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特許7579440電池のリチウム析出状態の検出方法、システム、自動車、機器及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】電池のリチウム析出状態の検出方法、システム、自動車、機器及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20241030BHJP
   G01R 31/378 20190101ALI20241030BHJP
   G01R 31/392 20190101ALI20241030BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
H01M10/48 P
G01R31/378
G01R31/392
H02J7/00 Q
H02J7/00 P
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023519183
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 CN2021120358
(87)【国際公開番号】W WO2022063234
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】202011033185.8
(32)【優先日】2020-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BYD Company Limited
【住所又は居所原語表記】No. 3009, BYD Road, Pingshan, Shenzhen, Guangdong 518118, P. R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】▲でん▼林旺
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼天宇
(72)【発明者】
【氏名】舒▲時▼▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼思佳
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0316195(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111175662(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0379090(US,A1)
【文献】特開2013-089363(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109916987(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108872859(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/48
G01R 31/378
G01R 31/392
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電が終了した電池が静置状態になった後、所定の時間間隔毎に、前記電池の電圧を収集し、収集した前記電圧と収集時間とを電圧データとして記憶するステップと、
前記電圧データに基づいて、電圧-時間座標系において時間を電圧で微分した曲線を作成するステップと、
前記時間を電圧で微分した曲線において、特性ピーク電圧が存在するか否かを検出するステップと、
前記時間を電圧で微分した曲線において、前記特性ピーク電圧が存在することを検出した場合、前記電池にリチウム析出現象が発生したことを提示するステップと、
前記時間を電圧で微分した曲線が所定の安定基準に到達する場合に対応する安定電圧を取得するステップと、
前記特性ピーク電圧、安定電圧及び前記時間を電圧で微分した曲線に基づいて、前記電圧-時間座標系において第1領域面積及び第2領域面積を決定するステップと、
前記第1領域面積及び前記第2領域面積に基づいて、前記電池のリチウム析出特徴量を決定するステップと、を含む、ことを特徴とする電池のリチウム析出状態の検出方法。
【請求項2】
前記特性ピーク電圧、安定電圧及び前記時間を電圧で微分した曲線に基づいて、前記電圧-時間座標系において第1領域面積及び第2領域面積を決定するステップは、
前記電圧-時間座標系において、基準横軸、第1基準縦軸及び第2基準縦軸を決定するステップであって、前記基準横軸とは、前記時間を電圧で微分した曲線の開始点に対応する横軸を指し、前記第1基準縦軸とは、前記特性ピーク電圧に対応する縦軸を指し、前記第2基準縦軸とは、前記安定電圧に対応する縦軸を指す、ステップと、
前記基準横軸、第1基準縦軸及び前記時間を電圧で微分した曲線で囲まれた領域に対応する第1領域面積を計算するステップと、
前記基準横軸、第1基準縦軸、第2基準縦軸及び前記時間を電圧で微分した曲線で囲まれた領域に対応する第2領域面積を計算するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項に記載の電池のリチウム析出状態の検出方法。
【請求項3】
前記第1領域面積及び前記第2領域面積に基づいて、前記電池のリチウム析出特徴量を決定するステップは、
前記第1領域面積を前記電池のリチウム析出時間として記録するステップと、前記第2領域面積の逆数をチウム析出速度として記録するステップと、
