(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】アクティブヒートシンク
(51)【国際特許分類】
H01L 23/467 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
H01L23/46 C
(21)【出願番号】P 2023520037
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 US2021052240
(87)【国際公開番号】W WO2022072286
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-05-26
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521496984
【氏名又は名称】フロー・システムズ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Frore Systems Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤラマーシー・アナンス・サラン
(72)【発明者】
【氏名】サティヤマーシー・プラブ
(72)【発明者】
【氏名】ガンティ・スリャプラカシュ
(72)【発明者】
【氏名】マダヴァペディー・セシャジリ・ラオ
(72)【発明者】
【氏名】マクンダン・ヴィクラム
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-149158(JP,A)
【文献】特開平04-065862(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0292537(US,A1)
【文献】特開2018-085512(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0146574(US,A1)
【文献】特開2013-223818(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0049143(US,A1)
【文献】特開平07-263598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/467
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
第1側と、前記第1側の反対側にある第2側と、を有する冷却素子であって、流体を前記第1側から前記第2側へ駆動するために、駆動された時に振動運動を行うよう構成されている、冷却素子と、
熱伝導によって前記冷却素子を熱発生構造に熱的に結合している支持構造と、
を備え、
前記支持構造は、さらに、
下部プレートと、
中にチャンバを形成する側壁と、
を備え、
前記冷却素子は、前記チャンバ内にあり、前記下部プレートおよび前記複数の側壁の内の少なくとも1つは、複数のオリフィスを有し、前記冷却素子は、前記複数のオリフィスを通して前記流体を駆動するように駆動される、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、前記振動運動は、前記複数のオリフィスを出る前記流体が少なくとも30メートル/秒の速度を有するように、前記流体を駆動する、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、前記支持構造は、さらに、
少なくとも1つのベントを有する上部プレートを備え、
前記冷却素子は、前記上部プレートと前記熱発生構造との間にあり、前記冷却素子と前記上部プレートとの間に上部チャンバを形成し、前記冷却素子と前記下部プレートとの間に下部チャンバを形成する、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムであって、前記冷却素子は、中央領域および外周を有し、前記支持構造は、さらに、
前記中央領域で前記冷却素子を支持するよう構成されているアンカを備え、
前記外周の少なくとも一部は、自由に前記振動運動を行う、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、さらに、
前記支持構造と一体化されているヒートスプレッダを備え、
前記ヒートスプレッダは、熱伝導によって前記支持構造および前記熱発生構造に熱的に結合されている、システム。
【請求項6】
システムであって、
第1側と、前記第1側の反対側にある第2側と、を有する冷却素子であって、流体を前記第1側から前記第2側へ駆動するために、駆動された時に振動運動を行うよう構成されている、冷却素子と、
熱伝導によって前記冷却素子を熱発生構造に熱的に結合している支持構造と、
前記支持構造と一体化されているヒートスプレッダと、を備え、前記ヒートスプレッダは、熱伝導によって前記支持構造および前記熱発生構造に熱的に結合されており、
前記支持構造は、前記複数のオリフィスの少なくとも一部を出た前記流体が前記ヒートスプレッダに当たって前記ヒートスプレッダから熱を奪うように構成され、前記ヒートスプレッダは、熱伝導によって前記熱発生構造から熱を奪う、システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、前記冷却素子は、前記振動運動によって駆動された前記流体が前記冷却素子から熱を奪うよう構成されている、システム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムであって、前記支持構造は、さらに、
前記熱発生構造に熱伝導的に結合されているペデスタルを備える、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムであって、前記熱発生構造は、集積回路、バッテリ、ヒートスプレッダ、および、ベイパーチャンバから選択される、システム。
【請求項10】
アクティブヒートシンクであって、
複数の冷却セルと、前記複数の冷却セルの各々は、冷却素子と、少なくとも1つのベントを有する上部プレートと、下部プレートと、中にチャンバを形成する複数の側壁と、アンカと、を備え、前記冷却素子は、前記上部プレートと前記下部プレートとの間の前記チャンバ内にあり、前記下部プレートおよび前記複数の側壁の内の少なくとも1つは、複数のオリフィスを有し、前記冷却素子は、前記複数のオリフィスを通して流体を駆動するために振動運動を行うよう駆動され、
前記複数の冷却セルと一体化されており、熱伝導によって前記冷却素子を熱発生構造に熱的に結合している支持構造と、
を備える、アクティブヒートシンク。
【請求項11】
請求項10に記載のアクティブヒートシンクであって、前記冷却素子は、中央領域および外周を有し、前記支持構造は、さらに、
前記複数の冷却素子の各々のためのアンカを備え、
前記アンカは、前記中央領域で前記冷却素子を支持するよう構成され、前記外周の少なくとも一部は、自由に前記振動運動を行う、アクティブヒートシンク。
【請求項12】
請求項10に記載のアクティブヒートシンクであって、さらに、
前記支持構造と一体化されているヒートスプレッダを備え、
前記ヒートスプレッダは、熱伝導によって前記支持構造および前記熱発生構造に熱的に結合されている、アクティブヒートシンク。
【請求項13】
請求項10に記載のアクティブヒートシンクであって、前記冷却素子は、前記振動運動によって駆動された前記流体が前記冷却素子から熱を奪うよう構成されている、アクティブヒートシンク。
【請求項14】
請求項10に記載のアクティブヒートシンクであって、前記支持構造は、さらに、
前記熱発生構造に熱伝導的に結合されているペデスタルを備える、アクティブヒートシンク。
【請求項15】
請求項10に記載のアクティブヒートシンクであって、前記熱発生構造は、集積回路、バッテリ、ヒートスプレッダ、および、ベイパーチャンバから選択される、アクティブヒートシンク。
【請求項16】
熱発生構造を冷却する方法であって、
或る周波数の振動運動を引き起こすように冷却素子を駆動することを備え、
前記冷却素子は、第1側と、前記第1側の反対側にある第2側と、を有し、前記冷却素子は、流体を前記第1側から前記第2側へ駆動するために、駆動された時に振動運動を行うよう構成され、前記冷却素子は、前記熱発生構造に支持構造によって熱的に結合され、前記支持構造は、熱伝導によって前記冷却素子を前記熱発生構造に熱的に結合しており、
前記支持構造は、さらに、下部プレートと、中にチャンバを形成する側壁と、を備え、前記冷却素子は、前記チャンバ内にあり、前記下部プレートおよび前記複数の側壁の内の少なくとも1つは、複数のオリフィスを有し、前記冷却素子は、前記複数のオリフィスを通して前記流体を駆動するように駆動される、方法。
【請求項17】
熱発生構造を冷却する方法であって、
或る周波数の振動運動を引き起こすように冷却素子を駆動することを備え、
前記冷却素子は、第1側と、前記第1側の反対側にある第2側と、を有し、前記冷却素子は、流体を前記第1側から前記第2側へ駆動するために、駆動された時に振動運動を行うよう構成され、前記冷却素子は、前記熱発生構造に支持構造によって熱的に結合され、前記支持構造は、熱伝導によって前記冷却素子を前記熱発生構造に熱的に結合しており、
前記周波数は、前記冷却素子の構造共振に対応し、前記周波数は、さらに、前記冷却素子が存在するチャンバの少なくとも一部の音響共振に対応している、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、前記冷却素子は、複数の離脚素子の内の1つであり、前記駆動することは、さらに、
前記複数の冷却素子の各々において前記振動運動を引き起こすように前記複数の冷却素子を駆動することを備え、前記複数の冷却素子の各々は、熱伝導によって熱発生構造に熱的に結合されている、方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法であって、ヒートスプレッダが、前記支持構造と一体化されており、前記ヒートスプレッダは、前記熱発生構造に熱的に結合されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【他の出願への相互参照】
【0001】
本願は、「ACTIVE HEAT SINK」と題する2020年10月2日出願の米国仮特許出願第63/087,002号に基づく優先権を主張し、その仮特許出願は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
コンピュータデバイスが、速度および演算算能力を増すにつれて、コンピュータデバイスによって発せられる熱も増大する。様々なメカニズムが、熱の発生に対処するために提案されてきた。アクティブな装置(ファンなど)が、大型のコンピュータデバイス(ラップトップコンピュータまたはデスクトップコンピュータなど)に空気を通すために利用されうる。パッシブな冷却装置(ヒートスプレッダなど)が、より小型のモバイルコンピュータデバイス(スマートフォン、仮想現実デバイス、および、タブレットコンピュータなど)で利用されうる。しかしながら、かかるアクティブな装置およびパッシブな装置は、モバイルデバイス(スマートフォンなど)を十分に冷却できない場合がある。したがって、コンピュータデバイスのためのさらなる冷却ソリューションが望まれている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
以下の詳細な説明および添付の図面において、本発明の様々な実施形態を開示する。
【0004】
【
図1A】アクティブヒートシンクを含むアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【
図1B】アクティブヒートシンクを含むアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【
図1C】アクティブヒートシンクを含むアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【
図1D】アクティブヒートシンクを含むアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【
図1E】アクティブヒートシンクを含むアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【
図1F】アクティブヒートシンクを含むアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【0005】
【
図2A】アクティブヒートシンクにおける流体温度を示す図。
【
図2B】アクティブヒートシンクにおける流体温度を示す図。
【
図2C】アクティブヒートシンクにおける流体温度を示す図。
【
図2D】アクティブヒートシンクにおける流体温度を示す図。
【
図2E】アクティブヒートシンクにおける流体温度を示す図。
【
図2F】アクティブヒートシンクにおける流体温度を示す図。
【
図2G】アクティブヒートシンクにおける流体温度を示す図。
【0006】
【
図3A】中央を固定された冷却素子を備えたアクティブ冷却システムで利用できるアクチュエータの実施形態を示す図。
【
図3B】中央を固定された冷却素子を備えたアクティブ冷却システムで利用できるアクチュエータの実施形態を示す図。
【
図3C】中央を固定された冷却素子を備えたアクティブ冷却システムで利用できるアクチュエータの実施形態を示す図。
【
図3D】中央を固定された冷却素子を備えたアクティブ冷却システムで利用できるアクチュエータの実施形態を示す図。
【0007】
【
図4】アクティブヒートシンクを含むアクティブ冷却システムの一実施形態を示す図。
【0008】
【
図5】アクティブヒートシンクを含むアクティブ冷却システムの一実施形態を示す図。
【0009】
【
図6】アクティブヒートシンクを含むアクティブ冷却システムの一実施形態を示す図。
【0010】
【
図7】アクティブヒートシンクを含むアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【0011】
【
図8】アクティブヒートシンクを含むアクティブ冷却システムの一実施形態を示す図。
【0012】
【
図9】アクティブヒートシンクを含むアクティブ冷却システムの一実施形態を示す図。
【0013】
【
図10A】タイルとして構成された複数の冷却セルを備えアクティブヒートシンクを含むアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【
図10B】タイルとして構成された複数の冷却セルを備えアクティブヒートシンクを含むアクティブ冷却システムの実施形態を示す図。
【0014】
【
図11】アクティブヒートシンクを有する複数の冷却セルを備えたアクティブ冷却システムの一実施形態を示す図。
【0015】
【
図12】アクティブヒートシンクを駆動するための技術の一実施形態を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、処理、装置、システム、物質の組成、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体上に具現化されたコンピュータプログラム製品、および/または、プロセッサ(プロセッサに接続されたメモリに格納および/またはそのメモリによって提供される命令を実行するよう構成されたプロセッサ)を含め、様々な形態で実施されうる。本明細書では、これらの実施例または本発明が取りうる任意の他の形態が、技術と呼ばれうる。一般に、開示されている処理の工程の順序は、本発明の範囲内で変更されてもよい。特に言及しない限り、タスクを実行するよう構成されるものとして記載されたプロセッサまたはメモリなどの構成要素は、或る時間にタスクを実行するよう一時的に構成された一般的な構成要素として、または、タスクを実行するよう製造された特定の構成要素として実装されてよい。本明細書では、「プロセッサ」という用語は、1または複数のデバイス、回路、および/または、コンピュータプログラム命令などのデータを処理するよう構成された処理コアを指すものとする。
【0017】
以下では、本発明の原理を示す図面を参照しつつ、本発明の1または複数の実施形態の詳細な説明を行う。本発明は、かかる実施形態に関連して説明されているが、どの実施形態にも限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定されるものであり、本発明は、多くの代替物、変形物、および、等価物を含む。以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細事項が記載されている。これらの詳細事項は、例示を目的としたものであり、本発明は、これらの具体的な詳細事項の一部または全てがなくとも特許請求の範囲に従って実施可能である。明確にするために、本発明に関連する技術分野で周知の技術事項については、本発明が必要以上にわかりにくくならないように、詳細には説明していない。
