(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】バルーン型電極カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
A61B18/14
(21)【出願番号】P 2023526738
(86)(22)【出願日】2021-06-09
(86)【国際出願番号】 JP2021021992
(87)【国際公開番号】W WO2022259438
(87)【国際公開日】2022-12-15
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】594170727
【氏名又は名称】日本ライフライン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】飯島 俊之
【審査官】白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/035918(WO,A1)
【文献】特表2014-531935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経脈管的に導入され、脈管またはその周囲の組織を焼灼治療するためのバルーン型電極カテーテルであって、
中央ルーメンと、その周囲に複数配置されたサブルーメンとを有するアウターチューブと、
前記アウターチューブの基端側に配置された通電用コネクタと、
先端側コーン部分と円筒状部分と基端側コーン部分とからなる拡張部と、前記拡張部の両端に連続するネック部とを有し、基端側の前記ネック部が前記アウターチューブの先端部に固定されることにより、当該アウターチューブの先端側に接続されたバルーンと、
ガイドワイヤを挿通可能なルーメンを有し、前記アウターチューブの前記中央ルーメンに挿通されて、当該中央ルーメンの開口から前記バルーンの内部に延出し、当該バルーンの内部を延在するインナーチューブと、
前記インナーチューブの前記ルーメンに連通するルーメンを有し、前記バルーンの内部において前記インナーチューブの先端に接続されるとともに、先端側の前記ネック部に固定されて前記バルーンの外部に延出する先端チップと、
基端側の前記ネック部に装着された金属リングと、
前記金属リングと電気的に接続され、
基端側の前記ネック部
、前記拡張部の前記
基端側コーン部分および前記円筒状部分の外表面に形成された金属薄膜からなる表面電極と、
前記金属リングの内周面にその先端が固定され、前記バルーンの内部および前記アウターチューブの何れかの前記サブルーメンに延在して、その基端が前記通電用コネクタに固定されることにより、前記表面電極と前記通電用コネクタとを電気的に接続する導線とを備えてなり、
前記
基端側コーン部分の外表面に形成されている電極部分が絶縁被覆されていることを特徴とするバルーン型電極カテーテル。
【請求項2】
基端側の前記ネック部、前記拡張部の前記基端側コーン部分および前記円筒状部分の基端領域の外表面に形成されている電極部分が絶縁被覆されていることを特徴とする請求項
1に記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項3】
前記円筒状部分の前記基端領域の長さが1~3mmであることを特徴とする請求項
2に記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項4】
前記金属リングが絶縁被覆されていることを特徴とする請求項
2または
3に記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項5】
前記表面電極が前記円筒状部分の先端位置まで形成されており、
前記円筒状部分の先端領域の外表面に形成されている電極部分が絶縁被覆されていることを特徴とする請求項
2~
4の何れかに記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項6】
前記円筒状部分の前記先端領域の長さが1~3mmであることを特徴とする請求項
5に記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項7】
前記表面電極は、前記バルーンの軸方向に沿って延びるように形成され、当該バルーンの円周方向に沿って等角度間隔に配置された複数の帯状電極からなり、前記帯状電極の各々の基端部が前記金属リングの外周面に固着されていることにより、前記帯状電極の各々と前記金属リングとが電気的に接続されていることを特徴とする請求項
1~
6の何れかに記載のバルーン型電極カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経脈管的に導入され、脈管またはその周囲の組織を高周波焼灼治療するためのバルーン型電極カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脈管またはその周囲の組織を高周波焼灼治療するための電極カテーテルとして、中央ルーメンと、その周囲に複数配置されたサブルーメンとを有するアウターチューブと、前記アウターチューブの基端側に配置された通電用コネクタと、拡張収縮する拡張部と、その両端に連続するネック部とを有し、基端側ネック部が前記アウターチューブの先端部に固定されることにより、当該アウターチューブの先端側に接続されたバルーンと、ガイドワイヤを挿通可能なルーメンを有し、前記アウターチューブの前記中央ルーメンに挿通されて、当該中央ルーメンの開口から前記バルーンの内部に延出し、当該バルーンの内部を延在するインナーチューブと、前記インナーチューブの前記ルーメンに連通するルーメンを有し、前記バルーンの内部において前記インナーチューブの先端に接続されるとともに、先端側ネック部に固定されて前記バルーンの外部に延出する先端チップと、前記拡張部および前記先端側ネック部における前記バルーンの外表面に形成された金属薄膜からなる表面電極(帯状電極)と、前記バルーンの前記先端側ネック部に装着され、前記表面電極の先端部がその外周面に固着されていることにより、前記表面電極と電気的に接続された金属リングと、前記金属リングの内周面にその先端が固定され、前記バルーンの内部および前記アウターチューブの何れかの前記サブルーメンに延在して、その基端が前記通電用コネクタに固定されることにより、前記表面電極と前記通電用コネクタとを電気的に接続する導線とを備えているバルーン型電極カテーテルが本出願人により提案されている(下記特許文献1参照)。
【0003】
このバルーン型電極カテーテルを構成するバルーンは、拡張収縮する拡張部と、拡張部の基端に連続する基端側ネック部と、拡張部の先端に連続する先端側ネック部とを有し、バルーンの拡張部は、円筒状部分と、円筒状部分の先端から先端側ネック部の基端に至る先端側コーン部分と、円筒状部分の基端から基端側ネック部の先端に至る基端側コーン部分とからなる。
【0004】
このバルーン型電極カテーテルを構成する表面電極は、拡張部の円筒状部分および先端側コーン部分並びに先端側ネック部の外表面に形成されている。
【0005】
このバルーン型電極カテーテルによれば、バルーンの外表面に形成された表面電極を、金属リングおよび導線を介して通電用コネクタに電気的に接続することができるので、当該表面電極に高周波電流を確実に通電することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されているようなバルーン型電極カテーテルにより、狭窄・閉塞している脈管またはその周囲の組織を焼灼治療する場合には、表面電極が外表面に形成されているバルーン拡張部の円筒状部分を治療すべき脈管(内壁)と接触させ、当該脈管を拡張しながら焼灼する。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されているバルーン型電極カテーテルでは、拡張部の円筒状部分だけでなく、拡張部の先端側コーン部分や先端側ネック部の外表面においても表面電極が形成されているため、先端側コーン部分などに接触している脈管部位が十分に拡張されることない状態で焼灼され、この結果、当該脈管部位が(再)狭窄を起こすことが考えられる。
【0009】
本発明は以上のような事情に基いてなされたものである。
本発明の目的は、バルーンの拡張部の円筒状部分により脈管またはその周囲の病巣組織に対して焼灼治療を行うことができるとともに、拡張部のコーン部分に接触している脈管部位やその周囲の組織が焼灼されることがないバルーン型電極カテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明のバルーン型電極カテーテルは、経脈管的に導入され、脈管またはその周囲の組織を焼灼治療するためのバルーン型電極カテーテルであって、
