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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】事前歪みステント要素
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20241030BHJP
   A61F 2/844 20130101ALI20241030BHJP
   A61F 2/94 20130101ALI20241030BHJP
【FI】
A61F2/07
A61F2/844
A61F2/94
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023132652
(22)【出願日】2023-08-16
(62)【分割の表示】P 2021144760の分割
【原出願日】2018-01-29
(65)【公開番号】P2023155291
(43)【公開日】2023-10-20
【審査請求日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】62/452,771
(32)【優先日】2017-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ディー.シルバーマン
(72)【発明者】
【氏名】オルガ ベイコバ
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-505144(JP,A)
【文献】特表平11-509130(JP,A)
【文献】特表2002-531219(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0129732(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0120287(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
A61F 2/844
A61F 2/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縮小構成及び展開構成を有する自己拡張型内部人工器官であって、前記自己拡張型内部人工器官は、
拡張直径を有しおよびアーチ腹面及びアーチ背面を含む頂部を含む自己拡張型ステント要素であって、前記展開構成における前記拡張直径においておよび前記縮小構成に縮小することに応答して塑性歪みを示すように構成されている自己拡張型ステント要素と、
前記自己拡張型ステント要素の少なくとも一部に取り付けられおよび前記展開構成における前記自己拡張型ステント要素の前記拡張直径よりも小さい拡張直径を有するグラフト構成要素と、
を含み、ここで、前記展開構成において、前記自己拡張型ステント要素は前記グラフト構成要素に対して半径方向拡張力を及ぼし、前記グラフト構成要素は前記半径方向拡張力よりも大きい降伏強度を有し、前記自己拡張型ステント要素の半径方向拡張力よりも大きい第二の半径方向拡張力を加えると、前記自己拡張型ステント要素を前記グラフト構成要素の前記拡張直径に半径方向に維持するように構成されており、前記グラフト構成要素は前記頂部の前記アーチ腹面の圧縮を維持するように構成されている、自己拡張型内部人工器官。
【請求項2】
前記グラフト構成要素は前記第二の半径方向拡張力の印加時に塑性変形に抗するように構成されている、請求項1記載の自己拡張型内部人工器官。
【請求項3】
前記自己拡張型ステント要素の前記拡張直径は、前記グラフト構成要素の前記拡張直径よりも2%~25%大きい、請求項1~2のいずれか1項記載の自己拡張型内部人工器官。
【請求項4】
前記グラフト構成要素は、前記自己拡張型ステント要素に取り付けられた連続構造であって、前記自己拡張型内部人工器官のフロー管腔を形成している、請求項1~3のいずれか1項記載の自己拡張型内部人工器官。
【請求項5】
前記自己拡張型ステント要素は、前記頂部を連結するストラットによって形成された複数の起伏を含む、請求項1~4のいずれか1項記載の自己拡張型内部人工器官。
【請求項6】
前記グラフト構成要素は前記頂部のアーチ腹面での引張応力を減少させるように構成されている、請求項5記載の自己拡張型内部人工器官。
【請求項7】
前記自己拡張型ステント要素及びグラフト構成要素は縮小構成に縮小され、前記頂部のアーチ腹面は展開構成に拡張した後も圧縮されたままである、請求項1記載の自己拡張型内部人工器官。
【請求項8】
前記自己拡張型ステント要素は製造時直径にヒートセットされている、請求項1~7のいずれか1項記載の自己拡張型内部人工器官。
【請求項9】
前記自己拡張型ステント要素の製造時直径は前記グラフト構成要素の前記拡張直径よりも15%~20%大きい、請求項8記載の自己拡張型内部人工器官。
【請求項10】
前記自己拡張型ステント要素の製造時直径は前記グラフト構成要素の前記拡張直径よりも1mm~3mm大きい、請求項1~9のいずれか1項記載の自己拡張型内部人工器官。
【請求項11】
前記自己拡張型ステント要素及びグラフト構成要素は4フレンチ~26フレンチの縮小直径に圧縮するように構成されている、請求項1~10のいずれか1項記載の自己拡張型内部人工器官。
【請求項12】
前記グラフト構成要素の前記拡張直径は2mm~53mmである、請求項11記載の自己拡張型内部人工器官。
【請求項13】
前記自己拡張型ステント要素は7mm~32mmの製造時直径を有し、そして前記グラフト構成要素は5mm~27mmの拡張直径を有する、請求項1~12のいずれか1項記載の自己拡張型内部人工器官。
【請求項14】
前記グラフト構成要素は、前記グラフト構成要素の前記拡張直径を超えて拡張することなく、前記自己拡張型ステント要素からの外側方向力より大きい半径方向拡張力に抗するように構成されており、そして前記半径方向拡張力は3気圧~6気圧である、請求項13記載の自己拡張型内部人工器官。
【請求項15】
縮小構成及び展開構成を有する自己拡張型内部人工器官であって、前記自己拡張型内部人工器官は、
拡張直径を有しおよびアーチ腹面及びアーチ背面を含む頂部を含む自己拡張型ステント要素であって、前記展開構成における前記拡張直径においておよび前記縮小構成に縮小することに応答して塑性歪みを示すように構成されている自己拡張型ステント要素と、
前記展開構成における前記自己拡張型ステント要素の前記拡張直径よりも小さい拡張直径を有するグラフト構成要素と、
を含み、ここで、前記展開構成において、前記自己拡張型ステント要素は前記グラフト構成要素に対して半径方向拡張力を及ぼし、前記グラフト構成要素は前記半径方向拡張力よりも大きい降伏強度を有し、前記自己拡張型ステント要素の半径方向拡張力よりも大きい第二の半径方向拡張力を加えると、前記自己拡張型ステント要素を前記グラフト構成要素の前記拡張直径に半径方向に維持するように構成されており、前記自己拡張型ステント要素は製造時直径にヒートセットされており、前記自己拡張型ステント要素の製造時直径は前記グラフト構成要素の前記拡張直径よりも15%~20%大きく、前記グラフト構成要素は前記頂部の前記アーチ腹面の圧縮を維持するように構成されている、自己拡張型内部人工器官。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
医療用ステント、グラフト及びステントグラフトは、直径が収縮した血管などの体腔を拡張することを含む様々な用途を有する。血管は、例えばアテロームと呼ばれる病変の影響又はガン性腫瘍の発生のために、罹患しているか、収縮しているか又は別の様式で損傷を受ける可能性がある。アテロームは血管内の血流を妨げる可能性があるプラーク蓄積を含む動脈内の病変を指す。時間が経つと、プラークのサイズ及び厚さが増加し、最終的には臨床的に有意な動脈狭窄、又は、さらには完全閉塞を引き起こすことがある。直径が収縮した体腔に対して拡張されると、医療用ステントは体腔の内側にチューブ状の支持構造を提供する。ステント、グラフト及び/又はステントグラフトの用途のさらなる非限定的な例としては、動脈瘤の血管内修復、体腔の壁の脆弱性に関連し得る体腔の一部の異常な拡大又はバルーン形成が挙げられる。
【発明の概要】
【0002】
概要
本開示の様々な態様は、縮小構成及び展開構成を有する自己拡張型内部人工器官を対象としている。自己拡張(self-expanding)型内部人工器官は、拡大(enlarged)直径を有する自己拡張型ステント要素と、前記自己拡張型ステント要素の少なくとも一部に取り付けられ、展開構成(deployed configuration)での自己拡張型ステントの拡大直径よりも小さい拡大直径を有するグラフト構成要素とを含むことができる。さらに、展開構成において、自己拡張型ステント要素はグラフト構成要素に対して半径方向拡張力(radially expansive force)を及ぼすことができる。グラフト構成要素は前記半径方向拡張力よりも大きい降伏強度を有することができ、前記自己拡張型ステント要素の半径方向拡張力よりも大きい第二の半径方向拡張力を加えたときに、自己拡張型ステント要素をグラフト構成要素の拡大直径に半径方向に維持するように構成される。
【0003】
