(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】改善された耐久性を有する毛髪染色組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20241030BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20241030BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20241030BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20241030BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/46
A61K8/41
A61K8/19
A61Q5/10
(21)【出願番号】P 2023516794
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(86)【国際出願番号】 EP2021075790
(87)【国際公開番号】W WO2022069279
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-03-24
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ネッカー,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ブレイクスピア,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ギアシ,ファリバ
(72)【発明者】
【氏名】ジェン,ニウ
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-108296(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0258695(US,A1)
【文献】国際公開第2015/186817(WO,A1)
【文献】特開2019-151615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)HCブルー18、HCレッド18、HCイエロー16、及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の第1の直接染料と、
b)ディスパースブラック9、アシッドイエロー
1および/もしくはそれらの塩、ならびに/またはそれらの混合物から選択される1種または複数種の第2の直接染料と、
c)1種または複数種のアルカリ化剤と
を含
み、
a)群による1種または複数種の第1の直接染料の全濃度が、組成物の全重量に対して、0.01重量%~0.75重量%の範囲であり、
b)群による第2の直接染料の全濃度が、組成物の全重量に対して、0.01重量%~2重量%の範囲であり、
b)群による第2の直接染料に対するa)群による第1の直接染料の重量比が、3~0.049/1.1の範囲である、
ケラチン繊維のため
の染色組成物。
【請求項2】
b)群による
第2の直接染料に対するa)群による
第1の直接染料の重量比が、1.5~0.15の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
a)群による1種又は複数種の第1の直接染料の全濃度が、組成物の全重量に対して
、0.01重量%~0.5重量%の範囲である、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項4】
b)群による1種又は複数種の第2の直接染料の全濃度が、組成物の全重量に対して
、0.05重量%~1重量%の範囲である、請求項1~
3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
c)群による化合物としての1種又は複数種のアルカリ化剤が、アンモニア及び/若しくはその塩並びに/又は有機アルカリ化剤及び/若しくはその/それらの塩から選択される、請求項1~
4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
c)群による化合物としての1種又は複数種のアルカリ化剤が、以下の一般構造:
【化1】
[式中、R
1、R
2、及びR
3は、独立に、H、1個のヒドロキシ基で置換されていてもよい直鎖C
1~C
6アルキル、又は分岐C
3~C
12アルキル若しくはアルカノールから選択され、R
1、R
2、又はR
3の少なくとも1つは、Hとは異なる]
で表される有機アルキル及び/若しくはアルカノールアミン及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される、請求項1~
4のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
c)群による化合物の全濃度が、組成物の全重量に対して
、0.1重量%~40重量%の範囲である、請求項1~
6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
7~12の範囲のpHを有する水性組成物である、請求項1~
7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
d)群による化合物として1種又は複数種の有機溶媒を含み、組成物の全重量に対して計算して、水の含有量が1重量%未満であり、25℃及び大気圧で液体の組成物である、請求項1~
7のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
粉末組成物であり、e)群による化合物として1種又は複数種の粉状賦形剤を含む、請求項1~
7のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
酸化染料前駆体、酸化染料カプラー、及び/又は直接染料から選択される、a)及びb)群の直接染料とは異なる1種又は複数種の染料化合物を含む、請求項1~
10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
請求項1~
7のいずれかに記載の第1の組成物と、1~6の範囲のpHを有し、任意に1種又は複数種の酸化剤として過酸化水素を含む第2の水性組成物とを含む、二剤式毛髪染色組成物。
【請求項13】
i)請求項1~
11のいずれかに記載の組成物を提供し、任意にそれを請求項
12に記載の第2の水性組成物と混合して、7~12の範囲のpHを有する即時使用可能な組成物を得るステップと、
ii)即時使用可能な組成物をケラチン繊維上に適用し、それを1分~60分間の範囲の間、放置するステップと、
iii)任意にケラチン繊維をすすぎ、任意にケラチン繊維を乾燥させるステップと
を含む、ケラチン繊維を染色するための方法。
【請求項14】
x)7~12の範囲のpHを有し、請求項1~
11のいずれかに記載のa)群及びc)群による1種又は複数種の化合物を含む水性組成物をケラチン繊維上に適用するステップと、
xi)ステップx)の組成物を、ケラチン繊維上で1分~60分間の範囲の間放置し、任意にケラチン繊維をすすぎ、任意にケラチン繊維を乾燥させるステップと、
xii)3~12の範囲のpHを有し、請求項1~
11のいずれかに記載のb)群及びc)群による1種又は複数種の化合物を含む水性組成物を、ケラチン繊維上に適用するステップと、
xiii)ステップxii)の組成物を、ケラチン繊維上で1分~60分間の範囲の間放置し、任意にケラチン繊維をすすぎ、任意にケラチン繊維を乾燥させるステップと
を含む、ケラチン繊維を染色するための方法。
【請求項15】
ステップxii)が、ステップxi)後に遅滞なく、又はステップxi)の実施とステップxii)の実施の間にケラチン繊維の1~5回の洗浄を挟んで遅延して、実施される、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