中央ルーメンと、その周囲に複数配置されたサブルーメンとを有するアウターチューブと、
前記アウターチューブの基端側に配置された通電用コネクタと、
先端側コーン部分と円筒状部分と基端側コーン部分とからなる拡張部と、前記拡張部の両端に連続するネック部とを有し、基端側の前記ネック部(基端側ネック部)が前記アウターチューブの先端部に固定されることにより、当該アウターチューブの先端側に接続されたバルーンと、
ガイドワイヤを挿通可能なルーメンを有し、前記アウターチューブの前記中央ルーメンに挿通されて、当該中央ルーメンの開口から前記バルーンの内部に延出し、当該バルーンの内部を延在するインナーチューブと、
前記インナーチューブの前記ルーメンに連通するルーメンを有し、前記バルーンの内部において前記インナーチューブの先端に接続されるとともに、先端側の前記ネック部(先端側ネック部)に固定されて前記バルーンの外部に延出する先端チップと、
前記先端側ネック部または前記基端側ネック部に装着された金属リングと、
前記金属リングと電気的に接続され、前記金属リングが装着されている前記ネック部(前記先端側ネック部または前記基端側ネック部)、当該ネック部に連続する前記拡張部の前記コーン部分(前記先端側コーン部分または前記基端側コーン部分)および前記拡張部の前記円筒状部分の外表面に形成された金属薄膜からなる表面電極と、
前記金属リングの内周面にその先端が固定され、前記バルーンの内部および前記アウターチューブの何れかの前記サブルーメンに延在して、その基端が前記通電用コネクタに固定されることにより、前記表面電極と前記通電用コネクタとを電気的に接続する導線とを備えてなり、
前記金属リングが装着された前記ネック部(前記先端側ネック部または前記基端側ネック部)に連続する前記コーン部分(前記先端側コーン部分または前記基端側コーン部分)の外表面に形成されている電極部分が絶縁被覆されていることを特徴とする。
【0011】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、バルーンの拡張部の円筒状部分によって脈管またはその周囲の病巣組織に対して焼灼治療を行うことができるとともに、金属リングが装着されたネック部に連続する拡張部のコーン部分に形成されている電極部分が絶縁被覆されているので、焼灼治療時において、この電極部分の近傍が高温となることはなく、このコーン部分(絶縁被覆層)に接触している脈管部位やその周囲の組織が焼灼されることを防止することができ、これにより、当該脈管部位が(再)狭窄を起こすことを防止することができる。
【0012】
(2)本発明のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記金属リングは、前記先端側ネック部に装着され、
前記表面電極は、前記先端側ネック部、前記拡張部の前記先端側コーン部分および前記円筒状部分の外表面に形成され、
前記先端側コーン部分の外表面に形成されている電極部分が絶縁被覆されていることが好ましい。
【0013】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、拡張部の先端側コーン部分の外表面に形成されている電極部分が絶縁被覆されているので、焼灼治療時において、この電極部分の近傍が高温となることはなく、先端側コーン部分(絶縁被覆層)に接触している脈管部位やその周囲の組織が焼灼されることを防止することができ、これにより、当該脈管部位が(再)狭窄を起こすことを防止することができる。
【0014】
また、バルーンの外表面に形成された表面電極を、金属リングおよび導線を介して通電用コネクタに電気的に接続することができるので、当該表面電極に高周波電流を確実に通電することができる。
これにより、脈管またはその周囲の病巣組織に対して広範囲にわたり焼灼治療を行うことができる。
【0015】
また、金属リングが装着されるバルーンの先端側ネック部は、先端チップに固定されるネック部であり、アウターチューブに固定される基端側ネック部と比較して外径が格段に小さいので、先端側ネック部に装着される金属リングの外径を、アウターチューブや基端側ネック部の外径よりも小さくすることができる。
これにより、バルーン型電極カテーテルの導入時において、使用するシースや内視鏡の開口に当該金属リングが引っ掛かるようなことはなく、シースや内視鏡の内腔へのバルーン型電極カテーテルの挿通性が損なわれることがない。
【0016】
(3)上記(2)のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記先端側ネック部、前記拡張部の前記先端側コーン部分および前記円筒状部分の先端領域の外表面に形成されている電極部分が絶縁被覆されていることが好ましい。
ここに、円筒状部分の「先端領域」とは、円筒状部分の先端を含む一定の長さを有する領域をいう。
【0017】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、先端側ネック部および拡張部の先端側コーン部分の外表面に形成されている電極部分が絶縁被覆されているので、焼灼治療時において、これらの電極部分の近傍が高温となることはない。
【0018】
更に、このバルーン型電極カテーテルでは、円筒状部分の先端領域の外表面に形成されている電極部分が絶縁被覆されているので、当該先端領域からの熱伝導により先端側コーン部分が昇温することを防止することができる。
これにより、先端側ネック部および拡張部の先端側コーン部分(絶縁被覆層)に接触している脈管部位やその周囲の組織が焼灼されることをより効果的に防止することができる。
【0019】
また、先端領域の長さ(絶縁被覆長さ)を適宜調整することにより、先端領域以外の円筒状部分の領域(電極部分が絶縁被覆されていない領域)からの熱伝導によって先端領域を昇温させ、当該先端領域に接触している脈管部位またはその周囲の組織を焼灼治療すること(円筒状部分全域を焼灼治療領域とすること)も可能である。
【0020】
(4)上記(3)のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記円筒状部分の前記先端領域
の長さが1~3mmであることが好ましい。
【0021】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、先端側ネック部および拡張部の先端側コーン部分(絶縁被覆層)に接触している脈管部位やその周囲の組織が焼灼されることをより効果的に防止することができるとともに、先端領域を含む円筒状部分の全域により焼灼治療を行うことができる。
【0022】
(5)上記(3)または(4)のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記金属リングが絶縁被覆されていることが好ましい。
【0023】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、焼灼治療時に通電中の金属リングが高温になることを防止でき、金属リングの周囲の組織が焼灼されることを回避することができる。
【0024】
(6)上記(3)~(5)のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記表面電極が前記円筒状部分の基端位置まで形成されており、
前記円筒状部分の基端領域の外表面に形成されている電極部分が絶縁被覆されていることが好ましい。
ここに、円筒状部分の「基端領域」とは、円筒状部分の基端を含む一定の長さを有する領域をいう。
【0025】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、拡張部の円筒状部分の基端領域に形成されている電極部分が絶縁被覆されているので、焼灼治療時において、当該基端領域からの熱伝導により基端側コーン部分が昇温することを防止することができ、これにより、基端側コーン部分に接触している脈管部位やその周囲の組織が焼灼されることを防止することができる。
【0026】
また、基端領域の長さ(絶縁被覆長さ)を適宜調整することにより、基端領域以外の円筒状部分の領域(電極部分が絶縁被覆されていない領域)からの熱伝導によって基端領域を昇温させ、当該基端領域に接触している脈管部位またはその周囲の組織を焼灼治療すること(円筒状部分全域を焼灼治療領域とすること)も可能である。
