-前記第2の基板(2u)を収容する第2の基板ホルダ(1u)の第2の収容面(18u)と、
-前記基板ホルダ(1u,1o)が内部に配置されているチャンバ(3)と、
-結合開始面(10)において前記接触面(17u,17o)を接触接続させる手段であって、環状の接触接続が行われる、手段と、
-前記結合開始面(10)から前記基板(2u,2o)の中心に向かって前記第1の基板(2u)を前記第2の基板(2o)に結合する手段と
を有し、
前記チャンバ(3)は、結合開始面(10)に前記接触面(17u,17o)が接触接続させられた後、および/または、前記第1の基板(2u)が前記第2の基板(2o)に結合さ
れるステップ中に、前記チャンバ(3)内の圧力が高められるように構成されている、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項に記載の、第1の基板を第2の基板に結合する方法および対応する装置に関する。
【0002】
先行技術において、2つの基板を互いに結合するために極めて多数の方法が存在している。基本的なボンディング工程から独立して、少なくとも1つの第1の基板が凸状に湾曲され、中心で第2の基板に接触させられることがほとんど常である。全面的なボンディングは、次いで基板の中心から縁部への連続的な接触接続により実現される。この接触接続形態は、融着および金属結合の場合にも、一時的な結合の場合にも見られる。特にフィルム上での基板の位置固定時には、接触接続の別の可能性も存在する。したがって、フィルムは、極めて頻繁に基板上にラミネート加工される。接触接続工程は、主にフィルムの操作により行われる。この場合、基板は位置固定されて平坦に保持される。次いで特殊な装置、いわゆるラミネータが、フィルムを基材上に張る。フィルムは、機械的なエレメント、特にローラにより、または単に降下によって基板上に位置固定することができる。
【0003】
本発明の課題は、結合精度を高める、2つの基板を結合する装置および方法を提供することである。
【0004】
この課題は、独立請求項に記載の特徴により解決される。本発明の有利な改良形は、従属請求項に記載されている。明細書、特許請求の範囲および/または図面に記載された少なくとも2つの特徴から成る全ての組み合わせも、本発明の枠内に含まれる。数値範囲が記載された場合、言及された限界内にある値も、限界値として開示されたものと見なされ、任意の組み合わせで特許請求可能であり得る。
【0005】
本発明は、第1の基板を第2の基板に、これらの基板の接触面において結合する方法であって、以下のステップ、特に以下の手順、すなわち
-第1の基板を第1の基板ホルダの第1の収容面に収容し、第2の基板を第2の基板ホルダの第2の収容面に収容するステップであって、基板ホルダが、特に真空気密式に閉鎖可能なチャンバ内に配置されている、ステップと、
-接触面を、特に環状の結合開始面において接触接続させるステップと、
-結合開始面から基板の中心に向かって第1の基板を第2の基板に結合させるステップと
を有する方法に関する。
【0006】
好適には、接触接続させるステップ後、かつ/または結合させるステップ中に、チャンバ内のチャンバ圧を高めることが規定されている。
【0007】
本発明の改良形では、結合開始面は、複数の接触面のうちの少なくとも1つの接触面の周縁部に配置されていることが規定されている。
【0008】
さらに好適には、接触接続させるステップ前に、第2の基板に対する第1の基板の凹状の変形を、特に対応して凹状に湾曲させられた第1の収容面に第1の基板を収容することによって行うことが規定されている。
【0009】
本発明の別の1つの態様によれば、特に周囲を閉じられた結合開始面は、環状に、特に円環状に、好適には基板の中心に対して同心的に延びるように形成されていることが規定されている。
【0010】
第1の基板および/または第2の基板を、専ら接触面の側縁部の領域において、第1の収容面および/または第2の収容面において背後から位置固定する本発明の1つの実施の形態が特に有利である。
【0011】
本発明は、第1の基板を第2の基板に、これらの基板の接触面において結合する装置であって、
-第1の基板を収容するための第1の基板ホルダ(1o)の第1の収容面と、
-第2の基板を収容するための第2の基板ホルダの第2の収容面と、
-基板ホルダが内部に配置されている、特に真空気密式に閉鎖可能であるチャンバと、