ケラチン繊維上での、請求項1~
11のいずれかに記載のa)及びc)群の化合物を含む組成物の洗浄堅牢性を改善するための、請求項1~
11のいずれかに記載のb)及びc)群の化合物を含む組成物の使用。
【請求項17】
- 請求項1~
11のいずれかに記載のa)及びc)群の化合物を含む組成物と、
- 請求項1~
11のいずれかに記載のb)及びc)群の化合物を含む組成物と、
- 任意に、1~6の範囲のpHを有し、過酸化水素を含む水性酸化組成物と
を含む、ケラチン繊維を染色するためのキットオブパーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維のための染色組成物、染色するための方法およびある特定の直接染料の使用を提供することを対象とする。
【背景技術】
【0002】
直接染料は、過去10年にわたって特に化粧産業の関心の対象となってきた。直接染料は、それらの酸化対応物とは対照的に、より容易にケラチン繊維に適用することができるが、ケラチン繊維上での耐久性を欠くことが多い。
【0003】
本出願人は、既存の直接染料の入手可能性及び色の範囲を補う、新しい直接染料を開発した(特許文献1)。開発した前述の一連の染料は、HCブルー18、HCレッド18、及びHCイエロー16を含む。
【0004】
直接染料が有する技術的課題の1つは、一般に、パーマ処理、ブリーチ処理などの化学処理に起因して過去に損傷を経験したケラチン繊維上での、その耐久性の低さである。化学処理は、毛髪の内部構造を変え、通常、未処理の毛髪と比較して染料の取込みの改善を可能にするが、それと同時に、直接染料が洗い落とされ易くなってしまう。したがって、過去に化学的毛髪処理を受けた消費者は、特に数回洗浄した後、直接染料の耐久性の低下を経験することがある。さらに、数回の洗浄にわたって色の強度が消えると同時に、毛髪が、個々の直接染料の流出速度の違いによって、望ましくないさらなる色変化を経験することがある。
【0005】
美容室の日々の業務操作では、過去の処理は既に洗い落とされ、それらの作用はもはや目に見えないので、消費者の過去の毛髪損傷を分析することは専門家にとっても必ずしも容易ではない。健康な毛髪を想定して直接染色を実施したにもかかわらず、染色処理の耐久性がことのほか低く、2~3回の洗髪後に望ましくない色変化が目に見えることは、美容師にとっても消費者にとっても驚きとなる。このような経験は、当事者全員を確実に失望させることになり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
つまり、従来技術では、前述の課題が満足に解決されておらず、したがって、化学的処理履歴にかかわらず、効果的で、良好な耐久性を有する、ケラチン繊維のための直接染色組成物を開発することが真に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明の第1の目的は、
a)HCブルー18、HCレッド18、HCイエロー16、及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の直接染料と、
b)ディスパースブラック9、アシッドイエロー1、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノールおよび/もしくはそれらの塩、ならびに/またはそれらの混合物から選択される1種または複数種の第2の直接染料、
c)1種または複数種のアルカリ化剤
を含む、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪のための染色組成物である。
【0009】
本発明の第2の目的は、先に定義される第1の組成物と、1~6の範囲のpHを有し、任意に1種又は複数種の酸化剤、好ましくは過酸化水素を含む第2の水性組成物とを含む、二剤式(two-part)毛髪染色組成物である。
【0010】
本発明の第3の目的は、
i)先に定義される組成物を提供し、任意に、それを1~6の範囲のpHを有し、任意に酸化剤、好ましくは過酸化水素を含む第2の水性組成物と混合して、7~12の範囲のpHを有する、即時使用可能な組成物を得るステップと、
ii)即時使用可能な組成物をケラチン繊維上に適用し、それを1分~60分間の範囲の間、放置するステップと、
iii)任意にケラチン繊維をすすぎ、任意にケラチン繊維を乾燥させるステップと
を含む、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪を染色するための方法である。
【0011】
本発明の第4の目的は、
x)7~12の範囲のpHを有し、先に定義されるa)群及びc)群による1種又は複数種の化合物を含む水性組成物を、ケラチン繊維上に適用するステップと、
xi)ステップx)の組成物を、ケラチン繊維上で1分~60分間の範囲の間放置し、任意にケラチン繊維をすすぎ、任意にケラチン繊維を乾燥させるステップと、
xii)3~12の範囲のpHを有し、先に定義されるb)群及びc)群による1種又は複数種の化合物を含む水性組成物を、ケラチン繊維上に適用するステップと、
xiii)ステップxii)の組成物を、ケラチン繊維上で1分~60分間の範囲の間、放置し、任意にケラチン繊維をすすぎ、任意にケラチン繊維を乾燥させるステップと
を含む、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪を染色するための方法である。
【0012】
本発明の第5の目的は、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪、さらに好ましくは過去に化学物質の塗布を受けたヒト毛髪上での、先に定義されるa)及びc)群の化合物を含む組成物の洗浄堅牢性を改善するための、先に定義されるb)及びc)群の化合物を含む組成物の使用である。
【0013】
本発明の第6の目的は、
- 先に定義されるa)及びc)群の化合物を含む組成物と、
- 先に定義されるb)及びc)群の化合物を含む組成物と、
- 任意に、1~6の範囲のpHを有し、好ましくは過酸化水素を含む水性酸化組成物と
を含む、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪を染色するためのキットオブパーツである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明者らは、HCブルー18、HCレッド18、HCイエロー16及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の毛髪用染料と、ディスパースブラック9、アシッドイエロー1、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される他の直接染料との組合せが、ケラチン繊維、特に過去に化学物質の塗布によって損傷したケラチン繊維上でのHCブルー18、HCレッド18、HCイエロー16及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物の染色結果及び洗浄堅牢性を改善することを、予想外に見出した。前述の染料の組合せは、毛髪の健康を事前に分析する必要なしに、消費者の毛髪の染色を可能にする。したがって、数回の洗浄による予期せぬ耐久性の低さ及び色調の退色(off-tone fading)を防止することができ、生じた毛髪の色は、均一であり、強く、鮮やかである。
【0015】
・染色組成物
本発明は、
a)HCブルー18、HCレッド18及び/若しくはHCイエロー16及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の第1の直接染料、
b)ディスパースブラック9、アシッドイエロー1、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の第2の直接染料、
c)1種又は複数種のアルカリ化剤
