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特許7579421膜分離器を利用する炭化水素の抽出及び/又は分離プロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】膜分離器を利用する炭化水素の抽出及び/又は分離プロセス
(51)【国際特許分類】
   B01D 11/04 20060101AFI20241030BHJP
   B01D 71/64 20060101ALI20241030BHJP
   B01D 3/40 20060101ALI20241030BHJP
   B01D 61/36 20060101ALI20241030BHJP
   B01D 69/00 20060101ALI20241030BHJP
   C07C 7/04 20060101ALI20241030BHJP
   C07C 7/08 20060101ALI20241030BHJP
   C07C 15/02 20060101ALI20241030BHJP
   C07C 7/144 20060101ALI20241030BHJP
   C07C 7/10 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
B01D11/04 102
B01D71/64
B01D3/40
B01D61/36
B01D69/00 500
C07C7/04
C07C7/08
C07C15/02
C07C7/144
C07C7/10
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023505957
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 US2021040602
(87)【国際公開番号】W WO2022026134
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】63/059,505
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100137626
【弁理士】
【氏名又は名称】田代 玄
(72)【発明者】
【氏名】デトイェン トッド イー
(72)【発明者】
【氏名】ワン チョン-ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ティンガー ロバート ジー
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-266989(JP,A)
【文献】特開昭60-130680(JP,A)
【文献】特開昭60-235607(JP,A)
【文献】特表平11-511688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 11/00-12/00
B01D 71/64
B01D 3/40
B01D 61/36
B01D 69/00
C10G 1/00-99/00
C07C 7/04
C07C 7/08
C07C 15/02
C07C 7/144
C07C 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードから芳香族炭化水素を抽出するためのプロセスであって、
(A-1)前記混合物フィードを抽出カラムに供給するステップと、
(A-2)第1のリーン溶媒ストリームの総質量に基づいて、c(ps)wt%の濃度で極性溶媒を含み、c(hcom)wt%の総濃度で重質成分を含み、75≦c(ps)≦99.99である、第1のリーン溶媒ストリームを受け取るステップであって、重質成分は、前記極性溶媒とは異なる前記第1のリーン溶媒ストリーム中に存在する1つ以上の成分を含み
(A-3)前記受け取るステップは、前記第1のリーン溶媒ストリームを膜分離器に供給することを含み、前記膜分離器は、第1の容積、第2の容積、及び第1の容積と第2の容積の間に膜を有する容器を含み、第1の容積は、第2の容積から前記膜によって分離され、前記膜は、重質成分に対するより極性溶媒に対して透過性が高く、かつ第1のリーン溶媒ストリームは第1の容積に供給される、ステップと、
(A-4)前記膜分離器の第1の容積から出る残余分ストリームを得るステップであって、前記残余分ストリームは、第1のリーン溶媒ストリームに比べて重質成分に富んでいる、ステップと、
(A-5)前記膜分離器の第2の容積から出るパーミエイトストリームを得るステップであって、前記パーミエイトストリームは、第1のリーン溶媒ストリームに比べて重質成分が枯渇している、ステップと、
(A-6)前記パーミエイトストリームの少なくとも一部を前記抽出カラムに供給するステップと
(A-7)前記残余分ストリームの少なくとも一部を相分離して、重質成分ストリームと、重質成分で飽和された溶媒ストリームとを得るステップと、
(A-8)前記重質成分で飽和された溶媒ストリームの少なくとも一部を前記抽出カラムに供給するステップと
を含む、前記プロセス。
【請求項2】
重質成分で飽和された溶媒ストリームが、前記重質成分で飽和された溶媒ストリームの総質量に基づいて、3~15wt%の範囲内の総濃度で重質成分を含む、請求項に記載のプロセス。
【請求項3】
抽出カラムが抽出蒸留カラムである、請求項1~のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項4】
抽出カラムが液液抽出カラムである、請求項1~のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
極性溶媒が、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、メトキシトリグリコールエーテル、ジグリコールアミン、ジプロピレングリコール、N-ホルミルモルホリン、N-メチルピロリドン、2,3,4,5-テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド(「スルホラン」)、3-メチルスルホラン及びジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、これらの混合物、及び/又はこれらの水との混合物から選択される、請求項1~のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
膜が、ポリイミド膜、及び/又はイオン性液体を含む膜を含む、請求項1~のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
第1のリーン溶媒ストリームが、膜分離器に供給されるとき、25~80℃の範囲内の温度を有し、かつ前記膜分離器の第1の容積から第2の容積へΔP kPaの陽圧勾配が存在し、ΔPは、345~10,342キロパスカルの範囲である、請求項1~のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
0.01≦c(hcom)≦20である、請求項1~のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
1≦c(hcom)≦15である、請求項に記載のプロセス。
【請求項10】
さらに、
(A-9)前記極性溶媒を含む第2のリーン溶媒ストリームを前記抽出カラムに供給するステップを含第1のリーン溶媒ストリーム及び第2のリーン溶媒ストリームが、共通のリーン溶媒ストリームの一部である、請求項1~のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項11】
所与の時間内に、第1のリーン溶媒ストリームが極性溶媒を総質量W1で含み、第2のリーン溶媒ストリームが極性溶媒を総質量W2で含み、かつ0.5%≦W1/(W1+W2)*100%≦10%である、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
0.5%≦W1/(W1+W2)*100%≦8%である、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
共通のリーン溶媒ストリームが、抽出蒸留カラムから生成された再循環溶媒ストリームである、請求項1012のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項14】
共通のリーン溶媒ストリームが、前記共通のリーン溶媒ストリームの総質量に基づいて、c(hcom-cs)wt%の総濃度で前記重質成分を含み、かつ前記プロセスがさらに、
(A-10)c(hcom-cs)をモニタリングするステップと、
(A-11)c(hcom-cs)≧1の場合にのみ、ステップ(A-3)~(A-8)を実施するステップと
を含む、請求項10~13のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項15】
さらに、
(A-12)前記抽出カラムから下部ストリームを得るステップであって、前記下部ストリームは、前記混合物フィードに比べて芳香族炭化水素及び極性溶媒に富んでいる、ステップと、
(A-13)前記下部ストリームの少なくとも一部をストリッピングカラム内で分離して、スチームを含み、かつ前記下部ストリームに比べて前記極性溶媒が枯渇した芳香族炭化水素リッチストリーム、及び前記下部ストリームに比べて芳香族炭化水素が枯渇した第3のリーン溶媒ストリームを得るステップと、
(A-14)前記第3のリーン溶媒ストリームから、前記第1のリーン溶媒ストリーム、2のリーン溶媒ストリーム、及び通のリーン溶媒ストリームの少なくとも1つを引き出すステップと
を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項16】
さらに、
(A-15)前記第3のリーン溶媒ストリームから第4のリーン溶媒ストリームを引き出すステップと、
(A-16)前記第4のリーン溶媒ストリームをスチームストリッピング再生カラム及び/又は真空再生カラム内で再生して、スチームを含む再生されたリーン溶媒ストリーム及び下部重質ストリームを得るステップと、
(A-17)前記再生されたリーン溶媒ストリームを、前記ストリッピングカラム、前記抽出カラム、及び前記膜分離器の1つ以上に、前記第1のリーン溶媒ストリームの少なくとも一部として供給するステップと
を含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
さらに、
(A-18)前記芳香族炭化水素リッチストリームの少なくとも一部を濃縮して、水性液相と油液相を含む混合物を得るステップと、
(A-19)前記水性液相を分離して水ストリームを得るステップと、
(A-20)前記水ストリームを加熱してスチームストリームを得るステップと、
(A-21)前記スチームストリームを前記スチームストリッピング再生カラムに供給するステップと
を含む、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
ステップ(A-21)において、スチームストリームが、第3のリーン溶媒ストリームの一部によって少なくとも部分的に加熱される、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードから芳香族炭化水素を抽出するためのプロセスであって、
(A-1)前記混合物フィードを抽出カラムに供給するステップと、
(A-2)第1のリーン溶媒ストリームの総質量に基づいて、c(ps)wt%の濃度で極性溶媒を含み、c(hcom)wt%の総濃度で重質成分を含む、第1のリーン溶媒ストリームを受け取るステップであって、重質成分は、前記極性溶媒とは異なる前記第1のリーン溶媒ストリーム中に存在する1つ以上の成分を含み
(A-3)前記受け取るステップは、前記第1のリーン溶媒ストリームを膜分離器に供給することを含み、前記膜分離器は、第1の容積、第2の容積、及び第1の容積と第2の容積の間に膜を有する容器を含み、第1の容積は、第2の容積から前記膜によって分離され、前記膜は、重質成分に対するより極性溶媒に対して透過性が高く、かつ第1のリーン溶媒ストリームは第1の容積に供給される、ステップと、
(A-4)前記膜分離器の第1の容積から出る残余分ストリームを得るステップであって、前記残余分ストリームは、第1のリーン溶媒ストリームに比べて重質成分に富んでいる、ステップと、
(A-5)前記膜分離器の第2の容積から出るパーミエイトストリームを得るステップであって、前記パーミエイトストリームは、第1のリーン溶媒ストリームに比べて重質成分が枯渇している、ステップと、
(A-6)前記パーミエイトストリームの少なくとも一部を前記抽出カラムに供給するステップと、
(A-7)前記残余分ストリームの少なくとも一部を相分離して、重質成分ストリームと、重質成分で飽和された溶媒ストリームとを得るステップと、
(A-8)前記重質成分で飽和された溶媒ストリームの少なくとも一部を前記抽出カラムに供給するステップと
(A-9)前記極性溶媒を含む第2のリーン溶媒ストリームを前記抽出カラムに供給するステップであって、所与の時間内に、第1のリーン溶媒ストリームは極性溶媒を総質量W1で含み、第2のリーン溶媒ストリームは極性溶媒を総質量W2で含み、0.5%≦W1/(W1+W2)*100%≦10%である、ステップと
を含む、前記プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照することによりその開示内容全体を本明細書に援用する、出願日2020年7月31日を有する米国仮出願第63/059,505号に対する優先権及びその利益を主張する。
【0002】
分野
本開示は、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードから芳香族炭化水素を分離及び/又は抽出するためのプロセス、機器、及びシステムに関する。特に、本開示は、膜分離器を利用して、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードから芳香族炭化水素を分離及び/又は抽出するためのプロセス、機器、及びシステムに関する。本開示のプロセス、機器、及びシステムは、例えば、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードからベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素製品、及び非芳香族炭化水素製品を製造する際に有用である。
【背景技術】
【0003】
背景
ベンゼン、トルエン、キシレン、p-キシレン、o-キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素製品、特に高純度の製品は、他の付加価値工業化学物質の製造に役立つ非常に有用な工業原材料である。最近の石油化学プラントにおいて、1種以上の該芳香族炭化水素及び非芳香族炭化水素を含む混合物フィードを分離することによってルーチン的に芳香族炭化水素製品が製造される。該混合物フィードの一例はリフォーメイトストリームであり、これは高濃度で、例えば、リフォーメイトストリームの総質量に基づいて、30wt%まで非芳香族炭化水素を含み得る。該混合物フィードの他の例としては、キシレン異性化ユニット、アルキル交換ユニット、又はトルエン不均化ユニットから生成される芳香族炭化水素ストリームが含まれる。混合物フィード中に存在する非芳香族炭化水素の多くは、目標とする芳香族炭化水素のコボイラー(co-boiler)である。そのため、従来の蒸留プロセス及び機器を使用することによって、ベンゼン、トルエン、キシレン、p-キシレン、o-キシレン等の芳香族炭化水素製品を該混合物フィードから、特に高純度で製造することは、実行不可能ではないにしても、困難かつ非効率的である。
【0004】
この業界では長い間混合物フィードから芳香族炭化水素を分離するために溶媒支援分離プロセス、例えば液液抽出プロセス及び抽出蒸留プロセスが利用されてきた。該プロセスでは、典型的に高極性を有する溶媒、例えばスルホラン、テトラエチレングリコール等を用いて抽出カラムにおいて混合物フィードを接触させる。芳香族炭化水素分子は、分離条件下では典型的に非芳香族炭化水素より高い極性を示すので、芳香族炭化水素は、不釣り合いに極性溶媒中に分布して、芳香族炭化水素リッチ溶媒ストリームを形成し、これが引き続き分離されて高純度の芳香族炭化水素及び炭化水素リーン溶媒ストリームを生成し得る。次に炭化水素リーン溶媒ストリームが抽出カラムに再循環され得る。従って、連続芳香族炭化水素抽出分離プロセスの操作中に、大量の極性溶媒がシステム内で循環する。
【0005】
経時的に、抽出カラムに再循環された炭化水素リーン溶媒ストリームは、操作運動中に種々の汚染物質濃度の漸増を経験し得る。該汚染物質としては、とりわけ、抽出プロセス中に高温条件のために生成され、及び/又は混合物フィードを介して導入される飽和及び不飽和重質炭化水素、塩素含有化合物、ケイ素含有化合物等を挙げることができる。該汚染物質は、特に高濃度では、頻繁なシャットダウン及びメンテナンスを必要とする容器、導管、弁、ポンプ、及び他の機器の腐食及び/又は汚損を引き起こし、システムの寿命を著しく短縮する可能性がある。従って、芳香族炭化水素抽出システムは1つ以上の溶媒再生ユニット及び/又はストリーム精製ユニット、例えばスチームストリッピングカラム、吸着床等を備えて、抽出カラムに再循環される炭化水素リーン溶媒ストリーム中の汚染物質を減らすことが多い。或いは、炭化水素リーン溶媒ストリームの一部を時々パージし、新鮮な溶媒フィードと交換することがある。全てのこれらの方法は、新しい芳香族化合物プラント、及びその稼働の設計及び構築の設備投資のコストを著しく増大させる。
従って、芳香族炭化水素抽出プロセスにおいて抽出カラムに再循環される炭化水素リーン溶媒ストリーム中の汚染物質を減らすための改善、及び/又は芳香族炭化水素製造プロセス全体の改善に対する継続的必要性がある。本開示はこれ及び他の必要性を満たす。
【発明の概要】
【0006】
要約
