(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】電池セル、電池、電力消費機器、電池セルの製造機器及び方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/562 20210101AFI20241030BHJP
H01M 50/107 20210101ALI20241030BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20241030BHJP
H01M 50/124 20210101ALI20241030BHJP
H01M 50/152 20210101ALI20241030BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20241030BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20241030BHJP
H01M 50/545 20210101ALI20241030BHJP
H01M 50/56 20210101ALI20241030BHJP
H01M 50/583 20210101ALI20241030BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20241030BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20241030BHJP
【FI】
H01M50/562
H01M50/107
H01M50/119
H01M50/124
H01M50/152
H01M50/342 101
H01M50/505
H01M50/545
H01M50/56
H01M50/583
H01M50/588
H01M50/591
(21)【出願番号】P 2023515568
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 CN2021122298
(87)【国際公開番号】W WO2023050351
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫東升
(72)【発明者】
【氏名】方▲クン▼
(72)【発明者】
【氏名】谷慧
(72)【発明者】
【氏名】遅慶魁
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-252351(JP,A)
【文献】国際公開第2014/045569(WO,A1)
【文献】特開昭56-082566(JP,A)
【文献】特開平10-241729(JP,A)
【文献】特開昭62-140369(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0315964(US,A1)
【文献】特開昭60-257068(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/10-50/198
H01M 50/30-50/392
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルであって、
収容キャビティを有する金属外筐と、
前記収容キャビティ内に収容され、前記金属外筐に電気的に接続される第一のタブを含む電極アセンブリと、
前記金属外筐の外面に設置され
る導電部材と、
を含
み、
前記金属外筐は、
前記第一のタブに接続されるように構成された端壁と、
前記端壁の縁部に周設され、前記端壁と共に前記収容キャビティを画定する側壁と、
前記端壁から離間した前記側壁の端部に位置する位置規制部と、
を含み、
前記導電部材は、前記端壁に接続され、且つ前記端壁から離間した前記側壁の端部に第一の導電部を形成し、前記第一の導電部は、前記電池セルの電気エネルギーを出力するために用いられ、
前記電池セルは、第一の絶縁部材をさらに含み、前記第一の絶縁部材は、前記第一の導電部と前記位置規制部とを仕切るように構成されることにより、前記第一の導電部と前記位置規制部との間の絶縁接続を実現し、前記導電部材と前記金属外筐とは、材質が異なり、前記導電部材の厚さが前記金属外筐の厚さの半分以下であり、これによって、前記導電部材の抵抗が前記金属外筐の抵抗よりも小さく、または、前記第一の導電部と位置規制部は、電気的に接続される
ことを特徴とする電池セル。
【請求項2】
前記収容キャビティは、開口を有し、前記電池セルは、エンドキャップをさらに含み、
前記エンドキャップは、前記金属外筐の一端に設けられ、前記エンドキャップは、前記開口を閉じるために用いられ
、
前記位置規制部は、前記エンドキャップが前記電極アセンブリから離間する方向へ移動することを制限するように構成され、前記第一の導電部の少なく
とも一部は、前記電極アセンブリから離間した前記位置規制部の側に位置する、ことを特徴とする請求項
1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記導電部材は、第二の導電部を含み、前記第二の導電部は、前記側壁の外面に設置され且つ前記第一の導電部に電気的に接続され、
前記電池セルは、第二の絶縁部材をさらに含み、前記第二の絶縁部材は、前記第二の導電部と前記側壁とを仕切るように構成される、ことを特徴とする請求項
1または2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記電池セルは、放圧機構をさらに含み、前記放圧機構は、前記端壁に設置され、前記放圧機構は、前記電池セルの内部の圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記電池セル内部の圧力を放出するように構成され、
前記導電部材は、前記端壁に接続される第三の導電部を含み、前記第三の導電部は、前記第一の導電部に電気的に接続され、
前記端壁に仕切り部が設けられ、前記仕切り部は、前記第三の導電部と前記放圧機構とを仕切るように構成される、ことを特徴とする請求項
1から
3のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項5】
前記電極アセンブリは、前記第一のタブと極性が反対の第二のタブを含み、
前記導電部材は、
前記電池セルの電気エネルギーを出力するために用いられる前記第一の導電部、電力消費機器、前記第二のタブ、前記第一のタブ、前記端壁及び前記第三の導電部を通って流れる過電流で溶断する溶断部を含み、前記溶断部の一端は、前記第一の導電部に接続され、他端は、前記第三の導電部に接続され、
前記第一の導電部の過電流面積と前記第三の導電部の過電流面積は、いずれも前記溶断部の過電流面積よりも大きい、ことを特徴とする請求項
4に記載の電池セル。
【請求項6】
前記金属外筐は、前記電池セルの電気エネルギーを出力するように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
【請求項7】
前記金属外筐の外面に取り付け溝が設けられ、前記導電部材の少なくとも一部は、前記取り付け溝内に収容される、ことを特徴とする請求項1から
6のいずれか1項に記載の電池セル。
【請求項8】
前記導電部材の前記取り付け溝に収容される部分の外面は、前記金属外筐の外面と面一になる、ことを特徴とする請求項
7に記載の電池セル。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか1項に記載の電池セルと、
前記金属外筐又は前記導電部材に接続されるように構成されるバスバー部材と、
を含む、ことを特徴とする電池。
【請求項10】
請求項1から
8のいずれか1項に記載の電池セルを含む、ことを特徴とする電力消費機器。
【請求項11】
電池セルの製造機器であって、
収容キャビティを有する金属外筐と、第一のタブを含
む電極アセンブリと、導電部材とを提供するように構成される提供装置と、
前記導電部材を前記金属外筐の外面に設置し、前記電極アセンブリを前記収容キャビティ内に収容し、前記第一のタブを前記金属外筐に電気的に接続するように構成される組み立て装置と、
を含
み、
前記金属外筐は、
前記第一のタブに接続されるように構成された端壁と、
前記端壁の縁部に周設され、前記端壁と共に前記収容キャビティを画定する側壁と、
前記端壁から離間した前記側壁の端部に位置する位置規制部と、
を含み、
前記導電部材は、前記端壁に接続され、且つ前記端壁から離間した前記側壁の端部に第一の導電部を形成し、前記第一の導電部は、前記電池セルの電気エネルギーを出力するために用いられ、
前記電池セルは、第一の絶縁部材をさらに含み、前記第一の絶縁部材は、前記第一の導電部と前記位置規制部とを仕切るように構成されることにより、前記第一の導電部と前記位置規制部との間の絶縁接続を実現し、前記導電部材と前記金属外筐とは、材質が異なり、前記導電部材の厚さが前記金属外筐の厚さの半分以下であり、これによって、前記導電部材の抵抗が前記金属外筐の抵抗よりも小さく、または、前記第一の導電部と位置規制部は、電気的に接続される