を含む、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪のための染色組成物に関する。
【0016】
・a)による化合物
本発明の組成物は、a)群による化合物として、HCブルー18、HCレッド18及び/若しくはHCイエロー16及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の第1の直接染料を含む。
【0017】
染色強度の観点から、a)群による1種又は複数種の第1の直接染料の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、さらに好ましくは0.01重量%以上である。
【0018】
化粧安全性及び製品の費用の観点から、a)群による1種又は複数種の第1の直接染料の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.75重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。
【0019】
前述の効果を得るために、a)群による1種又は複数種の第1の直接染料の全重量は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは0.001重量%~1重量%の範囲、より好ましくは0.005重量%~0.75重量%の範囲、さらに好ましくは0.01重量%~0.5重量%の範囲である。
【0020】
・b)による化合物
本発明の組成物は、b)群による化合物として、ディスパースブラック9、アシッドイエロー1、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の第2の直接染料を含む。
【0021】
ブリーチ処理を受けたケラチン繊維上での洗浄堅牢性の観点から、b)群による1種又は複数種の化合物は、ディスパースブラック9及び/若しくはその塩、並びに/又はその混合物から選択されることが好ましい。
【0022】
したがって、本開示はまた、
a)HCブルー18、HCレッド18及び/若しくはHCイエロー16及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の第1の直接染料、
b)ディスパースブラック9及び/若しくはその塩、並びに/又はその混合物から選択される1種又は複数種の第2の直接染料、
c)1種又は複数種のアルカリ化剤
を含む、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪のための染色組成物に関するものであり、好ましくは、ケラチン繊維はブリーチ処理を受けたケラチン繊維である。
【0023】
パーマ処理を受けたケラチン繊維上での洗浄堅牢性の観点から、b)群による1種又は複数種の化合物は、アシッドイエロー1及び/若しくはその塩、並びに/又はその混合物から選択されることが好ましい。
【0024】
したがって、本開示はまた、
a)HCブルー18、HCレッド18及び/若しくはHCイエロー16及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の第1の直接染料、
b)アシッドイエロー1及び/若しくはその塩、並びに/又はその混合物から選択される1種又は複数種の第2の直接染料、
c)1種又は複数種のアルカリ化剤
を含む、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪のための染色組成物に関するものであり、好ましくは、ケラチン繊維はパーマ処理を受けたケラチン繊維である。
【0025】
別の開示は、
a)HCブルー18、HCレッド18及び/若しくはHCイエロー16及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の第1の直接染料、
b)ディスパースブラック9及びアシッドイエロー1、並びに/又はそれらの塩の混合物である、1種又は複数種の第2の直接染料、
c)1種又は複数種のアルカリ化剤
を含む、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪のための染色組成物に関するものであり、好ましくは、ケラチン繊維はパーマ処理及び/又はブリーチ処理を受けたケラチン繊維である。
【0026】
パーマ処理又はブリーチ処理を受けたケラチン繊維上での洗浄堅牢性の観点から、b)群による1種又は複数種の化合物は、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール及び/若しくはその塩、並びに/又はその混合物から選択されることが好ましい。
【0027】
したがって、本開示はまた、
a)HCブルー18、HCレッド18及び/若しくはHCイエロー16及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の第1の直接染料、
b)2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール及び/若しくはその塩、並びに/又はその混合物から選択される1種又は複数種の第2の直接染料、
c)1種又は複数種のアルカリ化剤
を含む、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪のための染色組成物に関するものであり、好ましくは、ケラチン繊維はパーマ処理及び/又はブリーチ処理を受けたケラチン繊維である。
【0028】
洗浄堅牢性の観点から、b)群による1種又は複数種の第2の直接染料の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、さらに好ましくは0.05重量%以上、さらにより好ましくは0.1重量%以上である。
【0029】
化粧安全性及び経済的理由の観点から、b)群による1種又は複数種の第2の直接染料の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。
【0030】
前述の効果を得るために、b)群による1種又は複数種の第2の直接染料の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは0.001重量%~2重量%の範囲、より好ましくは0.01重量%~1重量%の範囲、さらに好ましくは0.05重量%~1重量%の範囲である。
【0031】
色のバランス及び洗浄堅牢性の観点から、b)群による染料に対するa)群による染料の重量比は、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1.5以下である。
【0032】
洗浄堅牢性の観点から、b)群による染料に対するa)群による染料の重量比は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.15以上である。
【0033】
前述の効果を得るために、b)群による染料に対するa)群による染料の重量比は、好ましくは5~0.05の範囲、より好ましくは3~0.1の範囲、さらに好ましくは1.5~0.15の範囲である。
【0034】
・c)による化合物
本発明の組成物はまた、c)群による化合物として1種又は複数種のアルカリ化剤を含む。
【0035】
原則として本発明の目的では、組成物に十分なアルカリ度を提供する限り、すなわち水と接触すると、組成物のpHを7~12の範囲に上昇させることができる限り、すべてのアルカリ化剤が適している。
【0036】
アルカリ度及び化粧安全性を提供する観点から、c)群による1種又は複数種の化合物は、アンモニア及び/若しくはその塩並びに/又は有機アルカリ化剤及び/若しくはその/それらの塩から選択されることが好ましい。
【0037】
c)群による化合物として特に好ましい有機アルカリ化剤は、以下の一般構造:
【0038】
【化1】
[式中、R
1、R
2、及びR
3は、独立に、H、1個のヒドロキシ基で置換されていてもよい直鎖C
1~C
6アルキル、又は分岐C
3~C
12アルキル若しくはアルカノールから選択され、R
1、R
2、又はR