芳香族炭化水素抽出プロセスにおいて、膜分離器を用いて汚染物質含有リーン溶媒ストリーム(例えば、汚染物質の一部として認識できる量の重質成分を含む循環極性溶媒ストリーム)を分離して、残余分(retentate)ストリーム中の汚染物質の少なくとも一部を除去し、それによって精製されたリーン溶媒ストリームを得、好ましくはこれを抽出ユニットに再循環させ得ることが分かった。さらに、膜分離器を用いて、芳香族炭化水素及び非芳香族炭化水素を含む炭化水素ストリームを分離して、芳香族炭化水素リッチパーミエイト(permeate)ストリーム及び非芳香族炭化水素リッチ残余分ストリームを得ることができる。さらに、膜分離器を用いてリッチ溶媒ストリームを分離して非芳香族炭化水素リッチ残余分ストリーム及び芳香族炭化水素リッチパーミエイトストリームを得ることができ、有利には非芳香族炭化水素リッチ残余分ストリームを抽出カラムに再循環させ、芳香族炭化水素リッチパーミエイトから芳香族炭化水素を回収することができる。これらのプロセスにおける膜分離器の使用は、芳香族炭化水素を分離するための既存プロセスへの対費用効果が高く、エネルギー効率の高い改善であり得る。
【0007】
従って、本開示の第1の態様は、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードから芳香族炭化水素を抽出するためのプロセスに関する。プロセスは(A-1)混合物フィードを抽出カラムに供給するステップを含み得る。プロセスはさらに(A-2)第1のリーン溶媒ストリームであって、該リーン溶媒ストリームの総質量に基づいて、c(ps)wt%の濃度で極性溶媒、及びc(hcom)wt%の総濃度で重質成分を含み、好ましくは75≦c(ps)≦99.99である第1のリーン溶媒ストリームを準備するステップを含み得る。プロセスはさらに(A-3)第1のリーン溶媒ストリームを膜分離器に供給するステップを含むことができ、この膜分離器は、第1の容積、第2の容積、及び第1の容積と第2の容積の間に膜を有する容器を含み、第1の容積は、膜によって第2の容積から分離され、膜は、重質成分に対してより極性溶媒に対して透過性が高く、かつ第1のリーン溶媒ストリームは第1の容積に供給される。プロセスはさらに(A-4)膜分離器の第1の容積から出る残余分ストリームを得るステップを含むことができ、この残余分ストリームは、第1のリーン溶媒ストリームに比べて重質成分に富んでいる。プロセスはさらに(A-5)膜分離器の第2の容積から出るパーミエイトストリームを得るステップを含むことができ、このパーミエイトストリームは、第1のリーン溶媒ストリームに比べて重質成分が枯渇している。プロセスはさらに(A-6)パーミエイトストリームの少なくとも一部を抽出カラムに供給するステップを含むことができる。
【0008】
本開示の第2の態様は、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードを分離するためのプロセスに関する。プロセスは(B-1)混合物フィードを膜分離器に供給するステップを含むことができ、この膜分離器は、第1の容積、第2の容積、及び第1の容積と第2の容積の間に膜を有する容器を含み、第1の容積は、膜によって第2の容積から分離され、膜は、非芳香族炭化水素に対してより芳香族炭化水素に対して透過性が高く、かつ混合物フィードは第1の容積に供給される。プロセスはさらに(B-2)膜分離器の第1の容積から出る残余分ストリームを得るステップを含むことができ、この残余分ストリームは、混合物フィードに比べて芳香族炭化水素が枯渇し、非芳香族炭化水素に富んでいる。プロセスはさらに(B-3)膜分離器の第2の容積から出るパーミエイトストリームを得るステップを含むことができ、このパーミエイトストリームは、混合物フィードに比べて芳香族炭化水素に富み、非芳香族炭化水素が枯渇している。
【0009】
本開示の第3の態様は、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードを分離するためのプロセスに関する。プロセスは(C-1)混合物フィードと、極性溶媒を含む第1のリーン溶媒ストリームとを抽出カラムに供給するステップを含み得る。プロセスはさらに(C-2)抽出カラムからオーバーヘッドストリーム及び下部ストリームを得るステップを含むことができ、このオーバーヘッドストリームは、混合物フィードに比べて非芳香族炭化水素に富み、下部ストリームは、混合物フィードに比べて芳香族炭化水素及び極性溶媒に富んでいる。プロセスはさらに(C-3)下部ストリームの少なくとも一部を膜分離器に供給するステップを含むことができ、この膜分離器は、第1の容積、第2の容積、及び第1の容積と第2の容積の間に膜を有する容器を含み、第1の容積は、膜によって第2の容積から分離され、膜は、非芳香族炭化水素に対してより芳香族炭化水素に対して透過性が高く、かつ下部ストリームの少なくとも一部は第1の容積に供給される。プロセスはさらに(C-4)膜分離器の第1の容積から出る残余分ストリームを得るステップを含むことができ、この残余分ストリームは、下部ストリームに比べて芳香族炭化水素が枯渇し、非芳香族炭化水素に富んでいる。プロセスはさらに(C-5)膜分離器の第2の容積から出るパーミエイトストリームを得るステップを含むことができ、このパーミエイトストリームは、下部ストリームに比べて芳香族炭化水素に富み、非芳香族炭化水素が枯渇している。プロセスはさらに(C-6)残余分ストリームの少なくとも一部を抽出カラムに供給するステップを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示のプロセスの実施形態に有用な膜分離器の構造及び操作を示す概略図である。
図2】本開示の第1の態様の実施形態に従って、炭化水素リーン溶媒のストリームを浄化するための膜分離器を含めた、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードから芳香族炭化水素を分離するための例となる抽出プロセス/システムを示す概略図である。
図3】本開示の第2の態様の実施形態に従って、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードから膜分離器を用いて芳香族炭化水素を分離するための例となる抽出プロセス/システムを示す概略図である。
図4】本開示の第2の態様の実施形態に従って、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードから膜分離器を用いて芳香族炭化水素を分離するための例となる抽出プロセス/システムを示す概略図である。
図5】本開示の第3の態様の実施形態に従って、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードから膜分離器を用いて芳香族炭化水素を分離するための例となる抽出プロセス/システムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
定義
本開示では、少なくとも1つの「ステップ」を含むようにプロセスを記述する。各ステップは、プロセスにおいて1回又は連続若しくは不連続様式で複数回行われ得る動作又は操作であることを理解すべきである。特段の記載がないか又は文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、プロセスの各ステップは、場合によっては、1つ以上の他のステップとの重なりの有無にかかわらず、又はいずれの他の順序でも、記載どおりの順序で連続して行なってよい。さらに、1つ以上又は全てのステップさえ、材料の同一又は異なるバッチに関して同時に行ってよい。例えば、連続プロセスにおいて、プロセスの最初に供給されたばかりの原材料に関してプロセスの第1のステップを行いながら、第1のステップのより早い時点でプロセスに供給された原材料の処理の結果生じた中間材料に関して同時に第2のステップを行ってよい。好ましくは、記載した順序でステップを行う。
【0012】
別段の指示がない限り、本開示において量を指示する全ての数は、全ての場合に用語「約」によって修飾されていると理解すべきである。また、本明細書及び特許請求の範囲で使用する正確な数値は特定の実施形態を構成するものと理解すべきである。実施例のデータの正確さを保証するよう努力した。しかしながら、いずれの測定データも本質的に、測定を行うために利用する技術及び機器の限界のため、ある一定レベルの誤差を含有することを理解すべきである。
本明細書で使用する場合、不定冠詞「a」又は「an」は、特段の記載がないか又は文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、「少なくとも1つ」を意味するものとする。従って、「a distillation column」を使用する実施形態には、特段の記載がないか又は文脈が明白に1つのみの蒸留カラムを使用すると指示していない限り、1、2、又は3つ以上の蒸留カラムを使用する実施形態が包含される。同様に、「a C9+ stream」は、文脈によって1つのみの特定のC9+成分を意味すると特定又は指示していない限り、1、2、又は3つ以上のC9+成分を含めると解釈すべきである。
本明細書で使用する場合、「wt%」は質量百分率を意味し、「vol%」は体積百分率を意味し、「mol%」はモル百分率を意味し、「ppm」は百万分率を意味し、「ppm wt」及び「wppm」は互換的に用いられて質量ベースで百万分の1を意味する。本明細書で使用する全ての「ppm」は、別段の定めがない限り質量ppmである。本明細書の全ての濃度は、問題になっている組成物の総量に基づいて表される。従って、例えば、フィード組成物の種々の成分の濃度は、フィード組成物の総質量に基づいて表される。本明細書で表す全ての範囲は、別段の特定又は指示がない限り、2つの特定の実施形態として両エンドポイントを含めるべきである。
【0013】
「炭化水素」は、(i)水素原子及び炭素原子から成る任意の化合物又は(ii)(i)の2種以上の該化合物の任意の混合物を意味する。用語「Cn炭化水素」(nは正の整数である)は、(i)その分子中に炭素原子を総数nで含む任意の炭化水素化合物、又は(ii)(i)の2種以上の該炭化水素化合物の任意の混合物を意味する。用語「Cn芳香族炭化水素」(nは正の整数である)は、(i)その分子中に炭素原子を総数nで含む任意の芳香族炭化水素化合物、又は(ii)(i)の2種以上の該芳香族炭化水素化合物の任意の混合物を意味する。従って、C2炭化水素はエタン、エチレン、アセチレン、又はそれらの少なくとも2種の任意の比率の混合物であり得る。「Cm~Cn炭化水素」又は「Cm-Cn炭化水素」(m及びnは正の整数であり、かつm<n)は、Cm、Cm+1、Cm+2、…、Cn-1、Cn炭化水素のいずれか、又はその2種以上の任意の混合物を意味する。従って、「C2~C3炭化水素」又は「C2-C3炭化水素」は、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロペン、プロピン、プロパジエン、シクロプロパンのいずれか、及びその2種以上の該成分間の任意の比率の任意の混合物であり得る。「飽和C2-C3炭化水素」は、エタン、プロパン、シクロプロパン、又はその2種以上の任意の比率の任意の混合物であり得る。「Cm~Cn芳香族炭化水素」又は「Cm-Cn炭化水素」(m及びnは正の整数でり、かつm<n)は、Cm、Cm+1、Cm+2、…、Cn-1、Cn芳香族炭化水素のいずれか、又はその2種以上の任意の混合物であり得る。「Cn+炭化水素」は、(i)その分子中に少なくともnの総数で炭素原子を含む任意の炭化水素化合物、又は(ii)(i)の2種以上の該炭化水素化合物の任意の混合物を意味する。「Cn-炭化水素」は、(i)その分子中に最大nの総数で炭素原子を含む任意の炭化水素化合物、又は(ii)(i)の2種以上の該炭化水素の任意の混合物を意味する。「Cm炭化水素ストリーム」は、本質的にCm炭化水素から成る炭化水素ストリームを意味する。「Cm-Cn炭化水素ストリーム」は、本質的にCm-Cn炭化水素から成る炭化水素ストリームを意味する。「Cn+芳香族炭化水素」は、(i)その分子中に少なくともnの総数で炭素原子を含む任意の芳香族炭化水素化合物、又は(ii)(i)の2種以上の該芳香族炭化水素化合物の任意の混合物を意味する。「Cn-芳香族炭化水素」は、(i)その分子中に最大nの総数で炭素原子を含む任意の芳香族炭化水素化合物、又は(ii)(i)の2種以上の該芳香族炭化水素化合物の任意の混合物を意味する。「Cm芳香族炭化水素ストリーム」は、本質的にCm芳香族炭化水素から成る炭化水素ストリームを意味する。「Cm-Cn芳香族炭化水素ストリーム」は、本質的にCm-Cn芳香族炭化水素から成る炭化水素ストリームを意味する。
【0014】
「芳香族炭化水素」は、その分子構造中に芳香環を含む炭化水素である、「非芳香族炭化水素」は、芳香族炭化水素以外の炭化水素を意味する。
「コボイラー」は、基準化合物又は生成物の標準沸点に近い標準沸点を有する化合物を意味する。例えば、基準化合物又は生成物がbp℃の標準沸点を有する場合、そのコボイラーは、bp±30℃、bp±25℃、bp±20℃、bp±15℃、bp±10℃、又はbp±5℃の範囲内の標準沸点を有し得る。基準化合物のコボイラーは、例えば、0.5~5、又は0.5~3、又は0.5~2、又は0.5~1.5の範囲内の相対揮発度を有し得る。ベンゼンの典型的なコボイラーとしては、限定するものではないが、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、2,3-ジメチルペンタン、ジメチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、及び3-メチルヘキサンが挙げられる。近接沸点のため、典型的に従来の蒸留を利用してコボイラーを基準化合物又は生成物から経済的に分離できない。石油化学生成物及び石油化学プロセスストリーム中に存在する芳香族炭化水素の主な非芳香族コボイラーは、直鎖、分岐、及び/又は環式アルカン並びにオレフィンを、非芳香族コボイラーの総質量に基づいて、例えば、≧60wt%、≧70wt%、≧80wt%、≧90wt%、≧95wt%、又は≧98wt%さえの高い総濃度で含む傾向がある。
【0015】
本明細書で使用する「重質成分」は、溶媒とは異なり、少なくとも140℃、例えば、≧150℃、≧160℃、≧180℃、及び≧200℃さえの標準沸点を有するリーン溶媒ストリーム中に存在し得る成分を意味する。
「キシレン」は、単数形又は複数形のどちらでも、パラ-キシレン、メタ-キシレン、及びオルト-キシレンの1種、又はこれらの2又は3種の任意の比率の任意の混合物を総称して意味する。
ストリーム中の成分を表すとき、「富む(rich)」又は「豊富な(enriched)」は、ストリームがその成分をストリームが由来する原料より高い濃度で含むことを意味する。ストリーム中の成分を表すとき、「枯渇した(depleted)」は、ストリームがその成分をストリームが由来する原料より低い濃度で含むことを意味する。従って、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物ストリームが、膜を含む膜分離器によって分離して、混合物ストリームより高い濃度で芳香族炭化水素を含み、混合物ストリームより低い濃度で非芳香族炭化水素を含むパーミエイトストリームを生成する実施形態では、パーミエイトストリームは、混合物ストリームに比べて芳香族炭化水素に富み又は芳香族炭化水素が豊富であり、非芳香族炭化水素が枯渇している。
【0016】
「リーン」は、枯渇したことを意味する。本開示の「リーン-溶媒」又は「リーン溶媒」、又は「炭化水素リーン溶媒」は、炭化水素が枯渇し、かつ本質的に溶媒から成る組成物又はストリームを互換的に意味する。本開示の「リッチ-溶媒」、「リッチ溶媒」、又は「炭化水素リッチ溶媒」は、溶媒を含み、かつ炭化水素に富む組成物又はストリームを互換的に意味する。
本明細書で使用する「本質的に~から成る」は、組成物、フィード、又は流出物が、問題になっている組成物、フィード、又は流出物の総質量に基づいて、所与の成分を少なくとも60wt%、好ましくは少なくとも70wt%、さらに好ましくは少なくとも80wt%、さらに好ましくは少なくとも90wt%、もっとさらに好ましくは少なくとも95wt%の濃度で含むことを意味する。
本明細書で使用する元素及びその基の命名法は、1988年以降に『国際純正及び応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry)』が使用している周期表に準拠する。周期表の例はF. Albert Cotton et al.によるAdvanced Inorganic Chemistry、6th Edition(John Wiley & Sons、Inc.、1999)のフロントカバーのインナーページに示されている。
【0017】
膜分離器
本開示の種々の態様のプロセスに有用な膜分離器は、第1の容積、第2の容積、及び第1の容積と第2の容積の間に膜を有する容器を含み得る。第1の容積は、第2の容積から膜によって分離している。第1の成分と、第1の成分より低い極性を有する第2の成分とを含む混合物ストリームが第1の容積に供給される。膜は、それが第2の成分に対してより第1の成分に対して透過性が高いような極性を有するように選択される。従って、混合物ストリームを接触させると、膜は、第1の成分を優先的に透過させて第2の容積に入れ、混合物ストリームに比べて第1の成分に富み、かつ第2の成分が枯渇したパーミエイトストリームが第2の容積から出る。第1の容積から出る残余分ストリームは、混合物ストリームに比べて第1の成分が枯渇し、第2の成分に富んでくる。膜を通る成分の透過は、第1の容積から第2の容積への圧力降下によって優先的に促進される。例となる膜分離器の構造及び操作については図1に提供し、以下にさらに詳細に述べる。
【0018】
