(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
H04N 13/363 20180101AFI20241030BHJP
H04N 13/305 20180101ALI20241030BHJP
H04N 13/307 20180101ALI20241030BHJP
H04N 13/322 20180101ALI20241030BHJP
【FI】
H04N13/363
H04N13/305
H04N13/307
H04N13/322
(21)【出願番号】P 2023540200
(86)(22)【出願日】2021-12-18
(86)【国際出願番号】 CN2021139419
(87)【国際公開番号】W WO2022143236
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-08-09
(31)【優先権主張番号】202011641286.3
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110898215.X
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】毛 磊
(72)【発明者】
【氏名】李 肖
(72)【発明者】
【氏名】黄 志勇
(72)【発明者】
【氏名】李 仕茂
(72)【発明者】
【氏名】秦 振▲韜▼
【審査官】西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106707478(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1773368(CN,A)
【文献】特開2009-088032(JP,A)
【文献】米国特許第06072443(US,A)
【文献】特表2004-514174(JP,A)
【文献】国際公開第2009/066475(WO,A1)
【文献】特開2010-117542(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0255773(US,A1)
【文献】特開2013-174743(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110780433(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0301145(US,A1)
【文献】特開2009-003282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-73/34
B29D 1/00-29/10
B29D 33/00
B29D 99/00
B33Y 10/00-99/00
G02B 1/00-30/60
G03B 21/00-21/10
G03B 21/12-21/30
G03B 21/56-21/64
G03B 33/00-33/16
G09G 5/00-5/42
H04N 13/00-13/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示システムであって、前記表示システムは、映像生成ユニット、拡散スクリーン及び曲面ミラーを備え、
前記映像生成ユニットは実像を生成し、前記拡散スクリーン上で結像を行なうように構成され、
前記拡散スクリーンは前記実像に対する拡散反射を行なうように構成され、
前記曲面ミラーは、拡散反射を通じて得られた前記実像に基づいて結像を行ない、拡大された虚像を生成するように構成され
、
偏光膜をさらに備え、前記偏光膜は前記拡散スクリーンの後に置かれ、前記偏光膜は干渉光を除去するように構成される、表示システム。
【請求項2】
表示システムであって、前記表示システムは、映像生成ユニット、拡散スクリーン及び曲面ミラーを備え、
前記映像生成ユニットは実像を生成し、前記拡散スクリーン上で結像を行なうように構成され、
前記拡散スクリーンは前記実像に対する拡散反射を行なうように構成され、
前記曲面ミラーは、拡散反射を通じて得られた前記実像に基づいて結像を行ない、拡大された虚像を生成するように構成され、
フレネルレンズをさらに備え、前記フレネルレンズは前記拡散スクリーンの後に置かれ、前記フレネルレンズは前記拡散スクリーンを通過した前記実像を拡大するように構成され
る、表示システム。
【請求項3】
表示システムであって、前記表示システムは、映像生成ユニット、拡散スクリーン及び曲面ミラーを備え、
前記映像生成ユニットは実像を生成し、前記拡散スクリーン上で結像を行なうように構成され、
前記拡散スクリーンは前記実像に対する拡散反射を行なうように構成され、