3の少なくとも1つは、Hとは異なる]で表される有機アルキル及び/若しくはアルカノールアミン及び/若しくはそれらの塩、及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される。
【0039】
好ましくは1種又は複数種の有機アルカリ化剤は、アルカリ度及び化粧安全性の提供、並びにそれらの匂いの少なさの観点から、アルキル及び/又はアルカノールアミン及び/又はその/それらの塩から選択され、より好ましくはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールメチルアミン、モノエタノールジメチルアミン、ジエタノールメチルアミン、モノエタノールエチルアミン、モノエタノールジエチルアミン、ジエタノールエチルアミン、モノエタノールプロピルアミン、モノエタノールジプロピルアミン、ジエタノールプロピルアミン、モノエタノールブチルアミン、ジエタノールブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン及び/若しくはその/それらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される。
【0040】
最も好ましいアルカリ化剤は、アルカリ度及び化粧安全性を提供する観点から、モノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン及び/若しくはその/それらの塩、アンモニア及び若しくはその塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される。
【0041】
アルカリ度を提供する観点から、c)群による化合物の全濃度、好ましくは1種若しくは複数種のアルカノールアミン及び/若しくはその/それらの塩並びに/又はアンモニア及び/若しくはその塩の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.25重量%以上、さらに好ましくは0.4重量%以上である。
【0042】
アルカリ度の提供、毛髪への損傷、及び匂いの観点から、c)群による化合物の全濃度、好ましくは1種若しくは複数種のアルカノールアミン及び/若しくはその/それらの塩並びに/又はアンモニア及び/若しくはその塩の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは25重量%以下である。
【0043】
前述の効果を得るために、c)群による化合物の全濃度、好ましくは1種若しくは複数種のアルカノールアミン及び/若しくはその/それらの塩並びに/又はアンモニア及び/若しくはその塩の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは0.1重量%~40重量%の範囲、より好ましくは0.25重量%~30重量%の範囲、さらに好ましくは0.4重量%~25重量%の範囲である。
【0044】
・組成物の化粧品形態
本発明の染色組成物は、様々な化粧品形態で利用可能である。
【0045】
・水性組成物
本発明の一態様では、染色組成物は、水性組成物である。
【0046】
「水性」という用語は、水が大部分を占める組成物を示し、すなわち組成物は、化粧的に許容される組成物を達成する観点から、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、さらにより好ましくは80重量%以上の水を含む。
【0047】
染色強度の観点から、組成物は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは98重量%以下、より好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは92重量%以下の水を含む。
【0048】
前述の効果を達成するために、水の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは50重量%~98重量%の範囲、より好ましくは60重量%~95重量%の範囲、さらに好ましくは70重量%~92重量%の範囲、さらにより好ましくは80重量%~92重量%の範囲である。
【0049】
染色性能の観点から、好ましくは水性組成物のpHは7以上、より好ましくはpHは7.5以上、さらに好ましくはpHは8以上、さらにより好ましくはpHは8.5以上である。
【0050】
毛髪への損傷及び染色性能の観点から、好ましくは組成物のpHは12以下、より好ましくはpHは11以下、さらに好ましくはpHは10.8以下である。
【0051】
前述の効果を得るために、水性染色組成物は、好ましくは7~12の範囲、より好ましくは7.5~11の範囲、さらに好ましくは8~10.8の範囲、さらにより好ましくは8.5~10.8の範囲のpHを有する。
【0052】
c)群による化合物の選択の観点から、先に列挙される化合物のいずれも、水性組成物のpHを調整するのに適している。
【0053】
したがって、本開示はまた、7~12の範囲、好ましくは7.5~11の範囲、より好ましくは8~10.8の範囲、さらに好ましくは9~10.8の範囲のpHを有し、
a)HCブルー18、HCレッド18及び/若しくはHCイエロー16及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の第1の直接染料、
b)ディスパースブラック9、アシッドイエロー1、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の第2の直接染料、
c)1種又は複数種のアルカリ化剤
を含み、組成物の全重量に対して計算して50重量%以上の水を含む、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪のための水性染色組成物に関するものである。
【0054】
・水の含有量が1重量%未満である液体組成物
本発明の別の態様では、染色組成物は、d)群による化合物として1種又は複数種の有機溶媒を含み、組成物の全重量に対して計算して、水の含有量が1重量%未満であり、25℃及び大気圧で液体の組成物である。好ましくは、該組成物は、染料安定性の観点から無水である。
【0055】
「液体」という用語は、25℃及び大気圧での物理的状態を指し、すなわち、染色組成物は、室温で液体である。
【0056】
「無水」という用語は、水が添加されていない組成物を示す。これは、空気からの残留水分又は成分に結合した結晶水の存在を除外するものではない。
【0057】
本発明における本態様では、組成物は、d)群による化合物として1種又は複数種の有機溶媒を含み得る。
【0058】
有機溶媒は、a)~c)群による化合物を溶解させるために選択され得る。好ましい溶媒は、一価、二価、及び三価アルコール、並びに/又はそれらの混合物である。
【0059】
化粧安全性及び溶解能の観点から好ましい一価、二価、及び三価アルコールは、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、及びグリセロール、並びに/又はそれらの混合物である。
【0060】
溶液安定性の観点から、d)群による化合物の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは75重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは85重量%以上である。
【0061】
染色強度の観点から、d)群による化合物の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは98重量%以下、より好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは92重量%以下である。
【0062】
前述の効果を得るために、d)群による化合物の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは75重量%~98重量%の範囲、より好ましくは80重量%~95重量%、さらに好ましくは85重量%~92重量%の範囲である。