本開示の態様はまた、7mm~32mmの製造時直径を有する自己拡張型ステント要素と、5mm~27mmの拡張直径を有するグラフト構成要素とを有する自己拡張型内部人工器官に対象とする。自己拡張型ステント要素は、グラフト構成要素の拡張直径より少なくとも2%~25%大きい自己展開直径を含みうる。さらに、拡張型ステント要素は少なくとも部分的にグラフト構成要素に取り付けられてもよい。さらに、自己拡張型内部人工器官が完全に展開されると、自己拡張型ステント要素は、グラフト構成要素の拡張直径を超えて拡張することなく、グラフト構成要素に対して外側方向の力を加え続けることができる。
【0004】
本開示の様々な態様はまた、22mm~58mmの中立直径を有する自己拡張型ステント要素と、20mm~53mmの拡張直径を有しかつ前記自己拡張型ステント要素に取り付けられたグラフト構成要素とを含む自己拡張型内部人工器官を対象とする。自己拡張型ステント要素及びグラフト構成要素は、患者への導入のために、完全展開構成からデリバリー構成に縮小するように構成されうる。さらに、自己拡張型ステント要素の自己展開直径は、グラフト構成要素の拡張直径より少なくとも2%~25%大きくてよく、グラフト構成要素は自己拡張型ステント要素をグラフト構成要素の拡張直径で維持するように構成される。
【0005】
本開示の態様はさらに、縮小構成及び展開構成を有する自己拡張型内部人工器官を対象とする。自己拡張型内部人工器官は、拡大直径を有する自己拡張型ステント要素及び前記自己拡張型ステント要素の少なくとも一部に結合された直径方向拘束体を含むことができる。直径方向拘束体は、展開構成における自己拡張型ステント要素の拡大直径よりも小さい拡大直径に自己拡張型ステントの部分を制約するように構成されうる。展開構成において、自己拡張型ステント要素はグラフト構成要素に対して半径方向拡張力を及ぼすことができる。さらに、グラフト構成要素は半径方向拡張力よりも大きい降伏強度を含み、自己拡張型ステント要素の半径方向拡張よりも大きい第二の半径方向拡張力を加えたときに自己拡張型ステント要素をグラフト構成要素の拡大直径に半径方向に維持するように構成される。
【0006】
本開示の様々な態様はまた、縮小構成及び展開構成を有する自己拡張型内部人工器官を対象とする。自己拡張型内部人工器官は、製造時直径及び拡張直径を有する自己拡張型ステント要素と、前記自己拡張型ステント要素に取り付けられ、展開構成における自己拡張型ステント要素の拡大直径よりも小さい拡大直径を有するグラフト構成要素とを含むことができる。さらに、自己拡張型ステントは、縮小構成に縮小されることに応答しそして展開直径で塑性歪みを示すように構成されうる。
【0007】
本開示の様々な態様はまた、縮小構成及び展開構成を有する自己拡張型内部人工器官を製造する方法を対象とする。前記方法は、自己拡張型ステント要素を製造時直径からグラフト構成要素の拡張直径に縮小することを含みうる。前記方法はまた、グラフト構成要素の拡張直径で自己拡張型ステント要素をグラフト構成要素に結合することを含みうる。さらに、前記方法は、自己拡張型内部人工器官を縮小構成に縮小することによって、自己拡張型ステント要素に塑性歪みを誘発することを含みうる。
【0008】
本開示の様々な態様はまた、縮小構成及び展開構成を有する自己拡張型内部人工器官を用いて患者の脈管内の標的位置を処置する方法を対象とする。前記方法は、自己拡張型内部人工器官を標的位置に配置することを含みうる。自己拡張型内部人工器官は、製造時直径及び拡張直径を有する自己拡張型ステント要素と、前記自己拡張型ステント要素に取り付けられ、展開構成における自己拡張型ステント要素の拡大直径よりも小さい拡大直径を有するグラフト構成要素とを含みうる。グラフト構成要素は、自己拡張型ステント要素を製造時直径からグラフト構成要素の拡張直径に縮小するように自己拡張型ステント要素に結合されうる。自己拡張型ステントは、縮小構成に縮小することに応答して塑性歪みを示すように、そして展開直径で塑性歪みを示すように構成されうる。前記方法はまた、自己拡張型内部人工器官を縮小構成から展開構成に拡張することを含むことができる。
【0009】
一例(「例1」)によれば、縮小構成及び展開構成を有する自己拡張型内部人工器官であって、前記自己拡張型内部人工器官は:拡大直径を有する自己拡張型ステント要素、前記自己拡張型ステント要素の少なくとも一部に取り付けられ、展開構成における自己拡張型ステント要素の拡大直径よりも小さい拡大直径を有するグラフト構成要素を含み、ここで、前記展開構成において、自己拡張型ステント要素は、グラフト構成要素に対して半径方向拡張力を及し、グラフト構成要素は半径方向拡張力よりも大きい降伏強度を有し、自己拡張型ステント要素の半径方向拡張力よりも大きい第二の半径方向拡張力を加えると、自己拡張型ステント要素をグラフト構成要素の拡大直径に半径方向に維持するように構成される。
【0010】
例1に対するさらに別の例(「例2」)によれば、グラフト構成要素は第二の半径方向拡張力の印加時に塑性変形に抗するように構成される。
【0011】
例1~2のいずれか1つに対するさらに別の例(「例3」)によれば、自己拡張型ステント要素の拡大直径は、グラフト構成要素の拡大直径よりも2%~25%大きい。
【0012】
例1~3のいずれか1つに対するさらに別の例(「例4」)によれば、グラフト構成要素は、自己拡張型ステント要素に取り付けられた連続構造であって、自己拡張型内部人工器官のフロー管腔を形成する。
【0013】
例1~4のいずれか1つに対するさらに別の例(「例5」)によれば、自己拡張型ステント要素は、頂部を連結するストラットによって形成された複数の起伏を含む。
【0014】
例5に対するさらに別の例(「例6」)によれば、頂部はアーチ腹面及びアーチ背面を含み、グラフト構成要素は頂部のアーチ腹面での引張応力を減少させるように構成される。
【0015】
例5に対するさらに別の例(「例7」)によれば、頂部はアーチ腹面及びアーチ背面を含み、グラフト構成要素は頂部のアーチ腹面の圧縮を維持するように構成される。
【0016】
例7に対するさらに別の例(「例8」)によれば、自己拡張型ステント要素及びグラフト構成要素は縮小構成に縮小され、頂部のアーチ腹面は展開構成に拡張した後も圧縮されたままである。
【0017】
例1~8のいずれか1つに対するさらに別の例(「例9」)によれば、自己拡張型ステント要素は製造時直径にヒートセットされる。
【0018】
例9に対するさらに別の例(「例10」)によれば、自己拡張型ステント要素の製造時直径はグラフト構成要素の拡大直径よりも15%~20%大きい。
【0019】
例1~10のいずれか1つに対するさらに別の例(「例11」)によれば、自己拡張型ステント要素の製造時直径は、グラフト構成要素の拡大直径よりも約1mm~3mm大きい。
【0020】
例1~11のいずれか1つに対するさらに別の例(「例12」)によれば、自己拡張型ステント要素及びグラフト構成要素は、4フレンチ~26フレンチの縮小直径に圧縮するように構成される。
【0021】
例12に対するさらなる別の例(「例13」)によると、グラフト構成要素の拡大直径は2mm~53mmである。
【0022】
例1~3のいずれか1つに対するさらに別の例(「例14」)によれば、自己拡張型ステント要素は7mm~32mmの製造時直径を有し、グラフト構成要素は5mm~27mmの拡張直径を有する。
【0023】
例14に対するさらに別の例(「例15」)によれば、グラフト構成要素は、グラフト構成要素の拡張直径を超えて拡張することなく、自己拡張型ステント要素からの外側方向力より大きい半径方向拡張力に抗するように構成され、そして前記半径方向拡張力は3気圧~6気圧である。
【0024】
一例(「例16」)によれば、自己拡張型内部人工器官は、7mm~32mmの製造時直径を有する自己拡張型ステント要素、5mm~27mmの拡張直径を有するグラフト構成要素を含み、ここで、自己拡張型ステント要素の自己展開直径はグラフト構成要素の拡張直径よりも少なくとも2%~25%大きく、自己拡張型ステント要素は少なくとも部分的にグラフト構成要素に取り付けられており、ここで、自己拡張型内部人工器官が完全に展開されると、自己拡張型ステント要素は、グラフト構成要素の拡張直径を超えて拡張することなく、グラフト構成要素に対して外側方向の力を加え続ける。
【0025】
例16に対するさらに別の例(「例17」)によれば、グラフト構成要素は、グラフト構成要素の拡張直径を超えて拡張することなく、自己拡張型ステント要素からの外側方向の力より大きい半径方向拡張力に抗するように構成され、半径方向拡張力は3気圧~6気圧である。
【0026】
例16~17のいずれか1つに対するさらに別の例(「例18」)によれば、自己拡張型ステント要素はストラットによって形成される複数の起伏を含み、頂部はアーチ腹面及びアーチ背面を含み、グラフト構成要素は頂部のアーチ腹面の圧縮を維持するように構成される。
【0027】
例18に対するさらに別の例(「例19」)によれば、自己拡張型ステント要素は、グラフト構成要素をそれに取り付ける前に、製造時直径から自己展開直径まで縮小され、取り付けによって頂部のアーチ腹面を圧縮状態とする。
【0028】
一例(「例20」)によれば、自己拡張型内部人工器官は、22mm~58mmの中立直径を有する自己拡張型ステント要素、20mm~53mmの拡張直径を有し、そして自己拡張型ステント要素に取り付けられたグラフト構成要素を含み、ここで、前記自己拡張型ステント要素及び前記グラフト構成要素は、患者への導入のために、完全に展開された構成からデリバリー構成に縮小するように構成され、前記自己拡張型ステント要素の自己展開直径は、前記グラフト構成要素の拡張直径より少なくとも2%~25%大きく、そして前記グラフト構成要素は、自己拡張型ステント要素をグラフト構成要素の拡張直径に維持するように構成される。
