(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】距離測定方法、装置、電子機器及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G06F 21/71 20130101AFI20241030BHJP
【FI】
G06F21/71
(21)【出願番号】P 2023008211
(22)【出願日】2023-01-23
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】2022101523716
(32)【優先日】2022-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516180667
【氏名又は名称】北京小米移動軟件有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Xiaomi Mobile Software Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.018, Floor 8, Building 6, Yard 33, Middle Xierqi Road, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】チャオ,グワンジュン
【審査官】上島 拓也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0176230(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0294826(US,A1)
【文献】国際公開第2021/089195(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0214662(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
距離測定方法であって、端末装置に適用され、前記端末装置はプロセッサと距離測定チップを有し、前記プロセッサはセキュリティ領域を有し、前記セキュリティ領域は前記距離測定チップと通信的に接続され、前記方法は、
前記端末装置と距離測定対象のデバイスとの初期通信中に生成されたセッションパラメータを取得するステップと、
前記セキュリティ領域内で、前記セッションパラメータに基づいて距離測定セキュリティパラメータを生成するステップと、
前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間の通信チャネルを介して、前記距離測定セキュリティパラメータを前記距離測定チップに送信するステップと、
距離測定チップが、前記距離測定セキュリティパラメータに基づいて距離測定時間パラメータを生成し、前記距離測定時間パラメータを使用して前記距離測定対象のデバイスと距離測定通信を行って、距離測定結果を得るステップと、を含
み、
前記距離測定チップは、前記距離測定チップのセキュリティ領域内のデータが他の領域内のプログラムによって読み取ることができないことを確保するためのセキュリティ領域を有し、前記プロセッサのセキュリティ領域と前記距離測定チップとの間の通信チャネルは、前記プロセッサのセキュリティ領域と前記距離測定チップのセキュリティ領域との間に形成される、
ことを特徴とする距離測定方法。
【請求項2】
前記
プロセッサのセキュリティ領域内に予め配置された第1のセキュリティパラメータと前記距離測定チップ内に予め配置された第2のセキュリティパラメータとに基づいて、前記
プロセッサのセキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の距離測定方法。
【請求項3】
前記第1のセキュリティパラメータと前記第2のセキュリティパラメータはいずれも共通セキュリティパラメータであり、
前記
プロセッサのセキュリティ領域内に予め配置された第1のセキュリティパラメータと前記距離測定チップ内に予め配置された第2のセキュリティパラメータとに基づいて、前記
プロセッサのセキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成するステップは、
前記共通セキュリティパラメータに基づいて、前記
プロセッサのセキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成するステップを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の距離測定方法。
【請求項4】
前記第1のセキュリティパラメータは、前記
プロセッサのセキュリティ領域のパブリックセキュリティパラメータ、プライベートセキュリティパラメータ及び前記距離測定チップのパブリックセキュリティパラメータを含み、前記第2のセキュリティパラメータは、前記距離測定チップのパブリックセキュリティパラメータ、プライベートセキュリティパラメータ及び前記
プロセッサのセキュリティ領域のパブリックセキュリティパラメータを含み、
前記
プロセッサのセキュリティ領域内に予め配置された第1のセキュリティパラメータと前記距離測定チップ内に予め配置された第2のセキュリティパラメータとに基づいて、前記
プロセッサのセキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成するステップは、
前記
プロセッサのセキュリティ領域内で、前記第1のセキュリティパラメータに基づいて共通セキュリティパラメータを生成するステップと、
前記距離測定チップが前記第2のセキュリティパラメータに基づいて前記共通セキュリティパラメータを生成するステップと、
前記共通セキュリティパラメータに基づいて、前記
プロセッサのセキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の距離測定方法。
【請求項5】
前記共通セキュリティパラメータに基づいて、前記
プロセッサのセキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成するステップは、
前記
プロセッサのセキュリティ領域内で、前記共通セキュリティパラメータに対してプリセット処理を行って、一時的なセキュリティパラメータを生成するステップと、
前記距離測定チップが前記共通セキュリティパラメータに対してプリセット処理を行って、前記一時的なセキュリティパラメータを生成するステップと、
前記一時的なセキュリティパラメータに基づいて、前記
プロセッサのセキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の距離測定方法。
【請求項6】
前記端末装置と前記距離測定対象のデバイスとが互いにアイデンティティを検証するように、前記距離測定対象のデバイスと通信するステップと、
前記端末装置と前記距離測定対象のデバイスとが互いにアイデンティティの認証が完了した場合、前記端末装置と前記距離測定対象のデバイスとが同じ前記セッションパラメータを生成するように、前記距離測定対象のデバイスと通信するステップと、の初期通信過程をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の距離測定方法。
