(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】ナビゲーションシステム、サーバ装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20241030BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20241030BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20241030BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20241030BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/00 J
G16Y40/60
G16Y10/40
(21)【出願番号】P 2022558596
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(86)【国際出願番号】 JP2021013914
(87)【国際公開番号】W WO2022208765
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅田 和暉
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-123153(JP,A)
【文献】特開2020-101924(JP,A)
【文献】特開2020-187593(JP,A)
【文献】特開2014-010461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G08G 1/00
G16Y 10/00-40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両にネットワークを介して通信可能に接続されるサーバ装置と、前記サーバ装置に前記ネットワークを介して通信可能に接続されるナビゲーション装置とを備えたナビゲーションシステムであって、
前記サーバ装置は、
前記複数の車両のうち少なくとも1つ以上の第1車両から、前記第1車両が走行した道路上に存在する
雪に関連する通行関連情報と、前記道路の位置情報とを受信し、
前記通行関連情報と前記位置情報に基づいて、前記第1車両が走行した前記道路について、前記道路上に存在する前記雪または前記道路の滑りやすさの少なくとも一方に起因する走行の難易度に関連する難易度情報を生成し、
前記第1車両が走行した前記道路の前記難易度情報および前記位置情報を、前記複数の車両のうち前記第1車両と同一または異なる第2車両とともに移動可能に設けられる前記ナビゲーション装置に送信し、
前記ナビゲーション装置は、
前記サーバ装置から、前記難易度情報および前記位置情報を受信し、
前記難易度情報および前記位置情報に基づいて、前記第2車両による前記道路の通行に関する通行規制を設定し、
前記通行規制に基づいて、目的地までの前記第2車両の走行ルートを設定し、
前記難易度情報は、前記第1車両が走行した前記道路における、前記道路上に存在する前記雪に起因する走行の難易度を分類した難易度クラスを含み、
前記通行関連情報は、前記第1車両が走行した前記道路を撮像した道路画像情報を含み、
前記サーバ装置は、
前記道路画像情報に基づいて、前記道路上に前記雪が存在する状態の通行可能な道路幅である第1の道路幅を検出し、前記第1の道路幅と、前記道路上に前記雪が存在しない状態の道路幅である第2の道路幅との比較結果に基づいて、前記第1車両が走行した前記道路の前記難易度クラスを判定する、
ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記通行関連情報は、
前記道路の走行時における前記第1車両のスリップの有無を表すスリップ情報、
前記第1車両に装着されたタイヤの種別を表すタイヤ情報、および、
前記第1車両の車輪の駆動方式を表す駆動方式情報、
のうち少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、
前記道路画像情報に基づいて、前記道路上に存在する前記雪の有無および轍の有無のうち少なくとも1つを含む前記道路の路面状態を分類し、
前記路面状態の分類に応じて、前記第1車両が走行した前記道路の前記難易度クラスを判定する、請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記通行関連情報は、前記道路の走行時における前記第1車両のスリップの有無を表すスリップ情報を含み、
前記サーバ装置は、
前記スリップ情報に基づいて、前記道路のスリップ状態を分類し、
前記スリップ状態の分類に応じて、前記スリップが発生した前記道路の前記難易度クラスを判定する、請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記通行関連情報は、
前記第1車両に装着されたタイヤの種別を表すタイヤ情報をさらに含み、
前記サーバ装置は、
前記スリップ情報と、前記タイヤ情報とに基づいて、スリップした前記第1車両に装着された前記タイヤの種別を分類し、前記タイヤの種別の分類に応じて、前記スリップが発生した前記道路の前記難易度クラスを判定する、請求項4に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記通行関連情報は、
前記第1車両の車輪の駆動方式を表す駆動方式情報をさらに含み、
前記サーバ装置は、
前記スリップ情報と、前記駆動方式情報とに基づいて、スリップした前記第1車両の前記駆動方式を分類し、前記駆動方式の分類に応じて、前記スリップが発生した前記道路の前記難易度クラスを判定する、請求項4に記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記ナビゲーション装置は、
前記通行規制として、前記第2車両による前記道路の通行を禁止する第1通行規制を設定し、
前記第1通行規制に設定された前記道路を通行しないように、前記走行ルートを設定する、請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記ナビゲーション装置は、
前記通行規制として、前記第2車両による前記道路の通行を制限する第2通行規制を設定し、
前記第2通行規制に設定された前記道路を回避するように、前記走行ルートを設定する、請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項9】
前記ナビゲーション装置は、
前記第2車両による積雪道路の走行性能に関する車両情報を取得し、
前記難易度クラスおよび前記位置情報と、前記車両情報とに基づいて、前記通行規制を設定する、請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項10】
前記車両情報は、前記第2車両に装着されたタイヤの種別、および前記第2車両の車輪の駆動方式のうち少なくとも1つを含み、
前記ナビゲーション装置は、前記難易度クラスおよび前記位置情報と、前記車両情報とに基づいて、前記第2車両による積雪道路の走行性能に応じた前記通行規制を設定する、請求項9に記載のナビゲーションシステム。
【請求項11】
前記難易度情報は、前記第1の道路幅を含み、
前記ナビゲーション装置は、
前記第2車両の車幅を取得し、
前記第1の道路幅と、前記第2車両の前記車幅とに基づいて、前記通行規制を設定する、請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項12】
前記ナビゲーション装置は、前記走行ルートを示す地図画像において、前記通行規制が設定された前記道路上に前記通行規制を表すマークを表示する、請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項13】
前記通行関連情報は、前記第1車両が走行した前記道路における、前記道路上に存在する前記雪に起因する走行の難易度を分類した前記難易度クラスを含み、
前記サーバ装置は、
前記難易度クラスを含む前記難易度情報を生成し、
前記難易度クラスを含む前記難易度情報と、前記位置情報を前記ナビゲーション装置に送信する、請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項14】
複数の車両にネットワークを介して通信可能に接続されるサーバ装置であって、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記複数の車両のうち少なくとも1つ以上の第1車両から、前記第1車両が走行した道路上に存在する
雪に関連する通行関連情報と、前記道路の位置情報とを受信することと、
前記通行関連情報と前記位置情報に基づいて、前記第1車両が走行した前記道路について、前記道路上に存在する前記雪、または前記道路の滑りやすさの少なくともいずれか一方に起因する走行の難易度に関連する難易度情報を生成することと、
前記第1車両が走行した前記道路の前記難易度情報および前記位置情報を、前記複数の車両のうち前記第1車両と同一または異なる第2車両とともに移動可能に設けられるナビゲーション装置に送信することと、
を含む処理を実行し、
前記難易度情報は、前記第1車両が走行した前記道路における、前記道路上に存在する前記雪に起因する走行の難易度を分類した難易度クラスを含み、
前記通行関連情報は、前記第1車両が走行した前記道路を撮像した道路画像情報を含み、
前記プロセッサは、
前記道路画像情報に基づいて、前記道路上に前記雪が存在する状態の通行可能な道路幅である第1の道路幅を検出し、前記第1の道路幅と、前記道路上に前記雪が存在しない状態の道路幅である第2の道路幅との比較結果に基づいて、前記第1車両が走行した前記道路の前記難易度クラスを判定する、
サーバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行ルートを案内するためのナビゲーションシステム、サーバ装置、ナビゲーション装置および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
積雪の多い地域では、道路への積雪により、交通網が遮断されたり、交通渋滞が発生したりする。かかる積雪対策として、道路網の随所に観測機を設置して、道路の積雪状態を観測、把握することにより、除雪機による道路の除雪や、積雪起因の渋滞情報の提供などの対策が施される。
【0003】
例えば、特許文献1には、道路網に配置された複数の観測場所で、積雪センサにより道路の積雪状態を検出する道路状態観測システムが記載されている。この特許文献1に記載の道路状態観測システムでは、土木事務所の情報処理端末により、上記各観測場所で検出された積雪状態を収集して、道路の幅方向の積雪量をリアルタイムで把握する。そして、当該積雪量分布を示す立体図を作成して、ユーザインタフェース画面に表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、道路の積雪量や路面状態、除雪状況等によって、積雪に起因する道路の走行難易度は、時々刻々と変化する。例えば、通常時には二車線通行可能な道路であっても、積雪時には除雪により道路幅が狭まり、実質的に一車線通行しかできなくなる場合がある。また、路面が凍結してスリップしやすくなったり、積雪道路に形成される轍が深くなり、車両がスタックしたりする場合がある。また、車両に装着されたタイヤの種別(例えば、スタッドレスタイヤ等の冬用タイヤまたはノーマルタイヤ)や、車輪の駆動方式(例えば、二輪駆動または四輪駆動)などによって、積雪道路における車両の走行性能が異なり、当該走行性能によっても積雪道路の走行難易度は変化する。
【0006】
上記のように、積雪道路の走行難易度は、道路の積雪状態(積雪量、路面状態、道路幅等)だけでなく、積雪道路における車両の走行性能等によっても変化する。このため、ナビゲーションシステムでは、目的地までの距離や渋滞状況だけでなく、実際の道路の積雪状態による走行難易度を考慮して、目的地までの適切な走行ルートを提案できるようにすることが希求されている。
【0007】
そこで、本発明は、ナビゲーションシステムにおいて、実際の道路の走行難易度に応じて、適切な走行ルートを案内することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係るナビゲーションシステムは、
複数の車両にネットワークを介して通信可能に接続されるサーバ装置と、前記サーバ装置に前記ネットワークを介して通信可能に接続されるナビゲーション装置とを備えたナビゲーションシステムであって、
前記サーバ装置は、
前記複数の車両のうち少なくとも1つ以上の第1車両から、前記第1車両が走行した道路上に存在する雪に関連する通行関連情報と、前記道路の位置情報とを受信し、
前記通行関連情報と前記位置情報に基づいて、前記第1車両が走行した前記道路について、前記道路上に存在する前記雪または前記道路の滑りやすさの少なくとも一方に起因する走行の難易度に関連する難易度情報を生成し、