【0027】
(7)上記(6)のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記円筒状部分の前記基端領域の長さが1~3mmであることが好ましい。
【0028】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、基端側コーン部分に接触している脈管部位やその周囲の組織が焼灼されることをより効果的に防止することができるとともに、基端領域を含む円筒状部分の全域により焼灼治療を行うことができる。
【0029】
(8)上記(2)~(7)のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記表面電極は、前記バルーンの軸方向に沿って延びるように形成され、当該バルーンの円周方向に沿って等角度間隔に配置された複数の帯状電極からなり、前記帯状電極の各々の先端部が前記金属リングの外周面に固着されていることにより、前記帯状電極の各々と前記金属リングとが電気的に接続されていることが好ましい。
【0030】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、バルーンの円周方向に沿って等角度間隔に形成されている複数の帯状電極の各々を、金属リングおよび導線を介して、通電用コネクタに電気的に接続することができるので、複数の帯状電極の各々に対して均等に高周波電流を通電することができ、これにより、脈管またはその周囲の組織を当該脈管の円周方向に沿って均質な焼灼治療を行うことができる。
【0031】
(9)本発明のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記金属リングは、前記基端側ネック部に装着され、
前記表面電極は、前記基端側ネック部、前記拡張部の前記基端側コーン部分および前記円筒状部分の外表面に形成され、
前記基端側コーン部分の外表面に形成されている電極部分が絶縁被覆されていることが好ましい。
【0032】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、拡張部の基端側コーン部分の外表面に形成されている電極部分が絶縁被覆されているので、焼灼治療時において、この電極部分の近傍が高温となることはなく、基端側コーン部分(絶縁被覆層)に接触している脈管部位やその周囲の組織が焼灼されることを防止することができ、これにより、当該脈管部位が(再)狭窄を起こすことを防止することができる。
【0033】
(10)上記(9)のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記基端側ネック部、前記拡張部の前記基端側コーン部分および前記円筒状部分の基端領域の外表面に形成されている電極部分が絶縁被覆されていることが好ましい。
【0034】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、基端側ネック部および拡張部の基端側コーン部分の外表面に形成されている電極部分が絶縁被覆されているので、焼灼治療時において、これらの電極部分の近傍が高温となることはない。
【0035】
更に、このバルーン型電極カテーテルでは、円筒状部分の基端領域の外表面に形成されている電極部分が絶縁被覆されているので、当該基端領域からの熱伝導により基端側コーン部分が昇温することを防止することができる。
これにより、基端側ネック部および拡張部の基端側コーン部分(絶縁被覆層)に接触している脈管部位やその周囲の組織が焼灼されることをより効果的に防止することができる。
【0036】
また、基端領域の長さ(絶縁被覆長さ)を適宜調整することにより、基端領域以外の円筒状部分の領域(電極部分が絶縁被覆されていない領域)からの熱伝導によって基端領域を昇温させ、当該基端領域に接触している脈管部位またはその周囲の組織を焼灼治療すること(円筒状部分全域を焼灼治療領域とすること)も可能である。
【0037】
(11)上記(10)のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記円筒状部分の前記基端領域の長さが1~3mmであることが好ましい。
【0038】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、基端側ネック部および拡張部の基端側コーン部分(絶縁被覆層)に接触している脈管部位やその周囲の組織が焼灼されることをより効果的に防止することができるとともに、基端領域を含む円筒状部分の全域により焼灼治療を行うことができる。
【0039】
(12)上記(10)または(11)のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記金属リングが絶縁被覆されていることが好ましい。
【0040】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、焼灼治療時に通電中の金属リングが高温になることを防止でき、金属リングの周囲の組織が焼灼されることを回避することができる。
【0041】
(13)上記(10)~(12)のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記表面電極が
前記円筒状部分の先端位置まで形成されており、
前記円筒状部分の先端領域の外表面に形成されている電極部分が絶縁被覆されていることが好ましい。
【0042】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、拡張部の円筒状部分の先端領域に形成されている電極部分が絶縁被覆されているので、焼灼治療時において、当該先端領域からの熱伝導により先端側コーン部分が昇温することを防止することができ、これにより、先端側コーン部分に接触している脈管部位やその周囲の組織が焼灼されることを防止することができる。
【0043】
また、先端領域の長さ(絶縁被覆長さ)を適宜調整することにより、先端領域以外の円筒状部分の領域(電極部分が絶縁被覆されていない領域)からの熱伝導によって先端領域を昇温させ、当該先端領域に接触している脈管部位またはその周囲の組織を焼灼治療すること(円筒状部分全域を焼灼治療領域とすること)も可能である。
【0044】
(14)上記(13)のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記円筒状部分の前記先端領域の長さが1~3mmであることが好ましい。
【0045】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、先端側コーン部分に接触している脈管部位やその周囲の組織が焼灼されることをより効果的に防止することができるとともに、先端領域を含む円筒状部分の全域により焼灼治療を行うことができる。
【0046】
(15)上記(9)~(14)のバルーン型電極カテーテルにおいて、前記表面電極は、前記バルーンの軸方向に沿って延びるように形成され、当該バルーンの円周方向に沿って等角度間隔に配置された複数の帯状電極からなり、前記帯状電極の各々の基端部が前記金属リングの外周面に固着されていることにより、前記帯状電極の各々と前記金属リングとが電気的に接続されていることが好ましい。
【0047】
このような構成のバルーン型電極カテーテルによれば、バルーンの円周方向に沿って等角度間隔に形成されている複数の帯状電極の各々を、金属リングおよび導線を介して、通電用コネクタに電気的に接続することができるので、複数の帯状電極の各々に対して均等に高周波電流を通電することができ、これにより、脈管またはその周囲の組織を当該脈管の円周方向に沿って均質な焼灼治療を行うことができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明のバルーン型電極カテーテルによれば、バルーンの拡張部の円筒状部分によって脈管またはその周囲の病巣組織に対して焼灼治療を行うことができるとともに、拡張部のコーン部分に接触している脈管部位やその周囲の組織が焼灼されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るバルーン型電極カテーテルの平面図である。
【
図2】
図1に示したバルーン型電極カテーテルの部分破断正面図(
図1のII-II断面を含む正面図)である。
【
図3A】
図1に示したバルーン型電極カテーテルの先端部分を示す斜視図である。
【
図3B】
図1に示したバルーン型電極カテーテルの先端部分を模式的に示す正面図である。