-特に環状の結合開始面において接触面を接触接続させる手段と、
-結合開始面から基板の中心に向かって第1の基板を第2の基板に結合させる手段と
を有する装置に関する。
【0012】
本発明は、接触面の環状の結合開始面から中心に向かって基板の結合が行われるという着想に基づいている。好適には、両基板のうちの少なくとも一方、好適には第2の、かつ/または上側の基板が、接触面の位置調整のために、接触接続させる前に他方の基板に対して凹状に変形される。変形とは特に、基板の初期状態、特に初期幾何学形状とは異なる状態を意味する。好適には結合は、接触面を接触接続させた後に、特に第1の/上側の基板の落下/離脱によって、好適には圧力上昇によって支援されて開始される。装置に関して、対応する結合手段が設けられている。
【0013】
特に独立した本発明の1つの態様は、第2の基板、特にウェハを、第2の基板、特に別のウェハまたはフィルム上にボンディング/ラミネート加工するための方法および装置に関する。特に第2の基板は、支持体と呼ぶこともできる。この構想は、凹状の形状の基板を、凹状に形成された基板ホルダに位置固定し、結合開始面において別の基板に凹状に接触接続させ、特に予備位置固定し、その後に全面的なボンディングを生じさせるために、ボンディングすべき基板の表面上に均一な圧力を生じさせるために圧力差を利用する、という考えに基づいている。圧力差は、基板の接触接続された接触面により形成される中空室と、チャンバ室との間で形成される。基板ホルダの表面が、制御エレメントによって特に凹状に曲がることができることも考えられる。
【0014】
均一な圧力分布は、有利には、第1の基板上への第2の基板の均一な圧着力のために働く。なぜならば、均一な圧力の使用により、基板の表面全体にわたって均一な圧力の負荷が行われるからである。さらに、容易に形成可能な圧力差を利用することができ、単に局所的な力しか作用させることができないピンまたは別の機械的なエレメントを不要にすることができる。
【0015】
本発明の別の1つの態様は、一方の特に剛性の基板を、剛性であってもよい他方の基板上に位置固定するための等方圧の使用にある。位置固定すべき基板は、圧力差の発生前に、凹状に湾曲されており、したがって、単に縁部面(結合開始面)で載置している。本発明による構想は、基板へのフィルムのボンディングまたはラミネート加工に制限されるのではなく、好適には2つの、特に剛性の基板に関する。本発明による構想は、特に融着または金属結合にも使用することができる。しかし、好適には、本発明に係る方法および本発明に係る装置は、一時的な結合のために使用される。本発明により使用されるフィルムの厚さは、1μm~4000μm、好適には1μm~3500μm、さらに好適には1μm~3000μm、最も好適には1μm~2500μm、最高に好適には1μm~2000μmである。
【0016】
基板
異なる種類の基板が挙げられる。特に接着剤層を備えた、(特に構造化された)ウェハには、フィルムを備えたフレームが考慮される。このような基板は、当業者に自体公知である。基板は、接着剤層を有していてもよい。接着剤層の厚さは、1μm~250μm、好適には2μm~200μm、さらに好適には3μm~100μm、最も好適には3μm~50μm、最高に好適には3μm~10μmである。
【0017】
基板ホルダ
基板ホルダとして、特に平坦な収容面または凹状に湾曲させられた収容面を備えた基板ホルダが考慮される。基板ホルダは、好適には基板を固定/位置固定/収容するための固定具を有している。固定具は、特に、
1.機械的な固定具、特にクランプおよび/または
2.特に個別に制御可能なかつ/または互いに接続された真空路(Vakuumbahnen)を備えた真空式固定具および/または
3.電気的な固定具、特に静電式の固定具および/または
4.磁気的な固定具および/または
5.接着式の固定具、特にゲルパック固定具および/または
6.接着剤、特に制御可能な表面を備えた固定具
であってよい。固定具は、特に電子的に制御可能である。真空式固定具が好適な固定種類である。
【0018】