ことを特徴とする電池セルの製造機器。
【請求項12】
電池セルの製造方法であって、
収容キャビティを有する金属外筐と、第一のタブを含
む電極アセンブリと、導電部材とを提供することと、
前記導電部材を前記金属外筐の外面に設置することと、
前記電極アセンブリを前記収容キャビティ内に収容することと、
前記第一のタブを前記金属外筐に電気的に接続すること、
とを含
み、
前記金属外筐は、
前記第一のタブに接続されるように構成された端壁と、
前記端壁の縁部に周設され、前記端壁と共に前記収容キャビティを画定する側壁と、
前記端壁から離間した前記側壁の端部に位置する位置規制部と、
を含み、
前記導電部材は、前記端壁に接続され、且つ前記端壁から離間した前記側壁の端部に第一の導電部を形成し、前記第一の導電部は、前記電池セルの電気エネルギーを出力するために用いられ、
前記電池セルは、第一の絶縁部材をさらに含み、前記第一の絶縁部材は、前記第一の導電部と前記位置規制部とを仕切るように構成されることにより、前記第一の導電部と前記位置規制部との間の絶縁接続を実現し、前記導電部材と前記金属外筐とは、材質が異なり、前記導電部材の厚さが前記金属外筐の厚さの半分以下であり、これによって、前記導電部材の抵抗が前記金属外筐の抵抗よりも小さく、または、前記第一の導電部と位置規制部は、電気的に接続される
ことを特徴とする電池セルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に関し、具体的に、電池セル、電池、電力消費機器、電池セルの製造機器及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、再充電可能な電池として、体積が小さく、エネルギー密度が高く、パワー密度が高く、サイクル使用回数が多く、貯蔵時間が長いなどの利点を有する。
【0003】
再充電可能な電池は、金属外筐と、エンドキャップアセンブリと、電極アセンブリと、を含み、エンドキャップアセンブリは、金属外筐に被せ、エンドキャップアセンブリと金属外筐は絶縁接続され、電極アセンブリと電解液のために一つの密閉空間を提供する。一般的には、電極アセンブリの正極タブ及び負極タブは、エンドキャップアセンブリの電極端子と金属外筐にそれぞれ電気的に接続されて、電気エネルギー入力又は出力を実現するが、金属外筐は、比較的大きい抵抗を有し、電池セルの電気エネルギー出力又は入力に深刻な影響を与える。
【発明の概要】
【0004】
本出願の実施例は、電池の電気エネルギー出力性能を改善する電池セル、電池、電力消費機器、電池セルの製造機器及び方法を提供する。
【0005】
第一の態様によれば、本出願の実施例は、電池セルを提供し、この電池セルは、金属外筐と、電極アセンブリと、導電部材と、を含み、前記金属外筐は、収容キャビティを有し、前記電極アセンブリは、前記収容キャビティ内に収容され、前記電極アセンブリは、前記金属外筐に電気的に接続される第一のタブを含み、前記導電部材は、前記金属外筐の外面に設置され、前記導電部材の抵抗は、前記金属外筐の抵抗よりも小さい。
【0006】
前記技術案では、金属外筐の外面に抵抗が金属外筐の抵抗よりも小さい導電部材が設置され、第一のタブは、金属外筐に電気的に接続され、充放電中に、電流は、導電部材を通過するか又は導電部材と金属外筐を同時に通過し、電流が導電部材のみを通過するか又は導電部材と金属外筐を同時に通過するかにかかわらず、電池セルの充放電中の抵抗は、電流が金属外筐のみを通過する場合よりも小さく、電気エネルギー出力中における電池セル自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池セルに入力するパワー性能を改善することができる。
【0007】
本出願の第一の態様のいくつかの実施例では、前記金属外筐は、端壁と、側壁と、を含み、前記端壁は、前記第一のタブに接続されるように構成され、前記側壁は、前記端壁の縁部に周設され、前記側壁は、前記端壁と共に前記収容キャビティを画定し、前記導電部材は、前記端壁に接続され、且つ前記端壁から離れた前記側壁の端部に第一の導電部を形成し、前記第一の導電部は、前記電池セルの電気エネルギーを出力するために用いられる。
【0008】
上記技術案では、導電部材は、金属外筐の外面において金属外筐の一端から他端まで延び、導電部材の抵抗は、金属外筐の抵抗よりも小さく、充放電中に、電流は、導電部材を通過するか又は導電部材と金属外筐を同時に通過し、電流が導電部材のみを通過するか又は導電部材と金属外筐を同時に通過するかにかかわらず、電池セルの充放電中の抵抗は、電流が金属外筐のみを通過する場合よりも小さく、電気エネルギー出力中における電池セル自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池セルに入力するパワー性能を改善することができる。
【0009】
本出願の第一の態様のいくつかの実施例では、前記収容キャビティは、開口を有し、前記電池セルは、エンドキャップをさらに含み、前記エンドキャップは、前記金属外筐の一端に設けられ、前記エンドキャップは、前記開口を閉じるために用いられ、前記金属外筐は、位置規制部をさらに含み、前記位置規制部は、前記端壁から離間した前記側壁の端部に位置し、前記位置規制部は、前記エンドキャップが前記電極アセンブリから離間する方向へ移動することを制限するように構成され、前記第一の導電部の少なくとも一部は、前記電極アセンブリから離間した前記位置規制部の側に位置する。
【0010】
上記技術案では、位置規制部は、エンドキャップを位置規制して、電池セルの構造をより安定化することができるだけでなく、出力部は、端壁から離間した位置規制部の側に設置されることで、出力部が電気エネルギーを出力又は入力するために、その構造部品(例えば、バスバー部材、電力消費機器、充電電源など)と接続することを容易にする。
【0011】
本出願の第一の態様のいくつかの実施例では、前記電池セルは、第一の絶縁部材をさらに含み、前記第一の絶縁部材は、前記第一の導電部と前記位置規制部とを仕切るように構成される。
【0012】
上記技術案では、第一の絶縁部材は、第一の導電部と位置規制部とを仕切り、電流が金属外筐を通過する可能性を低減させることによって、電流ができるだけ導電部材のみを通過して出力されるようにし、電気エネルギー出力中における電池セル自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池セルに入力するパワー性能を改善する。
【0013】
本出願の第一の態様のいくつかの実施例では、前記導電部材は、第二の導電部を含み、前記第二の導電部は、前記側壁の外面に設置され且つ前記第一の導電部に電気的に接続され、前記電池セルは、第二の絶縁部材をさらに含み、前記第二の絶縁部材は、前記第二の導電部と前記側壁とを仕切るように構成される。
【0014】
上記技術案では、第二の絶縁部材は、第二の導電部と側壁とを仕切り、電流が鋼製ケースを通過する可能性を低減させることによって、電流ができるだけ導電部材のみを通過して出力されるようにし、電気エネルギー出力中における電池セル自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池セルに入力するパワー性能を改善する。
【0015】
本出願の第一の態様のいくつかの実施例では、前記電池セルは、放圧機構をさらに含み、前記放圧機構は、前記端壁に設置され、前記放圧機構は、前記電池セルの内部の圧力又は温度が閾値に達した時に作動して前記電池セル内部の圧力を放出するように構成され、前記導電部材は、前記端壁に接続される第三の導電部を含み、前記第三の導電部は、前記第一の導電部に電気的に接続され、前記端壁に仕切り部が設けられ、前記仕切り部は、前記第三の導電部と前記放圧機構とを仕切るように構成される。
【0016】
上記技術案では、仕切り部は、第三の導電部と放圧機構とを仕切り、仕切り部は、端壁と導電部材との結合位置が電解液に接触する可能性を減少させることができ、端壁と導電部材との結合位置が電解液と反応して電気化学的腐食が発生することで金属外筐の液漏れを引き起こすリスクを低減させる。
【0017】
本出願の第一の方面態様のいくつかの実施例では、前記導電部材は、溶断部を含み、前記溶断部の一端は、前記第一の導電部に接続され、他端は、前記第三の導電部に接続され、前記第一の導電部の過電流面積と前記第三の導電部の過電流面積は、いずれも前記溶断部の過電流面積よりも大きい。
【0018】
上記技術案では、導電部材に溶断部が設置され、導電部材を流れる電流が溶断部の過電流能力を超えると、溶断部が溶断し、回路が遮断され、電力消費安全事故が発生する可能性を低減させる。