【
図4】
図1に示したバルーン型電極カテーテルの先端部分(バルーンの先端側)を示す斜視図である。
【
図5】
図1に示したバルーン型電極カテーテルの先端部分(バルーンの基端側)を示す斜視図である。
【
図7】
図6の部分拡大図(VII部詳細図)である。
【
図8】
図2の部分拡大図(VIII部詳細図)である。
【
図23】
図1のXXIII-XXIII断面図である。
【
図25】本発明の第2実施形態に係るバルーン型電極カテーテルの先端部分を模式的に示す正面図である。
【
図26】本発明の第3実施形態に係るバルーン型電極カテーテルの先端部分を模式的に示す正面図である。
【
図27】本発明の第4実施形態に係るバルーン型電極カテーテルの先端部分を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
<第1実施形態>
この実施形態のバルーン型電極カテーテル100は、経脈管的に導入され、脈管またはその周囲における腫瘍などの病巣組織を、高周波焼灼により治療するためのバルーン型の電極カテーテルである。
【0051】
図1~
図24に示すバルーン型電極カテーテル100は、円管状部分11と、半円管状部分13とからなり、中央ルーメン10Lと、その周囲に配置されたサブルーメン101L~112Lとを有するアウターチューブ10と;アウターチューブ10の基端側に配置された電気コネクタ21と;先端側コーン部分313と円筒状部分311と基端側コーン部分315とからなる拡張収縮する拡張部31と、拡張部31の両端に連続するネック部(先端側ネック部33および基端側ネック部35)とを有し、基端側ネック部35がアウターチューブ10の先端部を構成する円管状部分11に固定され、拡張部31がアウターチューブ10の先端部を構成する半円管状部分13を内包することにより、アウターチューブ10の先端側に接続されているバルーン30と;ガイドワイヤルーメンを有し、アウターチューブ10の中央ルーメン10Lに挿通されて、当該中央ルーメン10Lの開口からバルーン30の内部に延出し、当該バルーン30の内部を延在するインナーチューブ41と;インナーチューブ41のガイドワイヤルーメンに連通するルーメン(ガイドワイヤルーメン)を有し、バルーン30の内部においてインナーチューブ41の先端に接続されるとともに、先端側ネック部33に固定されてバルーン30の外部に延出する先端チップ46と;バルーン30の先端側ネック部33、拡張部31の先端側コーン部分313および円筒状部分311の外表面に形成された金属薄膜による帯状電極51~54(表面電極)と;バルーン30の先端側ネック部33に装着され、帯状電極51~54の各々の先端
部がその外周面に固着されていることにより、帯状電極51~54の各々と電気的に接続された金属リング60と;金属リング60の内周面にその先端が接続され、バルーン30の内部およびアウターチューブ10(円管状部分11)のサブルーメン112Lに延在し、その基端が電気コネクタ21に接続された導線70と;バルーン30の拡張部31の管壁にその先端(測温部81)が埋設され、拡張部31および基端側ネック部35の管壁並びにアウターチューブ10(円管状部分11)のルーメン106Lに延在し、電気コネクタ21にその基端が接続された、温度センサ(熱電対)80とを備えてなり;金属リング60の外周面、金属リング60の外周面に固着されている帯状電極51~54の各々の電極部分、先端側ネック部33の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分、拡張部31の先端側コーン部分313の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分、および円筒状部分311の先端領域3113の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分が、樹脂層65により絶縁被覆されている。
図1および
図2において、20は、アウターチューブ10の基端側に接続されたYコネクタ、22は流体供給用コネクタ、23は流体排出用コネクタ、24はガイドワイヤコネクタ、26は導線保護チューブ、27は流体供給用チューブ、28は流体排出用チューブである。
【0052】
図3A、
図4、
図5、
図14、
図15、
図17~
図22に示すように、バルーン型電極カテーテル100を構成するアウターチューブ10は、円管状部分11と半円管状部分13とからなる。
アウターチューブ10の基端部および先端部の一部は円管状部分11により構成され、アウターチューブ10の先端部(前記一部を除く)は半円管状部分13により構成されている。
【0053】
図17、
図19および
図21に示すように、アウターチューブ10の円管状部分11の内部には、中央ルーメン10Lと、その周囲に等角度(30°)間隔に配置された12本のサブルーメン101L~112Lとが形成されている。
円管状部分11において、サブルーメン101L~112Lの各々は、これを囲繞するルーメンチューブにより形成され、これらのルーメンチューブは、円管状部分11を形成するバインダ樹脂により固定されている。
【0054】
図14および
図15に示すように、アウターチューブ10の半円管状部分13の内部には、円管状部分11の内部から連続して、サブルーメン101L~105Lが形成されている。
半円管状部分13においてサブルーメン101L~105Lの各々を囲繞するルーメンチューブは、半円管状部分13を形成するバインダ樹脂により固定されている。
【0055】
図3Aおよび
図4に示すように、円管状部分11の内部および半円管状部分13の内部に配置されているサブルーメン101L~105Lは、それぞれ、アウターチューブ10の先端面である半円管状部分13の先端面14において開口している。
【0056】
サブルーメン101L~105Lの各々は、
図1および
図2に示した流体供給用コネクタ22と連通している。
これにより、サブルーメン101L~105L(アウターチューブ10に形成されている12本のサブルーメンのうちの5本のサブルーメン)は、バルーン30(拡張部31)の内部に流体を供給するための「流体供給用サブルーメン」となる。
ここに、バルーン30の内部に供給される流体としては、生理食塩水を例示することができる。
【0057】
図3Aおよび
図5に示すように、円管状部分11の内部に形成されている中央ルーメン
10Lおよびサブルーメン106L~112Lは、それぞれ、円管状部分11の先端面12において開口している。
但し、サブルーメン106L、110Lおよび112Lの開口は、
図17に示すシール材90によって封止されている。
【0058】
サブルーメン107L~111Lの各々は、
図1に示した流体排出用コネクタ23と連通している。
これにより、サブルーメン107L~109Lおよび111L(アウターチューブ10に形成されている12本のサブルーメンのうちの4本のサブルーメン)は、バルーン30(拡張部31)の内部に供給された流体をバルーン30の内部から排出するための「流体排出用サブルーメン」となる。
【0059】
アウターチューブ10の構成材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、ポリエーテルブロックアミド(PEBAX(登録商標))およびナイロンなどのポリアミド系樹脂を挙げることができ、これらのうち、PEBAXが好ましい。
【0060】
アウターチューブ10の外径(後述する基端部における外径)は、通常1.0~3.3mmとされ、好適な一例を示せば1.45mmとされる。
アウターチューブ10の中央ルーメン10Lの径は、通常0.35~0.95mmとされ、好適な一例を示せば0.85mmとされる。
アウターチューブ10のサブルーメン101L~112Lの径は、通常0.10~0.75mmとされ、好適な一例を示せば0.25mmとされる。
アウターチューブ10の長さは、通常100~2200mmとされ、好適な一例を示せば1800mmとされる。
【0061】
図1および
図2に示すように、アウターチューブ10の基端側には、Yコネクタ20が接続されている。
図23に示すように、アウターチューブ10のサブルーメン101L~105Lおよびサブルーメン107L~111Lを囲繞するルーメンチューブは、アウターチューブ10の基端からYコネクタ20の内部に進入している。
【0062】
図24に示すように、サブルーメン101L~105L(流体供給用サブルーメン)を囲繞するルーメンチューブの基端部は、Yコネクタ20の内部において、シングルルーメン構造の流体供給用チューブ27に連結(接着剤95により固定)されている。
