(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】風力発電所
(51)【国際特許分類】
F03D 80/00 20160101AFI20241030BHJP
F03D 3/02 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
F03D80/00
F03D3/02 A
(21)【出願番号】P 2023076457
(22)【出願日】2023-05-08
(62)【分割の表示】P 2020518755の分割
【原出願日】2018-10-16
【審査請求日】2023-05-16
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】519048942
【氏名又は名称】チャグリン デニス ヴァレンチノヴィッチ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャグリン デニス ヴァレンチノヴィッチ
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-202756(JP,U)
【文献】英国特許出願公開第02502979(GB,A)
【文献】国際公開第2016/147939(WO,A1)
【文献】特表2015-522755(JP,A)
【文献】Tyaglin, Denis Valentinovich,THE THEORY OF AN IDEAL WIND POWER GENERATOR,International Scientific Journal Theoretical & Applied Science,Issue 7, Volume 51,ロシア,2017年07月30日,p98-101,https://dx.doi.org/10.15863/TAS.2017.07.51.16
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 80/00
F03D 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直軸の周囲で回転することができて且つ発電機に機能的に接続されているシャフト
と、
鉛直方向に間隔を空けて配置され、前記シャフトの上端及び下端以外の領域を含め前記シャフトを枢支する、枠体の、複数のサポートフレーム
と、
を備え
、
前記シャフトにブレードシステムが支持されていて、
複数の前記サポートフレームが
前記鉛直軸を中心として少なくとも3つの放射状に位置された
建造物の間に支持されることができるように設計されており、
前記サポートフレームに支持されたフェアリングを備え、
前記フェアリングは空気の流れを前記ブレードシステムのブレードに向け直すために、前記サポートフレームに支持される支持点から前記鉛直軸の周廻りに沿って延設され、
さらに前記フェアリングは、前記支持点から前記周廻りに延設された末端に、前記鉛直軸側に屈曲する屈曲部を備える、
風力発電所。
【請求項2】
前記ブレードシステムの一つのブレードが20~1000m
2である、請求項1に記載の風力発電所。
【請求項3】
前記シャフトに積み重ねて位置された付加的なブレードシステムを備える、請求項1に記載の風力発電所。
【請求項4】
前記少なくとも3つの前記建造物は、前記鉛直軸から異なる距離に位置される、請求項1に記載の風力発電所。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この技術は風力産業に関しており、風の動きのエネルギーをブレード配列の回転の機械エネルギーに変換し、引き続いて電力の変換するように設計されている。
【背景技術】
【0002】
「風力発電所」は従来技術で知られており、ハウジングと、ハウジング内に支持されて鉛直軸の周囲で自由に回転できる動作シャフトと、シャフトに支持されて平坦化されたコーンのような形状をしたウインドホイールと、を含み、ブレードがコーン線に沿って支持されている。ハウジングは、サポート及び底板を含む。2015年9月20日に発行されたロシア連邦実用新案No.155147,IPC F03D 3/06, F03D 11/00を参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】ロシア連邦実用新案第155147号公報
【文献】ロシア連邦特許第2508470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の解決策及び特許請求されている解決策の共通の特徴は、以下のものである:
フレーム、
フレームに支持されて鉛直軸の周囲で自由に回転でき、発電機に機能的に接続されているシャフト、
シャフトに支持されたウインドホイール。
【0005】
既知の解決策及び特許請求されている解決策の示差的な特徴は、以下のものである:
フレームが3つの放射状に位置された構造の間に支持されることができる。
【0006】
既知の技術の弱点は、風力発電所の容量の低さである。これは、示唆されているハウジングの構造、ならびにシャフトと風車との支持方法を変えたものが、大きな表面積のブレードを用いたブレード配列の使用に対して、十分な構造の堅牢さ及び発電所の安定性を保証しないことによる。
【0007】
「シロタの風力タワー」が従来技術から知られており、これは、最も近い従来技術として選択されている。この風力タワーは、いくつかの鉛直タワーによって囲まれたサポートフレームと、鉛直軸の周囲で回転できるように支持されたリング形状のプラットフォームと、そのリング形状のプラットフォームに支持されたブレードと、を含む。リング形状のプラットフォームは、サポートフレームの上方部分に位置されている。2014年2月27日に発行されたロシア連邦特許No.2508470,IPC F03D 3/00, F03D 11/04を参照。
【0008】
既知の解決策及び特許請求されている解決策の共通の特徴は、以下のものである:
フレーム、
鉛直軸の周囲で自由に回転でき、発電機に機能的に接続されているシャフト、
リング形状のプラットフォームに支持されたブレード。
【0009】
既知の解決策及び特許請求されている解決策の示差的な特徴は、以下のものである:
フレームが、3つの放射状に位置された構造の間に支持されることができる。
【0010】