前記第1車両が走行した前記道路の前記難易度情報および前記位置情報を、前記複数の車両のうち前記第1車両と同一または異なる第2車両とともに移動可能に設けられる前記ナビゲーション装置に送信し、
前記ナビゲーション装置は、
前記サーバ装置から、前記難易度情報および前記位置情報を受信し、
前記難易度情報および前記位置情報に基づいて、前記第2車両による前記道路の通行に関する通行規制を設定し、
前記通行規制に基づいて、目的地までの前記第2車両の走行ルートを設定し、
前記難易度情報は、前記第1車両が走行した前記道路における、前記道路上に存在する前記雪に起因する走行の難易度を分類した難易度クラスを含み、
前記通行関連情報は、前記第1車両が走行した前記道路を撮像した道路画像情報を含み、
前記サーバ装置は、
前記道路画像情報に基づいて、前記道路上に前記雪が存在する状態の通行可能な道路幅である第1の道路幅を検出し、前記第1の道路幅と、前記道路上に前記雪が存在しない状態の道路幅である第2の道路幅との比較結果に基づいて、前記第1車両が走行した前記道路の前記難易度クラスを判定する。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係るサーバ装置は、
複数の車両にネットワークを介して通信可能に接続されるサーバ装置であって、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記複数の車両のうち少なくとも1つ以上の第1車両から、前記第1車両が走行した道路上に存在する雪に関連する通行関連情報と、前記道路の位置情報とを受信することと、
前記通行関連情報と前記位置情報に基づいて、前記第1車両が走行した前記道路について、前記道路上に存在する前記雪、または前記道路の滑りやすさの少なくともいずれか一方に起因する走行の難易度に関連する難易度情報を生成することと、
前記第1車両が走行した前記道路の前記難易度情報および前記位置情報を、前記複数の車両のうち前記第1車両と同一または異なる第2車両とともに移動可能に設けられるナビゲーション装置に送信することと、
を含む処理を実行し、
前記難易度情報は、前記第1車両が走行した前記道路における、前記道路上に存在する前記雪に起因する走行の難易度を分類した難易度クラスを含み、
前記通行関連情報は、前記第1車両が走行した前記道路を撮像した道路画像情報を含み、
前記プロセッサは、
前記道路画像情報に基づいて、前記道路上に前記雪が存在する状態の通行可能な道路幅である第1の道路幅を検出し、前記第1の道路幅と、前記道路上に前記雪が存在しない状態の道路幅である第2の道路幅との比較結果に基づいて、前記第1車両が走行した前記道路の前記難易度クラスを判定する。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置は、
第2車両とともに移動可能に設けられ、サーバ装置にネットワークを介して通信可能に接続されるナビゲーション装置であって、
1つまたは複数のプロセッサと、
前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記第2車両と同一または異なる少なくとも1つ以上の第1車両が走行した道路について、前記道路上に存在する雪、または前記道路の滑りやすさの少なくともいずれか一方に起因する走行の難易度に関連する難易度情報と、前記道路の位置情報とを、前記サーバ装置から受信することと、
前記難易度情報および前記位置情報に基づいて、前記第2車両による前記道路の通行に関する通行規制を設定することと、
前記通行規制に基づいて、目的地までの前記第2車両の走行ルートを設定することと、
を含む処理を実行する。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係る車両は、前記ナビゲーション装置を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ナビゲーションシステムにおいて、実際の道路の走行難易度に応じて、適切な走行ルートを案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るナビゲーションシステムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係る車両のハードウェア構成の一例を示す概略図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係るサーバ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係るナビゲーション装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、同実施形態に係る送信側の車両の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、同実施形態に係るサーバ装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係る難易度クラスの判定処理に用いられるクラス判定用テーブルの具体例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、同実施形態に係る難易度クラスの判定処理に用いられるクラス判定用テーブルの別の具体例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、同実施形態に係る難易度クラスの判定処理に用いられるクラス判定用テーブルの別の具体例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、同実施形態に係る難易度クラスの判定処理に用いられるクラス判定用テーブルの別の具体例を示す説明図である。
【
図11】
図11は、同実施形態に係る受信側の車両とナビゲーション装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、同実施形態に係るナビゲーション装置の表示画面の一例を示す模式図である。
【
図13】
図13は、同実施形態に係るナビゲーション装置の表示画面の一例を示す模式図である。
【
図14】
図14は、同実施形態に係るナビゲーションシステムにより実行される処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料、数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
[1.ナビゲーションシステムの全体構成]
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るナビゲーションシステム100の全体構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るナビゲーションシステム100を示す概略図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係るナビゲーションシステム100は、複数の車両1A~1E(以下、「車両1」と総称する場合もある。)と、少なくとも1つのサーバ装置5とを備える。車両1とサーバ装置5は、ネットワーク7を介して相互に通信可能に接続される。
【0017】
車両1は、道路上を走行可能な自動車である。車両1は、例えば、走行用の駆動源としてエンジンが設けられたエンジン車両である。なお、車両1は、走行用の駆動源としてエンジンとモータとが設けられたハイブリッド車両であってもよいし、走行用の駆動源としてモータが設けられた電気車両であってもよい。また、本実施形態では、主に、車両1が四輪の自家用自動車である例について説明する。しかし、かかる例に限定されず、車両1は、バス、トラックもしくはタクシー等の商業用車両、または、パトカー、消防車、救急車、レッカー車、除雪車もしくは工事用車両等の特殊車両、または、自動二輪車など、各種の自動車であってもよい。
【0018】
サーバ装置5は、プログラム内蔵方式のデジタルコンピュータであり、サーバ機能を有する。サーバ装置5は、例えば、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、大型コンピュータ、マイクロコンピュータなどの各種のコンピュータ装置で構成される。
【0019】
ネットワーク7は、車両1とサーバ装置5とを通信可能に接続するための無線または有線の通信回線網である。ネットワーク7は、例えば、GPS(Global Positioning System)用などの衛星通信ネットワーク、携帯電話ネットワーク、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、その他の専用回線網などの各種のネットワークで構成される。車両1を外部装置に対して無線通信可能に接続するために、ネットワーク7の少なくとも一部は、無線ネットワークを含んでいる。ただし、ネットワーク7は、その一部に有線ネットワークを含んでいてもよい。
【0020】
車両1は、ネットワーク7を介してサーバ装置5と通信する。このために、車両1は、ネットワーク7を介して外部装置と無線または有線により通信接続可能な通信装置を備える。同様に、サーバ装置5は、ネットワーク7を介して車両1と通信する。このために、サーバ装置5は、ネットワーク7を介して外部装置と無線または有線により通信接続可能な通信装置を備える。車両1とサーバ装置5がネットワーク7を介して相互に通信することにより、複数の車両1とサーバ装置5との間で各種の情報を共有したり、サーバ装置5から全部または一部の車両1に各種の機能やサービスを提供したりすることができる。
【0021】
このように、車両1とサーバ装置5は、いわゆるクライアントサーバシステムを構成する。ユーザが搭乗、操作する車両1(クライアント)は、ユーザの入力情報や、車両1に関する情報、車両1の周辺環境に関する情報などの各種の情報をサーバ装置5(サーバ)に送信する。サーバ装置5(サーバ)は、複数の車両1(クライアント)から送信される情報を収集、蓄積、処理し、当該情報に基づいて各車両1(クライアント)に対して各種の機能や情報を配信する。
【0022】
各車両1には、当該各車両1の走行ルートを案内するためのナビゲーション装置(
図1では図示せず。)が設けられている。ナビゲーション装置は、車両1とともに移動可能に設けられる。例えば、ナビゲーション装置は、車両1に固定的に設置されてもよい。この場合、また、ナビゲーション装置は、車両1に搭載される通信装置を介してサーバ装置5に通信可能に接続されてもよい。あるいは、ナビゲーション装置は、車両1に持ち込み可能な、通信機能を有する端末装置、例えば、スマートフォン、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPCなどであってもよい。この場合、ナビゲーション装置は、車両1に搭載された通信装置を介さずに、自身の通信機能を用いて、ネットワーク7を介してサーバ装置5に通信可能に接続されてもよい。
【0023】
[2.ナビゲーションシステムの概要]
ここで、
図1を参照して、本実施形態に係るナビゲーションシステム100により提供されるナビゲーション機能の概要について説明する。各車両1には、当該各車両1(自車)の走行ルートを案内するためのナビゲーション装置(
図1では図示せず。)が搭載されている。
【0024】
本実施形態に係るナビゲーションシステム100は、例えば、各車両1が走行する道路上に存在する雪の状態や、道路の滑りやすさの状態、各車両1による積雪道路の走行性能などに応じて、各車両1の適切な走行ルートを案内することを特徴としている。なお、本明細書において、積雪道路は、雪が存在する道路を意味する。積雪道路は、例えば、雪が降り積もった道路、新雪が存在する道路、車両1の走行により踏み固められた雪が存在する道路、融けた雪が凍結した道路、除雪等により移動された雪塊等が存在する道路など、各種の状態の雪が存在する道路を含む。
【0025】
このために、各車両1(第1車両)は、自車が走行した道路上に存在する雪、または当該道路の滑りやすさの少なくともいずれか一方に関連する通行関連情報を取得する。通行関連情報は、例えば、自車が走行した道路を撮像した道路画像情報、スリップの有無を表すスリップ情報、自車による積雪道路の走行性能に関する情報等を含む。各車両1は、自車が走行した道路上に存在する雪、当該道路の滑りやすさ等に関する通行関連情報と、当該道路の位置情報とを関連付けて、サーバ装置5に送信する。
【0026】
サーバ装置5は、複数の車両1から受信した複数の道路の通行関連情報と位置情報を収集、蓄積して、道路網の各位置における積雪状態(例えば、路面状態、道路幅、積雪量など)を分析する。そして、サーバ装置5は、道路網の各位置について、道路上に存在する雪、または当該道路の滑りやすさの少なくともいずれか一方に起因する走行難易度を表す難易度情報を判定する。難易度情報は、例えば、積雪道路の走行難易度を分類した難易度クラス、および積雪道路の道路幅に関する情報を含む。ここで、難易度クラスは、複数の車両1で共用される汎用的な難易度クラスである。そして、サーバ装置5は、道路網の各位置の難易度クラスを含む難易度情報と位置情報とを関連付けて、各車両1(第2車両)に配信する。