膜はポリマーベースであり得る。用語ポリマーには、限定するものではないが、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、ポリマーブレンド等が含まれる。例えば、膜に適したポリマーとしては、限定するものではないが、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ビスフェノール-A二無水物由来ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアクリル酸、ポリアクリラート、エラストマーポリマー、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリビニルピリジン、ハロゲン化ポリマー、フルオロエラストマー、ポリビニルハライド、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、前述のポリマーを少なくとも1種含むコポリマー、少なくとも1種の上記ポリマーを含むブレンド、少なくとも1種の上記ポリマーを含むアロイ、又は少なくとも1種の上記ポリマー、コポリマー、ブレンド、若しくはアロイを含む組み合わせが挙げられる。ポリマーは、化学的安定性を高めるためにさらに物理的又は化学的に架橋される可能性がある。
種々の好ましい実施形態では、膜は、潤滑油で処理されたポリイミドベースの膜であり得る。他の実施形態では、膜は、有機又は無機マトリックス材料によって運ばれるイオン性液体を含み得る。
【0019】
種々の好ましい実施形態では、操作中、第1の容積に供給された混合物ストリームは液相内にある。好ましくは、操作中、ΔP kPaの陽圧勾配が第1の容積と第2の容積の間に存在し、第1の成分の第1の容積から第2の容積への透過を促進する。好ましくは、ΔPはΔP1~ΔP2の範囲であってよく、ΔP1及びΔP2は、ΔP1<ΔP2である限り、独立に、例えば、345、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,500、2,000、2,500、3,000、3,447、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,500、10,000、10,342であり得る。好ましくはΔP1=3,447及びΔP2=8,274である。
本開示の態様のプロセスに有用な例となる膜、膜分離器、及び膜分離プロセスの記述としては、例えば、米国特許第4,571,444号;第6,187,987号;第6,180,008号;及び第7,642,393号;並びにZhang、Fan、“Selective Separation of Toluene/n-Heptane by Supported Ionic Liquid Membranes with [Bmim][BF4],” Chem. Eng. Technol. 2015、38、No. 2、355-361があり、これらの関連内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0020】
芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードを分離するための液液抽出プロセス
芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物から芳香族炭化水素を分離するために液液抽出(「LLE」)プロセスを利用した。LLEユニットは、LLEカラムを含むことができ、カラムの1つの位置でフィード混合物ストリームを受け取り、フィード混合物ストリームより上の別の位置で極性溶媒ストリームを受け取る。溶媒ストリームは、典型的に下向きに流れてフィード混合物と混合する。極性溶媒、例えば、スルホランは、非芳香族炭化水素より高いそれらの極性のため、優先的に芳香族炭化水素を抽出して、カラムの下部から出るフィード混合物ストリームに比べて芳香族炭化水素に富むリッチ溶媒ストリームを形成する。次に非芳香族炭化水素は、優先的に上向きに流れ、オーバーヘッドストリームとして出る。LLEカラムは、カラム内の実質的に全ての材料が液相内にあるように相対的に低い温度で操作される。全体的なLLEユニットは、追加機器、例えばオーバーヘッドストリーム及びリッチ溶媒ストリームを処理するための1つ以上のストリッピングカラム、並びに極性溶媒と芳香族炭化水素の混合物から高純度芳香族炭化水素を回収し、リーン溶媒ストリームをも生成するための少なくとも1つの回収カラムをも含み得る。リーン溶媒は部分的に再生及び/又は浄化されてから、LLEカラムに再循環され得る。
例となる液液抽出機器及びプロセスの記述は、例えば、米国特許第4,039,389号及び第6,569,390号で見つけることができ、両文献の関連内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0021】
芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードを分離するための抽出蒸留プロセス
芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素を含む混合物から芳香族炭化水素を同様に分離するために抽出蒸留(「ED」)プロセスを利用した。EDユニットは、EDカラムを含むことができ、カラムの1つの位置でフィード混合物ストリームを受け取り、フィード混合物ストリームより上の別の位置で極性溶媒ストリームを受け取る。溶媒ストリームは、典型的に下向きに流れてフィード混合物と混合する。極性溶媒、例えば、スルホランは、非芳香族炭化水素より高いそれらの極性のため優先的に芳香族炭化水素を抽出して、液相内で、かつカラムの下部から出るフィード混合物ストリームに比べて芳香族炭化水素に富むリッチ溶媒ストリームを形成する。次に非芳香族炭化水素は優先的に下向きに流れ、気相内のオーバーヘッドストリームとして出る。LLEカラムと比較すると、EDカラムは、オーバーヘッド流出物が実質的に気相内にあるようにより高い温度で操作される。全体的なEDユニットは、追加機器、例えばオーバーヘッドストリーム及びリッチ溶媒ストリームを処理するための1つ以上のストリッピングカラム、並びに極性溶媒と芳香族炭化水素の混合物から高純度芳香族炭化水素を回収し、リーン溶媒ストリームをも生成する少なくとも1つの回収カラムをも含み得る。リーン溶媒は部分的に再生及び/又は浄化されてからEDカラムに再循環され得る。
例となる抽出蒸留機器及びプロセスの記述は、例えば、WO2012/135111;米国特許出願公開第20100270213号;l米国特許第3723256号;第4,234,544号;第4,207,174号;及び第5,310,480号で見つけることができ;これら全ての関連内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0022】
本開示の第1の態様のプロセス
本開示の第1の態様は、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードから芳香族炭化水素を抽出するためのプロセスであって、
(A-1)混合物フィードを抽出カラムに供給するステップと、
(A-2)第1のリーン溶媒ストリームであって、このリーン溶媒ストリームの総質量に基づいて、c(ps)wt%の濃度で極性溶媒を含み、c(hcom)wt%の総濃度で重質成分を含み、75≦c(ps)≦99.99である、第1のリーン溶媒ストリームを準備するステップと、
(A-3)第1のリーン溶媒ストリームを膜分離器に供給するステップであって、膜分離器は、第1の容積、第2の容積、及び第1の容積と第2の容積の間に膜を有する容器を含み、第1の容積は第2の容積から膜によって分離され、膜は、重質成分に対するより極性溶媒に対して透過性が高く、かつ第1のリーン溶媒ストリームは第1の容積に供給される、ステップと、
(A-4)膜分離器の第1の容積から出る残余分ストリームを得るステップであって、残余分ストリームは、第1のリーン溶媒ストリームに比べて重質成分に富んでいる、ステップと、
(A-5)膜分離器の第2の容積から出るパーミエイトストリームを得るステップであって、パーミエイトストリームは、第1のリーン溶媒ストリームに比べて重質成分が枯渇している、ステップと
(A-6)パーミエイトストリームの少なくとも一部を抽出カラムに供給するステップと
を含む、プロセスに関する。
【0023】
第1の態様のプロセスの特定実施形態では、プロセスは、さらに(A-7)残余分ストリームの少なくとも一部を相分離して、重質成分ストリーム及び重質成分で飽和された溶媒ストリームを得るステップと、(A-8)重質成分で飽和された溶媒ストリームの少なくとも一部を抽出カラムに供給するステップとを含んでよい。該実施形態では、重質成分で飽和された溶媒ストリームは、重質成分を、重質成分で飽和された溶媒ストリームの総質量に基づいて、3~15wt%の範囲内、例えば、3wt%、4wt%、5wt%、6wt%、7wt%、8wt%、9wt%、10wt%、11wt%、12wt%、13wt%、14wt%、又は15wt%の総濃度で含んでよい。(A7)の相分離ステップは、上部と下部の間の位置で残余分ストリームを受け取り、上部近傍の重質成分ストリームと、下部近傍の重質成分で飽和された溶媒ストリーム(この溶媒は重質成分より密度が高い)とを排出するカラム内で好都合に行うことができる。好ましくは追加熱を相分離カラムに投入せずに相分離を達成する。重質成分ストリームは副生物として排出され、或いは代わりに又はさらに分離及び処理されて他の生成物を生成し得る。
ステップ(A-1)で用いる抽出カラムは、上記液液抽出カラム若しくは抽出蒸留カラム、又は両方の組み合わせであり得る。好ましくは、抽出カラムは抽出蒸留カラムである。
【0024】
本開示のプロセスに有用な極性溶媒は、技術上周知のいずれの該溶媒でもあり得る。該極性溶媒の非限定例は、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、メトキシトリグリコールエーテル、ジグリコールアミン、ジプロピレングリコール、N-ホルミルモルホリン、N-メチルピロリドン、2,3,4,5-テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド(「スルホラン」)、3-メチルスルホラン及びジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、これらの混合物、並びにこれらの水との混合物である。特に好ましい極性溶媒はスルホランである。
膜分離器における有効かつ効率的分離を促進するため、第1のリーン溶媒ストリームは、膜分離器に供給されるとき、例えば、25~80℃(例えば、25℃、26℃、28℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、70℃、72℃、74℃、75℃、76℃、78℃、又は80℃)の範囲内の温度Tを有することができ、かつ膜分離器の第1の容積から第2の容積へ、ΔP kPaの陽圧勾配が存在し、ΔPは、ΔP1~ΔP2キロパスカルの範囲であり得、ΔP1及びΔP2は、独立に、ΔP1<ΔP2である限り、例えば、345、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,500、2,000、2,500、3,000、3,447、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,500、10,000、10,342であり得る。好ましくはΔP1=3,447及びΔP2=8,274である。
【0025】
第1のリーン溶媒ストリームは、該リーン溶媒ストリームの総質量に基づいて、極性溶媒をc(ps)wt%の濃度で含み、重質成分をc(hcom)wt%の総濃度で含み、c(ps)はc(ps)1~c(ps)2の範囲であり、c(ps)1及びc(ps)2は、c(ps)1<c(ps)2である限り、独立に、例えば、75、76、77、78、79、80、82、84、85、86、88、90、92、94、95、96、97、98、99、99.9、及び99.99であり得、c(hcom)は、c(hcom)1~c(hcom)2の範囲であり、c(hcom)1及びc(hcom)2は、c(hcom)1<c(hcom)2である限り、独立に、例えば、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、29、20であり得る。好ましくはc(ps)1≧85及びc(hcom)2≦15である。好ましくはc(ps)1≧90及びc(hcom)2≦10である。好ましくはc(ps)1≧92及びc(hcom)2≦8である。
【0026】
第1の態様のプロセスの特定実施形態では、プロセスは、さらに(A-9)極性溶媒を含む第2のリーン溶媒ストリームを抽出カラム供給するステップを含む。ある特定の実施形態では、所与の時間内に、第1のリーン溶媒ストリームは極性溶媒を総質量W1で含み、第2のリーン溶媒ストリームは極性溶媒を総質量W2で含み、かつ0.5%≦W1/(W1+W2)*100%≦10%である。W1/(W1+W2)*100%の値は、v1%~v2%の範囲であってよく、v1及びv2は、独立に、例えば、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10であり得る。好ましくはr1=1及びr2=5である。好ましくはr1=1及びr2=3である。これらの実施形態では、抽出カラムに直接供給される極性溶媒の量W2に比べて、膜分離及び精製を受けた第1のリーン溶媒ストリーム中の極性溶媒の量W1は相対的に少ない。ある特定の実施形態では、第1のリーン溶媒ストリーム及び第2のリーン溶媒ストリームは、共通のリーン溶媒ストリームから、例えば、共通のリーン溶媒ストリームからの2つのスプリットストリームとして引き出される。共通のリーン溶媒ストリームは、例えば、本質的に極性溶媒及び芳香族炭化水素から成るリッチ溶媒ストリームを分離する蒸留カラムから生成された再循環溶媒ストリームであり得る。再循環リーン溶媒ストリームのごく一部だけが膜分離器を用いて重質成分減少を受けるが、膜分離器によって除去及び低減された重質成分の蓄積量は、長時間の操作運動にわたって有意になる可能性があり、循環内の極性溶媒をさらに精製するための追加手段、例えば吸着床、真空再生カラム、及びスチームストリッピング溶媒再生器等の使用の有無にかかわらず、抽出システム内で循環する極性溶媒のバッチの実用寿命を著しく延ばす能力がある。ある特定の実施形態では、共通のリーン溶媒ストリームは、共通のリーン溶媒ストリームの総質量に基づいて、重質成分をc(hcom-cs)wt%の総濃度で含み、プロセスはさらに(A-10)c(hcom-cs)をモニタリングするステップと、(A-11)c(hcom-cs)≧1の場合、例えば、c(hcom-cs)≧2の場合、c(hcom-cs)≧3の場合、c(hcom-cs)≧4の場合、c(hcom-cs)≧5の場合、c(hcom-cs)≧6の場合、c(hcom-cs)≧7の場合、c(hcom-cs)≧8の場合、c(hcom-cs)≧9の場合、c(hcom-cs)≧10の場合、c(hcom-cs)≧11の場合に限り、ステップ(A-3)~(A-8)を実施するステップを含む。これらの実施形態では、ステップ(A-3)~(A-8)は、共通のリーン溶媒ストリームが適切な濃度で重質成分を含むときだけ、例えば、極性溶媒が長時間にわたって抽出分離システム内で循環された後だけ行われる。
【0027】
第1の態様のプロセスの種々の実施形態では、プロセスはさらに(A-12)抽出カラムから下部ストリームを得るステップであって、下部ストリームは、混合物フィードに比べて芳香族炭化水素及び極性溶媒に富んでいる、ステップと、(A-13)ストリッピングカラム内で下部ストリームの少なくとも一部を分離して、下部ストリームに比べて極性溶媒が枯渇した芳香族炭化水素リッチストリーム、及び下部ストリームに比べて芳香族炭化水素が枯渇した第3のリーン溶媒ストリームを得るステップと、(A-14)第1のリーン溶媒ストリーム、第2のリーン溶媒ストリーム、及び共通のリーン溶媒ストリームの少なくとも1つを第3のリーン溶媒ストリームから引き出すステップとを含む。これらの実施形態では、極性溶媒の循環ループがプロセス全体に存在する。上述したように、実施される場合、ステップ(A3)~(A8)は、再循環リーン溶媒ストリームの少なくとも一部を精製して、プロセス及びシステム全体におけるその実用寿命を延長する機能を果たす。ステップ(A-13)では、任意的なスチームストリームがストリッピングカラムに供給されることがある。ステップ(A-13)では、スチームリッチオーバーヘッドストリームがストリッピングカラムから得られることがあり、これが濃縮及び分離されて水ストリーム及び油ストリームを得ることができる。
【0028】
ステップ(A-12)~(A-14)を含む、ある特定の実施形態では、プロセスはさらに(A-15)第4のリーン溶媒ストリームを第3のリーン溶媒ストリームから引き出すステップと、(A-16)第4のリーン溶媒ストリームをスチームストリッピング再生カラム及び/又は真空精製カラム内で再生して、スチームを含む再生リーン溶媒ストリーム及び下部重質ストリームを得るステップと、(A-17)再生リーン溶媒ストリームを、ストリッピングカラム、抽出カラム、及び膜分離器の1つ以上に第1のリーン溶媒ストリームの少なくとも一部として供給するステップとを含んでよい。これらの実施形態では、再生カラムは、リーン溶媒ストリームをさらに精製し、プロセスにおける極性溶媒の実用寿命をさらに延長するために利用される。特定の実施形態では、プロセスはさらに(A-18)芳香族炭化水素リッチストリームの少なくとも一部を濃縮して、水性液相及び油液相を含む混合物を得るステップと、(A-19)水性液相を分離して水ストリームを得るステップと、(A-20)水ストリームを加熱してスチームストリームを得るステップと、(A-21)スチームストリームをスチームストリッピングカラムに供給するステップとを含む。ある特定の実施形態では、ステップ(A-21)において、スチームストリームは、第3のリーン溶媒ストリームの一部によって少なくとも部分的に加熱される。
【0029】