【0019】
本出願の第一の態様のいくつかの実施例では、前記金属外筐は、前記電池セルの電気エネルギーを出力するように構成される。
【0020】
上記技術案では、金属外筐の外面に導電部材が設置され、金属外筐を介して電池セルの電気エネルギーを出力する。この場合、金属外筐と導電部材は、二つの並列接続回路に相当し、並列接続回路の抵抗はいずれか一つの回路の抵抗よりも小さいため、充放電中に、電池セル自体の抵抗は、金属外筐と導電部材のうちのいずれか一方の抵抗よりも小さく、電気エネルギー出力中における電池セル自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池セルに入力するパワー性能を改善する。
【0021】
本出願の第一の態様のいくつかの実施例では、前記金属外筐の外面に取り付け溝が設けられ、前記導電部材の少なくとも一部は、前記取り付け溝内に収容される。
【0022】
上記技術案では、導電部材の少なくとも一部は、金属外筐の外面の取り付け溝内に収容され、電池セルの外部サイズを小さくすることができ、電池セルに導電部材を設置することで電池セルの外部サイズが大きく増加することを回避する。
【0023】
本出願の第一の態様のいくつかの実施例では、前記導電部材の前記取り付け溝に収容される部分の外面は、前記金属外筐の外面と面一になる。
【0024】
上記技術案では、導電部材の取り付け溝に収容される部分の外面は、金属外筐の外面と面一になり、即ち、導電部材の少なくとも一部の取り付け溝に収容される部分は、取り付け溝に完全に収容され、電池セルの外部サイズを小さくすることができ、電池セルに導電部材を設置することで電池セルの外部サイズが大きく増加することを回避する。
【0025】
第二の態様によれば、本出願の実施例は、電池を提供し、この電池は、バスバー部材と、第一の態様の実施例による電池セルと、を含み、前記バスバー部材は、前記金属外筐又は前記導電部材に接続されるように構成される。
【0026】
上記技術案では、金属外筐の外面に抵抗が金属外筐の抵抗よりも小さい導電部材が設置され、第一のタブは、金属外筐に電気的に接続され、充放電中に、電流は、導電部材を通過するか又は導電部材と金属外筐を同時に通過し、電流が導電部材のみを通過するか又は導電部材と金属外筐を同時に通過するかにかかわらず、電池の充放電中の抵抗は、電流が金属外筐のみを通過する場合よりも小さく、電気エネルギー出力中における電池自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池に入力するパワー性能を改善することができる。
【0027】
第三の態様によれば、本出願の実施例は、電力消費機器を提供し、この電力消費機器は、第一の態様の実施例による電池セルを含む。
【0028】
上記技術案では、電池セルの充放電中の抵抗は、比較的に小さく、電気エネルギー出力中における電池セル自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池セルに入力するパワー性能を改善することができる。
【0029】
第四の態様によれば、本出願の実施例は、電池セルの製造機器を提供し、この電池セルの製造機器は、提供装置と、組み立て装置と、を含み、前記提供装置は、金属外筐と、電極アセンブリと、導電部材と、を提供するように構成され、前記金属外筐は、収容キャビティを有し、前記電極アセンブリは、第一のタブを含み、前記導電部材の抵抗は、前記金属外筐の抵抗よりも小さく、前記組み立て装置は、前記導電部材を前記金属外筐の外面に設置し、前記電極アセンブリを前記収容キャビティ内に収容し、前記第一のタブを前記金属外筐に電気的に接続するように構成される。
【0030】
上記技術案では、金属外筐の外面に抵抗が金属外筐の抵抗よりも小さい導電部材が設置され、第一のタブは、金属外筐に電気的に接続され、充放電中に、電流は、導電部材を通過するか又は導電部材と金属外筐を同時に通過し、電流が導電部材のみを通過するか又は導電部材と金属外筐を同時に通過するかにかかわらず、電池の充放電中の抵抗は、電流が金属外筐のみを通過する場合よりも小さく、電気エネルギー出力中における電池自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池に入力するパワー性能を改善することができる。
【0031】
第五の態様によれば、本出願のいくつかの実施例は、電池セルの製造方法を提供し、この電池セルの製造方法は、
収容キャビティを有する金属外筐と、第一のタブを含み、抵抗が前記金属外筐の抵抗よりも小さい電極アセンブリと、導電部材と、を提供することと、
前記導電部材を前記金属外筐の外面に設置することと、
前記電極アセンブリを前記収容キャビティ内に収容することと、
前記第一のタブを前記金属外筐に電気的に接続することと、を含む。
【0032】
上記技術案では、金属外筐の外面に抵抗が金属外筐の抵抗よりも小さい導電部材が設置され、第一のタブは、金属外筐に電気的に接続され、充放電中に、電流は、導電部材を通過するか又は導電部材及び金属外筐を同時に通過し、電流が導電部材のみを通過するか又は導電部材及び金属外筐を同時に通過するかにかかわらず、電池の充放電中の抵抗は、電流が金属外筐のみを通過する場合よりも小さく、電気エネルギー出力中における電池自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池に入力するパワー性能を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本出願の実施例の技術案をより明瞭に説明するために、以下は、実施例に使用される必要のある図面を簡単に紹介し、理解すべきこととして、以下の図面は、本出願のいくつかの実施例のみを示したものであり、範囲を限定するものと見なされるべきではなく、当業者にとって、創造的な労力を払わない前提で、これらの図面に基づいて他の関連図面を得ることもできる。
【
図1】本出願のいくつかの実施例による車両の構造の概略図である。
【
図2】本出願のいくつかの実施例による電池の構造の概略図である。
【
図3】本出願のいくつかの実施例によるバスバー部材を介して接続される二つの電池セルの概略図である。
【
図4】本出願のいくつかの実施例による電池セルの分解図である。
【
図5】本出願のいくつかの実施例による電池セルの局所断面図である。
【
図7】本出願の別のいくつかの実施例による電池セルの断面図である。
【
図10】本出願のいくつかの実施例による導電部材が金属外筐の外壁に設けられる構造の概略図である。
【
図11】本出願の別のいくつかの実施例による導電部材が金属外筐の外壁に設けられる構造の概略図である。
【
図12】電池セルが金属外筐を介して電気エネルギーを出力できることを示す概略図である。
【
図13】本出願のいくつかの実施例による電池セルの軸方向断面図である。
【
図16】本出願のいくつかの実施例による電池セルの製造機器の構造の概略図である。
【
図17】本出願のいくつかの実施例による電池セルの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本出願の実施例の目的、技術案と利点をより明確にするために、以下は、本出願の実施例における図面を結び付けながら、本出願の実施例における技術案を明瞭且つ完全に記述し、明らかに、記述された実施例は、本出願の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。一般的には、添付の図面に示された本出願の実施例に係るアセンブリは、様々な異なる配置によって設置及び設計されてもよい。
【0035】
そのため、以下では、図面において提供される本出願の実施例の詳細な記述は、本出願の保護範囲を限定することを意図しておらず、本出願の選定された実施例を表すことに過ぎない。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0036】
説明すべきこととして、衝突しない限り、本出願における実施例及び実施例における特徴は、互いに組み合わされてもよい。
【0037】
類似した符号及びアルファベットは添付の図面において類似している箇所を表すため、いずれか一つの箇所が一つの図面において定義されると、その後の図面においてそれについてさらに定義及び解釈を行う必要がないことを注意すべきである。
【0038】
本出願の実施例の記述において、説明すべきこととして、示される方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、又はこの出願製品を使用する時に通常置かれる方位又は位置関係であり、又は当業者が通常理解する方位又は位置関係であり、本出願の記述の便宜上及び記述を簡略化するためのものに過ぎず、言及された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成して動作しなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本出願に対する限定と理解されるべきではない。なお、「第一」、「第二」、「第三」などの用語は、区別して記述するためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示すると理解されるべきではない。
