(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20241030BHJP
H05K 5/00 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
G06F1/16 312J
G06F1/16 312E
H05K5/00 A
(21)【出願番号】P 2023122062
(22)【出願日】2023-07-26
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】溝口 文武
(72)【発明者】
【氏名】田邊 英樹
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 純
(72)【発明者】
【氏名】秋山 紗良
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-211069(JP,A)
【文献】特開2014-029590(JP,A)
【文献】特開平06-043968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16- 1/18
H05K 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1カバー部材および第2カバー部材を有する筐体と、
前記筐体に搭載された部品と、
前記筐体の内部に設けられた基板と、
第1軸部および前記第1軸部より外形寸法が大きい第1頭部を有する第1固定具と、
第2軸部および前記第2軸部より外形寸法が大きい第2頭部を有する第2固定具と、を備え、
前記第2カバー部材に、
前記第1固定具の前記第1頭部が通過可能な第1開口部と、
前記第2固定具の前記第2軸部が挿通可能かつ前記第2頭部が通過できない第2開口部と、が形成され、
前記部品は、前記第1開口部において前記第1固定具によって
前記第1カバー部材を介在させずに前記基板に固定され、
前記第2カバー部材は、前記第2開口部に前記第2軸部が挿通された状態で、前記第2固定具によって、
前記基板を介在させずに前記第1カバー部材に固定されている、
電子機器。
【請求項2】
前記第2開口部は、前記第1開口部に比べて前記第2カバー部材の外周縁に近い位置に形成されている、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第2カバー部材は、第1孔部が形成された主板部と、前記第1孔部の内周縁から前記基板に近づく方向に突出する第1筒部とを有し、
前記第1開口部は、前記第1筒部の先端に形成されている、
請求項1
または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2カバー部材の前記第1開口部の周縁と前記基板との間に絶縁シートが介在し、
前記第2カバー部材の前記周縁を含む部分は、少なくとも一部が導電可能な導電領域とされている、
請求項1
または2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2カバー部材は、金属で形成され、
前記周縁を含む部分は、絶縁層が形成された形成領域と、前記絶縁層が非形成とされた非形成領域とを有し、
前記非形成領域は、前記導電領域である、
請求項
4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第2カバー部材は、絶縁性のプラスチックで形成され、
前記周縁を含む部分の少なくとも一部は、導電層が形成されることによって前記導電領域とされている、
請求項
4に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノートブック型パーソナル・コンピュータ(ノートPC)などの電子機器の筐体は、例えば、底部となる下カバー部材を有する(例えば、特許文献1を参照)。下カバー部材は、例えば、複数の固定具でねじ止めすることにより上カバー部材に固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記電子機器では、部品の交換、メンテナンスなどの際には、カバー部材を取り外すことが必要となることがある。例えば、筐体に搭載された部品を交換するには、複数の固定具を外してカバー部材を取り外し、次いで、部品を取り外す。この電子機器では、カバー部材を取り外す作業、または、筐体に搭載された部品を取り外す作業に手間がかかるため、改善が求められていた。
【0005】