【0018】
半導体デバイスが、ますますパワフルになるにつれて、動作中に発せられる熱も増大する。例えば、モバイルデバイス(スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートブック、および、仮想現実デバイスなど)用のプロセッサは、高クロック速度で動作するが、かなりの量の熱を発生しうる。発生する熱の量のため、プロセッサは、比較的短期間しか最高速度で動作できない。この期間が経過した後、スロットリング(例えば、プロセッサのクロック速度の減速)が起きる。スロットリングは、熱の発生を低減できるが、プロセッサの速度ひいてはプロセッサを利用する機器の性能に悪影響を与える。技術が5G以降の世代に移行すると、この問題は、悪化すると予想される。
【0019】
より大型のデバイス(ラップトップまたはデスクトップコンピュータなど)は、回転翼を有する電動ファンを備える。内部の構成要素の温度上昇に応じて給電されうるファン。ファンは、より大型のデバイスを通して空気を駆動することで、内部の構成要素を冷却する。しかしながら、かかるファンは、典型的に、モバイルデバイス(スマートフォンなど)にとって、または、より薄いデバイス(タブレットコンピュータなど)にとって、大きすぎる。ファンは、空気の境界層が構成要素の表面に存在して、冷却したい高温表面における空気流の空気速度を制限することから、有効性が制限され、また、過剰な量のノイズを発生しうる。パッシブな冷却ソリューションは、熱交換器に熱を伝達するために、ヒートスプレッダならびにヒートパイプまたはベイパーチャンバなどの構成要素を含む。ヒートスプレッダは、ホットスポットでの温度上昇をいくぶん緩和するが、現在および将来のデバイスで発生する熱の量に十分に対処することができない。同様に、ヒートパイプまたはベイパーチャンバは、発生した過剰な熱を除去するのに十分な量の熱伝達を提供できない。
【0020】
コンピュータデバイスの様々な構成が、熱管理をさらに複雑にする。例えば、ラップトップなどのコンピュータデバイスは、しばしば、外部環境に対して開かれているが、スマートフォンなどの他のコンピュータデバイスは、一般に、外部環境に対して閉じられている。したがって、開いたデバイスのためのアクティブな熱管理ソリューション(ファンなど)が、閉じたデバイスに対しては不適切な場合がある。加熱された流体をコンピュータデバイスの内部から外部環境へ駆動するファンは、スマートフォンのような閉じたコンピュータデバイスにとって大きすぎる場合があり、提供する流量が制限されうる。また、閉じたコンピュータデバイスにファンを組み込むことができたとしても、閉じたコンピュータデバイスには、加熱された流体の流出口がない。そのため、かかる開いたデバイスのメカニズムによって提供される熱管理は、有効性が限られうる。開いたコンピュータデバイスについても、流入口および/または流出口の位置は、デバイスによって異なって構成されうる。例えば、ラップトップ内でファンによって駆動された流体流の流出口は、加熱された流体の流出物に触れる可能性のあるユーザの手またはその他の構造物から離れて配置されることが望ましい場合がある。かかる構成は、ユーザの不快感を防ぐだけでなく、ファンが所望の冷却を提供することを可能にする。別の構成を有する別のモバイルデバイスが、流入口および/または流出口を異なって構成することを必要とし、かかる熱管理システムの有効性を低下させ、かかる熱管理システムの利用を妨げる場合もある。したがって、コンピュータデバイスにおける冷却を改善するためのメカニズムが望まれている。
【0021】
同様に、サーバ、バッテリ、自動車部品、一部のモバイルデバイス、および、典型的に長期間にわたって使用されるその他の技術は、冷却されることが望ましい。かかる技術について、デバイスの定常状態動作中に生成される熱が、より大きい懸念でありうる。したがって、定常状態冷却ソリューションも望まれている。
【0022】
冷却素子および支持構造を備えたシステムについて説明する。冷却素子は、第1側と、第1側の反対側にある第2側と、を有する。冷却素子は、流体を第1側から第2側へ駆動するために、駆動された時に振動運動を行うよう構成されている。支持構造は、熱伝導によって冷却素子を熱発生構造に熱的に結合している。いくつかの実施形態において、支持構造は、さらに、下部プレートと、中にチャンバを形成する側壁と、を備える。冷却素子は、チャンバ内にある。下部プレートおよび/または側壁は、オリフィスを有する。冷却素子は、オリフィスを通して流体を駆動するよう駆動される。冷却素子の振動運動は、オリフィスを出る流体が少なくとも30メートル/秒の速度を有するように、流体を駆動しうる。支持構造は、さらに、ベントを有する上部プレートを備えてよい。冷却素子は、上部プレートと熱発生構造との間にある。したがって、上部チャンバが、冷却素子と上部プレートとの間に形成され、下部チャンバが、冷却素子と下部プレートとの間に形成されている。冷却素子は、中央領域および外周を有してよい。支持構造は、さらに、中央領域で冷却素子を支持するよう構成されているアンカを備えてよい。外周の少なくとも一部は、自由に振動運動を行うことができる。
【0023】
いくつかの実施形態において、システムは、支持構造と一体化されているヒートスプレッダを備える。ヒートスプレッダは、熱伝導によって支持構造および熱発生構造に熱的に結合されている。いくつかの実施形態において、支持構造は、オリフィスの少なくとも一部を出た流体がヒートスプレッダに当たってヒートスプレッダから熱を奪うように構成されている。ヒートスプレッダは、熱伝導によって熱発生構造から熱を奪う。冷却素子は、振動運動によって駆動された流体が冷却素子からの熱を奪うように構成されていてよい。いくつかの実施形態において、支持構造は、熱発生構造に熱伝導的に結合されているペデスタルを備える。熱発生構造は、集積回路、バッテリ、ヒートスプレッダ、および、ベイパーチャンバから選択されてよい。
【0024】
アクティブヒートシンクについて説明する。アクティブヒートシンクは、複数の冷却セルと、支持構造と、を備える。冷却セルの各々は、冷却素子と、少なくとも1つのベントを有する上部プレートと、下部プレートと、中にチャンバを形成する側壁と、アンカと、を備える。冷却素子は、上部プレートと下部プレートとの間のチャンバ内にある。下部プレートおよび/または側壁は、オリフィスを有する。冷却素子は、オリフィスを通して流体を駆動するために振動運動を行うよう駆動される。支持構造は、冷却セルと一体化されており、熱伝導によって冷却素子を熱発生構造に熱的に結合している。
【0025】
いくつかの実施形態において、冷却素子は、中央領域および外周を有する。かかる実施形態において、支持構造は、さらに、冷却素子の各々に対するアンカを備える。アンカは、中央領域で冷却素子を支持するよう構成されている。外周の少なくとも一部は、自由に振動運動を行うことができる。いくつかの実施形態において、アクティブヒートシンクは、支持構造と一体化されているヒートスプレッダを備える。ヒートスプレッダは、熱伝導によって支持構造および熱発生構造に熱的に結合されている。冷却素子は、振動運動によって駆動された流体が冷却素子からの熱を奪うように構成されていてよい。いくつかの実施形態において、支持構造は、さらに、熱発生構造を熱伝導的に接続するペデスタルを備える。いくつかの実施形態において、熱発生構造は、集積回路、バッテリ、ヒートスプレッダ、および、ベイパーチャンバから選択される。
【0026】
熱発生構造を冷却する方法について説明する。方法は、或る周波数の振動運動を引き起こすように冷却素子を駆動する工程を備える。冷却素子は、第1側と、第1側の反対側にある第2側と、を有する。冷却素子は、流体を第1側から第2側へ駆動するために、駆動された時に振動運動を行うよう構成されている。冷却素子は、熱発生構造に支持構造によって熱的に結合されている。支持構造は、熱伝導によって冷却素子を熱発生構造に熱的に結合している。いくつかの実施形態において、周波数は、冷却素子の構造共振と、冷却素子が存在するチャンバの少なくとも一部の音響共振と、に対応する。いくつかの実施形態において、冷却素子は、複数の冷却素子の内の1つである。かかる実施形態において、冷却素子を駆動する工程は、さらに、冷却素子の各々において振動運動を引き起こすように複数の冷却素子を駆動する工程を含む。冷却素子の各々は、熱伝導を介して熱発生構造に熱的に結合されている。いくつかの実施形態において、ヒートスプレッダが、支持構造と一体化されており、ヒートスプレッダは、熱発生構造に熱的に結合されている。
【0027】
図1A~
図1Fは、熱発生構造102と共に利用可能であり、アクティブヒートシンクを形成するアクティブ冷却システム100および100’の実施形態例を示す図である。明確にするために、特定の構成要素だけが図示されている。
図1A~
図1Fは、正確な縮尺ではない。対称に図示されているが、冷却システム100および/または100’は、対称である必要はない。
図1A~
図1Eは、冷却システムの一実施形態の様々な態様を示している。
図1Fは、冷却システムの別の実施形態100’を示している。
【0028】
冷却システム100は、冷却素子120および支持構造170を備える。
図1A~
図1Eに示す実施形態において、支持構造170は、ベント112を有する上部プレート110と、オリフィス132を有するオリフィスプレート130と、アンカ160と、ペデスタル172と、側壁174と、を備える。冷却素子120は、支持構造170の内部を、上部チャンバ140および下部チャンバ150に分割している。チャンバ140および150(集合的に、チャンバ140/150)は、オリフィスプレートすなわち下部プレート130、上部プレート110、および、側壁174の中に形成されている。基板支持体170は、ペデスタル172を介して熱発生構造102へ熱的に結合されている。ペデスタル172は、さらに、オリフィスプレート130と熱発生構造102との間を流体が流れるための空間(すなわち、ジェットチャネル)を提供する。いくつかの実施形態において、熱発生構造102は、冷却システム100から離れている。いくつかの実施形態において、熱発生構造102は、支持構造170と一体化されてもよい。かかる実施形態において、熱発生構造102は、ペデスタル172、オリフィスプレート130、および、アンカ160を介して冷却素子へ熱的かつ機械的に結合されているヒートスプレッダであってよい。したがって、熱発生構造(すなわち、ヒートスプレッダ)102は、伝導によって集積回路103(または、熱を発生するその他の構造)から熱を奪う。この熱は、伝導によってペデスタル172を通して冷却システム100の他の部分へ伝熱されうる。
【0029】
冷却素子120は、その中央領域でアンカ160によって支持されている。冷却素子の外周の一部(例えば、チップ123)に近く、外周の一部を含む冷却素子120の領域が、作動時に振動する。いくつかの実施形態において、冷却素子120のチップ123は、アンカ160から最も遠い外周の部分を含み、冷却素子120の作動中に最大のたわみを受ける。明確にするために、冷却素子120の1つのチップ123のみが、
図1Aで符号を付されている。
【0030】
図1Aは、中立位置にある冷却システム100を示している。したがって、冷却素子120は、実質的に平坦である様子が示されている。同相動作中、冷却素子120は、
図1Bおよび
図1Cに示す位置の間で振動するように駆動される。この振動運動は、流体(例えば、空気)をベント112に引き込んで、チャンバ140および150を通過させ、高速および/または高流量でオリフィス132から流出させる。例えば、流体が熱発生構造102に衝突する速度は、少なくとも30メートル/秒でありうる。いくつかの実施形態において、流体は、少なくとも45メートル/秒の速度で熱発生構造102に向かうように冷却素子120によって駆動される。いくつかの実施形態において、流体は、少なくとも60メートル/秒の速度で熱発生構造102に向かうように冷却素子120によって駆動される。その他の速度も、いくつかの実施形態において可能でありうる。また、冷却システム100は、冷却素子120の振動運動によってオリフィス132を通してチャンバ140/150に戻る流体がほとんどまたは全くないように構成されている。
【0031】
図の実施形態において、熱発生構造102は、集積回路103へ熱的に接続されているヒートスプレッダまたはベイパーチャンバである。したがって、集積回路103が熱を発生させ、その熱は、熱発生構造(すなわち、ヒートスプレッダ)102へ伝熱される。したがって、集積回路103が、熱発生構造であると見なされてもよい。図の実施形態において、熱は、伝導によって集積回路103とヒートスプレッダ102との間で伝熱される。いくつかの実施形態において、さらなる構造が、熱発生構造102と集積回路103との間に挿入されてもよい。例えば、さらなるヒートスプレッダおよび/またはベイパーチャンバが存在してよい。冷却システム100が、構造102へ熱的に結合されており、構造102を冷却するので、構造102は、熱発生構造として記載されている。ただし、図の実施形態において、熱発生構造102の冷却は、集積回路103によって生成された熱を管理するためのメカニズムである。いくつかの実施形態において、熱発生構造102は、熱を発生させる。例えば、熱発生構造102は、集積回路(集積回路103など)であってよい。かかる一実施形態は、熱発生構造102を省略しまたは集積回路103を省略するものと見なされてよい。いくつかの実施形態において、熱発生構造102は、冷却されることが望ましいが、それ自体は熱を発生しない。熱発生構造102は、(例えば、熱を発生させる近くの物体(集積回路103など)からの)熱を伝導しうる。したがって、熱発生構造102は、
図1A~
図1Fに示すようにヒートスプレッダまたはベイパーチャンバであってよい。いくつかのかかる実施形態において、熱発生構造102は、冷却システム100を含むモジュールの熱伝導部分であってよい。例えば、冷却システム100は、熱発生構造102に固定されていてよく、熱発生構造102は、別のヒートシンク、ベイパーチャンバ、集積回路103、または、冷却されることが望ましいその他の別個の構造へ結合されていてよい。集積回路103の文脈で記載されているが、冷却システム100は、別の構成要素またはデバイスを冷却するために用いられてもよい。例えば、熱発生構造102または集積回路103は、プロセッサなどの個々の集積回路構成要素、他の集積回路、ならびに/もしくは、チップパッケージを含む半導体構成要素、センサ、光学デバイス、1または複数のバッテリ、コンピュータデバイスなどの電子デバイスのその他の構成要素、ヒートスプレッダ、ヒートパイプ、冷却が望まれるその他の電子構成要素および/またはその他のデバイス、を含んでよく、または、それらで置き換えられてよい。
【0032】
また、冷却システム100が利用されることが望ましいデバイスは、冷却システムを配置する空間が限られている場合がある。例えば、冷却システム100は、コンピュータデバイスで用いられてよい。かかるコンピュータデバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、2in1ラップトップ、携帯型ゲームシステム、デジタルカメラ、仮想現実ヘッドセット、拡張現実ヘッドセット、複合現実ヘッドセット、および、その他の薄いデバイス、を含みうるが、これらに限定されない。冷却システム100は、モバイルコンピュータデバイスおよび/または少なくとも1つの寸法で空間が限られているその他のデバイスの中に設置可能な微小電気機械システム(MEMS)冷却システムであってよい。例えば、冷却システム100の全体高さ(熱発生構造102の上部から上部プレート110の上部まで)は、2ミリメートル未満であってよい。いくつかの実施形態において、冷却システム100の全体高さは、1.5ミリメートル以下であってもよい。いくつかの実施形態において、この全体高さは、1.1ミリメートル以下である。いくつかの実施形態において、全体高さは、1ミリメートル以下である。いくつかの実施形態において、全体高さは、250マイクロメートル以下である。同様に、オリフィスプレート130の底部と熱発生構造102の上部との間の距離yは、小さくてよい。いくつかの実施形態において、yは、200マイクロメートル以上かつ1ミリメートル以下である。いくつかの実施形態において、yは、200マイクロメートル以上かつ300マイクロメートル以下である。したがって、冷却システム100は、コンピュータデバイスおよび/または少なくとも1つの寸法で空間が限られているその他のデバイスで利用可能である。ただし、空間の制限があまりないデバイスで、および/または、冷却以外の目的で、冷却システム100を利用することを妨げるものではない。1つの冷却システム100が図示されているが(例えば、1つの冷却セル)、複数の冷却システム100が、熱発生構造102に関連して利用されてもよい。例えば、一次元アレイまたは二次元アレイの冷却セルが用いられてよい。