真空式固定具は、好適には基板ホルダ(収容面)の表面に通じる複数の真空路を有している。真空路は、好適には個別に制御可能である。技術的により実現可能な用途において、幾つかの真空路は統合されて真空路セグメントを形成しており、これらの真空路セグメントは、個別に制御可能であり、したがって、排気するか、または満たすことができる。しかし、各真空セグメントは、別の真空セグメントから独立している。これにより、個別に制御可能な真空セグメントを形成する可能性が得られる。これらの真空セグメントは、好適には環状に配置構成されている。これにより、基板ホルダによる基板の、特に内側から外側に向かって実施される意図的で放射対称な位置固定および/または基板ホルダからの解除が可能にされる。この種の真空セグメント構成は、国際公開第2017162272号に開示される。
【0019】
基板ホルダは、明確に定義された位置において、または体積全体にわたって、電磁スペクトルの一部、特にUV光および/または可視光および/または赤外光に対して透過性であってよい。基板ホルダが、複数の位置において、貫通部、特に穴、最も好適には孔を有しており、この貫通部を通じて、基板位置固定側へのクリアな視界を保証することができることも考えられる。これらの構造技術的な措置によって、特に基板上に位置していてよい位置調整マークへの視界が保証される。
【0020】
文章の続きにおいて、本発明による好適な基板ホルダをより詳細に説明する。
【0021】
基板ホルダは、特に凹状に湾曲させられた収容面を有している。凹状の収容面の曲率は、好適には一定でありかつ/または回転対称である。特に、凹状の収容面の曲率は、曲率半径によって記載することができる。曲率半径は、凹状の収容面の中心における、または中心を通る接触円の半径である。曲率半径は、10mm~108mm、好適には103mm~108mm、さらに好適には104mm~108mm、最も好適には105mm~108mm、最高に好適には106mm~108mmである。特別な実施の形態のためには、凹状の収容面の曲率が一定ではなく、中心から縁部に向かって、特に連続的に変化することも可能である。この特別な実施の形態では、収容面の各点において異なる曲率半径が設けられているだろう。
【0022】
凹状の収容面の第1の実施の形態では、曲率は各位置において等しく、すなわち均一である。
【0023】
凹状の収容面の第2の実施の形態では、曲率は、少なくとも1つの円に沿って一定であり、つまり中心から縁部に向かってのみ変化するだろう。曲率は、対応して放射対称である。
【0024】
凹状の収容面の第3の実施の形態では、曲率は異方性であり、すなわち半径方向位置および方向に依存する。この特別な実施の形態では、たとえば本発明により、平坦な第2の基板との接触時に、第1の基板がその接触面の周囲の側縁部に沿って全周にわたって載置するのではなく、側縁部の周囲の一部のみが第2の基板に接触接続するように、第1の基板を位置固定することが可能だろう。このような実施の形態のための1つの例は、平坦な面に置かれた鞍部(Sattel)だろう。本発明によるこの実施の形態は、特に、接触が行われた後に互いに接触接続する2つの基板の中間室の排気を可能にする。
【0025】
さらに、本発明による基板ホルダは、凹状の収容面の変形性に関して特徴付けることができる。
【0026】
本発明による第1の実施の形態では、本発明による基板ホルダは、静止した凹状の収容面を備えている。凹状の収容面は、特に、フライス加工プロセスおよび/または研削加工プロセスおよび/または研磨加工プロセスによって製造される。硬化可能な液体がシリンダ内で回転させられて硬化され、これにより硬化時に凹状に湾曲させられた収容面が形成される、回転プロセスによる製造も考えられる。
【0027】
本発明による第2の実施の形態では、本発明による基板ホルダが、動的に変化可能な凹状の収容面を備えている。凹状の収容面の変形は、比較的小さな寸法において、特にマイクロメートル~ミリメートルの範囲で生じるので、機能性の材料および素材の使用が可能である。特に、
・磁気粘性材料および/または
・電気粘性材料および/または
・形状記憶合金および/または
・ゲルパックおよび/または
・機械的な構成エレメントおよび/または
・電気的な構成エレメントおよび/または
・磁気的な構成エレメント
を、凹状の曲率を適合するために使用することができる。
【0028】
さらに、本発明による基板ホルダは、以下に本発明の実施の形態につき説明される別の機能的な特性に関して特徴付けることができる。
【0029】
本発明による第1の実施の形態によれば、基板ホルダは、基板表面を測定するために規定された電磁放射線に対して、好適には完全に不透過性(つまり、不透明)である。測定は、特に基板の互いに対する位置調整時に基板ホルダを制御するために行われる。