本発明の一態様は、筐体に搭載された部品を取り扱う作業を容易にできる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、第1カバー部材および第2カバー部材を有する筐体と、前記筐体に搭載された部品と、前記筐体の内部に設けられた基板と、第1軸部および前記第1軸部より外形寸法が大きい第1頭部を有する第1固定具と、第2軸部および前記第2軸部より外形寸法が大きい第2頭部を有する第2固定具と、を備え、前記第2カバー部材に、前記第1固定具の前記第1頭部が通過可能な第1開口部と、前記第2固定具の前記第2軸部が挿通可能かつ前記第2頭部が通過できない第2開口部と、が形成され、前記部品は、前記第1開口部において前記第1固定具によって前記基板に固定され、前記第2カバー部材は、前記第2開口部に前記第2軸部が挿通された状態で、前記第2固定具によって前記第1カバー部材に固定されている、電子機器を提供する。
【0007】
前記第2カバー部材は、第1孔部が形成された主板部と、前記第1孔部の内周縁から前記基板に近づく方向に突出する第1筒部とを有し、前記第1開口部は、前記第1筒部の先端に形成されていることが好ましい。
【0008】
前記第2カバー部材の前記第1開口部の周縁と前記基板との間に絶縁シートが介在し、前記第2カバー部材の前記周縁を含む部分は、少なくとも一部が導電可能な導電領域とされていることが好ましい。
【0009】
前記第2カバー部材は、金属で形成され、前記周縁を含む部分は、絶縁層が形成された形成領域と、前記絶縁層が非形成とされた非形成領域とを有し、前記非形成領域は、前記導電領域であることが好ましい。
【0010】
前記第2カバー部材は、絶縁性のプラスチックで形成され、前記周縁を含む部分の少なくとも一部は、導電層が形成されることによって前記導電領域とされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、筐体に搭載された部品を取り扱う作業を容易にできる電子機器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る電子機器の斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る電子機器の第2筐体を下面側から見た分解斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る電子機器の第2カバー部材を拡大した斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る電子機器の第1固定具による固定構造を示す構成図である。
【
図5】第1実施形態に係る電子機器の第2固定具による固定構造を示す構成図である。
【
図6】第1実施形態に係る電子機器において第2カバー部材を取り外す方法を示す工程図である。
【
図7】第1実施形態に係る電子機器において第2カバー部材を取り外す方法を示す工程図である。
【
図8】第1実施形態に係る電子機器において第2カバー部材を取り外す方法を示す工程図である。
【
図9】第1実施形態に係る電子機器においてキーボードを取り外す方法を示す工程図である。
【
図10】第1実施形態に係る電子機器においてキーボードを取り外す方法を示す工程図である。
【
図11】第1実施形態に係る電子機器においてキーボードを取り外す方法を示す工程図である。
【
図12】第2実施形態に係る電子機器の第1固定具による固定構造を示す構成図である。
【
図13】第3実施形態に係る電子機器の第1固定具による固定構造を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[電子機器](第1実施形態)
(基本構成)
第1実施形態に係る電子機器について説明する。
図1は、第1実施形態に係る電子機器100の斜視図である。
図2は、第2筐体102を下面側から見た分解斜視図である。
図3は、第2カバー部材112の拡大した斜視図である。
【0014】
図1に示すように、電子機器100は、第1筐体101と、第2筐体102(筐体)と、基板30(
図2参照)と、キーボード107と、1または複数の第1固定具10(
図2参照)と、1または複数の第2固定具20(
図2参照)と、を備える。電子機器100は、例えば、ノートPC(PC:パーソナルコンピュータ)である。
【0015】
第1筐体101と第2筐体102とは、端部どうしがヒンジ機構110を介して連結されている。第1筐体101は、第2筐体102に対して、ヒンジ機構110がなす回転軸の周りに相対的に回動可能である。
【0016】
第1筐体101は、ディスプレイ筐体とも呼ばれる。第1筐体101は、矩形板状に形成されている。第1筐体101の端部のうちヒンジ機構110が設けられた端部を、第1基端部101bと呼ぶ。第1基端部101bとは反対側の端部を、第1開放端部101aと呼ぶ。第1筐体101は、ディスプレイ103を搭載している。ディスプレイ103は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(EL:Electro-Luminescence)ディスプレイなどである。