【0029】
例20に対するさらに別の例(「例21」)によれば、自己拡張型ステント要素は、完全に展開された構成でグラフト構成要素に対してオーバーサイズであり、それにより、グラフト構成要素に対して外側方向の力を課す。
【0030】
例20に対するさらに別の例(「例22」)によれば、グラフト構成要素は、グラフト構成要素の拡張直径を超えて拡張することなく、自己拡張型ステント要素からの外側方向の力より大きい半径方向拡張力に抗するように構成されており、前記半径方向拡張力は3気圧~6気圧である。
【0031】
一例(「例23」)によれば、縮小構成及び展開構成を有する自己拡張型内部人工器官であって、前記自己拡張型内部人工器官は、拡大直径を有する自己拡張型ステント要素、及び、前記自己拡張型ステント要素の少なくとも一部に結合された直径方向拘束体であって、自己拡張型ステントの部分を、展開構成における自己拡張型ステント要素の拡大直径よりも小さい拡大直径に拘束するように構成されている直径方向拘束体を含み、ここで、展開構成において、自己拡張型ステント要素はグラフト構成要素に半径方向拡張力を及ぼし、グラフト構成要素は半径方向拡張力よりも大きい降伏強度を有し、自己拡張型ステント要素の半径方向拡張力よりも大きい第二の半径方向拡張力を課すと、自己拡張型ステント要素をグラフト構成要素の拡大直径に半径方向に維持するように構成される。
【0032】
例23に対するさらに別の例(「例24」)によれば、直径方向拘束体は自己拡張型ステント要素の部分を通って織られているフィラメントである。
【0033】
一例(「例25」)によれば、縮小構成と展開構成とを有する自己拡張型内部人工器官であって、前記自己拡張型内部人工器官は、製造時直径及び拡張直径を有する自己拡張型ステント要素、及び、前記自己拡張型ステント要素に取り付けられ、展開構成における自己拡張型ステント要素の拡大直径よりも小さい拡大直径を有するグラフト構成要素を含み、ここで、前記自己拡張型ステントは、前記縮小構成に縮小されることに応答しそして展開直径で塑性歪みを示すように構成される。
【0034】
一例(「例26」)によれば、縮小構成及び展開構成を有する自己拡張型内部人工器官を製造する方法であって、前記方法は自己拡張型ステント要素を製造時直径からグラフト構成要素の拡張直径に縮小すること、グラフト構成要素の拡張直径で自己拡張型ステント要素をグラフト構成要素に結合すること、自己拡張型内部人工器官を縮小構成に縮小することによって、自己拡張型ステント要素に塑性歪みを誘発することを含む。
【0035】
一例(「例27」)によると、縮小構成及び展開構成を有する自己拡張型内部人工器官で患者の脈管内の標的位置を処置する方法であって、前記方法は自己拡張型内部人工器官を標的位置に配置すること、ここで、自己拡張型内部人工器官は、製造時直径及び拡張直径を有する自己拡張型ステント要素と、前記自己拡張型ステント要素に取り付けられ、展開構成における自己拡張型ステント要素の拡大直径よりも小さい拡大直径を有するグラフト構成要素とを含み、グラフト構成要素は自己拡張型ステント要素に結合されて、自己拡張型ステント要素を製造時直径からグラフト構成要素の拡張直径に縮小し、前記自己拡張型ステント要素は、縮小構成に縮小されることに応答してそして展開直径で塑性歪みを示すように構成される、及び、自己拡張型内部人工器官を縮小構成から展開構成に拡張することを含む。
【0036】
複数の実施形態が開示されているが、本発明のさらに他の実施形態は、本発明の例示的な実施形態を示し説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図面の簡単な説明
図1A図1Aは製造時直径での自己拡張型ステント要素の例を示し、本開示の様々な態様と一致する。
図1B図1Bは、図1Aに示すように、自己拡張型ステント要素に取り付けられたグラフト構成要素を含む自己拡張型内部人工器官を示し、本開示の様々な態様と一致する。
図1C図1Cは、図1Bに示すように、自己拡張型内部人工器官を、その縮小直径で示し、本開示の様々な態様と一致する。
図2A図2Aは拡張直径での自己拡張型ステントの別の例を示し、本開示の様々な態様と一致する。
図2B図2Bは、図2Aに示すように、直径方向拘束体及び自己拡張型ステント要素の第一の構成を示し、本開示の様々な態様と一致する。
図2C図2Cは、図2Aに示すように、直径方向拘束体及び自己拡張型ステント要素の第二の構成を示し、本開示の様々な態様と一致する。
図3図3は縮小構成の例示的な自己拡張型内部人工器官を示し、本開示の様々な態様と一致する。
図4図4は別の例示的な自己拡張型内部人工器官を示し、本開示の様々な態様と一致する。
図5図5は、グラフト構成要素及び自己拡張型ステント要素の一部がグラフト構成要素から取り外された状態の自己拡張型ステント要素を含む自己拡張型内部人工器官の例を示し、本開示の様々な態様と一致する。
図6図6は本開示の様々な態様と一致するグラフを示す。
図7図7は本開示の様々な態様と一致する自己拡張型内部人工器官を示す。
図8図8は本開示の様々な態様と一致する別の自己拡張型内部人工器官を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
開示された主題は様々な変更形態及び代替形態に適しているが、特定の実施形態は図面に例として示されており、以下に詳細に説明されている。しかしながら、その意図は、開示を記載された特定の実施形態に限定することではない。逆に、本開示は、添付の特許請求の範囲によって特徴付けられるような開示の主題の範囲内に含まれるすべての変更形態、均等形態及び代替形態を網羅することを意図している。
【0039】
用語が測定の範囲に関して本明細書で使用されるとき(例えば、直前に開示されたもの)、「約」及び「およそ」は相互互換的に使用されることができ、記載された測定値を含み、そして、記載された測定値に合理的に近いが、測定誤差、測定値の差異及び/又は製造装置の校正、測定値の読み取り及び/又は設定における人的ミス、他の構成要素に関連する測定値の違いを考慮した性能及び/又は構造パラメータを最適化するための調整、特定の実装シナリオ、人又は機械による不正確な調整及び/又は対象物の操作などに起因する、当業者により理解され、容易に確認されるような合理的にわずかな量だけ異なりうる測定値をも含む測定値を指す。
【0040】
同様に、例示的な方法は1つ以上の図面(例えば、フローダイアグラム、通信フローなど)によって表すことができるが、図面は、本明細書に開示されている様々な工程の要件又は特定の順序を意味するものとして解釈されるべきではない。しかしながら、特定の実施形態は、本明細書に明示的に記載され得るように、及び/又は、工程自体の性質から理解され得るように、特定の工程及び/又は特定の工程の特定の順序を要求しうる(例えば、幾つかの工程の実行は前の工程の結果に依存しうる)。さらに、項目の「セット」、「サブセット」又は「グループ」(例えば、入力、アルゴリズム、データ値など)は、1つ以上の項目を含むことができ、同様に、項目のサブセット又はサブグループは、1つ以上の項目を含むことができる。「複数」は1より多いことを意味する。
【0041】
詳細な説明
本開示の様々な態様はグラフト構成要素に取り付けられた自己拡張型ステント要素を含むメディカルデバイス(又は自己拡張型内部人工器官)を対象とする。特定の例において、ステントグラフトは、経カテーテル手法により標的位置にデリバリーされうる。したがって、ステントグラフトをデリバリー形態に縮小することができる。デリバリープロファイル(例えば、デリバリー構成におけるステントグラフトの直径)を最小にすることは、治療部位へのアクセスを容易にし、そしてアクセス部位の合併症の危険性を減少させうる。
【0042】
図1Aは、本開示の様々な態様と一致する製造時直径102の自己拡張型ステント100の一例を示す。自己拡張型ステント要素100を自己拡張型ステント要素100の製造時直径102で図1Aに示す。特定の場合には、自己拡張型ステント要素100は自己拡張型ステント要素100の製造時直径102でヒートセットされうる。さらに、自己拡張型ステント100は、複数の頂部を有するワイヤ巻きステントでありうる(例えば、図4を参照してさらに詳細に説明されるとおり)。自己拡張型ステント100は、図1Bに示すように自己拡張型内部人工器官104の一部を形成することができる。
【0043】
図1Bは、自己拡張型ステント要素100の少なくとも一部に取り付けられたグラフト構成要素106を含む自己拡張型内部人工器官104を示す。特定の場合には、グラフト構成要素106は自己拡張型ステント要素100に取り付けられた連続構造であり、自己拡張型内部人工器官104のフロー管腔を形成する。図1Bに示すように、自己拡張型内部人工器官104は展開構成で示されている。グラフト構成要素106は、自己拡張型内部人工器官104の展開構成においてグラフト構成要素106の拡張直径108で配置される。特定の場合には、自己拡張型内部人工器官104の展開構成におけるグラフト構成要素106の拡張直径108は約5mm~27mmであることができる。