【0063】
したがって、本開示はまた、
a)HCブルー18、HCレッド18及び/若しくはHCイエロー16及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の第1の直接染料、
b)ディスパースブラック9、アシッドイエロー1、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の第2の直接染料、
c)1種又は複数種のアルカリ化剤
を含み、d)群による化合物の全濃度が、組成物の全重量に対して計算して75重量%以上である、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪のための無水染色組成物に関するものである。
【0064】
・粉末組成物
本発明の一態様では、染色組成物は、粉末組成物であり得る。
【0065】
「粉末」という用語は、25℃及び大気圧で固体の組成物を示す。この用語は、自由流動性粉末及び圧縮粉末、例えば錠剤に関する。粉末組成物はまた、25℃でその固体の性質が変化しない限り、水を含んでいてもよい。粉末の種類に応じて、組成物の全重量に対して計算して10重量%以上の含水量が許容され得る。
【0066】
組成物の安定性及び使用の利便性の観点から、染色組成物は、e)群による化合物として1種又は複数種の粉状賦形剤を含むことが好ましい。
【0067】
「賦形剤」という用語は、染色組成物のその他の化合物のための充填材料及び分散剤として作用することができ、染料ともアルカリ化剤とも反応せず、したがって高度な保存安定性を長期間にわたって付与する化合物を示す。
【0068】
本発明の染色組成物は、有機及び/又は無機の粉状賦形剤を含むことができ、それに、アルカリ化剤及び直接染料が分散させられる。
【0069】
適切な有機及び/又は無機の粉状賦形剤は、例えば、珪藻土、カオリン、ベントナイト、デンプン、特にトウモロコシ、タピオカ、コメ、コムギ及びジャガイモのデンプン、ナイロン粉末、モンモリロナイト、石こう、おがくず、並びにパーライトである。
【0070】
有機及び/又は無機の粉状賦形剤の全濃度は、粉末への直接染料の良好な分散性及び粉末の急速溶解を達成する観点から、組成物の全体に対して計算して、好ましくは50重量%以上、より好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、さらにより好ましくは65重量%以上、さらにより好ましくは70重量%以上、さらにより好ましくは75重量%以上である。
【0071】
有機及び/又は無機の粉状賦形剤の全濃度は、粉末への直接染料の良好な分散性及び配合しやすさを達成する観点から、組成物の全体に対して計算して、好ましくは98重量%以下、より好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは90重量%以下である。
【0072】
前述の効果を得るために、有機及び/又は無機粉状賦形剤の全濃度は、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは50重量%~98重量%の範囲、より好ましくは55重量%~95重量%の範囲、さらに好ましくは60重量%~90重量%の範囲、さらにより好ましくは65重量%~90重量%、さらにより好ましくは70重量%~90重量%、さらにより好ましくは75重量%~90重量%である。
【0073】
したがって、本開示はまた、
a)HCブルー18、HCレッド18及び/若しくはHCイエロー16及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の第1の直接染料、
b)ディスパースブラック9、アシッドイエロー1、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の第2の直接染料、
c)1種又は複数種のアルカリ化剤、
e)1種又は複数種の粉状賦形剤
を含み、好ましくはe)群による化合物の全濃度が、組成物の全重量に対して計算して50重量%以上である、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪のための染色組成物に関するものである。
【0074】
・f)群による親油性化合物
本発明の染色組成物は、f)群による化合物として1種又は複数種の親油性化合物を含むことが好ましい。
【0075】
「親油性」という用語は、25℃及び大気圧で液体の化合物を示し、前述の条件下で水と完全には混合しない。
【0076】
好ましくは、親油性化合物は、膜の均質性及び色素沈着の観点において、脂肪アルコール、脂肪酸、ワックス、植物油、ワセリンベースの製品、シリコーン、アミノ化シリコーン、及び一般構造:
【0077】
【化2】
[式中、R
4は、1個のヒドロキシ基で任意に修飾されている、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC
11~C
21アルキルから選択され、R
5は、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC
3~C
18アルキルから選択される]で表される化合物から選択され、好ましくは化合物は、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシルである。
【0078】
適切な脂肪アルコールは、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のC12~C22脂肪アルコールであり、それらは、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、及び/又はそれらの混合物である。
【0079】
適切な脂肪酸は、ヒドロキシ基を有している又は有していない、飽和又は不飽和の脂肪酸である。適切な脂肪酸は、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、及び/又はそれらの混合物である。
【0080】
前述の一般構造で表される適切な化合物は、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸オクチル、オレイン酸オレイル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ベヘン酸ベヘニル、及び/又はそれらの混合物である。
【0081】
適切な植物油は、ホホバ油、アボカド油、ヒマワリ種子油、クルミ油、ピーナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、綿実油、パーム油、ゴマ油、大豆油、ヤシ油、ベニバナ油、アーモンド油、マカダミアナッツ油、グレープフルーツ種子油、レモン種子油、オレンジ種子油、杏仁油、ヒマシ油、及び/又はそれらの混合物である。
【0082】
適切なワセリンベースの製品は、流動パラフィン、特に低粘度流動パラフィン(paraffinum perliquidum)及び高粘度流動パラフィン(paraffinum subliquidum)、並びに鉱油、特に白色鉱油、並びに/又はそれらの混合物である。
【0083】
適切なシリコーンは、ジメチルポリシロキサン、及び変性シリコーン(例えば、アミノ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、又はアルキル変性シリコーン)であるが、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン及びアミノ変性シリコーンが好ましい。アミノ変性シリコーンは、一般に、それらのCTFA名アモジメチコンで知られている。
【0084】