【0033】
冷却システム100は、熱発生構造102を冷却するために用いられる流体と連通する。流体は、気体または液体であってよい。例えば、流体は、空気であってよい。いくつかの実施形態において、流体は、冷却システム100が存在するデバイスの外側からの(例えば、デバイスにおける外部ベントを通して提供された)流体を含む。いくつかの実施形態において、流体は、冷却システムが存在するデバイス内で(例えば、密閉されたデバイス内で)循環する。
【0034】
冷却素子120は、アクティブ冷却システム100の内部を、上部チャンバ140および下部チャンバ150に分割していると考えることができる。上部チャンバ140は、冷却素子120、側面、および、上部プレート110によって形成されている。下部チャンバ150は、オリフィスプレート130、側面、冷却素子120、および、アンカ160によって形成されている。上部チャンバ140および下部チャンバ150は、冷却素子120の外周で接続され、共にチャンバ140/150(例えば、冷却システム100の内部チャンバ)を形成している。
【0035】
上部チャンバ140のサイズおよび構成は、セル(冷却システム100)の寸法、冷却素子120の運動、および、動作周波数の関数であってよい。上部チャンバ140は、高さh1を有する。上部チャンバ140の高さは、所望の流量および/または速度で、オリフィス132を通して下部チャンバ150へ流体を駆動するのに十分な圧力を提供するよう選択されてよい。また、上部チャンバ140は、冷却素子120が作動時に上部プレート110に接触しない十分な高さを有する。いくつかの実施形態において、上部チャンバ140の高さは、50マイクルメートル以上かつ500マイクロメートル以下である。いくつかの実施形態において、上部チャンバ140は、200マイクロメートル以上かつ300マイクロメートル以下の高さを有する。
【0036】
下部チャンバ150は、高さh2を有する。いくつかの実施形態において、下部チャンバ150の高さは、冷却素子120の運動を許容するのに十分である。したがって、冷却素子120のどの部分も、通常動作中にオリフィスプレート130に接触しない。下部チャンバ150は、一般に、上部チャンバ140よりも小さく、オリフィス132への流体の逆流を低減するのに役立ちうる。いくつかの実施形態において、下部チャンバ150の高さは、(冷却素子120の最大たわみ)+(5マイクロメートル以上かつ10マイクロメートル以下)である。いくつかの実施形態において、冷却素子120のたわみ(例えば、チップ123のたわみ)zは、10マイクロメートル以上かつ100マイクロメートル以下の振幅を有する。いくつかのかかる実施形態において、冷却素子120のたわみの振幅は、10マイクロメートル以上かつ60マイクロメートル以下である。ただし、冷却素子120のたわみの振幅は、冷却システム100を通した所望の流量および冷却システム100の構成などの要素に依存する。したがって、下部チャンバ150の高さは、一般に、冷却システム100を通した流量および冷却システム100のその他の構成要素に依存する。
【0037】
上部プレート110は、流体が冷却システム100に引き込まれる際に通りうるベント112を備える。上部ベント112は、チャンバ140における所望の音圧に基づいて選択されたサイズを有してよい。例えば、いくつかの実施形態において、ベント112の幅wは、500マイクロメートル以上かつ1000マイクロメートル以下である。いくつかの実施形態において、ベント112の幅は、250マイクロメートル以上かつ2000マイクロメートル以下である。図の実施形態において、ベント112は、上部プレート110の中心に配置された開口部である。別の実施形態において、ベント112は、他の場所に配置されてもよい。例えば、ベント112は、上部プレート110の端部の1つにより近くてもよい。ベント112は、円形、長方形、または、その他の形状のフットプリントを有してよい。単一のベント112が図示されているが、複数のベントが用いられてもよい。例えば、ベントは、上部チャンバ140の縁部に向かってオフセットされてよく、または、上部チャンバ140の側面に配置されてよい。上部プレート110は実質的に平坦であると図示されているが、いくつかの実施形態において、トレンチおよび/またはその他の構造が、上部チャンバ140の構成および/または上部プレート110の上方の領域を変更するために、上部プレート110に提供されてもよい。
【0038】
冷却素子120は、固定領域122および片持ちアーム121を備える。簡単のために、固定領域122および片持ちアーム121は、
図1Aおよび
図1Fでのみ符号が付されている。固定領域122は、冷却システム100内でアンカ160によって支持(例えば、所定位置に保持)されている。片持ちアーム121は、冷却素子120が駆動されることに応じて、振動運動を行う。
図1A~
図1Fに示す実施形態において、固定領域122は、冷却素子120および120’の軸に沿って中央に配置されている。他の実施形態において、固定領域122が、アクチュエータの一方の端部にあり、外側領域128が、反対側の端部にあってもよい。かかる実施形態において、冷却素子120は、端部を固定される。均一な厚さを有するように図示されているが、いくつかの実施形態において、冷却素子120は、変化する厚さを有してもよい。例えば、冷却素子120は、後述する冷却素子120’で置き換えられてもよい。
【0039】
アンカ160は、冷却素子120の中央部分で冷却素子120を支持している。したがって、冷却素子120の外周の少なくとも一部は、固定されておらず、自由に振動する。いくつかの実施形態において、アンカ160は、冷却素子120の中心軸に沿って(例えば、
図1A~
図1Fにおいて紙面と垂直に)伸びている。いくつかの実施形態において、振動する冷却素子120の一部(例えば、チップ123を含む片持ちアーム121)が、片持ち状態で運動する。したがって、冷却素子120の片持ちアーム121は、蝶の翅に類似した方法で(すなわち、同じ位相で)、および/または、シーソーに類似した方法で(すなわち、異なる位相で)運動してよい。したがって、片持ち状態で振動する冷却素子120の片持ちアーム121は、いくつかの実施形態では同じ位相で、そして、他の実施形態では異なる位相で振動する。いくつかの実施形態において、アンカ160は、冷却素子120の軸に沿って伸びていない。かかる実施形態では、冷却素子120の外周のすべての部分が、自由に振動する(例えば、クラゲに類似する)。図の実施形態において、アンカ160は、冷却素子120の底部から冷却素子120を支持している。他の実施形態において、アンカ160は、別の方法で冷却素子120を支持してもよい。例えば、アンカ160は、上部から冷却素子120を支持してもよい(例えば、冷却素子120が、アンカ160からぶら下がっている)。かかる一実施形態は、
図1Fの文脈で図示および説明されている。いくつかの実施形態において、アンカ160の幅aは、0.5ミリメートル以上かつ4ミリメートル以下である。いくつかの実施形態において、アンカ160の幅は、2ミリメートル以上かつ2.5ミリメートル以下である。アンカ160は、冷却素子120の10パーセント以上かつ50パーセント以下を占めてよい。
【0040】
冷却素子120は、第1側および第2側を有する。いくつかの実施形態において、第1側は、熱発生構造102から遠位にあり、第2側は、熱発生構造102の近位にある。
図1A~
図1Fに示す実施形態において、冷却素子120の第1側は、(上部プレート110に近い)冷却素子120の上部であり、第2側は、(オリフィスプレート130に近い)冷却素子120の底部である。冷却素子120は、
図1A~
図1Fに示すように、振動運動を行うよう駆動される。冷却素子120の振動運動は、(例えば、熱発生構造102/上部チャンバ140から遠位にある)冷却素子120の第1側から、(例えば、熱発生構造102/下部チャンバ150の近位にある)冷却素子120の第2側へ、流体を駆動する。冷却素子120の振動運動は、ベント112を通して上部チャンバ140へ流体を引き込み、上部チャンバ140から下部チャンバ150へ流体を送り、下部チャンバ150からオリフィスプレート130のオリフィス132を通して流体を駆動する。さらに、冷却素子120およびオリフィス132は、ジェットチャネルから下部チャンバ150への流体の逆流を低減するよう構成されてよい。したがって、冷却素子120は、アクチュエータと見なされてよい。単一の連続的な冷却素子の文脈で記載されているが、いくつかの実施形態において、冷却素子120は、2(または3以上)の冷却素子によって形成されてもよい。冷却素子の各々は、固定された(例えば、アンカ160によって支持された)一方の部分と、固定されていない反対側の部分とを有する。したがって、中央を支持された単一の冷却素子120が、端部で支持された複数の冷却素子の組みあわせによって形成されうる。
【0041】
冷却素子120は、冷却素子120が振動する際の所望の周波数に依存する長さLを有する。いくつかの実施形態において、冷却素子120の長さは、4ミリメートル以上かつ10ミリメートル以下である。いくつかのかかる実施形態において、冷却素子120は、6ミリメートル以上かつ8ミリメートル以下の長さを有する。冷却素子120の奥行き(例えば、
図1A~
図1Fに示す紙面に垂直な奥行き)は、Lの4分の1からLの2倍まで様々であってよい。例えば、冷却素子120は、長さと同じ奥行きを有してよい。冷却素子120の厚さtは、冷却素子120の構成および/または冷却素子120が駆動される際の所望の周波数に基づいて、異なってよい。いくつかの実施形態において、8ミリメートルの長さを有し、20キロヘルツ以上かつ25キロヘルツ以下の周波数で駆動される冷却素子120について、冷却素子の厚さは、200マイクロメートル以上かつ350マイクロメートル以下である。チャンバ140/150の長さCは、冷却素子120の長さLに近い。例えば、いくつかの実施形態において、冷却素子120の端部と、チャンバ140/50の壁との間の距離dは、100マイクロメートル以上かつ500マイクロメートル以下である。いくつかの実施形態において、dは、200マイクロメートル以上かつ300マイクロメートル以下である。
【0042】
冷却素子120は、上部チャンバ140における流体の圧力波の音響共振の共振周波数および冷却素子120の構造共振の共振周波数の両方と同じまたは近い周波数で駆動されてよい。振動運動を行う冷却素子120の部分は、冷却素子120の共振(「構造共振」)でまたはその付近で駆動される。振動を行う冷却素子120のこの部分は、いくつかの実施形態において、1または複数の片持ちアーム121であってよい。構造共振の振動の周波数は、構造共振周波数と呼ばれている。冷却素子120を駆動する際に構造共振周波数を利用することは、冷却システム100の電力消費を削減する。また、冷却素子120および上部チャンバ140は、この構造共振周波数が、上部チャンバ140を通して駆動される流体中の圧力波における共振(上部チャンバ140の音響共振)に対応するように構成されていてよい。かかる圧力波の周波数は、音響共振周波数と呼ばれている。音響共振時に、圧力の節が、ベント112の近くで発生し、圧力の腹が、冷却システム100の外周の近く(例えば、冷却素子120のチップ123の近く、かつ、上部チャンバ140と下部チャンバ150との間の接続の近く)で発生する。これらの2つの領域の間の距離は、C/2である。したがって、C/2=nλ/4であり、ここで、λは、流体の音波長であり、nは、奇数(例えば、n=1、3、5、など)である。最低次モードに対しては、C=λ/2である。チャンバ140の長さ(例えば、C)は、冷却素子120の長さに近いので、いくつかの実施形態において、L/2=nλ/4もほぼ正しく、ここで、λは流体の音波長であり、nは奇数である。したがって、冷却素子120が駆動される周波数γは、冷却素子120の構造共振周波数と同じまたは近い周波数である。周波数γは、少なくとも上部チャンバ140の音響共振周波数と同じまたは近い周波数である。上部チャンバ140の音響共振周波数は、一般に、温度およびサイズなどのパラメータによる変化が、冷却素子120の構造共振周波数ほどは著しくない。したがって、いくつかの実施形態において、冷却素子120は、音響共振周波数よりも、構造共振周波数で(またはその近くの周波数で)駆動されてよい。
【0043】
オリフィスプレート130は、オリフィス132を有する。特定の数および分布のオリフィス132が図示されているが、別の数、別の位置、および/または、別の分布が用いられてもよい。単一のオリフィスプレート130が、単一の冷却システム100のために用いられている。他の実施形態において、複数の冷却システム100が、オリフィスプレートを共有してもよい。例えば、複数のセル100が、所望の構成で一緒に提供されてよい。かかる実施形態において、セル100は、同じサイズおよび構成であってもよいし、異なるサイズおよび/または構成であってもよい。オリフィス132は、熱発生構造102の表面と垂直に方向付けられた軸を有する様子が示されている。他の実施形態において、1または複数のオリフィス132の軸は、別の角度であってもよい。例えば、軸の角度は、略ゼロ度および非ゼロの鋭角から選択されてよい。また、オリフィス132は、オリフィスプレート130の表面の法線と実質的に平行である側壁を有する。いくつかの実施形態において、オリフィスは、オリフィスプレート130の表面の法線に対して非ゼロの角度の側壁を有してもよい。例えば、オリフィス132は、円錐形であってもよい。さらに、オリフィスプレース130は実質的に平坦であると図示されているが、いくつかの実施形態において、トレンチおよび/またはその他の構造が、下部チャンバ150の構成および/またはオリフィスプレート130と熱発生構造102との間の領域を変更するために、オリフィスプレート130に提供されてもよい。
【0044】
オリフィス132のサイズ、分布、および、位置は、熱発生構造102の表面へ駆動される流体の流量を制御するように選択される。オリフィス132の位置および構成は、下部チャンバ150からオリフィス132を通ってジェットチャネル(オリフィスプレート130の底部と熱発生構造102の上部との間の領域)へ至る流体流を増大/最大化するよう構成されていてよい。また、オリフィス132の位置および構成は、ジェットチャネルからオリフィス132を通る吸引流(例えば、逆流)を低減/最小化するよう選択されてよい。例えば、オリフィスの位置は、オリフィス132を通して下部チャンバ150に流体を引き込む冷却素子120のアップストローク(チップ123がオリフィスプレート13から離れるストローク)時の吸引が低減されるのに十分にチップ123から離れていることが望ましい。また、オリフィスの位置は、冷却素子120のアップストローク時の吸引により、上部チャンバ140からのより高い圧力が流体を上部チャンバ140から下部チャンバ150へ押すことが可能になるように十分にチップ123に近いことが望ましい。いくつかの実施形態において、アップストローク時に、上部チャンバ140から下部チャンバ150への流量と、ジェットチャネルからオリフィス132を通る流量との比(「正味流量比」)は、2:1よりも大きい。いくつかの実施形態において、正味流量比は、少なくとも85:15である。いくつかの実施形態において、正味流量比は、少なくとも90:10である。所望の圧力、流量、吸引、および、正味流量比を提供するには、オリフィス132は、冷却素子120のチップ123から距離r1以上、かつ、チップ123から距離r2以下にあることが望ましい。いくつかの実施形態において、r1は、100マイクロメートル以上であり(例えば、r1≧100μm)、r2は、1ミリメートル以下である(例えば、r2≦1000μm)。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、冷却素子120のチップ123から200マイクロメートル以上の位置にある(例えば、r1≧200μm)。いくつかのかかる実施形態において、オリフィス132は、冷却素子120のチップ123から300マイクロメートル以上の位置にある(例えば、r1≧300μm)。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、100マイクロメートル以上かつ500マイクロメートル以下の幅を有する。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、200マイクロメートル以上かつ300マイクロメートル以下の幅を有する。いくつかの実施形態において、オリフィスの間隔sは、100マイクロメートル以上かつ1ミリメートル以下である。いくつかのかかる実施形態において、オリフィスの間隔は、400マイクロメートル以上かつ600マイクロメートル以下である。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、また、オリフィスプレート130の面積の特定のわずかな部分を占めることが望ましい。例えば、オリフィス132は、オリフィス132を通る流体の所望の流量を達成するために、オリフィスプレート130のフットプリントの5パーセン以上かつ15パーセント以下を占めてよい。いくつかの実施形態において、オリフィス132は、オリフィスプレート130のフットプリントの8パーセント以上かつ12パーセント以下を占める。