【請求項7】
距離測定装置であって、端末装置に適用され、前記端末装置はプロセッサと距離測定チップを有し、前記プロセッサはセキュリティ領域を有し、前記セキュリティ領域は前記距離測定チップと通信的に接続され、前記距離測定装置は、
前記端末装置と距離測定対象のデバイスとの初期通信中に生成されたセッションパラメータを取得する第1の取得モジュールと、
前記セキュリティ領域内で、前記セッションパラメータに基づいて距離測定セキュリティパラメータを生成する第1のパラメータモジュールと、
前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間の通信チャネルを介して、前記距離測定セキュリティパラメータを前記距離測定チップに送信する送信モジュールと、
距離測定チップが、前記距離測定セキュリティパラメータに基づいて距離測定時間パラメータを生成し、前記距離測定時間パラメータを使用して前記距離測定対象のデバイスと距離測定通信を行って、距離測定結果を得るように制御する第2のパラメータモジュールと、を含
み、
前記距離測定チップは、前記距離測定チップのセキュリティ領域内のデータが他の領域内のプログラムによって読み取ることができないことを確保するためのセキュリティ領域を有し、前記プロセッサのセキュリティ領域と前記距離測定チップとの間の通信チャネルは、前記プロセッサのセキュリティ領域と前記距離測定チップのセキュリティ領域との間に形成される、
ことを特徴とする距離測定装置。
【請求項8】
前記
プロセッサのセキュリティ領域内に予め配置された第1のセキュリティパラメータと前記距離測定チップ内に予め配置された第2のセキュリティパラメータとに基づいて、前記
プロセッサのセキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成するチャネル構築モジュールをさらに含む、
ことを特徴とする請求項
7に記載の距離測定装置。
【請求項9】
前記第1のセキュリティパラメータと前記第2のセキュリティパラメータはいずれも共通セキュリティパラメータであり、
前記チャネル構築モジュールは、
前記共通セキュリティパラメータに基づいて、前記
プロセッサのセキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成する、
ことを特徴とする請求項
8に記載の距離測定装置。
【請求項10】
前記第1のセキュリティパラメータは、前記
プロセッサのセキュリティ領域のパブリックセキュリティパラメータ、プライベートセキュリティパラメータ及び前記距離測定チップのパブリックセキュリティパラメータを含み、前記第2のセキュリティパラメータは、前記距離測定チップのパブリックセキュリティパラメータ、プライベートセキュリティパラメータ及び前記
プロセッサのセキュリティ領域のパブリックセキュリティパラメータを含み、
前記チャネル構築モジュールは、
前記
プロセッサのセキュリティ領域内で、前記第1のセキュリティパラメータに基づいて共通セキュリティパラメータを生成し、
前記距離測定チップが前記第2のセキュリティパラメータに基づいて前記共通セキュリティパラメータを生成し、
前記共通セキュリティパラメータに基づいて、前記
プロセッサのセキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成する、
ことを特徴とする請求項
8に記載の距離測定装置。
【請求項11】
前記チャネル構築モジュールが前記共通セキュリティパラメータに基づいて、前記
プロセッサのセキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成する際、
前記
プロセッサのセキュリティ領域内で、前記共通セキュリティパラメータに対してプリセット処理を行って、一時的なセキュリティパラメータを生成し、
前記距離測定チップが前記共通セキュリティパラメータに対してプリセット処理を行って、前記一時的なセキュリティパラメータを生成し、
前記一時的なセキュリティパラメータに基づいて、前記
プロセッサのセキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成する、
ことを特徴とする請求項
9または
10に記載の距離測定装置。
【請求項12】
前記端末装置と前記距離測定対象のデバイスとが互いにアイデンティティを検証するように、前記距離測定対象のデバイスと通信するステップと、
前記端末装置と前記距離測定対象のデバイスとが互いにアイデンティティの認証が完了した場合、前記端末装置と前記距離測定対象のデバイスとが同じ前記セッションパラメータを生成するように、前記距離測定対象のデバイスと通信するステップと、の初期通信過程を実行する通信モジュールをさらに含む、
ことを特徴とする請求項
7に記載の距離測定装置。
【請求項13】
電子機器であって、
前記電子機器はメモリと、プロセッサとを含み、前記メモリはプロセッサ上で作動可能なコンピュータ命令を記憶し、前記プロセッサは前記コンピュータ命令を実行する際に請求項1に記載の距離測定方法を実現する、
ことを特徴する電子機器。
【請求項14】
コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムはプロセッサによって実行される場合、請求項1に記載の方法を実現する、
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末装置技術の分野に関し、具体的に、距離測定方法、装置、電子機器及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のスマートフォン、ウェアラブルデバイスなどの端末装置には、距離測定位置決めに適用可能なUWB技術(Ultra Wide Band、無線搬送通信技術)が構成されており、これによって位置感知、無感決済、無感改札機通過、無感解錠などのシーンで機能する。距離測定位置決めが適用された上記のシーンは、セキュリティ性に対する要求が高いが、関連技術の端末装置は、距離測定位置決めのためのパラメータを生成する際、パラメータ漏洩などのセキュリティ事故が発生しやすく、上記のシーンのセキュリティ性が確保できず、ユーザの情報、財産セキュリティなどにも脅威を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
関連技術に存在する問題を克服するために、本開示の実施例は、関連技術の欠陥を解決するために、距離測定方法、装置、電子機器、及び記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施例の第1の態様によれば、距離測定方法を提供し、端末装置に適用され、前記端末装置はプロセッサと距離測定チップを有し、前記プロセッサはセキュリティ領域を有し、前記セキュリティ領域は前記距離測定チップと通信的に接続され、前記方法は、前記端末装置と距離測定対象のデバイスとの初期通信中に生成されたセッションパラメータを取得するステップと、前記セキュリティ領域内で、前記セッションパラメータに基づいて距離測定セキュリティパラメータを生成するステップと、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間の通信チャネルを介して、前記距離測定セキュリティパラメータを前記距離測定チップに送信するステップと、距離測定チップが、前記距離測定セキュリティパラメータに基づいて距離測定時間パラメータを生成し、前記距離測定時間パラメータ使用して前記距離測定対象のデバイスと距離測定通信を行い、距離測定結果を得るステップと、を含む。