技術上周知なように、吸着剤を消費して定期的な吸着床交換を必要とする吸着床のみを用いて極性溶媒ストリームを精製するのに比べて、膜分離器を使用する本開示のプロセスは、廃棄物をずっと少なくし、ずっと少ないコストを負担するという利点を有する。技術上周知なようにスチームストリッピング溶媒再生器又は真空再生器のみのを用いて極性溶媒ストリームを精製するのに比べて、膜分離器を使用する本開示のプロセスは、スチーム再生カラムの能力はスチームの温度又は真空カラムの温度によって制限されるのでずっと少ないエネルギー消費、ずっと少ない廃水生成、リーン溶媒ストリームからの重質成分の改善された除去という利点を有し、かつ膜分離器はスチーム再生カラム又は真空再生器よりずっと低い温度で作動するので極性溶媒の劣化速度が遅いという利点を有する。さらに、膜分離器を使用する本開示のプロセスは、極性溶媒と同時沸騰する(co-boiling)か又は極性溶媒より重質の重質成分を極性溶媒から分離及び除去する能力という利点を有し、スチームストリッピング再生又は真空再生を利用するプロセスでは極性溶媒からこれらを分離又は減少させることはできない。
【0030】
本開示の第2の態様のプロセス
本開示の第2の態様は、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードを分離するためのプロセスであって、
(B-1)混合物フィードを膜分離器に供給するステップであって、膜分離器は、第1の容積、第2の容積、及び第1の容積と第2の容積の間に膜を有する容器を含み、第1の容積は第2の容積から膜によって分離され、膜は、非芳香族炭化水素に対するより芳香族炭化水素に対して透過性が高く、かつ混合物フィードは第1の容積に供給される、ステップと、
(B-2)膜分離器の第1の容積から出る残余分ストリーム得るステップであって、残余分ストリームは、混合物フィードに比べて芳香族炭化水素が枯渇し、非芳香族炭化水素に富んでいる、ステップと、
(B-3)膜分離器の第2の容積から出るパーミエイトストリームを得るステップであって、パーミエイトストリームは、混合物フィードに比べて芳香族炭化水素に富み、非芳香族炭化水素が枯渇している、ステップとを
を含む、プロセスに関する。
【0031】
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、プロセスはさらに(B-4)残余分ストリームの少なくとも一部及び抽出溶媒ストリームを抽出サブシステムに供給するステップと、(B-5)抽出サブシステムから非芳香族炭化水素ストリーム、抽出された芳香族炭化水素ストリーム、及びリーン溶媒ストリームを得るステップと、(B-6)リーン溶媒ストリームの少なくとも一部を抽出サブシステムに抽出溶媒ストリームの少なくとも一部として再循環させるステップとを含む。
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、プロセスはさらに(B-7)パーミエイトストリームの少なくとも一部及び抽出された芳香族炭化水素の少なくとも一部を芳香族炭化水素蒸留カラムに供給するステップと、(B-8)芳香族炭化水素蒸留カラムから2種以上の芳香族生成物ストリームを得るステップとを含む。
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、プロセスはさらに(B-9)パーミエイトストリームの少なくとも一部及び/又は抽出された芳香族炭化水素ストリームの少なくとも一部を反応器に供給するステップと、(B-10)反応器から変換生成物混合物を生成するステップとを含む。
【0032】
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、混合物フィードは、ベンゼン、トルエン、C8芳香族炭化水素、ベンゼンの非芳香族炭化水素コボイラー、トルエンの非芳香族炭化水素コボイラー、及びC8芳香族炭化水素の非芳香族炭化水素コボイラーを、混合物フィードの総質量に基づいて、それらの総濃度≧60wt%(例えば、≧65、≧70、≧75、≧80、≧85、≧90、≧95、≧98、≧99wt%)で含む。
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、混合物フィードは、ベンゼン、トルエン、ベンゼンの非芳香族炭化水素コボイラー、及びトルエンの非芳香族炭化水素コボイラーを、混合物フィードの総質量に基づいて、それらの総濃度≧60wt%(例えば、≧65、≧70、≧75、≧80、≧85、≧90、≧95、≧98、≧99wt%)で含む。該C6-C7炭化水素混合物フィードは、例えば、C6-C7炭化水素に加えて、C8、C9、及び場合によりC9+炭化水素を含む炭化水素リフォーマーから得られるC6+炭化水素ストリームの蒸留から有利に得ることができる。
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、混合物フィードは、ベンゼン及びベンゼンの非芳香族炭化水素コボイラーを、混合物フィードの総質量に基づいて、それらの総濃度≧60wt%(例えば、≧65、≧70、≧75、≧80、≧85、≧90、≧95、≧98、≧99wt%)で含む。
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、混合物フィードは、ベンゼンを、混合物フィードの総質量に基づいて、その濃度≧60wt%(例えば、≧65、≧70、≧75、≧80、≧85、≧90、≧95、≧98、≧99wt%)で含む。
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、混合物フィードは、トルエン及びトルエンの非芳香族炭化水素コボイラーを、混合物フィードの総質量に基づいて、それらの総濃度≧60wt%(例えば、≧65、≧70、≧75、≧80、≧85、≧90、≧95、≧98、≧99wt%)で含む。
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、混合物フィードは、トルエンを、混合物フィードの総質量に基づいて、その濃度≧60wt%(例えば、≧65、≧70、≧75、≧80、≧85、≧90、≧95、≧98、≧99wt%)で含む。
【0033】
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、プロセスはさらに(B-11)本質的にC8芳香族炭化水素から成る異性化フィードストリームを準備するステップと、(B-12)異性化ゾーン内で異性化フィードストリームを異性化条件下で異性化触媒と接触させて異性化生成物混合物を生成するステップと、(B-13)異性化生成物混合物を分離してC7-炭化水素リッチストリーム及びC8+炭化水素リッチストリームを得るステップと、(B-14)C7-炭化水素リッチストリームの少なくとも一部を混合物フィードの少なくとも一部として供給するステップとを含む。ある特定の実施形態(B6a)では、C7-炭化水素リッチストリームは、実質的にC8炭化水素を含まない。他の特定の実施形態では、C7-炭化水素リッチストリームは、C8炭化水素を、C7-炭化水素リッチストリームの総質量に基づいて、c(C8)1~c(C8)2wt%の濃度で含み、c(C8)1及びc(C8)2は、独立に、例えば、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20であり得る。好ましくはc(C8)2≦10である。好ましくはc(C8)2≦5である。
【0034】
異性化条件は、異性化ゾーン内のC8芳香族炭化水素の大半が気相内にあるような温度及び圧力を含み得る(「気相異性化」又は「VPI」)。或いは、異性化条件は、異性化ゾーン内のC8芳香族炭化水素の大半が液相内にあるような温度及び圧力を含み得る(「液相異性化」又は「LPI」)。LPIは、VPIより低い温度を必要とし、異性化ゾーンに分子水素ストリームを同時供給せずに行うことができる。そのため特に異性化フィードストリームがエチルベンゼンを低濃度で含む特定実施形態においては、LPIは、VPIより好ましい。VPIは、エチルベンゼンを変換する際にLPIより有効であり得るので、異性化フィードストリームがエチルベンゼンを高濃度、例えば、異性化フィードストリームの総質量に基づいて、≧10wt%で含む場合にVPIが好ましい可能性がある。例となるVPIプロセス及び触媒の記述は、例えば、米国特許出願公開第US20110319688A1号;第US20120108867A1号;第US20120108868A1号;第US20140023563A1号;第US20150051430A1号;及び第US20170081259A1号で見つけられる。これらの全ての関連内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。例となるLPIプロセス及び触媒の記述は、例えば、米国特許出願公開第US20110319688A1号;第US20120108867A1号;第US20130274532A1号;第US20140023563A1号;及び第US20150051430A1号で見つけられる。これらの全ての関連内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0035】
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、プロセスはさらに(B-15)C7-芳香族炭化水素及びC9+芳香族炭化水素を含むアルキル交換フィード混合物を準備するステップと、(B-16)アルキル交換ゾーン内でアルキル交換フィード混合物をアルキル交換条件下でアルキル交換触媒と接触させてアルキル交換流出物を生成するステップと、(B-17)アルキル交換流出物を分離してベンゼンリッチストリーム、及びC8炭化水素リッチストリームを得るステップと、(B-18)ベンゼンリッチストリームの少なくとも一部を混合物フィードの少なくとも一部として供給するステップとを含む。例となるアルキル交換ゾーン、アルキル交換触媒、及びアルキル交換条件の記述は、例えば、米国特許第7,663,010号及び第8,183,424号で見つけられる。両文献の関連内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0036】
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、プロセスはさらに(B-19)本質的にトルエンから成るトルエン不均化フィードを準備するステップと、(B-20)不均化ゾーン内でトルエン不均化フィードを不均化条件下でトルエン不均化触媒と接触させて不均化流出物を生成するステップと、(B-21)不均化流出物を分離してベンゼンリッチストリーム、及びC8炭化水素リッチストリームを得るステップと、(B-22)ベンゼンリッチストリームの少なくとも一部を混合物フィードの少なくとも一部として供給するステップを含む。例となる不均化ゾーン、不均化触媒、及び不均化条件の記述は、例えば、米国特許第6,486,373号;第7,326,818号;及び第10,661,258号で見つけられる。これらの全ての関連内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。不均化触媒は、形状選択性又は非形状選択性であり得る。形状選択性触媒を使用する場合、不均化流出物は、不均化流出物中の全てのC8芳香族炭化水素の総質量に基づいて、p-キシレンをm-キシレン及び/又はo-キシレンより顕著に高い濃度で含み、エチルベンゼンを低濃度で含む可能性があり、このことは、本開示の第1の態様のプロセスからのp-キシレン生成物の同時生成という目的にとって非常に有利であり得る。
【0037】
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、プロセスはさらに(B-23)ベンゼン、非芳香族ベンゼンコボイラー、トルエン、非芳香族トルエンコボイラー、C8芳香族炭化水素、C8芳香族炭化水素の非芳香族コボイラー、及びC9+炭化水素を含むC6+炭化水素ストリームを準備するステップと、(B-24)C6+炭化水素ストリームを分離して、ベンゼンとトルエンに富むC7-炭化水素ストリーム、C8炭化水素に富むC7-C8炭化水素ストリーム、及びC9+炭化水素に富むC9+炭化水素ストリームを得るステップと、(B-25)C7-炭化水素ストリームの少なくとも一部を膜分離器に混合物フィードの少なくとも一部として供給するステップとを含む。該C6+炭化水素ストリームは、例えば、石油化学プラントの炭化水素リフォーマーからの流出物から得ることできる。特定の実施形態では、プロセスはさらに(B-26)C7-炭化水素ストリームの少なくとも一部を抽出サブシステムカラムに供給するステップを含む。
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、プロセスはさらに(B-23)残余分ストリームの少なくとも一部及び/又は非芳香族炭化水素ストリームの少なくとも一部を排出するステップを含む。ある特定実施形態では、ステップ(B-23)において、残余分ストリームの少なくとも一部及び/又は非芳香族炭化水素ストリームの少なくとも一部は、モガス(mogas)ブレンディングストックとして用いられる。
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、プロセスはさらに(B-24)残余分ストリームの少なくとも一部を抽出サブシステムに供給するステップを含む。
【0038】
本開示の第3態様のプロセス
本開示の第3態様は、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードを分離するためのプロセスであって、
(C-1)混合物フィードと、極性溶媒を含む第1のリーン溶媒ストリームとを抽出カラムに供給するステップと、
(C-2)オーバーヘッドストリーム及び下部ストリームを抽出カラムから得るステップであって、オーバーヘッドストリームは、混合物フィードに比べて非芳香族炭化水素に富み、下部ストリームは、混合物フィードに比べて芳香族炭化水素及び極性溶媒に富んでいる、ステップと、
(C-3)下部ストリームの少なくとも一部を膜分離器に供給するステップであって、膜分離器は、第1の容積、第2の容積、及び第1の容積と第2の容積の間に膜を有する容器を含み、第1の容積は、第2の容積から膜によって分離され、膜は、非芳香族炭化水素に対してより芳香族炭化水素に対して透過性が高く、かつ下部ストリームの少なくとも一部は第1の容積に供給される、ステップと、
(C-4)膜分離器の第1の容積から出る残余分ストリームを得るステップであって、残余分ストリームは、下部ストリームに比べて芳香族炭化水素が枯渇し、非芳香族炭化水素に富んでいる、ステップと、
(C-5)膜分離器の第2の容積から出るパーミエイトストリームを得るステップであって、パーミエイトストリームは、下部ストリームに比べて芳香族炭化水素に富み、非芳香族炭化水素が枯渇している、ステップと、
(C-6)残余分ストリームの少なくとも一部を抽出カラムに供給するステップと、
を含むプロセスに関する。
【0039】
抽出カラムは、液液抽出カラム、抽出蒸留カラム、両タイプの組み合わせであり得る。
第3の態様のプロセスの種々の実施形態では、プロセスは(C-7)パーミエイトストリームから少なくとも芳香族炭化水素リッチストリーム及び第2のリーン溶媒ストリームを得るステップであって、第2のリーン溶媒ストリームは、パーミエイトストリームに比べて極性溶媒に富んでいる、ステップと、(C-8)第2のリーン溶媒ストリームの少なくとも一部を抽出カラムに第1のリーン溶媒ストリームの少なくとも一部として再循環させるステップとを含む。ステップ(C-7)は、場合によりストリッピングカラムを含む単一又は複数カラムで行うことができる。抽出カラムが抽出蒸留カラムである場合、ステップ(C-7)では、「回収カラム」と呼ばれることがある単一蒸留カラムを使用するのが好ましい。抽出カラムが液液抽出カラムである場合、ステップ(C-7)は、まずパーミエイトストリームの少なくとも一部をストリッピングカラムに供給することができ、そこから非芳香族炭化水素に富むストリーム並びに芳香族炭化水素及び極性溶媒に富む下部ストリームが生成される。任意的なスチームストリームをストリッピングカラムに供給してよい。ストリッピングカラムからスチームリッチオーバーヘッドストリームが得られることがあり、それを濃縮及び分離して水ストリーム及び油ストリームを得ることができる。ストリッピングカラムからの下部ストリームを次に回収カラムに供給することができ、回収カラムの上部から芳香族炭化水素リッチストリームが得られ、下部から第2のリーン溶媒ストリームが得られる。さらに又は代わりに、抽出カラム内が液液抽出カラムである場合、パーミエイトストリームの少なくとも一部を上記回収カラムに直接供給してもよい。
【0040】
第3の態様のプロセスの特定実施形態では、混合物フィードは、ベンゼン、トルエン、C8芳香族炭化水素、ベンゼンの非芳香族炭化水素コボイラー、トルエンの非芳香族炭化水素コボイラー、及びC8芳香族炭化水素の非芳香族炭化水素コボイラーを、混合物フィードの総質量に基づいて、それらの総濃度≧60wt%(例えば、≧65、≧70、≧75、≧80、≧85、≧90、≧95、≧98、≧99wt%)で含む。
第3の態様のプロセスの特定実施形態では、混合物フィードは、ベンゼン、トルエン、ベンゼンの非芳香族炭化水素コボイラー、及びトルエンの非芳香族炭化水素コボイラーを、混合物フィードの総質量に基づいて、それらの総濃度≧60wt%(例えば、≧65、≧70、≧75、≧80、≧85、≧90、≧95、≧98、≧99wt%)で含む。該C6-C7炭化水素混合物フィードは、例えば、C6-C7炭化水素に加えて、C8、C9、及び場合によりC9+炭化水素を含む炭化水素リフォーマーから得られるC6+炭化水素ストリームの蒸留から有利に得ることができる。
第3の態様のプロセスの特定実施形態では、混合物フィードは、ベンゼン及びベンゼンの非芳香族炭化水素コボイラーを、混合物フィードの総質量に基づいて、それらの総濃度≧60wt%(例えば、≧65、≧70、≧75、≧80、≧85、≧90、≧95、≧98、≧99wt%)で含む。