この流体供給用チューブ27は、Yコネクタ20の外部に延出し、流体供給用チューブ27の基端は流体供給用コネクタ22に連結している。
【0063】
サブルーメン107L~111Lを囲繞するルーメンチューブの基端部は、Yコネクタ20の内部において、シングルルーメン構造の流体排出用チューブ28に連結(接着剤95により固定)されている。
この流体排出用チューブ28は、Yコネクタ20の外部に延出し、流体排出用チューブ28の基端は流体排出用コネクタ23に連結している。
【0064】
バルーン型電極カテーテル100を構成するバルーン30は、拡張収縮する拡張部31と、拡張部31(先端側コーン部分313)の先端に連続する先端側ネック部33と、拡張部31(基端側コーン部分315)の基端に連続する基端側ネック部35とにより構成されている。
【0065】
バルーン30の拡張部31は、その内部に流体が供給されることによって拡張し、その
内部から流体が排出されることによって収縮する空間形成部分である。
図1~
図5に示すように、バルーン30の拡張部31は、円筒状部分311と、円筒状部分311の先端から先端側ネック部33の基端に至る先端側コーン部分313と、円筒状部分311の基端から基端側ネック部35の先端に至る基端側コーン部分315とからなる。
【0066】
アウターチューブ10の先端部(円管状部分11によって構成される先端部)に基端側ネック部35が固定されるとともに、アウターチューブ10の先端部(半円管状部分13によって構成される先端部)を拡張部31が内包していることにより、バルーン30は、アウターチューブ10の先端側に接続されている。
【0067】
ここに、バルーン30の基端側ネック部35が固定されているアウターチューブ10の先端部(
図19に示した円管状部分11)は表層部分が斫られており、その外径は、基端側ネック部35が固定されていないアウターチューブ10の基端部(
図21に示した円管状部分11)の外径より小さくなっている。
また、
図19に示した基端側ネック部35の外径は、
図21に示したアウターチューブ10の基端部の外径と実質的に等しい。
【0068】
これにより、バルーン型電極カテーテル100を導入するために使用するシースや内視鏡の内腔への挿通性が、基端側ネック部35によって損なわれることを防止することができる。
また、アウターチューブ10の外径をシースや内視鏡によって制限される最大径とすることできる(基端側ネック部の厚みによる外径の拡大を考慮する必要がない)ので、アウターチューブ10のサブルーメン101L~112Lの径を十分確保することができ、バルーン30の内部の冷却効果を更に向上させることができる。
【0069】
図3Aおよび
図4に示すように、流体供給用サブルーメン101L~105Lが開口する半円管状部分13の先端面14は、バルーン30の拡張部31の軸方向の中間位置よりも先端側である円筒状部分311の先端近傍に位置している。
これにより、流体供給用サブルーメン101L~105Lを流通する流体は、円筒状部分311の先端近傍に位置する各々の開口から先端方向に吐出され、吐出された流体は、拡張部31(先端側コーン部分313)の先端近傍に到達することができ、これにより、バルーン30(拡張部31)の内部において先端側から基端側への流体の流れを形成することができる。
【0070】
流体供給用サブルーメンの開口位置が、バルーンの拡張部の軸方向の中間位置より基端側にある場合には、バルーンの拡張後、当該開口から先端方向に流体を吐出させても、拡張部の先端近傍まで当該流体を到達させることができず、バルーンの内部において先端側から基端側への流体の流れを形成することができない。
【0071】
図3Aおよび
図5に示すように、流体排出用サブルーメン107L~109Lおよび111Lが開口する円管状部分11の先端面12は、拡張部31の基端に位置している。
【0072】
バルーン30の構成材料としては、特に限定されるものではなく、従来公知のバルーンカテーテルを構成するバルーンと同一のものを使用することができ、例えば、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、PEBAXおよびナイロンなどのポリアミド系樹脂;熱可塑性ポリエーテルウレタン、ポリエーテルポリウレタンウレア、フッ素ポリエーテルウレタンウレア、ポリエーテルポリウレタンウレア樹脂およびポリエーテルポリウレタンウレアアミドなどのポリウレタン系樹脂を挙げることができる。
【0073】
バルーン30(拡張部31)の直径としては、通常0.7~30.0mmとされ、好適な一例を示せば2.0mmとされる。
バルーン30の基端側ネック部35の外径は、アウターチューブ10の基端部の外径と実質的に等しく、通常1.0~3.3mmとされ、好適な一例を示せば1.45mmである。
バルーン30の拡張部31の長さとしては、通常11~70mmとされ、好適な一例を示せば30mmとされる。
拡張部31の円筒状部分311の長さとしては、通常5~50mmとされ、好適な一例を示せば20mmとされる。
拡張部31の先端側コーン部分313および基端側コーン部分315の長さとしては、通常3~10mmとされ、好適な一例を示せば5mmとされる。
【0074】
本実施形態のバルーン型電極カテーテル100においては、インナーチューブ41と、先端チップ46とにより、インナーシャフトが構成されている。
バルーン型電極カテーテル100を構成するインナーチューブ41は、ガイドワイヤを挿通可能なルーメン(ガイドワイヤルーメン)を有し、アウターチューブ10(円管状部分11)の中央ルーメン10Lに挿通され、その先端部が当該中央ルーメン10Lの開口からバルーン30(拡張部31)の内部に延出している。
【0075】
バルーン30(拡張部31)の内部に延出したインナーチューブ41の先端部は、その外周面の半周部分が半円管状部分13に覆われた状態で、拡張部31の基端側コーン部分315、円筒状部分311および先端側コーン部分313の内部に延在し、先端側コーン部分313の内部において、先端チップ46に連結されている。
【0076】
他方、インナーチューブ41の基端部は、
図23および
図24に示すように、アウターチューブ10の基端(中央ルーメン10Lの基端側の開口)からYコネクタ20の内部に進入し、Yコネクタ20の内部を延在して、Yコネクタ20の外部に延出しており、インナーチューブ41の基端は、ガイドワイヤコネクタ24に連結している。
【0077】
インナーチューブ41の構成材料としては、従来公知のバルーンカテーテルを構成するインナーチューブと同一のものを使用することができるが、機械的特性に優れた結晶性熱可塑性樹脂であるPEEK樹脂(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)が好ましい。
【0078】
インナーチューブ41の外径は、これが挿通されるアウターチューブ10の中央ルーメン10Lの径と同一であるか僅かに小さく、通常0.34~0.99mmとされ、好適な一例を示せば0.84mmとされる。
インナーチューブ41の内径は、通常0.31~0.92mmとされ、好適な一例を示せば0.68mmとされる。
【0079】
バルーン型電極カテーテル100を構成する先端チップ46は、インナーチューブ41のガイドワイヤルーメンに連通するルーメン(ガイドワイヤルーメン)を有し、バルーン30の拡張部31の先端側コーン部分313の内部においてインナーチューブ41の先端に接続されるとともに、先端側ネック部33に固定されてバルーン30の外部に延出している。先端チップ46の先端は開口している。
【0080】
先端チップ46の構成材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、PEBAXおよびナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリウレタンなどを挙げることができる。
【0081】
先端チップ46の内径は、インナーチューブ41の内径と実質的に同一であり、通常0
.31~0.92mmとされ、好適な一例を示せば0.68mmとされる。
先端チップ46の外径は、通常0.35~2.6mmとされ、好適な一例を示せば1.0mmとされる。
先端チップ46が固定されるバルーン30の先端側ネック部33の外径は、通常0.37~3.3mmとされ、好適な一例を示せば1.18mmである。
【0082】
図3A、
図3B、
図4~
図7および
図9~