【0005】
一実施例では、前記セキュリティ領域内に予め配置された第1のセキュリティパラメータと前記距離測定チップ内に予め配置された第2のセキュリティパラメータとに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成するステップをさらに含む。
【0006】
一実施例では、前記第1のセキュリティパラメータと前記第2のセキュリティパラメータはいずれパブリックセキュリティパラメータであり、前記セキュリティ領域内に予め配置された第1のセキュリティパラメータと前記距離測定チップ内に予め配置された第2のセキュリティパラメータとに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成するステップは、前記パブリックセキュリティパラメータに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成するステップを含む。
【0007】
一実施例では、前記第1のセキュリティパラメータは、前記セキュリティ領域のパブリックセキュリティパラメータ、プライベートセキュリティパラメータ及び前記距離測定チップのパブリックセキュリティパラメータを含み、前記第2のセキュリティパラメータは、前記距離測定チップのパブリックセキュリティパラメータ、プライベートセキュリティパラメータ及び前記セキュリティ領域のパブリックセキュリティパラメータを含み、前記セキュリティ領域内に予め配置された第1のセキュリティパラメータと前記距離測定チップ内に予め配置された第2のセキュリティパラメータとに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成するステップは、前記セキュリティ領域内で、前記第1のセキュリティパラメータに基づいてパブリックセキュリティパラメータを生成するステップと、前記距離測定チップが前記第2のセキュリティパラメータに基づいて前記パブリックセキュリティパラメータを生成するステップと、前記パブリックセキュリティパラメータに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成するステップと、を含む。
【0008】
一実施例では、前記パブリックセキュリティパラメータに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成するステップは、前記セキュリティ領域内で、前記パブリックセキュリティパラメータに対してプリセット処理を行い、一時的なセキュリティパラメータを生成するステップと、前記距離測定チップが前記パブリックセキュリティパラメータに対してプリセット処理を行い、前記一時的なセキュリティパラメータを生成するステップと、前記一時的なセキュリティパラメータに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成するステップと、を含む。
【0009】
一実施例では、前記端末装置と前記距離測定対象のデバイスと互いにアイデンティティを検証するように、前記距離測定対象のデバイスと通信するステップと、前記端末装置と前記距離測定対象のデバイスとが互いにアイデンティティの認証が完了した場合、前記端末装置と前記距離測定対象のデバイスとが同じ前記セッションパラメータを生成するように、前記距離測定対象のデバイスと通信するステップと、の初期通信過程をさらに含む。
【0010】
本開示の実施例の第2の態様によれば、距離測定対象のデバイスに適用される距離測定方法を提供し、前記方法は、前記距離測定対象のデバイスと端末装置との初期通信中に生成されたセッションパラメータを取得するステップと、前記セッションパラメータに基づいて距離測定セキュリティパラメータを生成するステップと、前記距離測定セキュリティパラメータに基づいて距離測定時間パラメータを生成し、前記距離測定時間パラメータを使用して前記距離測定対象のデバイスと距離測定通信を行い、距離測定結果を得るステップと、を含む。
【0011】
本開示の実施例の第3の態様によれば、端末装置に適用される距離測定装置を提供し、前記端末装置はプロセッサと距離測定チップを有し、前記プロセッサはセキュリティ領域を有し、前記セキュリティ領域は前記距離測定チップと通信的に接続され、前記装置は、前記端末装置と距離測定対象のデバイスとの初期通信中に生成されたセッションパラメータを取得する第1の取得モジュールと、前記セキュリティ領域内で、前記セッションパラメータに基づいて距離測定セキュリティパラメータを生成する第1のパラメータモジュールと、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間の通信チャネルを介して、前記距離測定セキュリティパラメータを前記距離測定チップに送信する送信モジュールと、距離測定チップが、前記距離測定セキュリティパラメータに基づいて距離測定時間パラメータを生成し、前記距離測定時間パラメータ使用して前記距離測定対象のデバイスと距離測定通信を行い、距離測定結果を得るように制御する第2のパラメータモジュールと、を含む。
【0012】
一実施例では、前記セキュリティ領域内に予め配置された第1のセキュリティパラメータと前記距離測定チップ内に予め配置された第2のセキュリティパラメータとに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成するチャネル構築モジュールをさらに含む。
【0013】
一実施例では、前記第1のセキュリティパラメータと前記第2のセキュリティパラメータはいずれパブリックセキュリティパラメータであり、前記チャネル構築モジュールは、具体的に、前記パブリックセキュリティパラメータに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成する。
【0014】
一実施例では、前記第1のセキュリティパラメータは、前記セキュリティ領域のパブリックセキュリティパラメータ、プライベートセキュリティパラメータ及び前記距離測定チップのパブリックセキュリティパラメータを含み、前記第2のセキュリティパラメータは、前記距離測定チップのパブリックセキュリティパラメータ、プライベートセキュリティパラメータ及び前記セキュリティ領域のパブリックセキュリティパラメータを含み、前記チャネル構築モジュールは、具体的に、前記セキュリティ領域内で、前記第1のセキュリティパラメータに基づいてパブリックセキュリティパラメータを生成し、前記距離測定チップが前記第2のセキュリティパラメータに基づいて前記パブリックセキュリティパラメータを生成し、前記パブリックセキュリティパラメータに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成する。