【0039】
電池セルは、金属外筐と、エンドキャップと、電極アセンブリと、を含み、金属外筐及びエンドキャップは、電極アセンブリ及び電解液のために一つの密閉空間を提供する。電池セルの電気エネルギー出力を実現するために、電極アセンブリの正極タブ及び負極タブは、エンドキャップの電極端子及び金属外筐にそれぞれ電気的に接続されて、電池セルの充放電を実現する。
【0040】
しかしながら、金属外筐の抵抗が比較的に大きいため、金属外筐を電極端子とすると、電池セル全体の内部抵抗が大きくなり、特に電池セルが大電流でパルス充電される時、金属外筐の温度が迅速に上昇し、電池セル自体のパワー性能を大きく劣化させる。そして、現在、金属外筐の抵抗を低減させる主な方式は、金属外筐の厚さを増加させ、さらに金属外筐の横断面積を増加させて、抵抗を低減させることであるが、電池セル自体の内部空間が既に非常に逼迫している場合、金属外筐の厚さをさらに増加させることは、電池セルのエネルギー密度を極めて低下させることになる。
【0041】
これに基づき、本出願の実施例は、電池セルを提供する。金属外筐の外面に抵抗が金属外筐よりも小さい導電部材を設置することによって、電池セルの充放電中に、電流は、導電部材のみを通過するか又は導電部材と金属外筐を同時に通過することができ、いずれの方式によっても、充放電中の抵抗は、電流が金属外筐のみを通過する時の抵抗よりも小さく、電気エネルギー出力中における電池セル自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池セルに入力するパワー性能を改善する。それと同時に金属外筐自体の強度及び靭性の優位性をさらに確保する。
【0042】
本出願の実施例に記述された技術案は、電池及び電池を使用する電力消費機器に適用される。
【0043】
電力消費機器は、車両、携帯電話、携帯型機器、ノートパソコン、船舶、宇宙機、電動玩具及び電動工具などであってもよい。車両は、燃料油自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車などであってもよく、宇宙機は、飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船などを含み、電動玩具は、据置式又は移動式の電動玩具、例えば、ゲーム機、電気自動車玩具、電気船舶玩具及び電気飛行機玩具などを含み、電動工具は、金属切削電動工具、研削電動工具、組み立て電動工具及び鉄道用電動工具、例えば、電気ドリル、電気グラインダ、電気レンチ、電気ドライバ、電気ハンマ、電気インパクトドリル、コンクリートバイブレータ及び電気かんななどを含む。本出願の実施例は、上記電力消費機器を特に限定しない。
【0044】
以下の実施例は、説明を容易にするために、電力消費機器が車両であることを例として説明を行う。
【0045】
図1を参照すると、
図1は、本出願のいくつかの実施例による車両1000の構造の概略図である。車両1000の内部に電池100が設置され、電池100は、車両1000の底部又は頭部又は尾部に設置されてもよい。電池100は、車両1000の給電に用いられてもよく、例えば、電池100は、車両1000の操作電源としてもよい。
【0046】
車両1000は、コントローラ200と、モータ300と、をさらに含んでもよく、コントローラ200は、電池100を制御してモータ300に給電するために用いられ、例えば、車両1000の起動、ナビゲーション及び走行時の作動用電力需要に用いられる。
【0047】
本出願のいくつかの実施例では、電池100は、車両1000の操作電源だけではなく、車両1000の駆動電源としてもよく、燃料油又は天然ガスを代替し又はその一部を代替して車両1000に駆動動力を提供する。
【0048】
図2を参照すると、
図2は、本出願のいくつかの実施例による電池100の構造の概略図である。電池100は、筐体10と、電池セル20と、を含み、電池セル20は、筐体10内に収容される。
【0049】
筐体10は、電池セル20に取り付け空間11を提供するために用いられる。いくつかの実施例では、筐体10は、第一の部分12と、第二の部分13と、を含んでもよく、第一の部分12及び第二の部分13は、互いに被せられ、電池セル20を収容するための取り付け空間11を画定する。勿論、第一の部分12と第二の部分13との接続部は、シール部材(図示せず)によってシールされてもよく、シール部材は、シールリング、シーラントなどであってもよい。
【0050】
第一の部分12及び第二の部分13は、様々な形状、例えば、直方体、円柱体などであってもよい。第一の部分12は、一つの側が開放する中空構造であってもよく、第二の部分13も、一つの側が開放する中空構造であってもよく、第二の部分13の開放側は、第一の部分12の開放側に被せられると、収容空間を有する筐体10を形成する。勿論、第一の部分12は、一つの側が開放する中空構造であり、第二の部分13は、板状構造であってもよく、第二の部分13は、第一の部分12の開放側に被せられると、取り付け空間11を有する筐体10を形成する。
【0051】
電池100において、電池セル20は、一つであってもよく、複数であってもよい。電池セル20が複数である場合、複数の電池セル20の間は、直列接続又は並列接続又は直並列接続されてもよい。直並列接続とは、複数の電池セル20において直列接続されたものと並列接続されたものとの両方があることを指す。複数の電池セル20の間は、直接に直列接続又は並列接続又は直並列接続されて、さらに複数の電池セル20により構成された全体を筐体10内に収容するようにしてもよい。勿論、複数の電池セル20を先ず直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池100モジュールを構成し、さらに複数の電池100モジュールを直列接続又は並列接続又は直並列接続して一体に形成し、且つ筐体10内に収容するようにしてもよい。電池セル20は、円柱体、扁平体、直方体又は他の形状などであってもよい。
図2は、電池セル20が円柱体である場合を例示的に示す。
【0052】
図3に示すように、いくつかの実施例では、電池100は、バスバー部材30をさらに含んでもよく、複数の電池セル20の間は、バスバー部材30を介して電気的な接続を実現して、複数の電池セル20の直列接続又は並列接続又は直並列接続を実現してもよい。
【0053】
図4を参照すると、
図4は、本出願のいくつかの実施例による電池セル20の分解図である。電池セル20は、金属外筐21と、電極アセンブリ22と、導電部材23と、を含む。金属外筐21は、収容キャビティ211(
図5に示される)を有する。電極アセンブリ22は、収容キャビティ211内に収容され、電極アセンブリ22は、第一のタブ221を含み、第一のタブ221は、金属外筐21に電気的に接続され、導電部材23は、金属外筐21の外面に設置され、導電部材23の抵抗は、金属外筐21の抵抗よりも小さい。
【0054】
電極アセンブリ22は、極性が逆の第一のタブ221及び第二のタブ222を含む。電極アセンブリ22は、正極板(図示せず)と、負極板(図示せず)と、セパレータ(図示せず)と、を含んでもよい。電極アセンブリ22は、正極板とセパレータと負極板を捲回することによって形成された捲回型構造であってもよく、正極板とセパレータと負極板を積層して配置することによって形成された積層型構造であってもよい。電極アセンブリ22は、正極タブ(図示せず)と、負極タブ(図示せず)と、をさらに含み、正極板における正極活物質層が塗布されない正極集電体を正極タブとしてもよく、負極板における負極活物質層が塗布されない負極集電体を負極タブとしてもよい。第一のタブ221は、正極タブであってもよく、負極タブであってもよい。第一のタブ221が正極タブであれば、第二のタブ222は、負極タブであり、第一のタブ221が負極タブであれば、第二のタブ222は、正極タブである。
【0055】
電極アセンブリ22は、積層型電極アセンブリ22であってもよく、捲回型電極アセンブリ22であってもよく、第一のタブ221及び第二のタブ222は、電極アセンブリ22の同一端に位置してもよく、電極アセンブリ22の両端にそれぞれ位置してもよい。
図3に示すように、電極アセンブリ22は、捲回型電極アセンブリ22であり、第一のタブ221及び第二のタブ222は、電極アセンブリ22の軸方向の両端にそれぞれ位置する。
【0056】