【0044】
自己拡張型ステント要素100の製造時直径102は、自己拡張型内部人工器官104の展開構成におけるグラフト構成要素106の拡張直径108よりも約1mm~5mm大きくてよい(例えば、2mm~5mm、5mm~13mm、35mm~53mm、又はそれらの間の任意の寸法)。他の場合には、自己拡張型ステント要素100の製造時直径102は、自己拡張型内部人工器官104の展開構成におけるグラフト構成要素106の拡張直径108よりも2%~20%大きくてよい。グラフト構成要素106の拡張直径は、自己拡張型ステント要素100の拡張直径よりも小さくてよい。例えば、グラフト構成要素106の拡張直径108は5mm~27mmであってもよく、他の場合には、グラフト構成要素106の拡張直径108は20mm~53mmであってよい。いずれの場合も、自己拡張型ステント要素100の製造時直径102はグラフト構成要素106の拡張直径108よりも2%~20%大きい。
【0045】
特定の場合において、自己拡張型内部人工器官104が展開構成にあるときに、自己拡張型ステント要素100は、グラフト構成要素106に沿って半径方向拡張力を及ぼすように構成されうる。グラフト構成要素106は自己拡張型ステント要素100により及ぼされる半径方向拡張力よりも大きい降伏強度を有することができる。さらに、グラフト構成要素106は、自己拡張型ステント要素100の半径方向拡張力よりも大きい第二の半径方向拡張力を加えると、自己拡張型ステント要素100をグラフト構成要素106の拡張直径に半径方向に維持するように構成されうる。
【0046】
第二の半径方向拡張力は、拡大直径よりも大きい直径まで塑性変形することなく、グラフト構成要素106を拡大直径まで拡大するのに十分でありうる。第二の半径方向拡張力は、自己拡張型ステント要素100及び/又はグラフト構成要素106の直径に依存しうる。例えば、より大きな直径のグラフト構成要素106は、より小さな直径のグラフト構成要素106よりも拡張力に対する抵抗性が低い可能性がある。特定の場合には、第二の半径方向拡張力は3気圧(atm)~6気圧(atm)である。特定の場合には、グラフト構成要素106は、グラフト構成要素106の直径が0.5mmを超えて拡大することなく、第二の半径方向拡張力が10秒間、20秒間又は30秒間印加されうるような降伏強度を有することができる。特定の場合には、グラフト構成要素106は、それに加えられた力に応答して、0.1mm、0.2mm又は0.3mm又は0.4mmを超えて拡大しない。
【0047】
特定の場合には、グラフト構成要素106は、第二の半径方向拡張力を加えたときに塑性変形に抗する(及び/又は破損及び破損に抗する)ように構成される。グラフト構成要素106は、例えば、第二の半径方向拡張力に応答して、自己拡張型内部人工器官104をグラフト構成要素106の拡張直径108に維持するように構成されうる。グラフト構成要素106は、自己拡張型内部人工器官104が第二の半径方向拡張力に応答して拡張することができるのとは対照的に、自己拡張型内部人工器官104の拡張を軽減する。
【0048】
さらに、自己拡張型ステント要素100の製造時直径102は7mm~32mmであることができ、グラフト構成要素106の拡張直径108は5mm~27mmであることができる。特定の場合には、自己拡張型ステント要素100の製造時直径102は22mm~58mmであることができ、グラフト構成要素106の拡張直径108は20mm~53mm(自己拡張型ステント要素100の製造時直径102より1mm~5mm小さい)であることができる。特定の場合には、自己拡張型ステント要素100の拡張直径110は、製造時直径102からの塑性変形後のグラフト構成要素106の拡張直径108よりも2%~25%大きい。
【0049】
図1Cは、図1Aに示すように、その縮小直径112での自己拡張型内部人工器官104を示し、本開示の様々な態様と一致する。縮小直径112において、自己拡張型内部人工器官104は患者への挿入のためのデリバリー構成で構成されうる。さらに、自己拡張型ステント要素100及びグラフト構成要素106は、約4フレンチ~約24フレンチの縮小直径112まで縮小するように構成される。自己拡張型ステント要素100及びグラフト構成要素106の直径に応じて、他の縮小直径は可能である。特定の場合には、自己拡張型ステント要素100が可塑歪みを誘発するような直径に自己拡張型内部人工器官104を縮小する。
【0050】
特定の場合には、自己拡張型内部人工器官104は、自己拡張型ステント要素100における塑性歪み開始を超えてサイズが縮小されることができ、例えば、自己拡張型内部人工器官104は自己拡張型ステント要素100の塑性歪み開始を超えて、(自己拡張型内部人工器官104の直径に応じて)0.5mm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、4.5mm又は5mmに縮小されうる。自己拡張型内部人工器官104の自己拡張型ステント要素100は、図1Cに示すデリバリー構成から図1Bに示す展開形態へと展開した後に塑性歪みを示すように構成されうる。自己拡張型内部人工器官104は、患者の脈管構造内の標的位置でそこの治療のためにデリバリー(又は縮小)構成から展開構成へとデリバリーすることができる。
【0051】
自己拡張型ステント要素100の製造時直径102は、塑性歪みが誘発されておらず、かつグラフト構成要素106に結合されていない場合に、自己拡張型ステント要素100が展開する直径と考えることができる。拡張性ステント要素100は、自己拡張型ステント要素100の製造時直径102から縮小して、グラフト構成要素106をそれに結合することができる。自己拡張型ステント要素100の製造時直径102は、中立、公称、自己展開型又は公平な直径と考えることができる。例えば、自己拡張型ステント要素100の中立又は公称直径102は、自己拡張型ステント要素100が塑性変形しなければ自己拡張型ステント要素100が中立又は公称直径102に回復するであるような中立又は公称の直径であることができる。
【0052】
特定の場合には、自己拡張型ステント要素100の全部又は一部をグラフト構成要素106の拡張直径108よりも大きい直径にヒートセットすることは自己拡張型ステント要素100に事前に歪みを与えうる。自己拡張型ステント要素100の事前歪みは、破砕/荷重プロセス中に生じる塑性変形の影響を打ち消すか又は相殺することができ、それは、自己拡張型内部人工器官104を図1Bに示される展開構成から図1Cに示されるデリバリー構成へと縮小する。
【0053】
図1に示された例示的な構成要素は、開示の主題の実施形態の使用又は機能の範囲に関していかなる限定を示唆することも意図していない。また、例示的な構成要素は、そこに示されている任意の単一の構成要素又は構成要素の組み合わせに関連する任意の従属性又は要件を有すると解釈されるべきでもない。さらに、図1のいずれかに示される構成要素のうちのいずれか1つ以上の構成要素は、実施形態において、その中に示されている様々な他の構成要素(及び/又は図示されていない構成要素)と統合することができ、これらのすべては開示の主題の範囲内にあると考えられる。
【0054】
図2Aは製造時直径202での別の例示的な自己拡張型ステント200を示し、本開示の様々な態様と一致する。自己拡張型ステント200の製造時直径202は、2mm~13mm、又は35~53mm、又はその間のいずれかでありうる。特定の場合には、自己拡張型ステント200は自己拡張型ステント200の製造時直径202でヒートセットされうる。さらに、自己拡張型ステント200は複数の頂部を有するワイヤ巻きステントであることができる(例えば、図4を参照してさらに詳細に説明されるとおり)。さらに、自己拡張型ステント200は、図2Bに示されるように、インプラント可能なステントグラフトデバイス204の一部を形成することができる。
【0055】
図2Bは直径方向拘束体206及び自己拡張型ステント要素200の第一の構成を示し、直径方向拘束体206の図2Aに示すような第一の拡張直径208及び第二の拡張直径210におけるものであり、本開示の様々な態様と一致する。図2Bに示すように、直径方向拘束体206は、自己拡張型ステント要素200の一部を通って織られたフィラメントである。フィラメントは連続グラフト構成要素と同様の材料であることができる。他の場合には、直径方向拘束体206はワイヤ構造とは対照的に連続グラフト構成要素である(例えば、図1Bに示されるように)。いずれの場合にも、直径方向拘束体206はインプラント可能なステントグラフトデバイス204が複数の直径を含むように配置されうる。特定の場合には、直径方向拘束体206の第一の拡張直径208及び第二の拡張直径210のいずれかは、5mm~27mmの拡張直径を含む。より具体的には、自己拡張型ステント200の製造時直径202は直径方向拘束体206の第一の拡張直径208及び第二の拡張直径210のいずれよりも約1mm~5mm大きいことができる。
【0056】
