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特許7579402癌治療用PTPN11(SHP2)阻害剤としての6-(4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン誘導体及び関連化合物
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  • 特許-癌治療用PTPN11(SHP2)阻害剤としての6-(4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン誘導体及び関連化合物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】癌治療用PTPN11(SHP2)阻害剤としての6-(4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン誘導体及び関連化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20241030BHJP
   C07D 491/107 20060101ALI20241030BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20241030BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241030BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241030BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241030BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
C07D401/04 CSP
C07D491/107
A61K31/513
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 111
A61K45/00
A61P43/00 105
【請求項の数】 46
(21)【出願番号】P 2023132960
(22)【出願日】2023-08-17
(62)【分割の表示】P 2021506929の分割
【原出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2023144075
(43)【公開日】2023-10-06
【審査請求日】2023-09-15
(31)【優先権主張番号】62/717,588
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/773,921
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520427136
【氏名又は名称】ナビール ファーマ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】バーバラ チャコ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー エル.キャロル
(72)【発明者】
【氏名】ピジャス マンダル
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン クロス
【審査官】奥谷 暢子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-517746(JP,A)
【文献】国際公開第2012/011592(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/136264(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/211303(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61P
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
によって表される化合物であって、式中、
下付き文字のaが0又は1であり、
下付き文字のbが0又は1であり、
1が直接的結合又はCR1718であり、
2がC1~4アルキル、アミノ、C1~4アルキルC(O)O-、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より選択され、
1がC6~10アリール、C3~8シクロアルキル、C3~8シクロアルケニル、並びにN、C(O)、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する5~10員のヘテロアリール基からなる群より選択され、前記R1のアリール又はヘテロアリールが場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、C3~8シクロアルキル、C3~8シクロアルケニル、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR14、NR14C(O)NR1516、NR15S(O)R14、NR15S(O)214、C(O)NR1516、S(O)NR1516、S(O)2NR1516、C(O)R14、C(O)OR14、OR14、SR14、S(O)R14、及びS(O)214からなる群より独立して選択される1~5個のR12基で置換されており、
2、R3、R10、及びR11が水素、C1~4アルキル、及びC3~8シクロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択され、
4、R5、R8、及びR9が水素、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ、C3~8シクロアルキル、ハロ、及びC1~4アルキルアミノからなる群よりそれぞれ独立して選択され、
6がアミノ、C1~4アミノアルキル、及びC1~4アルキルアミノからなる群より選択され、
7が水素、アミド、シアノ、ハロ、及びヒドロキシからなる群より選択され、又はR7がC1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員若しくは6員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちのいずれも場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1~5個の基で置換されており、
又はR6及びR7が両方とも結合している炭素原子と一緒になってN、C(O)、O、及びS(O)mから独立して選択される0~3個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する3~7員の飽和環又は不飽和環を形成し、
下付き文字のmが0、1、又は2であり、
6及びR7によって形成される前記飽和環又は不飽和環が非置換型であるか、又はアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1~3個の基で置換されており、
2、R3、R4、R5、R7、R8、R9、R10、及びR11のうちのいずれか2個の基がN、O、及びSから選択される0~2個のヘテロ原子を環員として有する5~6員の環を形成してよく、
2、R4、R6、R8、及びR10のうちのいずれか2個の基が直接的結合、又は1原子若しくは2原子の炭素架橋を形成してよく、
13が水素、ハロ、シアノ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、-NH-NHR19、-NHR19、-OR19、-NHC(O)R19、-NHC(O)NHR19、-NHS(O)2NHR19、-NHS(O)219、-C(O)OR19、-C(O)NR1920、-C(O)NH(CH2qOH、-C(O)NH(CH2q21、-C(O)R21、-NH2、-OH、-S(O)2NR1920、C3~8シクロアルキル、アリール、N、O、S、及びPから選択される1~5個のヘテロ原子を環員として有するヘテロシクリル、N、O、S、及びPから選択される1~5個のヘテロ原子を環員として有するヘテロアリールからなる群より選択され、前記下付き文字のqが0~6までの整数であり、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルがC1~4アルキル、-OH、-NH2、-OR21、ハロ、シアノ、及びオキソからなる群より独立して選択される0~3個の基で置換されており、
14、R15、及びR16が水素、C1~4アルキル、C3~8シクロアルキル、C6~10アリール、及び5~10員のヘテロアリールからなる群よりそれぞれ独立して選択され、これらのうちの各々が場合によってはアミド、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されており、
17及びR18が水素、C1~4アルキル、及びCF3からなる群よりそれぞれ独立して選択され、
19及びR20が水素、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、及びC3~6シクロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択され、且つ
各R21が水素、-OH、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、及びC3~6シクロアルキルからなる群より独立して選択される、
前記化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項2】
下付き文字のaが0又は1であり、
下付き文字のbが0又は1であり、
1が直接的結合又はCR1718であり、
2がC1~4アルキル、アミノ、C1~4アルキルC(O)O-、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より選択され、
1がC6~10アリール、C3~8シクロアルキル、C3~8シクロアルケニル、並びにN、C(O)、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する5~10員のヘテロアリール基からなる群より選択され、前記R1のアリール又はヘテロアリールが場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、C3~8シクロアルキル、C3~8シクロアルケニル、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR14、NR14C(O)NR1516、NR15S(O)R14、NR15S(O)214、C(O)NR1516、S(O)NR1516、S(O)2NR1516、C(O)R14、C(O)OR14、OR14、SR14、S(O)R14、及びS(O)214からなる群より独立して選択される1~5個のR12基で置換されており、
2、R3、R10、及びR11が水素、C1~4アルキル、及びC3~8シクロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択され、
4、R5、R8、及びR9が水素、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ、C3~8シクロアルキル、ハロ、及びC1~4アルキルアミノからなる群よりそれぞれ独立して選択され、
6がアミノ、C1~4アミノアルキル、及びC1~4アルキルアミノからなる群より選択され、
7が水素、ハロ、及びヒドロキシからなる群より選択され、又はR7がアミド、C1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員若しくは6員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちのいずれも場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1~5個の基で置換されており、
又はR6及びR7が両方とも結合している炭素原子と一緒になってN、C(O)、O、及びS(O)mから独立して選択される0~3個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する3~7員の飽和環又は不飽和環を形成し、
下付き文字のmが0、1、又は2であり、
6及びR7によって形成される前記飽和環が非置換型であるか、又はアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1~3個の基で置換されており、
2、R3、R4、R5、R7、R8、R9、R10、及びR11のうちのいずれか2個の基がN、O、及びSから選択される0~2個のヘテロ原子を環員として有する5~6員の環を形成してよく、
2、R4、R6、R8、及びR10のうちのいずれか2個の基が直接的結合、又は1原子若しくは2原子の炭素架橋を形成してよく、
13が水素、ハロ、シアノ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、-NH-NHR19、-NHR19、-OR19、-NHC(O)R19、-NHC(O)NHR19、-NHS(O)2NHR19、-NHS(O)219、-C(O)OR19、-C(O)NR1920、-C(O)NH(CH2qOH、-C(O)NH(CH2q21、-C(O)R21、-NH2、-OH、-S(O)2NR1920、C3~8シクロアルキル、アリール、N、O、S、及びPから選択される1~5個のヘテロ原子を環員として有するヘテロシクリル、N、O、S、及びPから選択される1~5個のヘテロ原子を環員として有するヘテロアリールからなる群より選択され、前記下付き文字のqが0~6までの整数であり、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルがC1~4アルキル、-OH、-NH2、-OR21、ハロ、シアノ、及びオキソからなる群より独立して選択される0~3個の基で置換されており、
14、R15、及びR16が水素、C1~4アルキル、C3~8シクロアルキル、C6~10アリール、及び5~10員のヘテロアリールからなる群よりそれぞれ独立して選択され、これらのうちの各々が場合によってはハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されており、
17及びR18が水素、C1~4アルキル、及びCF3からなる群よりそれぞれ独立して選択され、
19及びR20が水素、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、及びC3~6シクロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択され、且つ
各R21が水素、-OH、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、及びC3~6シクロアルキルからなる群より独立して選択される、
請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項3】
下付き文字のaとbがそれぞれ1である、請求項1又は2に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項4】
1が直接的結合である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項5】
2がC1~4アルキルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項6】
2がメチルである、請求項5に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項7】
13が水素、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、C3~8シクロアルキル、N、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を環員として有する3員又は6員のヘテロシクリルからなる群より選択され、ヘテロシクリル及びシクロアルキルがC1~4アルキル、-OH、-NH2、-OR21、ハロ、シアノ、及びオキソからなる群より独立して選択される0~3個の基で置換されている、
請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項8】
13が水素、ハロ、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルからなる群より選択される、請求項7に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項9】
13が水素、Cl、Br、メチル、又はCF3である、請求項8に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項10】
1がC6~10アリール並びにN、C(O)、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~9員のヘテロアリール基からなる群より選択され、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、C3~8シクロアルキル、C3~8シクロアルケニル、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR14、NR14C(O)NR1516、NR15S(O)R14、NR15S(O)214、C(O)NR1516、S(O)NR1516、S(O)2NR1516、C(O)R14、C(O)OR14、OR14、SR14、S(O)R14、及びS(O)214からなる群より独立して選択される1~5個のR12基で置換されている、
請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項11】
1がフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されている、
請求項10に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項12】
2、R3、R4、R5、R8、R9、R10、及びR11が水素である、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項13】
6がアミノ、C1~4アミノアルキル、及びC1~4アルキルアミノからなる群より選択され、且つ
7が水素、アミド、シアノ、ハロ、及びヒドロキシからなる群より選択され、又はR7がC1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員若しくは6員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちのいずれも場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1~4アルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より選択される1個又は2個の基で置換されている、
請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項14】
6がアミノ又はアミノメチルであり、且つ
7がヒドロキシ、C1~4アルキル、及びC1~4ヒドロキシアルキルからなる群より選択される、
請求項13に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項15】
6及びR7が両方とも結合している炭素原子と一緒になってN、C(O)、O、及びS(O)mから独立して選択される1~3個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する3~7員の飽和環又は不飽和環を形成し、場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基で置換されている前記飽和環又は不飽和環を形成する、
請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項16】
6及びR7が両方とも結合している炭素原子と一緒になってN及びOから独立して選択される1~3個のヘテロ原子を環員として有する4~6員の飽和環を形成し、場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基で置換されている前記飽和環を形成する、
請求項15に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項17】
6及びR7が両方とも結合している炭素原子と一緒になって場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基で置換されている3~7員のシクロアルキル環を形成する、
請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項18】
1がフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、及び1,2,4-トリアジニルからなる群より選択され、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12で置換されている、
請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項19】
1がフェニル又はピリジルであり、それらの各々が1~3個のR12で置換されている、請求項18に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項20】
1
【化2】
からなる群より選択され、
各R12がハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される、
請求項1~18のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項21】
1
【化3】
からなる群より選択される、請求項20に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項22】
14がC6~10アリール及び5~10員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちの各々が場合によってはハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されている、請求項1~21のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項23】
14がフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリールであり、これらのうちの各々が場合によってはハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている、請求項22に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項24】
14がC6~10アリール及び5~10員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されている、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項25】
1
【化4】
であり、
各R12がハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択され、且つ
14がフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリールであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている、
請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項26】
各R12がF、Cl、Br、CH3、OCH3、CF3
【化5】
からなる群より独立して選択される、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項27】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
からなる群より選択される構造を有する、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項28】
以下の式:
【化10】
により表される化合物、又はその薬学的に許容される塩
【請求項29】
以下の式:
【化11】
により表される、化合物
【請求項30】
以下の式:
【化12】
により表される化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項31】
以下の式:
【化13】
により表される、化合物。
【請求項32】
以下の式:
【化14】
により表される化合物の薬学的に許容される塩。
【請求項33】
以下の式:
【化15】
により表される、化合物又は薬学的に許容される塩。
【請求項34】
PTPN11を、請求項1~33のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と接触させることを含む、PTPN11のin vitro阻害方法。
【請求項35】
治療有効量の請求項1~33のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、PTPN11介在性疾患を治療するための医薬組成物。
【請求項36】
PTPN11介在性疾患が、ヌーナン症候群、LEOPARD症候群、または癌である、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記癌が、乳癌、結腸癌、肺癌、食道癌、胃癌、白血病および黒色腫からなる群から選択される、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
PTPN11介在性疾患を治療するための医薬組成物であって、以下の:
a.治療有効量の請求項1~33のいずれか1項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩;および
b.別の治療薬
を含み、ここで前記組成物は、治療を必要とする患者に投与される、前記医薬組成物。
【請求項39】
PTPN11介在性疾患が、ヌーナン症候群、LEOPARD症候群、または癌である、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記癌が、乳癌、結腸癌、肺癌、食道癌、胃癌、白血病、および黒色腫からなる群より選択される、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記化合物が、以下の式:
【化16】
により表される化合物、又は薬物的に許容されるその塩である、請求項35又は38に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記化合物が、以下の式:
【化17】
により表される化合物、又は医薬として許容される塩である、請求項35又は38に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記化合物が、以下の式:
【化18】
により表される、請求項35又は38に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記化合物が、以下の式:
【化19】
により表される化合物、又は薬学的に許容される塩である、請求項35又は38に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記化合物が、以下の式:
【化20】
により表される、請求項35又は38に記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記化合物が、以下の式:
【化21】
により表される化合物、又は薬学的に許容される塩である、請求項35又は38に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2018年8月10日に出願された米国特許仮出願第62/717588号、及び2018年11月30日に出願された米国特許仮出願第62/773921号に対する優先権を主張するものであり、これらの米国特許仮出願のそれぞれ全体を全ての目的のために参照により本明細書に援用する。
【0002】
米国連邦政府による資金提供を受けた研究開発で行われた発明に対する権利についての説明
適用不可
【0003】
コンパクトディスク上に収められている「配列表」、表、又はコンピュータープログラムリストの参照
適用不可
【背景技術】
【0004】
本明細書は疾患治療用の新規化合物及びピリミジノン系化合物、及び医薬品としてのこれらの化合物の利用を開示する。白血病及び黒色腫を含む癌、並びに乳癌、肺癌、及び大腸癌などの疾患の治療のためにヒト対象又は動物対象におけるPTPN11(SHP2)活性の阻害方法も提供する。
【0005】
チロシンリン酸化はヒトの細胞分化から細胞増殖及びアポトーシスまでの細胞過程、及びその他を制御する。チロシンリン酸化はタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)及びタンパク質チロシンホスファターゼ(PTP)によって制御される。PTKとPTPの活性により管理されるこの制御が機能不全を起こすことにより癌が生じると考えられており、PTK阻害剤が有望な癌治療薬として開発されてきた。細胞制御におけるPTPの役割も近年の研究から明らかにされている(AJ Barrら著、Cell誌、2009年、第136巻、352~363頁;JN Andersenら著、Mol. Cell. Biol.誌、2001年、第21巻、7117~7136頁)。
【0006】
非受容体型タンパク質チロシンホスファターゼ11(PTPN11、Srcホモロジー2ホスファターゼ(SHP2)としても知られる)はPTPN11遺伝子によりコードされる非受容体型タンパク質チロシンホスファターゼである。このPTPはリン酸化チロシン結合ドメインとして機能する2つの縦列Srcホモロジー2(SH2)ドメイン、触媒ドメイン、及びC末端テールを含有する。基本状態ではこのタンパク質はN末端SH2ドメインにより活性部位がブロックされている不活性自己抑制構造で存在することが典型的である。サイトカイン及び増殖因子が介在するシグナル伝達に刺激されてリン酸化タンパク質がこれらのSH2ドメインに結合するとこの自己抑制が解除され、これにより活性部位がPTPN11の基質の脱リン酸化に利用可能な状態になる(MG Mohl, BG Neel著、Curr. Opin. Genetics Dev.誌、2007年、第17巻、23~30頁;KS Grossmann著、Adv. Cancer Res.誌、2010年、第106巻、53~89頁;W.Q. Huangら著、Curr. Cancer Drug Targets誌、2014年、第14巻、567~588頁. C. Gordonら著、Cancer Metastasis Rev.誌、2008年、第27巻、179~192頁)。
【0007】
PTPN11の生殖細胞変異と体細胞変異がその触媒活性の機能獲得を引き起こす幾つかの疾患に関して報告されており、それらの疾患にはヌーナン症候群及びレオパード症候群、並びに若年性骨髄単球性白血病、神経芽細胞腫、骨髄異型性症候群、B細胞急性リンパ芽球性白血病/リンパ腫、黒色腫、急性骨髄性白血病、乳癌、肺癌、及び大腸癌などの複数の癌が含まれる(MG Mohl, BG Neel著、Curr. Opin. Genetics Dev.誌、2007年、第17巻、23~30頁)。単一のPTPN11変異によりマウスでヌーナン症候群、JMML様骨髄増殖性疾患、及び急性白血病を引き起こせることが近年の研究によって示されている。これらの変異はN末端SH2ドメインと触媒部位との間の自己抑制を妨害し、基質がこの酵素の触媒部位へ構成的にアクセスできるようになる(E. Darianら著、Proteins誌、2011年、第79巻、1573~1588頁;Z-H Yuら著、JBC誌、2013年、第288巻、10472頁;W Qiuら著、BMC Struct. Biol.誌、2014年、第14巻、10頁)。
【0008】
PTPN11は大半の組織において広範に発現しており、細胞増殖、分化、細胞周期維持、EMT移行、細胞分裂活性化、代謝制御、転写制御、及び細胞移動を含む多様な細胞機能にとって重要である、Ras-MAPK経路、JAK-STAT経路、又はPI3K-AKT経路を含む複数のシグナル伝達経路を介した様々な細胞シグナル伝達事象の制御に関わる(Tajan, M.ら著、Eur. J. Medical Genetics誌、2015年、第58巻、509~525頁;Prahallad, A.ら著、Cell Reports誌、2015年、第12巻、1978~1985頁)。
【0009】
また、PTPN11/SHP2が腫瘍形成時の免疫回避に関係することを示す証拠が増えており、したがって癌患者の免疫応答がSHP2阻害剤によって刺激される可能性がある(Cancer Res.誌、2015年2月1日、第75巻(第3号):508~18頁;T Yokosuka T著、J Exp Med.誌、2012年、第209巻(第6号)、1201頁;S Amarnath著、Sci Transl Med.誌、2011年、第3巻、111ra120頁;T Okazaki著、PNAS誌、2001年、第98巻:第24号、13866~71頁)。
【0010】
あるものはPTPN11(SHP2)を阻害することが見つかっている新規化合物及び医薬組成物、並びにこれらの化合物の合成方法、及びこれらの化合物の投与による患者のPTP介在性疾患の治療方法を含むこれらの化合物の使用方法。
【発明の概要】
【0011】
本発明のある特定の実施形態では化合物又はその塩若しくは互変異性体は式I
【化1】
によって表され、下付き文字のaとb、Y1、Y2、及びR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR13は本明細書において提示される通りである。
【0012】
ある特定の実施形態では本発明は式Iの化合物を薬学的に許容可能な担体と共に含む医薬組成物を提供する。
【0013】
ある特定の実施形態では本発明は、白血病及び黒色腫を含む癌、並びに乳癌、肺癌、及び大腸癌などの疾患の治療のためのヒト対象又は動物対象におけるPTPN11(SHP2)活性の阻害方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】KYSE520異種移植モデルにおける6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例2b)による用量依存的腫瘍増殖阻害を示す図である。
図2】KYSE520異種移植モデルにおける6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例10b)による用量依存的腫瘍増殖阻害を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
I. 概要
本明細書において開示される式Iのある特定の化合物は有用なPTPN11阻害活性を有する場合があり、且つ、PTPN11が能動的な役割を果たす疾患又は症状の治療又は予防に使用される場合がある。したがって、様々な態様においてある特定の実施形態は本明細書において開示される1種類以上の化合物を薬学的に許容可能な担体と共に含む医薬組成物、並びに前記化合物及び組成物の作製方法及び使用方法も提供する。ある特定の実施形態はPTPN11を阻害するための方法を提供する。他の実施形態は、PTPN11介在性障害の治療を必要とする患者を治療するための方法であって、本発明の化合物又は組成物の治療有効量を前記患者に投与することを含む前記方法を提供する。PTPN11の阻害により改善される疾患又は症状の治療のための医薬品の製造に使用される本明細書において開示されるある特定の化合物の使用についても提供される。具体的には前記PTPN11介在性疾患は癌である。
【0016】
II. 定義
本明細書において使用される場合、以下の用語は表示される意味を有する。
【0017】
値の範囲が開示されており、「n1~n2まで」又は「n1とn2の間」という表記が使用され、n1とn2が数値である場合、別段の定めが無い限りこの表記はこれらの数値自体とこれらの数値の間の範囲を含むものとする。この範囲はこれらの終値の間で、且つ、これらの終値を含んで完全又は連続的であってよい。例えば、「2~6個までの炭素」という範囲は、炭素は整数の単位で存在するため、2個、3個、4個、5個、及び6個の炭素を含むものとする。例えば、1μM、3μM、及びそれらの間の全ての濃度を含むものとされている「1~3μM(マイクロモーラー)」という範囲をいずれかの有効数字の数(例えば、1.255μM、2.1μM、2.9999μM等)に対して比較されたい。
【0018】
本明細書において使用される場合、「約」という用語はこの用語が修飾する数値の意味を修飾するものとされ、この様な値が誤差範囲内で変化し得ることを意味する。データの図表に見られる平均値に対する標準偏差などの特定の誤差範囲が挙げられていない場合、「約」という用語は挙げられた値を包含する範囲を意味し、同様に有効数字を考慮に入れてその数字を四捨五入することにより含まれることになる範囲も意味することを理解されたい。