金属外筐21は、開口212を有し、電極アセンブリ22は、外筐内に収容され、金属外筐21は、様々な形状、例えば、円柱体、直方体などであってもよい。金属外筐21の形状は、電極アセンブリ22の具体的な形状により決められてもよい。例えば、電極アセンブリ22が円柱体構造であれば、金属外筐21は、円柱体構造を選択してもよく、電極アセンブリ22が直方体構造であれば、金属外筐21は、直方体構造を選択してもよい。
図3は、金属外筐21及び電極アセンブリ22が円柱体である場合を例示的に示す。
【0057】
金属外筐21の金属材質は、様々な材質、例えば、銅、鉄、アルミニウム、ステンレススチール、アルミニウム合金、SPCC(一般的には冷間圧延炭素鋼薄板及び帯鋼を用いる)などであってもよく、導電部材23の金属材質は、様々な材質、例えば、銅、鉄、アルミニウム、ステンレススチール、アルミニウム合金であってもよく、導電部材23の抵抗が金属外筐21の抵抗よりも小さければよく、例えば、導電部材23の材質は、アルミニウムであり、金属外筐21の材質は、鋼である。金属外筐21の肉厚は、0.5mmであってもよい。
【0058】
いくつかの実施例では、電池セル20は、第一のアダプタ24(
図8に示す)をさらに含み、第一のアダプタ24は、収容キャビティ211内に位置し、第一のアダプタ24は、第一のタブ221と金属外筐21との間に接続されて、第一のタブ221と金属鋼製ケースとの電気的な接続を実現する。第一のアダプタ24と第一のタブ221との間は、溶接によって接続を実現してもよく、第一のアダプタ24と金属外筐21との間は、溶接によって接続を実現してもよい。
【0059】
金属外筐21の外面に抵抗が金属外筐21の抵抗よりも小さい導電部材23が設置され、第一のタブ221は、金属外筐21に電気的に接続され、充放電中に、電流は、導電部材23を通過するか又は導電部材23と金属外筐21を同時に通過し、電流が導電部材23のみを通過するか又は導電部材23と金属外筐21を同時に通過するかにかかわらず、電池セル20の充放電中の抵抗は、電流が金属外筐21のみを通過する場合よりも小さく、電気エネルギー出力中における電池セル20自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池セル20に入力するパワー性能を改善することができる。
【0060】
図5を参照すると、
図5は、本出願のいくつかの実施例による電池セル20の局所断面図である。いくつかの実施例では、金属外筐21は、端壁213と、側壁214と、を含み、端壁213は、第一のタブ221に接続されるように構成され、側壁214は、端壁213の縁部に沿って周設され、側壁214は、端壁213と共に収容キャビティ211を画定し、導電部材23は、端壁213に接続され、且つ端壁213から離れた側壁214の端部に第一の導電部231を形成し、第一の導電部231は、前記電池セル20の電気エネルギーを出力するために用いられる。
【0061】
側壁214は、スリーブ構造であり、側壁214は、電極アセンブリ22の外周に周設される。端壁213は、側壁214の軸方向の一端に位置し、側壁214は、端壁213の縁部に周設される。側壁214及び端壁213は、溶接、シール接続などの方式によって形成された一体構造であってもよく、側壁214及び端壁213は、一体成形の方式によって形成された一体成形構造であってもよい。
【0062】
端壁213の電極アセンブリ22に面する一の側は、第一のタブ221と直接電気的に接続されるか、又は端壁213の電極アセンブリ22に面する一の側と第一のタブ221とは、第一のアダプタ24を介して間接的に電気的な接続を実現する。導電部材23は、電極アセンブリ22から離間した端壁213の側に接続されて、導電部材23と端壁213との電気的な接続を実現し、それによって導電部材23と金属ハウジングとの電気的な接続を実現する。導電部材23と端壁213とは、溶接などの方式によって電気的な接続を実現してもよい。導電部材23は、端壁213との接続位置から金属外筐21の外面に沿って、端壁213から離れた側壁214の端部まで延び、導電部材23は、端壁213から離れた側壁214の端部に第一の導電部231を形成し、第一の導電部231は、電池セル20の電気エネルギーを出力するか、又は電池セル20に電気エネルギーを入力するために用いられる。
【0063】
説明すべきこととして、第一の導電部231が電池セル20を出力するために用いられるとは、第一の導電部231が他の部材(例えば、バスバー部材、電力消費機器など)に直接接続されて、電池セル20の電気エネルギーを出力するために用いられることを指す。第一の導電部231が電池セル20に電気エネルギーを入力するために用いられるとは、充電機器(図示せず)により電池セル20を充電するために、第一の導電部231が充電機器に直接接続されるために用いられることを指す。
【0064】
他の実施例では、第一のタブ221は、金属外筐21の他の部位に電気的に接続されてもよく、例えば、第一のタブ221が側壁214に電気的に接続され、電池セル20の軸方向において、第一のタブ221と側壁214との接続位置は、第一の導電部231から離れている。
【0065】
導電部材は、金属外筐21の外面において金属外筐21の一端から他端まで延び、導電部材23の抵抗は、金属外筐21の抵抗よりも小さく、充放電中に、電流は、導電部材23を通過するか又は導電部材23と金属外筐21を同時に通過し、電流が導電部材23のみを通過するか又は導電部材23と金属外筐21を同時に通過するかにかかわらず、電池セル20の充放電中の抵抗は、電流が金属外筐21のみを通過する場合よりも小さく、電気エネルギー出力中における電池セル20自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池セル20に入力するパワー性能を改善することができる。
【0066】
図6を参照すると、
図6は、
図5におけるI部の拡大図である。いくつかの実施例では、収容キャビティ211は、開口212を有し、電池セル20は、エンドキャップ25をさらに含み、エンドキャップ25は、金属外筐21の一端に設けられ、エンドキャップ25は、開口212を閉じるために用いられ、金属外筐21は、位置規制部215をさらに含み、位置規制部215は、端壁213から離間した側壁214の端部に位置し、位置規制部215は、エンドキャップ25が電極アセンブリ22から離間する方向へ移動することを制限するように構成され、第一の導電部231の少なくとも一部は、電極アセンブリ22から離間した位置規制部215の側に位置する。
【0067】
収容キャビティ211の開口212は、端壁213から離間した金属外筐21の側壁214の端部に設置され、エンドキャップ25は、開口212をカバーするために用いられて、収容キャビティ211を閉じ、収容キャビティ211内はさらに、電解質、例えば、電解液を収容するために用いられる。エンドキャップ25及び端壁213は、側壁214の軸方向の両端にそれぞれ位置し、エンドキャップ25に電極端子251(
図4及び
図5に示す)が設けられ、エンドキャップ25の電極端子251は、第二のタブ222に電気的に接続されるために用いられ、いくつかの実施例では、電池セル20は、第二のアダプタ26(
図4及び
図5に示す)をさらに含み、第二のアダプタ26は、第一のタブ221と電極端子251との間に接続されて、第二のタブ222と電極端子251とは第二のアダプタ26を介して電気的な接続を実現し、第二のアダプタ26と第二のタブ222との間は、溶接によって接続を実現してもよく、第二のアダプタ26とエンドキャップ25の電極端子251との間は、溶接によって接続を実現してもよい。電池セル20内部短絡のリスクを低減させるために、電池セル20は、絶縁シール部材27をさらに含み、絶縁シール部材27は、エンドキャップ25と金属ハウジングとを仕切り、エンドキャップ25の電極端子251と第二のタブ222との電気的接続、および金属外筐21と第一のタブ221との電気的接続後の電池セル20の短絡を回避するために用いられる。絶縁シール部材27はさらに、第二のタブ222と金属外筐21とを仕切り、第二のタブ222と金属外筐21との当接を回避するために用いられる。
【0068】
第一の導電部231は、電極アセンブリ22から離間した位置規制部215の側にすべて位置してもよい。第一の導電部231は、一部が電極アセンブリ22から離間した位置規制部215の側に位置し、他の一部が側壁214の外周に位置してもよい。
【0069】
位置規制部215は、端壁213から離間した側壁214の端部に位置し、位置規制部215は、環状構造であり、位置規制部215は、側壁214に接続され、側壁214は、位置規制部215の外縁に周設され、位置規制部215の内縁は、収容キャビティ211の開口212を画定する。エンドキャップ25が開口212に被せられる実施例では、電池セル20の軸方向において、位置規制部215は、電極アセンブリ22から離間したエンドキャップ25の側に位置して、エンドキャップ25が電極アセンブリ22から離間する方向へ移動することを制限する。