前記リチウム析出時間と前記リチウム析出速度との積を前記電池のリチウム析出特徴量として記録するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電池のリチウム析出状態の検出方法。
【請求項4】
前記第1領域面積及び前記第2領域面積に基づいて、前記電池のリチウム析出特徴量を決定した後、
前記電池の所定のリチウム析出基準を取得するステップと、
前記リチウム析出特徴量が前記所定のリチウム析出基準より大きい場合、所定の電流減少ポリシーで前記電池の充電電流を減少させるステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の電池のリチウム析出状態の検出方法。
【請求項5】
充電が終了した電池が静置状態になった後、所定の時間間隔毎に、前記電池の電圧を収集し、収集した前記電圧と収集時間とを電圧データとして記憶するデータ収集モジュールと、
前記電圧データに基づいて、電圧-時間座標系において時間を電圧で微分した曲線を作成する曲線作成モジュールと、
前記時間を電圧で微分した曲線において特性ピーク電圧が存在するか否かを検出する特性ピーク電圧検出モジュールと、
前記時間を電圧で微分した曲線において前記特性ピーク電圧が存在することを検出した場合、前記電池にリチウム析出現象が発生したことを提示するリチウム析出特徴量決定モジュールと、
前記時間を電圧で微分した曲線において前記特性ピーク電圧が存在しないことを検出した場合、前記電池にリチウム析出が発生しないことを提示する情報提示モジュールと、を含み、
前記リチウム析出特徴量決定モジュールは、
前記時間を電圧で微分した曲線が、所定の安定基準に到達する場合に対応する安定電圧を取得する安定電圧取得サブモジュールと、
前記特性ピーク電圧、安定電圧及び前記時間を電圧で微分した曲線に基づいて、前記電圧-時間座標系において第1領域面積及び第2領域面積を決定する領域面積決定サブモジュールと、
前記第1領域面積及び前記第2領域面積に基づいて、前記電池のリチウム析出特徴量を決定するリチウム析出特徴量決定サブモジュールと、を含む、ことを特徴とする電池のリチウム析出状態の検出システム。
【請求項6】
請求項に記載の電池のリチウム析出状態の検出システムを含む、ことを特徴とする自動車。
【請求項7】
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、かつ前記プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムとを含むコンピュータ機器であって、前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行する場合に請求項1~のいずれか一項に記載の電池のリチウム析出状態の検出方法を実現する、ことを特徴とするコンピュータ機器。
【請求項8】
コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されると、請求項1~のいずれか一項に記載の電池のリチウム析出状態の検出方法を実現する、ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
コンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムを実行することによって、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池のリチウム析出状態の検出方法を実現する、ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本開示は、2020年9月27日に提出された出願番号202011033185.8、名称「電池のリチウム析出状態の検出方法、システム、自動車、機器及び記憶媒体」の中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本開示に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、電池の技術分野に関し、特に電池のリチウム析出状態の検出方法、システム、自動車、機器及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
科学技術の発展につれて、新エネルギー自動車の発展もますます迅速になる。電池が新エネルギー自動車の重要な部品であるため、その安全性が非常に重要である。リチウム析出現象は、電池の安全性に影響を与える最も重要な因子であり、リチウムイオン電池の性能が減衰することを引き起こす主な原因でもあると考えられる。電池の不可逆的な容量損失及び内部の短絡を引き起こし、ひいては熱暴走及び燃焼発火などの安全上の問題をもたらす。したがって、設計及び電池性能の評価時に、リチウム析出特徴量は、不可欠なパラメータである。
【0004】
関連技術において、リチウム析出特徴量の取得方式は主に、2種類であり、第1種は、電池を解体した後、電池の極板状態を観察することにより電池のリチウム析出特徴量を決定することであり、第2種は、定電流放電曲線の電圧データに基づいて計算されるか、又は電池の劣化データに基づいて間接的に計算されることにより、リチウム析出特徴量を定量分析することである。しかしながら、第1種の方式により、電池に対して破壊的操作を行い、汚染を引き起こす可能性があり、かつ肉眼で観察し比較し、第2種の方式により取得されたリチウム析出特徴量の正確性が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、取得されたリチウム析出特徴量の正確率が低いという問題を解決する電池のリチウム析出状態の検出方法、システム、自動車、機器及び記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様では、本開示に係る電池のリチウム析出状態の検出方法は、