図15に示すように、バルーン30(先端側ネック部33、拡張部31の先端側コーン部分313および円筒状部分311)の外表面には、高周波電流が通電される表面電極として、バルーン30の軸方向に沿って延びるよう金属薄膜によって形成された帯状電極51~54が、バルーン30の円周方向に沿って90°間隔で配置されている。
【0083】
帯状電極51~54を構成する金属薄膜の構成材料としては、金、白金、銀、銅およびこれらの合金、ステンレススチールなどを挙げることができる。
帯状電極51~54を構成する金属薄膜の膜厚としては0.5~5.0μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0~2.5μmとされる。
この膜厚が過小である場合には、手技中(高周波通電中)において、ジュール熱により金属薄膜が高温となるおそれがある。
他方、薄膜の膜厚が過大である場合には、拡張収縮に伴うバルーンの形状変化に当該金属薄膜が追従しにくくなり、バルーンの拡張・収縮性が損なわれることがある。
【0084】
帯状電極51~54を構成する金属薄膜をバルーン30の外表面に形成する方法としては特に限定されるものではなく、蒸着、スパッタリング、メッキ、印刷など、通常の金属薄膜形成方法を採用することができる。
【0085】
図3A、
図3B、
図4、
図6、
図9および
図10に示すように、バルーン30の先端側ネック部33には金属リング60が装着されている。バルーン型電極カテーテル100を構成する金属リング60は先端側ネック部33にかしめ固定されている。この金属リング60の外周面には帯状電極51~54の各々の先端部が固着(接触)されている。これにより、帯状電極51~54の各々と金属リング60とが電気的に接続されている。
【0086】
金属リング60の構成材料としては、白金または白金系の合金などを挙げることができる。
【0087】
先端側ネック部33に装着される金属リング60の内径は、先端側ネック部33の外径と実質的に同一であり、通常0.37~3.3mmとされ、好適な一例を示せば1.18mmとされる。
先端側ネック部33に装着される金属リング60の外径は、アウターチューブ10や基端側ネック部35の外径よりも小さく、通常0.98~3.28mmとされ、好適な一例を示せば1.32mmとされる。
【0088】
図3A、
図3B、
図4、
図6、
図7、
図9~
図13に示すように、金属リング60の外周面(帯状電極51~54が固着されている表面領域を除く)、金属リング60の外周面に固着されている帯状電極51~54の各々の電極部分、先端側ネック部33の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分、拡張部31の先端側コーン部分313の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分、および円筒状部分311の先端領域3113の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分が樹脂層65(
図3Aおよび
図4において網点で示す)により絶縁被覆されている。
【0089】
先端側ネック部33および拡張部31の先端側コーン部分313の外表面に形成されて
いる電極部分が絶縁被覆されていることにより、帯状電極51~54の各々に通電しても、金属リング60の外周面に固着されている電極部分、先端側ネック部33の外表面に形成されている電極部分、および拡張部31の先端側コーン部分313の外表面に形成されている電極部分の近傍が高温となることはない。
【0090】
更に、このバルーン型電極カテーテル100では、円筒状部分311の先端領域3113の外表面に形成されている電極部分が絶縁被覆されているので、当該先端領域3113からの熱伝導により先端側コーン部分313が昇温することを防止することができる。
これにより、先端側ネック部33および拡張部31の先端側コーン部分313が焼灼温度に到達することはなく、先端側ネック部33および先端側コーン部分313に接触している脈管部位やその周囲の組織が焼灼されること防止することができる。
【0091】
また、先端領域3113(円筒状部分311における樹脂層65の形成領域)の長さを適宜調整することにより、先端領域3113以外の円筒状部分311の領域(電極部分が絶縁被覆されていない領域)からの熱伝導によって先端領域3113を昇温させ、この先端領域3113に接触している脈管部位またはその周囲の組織を焼灼治療すること(円筒状部分311の全域を焼灼治療領域とすること)も可能である。
【0092】
樹脂層65を形成する円筒状部分311の先端領域3113の長さは、通常1~3mmとされ、好適な一例を示せば2mmとされる。
先端領域3113の長さを1mm以上とする(当該先端領域3113に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分を樹脂層65で絶縁被覆する)ことにより、帯状電極51~54の各々に高周波電流を通電しても、熱伝導により先端側コーン部分313が高温になることを回避することができる。
【0093】
また、先端領域3113の長さを3mm以下とすることにより、先端領域3113を焼灼可能な温度まで昇温させ、当該先端領域3113を含む円筒状部分311の全域により焼灼治療を行うことができる。
【0094】
金属リング60の外周面および帯状電極51~54の各々の電極部分を絶縁被覆する態様としては、金属リング60および帯状電極51~54の各々の電極部分を覆うように、先端側ネック部33の外表面、先端側コーン部分313および円筒状部分311の先端領域3113の外表面に樹脂層65を形成する態様を挙げることができる。
【0095】
樹脂層65を構成する樹脂としては、バルーン30に対して接着性の良好な絶縁性樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、バルーン30の構成材料として例示した樹脂を使用することができ、これらのうち、ポリウレタン系樹脂などが好ましい。
【0096】
樹脂層65の形成方法としても特に限定されるものではないが、例えば、樹脂層の形成用樹脂を絶縁すべき領域に対してスプレーなどにより塗布し、塗膜を乾燥、硬化させる方法を挙げることができる。
【0097】
金属リング60の内周面には導線70の先端が固定されている。
この導線70は、
図9および
図11に示すように、先端チップ46の管壁内に延在し、
図12、
図14および
図15に示すように、インナーチューブ41に沿ってバルーン30の拡張部31の内部に延在し、
図17、
図19および
図21に示すように、アウターチューブ10(円管状部分11)のサブルーメン112Lに延在し、
図23および
図24に示すように、Yコネクタ20の内部に延在し、Yコネクタ20から延出する導線保護チューブ26の内部を通ってYコネクタ20から延出している。
【0098】
導線70の基端は電気コネクタ21に接続されている。この電気コネクタ21は、帯状電極51~54にの各々に高周波電流を通電する通電用コネクタとしての機能と、温度センサ80を温度測定器に接続するための熱電対コネクタとの機能を兼ね備えている。
【0099】
金属リング60および導線70を介して、帯状電極51~54の各々を、電気コネクタ21に接続することにより、帯状電極51~54の各々に対して均等に高周波電流を通電することができる。
【0100】
導線70の構成材料としては、例えば、銅、銀、金、白金、タングステンおよびこれら金属の合金を挙げることができ、フッ素樹脂などの電気絶縁性保護被覆が施されていることが好ましい。
【0101】
図3、
図5、
図15~
図20に示すように、バルーン30の管壁には、熱電対からなる温度センサ80が埋設配置されている。この温度センサ80の側温部81(測温接点)は、拡張部31の管壁に位置している。
【0102】
図19~
図22に示すように、温度センサ80は、バルーン30の基端側ネック部35の管壁からアウターチューブ10(円管状部分11)のサブルーメン106Lに進入して当該サブルーメン106Lに延在し、
図23および
図24に示すように、導線70とともに、Yコネクタ20の内部に延在し、Yコネクタ20から延出する導線保護チューブ26の内部を通ってYコネクタ20から延出している。
温度センサ80の基端は電気コネクタ21に接続されている。
【0103】
この実施形態のバルーン型電極カテーテル100によれば、バルーン30の拡張部31の円筒状部分311によって脈管またはその周囲の病巣組織に対して焼灼治療を行うことができる。