【0027】
この結果、各車両1(第2車両)に搭載されているナビゲーション装置は、サーバ装置5から受信した汎用的な難易度クラスを含む難易度情報と、積雪道路における自車の走行性能に基づいて、自車周辺の道路網に対して自車に固有の通行規制を設定する。そして、ナビゲーション装置は、当該自車に固有の通行規制に基づいて、道路の積雪状態と自車の走行性能に合う適切な走行ルートを設定し、目的地までの走行ルートを案内する。
【0028】
このように、本実施形態に係るナビゲーションシステム100では、各車両1は、走行中の道路の通行関連情報と位置情報を、サーバ装置5にリアルタイムで送信する。そして、サーバ装置5は、道路網の各位置の難易度クラスや道路幅などを含む難易度情報と、その位置の位置情報を、各車両1にリアルタイムで配信する。
図1において、車両1A、1B、1Cは、サーバ装置5に通行関連情報と位置情報等を送信する車両(第1車両)の一例に相当する。一方、車両1D、1Eは、サーバ装置5から難易度情報と位置情報等を受信する車両(第2車両)の一例に相当する。以下では、説明の便宜上、車両1A、1B、1Cを「送信側の車両1」または「送信側の各車両1」などと称し、車両1D、1Eを「受信側の車両1」または「受信側の各車両1」などと称する場合もある。
【0029】
ただし、送信側の車両1(第1車両)も、受信側の車両1(第2車両)と同様に、サーバ装置5から難易度情報と位置情報等を受信して、難易度クラスと自車の走行性能に応じた通行規制を設定し、当該通行規制に応じて適切な走行ルートを設定する機能を有してもよい。また、受信側の車両1(第2車両)も、送信側の車両1(第1車両)と同様に、自車が走行した道路の通行関連情報と位置情報等を、サーバ装置5に送信する機能を有してもよい。つまり、複数の車両1A~1Eが、送信側の車両1および受信側の車両1の双方の機能を兼ね備えてもよい。あるいは、複数の車両1A~1Eのうち一部の車両のみが、送信側の車両1の機能、または受信側の車両1の機能を有してもよい。
【0030】
[3.車両のハードウェア構成]
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る車両1のハードウェア構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る車両1のハードウェア構成の一例を示す概略図である。
【0031】
図2に示すように、車両1は、車体11と、車室12と、車輪13と、タイヤ14と、カメラ15と、車輪速センサ16と、GPS(Global Positioning System)モジュール17と、ECU(Electronic Control Unit)2と、ナビゲーション装置3とを備える。このうち、カメラ15、車輪速センサ16、GPSモジュール17、ECU2、およびナビゲーション装置3は、例えば有線または無線により相互に通信可能に接続されている。
【0032】
カメラ15は、車両1の周辺の道路画像を撮像する撮像装置の一例である。カメラ15は、ドライバーが搭乗する車室12の前方上部に設けられ、車両1の走行中または停止中に車両1の前方の道路を撮像する。なお、カメラ15は、例えば、ドライブレコーダ、運転支援システム等に用いられるカメラと兼用されてもよいし、本実施形態に係るナビゲーションシステム100のための専用のカメラであってもよい。また、カメラ15は、動画像または静止画像のいずれを撮像してもよいが、動画像を撮像可能であることが好ましい。なお、カメラ15は、例えば、車両1の前方、後方、側方のいずれの方向の道路画像を撮像してもよいが、広い視野で道路の積雪状態を把握するためには、車両1の前方の道路画像を撮像することが好ましい。カメラ15で撮像された道路画像のデータは、例えばECU2に出力されて、必要に応じて記録媒体に記録される。
【0033】
車輪速センサ16は、積雪または凍結した道路等における車輪13のスリップを検出するスリップ検出装置の一例である。車輪速センサ16は、車輪13に装着され、車輪13の回転速度を検出する。車輪13の回転速度や車両1の走行速度等から、車輪13のスリップの有無やその度合いなどを検出することが可能である。車輪速センサ16は、前輪または後輪の一方もしくは双方に設置される。スリップを適切に検出するためには、車両1の車輪13のうち少なくとも2つの駆動輪に車輪速センサ16を設置することが好ましく、車両1の全ての車輪13、例えば、2つの前輪および2つの後輪に車輪速センサ16を設置することが、より好ましい。車輪速センサ16により検出された車輪13の回転速度は、例えばECU2に出力されて、必要に応じてメモリに記録される。
【0034】
GPSモジュール17は、車両1の位置を検出する位置検出装置の一例である。GPSモジュール17により、車両1の位置を検出することにより、上記カメラ15で撮像される道路の位置や、上記車輪速センサ16により検出されるスリップが生じた道路の位置などを検出することができる。GPSモジュール17により検出された車両1の位置、即ち、道路の位置を表す位置情報は、例えばECU2に出力されて、必要に応じてメモリに記録される。位置情報は、例えば、緯度および経度情報を含む。
【0035】
ECU2は、車両1に搭載される各種の装置を制御する制御装置の一例である。ECU2は、車両1に搭載される各種の装置を電子的に制御するマイクロコントローラで構成される。本実施形態において、ECU2は、車両1による積雪道路の走行時に検出される通行関連情報を収集する情報収集装置の一例である。ECU2は、車両1に搭載される各種の検出装置(例えば、上記のカメラ15および車輪速センサ16等)により検出される情報に基づいて、通行関連情報を収集する。
【0036】
ECU2は、車両1内に設けられる各装置、例えば、制御装置、車載電子機器等と通信する機能を有する。ECU2は、当該各装置との間で各種の情報を送信および受信する。ECU2と各装置との間の通信方式としては、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いてもよい。また、ECU2は、サーバ装置5等の外部装置と通信する通信装置としても機能する。ECU2は、無線通信装置を備えており、サーバ装置5等の外部装置との間で、各種の情報を送信または受信する。例えば、ECU2は、自車内で収集した通行関連情報と位置情報を、サーバ装置5に送信する。
【0037】
ナビゲーション装置3は、車両1の走行ルートを案内するナビゲーション装置の一例である。ナビゲーション装置3は、例えば、車室12の前方のフロントパネルに設置される。ナビゲーション装置3は、走行ルートの案内に用いる地図画像等の各種画像を表示する表示装置として機能する。また、ナビゲーション装置3は、例えば、タッチパネルまたは入力キー等を備えており、ドライバーによる入力操作を受け付ける入力装置としても機能する。例えば、ドライバーは、ナビゲーション装置3の入力機能を用いて、通行関連情報として、例えば、車両1の車輪13に装着されているタイヤ14の種別に関するタイヤ情報を入力することができる。ドライバーにより入力されたタイヤ情報等の通行関連情報は、例えばECU2に出力されて、必要に応じて記録媒体に記録される。
【0038】
なお、本実施形態に係るナビゲーション装置3は、
図2に示すように、車両1のフロントパネルに対して固定的に装着されており、携帯用途ではない。しかし、かかる例に限定されず、ナビゲーション装置3は、上述したように、ドライバーにより車両1内に持ち込まれるスマートフォン等の端末装置に、ナビゲーション機能を有するアプリケーションをインストールしたものであってもよい。つまり、ナビゲーション装置3は、案内対象の車両1の走行時に、当該車両1とともに移動可能であり、車両1の現在位置と走行ルートをドライバーに提示できる装置であれば、他の種々の電子機器であってもよい。
【0039】
[4.サーバ装置のハードウェア構成]
次に、
図3を参照して、本実施形態に係るサーバ装置5のハードウェア構成について説明する。
図3は、本実施形態に係るサーバ装置5のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0040】
図3に示すように、サーバ装置5は、プロセッサ51と、メモリ52と、ストレージ53と、通信装置54と、入力装置55と、出力装置56と、バス57とを備える。
【0041】
プロセッサ51は、コンピュータに搭載される演算処理装置である。プロセッサ51は、例えば、CPU(Central Processing Unit)で構成されるが、その他のマイクロプロセッサで構成されてもよい。また、プロセッサ51は、1つまたは複数のプロセッサで構成されてもよい。プロセッサ51は、メモリ52または他の記憶媒体に記憶されているプログラムを実行することにより、サーバ装置5における各種の処理が実行される。
【0042】
プログラムは、コンピュータにより実行される命令を含むコンピュータプログラムである。なお、プログラムは、例えば、外部装置から通信ネットワークを通じた配信により、サーバ装置5に提供されてもよい。また、プログラムは、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記録媒体(non transitory computer readable medium)を介して、サーバ装置5に提供されてもよい。サーバ装置5にプログラムをインストールすることにより、サーバ装置5は、当該プログラムにより定められた各種の機能を実現可能になる。
【0043】
メモリ52は、プログラムおよびその他の各種データを記憶する記憶媒体である。メモリ52は、例えば、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などを有する。ROMは、プロセッサ51が使用するプログラム、およびプログラムを動作させるためのデータ等を記憶する不揮発性メモリである。RAMは、プロセッサ51により実行される処理に用いられる変数、演算パラメータ、演算結果等のデータを一時記憶する揮発性メモリである。ROMに記憶されたプログラムは、RAMに読み出され、CPUなどのプロセッサ51により実行される。
【0044】
ストレージ53は、各種の情報、データを保存するための記憶装置である。ストレージ53は、例えば、半導体メモリ、ハードディスク、光ディスクなどの記録媒体と、当該記録媒体からデータを読み出す、または当該記録媒体に書き込むドライブとを有する。ストレージ53は、メモリ52と比べて大容量のデータを保存することができる。ストレージ53は、サーバ装置5に内蔵される内部ストレージであってもよいし、サーバ装置5の外部入出力用端子を介して接続される外部ストレージであってもよい。また、ストレージ53は、通信ネットワークを介して接続されるオンラインストレージであってもよい。
【0045】
通信装置54は、サーバ装置5に対して有線または無線により接続された外部装置と通信するためのデバイスである。通信装置54は、予め定められたプロトコルに従って、外部装置と通信接続を確立させて、外部装置との間で各種の情報、データを送信および受信する。
【0046】
入力装置55は、ユーザがサーバ装置5に情報を入力するために用いられる装置である。入力装置55は、例えば、タッチセンサ、キーボード、キーパッド、マウス、リモートコントローラ、ボタン、スイッチまたはダイヤルなどを含む。入力装置55は、マイクロフォン、音声認識モジュールなどの音声入力用の入力装置を含んでもよい。また、入力装置55は、サーバ装置5を遠隔操作するためのユーザ入力をリモートデバイスから受信する遠隔制御モジュールを含んでもよい。入力装置55は、ユーザによる入力操作を受け付けると、当該入力操作に応じた入力信号をプロセッサ51に送信する。
【0047】
出力装置56は、サーバ装置5の外部に情報、データを出力するための装置である。出力装置56は、テキスト、図形、画像等の情報を表示する表示装置と、音声を出力する音声出力装置とを含む。表示装置は、表示画面を有するディスプレイと、画像表示モジュールとを備える。ディスプレイは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ(OLED)、またはブラウン管(CRT)などであってもよい。また、表示装置は、表示画面にタッチセンサが設けられたタッチパネルであってもよい。音声出力装置は、スピーカと、音声出力モジュールとを備える。
【0048】
バス57は、上記のプロセッサ51、メモリ52、ストレージ53、通信装置54、入力装置55および出力装置56を相互に接続する。これにより、これらのデバイス間で各種の情報、データを送信および受信することができる。
【0049】
[5.ナビゲーション装置、ECUのハードウェア構成]
次に、
図4を参照して、本実施形態に係るナビゲーション装置3のハードウェア構成について説明する。