前記曲面ミラーは、拡散反射を通じて得られた前記実像に基づいて結像を行ない、拡大された虚像を生成するように構成され、
白黒回折格子、シリンドリカルレンズアレイ又はマイクロレンズアレイをさらに備え、前記白黒回折格子、前記シリンドリカルレンズアレイ又は前記マイクロレンズアレイは前記拡散スクリーンの後に位置する、表示システム。
【請求項4】
表示システムであって、前記表示システムは、映像生成ユニット、拡散スクリーン及び曲面ミラーを備え、
前記映像生成ユニットは実像を生成し、前記拡散スクリーン上で結像を行なうように構成され、
前記拡散スクリーンは前記実像に対する拡散反射を行なうように構成され、
前記曲面ミラーは、拡散反射を通じて得られた前記実像に基づいて結像を行ない、拡大された虚像を生成するように構成され、
反射器をさらに備え、前記反射器は前記曲面ミラーでのイメージングに用いられる光ビームを受け、前記光ビームを反射して前記曲面ミラーに戻すように構成され、前記曲面ミラーは、前記反射器によって反射された前記光ビームを受けて拡大イメージングを行なうようにさらに構成される、表示システム。
【請求項5】
表示システムであって、前記表示システムは、映像生成ユニット、拡散スクリーン及び曲面ミラーを備え、
前記映像生成ユニットは実像を生成し、前記拡散スクリーン上で結像を行なうように構成され、
前記拡散スクリーンは前記実像に対する拡散反射を行なうように構成され、
前記曲面ミラーは、拡散反射を通じて得られた前記実像に基づいて結像を行ない、拡大された虚像を生成するように構成され、
拡散膜をさらに備え、前記拡散膜は前記拡散スクリーンの光出射側に位置し、拡散反射を通じて得られた前記実像の横散乱角を広げるように構成される、表示システム。
【請求項6】
表示システムであって、前記表示システムは、映像生成ユニット、拡散スクリーン及び曲面ミラーを備え、
前記映像生成ユニットは実像を生成し、前記拡散スクリーン上で結像を行なうように構成され、
前記拡散スクリーンは前記実像に対する拡散反射を行なうように構成され、
前記曲面ミラーは、拡散反射を通じて得られた前記実像に基づいて結像を行ない、拡大された虚像を生成するように構成され、
シリンドリカルレンズアレイをさらに備え、前記シリンドリカルレンズアレイは前記拡散スクリーンの光出射側に配置され、前記拡散スクリーンの画素を覆う、表示システム。
【請求項7】
表示システムであって、前記表示システムは、映像生成ユニット、拡散スクリーン及び曲面ミラーを備え、
前記映像生成ユニットは実像を生成し、前記拡散スクリーン上で結像を行なうように構成され、
前記拡散スクリーンは前記実像に対する拡散反射を行なうように構成され、
前記曲面ミラーは、拡散反射を通じて得られた前記実像に基づいて結像を行ない、拡大された虚像を生成するように構成され、
第2の反射要素をさらに備え、前記第2の反射要素は前記曲面ミラーと前記拡散スクリーンとの間の光路上に位置し、前記第2の反射要素は前記拡散スクリーンによる拡散反射を通じて得られた前記実像を前記曲面ミラーの方に反射するように構成される、表示システム。
【請求項8】
前記映像生成ユニットは光源、プリズム、レンズ、イメージングチップ及び投写レンズを備え、
前記光源は光ビームを出射するように構成され、
前記プリズムは前記光源によって出射された光ビームを結合するように構成され、
前記レンズは結合された光ビームをコリメートし、前記結合された光ビームを前記イメージングチップに導くように構成され、
前記イメージングチップは前記実像を生成するように構成され、
前記投写レンズは前記実像を前記拡散スクリーンに投写するように構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項9】
前記映像生成ユニットは第1の回析光学要素を備え、前記
第1の回析光学要素は前記光源と前記プリズムとの間に位置し、前記
第1の回析光学要素は前記光源によって出射された前記光ビームを分割するように構成される、請求項
8に記載の表示システム。
【請求項10】
前記表示システムは第2の回析光学要素をさらに備え、前記
第2の回析光学要素は前記曲面ミラーの後に位置し、前記
第2の回析光学要素は前記曲面ミラーによって反射された光ビームを分割するように構成される、請求項
8に記載の表示システム。
【請求項11】
前記映像生成ユニットは偏光処理要素をさらに備え、前記偏光処理要素は前記イメージングチップに導かれた前記光ビームの偏光状態を調節するように構成される、請求項
8から10のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項12】
前記光源は複数の原色子光源を備える、請求項
8から
11のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項13】
前記第1の回析光学要素は複数の子光学要素を備え、前記子光学要素は複数の原色子光源の前に個別に置かれる、請求項
9を引用する
場合の請求項
11に記載の表示システム。
【請求項14】
前記拡散スクリーンは反射拡散スクリーン又は投写拡散スクリーンである、請求項1から
12のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項15】
表示システムであって、前記表示システムは、映像生成ユニット、拡散スクリーン及び曲面ミラーを備え、
前記映像生成ユニットは実像を生成し、前記拡散スクリーン上で結像を行なうように構成され、
前記拡散スクリーンは前記実像に対する拡散反射を行なうように構成され、
前記曲面ミラーは、拡散反射を通じて得られた前記実像に基づいて結像を行ない、拡大された虚像を生成するように構成され、
前記映像生成ユニットは光源、プリズム、レンズ、イメージングチップ及び投写レンズを備え、
前記光源は光ビームを出射するように構成され、
前記プリズムは前記光源によって出射された光ビームを結合するように構成され、
前記レンズは結合された光ビームをコリメートし、前記結合された光ビームを前記イメージングチップに導くように構成され、
前記イメージングチップは前記実像を生成するように構成され、
前記投写レンズは前記実像を前記拡散スクリーンに投写するように構成され、
前記映像生成ユニットは偏光処理要素をさらに備え、前記偏光処理要素は前記イメージングチップに導かれた前記光ビームの偏光状態を調節するように構成され、
前記偏光処理要素は、以下の要素、すなわち偏光ビームスプリッタPBS、1/4波長板、1/2波長板、偏光子及び回転子のいずれか1つである
、表示システム。
【請求項16】
前記曲面ミラーは多焦点曲面ミラーである、請求項1から
15のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項17】
前記シリンドリカルレンズアレイの、少なくとも1つのシリンドリカルレンズが前記拡散スクリーンの画素の少なくとも2列を覆う、請求項
6に記載の表示システム。
【請求項18】
前記シリンドリカルレンズアレイの、前記少なくとも1つのシリンドリカルレンズは前記拡散スクリーンの画素の3列を覆う、請求項17に記載の表示システム。
【請求項19】
前記シリンドリカルレンズアレイの、前記少なくとも1つのシリンドリカルレンズによって覆われる複数の画素列が異なる映像を個別に表示する、請求項17に記載の表示システム。
【請求項20】
前記シリンドリカルレンズアレイの、前記少なくとも1つのシリンドリカルレンズによって覆われる複数の画素列が同じ映像を表示する、請求項17に記載の表示システム。
【請求項21】
ホログラフィック要素又は拡散要素をさらに備え、前記ホログラフィック要素又は前記拡散要素は前記シリンドリカルレンズアレイの光出射側に位置する、請求項
6に記載の表示システム。
【請求項22】
前記表示システムは第1の反射要素をさらに備え、前記第1の反射要素は前記映像生成ユニットと前記拡散スクリーンとの間の光路上に位置し、前記第1の反射要素は前記映像生成ユニットによって生成された前記実像を前記拡散スクリーンの方に反射するように構成される、請求項1から
15のいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項23】
前記第1の反射要素は平面ミラー、球面ミラー又は自由曲面ミラーのうちの1つである、請求項22に記載の表示システム。
【請求項24】
前記第2の反射要素は平面ミラー、球面ミラー又は自由曲面ミラーのうちの1つである、請求項
7に記載の表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年12月31日に中国国家知識産権局に出願され、名称が「DISPLAY SYSTEM」である中国特許出願第202011641286.3号の優先権を主張し、また、2021年8月5日に中国国家知識産権局に出願され、名称が「DISPLAY SYSTEM」である中国特許出願第202110898215.X号の優先権を主張し、これらの中国特許出願の全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本出願は映像表示の分野に関し、特に表示システムに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、大画面の表示システム(たとえば、サイズが少なくとも80インチであるディスプレイバックプレーン)は高価である。レーザTVでは、少なくとも100インチの投写効果を達成することができるが、見え方を改善するのに特定の機能を持つ幕(フレネルスクリーン)が要求され、広い空間が占有される。既存のプロジェクタでは、通常長い投写距離が要求され、短い距離では拡大された映像を生成することができず、また、周囲の輝度に対する高い要求がある。