充電が終了した電池が静置状態になった後、所定の時間間隔に基づいて上記電池の電圧を定時に収集し、収集した上記電圧と収集時間とを関連付けて電圧データとして記憶するステップと、
上記電圧データに基づいて、電圧-時間座標系において時間差分電圧曲線を作成するステップと、
上記時間差分電圧曲線において特性ピーク電圧が存在するか否かを検出するステップと、
上記時間差分電圧曲線において上記特性ピーク電圧が存在することを検出した場合、上記電池にリチウム析出現象が発生したことを提示するステップと、
上記時間差分電圧曲線において上記特性ピーク電圧が存在しないことを検出した場合、充電過程において、上記電池にリチウム析出が発生しないことを提示するステップと、を含む。
【0007】
第2態様では、本開示に係る電池のリチウム析出状態の検出システムは、充電が終了した電池が静置状態になった後、所定の時間間隔に基づいて上記電池の電圧を定時に収集し、収集した上記電圧と収集時間とを関連付けて電圧データとして記憶するデータ収集モジュールと、
上記電圧データに基づいて、電圧-時間座標系において時間差分電圧曲線を作成する曲線作成モジュールと、
上記時間差分電圧曲線において特性ピーク電圧が存在するか否かを検出する特性ピーク電圧検出モジュールと、
上記時間差分電圧曲線において上記特性ピーク電圧が存在することを検出した場合、上記電池にリチウム析出現象が発生したことを提示するリチウム析出特徴量決定モジュールと、
上記時間差分電圧曲線において上記特性ピーク電圧が存在しないことを検出した場合、上記電池にリチウム析出が発生しないことを提示する情報提示モジュールと、を含む。
【0008】
第3態様では、本開示は、上記電池のリチウム析出状態の検出システムを含む自動車を提供する。
【0009】
第4態様では、本開示は、メモリと、プロセッサと、上記メモリに記憶され、かつ上記プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムとを含むコンピュータ機器を提供し、上記プロセッサは、上記コンピュータプログラムを実行する場合に上記電池のリチウム析出状態の検出方法を実現する。
【0010】
第5態様では、本開示に係るコンピュータ可読記憶媒体には、プロセッサによって実行されると、上記電池のリチウム析出状態の検出方法を実現するコンピュータプログラムが記憶されている。
【0011】
本開示に係る電池のリチウム析出状態の検出方法、システム、自動車、機器及び記憶媒体において、充電が終了した電池が静置状態になった後、所定の時間間隔に基づいて上記電池の電圧を定時に収集し、収集した上記電圧と収集時間とを関連付けて電圧データとして記憶し、上記電圧データに基づいて、電圧-時間座標系において時間差分電圧曲線を作成し、上記時間差分電圧曲線において特性ピーク電圧が存在するか否かを検出し、上記時間差分電圧曲線において上記特性ピーク電圧が存在することを検出した場合、上記電池にリチウム析出現象が発生したことを提示し、上記時間差分電圧曲線において上記特性ピーク電圧が存在しないことを検出した場合、上記電池にリチウム析出現象が発生しないことを提示する。
【発明の効果】
【0012】
本開示において、時間差分電圧曲線において特性ピーク電圧が現れるか否かに基づいて、充電過程において、電池にリチウム析出現象が発生するか否かを正確かつ容易に決定することができ、さらに、時間差分電圧曲線において特性ピーク電圧が現れた場合、電池にリチウム析出現象が発生したことを提示することにより、該リチウム析出現象に基づく後続きの充電ポリシーの調整、電池の劣化状態の評価などがより正確で合理的になり、さらに電池の安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、本開示の実施例の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかに、以下に説明される図面は、本開示のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働をしない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【0014】
図1】本開示の一実施例における電池のリチウム析出状態の検出方法のフローチャートである。
図2】本開示の一実施例における電池のリチウム析出状態の検出方法における電圧-時間座標系の概略図である。
図3】本開示の一実施例における電池のリチウム析出状態の検出方法におけるステップS40のフローチャートである。
図4】本開示の一実施例における電池のリチウム析出状態の検出方法におけるステップS402のフローチャートである。
図5】本開示の一実施例における電池のリチウム析出状態の検出方法におけるステップS403のフローチャートである。
図6】本開示の一実施例における電池のリチウム析出状態の検出方法の原理ブロック図である。