【0045】
いくつかの実施形態において、冷却素子120は、圧電体を用いて駆動される。したがって、冷却素子120は、圧電型冷却素子であってよい。冷却素子120は、冷却素子120に取り付けられまたは一体化されている圧電体によって駆動されてよい。いくつかの実施形態において、冷却素子120は、冷却システム100内の別の構造上に圧電体を提供することを含むがこれに限定されない別の方法で駆動される。以下では、冷却素子120および類似の冷却素子を圧電型冷却素子と呼ぶが、圧電体以外のメカニズムが冷却素子を駆動するために用いられうる可能性もある。いくつかの実施形態において、冷却素子120は、基板上に圧電体層を備える。基板は、ステンレス鋼、Ni合金、ハステロイ、Al(例えば、Al合金)、および/または、Ti(例えば、Ti6Al-4VなどのTi合金)を含んでよく、または、それらからなっていてよい。いくつかの実施形態において、圧電体層は、基板上に薄膜として形成された複数のサブ層を含む。他の実施形態において、圧電体層は、基板に付着されたバルク層であってよい。かかる圧電型冷却素子120は、さらに、圧電体を活性化するために用いられる電極を備える。基板は、いくつかの実施形態において、電極として機能する。他の実施形態において、下部電極が、基板と圧電体層との間に提供されてもよい。シード層、キャッピング層、不動態化層、または、その他の層を含むがこれらに限定されないその他の層が、圧電型冷却素子に備えられてもよい。このように、冷却素子120は、圧電体を用いて作動されてよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、冷却システム100は、導管(chimney)(図示せず)またはその他のダクトを備える。かかるダクトは、加熱された流体が熱発生構造102から離れるように流れるための経路を提供する。いくつかの実施形態において、ダクトは、熱発生構造102から遠位の上部プレート110の側に流体を戻す。いくつかの実施形態において、ダクトは、その代わりに、熱発生構造102に平行な方向へ、または、熱発生構造102に垂直であるが反対方向へ(例えば、紙面の下方に向かって)、熱発生構造102から離れるように流体を方向付けてもよい。デバイスの外部の流体が冷却システム100で用いられるデバイスでは、ダクトは、加熱された流体をベントに導いてよい。かかる実施形態において、さらなる流体が、流入ベントから提供されてもよい。デバイスが密閉されている実施形態において、ダクトは、ベント112に近く熱発生構造102から遠い領域に戻る遠回りの経路を提供してよい。かかる経路は、熱発生構造102の冷却に再利用される前に、流体が熱を放散することを可能にする。他の実施形態において、ダクトは、省略され、または、別の方法で構成されてもよい。このように、流体は、熱発生構造102から熱を取り除くことが可能になる。
【0047】
冷却システム100の動作について、
図1A~
図1Eの文脈で説明する。特定の圧力、ギャップサイズ、および、流れのタイミングの文脈で説明されているが、冷却システム100の動作は、本明細書の説明には依存しない。
図1B~
図1Cは、冷却システム100の同相動作を図示している。
図1Bを参照すると、冷却素子120は、片持ちアーム121およびチップ123が上部プレート110から離れて動くように、作動されている。したがって、
図1Bは、冷却素子120のダウンストロークの終わりを図示していると考えることができる。冷却素子120の振動運動のために、下部チャンバ150のギャップ152は、サイズが減少しており、ギャップ152Bとして示されている。逆に、上部チャンバ140のギャップ142は、サイズが増大し、ギャップ142Bとして示されている。ダウンストローク中、冷却素子120が中立位置にある時の外周において、より低い(例えば、最小の)圧力が発生する。ダウンストロークが継続すると、
図1Bに示すように、下部チャンバ150のサイズが減少し、上部チャンバ140のサイズが増大する。したがって、流体は、オリフィスプレート130の表面および/または熱発生構造102の上面と垂直の方向またはそれに近い方向へ、オリフィス132から駆動される。流体は、オリフィス132から(熱発生構造102に向かって)高速で(例えば、35メートル/秒を超える速度で)駆動される。したがって、流体は、本明細書に記載されている高速でオリフィス132を出る。いくつかの実施形態において、流体は、その後、熱発生構造102の表面に沿って熱発生構造102の外周に向かって移動し、そこでの圧力は、オリフィス132付近よりも低い。また、ダウンストローク中、上部チャンバ140のサイズは増大し、より低い圧力が上部チャンバ140に存在する。結果として、流体は、ベント112を通して上部チャンバ140へ引き込まれる。ベント112内に入ってオリフィス132を通り熱発生構造102に沿って流れる流体の動きが、
図1Bに符号なしの矢印で示されている。
【0048】
また、冷却素子120は、片持ちアーム121ひいてはチップ123が熱発生構造102から離れて上部プレート110に向かって動くように駆動される。したがって、
図1Cは、冷却素子120のアップストロークの終わりを図示していると考えることができる。冷却素子120の運動のために、ギャップ142は、サイズが減少しており、ギャップ142Cとして示されている。ギャップ152は、サイズが増大し、ギャップ152Cとして示されている。アップストローク中、冷却素子120が中立位置にある時の外周において、より高い(例えば、最大の)圧力が発生する。アップストロークが継続すると、
図1Cに示すように、下部チャンバ150のサイズが増大し、上部チャンバ140のサイズが減少する。したがって、流体は、上部チャンバ140(例えば、チャンバ140/150の外周)から下部チャンバ150へ駆動される。このように、冷却素子120のチップ123が上方に動くと、上部チャンバ140は、入ってくる流体が速度を増して下部チャンバ150へ向かって駆動されるためのノズルとして機能する。下部チャンバ150への流体の動きが、
図1Cに符号なしの矢印で示されている。冷却素子120およびオリフィス132の位置および構成は、吸引を低減し、ひいては、アップストローク中の(熱発生構造102とオリフィスプレート130との間の)ジェットチャネルからオリフィス132への流体の逆流を低減するように選択される。したがって、冷却システム100は、ジェットチャネルから下部チャンバ140に入る加熱流体の逆流を過度に引き起こすことなしに、上部チャンバ140から下部チャンバ150へ流体を駆動することができる。さらに、冷却システム100は、冷却素子120が上部プレート110にもオリフィスプレート130にも接触することなしに、流体が、ベント112を通して引き込まれ、オリフィス132を通して送り出されるように動作しうる。したがって、流体が、本明細書に記載されているように冷却システム100を通して駆動されるように、ベント112およびオリフィス132を効果的に開閉する圧力が、チャンバ140および150内で発生する。
【0049】
図1Bおよび
図1Cに示す位置の間の運動は繰り返される。したがって、冷却素子120は、
図1A~
図1Cに示す振動運動を行うことで、ベント112を通して上部プレート110の遠位側から上部チャンバ140内に流体を引き込み、上部チャンバ140から下部チャンバ150へ流体を送り、オリフィス132を通して熱発生構造102へ向かって流体を押し出す。上述のように、冷却素子120は、冷却素子120の構造共振周波数またはそれに近い周波数で振動するように駆動される。いくつかの実施形態において、これは、片持ちアーム121の構造共振に対応する。さらに、冷却素子120の構造共振周波数は、チャンバ140/150の音響共振と一致するよう構成されている。構造共振周波数および音響共振周波数は、一般に、超音波領域にあるように選択される。例えば、冷却素子120の振動運動は、15kHz~30kHzの周波数の運動であってよい。いくつかの実施形態において、冷却素子120は、20kHz以上かつ30kHz以下の周波数で振動する。冷却素子120の構造共振周波数は、冷却システム100の音響共振周波数の10パーセント以内である。いくつかの実施形態において、冷却素子120の構造共振鳴周波数は、冷却システム100の音響共振周波数の5パーセント以内である。いくつかの実施形態において、冷却素子120の構造共振鳴周波数は、冷却システム100の音響共振周波数の3パーセント以内である。結果として、効率および流量が高められうる。ただし、その他の周波数が用いられてもよい。
【0050】
熱発生構造102に向かって駆動された流体は、熱発生構造102の上面と実質的に垂直(鉛直)に移動しうる。いくつかの実施形態において、流体の動きは、熱発生構造102の上面の法線に対して非ゼロの鋭角を有してもよい。いずれの場合でも、流体は、熱発生構造102に衝突し、熱発生構造102において流体の境界層で薄くなりおよび/または孔を形成しうる。結果として、熱発生構造102からの熱の伝達が改善されうる。流体は、熱発生構造102で逸れて、熱発生構造102の表面に沿って移動する。いくつかの実施形態において、流体は、熱発生構造102の上面と実質的に平行な方向に移動する。したがって、熱発生構造102からの熱が、流体によって抽出されうる。流体は、冷却システム100の端部において、オリフィスプレート130と熱発生構造102との間の領域から出る。冷却システム100の端部にある導管またはその他のダクト(図示せず)が、熱発生構造102から流体を運び去ることを可能にする。他の実施形態において、加熱された流体は、別の方法で熱発生構造102から遠くへ移動されてもよい。流体は、熱発生構造102から伝達された熱を別の構造または周囲環境へ交換しうる。したがって、上部プレート110遠位端側の流体は、比較的冷たいままでありうるため、さらなる熱の除去を可能にする。いくつかの実施形態において、流体は循環されて、冷却後に上部プレート110の遠位側に戻る。他の実施形態において、加熱された流体は運び去られて、冷却素子120の遠位側で新たな流体に置き換えられる。結果として、熱発生構造102は、冷却されうる。
【0051】
図1D~
図1Eは、中央を固定された冷却素子120を備えたアクティブ冷却システム100の実施形態を示しており、冷却素子が異なる位相で駆動されている。より具体的には、アンカ160の両側にある(したがって、アンカ160によって支持されている冷却素子120の中央固定領域122の両側にある)冷却素子120の片持ちアーム121が、異なる位相で振動するように駆動されている。いくつかの実施形態において、アンカ160の両側にある冷却素子120の片持ちアーム121は、180度または180度近くずれた位相で駆動される。したがって、冷却素子120の一方の片持ちアーム121が、上部プレート110に向かって振動し、それと同時に、冷却素子120の他方の片持ちアーム121が、オリフィスプレート130/熱発生構造102に向かって振動する。冷却素子120の片持ちアーム121の上部プレート110に向かう動き(アップストローク)は、上部チャンバ140内の流体をアンカ160のその側の下部チャンバ150へ駆動する。冷却素子120の部分のオリフィスプレート130に向かう動きは、オリフィス132を通って熱発生構造102に向かうように流体を駆動する。したがって、高速(例えば、同相動作に関して上述した速度)で移動する流体が、アンカ160の両側のオリフィス132から交互に駆動される。流体の運動は、
図1Dおよび
図1Eに符号なしの矢印で示されている。
【0052】
図1Dおよび
図1Eに示す位置の間の運動は繰り返される。したがって、冷却素子120は、
図1A、
図1D、および、
図1Eに示す振動運動を行うことで、交互に、冷却素子120の各側についてベント112を通して上部プレート110の遠位側から上部チャンバ140内に流体を引き込み、上部チャンバ140の各側から下部チャンバ150の対応する側へ流体を送り、アンカ160の各側のオリフィス132を通して熱発生構造102へ向かって流体を押し出す。上述のように、冷却素子120は、冷却素子120の構造共振周波数またはそれに近い周波数で振動するように駆動される。さらに、冷却素子120の構造共振周波数は、チャンバ140/150の音響共振と一致するよう構成されている。構造共振周波数および音響共振周波数は、一般に、超音波領域にあるように選択される。例えば、冷却素子120の振動運動は、同相振動について記載した周波数の運動であってよい。冷却素子120の構造共振周波数は、冷却システム100の音響共振周波数の10パーセント以内である。いくつかの実施形態において、冷却素子120の構造共振鳴周波数は、冷却システム100の音響共振周波数の5パーセント以内である。いくつかの実施形態において、冷却素子120の構造共振鳴周波数は、冷却システム100の音響共振周波数の3パーセント以内である。結果として、効率および流量が高められうる。ただし、その他の周波数が用いられてもよい。
【0053】
異相振動中に熱発生構造102に向かって駆動された流体は、同相動作について上述したのと類似した方法で、熱発生構造102の上面と実質的に垂直(鉛直)に移動しうる。同様に、冷却システム100の端部にある導管またはその他のダクト(図示せず)が、熱発生構造102から流体を運び去ることを可能にする。他の実施形態において、加熱された流体は、別の方法で熱発生構造102から遠くへ移動されてもよい。流体は、熱発生構造102から伝達された熱を別の構造または周囲環境へ交換しうる。したがって、上部プレート110遠位端側の流体は、比較的冷たいままでありうるため、さらなる熱の除去を可能にする。いくつかの実施形態において、流体は循環されて、冷却後に上部プレート110の遠位側に戻る。他の実施形態において、加熱された流体は運び去られて、冷却素子120の遠位側で新たな流体に置き換えられる。結果として、熱発生構造102は、冷却されうる。
【0054】
同相振動または異相振動のために駆動される冷却システム100を用いると、ベント112を通して引き込まれてオリフィス132を通して駆動された流体が、熱発生構造102から熱を効率的に放散させうる。流体は、十分な速度(例えば、少なくとも30メートル/秒)で、いくつかの実施形態においては熱発生構造に対して実質的に垂直に、熱発生構造に衝突するので、熱発生構造における流体の境界層は、薄くなり、および/または、部分的に除去されうる。その結果、熱発生構造102と、移動する流体との間の熱伝達が改善される。熱発生構造が、より効率的に冷却されるので、対応する集積回路は、より高い速度および/または電力で長時間にわたって動作されてよい。例えば、熱発生構造が高速度プロセッサに対応する場合、かかるプロセッサは、スロットリングまでに、より長時間にわたって実行されてよい。したがって、冷却システム100を利用するデバイスの性能が改善されうる。さらに、冷却システム100は、MEMSデバイスであってよい。その結果として、冷却システム100は、スマートフォン、その他の携帯電話、仮想現実ヘッドセット、タブレット、2in1コンピュータ、ウェアラブル、携帯ゲーム機など、利用可能なスペースか限られている、より小型および/またはモバイル型のデバイスでの利用に適しうる。したがって、かかるデバイスの性能は改善されうる。冷却素子120は、15kHz以上の周波数で振動されてよいので、ユーザは、冷却素子の作動に関連するノイズを全く聞きえない。構造共振周波数および/または音響共振周波数と同じまたは近い周波数で駆動された場合、冷却システムを動作させる際に用いられる電力が、大幅に低減されうる。冷却素子120は、振動中に上部プレート110ともオリフィスプレート130とも物理的に接触しない。したがって、冷却素子120の共振は、より容易に維持されうる。より具体的には、冷却素子120とその他の構との間の物理的接触は、冷却素子120の共振条件を妨げうる。これらの条件を妨げると、共振させずに冷却素子120を駆動しうる。したがって、冷却素子120の作動を維持するために、さらなる電力を利用する必要が生じる。さらに、冷却素子120によって駆動される流体の流量が減少しうる。これらの問題は、上述のように、圧力差および流量を利用して回避される。改善された静かな冷却の利点は、限られた追加電力で達成されうる。さらに、冷却素子120の異相振動は、冷却素子100の重心の位置をより安定なままにすることを可能にする。トルクが冷却素子120に掛かるが、重心の移動による力は、低減または排除される。結果として、冷却素子120の動きによる振動が低減されうる。さらに、冷却装置100の効率が、冷却素子120の2つの側に異相振動運動を利用することによって改善されうる。片持ちアーム121の異相振動中に、冷却システム100を通しての振動も低減されうる。その結果として、冷却システム100を組み込んだデバイスの性能が改善されうる。さらに、冷却システム100は、高い流量および/または流速が望ましいその他の応用例(例えば、熱発生構造102が存在する、または、存在しない)で利用可能でありうる。