【0015】
一実施例では、前記チャネル構築モジュールは前記パブリックセキュリティパラメータに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成する際、具体的に、前記セキュリティ領域内で、前記パブリックセキュリティパラメータに対してプリセット処理を行い、一時的なセキュリティパラメータを生成し、前記距離測定チップが前記パブリックセキュリティパラメータに対してプリセット処理を行い、前記一時的なセキュリティパラメータを生成し、前記一時的なセキュリティパラメータに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成する。
【0016】
一実施例では、通信モジュールをさらに含み、前記端末装置と前記距離測定対象のデバイスと互いにアイデンティティを検証するように、前記距離測定対象のデバイスと通信するステップと、前記端末装置と前記距離測定対象のデバイスとが互いにアイデンティティの認証が完了した場合、前記端末装置と前記距離測定対象のデバイスとが同じ前記セッションパラメータを生成するように、前記距離測定対象のデバイスと通信するステップと、の初期通信過程を実行する。
【0017】
本開示の実施例の第4の態様によれば、距離測定対象のデバイスに適用される距離測定装置を提供し、前記装置は、前記距離測定対象のデバイスと端末装置との初期通信中に生成されたセッションパラメータを取得する第2の取得モジュールと、前記セッションパラメータに基づいて距離測定セキュリティパラメータを生成する第3のパラメータモジュールと、前記距離測定セキュリティパラメータに基づいて距離測定時間パラメータを生成し、前記距離測定時間パラメータを使用して前記距離測定対象のデバイスと距離測定通信を行い、距離測定結果を得る第4のパラメータモジュールと、を含む。
【0018】
本開示の実施例の第5の態様によれば、電子機器を提供し、前記電子機器はメモリ、プロセッサを含み、前記メモリはプロセッサ上で作動可能なコンピュータ命令を記憶し、前記プロセッサは前記コンピュータ命令を実行する際に第1の態様または第2の態様に記載の距離測定方法を実現する。
【0019】
本開示の実施例の第6態様によれば、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、前記プログラムはプロセッサによって実行される場合、第1の態様または第2の態様に前記の方法を実現する。
【発明の効果】
【0020】
本開示の実施例によって提供される技術案は、以下の有益な効果を含むことができる。
【0021】
本開示は、プロセッサのセキュリティ領域と距離測定チップとを通信接続することにより、端末装置と測定対象のデバイスとの初期通信中に生成されたセッションパラメータを先に取得することができ、その後、キュリティ領域内で上記セッションパラメータに基づいて距離測定セキュリティパラメータを生成し、セキュリティ領域と距離測定チップとの間の通信チャネルを介して上記距離測定セキュリティパラメータを距離測定チップに送信し、最後に距離測定チップが上記距離測定セキュリティパラメータに基づいて距離測定時間パラメータを生成し、距離測定時間パラメータを使用して距離測定対象のと距離測定通信を行い、距離測定結果を得る。距離測定セキュリティパラメータがプロセッサのセキュリティ領域内で生成され、セキュリティ領域と距離測定チップとの間の通信チャネルが比較的セキュリティであるため、距離測定セキュリティパラメータは距離測定チップに入る前に比較的セキュリティであり、漏洩することがなく、距離測定中のパラメータのセキュリティ性を向上させ、さらに距離測定に位置感知、無感決済、無感改札機通過、無感解錠などのシーンのセキュリティ性を確保し、ユーザの情報、財産のセキュリティが脅かされていることを回避する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
ここでの図面は、明細書に組み込まれ、本明細書の一部として構成され、本開示に適合する実施例を示し、本発明の原理を説明するために明細書とともに使用される。
【
図1】本開示の例示的な一実施例によって示される端末装置に適用される距離測定方法のフローチャートである。
【
図2】本開示の例示的な一実施例によって示される端末装置の概略構成図である。
【
図3】本開示の例示的な一実施例によって示される距離測定対象のデバイスに適用される距離測定方法のフローチャートである。
【
図4】本開示の例示的な一実施例によって示される端末装置に適用される距離測定装置の概略構成図である。
【
図5】本開示の例示的な一実施例によって示される距離測定対象のデバイスに適用される距離測定装置の概略構成図である。
【
図6】本開示の例示的な一実施例によって示される電子機器の概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここで、例示的な実施例を詳細に説明し、その例を図面に示す。以下の説明が図面に関連する場合、別段の表現がない限り、異なる図面の同じ数字は同じまたは類似の要素を表す。以下の例示的な実施例に記載の実施形態は、本開示と一致する全ての実施形態を表すものではない。むしろ、それらは、添付の請求項の範囲に詳細に記載された、本開示のいくつかの態様に一致する装置及び方法の例にすぎない。
【0024】
本開示に使用される用語は、特定の実施例を説明するためのものにすぎず、本開示を制限することを意図していない。本開示と添付請求項に使用される単数形の「一」、「前記」及び「当該」も、コンテキストにおいて他の意味を明確に示さない限り、複数形を含むことを意図する。なお、本明細書で使用される用語の「及び/又は」とは、1つ又は複数の関連する列挙項目の任意の組み合わせ又は全ての組み合わせを指しかつ含むことを理解されたい。
【0025】
本開示では、第1、第2、第3などの用語を使用して様々な情報を説明する可能性があるが、これらの情報は、これらの用語に限定すべきではないことを理解されたい。これらの用語は、単に同じタイプの情報を区別するために使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱しない限り、第1の情報は第2の情報と呼ぶことができ、同様に、第2の情報は第1の情報と呼ぶこともできる。文脈によっては、ここで使用される単語「もし」は、「……のとき」又は「……の場合」又は「決定に応答する」として解釈することができる。
【0026】
第1の態様によれば、本開示の少なくとも一実施例は距離測定方法を提供し、
図1を参照すると、それはこの方法のフローを示し、ステップS101とステップS104を含む。
【0027】
当該距離測定方法は
図2に示す端末装置に適用されることができる。
図2を参照すると、端末装置はプロセッサ201と距離測定チップ202を有し、プロセッサはセキュリティ領域2011、例えばTEE(trusted execution environment、信頼性のある実行環境)を有し、プロセッサ201のセキュリティ領域2011は距離測定チップ202と通信接続することができ、すなわちハードウェア上で通信の条件を備えることができ、例えば、SPIまたはI2Cなどの通信バスを使用して両者の通信接続を実現することができる。選択的に、端末装置には、当該距離測定方法を具体的に実行するための距離測定のためのソフトウェアをインストールすることができる。当該距離測定方法はUWB技術、または他の距離測定技術を用いることができ、UWB技術を用いる場合、距離測定チップはUWBチップであってもよく、以下のステップはUWB技術を例として当該距離測定方法の詳細を詳細に説明する。