【0017】
第2筐体102は、システム筐体とも呼ばれる。第2筐体102は、矩形板状に形成されている。第2筐体102の端部のうちヒンジ機構110が設けられた端部を第2基端部102bと呼ぶ。第2基端部102bとは反対側の端部を第2開放端部102aと呼ぶ。第2筐体102において、第2基端部102bから第2開放端部102aに向かう方向を「前方」と呼ぶ。前方と反対の方向を「後方」と呼ぶ。前方および後方を「前後方向」と総称する。
【0018】
第2筐体102については、XYZ直交座標系を用いて各構成の位置関係を説明することがある。X方向は、第1カバー部材111の短手方向である。X方向は第2筐体102の前後方向である。Y方向は、第1カバー部材111の長手方向である。Y方向はX方向と直交する。X方向とY方向とを含む平面はXY平面である。Z方向はX方向およびY方向に直交する。Z方向は、第2筐体102の厚さ方向である。
【0019】
第2筐体102は、筐体主部120と、第2カバー部材112と、を備える。第2筐体102は、平板状のケース体である。第2筐体102は、例えば、プラスチック、金属などで構成される。
【0020】
図1に即して、第2筐体102の上下の位置関係を仮に規定する。Z方向は上下方向である。第1カバー部材111は、第2カバー部材112に対して上方に位置する。+Zの向きは上方である。-Zの向きは下方である。Z方向(上下方向)から見ることを平面視という。ここに規定する位置関係は、電子機器100の使用時の姿勢を限定しない。
【0021】
図2に示すように、筐体主部120は、第1カバー部材111と、一対の側板113と、前板114と、後板115とを備える。
【0022】
第1カバー部材111は、平面視において矩形状とされている。一対の側板113は、それぞれ、第1カバー部材111の一方および他方の側縁に形成されている。前板114は、第1カバー部材111の前縁に形成されている。後板115は、第1カバー部材111の後縁に形成されている。筐体主部120は、第1カバー部材111の周縁に、側板113、前板114および後板115が形成されているため、トレー状とされている。
【0023】
第2カバー部材112は、平面視において矩形状とされている。第2カバー部材112は、第1カバー部材111に対して間隔をおいて第1カバー部材111と向かい合う。第2カバー部材112は、第2筐体102を載置面(デスクの上面など)に置いたときに、載置面に対面する。
【0024】
キーボード107は、支持板121と、複数のキートップ122(
図1参照)とを備える。キーボード107は、第2筐体102に搭載されている。キーボード107は、第2筐体102に対して着脱可能である。キーボード107は「部品」の一例である。
【0025】
支持板121は、平面視において矩形状とされている。支持板121は、XY平面と平行とされている。支持板121は、第1カバー部材111の下面(-Z側の面)側に設けられている。支持板121の第1面121a(
図4参照)は+Z側の面である。支持板121の第2面121b(
図4参照)は-Z側の面である。
【0026】
図1に示すように、キートップ122は、第1カバー部材111の上面(+Z側の面)に露出している。キートップ122は、支持板121の第1面121a側に設けられている(
図4参照)。
第1カバー部材111の上面には、タッチパッド108が形成されている。キーボード107およびタッチパッド108は、入力デバイスの例である。
【0027】
図2に示すように、基板30は、例えば、マザーボードである。基板30は、矩形状に形成されている。基板30は、例えば、長手方向がY方向に沿う長方形状とされている。基板30は、例えば、ガラスエポキシなどの絶縁体で構成される。基板30は、キーボード107の支持板121の第2面121b側に配置されている。基板30は、XY平面と平行である。基板30の第1面30a(
図4参照)は+Z側の面である。基板30の第2面30bは-Z側の面である。基板30は、第2筐体102の内部に設けられている。
【0028】
基板30には、電子部品が実装される。電子部品としては、中央処理装置(CPU)、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)、通信モジュール、コネクタ等を例示できる。
【0029】
(第1固定具による固定構造)
図4は、第1固定具10による固定構造を示す構成図である。
図4は、
図3のI-I線に沿う断面図である。