第3の態様のプロセスの特定実施形態では、混合物フィードは、ベンゼンを、混合物フィードの総質量に基づいて、その濃度≧60wt%(例えば、≧65、≧70、≧75、≧80、≧85、≧90、≧95、≧98、≧99wt%)で含む。
第3の態様のプロセスの特定実施形態では、混合物フィードは、トルエン及びトルエンの非芳香族炭化水素コボイラーを、混合物フィードの総質量に基づいて、それらの総濃度≧60wt%(例えば、≧65、≧70、≧75、≧80、≧85、≧90、≧95、≧98、≧99wt%)で含む。
第3の態様のプロセスの特定実施形態では、混合物フィードは、トルエンを、混合物フィードの総質量に基づいて、その濃度≧60wt%(例えば、≧65、≧70、≧75、≧80、≧85、≧90、≧95、≧98、≧99wt%)で含む。
【0041】
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、プロセスはさらに(C-9)本質的にC8芳香族炭化水素から成る異性化フィードストリームを準備するステップと、(C-10)異性化ゾーン内で異性化フィードストリームを異性化条件下で異性化触媒と接触させて異性化生成物混合物を生成するステップと、(C-11)異性化生成物混合物を分離してC7-炭化水素リッチストリーム、及びC8+炭化水素リッチストリームを得るステップと、(C-12)C7-炭化水素リッチストリームの少なくとも一部を混合物フィードの少なくとも一部として供給するステップとを含む。ある特定の実施形態では、C7-炭化水素リッチストリームは、実質的にC8炭化水素を含まない。ある他の特定実施形態では、C7-炭化水素リッチストリームは、C8炭化水素を、C7-炭化水素リッチストリームの総質量に基づいて、c(C8)1~c(C8)2wt%の濃度で含み、c(C8)1及びc(C8)2は、独立に、例えば、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20であり得る。好ましくはc(C8)2≦10である。好ましくはc(C8)2≦5である。
【0042】
異性化条件は、異性化ゾーン内のC8芳香族炭化水素の大半が気相内にあるような温度及び圧力を含み得る(「気相異性化」又は「VPI」)。或いは、異性化条件は、異性化ゾーン内のC8芳香族炭化水素の大半が液相内にあるような温度及び圧力を含み得る(「液相異性化」又は「LPI」)。LPIは、VPIより低い温度を必要とし、異性化ゾーンに分子水素ストリームを同時供給せずに行うことができる。そのため特に異性化フィードストリームがエチルベンゼンを低濃度で含む特定実施形態においては、LPIが、VPIより好ましい。VPIは、エチルベンゼンを変換する際にLPIより有効であり得るので、異性化フィードがエチルベンゼンを高濃度、例えば、異性化フィードストリームの総質量に基づいて、≧10wt%で含む場合にVPIが好ましい可能性がある。例となるVPIプロセス及び触媒の記述は、例えば、米国特許出願公開第US20110319688A1号;第US20120108867A1号;第US20120108868A1号;第US20140023563A1号;第US20150051430A1号;及び第US20170081259A1号で見つけられる。これらの全てのの関連内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。例となるLPIプロセス及び触媒の記述は、例えば、米国特許出願公開第US20110319688A1号;第US20120108867A1号;第US20130274532A1号;第US20140023563A1号;及び第US20150051430A1号で見つけられる。これらの全てのの関連内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0043】
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、プロセスはさらに(C-13)C7-芳香族炭化水素及びC9+芳香族炭化水素を含むアルキル交換フィード混合物を準備するステップと、(C-14)アルキル交換ゾーン内でアルキル交換フィード混合物をアルキル交換条件下でアルキル交換触媒と接触させてアルキル交換流出物を生成するステップと、(C-15)アルキル交換流出物を分離してベンゼンリッチストリーム、及びC8炭化水素リッチストリームを得るステップと、(C-16)ベンゼンリッチストリームの少なくとも一部を混合物フィードの少なくとも一部として供給するステップとを含む。例となるアルキル交換ゾーン、アルキル交換触媒、及びアルキル交換条件の記述は、例えば、米国特許第7,663,010号及び第8,183,424号で見つけられる。両文献の関連内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0044】
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、プロセスはさらに(C-17)本質的にトルエンから成るトルエン不均化フィードを準備するステップと、(C-18)不均化ゾーン内でトルエン不均化フィードを不均化条件下でトルエン不均化触媒と接触させて不均化流出物を生成するステップと、(C-19)不均化流出物を分離してベンゼンリッチストリーム、及びC8炭化水素リッチストリームを得るステップと、(C-20)ベンゼンリッチストリームの少なくとも一部を混合物フィードの少なくとも一部として供給するステップとを含む。例となる不均化ゾーン、不均化触媒、及び不均化条件の記述は、例えば、米国特許第6,486,373号;第7,326,818号;及び第10,661,258号で見つけられる。これらの全ての関連内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。不均化触媒は、形状選択性又は非形状選択性であり得る。形状選択性触媒を使用する場合、不均化流出物は、不均化流出物中の全てのC8芳香族炭化水素の総質量に基づいて、p-キシレンをm-キシレン及び/又はo-キシレンより顕著に高い濃度で含み、エチルベンゼンを低濃度で含む可能性があり、このことは、本開示の第1の態様のプロセスからのp-キシレン生成物の同時生成という目的にとって非常に有利であり得る。
【0045】
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、プロセスはさらに(C-21)ベンゼン、非芳香族ベンゼンコボイラー、トルエン、非芳香族トルエンコボイラー、C8芳香族炭化水素、C8芳香族炭化水素の非芳香族コボイラー、及びC9+炭化水素を含むC6+炭化水素ストリームを準備するステップと、(C-22)C6+炭化水素ストリームを分離して、ベンゼンとトルエンに富むC7-炭化水素ストリーム、C8炭化水素に富むC7-C8炭化水素ストリーム、及びC9+炭化水素に富むC9+炭化水素ストリームを得るステップと、(C-23)C7-炭化水素ストリームの少なくとも一部を膜分離器に混合物フィードの少なくとも一部として供給するステップとを含む。該C6+炭化水素ストリームは、例えば、石油化学プラントの炭化水素リフォーマーからの流出物から得ることできる。特定の実施形態では、プロセスはさらに(C-24)C7-炭化水素ストリームの少なくとも一部を抽出サブシステムカラムに供給するステップを含む。
第2の態様のプロセスの特定実施形態では、プロセスはさらにオーバーヘッドストリームから少なくとも1種の非芳香族炭化水素生成物ストリームを得ることを含む。ある特定の実施形態では、ステップ(C-21)において、非芳香族炭化水素生成物ストリームの少なくとも一部をモガスブレンディングストックとして使用する。
【0046】
図1~5に示すプロセス/システムの詳細な説明
図1は、容器101を含む本開示のプロセスの実施形態に有用な膜分離器の断面構造及び操作を概略的に示す。容器101は、内部導管及び内部導管の外面に取り付けられて外面を包囲する外部ジャケットを具備する。容器101は、第1の容積103、第2の容積105、及び容積103と容積105の間に膜107を有する。容積103は、内部導管の壁115の内面によって画定される。壁115は、流体が自由に通過できる穿孔セグメント109を有する。膜107は、図1では壁115の外面に設置されて穿孔セグメント109を覆うように示されているが、代わりに又はさらに、壁115の内面に設置されることもある。第2の容積105は、壁115の外面、膜107の外面、及び外部ジャケットの壁111の内面によって画定される。膜分離器の作動中、混合物ストリーム117は、第1の成分及び第1の成分より低い極性を有する第2の成分を含む第1の圧力で内部導管の入口端を通って第1の容積103に供給される。次に混合物ストリームは内部導管に沿って流れ、一部は穿孔セグメント109を通って膜107と接触する。第1の容積103から第2の容積105への圧力降下のため、第1の成分の一部及び場合により第2成分の一部が膜107を通過して第2の容積105に入る。特定の理論に束縛されるつもりはないが、第1の成分は、第2の成分より高い極性を有するので、第1の成分の膜107の通過が第2の成分より有利に働き、結果として第2の容積105内に、混合物ストリーム117に比べて第1の成分に富み、第2の成分が枯渇した流体の形成をもたらすと考えられる。第2の容積105内の流体の一部がパーミエイトストリーム121として出口113から出る。図1で内部導管の出口端に示されている、第1の容積103から出る残余分ストリーム119は、混合物ストリーム117に比べて第1の成分が枯渇し、第2の成分に富んでいる。
【0047】
本開示の第1の態様のプロセスでは、混合物ストリーム117は、例えば、第1の成分として極性溶媒、及び第2の成分として極性溶媒より低い極性を有する炭化水素を含み得る。極性溶媒の非限定例としては、例えば、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、メトキシトリグリコールエーテル、ジグリコールアミン、ジプロピレングリコール、N-ホルミルモルホリン、N-メチルピロリドン、2,3,4,5-テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド(「スルホラン」)、3-メチルスルホラン及びジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、これらの混合物、及び/又はこれらの水との混合物を挙げることができる。炭化水素の非限定例としては、種々の沸点を有する芳香族炭化水素、種々の沸点を有する非芳香族炭化水素、及びこれらの混合物を挙げることができる。特に有利な実施形態では、炭化水素は、再循環リーン溶媒ストリームを汚染する可能性がある重質炭化水素を含む。これらの態様では、極性溶媒は、優先的に膜107を通過して第2の容積及びパーミエイトストリーム中で豊富になり、残余分ストリーム中で枯渇してきて、炭化水素は、優先的に第1の容積及び残余分ストリームに保持されて豊富になってきて、混合物ストリームに比べて第2の容積及びパーミエイトストリーム中で枯渇してくる。
【0048】
第1の態様の特定実施形態では、混合物ストリームは、極性溶媒を、混合物ストリームの総質量に基づいて、c(ps)wt%の濃度で含むことができ、c(ps)は、c(ps)1~c(ps)2の範囲内であり、c(ps)1及びc(ps)2は、c(ps)1<c(ps)2である限り、独立に、例えば、75、78、80、82、84、85、86、88、90、92、94、95、96、98、99、99.9、及び99.99でさえあり得る。好ましくはc(ps)1=80、及びc(ps)2=99である。好ましくはc(ps)1=85、及びc(ps)2=98である。好ましくはc(ps)1=90、及びc(ps)2=97である。さらに、混合物ストリームは、重質成分を、混合物ストリームの総質量に基づいて、c(hcom)wt%の濃度で含むことができ、c(hcom)はc(hcom)1~c(hcom)2の範囲内であり、c(hcom)1及びc(hcom)2は、c(hcom)1<c(hcom)2である限り、独立に、例えば、0.01、0.02、0.04、0.05、0.06、0.08、0.1、0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1、2、4、5、6、8、10、12、14、15、16、18、20であり得る。好ましくはc(hcom)=0.1、及びc(hcom)=18である。好ましくはc(hcom)=0.5、及びc(hcom)=16である。好ましくはc(hcom)=1、及びc(hcom)=15である。好ましくはc(hcom)=3、及びc(hcom)=14である。好ましくはc(hcom)=5、及びc(hcom)=12である。
【0049】
本開示の第2の態様のプロセスでは、混合物ストリーム117は、第1の成分として芳香族炭化水素を含み、第2の成分として非芳香族炭化水素を含み得る。好ましくはそれらの実施形態の混合物ストリームには本質的に極性溶媒がない。該芳香族炭化水素の非限定例としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、C9芳香族炭化水素、及びこれらの2種以上の混合物を挙げることができる。該非芳香族炭化水素の非限定例としては、芳香族炭化水素の非芳香族コボイラーが挙げられる。特定の理論に束縛されるつもりはないが、芳香族炭化水素は、一般に非芳香族炭化水素、特に芳香族炭化水素の非芳香族炭化水素コボイラーより高い極性を示す傾向があるので、芳香族炭化水素は、一般に非芳香族炭化水素、特に芳香族炭化水素の非芳香族炭化水素コボイラーより、膜分離器内の膜に対して高い親和性を有し、結果として一般に非芳香族炭化水素、特に芳香族炭化水素の非芳香族炭化水素コボイラーより高速で膜を通過すると考えられる。結果として、第2の容積及びパーミエイトストリーム中の流体は、芳香族炭化水素が豊富になり、非芳香族炭化水素が枯渇してきて、残余分ストリーム中の流体は非芳香族炭化水素が豊富になり、芳香族炭化水素が枯渇してくる。
【0050】
図2
図2は、本開示の第2の態様の実施形態に従って、膜分離器253を用いて芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードから芳香族炭化水素を分離して、炭化水素リーン溶媒を含む混合物ストリームを浄化するための例となる抽出プロセス/システム201を概略的に示す。この図に示すように、主に溶媒(例えば、スルホラン)及び汚染物質(例えば、重質成分)を含む第1のリーン極性溶媒ストリーム247が膜分離器253に供給されて、溶媒に富み、汚染物質が枯渇したパーミエイトストリーム253、及び汚染物質に富み、溶媒が枯渇した残余分ストリーム255を生成する。膜分離器253は、好ましくは、図1に示し、かつ上記で詳述した構造を有し、該様式で操作され得る。次にパーミエイトストリーム257は、個別に(図示せず)又は場合により1種以上の他のリーン溶媒ストリーム(例えば、図のように、ストリーム249(第2のリーン溶媒ストリーム)及び261)と組み合わせた後に液液抽出カラム209に供給されてジョイントストリーム(図のように、ストリーム251)を形成し得る。次に残余分ストリーム255は分離器259に供給され、それから汚染物質(例えば、重質成分)に富み、溶媒が枯渇したストリーム263、及び溶媒に富み、汚染物質が枯渇したリーン溶媒ストリーム261(第3のリーン溶媒ストリーム)が生成され得る。ストリーム255が、膜分離器253を使用することによってもたらされた有意濃度、例えば、ストリーム255の総質量に基づいて、≧5wt%の濃度の重質成分を含む場合、分離器259内で相分離が起こって重質成分リッチ相及び溶媒リッチ相が形成することができ、分離器259からのストリーム261及び263の分離及び生成を好都合に達成することが分かった。ストリーム263は、排出されるか、又は場合によりさらなる分離及び処理後に追加生成物を生成し得る。このように精製されたリーン溶媒ストリームであるストリーム261は、次に液液抽出カラム209に、個別に(図示せず)又は場合により1種以上の他のリーン溶媒ストリーム(例えば、図のように、ストリーム249及び257)と組み合わせた後に供給されてジョインストリーム(図のように、ストリーム251)を形成し得る。さらに又は代わりに、ストリーム261、又はその一部が抽出蒸留カラム(図示せず)に供給されて、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードの抽出蒸留を促進することがある。さらに又は代わりに(図示せず)、ストリーム261、又はその一部がストリッピングカラム(例えば、図のように、カラム267及び231)に供給されて分離を促進することがある。本開示の第1の態様のプロセスの種々の実施形態では、膜分離器を使用することによって、汚染物質含有リーン溶媒ストリーム(例えば、実質的作動時間後の再循環リーン溶媒ストリーム)、又はその一部を、穏やかな条件下、低エネルギー消費、低メンテナンス、低設備投資、及び低運転コストで好都合に精製することができる。
【0051】