【0028】
当該距離測定方法は、当該方法を実行するための端末装置と距離測定対象のデバイスとの距離を検出するために使用される。1つの可能性なシーンでは、端末装置はスマートフォン、タブレットコンピュータ、ウェアラブルデバイスなどであってもよく、距離測定対象のデバイスは車両、または部屋のドアロックなどであってもよく、端末装置は当該距離測定方法によって車両の作動と部屋のドアロックの開きを実現することによって、端末装置をデジタル秘密鍵として使用する。
【0029】
ステップS101において、前記端末装置と距離測定対象のデバイスとの初期通信中に生成されたセッションパラメータを取得する。
【0030】
端末装置と距離測定対象のデバイスとの間の初期通信過程は距離測定の前に、両者の認識過程である。端末装置は、当該距離測定方法を実行するためのソフトウェア(UWB Key Service、以下、距離測定ソフトウェアUKSと略称する)を用いて、プロセッサのセキュリティ領域外の他の領域で初期通信を実行することができる。1つの可能なシーンでは、プロセッサのセキュリティ領域はTEE(trusted execution environment、信頼性のある実行環境)であり、プロセッサのセキュリティ領域外の他の領域はREE(Rich Execution Environment、汎用実行環境)であり、距離測定ソフトウェアUKSは、セキュリティ領域TEE内で動作するTA(Trused Application)部分(以下、UKS TAと略称する)と、セキュリティ領域外に設けられた他の領域REEのCA(Client Application)部分(以下、UKS CAと略称する)を有し、このシーンでは、UKS CAに対して当該初期通信を実行することができる。セッションパラメータは、セッション秘密鍵であってもよい。
【0031】
例示的には、端末装置と距離測定対象のデバイスとの間の初期通信過程は以下の方式を用いることができ、まず、端末装置は、前記距離測定対象のデバイスと互いにアイデンティティを検証するように、前記距離測定対象のデバイスと通信し、すなわち、通信中に端末装置は距離測定対象のデバイスがペアリングデバイスであるか否かを検証し、距離測定対象のデバイスも端末装置がペアリングデバイスであるか否かを検証する。前記端末装置と前記距離測定対象のデバイスとが互いにアイデンティティの検証が完了した場合(すなわち、端末装置の検証結果は、距離測定対象のデバイスがそのペアリングデバイスであり、距離測定対象のデバイスの検証結果は、端末装置がそのペアリングデバイスである)、前記端末装置と前記距離測定対象のデバイスが同じセッションパラメータを生成するように、前記距離測定対象のデバイスと通信する。なお、端末装置と距離測定対象のデバイスとが通信することは、距離測定ソフトウェアがブルートゥース(登録商標)、NFC(Near Field Communication、近距離無線通信技術)などの通信手段を用いて距離測定対象のデバイスと通信することであってもよい。端末装置と距離測定対象のデバイスとが通信することは、距離測定ソフトウェアがCCC、FiRa、ICCOAなどの仕様を用いて距離測定対象のデバイスと通信することであってもよい。
【0032】
ステップS102において、前記セキュリティ領域内で、前記セッションパラメータに基づいて距離測定セキュリティパラメータを生成する。
【0033】
距離測定ソフトウェアUKSは、セッションパラメータをセキュリティ領域TEE内のUKS TAに送信することができ、UKS TA内には距離測定セキュリティパラメータを生成するルールと方式が予め設定され、UKS TAは、このルールと方式に従ってセッションパラメータに基づいて距離測定セキュリティパラメータを生成する。例えば、セッションパラメータはセッション秘密鍵であり、生成された距離測定セキュリティパラメータはURSK(UWB Ranging Secret key)である。
【0034】
プロセッサ内のセキュリティ領域で距離測定セキュリティパラメータの生成を行うことにより、プロセッサ以外の他のチップ、例えば、NFCチップに依存することを回避することができ、UWB距離測定機能を備える端末装置のハードウェアオプションの柔軟性を向上させる。
【0035】
ステップS103において、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間の通信チャネルを介して、前記距離測定セキュリティパラメータを前記距離測定チップに送信する。
【0036】
選択的に、UWBチップもセキュリティ領域を有し、すなわち、セキュリティ領域内のデータは他の領域内のプログラムによって読み取ることができず、プロセッサのセキュリティ領域とUWBチップとの間の通信チャネルは、プロセッサのセキュリティ領域とUWBチップのセキュリティ領域との間に形成することができ、当該通信チャネルは2つのセキュリティ領域の間に存在するため、比較的セキュリティであり、当該通信チャネル内で配信される通信データは漏洩することがない。
【0037】
ステップS104において、距離測定チップが、前記距離測定セキュリティパラメータに基づいて距離測定時間パラメータを生成し、前記距離測定時間パラメータ使用して前記距離測定対象のデバイスと距離測定通信を行い、距離測定結果を得る。
【0038】
UWBチップ内には距離測定時間パラメータを生成するルールと方式が予め設定され、UWBチップは、このルールと方式に従って距離測定セキュリティパラメータに基づいて距離測定時間パラメータを生成する。例えば、距離測定セキュリティパラメータはURSKであり、距離測定時間パラメータはSTS(Scrambled Timestamp Sequence)であってもよい。
【0039】
なお、距離測定対象のデバイスもUWBチップを有するため、距離測定対象のデバイスのUWBチップは、端末装置と距離測定対象のデバイスとの初期通信中に生成されたセッションパラメータを使用して、距離測定セキュリティパラメータ、例えばURSKを生成することもでき、距離測定対象のデバイスUWBチップは、さらに距離測定セキュリティパラメータに基づいて距離測定時間パラメータを生成することもでき、例えばURSKに基づいてSTSを生成する。端末装置と距離測定対象のデバイスが同じ距離測定時間パラメータを生成した後、端末装置のUWBチップと距離測定対象のデバイスのUWBチップとの間でSTSなどの距離測定時間パラメータを使用して距離測定通信を行うことができ、これによって端末装置のUWBチップが通信結果に基づいて計算して距離測定結果、すなわち両者の距離を得ることができ、距離測定対象のデバイスのUWBチップが、通信結果に基づいて計算して、距離測定結果、すなわち両者の距離を得ることができる。端末装置のUWBチップと距離測定対象のデバイスのUWBチップとが距離測定通信を行う際、端末装置はデータルールに従ってSTSが含まれる第1のUWBパケットを生成することができ、その後、当該第1のUWBパケットを距離測定対象のデバイスに送信し、距離測定対象のデバイスは第1のUWBパケット中のSTSと距離測定対象のデバイスのUWBチップが生成したSTSとが同じであるか否かを検証し、同じである場合、データルールに従ってSTSが含まれる第2のUWBパケットを生成し、当該第2のUWBパケットを端末装置に返信し、端末装置は、第2のUWBパケット中のSTSと端末装置のUWBチップが生成したSTSとが同じであるか否か検証し、同じである場合、再びデータルールに基づいてSTSが含まれる第3のUWBパケットを生成し、さらに当該第3のUWBパケットを距離測定対象のデバイスに送信することによって、測距通信を完了させる。