特定の場合には、自己拡張型ステント要素200は、直径方向拘束体206が取り付けられているときに、直径方向拘束体206の第一の拡張直径208及び第二の拡張直径210よりも少なくとも2%~25%大きい自己展開直径を有することができる。自己拡張型ステント要素200の自己展開直径は、自己拡張型ステント要素200が直径方向拘束体206に結合されていない場合に自己展開型ステント要素200が展開するであろう直径と考えることができる。自己拡張型ステント200を自己拡張型ステント200の製造時直径202から縮小し、それにより、直径方向拘束体206を自己拡張型ステント200に結合する。さらに、そして上記のように、図1Cを参照すると、インプラント可能なステントグラフトデバイス204は、患者へのインプラント処置のためのデリバリー構成に縮小されうる。特定の場合には、インプラント可能なステントグラフトデバイス204をデリバリー構成に縮小すること、及び/又は、自己拡張型ステント要素200を製造時直径202から縮小することで、自己拡張型ステント要素200を塑性変形させることができ、それにより、自己拡張型ステント要素200は直径方向拘束体206の少なくとも第一の拡張直径208及び第二の拡張直径210である自己展開直径に展開するように構成されうる。
【0057】
さらに、自己拡張型ステント要素200は、インプラント可能なステントグラフトデバイス204が完全に展開されたときに(図2Bに示されるように)、直径方向拘束体206の第一の拡張直径208及び第二の拡張直径210を超えて拡張することなく、直径方向拘束体206に対して外側方向力を課し続けるように構成されうる。さらに、特定の場合には、直径方向拘束体206は第一の拡張直径208及び第二の拡張直径210を超えて拡張することなく、自己拡張型ステント要素200からの外側方向力よりも大きい半径方向拡張力に抗するように構成されうる。半径方向拡張力は、自己拡張型ステント要素200及び/又は直径方向拘束体206の直径によることができる。例えば、より大きい直径の直径方向拘束体206は、より小さい直径の直径方向拘束体206よりも拡張力に対する抵抗性が低いことができる。特定の場合には、半径方向の拡張力は3気圧から6気圧である。
【0058】
図2Cは、図2Aに示すように、自己拡張型ステント要素200に取り付けられた直径方向拘束体206の第二の構成を示す。図2Cに示すように、直径方向拘束体206は、自己拡張型ステント要素200の一部を通して織られたワイヤ構造である。他の場合には、直径方向拘束体206はワイヤ構造とは対照的に連続グラフト構成要素であることができる(例えば、図1Bに示すように)。直径方向拘束体206は、直径方向拘束体206が単一の拡張直径212を含むように自己拡張型ステント要素200に取り付けられることができる。
【0059】
図3は、縮小構成の例示的な自己拡張型内部人工器官300,302を示し、本開示の様々な態様と一致する。自己拡張型内部人工器官300,302はそれぞれ、グラフト構成要素及び事前歪みステント構成要素を含む。自己拡張型内部人工器官300,302の事前歪みステント構成要素は、図示の低プロファイル縮小(デリバリー)構成を可能にするために縮小ワイヤ直径を含むことができる。内部人工器官のステントのワイヤ直径は、その構造的強度に寄与しうる。内部人工器官を縮小(デリバリー)構成に縮小する際に力を加えることができ、体内にインプラントされるときに内部人工器官に対して作用する力はワイヤ直径のサイズを制限することができる。自己拡張型内部人工器官300,302のステント構成要素を事前に歪ませることは、自己拡張型内部人工器官300,302に課される半径方向の力に耐えるステント構成要素の能力を高めることができる。さらに、自己拡張型内部人工器官300,302の事前歪みステント構成要素の縮小ワイヤ直径は縮小(デリバリー)構成を最適化し、自己拡張型内部人工器官300,302は、ワイヤ直径が等しい場合の事前歪みステント構成要素を有しない同サイズのデバイスと比較して、より小さい縮小(デリバリー)構成に縮小させることができる。
【0060】
図6を参照して以下でさらに詳細に論じるように、事前歪みステント構成要素はまた、展開直径、半径方向力及び疲労寿命を最適化し、そして縮小ワイヤ直径のために剛性を減少させうる。さらに、事前歪みステント構成要素はまた、事前歪み状態であること、及び/又は、事前歪みステント構成要素はグラフト構成要素の取り付け後の拡張直径よりも大きい製造時(又は弛緩)ステント直径を有することから、圧縮抵抗(半径方向)も増大しうる。
【0061】
図4は別の例示的なインプラント可能なステントグラフトデバイス400を示し、本開示の様々な態様と一致する。自己拡張型インプラント可能ステントグラフトデバイス400は自己拡張型ステント要素402とグラフト構成要素404とを含む。図4に示すように、自己拡張型ステント要素がグラフト構成要素404によって拘束されていない場合には、自己拡張型ステント要素はグラフト構成要素404の直径を超えて拡張する。
【0062】
自己拡張型ステント要素402は、7mm~32mmの製造時直径を有することができ、グラフト構成要素404は5mm~27mmの拡張直径を有することができる。特定の場合には、自己拡張型ステント要素402は、22mm~58mmの製造時直径を有し、グラフト構成要素404は、20mm~53mm、又は自己拡張型ステント要素402の製造時直径よりも1mm~5mm小さい拡張直径を有する。より具体的には、自己拡張型ステント要素402の製造時直径は、グラフト構成要素404の拡張直径よりも約1mm~3mm大きいことができる。さらに、自己拡張ステント要素402は、グラフト構成要素404の拡張直径よりも2%~25%大きい自己展開直径を含む(例えば、自己拡張型ステント要素402がグラフト構成要素404に取り付けられていない場合)。インプラント可能なステントグラフトデバイス400が完全に展開されると、自己拡張型ステント要素402は、グラフト構成要素404をその拡張直径を超えて拡張することなく、グラフト構成要素404に対して外側方向の力を課すように構成されうる。さらに、特定の場合には、グラフト構成要素404は、グラフト構成要素404の拡張直径を超えて拡張することなく、自己拡張型ステント要素402からの外側方向の力よりも大きい半径方向拡張力に抗するように構成されうる。半径方向拡張力は自己拡張型ステント要素402及び/又はグラフト構成要素404の直径によることができる。例えば、より大きい直径のグラフト構成要素404は、より小さい直径のグラフト構成要素404よりも拡張力に対する抵抗が低く、半径方向拡張力は3気圧~6気圧である。
【0063】
自己拡張型ステント要素402は複数の起伏を含むことができる。図4に示すように、自己拡張型ステント要素402は、複数の起伏を形成する複数の列406,408,410,412を含む。2セットの起伏が強調表示されているが、複数の起伏のそれぞれは、頂部416,420で相互連結されたストラット414,418によって形成されている。頂部416,420はアーチ腹面422,426(頂部の内側部分)及びアーチ背面424,428(頂部の外側部分)を含む。
【0064】
特定の場合には、グラフト構成要素404は自己拡張型ステント要素402に取り付けられ、頂部416,420のアーチ腹面422,426における引張応力を減少させるように構成されることができる。特定の場合には、インプラント可能なステントグラフトデバイス400をデリバリー構成に縮小すること、及び/又は、グラフト構成要素404を自己拡張型ステント要素402に取り付けるために自己拡張型ステント要素402を製造時直径から縮小することは、頂部416,420のアーチ腹面422,426が圧縮状態に配置されるように自己拡張型ステント要素402を塑性変形させうる。自己拡張型ステント要素402の塑性変形、自己拡張型ステント要素402及びグラフト構成要素404の完全展開構成への展開の後に、頂部416,420のアーチ腹面422,426における引張応力は減少する。というのは、拡張ステント要素402は、製造時直径よりも小さい構成に維持されるからである。張力がかかっているアーチ腹面422,426は、張力がかかっていない又は圧縮されていないアーチ腹面422,426よりも破断又は破損する可能性が高い。したがって、頂部416のアーチ腹面422,426における張力を低減することは、自己拡張型ステント要素402の耐疲労性及び信頼性を向上させることができる。
【0065】
さらに、グラフト構成要素404は、自己拡張型ステント要素402に取り付けられ、そして頂部416,420のアーチ腹面422,426の圧縮を維持するように構成されることができる。特定の場合には、頂部416,420のアーチ腹面422,426を圧縮状態に維持することによって引張応力の低減が起こりうる。しかしながら、例示目的のために、自己拡張型ステント要素402の複数の起伏の列410は、グラフト構成要素404に取り付けられていない状態で示されている。取り付けられていないアーチ腹面422と比較した取り付けられたアーチ腹面426の圧縮は、取り付けられたアーチ腹面426のストラット418間の長さ432が、取り付けられたアーチ腹面426が圧縮状態にあるために、取り付けられていないアーチ腹面422のストラット414間の長さ430よりも短いので、ストラット414,418間の長さ430,432の差異によって例示される。
【0066】