【0070】
位置規制部215は、エンドキャップ25の位置を規制して、電池セル20の構造をより安定化させることができるだけでなく、出力部は、端壁213から離間した位置規制部215の側に設置されることで、出力部が電気エネルギーを出力又は入力するために、その構造部品(例えば、バスバー部材、電力消費機器、充電機器など)と接続することを容易にする。
【0071】
図6に示すように、いくつかの実施例では、電池セル20は、第一の絶縁部材28をさらに含み、第一の絶縁部材28は、第一の導電部231と位置規制部215とを仕切るように構成される。
【0072】
第一の絶縁部材28は、第一の導電部231と位置規制部215との間に設置されて、第一の導電部231と位置規制部215との間の絶縁接続を実現する。第一の絶縁部材28は、絶縁ゴム、絶縁接着剤層などであってもよい。第一の絶縁部材28が接着性能を有する絶縁材質であれば、第一の絶縁部材28は、第一の導電部231と位置規制部215との絶縁を実現できるだけでなく、第一の導電部231を位置規制部215に接続することもできる。第一の絶縁部材28は、粘着又は塗布の方式によって第一の導電部231と位置規制部215との間に形成されてもよい。第一の絶縁部材28の厚さは、0.05mmであってもよい。
【0073】
他の実施例では、第一の導電部231及び位置規制部215は、電気的に接続されてもよく、電流は、導電部材23及び金属外筐21を同時に通過してもよい。換言すれば、電流は、金属外筐21と導電部材23との二つの並列接続回路を通過してもよく、電池セル20の充放電中に、電流は、導電部材23を通過するだけでなく、金属外筐21も通過し、金属外筐21が導電部材23に並列接続されることによって、電池セル20の内部抵抗は、金属外筐21と導電部材23のうちのいずれか一方の抵抗よりも小さく、電気エネルギー出力中における電池セル20自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池セル20に入力するパワー性能を改善することもできる。
【0074】
第一の絶縁部材28は、第一の導電部231と位置規制部215とを仕切り、電流が金属外筐21を通過する可能性を低減させることによって、電流ができるだけ導電部材23のみを通過して出力されるようにし、電気エネルギー出力中における電池セル20自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池セル20に入力するパワー性能を改善する。
【0075】
図6に示すように、いくつかの実施例では、導電部材23は、第二の導電部232を含み、第二の導電部232は、側壁214の外面に設置され且つ第一の導電部231に電気的に接続され、電池セル20は、第二の絶縁部材29をさらに含み、第二の絶縁部材29は、前記第二の導電部232と側壁214とを仕切るように構成される。
【0076】
第二の絶縁部材29は、第二の導電部232と側壁214の外面との間に設置されて、第二の導電部232と側壁214との間の絶縁接続を実現する。第二の絶縁部材29は、絶縁ゴム、絶縁接着剤層などであってもよい。第二の絶縁部材29が接着性能を有する絶縁材質であれば、第二の絶縁部材29は、第二の導電部232と側壁214との絶縁を実現できるだけでなく、第二の導電部232を側壁214に接続することもできる。第二の絶縁部材29は、粘着又は塗布の方式によって第二の導電部232と側壁214との間に形成されてもよい。第二の絶縁部材29の厚さは、0.05mmに設置されてもよい。
【0077】
第一の絶縁部材28が第一の導電部231と位置規制部215とを仕切る実施例では、第二の絶縁部材29及び第一の絶縁部材28によって、導電部材23は、金属外筐21の端壁213のみに電気的に接続される。この場合、電池セル20の充放電中に、電流は導電部材23のみを通過し、導電部材23の抵抗が金属ハウジングの抵抗よりも小さいことによって、電池セル20の内部抵抗は比較的に小さく、電気エネルギー出力中における電池セル20自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池セル20に入力するパワー性能を改善する。第一の絶縁部材28及び第二の絶縁部材29は、一体成形構造であってもよい。
【0078】
いくつかの実施例では、電池セル20は、第一の絶縁部材28のみを含み、第二の導電部232は、側壁214の外面に電気的に接続される。この場合、電流は、導電部材23及び金属外筐21を同時に通過することができ、電池セル20からの電気エネルギーの出力、又は電池セル20への電気エネルギーの入力を実現する。
【0079】
第二の絶縁部材29は、第二の導電部232と側壁214とを仕切り、電流が鋼製ケースを通過する可能性を低減させることによって、電流ができるだけ導電部材23のみを通過して出力されるようにし、電気エネルギー出力中における電池セル20自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池セル20に入力するパワー性能を改善する。
【0080】
図7、
図8を参照すると、
図7は、本出願の別のいくつかの実施例による電池セルの断面図であり、
図8は、
図7におけるII部の拡大図である。いくつかの実施例では、電池セル20は、放圧機構40をさらに含み、放圧機構40は、端壁213に設置され、放圧機構40は、電池セル20の内部の圧力又は温度が閾値に達した時に作動して電池セル20内部の圧力を放出するように構成される。
【0081】
放圧機構40とは、電池セル20の内部圧力又は温度が所定の閾値に達した時に作動して内部圧力又は温度を放出する素子又は部材を指す。この閾値の設計は、設計のニーズによって異なる。閾値は、電池セル20における正極板、負極板、電解液及びセパレータのうちの一つ又は複数の材料により決められる可能性がある。放圧機構40は、例えば、防爆弁、防爆シート、空気弁、放圧弁又は安全弁などの形式を採用してもよく、且つ感圧又は感温の素子又は構造を具体的に採用してもよい。即ち、電池セル20の内部圧力又は温度が所定の閾値に達した時、放圧機構40が動作を実行するか、又は放圧機構40内に設けられる脆弱な構造が破壊されることによって、内部圧力又は温度を放出するための開口212又は通路が形成される。
【0082】
本出願に言及された「作動」とは、放圧機構40が動作するか、又は一定の状態にアクティブ化されることを指し、それによって電池セル20の内部圧力及び温度が逃される。放圧機構40が発生する動作は、放圧機構40のうちの少なくとも一部の破裂、破砕、引き裂き又は開放などを含んでもよいが、これに限定されない。放圧機構40が作動する時、電池セル20の内部の高温高圧物質は、排出物として作動された部位から外へ排出される。この方式によって、制御可能な圧力又は温度の下で電池セル20に圧力放出及び温度放出を発生させることができ、それによって潜在的でより深刻な事故の発生を回避する。
【0083】
図8を参照すると、いくつかの実施例では、電池セル20は、放圧機構40をさらに含み、放圧機構40は、端壁213に設置され、放圧機構40は、電池セル20の内部の圧力又は温度が閾値に達した時に作動して電池セル20内部の圧力を放出するように構成され、導電部材23は、端壁213に接続される第三の導電部233を含み、第三の導電部233は、第一の導電部231に電気的に接続され、端壁213に仕切り部41が設けられ、仕切り部41は、第三の導電部233と放圧機構40とを仕切るように構成される。
【0084】
いくつかの実施例では、放圧機構40は、端壁213の局所領域に薄肉に形成された脆弱部であり、脆弱部に対応する肉厚は、端壁213の他の位置における肉厚よりも小さい。別のいくつかの実施例では、さらに端壁213に切り込みを設置することによって、端壁213は切り込み部に脆弱部が形成され、切り込みの横断面は、V字形、U字形などであってもよい。端壁213の一部領域の厚さを薄く削り、薄く削られた部分域に切り込みを設置することを同時に採用して、放圧機構40を形成してもよい。
【0085】
導電部材23は、放圧機構40を避けて設置されてもよく、端壁213と導電部材23との結合位置が電解液に接触する可能性を減少させることができ、端壁213と導電部材23との結合位置が電解液と反応して電気化学的腐食が発生することで金属外筐21の液漏れを引き起こすリスクを低減させる。例えば、導電部材23は、側壁214のみに設置され、導電部材23は、端壁213を介して第一のタブ221に電気的に接続される。
【0086】
仕切り部41は、第三の導電部233と放圧機構40とを仕切ることにより、仕切り部41は、端壁213と導電部材23との結合位置が電解液に接触する可能性を減少させることができ、端壁213と導電部材23との結合位置が電解液と反応して電気化学的腐食が発生することで金属外筐21の液漏れを引き起こすリスクを低減させる。