【0030】
本発明による第2の実施の形態では、基板ホルダは、基板表面を測定するために規定された電磁放射線に対して、特に部分的に、好適には完全に透過性(つまり透明)である。透過性は、基板ホルダの部分領域のみに関してもよい。
【0031】
透過性は、透過した放射線および照射された放射線の比を示す透過率により記載される。しかし、透過率は、透過される物体の厚さに依存するので、材料固有の特性ではない。したがって、透過率の値は、1cmの単位長さに関して示される。基板ホルダの透過性の部分の材料は、1cmの選択された厚さに関して、かつそれぞれ選択された波長に対して特に10%より大きな、好適には20%より大きな、さらに好適には50%より大きな、最も好適には75%より大きな、最高に好適には99%より大きな透過率を有している。
【0032】
本発明の第3の実施の形態では、基板ホルダが、貫通部、特に孔を備えており、これらの貫通部を通じて、基板または基板スタックの観察が可能にされる。
【0033】
本発明の第4の実施の形態では、基板ホルダは、凹状の収容面が、動的に、特に体積変化によって適合することができる1つの層または構成部分から形成されるように、構成されている。このような実施の形態は、特に動的に変化可能な収容面を備えた本発明による基板ホルダの構成のために適している。
【0034】
本発明の第5の実施の形態では、基板ホルダは、凹状の収容面を、作動手段により、特に機械的かつ/または流体力学的かつ/または電気的に湾曲させることができるように構成されている。この場合、凹状の収容面を形成する構成部分の弾性が利用される。本発明による凹状の収容面の曲率半径は極めて大きく、つまり曲げが極めて小さいので、曲率の変化を引き起こすために、作動手段に結合された構成部分の最小限の並進移動で十分である。作動手段は、特に曲率を調節するために制御装置により制御される。
【0035】
設備(装置)
本発明は、特に圧力密に閉鎖可能なチャンバ内の少なくとも2つの基板ホルダを有する設備を含んでいる。
【0036】
複数の基板ホルダのうちの少なくとも1つは、位置固定されてよく、かつ/または回転運動されてよく、かつ/または並進運動されてよい。回転は、特に少なくとも1つの、好適には互いに直交する3つの軸線を中心として行われる。並進運動は、特に少なくとも1つの、好適には互いに直交する3つの軸線に沿って行われる。設備は、好適には、基板の互いに対する粗調整および/または微調整のための手段を有している。
【0037】
粗調整のための手段は、好適には、基板の並進運動の自由度を制限する機械的なストッパ要素である。たとえば、接触に至るまで基板が接近させられるピンが考えられる。
【0038】
微調整のための手段は、好適には光学素子であり、特に好適には基板にある位置調整マークを検出することができる光学系である。検出された位置調整マークはカメラによって撮影され、ソフトウェアおよび/またはハードウェアおよび/またはファームウェアによって処理される。これにより、微調整(位置調整/アライメント)の制御が、制御装置によって行われる。
【0039】
光学系の解像度は、100μmより良好であり、好適には10μmより良好であり、さらに好適には1μmより良好であり、最も好適には500nmより良好であり、最高に好適には50nmより良好である。
【0040】
チャンバは、完全に排気することができ、かつ任意のガス混合物もしくは個別のガスで満たすことができる。チャンバおよび/または本発明による基板ホルダは温度調整可能であり、つまり加熱可能かつ/または冷却可能である。チャンバおよび/または基板ホルダは、特に-75℃~300℃、好適には-50℃~250℃、さらに好適には-25℃~200℃、最も好適には0℃~150℃、最高に好適には25℃~100℃の温度に温度調整することができる。
【0041】
方法
本発明による第1のプロセスの本発明による第1のプロセスステップでは、第1の基板が、本発明による第1の基板ホルダ上に装填される。第1の基板ホルダの収容面は、特に凹状に湾曲させられているので、収容面に収容すべき第1の基板は、収容面に収容することによって同様に凹状に湾曲させられる。特に、同時に第2の基板が第2の基板ホルダの第2の収容面上に装填され位置固定される。特に、第2の基板ホルダは、第1の基板ホルダと同一に構成されていてよい。しかし好適には第2の基板ホルダは、平坦な収容面を備えた基板ホルダである。第2の基板の収容は、第1の基板の収容前、収容中または収容後に行うことができる。