また、先端側ネック部33および拡張部31の先端側コーン部分313の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分が樹脂層65により絶縁被覆されているので、焼灼治療時において、これらの電極部分の近傍が高温となることはない。
更に、円筒状部分311の先端領域3113の外表面に形成されている帯状電極51~54の電極部分が絶縁被覆されているので、先端領域3113からの熱伝導により先端側コーン部分313が昇温することを防止することができる。
これにより、先端側ネック部33および拡張部31の先端側コーン部分313に接触している脈管部位やその周囲の組織が焼灼されることを防止することができ、当該脈管部位が(再)狭窄を起こすことを防止することができる。
【0104】
また、金属リング60がバルーン30の先端側ネック部に装着され、帯状電極51~54の各々の先端部が金属リング60の外周面に固着されていることにより、帯状電極51~54の各々が、当該金属リング60および導線70を介して電気コネクタ21に電気的に接続されているので、帯状電極51~54の各々に対して均等に高周波電流を通電することができ、これにより、脈管またはその周囲における病巣組織を当該脈管の円周方向に沿って均質に焼灼治療することができる。
【0105】
また、バルーン30の先端側ネック部33に装着されている金属リング60の外径は、アウターチューブ10や基端側ネック部35の外径よりも小さいので、導入時に使用するシースや内視鏡の開口に金属リング60が引っ掛かるようなことはなく、シースや内視鏡の内腔へのバルーン型電極カテーテル100の挿通性が損なわれることがない。
【0106】
また、流体供給用サブルーメン101L~105Lの各々が、バルーン30の拡張部31の円筒状部分311の先端近傍に位置する半円管状部分13の先端面14において開口
し、流体排出用サブルーメン107L~109Lおよび111Lの各々が、バルーン30の拡張部31の基端に位置する円管状部分11の先端面12において開口していることにより、バルーン30の拡張後(内部に流体が充填された後)であっても、バルーン30の内部において、先端側から基端側への流体の流れを形成することができ、当該流体を流動させることができる。
【0107】
特に、流体供給用サブルーメン101L~105Lの開口から、先端方向に吐出される流体が、拡張部31の先端側コーン部分313の内壁面に当たり、その後、拡張部31の円筒状部分311および基端側コーン部分315の内壁面に沿って基端方向に流れることにより、バルーン30(拡張部31)の内部において流体を循環させることができる。
【0108】
この結果、バルーン30の内部を、拡張部31の全域にわたり効率よく冷却することができ、これにより、帯状電極51~54の周囲の組織が十分に冷却され、当該組織が線維化されることを確実に防止することができる。
【0109】
また、アウターチューブ10に配置された流体供給用サブルーメン101L~105Lは5本であり、流体排出用サブルーメン107L~109Lおよび111Lは4本であるので、バルーン30の内部を一定の圧力(拡張圧力)に維持することができる。
【0110】
本実施形態のバルーン型電極カテーテル100が適用可能な症例としては、脈管またはその周囲における腫瘍や迷走神経などであり、具体的には、胆管ガン、肺ガン、肝ガン、腎臓ガン、副腎腺腫、腎動脈迷走神経などを挙げることができる。
【0111】
<第2実施形態>
図25に示す先端部分を有する本実施形態のバルーン型電極カテーテル200は、第1実施形態と同様に、金属リング60の外周面、金属リング60の外周面に固着されている帯状電極51~54の各々の電極部分、先端側ネック部33の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分、拡張部31の先端側コーン部分313の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分、および円筒状部分311の先端領域3113の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分が、樹脂層65により絶縁被覆されている。なお、
図25において、帯状電極52と対向配置されている帯状電極54は図示されていない。
【0112】
本実施形態のバルーン型電極カテーテル200は、円筒状部分311の基端領域3115の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分が、樹脂層66により絶縁被覆されている点で、第1実施形態の電極カテーテル100と相違している。
【0113】
円筒状部分311の基端領域3115の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分を絶縁被覆する態様としては、これらの電極部分を覆うように、基端領域3115の外表面に樹脂層66を形成する態様を挙げることができる。
【0114】
樹脂層66を構成する樹脂としては、樹脂層65の構成樹脂と同様の樹脂を挙げることができる。樹脂層66の形成方法としても、樹脂層65と同様の形成方法を用いることができる。
【0115】
樹脂層66を形成する円筒状部分311の基端領域3115の長さは、通常1~3mmとされ、好適な一例を示せば2mmとされる。
基端領域3115の長さを1mm以上とする(当該基端領域3115に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分を樹脂層66で絶縁被覆する)ことにより、帯状電極51~54の各々に高周波電流を通電しても、熱伝導により基端側コーン部分315が
高温になることを回避することができる。
また、基端領域3115の長さを3mm以下とすることにより、基端領域3115以外の円筒状部分311の領域(電極部分が絶縁被覆されていない領域)からの熱伝導によって基端領域3115を焼灼可能な温度まで昇温させ、当該基端領域3115を含む円筒状部分311の全域により焼灼治療を行うことができる。
なお、本実施形態のバルーン型電極カテーテル200を構成する帯状電極51~54は、円筒状部分311の基端位置まで形成されている(第1実施形態のバルーン型電極カテーテル100も同様である)。
このような構成によれば、例えば、内視鏡の鉗子口からバルーン30を延出させたときに、当該内視鏡による撮影画像から帯状電極51~54の基端位置を把握することにより、円筒状部分311の基端(すなわち、焼灼治療可能部分の基端位置)を把握することができる。
【0116】
本実施形態のバルーン型電極カテーテル200によれば、第1実施形態のバルーン型電極カテーテル100による効果と同一の効果を奏することができる。
また、拡張部31の円筒状部分311の基端領域3115の外表面に形成されている帯状電極51~54の電極部分が樹脂層66により絶縁被覆されているので、焼灼治療時において、当該基端領域3115からの熱伝導により基端側コーン部分315が昇温することを防止することができ、これにより、基端側コーン部分315に接触している脈管部位やその周囲の組織が焼灼されることを防止することができる。
また、基端領域3115の長さを適宜調整することにより、基端領域3115以外の円筒状部分311の領域からの熱伝導によって基端領域3115を昇温させ、基端領域3115に接触している脈管部位またはその周囲の組織を焼灼治療すること(円筒状部分311の全域を焼灼治療領域とすること)ができる。
【0117】
<第3実施形態>
図26に示す先端部分を有する本実施形態のバルーン型電極カテーテル300は、アウターチューブ10と、アウターチューブ10の基端側に配置された電気コネクタと、バルーン30と、インナーチューブと、先端チップ46と、帯状電極51~54と、バルーン30の基端側ネック部35に装着され、帯状電極51~54の各々の基端部がその外周面に固着されていることにより、帯状電極51~54の各々と電気的に接続された金属リング60と、金属リング60の内周面にその先端が接続され、その基端が電気コネクタに接続された導線と、温度センサとを備えてなり、金属リング60の外周面、金属リング60の外周面に固着されている帯状電極51~54の各々の電極部分、基端側ネック部35の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分、拡張部31の基端側コーン部分315の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分、および円筒状部分311の基端領域3115の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分が、樹脂層67により絶縁被覆されている。