図4は、本実施形態に係るナビゲーション装置3のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0050】
図4に示すように、ナビゲーション装置3は、プロセッサ31と、メモリ32と、ストレージ33と、通信装置34と、入力装置35と、出力装置36と、バス37とを備える。
【0051】
ここで、ナビゲーション装置3(
図4参照。)のプロセッサ31、メモリ32、ストレージ33、通信装置34、入力装置35、出力装置36およびバス37は、上述したサーバ装置5(
図3参照。)のプロセッサ51、メモリ52、ストレージ53、通信装置54、入力装置55、出力装置56およびバス57と実質的に同一の構成および機能を有する。したがって、ナビゲーション装置3のハードウェア構成の各装置の詳細説明を省略する。
【0052】
また、上述した車両1に搭載されるECU2(
図2参照。)は、上述したサーバ装置5(
図3参照。)と同様なハードウェア構成を有してもよい。したがって、ECU2のハードウェア構成の各装置の詳細説明と図示を省略する。
【0053】
なお、本実施形態では、ナビゲーション装置3が、ECU2に内蔵される通信装置(図示せず。)を介して間接的に、サーバ装置5と通信する例について説明する。しかし、かかる例に限定されず、例えば、ナビゲーション装置3は、当該ナビゲーション装置3に内蔵される通信装置34を用いて、ECU2を介さずに直接的にサーバ装置5と通信してもよい。
【0054】
また、本実施形態では、ECU2に専用の入力装置を設けずに、ECU2に接続されたナビゲーション装置3の入力装置35を用いて、ドライバーがECU2に対して情報を入力する例について説明する。しかし、かかる例に限定されず、例えば、ECU2に専用の入力装置を設けて、ドライバーがECU2に対して直接的に情報を入力するようにしてもよい。また、本実施形態に係るナビゲーション機能に関する車両1側の処理の全てを、ナビゲーション装置3で実行するようにし、ECU2で当該処理を分担しないようにしてもよい。
【0055】
[6.送信側の車両の機能構成]
次に、
図5を参照して、本実施形態に係る送信側の車両1A、1B、1C(第1車両)の機能構成について説明する。
図5は、本実施形態に係る送信側の車両1の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0056】
図5に示すように、送信側の車両1は、当該車両1が走行した道路の積雪や滑りやすさに関連する通行関連情報と、当該道路の位置情報とを、サーバ装置5に送信する。送信側の車両1は、検出部202と、情報収集部204と、記憶部206と、送信部208とを備える。
【0057】
検出部202は、車両1が走行している道路における積雪の有無を検出する。例えば、検出部202は、カメラ15により撮像される道路画像のデータを解析して、道路画像の輝度分布を求めることにより、当該輝度分布から道路上の積雪の有無を検出する。道路画像に、高輝度の白い積雪が含まれる場合、道路画像おける積雪部分の輝度値が高くなる。検出部202は、積雪を検出した場合、情報収集部204に対して、通行関連情報を取得してサーバ装置5へ送信するように指示する。
【0058】
情報収集部204は、車両1内の各部から、車両1が走行した道路の積雪や滑りやすさに関連する通行関連情報を取得および収集する。また、情報収集部204は、例えば、上記GPSモジュール17から、当該道路の位置情報を取得する。そして、情報収集部204は、収集した通行関連情報と位置情報とを関連付けて、記憶部206に保存する。記憶部206は、通行関連情報と位置情報とを関連付けて記憶する。送信部208は、通行関連情報と位置情報を関連付けて、サーバ装置5に送信する。
【0059】
情報収集部204は、車両1の走行中に、現在走行している道路の積雪や滑りやすさに関する通行関連情報と、当該道路の位置情報をリアルタイムで取得して、送信部208によりサーバ装置5にリアルタイムで送信してもよい。あるいは、情報収集部204は、当該通行関連情報と位置情報を、記憶部206に一時的に保存しておいてもよい。そして、情報収集部204は、記憶部206に保存されている過去の通行関連情報と位置情報を取得し、送信部208によりサーバ装置5に事後的に送信してもよい。
【0060】
ここで、通行関連情報について説明する。通行関連情報は、道路上に存在する雪または当該道路の滑りやすさに関する各種の情報である。道路上に存在する雪は、例えば、道路に降り積もった雪、除雪により道路上に積み上げられた雪塊などを含む。道路の滑りやすさは、例えば、路面の凍結または積雪等に起因する道路の滑りやすさであり道路上を走行する車両1のスリップのしやすさに相当する。通行関連情報は、積雪道路の走行難易度を表す難易度クラスを判定するために用いられる。なお、難易度クラスの詳細は後述する。
【0061】
通行関連情報は、例えば、次に説明するような(1)道路画像情報、(2)スリップ情報、(3)タイヤ情報、および(4)駆動方式情報などを含む。
【0062】
(1)道路画像情報
道路画像情報は、車両1が走行した道路を撮像した道路画像を表す情報である。道路画像情報は、動画像であることが好ましいが、静止画像であってもよい。車両1が走行した道路が積雪道路(雪道)であれば、撮像された道路画像は、積雪道路の画像となる。このため、当該積雪道路の道路画像を解析することにより、積雪道路の積雪状態を検出することができる。
【0063】
積雪状態は、道路上に存在する雪の状態である。積雪状態は、例えば、道路の路面状態、通行可能な道路幅などを含む。路面状態は、例えば、道路上に存在する雪の有無、積雪量、積雪道路に形成された轍の有無、溝幅、溝深さ等を含む。轍は、他の車両1が積雪道路上を通行した跡である。積雪道路の積雪状態が悪くなれば、積雪道路の走行難易度は高くなる。したがって、実際の積雪道路を撮像した道路画像情報を分析して、積雪状態を把握できれば、当該積雪状態から積雪道路の走行難易度を判定することができる。
【0064】
例えば、道路上に雪が存在する場合は、雪が存在しない場合よりも、道路の走行難易度が高くなる。また、積雪量が多い場合は、積雪量が少ない場合よりも、道路の走行難易度が高くなる。さらに、積雪道路に轍が形成されている場合は、轍が形成されていない場合よりも、道路の走行難易度が低くなる。
【0065】
また、積雪道路が除雪された場合には、道路の両側に除雪された雪が雪壁となって積み上がっている場合がある。この場合、道路上に雪が存在しないときと比べて、車両1が通行可能な道路幅が狭くなる。例えば、非積雪時には片側二車線である道路が、積雪時には雪壁により片側一車線、または両側一車線になってしまう場合がある。このように積雪と除雪により積雪道路の道路幅が狭くなったときには、当該積雪道路の走行難易度が高くなる。
【0066】
(2)スリップ情報
スリップ情報は、道路の走行時における車両1のスリップの有無、度合い、回数、頻度等を表す情報である。スリップは、例えば、積雪道路上でタイヤ14が滑って車両1が縦ずれ、横ずれする状態や、車輪13が空転する状態だけでなく、積雪道路上でタイヤ14が轍等の凹部に嵌って空転し、車両1がスタックする状態を含んでもよい。積雪道路上で車両1がスリップする頻度が高くなれば、積雪道路の走行難易度は高くなる。したがって、積雪道路の走行中に実際にスリップした車両1のスリップ情報から、当該積雪道路の走行難易度を判定することができる。
【0067】
(3)タイヤ情報
タイヤ情報は、車両1に装着されたタイヤ14の種別を表す情報である。積雪道路での走行に適した積雪対応タイヤ(冬用タイヤ)として、例えば、スタッドレスタイヤ、スパイクタイヤ、チェーンが装着されたタイヤなどがある。車両1に装着されたタイヤ14が、積雪対応タイヤであれば、積雪道路の走行難易度が低下する。一方、車両1に装着されたタイヤ14が、積雪非対応タイヤ、例えばノーマルタイヤであれば、積雪道路の走行難易度が高くなる。したがって、積雪道路の走行中に実際にスリップした車両1のタイヤ情報から、当該積雪道路の走行難易度を判定することができる。
【0068】
(4)駆動方式情報
駆動方式情報は、車両1に設けられた複数の車輪13の駆動方式を表す情報である。車輪13の駆動方式としては、例えば、四輪駆動(4WD)と二輪駆動(2WD)がある。さらに、二輪駆動の駆動方式として、前輪駆動(FF)と後輪駆動(FR)がある。一般に、4WDは2WDよりも積雪道路での走行性能に優れており、FFはFRよりも積雪道路での走行性能に優れている。したがって、積雪道路の走行中に実際にスリップした車両1の駆動方式情報から、当該積雪道路の走行難易度を判定することができる。
【0069】
本実施形態に係る通行関連情報は、例えば、上記の(1)道路画像情報、(2)スリップ情報、(3)タイヤ情報および(4)駆動方式情報を含む。これにより、多種類の通行関連情報に基づいて、難易度クラスを高精度で判定可能になる。しかし、通行関連情報は、これら4つの情報のうち少なくとも1つを含めばよい。また、通行関連情報は、次のように他の情報を含んでもよい。
【0070】
(5)その他の情報
車両1で取得可能なその他の通行関連情報としては、例えば、車両1に搭載された赤外線センサ、超音波センサ、レーダー装置等により検出される前方環境情報、測距情報や、温度センサにより検出される外気温の情報などがある。このように車両1に搭載された各種のセンサにより検出される情報も、上記(1)~(4)の情報とともに通行関連情報として収集して、サーバ装置5に送信してもよい。
【0071】
以上、通行関連情報の具体例について説明した。(1)道路画像情報は、上述したカメラ15により取得可能である。カメラ15で撮像された道路画像のデータは、情報収集部204に入力される。情報収集部204は、当該道路画像のデータを含む道路画像情報を、通行関連情報の1つとして収集し、道路画像が撮像された道路の各位置を表す位置情報と関連付ける。
【0072】
(2)スリップ情報は、上述した車輪速センサ16により検出された複数の車輪13の車輪回転速度と、不図示の車速センサにより検出された車両1の走行速度(車速)とから、求めることが可能である。各車輪13の車輪回転速度と車速はそれぞれ、車輪速センサ16、車速センサから情報収集部204に入力される。情報収集部204は、各車輪13の車輪回転速度と車速から、車両1がスリップしたか否かを判定する。
【0073】
例えば、一部の車輪13の車輪回転速度が過度に大きい場合や、左右または前後の車輪13の車輪回転速度の差が閾値以上である場合、車輪回転速度から推定される車速と実際の車速との差が閾値以上である場合などには、スリップが発生したと判定することができる。スリップが発生したと判定された場合、情報収集部204は、当該スリップの発生を表す識別情報を含むスリップ情報を作成する。そして、情報収集部204は、スリップ情報を通行関連情報の1つとして収集し、スリップ発生時に走行した道路の位置情報と関連付ける。
【0074】
なお、本実施形態では、車両1の情報収集部204が、車輪回転速度と車速からスリップ情報を作成しているが、かかる例に限定されない。例えば、スリップ情報の作成主体は、サーバ装置5であってもよい。この場合、車両1は、車輪回転速度と車速の情報を通行関連情報としてサーバ装置5に送信し、サーバ装置5は、当該通行関連情報に含まれる車輪回転速度と車速から、スリップ情報を作成してもよい。
【0075】
(3)タイヤ情報は、例えば、ドライバーの入力操作によって取得可能である。具体的には、ドライバーは、車両1に設けられる入力装置、例えば、ナビゲーション装置3のタッチパネルに対して、車両1に装着されているタイヤ14の種別を入力することができる。ドライバーにより入力されたタイヤ情報は、ナビゲーション装置3からECU2の情報収集部204に入力される。情報収集部204は、当該タイヤ情報を通行関連情報の1つとして収集する。
【0076】
(4)駆動方式情報は、例えば、ECU2の記憶部206等のメモリに保存されている車両情報から自動的に取得されてもよいし、または、ナビゲーション装置3に対するドライバーの入力操作によって取得されてもよい。駆動方式情報は、メモリまたはナビゲーション装置3などから情報収集部204に入力される。情報収集部204は、当該駆動方式情報を通行関連情報の1つとして収集する。
【0077】
また、道路の位置情報は、車両1の位置を検出する位置検出装置、例えば、GPSモジュール17から取得することができる。車両1が積雪道路を走行しているときは常時、GPSモジュール17は、車両1が走行している道路の位置を計測している。GPSモジュール17で計測される位置情報は、情報収集部204に入力される。情報収集部204は、上述した各種の通行関連情報に対して、道路の位置情報を関連付ける。なお、位置情報は、その位置における道路上に雪が存在しない状態の道路幅(後述する非積雪道路幅W2)の情報を含んでもよい。
【0078】