【0042】
第2のプロセスステップでは、第2の基板に対する第1の基板の位置調整が行われる。位置調整は、特に機械的かつ/または光学的に行うことができる。位置調整が、単に特に一時的なボンディングプロセスにおいて使用される粗い位置調整プロセスである場合、位置調整は好適には純粋に機械的に行われる。しかし好適には、両基板が、位置調整マークを介して、特に光学手段を用いて互いに位置調整される。
【0043】
遅くとも本発明による第1のプロセスの、本発明による第3のプロセスステップにおいて、両基板ホルダおよび基板が内部に位置しているチャンバの少なくとも部分的な排気が行われる。このプロセスステップは、既に基板の収容および/または位置調整前に、かつ/または基板の収容および/または位置調整中に行われてよい。チャンバの排気により、分子および/または原子が2つの基板間に位置していないか、またはこれらの基板上に堆積していないことが確実にされる。特に周囲を閉じられていない環状の接触接続(結合開始面)では、排気は、さらに接触接続後にも、特に連続的に継続して行うことができる。好適には、両基板の環状の接触接続は、特に基板の縁部において全周にわたって行われる。したがって排気は、好適には、この接触接続のプロセスステップ前に実施される。
【0044】
チャンバ内の圧力は、特に1bar未満、好適には10-2mbar未満、さらに好適には10-4mbar未満、最も好適には10-6mbar未満、最高に好適には10-8mbar未満に減じられる(排気)。このことは、特に、両基板の全面的な接触接続が、本発明による別のプロセスステップによって行われる場合に、基板間に原子または分子がないように働く。なぜならば、基板間の原子および分子は、周囲を閉じられた環状の接触接続後に中間空間を出る可能性をもはや有しないからである。中間空間は、結合開始面に沿った接触接続により気密に閉じられるだろう。
【0045】
本発明によるプロセスが、2つの基板の融着に使用される場合、封入された原子および分子は、基板間の気泡を形成してしまい、これらの気泡は、基板スタックを実質的に使用不能にしてしまうだろう。これに対して、本発明による方法を、接着剤を用いた一時的な結合のために使用する場合、基板間の少量のガスは許容することができる。なぜならば、使用される接着剤がある程度の量のガスを吸収することができるからである。
【0046】
本発明による別の実施の形態では、本発明によるプロセスが、ハイブリッドボンディングのために使用される。ハイブリッドボンディングは、2つのハイブリッド表面間の融着である。ハイブリッド表面は、電気領域および誘電領域を有する表面である。電気領域は、好適には、誘電層の下に形成される機能的な構成部分のコンタクトである。電気領域は、貫通接触接続部(英語で:through-silicon via(シリコン貫通電極)、TSV)とも呼ばれる。電気領域の表面は、誘電領域の表面に対して好適には僅かに後退している。
【0047】
電気領域の表面と誘電領域の表面との間の高低差は、1μm未満、好適には500nm未満、さらに好適には50nm未満、最も好適には5nm未満、最高に好適には1nm未満である。好適には後退させられた電気領域により、融着の結合波は、電気領域によってその進行を妨げられることなしに、誘電領域にわたって問題なく移動することができる。
【0048】
誘電領域にわたる融着後に、基板スタックが熱処理される。熱処理は、好適には、両基板の対峙する電気領域が熱負荷に基づいて膨張して、これらの電気領域が互いに接触接続し、金属結合、特に金属拡散結合を介して互いに永続的に結合されるようになることにつながる。したがって、ハイブリッド結合は、このハイブリッド結合によって2つの基板を融着プロセスにより極めて簡単かつ廉価に結合することができる、という利点を有している。
【0049】
本発明に係る方法は、特に有利には、このようなハイブリッド結合を形成する可能性を示している。有利には、本発明によるプロセスにおいて、両基板の結合が、好適には真空下で、周縁部において実施される。有利には、両基板の、特に全周にわたる周縁部における接触接続後に、もはや基板間にガスは存在しない。基板間のガスの除去によって、進行する結合波に影響を与え得る1つの可能な影響要因がなくなる。特に上側の、外部から見て凸状に湾曲させられた基板のドーム形状は、専らその弾性特性と、第2の基板に対するその周辺部の位置固定とによって安定化される。