図4に示すように、第1固定具10は、第1頭部11と、第1軸部12とを備える。第1頭部11は、第1固定具10を支持板121に固定する際の操作部となる。第1頭部11の形状は、例えば、円柱状、円板状、角柱状(六角柱状など)等であってよい。第1頭部11の最大外形寸法(例えば、外径)は第1軸部12の外形寸法(外径)より大きい。最大外形寸法は、第1固定具10の中心軸に直交する方向の寸法である。第1頭部11は第1軸部12の一端に設けられている。
【0030】
第1頭部11には、回転操作部11a(
図3参照)が形成されている。回転操作部11aは、第1固定具10を回転させる際に、回転工具(例えば、電動工具、手工具)の回転力を第1固定具10に伝達可能とする。回転操作部11aとしては、第1頭部11に形成されたレンチ穴を例示できる。レンチ穴としては、十字穴、マイナス溝、六角穴などが挙げられる。
【0031】
第1軸部12は、第1頭部11の一方の端面から延出する。第1軸部12の外周面には雄ネジが形成されている。第1軸部12は、支持板121のネジ穴124に螺着される。
【0032】
第1固定具10の数は特に限定されない。第1固定具10は1つでもよいし、複数(2以上の任意の数)でもよい。本実施形態では、第1固定具10の数は2つである(
図2参照)。
【0033】
支持板121の第2面121bには、1または複数の突出部123が形成されている。突出部123は、第2面121bから-Z側に突出する。突出部123の端面には、ネジ穴124が形成されている。ネジ穴124の内周面には雌ネジが形成されている。
【0034】
基板30には、第1固定具10の第1軸部12が挿通する挿通孔31が形成されている。挿通孔31の形状は、例えば、円形状である。挿通孔31の内形寸法(例えば、内径)は、第1固定具10の第1頭部11の最大外形寸法(例えば、外径)より小さい。挿通孔31は、平面視において、ネジ穴124と重なる位置に形成されている。基板30の第1面30aは突出部123の端面に接する。
【0035】
第2カバー部材112は、主板部116と、1または複数の第1筒部117を有する。主板部116は、例えば、XY平面と平行とされている。主板部116の第1面116aは+Z側の面である。主板部116の第2面116bは-Z側の面である。
【0036】
主板部116には、1または複数の第1孔部118が形成されている。第1孔部118は、主板部116を厚さ方向に貫通する。第1孔部118の形状は、例えば、円形状である。第1孔部118の内形寸法(例えば、内径)は、第1固定具10の第1頭部11の最大外形寸法(例えば、外径)と同じ、または第1頭部11の最大外形寸法より大きい。そのため、第1固定具10は、第1孔部118を通過可能である。
【0037】
第1孔部118の数は特に限定されない。第1孔部118は1つでもよいし、複数(2以上の任意の数)でもよい。本実施形態では、第1孔部118の数は2つである(
図2参照)。
図2に示す例では、第1孔部118は、主板部116の外周縁から離れた位置に形成されている。第1孔部118の数は、第1固定具10と同数である。
【0038】
第1筒部117は、第1孔部118の内周縁から+Z側(基板30に近づく方向)に突出する。第1筒部117は、例えば、円筒状とされている。第1筒部117の内形寸法(例えば、内径)は、第1固定具10の第1頭部11の最大外形寸法(例えば、外径)と同じ、または第1頭部11の最大外形寸法より大きい。そのため、第1固定具10は、第1筒部117を通過可能である。
【0039】
第1筒部117の先端開口は、第1開口部119である。第1開口部119の形状は、例えば、円形状である。第1開口部119の内形寸法(例えば、内径)は、第1固定具10の第1頭部11の最大外形寸法(例えば、外径)と同じ、または第1頭部11の最大外形寸法より大きい。そのため、第1頭部11は、第1開口部119を通過可能である。
【0040】
第1開口部119は、平面視においてネジ穴124および挿通孔31と重なる位置に形成されている。第1開口部119の周縁119aは、基板30の第2面30bと対向する。
【0041】
第1固定具10の第1軸部12は、+Z側に向けて基板30の挿通孔31に挿通し、支持板121のネジ穴124に螺着されている。基板30は、第1頭部11に押さえつけられることによって、支持板121に固定される。支持板121は、第1固定具10によって基板30に固定される。
【0042】
第1頭部11は、平面視において、第1開口部119の内側にある。すなわち、第1頭部11は、平面視において、第1開口部119に包含されている。そのため、キーボード107は、第1開口部119において、第1固定具10によって基板30に固定される。
【0043】
(第2固定具による固定構造)
図5は、第2固定具20による固定構造を示す構成図である。
図5は、
図3のII-II線に沿う断面図である。第1固定具10による固定構造(