【0055】
図1Fは、上部中央を固定された冷却素子を備えたアクティブ冷却システム100’の一実施形態を示す。冷却システム100’は、冷却システム100と類似している。したがって、類似した構成要素は、同様の符号を有する。例えば、冷却システム100’は、熱発生構造102および集積回路103と共に用いられ、それらは、熱発生構造102および集積回路103と類似している。
【0056】
冷却システム100は、支持構造170’と、ベント112’を有する上部プレート110’と、冷却素子120’と、オリフィス132を備えたオリフィスプレート130と、ギャップを有する上部チャンバ140’と、ギャップを有する下部チャンバ150と、アンカ160と、を備えており、これらの構成要素は、それぞれ、
図1A~
図1Eの支持構造170と、ベント112を有する上部プレート110と、冷却素子120’と、オリフィス132を備えたオリフィスプレート130と、ギャップ142を有する上部チャンバ140と、ギャップ152を有する下部チャンバ150と、アンカ160と、に類似している。したがって、冷却素子120’は、冷却素子120’の外周の少なくとも一部が自由に振動するように、アンカ160によって中央を支持されている。いくつかの実施形態において、アンカ160は、(例えば、アンカ360Aおよび/または360Bに類似した方法で)冷却素子120’の軸に沿って伸びている。他の実施形態において、アンカ160は、冷却素子120’の中央部分の近くのみに存在する(例えば、アンカ360Cおよび/または360Dに類似している)。
【0057】
アンカ160は、上方から冷却素子120’を支持している。したがって、冷却素子120’は、アンカ160から吊り下げられている。アンカ160は、上部プレート110’から吊り下げられている。上部プレート110’は、ベント113を備える。アンカ160の両側にあるベント112’は、流体がチャンバ140の側面へ流れるための経路を提供する。
【0058】
改良冷却素子120’は、調整された幾何形状を有し、冷却システム(冷却システム100および/または100’など)で利用可能である。冷却素子120’は、固定領域122および片持ちアーム121’を備える。固定領域122は、冷却システム100内でアンカ160によって支持(例えば、所定位置に保持)されている。片持ちアーム121’は、冷却素子120’が駆動されることに応じて、振動運動を行う。したがって、冷却素子120’は、冷却素子120と類似した方法で動作し、冷却システム100で利用可能である。各片持ちアーム121’は、ステップ領域124、延長領域126、および、外側領域128を備える。
図1Fに示す実施形態において、固定領域122は、中央に配置されている。ステップ領域124は、固定領域122から外向きに伸びている。延長領域126は、ステップ領域124から外向きに伸びている。外側領域128は、延長領域126から外向きに伸びている。他の実施形態において、固定領域122が、アクチュエータの一方の端部にあり、外側領域128が、反対側の端部にあってもよい。かかる実施形態において、アクチュエータは、端部を固定される。
【0059】
延長領域126は、ステップ領域124の厚さ(ステップ厚さ)よりも薄く、外側領域128の厚さ(外側厚さ)よりも薄い厚さ(延長厚さ)を有する。したがって、延長領域126は、凹部になっていると見なされてよい。延長領域126は、より大きい下部チャンバ150を提供すると見られてもよい。いくつかの実施形態において、外側領域128の外側厚さは、ステップ領域124のステップ厚さと同じである。いくつかの実施形態において、外側領域128の外側厚さは、ステップ領域124のステップ厚さとは異なる。外側領域128およびステップ領域124は各々、320マイクロメートル以上かつ360マイクロメートル以下の厚さを有してよい。いくつかの実施形態において、外側厚さは、50マイクロメートル以上かつ200マイクロメートル以下だけ延長厚さよりも厚い。換言すると、ステップ(ステップ厚さおよび延長厚さの差)は、50マイクロメートル以上かつ200マイクロメートル以下である。いくつかの実施形態において、外側ステップ(外側厚さおよび延長厚さの差)は、50マイクロメートル以上かつ200マイクロメートル以下である。外側領域128は、100マイクロメートル以上かつ300マイクロメートル以下の幅(チップ123から延長領域126までの幅)を有してよい。延長126領域は、いくつかの実施形態において、0.5ミリメートル以上かつ1.5ミリメートル以下のステップ領域124から外側領域128までの長さを有する。いくつかの実施形態において、外側領域128は、固定領域122からの方向の単位長さあたりの質量が延長領域126よりも大きい。この質量の差は、外側領域128のより大きいサイズ、冷却素子120’の部分の間の密度の差、および/または、別のメカニズムに起因してよい。
【0060】
冷却システム100に関して上述したように、冷却素子120’は、冷却素子120’の構造共振周波数またはそれに近い周波数で振動するように駆動されてよい。さらに、冷却素子120’の構造共振周波数は、チャンバ140’/150の音響共振と一致するよう構成されていてよい。構造共振周波数および音響共振周波数は、一般に、超音波領域にあるように選択される。例えば、冷却素子120’の振動運動は、冷却システム100に関して記載した周波数の運動であってよい。結果として、効率および流量が高められうる。ただし、その他の周波数が用いられてもよい。
【0061】
冷却システム100’は、冷却システム100と類似した方法で動作する。したがって、冷却システム100’は、冷却システム100の利点を共有する。したがって、冷却システム100’を利用するデバイスの性能が改善されうる。冷却素子120’と類似した方法で構成されている冷却素子120’の利用は、効率および信頼性を改善しうる。さらに、他の冷却セル(図示せず)に影響しうる冷却システム100’における振動が低減されうる。例えば、冷却素子120’の運動に起因して上部プレート110’で引き起こされる振動が少なくなりうる。結果的に、冷却システム100’と、冷却システム100’を組み込んだデバイスの他の冷却システム(例えば、他のセル)または他の部分との間のクロストークが低減されうる。したがって、性能が高められうる。
【0062】
改良冷却素子120’の利用は、冷却システム100および/または100’の効率をさらに改善しうる。延長領域126は、ステップ領域124および外側領域128よりも薄い。この結果として、延長領域126に対応する冷却素子120’の底部に空洞が存在する。この空洞の存在は、冷却システム100’の効率を改善するのに役立つ。各片持ちアーム121’は、アップストローク時に上部プレート110に向かい、ダウンストローク時に上部プレート110から離れるように振動する。片持ちアーム121’が上部プレート110に向かって運動する時、上部チャンバ140内のより高圧の流体が、片持ちアーム121’の運動に抵抗する。さらに、下部チャンバ150における吸引も、アップストローク中に片持ちアーム121’の上方への運動に抵抗する。片持ちアーム121’のダウンストローク時には、下部チャンバ150内で上昇した圧力と、上部チャンバ140における吸引が、片持ちアーム121’の下方への運動に抵抗する。しかしながら、延長領域126に対応する片持ちアーム121’内の空洞の存在が、アップストローク中に下部チャンバ150における吸引を緩和する。空洞も、ダウンストローク中に下部チャンバ150における圧力の上昇を低減する。吸引および圧力上昇の大きさが低減されるので、片持ちアーム121’は、流体を通ってより容易に運動しうる。これは、冷却システム100および/または100’を通して流体の流れを駆動する上部チャンバ140内のより高い圧力を実質的に維持しながら達成されうる。さらに、外側領域128の存在が、冷却システム100を通して駆動されている流体の中で片持ちアーム121’が運動する能力を高めうる。外側領域128は、単位長さあたりでより大きい質量、ひいては、より高い運動量を有する。その結果として、外側領域128は、冷却システム100を通して駆動されている流体の中で片持ちアーム121’が運動する能力を高めうる。片持ちアーム121’のたわみの振幅も、増大されうる。これらの利点は、より厚いステップ領域124の利用によって片持ちアーム121’の剛性を維持しつつ達成されうる。さらに、外側領域128の厚さが厚くなるほど、ダウンストロークの底部での流れをピンチオフするのに役立ちうる。したがって、冷却素子120’がオリフィス132を通した逆流を防ぐバルブを提供する能力が、向上されうる。したがって、冷却素子120’を利用する冷却システム100’の性能が改善されうる。
【0063】
上述のように、冷却システム100および100’は、オリフィス132を出て熱発生構造(すなわち、ヒートスプレッダ)102もしくは集積回路103(または、熱源である別の構成要素)に衝突する流体のジェットを用いて、熱発生構造102(ひいては集積回路103)を冷却しうる。ただし、冷却システム100および/または100’は、熱発生構造を冷却するためのさらなるメカニズムを有してもよい。冷却システム100および/または100’は、伝導によって熱発生構造102から冷却システム100へ熱が伝熱されうるように、支持構造170を介して熱発生構造102へ熱的に結合されている。例えば、ペデスタル172は、熱伝導材料から形成されていてよい。また、ペデスタル172は、高熱伝導性メカニズム(熱伝導性エポキシなど)を用いて、熱発生構造102に接合されていてよい。同様に、ペデスタル172は、熱発生構造102の熱質量と比べて、比較的大きい(例えば、かなりの割合のまたはより大きい)熱質量を有してよい。例えば、ペデスタル172は、高熱容量材料(例えば、鋼鉄およびアルミニウム合金)および/または高熱伝導材料(例えば、銅およびアルミニウム)を含んでよく、または、それらからなっていてよい。また、ペデスタル172は、広範囲にわたって熱発生構造102と接触していてよい。ペデスタル172は、おおよそアンカ160のサイズから、冷却セル100および/または100’にわたるサイズまたは複数の冷却セルで形成されたタイル全体にわたるサイズまで、様々なサイズであってよい。例えば、ペデスタル172は、冷却システム100にわたってまたは複数の冷却システムにわたって、紙面の外側に広がっていてよい。さらに、冷却素子120/120’は、それぞれ、アンカ160および/または上部プレート110’を介して支持構造170および/または170’へ熱的に結合されている。したがって、熱は、熱発生構造102から、それぞれ冷却素子120/120’と支持構造170および/または170’の残り部分とに伝熱されうる。したがって、冷却システム100および/または100’は、熱発生構造102および集積回路103のためのヒートシンクとして機能しうる。さらに、その形状(例えば、大きい表面積)のために、冷却システム120’は、フィンとして機能しうる。
【0064】
さらに、冷却システム100および/または100’は、アクティブ冷却システムである。したがって、冷却システム100および/または100’は、いくつかの実施形態において、アクティブヒートシンクと見なされてよい。より具体的には、冷却素子120/120’は、振動運動を行う。オリフィス132を通して流体を駆動することに加えて、振動運動は、チャンバ140/150および140’/150内に入り、チャンバ140/150および140’/150を通って、冷却素子120’を通り過ぎるように、流体を駆動する。流体が冷却素子120/120’を通り過ぎて支持構造170および/または170’を通して駆動されるので、冷却素子120’ならびに支持構造170および/または170’における熱は、流体へ伝熱される。したがって、熱発生構造102から直接的に流体を移すことに加えてまたはその代わりに、流体が、冷却素子120/120’および/または支持構造110/170’から熱を除去できる。
【0065】
さらに、冷却システム100および100’は、オリフィス132を出る流体が少なくとも30メートル/秒の高速度を有するように、流体を駆動する。いくつかの実施形態において、オリフィス132を出る流体は、少なくとも45メートル/秒の速度を有する。いくつかの実施形態において、流体は、少なくとも60メートル/秒の速度でオリフィス132を出る。その他の速度も、いくつかの実施形態において可能でありうる。オリフィス132を出る流体は、部分的には、チャンバ140/150を通して移動する流体が高流量を有することから、高速度を有する。いくつかの実施形態において、例えば、チャンバ140/150を通る流量は、少なくとも0.05立方フィート/分(cfm)(1.41L/min)であってよい。いくつかの実施形態において、チャンバ140/150を通る流量は、少なくとも0.1cfmである。その他の流量(すなわち、より高いまたは低い流量)も可能である。冷却システム100および/または100’を通して駆動されうる比較的高い流量は、冷却素子120/120’ならびに支持構造170および/または170’から熱を効率的に取り除く。このように、支持構造170/170’および冷却素子120/120’による伝導に加えて、対流による流体への熱の伝達が、熱を管理するために用いられてよい。
【0066】
例えば、
図2A~
図2Gは、冷却システム100および/または100’を用いて駆動された流体の温度の変化を示す。
図2Aは、冷却システム100および/または100’の性能の例を示すグラフ200である。グラフ200は、説明を目的としたものにすぎず、冷却素子120ならびに/もしくは冷却システム100および/または100’のすべての実施形態の性能を示すことを意図していない。より具体的には、グラフ200は、冷却システム100および/または100’の様々な位置における流体の温度を示している。位置「ベント」は、それぞれ、冷却システム100および/または100’への入口ベント112および/または113における流体温度を示している。位置「オリフィス出口」は、それぞれ、冷却システム100および/または100’のオリフィス132を出た後の流体温度を示している。位置「衝突」は、それぞれ、冷却システム100および/または100’の熱発生構造102に衝突した後の流体温度を示している。位置「出口」は、それぞれ、冷却システム100および/または100’について示された領域を出た際の流体温度を示している。「上限温度」は、熱発生構造102または集積回路103が下回ることが望ましい温度を示している。
【0067】
グラフ200は、高流量挙動を示すと見なされうるプロット210を含み、一方、プロット220は、低流量挙動を示すと見なされうる。プロット210(高流量)は、いくつかの実施形態において、0.1cfmのオーダーの流量についてのプロットであってよい。プロット220(低流量)は、0.01cfmのオーダーの流量についてのプロットであってよい。その他の流量も可能である。より一般的には、プロット210は、冷却システム100/100’の一部の温度が熱発生構造102よりも大幅に低くなるようにそれらの部分を冷却するのに、冷却システム100および/または100’を通して冷却素子120および/または120’によって駆動される流体の流量が十分である場合に生じうる。プロット220は、冷却システム100および/または100’を通して冷却素子120および/または120’によって駆動される流体の流量が冷却システム100/100’の部分を冷却するのに不十分であった結果として、それらの部分の温度が熱発生構造102に近くなった場合に生じうる。より具体的には、プロット210は、冷却システム100および/または100’の温度(例えば、冷却素子120および支持構造170/170’の温度)が熱発生構造102の温度をはるかに下回っている時の冷却システム100および/または100’の挙動を示している。例えば、プロット210は、冷却システム100および/または100’が室温(例えば、25℃)またはそれに近い温度であり、熱発生構造102および/または集積回路103が上限温度(例えば、90℃)またはそれに近い温度である時の温度を記載しうる。プロット220は、冷却システム100および/または100’の温度(例えば、冷却素子120および支持構造170/170’の温度)が熱発生構造102の温度またはそれに近い温度である時の冷却システム100および/または100’の挙動を示している。例えば、プロット220は、冷却システム100および/または100’が80~88℃またはその近くの温度であり、熱発生構造102および/または集積回路が、90℃またはその近くの温度である時の温度を記載しうる。