【発明の概要】
【0004】
これに鑑みて、本出願の実施形態では表示システムが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様に係れば、本出願の実施形態では表示システムが提供され、表示システムは映像生成ユニット、拡散スクリーン及び曲面ミラーを含む。
【0006】
映像生成ユニットは実像を生成し、拡散スクリーン上で結像を行なうように構成される。
【0007】
拡散スクリーンは実像に対する拡散反射を行なうように構成される。
【0008】
曲面ミラーは、拡大された虚像を生成するために、拡散反射を通じて得られた実像に基づいて結像を行なうように構成される。
【0009】
可能な実現例では、映像生成ユニットは光源、プリズム、レンズ、イメージングチップ及び投写レンズを含む。
【0010】
光源は光ビームを出射するように構成される。
【0011】
プリズムは光源によって出射された光ビームを結合するように構成される。
【0012】
レンズは結合された光ビームをコリメートし、結合された光ビームをイメージングチップに導くように構成される。
【0013】
イメージングチップは実像を生成するように構成される。
【0014】
投写レンズは実像を拡散スクリーンに投写するように構成される。
【0015】
可能な実現例では、映像生成ユニットは第1の回析光学要素を含み、回析光学要素は光源とプリズムとの間に位置し、回析光学要素は光源によって出射された光ビームを分割するように構成される。
【0016】
可能な実現例では、表示システムは第2の回析光学要素をさらに含み、回析光学要素は曲面ミラーの後に位置し、回析光学要素は曲面ミラーによって反射された光ビームを分割するように構成される。
【0017】
可能な実現例では、表示システムは偏光膜をさらに含み、偏光膜は拡散スクリーンの後に置かれ、偏光膜は干渉光を除去するように構成される。
【0018】
可能な実現例では、表示システムはフレネルレンズをさらに含む。フレネルレンズは拡散スクリーンの後に置かれ、フレネルレンズは拡散スクリーンを通過した実像を拡大するように構成される。
【0019】
可能な実現例では、表示システムは白黒回折格子、シリンドリカルレンズアレイ又はマイクロレンズアレイをさらに含み、白黒回折格子、シリンドリカルレンズアレイ又はマイクロレンズアレイは拡散スクリーンの後に位置する。
【0020】
可能な実現例では、映像生成ユニットは偏光処理要素をさらに含み、偏光処理要素はイメージングチップに導かれた光ビームの偏光状態を調節するように構成される。
【0021】
可能な実現例では、表示システムは反射器をさらに含み、反射器は曲面ミラーでのイメージングに用いられる光ビームを受け、光ビームを反射して曲面ミラーに戻すように構成され、曲面ミラーは、拡大イメージングを行なうように、反射器によって反射された光ビームを受けるようにさらに構成される。
【0022】
可能な実現例では、光源は複数の原色子光源を含む。
【0023】
可能な実現例では、第1の回析光学要素は複数の子光学要素を含み、子光学要素は複数の原色子光源の前に個別に置かれる。
【0024】
可能な実現例では、拡散スクリーンは反射拡散スクリーン又は投写拡散スクリーンである。
【0025】
可能な実現例では、偏光処理要素は、偏光ビームスプリッタPBS、1/4波長板、1/2波長板、偏光子及び回転子といった要素のいずれか1つである。
【0026】
可能な実現例では、曲面ミラーは多焦点曲面ミラーである。
【0027】
本出願では表示システムが提供される。表示システムは映像が拡大される必要があり、短い距離で拡大イメージングを実施することができる様々な場面で用いられることができる。これに加えて、特定の幕が要求されず、僅かな空間しか占有しない。
【0028】
可能な実現例では、表示システムは拡散膜をさらに含み、拡散膜は拡散スクリーンの光出射側に位置し、拡散反射を通じて得られた実像の横散乱角を広げるように構成される。本実施形態では、横散乱角を広げることを通じてアイボックスのサイズが増加させられることができ、表示システムの可視角度が増加させられることができる。
【0029】
可能な実現例では、表示システムはシリンドリカルレンズアレイをさらに含み、シリンドリカルレンズアレイは拡散スクリーンの光出射側に配置され、拡散スクリーンの画素を覆う。画素によって出射された光がシリンドリカルレンズアレイの異なる位置を通過し、異なる屈折効果を生成し、異なる方向に広がり、これにより、散乱角がさらに増加させられることが可能である。曲面ミラーの反射後、光線が異なる複数のユーザの眼に入射して、複数のユーザによる観覧という技術的効果を実施することができる。