【0087】
図9及び
図10を参照すると、
図9は、
図5におけるIII部の拡大図であり、
図10は、本出願のいくつかの実施例による導電部材23が金属外筐21の外壁に設けられる構造の概略図である。いくつかの実施例では、導電部材23は、溶断部234を含み、溶断部234の一端は、第一の導電部231に接続され、他端は、第三の導電部233に接続され、第一の導電部231の過電流面積と第三の導電部233の過電流面積は、いずれも溶断部234の過電流面積よりも大きい。
【0088】
過電流面積の大きさは、過電流能力の大きさを表し、第一の導電部231の過電流面積及び第三の導電部233の過電流面積は、いずれも溶断部234の過電流面積よりも大きく、即ち第一の導電部231の過電流能力及び第三の導電部233の過電流能力は、いずれも溶断部234の過電流能力よりも大きい。導電部材23を流れる電流が溶断部234の過電流能力を超えると、溶断部234が溶断して、電池セル20は、導電部材23を介して電気エネルギーを入力又は出力することができない。
【0089】
いくつかの実施例では、
図9及び
図10に示すように、溶断部234は、第二の導電部232に設置され、溶断部234は、導電部材23に貫通穴235を開口することにより形成されてもよく、導電部材23に貫通穴235を開口すると、貫通穴235の両側にそれぞれ溶断部234が形成される。貫通穴235の両側とは、貫通穴235の第一の方向Aにおける両側を指し、第一の方向Aは、第一の導電部231から第三の導電部233への方向に垂直である。貫通穴235は、一つ又は複数であってもよく、貫通穴235が複数である実施例では、複数の貫通穴235は、第一の方向Aに沿って並んで配置される。貫通穴235は、円穴であってもよく、貫通穴235は、多角形穴であってもよい。貫通穴235の電池セル20の軸方向におけるサイズは、36mmであってもよく、貫通穴235の側壁214の周方向に沿うサイズは、36mmであってもよい。
【0090】
別のいくつかの実施例では、
図11に示すように、溶断部234は、導電部材23の縁部に切り欠き236を開けた後に形成されてもよく、切り欠き236の設置によって、切り欠き236に対応する部分の横断面積は、導電部材23の他の部位の横断面積と比べて小さくなり、それによって溶断部234が形成される。
【0091】
第一の絶縁部材28が第一の導電部231と位置規制部215とを仕切り、第二の絶縁部材29が側壁214と第二の導電部232とを仕切る実施例では、充放電中に、電流は、導電部材23のみに流れ、導電部材23に溶断部234が設置され、導電部材23を流れる電流が溶断部234の過電流能力を越えるか、又は外部短絡が発生すると、溶断部234が溶断し、回路が遮断され、電池セル20を過熱ひいては熱暴走から保護して、電力消費安全事故が発生する可能性を低減させる。
【0092】
いくつかの実施例では、導電部材23は、側壁214の外面の周方向に沿って延び、且つ導電部材23が側壁214の外面の周方向に沿って延びて形成される中心角θを90°以上とすることにより、導電部材23が十分な過電流面積を有することを確保する。
【0093】
図12を参照すると、
図12は、電池セル20が金属外筐21を介して電気エネルギーを出力できることを示す概略図である。いくつかの実施例では、金属外筐21は、電池セル20の電気エネルギーを出力するように構成される。勿論、金属外筐21は、さらに電池セル20に電気エネルギーを入力するように構成される。
【0094】
金属外筐21が電池セル20の電気エネルギーを出力するように構成されるとは、金属外筐21が他の部材(例えば、バスバー部材、電力消費機器など)に直接接続されて、電池セル20の電気エネルギーを出力するように構成されることを指す。金属外筐21が電池セル20に電気エネルギーを入力するように構成されるとは、充電機器により電池セル20を充電するために、金属外筐21が充電機器に直接接続されるために用いられることを指す。電流は、金属外筐21及び導電部材23に同時に流れることができる。
【0095】
金属外筐21が位置規制部215を有する実施例では、位置規制部215は、他の部材(例えば、バスバー部材、電力消費機器など)又は充電機器に直接接続されてもよい。
【0096】
金属外筐21に位置規制部215が設置されていない実施例では、側壁214は、他の部材(例えば、バスバー部材、電力消費機器など)又は充電機器に直接接続されてもよい。
【0097】
金属外筐21が電池セル20の電気エネルギーを出力するように構成される実施例では、導電部材23は、側壁214の外面に設置される第二の導電部232のみを含んでもよく、導電部は、側壁214に電気的に接続されるか、又は導電部材23は、第二の導電部232及び第三の導電部233のみを含み、第三の導電部233は、端壁213に電気的に接続され、第二の導電部232は、側壁214に電気的に接続される。
【0098】
金属外筐21の外面に導電部材23が設置され、金属外筐21を介して電池セル20の電気エネルギーを出力する。この場合、金属外筐21及び導電部材23は、二つの並列接続回路に相当し、並列接続回路の抵抗はいずれか一つの回路の抵抗よりも小さいため、充放電中に、電池セル20自体の抵抗は、金属外筐21及び導電部材23のうちのいずれか一方の抵抗よりも小さく、電気エネルギー出力中における電池セル20自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池セル20に入力するパワー性能を改善する。
【0099】
図13、
図14及び
図15を参照すると、
図13は、本出願のいくつかの実施例による電池セル20の軸方向断面図であり、
図14は、
図13における金属外筐21のIV部の拡大図である。
図15は、
図13におけるIV部の拡大図である。いくつかの実施例では、金属外筐21の外面に取り付け溝216が設けられ、導電部材23の少なくとも一部は、取り付け溝216内に収容される。
【0100】
導電部材23の少なくとも一部は、取り付け溝216内に収容され、取り付け溝216の深さ方向に沿い、導電部材23の一部又は全体が取り付け溝216内に収容されてもよい。取り付け溝216の深さ方向とは、取り付け溝216が凹む方向を指し、取り付け溝216の深さとは、取り付け溝216が凹むサイズを指す。例えば、いくつかの実施例では、電極アセンブリ22から離間した位置規制部215の表面に第一の溝(図示せず)が設けられ、側壁214の外面に第二の溝(図示せず)が設けられ、電極アセンブリ22から離間した端壁213の表面に第三の溝(図示せず)が設けられ、第一の溝、第二の溝及び第三の溝は、順に連通して取り付け溝216を形成し、第一の溝及び第三の溝は、いずれも電池セル20の軸方向に沿って凹み、第一の導電部231の一部又は全体は、第一の溝内に収容され、第三の導電部233の一部又は全体は、第三の溝内に収容され、第二の溝は、電池セル20の径方向に沿って凹み、第二の導電部232の一部又は全体は、第二の溝に位置する。
【0101】
導電部材23の少なくとも一部は、取り付け溝216内に収容され、取り付け溝216の延在方向に沿って、導電部材23の一部又は全体が取り付け溝216内に収容されてもよい。例えば、取り付け溝216は、側壁214の外面のみに設置され、この場合、導電部材23は、第二の導電部232のみが取り付け溝216に収容され、取り付け溝216の延在方向は、取り付け溝216の深さ方向に垂直であり、端壁213に接続される第三の導電部233及び位置規制部215に接続される第一の導電部231は、取り付け溝216の延在方向において取り付け溝216から延出する。
【0102】
いくつかの実施例では、金属外筐21の外面の一部に、導電部材23の溶接ために0.25mmの取り付け溝216を予め残し、取り付け溝216の深さのサイズは、0.25mmであってもよく、導電部材23の厚さは、0.25mm以下である(例えば、導電部材23の厚さは0.2mm)。このように、取り付け溝216の深さ方向に沿い、導電部材23は、取り付け溝216内に完全に収容されることができ、このように金属外筐21の表面の導電部材23を介する導電によって、電池セル20の内部抵抗を低減させる。
【0103】
導電部材23の少なくとも一部は、金属外筐21の外面の取り付け溝216内に収容され、電池セル20の外部サイズを小さくすることができ、電池セル20に導電部材23を設置することで電池セル20の外部サイズが大きく増加することを回避する。
【0104】
いくつかの実施例では、導電部材23の取り付け溝216に収容される部分の外面は、金属外筐21の外面と面一になる。
【0105】
他の実施例では、導電部材23の取り付け溝216に収容される部分は、取り付け溝216の深さ方向に沿って取り付け溝216から突出してもよい。
【0106】