【0068】
冷却システム100および/または100’は、熱発生構造102から伝熱された熱によって加熱されている。プロット210について、ベント112および/または113で冷却システム100および/または100’に入る流体は、室温またはそれに近い温度である。流体の流量は高い(例えば、0.05cfm~0.1cfm以上)。いくつかの実施形態において、流体の流量は、熱発生構造から遠位の冷却システム100および/または100’の部分の温度が低いことを保証するのに十分な熱が冷却システム100および/または100’から取り除かれるほど、十分に高い。流体が冷却素子120の振動運動によってチャンバ140/150および/または140’/150を通して移動すると、一部の熱が、流体に伝達される。いくつかの実施形態において、熱発生構造102から遠位の冷却システム100および/または100’の部分の温度を下げるために、十分な熱が伝達される(冷却システム100および/または100’から取り除かれる)。流体は、冷却システムを通過する時に、冷却システム100および/または100’から熱を取り除き続ける。したがって、流体は、チャンバ140および150を通過する際に、徐々に温度を増す。熱発生構造102に衝突した流体は、かなりの量の熱を熱発生構造102から流体へ移す。したがって、流体の温度は、「衝突」位置で非常に高くなった。流体が熱発生構造102の表面に沿って出口へ移動し続ける時、少量のさらなる熱のみが取り除かれうる。したがって、プロット210については、部分的には冷却システム100および;または100’から熱を取り除くことによって、ならびに、部分的には熱発生構造102に衝突する流体によって、かなりの量の熱が伝熱される。例えば、いくつかの実施形態において、90℃で動作する熱発生構造について、ベント112/113に入った室温の流体が、少なくとも70℃の温度で出て行きうる。90℃で動作する熱発生構造について、ベント112/113に入った室温の流体は、いくつかのかかる実施形態において、少なくとも75℃~80℃の温度で出て行きうる。
【0069】
プロット220について、ベント112および/または113で冷却システム100および/または100’に入る流体は、室温またはそれに近い温度である。ただし、流体の流量は低い。いくつかの実施形態において、流体の流量は、熱発生構造から遠位の冷却システム100および/または100’の部分の温度が低いことを保証するのに十分な熱が冷却システム100および/または100’から取り除かれないほど、十分に低い。熱発生構造102および/または集積回路103(またはその他の熱源)からの熱が、熱伝導によって冷却システム100へ伝熱された。流体が冷却素子120の振動運動によってチャンバ140/150および/または140’/150を通して移動する間に、冷却システム100および/または100’(例えば、冷却素子120および/または支持構造170/は170’)からの熱が流体へ伝熱される。したがって、流体の温度は、「オリフィス出口」位置で非常に高くなった。熱発生構造102に衝突した流体は、熱発生構造102から流体へ少量のさらなる熱を移しうる。流体が出口へ移動し続ける時、限られた量のさらなる熱のみが取り除かれうる。したがって、低流量プロット220について、熱は、主に流体が冷却システム100および/または100’を通過することによって流体へ伝熱される。例えば、いくつかの実施形態において、90℃で動作する熱発生構造について、ベント112/113に入った室温の流体が、少なくとも70℃の温度で出て行きうる。90℃で動作する熱発生構造について、ベント112/113に入った室温の流体は、いくつかのかかる実施形態において、少なくとも75℃~80℃の温度で出て行きうる。
【0070】
熱発生構造102に対して低温の冷却システム100および/または100’(高流量)、もしくは、熱発生構造102の温度またはそれに近い温度の冷却システム100および/または100’(低流量)、についてのプロット210および220に見られるように、かなりの量の熱が、流体へ効率的に伝熱されうる。さらに、集積回路103によって生成されるかなりの量の熱が、流体によって除去される。したがって、冷却システム100および/または100’は、低流量および高流量の両方で効率的に熱を取り除く。しかしながら、流体の流量が高いほど、単位時間あたりに取り除かれる熱が多くなり、冷却システム100および/または100’の部分がより低温になりうる。
【0071】
冷却システム100および/または100’の効率を数学的に見ることもできる。流体へ伝熱される(その後、流体がシステムを出る時に除去される)単位時間あたりの熱量(H)は、以下の式によって与えられうる。
H=(dm/dt)CpΔT
ここで、dm/dtは、流体の質量流量であり、
Cpは、流体の比熱であり、
ΔTは、流体の温度の変化である。
【0072】
流体の温度の変化は、以下のように分解できる。
ΔT=ΔTチャンバ+ΔT衝突+ΔTジェットチャネル
ここで、ΔTチャンバは、チャンバ140/150または140’/150を通しての流体温度の変化であり、
ΔT衝突は、熱発生構造102への衝突による流体温度の変化であり、
ΔTジェットチャネルは、流体がジェットチャネル内を移動した時の流体温度の変化である。
【0073】
したがって、高流量の場合には、流体の温度変化のほとんどは、ΔT衝突について起きる。したがって、熱発生構造102は、急速に冷却されうる。低流量の場合には、流体の温度変化のほとんどは、ΔTチャンバについて起きる。しかしながら、いずれにしても、冷却素子120によって駆動される流体は、集積回路103および/または熱発生構造102によって生成された熱を効率的に取り除く。例えば、どちらの場合も、室温で入った流体は、システムを出る時に少なくとも70℃の温度を有しうる。(例えば、より低い流量および/またはより高い発熱のための)いくつかの実施形態において、室温で入った流体は、システムを出る時に少なくとも75℃の温度を有しうる。いくつかの実施形態において、室温で入った流体は、システムを出る時に少なくとも80℃の温度を有しうる。これは、ヒートスプレッダに流体を吹き付けるための従来のメカニズム(例えば、ファン)を利用する従来のシステムにおいて、室温で入った流体が40℃または50℃を超えない温度を有しうるのと対照的である。したがって、冷却システム100および/または100’のいくつかの実施形態における流体温度の大きい変化(例えば、40~55℃以上のオーダーの変化)は、かなり大量の熱が、冷却システム100および/または100’を用いて取り除かれうることを示唆している。
【0074】
流体の温度の変化について、
図2B~
図2Gで見ることもできる。
図2B~
図2Gは、様々な条件下での冷却システム100を示している。簡単のために、上部プレート110、冷却素子120、オリフィスプレート130、ペデスタル172、および、熱発生構造102のみに符号が付されている。
図2B~
図2Gにおいて、熱発生構造が、最高温度を有する。
図2Bは、熱発生構造102へ伝導によって熱的に結合されていない冷却システムの一実施形態について、低流量(例えば、0.015cfm)でのヒートマップ230を示している。例えば、熱発生構造102にオリフィスプレート130を接続しているペデスタル172が、断熱していてよい。
図2Cは、熱発生構造102へ伝導によって熱的に結合されていない冷却システムの一実施形態について、より高い流量(例えば、0.1cfm)でのヒートマップ240を示している。
図2Bのヒートマップ230に見られるように、いくらかの熱が冷却システム100に伝熱されるが、上部プレートから十分に上方にある流体は冷たいままである。したがって、低流量では、いくらかの熱が冷却システム100に伝熱されるが、低い流体流量によって大幅には除去されない。
図2Cのヒートマップ240は、より高い流体流量がより効率的に冷却システム100から熱を取り除くことを示している。したがって、冷却システム100は、より冷えている。冷却システム100の上方の流体は、冷却システム100の近くのものも含めて、より一貫して冷えている。
【0075】
図2Dは、熱発生構造に伝導によって(例えば、高い熱伝導率を有するペデスタル172を通して)熱的に結合されている冷却システム100の一実施形態について、低流量(例えば、0.015cfm)でのヒートマップ250を示している。
図2Eは、熱発生構造に伝導によって(例えば、高い熱伝導率を有するペデスタル172を通して)熱的に結合されている冷却システムの一実施形態について、より高い流量(例えば、0.1cfm)でのヒートマップ260を示している。
図2Dのヒートマップ250に見られるように、かなりの量の熱が、ペデスタル172を通して熱伝導で冷却システム100へ伝熱される。したがって、オリフィスプレート130および冷却素子120の一部は、熱発生構造102と温度が近い。上部プレート110の近くの流体は、いくらか加熱されているが、上部プレート110から十分に上方にある流体は冷たいままである。したがって、低流量では、熱が伝導によって冷却システム100に伝熱されるが、低い流体流量によって大幅には除去されない。
図2Eのヒートマップ260は、より高い流体流量がより効率的に冷却システム100から熱を取り除くことを示している。このように、熱が(ヒートマップ250によって示されているように)伝導によって伝熱されるが、冷却システム100は、流体流によって冷却されている。したがって、上部プレート110、冷却素子120、オリフィスプレート130の大部分、および、ペデスタル172の一部は、ヒートマップ250よりもヒートマップ260で温度が低い。結果として、(冷却システム100への)伝導と、(冷却システム100から、領域を出る流体への)対流とによって、熱が熱発生構造102から取り除かれる。
【0076】
図2B~
図2Eに見られるように、熱発生構造に熱的に結合されている時、熱は、伝導によって冷却システム100/冷却素子120へ伝熱されうる。冷却システム100を通る流れは、冷却素子の振動運動によって駆動され、冷却システムから、ひいては、熱発生構造から、熱を効果的に取り除きうる。
【0077】
同様に、
図2Fおよび
図2Gは、熱発生構造に伝導によって熱的に結合されている冷却システムの一実施形態について、それぞれ、ヒートマップ270および280を示す。
図2Fは、熱発生構造に伝導によって(例えば、高い熱伝導率を有するペデスタル172を通して)熱的に結合されている冷却システムの一実施形態について、より低い流量(例えば、0.05cfm)でのヒートマップ270を示している。
図2Gは、熱発生構造に伝導によって(例えば、高い熱伝導率を有するペデスタル172を通して)熱的に結合されている冷却システムの一実施形態について、より高い流量(例えば、0.1cfm)でのヒートマップ260を示している。
図2F~
図2Gに見られるように、熱発生構造に熱的に結合されている時、熱は、伝導によって冷却システムへ伝熱されうる。したがって、ペデスタル172、ならびに、オリフィスプレート130および冷却素子120のより広い部分は、ヒートマップ270においてより高い温度を有するよう示されている。さらに、ヒートマップ270は、冷却システム100の最高温度がペデスタル172付近で生じることを示しており、ペデスタル172は、熱発生構造102へ熱的に接続されている。ヒートマップ280も、冷却システム100の最高温度がペデスタル172付近で生じることを示しており、ペデスタル172は、熱発生構造102へ熱的に接続されている。しかしながら、上部プレート110、冷却素子120、および、オリフィスプレート130の一部は、より高い流量によって冷却されている。構造110、120、および、130の最低温度は、より高流量の流れに近接して起きる。冷却システムを通る流れは、冷却素子の振動運動によって駆動され、冷却システムから、ひいては、熱発生構造から、熱を効果的に取り除きうる。
【0078】
このように、冷却システム100および/または100’は、小さいサイズを有し、低プロファイルを有し、および/または、低ノイズでありつつ、生成されるかなりの量の熱を効率的に取り除くことができる。したがって、冷却システム100および/または100’を利用する様々なシステムの性能が改善されうる。
【0079】
図3A~
図3Dは、アクティブ冷却システム(冷却システム100など)と類似した冷却システム300A、300B、300C、および、300Dの実施形態を示す平面図である。
図3A~
図3Dは、正確な縮尺ではない。簡単のために、冷却素子320A、320B、320C、および、320D、ならびに、アンカ360A、360B、360C、および、360Dの部分のみが、それぞれ示されている。冷却素子320A、320B、320C、および、320Dは、冷却素子120と類似している。したがって、冷却素子320A、320B、320C、および/または、320Dに用いられるサイズおよび/または材料は、冷却素子120のものと類似していてよい。アンカ360A、360B、360C、および、360Dは、アンカ160と類似しており、破線で示されている。
【0080】
冷却素子320Aおよび320Bについて、アンカ360Aおよび360Bが、中央に配置され、それぞれ、冷却素子320Aおよび320Bの中心軸に沿って伸びている。したがって、振動するように駆動される片持ち部分(すなわち、片持ちアーム)は、アンカ360Aおよび360Bの右側および左側にある。いくつかの実施形態において、冷却素子320Aおよび/または320Bは、連続構造であり、その中の2つの部分が駆動される(例えば、アンカ360Aおよび360Bの外側の片持ち部分)。いくつかの実施形態において、冷却素子320Aおよび/または320Bは、別個の片持ち部分を備えており、片持ち部分の各々は、それぞれ、アンカ360Aおよび360Bに取り付けられていて、駆動される。したがって、冷却素子320Aおよび320Bの片持ち部分は、蝶の翅に類似した方法(同相)またはシーソーに類似した方法(異相)で振動するよう構成されていてよい。
図3Aおよび
図3Bにおいて、Lは、冷却素子の長さであり、
図1A~
図1Fに図示したものと類似する。また、
図3Aおよび
図3Bでは、冷却素子320Aおよび320Bの奥行きPが示されている。
【0081】
また、
図3A~
図3Bには、圧電体323が点線で示されている。圧電体223は、冷却素子320Aおよび320Bを作動させるために用いられる。圧電体の文脈で記載されているが、冷却素子360Aおよび360Bを作動させるための別のメカニズムが用いられてもよい。かかる別のメカニズムは、圧電体323の位置にあってもよいし、別の場所に配置されてもよい。冷却素子360Aにおいて、圧電体323は、片持ち部分に固定されてもよいし、冷却素子320Aに一体化されてもよい。さらに、圧電体323は、
図3Aおよび
図3Bにおいて特定の形状およびサイズを有するものとして示されているが、その他の構成が用いられてもよい。
【0082】
図3Aに示す実施形態において、アンカ360Aは、冷却素子320Aの奥行き全体に伸びている。したがって、冷却素子360Aの外周の一部が固定されている。冷却素子360Aの外周の固定されていない部分は、振動運動を行う片持ち部分の一部である。他の実施形態において、アンカは、中心軸の長さ全体に伸びている必要はない。かかる実施形態では、冷却素子の外周全体が固定されていない。しかしながら、かかる冷却素子は、それでも、本明細書に記載の方法で振動するよう構成されている片持ち部分を有する。例えば、
図3Bにおいて、アンカ360Bは、冷却素子320Bの外周まで伸びていない。したがって、冷却素子320Bの外周は、固定されていない。しかしながら、アンカ360Bは、冷却素子320Bの中心軸に沿って伸びている。この場合でも、冷却素子320Bは、片持ち部分が振動するように駆動される(例えば、蝶の翅と類似している)。
【0083】
冷却素子320Aは長方形として図示されているが、冷却素子は、別の形状を有してもよい。いくつかの実施形態において、冷却素子320Aの角が、丸みを帯びていてもよい。
図3Bの冷却素子320Bは、丸みのある片持ち部分を有する。その他の形状も可能である。
図3Bに示す実施形態において、アンカ360Bは、中空であり、開口部363を備える。いくつかの実施形態において、冷却素子320Bは、アンカ360Bの領域内に1または複数の開口部を有する。いくつかの実施形態において、冷却素子320Bは、1または複数の開口部がアンカ360Bの領域内に存在するように、複数の部分を備える。結果として、流体が、冷却素子320Bを通して、そして、アンカ360Bを通して引き込まれうる。したがって、冷却素子320Bは、上部プレート(上部プレート110など)の代わりに用いられてよい。かかる実施形態において、冷却素子320Bの開口部と、開口部363は、ベント112と類似した方法で機能しうる。さらに、冷却素子300Aおよび300Bは、中央領域で支持されている様子が図示されているが、いくつかの実施形態において、冷却素子320Aおよび/または320Bの一方の片持ち部分が省略されてもよい。かかる実施形態において、冷却素子320Aおよび/または320Bは、一方の端部またはその近くで支持または固定されている一方で、少なくとも反対側の端部の少なくとも一部が自由に振動運動を行う、と考えられてよい。いくつかのかかる実施形態において、冷却素子320Aおよび/または320Bは、振動運動を行う単一の片持ち部分を備えてよい。