図2に示すように、第1のリーン溶媒ストリーム247及び第2のリーン溶媒ストリーム249は、共通のリーン溶媒ストリーム245から引き出され得る。ストリーム247は、特定実施形態では、特に共通ストリーム245が、汚染物質の相対的に低い総濃度(例えば、その中の重質成分の低い総濃度、c(hcom-cs)wt%、例えば、ストリーム245の総質量に基づいて、c(hcom-cs)<3、又はc(hcom-cs)<1、又はc(hcom-cs)<0.5)によって示される高い溶媒純度を有する場合、遮断され得る。それらの場合、膜分離器253を使用することによるストリーム245の一部の精製は必要ない。従って、好ましい実施形態では、共通のリーン溶媒ストリーム245中の汚染物質の濃度、例えば、c(hcom-cs)をモニターし、それが閾値レベル、例えば、c(hcom-cs)≧0.5、又はc(hcom-cs)≧1、又はc(hcom-cs)≧3、又はc(hcom-cs)≧5でさえに達したときだけ第1のリーン溶媒ストリーム247を流すことができる。好ましくはc(hcom-cs)≦20、又はc(hcom-cs)≦18、又はc(hcom-cs)≦16、又はc(hcom-cs)≦15、又はc(hcom-cs)≦12である。上述したように、ストリーム245、ひいてはストリーム247中の高濃度(例えば高c(hcom-cs))の汚染物質で、残余分ストリーム255中の汚染物質のさらに高い濃度が達成され、分離器259において望ましい相分離をもたらすことができる。第2のリーン溶媒ストリーム249を完全に遮断することができ、結果としてストリーム245の全体がストリーム247になり、膜分離器253で処理されると、好ましくはストリーム249は、ストリーム245のごく一部のみを占める。従って、好ましい実施形態では、所与の時間内に、第1のリーン溶媒ストリーム247が溶媒を総質量W1で含み、第2のリーン溶媒ストリーム249が溶媒を総質量W2で含む場合、ストリーム247及び249は、0.5%≦W1/(W1+W2)*100%≦10%、好ましくは0.5%≦W1/(W1+W2)*100%≦8%、好ましくは0.5%≦W1/(W1+W2)*100%≦5%、さらに好ましくは1%≦W1/(W1+W2)*100%≦5%、もっとさらに好ましくは1%≦W1/(W1+W2)*100%≦3%となるように調節される。
【0052】
ここで、図2の全体的なプロセス/システムについて以下に述べる。
例えば、ナフサリフォーメイトストリーム、キシレン異性化流出物ストリーム、アルキル交換流出物ストリーム、トルエン不均化流出物ストリーム等、又はこれらの混合物から生成された、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素と含むを混合物フィードストリーム203、並びに芳香族炭化水素及び非芳香族炭化水素をも含む、共通のストリーム207から引き出された再循環炭化水素ストリーム205及び206が液液蒸留カラム209(代わりに、図示しない抽出蒸留カラム)に、カラムの種々の位置で供給される。再循環リーン溶媒ストリーム251は、カラム209に、ストリーム203、205、及び206より高い位置で供給される。カラム209内では、極性溶媒が炭化水素と混合し、下部へ下降して、ストリーム203に比べて芳香族炭化水素に富み、非芳香族炭化水素が枯渇したリッチ溶媒ストリーム219を生成する。上部から、ストリーム203に比べて非芳香族炭化水素に富み、芳香族炭化水素が枯渇したストリーム211が生成される。
ストリーム219は、熱交換器243で再循環リーン溶媒ストリーム239によって加熱されると、ストリーム265になって、場合によりスチームストリーム221と共にストリッピングカラム267に供給されて、スチームを含み、かつストリーム265に比べて非芳香族炭化水素に富むオーバーヘッドストリーム269及び芳香族炭化水素に富む下部のリッチ溶媒ストリーム271を生成する。ストリーム271は、カラム267への再循環用ストリーム272と、蒸留カラム275に供給するためのストリーム273に分配され得る。
【0053】
カラム209の上部からのストリーム211は、水リッチストリーム281と共に水洗カラム213に供給され、それから非芳香族炭化水素ストリーム215及び水性ストリーム217が生成され得る。ストリーム215は、場合により乾燥及び/又は分離等の追加処理後に、使用され又は種々の非芳香族炭化水素製品、例えば、モガスブレンディングストックにされ得る。炭化水素及び水を含むストリーム217は、次にスチームストリーム295と共に、場合により他の水性ストリーム、例えば相分離器225から生成されたストリーム227と共にスチームストリッピングカラム231に供給されてジョイントストリーム229を形成し得る。
カラム231の上部から、炭化水素/スチーム混合物ストリーム233及び溶媒と水を含む下部ストリーム235が生成される。ストリーム233は、場合により上記ストリーム269と組み合わせた後、濃縮されてから相分離器225内で相分離されて、炭化水素ストリーム207及び水性ストリーム227を生成し得る。次にストリーム207が上記カラム209に再循環され得る。ストリーム227は、上述したようにストリーム217と組み合わされてストリーム229を形成し得る。次にカラム231の下部からのストリーム235がスチーム発生器237に供給され、そこでそれはホットリーン溶媒ストリーム289によって加熱されてスチームストリーム293及び溶媒リッチストリーム296を生成する。スチームストリーム293は、ストリーム294及び295に分配され得る。ストリーム295は、上記スチームストリッピングカラム231に供給され得る。
【0054】
次いでスチームストリーム294が、芳香族炭化水素リッチ溶媒ストリーム273、溶媒リッチストリーム296、及び溶媒再生器291から生成された任意的なリーン溶媒ストリーム292と共に蒸留カラム275に供給されて、上部から芳香族炭化水素/スチーム混合物ストリーム277、下部からホットリーン溶媒ストリーム286を生成し得る。ストリーム277は、濃縮すると(図示せず)、相分離器279内で分離されて水性ストリーム281及び芳香族炭化水素ストリーム283が得られる。ストリーム281は上記水洗カラム213に供給され得る。ストリーム283は、カラム275に再循環されるストリーム284と、ストリーム285とに分配され、ストリーム285は、任意的な追加処理、例えば乾燥及び蒸留によって、種々の芳香族炭化水素製品、例えば、ベンゼン、トルエン、ベンゼン/トルエン混合物等として使用されるか又はこれらにされ得る。
カラム275の下部から出るホットリーン溶媒ストリーム286は、さらに熱交換器による加熱に接するカラム275への再循環用ストリーム287と、再生溶媒ストリーム292を生成するための溶媒再生器291における再生用ストリーム290と、スチーム発生器237に供給されてストリーム235を加熱して上記スチームストリーム293を生成するためのストリーム289とに分配され得る。スチーム発生器237から出る冷却リーン溶媒ストリーム239は、カラム209の下部で精製されたリッチ溶媒ストリーム219によって熱交換器243でさらに冷却されて、上記共通のリーン溶媒ストリーム245を形成し得る。溶媒再生器291は、例えば、スチームストリッピングカラム、真空再生器カラム、イオン交換樹脂、無機吸着剤物質等の吸着剤の床を含有する吸着床カラム、及びこれらの組み合わせであり得る。上述したように再循環リーン溶媒ストリーム245の汚染物質の少なくとも一部を除くために膜分離器253を使用することの結果として、既に存在する場合、溶媒再生器291は、使用を中止するか又は間欠的にのみ使用することができ、或いは設置しないか又はグラスルーツプラント(grass-root plant)において低減能力で設置することができ、結果として設備投資及び/又は運転コストの節約になる。
【0055】
図3
図3は、本開示の第2の態様の実施形態に従って、膜分離器305を用いて芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードから芳香族炭化水素を分離するための例となる抽出プロセス/システム301を概略的に示す。この図に示すように、芳香族炭化水素及び非芳香族炭化水素を含む混合物フィードストリーム303、例えば、C8芳香族炭化水素異性化ユニット(図示せず)から出る流出物から得られるストリームが、第1の容積と第2の容積の間に膜を含む、好ましくは上記図1に示す構造を有し、図1に示す様式で操作される膜分離器305に供給されて、ストリーム303に比べて芳香族炭化水素に富み、非芳香族炭化水素が枯渇したパーミエイトストリーム307、及びストリーム303に比べて非芳香族炭化水素に富み、芳香族炭化水素が枯渇した残余分ストリーム309を生成する。ストリーム309は、特にストリーム303が高濃度で芳香族炭化水素含む場合、例えば、ストリーム303が、ストリーム303の総質量に基づいて、例えば、≧80wt%、≧85wt%、≧90wt%、≧95wt%、又は≧98wt%の総濃度の芳香族炭化水素を有する本質的に芳香族炭化水素から成る場合、未だに芳香族炭化水素を種々の量で含む可能性がある。ストリーム309は、次に場合により例えば、ナフサリフォーメイトストリーム由来の別の混合物フィードソースストリーム311と混ぜ合わされて、ジョイントストリーム313を形成することができ、これが次に抽出分離サブシステム315に供給されて、非芳香族炭化水素ストリーム317(例えば、高純度非芳香族炭化水素ストリーム)及び抽出された芳香族炭化水素ストリーム319(例えば、高純度芳香族炭化水素ストリーム、好ましくは本質的に非芳香族炭化水素を含まないストリーム)を生成することができる。抽出分離サブシステム315は、例えば、抽出カラム(例えば、液液抽出カラム、又は抽出蒸留カラム、好ましくは液液抽出カラム)、1つ以上のストリッピングカラム、芳香族炭化水素溶媒分離蒸留カラム、リーン溶媒ストリームの少なくとも一部を抽出カラムに再循環させるためのリーン溶媒再循環ループ、及び他の付属機器、例えば図2に示し、上述したものを含み得る。そして2種の芳香族炭化水素ストリーム、すなわち、膜分離器からのパーミエイトストリーム307及び抽出分離サブシステム315からのストリーム319が組み合わされてジョイントストリーム321を形成することができ、これが次に芳香族炭化水素分離カラム323に供給され、それから複数の芳香族生成物ストリーム、例えばストリーム325(例えば、高純度ベンゼンストリーム)、ストリーム327(例えば、ベンゼン/トルエン混合物ストリーム)、ストリーム329(高純度トルエンストリーム)、及びストリーム331(C8+炭化水素ストリーム)が生成され得る。代わりに又はさらに、残余分ストリーム309及び/又は非芳香族炭化水素ストリーム317の一部又は全部が排出され、及び/又は種々の製品、例えばモーターガスブレンディングストックにされ得る。
【0056】
企図した比較プロセス/システム(図示せず)は、膜分離器305が設置されず、結果としてストリーム303に含まれる非芳香族炭化水素を除去するため、ストリーム303全体をストリーム311と組み合わせてストリーム313を形成してから抽出サブシステム315に供給することを除き、図3のものと同一である。比較プロセス/システムに比べて、図3のプロセス/システムは、膜分離器を用いてストリーム303から芳香族炭化水素の一部を分離し、その非芳香族炭化水素リッチ部分309を抽出サブシステム315に供給するだけで、ずっと少ないエネルギー消費のため経時的に顕著に節約することになり得る。膜分離器305の設置は、グラスルーツプラントにおける抽出サブシステム315の必要とされる能力を低減できる可能性があり、結果として設備投資の節約になり、或いは膜分離器305が既存芳香族炭化水素生産プラントに追加されれば、ストリーム311からより多くの量を処理できるようにし、結果として生産性向上をもたらす。ストリーム303が高濃度の芳香族炭化水素を含む場合、芳香族炭化水素リッチパーミエイトストリーム307がストリーム303の大半の部分を占める可能性があり、ストリーム303のごく一部だけ(すなわちストリーム309)が抽出サブシステム315に供給されるので、図3のプロセス/システムは特に有利であり得る。対照的に、ストリーム303が芳香族炭化水素を高濃度で含むにもかかわらず、その全体が抽出サブシステム315に供給される比較プロセス/システムにおいては、ずっと多くの量の芳香族炭化水素が抽出サブシステムを通過し、高性能の抽出サブシステムを必要とし、顕著なエネルギー損失をもたらす。
【0057】
プロセス/システム301の好ましい実施形態では、ストリーム303は、ベンゼン、トルエン、ベンゼンの非芳香族炭化水素コボイラー、及びトルエンの非芳香族炭化水素コボイラーを、ストリーム303の総質量に基づいて、それらの総濃度≧60wt%、≧65wt%、≧70wt%、≧75wt%、≧80wt%、≧85wt%、≧90wt%、≧95wt%で含み得る。その特定の実施形態では、ストリーム303は、ベンゼン及びトルエンを、ストリーム303の総質量に基づいて、それらの総濃度≧60wt%、≧65wt%、≧70wt%、≧75wt%、≧80wt%、≧85wt%、≧90wt%、≧95wt%で含み得る。その特定の実施形態では、ストリーム303は、ベンゼンを、ストリーム303の総質量に基づいて、その総濃度≧60wt%、≧65wt%、≧70wt%、≧75wt%、≧80wt%、≧85wt%、≧90wt%、≧95wt%で含み得る。
プロセス/システム301の好ましい実施形態(図示せず)では、ストリーム303の少なくとも一部は、(B-11)本質的にC8芳香族炭化水素から成る異性化フィードストリームを準備するステップと、(B-12)異性化ゾーン内で異性化フィードストリームを異性化条件下で異性化触媒と接触させて異性化生成物混合物を生成するステップと、(B-13)異性化生成物混合物を分離してC7-炭化水素リッチストリーム、及びC8+炭化水素リッチストリームを得るステップと、(B-14)C7-炭化水素リッチストリームの少なくとも一部をストリーム303の少なくとも一部として供給するステップとによって生成され得る。例となるC8芳香族炭化水素異性化プロセス及びシステムは、例えば、米国特許出願公開第US20110319688A1号;第US20120108867A1号;第US20120108868A1号;第US20140023563A1号;第US20150051430A1号;及び第US20170081259A1号に記載されている。これら全ての関連内容は、参照することによりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。C8芳香族炭化水素異性化プロセス及びシステム(別称「異性化ユニット」)を用いて、エチルベンゼン、m-キシレン、及びo-キシレンの1種以上をさらに有益な生成物、例えばベンゼン及びp-キシレンに変換することができる。
【0058】
プロセス/システム301の別の好ましい実施形態(図示せず)では、ストリーム303の少なくとも一部は、(B-15)C7-芳香族炭化水素及びC9+芳香族炭化水素を含むアルキル交換フィード混合物を準備するステップと、(B-16)アルキル交換ゾーン内でアルキル交換フィード混合物をアルキル交換条件下でアルキル交換触媒と接触させてアルキル交換流出物を生成するステップと、(B-17)アルキル交換流出物を分離してベンゼンリッチストリーム、及びC8炭化水素リッチストリームを得るステップと、(B-18)ベンゼンリッチストリームの少なくとも一部をストリーム303の少なくとも一部として供給するステップとによって生成され得る。例となるアルキル交換プロセス及びシステムは、例えば米国特許第7,663,010号及び第8,183,424号に記載され、両文献の関連内容全体は、参照することにより本明細書に組み込まれる。アルキル交換プロセス及びシステム(別称「アルキル交換ユニット」)を用いてC9+芳香族炭化水素及びトルエンをさらに有益な生成物、例えばベンゼン及びキシレン、特に異性化プロセス/システムと組み合わせればp-キシレンに変換することができる。
【0059】
プロセス/システム301の別の好ましい実施形態(図示せず)では、ストリーム303の少なくとも一部は、(B-19)本質的にトルエンから成るトルエン不均化フィードを準備するステップと、(B-20)不均化ゾーン内でトルエン不均化フィードを不均化条件下でトルエン不均化触媒と接触させて不均化流出物を生成するステップと、(B-21)不均化流出物を分離してベンゼンリッチストリーム、及びC8炭化水素リッチストリームを得るステップと、(B-22)ベンゼンリッチストリームの少なくとも一部をストリーム303の少なくとも一部として供給するステップとによって生成され得る。例となるトルエン不均化プロセス及びシステムは、例えば、米国特許第7,326,818号及び第10,661,258号に記載され、両文献の関連内容は、参照することによりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。トルエン不均化プロセス及びシステム(別称「アルキル交換ユニット」)を用いて、トルエンをさらに有益な生成物、例えばベンゼン及びキシレン、特にp-キシレンに変換することができる。
【0060】
図4
図4は、本開示の第2の実施形態に従って、膜分離器413を用いて、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードから芳香族炭化水素を分離するための例となる抽出プロセス/システム401を概略的に示す。この図に示すように、ベンゼン、非芳香族ベンゼンコボイラー、トルエン、非芳香族トルエンコボイラー、C8芳香族炭化水素、C8芳香族炭化水素の非芳香族コボイラー、及びC9+炭化水素を含むC6+炭化水素ストリーム403が分離カラム405に供給されてC7-炭化水素ストリーム407、C7-C8炭化水素ストリーム411、及びC9+炭化水素ストリーム409を得る。ストリーム403は、石油化学プラントでリフォーマーから生成されたリフォーメイトストリームに由来し得る。ベンゼン、ベンゼンコボイラー、トルエン、及びトルエンコボイラーに富むストリーム407は、他の類似ストリーム、例えば後述するストリーム417と組み合わされてから、抽出分離サブシステム421に供給され得る。ストリーム409は、アルキル交換ユニット(図示せず)にベンゼン/トルエンストリームと共に供給されて追加量のキシレンを生成し得る。次にトルエン、トルエンのコボイラー、C8芳香族炭化水素及びそのコボイラーを含むストリーム411は、第1の容積と第2の容積の間に膜を含む、好ましくは上記図1に示した構造を有し、その様式で操作される膜分離器413に供給されて、ストリーム411に比べてトルエン及びC8芳香族炭化水素に富み、非芳香族炭化水素が枯渇したパーミエイトストリーム415、並びにストリーム411に比べて非芳香族炭化水素に富み、芳香族炭化水素が枯渇した残余分ストリーム417を生成し得る。ストリーム417は、特にストリーム411が芳香族炭化水素を高濃度で含む場合、例えば、ストリーム411が、ストリーム411の総質量に基づいて、例えば、≧50wt%、≧60wt%、≧70wt%、≧80wt%、≧85wt%、≧90wt%、≧95wt%、又は≧98wt%の総濃度の芳香族炭化水素を有する本質的に芳香族炭化水素から成る場合、未だに種々の量で芳香族炭化水素を含む可能性がある。ストリーム417は次に別の混合物フィードソースストリーム、例えばストリーム407と組み合わされてジョイントストリーム419を形成し、これが次に抽出分離サブシステム421に供給されて非芳香族炭化水素ストリーム423(例えば、高純度非芳香族炭化水素ストリーム)及び抽出された芳香族炭化水素ストリーム425(例えば、高純度芳香族炭化水素ストリーム、好ましくは本質的に非芳香族炭化水素を含まないストリーム)を生成し得る。抽出分離サブシステム421は、例えば、抽出カラム(例えば、液液抽出カラム、抽出蒸留カラム、好ましくは液液抽出カラム)、1つ以上のストリッピングカラム、芳香族炭化水素溶媒分離蒸留カラム、リーン溶媒ストリームの少なくとも一部を抽出カラムに再循環させるためのリーン溶媒再循環ループ、及び他の付属機器、例えば図2に示して上述したものを含み得る。次に2つの芳香族炭化水素ストリーム、すなわち膜分離器413からのパーミエイトストリーム415及び抽出分離サブシステム421からのストリーム425が組み合わされてジョイントストリーム427を形成し、芳香族炭化水素分離カラム429に供給され、それから複数の芳香族生成物ストリーム、例えばストリーム431(例えば、高純度ベンゼンストリーム)、ストリーム433(例えば、ベンゼン/トルエン混合物ストリーム)、ストリーム435(高純度トルエンストリーム)、及びストリーム437(C8芳香族炭化水素ストリーム)が生成され得る。これらの種々の芳香族炭化水素ストリームは、種々の下流プロセス、例えば、アルキル交換、キシレン異性化、トルエン不均化、キシレンを作るためのベンゼン/トルエンメチル化等のための高品質フィードとして使用することができる。代わりに又はさらに、残余分ストリーム417及び/又は非芳香族炭化水素ストリーム423の一部又は全部を排除し、及び/又は種々の製品、例えばモーターガスブレンディングストックにすることができる。