以上のようにして、情報収集部204は、車両1の各部で検出または取得される情報から、各種の通行関連情報を収集する、送信部208は、上記の道路画像情報、スリップ情報、タイヤ情報および駆動方式情報等を含む通行関連情報と、当該通行関連情報に対応する道路の位置情報とを関連付けて、サーバ装置5に送信する。
【0079】
なお、
図5に示す例では、送信側の車両1のECU2が、上記の検出部202、情報収集部204、記憶部206および送信部208を備えていたが、かかる例に限定されない。送信側の車両1のナビゲーション装置3またはその他の車載電子機器が、上記の検出部202、情報収集部204、記憶部206および送信部208のうちの一部または全部を備えてもよい。
【0080】
[7.サーバ
装置の機能構成]
次に、
図6を参照して、本実施形態に係るサーバ装置5の機能構成について説明する。
図6は、本実施形態に係るサーバ装置5の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0081】
図6に示すように、サーバ装置5は、上述した複数の送信側の車両1A、1B、1Cから受信した通行関連情報と位置情報から、道路の各位置の走行難易度を表す難易度情報を生成する。そして、サーバ装置5は、道路の各位置の難易度情報と位置情報を、複数の受信側の車両1D、1Eに配信する。サーバ装置5は、受信部502と、記憶部504と、分析部506と、クラス判定部508と、送信部510とを備える。
【0082】
受信部502は、各車両1から、当該各車両が走行した道路の積雪に関連する通行関連情報と、当該道路の位置情報とを受信する。受信部502は、受信した通行関連情報と位置情報とを関連付けて、記憶部504に保存する。記憶部504は、道路の各位置の通行関連情報と位置情報とを関連付けて記憶する。
【0083】
分析部506は、道路の各位置の通行関連情報をリアルタイムまたは事後的に分析して、道路の各位置の積雪状態、道路幅状態、スリップ状態を分類する。分析対象の通行関連情報は、受信部502により受信された現在の通行関連情報であってもよいし、記憶部504に保存された過去の通行関連情報であってもよい。
【0084】
(A)積雪状態の分類
分析部506は、通行関連情報に含まれる道路画像情報を分析して、道路の各位置の積雪状態を分類する。上述したように、積雪状態は、例えば、道路の路面状態、通行可能な道路幅などを含む。路面状態は、例えば、道路上に存在する雪の有無、積雪道路に形成された轍の有無等を含む。本実施形態では、路面状態の分類として、例えば、「積雪なし」、「積雪あり、轍あり」、「積雪あり、轍なし」などの分類を用いる例について説明する。しかし、かかる例に限定されず、路面状態の分類として、例えば、「新雪あり」、「凍結雪あり」、「路面が見える轍あり」、「路面が見えない轍あり」など、積雪の雪質や轍の種類をさらに細かく分類してもよい。
【0085】
分析部506は、道路画像情報に含まれる道路画像のデータを解析し、道路画像の輝度分布等の解析結果に基づいて、道路上における積雪の有無、轍の有無等の路面状態を分析、判定する。かかる路面状態の判定方法としては、例えば、公知の画像解析技術を利用することができる。
【0086】
路面状態のうち、積雪の有無の判定方法としては、例えば、特開2005-084959号公報等に記載の雪路判定技術を用いることができる。かかる公知の画像解析技術等を利用すれば、撮像された道路画像の所定領域の輝度分布と、予め設定された輝度分布パターンとを比較し、当該比較結果に基づいて、道路上の積雪の有無を判定することができる。
【0087】
また、路面状態のうち、轍の有無の判定方法としては、例えば、特開2014-184747号公報、特開2016-172500号公報等に記載の轍検出技術を用いることができる。かかる公知の画像解析技術等を利用すれば、撮像された道路画像の画像解析結果や、レーダー装置または超音波センサ等による前方走査結果などに基づいて、道路上の轍の有無を判定することができる。
【0088】
また、通行可能な道路幅の判定方法としては、例えば、特開2020-187593号公報等に記載の道路幅検出技術を用いることができる。かかる公知の画像解析技術等を利用すれば、撮像された道路画像の解析結果や、周辺監視センサによる検出結果などに基づいて、積雪道路の走行車線の左右の境界を認識して、積雪道路の道路幅を判定することができる。
【0089】
(B)道路幅状態の分類
分析部506は、道路画像情報を分析することにより、道路に積雪が存在する状態の通行可能な道路幅W1(以下、「積雪道路幅W1」という。)を検出する。さらに、分析部506は、同一の道路に雪が存在しない状態の通行可能な道路幅W2(以下、「非積雪道路幅W2」という。)を取得する。例えば、分析部506は、送信側の車両1から受信した位置情報に含まれる非積雪道路幅W2を取得してもよい。あるいは、分析部506は、一般的なナビゲーションシステムで使用される地図情報から、各道路の非積雪道路幅W2を取得してもよい。あるいは、分析部506は、過去に撮像された非積雪時の道路画像情報を分析することにより、非積雪道路幅W2を取得してもよい。
【0090】
そして、分析部506は、積雪道路幅W1と非積雪道路幅W2とを比較し、当該比較結果に基づいて、積雪による道路幅状態を分類する。例えば、非積雪道路幅W2に対する積雪道路幅W1の比率(W1/W2)が所定の閾値以下(例えば、0.5以下)である場合には、道路幅状態が「通行に支障あり」であると判定する。一方、当該比率(W1/W2)が所定の閾値より大きい場合には、道路幅状態が「通行に支障なし」であると判定する。なお、本実施形態では、例えば、道路幅状態を2段階で分類するが、3段階以上(例えば、「通行に支障あり」、「通行にやや支障あり」、「通行に支障なし」など)で分類してもよい。
【0091】
(C)スリップ状態の分類
分析部506は、通行関連情報に含まれるスリップ情報、タイヤ情報および駆動方式情報を分析して、道路の各位置のスリップ状態を分類する。スリップ状態は、積雪道路上で車両1が実際にスリップしたときの状態を示す分類である。例えば、スリップ状態は、スリップの有無による分類であってもよい。あるいは、スリップ状態は、スリップの有無だけではなく、スリップした車両1のタイヤ14の種別、駆動方式等にも基づいて、分類されてもよい。
【0092】
本実施形態では、スリップ状態の分類として、例えば、スリップした車両1のタイヤ14の種別に応じて、「ノーマルタイヤ」、「冬用タイヤ」などの分類を用い、スリップした車両1の車輪13の駆動方式に応じて、「二輪駆動(FR、FF)」、「四輪駆動(4WD)」などの分類を用いる例について説明する。
【0093】
クラス判定部508は、各車両1から受信した通行関連情報と、道路の位置情報とに基づいて、各車両1が走行した道路について、道路上に存在する雪に起因する走行の難易度を分類した難易度クラスを判定する。具体的には、クラス判定部508は、分析部506により分類された積雪状態の分類や、スリップ状態の分類に基づいて、道路の各位置の難易度クラスを判定する。クラス判定部508は、判定した難易度クラス等を含む難易度情報を生成する。
【0094】
ここで、
図7~
図10を参照して、上記クラス判定部508による難易度クラスの判定処理の具体例について説明する。
図7~
図10は、本実施形態に係る難易度クラスの判定処理に用いられるクラス判定用テーブルの具体例を示す説明図である。
【0095】
クラス判定部508は、予め設定されたクラス判定基準に基づいて、上記分析部506により求めた(A)積雪状態の分類や、(B)道路幅の分類、(C)スリップ状態の分類から、道路の各位置の難易度クラスを判定する。クラス判定基準としては、例えば、
図7~
図10に示すクラス判定用テーブルを用いることができる。
【0096】
記憶部504には、複数種類のクラス判定用テーブルが予め記憶されている。
図7~
図10に示すように、クラス判定用テーブルは、難易度クラスの判定基準と、難易度クラスの識別情報とを対応付けたテーブルである。難易度クラスの判定基準は、上述した(A)路面状態の分類、(B)道路幅状態の分類、(C)スリップ状態の分類などである。難易度クラスの識別情報は、複数段階で設定される難易度クラスを識別するための情報であり、例えば、「0」~「5」等のクラス値である。
【0097】
(1)積雪状態に応じたクラス判定
図7は、難易度クラスの判定基準として路面状態の分類を用いる場合のクラス判定用テーブルを示す。
図7に示すクラス判定用テーブルでは、路面状態の分類として、「積雪なし」、「積雪あり、轍あり」、「積雪あり、轍なし」という3つの分類が設定されている。これら3つの路面状態の分類ごとに、難易度クラスが設定される。例えば、路面状態の分類が「積雪なし」である場合には、難易度クラスとして、最も低い走行難易度を表すクラス値「0」が設定される。一方、路面状態の分類が「積雪あり、轍なし」である場合には、難易度クラスとして、比較的高い走行難易度を表すクラス値「
2」が設定される。
【0098】
クラス判定部508は、
図7に示すクラス判定用テーブルを用いて、道路の路面状態に応じて、当該道路の難易度クラスを判定する。これにより、道路の路面状態が悪いほど、当該道路に対して、走行難易度が高い難易度クラスを設定することができる。例えば、道路上に雪が存在する場合は、雪が存在しない場合よりも、当該道路の難易度クラスは高いクラスに設定される。また、積雪道路に轍が形成されていない場合は、轍が形成されている場合よりも、当該積雪道路の難易度クラスは高いクラスに設定される。これにより、道路上の雪や轍の有無などの路面状態に応じて、適切な難易度クラスを設定することができる。なお、路面状態以外にも、例えば、積雪量、雪質、路面凍結状態、天候または外気温などに応じて、難易度クラスを設定してもよい。
【0099】
(2)道路幅状態に応じたクラス判定
クラス判定部508は、道路上に存在する雪により狭くなった道路幅に応じて、道路の難易度クラスを判定してもよい。上述したように、道路上における積雪と除雪により積雪道路の道路幅(積雪道路幅W1)が、積雪前の元の道路幅(非積雪道路幅W2)よりも狭くなった場合には、当該積雪道路の走行難易度が高くなる。そこで、クラス判定部508は、積雪道路幅W1が狭いほど、高い難易度クラスとなるように、難易度クラスを判定する。
【0100】
図8は、難易度クラスの判定基準として道路幅状態の分類を用いる場合のクラス判定用テーブルを示す。
図8に示すクラス判定用テーブルでは、道路幅状態の分類として、「通行に支障なし」、「通行に支障あり」という2つの分類が設定されている。これら2つの道路幅状態の分類ごとに、難易度クラスが設定される。例えば、道路幅状態の分類が「通行に支障なし」である場合には、難易度クラスとして、比較的低い走行難易度を表すクラス値「1」が設定される。一方、道路幅状態の分類が「通行に支障あり」である場合には、難易度クラスとして、比較的高い走行難易度を表すクラス値「3」が設定される。
【0101】
クラス判定部508は、
図8に示すクラス判定用テーブルを用いて、上記分析部506により分類された道路幅状態の分類に応じて、当該道路の難易度クラスを判定する。これにより、クラス判定部508は、道路幅状態に応じて適切な難易度クラスを設定することができる。上記のように、道路幅状態は、積雪道路幅W1と非積雪道路幅W2の比較結果に基づいて、2段階(「通行に支障あり」、「通行に支障なし」)で分類されている。このため、クラス判定部508は、積雪道路幅W1と非積雪道路幅W2の比較結果に基づいて、難易度クラスを判定することができる。
【0102】
(3)スリップ状態に応じたクラス判定
図9は、難易度クラスの判定基準としてスリップ状態の分類を用いる場合のクラス判定用テーブルを示す。
図9に示すクラス判定用テーブルでは、スリップ状態の分類として、スリップした車両1のタイヤ14の種別の分類と、車輪13の駆動方式の分類に応じて、合計6つの分類が設定されている。具体的には、タイヤ14の種別の分類として、「ノーマルタイヤ」、「冬用タイヤ」という2つの分類が設定されている。さらに、駆動方式の分類として、「FR」、「FF」、「4WD」という3つの分類が設定されている。
【0103】
かかる6つのスリップ状態の分類ごとに、難易度クラスが設定される。例えば、タイヤ14の種別が「ノーマルタイヤ」であり、かつ、駆動方式が「FR」または「FF」である場合には、難易度クラスとして、比較的低い走行難易度を表すクラス値「1」が設定されている。一方、タイヤ14の種別が「冬用タイヤ」であり、かつ、駆動方式が「4WD」である場合には、難易度クラスとして、比較的高い走行難易度を表すクラス値「4」が設定されている。
【0104】
クラス判定部508は、
図9に示すクラス判定用テーブルを用いて、スリップ状態に応じて、スリップが発生した道路の難易度クラスを判定する。具体的には、クラス判定部508は、スリップした車両1のタイヤ14の種別と、スリップした車両1の駆動方式に応じて、スリップが発生した道路の難易度クラスを判定する。これにより、スリップした車両1が積雪対応タイヤや、積雪に強い駆動方式を備えていたにも関わらず、スリップが発生した道路については、高い難易度クラスが設定される。これとは逆に、スリップした車両1が積雪非対応タイヤや、積雪に弱い駆動方式を備えていたから、スリップが発生した道路については、低い難易度クラスが設定される。