【0019】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「アシル」という用語はアルケニルに結合しているカルボニル、アルキルに結合しているカルボニル、アリールに結合しているカルボニル、シクロアルキルに結合しているカルボニル、ヘテロアリールに結合しているカルボニル、ヘテロ環に結合しているカルボニル、又は他のいずれかの部分に結合しているカルボニルであって、このカルボニルに結合している原子が炭素であるものを指す。「アセチル」基は-C(O)CH3基のことである。「アルキルカルボニル」基又は「アルカノイル」基はカルボニル基を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。このような基の例にはメチルカルボニル及びエチルカルボニルが挙げられる。アシル基の例にはホルミル、アルカノイル、及びアロイルが挙げられる。
【0020】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「アルケニル」という用語は、1つ以上の二重結合を有し、且つ、2~20個までの炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖炭化水素ラジカルを指す。ある特定の実施形態では前記アルケニルは2~6個までの炭素原子を含む。「アルケニレン」という用語はエテニレン[(-CH=CH-)、(-C::C-)]など、2か所以上の位置で結合している炭素間二重結合系を指す。適切なアルケニルラジカルの例にはエテニル、プロペニル、2-メチルプロペニル、1,4-ブタジエニル等が挙げられる。別段の定めが無い限り、「アルケニル」という用語には「アルケニレン」基が含まれてよい。
【0021】
「アルキニル」という用語は、少なくとも2個の炭素原子と少なくとも1つの三重結合を有し、且つ、表示されている数の炭素原子を有する(すなわち、C2~6は2~6個の炭素を意味する)直鎖又は分岐鎖のどちらかの炭化水素を指す。アルキニルは、C2、C2~3、C2~4、C2~5、C2~6、C2~7、C2~8、C2~9、C2~10、C3、C3~4、C3~5、C3~6、C4、C4~5、C4~6、C5、C5~6、及びC6など、いずれかの数の炭素を含むことができる。アルキニル基の例にはアセチレニル、プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、ブタジニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、イソペンチニル、1,3-ペンタジニル、1,4-ペンタジニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、1,3-ヘキサジニル、1,4-ヘキサジニル、1,5-ヘキサジニル、2,4-ヘキサジニル、又は1,3,5-ヘキサトリニルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0022】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「アルコキシ」という用語はアルキルエーテルラジカルを指し、この中でアルキルという用語は以下に定義される通りである。適切なアルキルエーテルラジカルの例にはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ等が挙げられる。
【0023】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「アルキル」という用語は1~20個までの炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖のアルキルラジカルを指す。ある特定の実施形態では前記アルキルは1~10個までの炭素原子を含む。その他の実施形態では前記アルキルは1~8個までの炭素原子を含む。アルキル基は場合によっては本明細書において規定されるように置換されている。アルキルラジカルの例にはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、オクチル、ノニル等が挙げられる。本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「アルキレン」という用語はメチレン(-CH2-)など、2か所以上の位置で結合している直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素に由来する直鎖脂肪族基を指す。別段の定めが無い限り、「アルキル」という用語には「アルキレン」基が含まれてよい。
【0024】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「アルキルアミノ」という用語はアミノ基を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。適切なアルキルアミノ基は、例えば、N-メチルアミノ、N-エチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-エチルメチルアミノ等のモノアルキル化又はジアルキル化形成基であり得る。
【0025】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「アルキルチオ」という用語はアルキルチオエーテル(R-S-)ラジカルを指し、この中でアルキルという用語は上で定義した通りであり、且つ、この硫黄は1原子又は2原子の酸素で酸化されてもよい。適切なアルキルチオエーテルラジカルの例にはメチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、イソ-ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、メタンスルホニル、エタンスルフィニル等が挙げられる。
【0026】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「アミド」及び「カルバモイル」という用語はカルボニル基を介して親分子部分に結合している以下に記載されるようなアミノ基、又はその逆を指す。本明細書において使用される「アミド」基には「C-アミド」基及び「N-アミド」基が含まれる。本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「C-アミド」という用語は、本明細書において規定される通りのR及びR’を有する、又は具体的に列挙される所定の「R」基によって定義される-C(O)N(RR’)基を指す。幾つかの実施形態ではこの「アミド」基には-C(O)NH2、C1~4アルキルアミド、及びジ(C1~4アルキル)アミドが含まれる。本明細書において使用される場合、「C1~4アルキルアミド」という用語は-C(O)NH(C1~4アルキル)を指し、この中でC1~4アルキルは本明細書において規定される通りである。本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「N-アミド」という用語は、本明細書において規定される通りのR及びR’を有する、又は具体的に列挙される所定の「R」基によって定義されるRC(O)N(R’)-基を指す。本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「アシルアミノ」という用語はアミノ基を介して親部分に結合しているアシル基を包含する。「アシルアミノ」基の一例はアセチルアミノ(CH3C(O)NH-)である。
【0027】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「アミノ」という用語は-NRR’を指し、この中でR及びRは水素、アルキル、アシル、ヘテロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルから独立して選択され、これらのうちのいずれもそれら自体が場合によっては置換されていてもよい。また、R及びR’は結合してヘテロシクロアルキルを形成してもよく、それらのうちのどちらも場合によっては置換されている。
【0028】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「アリール」という用語は1個、2個、又は3個の環を含有する炭素環芳香族系を意味し、この中で多環式環系は一つに環が融合している。「アリール」という用語はフェニル、ナフチル、アントラセニル、及びフェナントリルなどの芳香族基を包含する。
【0029】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「アリールアルケニル」又は「アラルケニル」という用語はアルケニル基を介して親分子部分に結合しているアリール基を指す。
【0030】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「アリールアルコキシ」又は「アラルコキシ」という用語はアルコキシ基を介して親分子部分に結合しているアリール基を指す。
【0031】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「アリールアルキル」又は「アラルキル」という用語はアルキル基を介して親分子部分に結合しているアリール基を指す。
【0032】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、アリールオキシという用語はオキシを介して親分子部分に結合しているアリール基を指す。
【0033】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「カルバメート」という用語は、窒素又は酸末端のどちらかから親分子部分に結合していてよいカルバミン酸(-NHCOO-)のエステルであって、場合によっては本明細書において規定されるように置換されている前記エステルを指す。
【0034】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「O-カルバミル」という用語は本明細書において規定される通りのR及びR’を有する-OC(O)NRR’基を指す。
【0035】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「N-カルバミル」という用語は本明細書において規定される通りのR及びR’を有するROC(O)NR’-基を指す。
【0036】
本明細書において単独で使用される場合に「カルボニル」という用語はホルミル[-C(O)H]を含み、組み合わせて使用される場合にこの用語は-C(O)-基である。
【0037】
本明細書において使用される場合、「カルボキシル」又は「カルボキシ」という用語は-C(O)OH、又はカルボン酸塩の中に存在するような対応する「カルボン酸」陰イオンを指す。「O-カルボキシ」基はRC(O)O-基を指し、この中でRは本明細書において規定される通りである。「C-カルボキシ」基は-C(O)OR基を指し、この中でRは本明細書において規定される通りである。
【0038】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「シアノ」という用語は-CNを指す。
【0039】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「シクロアルキル」あるいは「炭素環」という用語は飽和又は部分飽和単環式、二環式、又は三環式アルキル基を指し、この中で各環式部分は3~12個までの炭素原子環員を含み、且つ、これは場合によっては所望により本明細書において規定されるように置換されているベンゾ融合環系であってもよい。「シクロアルケニル」という用語は1つ又は2つの二重結合を有するシクロアルキル基を指す。ある特定の実施形態では前記シクロアルキル(又はシクロアルケニル)は5~7個までの炭素原子を含む。このような基の例にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、オクタヒドロナフチル、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル、アダマンチル等が挙げられる。本明細書において使用される「二環式」及び「三環式」はデカヒドロナフタレン、オクタヒドロナフタレンなどの融合環系、並びに多環式(多中心性)飽和型又は部分不飽和型の両方の環系を含むものとする。後者の型の異性体は概してビシクロ[1,1,1]ペンタン、カンファー、アダマンタン、及びビシクロ[3,2,1]オクタンによって例示される。
【0040】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「エステル」という用語は炭素原子の所で結合している2つの部分を架橋しているカルボキシ基を指す。
【0041】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「エーテル」という用語は炭素原子の所で結合している2つの部分を架橋しているオキシ基を指す。
【0042】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「ハロ」又は「ハロゲン」という用語はフッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を指す。
【0043】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「ハロアルコキシ」という用語は酸素原子を介して親分子部分に結合しているハロアルキル基を指す。
【0044】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「ハロアルキル」という用語は、上で規定された通りの意味を有し、1個以上の水素がハロゲンで置き換えられているアルキルラジカルを指す。具体的にはモノハロアルキルラジカル、ジハロアルキルラジカル、及びポリハロアルキルラジカルが包含される。一例として、モノハロアルキルラジカルはこのラジカルの中にヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、又はフッ素原子を有する場合がある。ジハロラジカル及びポリハロアルキルラジカルは2個以上の同じハロ原子、又は異なるハロラジカルの組合せを有する場合がある。ハロアルキルラジカルの例にはフルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル、及びジクロロプロピルが挙げられる。「ハロアルキレン」は2か所以上の位置で結合しているハロアルキル基を指す。例にはフルオロメチレン(-CFH-)、ジフルオロメチレン(-CF2-)、クロロメチレン(-CHCl-)等が挙げられる。
【0045】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「ヘテロアルキル」という用語は、表示されている数の炭素原子とN、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子から構成される完全飽和型の、又は1~3の不飽和度を有する安定な直鎖又は分岐鎖、又はそれらの組合せ物を指し、そのN原子及びS原子は場合によっては酸化されていてもよく、且つ、そのNヘテロ原子は場合によっては四級化されていてもよい。前記ヘテロ原子はこのヘテロアルキル基内のいずれの位置に配置されていてもよい。例えば-CH2-NH-OCH3のように最大で2個のヘテロ原子が連続していてもよい。
【0046】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、N、O、及びSから選択される少なくとも1個の原子を含有する3~15員の不飽和単環式ヘテロ環、又は融合単環式環系、二環式環系、若しくは三環式環系であって、融合している環のうちの少なくとも1つが芳香族であるものを指す。ある特定の実施形態では前記ヘテロアリールは1~4個までのヘテロ原子を環員として含む。その他の実施形態では前記ヘテロアリールは1~2個までのヘテロ原子を環員として含む。ある特定の実施形態では前記ヘテロアリールは5~7個までの原子を含む。この用語はヘテロ環がアリール環と融合している融合多環式基であって、ヘテロアリール環が他のヘテロアリール環と融合しているもの、ヘテロアリール環がヘテロシクロアルキル環と融合しているもの、又はヘテロアリール環がシクロアルキル環と融合しているものも包含する。ヘテロアリール基の例にはピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、ピラニル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾロピリダジニル、テトラヒドロイソキノリニル、チエノピリジニル、フロピリジニル、ピロロピリジニル等が挙げられる。例となる三環式ヘテロ環式基にはカルバゾリル、ベンジドリル、フェナントロリニル、ジベンゾフラニル、アクリジニル、フェナントリジニル、キサンテニル等が挙げられる。
【0047】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「ヘテロシクロアルキル」という用語、及び互換的に「ヘテロ環」という用語は、少なくとも1個のヘテロ原子を環員として含む飽和型、部分不飽和型、又は完全不飽和型(だが非芳香族)の単環式、二環式、又は三環式ヘテロ環式基であって、それぞれ前記ヘテロ原子が窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択されてよいものをそれぞれ指す。ある特定の実施形態では前記ヘテロシクロアルキルは1~4個までのヘテロ原子を環員として含む。その他の実施形態では前記ヘテロシクロアルキルは1~2個までのヘテロ原子を環員として含む。ある特定の実施形態では前記ヘテロシクロアルキルは各環に3~8個までの環員を含む。その他の実施形態では前記ヘテロシクロアルキルは各環に3~7個までの環員を含む。さらにその他の実施形態では前記ヘテロシクロアルキルは各環に5~6個までの環員を含む。「ヘテロシクロアルキル」及び「ヘテロ環」はスルホン、スルフオキシド、第三級窒素環員を含むN-オキシド、並びに炭素環融合環系及びベンゾ融合環系を含むものとされ、また、両方の用語の中には本明細書において規定されるようにヘテロ環がアリール基に融合している系、又はその他のヘテロ環基に融合している系も含まれる。ヘテロ環基の例にはアジリジニル、アゼチジニル、1,3-ベンゾジオキソリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロシンノリニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[4,5-b]ピリジニル、ベンゾチアゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロピリジニル、1,3-ジオキサニル、1,4-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、イソインドリニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロピリジニル、ピペリジニル、チオモルホリニル等が挙げられる。具体的に禁止されていない限り前記ヘテロ環基は場合によっては置換されている。
【0048】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「ヒドラジニル」という用語は単結合によって連結されている2つのアミノ基、すなわち、-N-N-を指す。
【0049】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「ヒドロキシ」という用語は-OHを指す。
【0050】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「ヒドロキシアルキル」という用語はアルキル基を介して親分子部分に結合しているヒドロキシ基を指す。
【0051】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「イミノヒドロキシ」という用語は=N(OH)及び=N-O-を指す。
【0052】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「低級アミノ」という用語は-NRR’を指し、この中でR及びRは水素及び低級アルキルから独立して選択され、これらのうちのどちらも場合によっては置換されている。
【0053】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「メルカプチル」という用語はRS-基を指し、Rは本明細書において規定される通りである。
【0054】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「ニトロ」という用語は-NO2を指す。
【0055】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「オキシ」又は「オキサ」という用語は-O-を指す。
【0056】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「オキソ」という用語は=Oを指す。
【0057】
「ペルハロアルコキシ」という用語は水素原子のうちの全てがハロゲン原子によって置き換えられているアルコキシ基を指す。
【0058】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「ペルハロアルキル」という用語は水素原子のうちの全てがハロゲン原子によって置き換えられているアルキル基を指す。
【0059】
本明細書において使用される場合、化学構造又は化学構造の位置について言及するときの「環(ring)」という用語、又は同等に「環(cycle)」という用語は各原子が一般的な環状構造のメンバーである基のことを意味する。環は別段の定めが無い限り飽和型又は芳香族を含む不飽和型であり得、且つ、3員と9員の間であってよい。この環がヘテロ環である場合、この環はB、N、O、S、C(O)、S(O)mから選択される1個と4個の間のヘテロ原子又はヘテロ原子含有群を含んでよい。具体的に禁止されていない限り環は場合によっては置換されている。
【0060】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「スルホネート」、「スルホン酸」、及び「スルホン酸の」という用語は-SO3H基、及びこのスルホン酸が塩形成で使用されるときにはその陰イオンを指す。
【0061】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「スルファニル」という用語は-S-を指す。
【0062】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「スルフィニル」という用語は-S(O)-を指す。
【0063】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「スルホニル」という用語は-S(O)2-を指す。
【0064】
「N-スルホンアミド」という用語は本明細書において規定される通りのR及びR’を有するRS(=O)2NR’-基を指す。
【0065】
「S-スルホンアミド」という用語は本明細書において規定される通りのR及びR’を有する-S(=O)2NRR’基を指す。
【0066】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「互変異性体」という用語は短時間で相互変換する2種類以上の異性体のうちの1つを指す。一般的にこの相互変換は充分に速いので個々の互変異性体は別の互変異性体が存在しない状態で単離されることがない。互変異性体の量の比率は溶媒組成、イオン強度、及びpH、並びに他の溶液パラメーターに依存し得る。互変異性体の量の比率は特定の溶液に関して様々であり得、前記溶液中での生体分子結合部位の微小環境に関して様々であり得る。当技術分野においてよく知られている互変異性体の例にはケト/エノール互変異性体、エナミン/イミン互変異性体、及びラクタム/ラクチム互変異性体が挙げられる。当技術分野においてよく知られている互変異性体の例には2-ヒドロキシピリジン/2(1H)-ピリドン互変異性体、及び2-アミノピリジン/2(1H)-イミノピリドン互変異性体も挙げられる。
【0067】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「チア」及び「チオ」という用語は-S-基、又は酸素が硫黄で置き換わっているエーテルを指す。このチオ基の酸化誘導体、すなわちスルフィニル及びスルホニルはチア及びチオの定義の中に含まれる。
【0068】
本明細書において単独で使用される場合、又は組み合わせて使用される場合、「チオール」という用語は-SH基を指す。
【0069】
本明細書において単独で使用される場合に「チオカルボニル」という用語はチオホルミル-C(S)Hを含み、組み合わせて使用される場合にこの用語は-C(S)-基である。
【0070】
「N-チオカルバミル」という用語は本明細書において規定される通りのR及びR’を有するROC(S)NR’-基を指す。
【0071】
「O-チオカルバミル」という用語は本明細書において規定される通りのR及びR’を有する-OC(S)NRR’基を指す。
【0072】
「チオシアナト」という用語は-CNS基を指す。
【0073】
複合的な構造基を説明するために本明細書中のどの定義も他のいずれかの定義と併用され得る。逆に、いずれかのこのような定義の後に続く要素は親部分に付属している要素である。例えば、アルキルアミドという複合基はアミド基を介して親分子に結合しているアルキル基を表すことになり、及びアルコキシアルキルという用語はアルキル基を介して親分子に結合しているアルコキシ基を表すことになる。
【0074】
基が「ヌル」であると定義される場合、これが意味するところは前記基が存在しないことである。
【0075】
「場合によっては置換されている」という用語は先行している基が置換されている場合も置換されていない場合もあることを意味する。置換されている場合、「場合によっては置換されている」基の置換基には、限定されないが、以下の基又は特定の指定の基の中から単独で、又は組み合わせて独立して選択される1つ以上の置換基が挙げられる場合がある:低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級ヘテロアルキル、低級ハロアルキル、低級ハロアルケニル、低級ハロアルキニル、低級ペルハロアルキル、低級ペルハロアルコキシ、フェニル、アリール、アリールオキシ、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、オキソ、低級アシルオキシ、カルボニル、カルボキシル、低級アルキルカルボニル、低級カルボキシエステル、低級カルボキサミド、シアノ、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、アリールアミノ、アミド、ニトロ、チオール、低級アルキルチオ、低級ハロアルキルチオ、低級ペルハロアルキルチオ、アリールチオ、スルホネート、スルホン酸、三置換シリル、N3、SH、SCH3、C(O)CH3、CO2CH3、CO2H、ピリジニル、チオフェン、フラニル、低級カルバメート、及び低級尿素。構造的に可能である場合、5員、6員又は7員の融合した炭素環又は0~3個のヘテロ原子から構成されるヘテロ環を形成するために、例えばメチレンジオキシ又はエチレンジオキシを形成するために2つの置換基が連結されてもよい。場合によっては置換されている基は置換されていない場合(例えば、-CH2CH3)、完全に置換されている場合(例えば、-CF2CF3)、単置換されている場合(例えば、-CH2CH2F)、又は完全置換と単置換との間のレベルで置換されている場合(例えば、-CH2CF3)がある。置換についての条件が付けられずに置換基が列挙されている場合、置換型と非置換型の両方が包含される。「置換される」という条件が置換基に付けられている場合、置換型が具体的に意図されている。また、特定の部分に対する様々なセットの選択的な置換基が必要に応じて規定される場合があり、これらの場合ではそのように選択的な置換が規定されることになり、多くの場合に「場合によっては~で置換されている」という言葉に続いて規定されることになる。
【0076】
単独で表示され、且つ、番号指定が無いR項又はR’項は、別段の定義がなされていない限り、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルから選択される部分を指し、これらのうちのいずれも場合によっては置換されている。このようなR基及びR’基は場合によっては本明細書において規定されるように置換されているものと理解されるべきである。R基が番号指定を有する有しないにかかわらず、R、R’、及びn=(1、2、3、~n)であるRnを含む各R基、各置換基、及び各項は基の選択に関して相互に無関係であるものと理解されるべきである。式又は一般構造式の中にいずれかの変数、置換基、又は項(例えば、アリール、ヘテロ環、R等)が1度よりも多く出現する場合、各出現位置でのその定義はその他全ての出現位置でのその定義と無関係である。当業者当業者は、ある特定の基が親分子に結合している場合があること、又は元素鎖中の一端からの記載されているある位置を占めている場合があることをさらに理解することになる。例えば、-C(O)N(R)-などの非対称的な基が炭素又は窒素のどちらかの位置で親部分に結合している場合がある。
【0077】
「結合」という用語は2個の原子の間の共有結合、又はその結合によって連結されているそれらの原子がより大きな構造の一部であると考えられるときは2つの部分の間の共有結合を指す。結合は別段の定めが無い限り単結合、二重結合、又は三重結合であってよい。ある分子の図の中にある2個の原子間の点線は、その位置において追加の結合が存在しても存在しなくてもよいことを表している。
【0078】
本明細書において開示される前記化合物には不斉中心が存在する。これらの中心はこのキラル炭素原子の周りの置換基の立体配置に応じて「R」又は「S」という記号によって指定される。本発明はジアステレオ異性体、エナンチオマー体、及びエピマー体、並びにd-異性体及びl-異性体、及びそれらの混合物を含む全ての立体化学異性体を包含することが理解されるべきである。化合物の個々の立体異性体はキラル中心を含んでいる市販の出発物質からの合成により調製可能であり、又はエナンチオマー産物の混合物の調製とその後の分離、例えばジアステレオマーの混合物への変換とその後の分離若しくは再結晶化、クロマトグラフィー術、キラルクロマトグラフィーカラム上でのエナンチオマーの直接的分離、若しくは当技術分野において知られている他のいずれかの適切な方法により調製可能である。特定の立体化学を有する出発化合物は市販されているか、又は当技術分野において知られている技術により作製及び解決可能である。また、本明細書において開示される前記化合物は幾何異性体として存在する場合がある。本発明は全てのcis異性体、trans異性体、syn異性体、anti異性体、entgegen(E)異性体、及びzusammen(Z)異性体、並びにそれらの適切な混合物を包含する。また、化合物は互変異性体として存在する場合があり、全ての互変異性体が本発明によって提供される。また、本明細書において開示される前記化合物は非溶媒和化合物型、並びに水、エタノール等の薬学的に許容可能な溶媒との溶媒和化合物型で存在し得る。一般的に溶媒和化合物型は非溶媒和化合物型と等価であると考えられる。
【0079】
本明細書において開示される前記化合物には配座異性体が存在する。R1が式
【化2】
の中のアリール又はヘテロアリールであるとき、このアリール又はヘテロアリール基は、
【化3】
及び
【化4】
によって表されるようにピリミジノン部分に関して異なる立体配座で配向することができる。これらの型は、ピリミジノン部分に関するこのアリール又はヘテロアリール基の立体配座に応じて「Sa」又は「Ra」という記号によって指定される。「Sa」型及び「Ra」型の例を実施例1~20に見ることができる。
【0080】
本明細書において使用される「疾患」という用語は「障害」、「症候群」、及び(医学的症状の中のような)「症状」という用語と、全てがヒト又は動物の身体の、又はその身体の部分のうちの1つの異常な状態であって、正常な機能を損ない、徴候及び症状を識別することにより明らかになることが典型的であり、且つ、そのヒト又は動物が生存期間又はクオリティ・オブ・ライフを低減させる原因になる前記異常状態を反映しているという点で一般的に同義であり、且つ、互換的に使用されるものとされる。
【0081】
「併用療法」という用語は治療が必要な本開示に記載される症状又は障害を治療するために2種類以上の治療薬を投与することを意味する。このような投与は実質的に同時のこれらの治療薬の共投与、例えば有効成分の比率が固定された単一のカプセル中、又は各有効成分ついて別々の複数のカプセル中のこれらの治療薬の共投与を包含する。また、このような投与は連続的な各種の治療薬の使用も包含する。どちらの場合もこの治療方式によってこの薬品の組合せの有益な効果が本明細書に記載される症状又は障害の治療に生じることになる。
【0082】
「PTPN11阻害剤」は、本明細書において概説されるPTPN11アッセイで測定されるとPTPN11活性に関して約100μM以下、より典型的には約50μM以下のIC50を示す化合物を表すために本明細書において使用される。「IC50」は酵素(例えば、PTPN11)の活性を最大半量レベルまで低下させる阻害剤濃度である。本明細書において開示されるある特定の化合物はPTPN11に対する阻害を示すことが判明している。本明細書に記載されるPTPN11アッセイで測定されるとき、ある特定の実施形態では化合物はPTPN11に関して約50μM以下のIC50を示し、その他の実施形態では化合物はPTPN11に関して約10μM以下のIC50を示し、さらにその他の実施形態では化合物はPTPN11に関して約1μM以下のIC50を示し、さらにその他の実施形態では化合物はPTPN11に関して約200nM以下のIC50を示す。
【0083】
「治療上有効な」という言葉は疾患又は障害の治療において使用される、又は臨床エンドポイントの有効化における有効成分の量を修飾するものとされる。
【0084】
「治療上許容可能な」という用語は、不適当な中毒、炎症、及びアレルギー反応を起こさずに患者の組織と接触させて使用するのに適切であり、正当なベネフィット/リスク比に合っており、且つ、使用目的に有効である化合物(又は塩、プロドラッグ、互変異性体、双性イオン体等)を指す。
【0085】
本明細書において使用される場合、患者の「治療」への言及は予防を含むものとされる。治療は予防的性質のものであってもよく、すなわち治療は疾患の予防を含んでよい。疾患の予防は例えば病原体の感染の予防の場合のように疾患からの完全防御を含む場合があり、又は疾患の進行の防止を含む場合もある。例えば、疾患の予防はその疾患にいずれかのレベルで関連するいずれかの影響を完全に除外することを意味しない場合があり、疾患の症状が臨床的に重大又は検出可能なレベルになることの防止を代わりに意味する場合がある。疾患の予防はある疾患がその疾患のさらに後期のステージへ進行することの防止を意味する場合もある。
【0086】
「患者」という用語は「対象」という用語と一般的に同義であり、且つ、ヒトを含む全ての哺乳類動物を含む。患者の例にはヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、及びウサギなどの家畜、並びにイヌ、ネコ、ウサギ、及びウマなどの愛玩動物が挙げられる。前記患者はヒトであることが好ましい。
【0087】
「プロドラッグ」という用語はインビボでは活性がより強くなる化合物を指す。本明細書において開示されるある特定の化合物はプロドラッグとして存在する場合もある。本明細書に記載される前記化合物のプロドラッグは、生理的条件下で容易に化学変化を起こして前記化合物になる構造的に改変された型の前記化合物である。また、プロドラッグは生体外の環境では化学的方法又は生化学的方法により前記化合物に変換され得る。例えば、プロドラッグは適切な酵素又は化学試薬と共に経皮パッチリザーバーの中に入れられるとゆっくりと化合物に変換され得る。プロドラッグは幾つかの状況では前記化合物又は親薬品よりも投与が簡単な場合があるので有用であることが多い。例えば、プロドラッグは経口投与によって生物利用が可能である場合があるが、親薬品はそうではない。このプロドラッグは医薬組成物の状態で親薬品よりも改善された溶解性を有する場合もある。自身の加水分解的切断又は酸化的活性化に依存するプロドラッグなど、多種多様なプロドラッグ誘導体が当技術分野において知られている。限定されないが、プロドラッグの一例は、エステル(「プロドラッグ」)として投与されるがその後で活性化体であるカルボン酸に代謝加水分解される化合物である。その他の例には化合物のペプチジル誘導体が挙げられる。
【0088】
本明細書において開示される前記化合物は治療上許容可能な塩として存在し得る。本発明には酸付加塩を含む塩形態の上記化合物が含まれる。適切な塩には有機酸と共に形成される塩と無機酸と共に形成される塩の両方が含まれる。このような酸付加塩は通常では薬学的に許容可能になる。しかしながら、薬学的に許容可能ではない塩の塩は問題の化合物の調製と精製に有用である場合がある。塩基付加塩も形成され、且つ、薬学的に許容可能である場合がある。
【0089】