特定の場合には、グラフト構成要素404は、完全展開(拡張)構成で頂部416,420のアーチ腹面422,426の圧縮を維持するように構成される。さらに、グラフト構成要素404は、グラフト構成要素404の拡張直径を超えて拡張することなく、自己拡張型ステント要素からの外側方向の力よりも大きい半径方向拡張力に応答して、アーチ腹面422,426の圧縮を維持するように構成される。さらに、自己拡張型ステント要素402を製造時直径から縮小して、グラフト構成要素404をそれに結合することができる。さらに、そして、図1C及び図3を参照して上述したように、インプラント可能なステントグラフトデバイス400は、患者へのインプラント処置のために、デリバリー構成に縮小することができる。上述のように、インプラント可能なステントグラフトデバイス400を縮小することは、頂部416,420のアーチ腹面422,426が圧縮状態で配置されるように自己拡張型ステント要素402を塑性変形させることができる。
【0067】
自己拡張型ステント要素402の製造時直径は、中立、公称、自己展開直径又は偏りのない直径と考えることができる。例えば、自己拡張型ステント要素402の中立又は公称直径は、自己拡張型ステント要素402が塑性変形していなかった場合に自己拡張型ステント要素402が中立又は公称直径に回復するであろうような中立又は公称直径であることができる。
【0068】
頂部416,420のアーチ腹面422,426を圧縮状態に維持することにより、自己拡張型ステント要素402の破損を軽減することができる。頂部416,420のアーチ腹面422,426における張力によって、アーチ腹面422,426にクラックが入ることがあり、自己拡張型ステント要素402の疲労寿命に悪影響を及ぼすことがある。さらに、頂部416,420のアーチ腹面422,426を圧縮状態に維持することは、自己拡張型デバイス400のデリバリー構成から完全展開(拡張)構成への均一な拡張を容易にすることができる。さらに、自己拡張型デバイス400をデリバリー構成に押しつぶすか又は縮小することは、自己拡張型ステント要素402を塑性変形させて、グラフト構成要素404が頂部416,420のアーチ腹面422,426を圧縮状態に維持する能力を確保しうる。
【0069】
図5は、グラフト構成要素504と自己拡張型ステント要素502とを含む例示の自己拡張型内部人工器官500であって、自己拡張型ステント要素502の部分506はグラフト構成要素504から取り外されているものを示し、本開示の様々な態様と一致する。例示目的のために、自己拡張型ステント要素502の一部はグラフト構成要素504から取り外されている状態で示されている。自己拡張型ステント要素502の全ての側面はグラフト構成要素504に取り付けられていることができる。
【0070】
自己拡張型ステント要素502の一部は、グラフト構成要素504から取り外された状態で示されている。拡張型ステント要素502は、グラフト構成要素504の拡張直径よりも2%~25%大きい自己展開直径(例えば、自己拡張型ステント要素502がグラフト構成要素504に取り付けられなかった場合)を含むことができる。自己拡張型ステント要素502は、5mm~27mm(又は5mm~53mm)の製造時直径を有することができ、グラフト要素504は5mm~27mmの拡張直径を有することができ、又は、自己拡張型ステント要素502はグラフト構成要素504よりも1mm~5mm(2%~25%)大きい直径を有する。特定の場合には、自己拡張型ステント要素502は、22mm~58mmの製造時直径を有することができ、グラフト要素504は20mm~53mmの拡張直径、又は、自己拡張型ステント要素502の製造時直径よりも1mm~5mm小さい拡張直径を有することができる。より具体的には、自己拡張型ステント要素502の製造時直径はグラフト構成要素504の拡張直径よりも大きいことができる。さらに、そして特定の場合には、自己拡張型ステント要素502は、完全展開構成におけるグラフト構成要素504に対してオーバーサイズであることができ、それにより、1つのグラフト構成要素に対して外側方向の力を課す。
【0071】
さらに、自己拡張型ステント要素502は、グラフト構成要素504に取り付けるために、製造時直径からグラフト構成要素504の拡張直径まで縮小することができる。自己拡張型ステント要素502を縮小することにより、又は自己拡張型ステント要素502をデリバリー構成に縮小すること(例えば、図1C及び図3に示すように)により、自己拡張型ステント要素502は、自己展開直径まで展開するが、グラフト構成要素504に取り付けることによってグラフト構成要素504の拡張直径に保持される。
【0072】
インプラント可能なステントグラフトデバイス500が完全に展開されると、自己拡張型ステント要素502は、グラフト構成要素504をその拡張直径を超えて拡張することなく、グラフト構成要素504に対して外側方向の力を加えるように構成されうる。さらに、特定の場合には、グラフト構成要素504は、グラフト構成要素504の拡張直径(例えば、グラフト構成要素504の製造時直径)を超えて拡張することなく、自己拡張型ステント要素502からの外側方向の力より大きい半径方向拡張力に抗するように構成されうる。半径方向拡張力は、自己拡張型ステント要素502及び/又はグラフト構成要素504の直径によることができる。例えば、より大きい直径のグラフト構成要素504は、より小さい直径のグラフト構成要素504よりも拡張力に対する抵抗性が低いことができ、ここで、半径方向拡張力は3気圧~6気圧である。例えば、特定の場合には、インプラント可能なステントグラフトデバイス500の直径をおよそ0.5mmを超えて増大させることなく、1、2、5、10、20又は30秒の時間にわたって半径方向拡張力3気圧~6気圧である。
【0073】
自己拡張型ステント要素502の製造時直径は、中立、公称、自己展開直径又は偏りのない直径と考えることができる。上記のように、自己拡張型ステント要素502は、自己拡張型ステント要素502を製造時又は公称直径から縮小することによって塑性変形させることができる。例えば、自己拡張型ステント要素502の中立又は公称直径は、自己拡張型ステント要素502が塑性変形していなかった場合に自己拡張型ステント要素502が中立又は公称直径に回復するであろうような中立又は公称の直径であることができる。
【0074】
図5に示された例示的な構成要素は開示の主題の実施形態の使用又は機能の範囲に関していかなる限定を示唆することも意図していない。また、例示的な構成要素は、そこに示されている任意の単一の構成要素又は構成要素の組み合わせに関連する任意の従属性又は要件を有すると解釈されるべきでない。さらに、図5に示される構成要素のうちのいずれかの1つ以上の構成要素は、幾つかの実施形態において、その中に描かれている様々な他の構成要素(及び/又は図示されていない構成要素)と統合することができ、それらすべては開示の主題の範囲内にあると考えられる。例えば、グラフト構成要素504は、図4を参照して上述したように、自己拡張型ステント要素502の頂部のアーチ腹面を圧縮状態に維持するように構成されうる。
【0075】
図6は本開示の様々な態様と一致するグラフを示す。グラフは、グラフト構成要素とステント構成要素とを有する内部人工器官のプロット600,602,604を含み、ステント構成要素は様々な直径を有する。プロット600は、様々な内部人工器官の直径において、0.0185インチのワイヤ直径を有する事前歪みステント要素を有する内部人工器官に対して課される半径方向の力を示す。事前歪みステントは、グラフト構成要素の拡張直径よりも4mm大きい製造時直径を有する。プロット602は、様々な内部人工器官の直径において、0.0195インチのワイヤ直径を有する事前歪みステント要素を有する内部人工器官に対して課される半径方向の力を示す。事前歪みステントは、グラフト構成要素の拡張直径よりも2mm大きい製造時直径を有する。プロット604は、様々な内部人工器官の直径において、0.0205インチのワイヤ直径を有する、事前歪みのないステント要素を有する内部人工器官に対して課される半径方向の力を示す。
【0076】
プロット600,602(事前歪み)の勾配はプロット604(事前歪みなし)の勾配よりも小さい。ステント構成要素を事前に歪ませることは、自己拡張型内部人工器官300,302に対して課される半径方向の力に耐えることができるステント構成要素の能力を向上させることができる。したがって、プロット604の内部人工器官(事前歪みなしで、より大きいワイヤ直径を有する)と比較して、プロット600,602の内部人工器官(事前歪み)は、およそ同一の又は縮小(デリバリー)構成に縮小されうる。幾つかの場合には、プロット600,602の内部人工器官(事前歪み)は、より小さなデリバリー構成に縮小することができる。
【0077】
さらに、プロット600,602の内部人工器官(事前歪み)は、より小さい直径のステントワイヤを使用しながら、プロット604の内部人工器官(事前歪みなし)と完全展開直径で半径方向圧縮に対してほぼ同じ抵抗性であることができる。さらに、ステントフレームの事前歪みは、内部人工器官の縮小(デリバリー)構成への圧壊/負荷時にステント構成要素200の材料歪み及び結果として生じる塑性変形を増加させうる。塑性変形は、ステント構成要素の表面(例えば、アーチ腹面422,426)に残留圧縮応力を生じさせる可能性がある。さらに、ステント構成要素は内部人工器官の展開後のグラフト直径を超えて拡張することができず、これは、圧縮的に塑性変形した要素に与えられる引張荷重の量を制限し、それによって関連する疲労破壊モードを軽減することができる。
【0078】