【0050】
圧力上昇により、基板間のガスの抵抗を考慮する必要なしに、湾曲させられた基板の意図的な、特に制御可能な平坦化が可能である。結合波は、有利には周縁部から中心に向かう。
【0051】
第4のプロセスステップにおいて、両基板の互いに対する相対的な接近が行われ、この接近は、好適には凹状に湾曲させられた第1の基板を、結合開始面に沿って第2の基板に接触させた後に終了される。あまり好適ではないが、両基板の間の相対運動が、その接触接続前に終了されることも可能である。この場合、上側の基板ホルダの位置固定が解除され、上側の基板が下側の基板上に、数ミリメートル、好適には数マイクロメートル、さらに好適には数ナノメートルの比較的短い区間にわたって落下する。本発明により凹状に湾曲させられた上側の基板が、下側の基板にその周縁部に沿って接触した後に、両基板は、周縁部に沿って表面機構により予備位置固定される。
【0052】
第5のプロセスステップにおいて、チャンバ内の圧力の上昇が行われる。特に、大気への弁が開放されるので、チャンバの内部で再び大気圧が生じる。しかし、好適には不活性ガス原子または不活性ガス分子から成るガスもしくはガス混合物がチャンバに導入されることも可能である。特に圧縮機によって高められた圧力を形成することにより、凹状に湾曲させられた基板が連続的に、特に急激に平坦に押圧される。なぜならば、チャンバ室と、基板間の接触によってこのチャンバ室から分離された中空室との間で圧力差が形成されるからである。
【0053】
ガスまたはガス混合物の制御された緩慢な流入により、湾曲させられた基板を、特に制御しながら、かつ極めて緩慢に平坦に押圧することもできる。
【0054】
本発明による特別な発展形において、湾曲させられた基板を制御して緩慢に平坦に押圧する間に、湾曲させられた基板および/または基板スタック全体および/または両基板の中間空間の連続的な監視が実施される。好適には、特に、両基板の個別の目印間の位置調整精度の監視が実施される。本発明によれば、特に、まだ湾曲させられた基板を平坦に押圧している間に位置調整不良が特定され、これによりプロセスが中断されることが可能である。まだ湾曲させられている上側の基板は、この場合、好適には再び本発明による基板ホルダによって位置固定され、下側の基板から取り除かれる。したがって、本発明に係る装置において、両基板間の改善された新たな位置調整を行うことができる。
【0055】
本発明によるこのプロセスステップにおいて、凹状に湾曲させられた基板の縁部は、連続的に半径方向外方に向かって移動する一方で、第1の基板の中心が、第2の基板に接近する。特に、両基板間の接触は、本発明によるプロセスステップ中に常に維持されたままであるので、基板間に汚染物質は到達しない。
【0056】
このプロセスは、第1の基板と第2の基板との接触接続が十分に行われていない場合にも行われる。
【0057】
前述のプロセスは変更することができ、以下で説明する幾つかの点に関してのみ異なる。
【0058】
第3のプロセスステップでは、前述のプロセスとは対照的に、チャンバの排気が実施されない。特に、チャンバは、大気に対して開放されたままである。
【0059】
このためには、第5のプロセスステップにおいて、チャンバ内に外部の雰囲気に対する正圧が加えられる。特に、チャンバは、このために気密式(圧力密)にロックされる。しかし、チャンバが大気に対して弁を介して開放されていることも可能であり、高い体積流によって前記チャンバ内の正圧が生じる。
【0060】
装置に関して開示された特徴は、方法に関して開示された特徴と見なすことができ、その逆もまた然である。
【0061】
本発明の別の利点、特徴および詳細は、好適な実施例の以下の説明ならびに図面に基づいて明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1a】本発明に係る方法の実施の形態の第1のプロセスステップを示す図である。
【
図1b】
図1aに示した実施の形態の第2のプロセスステップを示す図である。
【
図1c】
図1aに示した実施の形態の第3のプロセスステップを示す図である。
【
図1d】
図1aに示した実施の形態の第4のプロセスステップを示す図である。
【
図1e】