本明細書において使用される場合、「治療上許容可能な塩」という用語は、水又は油に可溶性又は分散性であり、且つ、本明細書において規定されるように治療上許容可能な本明細書において開示される前記化合物の塩又は双性イオン体である。これらの塩は前記化合物の最終単離精製時に調製可能であり、又はこれとは別に遊離塩基形態の適切な化合物を適切な酸と反応させることにより調製可能である。代表的な酸付加塩には酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、L-アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、ジグルコン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、ゲンチジン酸塩、グルタル酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヒプル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イセチオン酸塩)、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、DL-マンデル酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ホスホン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ピログルタミン酸塩、コハク酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、L-酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、パラトルエンスルホン酸塩(p-トシル酸塩)、及びウンデカン酸塩が挙げられる。また、本明細書において開示される前記化合物中の塩基性基は塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化プロピル、臭化プロピル、ヨウ化プロピル、塩化ブチル、臭化ブチル、及びヨウ化ブチル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル、及び硫酸ジアミル、塩化デシル、臭化デシル、ヨウ化デシル、塩化ラウリル、臭化ラウリル、ヨウ化ラウリル、塩化ミリスチル、臭化ミリスチル、ヨウ化ミリスチル、塩化ステリル、臭化ステリル、及びヨウ化ステリル、並びに臭化ベンジル及び臭化フェネチルを用いて四級化可能である。治療上許容可能な付加塩を形成するために使用可能な酸の例には塩酸、臭化水素酸、硫酸、及びリン酸などの無機酸、並びにシュウ酸、マレイン酸、コハク酸、及びクエン酸などの有機酸が挙げられる。アルカリ金属イオン又はアルカリ土類イオンとの前記化合物の配位により塩を形成することも可能である。したがって、本発明は本明細書において開示される前記化合物のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、及びカルシウム塩等を企図している。
【0090】
塩基付加塩は、金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩、又は重炭酸塩などの適切な塩基、又はアンモニア若しくは有機第一級、第二級、若しくは第三級アミンとのカルボキシ基の反応により、前記化合物の最終的な単離精製時に調製可能である。治療上許容可能な塩の陽イオンにはリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウム、並びにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、1-エフェナミン、及びN,N’-ジベンジルエチレンジアミンなどの非毒性第四級アミン陽イオンが挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンにはエチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、及びピペラジンが挙げられる。
【0091】
ある化合物の塩は遊離塩基形態の適切な化合物を適切な酸と反応させることにより作製可能である。
【0092】
III. 化合物
1つの態様では本発明は式I
【化5】
によって表される化合物であって、式中
下付き文字のaが0又は1であり、
下付き文字のbが0又は1であり、
1が直接的結合又はCR1718であり、
2がC1~4アルキル、アミノ、C1~4アルキルC(O)O-、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より選択され、
1がC6~10アリール、C3~8シクロアルキル、C3~8シクロアルケニル、並びにN、C(O)、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する5~10員のヘテロアリール基からなる群より選択され、前記R1のアリール又はヘテロアリールが場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、C3~8シクロアルキル、C3~8シクロアルケニル、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR14、NR14C(O)NR1516、NR15S(O)R14、NR15S(O)214、C(O)NR1516、S(O)NR1516、S(O)2NR1516、C(O)R14、C(O)OR14、OR14、SR14、S(O)R14、及びS(O)214からなる群より独立して選択される1~5個のR12基で置換されており、
2、R3、R10、及びR11が水素、C1~4アルキル、及びC3~8シクロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択され、
4、R5、R8、及びR9が水素、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ、C3~8シクロアルキル、ハロ、及びC1~4アルキルアミノからなる群よりそれぞれ独立して選択され、
6がアミノ、C1~4アミノアルキル、及びC1~4アルキルアミノからなる群より選択され、
7が水素、アミド、シアノ、ハロ、及びヒドロキシからなる群より選択され、又はR7がC1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員若しくは6員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちのいずれも場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1~5個の基で置換されており、
又はR6及びR7が両方とも結合している炭素原子と一緒になってN、C(O)、O、及びS(O)mから独立して選択される0~3個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する3~7員の飽和環又は不飽和環を形成し、
下付き文字のmが0、1、又は2であり、
6及びR7によって形成される前記飽和環又は不飽和環が非置換型であるか、又はアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1~3個の基で置換されており、
2、R3、R4、R5、R7、R8、R9、R10、及びR11のうちのいずれか2個の基がN、O、及びSから選択される0~2個のヘテロ原子を環員として有する5~6員の環を形成してよく、
2、R4、R6、R8、及びR10のうちのいずれか2個の基が直接的結合、又は1原子若しくは2原子の炭素架橋を形成してよく、
13が水素、ハロ、シアノ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、-NH-NHR19、-NHR19、-OR19、-NHC(O)R19、-NHC(O)NHR19、-NHS(O)2NHR19、-NHS(O)219、-C(O)OR19、-C(O)NR1920、-C(O)NH(CH2qOH、-C(O)NH(CH2q21、-C(O)R21、-NH2、-OH、-S(O)2NR1920、C3~8シクロアルキル、アリール、N、O、S、及びPから選択される1~5個のヘテロ原子を環員として有するヘテロシクリル、N、O、S、及びPから選択される1~5個のヘテロ原子を環員として有するヘテロアリールからなる群より選択され、前記下付き文字のqが0~6までの整数であり、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルがC1~4アルキル、-OH、-NH2、-OR21、ハロ、シアノ、及びオキソからなる群より独立して選択される0~3個の基で置換されており、
14、R15、及びR16が水素、C1~4アルキル、C3~8シクロアルキル、C6~10アリール、及び5~10員のヘテロアリールからなる群よりそれぞれ独立して選択され、これらのうちの各々が場合によってはアミド、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されており、
17及びR18が水素、C1~4アルキル、及びCF3からなる群よりそれぞれ独立して選択され、
19及びR20が水素、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、及びC3~6シクロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択され、且つ
各R21が水素、-OH、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、及びC3~6シクロアルキルからなる群より独立して選択される、
前記化合物、又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグを提供する。
【0093】
幾つかの実施形態では本発明は式I
【化6】
によって表される化合物であって、
下付き文字のaが0又は1であり、
下付き文字のbが0又は1であり、
1が直接的結合又はCR1718であり、
2がC1~4アルキル、アミノ、C1~4アルキルC(O)O-、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より選択され、
1がC6~10アリール、C3~8シクロアルキル、C3~8シクロアルケニル、並びにN、C(O)、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する5~10員のヘテロアリール基からなる群より選択され、前記R1のアリール又はヘテロアリールが場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、C3~8シクロアルキル、C3~8シクロアルケニル、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR14、NR14C(O)NR1516、NR15S(O)R14、NR15S(O)214、C(O)NR1516、S(O)NR1516、S(O)2NR1516、C(O)R14、C(O)OR14、OR14、SR14、S(O)R14、及びS(O)214からなる群より独立して選択される1~5個のR12基で置換されており、
2、R3、R10、及びR11が水素、C1~4アルキル、及びC3~8シクロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択され、
4、R5、R8、及びR9が水素、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ、C3~8シクロアルキル、ハロ、及びC1~4アルキルアミノからなる群よりそれぞれ独立して選択され、
6がアミノ、C1~4アミノアルキル、及びC1~4アルキルアミノからなる群より選択され、
7が水素、ハロ、及びヒドロキシからなる群より選択され、又はR7がアミド、C1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員若しくは6員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちのいずれも場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1~5個の基で置換されており、
又はR6及びR7が両方とも結合している炭素原子と一緒になってN、C(O)、O、及びS(O)mから独立して選択される0~3個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する3~7員の飽和環又は不飽和環を形成し、
下付き文字のmが0、1、又は2であり、
6及びR7によって形成される前記飽和環が非置換型であるか、又はアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1~3個の基で置換されており、
2、R3、R4、R5、R7、R8、R9、R10、及びR11のうちのいずれか2個の基がN、O、及びSから選択される0~2個のヘテロ原子を環員として有する5~6員の環を形成してよく、
2、R4、R6、R8、及びR10のうちのいずれか2個の基が直接的結合、又は1原子若しくは2原子の炭素架橋を形成してよく、
13が水素、ハロ、シアノ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、-NH-NHR19、-NHR19、-OR19、-NHC(O)R19、-NHC(O)NHR19、-NHS(O)2NHR19、-NHS(O)219、-C(O)OR19、-C(O)NR1920、-C(O)NH(CH2qOH、-C(O)NH(CH2q21、-C(O)R21、-NH2、-OH、-S(O)2NR1920、C3~8シクロアルキル、アリール、N、O、S、及びPから選択される1~5個のヘテロ原子を環員として有するヘテロシクリル、N、O、S、及びPから選択される1~5個のヘテロ原子を環員として有するヘテロアリールからなる群より選択され、前記下付き文字のqが0~6までの整数であり、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルがC1~4アルキル、-OH、-NH2、-OR21、ハロ、シアノ、及びオキソからなる群より独立して選択される0~3個の基で置換されており、
14、R15、及びR16が水素、C1~4アルキル、C3~8シクロアルキル、C6~10アリール、及び5~10員のヘテロアリールからなる群よりそれぞれ独立して選択され、これらのうちの各々が場合によってはハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されており、
17及びR18が水素、C1~4アルキル、及びCF3からなる群よりそれぞれ独立して選択され、
19及びR20が水素、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、及びC3~6シクロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択され、且つ
各R21が水素、-OH、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、及びC3~6シクロアルキルからなる群より独立して選択される、
前記化合物、又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグを提供する。
【0094】
式Iの幾つかの実施形態ではY1は直接的結合である。幾つかの実施形態ではY1はCR1718である。幾つかの実施形態ではR17及びR18は水素、C1~4アルキル、及びCF3からなる群よりそれぞれ独立して選択される。幾つかの実施形態ではR17及びR18はそれぞれ独立して水素又はC1~4アルキルである。幾つかの実施形態ではY1は-CH2である。
【0095】
式Iの幾つかの実施形態ではY2はC1~4アルキルである。幾つかの実施形態ではY2はメチルである。
【0096】
幾つかの実施形態では前記化合物は式Ia
【化7】
によって表され、前記下付き文字のaとb、Y1、R1、R2、R3、R4、5、R6、R7、8、R9、R10、R11、及びR13は本明細書において規定及び記載される通りである。
【0097】
幾つかの実施形態では前記化合物は式Ib
【化8】
によって表され、前記下付き文字のaとb、Y2、R1、R2、R3、R4、5、R6、R7、8、R9、R10、R11、及びR13は本明細書において規定及び記載される通りである。
【0098】
幾つかの実施形態では前記化合物は式Ic
【化9】
によって表され、前記下付き文字のaとb、R1、R2、R3、R4、5、R6、R7、8、R9、R10、R11、及びR13は本明細書において規定及び記載される通りである。
【0099】
式I、式Ia、式Ib、及び式Icのいずれか1つの幾つかの実施形態では下付き文字のaとbはそれぞれ1である。
【0100】
式I、式Ia、式Ib、及び式Icのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR13は水素、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、C3~8シクロアルキル、N、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を環員として有する3員又は6員のヘテロシクリルからなる群より選択され、ヘテロシクリル及びシクロアルキルがC1~4アルキル、-OH、-NH2、-OR21、ハロ、シアノ、及びオキソからなる群より独立して選択される0~3個の基で置換されている。幾つかの実施形態ではR13は水素、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、及びC3~8シクロアルキルからなる群より選択される。幾つかの実施形態ではR13は水素、ハロ、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルからなる群より選択される。幾つかの実施形態ではR13は水素、ハロ、C1~4アルキル、及びC1~4ハロアルキルからなる群より選択される。幾つかの実施形態ではR13は-CH2OH、CF2OH、及び-CHFOHからなる群より選択される。幾つかの実施形態ではR13は水素、Cl、Br、メチル、及びCF3からなる群より選択される。幾つかの実施形態ではR13は水素である。幾つかの実施形態ではR13はClである。幾つかの実施形態ではR13はBrである。幾つかの実施形態ではR13はメチルである。幾つかの実施形態ではR13はCF3である。
【0101】
式I、式Ia、式Ib、及び式Icのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はC6~10アリール並びにN、C(O)、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~9員のヘテロアリール基からなる群より選択され、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、C3~8シクロアルキル、C3~8シクロアルケニル、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR14、NR14C(O)NR1516、NR15S(O)R14、NR15S(O)214、C(O)NR1516、S(O)NR1516、S(O)2NR1516、C(O)R14、C(O)OR14、OR14、SR14、S(O)R14、及びS(O)214からなる群より独立して選択される1~5個のR12基で置換されている。
【0102】
式I、式Ia、式Ib、及び式Icのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はC6~10アリール並びにN、C(O)、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~9員のヘテロアリール基からなる群より選択され、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、C3~8シクロアルキル、C3~8シクロアルケニル、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR14、NR14C(O)NR1516、NR15S(O)R14、NR15S(O)214、C(O)NR1516、S(O)NR1516、S(O)2NR1516、C(O)R14、C(O)OR14、OR14、SR14、S(O)R14、及びS(O)214からなる群より独立して選択される1~5個のR12基で置換されており、R14、R15、及びR16は水素、C1~4アルキル、C3~8シクロアルキル、C6~10アリール、及び5~10員のヘテロアリールからなる群よりそれぞれ独立して選択され、これらのうちの各々が場合によってはアミド、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されている。
【0103】
式I、式Ia、式Ib、及び式Icのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はC6~10アリール並びにN、C(O)、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~9員のヘテロアリール基からなる群より選択され、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、C3~8シクロアルキル、C3~8シクロアルケニル、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR14、NR14C(O)NR1516、NR15S(O)R14、NR15S(O)214、C(O)NR1516、S(O)NR1516、S(O)2NR1516、C(O)R14、C(O)OR14、OR14、SR14、S(O)R14、及びS(O)214からなる群より独立して選択される1~5個のR12基で置換されており、R14、R15、及びR16は水素、C1~4アルキル、C3~8シクロアルキル、C6~10アリール、及び5~10員のヘテロアリールからなる群よりそれぞれ独立して選択され、これらのうちの各々が場合によってはハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されている。
【0104】
式I、式Ia、式Ib、及び式Icのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されている。
【0105】
式I、式Ia、式Ib、及び式Icのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されており、R14は水素、C1~4アルキル、C3~8シクロアルキル、C6~10アリール、及び5~10員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちの各々が場合によってはアミド、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されている。
【0106】
式I、式Ia、式Ib、及び式Icのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されており、R14は水素、C1~4アルキル、C3~8シクロアルキル、C6~10アリール、及び5~10員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちの各々が場合によってはハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されている。
【0107】
式I、式Ia、式Ib、及び式Icのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されており、R14はC6~10アリール及び5~10員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されている。
【0108】
式I、式Ia、式Ib、及び式Icのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されており、R14はC6~10アリール及び5~10員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちの各々が場合によってはハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されている。
【0109】
式I、式Ia、式Ib、及び式Icのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されており、R14はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリールであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている。
【0110】
式I、式Ia、式Ib、及び式Icのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されており、R14はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリールであり、これらのうちの各々が場合によってはハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されている。
【0111】
式I、式Ia、式Ib、及び式Icのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されており、R14はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリールであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されている。
【0112】
式I、式Ia、式Ib、及び式Icのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されており、R14はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリールであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されている。
【0113】
式I、式Ia、式Ib、及び式Icのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、C(O)、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されている。
【0114】
式I、式Ia、式Ib、及び式Icのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR2、R3、R10、及びR11は独立して水素又はC1~4アルキルである。ある特定の実施形態ではR2、R3、R10、及びR11はそれぞれ水素である。
【0115】
式I、式Ia、式Ib、及び式Icのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR4、R5、R8、及びR9は水素、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ、C3~8シクロアルキル、及びC1~4アルキルアミノからなる群より独立して選択される。ある特定の実施形態ではR4、R5、R8、及びR9は独立して水素又はC1~4アルキルである。ある特定の実施形態ではR4、R5、R8、及びR9はそれぞれ水素である。
【0116】
式I、式Ia、式Ib、及び式Icのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、C(O)、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されており、R4、R5、R8、及びR9は水素、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ、C3~6シクロアルキル、及びC1~4アルキルアミノからなる群より独立して選択される。
【0117】
式I、式Ia、式Ib、及び式Icのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR2、R3、R4、R5、R8、R9、R10、及びR11はそれぞれ水素である。
【0118】
幾つかの実施形態では前記化合物は式II
【化10】
によって表され、R1、R6、R7、及びR13は本明細書において規定及び記載される通りである。
【0119】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR6はアミノ、C1~4アミノアルキル、及びC1~4アルキルアミノからなる群より選択され、R7は水素、アミド、シアノ、ハロ、及びヒドロキシからなる群より選択され、又はR7はC1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員若しくは6員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちのいずれも場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1~4アルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より選択される1~3個の置換基で置換されている。幾つかの実施形態ではR6はアミノ、C1~4アミノアルキル、及びC1~4アルキルアミノからなる群より選択され、R7は水素、アミド、ハロ、及びヒドロキシからなる群より選択され、又はR7はC1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員若しくは6員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちのいずれも場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1~4アルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より選択される1個又は2個の置換基で置換されている。
【0120】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR6はアミノ、C1~4アミノアルキル、及びメチルアミノからなる群より選択される。幾つかの実施形態ではR6はアミノ又はC1~4アミノアルキルである。ある特定の実施形態ではR6はアミノ、アミノメチル、又はメチルアミノである。ある特定の実施形態ではR6はアミノ又はアミノメチルである。ある特定の実施形態ではR6はアミノである。ある特定の実施形態ではR6はアミノメチルである。
【0121】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR7はヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員又は6員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちのいずれも場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1~4アルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より選択される1個又は2個の基で置換されている。幾つかの実施形態ではR7はヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員又は6員のヘテロアリールからなる群より選択される。幾つかの実施形態ではR7はヒドロキシ、C1~4アルキル、又はC1~4ヒドロキシアルキルである。ある特定の実施形態ではR7はC1~4アルキルである。ある特定の実施形態ではR7はメチルである。ある特定の実施形態ではR7はエチルである。
【0122】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR6はC1~4アミノアルキルであり、R7はヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員又は6員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちのいずれも場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1~4アルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より独立して選択される1~3個の基で置換されている。
【0123】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR6はアミノメチルであり、R7はヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員又は6員のヘテロアリールからなる群より選択される。
【0124】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR6はアミノであり、R7はヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員又は6員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちのいずれも場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1~4アルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より独立して選択される1~3個の基で置換されている。
【0125】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR6はアミノであり、R7はヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員又は6員のヘテロアリールからなる群より選択される。
【0126】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR6はアミノであり、R7はC1~4ヒドロキシアルキルである。幾つかの実施形態ではR6はアミノであり、R7はヒドロキシメチルである。幾つかの実施形態ではR6はアミノであり、R7はC1~4アルキルである。ある特定の実施形態ではR6はアミノであり、R7はメチルである。幾つかの実施形態ではR6はアミノであり、R7はエチルである。幾つかの実施形態ではR6はアミノメチルであり、R7はC1~4アルキルである。ある特定の実施形態ではR6はアミノメチルであり、R7はメチルである。幾つかの実施形態ではR6はアミノメチルであり、R7はエチルである。
【0127】
上記の実施形態のうちのいずれかにおいてはR7のアミドは具体的には-C(O)NH2であってよい。
【0128】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR6及びR7は両方とも結合している炭素原子と一緒になってN、C(O)、O、及びS(O)mから独立して選択される1~3個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する3~7員の飽和環又は不飽和環を形成し、場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基で置換されている前記飽和環又は不飽和環を形成する。
【0129】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR6及びR7は両方とも結合している炭素原子と一緒になってN、C(O)、及びOから独立して選択される1~3個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する4~6員の飽和環又は不飽和環を形成し、場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基で置換されている前記飽和環又は不飽和環を形成する。
【0130】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR6及びR7は両方とも結合している炭素原子と一緒になってN、C(O)、O、及びS(O)mから独立して選択される1~3個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する3~7-員の飽和環を形成し、場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基で置換されている前記飽和環を形成する。
【0131】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR6及びR7は両方とも結合している炭素原子と一緒になってN、C(O)、及びOから独立して選択される1~3個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する4~6員の飽和環を形成し、場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基で置換されている前記飽和環を形成する。
【0132】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR6及びR7は両方とも結合している炭素原子と一緒になってN及びOから独立して選択される1~3個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する4~6員の飽和環を形成し、場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基で置換されている前記飽和環を形成する。
【0133】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR6及びR7は両方とも結合している炭素原子と一緒になって場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基で置換されている3~7員のシクロアルキル環を形成する。
【0134】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR6及びR7は両方とも結合している炭素原子と一緒になって場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基で置換されている4~6員のシクロアルキル環を形成する。