商業的に入手可能な適切なアモジメチコン油の具体例、例えば、SF8452C、SS-3551(すべてDow Corning Toray Co.,Ltd.製)、KF-8004、KF-867S、及びKF-8015(すべてShin-Etsu Chemical Co.,Ltd.製)、並びにアモジメチコンエマルジョン、例えばSM8704C、SM8904、BY22-079、FZ-4671、及びFZ-4672(すべてDow corning Toray Co.,Ltd.製)。
【0085】
アミノ変性シリコーンは、アミノ基又は第四級アンモニウム基を有するいかなるシリコーンであってもよく、その例として、例えば末端ヒドロキシ基のすべて又は一部がメチル基でキャップされているアミン変性シリコーン油、及び末端がキャップされていないアモジメチコンが挙げられる。
【0086】
組成物は、1種又は複数種のワックスを含み得る。適切な非限定的な好ましい例は、ペトロラタム、オゾケライト、カルナウバワックス、パラフィン、ラノリンワックス、キャンデリラワックス、蜜蝋、マイクロクリスタリンワックス及びココグリセリルである。
【0087】
染色組成物は、染色強度の観点から、f)群による親油性化合物を、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上の全濃度で含み得る。
【0088】
染色組成物は、染色強度及びケラチン繊維のすすぎやすさの観点から、f)群による親油性化合物を、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは25重量%以下の全濃度で含み得る。
【0089】
前述の効果を得るために、染色組成物は、f)による親油性化合物を、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは0.1重量%~40重量%の範囲、より好ましくは0.5重量%~30重量%の範囲、さらに好ましくは1重量%~25重量%の範囲の全濃度で含むことが好ましい。
【0090】
本発明の一態様では、本開示はまた、7~12の範囲、好ましくは7.5~11の範囲、より好ましくは8~10.8の範囲、さらに好ましくは9~10.8の範囲のpHを有し、
a)HCブルー18、HCレッド18及び/若しくはHCイエロー16及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の第1の直接染料、
b)ディスパースブラック9、アシッドイエロー1、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の第2の直接染料、
c)1種又は複数種のアルカリ化剤
を含み、組成物の全重量に対して計算して50重量%以上の水を含む、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪のための水性染色組成物に関するものであり、
該組成物はエマルジョンであり、C12~C22の範囲の分岐又は直鎖の飽和又は不飽和の炭素鎖長を有する脂肪アルコール、C12~C22の範囲の分岐又は直鎖の飽和又は不飽和の炭素鎖長を有する脂肪酸、エステル油、植物油、シリコーン油、パラフィン油から選択される、f)群による1種又は複数種の化合物を含む。
【0091】
本発明の別の態様では、本開示はまた、
a)HCブルー18、HCレッド18及び/若しくはHCイエロー16及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の第1の直接染料、
b)ディスパースブラック9、アシッドイエロー1、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物から選択される1種又は複数種の第2の直接染料、
c)1種又は複数種のアルカリ化剤、
e)1種又は複数種の粉状賦形剤
を含む、粉末組成物であり、
好ましくはe)による化合物の全濃度が、組成物の全重量に対して計算して50重量%以上であり、
f)群による1種又は複数種の親油性化合物を、好ましくは1重量%以上の全濃度で含む、
ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪のための染色組成物に関するものである。
【0092】
当業者は、後者の組成物が、ダストフリーの染色用粉末又は染色用ペーストのいずれかであることに気付くであろう。
【0093】
・g)による化合物としての界面活性剤
本発明の組成物は、本発明の組成物の混合性及びケラチン繊維の濡れ性の観点から、さらにg)群による化合物として、1つ又は複数の界面活性剤、より好ましくは、ノニオン性、カチオン性、アニオン性、双性イオン性/両性界面活性剤から選択される界面活性剤を含むことがさらに好ましい。
【0094】
好適なアニオン性界面活性剤は、基本的にはクレンジング組成物から公知である。これらは、硫酸塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩及びアルキルリン酸塩タイプのアニオン性界面活性剤であり、例えば、公知のC10-C18アルキル硫酸塩、特にそれぞれのエーテル硫酸塩、例えばC12-C14アルキルエーテル硫酸塩、ラウリルエーテル硫酸塩、特に分子中に1~4つのエチレンオキシド基を有するもの、モノグリセリド(エーテル)硫酸塩、エトキシ化及び後続の脂肪酸アルカノールアミドの硫酸化により得られる脂肪酸アミド硫酸塩及びそれらのアルカリ塩、並びに長鎖のモノ-及びジ-アルキルリン酸塩が挙げられる。好ましいアニオン性界面活性剤は、アルキル硫酸塩界面活性剤、特にラウリル硫酸塩及びその塩である。
【0095】
さらに好適な界面活性剤はノニオン性界面活性剤である。非限定的な例としては、ココ脂肪酸モノ-又はジ-エタノールアミド及びミリスチン脂肪酸モノ-又はジ-エタノールアミド、ステアリン酸モノ-又はジ-エタノールアミド等の長鎖の脂肪酸モノ-及びジ-アルカノールアミド;炭素原子数8~18のアルキル基、及びグルコシド単位を1~5単位有するアルキルポリグルコシド;ポリエチレングリコールソルビタンステアリン酸エステル、ポリエチレングリコールソルビタンパルミチン酸エステル、ポリエチレングリコールソルビタンミリスチン酸エステル及びポリエチレングリコールソルビタンラウリル酸エステル等のソルビタンエステル;脂肪酸ポリグリコールエステル又は「Pluronics(登録商標)」等の商品名で市販されているエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの重縮合物、並びにCTFA命名法により「Laureth」、「Myristeth」、「Oleth」、「Ceteth」、「Deceth」、「Steareth」及び「Ceteareth」との通称により知られている脂肪族アルコールエトキシレート、C10-C22脂肪アルコールエトキシレート、「Laureth-16」等のエチレンオキシド分子数が付記されており、その平均エトキシ化度が約2.5と約100との間、好ましくは約10と約30との間にあるものが挙げられる。
【0096】
好適な両性/双性イオン性界面活性剤は、特に、アルキルベタイン、脂肪酸アミドアルキルベタイン及びスルホベタイン等の各種公知のベタイン、例えば、ラウリルヒドロキシスルホベタイン;ココアミノアセテート、ココアミノプロピオネート等の長鎖アルキルアミノ酸、並びにココアンホプロピオン酸ナトリウム及びココアンホ酢酸ナトリウムも好適である。
【0097】
一般的なカチオン性界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリモニウムクロライド、ジパルミトイルジモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ステアラミドプロピルトリモニウムクロライド、ジオレオイルエチルジメチルアンモニウムメトスルフェート、ジオレオイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトスルフェートである。
【0098】
g)による化合物の合計濃度は、組成物の安定性、ケラチン繊維の濡れ性、及び原材料の分散性の観点から、組成物の合計重量に対して計算して、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.2重量%以上、さらに好ましくは0.25重量%以上である。