図1aに示した実施の形態の第5のプロセスステップを示す図である。
【
図1f】
図1aに示した実施の形態の第6のプロセスステップを示す図である。
【
図2】本発明による基板ホルダの第1の実施の形態を示す図である。
【
図3】本発明による基板ホルダの第2の実施の形態を示す図である。
【
図4】本発明による基板ホルダの第3の実施の形態を示す図である。
【
図5】本発明による基板ホルダの第4の実施の形態を示す図である。
【
図6】本発明による基板ホルダの第5の実施の形態を示す図である。
【0063】
図面において、同一の構成部分または同一の機能を有する構成部分には、同一の参照符号が付されている。全ての図面は、図を簡略化し、理解を容易にするために、縮尺通りに図示されていない。特に、基板の曲率は過度に大きく示されている。
【0064】
図1aは、第1の基板2oが第1の基板ホルダ1oの第1の収容面18oに装填されて、位置固定されている第1のプロセスステップを示している。特に同時に、第2の基板ホルダ1uの第2の収容面18u上における第2の基板2uの位置固定が行われている。両基板2u,2oの位置固定は、好適にはチャンバ3内で行われる。しかし、基板2uおよび/または基板2oが、チャンバ3の外側において基板ホルダ上に位置固定され、次いで基板ホルダと一緒にチャンバ3内へと搬送されることも可能である。
【0065】
図1bは、両基板2u,2oの互いに対する位置調整、特に両基板2u,2oの接触面17u,17oの位置調整が行われる第2のプロセスステップを示している。位置調整は、粗調整および/または微調整であってよい。微調整は、好適には、位置調整マーク(自体公知であるので図示せず)および光学系9を介して行われる。位置調整は、好適には、基板2u,2oのx方向および/またはy方向(速度v
x、v
y)および/または回転方向で行われる。上側の基板2oの曲率は、図面において強く誇張して図示されている。両基板2u,2oの互いに対する光学的な位置調整のために、接触面17u,17oを、多かれ少なかれ互いに対して平行であると見なすことができる。
【0066】
図1cは、両基板2u,2oの相対的な接近が、特に両基板ホルダ1u,1oの互いに対する相対運動(速度v
z)によって行われる第3のプロセスステップを示している。遅くともこのプロセスステップにおいて、チャンバ3の排気が開始される。この排気は、チャンバ3内のできるだけ小さなチャンバ圧pを引き起こす。しかし、真空の形成は、既に第3のプロセスステップ前に開始することができ、基板2u、2oが接触接続する前に終了させられる(
図1d)。
【0067】
図1dは、凹状に湾曲させられた第1の基板2oが第2の基板2u上に位置固定される第4のプロセスステップを示している。凹状に湾曲させられた第1の基板2oが、上側の基板ホルダ1oに位置している場合、第1の基板2oは、接触接続に至るまでの接近によって、または落下によって、第2の基板2uに接触接続することができる。好適には、接触接続は、まず専ら結合開始面10において行われる。結合開始面10は、基板2u,2oの接触接続を開始するために、基板2u,2o間の接触面17u,17oにより形成される。接触接続は、まず接触面17u,17oの側縁部2r,2r’に沿って、特に全周にわたって行われる。
【0068】
図1eは、チャンバ3内のチャンバ圧p1が、接触接続の直前に存在するチャンバ圧p0よりも大きく調節される第5のプロセスステップを示している。第1の基板2oの凹状の変形によって形成される中空室11と、基板2u,2oの外側のチャンバ空間12との間にこれにより生じる圧力差により、特に等方性の圧力が、露出した第1の基板2oに作用し、この第1の基板2oを、第2の基板ホルダによって支持された第2の基板2u上に押圧する。
【0069】
図1fは、第1の基板2oと第2の基板2uとの間の結合、特にボンディングが製造される第6のプロセスステップを示している。
【0070】
文章の続きにおいて、第1の基板ホルダ1o,1o’,1o’’,1o’’’,1o’’’’の個別の実施の形態が記載される。好適には、本発明による第1の基板ホルダ1o,1o’,1o’’,1o’’’,1o’’’’は、複数の構成部分を有している。示された基板ホルダ1o,1o’,1o’’,1o’’’,1o’’’’は、本発明による機能を説明するために重要である必要最小限の個数の構成部分を用いて概略的に示されている。その他の点において基板ホルダ1o,1o’,1o’’,1o’’’,1o’’’’は、図面に図示されていない通常の特徴を有していてもよい。