【0135】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されており、R14はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリールであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されており、R6はアミノ、C1~4アミノアルキル、及びC1~4アルキルアミノからなる群より選択され、R7は水素、ハロ、及びヒドロキシからなる群より選択され、又はR7はアミド、C1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員若しくは6員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちのいずれも場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1~4アルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より選択される1個又は2個の置換基で置換されている。
【0136】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されており、R14はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリールであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されており、R6はアミノ又はアミノメチルであり、R7はヒドロキシ、C1~4アルキル、及びC1~4ヒドロキシアルキルからなる群より選択される。
【0137】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されており、R14はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリールであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されており、R6及びR7は両方とも結合している炭素原子と一緒になってN、C(O)、O、及びS(O)mから独立して選択される1~3個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する3~7員の飽和環又は不飽和環を形成し、場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基で置換されている前記飽和環又は不飽和環を形成する。
【0138】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されており、R14はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリールであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されており、R6及びR7は両方とも結合している炭素原子と一緒になってN、C(O)、及びOから独立して選択される1~3個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する4~6員の飽和環又は不飽和環を形成し、場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基で置換されている前記飽和環又は不飽和環を形成する。
【0139】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されており、R14はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリールであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されており、R6及びR7は両方とも結合している炭素原子と一緒になって場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基で置換されている3~7員のシクロアルキル環を形成する。
【0140】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されており、R6はアミノ、C1~4アミノアルキル、及びC1~4アルキルアミノからなる群より選択され、R7は水素、ハロ、及びヒドロキシからなる群より選択され、又はR7はアミド、C1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員若しくは6員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちのいずれも場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1~4アルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より選択される1個又は2個の置換基で置換されている。
【0141】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されており、R6はアミノ又はアミノメチルであり、R7はヒドロキシ、C1~4アルキル、及びC1~4ヒドロキシアルキルからなる群より選択される。
【0142】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されており、R6及びR7は両方とも結合している炭素原子と一緒になってN、C(O)、O、及びS(O)mから独立して選択される1~3個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する3~7員の飽和環又は不飽和環を形成し、場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基で置換されている前記飽和環又は不飽和環を形成する。
【0143】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されており、R6及びR7は両方とも結合している炭素原子と一緒になってN、C(O)、及びOから独立して選択される1~3個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する4~6員の飽和環又は不飽和環を形成し、場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基で置換されている前記飽和環又は不飽和環を形成する。
【0144】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されており、R6及びR7は両方とも結合している炭素原子と一緒になって場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基で置換されている3~7員のシクロアルキル環を形成する。
【0145】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、及び1,2,4-トリアジニルからなる群より選択され、且つ、場合によっては1個、2個、又は3個のR12で置換されており、その場合に各R12は本明細書において規定及び記載される通りである。幾つかの実施形態ではR1はフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、及び1,2,4-トリアジニルからなる群より選択され、且つ、場合によっては1個、2個、又は3個のR12で置換されており、その場合に各R12は本明細書において規定及び記載される通りである。幾つかの実施形態ではR1はフェニル又はピリジルであり、且つ、場合によっては1個、2個、又は3個のR12で置換されており、その場合に各R12は本明細書において規定及び記載される通りである。
【0146】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、及び1,2,4-トリアジニルからなる群より選択され、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12で置換されている。
【0147】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、及び1,2,4-トリアジニルからなる群より選択され、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12で置換されている。
【0148】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル又はピリジルであり、それらの各々が場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12で置換されている。
【0149】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル又はピリジルであり、それらの各々が場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12で置換されている。
【0150】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニルであり、且つ、場合によっては1~3個のR12で置換されており、それらの各々がハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される。幾つかの実施形態ではR1はフェニルであり、且つ、場合によっては1~3個のR12で置換されており、それらの各々がハロ、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より独立して選択される。幾つかの実施形態ではR1はフェニルであり、且つ、場合によっては1~3個のR12で置換されており、それらの各々がハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より独立して選択される。
【0151】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はピリジルであり、且つ、場合によっては1~3個のR12で置換されており、それらの各々がハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される。幾つかの実施形態ではR1はピリジルであり、且つ、場合によっては1~3個のR12で置換されており、それらの各々がハロ、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より独立して選択される。幾つかの実施形態ではR1はピリジルであり、且つ、場合によっては1~3個のR12で置換されており、それらの各々がハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より独立して選択される。
【0152】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1
【化11】
からなる群より選択され、各R12は本明細書において規定及び記載される通りである。
【0153】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1
【化12】
からなる群より選択され、且つ、
各R12はハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択され、R14は本明細書において規定及び記載される通りである。
【0154】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1
【化13】
からなる群より選択され、且つ、
各R12はハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される。
【0155】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1
【化14】
からなる群より選択され、且つ、
各R12はハロ、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より独立して選択される。
【0156】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1
【化15】
からなる群より選択され、且つ、
各R12はハロ、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より独立して選択される。
【0157】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1
【化16】
からなる群より選択され、且つ、
各R12はハロ、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より独立して選択される。
【0158】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態では各R12はハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される。幾つかの実施形態では各R12はハロ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される。幾つかの実施形態では各R12はハロ、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より独立して選択される。幾つかの実施形態では各R12はハロ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、及びC1~4ハロアルキルからなる群より独立して選択される。幾つかの実施形態では各R12はF、Cl、Br、CH3、OCH3、及びCF3からなる群より独立して選択される。
【0159】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態では各R12はF、Cl、Br、CH3、OCH3、CF3
【化17】
からなる群より独立して選択される。
【0160】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1
【化18】
からなる群より選択され、且つ、
各R12はハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択され、R14は本明細書において規定及び記載される通りである。
【0161】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1
【化19】
によって表され、且つ、
各R12はハロ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、及びC1~4ハロアルキルからなる群より独立して選択される。幾つかの実施形態では各R12はF、Cl、Br、CH3、OCH3、及びCF3からなる群より独立して選択される。幾つかの実施形態では各R12はClである。
【0162】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1
【化20】
によって表され、且つ、
各R12はハロ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、及びC1~4ハロアルキルからなる群より独立して選択される。幾つかの実施形態では各R12はF、Cl、Br、CH3、OCH3、及びCF3からなる群より独立して選択される。幾つかの実施形態では各R12は独立してCl又はBrである。
【0163】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR14はC6~10アリール及び5~10員のヘテロアリールからなる群より独立して選択され、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されている。幾つかの実施形態ではR14はC6~10アリール及び5~10員のヘテロアリールからなる群より独立して選択され、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている。幾つかの実施形態ではR14はC6~10アリール及び5~10員のヘテロアリールからなる群より独立して選択され、これらのうちの各々が場合によってはハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている。
【0164】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR14は独立してフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリールであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されている。幾つかの実施形態ではR14は独立してフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリールであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている。幾つかの実施形態ではR14は独立してフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリールであり、これらのうちの各々が場合によってはハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている。
【0165】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR14はフェニル又はピラゾリルであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている。幾つかの実施形態ではR14はフェニルであり、場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている。幾つかの実施形態ではR14はC1~4アルキルアミドで置換されているフェニルである。幾つかの実施形態ではR14は-C(O)NHMeで置換されているフェニルである。幾つかの実施形態ではR14はフェニルである。幾つかの実施形態ではR14はピラゾリルであり、場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている。幾つかの実施形態ではR14はC1~4アルキルで置換されているピラゾリルである。幾つかの実施形態ではR14はメチルで置換されているピラゾリルである。幾つかの実施形態ではR14はN-メチルピラゾリルである。幾つかの実施形態ではR14はピラゾリルである。
【0166】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1
【化21】
によって表され、
各R12はハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択され、R14はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリールであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている。
【0167】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1
【化22】
によって表され、
各R12はハロ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択され、R14はフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリールであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている。
【0168】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1
【化23】
によって表され、
各R12はハロ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択され、R14はフェニル又はピラゾリルからなる群より選択され、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている。
【0169】
式I、式Ia~Ic、及び式IIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1
【化24】
によって表され、
各R12はハロ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択され、R14はフェニル、C1~4アルキルアミドで置換されているフェニル、ピラゾリル、及びC1~4アルキルで置換されているピラゾリルからなる群より選択される。幾つかの実施形態では各R12はF、Cl、Br、CH3、OCH3、及びCF3からなる群より独立して選択され、R14はフェニル、MeNHC(O)-フェニル、ピラゾリル、及びN-メチルピラゾリルからなる群より選択される。幾つかの実施形態では各R12はClであり、R14はフェニル、MeNHC(O)-フェニル、ピラゾリル、及びN-メチルピラゾリルからなる群より選択される。
【0170】
ある特定の実施形態では前記化合物は式II
【化25】
によって表される化合物であって、式中
1がフェニル又はピリジルであり、それらの各々が0~3個のR12で置換されており、
各R12がハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択され、
6がアミノ、C1~4アミノアルキル、及びC1~4アルキルアミノからなる群より選択され、
7が水素、シアノ、アミド、ハロ、及びヒドロキシからなる群より選択され、又はR7がC1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員若しくは6員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちのいずれも場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1~4アルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より独立して選択される1~3個の置換基で置換されており、
13が水素、ハロ、シアノ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、及びC3~8シクロアルキルからなる群より選択され、且つ、
14がフェニル又はピラゾリルであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている、
前記化合物又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグである。
【0171】
ある特定の実施形態では前記化合物は式III
【化26】
によって表される化合物であって、式中
1がフェニル又はピリジルであり、それらの各々が0~3個のR12で置換されており、
各R12がハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択され、
6がアミノ、C1~4アミノアルキル、及びC1~4アルキルアミノからなる群より選択され、
7が水素、シアノ、アミド、ハロ、及びヒドロキシからなる群より選択され、又はR7がC1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員若しくは6員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちのいずれも場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1~4アルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より独立して選択される1~3個の置換基で置換されており、
13が水素、ハロ、シアノ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、及びC3~8シクロアルキルからなる群より選択され、且つ、
14がフェニル又はピラゾリルであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている、
前記化合物又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグである。
【0172】
ある特定の実施形態では前記化合物は式IV
【化27】
によって表される化合物であって、式中
1がフェニル又はピリジルであり、それらの各々が0~3個のR12で置換されており、
各R12がハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択され、
13が水素、ハロ、シアノ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、及びC3~8シクロアルキルからなる群より選択され、
14がフェニル又はピラゾリルであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されており、且つ、
各Raがアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される、
前記化合物又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグである。
【0173】
ある特定の実施形態では前記化合物は式V
【化28】
によって表される化合物であって、式中
1がフェニル又はピリジルであり、それらの各々が0~3個のR12で置換されており、
各R12がハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択され、且つ、
13が水素、ハロ、シアノ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、及びC3~8シクロアルキルからなる群より選択され、
14がフェニル又はピラゾリルであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されており、且つ、
aがアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1~4アルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より選択される、
前記化合物又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグである。
【0174】
ある特定の実施形態では前記化合物は式VI
【化29】
によって表される化合物であって、式中
1がフェニル又はピリジルであり、それらの各々が0~3個のR12で置換されており、
各R12がハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択され、且つ、
13が水素、ハロ、シアノ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、及びC3~8シクロアルキルからなる群より選択され、
14がフェニル又はピラゾリルであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されており、且つ、
各Raがアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1~4アルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より独立して選択される、
前記化合物又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグである。
【0175】
ある特定の実施形態では前記化合物は式VII
【化30】
によって表される化合物であって、式中
1がフェニル又はピリジルであり、それらの各々が0~3個のR12で置換されており、
各R12がハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択され、且つ、
13が水素、ハロ、シアノ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、及びC3~8シクロアルキルからなる群より選択され、
14がフェニル又はピラゾリルであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されており、且つ、
各Raがアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1~4アルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より独立して選択される、
前記化合物又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグである。
【0176】
ある特定の実施形態では前記化合物は式VIII
【化31】
によって表される化合物であって、式中
1がフェニル又はピリジルであり、それらの各々が0~3個のR12で置換されており、
各R1がハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択され、且つ、
13が水素、ハロ、シアノ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、及びC3~8シクロアルキルからなる群より選択され、
14がフェニル又はピラゾリルであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されており、且つ、
各Raがアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1~4アルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より独立して選択される、
前記化合物又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグである。
【0177】
ある特定の実施形態では前記化合物は式IX
【化32】
によって表される化合物であって、式中
1がフェニル又はピリジルであり、それらの各々が0~3個のR12で置換されており、
各R12がハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択され、且つ、
13が水素、ハロ、シアノ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、及びC3~8シクロアルキルからなる群より選択され、
14がフェニル又はピラゾリルであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されており、且つ、
aがアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1~4アルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より選択される、
前記化合物又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグである。
【0178】
ある特定の実施形態では前記化合物は式X
【化33】
によって表される化合物であって、式中
1がフェニル又はピリジルであり、それらの各々が0~3個のR12で置換されており、
各R12がハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択され、且つ、
13が水素、ハロ、シアノ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、及びC3~8シクロアルキルからなる群より選択され、
14がフェニル又はピラゾリルであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されており、且つ、
各Raがアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される、
前記化合物又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグである。
【0179】
ある特定の実施形態では前記化合物は式XI
【化34】
によって表される化合物であって、式中
1がフェニル又はピリジルであり、それらの各々が0~3個のR12で置換されており、
各R12がハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択され、且つ、
13が水素、ハロ、シアノ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、及びC3~8シクロアルキルからなる群より選択され、
14がフェニル又はピラゾリルであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されており、且つ、
各Raがアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される、
前記化合物又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグである。
【0180】
式II~XIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1、R6、R7、R12、R13、及びR14は上記の選抜された実施形態のうちのいずれか1つ以上において表明されている意味を有する場合がある。
【0181】
式II~XIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR13は水素、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、及びC3~8シクロアルキルからなる群より選択される。幾つかの実施形態ではR13は水素、ハロ、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルからなる群より選択される。幾つかの実施形態ではR13は水素、ハロ、C1~4アルキル、及びC1~4ハロアルキルからなる群より選択される。幾つかの実施形態ではR13は水素、Cl、Br、メチル、及びCF3からなる群より選択される。幾つかの実施形態ではR13は水素である。幾つかの実施形態ではR13はClである。幾つかの実施形態ではR13はBrである。幾つかの実施形態ではR13はメチルである。幾つかの実施形態ではR13はCF3である。
【0182】
式II~XIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1はフェニル又はピリジルであり、それらの各々が1~3個のR12で置換されている。幾つかの実施形態ではR1はフェニル又はピリジルであり、それらの各々が2個又は3個のR12で置換されている。幾つかの実施形態ではR1は2個又は3個のR12で置換されているフェニルである。幾つかの実施形態ではR1は2個のR12で置換されているフェニルである。幾つかの実施形態ではR1は3個のR12で置換されているフェニルである。幾つかの実施形態ではR1は2個のR12で置換されているピリジルである。
【0183】
式II~XIのいずれか1つの幾つかの実施形態では各R12はハロ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される。幾つかの実施形態では各R12はハロ、ヒドロキシ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より独立して選択される。幾つかの実施形態では各R12はハロ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、及びC1~4ハロアルキルからなる群より独立して選択される。幾つかの実施形態では各R12はF、Cl、Br、CH3、OCH3、及びCF3からなる群より独立して選択される。
【0184】
式II~XIのいずれか1つの幾つかの実施形態では各R12はF、Cl、Br、CH3、OCH3、CF3
【化35】
からなる群より独立して選択される。
【0185】
式II~XIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1は2個のR12で置換されているフェニルであり、各R12はF、Cl、Br、CH3、OCH3、及びCF3からなる群より独立して選択される。幾つかの実施形態ではR1は2個のR12で置換されているフェニルであり、各R12はClである。
【0186】
式II~XIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1は3個のR12で置換されているフェニルであり、各R12はF、Cl、Br、CH3、OCH3、CF3
【化36】
からなる群より独立して選択される。式II~XIのいずれか1つの幾つかの実施形態ではR1は3個のR12で置換されているフェニルであり、1番目と2番目のR12はそれぞれClであり、3番目のR12はBrである。幾つかの実施形態ではR1は3個のR12で置換されているフェニルであり、1番目と2番目のR12はそれぞれClであり、3番目のR12
【化37】
からなる群より選択される。
【0187】
式II~XIのいずれか1つの幾つかの実施形態において、幾つかの実施形態ではR14はフェニルであり、場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている。幾つかの実施形態ではR14はC1~4アルキルアミドで置換されているフェニルである。幾つかの実施形態ではR14は-C(O)NHMeで置換されているフェニルである。幾つかの実施形態ではR14はフェニルである。幾つかの実施形態ではR14はピラゾリルであり、場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている。幾つかの実施形態ではR14はC1~4アルキルで置換されているピラゾリルである。幾つかの実施形態ではR14はメチルで置換されているピラゾリルである。幾つかの実施形態ではR14はN-メチルピラゾリルである。幾つかの実施形態ではR14はピラゾリルである。