【0040】
本開示は、プロセッサのセキュリティ領域と距離測定チップとを通信接続することにより、端末装置と測定対象のデバイスとの初期通信中に生成されたセッションパラメータを先に取得することができ、その後、キュリティ領域内で上記セッションパラメータに基づいて距離測定セキュリティパラメータを生成し、セキュリティ領域と距離測定チップとの間の通信チャネルを介して上記距離測定セキュリティパラメータを距離測定チップに送信し、最後に距離測定チップが上記距離測定セキュリティパラメータに基づいて距離測定時間パラメータを生成し、距離測定時間パラメータを使用して距離測定対象と距離測定通信を行い、距離測定結果を得る。距離測定セキュリティパラメータがプロセッサのセキュリティ領域内で生成され、セキュリティ領域と距離測定チップとの間の通信チャネルが比較的セキュリティであるため、距離測定セキュリティパラメータは距離測定チップに入る前に比較的セキュリティであり、漏洩することがなく、距離測定中のパラメータのセキュリティ性を向上させ、さらに距離測定に位置感知、無感決済、無感改札機通過、無感解錠などのシーンのセキュリティ性を確保し、ユーザの情報、財産のセキュリティが脅かされていることを回避する。
【0041】
本開示のいくつかの実施例では、端末装置が出荷される前に、そのプロセッサのセキュリティ領域内に第1のセキュリティパラメータを予め配置し、その距離測定チップ(のセキュリティ領域)内に第2のセキュリティパラメータを予め配置することができ、第1のセキュリティパラメータと第2のセキュリティパラメータが秘密鍵であってもよい。これに基づいて、端末装置は、前記セキュリティ領域内に予め配置された第1のセキュリティパラメータと前記距離測定チップ内に予め配置された第2のセキュリティパラメータとに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成することができる。
【0042】
1つの可能な実施例では、前記第1のセキュリティパラメータと前記第2のセキュリティパラメータはパブリックセキュリティパラメータ、例えば対称秘密鍵であってもよく、すなわち、第1のセキュリティパラメータと第2のセキュリティパラメータは同じ秘密鍵である。この実施例では、当該パブリックセキュリティパラメータに基づて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成することができる。通信チャネルの具体的な生成過程はSCP02またはSCP03などの通信仕様に基づいて決定することができる。
【0043】
別の実施可能な実施例では、前記第1のセキュリティパラメータは、前記セキュリティ領域のパブリックセキュリティパラメータ、プライベートセキュリティパラメータ及び前記距離測定チップのパブリックセキュリティパラメータを含み、前記第2のセキュリティパラメータは、前記距離測定チップのパブリックセキュリティパラメータ、プライベートセキュリティパラメータ及び前記セキュリティ領域のパブリックセキュリティパラメータを含み、例えば、前記第1のセキュリティパラメータと第2のセキュリティパラメータは非対称秘密鍵であってもよく、第1のセキュリティパラメータはDEV.PK/SK、UWB.PKであり、すなわち、端末装置の秘密鍵と公開鍵、及び距離測定対象のデバイスの公開鍵を含み、第2のセキュリティパラメータはDEV.PK、UWB.PK/SKであり、すなわち、端末装置の秘密鍵と公開鍵、及び距離測定対象のデバイスの公開鍵を含む。この実施例では、前記セキュリティ領域内で、前記第1のセキュリティパラメータに基づいてパブリックセキュリティパラメータを先に生成することができ、例えばUKS TAが、Diffie-Hellmanアルゴリズム(ディフィーヘルマンアルゴリズム)で、第1のセキュリティパラメータに基づいてパブリックセキュリティパラメータscretを生成し、その後に前記距離測定チップが前記第2のセキュリティパラメータに基づいて前記パブリックセキュリティパラメータを生成し、例えばUWBチップが、Diffie-Hellmanアルゴリズムで前記第2のセキュリティパラメータに基づいて前記パブリックセキュリティパラメータsecretを生成し、最後に前記パブリックセキュリティパラメータsecretに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成する。通信チャネルの具体的な生成過程はSCP11などの通信仕様に基づいて決定することができる。
【0044】
上記2つの実施例では、前記パブリックセキュリティパラメータに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成する際、先に前記セキュリティ領域内で、前記パブリックセキュリティパラメータに対してプリセット処理を行うことができ、一時的なセキュリティパラメータを生成し、例えばUKS TAが、パブリックセキュリティパラメータを用いてプリセットデータに対してハッシュ処理を行い、これによってワンタイムセッション秘密鍵などの一時的なセキュリティパラメータを得て、その後前記距離測定チップが前記パブリックセキュリティパラメータに対してプリセット処理を行い、前記一時的なセキュリティパラメータを生成し、UWBチップは、パブリックセキュリティパラメータを使用してプリセットデータに対してハッシュ処理を行うこともでき、これによってワンタイムセッション秘密鍵などの一時的なセキュリティパラメータを得て、最後に前記一時的なセキュリティパラメータに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成する。このような一時的なセキュリティパラメータを使用して通信チャネルを生成する方式は、パブリックセキュリティパラメータをルート秘密鍵とし、その後、通信チャネルを構築するたびに今回だけ有効なワンタイムセッション秘密鍵を生成することによって、パブリックセキュリティパラメータのセキュリティを保護し、さらに通信チャネルのセキュリティと通信チャネル内で伝送された距離測定セキュリティパラメータのセキュリティをさらに保護することができる。すなわち、通信チャネルの構築中に一時的なセキュリティパラメータの損失や漏洩が発生しても、ハッシュ処理の不可逆性のため、次回の通信チャネルを構築するセキュリティに脅威を与えることはない。
【0045】
第2の態様によれば、本開示の少なくとも一実施例は距離測定方法を提供し、
図3を参照すると、この方法のフローを示し、ステップS301とステップS303を含む。