【0061】
図4のプロセス/システムに対して企図した第1の比較プロセス/システム(図示せず)は、膜分離器413が存在せず、ストリーム411が第2の抽出分離サブシステム(図示せず)に供給されて別の芳香族炭化水素ストリーム及び別の非芳香族炭化水素ストリームを生成することを除き、図4のものと同一である。他の芳香族炭化水素ストリームがカラム429にストリーム425と共に供給され得る。図4のプロセス/システムに比べて、この第1の比較プロセス/システムは、ずっと多くの機器を必要とし、顕著に高い費用がかかり、かつ多くのエネルギーを消費する。
図4のプロセス/システムに対して企図した第2の比較プロセス/システム(図示せず)は、膜分離器413が存在せず、ストリーム411が異性化、不均化等の下流プロセスに直接供給されることを除き、図4のものと同一である。ストリーム411は相当量の非芳香族化合物を含有するので、下流プロセスにとって、少ないか又はほとんど非芳香族炭化水素を含有しない高純度ストリーム433、435、及び437より劣る。そのため、この第2の比較プロセス/システムは、望ましくない副反応を引き起こし、望ましくない副生物を生成し、図4のプロセス/システムに比べて、低い効率、低いプロセス安定性、短いプロセス実行時間等を下流プロセスにもたらす可能性がある。
【0062】
図5
図5は、本開示の第3の態様に従って、膜分離器511を用いて、芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードから芳香族炭化水素を分離するための例となる抽出プロセス/システム501を概略的に示す。この図に示すように、芳香族炭化水素及び非芳香族炭化水素を含む混合物フィードストリーム503、例えば、リフォーメイト流出物ストリーム(図示せず)由来のストリームが抽出カラム505(例えば、液液抽出カラム又は抽出蒸留カラム、好ましくは液液抽出カラム)に、リーン溶媒ストリーム525及び後述する再循環炭化水素含有ストリーム515と共に供給される。カラム505から、ストリーム503に比べて非芳香族炭化水素に富み、芳香族炭化水素が枯渇したオーバーヘッドストリーム509、及び芳香族炭化水素に富み、非芳香族炭化水素が枯渇した下部リッチ溶媒ストリーム507が生成される。カラム505において芳香族炭化水素の高度の抽出を達成するため、ストリーム507が相当量の非芳香族炭化水素を含むとはいえ、ストリーム509が実質的に芳香族炭化水素を含まないようにプロセスを構成し得る。そこでストリーム507からのスプリットストリーム509(図のように)又はストリーム507の全部が、第1の容積と第2の容積の間に膜を含む、好ましくは上記図1の構造を有し、そのように操作される膜分離器513に供給されて、ストリーム509に比べて芳香族炭化水素に富み、非芳香族炭化水素が枯渇したパーミエイトストリーム517、及びストリーム509に比べて非芳香族炭化水素に富み、芳香族炭化水素が枯渇した残余分ストリーム515を生成し得る。それでもなおストリーム515は、溶媒及び非芳香族炭化水素に加えて、芳香族炭化水素を相当量で含み得る。従ってストリーム515は、好ましくはカラム505に戻して再循環され、それから芳香族炭化水素が抽出され得る。ストリーム509に比べて非芳香族炭化水素が枯渇し、溶媒を含むストリーム517が次に、例えば、蒸留カラム及び任意的な機器、例えばストリッピングカラム(図示せず)を含み得る芳香族炭化水素/溶媒分離サブシステム521に供給され得る。分離サブシステム521から、高純度芳香族炭化水素ストリーム523及びリーン溶媒ストリーム525(第2のリーン溶媒ストリーム)が生成される。第2のリーン溶媒ストリーム525、又はその一部が次に抽出カラム505に再循環され得る。非芳香族炭化水素ストリーム509の一部又は全部が排除され、及び/又は種々の製品、例えばモーターガスブレンディングストックにされ得る。ストリーム523は、さらに分離されて1つ以上の芳香族炭化水素ストリーム(例えば、高純度ベンゼンストリーム、トルエン-ベンゼン混合物ストリーム、トルエンストリーム等)を作り得る。
【0063】
企図した比較プロセス/システム(図示せず)は、膜分離器513が設置されず、ストリーム507の全部が芳香族炭化水素/溶媒分離サブシステム521に供給されることを除き、図5のものと同一である。比較プロセス/システムに比べて、図5のプロセス/システムは、芳香族炭化水素の一部をストリーム507から膜分離器を用いて分離し、その芳香族炭化水素リッチ部分517のみを分離サブシステム521に供給することによってずっと少ないエネルギー消費のため経時的に顕著な節約をもたらし得る。膜分離器305の設置は、グラスルーツプラントの分離サブシステム521に必要とされる機器の能力及び数を減じ得る可能性があり、結果として設備投資の節約をもたらし、或いは既存芳香族炭化水素生産プラントに膜分離器513が追加されればストリーム519からより多くの量を処理できるようにし、結果として生産性が向上することになる。ストリーム507が相対的に高い濃度の非芳香族炭化水素を含む場合、非芳香族炭化水素リッチ残余分ストリーム515は、ストリーム507のかなりの部分を占める可能性があり、ストリーム507のごく一部(すなわち、ストリーム517)だけが抽出サブシステム521に供給されるので、図5のプロセス/システムは、特に有利であり得る。対照的に、ストリーム507が非芳香族炭化水素を有意濃度で含むにもかかわらず分離サブシステム521にその全体が供給される比較プロセス/システムでは、分離サブシステム521内でずっと多くの量の非芳香族炭化水素が分離される必要があり、より多くの機器(例えば、ストリッピングカラム)を有する高性能抽出サブシステム521を必要とし、顕著なエネルギー損失をもたらす。
【0064】
プロセス/システム501の好ましい実施形態では、ストリーム503は、ベンゼン、トルエン、ベンゼンの非芳香族炭化水素コボイラー、及びトルエンの非芳香族炭化水素コボイラーを、ストリーム303の総質量に基づいて、それらの総濃度≧60wt%、≧65wt%、≧70wt%、≧75wt%、≧80wt%、≧85wt%、≧90wt%、≧95wt%で含み得る。その特定の実施形態では、ストリーム503は、ベンゼン及びトルエンを、ストリーム303の総質量に基づいて、それらの総濃度≧25wt%、≧30wt%、≧35wt%、≧40wt%、≧45wt%、≧50wt%、≧55wt%、60wt%、≧65wt%、≧70wt%、≧75wt%、≧80wt%、≧85wt%、≧90wt%、≧95wt%で含み得る。その特定の実施形態では、ストリーム303は、ベンゼンを、ストリーム303の総質量に基づいて、その総濃度≧25wt%、≧30wt%、≧35wt%、≧40wt%、≧45wt%、≧50wt%、≧55wt%、≧60wt%、≧65wt%、≧70wt%、≧75wt%、≧80wt%、≧85wt%、≧90wt%、≧95wt%で含み得る。
プロセス/システム501の好ましい実施形態(図示せず)では、ストリーム503の少なくとも一部は、(C-9)本質的にC8芳香族炭化水素から成る異性化フィードストリームを準備するステップと、(C-10)異性化フィードストリームを異性化条件下で異性化触媒と接触させて異性化生成物混合物を生成するステップと、(C-11)異性化生成物混合物を分離してC7-炭化水素リッチストリーム、及びC8+炭化水素リッチストリームを得るステップと、(C-12)C7-炭化水素リッチストリームの少なくとも一部をストリーム503の少なくとも一部として供給するステップとによって生成され得る。
【0065】
プロセス/システム501の別の好ましい実施形態(図示せず)では、ストリーム503の少なくとも一部は、(C-13)C7-芳香族炭化水素及びC9+芳香族炭化水素を含むアルキル交換フィード混合物を準備するステップと、(C-14)アルキル交換フィード混合物をアルキル交換条件下でアルキル交換触媒と接触させてアルキル交換流出物を生成するステップと、(C-15)アルキル交換流出物を分離してベンゼンリッチストリーム、及びC8炭化水素リッチストリームを得るステップと、(C-16)ベンゼンリッチストリームの少なくとも一部をストリーム503の少なくとも一部として供給するステップとによって生成され得る。
プロセス/システム501の別の好ましい実施形態(図示せず)では、ストリーム503の少なくとも一部は、(C-17)本質的にトルエンから成るトルエン不均化フィードを準備するステップと、(C-18)トルエン不均化フィードを不均化条件下でトルエン不均化触媒と接触させて不均化流出物を生成するステップと、(C-19)不均化流出物を分離してベンゼンリッチストリーム、及びC8炭化水素リッチストリームを得るステップと、(C-20)ベンゼンリッチストリームの少なくとも一部をストリーム503の少なくとも一部として供給するステップとによって生成され得る。
プロセス/システム501のさらに別の好ましい実施形態(図示せず)では、ストリーム503の少なくとも一部は、(C-21)ベンゼン、非芳香族ベンゼンコボイラー、トルエン、非芳香族トルエンコボイラー、C8芳香族炭化水素、C8芳香族炭化水素の非芳香族コボイラー及びC9+炭化水素を含むC6+炭化水素ストリームを準備するステップと、(C-22)C6+炭化水素ストリームを分離して、ベンゼン及びトルエンに富むC7-炭化水素ストリーム、C8炭化水素に富むC7-C8炭化水素ストリーム、及びC9+炭化水素に富むC9+炭化水素ストリームを得るステップと、(C-23)C7-炭化水素ストリームの少なくとも一部を膜分離器に混合物フィードの少なくとも一部、すなわちストリーム503の少なくとも一部として供給するステップとによって生成され得る。
本開示は、下記非限定態様及び/又は実施形態の1つ以上を含み得る。
【0066】
実施形態のリスト
A1. 芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードから芳香族炭化水素を抽出するためのプロセスであって、
(A-1)混合物フィードを抽出カラムに供給するステップと、
(A-2)第1のリーン溶媒ストリームであって、このリーン溶媒ストリームの総質量に基づいて、c(ps)wt%の濃度で極性溶媒を含み、c(hcom)wt%の総濃度で重質成分を含み、75≦c(ps)≦99.99である、第1のリーン溶媒ストリームを準備するステップと、
(A-3)第1のリーン溶媒ストリームを膜分離器に供給するステップであって、膜分離器は、第1の容積、第2の容積、及び第1の容積と第2の容積の間に膜を有する容器を含み、第1の容積は、第2の容積から膜によって分離され、膜は、重質成分に対するより極性溶媒に対して透過性が高く、かつ第1のリーン溶媒ストリームは第1の容積に供給される、ステップと、
(A-4)膜分離器の第1の容積から出る残余分ストリームを得るステップであって、残余分ストリームは、第1のリーン溶媒ストリームに比べて重質成分に富んでいる、ステップと、
(A-5)膜分離器の第2の容積から出るパーミエイトストリームを得るステップであって、パーミエイトストリームは、第1のリーン溶媒ストリームに比べて重質成分が枯渇している、ステップと、
(A-6)パーミエイトストリームの少なくとも一部を抽出カラムに供給するステップと
を含む、プロセス。
【0067】
A2. さらに、
(A-7)残余分ストリームの少なくとも一部を相分離して、重質成分ストリームと、重質成分で飽和された溶媒ストリームとを得るステップと、
(A-8)重質成分で飽和された溶媒ストリームの少なくとも一部を抽出カラムに供給するステップと
を含む、A1のプロセス。
A3. 重質成分で飽和された溶媒ストリームが、重質成分で飽和された溶媒ストリームの総質量に基づいて、3~15wt%の範囲内の総濃度で重質成分を含む、A2のプロセス。
A4. 抽出カラムが抽出蒸留カラムである、A1~A3のいずれかのプロセス。
A5. 抽出カラムが液液抽出カラムである、A1~A4のいずれかのプロセス。
A6. 極性溶媒が、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、メトキシトリグリコールエーテル、ジグリコールアミン、ジプロピレングリコール、N-ホルミルモルホリン、N-メチルピロリドン、2,3,4,5-テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド(「スルホラン」)、3-メチルスルホラン及びジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、これらの混合物、及び/又はこれらの水との混合物から選択される、A1~A5のいずれかのプロセス。
A7. 膜が、ポリイミド膜、又はイオン性液体を含む膜を含む、A1~A6のいずれかのプロセス。
A8. 第1のリーン溶媒ストリームが、膜分離器に供給されるとき、25~80℃の範囲内の温度を有し、かつ膜分離器の第1の容積から第2の容積へΔP kPaの陽圧勾配が存在し、ΔPは、345~10,342の範囲である、A1~A7のいずれかのプロセス。
A9. 0.01≦c(hcom)≦20である、A1~A8のいずれかのプロセス。
A10. 1≦c(hcom)≦15である、A9のプロセス。
【0068】
A11. さらに、
(A-9)極性溶媒を含む第2のリーン溶媒ストリームを抽出カラムに供給するステップ
を含む、A1~A10のいずれかのプロセス。
A12. 所与の時間内に、第1のリーン溶媒ストリームが極性溶媒を総質量W1で含み、第2のリーン溶媒ストリームが極性溶媒を総質量W2で含み、0.5%≦W1/(W1+W2)*100%≦10%である、A11のプロセス。
A13. 0.5%≦W1/(W1+W2)*100%≦8%、好ましくは0.5%≦W1/(W1+W2)*100%≦5%、さらに好ましくは1%≦W1/(W1+W2)*100%≦5%、もっとさらに好ましくは1%≦W1/(W1+W2)*100%≦3%である、A12のプロセス。
A14. 第1のリーン溶媒ストリーム及び第2のリーン溶媒ストリームが、共通のリーン溶媒ストリームから引き出される、A9又はA10のプロセス。
A15. 共通のリーン溶媒ストリームが、共通のリーン溶媒ストリームの総質量に基づいて、c(hcom-cs)wt%の総濃度で重質成分を含み、かつプロセスがさらに、
(A-10)c(hcom-cs)をモニタリングするステップと、
(A-11)c(hcom-cs)≧1の場合にのみ、ステップ(A-3)~(A-8)を実施するステップと
を含む、A14のプロセス。
【0069】
A16. さらに、
(A-12)抽出カラムから下部ストリームを得るステップであって、下部ストリームは、混合物フィードに比べて芳香族炭化水素及び極性溶媒に富んでいる、ステップと、
(A-13)下部ストリームの少なくとも一部をストリッピングカラム内で分離して、スチームを含み、かつ下部ストリームに比べて極性溶媒が枯渇した芳香族炭化水素リッチストリーム、及び下部ストリームに比べて芳香族炭化水素が枯渇した第3のリーン溶媒ストリームを得るステップと、
(A-14)第3のリーン溶媒ストリームから第1のリーン溶媒ストリーム、第2のリーン溶媒ストリーム、及び共通のリーン溶媒ストリームの少なくとも1つを引き出すステップと
を含む、A1~A15のいずれかのプロセス。
A17. さらに、
(A-15)第3のリーン溶媒ストリームから第4のリーン溶媒ストリームを引き出すステップと、
(A-16)第4のリーン溶媒ストリームをスチームストリッピング再生カラム及び/又は真空再生カラム内で再生して、スチームを含む再生されたリーン溶媒ストリーム及び下部重質ストリームを得るステップと、
(A-17)再生されたリーン溶媒ストリームを、ストリッピングカラム、抽出カラム、及び膜分離器の1つ以上に、第1のリーン溶媒ストリームの少なくとも一部として供給するステップと
を含む、A16のプロセス。
A18. さらに、
(A-18)芳香族炭化水素リッチストリームの少なくとも一部を濃縮して、水性液相と油液相を含む混合物を得るステップと、
(A-19)水性液相を分離して水ストリームを得るステップと、
(A-20)水ストリームを加熱してスチームストリームを得るステップと、