【0099】
g)による化合物の合計濃度は、組成物の安定性、ケラチン繊維の濡れ性、及び原材料の分散性の観点から、組成物の合計重量に対して計算して、好ましくは5重量%以下、より好ましくは4重量%以下、さらに好ましくは2.5重量%以下である。
【0100】
上述の効果を得るため、g)による化合物の合計濃度は、組成物の合計重量に対して計算して、好ましくは0.1~5重量%の範囲内、より好ましくは0.2~4重量%の範囲内、さらに好ましくは0.2~2.5重量%の範囲内である。
【0101】
a)及びb)群とは異なる染料
本発明の染色組成物は、好ましくは酸化染料前駆体、酸化染料カプラー、及び/又は直接染料から選択される、a)群及びb)群の化合物とは異なる1種又は複数種の染料化合物を含み得る。
【0102】
適切な酸化染料前駆体クラスは、p-フェニレンジアミン、p-アミノフェノール、並びに複素環式化合物、例えばジアミノピラゾール及び置換ピリミジンであり、適切なカップリング物質は、レゾルシノール、m-アミノフェノール、m-フェニレンジアミン、ピリジン及び置換誘導体、並びにナフトールである。
【0103】
適切な酸化染料カプラーは、5-アミノ-2-メチルフェノール、2-メチル-5-ヒドロキシエチルアミノフェノール、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、2-メチル-5-アミノ-6-クロロフェノール、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、2-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノトルエン、2-アミノ-5-メチルフェノール、レゾルシノール、2-メチル-レゾルシノール、4-クロロレゾルシノール、2-アミノ-4-クロロフェノール、5-アミノ-4-メトキシ-2-メチルフェノール、2-アミノフェノール、3-アミノ-フェノール、1-メチル-2-ヒドロキシ-4-アミノベンゼン、3-N,N-ジメチルアミノフェノール、2,6-ジヒドロキシ-3,5-ジメトキシピリジン、5-アミノ-3-メチルフェノール、6-アミノ-3-メチルフェノール、1,3-ジアミノ-ベンゼン、1-アミノ-3-(2'-ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン、1-アミノ-3-[ビス(2'-ヒドロキシ-エチル)アミノ]ベンゼン、α-ナフトール、4,6-ジクロロレゾルシノール、1,3-ジアミノ-トルエン、4-ヒドロキシ-1,2-メチレンジオキシベンゼン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1-ヒドロキシ-2-メチルナフタレン、4-ヒドロキシ-1,2-メチルジオキシベンゼン、2,4-ジアミノ-3-クロロフェノール、5-アミノ-2-メトキシフェノール及び/若しくは1-メトキシ-2-アミノ-4-(2'-ヒドロキシエチルアミノ)-ベンゼン、及び/若しくはそれらの塩、並びに/又はそれらの混合物である。
【0104】
本発明の染色組成物は、酸化染料カプラー及び/又は前駆体を、ほぼ等モルの割合で、例えば組成物の全重量に対して計算して0.001~5%の範囲の全濃度で含み得る。
【0105】
a)及びb)群による化合物以外の直接染料は、陽イオン性、陰イオン性及び/又は非イオン性直接染料から選択され得る。
【0106】
本発明の組成物におけるa)及びb)群の直接染料以外の1種又は複数種の直接染料の全濃度は、それが存在する場合、ケラチン繊維を十分に染色する観点から、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上である。
【0107】
本発明の組成物におけるa)及びb)群の直接染料以外の1種又は複数種の直接染料の全濃度は、それが存在する場合、経済的理由及び配合しやすさの観点から、組成物の全重量に対して計算して、好ましくは10重量%以下、より好ましくは9重量%以下、さらに好ましくは7.5重量%以下、さらにより好ましくは6重量%以下、さらにより好ましくは4重量%以下である。
【0108】
前述の効果を得るために、本発明の組成物におけるa)及びb)群の直接染料以外の1種又は複数種の直接染料の全濃度は、それが存在する場合、組成物の全重量に対して計算して、0.01重量%~10重量%、好ましくは0.05重量%~9重量%、より好ましくは0.1重量%~7.5重量%、さらにより好ましくは0.1重量%~6重量%、さらにより好ましくは0.1重量%~4重量%の範囲である。
【0109】
本発明の一態様では、本発明の組成物はまた、1種又は複数種の酸化染料カプラー及び/又は前駆体を含み得る。
【0110】
・二剤式組成物
本発明はまた、先に定義される第1の組成物と、1~6の範囲のpHを有し、任意に1種又は複数種の酸化剤、好ましくは過酸化水素を含む第2の水性組成物とを含む、二剤式毛髪染色組成物に関するものである。
【0111】
第2の水性組成物は、好ましくは、酸化剤として過酸化水素を含む。好適な濃度は、第2の水性組成物の全重量に対して計算して、0.1重量%~20重量%、より好ましくは0.25重量%~15重量%、さらに好ましくは0.5重量%~12重量%の範囲である。
【0112】
第2の水性組成物のpHは、適切な酸及び塩基によって調整して、好ましくは1.5~5の範囲、より好ましくは2~4.5の範囲である。
【0113】
第1の組成物との混合性の観点から、第2の水性組成物は、染色組成物について先に説明したとおり、f)による1種又は複数種の親油性化合物を含むことがさらに好ましい。このような場合、第2の水性組成物は、エマルジョンであり、染色組成物について先に説明したとおり、g)による化合物として、好ましくは1種又は複数種の界面活性剤も含む。
【0114】
本発明のこの態様の第1及び第2の組成物は、ケラチン繊維上に適用する直前に混合されることを想定している。
【0115】
・染色方法
本発明はまた、
i)先に定義される組成物を提供し、任意にそれを、先に定義される第2の水性組成物と混合して、7~12の範囲のpHを有する、即時使用可能な組成物を得るステップと、
ii)即時使用可能な組成物をケラチン繊維上に適用し、それを1分~60分間の範囲の間、放置するステップと、
iii)任意にケラチン繊維をすすぎ、任意にケラチン繊維を乾燥させるステップと
を含む、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪を染色するための方法に関するものである。
【0116】
色の強度の観点から、ステップi)に定義される、即時使用可能な組成物のpHは、好ましくは8~11の範囲、より好ましくは8.5~10.5の範囲である。
【0117】
染色強度及び染色方法の節約の観点から、ステップii)に定義される放置時間は、好ましくは2分~45分の範囲、より好ましくは5分~40分の範囲、さらに好ましくは10分~30分の範囲である。
【0118】
化粧安全性の観点から、ケラチン繊維はステップiii)ですすがれることがさらに好ましい。
【0119】
方法は、特に、化学的に損傷を受けたケラチン繊維、より好ましくはブリーチ処理及び/又はパーマ処理を受けたケラチン繊維上に適用されるのに適している。
【0120】
本発明はまた、
x)7~12の範囲のpHを有し、先に定義されるa)群及びc)群による1種又は複数種の化合物を含む水性組成物を、ケラチン繊維上に適用するステップと、
xi)ステップx)の組成物を、ケラチン繊維上で1分~60分間の範囲の間放置し、任意にケラチン繊維をすすぎ、任意にケラチン繊維を乾燥させるステップと、
xii)3~12の範囲のpHを有し、先に定義されるb)群及びc)群による1種又は複数種の化合物を含む水性組成物を、ケラチン繊維上に適用するステップと、
xiii)ステップxii)の組成物を、ケラチン繊維上で1分~45分間の範囲の間放置し、任意にケラチン繊維をすすぎ、任意にケラチン繊維を乾燥させるステップと