【0046】
この方法は、第1の態様に記載された距離測定対象のデバイスに適用される。
【0047】
ステップS301において、前記距離測定対象のデバイスと端末装置との初期通信中に生成されたセッションパラメータを取得する。
【0048】
ステップS302において、前記セッションパラメータに基づいて距離測定セキュリティパラメータを生成する。
【0049】
ステップS303において、前記距離測定セキュリティパラメータに基づいて距離測定時間パラメータを生成し、前記距離測定時間パラメータを使用して前記距離測定対象のデバイスと距離測定通信を行い、距離測定結果を得る。
【0050】
本実施の各ステップは、第1の態様の端末装置側の対応するステップの具体的な内容と同じであり、異なることは、本実施の各ステップが、すべて距離測定対象のデバイス、例えばUWBチップ中で完了する。
【0051】
本開示の実施例の第3の態様によれば、端末装置に適用される距離測定装置を提供し、前記端末装置はプロセッサと距離測定チップを有し、前記プロセッサはセキュリティ領域を有し、
図4を参照すると、前記装置は、前記端末装置と距離測定対象のデバイスとの初期通信中に生成されたセッションパラメータを取得する第1の取得モジュール401と、前記セキュリティ領域内で、前記セッションパラメータに基づいて距離測定セキュリティパラメータを生成する第1のパラメータモジュール402と、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間の通信チャネルを介して、前記距離測定セキュリティパラメータを前記距離測定チップに送信する送信モジュール403と、距離測定チップが、前記距離測定セキュリティパラメータに基づいて距離測定時間パラメータを生成し、前記距離測定時間パラメータ使用して前記距離測定対象のデバイスと距離測定通信を行い、距離測定結果を得るように制御する第2のパラメータモジュール404と、を含む。
【0052】
本開示のいくつかの実施例では、チャネル構築モジュールをさらに含み、前記セキュリティ領域内に予め配置された第1のセキュリティパラメータと前記距離測定チップ内に予め配置された第2のセキュリティパラメータとに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成する。
【0053】
本開示のいくつかの実施例では、前記第1のセキュリティパラメータと前記第2のセキュリティパラメータはいずれパブリックセキュリティパラメータであり、前記チャネル構築モジュールは、具体的に、前記パブリックセキュリティパラメータに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成する。
【0054】
本開示のいくつかの実施例では、前記第1のセキュリティパラメータは、前記セキュリティ領域のパブリックセキュリティパラメータ、プライベートセキュリティパラメータ及び前記距離測定チップのパブリックセキュリティパラメータを含み、前記第2のセキュリティパラメータは、前記距離測定チップのパブリックセキュリティパラメータ、プライベートセキュリティパラメータ及び前記セキュリティ領域のパブリックセキュリティパラメータを含み、前記チャネル構築モジュールは、具体的に、前記セキュリティ領域内で、前記第1のセキュリティパラメータに基づいてパブリックセキュリティパラメータを生成し、前記距離測定チップが前記第2のセキュリティパラメータに基づいて前記パブリックセキュリティパラメータを生成し、前記パブリックセキュリティパラメータに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成する。
【0055】
本開示のいくつかの実施例では、前記チャネル構築モジュールは、前記パブリックセキュリティパラメータに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成する際、具体的に、前記セキュリティ領域内で、前記パブリックセキュリティパラメータに対してプリセット処理を行い、一時的なセキュリティパラメータを生成し、前記距離測定チップが前記パブリックセキュリティパラメータに対してプリセット処理を行い、前記一時的なセキュリティパラメータを生成し、前記一時的なセキュリティパラメータに基づいて、前記セキュリティ領域と前記距離測定チップとの間に通信チャネルを生成する。
【0056】
本開示のいくつかの実施例では、前記端末装置と前記距離測定対象のデバイスと互いにアイデンティティを検証するように、前記距離測定対象のデバイスと通信するステップと、前記端末装置と前記距離測定対象のデバイスとが互いにアイデンティティの認証が完了した場合、前記端末装置と前記距離測定対象のデバイスとが同じ前記セッションパラメータを生成するように、前記距離測定対象のデバイスと通信するステップと、の初期通信過程を実行する通信モジュールをさらに含む。
【0057】
本開示の実施例の第4の態様によれば、距離測定対象のデバイスに適用される距離測定装置を提供し、
図5を参照すると、前記装置は、前記距離測定対象のデバイスと端末装置との初期通信中に生成されたセッションパラメータを取得する第2の取得モジュール501と、前記セッションパラメータに基づいて距離測定セキュリティパラメータを生成する第3のパラメータモジュール502と、前記距離測定セキュリティパラメータに基づいて距離測定時間パラメータを生成し、前記距離測定時間パラメータを使用して前記距離測定対象のデバイスと距離測定通信を行い、距離測定結果を得る第4のパラメータモジュール503と、を含む。
【0058】
上記実施例の装置について、その各モジュールの操作を実行する具体的な方式は、第1の態様及び第2の態様の当該方法に関する実施例においてすでに詳細に説明したが、ここでは詳細に説明しない。
【0059】
本開示の実施例の第5の態様によれば、
図6を参照すると、例示的に、電子機器のブロック図を示す。例えば、デバイス600は、携帯電話、コンピュータ、デジタル放送端末、メッセージングデバイス、ゲームコンソール、タブレットデバイス、医療機器、フィットネス機器、パーソナルデジタルアシスタントなどであってもよい。
【0060】
図6を参照すると、デバイス600は、処理コンポーネント602、メモリ604、電源コンポーネント606、マルチメディアコンポーネント608、オーディオコンポーネント610、入力/出力(I/O)のインターフェース612、センサコンポーネント614、および通信コンポーネント616、1つまたは複数のコンポーネントを含むことができる。
【0061】
処理コンポーネント602は、通常、表示、電話の呼び出し、データ通信、カメラ操作、及び記録操作に関連する操作のようなデバイス600の全体の操作を制御する。処理コンポーネント602は、上記方法の全てまたは一部のステップを完成するために、命令を実行するための1つまたは複数のプロセッサ620を含むことができる。また、処理コンポーネント602は、他のコンポーネントとのインタラクションの処理を容易にするために、1つまたは複数のモジュールを含むことができる。例えば、処理コンポーネント602は、マルチメディアコンポーネント608と処理コンポーネント602とのインタラクションを容易にするために、マルチメディアモジュールを含むことができる。