(A-21)スチームストリームをスチームストリッピング再生カラム及び/又は真空再生カラムに供給するステップと
を含む、A17のプロセス。
A19. ステップ(A-21)において、スチームストリームが、第3のリーン溶媒ストリームの一部によって少なくとも部分的に加熱される、A18のプロセス。
【0070】
A20. 芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードから芳香族炭化水素を抽出するためのプロセスであって、
(A-1)混合物フィードを抽出カラムに供給するステップと、
(A-2)第1のリーン溶媒ストリームであって、このリーン溶媒ストリームの総質量に基づいて、c(ps)wt%の濃度で極性溶媒を含み、c(hcom)wt%の総濃度で重質成分を含む第1のリーン溶媒ストリームを準備するステップと、
(A-3)第1のリーン溶媒ストリームを膜分離器に供給するステップであって、膜分離器は、第1の容積、第2の容積、及び第1の容積と第2の容積の間に膜を有する容器を含み、第1の容積は、第2の容積から膜によって分離され、膜は、重質成分に対するより極性溶媒に対して極性が高く、かつ第1のリーン溶媒ストリームは第1の容積に供給される、ステップと、
(A-4)膜分離器の第1の容積から出る残余分ストリームを得るステップであって、残余分ストリームは、第1のリーン溶媒ストリームに比べて重質成分に富んでいる、ステップと、
(A-5)膜分離器の第2の容積から出るパーミエイトストリームを得るステップであって、パーミエイトストリームは、第1のリーン溶媒ストリームに比べて重質成分が枯渇している、ステップと、
(A-6)パーミエイトストリームの少なくとも一部を抽出カラムに供給するステップと、
(A-9)極性溶媒を含む第2のリーン溶媒ストリームを抽出カラムに供給するステップであって、所与の時間内に、第1のリーン溶媒ストリームは、極性溶媒を総質量W1で含み、第2のリーン溶媒ストリームは、極性溶媒を総質量W2で含み、かつ0.5%≦W1/(W1+W2)*100%≦10%である、ステップと
を含む、プロセス。
【0071】
B1. 芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードを分離するためのプロセスであって、
(B-1)混合物フィードを膜分離器に供給するステップであって、膜分離器は、第1の容積、第2の容積、及び第1の容積と第2の容積の間に膜を有する容器を含み、第1の容積は、第2の容積から膜によって分離され、膜は、非芳香族炭化水素に対するより芳香族炭化水素に対して透過性が高く、かつ混合物フィードは第1の容積に供給される、ステップと、
(B-2)膜分離器の第1の容積から出る残余分ストリームを得るステップであって、残余分ストリームは、混合物フィードに比べて芳香族炭化水素が枯渇し、非芳香族炭化水素に富んでいる、ステップと、
(B-3)膜分離器の第2の容積から出るパーミエイトストリームを得るステップであって、パーミエイトストリームは、混合物フィードに比べて芳香族炭化水素に富み、非芳香族炭化水素が枯渇している、ステップと
を含む、プロセス。
【0072】
B2. さらに、
(B-4)残余分ストリームの少なくとも一部及び抽出溶媒ストリームを抽出サブシステムに供給するステップと、
(B-5)抽出サブシステムから非芳香族炭化水素ストリーム、抽出された芳香族炭化水素ストリーム、及びリーン溶媒ストリームを得るステップと、
(B-6)リーン溶媒ストリームの少なくとも一部を抽出サブシステムに抽出溶媒ストリームの少なくとも一部として再循環させるステップと
を含む、B1のプロセス。
B3. さらに、
(B-7)パーミエイトストリームの少なくとも一部及び抽出された芳香族炭化水素ストリームの少なくとも一部を芳香族炭化水素蒸留カラムに供給するステップと、
(B-8)芳香族炭化水素蒸留カラムから2つ以上の芳香族生成物ストリームを得るステップと
を含む、B1又はB2のプロセス。
B4. さらに、
(B-9)パーミエイトストリームの少なくとも一部及び/又は抽出された芳香族炭化水素ストリームの少なくとも一部を反応器に供給するステップと、
(B-10)反応器から変換生成物混合物を生成するステップと
を含む、B1又はB2のプロセス。
B5. 混合物フィードが、ベンゼン、トルエン、ベンゼンの非芳香族炭化水素コボイラー、及びトルエンの非芳香族炭化水素コボイラーを、混合物フィードの総質量に基づいて、それらの総濃度≧60wt%で含む、B1~B4のいずれかのプロセス。
【0073】
B6. さらに、
(B-11)本質的にC8芳香族炭化水素から成る異性化フィードストリームを準備するステップと、
(B-12)異性化ゾーン内で異性化フィードストリームを異性化条件下で異性化触媒と接触させて異性化生成物混合物を生成するステップと、
(B-13)異性化生成物混合物を分離してC7-炭化水素リッチストリーム、及びC8+炭化水素リッチストリームを得るステップと、
(B-14)C7-炭化水素リッチストリームの少なくとも一部を混合物フィードの少なくとも一部として供給するステップと
を含む、B1~B5のいずれかのプロセス。
B6a. C7-炭化水素リッチストリームが、実質的にC8炭化水素を含まない、B6のプロセス。
B6b. C7-炭化水素リッチストリームが、C8炭化水素を、C7-炭化水素リッチストリームの総質量に基づいて、c(C8)1~c(C8)2wt%の濃度で含み、c(C8)1及びc(C8)2は、独立に、例えば、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20であり得る、B6のプロセス。好ましくはc(C8)2≦10。好ましくはc(C8)2≦5。
【0074】
B7. さらに、
(B-15)C7-芳香族炭化水素とC9+芳香族炭化水素とを含むアルキル交換フィード混合物を準備するステップと、
(B-16)アルキル交換ゾーン内でアルキル交換フィード混合物をアルキル交換条件下でアルキル交換触媒と接触させてアルキル交換流出物を生成するステップと、
(B-17)アルキル交換流出物を分離して、ベンゼンリッチストリーム、及びC8炭化水素リッチストリームを得るステップと、
(B-18)ベンゼンリッチストリームの少なくとも一部を混合物フィードの少なくとも一部として供給するステップと
を含む、B1~B6bのいずれかのプロセス。
B8. さらに、
(B-19)本質的にトルエンから成るトルエン不均化フィードを準備するステップと、
(B-20)不均化ゾーン内でトルエン不均化フィードを不均化条件下でトルエン不均化触媒と接触させて不均化流出物を生成するステップと、
(B-21)不均化流出物を分離してベンゼンリッチストリーム、及びC8炭化水素リッチストリームを得るステップと、
(B-22)ベンゼンリッチストリームの少なくとも一部を混合物フィードの少なくとも一部として供給するステップと
を含む、B1~B7のいずれかのプロセス。
B9. 混合物フィードが、混合物フィードの総質量に基づいて、ベンゼンとトルエンを合わせて≧75wt%含む、B1~B8のいずれかのプロセス。
B10. 混合物フィードが、混合物フィードの総質量に基づいて、≧90wt%のベンゼンを含む、B9のプロセス。
B11. 混合物フィードが、ベンゼン、トルエン、C8芳香族炭化水素、ベンゼンの非芳香族炭化水素コボイラー、トルエンの非芳香族炭化水素コボイラー、及びC8芳香族炭化水素の非芳香族炭化水素コボイラーを、混合物フィードの総質量に基づいて、それらの総濃度≧60wt%で含む、B1~B3のいずれかのプロセス。
【0075】
B12. さらに、
(B-23)ベンゼン、非芳香族ベンゼンコボイラー、トルエン、非芳香族トルエンコボイラー、C8芳香族炭化水素、C8芳香族炭化水素の非芳香族コボイラー、及びC9+炭化水素を含むC6+炭化水素ストリームを準備するステップと、
(B-24)C6+炭化水素ストリームを分離して、ベンゼンとトルエンに富むC7-炭化水素ストリーム、C8炭化水素に富むC7-C8炭化水素ストリーム、及びC9+炭化水素に富むC9+炭化水素ストリームを得るステップと、
(B-25)C7-炭化水素ストリームの少なくとも一部を膜分離器に混合物フィードの少なくとも一部として供給するステップと
を含む、B1~B11のいずれかのプロセス。
B13. さらに、
(B-26)C7-炭化水素ストリームの少なくとも一部を抽出サブシステムカラムに供給するステップを含む、B12のプロセス。
B14. さらに、
(B-23)残余分ストリームの少なくとも一部及び/又は非芳香族炭化水素ストリームの少なくとも一部を排出するステップを含む、B1~B13のいずれかのプロセス。
B15. ステップ(B-23)において、残余分ストリームの少なくとも一部及び/又は非芳香族炭化水素ストリームの少なくとも一部が、モガスブレンディングストックとして用いられる、B14のプロセス。
B16. さらに、
(B-24)残余分ストリームの少なくとも一部を抽出サブシステムに供給するステップを含む、B1~B15のいずれかのプロセス。
B17. 極性溶媒が、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、メトキシトリグリコールエーテル、ジグリコールアミン、ジプロピレングリコール、N-ホルミルモルホリン、N-メチルピロリドン、2,3,4,5-テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド(「スルホラン」)、3-メチルスルホラン及びジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、これらの混合物、及び/又はこれらの水との混合物から選択される、B1~B16のいずれかのプロセス。
B18. 混合物フィードが液相内にある、B1~B17のいずれかのプロセス。
【0076】
C1. 芳香族炭化水素と非芳香族炭化水素とを含む混合物フィードを分離するためのプロセスであって、
(C-1)混合物フィードと、極性溶媒を含む第1のリーン溶媒ストリームとを抽出カラムに供給するステップと、
(C-2)抽出カラムからオーバーヘッドストリーム及び下部ストリームを得るステップであって、オーバーヘッドストリームは、混合物フィードに比べて非芳香族炭化水素に富み、下部ストリームは、混合物フィードに比べて芳香族炭化水素及び極性溶媒に富んでいる、ステップと、
(C-3)下部ストリームの少なくとも一部を膜分離器に供給するステップであって、膜分離器は、第1の容積、第2の容積、及び第1の容積と第2の容積の間に膜を有する容器を含み、第1の容積は、第2の容積から膜によって分離され、膜は、非芳香族炭化水素に対するより芳香族炭化水素に対して透過性が高く、かつ下部ストリームの少なくとも一部は第1の容積に供給される、ステップと
(C-4)膜分離器の第1の容積から出る残余分ストリームを得るステップであって、残余分ストリームは、下部ストリームに比べて芳香族炭化水素が枯渇し、非芳香族炭化水素に富んでいる、ステップと、
(C-5)膜分離器の第2の容積から出るパーミエイトストリームを得るステップであって、パーミエイトストリームは、下部ストリームに比べて芳香族炭化水素に富み、非芳香族炭化水素が枯渇している、ステップと、
(C-6)残余分ストリームの少なくとも一部を抽出カラムに供給するステップと
を含む、プロセス。
【0077】
C2. さらに、
(C-7)少なくとも芳香族炭化水素リッチストリーム及び第2のリーン溶媒ストリームをパーミエイトストリームから得るステップであって、第2のリーン溶媒ストリームは、パーミエイトストリームに比べて極性溶媒に富んでいる、ステップと、
(C-8)第2のリーン溶媒ストリームの少なくとも一部を抽出カラムに第1のリーン溶媒ストリームの少なくとも一部として再循環させるステップと
を含む、C1のプロセス。
C3. 抽出カラムが抽出蒸留カラムである、C1又はC2のプロセス。
C3a. ステップ(C-7)が、パーミエイトストリームの少なくとも一部を回収蒸留カラムに供給することを含み、このカラムから芳香族炭化水素リッチストリーム及び第2のリーン溶媒ストリームが得られる、C3のプロセス。
C4. 抽出カラムが液液抽出カラムである、C1又はC2のプロセス。
C4b. ステップ(C-7)が、
(C-7a)パーミエイトストリームの少なくとも一部をストリッピングカラムに供給し、今カラムからオーバーヘッドストリーム及び下部ストリームが生成され、下部ストリームは芳香族炭化水素に富み、極性溶媒を含む、ステップと、
(C-7b)ストリッピングカラムからの下部ストリームを回収蒸留カラムに供給し、このカラムから芳香族炭化水素リッチストリーム及び第2のリーン溶媒ストリームが得られるステップと
を含む、C4のプロセス。
C5. 極性溶媒が、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、メトキシトリグリコールエーテル、ジグリコールアミン、ジプロピレングリコール、N-ホルミルモルホリン、N-メチルピロリドン、2,3,4,5-テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド(「スルホラン」)、3-メチルスルホラン及びジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、これらの混合物、及び/又はこれらの水との混合物から選択される、C1~C4bのいずれかのプロセス。
C6. 膜が、ポリイミド膜、又はイオン性液体を含む膜を含む、C1~C5のいずれかのプロセス。
C7. 混合物フィードが、混合物フィードの総質量に基づいて、ベンゼンとトルエンを合わせて≧25wt%含む、C1~C6のいずれかのプロセス。
C8. 混合物フィードが、ベンゼン、トルエン、C8芳香族炭化水素、ベンゼンの非芳香族炭化水素コボイラー、トルエンの非芳香族炭化水素コボイラー、及びC8芳香族炭化水素の非芳香族炭化水素コボイラーを、混合物フィードの総質量に基づいて、総濃度≧60wt%で含む、C1~C7のいずれかのプロセス。
【0078】
C9. さらに、
(C-9)本質的にC8芳香族炭化水素から成る異性化フィードストリームを準備するステップと、
(C-10)異性化ゾーン内で異性化フィードストリームを異性化条件下で異性化触媒と接触させて異性化生成物混合物を生成するステップと、
(C-11)異性化生成物混合物を分離してC7-炭化水素リッチストリーム、及びC8+炭化水素リッチストリームを得るステップと、
(C-12)C7-炭化水素リッチストリームの少なくとも一部を混合物フィードの少なくとも一部として供給するステップと
を含む、C1~C8のいずれかのプロセス。
C9a. C7-炭化水素リッチストリームが、実質的にC8炭化水素を含まない、C9のプロセス。
C9b. C7-炭化水素リッチストリームが、C8炭化水素を、C7-炭化水素リッチストリームの総質量に基づいて、c(C8)1~c(C8)2wt%の濃度で含み、c(C8)1及びc(C8)2は、独立に、例えば、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20であり得る、C9のプロセス。好ましくはc(C8)2≦10。好ましくはc(C8)2≦5。
【0079】
C10. さらに、
(C-13)C7-芳香族炭化水素及びC9+芳香族炭化水素を含むアルキル交換フィード混合物を準備するステップと、
(C-14)アルキル交換ゾーン内でアルキル交換フィード混合物をアルキル交換条件下でアルキル交換触媒と接触させてアルキル交換流出物を生成するステップと、
(C-15)アルキル交換流出物を分離して、ベンゼンリッチストリーム、及びC8炭化水素リッチストリームを得るステップと、
(C-16)ベンゼンリッチストリームの少なくとも一部を混合物フィードの少なくとも一部として供給するステップと
を含む、C1~C9bのいずれかのプロセス。
C11. さらに、
(C-17)本質的にトルエンから成るトルエン不均化フィードを準備するステップと、
(C-18)不均化ゾーン内でトルエン不均化フィードを不均化条件下でトルエン不均化触媒と接触させて不均化流出物を生成するステップと、
(C-19)不均化流出物を分離して、ベンゼンリッチストリーム、及びC8炭化水素リッチストリームを得るステップと、
(C-20)ベンゼンリッチストリームの少なくとも一部を混合物フィードの少なくとも一部として供給するステップと
を含む、C1~C10のいずれかのプロセス。
【0080】
C12. 混合物フィードが、混合物フィードの総質量に基づいて、ベンゼンとトルエンを合わせて≧75wt%含む、C8~C11のいずれかのプロセス。
C13. 混合物フィードが、混合物フィードの総質量に基づいて、≧90wt%のベンゼンを含む、C12のプロセス。
C14. 混合物フィードが、ベンゼン、トルエン、C8芳香族炭化水素、ベンゼンの非芳香族炭化水素コボイラー、トルエンの非芳香族炭化水素コボイラー、及びC8芳香族炭化水素の非芳香族炭化水素コボイラーを、混合物フィードの総質量に基づいて、それらの総濃度≧60wt%で含む、C1~C7のいずれかのプロセス。
C15. さらに、
(C-21)ベンゼン、非芳香族ベンゼンコボイラー、トルエン、非芳香族トルエンコボイラー、C8芳香族炭化水素、C8芳香族炭化水素の非芳香族コボイラー、及びC9+炭化水素を含むC6+炭化水素ストリームを準備するステップと、
(C-22)C6+炭化水素ストリームを分離して、ベンゼンとトルエンに富むC7-炭化水素ストリーム、C8炭化水素に富むC7-C8炭化水素ストリーム、及びC9+炭化水素に富むC9+炭化水素ストリームを得るステップと、
(C-23)C7-炭化水素ストリームの少なくとも一部を膜分離器に混合物フィードの少なくとも一部として供給するステップと
を含む、C14のプロセス。
C16. さらに、
(C-24)C7-炭化水素ストリームの少なくとも一部を抽出サブシステムカラムに供給するステップを含む、C15のプロセス。
C17. さらに、
(C-21)少なくとも1つの非芳香族炭化水素生成物ストリームをオーバーヘッドストリームから得るステップを含む、C1~C16のいずれかのプロセス。
C18. 非芳香族炭化水素生成物ストリームの少なくとも一部が、モガスブレンディングストックとして用いられる、C17のプロセス。
図1
図2
図3
図4
図5