この技術の欠点は、風力発電所の構造における材料消費の高さである。なぜなら、風のエネルギーのポテンシャルが最も効率的で且つ非常に低い振動でほとんど永久的な動作に近くなる構造の高さに達するために、この構造はほぼ200メートルの高さであるべきだからである。同時に、リング形状のプラットフォームの回転周波数は、風力発電所の全体構造における振動負荷を除外するために、低減されなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
特許請求されている解決策の目的は、既知の技術の弱点を克服して、高効率及び高信頼性の風力発電所を創り出すことである。
【0012】
特許請求されている解決策の効果は、風力発電所の効率改善である。
【0013】
特許請求されている効果は、鉛直軸の周囲で回転することができて且つ発電機に機能的に接続されているシャフトが支持されている少なくとも一つのサポートフレームを備え、そのシャフトにブレード配列が支持されている風力発電所の構造において、サポートフレームが少なくとも3つの放射状に位置された構造の間に支持されているために、達成される。ブレードシステムの一つのブレードの表面積は、20~1000m2の範囲内であることができる。この風力発電所は、シャフトに積み重ねて位置された付加的なブレードシステムを有することができる。ブレードシステムのブレードは、例えば、帆の形態の形状にされることができる。
【0014】
サポートフレームに支持された回転可能な風力発電所シャフトは、任意の既知の技術的方法によって発電機に機能的に接続されており、ブレードシステムのブレードへの風のインパクトによって生成された回転を発電機の回転の機械的エネルギーに送達し、引き続いて電力に変換する。発電機は、回転するシャフトに直接的に接続されていても分離されていても、どちらも可能であるが、回転伝達の任意の既知のモードが利用されることができる。シャフトはフレームに任意の既知の手段で、例えば2点で、すなわちサポートフレームの頂部及び底部で、支持されることができる。
【0015】
サポートフレームが少なくとも3つの放射状に位置された構造の間に位置されて、シャフトがサポートフレームに支持されていることは、全体構造の安定性及び信頼性を保証する。これは、より大きなパラメータを持つブレードシステムの利用を可能にし、例えば、一つのブレードの表面は20~1000m2であることができ、風力発電所の構造に対する振動負荷を低減し且つその効率及び容量を増すことができる。
【0016】
その他に、サポートフレームを少なくとも3つの放射状に位置された構造の間に位置することは、3つの放射状に位置された構造によって形成される空気の回廊が、風の流れが永久的なアクションを有さないような高さに位置されているとしても、どんな風向でもより強い風の流れをもたらしてブレードシステムにインパクトを与えるので、風力発電所の効率の増加を導く。
【0017】
特許請求されている解決策のより良い理解を確実なものにするために、放射状に位置された構造がシャフトの回転軸に対して半径方向に位置された構造であって、全ての構造が回転軸から同じ距離に位置されるときに、そのような位置の変更によって制約されないことが、言及されるべきである。この構造は、シャフトの回転軸から異なる距離に位置されることができる。
【0018】
計算及び数学モデルが、建造物の最適高さが5~800mであるべきであり、第1のブレードシステムが5~15mの高さに支持されるべきであると示している。ブレードシステムは、ロータ上に積み重ねて位置されることができる。そのような配置の場合には、建造物の異なる高さに対してブレードのパラメータ及び数が別個に計算されるべきである。
【0019】
鉛直軸を有するブレードシステムの使用は、風向が変化する場合において、任意の風向変化でそのようなブレードシステムの配置が等しく良好にその運動エネルギーを受ける一方で、このシステムが支持されているサポートフレーム(風力発電所の全体構造と同じ)が風の流れから受ける負荷が弱いので、風力発電所の効率及びその信頼性を増す。
【0020】
風力発電所は、空気の流れをブレードに向け直すことができるフェアリングを備えることができ、これにより、風力発電所の効率を増す。フェアリングは、サポートフレームに支持されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本開示が、図面に描写された例示的な実施形態を参照して、以下に説明される。
【0022】
図1及び
図2において、以下の番号が各位置に適用される:1 サポートフレーム、2 シャフト、3 ブレードシステム、4 フェアリング。
【発明を実施するための形態】
【0023】
特許請求されている解決策は、以下のように使用される。
【0024】
3つの構造は任意の既知の方法で建てられる。これらの3つの構造は、風の流れがそれらの周囲を滑らかに流れることができるように、そのような形状に設計された3つの多層階の建造物であることができる。構造は、お互いから同じ距離に、及びそれらの間に風力発電所のためのいくらかの空間が形成されるように異なる距離に、の両方で位置されることができる。さらに、サポートフレーム(1)は、構造のベースフレームに、前もって計算された高さにおける3点で堅牢に支持される。例えば、八段の建造物に対して、最も下方のブレードシステムは8メートルの高さに支持されることができる。さらに、鉛直回転軸を有するシャフト(2)は、サポートフレーム(1)に支持され、且つ発電機に機能的に接続される。シャフト(2)には、ブレードシステム(3)が位置される。ブレードの特性および数は、そのエリアの風の特性、パワー要求、建造物の高さなどに基づいて、計算されることになる。3つの構造によって形成される空気の回廊は、任意の風向において、風の流れを強める。流線型の要素に接触することで、これらの空気流はブレードシステム(3)が位置されている中央部に向けられ、ブレードシステムは風の動きのエネルギーを吸収し、回転してその動きをシャフト(2)に及び発電機に伝達し、回転エネルギーが電力に変換される。数学的な計算によれば、八段の建造物の間でサポートフレームに支持されたシャフトに積み重ねて位置された7~8個のブレードシステムを有するこの風力発電所は、各ブレードシステムによって少なくとも7.5MWを生成して、3つの八段の建造物のパワーエネルギーにおける需要をカバーすることができる。パワー蓄積器が発電機に接続されることができる。次に、風力発電所は、到来する空気流をブレードに向け直すことができるフェアリング(4)を備えることができる。
【0025】
提示された本構造の図面及び記述は、可能な設計オプションを制限するものではなく、特許請求される技術の範囲を何からの手段で制限するものではない。特許請求項の範囲内の代替的な設計が可能である。