図4参照)と共通の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0044】
図5に示すように、第2固定具20は、第2頭部21と、第2軸部22とを備える。第2頭部21の形状は、例えば、円柱状、円板状、角柱状(六角柱状など)等であってよい。第2頭部21の最大外形寸法(例えば、外径)は第2軸部22の外形寸法(外径)より大きい。第2頭部21は第2軸部22の一端に設けられている。第2頭部21には、レンチ穴などの回転操作部21a(
図3参照)が形成されている。
【0045】
第2軸部22は、第2頭部21の端面から延出する。第2軸部22の外周面には雄ネジが形成されている。第2軸部22は、第1カバー部材111のネジ穴134に螺着される。
第2固定具20の数は特に限定されない。第2固定具20は1つでもよいし、複数(2以上の任意の数)でもよい。本実施形態では、第2固定具20の数は5つである(
図2参照)。
【0046】
第1カバー部材111の-Z側の面には、1または複数の突出部133が形成されている。突出部133は、第1カバー部材111の-Z側の面から-Z側に突出する。突出部133の端面には、ネジ穴134が形成されている。ネジ穴134の内周面には雌ネジが形成されている。
【0047】
第2カバー部材112の主板部116には、1または複数の第2孔部128が形成されている。第2孔部128は、主板部116を厚さ方向に貫通する。第2孔部128の形状は、例えば、円形状である。第2孔部128の内形寸法(例えば、内径)は、第2固定具20の第2頭部21の最大外形寸法(例えば、外径)と同じ、または第2頭部21の最大外形寸法より大きい。
【0048】
第2孔部128の数は特に限定されない。第2孔部128は1つでもよいし、複数(2以上の任意の数)でもよい。本実施形態では、第2孔部128の数は5つである(
図2参照)。
図2に示す例では、第2孔部128は、第1孔部118に比べて、主板部116の外周縁に近い位置に形成されている。詳しくは、5つ第2孔部128のうち3つは、矩形状の主板部116の後縁(-X側の長辺)に近い位置に形成されている。残りの2つの第2孔部128は、それぞれ、主板部116の側縁(+Y側および-Y側の短辺)に近い位置に形成されている。
【0049】
図5に示すように、第2筒部127は、第2孔部128の内周縁から+Z側に突出する。第2筒部127は、例えば、円筒状とされている。端板部129は、第2筒部127の先端に形成されている。端板部129は、例えば、円板状とされている。端板部129は、例えば、XY平面と平行である。第2筒部127は、先端に端板部129が形成されているため、有蓋筒状とされている。
【0050】
端板部129には、第2固定具20の第2軸部22が挿通する第2開口部130が形成されている。第2開口部130の内径は、第2軸部22の外径と同じ、または第2軸部22の外径より大きい。そのため、第2軸部22は第2開口部130に挿通可能である。第2開口部130の内径は、第2固定具20の第2頭部21の最大外形寸法より小さい。そのため、第2頭部21は、第2開口部130を通過できない。
【0051】
第2固定具20の第2軸部22は、第2開口部130に挿通され、第1カバー部材111のネジ穴134に螺着されている。端板部129は、第2頭部21に押さえつけられることによって、ワッシャ135を介して第1カバー部材111に固定されている。これにより、第2カバー部材112は、第2軸部22が第2開口部130に挿通された状態で、第2固定具20によって第1カバー部材111に固定されている。
【0052】
(第2カバー部材の取り外し方法)
図6~
図8は、第2カバー部材112を取り外す方法を示す工程図である。第2筐体102に搭載された部品(例えば、バッテリ)の交換、メンテナンスなどのために、第2カバー部材112を取り外すことを想定する。
【0053】
図6に示すように、第2カバー部材112は、第2固定具20によって第1カバー部材111に固定されている。
図7に示すように、第2カバー部材112を取り外すには、回転工具40(例えば、電動工具、手工具)(
図6参照)を用いて、第2固定具20を第1カバー部材111のネジ穴134から外す。
図2に示すように、本実施形態では、7つの固定具10,20のうち、5つの第2固定具20を取り外す。
【0054】
図8に示すように、第1開口部119は、第1頭部11が通過可能であるため、第1固定具10を外さなくても第2カバー部材112の取り外しは可能である。第2カバー部材112を取り外すことによって、第2筐体102に搭載された部品(例えば、バッテリ)を露出させる。これにより、この部品を取り扱うことができる。例えば、部品(バッテリ)の交換、メンテナンスなどを行うことができる。
【0055】