図7】本開示の一実施例におけるコンピュータ機器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施例における図面を参照しながら、本開示の実施例における技術手段を明確かつ完全に説明し、明らかに、説明される実施例は、本開示の実施例の一部であり、全てではない。本開示の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をしない前提で得られる他の全ての実施例は、いずれも本開示の保護範囲に属するものである。
【0016】
図1に示すように、一実施例に係る電池のリチウム析出状態の検出方法は、以下のステップS10~S50を含む。
【0017】
S10では、充電が終了した電池が静置状態になった後、所定の時間間隔に基づいて上記電池の電圧を定時に収集し、収集した上記電圧と収集時間とを関連付けて電圧データとして記憶する。
【0018】
充電が終了したことは、現在、充電が既に終了したことを表し、例えば、電池の現在のSOC値が所定の充電要件を満たす場合に充電が終了する。該ステップにおける電池とは、リチウム析出状態が検出される電池を指す。好ましくは、該電池は、動力電池又は3C電池であってもよい。充電過程において電池にリチウム析出が発生したことは、電池の充電過程において電池の負極にリチウム金属が一部析出することを指す。所定の時間間隔は、実際の検出要件(例えば、検出される電池のタイプなど)に基づいて決定されてもよく、例示的に、5s又は10sなどであってもよい。収集時間とは、所定の時間間隔に基づいて収集された電池の電圧に対応する時点を指す。電圧データには、各組の電圧及びその対応する収集時間を含む。
【0019】
具体的には、電池の充電が終了した後、電池を静置状態にさせ、該電池が静置状態になった後、所定の時間間隔に基づいて電池の電圧を定時に収集し、収集した電圧と収集時間とを関連付けて電圧データとして記憶する。
【0020】
S20では、上記電圧データに基づいて、電圧-時間座標系において時間差分電圧曲線を作成する。
【0021】
時間差分電圧曲線は、電池の一次微分関係が電圧に従って変化する曲線を表し、該一次微分関係は、収集時間及び電圧に基づいて計算されたものである。電圧-時間座標系は、図2に示す座標系であり、該座標系は、横軸が収集対象電池の電圧を表し、縦軸が収集対象電池の電圧に対応する時間を表す。L1は、時間差分電圧曲線を表す。具体的には、所定の時間間隔に基づいて上記電池の電圧を定時に収集し、収集した上記電圧とこれらの電圧の収集時間とを関連付けて電圧データとして記憶した後、電圧データに基づいて、時間差分電圧により電圧データに対応する一次微分関係を取得した後、時間差分電圧曲線を決定する。
【0022】
好ましくは、ステップS20、即ち、上記電圧データに基づいて、電圧-時間座標系において時間差分電圧曲線を作成するステップは、
上記電圧データ及び所定の一次微分関係に基づいて、上記時間差分電圧曲線を生成するステップを含む。所定の一次微分関係は、各組の、収集対象電池の電圧及び収集時間に基づいて計算されたものであり、該所定の一次微分関係はdt/dUである。
【0023】
具体的には、所定の時間間隔に基づいて上記電池の電圧を定時に収集し、収集した上記電圧とこれらの電圧の収集時間とを関連付けて電圧データとして記憶した後、電圧データにおける各組の電圧及び対応する収集時間に基づいて、所定の一次微分関係を取得し、収集された各電圧が対応する一次微分関係値を有するため、時間差分電圧曲線が決定される。
【0024】
S30では、上記時間差分電圧曲線において特性ピーク電圧が存在するか否かを検出する。
【0025】
S40では、上記時間差分電圧曲線において上記特性ピーク電圧が存在することを検出した場合、上記電池にリチウム析出現象が発生したことを提示する。
【0026】
S50では、上記時間差分電圧曲線において上記特性ピーク電圧が存在しないことを検出した場合、上記電池にリチウム析出が発生しないことを提示する。
【0027】
ピーク検出識別アルゴリズムにより、時間差分電圧曲線において特性ピーク電圧が存在するか否かを検出し、該ピーク検出識別アルゴリズムは、時間差分電圧曲線において特性ピークが現れたときに該特性ピークに対応する特性ピーク電圧を検索する。特性ピーク電圧とは、数学的意味で、時間差分電圧曲線における電圧の変化に必要な時間の極大値を指し、物理的意味で、充電過程において電池にリチウム析出が発生したことを表し、即ち、反応により電池の負極の表面に発生した「活性化リチウム」(「活性化リチウム」とは、黒鉛との電気的な接触を失うリチウム金属を指す)が、充電終了した後の静置状態で電池の負極の黒鉛内に入って発生した化学反応を表す。
【0028】
所定の安定基準とは、時間差分電圧曲線の曲線値が-100~-∞の範囲において、安定し変化しない状態に近づくという要件を満たすことを指す。本実施例では、長期間にわたって時間差分電圧曲線の電圧に従う変化が非常に小さい(曲線が直線に近づき、このとき、時間差分電圧曲線の曲線値が安定し変化しない状態に近づく)場合、該状態の開始時の時間差分電圧曲線に対応する電圧値を安定電圧として記録する。
【0029】
具体的には、上記電圧データに基づいて時間差分電圧曲線を決定した後、ピーク検出識別アルゴリズムにより時間差分電圧曲線における特性ピーク電圧を識別し、充電過程において電池にリチウム析出が発生したことを表し、即ち、充電過程において電池にリチウム析出状態が存在することを決定し、このとき、特性ピーク電圧を決定した後に、特性ピーク電圧及び時間差分電圧曲線に基づいて、電池のリチウム析出特徴量を決定する必要がある。本実施例では、該ピーク検出識別アルゴリズムは、上記電圧-時間座標系において(例えば、時間によって区切られる)検索領域を設定することができ、該領域において最大値を検索した(即ち、図2に示すように、時間差分電圧曲線L1において、曲線が上がってから下がる点が現れると、特性ピーク現象が発生した)場合、該最大値に対応する点を特性ピーク点として決定する。