図6に示された例示的な構成要素は、開示の主題の実施形態の使用又は機能の範囲に関していかなる限定を示唆することも意図していない。また、例示的な構成要素は、そこに示されている任意の単一の構成要素又は構成要素の組み合わせに関連する任意の従属性又は要件を有すると解釈されるべきでもない。さらに、図6に示される構成要素のうちのいずれか1つ以上の構成要素は、幾つかの実施形態において、そこに描かれている様々な他の構成要素(及び/又は図示されていない構成要素)と統合することができ、それらのすべては開示の主題の範囲内にあると考えられる。
【0079】
図7は、本開示の様々な態様と一致する自己拡張型内部人工器官700を示す。自己拡張型内部人工器官700は自己拡張型ステント要素702及びグラフト構成要素704を含むことができる。自己拡張型内部人工器官700は、自己拡張型内部人工器官700の一方の端部が自己拡張型内部人工器官700の他方の端部よりも小さい直径を有し、その間の中間部分の直径が減少しているように先細りされうる。
【0080】
上記でさらに詳細に論じたように、自己拡張型ステント要素702は、製造時直径(拡張直径よりも大きい)から塑性変形されうる。自己拡張型ステント要素702は塑性変形を示すように構成されうる。グラフト構成要素704は、自己拡張型ステント要素702の拡張直径(又は自己拡張型内部人工器官700の先細りによる直径)が、自己拡張型ステント要素702が製造時直径(拡張直径よりも大きい)から塑性変形した後に、グラフト構成要素704の拡張直径(又は自己拡張型内部人工器官700の先細りによる直径)より2%~25%大きいように、自己拡張型ステント要素702に取り付けられることができる。
【0081】
図7に示された例示的な構成要素は、開示の主題の実施形態の使用又は機能の範囲に関していかなる限定を示唆することも意図していない。また、例示的な構成要素は、そこに示されている任意の単一の構成要素又は構成要素の組み合わせに関連する任意の従属性又は要件を有すると解釈されるべきでもない。さらに、図7に示される構成要素のうちのいずれか1つ以上の構成要素は、幾つかの実施形態においては、そこに描かれている様々な他の構成要素(及び/又は図示されていない構成要素)と統合することができ、それらすべては開示の主題の範囲内にあると考えられる。
【0082】
図8は本開示の様々な態様と一致する別の自己拡張型内部人工器官を示す。自己拡張型内部人工器官800は自己拡張型ステント要素802及びグラフト構成要素804を含むことができる。自己拡張型内部人工器官800は自己拡張型内部人工器官800の端部がその間の中間セクションより小さい直径を有するように異なる寸法の部分を含むことができる。自己拡張型内部人工器官800は、図8に示すようにドッグボーン形状を有することができる。
【0083】
上記でさらに詳細に論じたように、自己拡張型ステント要素802は製造時直径(拡張直径よりも大きい)から塑性変形されうる。特定の場合には、自己拡張型内部人工器官800の端部のみをこのように構成することができる。他の場合には、自己拡張型内部人工器官800全体を、自己拡張型ステント要素802が塑性変形されるように構成されうる。自己拡張型ステント要素802は塑性変形を示すように構成されうる。グラフト構成要素804は、自己拡張型ステント要素802の拡張直径(又は自己拡張型内部人工器官800の先細りによる直径)が、自己拡張型ステント要素802が製造時直径(拡張直径よりも大きい)から塑性変形された後のグラフト構成要素804の拡張直径(又は自己拡張型内部人工器官800の先細りによる直径)より2%~25%大きいように自己拡張型ステント要素802に取り付けられることができる。
【0084】
図8に示された例示的な構成要素は、開示の主題の実施形態の使用又は機能の範囲に関していかなる限定を示唆することも意図していない。また、例示的な構成要素は、そこに示されている任意の単一の構成要素又は構成要素の組み合わせに関連する任意の従属性又は要件を有すると解釈されるべきでもない。さらに、図8に示される構成要素のうちのいずれか1つ以上の構成要素は、幾つかの実施形態において、そこに示されている様々な他の構成要素(及び/又は図示されていない構成要素)と統合することができ、それらすべては開示の主題の範囲内にあると考えられる。
【0085】
本明細書で論じられるように、グラフト構成要素は、選択される体腔内でのグラフトとしての使用に適し、かつ本明細書で論じられるような所望の寸法を超える拡張に対して抵抗性である任意の材料から構成されうる。グラフト構成要素は同じ又は異なる材料から構成されていてよい。さらに、グラフト構成要素は、同じ材料又は異なる材料でありうる材料の複数の層を含むことができる。多くのグラフト材料は知られており、特に知られているのは血管グラフト材料として使用できるものである。1つの実施形態において、前記材料は組み合わせて使用し、グラフトを含むように一緒に組み立てることができる。ステントグラフトに使用されるグラフト材料は、押出され、コーティングされ又は包装フィルムから形成することができ、あるいはそれらの組み合わせでもよい。ポリマー、生分解性及び天然材料は特定の用途に使用することができる。
【0086】
合成ポリマーの例としては、限定するわけではないが、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エラストマー有機ケイ素ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリグリコール酸、ポリエステル、ポリアミド、それらの混合物、ブレンド及びコポリマーが挙げられ、グラフト材料としては適している。1つの実施形態において、前記グラフトは、DACRON(登録商標)及びMYLAR(登録商標)を含むポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、KEVLAR(登録商標)などのポリアラミド、共重合ヘキサフルオロプロピレンを含む又は含まないポリテトラフルオロエチレン(TEFLON(登録商標)又はGORE-TEX(登録商標)など)などのポリフルオロカーボン、及び、多孔質又は非多孔質ポリウレタンから作られる。特定の場合には、グラフトは英国特許第1,355,373号、同第1,506,432号、同第1,506,432号明細書、又は、米国特許第3,953,566号、同第4,187,390号又は同第5,276,276号明細書(これらの全体は参照により取り込れる)に記載されている延伸フルオロカーボンポリマー(特にPTFE)材料を含む。好ましいフルオロポリマーのクラスに含まれるのは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン(TFE)及びペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PFA)のコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)のホモポリマー及びそのTFE、エチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)とのコポリマー、エチレン-テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)のコポリマーである。血管プロテーゼにおけるその広範な使用のために特に好ましいのはePTFEである。特定の場合において、グラフトは上に挙げた材料の組み合わせを含む。特定の場合には、グラフトは体液に対して実質的に不透過性である。前記実質的に不透過性のグラフトは、体液に対して実質的に不透過性の材料から製造することができ、又は、体液に対して実質的に不透過性になるように処理又は製造された透過性材料から構築することができる(例えば、上記の又は当該分野で知られた異なる種類の材料を層状化することによる)。
【0087】
グラフト材料の追加の例としては、限定するわけではないが、フッ化ビニリジン/ヘキサフルオロプロピレンヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン、1-ヒドロペンタフルオロプロピレン、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ペンタフルオロプロペン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロアセトン、ヘキサフルオロイソブチレン、フッ素化ポリ(エチレン-コ-プロピレン)(FPEP)、ポリ(ヘキサフルオロプロペン)(PHFP)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)(PCTFE)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリ(フッ化ビニリデン-コ-テトラフルオロエチレン)(PVDF-TFE)、ポリ(フッ化ビニリデン-コ-ヘキサフルオロプロペン)(PVDF-HFP)、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ヘキサフルオロプロペン)(PTFE-HFP)、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ビニルアルコール)(PTFE-VAL)、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-酢酸ビニル(PTFE-VAC)、ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-プロペン)(PTFEP)、ポリ(ヘキサフルオロプロペン-コ-ビニルアルコール)(PHFP-VAL)、ポリ(エチレン-コ-テトラフルオロエチレン)(PETFE)、ポリ(エチレン-コ-ヘキサフルオロプロペン)(PEHFP)、ポリ(フッ化ビニリデン-コ-クロロトリフルオロエチレン)(PVDF-CTFE)及びそれら組み合わせ、及び、米国特許出願公開第2004/0063805号明細書(すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に取り込まれる)に記載されている追加のポリマー及びコポリマーが挙げられる。