【0118】
バルーン型電極カテーテル300において、
図26に図示されていない電気コネクタ、インナーチューブ、導線および温度センサは、第1実施形態のバルーン型電極カテーテル100を構成する電気コネクタ21、インナーチューブ41、導線70および温度センサ80と同様である。
図26では、帯状電極52と対向配置されている帯状電極54は図示されていない。
【0119】
本実施形態のバルーン型電極カテーテル300は、これを構成する金属リング60が、バルーン30の基端側ネック部35に装着されている点で第1実施形態のバルーン型電極カテーテル100と相違している。これにより、帯状電極51~54は、各々の基端部が金属リング60の外周面に固着され、バルーン30の基端側ネック部35、拡張部31の基端側コーン部分315および円筒状部分311の外表面に形成され、基端側ネック部3
5、拡張部31の基端側コーン部分315および円筒状部分311の基端領域3115の外表面に形成されている電極部分が絶縁被覆されている。
【0120】
基端側ネック部35、拡張部31の基端側コーン部分315および円筒状部分311の基端領域3115の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分を絶縁被覆する態様としては、これらの電極部分を覆うように、基端側ネック部35の外表面、基端側コーン部分315および円筒状部分311の基端領域3115の外表面に樹脂層67を形成する態様を挙げることができる。
【0121】
樹脂層67を構成する樹脂としては、樹脂層65の構成樹脂と同様の樹脂を挙げることができる。樹脂層67の形成方法としても、樹脂層65と同様の形成方法を用いることができる。
【0122】
樹脂層67を形成する円筒状部分311の基端領域3115の長さは、通常1~3mmとされ、好適な一例を示せば2mmとされる。
基端領域3115の長さを1mm以上とする(当該基端領域3115に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分を樹脂層67で絶縁被覆する)ことにより、帯状電極51~54の各々に高周波電流を通電しても、熱伝導により基端側コーン部分315が高温になることを回避することができる。
また、基端領域3115の長さを3mm以下とすることにより、基端領域3115以外の円筒状部分311の領域(電極部分が絶縁被覆されていない領域)からの熱伝導によって基端領域3115を焼灼可能な温度まで昇温させ、当該基端領域3115を含む円筒状部分311の全域により焼灼治療を行うことができる。
【0123】
この実施形態のバルーン型電極カテーテル300によれば、バルーン30の拡張部31の円筒状部分311によって脈管またはその周囲の病巣組織に対して焼灼治療を行うことができる。
また、基端側ネック部35および拡張部31の基端側コーン部分315の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分が樹脂層67により絶縁被覆されているので、焼灼治療時において、これらの電極部分の近傍が高温となることはない。
更に、円筒状部分311の基端領域3115の外表面に形成されている帯状電極51~54の電極部分が絶縁被覆されているので、基端領域3115からの熱伝導により基端側コーン部分315が昇温することを防止することができる。
これにより、基端側ネック部35および拡張部31の基端側コーン部分315に接触している脈管部位やその周囲の組織が焼灼されることを防止することができ、当該脈管部位が(再)狭窄を起こすことを防止することができる。
【0124】
<第4実施形態>
図27に示す先端部分を有する本実施形態のバルーン型電極カテーテル400は、第3実施形態と同様に、金属リング60の外周面、金属リング60の外周面に固着されている帯状電極51~54の各々の電極部分、基端側ネック部35の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分、拡張部31の基端側コーン部分315の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分、および円筒状部分311の基端領域3115の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分が、樹脂層67により絶縁被覆されている。なお、
図27において、帯状電極52と対向配置されている帯状電極54は図示されていない。
【0125】
本実施形態のバルーン型電極カテーテル400は、円筒状部分311の先端領域3113の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分が、樹脂層68により絶縁被覆されている点で、第3実施形態の電極カテーテル300と相違している。
【0126】
円筒状部分311の先端領域3113の外表面に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分を絶縁被覆する態様としては、これらの電極部分を覆うように、円筒状部分311の先端領域3113の外表面に樹脂層68を形成する態様を挙げることができる。
【0127】
樹脂層68を構成する樹脂としては、樹脂層65の構成樹脂と同様の樹脂を挙げることができる。樹脂層68の形成方法としても、樹脂層65と同様の形成方法を用いることができる。
【0128】
樹脂層68を形成する円筒状部分311の先端領域3113の長さは、通常1~3mmとされ、好適な一例を示せば2mmとされる。
先端領域3113の長さを1mm以上とする(当該先端領域3113に形成されている帯状電極51~54の各々の電極部分を樹脂層68で絶縁被覆する)ことにより、帯状電極51~54の各々に高周波電流を通電しても、熱伝導により先端側コーン部分313が高温になることを回避することができる。
また、先端領域3113の長さを3mm以下とすることにより、先端領域3113以外の円筒状部分311の領域(電極部分が絶縁被覆されていない領域)からの熱伝導によって先端領域3113を焼灼可能な温度まで昇温させ、当該先端領域3113を含む円筒状部分311の全域により焼灼治療を行うことができる。
【0129】
本実施形態のバルーン型電極カテーテル400によれば、第3実施形態のバルーン型電極カテーテル300による効果と同一の効果を奏することができる。
また、拡張部31の円筒状部分311の先端領域3113の外表面に形成されている帯状電極51~54の電極部分が樹脂層68により絶縁被覆されているので、焼灼治療時において、当該先端領域3113からの熱伝導により先端側コーン部分313が昇温することを防止することができ、これにより、先端側コーン部分313に接触している脈管部位やその周囲の組織が焼灼されることを防止することができる。
また、先端領域3113の長さを適宜調整することにより、先端領域3113以外の円筒状部分311の領域からの熱伝導によって先端領域3113を昇温させ、先端領域3113に接触している脈管部位またはその周囲の組織を焼灼治療すること(円筒状部分311の全域を焼灼治療領域とすること)ができる。
【符号の説明】
【0130】
100 バルーン型電極カテーテル
10 アウターチューブ
10L 中央ルーメン
101L~105L サブルーメン(流体供給用サブルーメン)
107L~109L,111L サブルーメン(流体排出用サブルーメン)
106L,110L,112L サブルーメン
11 円管状部分
12 円管状部分の先端面
13 半円管状部分
14 半円管状部分の先端面
20 Yコネクタ
21 電気コネクタ
22 流体供給用コネクタ
23 流体排出用コネクタ
24 ガイドワイヤコネクタ
26 導線保護チューブ
27 流体供給用チューブ
28 流体排出用チューブ
30 バルーン
31 拡張部
311 円筒状部分
3113 円筒状部分の先端領域
3115 円筒状部分の基端領域
313 先端側コーン部分
315 基端側コーン部分
33 先端側ネック部
35 基端側ネック部
41 インナーチューブ
46 先端チップ
51~54 帯状電極(表面電極)
60 金属リング
65 樹脂層
70 導線
80 温度センサ(熱電対)
81 温度センサの測温部
90 シール材
95 接着剤
200 バルーン型電極カテーテル
66 樹脂層
300 バルーン型電極カテーテル
67 樹脂層
400 バルーン型電極カテーテル
68 樹脂層