【0084】
図3C~
図3Dは、アクティブ冷却システム(冷却システム100など)と類似した冷却システム300Cおよび300Dの実施形態を示す平面図である。簡単のために、冷却素子320Cおよび320Dならびにアンカ360Cおよび360Dのみが、それぞれ示されている。冷却素子320Cおよび320Dは、冷却素子120と類似している。したがって、冷却素子320Cおよび/または320Dに用いられるサイズおよび/または材料は、冷却素子120のものと類似していてよい。アンカ360Aおよび360Dは、アンカ160と類似しており、破線で示されている。
【0085】
冷却素子320Cおよび320Dについて、アンカ360Cおよび360Dは、それぞれ、冷却素子320Cおよび320Dの中央領域に限定されている。したがって、アンカ360Cおよび360Dを囲む領域が、振動運動を行う。したがって、冷却素子320Cおよび320Dは、クラゲに類似した方法、または、傘の開閉と同様の方法で、振動するよう構成されていてよい。いくつかの実施形態において、冷却素子320Cおよび320Dの外周全体が、同じ位相で振動する(例えば、すべてが一緒に上下に動く)。他の実施形態において、冷却素子320Cおよび320Dの外周の複数部分が、異なる位相で振動する。
図3Cおよび
図3Dにおいて、Lは、冷却素子の長さ(例えば、直径)であり、
図1A~
図1Fに図示したものと類似する。冷却素子320Cおよび320Dは円形として図示されているが、冷却素子は、別の形状を有してもよい。さらに、圧電体(
図3C~
図3Dには図示せず)および/またはその他のメカニズムが、冷却素子320Cおよび320Dの振動運動を駆動するために用いられてよい。
【0086】
図3Dに示す実施形態において、アンカ360Dは、中空であり、開口部363を有する。いくつかの実施形態において、冷却素子320Dは、アンカDの領域内に1または複数の開口部を有する。いくつかの実施形態において、冷却素子320Dは、1または複数の開口部がアンカ360Dの領域内に存在するように、複数の部分を備える。結果として、流体が、冷却素子320Dを通して、そして、アンカ360Dを通して引き込まれうる。流体は、開口部363を通して出て行きうる。したがって、冷却素子320Dは、上部プレート(上部プレート110など)の代わりに用いられてよい。かかる実施形態において、冷却素子320Dの開口部と、開口部363は、ベント112と類似した方法で機能しうる。
【0087】
冷却システム(冷却システム100および/または100’など)は、冷却素子320A、320B、320C、320D、および/または、類似の冷却素子を利用できる。また、かかる冷却システムは、冷却システム100100および/またはの利点を共有しうる。冷却素子320A、320B、320C、320D、および/または、類似の冷却素子を用いる冷却システムは、高速で熱発生構造に向かって流体をより効率的に駆動しうる。その結果、熱発生構造と、移動する流体との間の熱伝達が改善される。熱発生構造が、より効率的に冷却されるので、対応するデバイスは、より高い速度および/または電力で長時間にわたって動作するなど、動作の改善を示しうる。冷却素子320A、320B、320C、320D、および/または、類似の冷却素子を用いる冷却システムは、利用可能なスペースか限られている、より小型および/またはモバイル型のデバイスでの利用に適しうる。したがって、かかるデバイスの性能は改善されうる。冷却素子320A、320B、320C、320D、および/または、類似の冷却素子は、15kHz以上の周波数で振動されてよいので、ユーザは、冷却素子の作動に関連するノイズを全く聞きえない。冷却素子320A、320B、320C、320D、および/または、類似の冷却素子の音響共振周波数および/または構造共振周波数またはその付近の周波数で駆動される場合、冷却システムを動作させる際に用いられる電力が、大幅に低減されうる。冷却素子S20A、320B、320C、320D、および/または、類似の冷却素子は、利用中にプレートと物理的に接触しえないため、共振をより容易に維持することが可能になる。改善された静かな冷却の利点は、限られた追加電力で達成されうる。その結果として、冷却素子320A、320B、320C、320D、および/または、類似の冷却素子を組み込んだデバイスの性能が改善されうる。
【0088】
図4は、アクティブヒートシンクとして利用可能なアクティブ冷却システム400の一実施形態を示す。
図4は、正確な縮尺ではない。簡単のために、冷却システム400の一部のみが図示されている。冷却システム400は、冷却システム100と類似している。したがって、類似した構成要素は、同様の符号を有する。例えば、冷却システム400は、集積回路503と共に利用され、集積回路503は、集積回路103と類似している。
【0089】
冷却システム400は、冷却素子120および支持構造170とそれぞれ類似している冷却素子420および冷却構造470を備える。したがって、支持構造470は、ベント412を有する上部プレート410と、オリフィス432を備えたオリフィスプレート430と、ギャップを有する上部チャンバ440と、ギャップを有する下部チャンバ450と、アンカ460と、側壁474と、を備えており、これらの構成要素は、それぞれ、ベント112を有する上部プレート110と、冷却素子120と、オリフィス132を備えたオリフィスプレート130と、ギャップ142を有する上部チャンバ140と、ギャップ152を有する下部チャンバ150と、アンカ160と、側壁174と、に類似している。冷却素子420は、冷却素子420の外周の少なくとも一部が自由に振動するように、アンカ460によって中央を支持されている。いくつかの実施形態において、アンカ460は(例えば、アンカ360Aおよび/または360Bに類似した方法で)冷却素子420の軸に沿って伸びている。他の実施形態において、アンカ460は、冷却素子420の中央部分の近くのみに存在する(例えば、アンカ360Cおよび/または360Dに類似している)。冷却素子420は、片持ちアーム421と、固定領域422と、チップ423と、を備えており、これらの構成要素は、それぞれ、片持ちアーム121と、固定領域122と、チップ123と、に類似している。いくつかの実施形態において、冷却素子420は、冷却素子120’と類似していてよい。支持構造470は、さらに、ペデスタル172と類似しているペデスタル472を備える。ただし、図に示す実施形態において、ペデスタル572は、熱発生構造102と類似しているヒートスプレッダまたはベイパーチャンバに一体化されている。
【0090】
側壁474は、さらに、開口部476を備える。図の実施形態において、側壁474は、開口部476を備え、オリフィスプレート430は、オリフィス432を備える。いくつかの実施形態において、オリフィスプレート430には、オリフィスもそれに代わるものもない。オリフィス476は、オリフィスプレート430の表面と平行に向いているように示されているが、いくつかの実施形態において、開口部476は、異なる向きを有してもよい。開口部476は、冷却素子420の周りを通るが熱発生構造402のそばを通り過ぎない流体の流れを可能にする。したがって、冷却システム400において、熱は、熱発生構造402から、ペデスタル472、冷却素子420、および、冷却システム400のその他の構成要素へ伝熱されうる。
【0091】
図4には、熱発生構造402と集積回路403との間にあるさらなるヒートスプレッダ405も図示されている。このように、冷却システムは、熱源である構成要素403に直接取り付けられる必要はない。他の実施形態において、ヒートスプレッダ405は省略されてもよい。
【0092】
冷却システム400は、冷却システム100と類似した方法で動作する。したがって、冷却システム400は、冷却システム100の利点を共有する。したがって、冷却システム400を利用するデバイスの性能が改善されうる。ペデスタル472は、一体的なヒートスプレッダを有するので、熱は、集積回路403からシステム400へより効率的に伝熱されうる。次いで、熱は、冷却素子420によってシステム400を通して駆動される流体によって取り除かれうる。したがって、性能が高められうる。
【0093】
図5は、アクティブヒートシンクとして利用可能なアクティブ冷却システム500の一実施形態を示す。
図5は、正確な縮尺ではない。簡単のために、冷却システム500の一部のみが図示されている。冷却システム500は、冷却システム100と類似している。したがって、類似した構成要素は、同様の符号を有する。例えば、冷却システム500は、集積回路503と共に利用され、集積回路503は、集積回路103と類似している。
【0094】
冷却システム500は、冷却素子120および支持構造170とそれぞれ類似している冷却素子520および冷却構造570を備える。したがって、支持構造570は、ベント512を有する上部プレート510と、オリフィス532を備えたオリフィスプレート530と、ギャップを有する上部チャンバ540と、ギャップを有する下部チャンバ550と、アンカ460と、側壁574と、を備えており、これらの構成要素は、それぞれ、ベント112を有する上部プレート110と、冷却素子120と、オリフィス132を備えたオリフィスプレート130と、ギャップ142を有する上部チャンバ140と、ギャップ152を有する下部チャンバ150と、アンカ160と、側壁174と、に類似している。冷却素子520は、冷却素子520の外周の少なくとも一部が自由に振動するように、アンカ560によって中央を支持されている。いくつかの実施形態において、アンカ560は(例えば、アンカ360Aおよび/または360Bに類似した方法で)冷却素子520の軸に沿って伸びている。他の実施形態において、アンカ560は、冷却素子520の中央部分の近くのみに存在する(例えば、アンカ360Cおよび/または360Dに類似している)。
【0095】
支持構造570は、さらに、ペデスタル172と類似しているペデスタル572を備える。ただし、図に示す実施形態において、ペデスタル572は、熱発生構造102と類似しているヒートスプレッダまたはベイパーチャンバに一体化されている。
【0096】
冷却システム500は、冷却システム100と類似した方法で動作する。したがって、冷却システム500は、冷却システム100の利点を共有する。したがって、冷却システム500を利用するデバイスの性能が改善されうる。ペデスタル572は、一体的なヒートスプレッダを有するので、熱は、集積回路503からシステム500へより効率的に伝熱されうる。次いで、熱は、冷却素子520によってシステム500を通して駆動される流体によって取り除かれうる。したがって、性能が高められうる。
【0097】
図6は、アクティブヒートシンクとして利用可能なアクティブ冷却システム600の一実施形態を示す。
図6は、正確な縮尺ではない。簡単のために、冷却システム600の一部のみが図示されている。冷却システム600は、冷却システム100および/または500と類似している。したがって、類似した構成要素は、同様の符号を有する。例えば、冷却システム600は、集積回路603と共に利用され、集積回路603は、集積回路103と類似している。
【0098】
冷却システム600は、冷却素子120および支持構造170とそれぞれ類似している冷却素子620および冷却構造670を備える。したがって、支持構造670は、ベント612を有する上部プレート610と、オリフィス632を備えたオリフィスプレート630と、ギャップを有する上部チャンバ640と、ギャップを有する下部チャンバ650と、アンカ660と、側壁674と、を備えており、これらの構成要素は、それぞれ、ベント112を有する上部プレート110と、冷却素子120と、オリフィス132を備えたオリフィスプレート130と、ギャップ142を有する上部チャンバ140と、ギャップ152を有する下部チャンバ150と、アンカ160と、側壁174と、に類似している。冷却素子620は、冷却素子620の外周の少なくとも一部が自由に振動するように、アンカ660によって中央を支持されている。いくつかの実施形態において、アンカ660は(例えば、アンカ360Aおよび/または360Bに類似した方法で)冷却素子620の軸に沿って伸びている。他の実施形態において、アンカ660は、冷却素子620の中央部分の近くのみに存在する(例えば、アンカ360Cおよび/または360Dに類似している)。
【0099】
支持構造670は、さらに、ペデスタル172と類似しているペデスタル672を備える。ただし、図の実施形態において、ペデスタル672は、伝導によって集積回路103へ直接、熱的に結合されている。
【0100】
冷却システム600は、冷却システム100と類似した方法で動作する。したがって、冷却システム600は、冷却システム100の利点を共有する。したがって、冷却システム600を利用するデバイスの性能が改善されうる。ペデスタル672は、集積回路603へ直接、熱的に接続されているので、熱は、伝導によって集積回路603からシステム600へより効率的に伝熱されうる。次いで、熱は、冷却素子620によって冷却システム600を通して駆動される流体によって取り除かれうる。したがって、性能が高められうる。
【0101】
図7は、アクティブヒートシンクとして利用可能なアクティブ冷却システム700の一実施形態を示す。
図7は、正確な縮尺ではない。簡単のために、冷却システム700の一部のみが図示されている。冷却システム700は、冷却システム100、500、および/または、600と類似している。したがって、類似した構成要素は、同様の符号を有する。例えば、冷却システム700は、集積回路703と共に利用され、集積回路703は、集積回路103と類似している。
【0102】
冷却システム700は、冷却素子120および支持構造170とそれぞれ類似している冷却素子720および冷却構造770を備える。したがって、支持構造770は、ベント712を有する上部プレート710と、下部プレート730と、ギャップを有する上部チャンバ740と、ギャップを有する下部チャンバ750と、アンカ760と、ペデスタル772と、側壁774と、を備えており、これらの構成要素は、それぞれ、ベント112を有する上部プレート110と、冷却素子120と、オリフィスプレート130と、ギャップ142を有する上部チャンバ140と、ギャップ152を有する下部チャンバ150と、アンカ160と、ペデスタル172と、側壁174と、に類似している。冷却素子720は、冷却素子720の外周の少なくとも一部が自由に振動するように、アンカ760によって中央を支持されている。いくつかの実施形態において、アンカ760は(例えば、アンカ360Aおよび/または360Bに類似した方法で)冷却素子720の軸に沿って伸びている。他の実施形態において、アンカ760は、冷却素子720の中央部分の近くのみに存在する(例えば、アンカ360Cおよび/または360Dに類似している)。
【0103】
下部プレート730は、オリフィスプレート130と類似しているが、オリフィスを有していない。その代わり、側壁774におけるオリフィス732が図示されている。したがって、流体は、熱発生構造702に向かうのとは別の方向に排出される。そのため、冷却システム700は、衝突によって熱発生構造702を冷却することがない。しかしながら、それでも、冷却システム700は、熱発生構造702および構成要素703を冷却しうる。したがって、熱発生構造702からの熱は、ペデスタル722を通して伝導によって冷却システム700へ伝熱され、冷却素子720の振動運動によって駆動される冷却システム700内の流体によって取り除かれる。
【0104】
冷却システム700は、冷却システム100と類似した方法で動作する。したがって、冷却システム700は、冷却システム100の利点を共有する。したがって、冷却システム700を利用するデバイスの性能が改善されうる。例えば、熱が、定常状態挙動で効率的に伝熱されうる。したがって、性能が高められうる。
【0105】
図8は、アクティブヒートシンクとして利用可能なアクティブ冷却システム800の一実施形態を示す。
図8は、正確な縮尺ではない。簡単のために、冷却システム800の一部のみが図示されている。冷却システム800は、冷却システム100、500、600、および/または、700と類似している。したがって、類似した構成要素は、同様の符号を有する。例えば、冷却システム800は、集積回路803と共に利用され、集積回路803は、集積回路803と類似している。
【0106】