【0105】
例えば、冬用タイヤが装着された車両1がスリップした場合には、ノーマルタイヤが装着された車両1がスリップした場合よりも、高い難易度クラスが設定される。また、四輪駆動方式の車両1がスリップした場合には、二輪駆動方式の車両1がスリップした場合よりも、高い難易度クラスが設定される。これにより、スリップが発生しやすい道路の難易度クラスが高くなるように、適切な難易度クラスを設定することができる。
【0106】
(4)路面状態およびスリップ状態に応じたクラス判定
図10は、難易度クラスの判定基準として路面状態およびスリップ状態の分類を用いる場合のクラス判定用テーブルを示す。
図10に示すクラス判定用テーブルでは、上述した路面状態の3つの分類(
図7参照。)と、スリップ状態の6つの分類(
図9参照。)とを組み合わせた分類が設定されている。これら3つの路面状態の分類と、6つのスリップ状態の分類ごとに、難易度クラスが設定される。例えば、路面状態の分類が「積雪なし」である場合には、難易度クラスとして、最も低い走行難易度を表すクラス値「0」が設定される。一方、路面状態の分類が「積雪あり、轍なし」であり、かつ、タイヤ14の種別が「冬用タイヤ」であり、かつ、駆動方式が「4WD」である場合には、難易度クラスとして、最も高い走行難易度を表すクラス値「5」が設定される。
【0107】
クラス判定部508は、
図10に示すクラス判定用テーブルを用いて、路面状態およびスリップ状態に応じて、スリップが発生した道路の難易度クラスを判定する。これにより、道路の路面状態が悪いほど難易度クラスが高くなり、かつ、スリップが発生しやすい道路ほど難易度クラスが高くなるように、適切な難易度クラスを設定することができる。
【0108】
以上、クラス判定部508による難易度クラスの判定処理の具体例について説明した。クラス判定部508は、判定した道路の各位置の難易度クラスを、道路の各位置の位置情報と関連付けて、記憶部504に保存する。
【0109】
送信部510は、記憶部504に保存されている、道路の各位置の難易度クラスを含む難易度情報と位置情報とを関連付けて、受信側の車両1D、1Eに送信する。送信部510は、クラス判定部508により判定された難易度クラスと位置情報を、リアルタイムで受信側の車両1D、1Eに送信してもよい。あるいは、送信部510は、記憶部504に保存されている難易度クラスと位置情報を、定期的または不定期に受信側の車両1D、1Eに送信してもよい。なお、受信側の車両1D、1Eに送信する難易度情報には、当該位置情報が表す位置における道路幅に関する情報(例えば、上記の積雪道路幅W1、非積雪道路幅W2)を含んでもよい。
【0110】
以上、本実施形態に係るサーバ装置5の機能構成について説明した。本実施形態では、サーバ装置5が難易度クラスの判定処理を行うが、かかる例に限定されない。例えば、送信側の車両1A、1B、1Cが、サーバ装置5の替わりに、難易度クラスの判定処理を行ってもよい。つまり、送信側の車両1A、1B、1Cが、サーバ装置5の替わりに、
図6に示す分析部506と、クラス判定部508とを備えてもよい。
【0111】
この場合、車両1A、1B、1Cの分析部506が、自車内で収集した道路画像情報、スリップ情報、タイヤ情報、駆動方式情報などに基づいて、上記の路面状態、道路幅状態、スリップ状態などを分類してもよい。さらに、車両1A、1B、1Cのクラス判定部508が、これら状態の分類に応じて、走行中の道路の難易度クラスを判定してもよい。そして、車両1A、1B、1Cの送信部208は、判定した難易度クラスを含む通行関連情報と位置情報をサーバ装置5に送信してもよい。この結果、サーバ装置5は、送信側の各車両1A、1B、1Cから受信した通行関連情報に含まれる難易度クラスと位置情報を収集し、当該難易度クラスを含む難易度情報と位置情報を、受信側の各車両1D、1Eに送信してもよい。かかる構成によっても、上述したサーバ装置5と同様に、難易度クラスを判定し、難易度クラスと位置情報を受信側の各車両1D、1Eに配信することが可能である。
【0112】
[8.受信側の車両とナビゲーション装置の機能構成]
次に、
図11~
図13を参照して、本実施形態に係る受信側の車両1D、1E(第2車両)とナビゲーション装置3の機能構成について説明する。
図11は、本実施形態に係る受信側の車両1とナビゲーション装置3の機能構成の一例を示すブロック図である。
図12、
図13は、本実施形態に係るナビゲーション装置3の表示画面の一例を示す模式図である。
【0113】
図11に示すように、受信側の車両1は、車両情報記憶部210と、受信部212と、難易度クラス取得部302と、車両情報取得部304と、通行規制設定部306と、記憶部308と、ルート設定部310と、表示部312とを備える。このうち、上記のECU2は、車両情報記憶部210と、受信部212を備える。ナビゲーション装置3は、難易度クラス取得部302と、車両情報取得部304と、通行規制設定部306と、記憶部308と、ルート設定部310と、表示部312とを備える。しかし、かかる例に限定されず、ナビゲーション装置3は、例えば、車両情報記憶部210または受信部212のいずれか一方もしくは双方を備えてもよい。
【0114】
車両情報記憶部210は、受信側の車両1の積雪道路の走行性能に関する車両情報を記憶する。車両情報は、例えば、受信側の車両1の車幅、当該車両1に装着されたタイヤ14の種別、および当該車両1の車輪13の駆動方式に関する情報を含む。なお、車両情報は、当該車両1に関するその他各種の情報、例えば、車種、排気量、車両1の製造時期、タイヤ14の使用年数や劣化度合いなどを含んでもよい。
【0115】
受信部212は、サーバ装置5から、車両1の周辺の道路網に含まれる各道路の難易度クラスおよび当該各道路の位置情報を受信する。受信部212は、受信した難易度クラスおよび位置情報を、難易度クラス取得部302に提供する。また、受信部212は、受信した難易度クラスおよび位置情報を、記憶部308に保存してもよい。
【0116】
難易度クラス取得部302は、車両1の周辺の道路網に含まれる各道路の難易度クラスおよび当該各道路の位置情報を取得する。難易度クラス取得部302は、当該難易度クラスおよび位置情報を、上記の受信部212から取得してもよいし、記憶部308から取得してもよい。難易度クラス取得部302は、当該難易度クラスおよび位置情報を通行規制設定部306に提供する。
【0117】
車両情報取得部304は、車両1の積雪道路の走行性能に関する車両情報を取得する。車両情報取得部304は、上記のECU2に設けられている車両情報記憶部210から、車両情報を取得してもよい。車両情報取得部304は、当該車両情報を通行規制設定部306に提供する。
【0118】
通行規制設定部306は、車両1の周辺の道路網に含まれる各道路の難易度クラスおよび位置情報に基づいて、車両1による道路の通行に関する通行規制を設定する。さらに、通行規制設定部306は、難易度クラスおよび位置情報に加えて、車両の積雪道路の走行性能を表す車両情報に基づいて、通行規制を設定することもできる。通行規制設定部306は、設定した通行規制と、当該通行規制の位置情報とを関連付けて、記憶部308に保存する。
【0119】
記憶部308は、車両1の周辺の道路網に含まれる各道路の通行規制と位置情報とを関連付けて記憶している。また、記憶部308は、車両1の周辺の道路網に含まれる各道路の難易度クラスおよび位置情報を関連付けて記憶している。また、記憶部308は、ナビゲーション装置3の通常のナビゲーション機能で使用する地図情報、渋滞情報、工事情報などの各種情報も記憶している。
【0120】
ルート設定部310は、通行規制設定部306により設定された通行規制に基づいて、目的地までの車両1の走行ルートを設定し、当該設定した走行ルートに沿って、目的地まで車両1を案内する。さらに、ルート設定部310は、通行規制に加えて、車両の積雪道路の走行性能を表す車両情報に基づいて、目的地までの車両1の走行ルートを設定することもできる。ルート設定部310により設定された走行ルートは、表示部312に表示される。
【0121】
表示部312は、ナビゲーション装置3により提供される各種の画像を表示する。例えば、
図12、
図13に示すように、表示部312は、ルート設定部310により設定された走行ルートを含む地図画像314を表示する。表示部312に表示される地図画像314の詳細は後述する。
【0122】
ここで、通行規制設定部306による通行規制の設定処理の具体例について説明する。
【0123】
通行規制設定部306は、個々の車両1に固有の積雪道路の走行性能に関わらず、汎用的な難易度クラスのみに基づいて、通行規制を設定してもよい。上記サーバ装置5から配信される難易度クラスは、複数の車両1に適用可能な汎用的な走行難易度を表す情報である。かかる汎用的な難易度クラスは、積雪状態等に起因する各道路の走行難易度に応じて、複数段階で設定されている。例えば、
図7~
図10に示した難易度クラスは、「0」~「5」の6段階のクラス値に分類されている。
【0124】
そこで、通行規制設定部306は、難易度クラスのクラス値に応じて、複数種類の通行規制を段階的に設定することができる。例えば、難易度クラスのクラス値が「0」または「1」である道路については、通行規制を設定しないようにしてもよい。また、クラス値が「2」または「3」である道路については、「通行注意」の通行規制を設定してもよい。さらに、クラス値が「4」または「5」である道路については、「通行禁止」の通行規制を設定してもよい。
【0125】
なお、「通行禁止」の通行規制は、車両1による道路の通行を禁止する第1通行規制の一例である。また、「通行注意」の通行規制は、車両1による道路の通行を制限する第2通行規制の一例である。
【0126】
このように、汎用的な難易度クラスのクラス値に応じて、複数種類の通行規制を段階的に設定することにより、各道路の走行難易度に適した通行規制を設定することができる。
【0127】
また、通行規制設定部306は、上記のような汎用的な難易度クラスに加えて、個々の車両1に固有の積雪道路の走行性能にも基づいて、通行規制を設定してもよい。積雪道路における個々の車両1の走行性能は、各車両1の車幅、タイヤの種別、駆動方式などに依存して変化する。したがって、同一の積雪道路であっても、その積雪道路を走行する車両1の走行性能によって、当該積雪道路の走行難易度は変化する。
【0128】
そこで、通行規制設定部306は、汎用的な難易度クラスのみならず、ナビゲーション装置3が設けられた車両1(以下、「自車」という。)に固有の走行性能に応じて、複数種類の通行規制を段階的に設定することができる。例えば、難易度クラスと自車の走行性能を考慮すると、自車が通行できない可能性が高い積雪道路については、「通行禁止」の通行規制を設定してもよい。また、自車が通行できる可能性はあるが困難である積雪道路については、「通行注意」の通行規制を設定してもよい。
【0129】
具体的には、自車がノーマルタイヤを装着し、自車の駆動方式がFFである場合、難易度クラスのクラス値が「1」以下の道路については、通行規制を設定せず、クラス値が「2」または「3」の道路については、「通行注意」の通行規制を設定し、クラス値が「4」または「5」である道路については、「通行禁止」の通行規制を設定してもよい。一方、自車が冬用タイヤを装着し、自車の駆動方式が4WDである場合、難易度クラスのクラス値が「2」以下の道路については、通行規制を設定せず、クラス値が「3」または「4」の道路については、「通行注意」の通行規制を設定し、クラス値が「5」である道路についてのみ、「通行禁止」の通行規制を設定してもよい。
【0130】
このように、汎用的な難易度クラスと、各車両1に固有の走行性能との組み合わせに応じて、複数種類の通行規制を段階的に設定することにより、自車の走行性能も考慮して、より適切な道路規制を設定することができる。例えば、自車が冬用タイヤの4WD車である場合、たとえノーマルタイヤのFF車がスリップした道路であっても、冬用タイヤのFF車がスリップしていないときは、その道路は通行可能であると判断し、通行規制を設定しないようにすることができる。
【0131】
また、通行規制設定部306は、積雪道路幅W1と自車の車幅W3に基づいて、通行規制を設定することもできる。例えば、「W1≧W3×1.4」である場合は、通行規制を設定せず、「W3×1.4>W1≧W3×1.2」である場合は、「通行注意」の通行規制を設定し、「W1<W3×1.2」である場合は、「通行禁止」の通行規制を設定してもよい。
【0132】
また、道路幅による通行制限の別の例としては、自車の車幅W3に関わらず、上述した非積雪道路幅W2に対する積雪道路幅W1の比(W1/W2)が所定の閾値以下(例えば、0.5以下)である場合、「通行注意」の通行規制を設定してもよい。この場合は、例えば、積雪前は片側1車線であった道路が、積雪と除雪により生じた雪壁により、双方向で1車線の積雪道路幅W1しか有さなくなった状態を想定している。このように積雪により道路幅が極端に狭くなった場合には、当該道路に通行制限を設定することが好ましい。