【0188】
式II又は式IIIの幾つかの実施形態ではR6はアミノ又はC1~4アミノアルキルである。ある特定の実施形態ではR6はアミノ又はアミノメチルである。ある特定の実施形態ではR6はアミノである。ある特定の実施形態ではR6はアミノメチルである。
【0189】
式II又は式IIIの幾つかの実施形態ではR7はヒドロキシ、C1~4アルキル、又はC1~4ヒドロキシアルキルである。ある特定の実施形態ではR7はC1~4アルキルである。ある特定の実施形態ではR7はメチルである。ある特定の実施形態ではR7はエチルである。
【0190】
式II又は式IIIの幾つかの実施形態ではR6はアミノであり、R7はC1~4アルキルである。ある特定の実施形態ではR6はアミノであり、R7はメチルである。幾つかの実施形態ではR6はアミノであり、R7はエチルである。幾つかの実施形態ではR6はアミノメチルであり、R7はC1~4アルキルである。ある特定の実施形態ではR6はアミノメチルであり、R7はメチルである。
【0191】
式IV~XIのいずれか1つの幾つかの実施形態では各Raはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、及びC1~4ハロアルキルからなる群より独立して選択される。幾つかの実施形態では各Raは独立してアミノ又はC1~4アルキルである。幾つかの実施形態では各Raは独立してアミノ又はメチルである。
【0192】
幾つかの実施形態では前記化合物は
【化38】

【化39】

【化40】

からなる群より選択される式によって表される。
【0193】
これらの実施形態のうちのいずれか1つ以上と上記のいずれかの実施形態が組み合わせられている場合がある実施形態も、その組合せが相互排他的ではないことを条件として提供される。
【0194】
本明細書において使用される場合、2つの実施形態は、一方の実施形態が他方の実施形態とは異なる何かであると規定される場合に「相互排他的」である。例えば、2つの基が合同してシクロアルキルを形成する実施形態は、一方の基がエチルで他方の基が水素である実施形態と相互排他的である。同様に、1つの基がCH2である実施形態は同じ基がNHである実施形態と相互排他的である。
【0195】
本明細書において開示される実施例から選抜されている化合物も提供される。
【0196】
IV. 組成物
本明細書において開示される化合物を薬学的に許容可能な担体と共に含む医薬組成物も提供される。
【0197】
ある特定の実施形態では前記医薬組成物は経口投与用に製剤されている。
【0198】
ある特定の実施形態では前記医薬組成物は非経口投与用に製剤されている。
【0199】
ある特定の実施形態では前記医薬組成物は静脈内投与用に製剤されている。
【0200】
ある特定の実施形態では前記医薬組成物は皮下投与用に製剤されている。
【0201】
ある特定の実施形態では前記経口用 医薬組成物は錠剤及びカプセル剤から選択される。
【0202】
本対象の発明の化合物がそのままの化学物質として投与される可能性もあるが、それらの化合物が医薬製剤として提供される可能性もある。したがって、本明細書において開示されるある特定の化合物のうちの1種類以上、又はそれらの化合物の1種類以上の薬学的に許容可能な塩、エステル、プロドラッグ、アミド、若しくは溶媒和化合物を含む医薬製剤であって、医薬製剤の1種類以上の薬学的に許容可能な担体及び場合によっては1種類以上の他の治療薬成分を共に含む前記医薬製剤が提供される。前記担体は、この製剤の他の成分と適合し、且つ、この製剤の受容者にとって有害ではないという意味で「許容可能」でなくてはならない。適正な製剤は選択される投与経路に依存する。よく知られている技術、担体、及び賦形剤のうちのいずれかが適切に、且つ、当技術分野において理解されているように使用される場合がある。本明細書において開示されるこれらの医薬組成物は当技術分野において知られているいずれかの方法によって、例えば従来の混合処理、溶解処理、顆粒化処理、糖衣作製処理、湿式粉砕処理、乳化処理、カプセル化処理、封入処理、又は打錠処理によって製造され得る。
【0203】
前記製剤には、最も適切な経路は受容者の体調及び障害等に依存する場合があるが、経口投与、非経口投与(皮下投与、皮内投与、筋肉内投与、静脈内投与、関節内投与、及び骨髄内投与を含む)、腹腔内投与、経粘膜投与、経皮投与、直腸投与、及び局所投与(皮膚投与、バッカル投与、舌下投与、及び眼内投与を含む)に適切な製剤が含まれる。前記製剤は簡便さから単位投与剤形で提供される場合があり、調剤分野においてよく知られている方法のうちのいずれかによって調製される場合がある。これらの方法は1種類以上の補助的成分を構成する前記担体と本対象発明の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、エステル、アミド、プロドラッグ、若しくは溶媒和化合物(「有効成分」)を合同させる工程を含むことが典型的である。一般的に、前記製剤は、前記有効成分を液体担体又は微粉化された固形担体又は両者と一様、且つ、徹底的に合同させ、その後で必要であればその産物を所望の製剤の形に成形することにより調製される。
【0204】
経口投与に適切な本明細書において開示される前記化合物の製剤は、それぞれ所定の量の前記有効成分を含有するカプセル剤、カシェ剤、又は錠剤などの分離した単位として、粉剤又は顆粒剤として、水性液体状又は非水性液体状の液剤又は懸濁剤として、又は水中油型液体乳剤若しくは油中水型液体乳剤として提供される場合がある。この有効成分は巨丸剤、舐剤、又はペースト剤として提供される場合もある。
【0205】
経口使用できる医薬調製物には錠剤、ゼラチンからできている押し込み型のカプセル剤、並びにゼラチンとグリセロール又はソルビトールなどの可塑剤からできている軟質密封カプセル剤が挙げられる。錠剤は圧縮又は成形により作製される場合があり、場合によっては1種類以上の補助的成分と共に作製される場合がある。圧縮錠剤は、粉末又は顆粒などの自由流動形態の前記有効成分を場合によっては結合剤、不活性希釈剤、又は滑沢剤、界面活性剤、若しくは分散剤と混合して適切な機械の中で圧縮することにより調製され得る。湿製錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた前記粉末化合物の混合物を適切な機械の中で成形することにより作製され得る。この錠剤は場合によっては被覆されたり溝を付けられたりしてもよく、その中の前記有効成分の遅延放出又は制御放出が行われるように製剤される場合がある。経口投与用の全ての製剤がこのような投与に適切な剤形であるべきである。前記押し込み型のカプセル剤はラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤及び場合によっては安定化剤と混合して前記有効成分を含有する場合がある。軟質カプセル剤では前記活性化合物が適切な液体、例えば脂肪油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコール中に溶解又は懸濁されている場合がある。また、安定化剤が添加される場合がある。糖衣錠コアには適切な被覆が施されている。この目的のために濃厚糖溶液が使用される場合があり、この溶液は場合によってはアラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含んでいてよい。錠剤又は糖衣錠の被覆には識別のため、又は様々な組合せの活性化合物用量の特徴を明らかにするために染料又は色素が添加される場合がある。
【0206】
前記化合物は注射、例えばボーラス注射又は連続点滴による非経口投与用に製剤されている場合がある。注射用の製剤は保存剤が添加されてアンプル瓶又は多用量容器等の中に単位投与剤形で提供される場合がある。前記組成物は油性ベヒクル又は水性ベヒクル中の懸濁剤、液剤、又は乳剤のような剤形をとる場合があり、且つ、懸濁化剤、安定化剤、及び/又は分散剤などの製剤用薬剤を含有する場合がある。前記製剤は単位用量容器又は多用量容器、例えば密封アンプル瓶及びバイアル瓶の中に提供される場合があり、且つ、使用直前に無菌液体担体、例えば生理食塩水又は無菌パイロジェンフリー水を添加することだけが必要な粉末状又はフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存される場合がある。即席の注射液剤及び注射懸濁剤はこれまでに説明した種類の無菌の粉剤、顆粒剤、及び錠剤から調製される場合がある。
【0207】
非経口投与用の製剤には抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び意図された受容者の血液と製剤を等張にする溶質を含む場合がある前記活性化合物の水性及び非水性(油性)の無菌注射液剤、並びに懸濁化剤及び増粘剤を含む場合がある水性及び非水性の無菌懸濁剤が挙げられる。適切な親油性溶媒又はベヒクルにはゴマ油などの脂肪油、又はオレイン酸エチル若しくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、又はリポソームが挙げられる。水性注射懸濁剤はこの懸濁剤の粘度を上昇させる物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランを含有する場合がある。場合によってはこの懸濁剤は適切な安定化剤、又は前記化合物の溶解性を上昇させて非常に濃縮された液剤の調製を可能にする薬剤を含有する場合もある。
【0208】
これまでに説明された製剤に加えて、前記化合物はデポ剤として製剤されている場合もある。このような長期作用性製剤は移植(皮下移植若しくは筋肉内移植等)又は筋肉内注射により投与される場合がある。したがって、例えば、前記化合物は(例えば許容可能な油の中の乳剤として)適切な重合物質又は疎水性物質と共に、又はイオン交換樹脂と共に製剤されている場合があり、又はやや溶けにくい誘導体、例えばやや溶けにくい塩として製剤されている場合がある。
【0209】
バッカル投与又は舌下投与用には前記組成物は従来法により製剤される錠剤、ロゼンジ剤、パステル剤、又はゲル剤の剤形をとる場合がある。このような組成物は前記有効成分をショ糖及びアカシアガム又はトラガカントガムなどの香味基剤の中に含む場合がある。
【0210】
前記化合物は、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、又は他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有する坐剤又は停留浣腸剤などの直腸用組成物に製剤されている場合もある。
【0211】
本明細書において開示されるある特定の化合物は、非全身性投与によるものという意味で局所的に投与される場合がある。これには本明細書において開示される化合物が血流に入ることがあまりないようにこの化合物を体外から表皮又は口腔に塗布すること、並びにこのような化合物を耳、眼、及び鼻へ注入することが挙げられる。対照的に、全身性投与は経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、及び筋肉内投与を指す。
【0212】
局所投与に適切な製剤には皮膚から炎症部位までの透過に適切なゲル剤、リニメント剤、外用水薬、クリーム剤、軟膏、又はペースト剤などの液体又は半液体製剤、及び眼、耳、又は鼻への投与に適切な滴剤が挙げられる。局所投与用の前記有効成分は例えば前記製剤の0.001重量/重量%~10重量/重量%(重量%)を構成する場合がある。ある特定の実施形態では前記有効成分は10重量/重量%もの割合を構成する場合がある。他の実施形態では前記有効成分は5重量/重量%未満の割合を構成する場合がある。ある特定の実施形態では前記有効成分は2重量/重量%~5重量/重量%の割合を構成する場合がある。他の実施形態では前記有効成分は前記製剤の0.1重量/重量%~1重量/重量%を構成する場合がある。
【0213】
吸入による投与のために化合物が注入器から、ネブライザ加圧パックから、又は他の使いやすいエアロゾルスプレー剤の送達手段から簡便に送達される場合がある。加圧パックはジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の適切な気体などの適切な噴射剤を含む場合がある。加圧エアロゾル剤の場合、決まった量を送達するためのバルブを備えることにより投薬単位が決定される場合がある。あるいは、吸入による投与又は吹送のために本発明の前記化合物は乾燥粉体組成物、例えば前記化合物とラクトース又はデンプンなどの適切な粉剤基剤の粉末混合物の剤形をとる場合がある。この粉体組成物は、吸入器又は注入器の補助を得てこの粉体を投与することができるカプセル、カートリッジ、ゼラチンパック、又はブリスターパック内の単位投与剤形で提供される場合がある。
【0214】
好ましい単位投与剤形は本明細書において以下に列挙されるような前記有効成分の有効用量を含む剤形、又はその有効用量の適切な分割用量を含む剤形である。
【0215】
上で説明された製剤は、上で特に言及された成分に加え、当の製剤の種類を考慮した当技術分野において伝統的な他の薬剤を含んでよいことが理解されるべきであり、例えば経口投与に適切な製剤は着香剤を含んでよい。
【0216】
化合物は0.1~500mg/kgまでの一日用量で経口経路又は注射により投与される場合がある。成人のヒトに対するこの用量範囲は5mg/日~2g/日までであることが一般的である。錠剤、又は不連続単位で提供される剤形は、従来、このような投与量で有効な量、又はこのような量の倍数である量の1種類以上の化合物を含む場合があり、例えば5mg~500mg、通常10mg~200mg程度を含有する単位を含む場合がある。
【0217】
一種類の剤形を生産するために担体物質と組み合わせられる場合がある有効成分の量は治療を受ける宿主及び特定の投与モードに応じて変化する。
【0218】
V. 方法
本発明は、PTPN11を本明細書に記載される化合物と接触させる工程を含む、少なくとも1種類のPTPN11機能を阻害する方法にも関する。細胞表現型、細胞増殖、PTPN11の活性、活性型PTPN11によって生じる生化学的生産の変化、PTPN11の発現、又は天然の結合パートナーとのPTPN11の結合がモニターされ得る。このような方法は疾患の治療モード、生物学的アッセイ、細胞アッセイ、生化学的アッセイ等であり得る。
【0219】
本明細書は、必要とする患者に本明細書において開示される化合物又はその塩若しくは互変異性体の治療有効量を投与することを含むPTPN11介在性疾患の治療方法も提示する。
【0220】
ある特定の実施形態では前記疾患は癌である。
【0221】
ある特定の実施形態では前記癌は乳癌、大腸癌、白血病、又は黒色腫から選択される。
【0222】
本明細書は、必要とする患者に本明細書において開示される化合物又はその塩若しくは互変異性体の治療有効量を投与することを含むPTP介在性疾患の治療方法も提示する。
【0223】
ある特定の実施形態では前記疾患はヌーナン症候群及びレオパード症候群から選択される。
【0224】
ある特定の実施形態では前記疾患は癌である。
【0225】
ある特定の実施形態では前記癌は乳癌、大腸癌、白血病、又は黒色腫から選択される。
【0226】
本明細書は、医薬品として使用される本明細書において開示される化合物も提示する。
【0227】
本明細書は、PTPN11介在性疾患の治療用の医薬品として使用される本明細書において開示される化合物も提示する。
【0228】
本明細書は、PTP介在性疾患の治療用の医薬品として使用される本明細書において開示される化合物も提示する。
【0229】
医薬品としての本明細書において開示される化合物の使用も提供される。
【0230】
PTPN11介在性疾患の治療用の医薬品としての本明細書において開示される化合物の使用も提供される。
【0231】
PTPN11介在性疾患の治療用の医薬品の製造に使用される本明細書において開示される化合物も提供される。
【0232】
PTPN11介在性疾患の治療のための本明細書において開示される化合物の使用も提供される。
【0233】
PTP介在性疾患の治療のための本明細書において開示される化合物の使用も提供される。
【0234】
本明細書は、PTPN11を本明細書において開示される化合物又はその塩若しくは互変異性体と接触させることを含むPTPN11の阻害方法も提示する。
【0235】
本明細書は、PTPを本明細書において開示される化合物又はその塩若しくは互変異性体と接触させることを含むPTPの阻害方法も提示する。
【0236】
本明細書は、患者において効果を得るための方法であって、前記患者に本明細書において開示される化合物又はその塩若しくは互変異性体の治療有効量を投与することを含み、前記効果が認知機能強化である前記方法も提示する。
【0237】
ある特定の実施形態では前記PTPN11介在性疾患はヌーナン症候群及びレオパード症候群から選択される。
【0238】
ある特定の実施形態では前記PTPN11介在性疾患は癌である。
【0239】
ある特定の実施形態では前記PTPN11介在性疾患は乳癌、大腸癌、白血病、又は黒色腫から選択される。
【0240】
本明細書において開示される化合物の治療有効量を投与することを含む対象におけるPTPN11介在性機能の調節方法も提供される。
【0241】
投与及び併用療法
前記化合物は様々なモードで、例えば経口モード、局所モード、又は注射により投与可能である。患者に投与される化合物の正確な量は担当医師の責任になる。どんな特定の患者に対する具体的な用量レベルも、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排出速度、併用薬、治療を受ける正確な障害、及び治療を受ける適応症又は症状の重症度を含む様々な因子に左右される。また、投与経路は症状及びその重症度に応じて変化する場合がある。
【0242】
ある特定の例では本明細書に記載される化合物(又は薬学的に許容可能なその塩、エステル、互変異性体、若しくはプロドラッグ)のうちの少なくとも1つを別の治療薬と組み合わせて投与することが適切であり得る。例にすぎないが、本明細書中の化合物のうちの1つを受容したときに患者が経験する副作用のうちの1つが高血圧である場合、抗高血圧剤を最初の治療薬と組み合わせて投与することが適切であり得る。あるいは、例にすぎないが、本明細書に記載される前記化合物のうちの1つの治療有効性は補助剤の投与により増強される場合がある(すなわち、その補助剤自体は最小の治療効果を有するにすぎない場合があるが、別の治療薬と組み合わせると患者に対する全体的な治療効果が増強される)。あるいは、例にすぎないが、患者が得る効果は本明細書に記載される前記化合物のうちの1つを、これもまた治療効果を有する別の治療薬(最適治療計画もこれに含まれる)と共に投与することによって増強される場合がある。例にすぎないが、本明細書に記載される前記化合物のうちの1つの投与を含む糖尿病の治療では糖尿病用の別の治療薬も前記患者に与えることで治療効果が上昇する場合がある。どの場合でも、治療を受ける疾患、障害、又は症状と無関係に、前記患者が得る全体的な効果はそれらの2種類の治療薬の単純な合計である場合があり、又は前記患者が相乗的な効果を得る場合もある。
【0243】
可能性のある併用療法の具体的で非限定的な例には本発明のある特定の化合物の抗癌剤(化学療法剤)との併用が挙げられる。抗癌剤の分類にはアルキル化剤、代謝拮抗剤、抗有糸分裂剤、チェックポイント阻害剤、植物アルカロイドとテルペノイド、トポイソメラーゼ阻害剤、細胞傷害性抗生物質、アロマターゼ阻害剤、血管新生阻害剤、抗ステロイド剤と抗アンドロゲン剤、mTOR阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、及びその他が含まれるがこれらに限定されない。
【0244】
癌及び新生物疾患での使用のため、PTPN11(SHP2)阻害剤は以下の非限定的な抗癌剤の例のうちの1つ以上と併用されることが最も望ましい場合がある。
(1)カルムスチン、クロラムブチル(リューケラン)、シスプラチン(プラチン)、カルボプラチン(パラプラチン)、オキサリプラチン(エロキサチン)、ストレプトゾシン(ザノサー)、ブスルファン(マイレラン)、ダカルバジン、イホスファミド、ロムスチン(CCNU)、メルファラン(アルケラン)、プロカルバジン(MATULAN)、テモゾロミド(TEMODAR)、チオテパ、及びシクロホスファミド(エンドキサン)を含むがこれらに限定されないアルキル化剤。
(2)クラドリビン(ロイスタチン)、メルカプトプリン(プリネトール)、チオグアニン、ペントスタチン(ニペント)、シトシンアラビノシド(シタラビン、ARA-C)、ゲムシタビン(ジェムザール)、フルオロウラシル(5-FU、CARAC)、カペシタビン(ゼローダ)、ロイコボリン(FUSILEV)、メトトレキサート(リウマトレックス)、ラルチトレキセドを含むがこれらに限定されない代謝拮抗剤。
(3)ドセタキセル(TAXITERE)及びパクリタキセル(アブラキサン、タキソール)などのタキサン、ビンクリスチン(オンコビン)、ビンブラスチン、ビンデシン、及びビノレルビン(ナベルビン)などのビンカアルカロイドを含むがこれらに限定されない抗有糸分裂剤。植物アルカロイドとテルペノイド、又はそれらの誘導体であることが多い。
(4)抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体であるペムブロリズマブ(キイトルーダ)、ニボルマブ(オプジーボ)、MEDI4736、及びMPDL3280A、抗CTLA-4抗体イピリムマブ(ヤーボイ)、並びにLAG3(リンパ球活性化遺伝子3タンパク質)、KIR(キラー細胞免疫グロブリン様受容体)、4-1BB(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー9)、TIM3(T細胞免疫グロブリン・ムチンドメイン含有タンパク質3)、及びOX40(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー4)を標的とする抗体などのチェックポイント阻害剤。
(5)カンプトテシン(CTP)、イリノテカン(カンプトサル)、トポテカン(ハイカムチン)、テニポシド(VUMON)、及びエトポシド(EPOSIN)を含むがこれらに限定されないトポイソメラーゼ阻害剤。
(6)アクチノマイシンD(ダクチノマイシン、コスメゲン)、ブレオマイシン(ブレノキサン)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、ダウノルビシン(セルビジン)、エピルビシン(エレンス)、フルダラビン(フルダラ)、イダルビシン、マイトマイシン(MITOSOL)、ミトキサントロン(ノバントロン)、プリカマイシンを含むがこれらに限定されない細胞傷害性抗生物質。
(7)アミノグルテチミド、アナストロゾール(アリミデックス)、レトロゾール(フェマーラ)、ボロゾール(RIVIZOR)、エキセメスタン(アロマシン)を含むがこれらに限定されないアロマターゼ阻害剤。
(8)ゲニステイン、スニチニブ(スーテント)、及びベバシズマブ(アバスチン)を含むがこれらに限定されない血管新生阻害剤。
(9)アミノグルテチミド(シタドレン)、ビカルタミド(カソデックス)、シプロテロン、フルタミド(ユーレキシン)、ニルタミド(ニランドロン)などの抗ステロイド剤及び抗アンドロゲン剤。
(10)イマチニブ(グリベック)、エルロチニブ(タルセバ)、ラパチニブ(タイケルブ)、ソラフェニブ(ネクサバール)、及びアキシチニブ(インライタ)を含むがこれらに限定されないチロシンキナーゼ阻害剤。
(11)エベロリムス、テムシロリムス(トーリセル)、及びシロリムスなどのmTOR阻害剤。
(12)トラスツズマブ(ハーセプチン)及びリツキシマブ(リツキサン)などのモノクローナル抗体。
(13)他の薬剤、例えばアムサクリン、カルメット・ゲラン桿菌(B-C-G)ワクチン;ブセレリン(ETILAMIDE);クロロキン(ARALEN);クロドロネート、パミドロネート、及び他のビスホスホネート;コルヒチン;デメトキシビリジン;ジクロロ酢酸;エストラムスチン;フィルグラスチム(ニューポジェン);フルドロコルチゾン(フロリネフ);ゴセレリン(ゾラデックス);インターフェロン;ロイコボリン;ロイプロリド(リュープロン);レバミゾール;ロニダミン;メスナ;メトホルミン;ミトタン(o,p’-DDD、リソドレン);ノコダゾール;オクトレオチド(サンドスタチン);ペリフォシン;ポルフィマー(特に光線療法及び放射線療法と組み合わせたとき);スラミン;タモキシフェン;チタノセンジクロリド;トレチノイン;フルオキシメステロン(ハロテスチン)などのアナボリックステロイド;エストラジオール、ジエチルスチルベストロール(DES)、及びジエネストロールなどのエストロゲン;メドロキシプロゲステロン酢酸(MPA)及びメゲストロールなどのプロゲスチン;及びテストステロン。
【0245】
どの場合でも前記複数の治療薬(それらのうちの少なくとも1つは本明細書において開示される化合物である)はいかなる順序で投与されてもよく、同時に投与されてもよい。同時投与の場合、それらの複数の治療薬は単一の一体化された形態で提供されても複数の形態で提供されてもよい(例にすぎないが、単一の丸剤として投与されても2つの別個の丸剤として投与されてもよい)。前記治療薬のうちの1つが複数の投与回数で投与されても両方が複数の用量として投与されてもよい。同時投与ではない場合、複数の投与と投与の間のタイミングは数分間から4週間までの範囲のいずれかの期間であってもよい。
【0246】
したがって、別の態様ではある特定の実施形態は、必要とするヒト対象又は動物対象のPTPN11介在性障害を治療するための方法であって、前記対象の前記障害を軽減又は予防するために有効な本明細書において開示される化合物の量を当技術分野において知られている前記障害の治療用の少なくとも1種類の追加薬剤と共に投与することを含む前記方法を提供する。関連の態様ではある特定の実施形態は、本明細書において開示される少なくとも1種類の化合物をPTPN11介在性障害の治療用の1種類以上の追加薬剤と組み合わせて含む治療用組成物を提供する。
【0247】
幾つかの実施形態では疾患状態を治療するために必要とする対象に式Iの化合物又は薬学的に許容可能なその塩の治療有効量を投与することを含む本明細書に記載される方法が使用され、その状態は化学療法薬及び/又は電離放射線に対する抵抗性を発達させた癌である。
【0248】
幾つかの実施形態では疾患状態を治療するために必要とする対象に式Iの化合物又は薬学的に許容可能なその塩の治療有効量を投与することを含む本明細書に記載される方法が使用され、その状態は化学療法薬及び/又は電離放射線に対する抵抗性を発達させた癌である。
【0249】
本明細書において開示される前記化合物、組成物、及び方法は疾患の治療に有用である。ある特定の実施形態ではこの疾患は異常細胞増殖の1つであり、それには癌が含まれる。この癌は乳癌の場合のようにホルモン依存性でもホルモン非依存性でもよい。ある特定の実施形態ではこの癌は固形腫瘍である。他の実施形態ではこの癌はリンパ腫又は白血病である。ある特定の実施形態ではこの癌は本明細書において開示される、又は当技術分野において知られている薬剤抵抗型の癌である。腫瘍浸潤、腫瘍増殖、腫瘍転移、及び血管形成も本明細書において開示される前記組成物及び方法を用いて治療される場合がある。前癌新生物も本明細書において開示される前記組成物及び方法を用いて治療される。
【0250】
本明細書において開示される前記方法により治療される癌には大腸癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、及び前立腺癌、口腔及び咽頭(唇、舌、口、喉頭、咽頭)の癌、食道癌、胃癌、小腸癌、大腸癌、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、及び胆道癌;膵臓癌、骨癌、結合組織癌、皮膚癌、子宮頸部癌、子宮癌、子宮内膜癌、精巣癌、膀胱癌、腎臓癌、及び腎細胞癌(RCC)を含む他の泌尿器組織癌、眼の癌、脳の癌、脊髄の癌、並びに中枢末梢神経系の他の構成要素の癌及び髄膜などの付随構造体の癌、及び甲状腺及び他の内分泌腺の癌が挙げられる。「癌」という用語には必ずしも固形腫瘍を形成するわけではない癌も包含され、それらにはホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、及び白血病(慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML))をはじめとする造血器悪性腫瘍、並びにリンパ球性リンパ腫、顆粒球性リンパ腫、及び単球性リンパ腫をはじめとするリンパ腫が挙げられる。本発明の前記化合物及び方法を用いて治療され得るその他の種類の癌には腺癌、血管肉腫、星状細胞腫、聴神経腫、未分化星状細胞腫、基底細胞癌、神経膠芽腫、軟骨肉腫、絨毛癌、軟骨腫、頭蓋咽頭腫、皮膚黒色腫、嚢胞腺癌、内皮肉腫、胎生期癌、上衣腫、ユーイング腫瘍、上皮癌、線維肉腫、胃癌、泌尿生殖路癌、多形神経膠芽腫、頭頚部癌、血管芽腫、肝細胞癌、肝癌、カポジ肉腫、大細胞癌、平滑筋肉腫、白血病、脂肪肉腫、リンパ系癌、リンパ腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、髄様甲状腺癌、髄芽腫、髄膜腫中皮腫、骨髄腫、粘液肉腫神経芽細胞腫、神経線維肉腫、希突起神経膠腫、骨原性肉腫、上皮性卵巣癌、乳頭癌、乳頭腺癌、傍神経節腫、副甲状腺腫瘍、クローム親和細胞腫、松果体腫、形質細胞腫、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、脂腺癌、精上皮腫、皮膚癌、黒色腫、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、鱗状細胞癌、汗腺癌、滑膜腫、甲状腺癌、ぶどう膜黒色腫、及びウィルムス腫瘍が挙げられるがこれらに限定されない。
【0251】
ある特定の実施形態では本明細書において開示される前記組成物及び方法は腫瘍浸潤及び腫瘍転移の防止又は抑制に有用である。
【0252】
本明細書において開示されるある特定の化合物及び製剤はヒトの治療に有用である他に哺乳類動物、げっ歯類動物等を含む愛玩動物、珍奇動物、及び家畜動物の獣医分野の治療に有用な場合もある。より好ましい動物にはウマ、イヌ、及びネコが含まれる。
【0253】
VI. 調製方法
前記分子のキラリティーは、中心性キラリティーについてはR及びSという記述子を使用し、軸性キラリティーについてはRa及びSaという記述子を使用するカーン・インゴルド・プレローグ法を用いてその立体配置を明示することにより記述される。PAC誌、1996年、第68巻、2193頁、Basic terminology of stereochemistry(IUPAC勧告1996年)、doi:10.1351/pac199668122193、Preferred IUPAC Names、第9章、2004年9月、Cahn、 C.K. Ingold、及びV. Prelog著、Angew. Chem. Internat. Ed. Eng.誌、第5巻、385~415頁、511頁(1966年)、V. Prelog 及び G. Helmchen, Angew. Chem. Internat. Ed. Eng.誌、第21巻、567~583頁(1982年)。
【0254】
合成スキーム
本発明を実施するために以下のスキームを用いることができる。
【0255】
化合物を調製するための合成方法の概要
本発明の化合物を調製するための全般的指針として以下のスキームを用いることができる。
【0256】
略語表
Pd2dba3=トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、キサントホス=4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン、HCl=塩化水素、TFA=トリフルオロ酢酸、POCl3=オキシ塩化リン(V)、Tf2O=トリフルオロメタンスルホン酸無水物、DIEA=ジイソプロピルエチルアミン、DCM=ジクロロメタン、BOP=(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)、DBU=1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、NBS=N-ブロモスクシンイミド、及びNCS=N-クロロスクシンイミド。
【化41】
【0257】
Pd2dba3及びキサントホスなどの「Pd」触媒及びリガンドを使用してハロゲン化アリールAを対応する保護下アミンBに変換することができる。アミンBを脱保護化してCを得ることができ、アセトニトリル及びHClなどの酸でアミンCを処理することにより対応するアセトイミドアミドDを形成することができる。所望のマロネートとDを反応させることによりアリール置換-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンEを形成してEを得る。DCM中のTf2O及びDIEAによりPOCl3又はトリフレート等の試薬で処理してEを対応するハロゲン化物に変換することができる。その後のSNAr反応により保護化アミンGを提供することができ、そのアミンを脱保護化アミンHに変換することができる。SNAr反応でFを直接的にHに変換することができる。EのHへの直接的変換は、BOP及びDBUなどの試薬を適用することにより実施可能である。tert-ブチルヒドロペルオキシドの存在下でNBS、NCS、又はビス(((トリフルオロメチル)スルフィニル)オキシ)亜鉛などの試薬を適用することによりHにさらに官能基を付加して対応する臭化物、塩化物、又はCF3誘導体(I)にすることができる。
【化42】
【0258】
SNAr反応条件下でアルコール又はフェノールと水素化ナトリウムなどの塩基を使用してフルオロニトロベンゼン誘導体Jを対応するエーテルKに移行させることができる。SnCl2.2H2Oなどの還元剤を使用してこのニトロ誘導体を還元してアミンLにすることができる。その後、スキームIに説明されているように化合物Lを所望のピリミジノン誘導体M変換することができる。
【0259】
本発明の実施には他の合成経路も利用可能であり得ることが理解される。
【0260】
遊離塩基又は塩、例えばTFA塩又はHCl塩として合成及び単離され得る以下の例によって本発明をさらに例示する。
【実施例
【0261】
VII. 実施例
略語表
mg=ミリグラム、mL=ミリリットル、ul=マイクロリットル、M=モーラー、mmol=ミリモル、h=時間、min.=分、Rt=室温、N2=窒素、HCl=塩化水素、H2O=水、MS=マススペクトロメトリー、ES+=エレクトロスプレー陽イオン化、1H-NMR=プロトン核磁気共鳴、MHz=メガヘルツ、DMSO-d6=重水素化ジメチルスルホキシド(d6)、H=水素、rt=室温、℃=セルシウス度、Br2=臭素、NaOH=水酸化ナトリウム、NaHSO3=亜硫酸水素ナトリウム、K2CO3=炭酸カリウム、NMP=N-メチル-2-ピロリドン、BOP=(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)、DBU=1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、DIEA=ジイソプロピルエチルアミン、MW=マイクロウェーブ、KF=フッ化カリウム、Pd(dppf)Cl2=[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、Pd2dba3=トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、POCl3=オキシ塩化リン(V)、PE=石油エーテル、EA=酢酸エチル、CDCl3=重水素化クロロホルム、MeOH=メタノール、D2O=重水素化水、HPLC=高速液体クロマトグラフィー、DMSO=ジメチルスルホキシド、MeCN(又はACN)=アセトニトリル、NIS=N-ヨードスクシンイミド、DMF=ジメチルホルムアミド、K3PO4=リン酸三カリウム、Et2O=ジエチルエーテル、EtOAc=酢酸エチル、EtOH=エタノール、NaOMe=ナトリウムメトキシド、NaOEt=ナトリウムエトキシド、NCS=N-クロロスクシンイミド、TBDMS=TBS=tert-ブチルジメチルシリル、TFA=トリフルオロ酢酸、DCM=ジクロロメタン、キサントホス=4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン。
【0262】
実施例1
6-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)-3-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンTFA塩
【化43】
工程1:N-(2,3-ジクロロフェニル)アセトイミドアミド
【化44】
方法A
1,2-ジクロロエタン(10mL)中の2,3-ジクロロアニリン(1.6g、10mmol)及びMeCN(615mg、15.0mmol)の混合物に0℃でAlCl3(1.46g、1.10mmol)を添加した。この反応混合物を10分間にわたって撹拌し、その後でこれを密封チューブの中で18時間にわたって100℃まで加熱した。この反応を室温まで冷却し、氷冷水(30mL)を添加し、この水相をDCM(50mL×2回)で抽出した。その後、2MのNaOHを添加してpHを10に調節し、この水相をDCM(50mL×3回)で抽出した。混合した有機層をMgSO4上で乾燥し、そして減圧下で濃縮して標記化合物をベージュ色の油として得た(950mg、47%)。MS (ES+) C8H8Cl2N2 計算値: 202、実測値: 203[M+H]+。この産物をさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0263】
方法B
高圧反応容器の中でMeCN(123mL)に対してHClガスを0℃で15秒間にわたって泡立てて飽和溶液を得た。2,3-ジクロロアニリン(7.30ml、61.7mmol)を添加して白色の固形沈殿物を形成させた。この容器を密封し、この混合物を120℃で16時間にわたって加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、白色の沈殿物を真空濾過により収集した。この固形物をEt2O(20mL×3回)で洗浄し、そして真空下で乾燥して標記化合物を白色の固形物として得た(14.5g、98%の収率)。MS (ES+) C8H8Cl2N2 計算値: 202、実測値: 203 [M+H]+
【0264】
工程2:3-(2,3-ジクロロフェニル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン
【化45】
方法A
2-メトキシエタン-1-オール(10mL)中のN-(2,3-ジクロロフェニル)アセトイミドアミド(950mg、4.68mmol)の溶液にマロン酸ジエチル(2.99g、18.7mmol)及びMeOH中のNaOMe(4M、4.7mL、18mmol)を添加した。この混合物を120℃で16時間にわたって加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、水(50mL)に投入し、そしてEt2O(50mL)で抽出した。HCl(6M、水溶液)を用いてこの水層を約pH2まで酸性化し、固形沈殿物を濾過により収集して標記化合物を白色の固形物として得た(1g、77%)。MS (ES+) C11H8Cl2N2O2 計算値: 270、実測値: 271[M+H]+
【0265】
方法B
EtOH(125mL)中のN-(2,3-ジクロロフェニル)アセトイミドアミド(30g、125mmol)の懸濁液にマロン酸ジエチル(38.2mL、250mmol)及びNaOEt(EtOH中の20%)(140mL、376mmol)を添加し、それにより生じた混合物を密封チューブ中において120℃で18時間にわたって撹拌した。この反応混合物を放置して室温まで冷却し、揮発成分を減圧下で除去した。この残留物に水(30mL)を添加し、この混合物を0℃まで冷却し、そしてHCl(6M、水溶液)を用いてこの混合物を約pH2まで酸性化した。この混合物を放置して室温まで温め、そして1時間にわたって撹拌した。固形物を真空濾過により収集し、この固形物をEt2O(20mL×2回)で洗浄し、そして減圧下で乾燥して標記化合物を黄褐色の固形物(エナンチオマーの混合物)として得た(26.3g、77%)。MS (ES+) C11H8Cl2N2O2 計算値: 270、実測値: 271 [M+H]+
【0266】
工程2の化合物は3-(Sa)-(2,3-ジクロロフェニル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン及び3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンの混合物として存在し得る。
【0267】
工程3:6-クロロ-3-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン
【化46】
POCl3(5mL)中の1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4,6(1H,5H)-ジオン(250mg、0.92mmol)の混合物を100℃で4時間にわたって加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮し、そして氷冷水にゆっくりと添加した。この混合物をEtOAc(15mL×3回)で抽出した。この有機層を乾燥し、そして減圧下で濃縮した。この残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して(PE中のEtOAc、20~50%)標記化合物をベージュ色の固形物として得た(100mg、37.5%)(エナンチオマーの混合物)。MS (ES+) C11H7Cl3N2O 計算値: 288、実測値: 289[M+H]+
【0268】
工程3の化合物は6-クロロ-3-(Sa)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン及び6-クロロ-3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンの混合物として存在し得る。
【0269】
工程4:tert-ブチル(1-(1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-4-イル)-4-メチルピペリジン-4-イル)カルバメート
【化47】
DMF(3mL)中の6-クロロ-3-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(100mg、0.35mmol)、tert-ブチル(4-メチルピペリジン-4-イル)カルバメート(89mg、0.42mmol)、及びDIEA(134mg、1.04mmol)の混合物を100℃で3時間にわたって撹拌した。この反応混合物を水で希釈し、これをEtOAc(15mL×3回)で抽出した。この有機層を塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、そして減圧下で濃縮して標記化合物を得た。MS (ES+) C22H28Cl2N4O3 計算値: 466、実測値: 467[M+H]+。この産物をさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0270】
工程4の化合物はtert-ブチル(1-(1-(Sa)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-4-イル)-4-メチルピペリジン-4-イル)カルバメート及びtert-ブチル(1-(1-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-4-イル)-4-メチルピペリジン-4-イル)カルバメートの混合物として存在し得る。
【0271】
工程5:6-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)-3-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンTFA塩
DCM(3mL)中のtert-ブチル(1-(1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-4-イル)-4-メチルピペリジン-4-イル)カルバメート(0.35mmol、粗生成物)の溶液にTFA(1mL)を添加した。これにより生じた溶液を室温で2時間にわたって撹拌し、そして減圧下で濃縮した。この残留物を分取HPLC(移動相:A=0.01%TFA/H2O、B=MeCN;濃度勾配:18分間にB=60%~95%;カラム:Venusil CBP C18 (L) C18、10um、21.2mm×250mm、カタログ番号:VX902520-L)により精製して標記化合物を白色の固形物として得た(110mg、86%)。MS (ES+) C17H20Cl2N4O 計算値: 366、実測値: 367 [M+ H]+。1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 8.03 (s, 3H), 7.80 (dd, J = 7.8, 1.7 Hz, 1H), 7.61 - 7.46 (m, 2H), 5.47 (s, 1H), 4.08 - 3.82 (m, 2H), 3.34 - 3.29 (m, 2H), 2.00 (s, 3H), 1.71 (t, J = 5.5 Hz, 4H), 1.37 (s, 3H)。
【0272】
実施例1の化合物は6-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)-3-(Sa)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンTFA塩及び6-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンTFA塩の混合物として存在し得る。
【0273】
実施例2a及び2b
6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例2a):
【化48】
6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例2b):
【化49】
MeCN(43ml)中の3-(2,3-ジクロロフェニル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例1、工程2、3.50g、12.9mmol)及び(3S,4S)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンジヒドロクロリド(3.45g、14.2mmol)の懸濁液にDBU(6.23mL、41.3mmol)及びBOP(6.85g、15.5mmol)を添加し、それにより生じた混合物を室温で24時間にわたって撹拌した。この混合物を減圧下で濃縮した。この残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(2%NH4OHを含むDCM中の2~15%のMeOH)により精製してジアステレオマーの混合物としての標記化合物を灰色がかった白色の固形物として得た(4.2g、77%の収率)。このジアステレオマーの混合物をキラルSFC(移動相:CO2/メタノール(0.25%イソプロピルアミン)=60/40;流速:80g/分;5分;カラム温度:25℃;背圧:100bar;カラム:ES Industries ChromegaChiral CCS、2.0×25.0cm)により分離して標記化合物である実施例2a(19.7g、48%)を白色の固形物として、及び実施例2b(11.6g、28%)を白色の固形物として得た。
【0274】
実施例2a 6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン:MS(ES+)C2024Cl242計算値:422、実測値:423[M+H]+1H NMR (600 MHz、 CDCl3) δ 7.57 (dd, J = 8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.35 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.21 (dd, J = 7.9, 1.5 Hz, 1H), 5.45 (s, 1H), 4.21 - 4.16 (m, 1H), 3.86 (br s, 2H), 3.79 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 3.68 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 3.40 (ddd, J = 13.1, 9.1, 3.8 Hz, 1H), 3.31 (ddd, J = 13.3, 9.4, 3.2 Hz, 1H), 2.98 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 2.06 (s, 3H), 1.84 (ddd, J = 13.4, 9.4, 3.9 Hz, 1H), 1.75 - 1.60 (m, 3H), 1.23 (d, J = 6.4 Hz, 3H)。
【0275】
実施例2b 6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン:MS (ES+) C20H24Cl2N4O2 計算値: 422、実測値: 423 [M+H]+1H NMR (600 MHz、 CDCl3) δ 7.57 (dd, J = 8.2, 1.5 Hz, 1H), 7.36 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.21 (dd, J = 7.9, 1.5 Hz, 1H), 5.46 (s, 1H), 4.22 - 4.14 (m, 1H), 3.95 - 3.82 (m, 2H), 3.80 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 3.68 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 3.45 - 3.36 (m, 1H), 3.29 (ddd, J = 13.3, 9.5, 3.3 Hz, 1H), 2.99 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 2.07 (s, 3H), 1.84 (ddd, J = 13.4, 9.4, 3.9 Hz, 1H), 1.77 - 1.70 (m, 1H), 1.70 - 1.61 (m, 2H), 1.24 (d, J = 6.4 Hz, 3H)。
【0276】
実施例1及び実施例2に用いられた合成方法と類似の方法を用いて以下の実施例を合成した。一般的にこれらの実施例は本明細書において開示される方法によって作製可能である。これらの実施例は遊離塩基又はTFA塩として作製され得る。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0277】
実施例3の化合物は6-[4-(アミノメチル)-4-メチルピペリジン-1-イル]-3-(Sa)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチル-3,4-ジヒドロピリミジン-4-オン及び6-[4-(アミノメチル)-4-メチルピペリジン-1-イル]-3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチル-3,4-ジヒドロピリミジン-4-オンの混合物として存在し得る。
【0278】
実施例4の化合物は6-(4-アミノ-4-エチルピペリジン-1-イル)-3-(Sa)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチル-3,4-ジヒドロピリミジン-4-オン及び6-(4-アミノ-4-エチルピペリジン-1-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチル-3,4-ジヒドロピリミジン-4-オンの混合物として存在し得る。
【0279】
実施例5の化合物は6-[(3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル]-3-(Sa)-(2,3-ジフルオロフェニル)-2-メチル-3,4-ジヒドロピリミジン-4-オン及び6-[(3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル]-3-(Ra)-(2,3-ジフルオロフェニル)-2-メチル-3,4-ジヒドロピリミジン-4-オンの混合物として存在し得る。
【0280】
実施例6の化合物は6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(4-ブロモ-2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン及び6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(4-ブロモ-2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンの混合物として存在し得る。
【0281】
実施例8の化合物は6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2-ブロモ-3-クロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン及び6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2-ブロモ-3-クロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンの混合物として存在し得る。
【0282】
実施例9
6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-5-クロロ-3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン
【化50】
DCM(30mL)中の6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例2b、2.5g、5.9mmol)の溶液にNCS(946mg、7.09mmol)を添加し、それにより生じた混合物を室温で10分間にわたって撹拌した。この混合物を減圧下で濃縮した。この残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(2%NH4OHを含むDCM中の2~15%のMeOH)により精製して標記化合物を白色の固形物として得た(2.1g、78%の収率)。MS (ES+) C20H23Cl3N4O2 計算値: 456、実測値: 457 [M+ H]+1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 7.83 (dd, J = 8.1, 1.6 Hz, 1H), 7.62 (dd, J = 8.0, 1.6 Hz, 1H), 7.57 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 4.09 - 4.01 (m, 1H), 3.96 - 3.87 (m, 2H), 3.67 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.53 - 3.46 (m, 2H), 3.40 (ddd, J = 12.9, 9.3, 3.1 Hz, 1H), 2.91 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 2.00 (s, 3H), 1.81 (ddd, J = 13.2, 9.3, 3.6 Hz, 1H), 1.71 - 1.65 (m, 1H), 1.59 - 1.54 (m, 1H), 1.54 - 1.48 (m, 1H), 1.08 (d, J = 6.4 Hz, 3H)。
【0283】
実施例10a及び10b
6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2,3-ジクロロフェニル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例10a):
【化51】
6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例10b):
【化52】
方法A
工程1:3-(2,3-ジクロロフェニル)-6-ヒドロキシ-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン
【化53】
EtOH(184mL)中のN-(2,3-ジクロロフェニル)アセトイミドアミドヒドロクロリド(実施例1、工程1)(44g、184mmol)の懸濁液に2-メチルマロン酸ジエチル(62.6ml、367mmol)及びEtONa(206ml、551mmol)を添加し、それにより生じた混合物を密封チューブ中において120℃で18時間にわたって撹拌した。この反応混合物を放置して室温まで冷却し、揮発成分を減圧下で除去した。水(200mL)を添加し、この混合物を0℃まで冷却し、HCl(6M)を添加してpHを2に調節した。この反応を放置して室温まで温め、そして1時間にわたって撹拌した。この反応混合物をガラス繊維紙に通して濾過し、この固形物をEt2Oで洗浄し、収集し、そして減圧下で乾燥して標記化合物を薄黄色の固形物として得た(44.6g、156mmol、85%の収率)。MS (ES+) C12H10Cl2N2O2 計算値: 284、実測値: 285 [M+H]+
【0284】
工程1の化合物は3-(Sa)-(2,3-ジクロロフェニル)-6-ヒドロキシ-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン及び3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-6-ヒドロキシ-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オンの混合物として存在し得る。
【0285】
工程2:6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2,3-ジクロロフェニル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例10a)及び6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例10b)
アセトニトリル(351mL)中の3-(2,3-ジクロロフェニル)-6-ヒドロキシ-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン(30g、105mmol)及び(3S,4S)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンジヒドロクロリド(28.1g、116mmol)の懸濁液にDBU(50.8mL、337mmol)及びBOP(51.2g、116mmol)を添加し、それにより生じた混合物を室温で24時間にわたって撹拌した。(3S,4S)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンジヒドロクロリド(12.8g、52.5mmol)及びDBU(15.8mL、105mmol)を添加し、この混合物を室温でさらに24時間にわたって撹拌した。この反応混合物を減圧下で濃縮した。この残留物をDCM(200mL)と水(200mL)との間で分配し、これらの層を分離し、この水層をDCM(200mL×3回)で抽出した。混合した有機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。この残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(2%NH4OHを含むDCM中の2~15%のMeOH)により精製してジアステレオマーの混合物としての標記化合物を灰色がかった白色の固形物として得た。このジアステレオマーの混合物をキラルSFC(移動相:CO2/メタノール(0.25%イソプロピルアミン)=60/40;流速:80g/分;5分;カラム温度:25℃;背圧:100bar;カラム:Chiral Technologies Chiralpak AD-H、2.1×25.0cm)により分離して標記化合物である実施例10a(19.51g、42%、98%の鏡像体過剰率)を白色の固形物(単一のジアステレオマー)として、及び実施例10b(19.25g、42%、99%超の鏡像体過剰率)を白色の固形物(単一のジアステレオマー)として得た。
【0286】
実施例10a 6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2,3-ジクロロフェニル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン:MS (ES+) C21H26Cl2N4O2 計算値: 436、実測値: 437 [M+ H]+1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 7.83 - 7.77 (m, 1H), 7.57 - 7.50 (m, 2H), 4.09 - 4.02 (m, 1H), 3.66 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.58 - 3.51 (m, 2H), 3.49 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.21 (ddd, J = 12.9, 9.3, 3.2 Hz, 1H), 3.13 (ddd, J = 12.9, 9.4, 3.0 Hz, 1H), 2.89 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 1.97 (s, 3H), 1.89 (s, 3H), 1.78 (ddd, J = 13.3, 9.5, 3.6 Hz, 1H), 1.66 (ddd, J = 13.1, 9.1, 3.7 Hz, 1H), 1.57 - 1.52 (m, 1H), 1.52 - 1.47 (m, 1H), 1.08 (d, J = 6.4 Hz, 3H)。
【0287】
実施例10b 6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン:MS (ES+) C21H26Cl2N4O2 計算値: 436、実測値: 437 [M+ H]+1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 7.83 - 7.77 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 7.57 - 7.50 (d, J = 4.8 Hz, 2H), 4.09 - 4.02 (m, 1H), 3.65 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.58 - 3.51 (m, 2H), 3.49 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.22 (ddd, J = 13, 9.5, 2.5 Hz, 1H), 3.12 (ddd, J = 13.0, 9.5, 2.5 Hz, 1H), 2.89 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 1.97 (s, 3H), 1.89 (s, 3H), 1.78 (ddd, J = 13.2, 9.5, 3.7 Hz, 1H), 1.66 (ddd, J = 13.2, 9.5, 3.7 Hz, 1H), 1.58 - 1.46 (m, 2H), 1.28 (bs, 2H), 1.08 (d, J = 6.4 Hz, 3H)。
【0288】
方法B
工程1:1-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-4-イルトリフルオロメタンスルホネート
【化54】
DCM(1.00L)中の3-(Sa)-(2,3-ジクロロフェニル)-6-ヒドロキシ-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン及び3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-6-ヒドロキシ-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例10、方法A、工程1)(100g、351mmol)及びDIPEA(183mL、1.05mol)の混合物にTf2O(116mL g、701mmol、116mL)を-25℃で滴下して添加した。これにより生じた混合物を-25℃~-20℃で1時間にわたって撹拌し、そして20℃で18時間にわたって撹拌した。2バッチのこの反応混合物を混合した。水(1L)をこの反応混合物に添加し、それにより生じた混合物をCH2Cl2(1L×2回)で抽出した。混合した有機層を1MのHCl(1L、水溶液)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。この残留物をカラムクロマトグラフィー(PE中のEtOAc、20%)により精製してジアステレオマーの混合物を茶色の固形物として得た(144g、336mmol、47.8%の収率)。このジアステレオマーの混合物をSFC(カラム:ダイセルCHIRALPAK AD (250mm×50mm、10um);移動相:[Neu-IPA];B%:15%~15%、2.9分、1100分)により分離して標記化合物を茶色の固形物として得た(56.4g、18%、鏡像体過剰率=99.5%)。MS (ES+) C13H9Cl2F3N2O4S 計算値: 416、実測値: 417 [M+H]+
【0289】
工程2:6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例10b)
DMF(50.0mL)中の(3S,4S)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン(23.3g、95.6mmol、1.05当量、2HCl)の溶液にDIPEA(47.1g、364mmol、63.5mL)及びDMF(200mL)中の1-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリミジン-4-イルトリフルオロメタンスルホネート(38.0g、91.1mmol、1.00当量)の溶液を0℃で添加した。これにより生じた混合物を15℃で18時間にわたって撹拌し、そして(3S,4S)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン(1.11g、4.55mmol、2HCl)を添加した。これにより生じた混合物を25℃で15時間にわたって撹拌した。この反応混合物を減圧下で濃縮した。K2CO3(15%、500mL、水溶液)を添加し、この水相をDCM(200mL×3回)で抽出した。混合した有機層を塩水(400mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。この残留物をカラムクロマトグラフィー(SiO2、DCM中のMeOH、5~20%)により精製し、続いて逆相カラムクロマトグラフィー(0.1%NH3・H2O、MeCN:H2O(65:35))により精製した。この残留物を熱MeOH(250mL)中に溶解し、それにより生じた溶液に活性炭(2.70g)を添加し、この混合物を60℃で15分間にわたって撹拌した。この混合物を濾過し、そして減圧下で濃縮して標記化合物である実施例10b(26.5g、66.5%)を灰色がかった白色の固形物として得た。
【0290】
実施例11
6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチル-5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4(3H)-オンTFA塩
【化55】
DCE(591μL)中の6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-5-クロロ-3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例9)(35mg、0.083mmol)、TFA(9.6μL、0.12mmol)、及びビス(((トリフルオロメチル)スルフィニル)オキシ)亜鉛(55mg、0.16mmol)の懸濁液を超音波処理して均一な懸濁液を得て、その後でこれを℃まで冷却し、そしてtert-ブチルヒドロペルオキシド(34μL、0.25mmol)を滴下して添加した。これにより生じた混合物を室温まで温め、そして2時間にわたって撹拌した。水(1mL)を添加し、これらの層を分離し、この水層をDCM(1mL×3回)で抽出した。混合した有機層をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。この残留物を質量感応式分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/H2O、B=0.1%TFA/MeCN;濃度勾配:B=20~50%;20分;カラム:XBridge C18、5μm、19mm×150mm)により精製して標記化合物を白色の固形物(単一のジアステレオマー)として得た(15mg、30%の収率)。MS (ES+) C21H23Cl2F3N4O2 計算値: 490、実測値: 491 [M+ H]+1H NMR (600 MHz, DMSO-d6) δ 7.90 (s, 3H), 7.84 (dd, J = 7.9, 1.8 Hz, 1H), 7.63 - 7.56 (m, 2H), 4.24 - 4.17 (m, 1H), 3.96 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 3.91 - 3.83 (m, 2H), 3.72 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 3.50 - 3.44 (m, overlap H2O, 1H), 3.32 - 3.16 (m, overlap H2O, 2H), 2.03 (s, 3H), 1.78 (d, J = 13.8 Hz, 3H), 1.61 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 1.21 (d, J = 6.5 Hz, 3H)。
【0291】
実施例12a及び12b
6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-5-ブロモ-3-(Sa)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例12a):
【化56】
6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-5-ブロモ-3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例12b):
【化57】
工程1:5-ブロモ-(2,3-ジクロロフェニル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン
【化58】
DCM(8mL)中の3-(2,3-ジクロロフェニル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例1、工程2)(540mg、2mmol)の溶液にDCM(2mL)中のNBS(356mg、2mmol)の溶液を添加した。この反応混合物を室温で2時間にわたって撹拌した。この反応混合物を濾過して標記化合物を白色の固形物として得た(680mg、97.1%)。MS (ES+) C11H7BrCl2N2O2 計算値: 350、実測値: 351[M+H]+
【0292】
工程1の化合物は5-ブロモ-(Sa)-(2,3-ジクロロフェニル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン及び5-ブロモ-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンの混合物として存在し得る。
【0293】
工程2:6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-5-ブロモ-3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例12a)及び6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-5-ブロモ-3-(Sa)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例12b)
MeCN(2mL)中の5-ブロモ-3-(2,3-ジクロロフェニル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(80mg、0.23mmol)、(3S,4S)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン(67mg、0.27mmol)、BOP(121mg、0.27mmol)、及びDBU(174mg、1.14mmol)を室温で2時間にわたって撹拌した。この混合物を濃縮し、そして分取HPLC(NH4HCO3)により精製して固形物を得た。このジアステレオマーの混合物をキラルSFC(移動相:CO2/メタノール(0.2%MEA)=30/70;流速:80g/分;5分;カラム温度:35℃;背圧:100bar;カラム:AD 20×250mm、10um(ダイセル))により分離して実施例12aを白色の固形物として(18mg、16%)、及び実施例12bを白色の固形物として(15mg、13%)得た。
【0294】
実施例12a 6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-5-ブロモ-3-(Sa)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン:MS (ES+) C20H23BrCl2N4O2 計算値: 500、502、実測値: 501、503 [M+ H]+。 1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 7.83 (dd, J = 8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.62 (dd, J = 8.0, 1.5 Hz, 1H), 7.56 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 4.09 - 4.02 (m, 1H), 3.93 - 3.82 (m, 2H), 3.66 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 3.50 - 3.36 (m, 3H), 2.91 (d, J = 5.1 Hz, 1H), 2.00 (s, 3H), 1.86 - 1.78 (m, 1H), 1.68 - 1.59 (m, 1H), 1.61 - 1.47 (m, 2H), 1.08 (d, J = 6.4 Hz, 3H)。
【0295】
実施例12b 6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-5-ブロモ-3-(Ra)-(2,3-ジクロロフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン:MS (ES+) C20H23BrCl2N4O2 計算値: 500、502、実測値: 501、503 [M+ H]+。 1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 7.83 (dd, J = 8.0, 1.6 Hz, 1H), 7.62 (dd, J = 7.9, 1.5 Hz, 1H), 7.56 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 4.10 - 4.00 (m, 1H), 3.94 - 3.82 (m, 2H), 3.66 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.53 - 3.36 (m, 3H), 2.91 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 2.00 (s, 3H), 1.81 (ddd, J = 13.0, 9.3, 3.4 Hz, 1H), 1.69 (ddd, J = 12.9, 9.1, 3.6 Hz, 1H), 1.61 - 1.46 (m, 2H), 1.08 (d, J = 6.4 Hz, 3H)。
【0296】
実施例13a及び13b
6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2-クロロ-3-メチルフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンTFA塩(実施例13a):
【化59】
6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2-クロロ-3-メチルフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンTFA塩(実施例13b):
【化60】
工程1:tert-ブチル2-クロロ-3-メチルフェニルカルバメート
【化61】
ジオキサン(120mL)中の1-ブロモ-2-クロロ-3-メチルベンゼン(4.0g、19.6mmol)、Pd2dba3(1014mg、0.98mmol)、キサントホス(566mg、0.98mmol)、tert-ブチルカルバメート(3.41g、29.4mmol)、及びCs2CO3(9.58g、29.4mmol)の混合物を110℃で2時間にわたって撹拌し、その後で室温まで冷却した。水(150mL)を添加し、この混合物をEtOAc(150mL×2回)により抽出した。この有機層を乾燥し、そして濃縮した。この残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(PE、100%)により精製して標記化合物を得た(4.2g、89%)。MS (ES+) C12H16ClNO2 計算値: 241、実測値: 187 [M-55+H]+
【0297】
工程2:2-クロロ-3-メチルアニリン
【化62】
2MのHCl(MeOH中の40mL)中のtert-ブチル2-クロロ-3-メチルフェニルカルバメート(4.2g、17.4mmol)の混合物を室温で1時間にわたって撹拌した。この混合物を濃縮し、Et2O(40mL)で洗浄し、そして真空下で乾燥して標記化合物を黄色の固形物として得た(2.3g、93%)。MS (ES+) C7H8ClN 計算値: 141、実測値: 142 [M+H]+
【0298】
工程3:N-(2-クロロ-3-メチルフェニル)アセトイミドアミド
【化63】
HCl(CH3CN中の1N、15ml)中の2-クロロ-3-メチルアニリン(1.4g、9.93mmol)の混合物を120℃で4時間にわたって加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、これを濾過し、そして濾過ケークをEt2O(15mL)により洗浄した。この濾過ケークを真空下で乾燥して標記化合物を得た(1.2g、66%)。MS (ES+) C9H11ClN2 計算値: 182、実測値:183 [M+H]+
【0299】
工程4:3-(2-クロロ-3-メチルフェニル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン
【化64】
2-メトキシエタン-1-オール(12mL)中のN-(2-クロロ-3-メチルフェニル)アセトイミドアミド(1.2g、6.6mmol)の溶液にマロン酸ジエチル(4.22g、26.36mmol)及びCH3ONa/CH3OH(4M、6.6mL、26mmol)を添加した。この混合物を120℃で16時間にわたって加熱した。この混合物を室温まで冷却し、これを水(50mL)中に投入し、この水相をEt2O(50mL)で洗浄した。6NのHClを用いてこの水層を約pH2まで酸性化し、これをEtOAc(50mL×3回)で抽出した。この有機層を乾燥し、そして濃縮した。この残留物をEtOAcで洗浄して標記化合物を白色の固形物として得た(300mg、18%)。MS (ES+) C12H11ClN2O2 計算値: 250、実測値: 251[M+H]+
【0300】
工程4の化合物は3-(Sa)(2-クロロ-3-メチルフェニル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン及び3-(Ra)(2-クロロ-3-メチルフェニル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンの混合物として存在し得る。
【0301】
工程5:6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2-クロロ-3-メチルフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンTFA塩(実施例13a)及び6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2-クロロ-3-メチルフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンTFA塩(実施例13b)
MeCN(3ml)中の3-(2-クロロ-3-メチルフェニル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(150mg、0.6mmol)及び(3S,4S)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンジヒドロクロリド(173mg、0.72mmol)の懸濁液にDBU(183mg、1.2mmol)及びBOP(318mg、0.72mmol)を添加し、それにより生じた混合物を室温で1時間にわたって撹拌した。この混合物を減圧下で濃縮した。この残留物を分取HPLC(A:水(0.05%TFA)、B:ACN)、10分間に18~28%のB、15分で停止。カラム:Sunfire prep C18 10μm、OBD 19×250mm)により精製して標記化合物であるTFA塩の実施例13a(40mg、25%)、及び標記化合物であるTFA塩の実施例13b(60mg、38%)を得た。
【0302】
実施例13a 6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2-クロロ-3-メチルフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンTFA塩:MS (ES+) C23H28ClF3N4O4 計算値: 402、実測値: 403 [M+ H]+。 1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 7.92 (s, 3H), 7.49-7.48 (m, 1H), 7.41-7.38 (m, 1H), 7.29-7.28 (m, 1H), 5.43 (s, 1H), 4.21-4.19 (m, 2H), 3.87-3.85 (m, 1H), 3.70-3.68(m, 1H), 3.41 - 3.39 (m, 2H), 3.05 - 3.02 (m, 2H), 2.41 (s, 3H), 1.96 (s, 3H), 1.69-1.68 (m, 3H), 1.55-1.53 (m, 1H), 1.21-1.20 (d, J= 7 Hz, 3H)。
【0303】
実施例13b 6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2-クロロ-3-メチルフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンTFA塩:MS (ES+) C23H28ClF3N4O4 計算値: 402、実測値: 403 [M+ H]+。 1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 8.01(s, 3H), 7.49-7.47 (m, 1H), 7.41-7.38 (m, 1H), 7.29-7.28 (m, 1H), 5.43 (s, 1H), 4.22-4.19 (m, 2H), 3.88-3.86 (m, 2H), 3.69 - 3.68 (m, 1H), 3.42 - 3.40 (m, 1H), 3.06 - 3.00 (m, 2H), 2.41 (s, 3H), 1.96 (s, 3H), 1.71-1.68 (m, 3H), 1.54-1.51 (m, 1H), 1.22-1.21 (d, J= 6 Hz, 3H)。
【0304】
実施例14a及び14b
6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンTFA塩(実施例14a):
【化65】
6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンTFA塩(実施例14b):
【化66】
実施例13a及び実施例13bに用いられた合成方法と類似の方法を用いて実施例14a及び実施例14bを合成した。一般的にこれらの実施例は本明細書において開示される方法によって作製可能である。これらの実施例は遊離塩基又はTFA塩として作製され得る。
【0305】
実施例14a 6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンTFA塩:MS (ES+) C21H24ClF3N4O2 計算値: 456、実測値: 457 [M+H]+
【0306】
実施例14b 6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンTFA塩:MS (ES+) C21H24ClF3N4O2 計算値: 456、実測値: 457 [M+H]+
【0307】
実施例15a及び15b
6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2,3-ジクロロ-4-フェノキシフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例15a):
【化67】
6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロ-4-フェノキシフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例15b):
【化68】
工程1:2,3-ジクロロ-1-ニトロ-4-フェノキシベンゼン
【化69】
乾燥N,N-ジメチルホルムアミド(15mL)中のフェノール(1.1g、12mmol)の溶液にNaH(520mg、13mmol、60%)を0℃で少量ずつ添加し、それにより生じた混合物を0℃で10分間にわたって撹拌した。2,3-ジクロロ-1-フルオロ-4-ニトロベンゼン(2.1g、10mmol)を添加し、この混合物を室温まで温め、そして一晩にわたって撹拌した。この混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(PE中のEtOAc、0~15%)により精製して標記化合物を黄色の固形物として得た(2.0g、67%)。MS (ES+) C12H7Cl2NO3 計算値: 282、実測値: 283。
【0308】
工程2:2,3-ジクロロ-4-フェノキシアニリン
【化70】
EtOH(20mL)中の2,3-ジクロロ-1-ニトロ-4-フェノキシベンゼン(1.8g、6.4mmol)及びSnCl2.2H2O(14.3g、64mmol)を85℃で5時間にわたって撹拌した。これにより生じた混合物に対して飽和NaHCO3水溶液を用いてそのpHが9を超えるように調節し、これを濾過し、そしてEtOAc(50mL×3回)で洗浄した。この有機相を乾燥し、減圧下で濃縮し、そしてシリカゲルクロマトグラフィー(PE中のEtOAc、0~40%)により精製して標記化合物を黄褐色の固形物として得た(1.2g、73%)。MS (ES+) C12H9Cl2NO 計算値: 252、実測値: 253。
【0309】
工程3:N-(2,3-ジクロロ-4-フェノキシフェニル)アセトイミドアミド
【化71】
HCl/MeCN(1M、20mL)中の2,3-ジクロロ-4-フェノキシアニリン(1.0g、3.9mmol)を密封チューブ中において120℃で一晩にわたって加熱した。この混合物を室温まで冷却し、固形物を濾過し、そしてMeCN(5mL)で洗浄して標記化合物を白色の固形物として得た(0.9g、70%)。MS (ES+) C14H12Cl2N2 計算値: 293、実測値: 294。
【0310】
工程4:3-(2,3-ジクロロ-4-フェノキシフェニル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン
【化72】
実施例1の工程2の方法Bについて記載されているように反応を実施して標記化合物を黄褐色の固形物として得た(0.5g、54%)。MS (ES+) C17H12Cl2N2O3 計算値: 361、実測値: 362。
【0311】
工程4の化合物は3-(Sa)-(2,3-ジクロロ-4-フェノキシフェニル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン及び3-(Ra)-(2,3-ジクロロ-4-フェノキシフェニル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンの混合物として存在し得る。
【0312】
工程5:6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2,3-ジクロロ-4-フェノキシフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例15a)及び6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロ-4-フェノキシフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例15b)
実施例2の工程1について記載されているように反応を実施した。このジアステレオマーの混合物をキラルSFCキラルHPLC(共溶媒:MeOH(0.2%メタノール-アンモニア)、カラム:AD-H、4.6×100mm)により分離して標記化合物である実施例15a(25mg、18%)及び実施例15b(27mg、19%)を得た。
【0313】
実施例15a 6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2,3-ジクロロ-4-フェノキシフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン:MS (ES+) C26H28Cl2N4O3 計算値: 514、実測値: 515 [M+ H]+1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 7.44 (m, 2H), 7.37 (dd, J = 9, 2 Hz, 1H), 7.24 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.12 (dd, J = 9, 1 Hz, 1H), 7.07 (dd, J = 9, 2 Hz, 1H), 5.51 (s, 1 H), 4.25 (m, 1H), 4.07 (m, 2H), 3.88 (d, J = 9 Hz, 1H), 3.74 (m, 1H), 3.73 (d, J = 9 Hz, 1H), 3.42 (m, 1H), 3.03 (d, J = 5 Hz, 1H), 2.13 (s, 3H), 1.83-1.67 (m, 4H), 1.23 (d, J = 6 Hz, 3H)。
【0314】
実施例15b 6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロ-4-フェノキシフェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン:MS (ES+) C26H28Cl2N4O3 計算値: 514、実測値: 515 [M+ H]+。 1H NMR (500 MHz, MeOD) δ 7.51 - 7.41 (m, 2H), 7.36 (dd, J = 8.8, 2.7 Hz, 1H), 7.24 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.12 (dd, J = 8.6, 0.8 Hz, 2H), 7.07 (dd, J = 8.8, 1.8 Hz, 1H), 5.51 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 4.30 - 4.21 (m, 1H), 4.07 (d, J = 4.8 Hz, 1H,) 4.07 (m, 1H), 3.89 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 3.74 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 3.42 (t, J = 10.0 Hz, 1H), 3.03 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 2.14 (d, J = 3.9 Hz, 3H), 1.89 - 1.61 (m, 4H), 1.23 (dd, J = 11.7, 6.4 Hz, 3H)。
【0315】
実施例16a及び16b
6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2,3-ジクロロ-4-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)フェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンTFA塩(実施例16a):
【化73】
6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロ-4-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)フェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンTFA塩(実施例16b):
【化74】
実施例15a及び実施例15bに用いられた合成方法と類似の方法を用いて実施例16a及び実施例16bを合成した。一般的にこれらの実施例は本明細書において開示される方法によって作製可能である。これらの実施例は遊離塩基又はTFA塩として作製され得る。
【0316】
実施例16a 6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2,3-ジクロロ-4-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)フェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンTFA塩:MS (ES+) C24H28Cl2N6O3 計算値: 518、実測値: 519 [M+H]+
【0317】
実施例16b 6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロ-4-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)フェニル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンTFA塩:MS (ES+) C24H28Cl2N6O3 計算値: 518、実測値: 519 [M+H]+
【0318】
実施例17
6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-5-クロロ-3-(2,3-ジクロロピリジン-4-イル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン
【化75】
工程1:N-(2,3-ジクロロピリジン-4-イル)アセトイミドアミド
【化76】
DMF(5ml)中の2,3-ジクロロ-4-ヨードピリジン(1g mg、3.6mmol)の溶液にアセトイミドアミドヒドロクロリド(345mg、3.65mmol)、Cs2CO3(2.4g、7.4mmol)、及びCu(I)I(70mg、0.36mmol)を添加し、それにより生じた混合物を90℃で12時間にわたって撹拌した。この反応混合物をMeCN(20ml)で希釈し、セライトに通して濾過し、この濾過液を減圧下で濃縮して標記化合物を灰色の固形物として得た(0.83g、100%)。
【0319】
工程2:3-(2,3-ジクロロピリジン-4-イル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン
【化77】
THF(5ml)中のN-(2,3-ジクロロピリジン-4-イル)アセトイミドアミド(1)(500mg、2.45mmol)の懸濁液にマロン酸ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)(1.2g mg、2.6mmol)を添加し、それにより生じた混合物を90℃で2時間にわたって撹拌した。揮発成分を減圧下で除去した。この反応混合物をEtOAc(20mL)で希釈し、そして水(5mL)で洗浄した。これらの層を分離し、この有機層を塩水(5mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥し、濾過し、そして減圧下で濃縮した。この残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM中の0~20%のMeOH)により精製して標記化合物を明るいオレンジ色の固形物として得た(280mg、42%の収率)。MS (ES+) C10H7Cl2N3O2 計算値: 271、実測値: 272 [M+H]+
【0320】
工程2の化合物は3-(Ra)-(2,3-ジクロロピリジン-4-イル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン及び3-(Sa)-(2,3-ジクロロピリジン-4-イル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンの混合物として存在し得る。
【0321】
工程3:6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(2,3-ジクロロピリジン-4-イル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン
【化78】
DMF(2ml)中の3-(2,3-ジクロロピリジン-4-イル)-6-ヒドロキシ-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(100mg、0.37mol)、(3S,4S)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンジヒドロクロリド(89mg、0.37mmol)、BOP(244mg、0.551mmol)にDBU(0.11ml、0.73mmol)を添加し、それにより生じた混合物を室温で1時間にわたって撹拌した。この残留物を質量感応式分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/H2O、B=0.1%TFA/MeCN;濃度勾配:B=10~50%;20分;カラム:C18)により精製して標記化合物を白色の固形物として得た(92mg、0.22mmol、59%の収率)。MS (ES+) C19H23Cl2N5O2 計算値: 423、実測値: 424 [M+H]+
【0322】
工程3の化合物は6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロピリジン-4-イル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン及び6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2,3-ジクロロピリジン-4-イル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンの混合物として存在し得る。
【0323】
工程4:6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-5-クロロ-3-(2,3-ジクロロピリジン-4-イル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン
バイアル瓶に6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(2,3-ジクロロピリジン-4-イル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン(40mg、0.047mmol)、NCS(15mg、0.11mmol)、及びDCM(1.0ml)を詰めた。この混合物を室温で5分間にわたって撹拌した。揮発成分を減圧下で除去した。この残留物を質量感応式分取HPLC(移動相:A=0.1%TFA/H2O、B=0.1%TFA/MeCN;濃度勾配:B=10-40%;20分;カラム:C18)により精製して標記化合物を白色の粉体として得た(12mg、0.026mmol、11%の収率)。MS (ES+) C19H22Cl3N5O2 計算値: 457、実測値: 458 [M+H]+; 1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.64 (d, J = 5.0 Hz, 1 H); 7.94 (m, 2 H); 7.82 (m. 1H); 4.16 - 4.26 (m, 2 H); 3.86 (m, 1 H); 3.71 (d, J = 10 Hz,1 H); 3.17 - 3.26 (m, 3 H); 2.81 (d, J =10.68 Hz, 1 H), 2.06 (s, 3H), 1.73 - 1.81 (m, 3 H), 1.62 (m, 1 H), 1.22 (d, J = 5.0 Hz, 3 H)。
【0324】
実施例17の化合物は6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-5-クロロ-3-(Sa)-(2,3-ジクロロピリジン-4-イル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オン及び6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-5-クロロ-3-(Ra)-(2,3-ジクロロピリジン-4-イル)-2-メチルピリミジン-4(3H)-オンの混合物として存在し得る。
【0325】
実施例18a及び18b
6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2,3-ジクロロ-4-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)フェニル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例18a):
【化79】
6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロ-4-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)フェニル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例18b):
【化80】
工程1:3-(2,3-ジクロロ-4-ニトロフェノキシ)-1-メチル-1H-ピラゾール
【化81】
MeCN(30mL)中の2,3-ジクロロ-1-フルオロ-4-ニトロベンゼン(1.3g、6.2mmol)、1-メチル-1,2-ジヒドロ-3H-ピラゾール-3-オン(729mg、7.4mmol)、K2CO3(1.7g、12.4mmol)の混合物を室温で3時間にわたって撹拌した。この反応混合物を水(50ml)中に投入し、そしてEtOAc(100mL×3回)で抽出した。混合した有機相を乾燥(Na2SO4)、濾過、及び濃縮し、そして残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(PE中のEtOAc、10%)により精製して標記化合物を白色の固形物として得た(1.5g、84%)。MS (ES+) C10H7Cl2N3O3 計算値: 287、実測値: 288 [M+H]+
【0326】
工程2:2,3-ジクロロ-4-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)アニリン
【化82】
AcOH(10mL)中の3-(2,3-ジクロロ-4-ニトロフェノキシ)-1-メチル-1H-ピラゾール(1.5g、5.2mmol)の溶液にFe(1.4g、26mmol)を添加した。これにより生じた混合物を60℃で2時間にわたって撹拌した。この反応混合物を氷冷水(60ml)中に投入し、そしてEtOAc(100mL×3回)で抽出した。混合した有機相を乾燥(Na2SO4)、濾過、及び濃縮した。この残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(PE中のEtOAc、50%)により精製して標記化合物を黄色の固形物として得た(1.2g、90%)。MS (ES+) C10H9Cl2N3O 計算値: 257、実測値: 258[M+H]+
【0327】
工程3:N-(2,3-ジクロロ-4-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)フェニル)アセトイミドアミド
【化83】
HCl/CH3CN(1M、10mL)中の2,3-ジクロロ-4-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)アニリン(1.2g、4.7mmol)の混合物を密封チューブ中において120℃で24時間にわたって撹拌した。この混合物を濃縮し、そして残留物をEt2O(10mL)で洗浄した。この沈殿物を濾過して標記化合物を白色の固形物として得た(1.2g、86%)。MS (ES+) C12H12Cl2N4O 計算値: 298、実測値: 299[M+H]+
【0328】
工程4:3-(2,3-ジクロロ-4-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)フェニル)-6-ヒドロキシ-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン
【化84】
EtOH(6mL)中の2-メチルマロン酸ジエチル(1.4g、8.0mmol)の溶液にCH3ONa/CH3OH(4M、2mL)を添加した。この混合物を室温で10分間にわたって撹拌した。N-(2,3-ジクロロ-4-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)フェニル)アセトイミドアミド(600mg、2mmol)を添加し、この混合物を120℃で4時間にわたって撹拌した。この混合物を水(30mL)中に投入し、そしてEt2O(30mL×2回)で抽出した。AcOHによってこの水層のpHをpH5に調節し、これをEtOAc(80mL×3回)で抽出した。混合した有機相を乾燥(Na2SO4)、濾過、及び濃縮した。この粗生成物をEt2O(10mL)で洗浄して標記化合物を白色の固形物として得た(320mg、42%)。MS (ES+) C16H14Cl2N4O3 計算値: 380、実測値: 381 [M+H]+
【0329】
工程4の化合物は3-(Sa)-(2,3-ジクロロ-4-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)フェニル)-6-ヒドロキシ-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン及び3-(Ra)-(2,3-ジクロロ-4-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)フェニル)-6-ヒドロキシ-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オンの混合物として存在し得る。
【0330】
工程5:6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2,3-ジクロロ-4-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)フェニル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例18a)及び6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロ-4-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)フェニル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例18b)
MeCN(8ml)中の3-(2,3-ジクロロ-4-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)フェニル)-6-ヒドロキシ-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン(100mg、0.26mmol)及び(3S,4S)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミンジヒドロクロリド(126mg、0.52mmol)の懸濁液にDBU(395mg、2.6mmol)及びBOP(230mg、0.52mmol)を添加し、それにより生じた混合物を室温で48時間にわたって撹拌した。この混合物を減圧下で濃縮し、この残留物を分取HPLC(移動相:A=0.05%TFA/H2O、B=MeCN;濃度勾配:B=21-31%;10分;カラム:C18)により精製し、Chiralpak OZカラム(20×250mm)を溶離剤としてのCO2及び0.2%メタノール-アンモニア(45:55)と共に使用し、且つ、80g/分の流速及びUV検出(214nm)を用いてこれらのジアステレオマーを分離して実施例18a(7mg、5%)及び実施例18b(9mg、7%)を白色の固形物として得た。
【0331】
実施例18a 6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Sa)-(2,3-ジクロロ-4-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)フェニル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン:MS (ES+) C25H30Cl2N6O3 計算値: 532、実測値: 533 [M+ H]+1H NMR (500 MHz, MeOD) δ 7.46 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.14-7.23 (m, 2H), 5.84 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 4.12-4.15 (m, 1H), 3.71-3.78 (m, 1H), 3.62-3.68 (m, 6H), 3.17-3.20 (m, 3H), 2.95-2.96 (m, 1H), 1.99 (s, 3 H), 1.90 (s, 3 H), 1.57-1.78 (m, 4H), 1.18 (s, 1 H), 1.12 (d, J = 6 Hz, 3H)。
【0332】
実施例18b 6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-3-(Ra)-(2,3-ジクロロ-4-((1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)フェニル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン:MS (ES+) C25H30Cl2N6O3 計算値: 532、実測値: 533 [M+ H]+1H NMR (500 MHz, MeOD) δ 7.58 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.26-7.36 (m, 2H), 5.96 (d, J = 3 Hz, 1H), 4.24-4.26 (m, 1H), 3.83-3.89 (m, 1H), 3.74-3.80 (m, 6H), 3.18-3.29 (m, 3H), 3.05-3.06 (m, 1H), 2.69 (s, 1H), 2.11 (s, 3H), 2.02 (s, 3H), 1.66-1.88 (m, 4H), 1.23 (d, J = 7 Hz, 3H)。