【0030】
可能な実現例では、シリンドリカルレンズアレイの、少なくとも1つのシリンドリカルレンズが拡散スクリーンの画素の少なくとも2列(画素列と称される場合がある)又は画素の少なくとも2行(画素行と称される場合がある)を覆う。シリンドリカルレンズによって覆われる画素列の個数又は画素行の個数は映像を見るユーザに対応する。画素列を例として用いる。画素の、ある列によって出射された光線はシリンドリカルレンズによって屈折されて曲面ミラーによって反射された後に第1のユーザの眼に入射することができ、画素の別の列によって出射された光線はシリンドリカルレンズによって屈折されて曲面ミラーによって反射された後に第2のユーザの眼に入射することができる。本実施形態の表示システムは2人のユーザによって見られてもよい。
【0031】
可能な実現例では、シリンドリカルレンズアレイの、少なくとも1つのシリンドリカルレンズは拡散スクリーンの画素の3列又は画素の3行を覆う。画素列を例として用いる。画素の各列によって出射された光線はシリンドリカルレンズによって屈折されて曲面ミラーによって反射された後に異なるユーザの眼に個別に入射して、複数のユーザによる観覧が実施される。画素行を用いて実施されることが可能である技術的効果は画素列の技術的効果と同じである。
【0032】
可能な実現例では、シリンドリカルレンズアレイの、少なくとも1つのシリンドリカルレンズによって覆われる複数の画素列又は画素行が異なる映像を個別に表示し、これにより、異なる映像が異なるユーザによって見られることが可能であり、複数のユーザが異なる映像を個別に見るという効果が実施されることが可能である。
【0033】
可能な実現例では、シリンドリカルレンズアレイの、少なくとも1つのシリンドリカルレンズによって覆われる複数の画素列又は画素行が同じ映像を表示し、これにより、複数のユーザが同じ映像を見ることが可能であり、複数のユーザが同じ映像を見るという効果が実施される。
【0034】
可能な実現例では、表示システムはホログラフィック要素又は拡散要素をさらに含み、ホログラフィック要素又は拡散要素はシリンドリカルレンズアレイの光出射側に位置し、シリンドリカルレンズアレイによってもたらされる縞状の干渉を取り除くように構成される。
【0035】
可能な実現例では、シリンドリカルレンズアレイのシリンドリカルレンズの曲率半径及び屈折率が調節されることができる。シリンドリカルレンズの曲率半径及び屈折率を調節することによって、特に、車両内のような空間が制限される場面で、アイボックスの位置が人間の眼の位置に適合するように変化させられることができる。
【0036】
可能な実現例では、表示システムは第1の反射要素をさらに含み、第1の反射要素は映像生成ユニットと拡散スクリーンとの間の光路上に位置し、第1の反射要素は映像生成ユニットによって生成された実像を拡散スクリーンの方に反射するように構成される。本実施形態の第1の反射要素は光路を折り返して表示システムのサイズを減らすことができる。
【0037】
可能な実現例では、第1の反射要素は平面ミラー、球面ミラー又は自由曲面ミラーのうちの1つである。第1の反射要素は映像生成ユニットによって生成された映像の形をさらに変化させて、歪み補正を実施することができる。
【0038】
可能な実現例では、表示システムは第2の反射要素をさらに含み、第2の反射要素は曲面ミラーと拡散スクリーンとの間の光路上に位置し、第2の反射要素は拡散スクリーンによる拡散反射を通じて得られた実像を曲面ミラーの方に反射するように構成される。本実施形態の第2の反射要素は光路を折り返して表示システムのサイズを減らすことができる。
【0039】
可能な実現例では、第2の反射要素は平面ミラー、球面ミラー又は自由曲面ミラーのうちの1つである。第2の反射要素は歪み補正をさらに実施することができる。たとえば、第2の反射要素によって引き起こされる映像歪みは曲面ミラーによって引き起こされる映像歪みと相補的であり、したがって、曲面ミラーによって引き起こされる映像歪みが取り除かれることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本出願の実施形態に係る表示システムの構造の概略図である。
【
図2】本出願の実施形態に係る映像生成ユニットの構造の概略図である。
【
図3】本出願の実施形態に係る別の映像生成ユニットの構造の概略図である。
【
図4】本出願の実施形態に係る表示システムの構造の概略図である。
【
図5】本出願の実施形態に係る表示システムの構造の概略図である。