【0133】
次に、ルート設定部310による走行ルートの設定処理の具体例について説明する。
【0134】
ルート設定部310は、上記のように段階的に設定された複数種類の通行規制に基づいて、車両1の走行ルートを設定して、目的地までの走行ルートを案内する。例えば、ルート設定部310は、「通行禁止」に設定された道路を通行しないように、目的地までの走行ルートを設定する。これにより、走行難易度が非常に高い積雪道路を通行しなくて済むので、車両1は、スリップやスタックすることなく、目的地まで安全に走行することができる。
【0135】
また、ルート設定部310は、「通行注意」に設定された道路をできるだけ回避するように、目的地までの走行ルートを設定する。例えば、ルート設定部310は、「通行注意」に設定された道路を通行しない迂回ルートの距離と、「通行注意」に設定された道路を通行する近距離ルートの距離とを比較する。この比較の結果、両者の距離の差が所定距離未満である場合は、ルート設定部310は、走行ルートを迂回ルートに設定する。一方、両者の距離の差が所定距離以上である場合は、ルート設定部310は、走行ルートを近距離ルートに設定する。これにより、目的地まで過度に長い迂回ルートを走行することを回避しつつ、走行難易度が比較的高い積雪道路を通行することも回避することができる。
【0136】
以上のようにしてルート設定部310により設定された走行ルートは、ナビゲーション装置3の表示部312に表示される。以下に、
図12、
図13を参照して、表示部312に表示される地図画像314と走行ルート320について説明する。
【0137】
図12に示すように、ナビゲーション装置3の表示部312は、車両1の走行ルート320を案内するための地図画像314を表示する。地図画像314には、車両1の周辺の道路網を表す地
図316と、車両1の現在位置および進行方向を表すマーク318が表示される。また、地図画像314には、ルート設定部310により設定された走行ルート320が表示される。走行ルート320は、自車周辺の道路網の各位置の積雪状態や、自車の走行性能等に応じて設定された、目的地までの走行ルートである。ナビゲーション装置3は、この走行ルート320により、当該積雪状態や走行性能等を考慮した適切な走行ルート320を案内することができる。
【0138】
さらに、地図画像314には、通行規制設定部306により通行規制が設定された1つまたは2以上の道路上に、通行規制を表すマーク330、332が重畳表示される。マーク330は、「通行禁止」の通行規制を表す。マーク332は、「通行注意」の通行規制を表す。このような通行規制を表すマーク330、332を表示することにより、ドライバーは、積雪により「通行禁止」や「通行注意」の通行規制が設定された道路の位置を、地図画像314上で確認することができる。
【0139】
また、自車を目的地まで案内するための走行ルート320は、積雪状態等に起因した「通行禁止」や「通行注意」の通行規制が設定された複数の道路(マーク330、332が重畳表示された道路)を回避するように設定されている。これにより、ドライバーは、案内される走行ルートに沿って車両1を運転することで、「通行禁止」や「通行注意」の通行規制が設定された道路を通行せずに、目的地まで到達することができる。
【0140】
また、これらの通行規制が設定された道路を回避するように走行ルート320を案内する場合、
図13に示すように、積雪状態等に起因した通行規制を回避するように走行ルート320を設定した旨の通知340を、地図画像314上に重畳表示してもよい。これにより、案内される走行ルート320に多少の遠回りや、通常の非積雪時と異なるルート設定等があったしても、ドライバーは、その理由を認識することができるので、ナビゲーション装置3に対する安心感や信頼感などを得られる。
【0141】
ところで、上述したように、迂回ルートが過度に長くなる場合には、「通行注意」の通行規制が設定された積雪道路を通行するような近距離ルートが設定され、当該近距離ルートが目的地までの走行ルートとして案内される場合もある。この場合には、「通行注意」の通行規制が設定された積雪道路を通行する際に、ナビゲーション装置3は、当該通行の注意喚起を促す表示または音声を出力してもよい。これにより、ドライバーは、積雪道路の走行時に注意して運転できるので、積雪に起因するスリップやスタック、事故の発生などを抑制できる。
【0142】
[9.ナビゲーションシステムの処理フロー]
次に、
図14を参照して、本実施形態に係るナビゲーションシステム100により実行される処理について説明する。
図14は、本実施形態に係るナビゲーションシステム100により実行される処理を示すシーケンス図である。
【0143】
図14に示すように、送信側の各車両1A、1B、1C(以下、「送信側の車両1」と称する。)は、自車の走行する道路上に存在する雪を検出する(S10)。例えば、送信側の車両1は、自車に搭載されたカメラ15により撮像された道路画像の輝度分布から、走行道路上の雪の有無を検出する。かかる雪の検出時点以降は、送信側の車両1は、積雪道路に関する道路画像情報と、当該積雪道路の各位置の位置情報とを、所定の時間間隔でサーバ装置5に送信する(S12)。なお、道路上に雪が存在しなくなったことを検出したときには、送信側の車両1は、道路画像情報と位置情報の送信を停止してもよい。
【0144】
サーバ装置5は、複数の送信側の車両1から、道路網の各位置の積雪道路の道路画像情報と位置情報を随時受信し(S20)、これら情報を収集、保存する。そして、サーバ装置5は、受信した道路画像情報等を分析して、道路網の各位置の積雪道路における積雪状態(例えば、路面状態、道路幅状態)を分類する(S22)。
【0145】
また、送信側の車両1は、積雪道路の走行中にスリップした場合には、当該スリップの発生を検出する(S14)。スリップの発生は、自車の車輪回転速度や車速から検出可能である。送信側の車両1は、自車のスリップの発生を検出すると、当該スリップした積雪道路の位置を表す位置情報と、当該スリップの発生を表すスリップ情報、および自車のタイヤ情報および駆動方式情報等を、サーバ装置5に送信する(S16)。このように、スリップ発生時に、送信側の車両1は、スリップ情報等と位置情報を同時にサーバ装置5に送信する。
【0146】
サーバ装置5は、複数の送信側の車両1から、道路網の各位置の積雪道路に関するスリップ情報、タイヤ情報、駆動方式情報と、位置情報を受信し(S24)、これら情報を収集、保存する。そして、サーバ装置5は、受信したスリップ情報、タイヤ情報、駆動方式情報等を分析して、道路網の各位置の積雪道路におけるスリップ状態を分類する(S26)。
【0147】
次いで、サーバ装置5は、上記S22で分類された積雪状態と、
S26で分類されたスリップ状態とから、道路網の各位置の積雪道路の難易度クラスを判定する(S28)。サーバ装置5は、例えば、
図7~
図10に示すクラス判定用テーブルを用いて、積雪道路ごとに難易度クラスを判定する。サーバ装置5は、積雪状態およびスリップ状態の双方に基づいて難易度クラスを判定することが好ましいが、積雪状態またはスリップ状態のいずれか一方に基づいて難易度クラスを判定してもよい。また、走行中の道路の位置および走行した時刻が近い、異なる複数の車両1から受信した走行関連情報を総合して、難易度クラスを判定してもよい。
【0148】
サーバ装置5は、上記S28で判定された道路網の各位置の積雪道路の難易度クラスと、当該積雪道路の位置情報を、複数の受信側の車両1D、1Eに定期的または不定期に送信する(S29)。
【0149】
受信側の各車両1D、1E(以下、「受信側の各車両1」と称する。)は、サーバ装置5から、道路網の各位置の積雪道路の難易度クラスと位置情報を受信する(S32)。受信側の各車両1に設けられたナビゲーション装置3は、これら難易度クラスと位置情報を受信して、収集、保存する。また、受信側の各車両1のナビゲーション装置3は、受信側の各車両1(自車)の車幅、タイヤ種別、駆動方式等の車両情報を、予め取得している(S30)。
【0150】
そして、受信側の各車両1のナビゲーション装置3は、サーバ装置5から受信した難易度クラスと、自車の車両情報から、自車に適した通行規制を設定する(S34)。次いで、ナビゲーション装置3は、当該設定した通行規制に基づいて、目的地までの走行ルートを設定する(S36)。そして、ナビゲーション装置3は、
図12に示すように、ナビゲーション機能の表示画面の地図画像314上に、目的地までの走行ルート320(
図12参照。)を表示して、自車を案内する(S38)。
【0151】
その後、送信側の各車両1は、上記S10~S16の処理を繰り返し実行する。サーバ装置5は、上記S20~S29の処理を繰り返し実行する。受信側の各車両1のナビゲーション装置3は、上記S30~S38の処理を繰り返し実行する。
【0152】
以上、
図14を参照して、本実施形態に係るナビゲーションシステム100の車両1、サーバ装置5、ナビゲーション装置3により実行される各処理について説明した。当該各処理は、例えば、車両1、サーバ装置5、ナビゲーション装置3に、上記各処理を実行するためのプログラムをインストールすることにより、実現される。
【0153】
[10.まとめ]
以上説明したように、本実施形態によれば、
複数の車両(1)にネットワーク(7)を介して通信可能に接続されるサーバ装置(5)と、前記サーバ装置(5)に前記ネットワークを介して通信可能に接続されるナビゲーション装置(3)とを備えたナビゲーションシステム(100)であって、
前記サーバ装置(5)は、
前記複数の車両(1)のうち少なくとも1つ以上の第1車両(1A、1B、1C)から、前記第1車両(1A、1B、1C)が走行した道路上に存在する雪または前記道路の滑りやすさの少なくとも一方に関連する通行関連情報と、前記道路の位置情報とを受信し、
前記通行関連情報と前記位置情報に基づいて、前記第1車両(1A、1B、1C)が走行した前記道路について、前記道路上に存在する雪または前記道路の滑りやすさの少なくとも一方に起因する走行の難易度に関連する難易度情報を生成し、
前記第1車両(1A、1B、1C)が走行した前記道路の前記難易度情報および前記位置情報を、前記複数の車両のうち前記第1車両(1A、1B、1C)と同一または異なる第2車両(1D、1E)とともに移動可能に設けられる前記ナビゲーション装置(3)に送信し、
前記ナビゲーション装置(3)は、
前記サーバ装置(5)から、前記難易度情報および前記位置情報を受信し、
前記難易度情報および前記位置情報に基づいて、前記第2車両(1D、1E)による前記道路の通行に関する通行規制を設定し、
前記通行規制に基づいて、目的地までの前記第2車両(1D、1E)の走行ルートを設定する、
ナビゲーションシステム(100)が提供される。
【0154】
これにより、各第1車両(1A、1B、1C)が走行した実際の道路上の雪の状態または滑りやすさの状態に応じて、複数の車両(1)による当該道路の走行難易度を表す難易度情報が設定される。そして、当該難易度情報に応じて道路網の各位置における道路の通行規制が設定され、当該通行規制に応じて、各第2車両(1D、1E)による走行ルートが設定され、目的地までの走行ルートが案内される。したがって、各第1車両(1A、1B、1C)が走行した実際の道路上の雪の状態または滑りやすさの状態による走行難易度に応じて、各第2車両(1D、1E)による目的地までの適切な走行ルートを案内することができる。
【0155】
前記通行関連情報は、
前記第1車両(1A、1B、1C)が走行した前記道路を撮像した道路画像情報、
前記道路の走行時における前記第1車両(1A、1B、1C)のスリップの有無を表すスリップ情報、
前記第1車両(1A、1B、1C)に装着されたタイヤ(14)の種別を表すタイヤ情報、および、
前記第1車両(1A、1B、1C)の車輪(13)の駆動方式を表す駆動方式情報、
のうち少なくとも1つを含むようにしてもよい。
【0156】
これにより、道路画像情報に基づいて、積雪道路の路面状態、道路幅状態などを分類することができる。また、スリップ情報、タイヤ情報、駆動方式情報などに基づいて、スリップが発生した積雪道路のスリップ状態などを分類することができる。したがって、積雪道路の路面状態、道路幅状態、スリップ状態などに応じて、難易度クラスを適切に判定することができる。
【0157】
前記難易度情報は、前記第1車両(1A、1B、1C)が走行した前記道路における、前記道路上に存在する雪に起因する走行の難易度を分類した難易度クラスを含むようにしてもよい。
【0158】
これにより、各第1車両(1A、1B、1C)が走行した実際の道路の積雪状態に応じて、複数の車両(1)による当該道路の走行難易度を表す難易度クラスが設定される。そして、当該難易度クラスに応じて道路網の各位置における道路の通行規制が設定され、当該通行規制に応じて、各第2車両(1D、1E)による走行ルートが設定され、目的地までの走行ルートが案内される。したがって、各第1車両(1A、1B、1C)が走行した実際の道路の積雪状態による走行難易度に応じて、各第2車両(1D、1E)による目的地までの適切な走行ルートを案内することができる。