【0062】
これらのデータの例は、デバイス600で操作するためのあらゆるアプリケーションプログラムまたは方法の命令、連絡先データ、電話帳データ、メッセージ、画像、ビデオなどを含む。メモリ604は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、読み出し専用メモリ(ROM)、磁気メモリ、フラッシュメモリ、磁気ディスク、または光ディスクのような、あらゆるタイプの揮発性または不揮発性の記憶装置またはそれらの組み合わせによって実現されてもよい。
【0063】
電力コンポーネント606は、デバイス600の各種類のコンポーネントのために電力を提供する。電力コンポーネント606は、電源管理システム、1つまたは複数の電源、および他のデバイス600のために電力を生成し、管理し、割り当てることに関連するコンポーネントを含むことができる。
【0064】
マルチメディアコンポーネント608は、前記デバイス600とユーザとの間の出力インターフェースを提供するスクリーンに含まれる。いくつかの実施例では、スクリーンは、液晶ディスプレイ(LCD)とタッチパネル(TP)を含むことができる。スクリーンがタッチパネルを含む場合、スクリーンは、ユーザからの入力信号を受信するように、タッチスクリーンとして実現されることができる。タッチパネルには、タッチ、スライド、タッチパネルのジェスチャーを感知するように、1つまたは複数のタッチセンサが含まれる。前記タッチセンサは、タッチまたはスライド動作の境界を感知するだけでなく、タッチまたはスライド操作に関連する持続時間と圧力を検出することもできる。いくつかの実施例では、マルチメディアコンポーネント608は、1つのフロントカメラおよび/またはバックカメラを含む。デバイス600が撮影モードやビデオモードなどの操作モードにある場合、フロントカメラおよび/またはバックカメラは、外部のマルチメディアデータを受信することができる。各フロントカメラおよびバックカメラは、1つの固定的な光学レンズシステムであってもよく、または焦点距離と光学ズーム能力を備えてもよい。
【0065】
オーディオコンポーネント610は、オーディオ信号を出力および/または入力するように構成される。例えば、オーディオコンポーネント610は、デバイス600が呼び出しモード、記録モード、および音声認識モードのような操作モードにある場合、外部オーディオ信号を受信するように構成されるマイクロフォン(MIC)を含む。受信されたオーディオ信号は、さらにメモリ604に記憶されてもよく、または通信コンポーネント616を介して送信されてもよい。いくつかの実施例では、オーディオコンポーネント610は、オーディオ信号を出力するための1つのスピーカをさらに含む。
【0066】
I/Oインターフェース612は、処理コンポーネント602と周囲インターフェースモジュールとの間のインターフェースを提供し、上記の周囲インターフェースモジュールはキーボード、クリックホイール、ボタンなどであってもよい。これらのボタンは、ホームボタン、音量ボタン、スタートボタン、およびロックボタンを含むことができるが、これらに限定されない。
【0067】
センサコンポーネント614は、デバイス600に様々な態様の状態評価を提供するように、1つまたは複数のセンサを含む。例えば、センサコンポーネント614は、デバイス600のオン/オフ状態、コンポーネントの相対的な位置決めを検出でき、例えば、前記コンポーネントはデバイス600のディスプレイおよびキーパッドであり、センサコンポーネント614は、さらに、画像検出により、デバイス600またはデバイス600の1つのコンポーネントの位置変化、ユーザとデバイス600との接触が存在または存在しないか、デバイス600の方位または加速/減速およびデバイス600の温度変化を検出することができる。センサコンポーネント614は、任意の物理的接触がない場合、付近の物体の存在を検出するように構成される近接センサをさらに含むことができる。センサコンポーネント614は、イメージングアプリケーションに使用されるCMOSまたはCCDイメージセンサのような光センサをさらに含むことができる。いくつかの実施例では、当該センサコンポーネント614は、加速度センサ、ジャイロセンサ、磁気センサ、圧力センサ、または温度センサをさらに含むことができる。
【0068】
通信コンポーネント616は、デバイス600と他のデバイスとの間の有線または無線方式の通信を容易にするように構成される。デバイス600は、通信規格に基づく無線ネットワーク、例えばWi-Fi、2Gまたは3G、またはこれらの組み合わせにアクセスすることができる。例示的な一実施例では、通信コンポーネント616は、ブロードキャストチャネルを介して外部ブロードキャスト管理システムからのブロードキャスト信号またはブロードキャスト関連情報を受信する。例示的な実施例では、前記通信コンポーネント616は、短距離通信を容易にするために、近距離通信(NFC)モジュールをさらに含む。例えば、NFCモジュールは、無線周波数認識(RFID)技術、赤外線データ協会(IrDA)技術、超広帯域(UWB)技術、ブルートゥース(BT)技術、および他の技術に基づいて実現されてもよい。
【0069】
例示的な実施例では、デバイス600は、上記の電子機器の電力供給方法を実行するように、専用集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、または他の電子部品のような1つまたは複数のアプリケーションによって実現されてもよい。
【0070】
第6の態様によれば、本開示の例示的な実施例では、命令を含む非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体、例えば、命令を含むメモリ604をさらに提供し、上記命令は、上記の電子機器の電力供給方法を完成するように、デバイス600のプロセッサ620によって実行されてもよい。例えば、前記非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体はROM、ランダムアクセスメモリ(RAM)、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、光データ記憶装置であってもよい。
【0071】
当業者は、明細書を検討し、かつ、本明細書で開示された発明を実践した後、本開示の他の実施案を容易に想到し得る。本開示は、本開示の任意の変形、用途または適応的変化をカバーすることを意図し、これらの変形、用途または適応的変化は、本開示の一般原理に従い、本開示で開示されていない本技術分野における技術常識または慣用されている技術手段を含む。明細書および実施例は、単なる例示と見なされ、本開示の真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲によって指摘される。
【0072】
なお、本開示は、上記に記載され、図面に示されている厳密な構造に限定されず、その範囲から逸脱しない限り、様々な修正や変更を行うことができる。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲のみによって限定される。