(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】睡眠時無呼吸症を改善する体外トレーニング装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
A61N1/36
(21)【出願番号】P 2023149294
(22)【出願日】2023-09-14
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】511007967
【氏名又は名称】財團法人金屬工業研究發展中心
【氏名又は名称原語表記】METAL INDUSTRIES RESEARCH & DEVELOPMENT CENTRE
【住所又は居所原語表記】1001 KAONAN HIGHWAY, KAOHSIUNG 81160,TAIWAN,R.O.C.
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼博偉
(72)【発明者】
【氏名】林育生
(72)【発明者】
【氏名】蔡東霖
(72)【発明者】
【氏名】曾俊傑
【審査官】白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-505305(JP,A)
【文献】特表2017-500986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00- 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
咬合器本体と、複数のカスタマイズ型の電極シートと、電気刺激モジュールとを含み、
前記咬合器本体は、マウスピース部と露出部とを有し、前記マウスピース部は複数の結合部を有し、
前記複数のカスタマイズ型の電極シートは、使用者の口腔模型
に対応した外形を有し、それぞれ着脱可能に前記複数の結合部に組み立てられて結合され、
且つ、舌上型と舌側型に区分され、前記舌上型のカスタマイズ型の電極シートは薄いシート状に形成されて前記マウスピース部の下表面に結合され、前記舌側型のカスタマイズ型の電極シートは凸部を有し、前記凸部は着脱可能に対応の結合部に結合されて前記マウスピース部の下表面から突出し、前記凸部の外側に歯接触面が形成され、前記凸部の内側に電気伝導部が形成されており、
前記電気刺激モジュールは、前記咬合器本体の中に配置され、前記複数のカスタマイズ型の電極シートと電気接続し、前記複数のカスタマイズ型の電極シートに対して電気刺激信号を発するのに用いられることにより、使用者の舌下筋群の筋持久力をトレーニングする、睡眠時無呼吸症を改善する体外トレーニング装置。
【請求項2】
前記歯接触面
は使用者の下の歯列の内側に合わせた外形
を有することを特徴とする請求項
1に記載の睡眠時無呼吸症を改善する体外トレーニング装置。
【請求項3】
前記電気刺激モジュールは前記咬合器本体の露出部の中に配置される少なくとも一つの電源と一つの制御ユニットを有し、前記電源は前記複数のカスタマイズ型の電極シートと前記制御ユニットに電気接続し、前記制御ユニットは前記カスタマイズ型の電極シートに対して発する電気刺激信号を制御することができることを特徴とする請求項
1に記載の睡眠時無呼吸症を改善する体外トレーニング装置。
【請求項4】
前記制御ユニットはスマートデバイスとカップリング接続し、前記スマートデバイスのAPPインターフェースを通じて前記電気刺激信号の刺激強度および/または周波数を調整することを特徴とする請求項
3に記載の睡眠時無呼吸症を改善する体外トレーニング装置。
【請求項5】
前記電気刺激信号の電圧調整範囲は0~100Vであり、電流調整範囲は0~30mAであり、波幅調整範囲は5~500msであり、周波数調整範囲は1~80Hzであることを特徴とする請求項
4に記載の睡眠時無呼吸症を改善する体外トレーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睡眠時無呼吸症を改善する体外トレーニング方法と装置に関するもので、特に非睡眠期間に使用する睡眠時無呼吸症を改善する体外トレーニング方法と装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
世界保健機関(WHO)の調査によると、全世界で閉塞型睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea、OSA、以下は「睡眠時無呼吸症」と称する)を罹患した成年者(30~69才)は約10億人にも達している。その中に、アメリカでは約4,200万人が睡眠時無呼吸症の患者で、そして成人の5人に1人が軽度の睡眠時無呼吸症であり、15人に1人が中等度から重度の睡眠時無呼吸症を罹患している。その他に、台湾睡眠医学会(Taiwan Society of Sleep Medicine、TSSM)の統計によると、台湾では約45万人が無呼吸症によって睡眠の質に影響を及ぼしている。
【0003】
睡眠時無呼吸症の主な原因は、先天性または肥満による気道狭窄か、または人体の老化による気道の筋緊張が不十分で崩れやすくなり、呼吸閉塞を引き起こすことなどにある。睡眠時無呼吸症の原因となる閉塞タイプには、鼻腔閉塞、軟口蓋閉塞と舌根閉塞の3種類があり、その内に患者のほぼ70%、すなわち全世界では約6億5千万人が舌根閉塞に属するもので、閉塞性患者の最大のグループであり、台湾では少なくとも30万人が同じ症状を有している。舌根閉塞は上気道筋の活動低下と舌下筋群の活性化の低下と強く関連している。睡眠時無呼吸症の患者はいびきをかくことによって隣の人の睡眠の質に影響を与えるだけでなく、患者自身の睡眠の質も悪くなるため、日中の眠気や集中力の低下などの問題を引き起こしてしまう。重症の場合は睡眠中の呼吸停止により突然死に至る場合もある。
【0004】
しかし、現時点では睡眠時無呼吸症を治療することができる薬はなく、睡眠時無呼吸症の一般的に知られている改善方法は次のとおりである。(1)口腔内いびき防止装置。軽度から中等度の睡眠時無呼吸症の患者に適用している。ただし、口腔内いびき防止装置では、口の中の異物感によって患者の睡眠を妨げる。(2)器具療法。睡眠中に顔に持続的陽圧人工呼吸器(Continuous Positive Airway Pressure、CPAP)を装着することによって気道に空気を絶えずに注入して気道を開くことができる。ただし、CPAP装置はかさばって高価で、使用中に使用者の頭の周りに多くのパイプラインが配置されるため、睡眠の快適さと質に影響を及ぼしてしまう。(3)手術治療。口蓋垂または扁桃腺を切断することによって気道を広げ、または電気刺激装置を埋め込む手術を行うことによって睡眠中に舌下筋群とその他の上気道の筋肉を電気的に刺激して上気道の筋肉の緊張を高める。CPAP療法の受けること、または続けることが困難である中等度から重度の睡眠時無呼吸症の患者であれば、電気刺激装置の埋め込みという治療が考慮される。ただし、上記治療は手術によって人体に埋め込む必要があり、手術における感染症のリスクがあるだけでなく、装置が故障した場合には手術で取り外して再度埋め込む必要があり、さらに、睡眠中に電気刺激を行うことは睡眠の質にも影響を及ぼしてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の改善方法はいずれも使用者の睡眠中に使用されるものであるが、近年では、これとは異なって非睡眠時に使用する睡眠時無呼吸症のトレーニング装置が知られおり、使用者は咬合器を口の中に入れるだけで舌下筋群に電気刺激を行って筋肉の緊張を回復させるようにトレーニングすることにより、インプラント手術のリスクや睡眠中の不快感を効果的に回避することができる。しかし、咬合器の仕様は単一で、臨床的には非常に高い割合の使用者が使用中に舌の側面と上部を正確に電気刺激していないため、トレーニングの効果が予想よりも遥に低いことが判明した。
【0007】
上述した問題点に基づき、上述した従来の睡眠時無呼吸症を改善する方法をさらに改善する必要がある。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第一の目的は、咬合器の電極シートをカスタマイズすることにより、使用者が正確に舌下筋群をトレーニングしてその筋肉の緊張を回復させることができる、睡眠時無呼吸症を改善する体外トレーニング方法を提供する。
【0009】
本発明の第二の目的は、次回の再診時間を正確に推奨することができる、睡眠時無呼吸症を改善する体外トレーニング方法を提供する。
【0010】
本発明の第三の目的は、上述した方法から製造し得られる、改善睡眠時無呼吸症の体外トレーニング装置を提供する。
【0011】
本発明の第四の目的は、使用と携帯が便利である、改善睡眠時無呼吸症の体外トレーニング装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の明細書全文にわたって述べられる方向性またはその近似の用語は、例えば、「前」、「後」、「左」、「右」、「上(頂)」、「下(底)」、「内」、「外」、「側面」などは、主に添付図面上における方向を示すもので、それぞれの方向性またはその近似の用語は本発明の各実施例に対する説明と理解を補助するためのもので、本発明を限定するものではない。
【0013】
本発明の明細書全文にわたって記載される部品と部材は「一つ」または「一個」の助数詞を用いるのは、ただ便利に用いるだけのもので、そして本発明の範囲における通常の意義を提供するものであって、本発明においては一個または少なくとも一個を含むものであると読み取るべきで、そして線分の概念も複数の情況を含むもので、明らかにその他の意味を表すものは除く。
【0014】
本発明の全文において、「結合」、「組合せ」または「組み立て」等の近似の用語は、主に連接した後でも部材を破壊せずに依然として分離できたり、または連接した後に部材を分離できない等の形態を含み、これは本技術分野で通常の知識を有するものには連接しようとする部材の材質または組み立ての需要に応じて選択できるものである。
【0015】
本発明の睡眠時無呼吸症を改善する体外トレーニング方法は、使用者の口腔をスキャニングすることによって第一口腔模型を製作することと、前記第一口腔模型に従って咬合器本体を選択し、複数の第一カスタマイズ型の電極シートを成型し、前記複数の第一カスタマイズ型の電極シートを前記咬合器本体に組み立てることによって体外トレーニング装置を獲得することと、使用者が非睡眠期間において前記体外トレーニング装置を咬合し、前記複数の第一カスタマイズ型の電極シートによって舌上面と両側に対して電気刺激を行うことによって使用者の舌下筋群の筋持久力をトレーニングすることと、トレーニングの期間を経た後、再び使用者の口腔をスキャニングすることによって第二口腔模型を製作することと、前記第一口腔模型と前記第二口腔模型を比較し、前記第一口腔模型と前記第二口腔模型の画像重複率が80%より低い場合、前記第二口腔模型に従って複数の第二カスタマイズ型の電極シートを成型し、前記複数の第二カスタマイズ型の電極シートを前記複数の第一カスタマイズ型の電極シートに代わって前記咬合器本体に組み立てることとを含む。
【0016】
これにより、本発明の睡眠時無呼吸症を改善する体外トレーニング方法は、カスタマイズされたカスタマイズ型の電極シートにより、より正確に使用者の舌下筋群に対して電気刺激を行い、前記舌下筋群の筋持久力をトレーニングし、使用者がその舌下筋群の本来の緊張の回復をサポートすることができるため、睡眠時間に舌が沈んで気道を塞いでしまう状況を改善することにより、睡眠時無呼吸症の症状を改善することができる。また、定期的に再診で受診され舌下筋群の筋肉変化の形態を確認し、現在の筋肉形態に合わせて新たにカスタマイズされたカスタマイズ型の電極シートを適時に交換することにより、使用者が長期的に舌下筋群に対して有効的な電気刺激のトレーニングをすることが確保できるため、トレーニングの効果をより確実なものとすることで、従来の方法よりも効率的に睡眠時無呼吸症の症状を改善することができる。
【0017】
また、前記第一口腔模型と前記第二口腔模型の画像重複率が80%より低くかつ70%以上である場合、推奨再診時間を設定し、前記推奨再診時間は前記トレーニングの期間にほぼ等しい。このように、使用者に適時な再診を正確に推奨してカスタマイズ型の電極シートを交換することにより、トレーニングの効果を高めるとともに、使用者の時間を節約することができる。
【0018】
また、前記第一口腔模型と前記第二口腔模型の画像重複率が70%より低い場合、推奨再診時間を設定し、前記推奨再診時間は前記トレーニングの期間より短くてもよい。このように、使用者に適時な再診を正確に推奨してカスタマイズ型の電極シートを交換することにより、トレーニングの効果を高めるとともに、使用者の時間を節約することができる。
【0019】
また、前記推奨再診時間は前記トレーニングの期間の三分の二より短く、かつ前記トレーニングの期間の半分より長くてもよい。このように、使用者に適時な再診を正確に推奨してカスタマイズ型の電極シートを交換することにより、トレーニングの効果を高めるとともに、使用者の時間を節約することができる。
【0020】
また、前記第一口腔模型と前記第二口腔模型の画像重複率が80%以上である場合、推奨再診時間を設定し、そして前記推奨再診時間は前記トレーニングの期間より短い。このように、使用者に適時な再診を正確に推奨してカスタマイズ型の電極シートを交換することにより、トレーニングの効果を高めるとともに、使用者の時間を節約することができる。
【0021】
また、前記推奨再診時間は前記トレーニングの期間の半分より短く、かつ前記トレーニングの期間の三分の一より長い。このように、使用者に適時な再診を正確に推奨してカスタマイズ型の電極シートを交換することにより、トレーニングの効果を高めるとともに、使用者の時間を節約することができる。
【0022】
さらに、本発明の睡眠時無呼吸症を改善する体外トレーニング装置は、咬合器本体と、複数のカスタマイズ型の電極シートと、電気刺激モジュールをと含み、前記咬合器本体は、マウスピース部と露出部とを有し、前記マウスピース部は複数の結合部を有し、前記複数のカスタマイズ型の電極シートは、使用者の口腔模型に従ってカスタマイズして成型され、それぞれ着脱可能に前記複数の結合部に組み立てられて結合され、前記電気刺激モジュールは、前記咬合器本体の中に配置され、前記複数のカスタマイズ型の電極シートと電気接続し、前記複数のカスタマイズ型の電極シートに対して電気刺激信号を発するのに用いられることにより、使用者の舌下筋群の筋持久力をトレーニングする。このように、上述した舌下筋群を正確にトレーニングしてトレーニングの成果を高めることができるとともに、前記体外トレーニング装置は全体として小型でコンパクトな様態に形成することができるため、使用と携帯が便利である。
【0023】
また、前記複数のカスタマイズ型の電極シートは舌上型と舌側型に区分され、前記舌上型のカスタマイズ型の電極シートは薄いシート状に形成されて前記マウスピース部の下表面に結合され、前記舌側型のカスタマイズ型の電極シートは凸部を有し、前記凸部は対応する結合部に着脱可能に結合されて前記マウスピース部の下表面から突出し、前記凸部の外側に歯接触面が形成され、前記凸部の内側に電気伝導部が形成される。このように、簡単な構造で舌上面と両側を正確に電気刺激することができるとともに、製造や交換、組立の利便性を高めることができる。
【0024】
また、前記歯接触面は前記口腔模型に従って使用者の下の歯列の内側に合わせた外形に形成される。このように、使用者の下の歯列に当接する時の密着度を高めることができるとともに、前記マウスピース部を使用者の口腔の中に正確に配置させるようにサポートすることができる。
【0025】
また、前記電気刺激モジュールは前記咬合器本体の露出部の中に配置される少なくとも一つの電源と一つの制御ユニットを有し、前記電源は前記複数のカスタマイズ型の電極シートと前記制御ユニットに電気接続し、前記制御ユニットは前記カスタマイズ型の電極シートに対して発する電気刺激信号を制御することができる。このように、前記体外トレーニング装置の結構を簡単化にすることができるとともに、重量を減らすことができる。
【0026】
また、前記制御ユニットはスマートデバイスとカップリング接続し、前記スマートデバイスのAPPインターフェースを通じて前記電気刺激信号の刺激強度および/または周波数を調整する。このように、使用者はニーズや快適さに応じて随時に電気刺激の効果を調整することができるとともに、トレーニングの効果と治療の快適さを高めることができる。
【0027】
また、前記電気刺激信号の電圧調整範囲は0~100Vであり、電流調整範囲は0~30mAであり、波(パルス)幅調整範囲は5~500msであり、周波数調整範囲は1~80Hzである。このように、使用者はニーズに応じて電気刺激を開始、調整、一時停止または停止することができるため、操作の利便性を高めることができるとともに、使用の安全性とトレーニングの効果を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図4】本発明の装置とスマートデバイスとのカップリング接続の概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の上記およびその他の目的、特徴と利点をさらに明らかに且つ分かり易くするべく、下記のとおり本発明の実施例をもって、さらに図面を参照して詳しく説明する。その他に、異なる図面において同じ符号を標示するものは同じものと見なし、その説明を省く。
【0030】
図1、2に示されるように、本発明の睡眠時無呼吸症を改善する体外トレーニング方法は下記のステップを含む。
【0031】
初回の模型製作のステップS1において、使用者の口腔をスキャニングすることによって第一口腔模型を製作する。使用者は睡眠医療センターに行き、睡眠検査または臨床医による評価後、仮にその睡眠時無呼吸症の閉塞タイプが舌根部の閉塞に属する場合、コンピュータ断層撮影装置または口腔スキャン装置などの機器によって使用者の口腔内部の画像を取得することができ、そして医療用ソフトウェアによって3次元の口腔模型(すなわち、第一口腔模型)を構築する。
【0032】
体外トレーニング装置のカスタマイズのステップS2において、前記第一口腔模型に従って咬合器本体1を選択し、複数の第一カスタマイズ型の電極シート2を成型し、前記複数の第一カスタマイズ型の電極シート2を前記咬合器本体1に組み立てることによって体外トレーニング装置Tを獲得する。前記咬合器本体1はほぼY字型であり、そしてほぼV字型のマウスピース部1aとほぼI字型の露出部1bを有し、前記マウスピース部1aと前記露出部1bは一体になるように形成されてもよい。使用する時、前記マウスピース部1aを使用者の口の中に入れることができ、前記露出部1bは露出して口の中には含まれていない(
図3に示されるように)。前記咬合器本体1は前記マウスピース部1aの最大の幅に応じてS、M、Lなどのサイズにそれぞれ区分されてもよい。初めて使用する時、使用者の前記第一口腔模型に従って、マウスピース部1aの幅のサイズが適切な咬合器本体1を選択することができる。
【0033】
前記マウスピース部1aの下表面11は複数の結合部12を有してもよく、これにより、前記複数の第一カスタマイズ型の電極シート2が着脱可能に結合するのに用いることができる。本実施例において、前記複数の第一カスタマイズ型の電極シート2は舌上型2aと舌側型2bの二種類に区分することができ、前記舌上型2aの第一カスタマイズ型の電極シート2は薄いシート状に形成することができ、そして前記第一口腔模型の舌上面F1(
図3に合わせて参照する)に従って異なる組立位置に対応する形状、大きさに成型することができる。前記舌側型2bの第一カスタマイズ型の電極シート2は立体的な形態に形成することができ、例えば凸部21を有してもよく、前記凸部21は対応する結合部12に着脱可能に結合し、そして前記マウスピース部1aの下表面11から突出する。さらに、前記凸部21の外側に歯接触面22が形成されてもよく、これにより、前記歯接触面22によって使用者の下の歯列の内側に当接することができる。また、前記歯接触面22は前記第一口腔模型に従って使用者の下の歯列の内側に合わせた外形に形成されてもよく、これにより、使用者の下の歯列に当接する時の密着度を高めるとともに、前記マウスピース部1aを使用者の口腔の中に正確に配置させるようにサポートすることができる。前記舌側型2bの第一カスタマイズ型の電極シート2は、さらに前記凸部21の内側に電気伝導部23が形成されてもよい。
【0034】
上述したカスタマイズされた複数の第一カスタマイズ型の電極シート2は、それぞれ前記マウスピース部1aの複数の結合部12に位置合わせして組み立てられてもよい。本実施例において、前記マウスピース部1aのV字型の開口部の付近にある両端には、それぞれ一つの舌上型2aの第一カスタマイズ型の電極シート2が組み立てられて結合されてもよい。さらに、前記マウスピース部1aと前記露出部1bが連接する部分と、前記二つの舌上型2aの第一カスタマイズ型の電極シート2との間に、それぞれ一つの舌側型2bの第一カスタマイズ型の電極シート2が組み立てられ、さらに前記二つの舌側型2bの第一カスタマイズ型の電極シート2の歯接触面22を外側に向けて使用者の下の歯列の内側に向け、さらに前記二つの舌側型2bの第一カスタマイズ型の電極シート2の電気伝導部23を内側に向けてそれぞれ使用者の舌の左、右の両側に向けてもよい。
【0035】
また、前記体外トレーニング装置Tはさらに前記咬合器本体1の中に配置される電気刺激モジュール3を有し、前記電気刺激モジュール3は、制御によって前記複数の結合部12に結合されるカスタマイズ型の電極シートに対して、電圧、電流、周波数とパルス時間が予定された電気刺激信号を発することができる。本実施例において、前記電気刺激モジュール3は前記咬合器本体1の露出部1bの中に配置される少なくとも一つの電源31と一つの制御ユニット32を有してもよく、前記複数の第一カスタマイズ型の電極シート2が前記咬合器本体1に組み立てられる時、前記電源31と電気接続することができる。前記電源31は前記制御ユニット32と電気接続してもよく、これにより、前記制御ユニット32の作動用の電源を提供することができる。前記制御ユニット32は前記複数の結合部12に結合されるカスタマイズ型の電極シートに対して発する電気刺激信号を制御することができる。合わせて
図4を参照すると、前記制御ユニット32は例えば携帯電話、タブレット、スマートウォッチなどのスマートデバイスEとカップリング接続することができるため、使用者がニーズや快適さに応じて前記スマートデバイスEのAPPインターフェースを通じて個人化の設定を行い、上述した電気刺激信号の刺激強度および/または周波数を調整することにより、トレーニングの効果とトレーニングの体験を高めることができる。例を挙げて言えば、電圧の調整範囲は0~100Vでもよく、電流の調整範囲は0~30mAでもよく、波幅の調整範囲は5~500msでもよく、周波数の調整範囲は1~80Hzでもよく。これにより、使用者はニーズに応じて電気刺激を開始、調整、一時停止または停止することができる。
【0036】
図1、3に示されるように、トレーニングのステップS3において、使用者が非睡眠期間において前記体外トレーニング装置Tを咬合し、そして前記複数の第一カスタマイズ型の電極シート2によって舌上面と両側に対して電気刺激を行うことによって使用者の舌下筋群Mの筋持久力をトレーニングする。
【0037】
詳しく言えば、トレーニングする時、使用者は非睡眠期間において前記咬合器本体1のマウスピース部1aを口の中に入れることができ、さらに前記舌側型2bの第一カスタマイズ型の電極シート2の歯接触面22によって使用者の下の歯列の内側に当接し、その電気伝導部23を使用者の舌の左、右の両側面F2に概ね位置合わせることができる。この時、前記舌上型2aの第一カスタマイズ型の電極シート2を使用者の舌の上面F1に概ね位置合わせることができる。これにより、前記電気刺激モジュール3は前記複数の第一カスタマイズ型の電極シート2に対して電気刺激信号を提供することができ、そして前記舌上型2aの第一カスタマイズ型の電極シート2によって舌上面F1に対して電気刺激を行い、さらに前記舌側型2bの第一カスタマイズ型の電極シート2によってそれぞれ舌の左、右両側面F2に対して電気刺激を行うことにより、使用者の舌下筋群Mをトレーニングしてその筋持久力を回復させることができる。
【0038】
追跡の模型製作ステップS4において、トレーニングの期間を経た後、再び使用者の口腔をスキャニングすることによって第二口腔模型を製作する。使用者の舌下筋群Mが一定期間の電気刺激をトレーニングした後、舌下筋群Mの筋肉はますます強くなる。この時、前記舌下筋群Mの筋肉は大きくなったり、小さくなったりまたはずれたりする可能性があるため、上述したトレーニングのステップS3を実行する時に、前記複数の第一カスタマイズ型の電極シート2は予定される位置に従って舌下筋群Mに対して電気刺激を行うことができず、トレーニングの効果に影響を与えてしまう。そのために、前記トレーニングの期間を設定することができ、例えば一ヶ月と設定し、すなわち使用者が毎日前記トレーニングのステップS3を実行して前記トレーニングの期間が満了した後、再び通院して再診を受けるべきであり、この際、再び使用者の口腔をスキャニングして前記第二口腔模型を製作する。
【0039】
更新のステップS5において、前記第一口腔模型と前記第二口腔模型を比較し、前記第一口腔模型と前記第二口腔模型の画像重複率が80%より低い場合、前記第二口腔模型に従って複数の第二カスタマイズ型の電極シートを成型し、前記複数の第二カスタマイズ型の電極シートを前記複数の第一カスタマイズ型の電極シート2に代わって前記咬合器本体1に組み立てる。
【0040】
詳しく言えば、前記第一口腔模型と前記第二口腔模型の画像重複率を比較することによって、前記トレーニングの期間後の使用者の舌下筋群Mの筋肉変化の形態を知ることができる。画像重複率が80%より低い場合、筋肉形態はすでに明らかに変化が生じたことを表し、本来のカスタマイズされた複数の第一カスタマイズ型の電極シート2は、もうじき予定の位置に従って舌下筋群Mに対して電気刺激を行わなくなる恐れがあるため、改めて前記第二口腔模型に従って複数の第二カスタマイズ型の電極シートをカスタマイズする必要がある。前記複数の第二カスタマイズ型の電極シートが成型された後、本来前記咬合器本体1に組み立てられた複数の第一カスタマイズ型の電極シート2を取り外すことができ、その後、対応の前記複数の第二カスタマイズ型の電極シートを取り付けることにより、更新された装置は使用者の現在の舌下筋群Mの筋肉形態に合わせることができるため、舌下筋群Mに対して電気刺激を予定の位置に従って正確に与え続けることができ、トレーニングの効果を確保することができる。
【0041】
また、前記第一口腔模型と前記第二口腔模型の画像重複率が80%より低くかつ70%以上である場合、通院して再診のタイミングが適切であることを表し、次回は同じ期間に従って通院して再診を受けることができる。すなわち、推奨再診時間を設定することができ、そして前記推奨再診時間は前記トレーニングの期間にほぼ等しい。それに対して、前記第一口腔模型と前記第二口腔模型の画像重複率が70%より低い場合、通院して再診のタイミングが遅すぎることを表し、現在使用されている複数の第一カスタマイズ型の電極シート2は、ある時点から使用者の舌下筋群Mに対して正確に電気刺激を行うことができず、そのため、前記第二口腔模型に従って成型された複数の第二カスタマイズ型の電極シートに更新、交換した後、前記推奨再診時間を前記トレーニングの期間より短くするべきであり、好ましくは、前記トレーニングの期間の約三分の二より短く、かつ前記トレーニングの期間の約半分より長い。例を挙げて言えば、仮に前回前記複数の第一カスタマイズ型の電極シート2を使用して舌下筋群Mをトレーニングするトレーニングの期間は一ヶ月とし、前記複数の第二カスタマイズ型の電極シートに交換された後のトレーニングの期間は一ヶ月より短くするべきであり、そのため次回の推奨再診時間は一ヶ月より短く、好ましくは約10~20日経った時点で通院して再診を受けるべきである。さらに、次回スキャニングして製作される口腔模型と前記第二口腔模型の画像重複率は80%より低くかつ70%以上であることを予期することができる。
【0042】
さらに、仮に前記第一口腔模型と前記第二口腔模型の画像重複率が80%以上である場合、現在前記咬合器本体1に結合される複数のカスタマイズ型の電極シートは依然として正確に使用者の舌下筋群Mに対して電気刺激を行うことができることを表し、そのため、通院して再診を受けるタイミングは少し早すぎて、前記複数のカスタマイズ型の電極シートは依然として適用可能であり、交換する必要はないため、使用者の舌下筋群Mのトレーニングは中断することなく(毎回新しい口腔模型に従って対応のカスタマイズ型の電極シートを製作するのに約数日間の日数が必要)、そして一定の期間を延ばした後再び通院して再診を受けてもよい。すなわち、前記推奨再診時間は前記トレーニングの期間より短くしてもよく、好ましくは前記トレーニングの期間の約半分より短く、かつ前記トレーニングの期間の約三分の一より長い。前記推奨再診時間は画像重複率によって判断できるものであり、画像重複率が高ければ高いほど、前記推奨再診時間は長くなる。例を挙げて言えば、前回前記複数の第一カスタマイズ型の電極シート2を使用して舌下筋群Mに対してトレーニングを行うトレーニングの期間は、仮に一ヶ月とし、使用者が一ヶ月間にトレーニングした後、再び通院して再診を受け、前記第一口腔模型と前記第二口腔模型の画像重複率が80%以上である場合、依然として前記複数の第一カスタマイズ型の電極シート2を使用し、引き続き舌下筋群Mのトレーニングを行う。そして一ヶ月以内に再び通院して再診を受けるが、好ましく約10~15日経った時点で通院して再診を受けるべきであり、この際に改めてスキャニングして製作された口腔模型と前記第一口腔模型との画像重複率がすでに80%より低くなったか否かを検査することにより、改めて新しいカスタマイズ型の電極シートを製作して交換する必要があるか否かを判断する。
【0043】
これにより、本発明の睡眠時無呼吸症を改善する体外トレーニング方法は、カスタマイズされたカスタマイズ型の電極シートにより、より正確に使用者の舌下筋群に対して電気刺激を行い、前記舌下筋群の筋持久力をトレーニングし、使用者にその舌下筋群の本来の緊張の回復をサポートすることができるため、睡眠時間に舌が沈んで気道を塞いでしまう状況を改善することにより、睡眠時無呼吸症の症状を改善することができる。また、定期的に再診で受診され舌下筋群の筋肉変化の形態を確認し、現在の筋肉形態に合わせて新たにカスタマイズされたカスタマイズ型の電極シートを適時に交換することにより、使用者が長期的に舌下筋群に対して有効的な電気刺激のトレーニングをすることが確保できるため、トレーニングの効果をより確実なものとすることで、従来の方法よりも効率的に睡眠時無呼吸症の症状を改善することができる。
【0044】
総合すると、本発明の睡眠時無呼吸症を改善する体外トレーニング方法と装置は下記の利点を有する。(1)優れたトレーニング効果。本発明はそれぞれの使用者の口腔模型に合わせて専用の咬合器の電極シートの形態をカスタマイズし、さらに現在の筋肉形態に応じて改めてカスタマイズされた電極シートを適時に交換するものであり、従来公開された咬合器と比較すると、本発明によれば、それぞれの使用者が舌下筋群を正確にトレーニングして筋肉の緊張を回復させることができるため、良好なトレーニングの成果を確保することができる。(2)適切な再診のタイミングの推奨。本発明は口腔模型の画像重複率を比較することにより、それぞれの使用者の筋力トレーニングの状況に応じて次回の再診の時間を正確に推奨することができるため、使用者の無駄な通院の手間を軽減し、また医師と患者の良好な関係の構築にも役立つ。(3)睡眠の質に影響しない。本発明の電気刺激は非睡眠期間で行うため、睡眠中に不快感を引き起すことなく、使用者の睡眠の質に影響を及ぼすことはない。(4)継続使用の意欲の向上。使用者は選択的に日常生活の都合の良い時間と場所を選んで電気刺激のトレーニングを受けることができるため、使用者のトレーニングの利便性と快適さを効果的に向上させることができ、使用者の継続使用の意欲を高めることができる。(5)手術によるリスクなし。本発明の体外トレーニング方法は非侵襲的で、対応の装置を手術によって埋め込む必要がないため、手術の過程でもたらされるリスクと不便を回避することができると同時に、使用者のトレーニングの負担を大幅に軽減することができる。(6)使用と携帯が容易。本発明の体外トレーニング装置はサイズがコンパクトであり、携帯が非常に容易い。機器の近くでしか使用できない、かつ使用者の頭の周りには複数のベルトと管があって、使用者の顔に管の跡が残ったりするなどの問題が生じる持続的陽圧人工呼吸器(CPAP)と比較して、本発明の体外トレーニング装置を使用すると、使用者は自由に歩き回ることができるとともに、従来のCPAPにおける複数のベルトや管の使用という問題がないため、本発明は使いやすく、かつ快適性が大幅に高めることができる。(7)設備投資コストの削減。手術や高価な持続的陽圧人工呼吸器などの従来の改善方法と比較して、本発明の体外トレーニング装置は設備投資コストが低いため、より多くの医療機関や診療所が対応するトレーニングサービスを提供できるようにし、さらに使用者自身でも軽い負担で専用の体外トレーニング装置を購入していつでもどこでも電気刺激トレーニングを行うことができ、また、本発明の体外トレーニング装置は、構造が簡単で、整備の効率を高めることができるとともに、整備コストを低減することもできる。(8)時間または人件費の節約。本発明の体外トレーニング方法または装置を使用すると、手術にかかる時間と回復期間が不要になり、また、医療専門家による手術またはトレーニングサービスを行う必要性を減らすことができるため、時間と人件費を節約することができる。
【0045】
本発明は、すでに上述した比較的よい実施例を利用して掲示したにもかかわらず、本発明に限定するものではなく、いかなるこの技術を熟知した者が本発明の精神と範囲を離脱しない限り、上述した実施例に対応して各種の変更や修正を行っても依然として本発明によって保護される技術範疇に属するものであるため、本発明の保護範囲は当然として添付の特許の請求範囲に記載される意義と均等範囲内における変更を含むべきものである。また、上述の複数の実施例の組み合わせが可能であれば、本発明は任意な組み合わせによる実施態様を含む。
【符号の説明】
【0046】
1…咬合器本体
1a…マウスピース部
1b…露出部
11…下表面
12…結合部
2…第一カスタマイズ型の電極シート
2a…舌上型
2b…舌側型
21… 凸部
22…歯接触面
23…電気伝導部
3…電気刺激モジュール
31…電源
32…制御ユニット
E…スマートデバイス
F1…舌上面
F2…舌側面
M…舌下筋群
S1…初回の模型製作のステップ
S2…体外トレーニング装置のカスタマイズのステップ
S3…トレーニングのステップ
S4…追跡の模型製作のステップ
S5…更新のステップ
T…体外トレーニング装置
【要約】
【課題】従来のトレーニングの成果がよくないという問題点を解決する。
【解決手段】使用者の口腔をスキャニングすることによって第一口腔模型を製作することと、前記第一口腔模型に従って咬合器本体を選択し、そして複数の第一カスタマイズ型の電極シートを成型し、再び前記複数の第一カスタマイズ型の電極シートを組裝於前記咬合器本体に組み立てることによって体外トレーニング装置を獲得することと、使用者が非睡眠期間において前記体外トレーニング装置を咬合し、そして前記複数の第一カスタマイズ型の電極シートによって舌上面と両側に対して電気刺激を行うことと、トレーニングの期間を経た後、再び使用者の口腔をスキャニングすることによって第二口腔模型を製作することと、前記第一口腔模型と前記第二口腔模型を比較し、適時にカスタマイズ型の電極シートを作り直すこととを含む、睡眠時無呼吸症を改善する体外トレーニング方法。
【選択図】
図1