導電部材23の取り付け溝216に収容される部分の外面は、金属外筐21の外面と面一になり、即ち導電部材23の少なくとも一部の取り付け溝216に収容される部分は、取り付け溝216に完全に収容され、電池セル20の外部サイズを小さくすることができ、電池セル20に導電部材23を設置することで電池セル20の外部サイズが大きく増加することを回避する。
【0107】
図4に示すように、本出願のいくつかの実施例は、電池セル20を提供する。電池セル20は、金属外筐21と、電極アセンブリ22と、導電部材23と、エンドキャップ25と、を含む。金属外筐21は、収容キャビティ211を有し、金属外筐21は、端壁213と側壁214及び位置規制部215を有し、端壁213及び位置規制部215は、側壁214の軸方向の両端にそれぞれ接続される。電極アセンブリ22は、収容キャビティ211内に収容され、電極アセンブリ22は、軸方向の両端に位置する第一のタブ221と、第二のタブ222と、を有し、第一のタブ221は、負極タブであり、第二のタブ222は、正極タブである。第一のタブ221は、第一のアダプタ24を介して端壁213に電気的に接続され、第二のタブ222は、第二のアダプタ26を介してエンドキャップ25の電極端子251に電気的に接続される。金属外筐21は、鋼製ケースであってもよく、導電部材23は、アルミニウム層であってもよい。
【0108】
金属外筐21の表面に取り付け溝216が設けられ、導電部材23全体は、取り付け溝216内に収容される。
【0109】
導電部材23は、順に接続される第一の導電部231と、第二の導電部232と、第三の導電部233と、を含み、第一の導電部231は、電極アセンブリ22から離間した位置規制部215の側に設けられ、第一の導電部231と位置規制部215との間に第一の絶縁部材28が設置されて、第一の絶縁部材28によって第一の導電部231と位置規制部215とを仕切り、第二の導電部232は、側壁214に接続され、第二の導電部232と側壁214との間に第二の絶縁部材29が設置されて、第二の絶縁部材29によって第二の導電部232と側壁214とを仕切り、第一の絶縁部材28及び第二の絶縁部材29によって、側壁214及び位置規制部215をいずれも導電部材23に緊密に接着することもでき、端壁213と導電部材23の第三の導電部233との間を密着させ、金属外筐21の端壁213が貫通溶接により第一のアダプタ24に電気的に接続できるように確保する。
【0110】
電力消費機器又は充電機器の正極は、電極端子251に接続され、電力消費機器又は充電機器の負極は、位置規制部215から離間した第一の導電部231の側に電気的に接続され、電流が鋼製ケースを通過しないように確保する。例示的に、第一のタブ221は、負極タブであり、第二のタブ222は、正極タブであり、放電中に、電流は、正極タブ(第二のタブ222)、第二のアダプタ26、正極(電力消費機器に位置する)、電力消費機器、導電部材23、第一のアダプタ24、負極タブの順に流れ、回路全体が完成される。
【0111】
導電部材23は、第二の導電部232(金属外筐21の側壁214に対応する部位)に局所中空領域(貫通穴235)を設計して、溶断部234を形成し、電池セル20に外部短絡が発生するか、又は大電流が通過すると、導電部材23の溶断部234は、自発的に溶断して、電池セル20を過熱ひいては熱暴走から保護する。
【0112】
本出願の実施例は、電池100を提供し、この電池100は、バスバー部材(図示せず)と、上記いずれかの実施例による電池セル20と、を含む。バスバー部材は、金属外筐21又は導電部材23に接続されるように構成される。
【0113】
電池100が複数の電池セル20を含む実施例では、バスバー部材は、複数の電池セル20を直列接続及び/又は並列接続するために用いられてもよい。複数とは、二つ又は二つ以上の数を指す。
【0114】
金属外筐21の外面に抵抗が金属外筐21の抵抗よりも小さい導電部材23が設置され、第一のタブ221は、金属外筐21に電気的に接続され、充放電中に、電流は、導電部材23を通過するか又は導電部材23及び金属外筐21を同時に通過し、電流が導電部材23のみを通過するか又は導電部材23及び金属外筐21を同時に通過するかにかかわらず、電池100の充放電中の抵抗は、電流が金属外筐21のみを通過する場合よりも小さく、電気エネルギー出力中における電池100自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池100に入力するパワー性能を改善することができる。
【0115】
本出願の実施例は、電力消費機器を提供し、電力消費機器は、上記いずれかの実施例による電池セル20を含む。
【0116】
図16を参照すると、
図16は、本出願のいくつかの実施例による電池セルの製造機器2000の構造の概略図である。本出願の実施例は、電池セルの製造機器2000を提供し、電池セルの製造機器2000は、提供装置2100と、組み立て装置2200と、を含む。提供装置2100は、金属外筐21と、電極アセンブリ22と、導電部材23と、を提供するように構成される。金属外筐21は、収容キャビティ211を有し、電極アセンブリ22は、第一のタブ221を含み、導電部材23の抵抗は、金属外筐21の抵抗よりも小さい。組み立て装置2200は、導電部材23を金属外筐21の外面に設置し、電極アセンブリ22を収容キャビティ211内に収容し、第一のタブ221を金属外筐21に電気的に接続するように構成される。
【0117】
金属外筐21の外面に抵抗が金属外筐21の抵抗よりも小さい導電部材23が設置され、第一のタブ221は、金属外筐21に電気的に接続され、充放電中に、電流は、導電部材23を通過するか又は導電部材23及び金属外筐21を同時に通過し、電流が導電部材23のみを通過するか又は導電部材23及び金属外筐21を同時に通過するかにかかわらず、電池100の充放電中の抵抗は、電流が金属外筐21のみを通過する場合よりも小さく、電気エネルギー出力中における電池100自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池100に入力するパワー性能を改善することができる。
【0118】
図17を参照すると、
図17は、本出願のいくつかの実施例による電池セル20の製造方法のフローチャートである。本出願のいくつかの実施例は、電池セル20の製造方法を提供し、電池セル20の製造方法は、
収容キャビティ211を有する金属外筐21と、第一のタブ221と、を含み、抵抗が金属外筐21の抵抗よりも小さい電極アセンブリ22と、導電部材23と、を提供するステップS100と、
導電部材23を金属外筐21の外面に設置するステップS200と、
電極アセンブリ22を収容キャビティ211内に収容するステップS300と、
第一のタブ221を金属外筐21に電気的に接続するステップS400と、を含む。
【0119】
ステップS200及びステップS300の実行順序は限定されず、まずステップS300を実行してから、ステップS200を実行してもよく、まずステップS200を実行してから、ステップS300を実行してもよい。
【0120】
金属外筐21の外面に抵抗が金属外筐21の抵抗よりも小さい導電部材23が設置され、第一のタブ221は、金属外筐21に電気的に接続され、充放電中に、電流は、導電部材23を通過するか又は導電部材23及び金属外筐21を同時に通過し、電流が導電部材23のみを通過するか又は導電部材23及び金属外筐21を同時に通過するかにかかわらず、電池100の充放電中の抵抗は、電流が金属外筐21のみを通過する場合よりも小さく、電気エネルギー出力中における電池100自体による電気エネルギーの消費を減少させ及び電気エネルギーを電池100に入力するパワー性能を改善することができる。
【0121】
以上は、本出願の好ましい実施例に過ぎず、本出願を限定するためのものではなく、当業者にとって、本出願は、様々な変更と変化が可能である。本出願の精神と原則の範囲内で行われた任意の修正、同等置き換え、改良などは、いずれも本出願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0122】
1000 車両
100 電池
10 筐体
11 取り付け空間
12 第一の部分
13 第二の部分
20 電池セル
21 金属外筐
211 収容キャビティ
212 開口
213 端壁
214 側壁
215 位置規制部
216 取り付け溝
22 電極アセンブリ
221 第一のタブ
222 第二のタブ
23 導電部材
231 第一の導電部
232 第二の導電部
233 第三の導電部
234 溶断部
235 貫通穴
236 切り欠き
24 第一のアダプタ
25 エンドキャップ
251 電極端子
26 第二のアダプタ
27 絶縁シール部材
28 第一の絶縁部材
29 第二の絶縁部材
30 バスバー部材
40 放圧機構
41 仕切り部
200 コントローラ
300 モータ
A 第一の方向
2000 電池セルの製造機器
2100 提供装置
2200 組み立て装置