【0071】
図2は、中実である第1の基板ホルダ1oの第1の実施の形態を示している。基板ホルダ1oは、UV範囲、可視範囲および赤外範囲の電磁放射線に対して特に不透過性である。基板ホルダ1oは、静止した凹状の収容面18oに第1の基板2oを位置固定するための固定具7を有している。
【0072】
図3は、透過性である基板ホルダ1o’の第2の実施の形態を示している。透過性により、基板上の目印、特に位置調整マークを、基板ホルダ1o’を通して光学系9によって確認および/または測定することができる。
【0073】
図4は、基板ホルダ1o’’に位置固定された基板2oの目印を光学系9によって確認および/または測定することができる孔4を有している基板ホルダ1o’’の第3の実施の形態を示している。
【0074】
図5は、基板ホルダ1o’’’の第4の実施の形態を示しており、基板ホルダ1o’’’は、特に電気的かつ/または磁気的かつ/または熱的に、体積収縮または体積膨張が生じるように切り替えることができる材料層5を有している。この体積変化は、主に立方マイクロメートル~立方ミリメートルの範囲で生じる。小さな体積変化にもかかわらず、これにより凹状の収容面を変化させることができる。
【0075】
材料層5は、たとえば、磁気粘性、電気粘性または形状記憶合金であってよい。特に形状記憶合金は、熱により誘起される相変態により、凹状の収容面18oの体積ひいては形状を変化させることができる。材料層5が磁気粘性材料または電気粘性材料の層5である場合、対応する電子的かつ/または電気技術的な構成エレメントを基板ホルダ1o’’’に設けなければならず、これにより磁場または電界を形成させることができ、これらの磁場または電界は、材料層5の物理的な影響により凹状の収容面18oの体積の変化をもたらす。これらの構成エレメントは、見易くするために図示されていない。これらの構成エレメントは、特にコイルまたは電極である。
【0076】
図6は、作動手段8による凹状の収容面18oの変化のために使用することができる、基板ホルダ1o’’’’の第5の実施の形態を示している。作動手段8は特に、
・機械的な作動手段、
・ニューマチック式の作動手段、
・ハイドロリック式の作動手段、
・電気的な作動手段、特に圧電素子
であってよい。特に、凹状の収容面18oの曲率を局所的に変化させるために、複数の作動手段8が基板ホルダ1o’’’’において分散されていてよい。
【0077】
記載された種々異なる基板ホルダ1o,1o’,1o’’,1o’’’,1o’’’’の特徴は、本発明による新規の基板ホルダを形成するために、互いに組み合わせることができる。したがって、
図4に示した基板ホルダ1o’’の孔を、
図5に示した基板ホルダ1o’’’の材料層5に組み合わせた基板ホルダを形成することが考えられる。これにより、これらの組み合わせは同様に明示的に開示されている。
【0078】
本発明によるプロセスおよび実施の形態のために使用される種々異なる基板が、別の図面に図示されている。これらの基板は、特に、上側の基板ホルダ1oまたは下側の基板ホルダ1uに位置していてよい。しかし、特に基板2’および2’’は、支持体とも呼ばれ、好適には下側の基板ホルダ1uに位置している。融着の場合、下側の基板ホルダにも基板2があってよい。
【0079】
図7は、基板2の最も単純な実施の形態を示している。基板2は、好適には、構造化されていないウェハ13または構造化されたウェハ13である。
【0080】
図8は、ウェハ13および接着剤層14から成る基板2’を示している。接着剤層14は、好適にはボンディング用接着剤であり、たとえばスピンコーティングプロセスによりウェハ13上に塗布される。
【0081】
図9は、フレーム15上に張られたフィルム16から成る基板2’’を示している。フィルム16は、その表面に好適には接着剤層14を有している。基板を結合するための装置および方法
【符号の説明】
【0082】
1u,1o 基板ホルダ
2,2u,2o 基板
2r,2r’ 側縁部
3 チャンバ
4 孔
5 材料層
7 固定具
8 作動手段
9 光学系
10 結合開始面
11 中空室
12 チャンバ室
13 ウェハ
14 接着層
15 フィルム
16 フレーム
17u,17o 接触面
18u,18o 収容面
vx、vy、vz 速度