追加のポリフルオロコポリマーとしては、テトラフルオロエチレン(TFE)/ペルフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)が挙げられる。PAVEは、本質的に米国特許出願公開第2006/0198866号及び米国特許第7,049,380号明細書(その両方はすべての目的のためにその全体が参照により本明細書に取り込まれる)に記載されているように、ペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、ペルフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)又はペルフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)であることができる。他のポリマー及びコポリマーとしては、ポリラクチド、ポリカプロラクトン-グリコリド、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリアミノ酸、多糖類、ポリホスファゼン、ポリ(エーテル-エステル)コポリマー、例えば、PEO-PLLA又はそれらのブレンド、ポリジメチル-シロキサン、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、アクリレート系ポリマー又はコポリマー、例えば、ポリ(ヒドロキシエチルメチルメタクリレート)、ポリビニルピロリジノン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素化ポリマー、セルロースエステル;ならびに米国特許公開第2004/0063805号明細書(その全体が参照により本明細書に取り込まれる)に記載のいずれかのポリマー及びコポリマーが挙げられる。
【0088】
本明細書で論じるグラフト構成要素は、少なくとも1つのほぼ平坦な表面を有するほぼ平坦なリボン又はテープである結合部材を使用することによって自己拡張型ステント要素に取り付けることができる。特定の場合には、テープ部材は接着剤で被覆された延伸PTFE(ePTFE)から作られている。接着剤は熱可塑性接着剤であることができる。特定の場合には、熱可塑性接着剤はフッ素化エチレンプロピレン(FEP)であることができる。より具体的には、ePTFEのFEP被覆面は、自己拡張型ステント及びグラフト構成要素の外面に面して接触し、そのようにして自己拡張型ステントをグラフト構成要素に取り付けることができる。ステントをグラフトに取り付けるための材料及び方法は、Martinの米国特許第6,042,602号明細書に論じられており、すべての目的のために参照により本明細書に取り込まれる。
【0089】
本明細書で論じられているステント要素は様々な生体適合性材料から製造することができる。これらの材料としては、316Lステンレス鋼、コバルト-クロム-ニッケル-モリブデン-鉄合金(「コバルト-クロム」)、L605などの他のコバルト合金、タンタル、ニチノール又は他の生体適合性金属を挙げることができる。特定の場合には、上記で詳細に論じたように、ステント(及びグラフト)は自己拡張型であることができる。プロテーゼはバルーン拡張型であることができる。
【0090】
ワイヤ巻きステントは、合理的に高い強度の材料、すなわち応力を受けたときに塑性変形に対して抵抗性である材料から構築することができる。特定の場合には、ステントは、後述するように螺旋状ターン及び起伏を同時に形成することができるように配置されたピンを有するマンドレルの周りに螺旋状に巻かれたワイヤを含む。他の構築もまた使用されうる。例えば、適切な形状は平らな素材から形成されそしてシリンダに巻かれるか、又は適切な形状に加工されたある長さのチューブ又は材料のシートをレーザ切断することから形成されうる。特定の場合には、ステントは超弾性合金から作られる。ニチノールなどの超弾性合金がステントに使用される様々な開示が存在する。例えば、Dotterの米国特許第4,503,569号、Balkoらの同第4,512,338号、Wilkoffの同第4,990,155号、Haradaらの同第5,037,427号、MacNamaraの同第5,147,370号、Clouseの同第5,211,658号、及びTerminらの同第5,221,261号明細書を参照されたい。
【0091】
本発明の範囲から逸脱することなく、議論した例示的な実施形態に対して様々な変更及び追加を行うことができる。例えば、上述の実施形態は特定の特徴に言及しているが、本発明の範囲は、異なる特徴の組み合わせを有する実施形態、及び、記載された特徴のすべてを含むわけではない実施形態も包含する。したがって、本発明の範囲は、そのすべての均等形態と共に、特許請求の範囲内に含まれるようなすべての代替形態、変更形態及び変形形態を包含することが意図される。
(態様)
(態様1)
縮小構成及び展開構成を有する自己拡張型内部人工器官であって、前記自己拡張型内部人工器官は、
拡大直径を有する自己拡張型ステント要素と、
前記自己拡張型ステント要素の少なくとも一部に取り付けられ、前記展開構成における前記自己拡張型ステント要素の拡大直径よりも小さい拡大直径を有するグラフト構成要素と、
を含み、ここで、前記展開構成において、前記自己拡張型ステント要素は前記グラフト構成要素に対して半径方向拡張力を及ぼし、前記グラフト構成要素は前記半径方向拡張力よりも大きい降伏強度を有し、前記自己拡張型ステント要素の半径方向拡張力よりも大きい第二の半径方向拡張力を加えると、前記自己拡張型ステント要素を前記グラフト構成要素の拡大直径に半径方向に維持するように構成されている、自己拡張型内部人工器官。
(態様2)
前記グラフト構成要素は前記第二の半径方向拡張力の印加時に塑性変形に抗するように構成されている、態様1記載の自己拡張型内部人工器官。
(態様3)
前記自己拡張型ステント要素の拡大直径は、前記グラフト構成要素の拡大直径よりも2%~25%大きい、態様1~2のいずれか1項記載の自己拡張型内部人工器官。
(態様4)
前記グラフト構成要素は、前記自己拡張型ステント要素に取り付けられた連続構造であって、前記自己拡張型内部人工器官のフロー管腔を形成している、態様1~3のいずれか1項記載の自己拡張型内部人工器官。
(態様5)
前記自己拡張型ステント要素は、頂部を連結するストラットによって形成された複数の起伏を含む、態様1~4のいずれか1項記載の自己拡張型内部人工器官。
(態様6)
前記頂部はアーチ腹面及びアーチ背面を含み、そして前記グラフト構成要素は前記頂部のアーチ腹面での引張応力を減少させるように構成されている、態様5記載の自己拡張型内部人工器官。
(態様7)
前記頂部はアーチ腹面及びアーチ背面を含み、そして前記グラフト構成要素は前記頂部のアーチ腹面の圧縮を維持するように構成されている、態様5記載の自己拡張型内部人工器官。
(態様8)
前記自己拡張型ステント要素及びグラフト構成要素は縮小構成に縮小され、前記頂部のアーチ腹面は展開構成に拡張した後も圧縮されたままである、態様7記載の自己拡張型内部人工器官。
(態様9)
前記自己拡張型ステント要素は製造時直径にヒートセットされている、態様1~8のいずれか1項記載の自己拡張型内部人工器官。
(態様10)
前記自己拡張型ステント要素の製造時直径は前記グラフト構成要素の拡大直径よりも15%~20%大きい、態様9記載の自己拡張型内部人工器官。
(態様11)
前記自己拡張型ステント要素の製造時直径は前記グラフト構成要素の拡大直径よりも約1mm~3mm大きい、態様1~10のいずれか1項記載の自己拡張型内部人工器官。
(態様12)
前記自己拡張型ステント要素及びグラフト構成要素は4フレンチ~26フレンチの縮小直径に圧縮するように構成されている、態様1~11のいずれか1項記載の自己拡張型
内部人工器官。
(態様13)
前記グラフト構成要素の拡大直径は2mm~53mmである、態様12記載の自己拡張型内部人工器官。
(態様14)
前記自己拡張型ステント要素は7mm~32mmの製造時直径を有し、そして前記グラフト構成要素は5mm~27mmの拡張直径を有する、態様1~13のいずれか1項記載の自己拡張型内部人工器官。
(態様15)
前記グラフト構成要素は、前記グラフト構成要素の拡張直径を超えて拡張することなく、前記自己拡張型ステント要素からの外側方向力より大きい半径方向拡張力に抗するように構成されており、そして前記半径方向拡張力は3気圧~6気圧である、態様14記載の自己拡張型内部人工器官。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8