【0333】
実施例19a及び19b
4-(4-(4-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-2,5-ジメチル-6-オキソピリミジン-1(6H)-イル)-(Sa)-(2,3-ジクロロフェノキシ)-N-メチルベンズアミド(実施例19a):
【化85】
4-(4-(4-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-2,5-ジメチル-6-オキソピリミジン-1(6H)-イル)-(Ra)-(2,3-ジクロロフェノキシ)-N-メチルベンズアミド(実施例19b):
【化86】
実施例15a及び実施例15bに用いられた合成方法と類似の方法を用いて実施例19a及び実施例19bを合成した。一般的にこれらの実施例は本明細書において開示される方法によって作製可能である。これらの実施例は遊離塩基又はTFA塩として作製され得る。
【0334】
実施例19a 4-(4-(4-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-2,5-ジメチル-6-オキソピリミジン-1(6H)-イル)-(Sa)-(2,3-ジクロロフェノキシ)-N-メチルベンズアミド:MS (ES+) C29H33Cl2N5O4 計算値: 585、実測値: 586 [M+H]+
【0335】
実施例19b 4-(4-(4-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-2,5-ジメチル-6-オキソピリミジン-1(6H)-イル)-(Ra)-(2,3-ジクロロフェノキシ)-N-メチルベンズアミド:MS (ES+) C29H33Cl2N5O4 計算値: 585、実測値: 586 [M+H]+
【0336】
実施例20a及び20b
3-(4-((1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)-(Sa)-2,3-ジクロロフェニル)-6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例20a):
【化87】
3-(4-((1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)-(Ra)-2,3-ジクロロフェニル)-6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例20b):
【化88】
工程1:tert-ブチル3-(2,3-ジクロロ-4-ニトロフェノキシ)-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート
【化89】
DMSO(10mL)中のtert-ブチル3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート(687mg、3.73mmol)、2,3-ジクロロ-1-フルオロ-4-ニトロベンゼン(650mg、3.11mmol)、及びK2CO3(858mg、6.22mmol)の混合物を室温で4時間にわたって撹拌した。水(20mL)を添加し、この混合物をEtOAcで抽出した。混合した有機相をNa2SO4上で乾燥し、濾過し、そしてカラムクロマトグラフィー(PE中のEtOAc、20~50%)により精製して標記化合物を黄色の固形物として得た(800mg、67%)。MS (ES+) C14H13Cl2N3O5 計算値: 373、実測値: 318 [M-56+H]+
【0337】
工程2:tert-ブチル3-(4-アミノ-2,3-ジクロロフェノキシ)-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート
【化90】
EtOH(100mL)中のtert-ブチル3-(2,3-ジクロロ-4-ニトロフェノキシ)-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート(1.2g、3.2mmol)、Pt/C(200mg)の懸濁液をH2雰囲気下において室温で16時間にわたって撹拌した。この混合物を濾過し、この濾過液を濃縮して標記化合物をベージュ色の固形物として得た(1.1g、100%)。MS (ESI+) C14H15Cl2N3O3 計算値: 343、実測値: 288 [M-56+H]+
【0338】
工程3:N-(4-((1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)-2,3-ジクロロフェニル)アセトイミドアミド
【化91】
HCl/CH3CN(1M、20mL)中のtert-ブチル3-(4-アミノ-2,3-ジクロロフェノキシ)-1H-ピラゾール-1-カルボキシレート(1.1g、3.2mmol)の混合物を密封チューブ中において110℃で4時間にわたって撹拌した。この混合物を濃縮してN-(4-((1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)-2,3-ジクロロフェニル)アセトイミドアミドを粗生成物として得た。MS (ESI+) C11H10Cl2N4O 計算値: 284、実測値: 285 [M+H]+
【0339】
工程4:3-(4-((1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)-2,3-ジクロロフェニル)-6-ヒドロキシ-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン
【化92】
EtOH(10mL)中のN-(4-((1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)-2,3-ジクロロフェニル)アセトイミドアミド(600mg、2.11mmol)、2-メチルマロン酸ジエチル(1.84g、10.6mmol)の混合物にCH3ONa/CH3OH(4M、2.64mL)を添加した。この混合物を110℃で5時間にわたって撹拌した。この混合物を濃縮し、そして水(20mL)中に溶解した。この水層をEtOAc(20mL)で抽出し、6NのHClを用いてこれをpH5に調節した。固形物を沈殿させ、これを濾過により収集して標記化合物をベージュ色の固形物として得た(300mg、38.7%)。MS (ESI+) C15H12Cl2N4O3 計算値: 366、実測値: 367 [M+H]+
【0340】
工程4の化合物は3-(4-((1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)-(Sa)-2,3-ジクロロフェニル)-6-ヒドロキシ-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン及び3-(4-((1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)-(Ra)-2,3-ジクロロフェニル)-6-ヒドロキシ-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オンの混合物として存在し得る。
【0341】
工程5:3-(4-((1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)-(Sa)-2,3-ジクロロフェニル)-6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例20a)及び3-(4-((1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)-(Ra)-2,3-ジクロロフェニル)-6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン(実施例20b)
実施例18a及び18bの工程5について記載されているように実験を実施した。Chiralpak OZカラム(20×250mm)を溶離剤としてのCO2及び0.2%メタノール-アンモニア(50:50)と共に使用し、且つ、80g/分の流速及びUV検出(214nm)を用いてこの混合物を分離して実施例20a(15mg、11%)及び実施例20b(13mg、11%)を白色の固形物として得た。
【0342】
実施例20a 3-(4-((1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)-(Sa)-2,3-ジクロロフェニル)-6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン:MS (ES+) C24H28Cl2N6O3 計算値: 518、実測値: 519 [M+ H]+。 1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.57 (d, J = 0.4 Hz, 1H), 7.78 (s, 1H), 7.48 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 6.05 (s, 1H), 4.12 - 3.99 (m, 1H), 3.67 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.60 - 3.52 (m, 2H), 3.50 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.23 - 3.07 (m, 2H), 2.93 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 2.00 (s, 3H), 1.89 (s, 3H), 1.81 - 1.74 (m, 1H), 1.70 - 1.63 (m, 1H), 1.59 - 1.47 (m, 2H), 1.23 (s, 1H), 1.09 (d, J = 6.3 Hz, 3H)。
【0343】
実施例20b 3-(4-((1H-ピラゾール-3-イル)オキシ)-(Ra)-2,3-ジクロロフェニル)-6-((3S,4S)-4-アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)-2,5-ジメチルピリミジン-4(3H)-オン:MS (ES+) C24H28Cl2N6O3 計算値: 518、実測値: 519 [M+ H]+。 1H NMR (500 MHz, DMSO) δ 12.57 (s, 1H), 7.81 - 7.75 (m, 1H), 7.48 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.05 (t, J = 2.1 Hz, 1H), 4.10 - 4.01 (m, 1H), 3.67 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 3.61 - 3.51 (m, 2H), 3.50 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 3.23 - 3.18 (m, 1H), 3.15 - 3.06 (m, 1H), 2.93 (d, J = 4.9 Hz, 1H), 2.00 (s, 3H), 1.89 (s, 3H), 1.80 - 1.75 (m, 1H), 1.70 - 1.63 (m, 1H), 1.58 - 1.48 (m, 2H), 1.32 - 1.19 (m, 2H), 1.09 (d, J = 6.4 Hz, 3H)。
【0344】
実施例21:生物活性アッセイ
本明細書において開示される実施例における前記化合物のPTPN11阻害剤としての活性を以下のアッセイで例示する。
【0345】
PTPN11酵素アッセイ
組換え全長野生型ヒトPTPN11タンパク質と組換え全長E76K変異型ヒトPTPN11タンパク質をクローン化し、発現させ(大腸菌系)、そしてNiアフィニティークロマトグラフィーとそれに続くS75サイズ排除クロマトグラフィーからなる2段階精製により単離した。
【0346】
蛍光発生性のリン酸6,8-ジフルオロ-4-メチルウンベリフェリル(DiFMUP、Molecular Probes社)を基質として使用して全長野生型PTPN11(PTPN11-WT)又はPTPN11-E76K変異型酵素のホスファターゼ活性を測定した。アッセイ緩衝液(62.5mM HEPES、125mM NaCl、1mM EDTA、1.25mM TECP、0.1%BSA)の中で化合物濃度を上昇させて、又は上昇させずに酵素(250pM)を室温で30分間にわたってインキュベートした。20uLの最終反応体積のアッセイ緩衝液を含む384ウェルブラックプレートの中に室温のDiFMUP(50μM)を添加することにより反応を開始した。1時間後、Envisionプレートリーダーを使用してDiFMUPの蛍光シグナル(励起光:340/発光:460)を測定した。IC50回帰曲線フィッティング(GeneData Screener)を用いて用量応答曲線を分析した。阻害剤を含まない正の対照と基質を含まない負の対照に対して曲線を正規化した。下の表2に結果を提示する。
【表2】
【0347】
ERKリン酸化(リン酸化ERK)ターゲットエンゲージメントアッセイ
KYSE-520細胞(10,000細胞/ウェル)を384ウェルプレート上の20uLの培地(フェノールレッドを含有せず、10%FBSを含有するRPMI-1640)の中に播種し、そして5%CO2中、37℃で16時間にわたって培養する。培地中に希釈してDMSO(対照)又は濃度を上昇させて変えた複数の化合物を用意し、前記384ウェルプレートに添加し(10uL/ウェル、1%の最終DMSO濃度)、その後で細胞を化合物と共に2時間にわたって培養する。製造業者の推奨に従ってTR-FRETベース・リン酸化ERK1/2 HTRFキット(CisBio社、64ERKPEH)を使用してリン酸化ERKレベルを測定し、Synergy Neoプレートリーダーを使用して蛍光シグナルを665nm及び620nmで測定した。IC50回帰曲線フィッティング(GeneData Screener)を用いて用量応答曲線を分析した。阻害剤を含まない正の対照と1μMのセルメチニブを含む負の対照に対して曲線を正規化した。本発明の幾つかの化合物は1μM未満のIC50を示した。
【0348】
コロニー形成アッセイ
DMSO(対照;1%の終濃度)、又は濃度を上昇させて濃度を変えた化合物が存在する状態で2mLの培地(10%FBSを含有するRPMI-1640)を含む6ウェルプレートの中にKYSE-520細胞(2000細胞/ウェル)を播種する。加湿5%CO2培養器の中での14日間の37℃での培養の後にコロニーを固定し、0.1%クリスタルバイオレットと15%エタノールの溶液で染色する。プレートを画像撮影し、ImageJのコロニーエリアプラグイン(Guzman、 Camilo著、PloS one誌、2014年)を使用してコロニー面積を定量し、そしてDMSOの結果に対して正規化する。本発明の幾つかの化合物は1μM未満のIC50を示した。
【0349】
実施例22:インビボ試験
KYSE520異種移植片を皮下に移植されたNSG(NOD/scid/gamma)マウスにおいて実施例2bのインビボ抗腫瘍効力を評価した。実施例2bを300mg/kg、50mg/kg、15mg/kg、及び5mg/kgの投与レベルで21日間にわたって一日に一回強制経口投与した。実施例2bは図1に示されるように耐量においてKYSE520異種移植モデルにおける用量依存的腫瘍増殖阻害を示した。
【0350】
KYSE520異種移植片を皮下に移植されたNSGマウスにおいて実施例10bのインビボ抗腫瘍効力を評価した。実施例10bを200mg/kg、150mg/kg、100mg/kg、30mg/kg、10mg/kg、及び3mg/kgのレベルで21日間にわたって一日に一回強制経口投与した。実施例10bは図2に示されるように耐量においてKYSE520異種移植モデルにおける用量依存的腫瘍増殖阻害を示した。
【0351】
本出願において引用された米国又は外国の全ての引用文献、特許、又は特許出願は参照によりそれらの全体が本明細書中に書かれているかのように本明細書に援用される。何らかの不一致がある場合、本明細書において文字通り開示されているものが優先される。
【0352】
当業者はこれまでの説明から本発明の基本的特性を理解し、様々な利用法と条件に本発明を適合させるために本発明の主旨と範囲から逸脱することなく本発明の様々な変更と改変を行うことができる。
【0353】
VIII. 実施形態
その他の例として本発明追加の非限定的な実施形態を以下に示す。
【0354】
実施形態1は式I
【化93】
によって表される化合物であって、式中
下付き文字のaが0又は1であり、
下付き文字のbが0又は1であり、
1が直接的結合又はCR1718であり、
2がC1~4アルキル、アミノ、C1~4アルキルC(O)O-、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より選択され、
1がC6~10アリール、C3~8シクロアルキル、C3~8シクロアルケニル、並びにN、C(O)、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する5~10員のヘテロアリール基からなる群より選択され、前記R1のアリール又はヘテロアリールが場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、C3~8シクロアルキル、C3~8シクロアルケニル、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR14、NR14C(O)NR1516、NR15S(O)R14、NR15S(O)214、C(O)NR1516、S(O)NR1516、S(O)2NR1516、C(O)R14、C(O)OR14、OR14、SR14、S(O)R14、及びS(O)214からなる群より独立して選択される1~5個のR12基で置換されており、
2、R3、R10、及びR11が水素、C1~4アルキル、及びC3~8シクロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択され、
4、R5、R8、及びR9が水素、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ、C3~8シクロアルキル、ハロ、及びC1~4アルキルアミノからなる群よりそれぞれ独立して選択され、
6がアミノ、C1~4アミノアルキル、及びC1~4アルキルアミノからなる群より選択され、
7が水素、アミド、シアノ、ハロ、及びヒドロキシからなる群より選択され、又はR7がC1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員若しくは6員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちのいずれも場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1~5個の基で置換されており、
又はR6及びR7が両方とも結合している炭素原子と一緒になってN、C(O)、O、及びS(O)mから独立して選択される0~3個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する3~7員の飽和環又は不飽和環を形成し、
下付き文字のmが0、1、又は2であり、
6及びR7によって形成される前記飽和環又は不飽和環が非置換型であるか、又はアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1~3個の基で置換されており、
2、R3、R4、R5、R7、R8、R9、R10、及びR11のうちのいずれか2個の基がN、O、及びSから選択される0~2個のヘテロ原子を環員として有する5~6員の環を形成してよく、
2、R4、R6、R8、及びR10のうちのいずれか2個の基が直接的結合、又は1原子若しくは2原子の炭素架橋を形成してよく、
13が水素、ハロ、シアノ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、-NH-NHR19、-NHR19、-OR19、-NHC(O)R19、-NHC(O)NHR19、-NHS(O)2NHR19、-NHS(O)219、-C(O)OR19、-C(O)NR1920、-C(O)NH(CH2qOH、-C(O)NH(CH2q21、-C(O)R21、-NH2、-OH、-S(O)2NR1920、C3~8シクロアルキル、アリール、N、O、S、及びPから選択される1~5個のヘテロ原子を環員として有するヘテロシクリル、N、O、S、及びPから選択される1~5個のヘテロ原子を環員として有するヘテロアリールからなる群より選択され、前記下付き文字のqが0~6までの整数であり、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルがC1~4アルキル、-OH、-NH2、-OR21、ハロ、シアノ、及びオキソからなる群より独立して選択される0~3個の基で置換されており、
14、R15、及びR16が水素、C1~4アルキル、C3~8シクロアルキル、C6~10アリール、及び5~10員のヘテロアリールからなる群よりそれぞれ独立して選択され、これらのうちの各々が場合によってはアミド、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されており、
17及びR18が水素、C1~4アルキル、及びCF3からなる群よりそれぞれ独立して選択され、
19及びR20が水素、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、及びC3~6シクロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択され、且つ
各R21が水素、-OH、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、及びC3~6シクロアルキルからなる群より独立して選択される、
前記化合物、又はその塩、エステル、若しくはプロドラッグである。
【0355】
実施形態2は実施形態1の化合物であって、
下付き文字のaが0又は1であり、
下付き文字のbが0又は1であり、
1が直接的結合又はCR1718であり、
2がC1~4アルキル、アミノ、C1~4アルキルC(O)O-、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より選択され、
1がC6~10アリール、C3~8シクロアルキル、C3~8シクロアルケニル、並びにN、C(O)、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する5~10員のヘテロアリール基からなる群より選択され、前記R1のアリール又はヘテロアリールが場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、C3~8シクロアルキル、C3~8シクロアルケニル、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR14、NR14C(O)NR1516、NR15S(O)R14、NR15S(O)214、C(O)NR1516、S(O)NR1516、S(O)2NR1516、C(O)R14、C(O)OR14、OR14、SR14、S(O)R14、及びS(O)214からなる群より独立して選択される1~5個のR12基で置換されており、
2、R3、R10、及びR11が水素、C1~4アルキル、及びC3~8シクロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択され、
4、R5、R8、及びR9が水素、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ、C3~8シクロアルキル、ハロ、及びC1~4アルキルアミノからなる群よりそれぞれ独立して選択され、
6がアミノ、C1~4アミノアルキル、及びC1~4アルキルアミノからなる群より選択され、
7が水素、ハロ、及びヒドロキシからなる群より選択され、又はR7がアミド、C1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員若しくは6員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちのいずれも場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1~5個の基で置換されており、
又はR6及びR7が両方とも結合している炭素原子と一緒になってN、C(O)、O、及びS(O)mから独立して選択される0~3個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する3~7員の飽和環又は不飽和環を形成し、
下付き文字のmが0、1、又は2であり、
6及びR7によって形成される前記飽和環が非置換型であるか、又はアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1~3個の基で置換されており、
2、R3、R4、R5、R7、R8、R9、R10、及びR11のうちのいずれか2個の基がN、O、及びSから選択される0~2個のヘテロ原子を環員として有する5~6員の環を形成してよく、
2、R4、R6、R8、及びR10のうちのいずれか2個の基が直接的結合、又は1原子若しくは2原子の炭素架橋を形成してよく、
13が水素、ハロ、シアノ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、-NH-NHR19、-NHR19、-OR19、-NHC(O)R19、-NHC(O)NHR19、-NHS(O)2NHR19、-NHS(O)219、-C(O)OR19、-C(O)NR1920、-C(O)NH(CH2qOH、-C(O)NH(CH2q21、-C(O)R21、-NH2、-OH、-S(O)2NR1920、C3~8シクロアルキル、アリール、N、O、S、及びPから選択される1~5個のヘテロ原子を環員として有するヘテロシクリル、N、O、S、及びPから選択される1~5個のヘテロ原子を環員として有するヘテロアリールからなる群より選択され、前記下付き文字のqが0~6までの整数であり、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、及びシクロアルキルがC1~4アルキル、-OH、-NH2、-OR21、ハロ、シアノ、及びオキソからなる群より独立して選択される0~3個の基で置換されており、
14、R15、及びR16が水素、C1~4アルキル、C3~8シクロアルキル、C6~10アリール、及び5~10員のヘテロアリールからなる群よりそれぞれ独立して選択され、これらのうちの各々が場合によってはハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されており、
17及びR18が水素、C1~4アルキル、及びCF3からなる群よりそれぞれ独立して選択され、
19及びR20が水素、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、及びC3~6シクロアルキルからなる群よりそれぞれ独立して選択され、且つ
各R21が水素、-OH、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、及びC3~6シクロアルキルからなる群より独立して選択される、
前記化合物である。
【0356】
実施形態3は実施形態1又は2の化合物であって、下付き文字のaとbがそれぞれ1である。
【0357】
実施形態4は実施形態1~3のいずれか一項の化合物であって、Y1が直接的結合である。
【0358】
実施形態5は実施形態1~4のいずれか一項の化合物であって、Y2がC1~4アルキルである。
【0359】
実施形態6は実施形態5の化合物であって、Y2がメチルである。
【0360】
実施形態7は実施形態1~6のいずれか一項の化合物であって、
13が水素、ハロ、C1~6アルキル、C1~6ハロアルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C1~6ジヒドロキシアルキル、C3~8シクロアルキル、N、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を環員として有する3員又は6員のヘテロシクリルからなる群より選択され、ヘテロシクリル及びシクロアルキルがC1~4アルキル、-OH、-NH2、-OR21、ハロ、シアノ、及びオキソからなる群より独立して選択される0~3個の基で置換されている、
前記化合物である。
【0361】
実施形態8は実施形態7の化合物であって、R13が水素、ハロ、C1~6アルキル、及びC1~6ハロアルキルからなる群より選択される。
【0362】
実施形態9は実施形態8の化合物であって、R13が水素、Cl、Br、メチル、又はCF3である。
【0363】
実施形態10は実施形態1~9のいずれか一項の化合物であって、
1がC6~10アリール並びにN、C(O)、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~9員のヘテロアリール基からなる群より選択され、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ヒドロキシアルキル、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、C3~8シクロアルキル、C3~8シクロアルケニル、NR15C(O)R14、NR15C(O)OR14、NR14C(O)NR1516、NR15S(O)R14、NR15S(O)214、C(O)NR1516、S(O)NR1516、S(O)2NR1516、C(O)R14、C(O)OR14、OR14、SR14、S(O)R14、及びS(O)214からなる群より独立して選択される1~5個のR12基で置換されている、
前記化合物である。
【0364】
実施形態11は実施形態10の化合物であって、
1がフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリール基であり、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12基で置換されている、
前記化合物である。
【0365】
実施形態12は実施形態1~11のいずれか一項の化合物であって、R2、R3、R4、R5、R8、R9、R10、及びR11が水素である。
【0366】
実施形態13は実施形態1~12のいずれか一項の化合物であって、
6がアミノ、C1~4アミノアルキル、及びC1~4アルキルアミノからなる群より選択され、且つ
7が水素、アミド、シアノ、ハロ、及びヒドロキシからなる群より選択され、又はR7がC1~4アルキル、C1~4ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、フェニル、及び5員若しくは6員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちのいずれも場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1~4アルキル、及びC1~4アルコキシからなる群より選択される1個又は2個の基で置換されている、
前記化合物である。
【0367】
実施形態14は実施形態13の化合物であって、
6がアミノ又はアミノメチルであり、且つ
7がヒドロキシ、C1~4アルキル、及びC1~4ヒドロキシアルキルからなる群より選択される、
前記化合物である。
【0368】
実施形態15は実施形態1~12のいずれか一項の化合物であって、
6及びR7が両方とも結合している炭素原子と一緒になってN、C(O)、O、及びS(O)mから独立して選択される1~3個のヘテロ原子又はヘテロ原子群を環員として有する3~7員の飽和環又は不飽和環を形成し、場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基で置換されている前記飽和環又は不飽和環を形成する、
前記化合物である。
【0369】
実施形態16は実施形態15の化合物であって、
6及びR7が両方とも結合している炭素原子と一緒になってN及びOから独立して選択される1~3個のヘテロ原子を環員として有する4~6員の飽和環を形成し、場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基で置換されている前記飽和環を形成する、
前記化合物である。
【0370】
実施形態17は実施形態1~12のいずれか一項の化合物であって、
6及びR7が両方とも結合している炭素原子と一緒になって場合によってはアミノ、ハロ、ヒドロキシ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基で置換されている3~7員のシクロアルキル環を形成する、
前記化合物である。
【0371】
実施形態18は実施形態1~17のいずれか一項の化合物であって、
1がフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、及び1,2,4-トリアジニルからなる群より選択され、且つ、場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される1個、2個、又は3個のR12で置換されている、
前記化合物である。
【0372】
実施形態19は実施形態18の化合物であって、R1はフェニル又はピリジルであり、それらの各々が1~3個のR12で置換されている。
【0373】
実施形態20は実施形態1~18のいずれか一項の化合物であって、R1
【化94】
からなる群より選択され、
各R12がハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4アミノアルキル、及びOR14からなる群より独立して選択される、
前記化合物である。
【0374】
実施形態21は実施形態20の化合物であって、R1
【化95】
からなる群より選択される。
【0375】
実施形態22は実施形態1~21のいずれか一項の化合物であって、R14がC6~10アリール及び5~10員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちの各々が場合によってはハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されている。
【0376】
実施形態23は実施形態22の化合物であって、R14がフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリールであり、これらのうちの各々が場合によってはハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている。
【0377】
実施形態24は実施形態1の化合物であって、R14がC6~10アリール及び5~10員のヘテロアリールからなる群より選択され、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、アミノ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、C1~4ハロアルコキシ、C1~4アルキルアミノ、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択される1個以上の基によって置換されている。
【0378】
実施形態25は実施形態1の化合物であって、R1
【化96】
であり、
各R12がハロ、ヒドロキシ、アミノ、C1~4アルキルアミノ、ジ(C1~4アルキル)アミノ、C1~4アルキル、C1~4アルコキシ、C1~4ハロアルキル、及びC1~4アミノアルキルからなる群より独立して選択され、且つ
14がフェニル、又はN、O、及びSから独立して選択される1~4個のヘテロ原子を環員として有する5~6員のヘテロアリールであり、これらのうちの各々が場合によってはC1~4アルキルアミド、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、及びC1~4アルキルからなる群より独立して選択される1個又は2個の基によって置換されている、
前記化合物である。
【0379】
実施形態26は実施形態1の化合物であって、各R12がF、Cl、Br、CH3、OCH3、CF3
【化97】
からなる群より独立して選択される。
【0380】
実施形態28は医薬品として使用される実施形態1又は2の化合物である。
【0381】
実施形態29は1つ以上のPTPN11変異によって引き起こされる疾患の治療に使用される実施形態1又は2の化合物である。
【0382】
実施形態30は癌の治療に使用される実施形態1又は2の化合物である。
【0383】
実施形態31は実施形態30の化合物であって、前記癌が白血病、黒色腫、乳癌、及び大腸癌からなる群より選択される。
【0384】
実施形態32は、PTPN11の阻害により改善される疾患又は症状の予防又は治療のための医薬品の製造に使用される実施形態1又は2の化合物である。
【0385】
実施形態33は、実施形態1又は2の化合物を薬学的に許容可能な担体と共に含む医薬組成物である。
【0386】
実施形態34は、PTPN11を実施形態1又は2の化合物と接触させることを含むPTPN11の阻害方法である。
【0387】
実施形態35は、必要とする患者に治療有効量の実施形態1又は2の化合物を投与することを含むPTPN11介在性疾患の治療方法である。
【0388】
実施形態36は実施形態35の方法であって、前記疾患が癌である。
【0389】
実施形態37は実施形態36の方法であって、前記癌が乳癌、大腸癌、白血病、及び黒色腫からなる群より選択される。
【0390】
実施形態38は、
(a)治療有効量の実施形態1又は2の化合物、及び
(b)別の治療薬
の投与を含むPTPN11介在性疾患の治療方法である。
【0391】
実施形態39は実施形態38の方法であって、前記疾患が癌である。
【0392】
実施形態40は実施形態39の方法であって、前記癌が乳癌、大腸癌、白血病、及び黒色腫からなる群より選択される。
図1
図2