【0159】
前記通行関連情報は、前記第1車両(1A、1B、1C)が走行した前記道路を撮像した道路画像情報を含み、
前記サーバ装置(5)は、
前記道路画像情報に基づいて、前記道路上に存在する雪の有無および轍の有無のうち少なくとも1つを含む前記道路の路面状態を分類し、
前記路面状態の分類に応じて、前記第1車両(1A、1B、1C)が走行した前記道路の前記難易度クラスを判定するようにしてもよい。
【0160】
これにより、第1車両(1A、1B、1C)の走行時の道路画像情報に基づいて、道路上に存在する雪の有無および轍の有無のうち少なくとも1つを含む路面状態を適切に分類することができる。したがって、積雪道路の路面状態に応じて、難易度クラスを適切に判定して、適切な走行ルートを案内することができる。
【0161】
前記通行関連情報は、前記道路の走行時における前記第1車両(1A、1B、1C)のスリップの有無を表すスリップ情報を含み、
前記サーバ装置(5)は、
前記スリップ情報に基づいて、前記道路のスリップ状態を分類し、
前記スリップ状態の分類に応じて、前記スリップが発生した前記道路の前記難易度クラスを判定するようにしてもよい。
【0162】
これにより、スリップした第1車両(1A、1B、1C)のスリップ情報に基づいて、スリップが発生した積雪道路のスリップ状態を適切に分類することができる。したがって、スリップ状態に応じて、スリップが発生した道路の難易度クラスを適切に判定して、適切な走行ルートを案内することができる。
【0163】
前記通行関連情報は、
前記第1車両(1A、1B、1C)に装着されたタイヤ(14)の種別を表すタイヤ情報をさらに含み、
前記サーバ装置(5)は、
前記スリップ情報と、前記タイヤ情報とに基づいて、スリップした前記第1車両(1A、1B、1C)に装着された前記タイヤの種別を分類し、前記タイヤの種別の分類に応じて、前記スリップが発生した前記道路の前記難易度クラスを判定するようにしてもよい。
【0164】
これにより、スリップした第1車両(1A、1B、1C)のスリップ情報、タイヤ情報に基づいて、スリップが発生した積雪道路のスリップ状態を適切に分類することができる。したがって、スリップした第1車両(1A、1B、1C)のタイヤ(14)の種別を加味したスリップ状態に応じて、スリップが発生した道路の難易度クラスを適切に判定して、適切な走行ルートを案内することができる。
【0165】
前記通行関連情報は、
前記第1車両(1A、1B、1C)の車輪(13)の駆動方式を表す駆動方式情報をさらに含み、
前記サーバ装置(5)は、
前記スリップ情報と、前記駆動方式情報とに基づいて、スリップした前記第1車両(1A、1B、1C)の前記駆動方式を分類し、前記駆動方式の分類に応じて、前記スリップが発生した前記道路の前記難易度クラスを判定するようにしてもよい。
【0166】
これにより、スリップした第1車両(1A、1B、1C)のスリップ情報、駆動方式情報に基づいて、スリップが発生した積雪道路のスリップ状態を適切に分類することができる。したがって、スリップが発生した第1車両(1A、1B、1C)の車輪(13)の駆動方式を加味したスリップ状態に応じて、スリップが発生した道路の難易度クラスを適切に判定して、適切な走行ルートを案内することができる。
【0167】
前記通行関連情報は、前記第1車両(1A、1B、1C)が走行した前記道路を撮像した道路画像情報を含み、
前記サーバ装置(5)は、
前記道路画像情報に基づいて、前記道路上に雪が存在する状態の道路幅(W1)を検出し、前記道路上に雪が存在する状態の道路幅(W1)と、前記道路上に雪が存在しない状態の道路幅(W2)との比較結果に基づいて、前記第1車両(1A、1B、1C)が走行した前記道路の前記難易度クラスを判定するようにしてもよい。
【0168】
これにより、第1車両(1A、1B、1C)の走行時の道路画像情報に基づいて、実際の積雪道路の道路幅(W1)と、非積雪時の道路幅(W2)を比較して、積雪道路の道路幅状態を適切に分類することができる。したがって、積雪道路の道路幅状態に応じて、難易度クラスを適切に判定して、適切な走行ルートを案内することができる。
【0169】
前記ナビゲーション装置(3)は、
前記通行規制として、前記第2車両(1D、1E)による前記道路の通行を禁止する第1通行規制を設定し、
前記第1通行規制に設定された前記道路を通行しないように、前記走行ルートを設定するようにしてもよい。
【0170】
これにより、積雪道路の走行難易度が非常に高い場合に、当該積雪道路に第1通行規制を設定して、各第2車両(1D、1E)の走行ルートから当該積雪道路を除外して、走行ルートを案内できる。したがって、各第2車両(1D、1E)は、当該積雪道路を通行せずに、案内された走行ルートを安全かつ確実に走行して、目的地に到達することができる。
【0171】
前記ナビゲーション装置(3)は、
前記通行規制として、前記第2車両(1D、1E)による前記道路の通行を制限する第2通行規制を設定し、
前記第2通行規制に設定された前記道路を回避するように、前記走行ルートを設定するようにしてもよい。
【0172】
これにより、積雪道路の通行を制限する第2通行規制に応じて、第2車両(1D、1E)が第2通行規制に設定された積雪道路を回避するように、第2車両(1D、1E)の走行ルートが設定される。したがって、積雪道路の走行難易度が比較的高い場合に、各第2車両(1D、1E)による目的地までの走行ルートをより適切に案内することができる。
これにより、積雪道路の走行難易度が比較的高い場合に、当該積雪道路に第2通行規制を設定して、各第2車両(1D、1E)が当該積雪道路をできるだけ通行しないように、走行ルートを案内できる。したがって、各第2車両(1D、1E)は、当該積雪道路をできるだけ通行せずに、案内された走行ルートを安全かつ確実に走行して、目的地に到達することができる。
【0173】
前記ナビゲーション装置(3)は、
前記第2車両(1D、1E)による積雪道路の走行性能に関する車両情報を取得し、
前記難易度クラスおよび前記位置情報と、前記車両情報とに基づいて、前記通行規制を設定するようにしてもよい。
【0174】
これにより、複数の車両(1)に対応した汎用的な難易度クラスのみならず、第2車両(1D、1E)に固有の走行性能も考慮して、個々の第2車両(1D、1E)に対する通行規制をより適切に設定することができる。
【0175】
前記車両情報は、前記第2車両(1D、1E)に装着されたタイヤ(14)の種別、および前記第2車両(1D、1E)の車輪(13)の駆動方式のうち少なくとも1つを含み、
前記ナビゲーション装置(3)は、前記難易度クラスおよび前記位置情報と、前記車両情報とに基づいて、前記第2車両(1D、1E)による積雪道路の走行性能に応じた前記通行規制を設定するようにしてもよい。
【0176】
これにより、複数の車両(1)に対応した汎用的な難易度クラスのみならず、第2車両(1D、1E)に固有のタイヤ(14)の種別、車輪(13)の駆動方式などの要素に起因する積雪道路の走行性能に応じて、個々の第2車両(1D、1E)に対する通行規制をより適切に設定することができる。
【0177】
前記通行関連情報は、前記第1車両(1A、1B、1C)が走行した前記道路を撮像した道路画像情報を含み、
前記サーバ装置(5)は、前記道路画像情報に基づいて、前記道路上に雪が存在する状態の道路幅(W1)を検出し、
前記難易度情報は、前記道路上に雪が存在する状態の前記道路幅(W1)を含み、
前記ナビゲーション装置(3)は、
前記第2車両(1D、1E)の車幅(W3)を取得し、
前記道路上に雪が存在する状態の前記道路幅(W1)と、前記第2車両の前記車幅(W3)とに基づいて、前記通行規制を設定するようにしてもよい。
【0178】
これにより、第1車両(1A、1B、1C)の走行時の道路画像情報に基づいて、実際の積雪道路の道路幅(W1)検出し、当該道路幅(W1)と、第2車両(1D、1E)の車幅(W3)との比較結果に基づいて、通行規制を適切に設定することができる。したがって、車幅(W3)の第2車両(1D、1E)が道路幅(W1)の積雪道路を通行可能か否かに応じて、通行規制を適切に設定して、適切な走行ルートを案内することができる。
【0179】
前記ナビゲーション装置(3)は、前記走行ルートを示す地図画像において、前記通行規制が設定された前記道路上に前記通行規制を表すマークを表示するようにしてもよい。
【0180】
これにより、ドライバーは、積雪に起因して通行規制が設定された道路の位置を、地図画像上で容易に視認することができる。
【0181】
前記通行関連情報は、前記第1車両が走行した前記道路における、前記道路上に存在する雪に起因する走行の難易度を分類した難易度クラスを含み、
前記サーバ装置は、
前記難易度クラスを含む前記難易度情報を生成し、
前記難易度クラスを含む前記難易度情報と、前記位置情報を前記ナビゲーション装置に送信するようにしてもよい。
【0182】
これにより、サーバ装置(5)に替えて各第1車両(1A、1B、1C)が難易度クラスの判定処理を分散して処理できるので、サーバ装置5の処理負荷を低減できる。
【0183】
前記通行関連情報は、前記第1車両が走行した前記道路における、前記道路上に雪が存在する状態の道路幅を含み、
前記サーバ装置は、
前記道路幅を含む前記難易度情報を生成し、
前記道路幅を含む前記難易度情報と、前記位置情報を前記ナビゲーション装置に送信するようにしてもよい。
【0184】
これにより、サーバ装置(5)に替えて各第1車両(1A、1B、1C)が道路幅の算出処理を分散して処理できるので、サーバ装置5の処理負荷を低減できる。
【0185】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0186】
なお、上述した本実施形態に係る各装置(例えば、車両1、ナビゲーション装置3またはサーバ装置5)による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、または、ソフトウェアとハードウェアとの組合せのうちいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部または外部に設けられる非一時的な記憶媒体(non-transitory media)に予め格納される。そして、プログラムは、例えば、非一時的な記憶媒体(例えば、ROM)から一時的な記憶媒体(例えば、RAM)に読み出され、CPUなどのプロセッサにより実行される。
【0187】
上記各装置の各機能を実現するためのプログラムを作成し、上記各装置のコンピュータにインストールすることが可能である。プロセッサが、メモリに記憶されているプログラムを実行することにより、上記各機能の処理が実行される。このとき、複数のプロセッサによりプログラムを分担して実行してもよいし、1つのプロセッサでプログラムを実行してもよい。また、通信ネットワークにより相互に接続された複数のコンピュータを用いるクラウドコンピューティングにより、上記各装置の各機能を実現してもよい。
【0188】
なお、プログラムは、外部装置から通信ネットワークを通じた配信により、各装置のコンピュータに提供されて、インストールされてもよい。あるいは、プログラムは、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記録媒体(non-transitory computer readable medium)に格納され、当該記録媒体を介して各装置のコンピュータに提供されて、インストールされてもよい。
【0189】
また、本実施形態によれば、上記各装置の各機能の処理を実行するためのプログラムを提供することができる。さらに、当該プログラムが格納された、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記録媒体を提供することもできる。非一時的な記録媒体は、例えば、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等のディスク型記録媒体であってもよいし、または、フラッシュメモリ、USBメモリ等の半導体メモリであってもよい。
【符号の説明】
【0190】
1 車両
1A、1B、1C 送信側の車両
1D、1E 受信側の車両
2 ECU
3 ナビゲーション装置
5 サーバ装置
7 ネットワーク
13 車輪
14 タイヤ
15 カメラ
16 車輪速センサ
31 プロセッサ
32 メモリ
51 プロセッサ
52 メモリ
100 ナビゲーションシステム
204 情報収集部
208 送信部
210 車両情報記憶部
212 受信部
302 難易度クラス取得部
304 車両情報取得部
306 通行規制設定部
310 ルート設定部
312 表示部
314 地図画像
320 走行ルート
330、332 通行規制を表すマーク
340 通知
502 受信部
506 分析部
508 クラス判定部
510 送信部