図7に示すように、部品の交換、メンテナンスなどが完了したのち、第2カバー部材112を再び第1カバー部材111に取り付ける際には、第2カバー部材112を第1カバー部材111に重ねる。
図6に示すように、第2固定具20を第1カバー部材111のネジ穴134に螺着させる。これにより、第2カバー部材112を第1カバー部材111に取り付ける。
【0056】
(キーボード107の取り外し方法)
図9~
図11は、キーボード107を取り外す方法を示す工程図である。交換、メンテナンスなどのためにキーボード107を取り外すことを想定する。
【0057】
図9に示すように、キーボード107は、第1固定具10によって基板30に固定されている。
図10に示すように、キーボード107を取り外すには、第1孔部118を通して、回転工具40(
図9参照)を第1筒部117内に挿入する。回転工具40を用いて第1固定具10を支持板121のネジ穴124から外す。
【0058】
第1開口部119は、第1頭部11が通過可能であるため、外した第1固定具10を第2筐体102の外に取り出すことができる。
図2に示すように、本実施形態では、7つの固定具10,20のうち、2つの第1固定具10を取り外す。
図11に示すように、キーボード107を第2筐体102から取り外す。
【0059】
図10に示すように、キーボード107の交換、メンテナンスなどが完了したのち、キーボード107を再び基板30に取り付ける際には、キーボード107を基板30に重ねる。
図9に示すように、第1固定具10を支持板121のネジ穴124に螺着させる。これにより、キーボード107を基板30に取り付ける。
【0060】
[第1実施形態の電子機器が奏する効果]
本実施形態の電子機器100は、第2カバー部材112に、第1固定具10の第1頭部11が通過可能な第1開口部119が形成されているため、第1固定具10を外さなくても第2カバー部材112の取り外しは可能である(
図8参照)。そのため、第2カバー部材112の取り外しには、固定具10,20のうち、第2固定具20を取り外すだけでよい。したがって、第2カバー部材112を取り外す際に操作が必要な固定具の数を少なくできる。よって、第2カバー部材112を取り外す作業は容易となる。
【0061】
電子機器100は、第1固定具10を取り外すことによって、第2カバー部材112を取り外さなくてもキーボード107を取り外すことができる(
図11参照)。そのため、キーボード107の取り外しには、固定具10,20のうち、第1固定具10を取り外すだけでよい。したがって、キーボード107を取り外す際に操作が必要な固定具の数を少なくできる。よって、キーボード107を取り外す作業は容易となる。
【0062】
電子機器100では、第2カバー部材112のうち、第1開口部119の周縁119aを含む部分(第1筒部117)は、主板部116から+Z側に突出する筒状とされている。そのため、第2カバー部材112と基板30との隙間を小さくできる。よって、第1孔部118から第2カバー部材112の内部に異物が入るのを抑えることができる。
【0063】
[電子機器](第2実施形態)
図12は、第2実施形態に係る電子機器200の第1固定具10による固定構造を示す構成図である。第1実施形態に係る電子機器100の第1固定具10による固定構造(
図4参照)と共通の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0064】
図12に示すように、第2カバー部材112Aは、金属(導電性材料)で形成されている。第2カバー部材112Aを構成する金属としては、アルミニウム合金、マグネシウム合金などが挙げられる。
【0065】
基板30の第2面30bには、絶縁シート150が設けられている。絶縁シート150は、平面視において第1開口部119の周縁119aを含む領域に設けられている。そのため、絶縁シート150は、第1筒部117の先端(周縁119a)と、基板30との間に介在する。絶縁シート150は、例えば、ポリエステル系樹脂などの樹脂で形成されている。
【0066】
主板部116の第2面116bと、第1筒部117の内周面117aの一部には、絶縁層140が形成されている。絶縁層140は、絶縁性材料、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂で形成することができる。
【0067】
第1筒部117の内周面117aのうち周縁119aを含む部分は、絶縁層140が形成された形成領域141と、絶縁層140が非形成とされた非形成領域142とを有する。非形成領域142は、内周面117aが露出しているため、導電可能な領域(すなわち、導電領域142)である。
【0068】
本実施形態の電子機器200は、第1筒部117の内周面117aに導電領域142が形成されているため、静電荷を除去することができる。よって、静電気放電(ESD:Electro Static Discharge)を抑制することができる。