【0030】
電池の充電過程において、電池の負極にリチウム金属が一部析出する場合、電池の黒鉛が外部から印加した電界による影響を受け、その内部の電界の分布は、セパレータに近接する側の電位が高く(+)、銅箔に近接する側の電位が低い(-)。黒鉛の外部のリチウムイオン濃度は、セパレータから銅箔まで勾配分布し、単一の黒鉛粒子に対して、黒鉛は、外部のリチウムイオン濃度が内部のリチウムイオン濃度より高い。電池が充電終了から静置状態になる過程において、充電過程において電池から析出した一部のリチウム金属は、粒子の外部でリチウムイオンに酸化され、黒鉛の外部のリチウムイオン濃度について、セパレータに近接する側のリチウムイオン濃度が銅箔に近接する側のリチウムイオン濃度よりはるかに高いため、リチウムイオンは、電界及び濃度差の作用でセパレータから銅箔に遷移し拡散し、電子は、内部から銅箔に遷移する。リチウムイオン濃度は、セパレータから銅箔まで徐々に平衡になり、析出したリチウム金属は、黒鉛の内部に徐々に完全に挿入される。したがって、本実施例では、時間差分電圧曲線において特性ピーク電圧が現れる時刻に、ほとんどの「活性化リチウム」が電池の負極の黒鉛内に既に完全に挿入されたことを表し、即ち、時間差分電圧曲線において特性ピーク電圧が現れたときに、充電過程において電池にリチウム析出現象が既に発生したことを表すだけでなく、特性ピーク電圧が現れたときに、電池のリチウム析出反応が基本的に完了する(電池にリチウム析出反応が発生した後、「活性化リチウム」は、電池が静置状態になったときに黒鉛層に入り、さらに電圧プラットフォームを生成し、電圧プラットフォームを生成した後、単位電圧の変化に必要な時間が長くなるため、時間差分電圧曲線においてピーク値、即ち、特性ピーク電圧が現れることがあり、このときに電池のリチウム析出反応が基本的に完了すると考えられる)。
【0031】
本実施例では、時間差分電圧曲線において特性ピーク電圧が現れるか否かに基づいて、充電過程において、電池にリチウム析出現象が発生するか否かを正確かつ容易に決定することができ、さらに、時間差分電圧曲線において特性ピーク電圧が現れた場合、電池にリチウム析出現象が発生したことを提示することにより、該リチウム析出現象に基づく後続きの充電ポリシーの調整、電池の劣化状態の評価などがより正確で合理的になり、さらに電池の安全性が向上する。本開示は、電池のリチウム析出の検出の正確性及び利便性を向上させる。
【0032】
別の実施例では、上記電圧データに基づいて時間差分電圧曲線を決定した後、上記所定のピーク検出識別アルゴリズムによって上記時間差分電圧曲線における特性ピーク電圧が識別されていない場合、前回の充電過程において上記電池にリチウム析出が発生しないことを提示する。具体的には、本開示における特性ピーク電圧が物理的意味で充電過程において電池にリチウム析出が発生したことを表すため、電圧データに基づいて時間差分電圧曲線を決定した後、ピーク検出識別アルゴリズムによって時間差分電圧曲線における特性ピーク電圧が識別されていない場合、充電過程において電池にリチウム析出が発生しないことを表す。
【0033】
一実施例では、図3に示すように、ステップS40、即ち、上記時間差分電圧曲線において上記特性ピーク電圧が存在することを検出した場合、上記電池にリチウム析出現象が発生したことを提示するステップの後、ステップS401~S403をさらに含む。
【0034】
S401では、上記時間差分電圧曲線が、所定の安定基準に到達する場合に対応する安定電圧を取得する。
【0035】
S402では、上記特性ピーク電圧、安定電圧及び上記時間差分電圧曲線に基づいて、上記電圧-時間座標系において第1領域面積及び第2領域面積を決定する。
【0036】
具体的には、ピーク検出識別アルゴリズムにより上記時間差分電圧曲線における特性ピーク電圧を識別し、かつ特性ピーク電圧が現れた後に、上記時間差分電圧曲線が、所定の安定基準に到達する場合に対応する安定電圧を記録した後、開始点から特性ピーク電圧に対応する終点まで、時間差分電圧曲線と開始点に対応する横軸とで囲まれた領域に対応する第1領域面積を計算する。特性ピーク電圧に対応する開始点から安定電圧に対応する終点まで、時間差分電圧曲線と開始点に対応する横軸とで囲まれた領域に対応する第2領域面積を計算する。
【0037】
図4に示すように、ステップS402、即ち、上記特性ピーク電圧、安定電圧及び上記時間差分電圧曲線に基づいて、上記電圧-時間座標系において第1領域面積及び第2領域面積を決定するステップは、以下のステップS4021~S4023を含む。
【0038】
S4021では、上記電圧-時間座標系において、基準横軸、第1基準縦軸及び第2基準縦軸を決定し、上記基準横軸とは、上記時間差分電圧曲線の開始点に対応する横軸を指し、上記第1基準縦軸とは、上記特性ピーク電圧に対応する縦軸を指し、上記第2基準縦軸とは、上記安定電圧に対応する縦軸を指す。
【0039】
S4022では、上記基準横軸、第1基準縦軸及び上記時間差分電圧曲線で囲まれた領域に対応する第1領域面積を計算する。
【0040】
S4023では、上記基準横軸、第1基準縦軸、第2基準縦軸及び上記時間差分電圧曲線で囲まれた領域に対応する第2領域面積を計算する。
【0041】