冷却システム800は、冷却素子120および支持構造170とそれぞれ類似している冷却素子820および冷却構造870を備える。したがって、支持構造870は、ベント812を有する上部プレート810と、下部プレート830と、ギャップを有する上部チャンバ840と、ギャップを有する下部チャンバ850と、アンカ860と、側壁874と、を備えており、これらの構成要素は、それぞれ、ベント112を有する上部プレート110と、冷却素子120と、オリフィスプレート130と、ギャップ142を有する上部チャンバ140と、ギャップ152を有する下部チャンバ150と、アンカ160と、側壁174と、に類似している。冷却素子820は、冷却素子820の外周の少なくとも一部が自由に振動するように、アンカ860によって中央を支持されている。いくつかの実施形態において、アンカ860は(例えば、アンカ360Aおよび/または360Bに類似した方法で)冷却素子820の軸に沿って伸びている。他の実施形態において、アンカ860は、冷却素子820の中央部分の近くのみに存在する(例えば、アンカ360Cおよび/または360Dに類似している)。
【0107】
冷却システム800は、冷却システム700と最も類似している。したがって、下部プレート830は、オリフィスプレート130と類似しているが、オリフィスを有していない。その代わり、側壁874におけるオリフィス832が図示されている。したがって、流体は、熱発生構造802に向かうのとは別の方向に排出される。そのため、冷却システム800は、衝突によって熱発生構造802を冷却することがない。さらに、ペデスタルが取り除かれている。したがって、下部プレート830は、熱発生構造802へ直接的に接続されている。いくつかの実施形態において、熱発生構造を取り除いて、下部プレート830が集積回路へ直接的に結合されることを可能にしてもよい。したがって、熱発生構造802からの熱は、下部プレート830を通して伝導によって冷却システム800へ伝熱され、冷却素子820の振動運動によって駆動される冷却システム800内の流体によって取り除かれる。
【0108】
図9は、アクティブヒートシンクとして利用可能なアクティブ冷却システム900の一実施形態を示す。
図9は、正確な縮尺ではない。簡単のために、冷却システム900の一部のみが図示されている。冷却システム900は、冷却システム100、500、600、700、および/または、800と類似している。したがって、類似した構成要素は、同様の符号を有する。例えば、冷却システム900は、集積回路803と共に利用され、集積回路803は、集積回路903と類似している。
【0109】
冷却システム900は、冷却素子120および支持構造170とそれぞれ類似している冷却素子920および冷却構造970を備える。したがって、支持構造970は、ベント912を有する上部プレート910と、オリフィス932を有するオリフィスプレート930と、ギャップを有する上部チャンバ940と、ギャップを有する下部チャンバ950と、アンカ960と、ペデスタル972と、側壁974と、を備えており、これらの構成要素は、それぞれ、ベント112を有する上部プレート110と、冷却素子120と、オリフィス132を有するオリフィスプレート130と、ギャップ142を有する上部チャンバ140と、ギャップ152を有する下部チャンバ150と、アンカ160と、ペデスタル172と、側壁174と、に類似している。冷却素子920は、冷却素子920の外周の少なくとも一部が自由に振動するように、アンカ960によって中央を支持されている。いくつかの実施形態において、アンカ960は(例えば、アンカ360Aおよび/または360Bに類似した方法で)冷却素子920の軸に沿って伸びている。他の実施形態において、アンカ960は、冷却素子920の中央部分の近くのみに存在する(例えば、アンカ360Cおよび/または360Dに類似している)。
【0110】
オリフィスプレート930は、オリフィス932(
図9に点線で示されている)を備えている。しかしながら、オリフィス932は、熱発生構造902に衝突するよう流体を方向付けない。したがって、流体は、熱発生構造902に向かうのとは別の方向に排出される。図の実施形態において、流体は、紙面と実質的に垂直な方向に下部チャンバ950から駆動されてよい。そのため、冷却システム900は、衝突によって熱発生構造902を冷却することがない。しかしながら、それでも、冷却システム900は、熱発生構造902および構成要素903を冷却しうる。
【0111】
様々な冷却システム100、100’、400、500、600、700、800、および/または、900について説明し、特定の特徴を明らかにした。冷却システム100、100’、400、500、600、700、800、および/または、900の様々な特徴を、本明細書に明示的に示されていない方法で組み合わせることができる。
【0112】
図10A~
図10Bは、タイルとして構成された複数の冷却セルを備えたアクティブ冷却システム1000の実施形態を示す。
図10Aは、上面図を示し、
図10Bは、側面図を示している。
図10A~
図10Bは、正確な縮尺ではない。冷却システム1000は、4つの冷却セル1001を備えており、それらの冷却セルは、本明細書に記載されている冷却システム(冷却システム100および/または400など)の内の1または複数に類似している。2×2構成の4つの冷却セル1001が示されているが、いくつかの実施形態において、別の数および/または別の構成の冷却セル1001が用いられてもよい。図の実施形態において、冷却セル1001は、開口部1012を有する共有上部プレート1010と、冷却素子1020と、オリフィス1032を備えた共有オリフィスプレート1030と、上部チャンバ1040と、下部チャンバ1050と、ペデスタル1072と、側壁1074と、アンカ1060と、を備えており、これらの構成要素は、開口部112を有する上部プレート110と、冷却要素120と、オリフィス132を有するオリフィスプレート130と、上部チャンバ140と、下部チャンバ150と、ペデスタル172と、側壁174と、アンカ160と、に類似している。下部アンカ1060が示されているが、他の実施形態において、上部アンカが用いられてもよい。図の実施形態において、冷却素子1020は、異なる位相で(すなわち、シーソーに類似した方法で)駆動されている。さらに、或るセル内の冷却素子1020が、隣接するセル内の冷却素子と異なる位相で駆動されている。
【0113】
冷却システム1000の冷却セル1001は、冷却システム100および/400と類似した方法で機能する。その結果として、本明細書に記載されている利点が、冷却システム1000によって共有されうる。近くのセル内の冷却素子が異なる位相で駆動されるため、冷却システム1000における振動が低減されうる。複数の冷却セル1001が利用されるので、冷却システム1000は、冷却力が改善されうる。
【0114】
図11は、複数の冷却セル1101を備えた冷却システム1600の実施形態を示す上面図である。
図11は、正確な縮尺ではない。冷却セル1101は、本明細書に記載されている冷却システム(冷却システム100および/または100’など)の内の1または複数に類似している。冷却システム1100に示すように、冷却セル1101は、所望のサイズおよび構成の二次元アレイに配列されてよい。いくつかの実施形態において、冷却システム1100は、複数のタイル160で構成されていると見なされうる。このように、所望の冷却力および構成が実現されうる。
【0115】
図12は、冷却システムを動作させるための方法1200の実施形態例を示すフローチャートである。方法1200は、簡単のために図示されていない工程を備えてもよい。方法1200は、圧電型冷却システム100の文脈で説明されている。ただし、方法1200は、本明細書に記載のシステムおよびセルを含むがそれらに限定されないその他の冷却システムで用いられてもよい。
【0116】
冷却システム内の冷却素子の内の1または複数が、工程1202で振動するよう駆動される。工程1202では、所望の周波数を有する電気信号が、冷却素子を駆動するために用いられる。いくつかの実施形態において、冷却素子は、工程1202で、構造共振周波数および/または音響共振周波数で、もしくは、それらに近い周波数で、駆動される。駆動周波数は、15kHz以上であってよい。複数の冷却素子が工程1202で駆動される場合、冷却素子は、異なる位相で駆動されてもよい。いくつかの実施形態において、冷却素子は、実質的に180度ずれた位相で駆動される。さらに、いくつかの実施形態において、個々の冷却素子が、異なる位相で駆動される。例えば、1つの冷却素子の異なる部分が、反対方向に振動するよう駆動されてよい(すなわち、シーソーに類似する)。いくつかの実施形態において、個々の冷却素子が、同じ位相で駆動されてもよい(すなわち、蝶に類似する)。さらに、駆動信号は、アンカ、冷却素子、もしくは、アンカおよび冷却素子の両方に供給されてよい。さらに、アンカが、屈曲しおよび/または平行移動するように駆動されてもよい。
【0117】
圧電型冷却素子からのフィードバックが、工程1204で、駆動電流を調整するために用いられる。いくつかの実施形態において、調整は、冷却素子および/または冷却システムの1または複数の音響共振周波数および/または構造共振周波数と同じまたは近い周波数に、周波数を維持するために用いられる。特定の冷却素子の共振周波数が、例えば、温度変化に起因して変動する場合がある。工程1204でなされる調整は、共振周波数の変動を考慮することを可能にする。
【0118】
例えば、圧電型冷却素子120が、工程1202で、その1または複数の構造共振周波数で駆動されてよい。この共振周波数は、上部チャンバ140の音響共振周波数と同じまたは近くてもよい。これは、アンカ160内の圧電体層(
図1A~
図1Fでは図示せず)および/または冷却素子120内の圧電体層を駆動することによって達成されうる。工程1204で、フィードバックは、冷却素子120を、共振状態に維持するため、そして、複数の冷却素子が駆動されるいくつかの実施形態においては、180度ずれた位相に維持するために、用いられる。したがって、冷却システム100を通して熱発生構造102へ流体流を駆動する冷却素子120の効率が維持されうる。いくつかの実施形態において、工程1204は、冷却素子120を流れる電流および/またはアンカ160を流れる電流をサンプリングし、共振および低入力電力を維持するように電流を調整することを含む。
【0119】
したがって、冷却システム(冷却システム100、100’、400、500、600、700、800、および/または、900など)は、上述のように動作しうる。このように、方法1200は、本明細書に記載の圧電型冷却システムの利用を提供する。したがって、圧電型冷却システムは、より低い電力で、より効率的かつ静かに、半導体デバイスを冷却しうる。
【0120】
上述の実施形態は、理解しやすいようにいくぶん詳しく説明されているが、本発明は、提供されている詳細事項に限定されるものではない。本発明を実施する多くの代替方法が存在する。開示されている実施形態は、例示であり、限定を意図するものではない。
[適用例1]システムであって、
第1側と、前記第1側の反対側にある第2側と、を有する冷却素子であって、流体を前記第1側から前記第2側へ駆動するために、駆動された時に振動運動を行うよう構成されている、冷却素子と、
熱伝導によって前記冷却素子を熱発生構造に熱的に結合している支持構造と、
を備える、システム。
[適用例2]適用例1に記載のシステムであって、前記支持構造は、さらに、
下部プレートと、
中にチャンバを形成する側壁と、
を備え、
前記冷却素子は、前記チャンバ内にあり、前記下部プレートおよび前記複数の側壁の内の少なくとも1つは、複数のオリフィスを有し、前記冷却素子は、前記複数のオリフィスを通して前記流体を駆動するように駆動される、システム。
[適用例3]適用例2に記載のシステムであって、前記振動運動は、前記複数のオリフィスを出る前記流体が少なくとも30メートル/秒の速度を有するように、前記流体を駆動する、システム。
[適用例4]適用例2に記載のシステムであって、前記支持構造は、さらに、
少なくとも1つのベントを有する上部プレートを備え、
前記冷却素子は、前記上部プレートと前記熱発生構造との間にあり、前記冷却素子と前記上部プレートとの間に上部チャンバを形成し、前記冷却素子と前記下部プレートとの間に下部チャンバを形成する、システム。
[適用例5]適用例1に記載のシステムであって、前記冷却素子は、中央領域および外周を有し、前記支持構造は、さらに、
前記中央領域で前記冷却素子を支持するよう構成されているアンカを備え、
前記外周の少なくとも一部は、自由に前記振動運動を行う、システム。
[適用例6]適用例1に記載のシステムであって、さらに、
前記支持構造と一体化されているヒートスプレッダを備え、
前記ヒートスプレッダは、熱伝導によって前記支持構造および前記熱発生構造に熱的に結合されている、システム。
[適用例7]適用例6に記載のシステムであって、前記支持構造は、前記複数のオリフィスの少なくとも一部を出た前記流体が前記ヒートスプレッダに当たって前記ヒートスプレッダから熱を奪うように構成され、前記ヒートスプレッダは、熱伝導によって前記熱発生構造から熱を奪う、システム。
[適用例8]適用例1に記載のシステムであって、前記冷却素子は、前記振動運動によって駆動された前記流体が前記冷却素子から熱を奪うよう構成されている、システム。
[適用例9]適用例1に記載のシステムであって、前記支持構造は、さらに、
前記熱発生構造に熱伝導的に結合されているペデスタルを備える、システム。
[適用例10]適用例1に記載のシステムであって、前記熱発生構造は、集積回路、バッテリ、ヒートスプレッダ、および、ベイパーチャンバから選択される、システム。
[適用例11]アクティブヒートシンクであって、
複数の冷却セルと、前記複数の冷却セルの各々は、冷却素子と、少なくとも1つのベントを有する上部プレートと、下部プレートと、中にチャンバを形成する複数の側壁と、アンカと、を備え、前記冷却素子は、前記上部プレートと前記下部プレートとの間の前記チャンバ内にあり、前記下部プレートおよび前記複数の側壁の内の少なくとも1つは、複数のオリフィスを有し、前記冷却素子は、前記複数のオリフィスを通して流体を駆動するために振動運動を行うよう駆動され、
前記複数の冷却セルと一体化されており、熱伝導によって前記冷却素子を熱発生構造に熱的に結合している支持構造と、
を備える、アクティブヒートシンク。
[適用例12]適用例11に記載のアクティブヒートシンクであって、前記冷却素子は、中央領域および外周を有し、前記支持構造は、さらに、
前記複数の冷却素子の各々のためのアンカを備え、
前記アンカは、前記中央領域で前記冷却素子を支持するよう構成され、前記外周の少なくとも一部は、自由に前記振動運動を行う、アクティブヒートシンク。
[適用例13]適用例11に記載のアクティブヒートシンクであって、さらに、
前記支持構造と一体化されているヒートスプレッダを備え、
前記ヒートスプレッダは、熱伝導によって前記支持構造および前記熱発生構造に熱的に結合されている、アクティブヒートシンク。
[適用例14]適用例11に記載のアクティブヒートシンクであって、前記冷却素子は、前記振動運動によって駆動された前記流体が前記冷却素子から熱を奪うよう構成されている、アクティブヒートシンク。
[適用例15]適用例11に記載のアクティブヒートシンクであって、前記支持構造は、さらに、
前記熱発生構造に熱伝導的に結合されているペデスタルを備える、アクティブヒートシンク。
[適用例16]適用例11に記載のアクティブヒートシンクであって、前記熱発生構造は、集積回路、バッテリ、ヒートスプレッダ、および、ベイパーチャンバから選択される、アクティブヒートシンク。
[適用例17]熱発生構造を冷却する方法であって、
或る周波数の振動運動を引き起こすように冷却素子を駆動することを備え、
前記冷却素子は、第1側と、前記第1側の反対側にある第2側と、を有し、前記冷却素子は、流体を前記第1側から前記第2側へ駆動するために、駆動された時に振動運動を行うよう構成され、前記冷却素子は、前記熱発生構造に支持構造によって熱的に結合され、前記支持構造は、熱伝導によって前記冷却素子を前記熱発生構造に熱的に結合している、方法。
[適用例18]適用例17に記載の方法であって、前記周波数は、前記冷却素子の構造共振に対応し、前記周波数は、さらに、前記冷却素子が存在するチャンバの少なくとも一部の音響共振に対応している、方法。
[適用例19]適用例17に記載の方法であって、前記冷却素子は、複数の離脚素子の内の1つであり、前記駆動することは、さらに、
前記複数の冷却素子の各々において前記振動運動を引き起こすように前記複数の冷却素子を駆動することを備え、前記複数の冷却素子の各々は、熱伝導によって熱発生構造に熱的に結合されている、方法。
[適用例20]適用例17に記載の方法であって、ヒートスプレッダが、前記支持構造と一体化されており、前記ヒートスプレッダは、前記熱発生構造に熱的に結合されている、方法。