【0069】
[電子機器](第3実施形態)
図13は、第3実施形態に係る電子機器300の第1固定具10による固定構造を示す構成図である。他の実施形態に係る電子機器100,200の第1固定具10による固定構造(
図4および
図12参照)と共通の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0070】
図13に示すように、第2カバー部材112Bは、絶縁性のプラスチック(絶縁性材料)で形成されている。第2カバー部材112Bを構成する樹脂としては、ポリカーボネート、ABS樹脂などが挙げられる。
【0071】
基板30の第2面30bには、絶縁シート150が設けられている。絶縁シート150は、平面視において第1開口部119の周縁119aを含む領域に設けられている。絶縁シート150は、第1筒部117の先端(周縁119a)と、基板30との間に介在する。
【0072】
第1筒部117の内周面117aの一部、および外周面117bの一部には、導電層143が形成されている。導電層143は、主板部116の第1面116aに及んで形成されていてもよい。導電層143は、金属などの導電性材料で形成することができる。
【0073】
導電層143は、内周面117aおよび外周面117bのうち、少なくとも周縁119aを含む部分に形成されている。導電層143が形成された領域は、導電可能な領域(すなわち、導電領域144)である。導電層143は、例えば、金属製のシールドテープ、金属メッキ層などであってよい。
【0074】
本実施形態の電子機器300は、第1筒部117の内周面に導電領域144が形成されているため、静電荷を除去することができる。よって、静電気放電(ESD:Electro Static Discharge)を抑制することができる。
【0075】
この発明の具体的な構成は上述の実施形態に限られず、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。上述の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
【0076】
図4および
図5に示す例では、ネジが形成された軸部12,22を有する固定具10,20を挙げたが、固定具の構造は特に限定されない。固定具は、ネジとは異なる固定構造(例えば、凹凸嵌合など)によって部品、基板、第1カバー部材などに固定されてもよい。
【0077】
図4に示す例では、第1固定具10はキーボード107(部品)を基板30に固定しているが、第1固定具は、部品を第1カバー部材に固定してもよい。すなわち、第1固定具は、部品を、基板と第1カバー部材のうち少なくとも一方に固定してもよい。
図5に示す例では、第2固定具20は第2カバー部材112を第1カバー部材111に固定しているが、第2固定具は、第2カバー部材を基板等に固定してもよい。
【0078】
図4および
図5に示す例では、固定具によって基板30に固定される部品としてキーボード107を挙げたが、部品は特に限定されない。部品としては、バッテリ、記憶装置(SSD等)、通信機器、音響機器などを挙げることができる。
【符号の説明】
【0079】
10…第1固定具、11…第1頭部、12…第1軸部、20…第2固定具、21…第2頭部、22…第2軸部、30…基板、100,200,300…電子機器、102…第2筐体(筐体)、107…キーボード(部品)、111…第1カバー部材、112…第2カバー部材、116…主板部、117…第1筒部、127…第2筒部、118…第1孔部、119…第1開口部、119a…周縁、120…筐体主部、130…第2開口部、141…形成領域、142,144…導電領域、143…導電層、150…絶縁シート
【要約】
【課題】筐体に搭載された部品を取り扱う作業を容易にできる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、第1カバー部材111および第2カバー部材112を有する筐体102と、筐体102に搭載された部品107と、筐体102の内部に設けられた基板30と、第1軸部および第1頭部を有する第1固定具10と、第2軸部および第2頭部を有する第2固定具20と、を備える。第2カバー部材112に、第1固定具10の第1頭部が通過可能な第1開口部119と、第2固定具20の第2軸部が挿通可能かつ第2頭部が通過できない第2開口部130と、が形成されている。部品107は、第1開口部119において第1固定具10によって基板30に固定される。第2カバー部材112は、第2開口部130に第2軸部が挿通された状態で、第2固定具20によって第1カバー部材111に固定される。
【選択図】
図6