開始電圧とは、電池の充電終了時の電圧値を指し、時間差分電圧曲線の開始点は、電池の充電終了時の開始電圧である。図2に示す電圧-時間座標系において、U1は、時間差分電圧曲線における開始点であり(該開始点は、電池の充電終了時の開始電圧に対応する)、U2は、時間差分電圧曲線における特性ピーク電圧に対応する点であり、U3は、時間差分電圧曲線における安定電圧に対応する点であり、L3は、基準横軸であり、L4は、第1基準縦軸であり、L5は、第2基準縦軸である。
【0042】
具体的には、ピーク検出識別アルゴリズムにより上記時間差分電圧曲線における特性ピーク電圧を識別し、かつ特性ピーク電圧を決定した後に上記時間差分電圧曲線が、所定の安定基準に到達する場合に対応する安定電圧を記録した後、電池の充電終了時の充電電圧を取得し、該充電電圧が時間差分電圧曲線における開始点であり、該開始点に対応する横軸を基準横軸とし、時間差分電圧曲線における特性ピーク電圧に対応する縦軸を第1基準縦軸とし、理解できるように、該第1基準縦軸と基準横軸とは、垂直関係であり、さらに基準横軸、第1基準縦軸及び時間差分電圧曲線で囲まれた領域に対応する第1領域面積を計算し、該第1領域面積は、充電過程において、電池から析出した「活性化リチウム」が電池の黒鉛の外部から内部に挿入されることに必要な時間、即ち、ステップS4031におけるリチウム析出時間を表す。
【0043】
具体的には、ピーク検出識別アルゴリズムにより上記時間差分電圧曲線における特性ピーク電圧を識別し、かつ特性ピーク電圧が現れた後に上記時間差分電圧曲線が、所定の安定基準に到達する場合に対応する安定電圧を記録した後、電池の充電終了時の充電電圧を取得し、該充電電圧が時間差分電圧曲線における開始点であり、該開始点に対応する横軸を基準横軸とし、時間差分電圧曲線における特性ピーク電圧に対応する縦軸を第1基準縦軸とし、時間差分電圧曲線における安定電圧に対応する縦軸を第2基準縦軸とし、理解できるように、第1基準縦軸と第2基準縦軸とは、平行であり、いずれも基準横軸と垂直であり、さらに上記基準横軸、第1基準縦軸、第2基準縦軸及び上記時間差分電圧曲線で囲まれた領域に対応する第2領域面積を計算し、該第2領域面積の逆数は、電池の黒鉛へのリチウム挿入速度を表すことができる(即ち、ステップS4031におけるリチウム析出速度)。
【0044】
S403では、上記第1領域面積及び上記第2領域面積に基づいて、上記電池のリチウム析出特徴量を決定する。
【0045】
リチウム析出特徴量は、電池の充電過程におけるリチウム析出程度を表す。
【0046】
具体的には、上記特性ピーク電圧及び上記時間差分電圧曲線に基づいて、第1領域面積を取得し、上記特性ピーク電圧、安定電圧及び上記時間差分電圧曲線に基づいて、第2領域面積を取得した後、第1領域面積及び第2領域面積に基づいて、電池のリチウム析出特徴量を決定し、さらに該電池の出荷仕様書におけるリチウム析出基準により、今回の充電過程において電池に発生したリチウム析出の程度を決定する。
【0047】
一例として、該リチウム析出特徴量が該電池の対応するリチウム析出基準を超えると、所定の電流減少ポリシーで、電池の次回の充電時の充電電流を減少させる必要があり(一般的に、電池の充電電流が電池充電ポリシーテーブルに記憶されるため、充電電流を減少させることは、電池充電ポリシーテーブルにおける現在の充電電流を減少させることである)、例えば、電池に対する充電が完了した後のリチウム析出特徴量がリチウム析出基準を超え、減少比率が現在の充電電流の1%であると予め設定されており、電池充電ポリシーテーブルにおける充電電流が1Aである場合、充電電流を1%下げ、即ち、充電電流を0.99Aに減少させることができ、このようにして、次回に電池を充電するとき、減少した充電電流で電池を充電することにより、電池のリチウム析出特徴量を低下させ、さらに電池を保護する効果を達成することができる。所定の電流減少ポリシーとは、電池に対する充電が完了した後のリチウム析出特徴量及び該電池に対応するリチウム析出基準に基づいて、減少する必要がある充電電流の減少比率を決定し、さらに該減少比率に基づいて、上記電池充電ポリシーテーブルにおける上記充電電流を更新し減少させることを指す。
【0048】
別の例として、該リチウム析出特徴量が該電池の対応するリチウム析出基準を大幅に超えると(例えば、超過量が該リチウム析出基準の所定の百分率以上であり、例示的に、該所定の百分率は、40%であってもよいが、必要に応じて、40%を除く他の百分率に設定されてもよく、理解できるように、超過量が該所定の百分率より小さい場合、上記所定の電流減少ポリシーに基づいて電池充電ポリシーテーブルにおける現在の充電電流を減少させればよい)、電池のリチウム析出特徴量が大きすぎて安全上の事故が発生することを回避するように、該電池を返品し点検すべきであることを表す。
【0049】
本実施例では、充電が終了した電池を静置状態にさせた後、所定の時間間隔に基づいて収集された電圧及び収集時間に基づいて、時間差分電圧曲線を決定し、即ち、電池の放電モードに依存して電池にリチウム析出が発生するか否かを判定せず、かつ充電が終了した後の静置状態で取得された電圧データがより正確である(本実施形態では、電池が充電終了後に静置状態にある場合で検出を行うため、電池の放電モードに依存する必要がなく、かつ静止状態での電圧の変化が制御可能であり、さらに、取得された時間差分電圧曲線の精度が高い)。また、該時間差分電圧曲線において特性ピーク電圧が現れることを決定した場合、充電過程において、電池にリチウム析出現象が発生したことを正確かつ容易に決定することができ、さらに、時間差分電圧曲線における安定電圧を決定し、電池の充電終了時の開始電圧、上記特性ピーク電圧及び上記時間差分電圧曲線に基づいて、上記電圧-時間座標系において第1領域面積を決定し、上記特性ピーク電圧、安定電圧及び上記時間差分電圧曲線に基づいて、上記電圧-時間座標系において第2領域面積を決定し、上記第1領域面積及び上記第2領域面積に基づいて、上記電池のリチウム析出特徴量を決定することにより、該リチウム析出特徴量に基づく後続きの充電ポリシーの調整、電池の劣化状態の評価などがより正確で合理的になり、さらに電池の安全性が向上する。