を含む、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪を染色するための方法に関するものである。
【0121】
洗浄堅牢性を改善する観点から、ステップxii)は、ステップxi)後に遅滞なく、又はステップxi)の実施とステップxii)の実施の間にケラチン繊維の1~5回の洗浄を挟んで遅延して、実施されることが好ましい。
【0122】
方法は、特に、化学的に損傷を受けたケラチン繊維、より好ましくはブリーチ処理及び/又はパーマ処理を受けたケラチン繊維上に適用されるのに適している。
【0123】
化粧安全性の観点から、ケラチン繊維は、ステップxiii)ですすがれることが好ましい。
【0124】
化粧安全性及び染色強度の観点から、ステップxii)に定義される組成物のpHは、好ましくは4~11.5の範囲、より好ましくは4.5~11の範囲、さらに好ましくは7~10.8の範囲である。
【0125】
・洗浄堅牢性を改善するための使用
本発明はまた、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪、さらに好ましくは過去に化学物質の塗布を受けたヒト毛髪上での、先に定義されるa)及びc)群の化合物を含む組成物の洗浄堅牢性を改善するための、先に定義されるb)及びc)群の化合物を含む組成物の使用に関するものである。
【0126】
ブリーチ処理及び/又はパーマ処理を受けたケラチン繊維上での使用が、さらに好ましい。
【0127】
・キットオブパーツ
本発明はまた、
- 先に定義されるa)及びc)群の化合物を含む組成物と、
- 先に定義されるb)及びc)群の化合物を含む組成物と、
- 任意に、1~6の範囲のpHを有し、好ましくは過酸化水素を含む水性酸化組成物と
を含む、ケラチン繊維、好ましくはヒトケラチン繊維、より好ましくはヒト毛髪を染色するためのキットオブパーツに関するものである。
【0128】
染色強度及び化粧安全性の観点から、b)及びc)群の化合物を含む組成物は、3~12の範囲、好ましくは4.5~11の範囲、より好ましくは7~10.8の範囲のpHを有する水性組成物であることが好ましい。「水性」という用語は、組成物の全重量に対して計算して50重量%以上の水を含む、組成物を示す。
【0129】
商業的理由で、a)及びc)群の化合物を含む組成物は、7~12の範囲、好ましくは8~11の範囲、より好ましくは8.5~10.8の範囲のpHを有する水性組成物であることがさらに好ましい。「水性」という用語の同じ定義が適用される。
【0130】
以下の実施例は、本発明を限定することなく示すためのものである。
【実施例】
【0131】
以下の表1及び2の染色組成物を、まずアルカリ化剤を溶解させ、次にその後、染料を水に添加することによって調製した。最後に、pHを調整した。ヤギの白色毛で同程度の染色度を得るために、染料濃度を選択し、適合させた。
【0132】
【0133】
【0134】
・結果の議論
比較例1及び2は、ブリーチ処理又はパーマ処理を受けた毛髪上の洗浄堅牢性が低いことを示している。Δh*角度は、未処理の毛髪と比較して200度を超えて変化し、ブリーチ処理又はパーマ処理を受けた毛髪上で色合いが異なっていることを示している。
【0135】
比較例3及び4は、ピクラミン酸ナトリウム(黄色)及びHCイエロー13(黄色)などの他の毛髪直接染料が、ブリーチ処理又はパーマ処理を受けた毛髪上の色相角度の著しい変化を矯正しなかったことを示している。
【0136】
本発明の実施例1は、ディスパースブラック9が、ブリーチ処理を受けた毛髪上での洗浄堅牢性を改善することを示しており、アシッドイエロー1は、本発明の実施例2に示されるとおり、パーマ処理を受けた毛髪上での洗浄堅牢性を改善する。両方の染料の組合せでは、ブリーチ処理を受けた毛髪及びパーマ処理を受けた毛髪上での洗浄堅牢性が、同時に改善されている。同様に、本発明の実施例4は、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノールが、ブリーチ処理を受けた毛髪及びパーマ処理を受けた毛髪上での洗浄堅牢性を改善し、その他の直接染料(本発明の実施例5に例示される)と組み合わせて使用することもできることを示している。
【0137】
・方法
・毛の準備
商業的に入手可能なヤギの毛(長さ15cm、毛束1つ当たり2g)を、任意の処理の前に予洗し、ブロー乾燥させた。
【0138】
パーマ処理を受けた毛については、ブランド名Goldwellから商標Structure and Shineで入手可能な市販のパーマを実施した。最初のステップは、チオグリコール酸を含む還元組成物を適用し、還元組成物を毛の上で20分間放置し、次に毛をすすぎ、過酸化水素を含む酸化組成物を適用することであった。酸化組成物を、毛の上に15分間放置し、次に毛をシャンプーし、ブロー乾燥させた。この方法によって得られた毛を、パーマ処理を受けた毛での染色実験のために使用した。
【0139】
ブリーチ処理を受けた毛については、Goldwell製の商標Oxycur Platinで入手可能な市販のブリーチを実施した。ブリーチ用粉末は過酸塩(persalt)を含んでおり、毛への適用の前に、過酸化水素を含む酸化組成物と1:1の重量比で混合した。次に、毛に、即時使用可能な混合物を適用し、混合物を20分間放置した。次に、毛をすすぎ、シャンプーし、ブロー乾燥させた。この方法によって得られた毛を、ブリーチ処理を受けた毛での染色実験のために使用した。
【0140】
・毛髪の染色
先に提示した組成物のそれぞれ2gを、上で準備した毛に適用し、周囲温度で20分間放置した。次に、毛を水ですすぎ、ブロー乾燥させた。
【0141】
比色測定を、毛束に対して色差計を用いてCIE表色系(L*,a*,b*)を使用して実施した。その値を、さらに計算する目的で「染色直後」と称する。
【0142】
・洗浄堅牢性実験
次に、各毛束を、ラウレス硫酸ナトリウムの1.5重量%溶液を含む、40℃及び100rpmの振とう浴に30分間入れた。次に、毛束を水ですすぎ、ブロー乾燥させた。比色測定を再び実施し、(L*,a*,b*)値を得た。それらの値を、さらに計算する目的で「洗浄後」と呼ぶ。
【0143】
・C*及びhの計算
洗浄済みの毛と染めたての毛の間の色差を査定するために、洗浄後のサンプルの各a*及びb*値を、染色直後のサンプルの値から差し引いた。
【0144】
次に、C*を、以下の式によって計算した。
【0145】
【0146】
次に、hを、以下の式によって計算した。
【0147】
【0148】
パーマ処理又はブリーチ処理を受けた毛髪についての表1及び2のC*又はh値は、染色した洗浄後の毛と染色直後の毛との間の差異(洗浄堅牢性)を示す。その値が0に近いほど、染料の退色が少ない。
【0149】
以下の実施例は、本発明の範囲内に含まれる。
【0150】
本発明の実施例6
以下の染色組成物は、従来の配合技術によって生成することができる。
重量%
アミノメチルプロパノール 5.0
HCブルー18 0.25
HCレッド18 0.25
HCイエロー16 0.25
ディスパースブラック9 0.2
アシッドイエロー1 0.2
1,2-プロピレングリコール 100.0まで添加
【0151】
本発明の実施例7
以下の染色組成物は、従来の配合技術によって生成することができる。
重量%
アミノメチルプロパノール 5.0
HCブルー18 0.25
HCレッド18 0.25
HCイエロー16 0.25
ディスパースブラック9 0.2
アシッドイエロー1 0.2
珪藻土 100まで
【0152】
以下の染色組成物は、従来の配合技術によって生成することができる。
【0153】
【0154】
上記の組成物は、ケラチン繊維上に直接適用される。
【0155】
別の方法として、上記の組成物を、以下の酸化組成物と混合することもできる。
重量%
過酸化水素 6.0
リン酸/NaOH pH3.0まで添加
エチドロン酸 0.05
水 100.0まで添加
【0156】
酸化組成物との染色組成物の好適な混合比は、重量で0.1~10の範囲、好ましくは重量で0.5~3の範囲である。