【0050】
一実施例では、図5に示すように、ステップS403、即ち、上記第1領域面積及び上記第2領域面積に基づいて、上記電池のリチウム析出特徴量を決定するステップは、ステップS4031~S4032を含む。
【0051】
S4031では、上記第1領域面積を上記電池のリチウム析出時間として記録する。同時に、上記第2領域面積の逆数を上記リチウム析出速度として記録する。
【0052】
なお、時間差分電圧曲線において特性ピーク電圧が現れる時点は、活性化リチウムが黒鉛に完全に挿入される時点であり、即ち、第1領域面積の物理的意味とは、充電過程において電池から析出した「活性化リチウム」が黒鉛の外部から内部に挿入されることに必要な時間を指す。特性ピーク電圧から安定電圧までの領域に対応する第2領域面積は、リチウムイオン濃度がセパレータから銅箔まで基本的に平衡に達することを表す。したがって、リチウムイオンが黒鉛粒子の外部から粒子の内部に拡散する傾向があるため、黒鉛粒子の全体においてリチウムイオンの分布が均一である。
【0053】
具体的には、第1領域面積の物理的意味とは、充電過程において電池から析出した「活性化リチウム」が黒鉛の外部から内部に挿入されることに必要な時間を指す。第1領域面積のみで電池のリチウム析出総特徴量を正確に表すことができず、原因は、経過した時間がリチウム析出特徴量及び黒鉛へのリチウム挿入速度に関連し、また、黒鉛へのリチウム挿入速度が温度に関連するため、同じ温度での時間であってこそリチウム析出特徴量を表すことができる。
【0054】
したがって、本開示は、第2領域面積の逆数で電池のリチウム析出速度を表す。しかしながら、第1領域面積の収集時間内に、負極に入った一部の「活性化リチウム」は、他の「活性化リチウム」が負極に挿入される過程において平衡状態になっているため、一部の「活性化リチウム」が負極に平衡状態になる時間は、第1領域面積の収集時間と重なる。しかしながら、特性ピーク電圧になる前に、主に「活性化リチウム」が負極に入り、特性ピーク電圧になった後、負極の黒鉛粒子におけるリチウムイオンの濃度差は、最大であり、全ての「活性化リチウム」が負極に完全に挿入されてから負極の黒鉛粒子が最終的な平衡状態になる時間(即ち、第2領域面積)の逆数を計算することにより黒鉛へのリチウム挿入速度(即ち、リチウム析出速度)を表す。
【0055】
S4032では、上記リチウム析出時間と上記リチウム析出速度との積を上記電池のリチウム析出特徴量として記録する。
【0056】
具体的には、上記第1領域面積に基づいて、上記電池のリチウム析出時間を決定するとともに、上記第2領域面積に基づいて、上記電池のリチウム析出速度を決定した後、上記リチウム析出時間と上記リチウム析出速度との積に基づいて、電池のリチウム析出特徴量を決定する。
【0057】
上記説明により指示されるように、第1領域面積を電池のリチウム析出時間として記録し、第2領域面積の逆数を電池のリチウム析出速度として記録し、第2領域面積の逆数と第1領域面積との積を電池のリチウム析出特徴量として記録する。即ち、上記リチウム析出時間と上記リチウム析出速度との積を上記電池のリチウム析出特徴量として記録する。
【0058】
上記実施例における各ステップの番号の大きさは、実行順序の前後を意味するものではなく、各プロセスの実行順序は、プロセスの機能及び内部ロジックに従って決定されるべきであり、本開示の実施例の実施プロセスに対する何らかの限定として解されるべきではないことを理解されたい。
【0059】
図6に示すように、一実施例に係る電池のリチウム析出状態の検出システムは、
充電が終了した電池が静置状態になった後、所定の時間間隔に基づいて上記電池の電圧を定時に収集し、収集した上記電圧と収集時間とを関連付けて電圧データとして記憶するデータ収集モジュール10と、
上記電圧データに基づいて、電圧-時間座標系において時間差分電圧曲線を作成する曲線作成モジュール20と、
上記時間差分電圧曲線において特性ピーク電圧が存在するか否かを検出する特性ピーク電圧検出モジュール30と、
上記時間差分電圧曲線において上記特性ピーク電圧が存在することを検出した場合、上記電池にリチウム析出現象が発生したことを提示するリチウム析出特徴量決定モジュール40と、
上記時間差分電圧曲線において上記特性ピーク電圧が存在しないことを検出した場合、上記電池にリチウム析出が発生しないことを提示する情報提示モジュール50と、を含む。
【0060】
一実施例では、該リチウム析出特徴量決定モジュール40は、
上記時間差分電圧曲線が所定の安定基準に到達する場合に対応する安定電圧を取得する安定電圧取得サブモジュールと、
上記特性ピーク電圧、安定電圧及び上記時間差分電圧曲線に基づいて、上記電圧-時間座標系において第1領域面積及び第2領域面積を決定する領域面積決定サブモジュールと、
上記第1領域面積及び上記第2領域面積に基づいて、上記電池のリチウム析出特徴量を決定するリチウム析出特徴量決定サブモジュールと、を含む。
【0061】
一実施例では、領域面積決定サブモジュールは、
上記電圧-時間座標系において、基準横軸、第1基準縦軸及び第2基準縦軸を決定する座標軸決定ユニットであって、上記基準横軸とは、上記時間差分電圧曲線の開始点に対応する横軸を指し、上記第1基準縦軸とは、上記特性ピーク電圧に対応する縦軸を指し、上記第2基準縦軸とは、上記安定電圧に対応する縦軸を指す、座標軸決定ユニットと、
上記基準横軸、第1基準縦軸及び上記時間差分電圧曲線で囲まれた領域に対応する第1領域面積を計算する第1領域面積計算ユニットと、
上記基準横軸、第1基準縦軸、第2基準縦軸及び上記時間差分電圧曲線で囲まれた領域に対応する第2領域面積を計算する第2領域面積計算ユニットと、を含む。
【0062】
一実施例では、リチウム析出特徴量決定サブモジュールは、
上記第1領域面積を上記電池のリチウム析出時間として記録し、上記第2領域面積の逆数を上記リチウム析出速度として記録するリチウム析出データ記録ユニットと、
上記リチウム析出時間と上記リチウム析出速度との積を上記電池のリチウム析出特徴量として記録するリチウム析出特徴量決定ユニットと、を含む。
【0063】
一実施例では、電池のリチウム析出状態の検出システムは、
上記電池の所定のリチウム析出基準を取得し、かつ上記電池のリチウム析出特徴量が上記所定のリチウム析出基準より大きいか否かを確認するリチウム析出基準取得サブモジュールと、
上記リチウム析出特徴量が上記所定のリチウム析出基準より大きい場合、所定の電流減少ポリシーで上記電池の充電電流を減少させる充電電流減少サブモジュールと、をさらに含む。
【0064】
一実施例に係る自動車は、上記実施例における電池のリチウム析出状態の検出システムを含む。
【0065】
一実施例に係るコンピュータ機器は、サーバであってもよく、その内部構成図を図7に示す。該コンピュータ機器は、システムバスを介して接続されたプロセッサ、メモリ、ネットワークインタフェース及びデータベースを含む。該コンピュータ機器のプロセッサは、計算及び制御能力を提供する。該コンピュータ機器のメモリは、不揮発性記憶媒体及び内部メモリを含む。該不揮発性記憶媒体は、オペレーティングシステムと、コンピュータプログラムと、データベースとを記憶している。該内部メモリは、不揮発性記憶媒体におけるオペレーティングシステム及びコンピュータプログラムの実行に環境を提供する。該コンピュータ機器のデータベースは、上記実施例における電池のリチウム析出状態の検出方法に使用されているデータを記憶する。該コンピュータ機器のネットワークインタフェースは、ネットワークを介して外部の端末と接続して通信する。該コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、電池のリチウム析出状態の検出方法を実現する。
【0066】
一実施例に係るコンピュータ機器は、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶されプロセッサ上で実行可能で、プロセッサによって実行されると、上記実施例における電池のリチウム析出状態の検出方法を実現するコンピュータプログラムとを含む。
【0067】
一実施例に係るコンピュータ可読記憶媒体には、プロセッサによって実行されると、上記実施例における電池のリチウム析出状態の検出方法を実現するコンピュータプログラムが記憶されている。
【0068】
当業者であれば理解できるように、上記実施例の方法におけるフローの全部又は一部の実現は、コンピュータプログラムによって、関連するハードウェアを命令することにより完了することができ、上記コンピュータプログラムは、不揮発性コンピュータ可読記憶媒体に記憶することができ、該コンピュータプログラムが実行されると、上記各方法の実施例のフローを含んでもよい。本願に係る各実施例において使用されるメモリ、記憶、データベース又は他の媒体に対するいかなる引用は、いずれも不揮発性及び/又は揮発性メモリを含んでもよい。不揮発性メモリは、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)又はフラッシュメモリを含んでもよい。揮発性メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は外部キャッシュメモリを含んでもよい。限定ではなく例示として、RAMは、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDRSDRAM)、エンハンスドSDRAM(ESDRAM)、シンクロナスリンク(Synchlink)DRAM(SLDRAM)、ラムバス(Rambus)ダイレクトRAM(RDRAM)、ダイレクトラムバスダイナミックRAM(DRDRAM)及びラムバスダイナミックRAM(RDRAM)などの様々な形態で入手可能である。
【0069】
当業者であれば明確に分かるように、容易かつ簡潔的に説明するために、上記各機能ユニット、モジュールの区分で例を挙げて説明したが、実際の適用では、必要に応じて上記機能を割り当てて異なる機能ユニット、モジュールにより完成させ、すなわち上記装置の内部構造を異なる機能ユニット又はモジュールに区分して、以上で説明した全部又は一部の機能を完成させることができる。
【0070】
以上の実施例は、本開示の技術手段を説明するためのものに過ぎず、限定するものではなく、前述の実施例を参照して本開示を詳細に説明したが、当業者であれば理解すべきこととして、依然として、前述の各実施例に記載の技術手段を修正するか、又はその技術的特徴の一部を同等置換することができ、これらの修正又は置換は、対応する技術手段の本質を本開示の各実施例の技術手段の精神及び範囲から逸脱させることはなく、いずれも本開示の保護範囲に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7