【
図6】本出願の実施形態に係る表示システムの構造の概略図である。
【
図7】本出願の実施形態に係るさらに別の表示システムの構造の概略図である。
【
図8】本出願の実施形態に係るまたさらに別の表示システムの構造の概略図である。
【
図9】本出願の実施形態に係る別の表示システムの構造の概略図である。
【
図10】本出願の実施形態に係る別の表示システムの構造の概略図である。
【
図11】本出願の実施形態に係る別の表示システムの構造の概略図である。
【
図12】本出願の実施形態に係る別の表示システムの構造の概略図である。
【
図13】本出願の実施形態に係る表示システムの複数のユーザによる観覧の概略図である。
【
図14】
図12及び
図13の拡大された拡散スクリーン及び拡大されたシリンドリカルレンズアレイの概略図である。
【
図15】本出願の実施形態に係る、表示システムのシリンドリカルレンズアレイが拡散スクリーンの画素アレイを覆う概略図である。
【
図16】本出願の実施形態に係る、表示システムのシリンドリカルレンズアレイが拡散スクリーンの画素アレイを覆う概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本出願では表示システムが提供される。表示システムは映像が拡大される必要があり、短い距離で拡大イメージングを実施することができる様々な場面で用いられることができる。これに加えて、特定の幕が要求されず、僅かな空間しか占有しない。
【0042】
図1は本出願の実施形態に係る表示システムの構造の概略図である。
図1に示されているように、表示システムは映像生成ユニット101、拡散スクリーン102及び曲面ミラー103を含む。映像生成ユニット101は実像を生成し、拡散スクリーン102上で結像を行なう。拡散スクリーンは受けた実像に対する拡散反射を行なう。曲面ミラー103は、拡大された虚像を生成するために、拡散反射を通じて得られた実像に基づいて結像を行なう。
【0043】
図2は本出願に係る映像生成ユニット101の構造の概略図である。
図2に示されているように、映像生成ユニット101は光源1011、レンズ1012、イメージングユニット1013及び投写レンズ1014を含む。光源1011は光ビームを出射するように構成されている。プリズムは光源1011によって出射された光ビームを結合して、結合された光ビームをレンズ1012の方に出射するように構成されている。レンズ1012は結合された光ビームをコリメートし、結合された光ビームをイメージングユニット1013に導くように構成されている。イメージングユニット1013はレンズに導かれた光ビームに基づいて実像を生成する。投写レンズ1014は実像を拡散スクリーン102に投写するように構成されている。
【0044】
光源1011は複数の原色光源、たとえば、RGB三色光源(赤、青及び緑)を含むことができる。各原色光源の強さを調節することによって個々の色の映像が生成されることができる。各原色光源の光ビームがプリズム1012によって結合されることができ、原色光源の結合された光ビームは同じ経路に沿って送られることができる。
【0045】
イメージングユニット1013は偏光に依存しないイメージングチップ、たとえばデジタル光学プロセッサ(Digital Light Processor,DLP)であってもよい。
【0046】
投写レンズは超短焦点投写レンズであってもよく、コンパクトな製品サイズを提供することができる。通常、レンズのレンズ投写比は1以下である必要がある。
【0047】
本システムでは、曲面ミラーはユーザの目視窓として働き、曲面ミラーのサイズは従来のデスクトップディスプレイ(たとえば、10インチ~35インチ)のサイズに相当する。用いる際、ユーザは自由曲面ミラー(freeform mirror)を用いて数倍に拡大された虚像を見ることができる。
【0048】
本出願の本実施形態では、小型サイズのディスプレイの利点とレーザプロジェクタPGUの利点とが結合される。PGUには、大画面投写や優秀な色特性などの利点がある。従来のディスプレイの物理的形態は曲面ミラーに置換され、小型サイズの曲面ミラースクリーンを用いて虚像が拡大されて、超大画面の見え方が実施され、製品サイズが大幅に減らされる。
【0049】
本出願の本実施形態の曲面ミラーが多焦点自由曲面ミラーであってもよい点に留意するべきである。複数のユーザによる観覧(multi-user viewing)が実施されるように多焦点自由曲面反射器が設計される。円形は単焦点曲線であり、一般的な単焦点レンズに対応する。単焦点レンズは既存の解決手段における自由曲面ミラーの基本形態であり、単一の目視点に対応する。楕円形は2焦点曲線であり、2つの焦点は互いの像面である。原理上、2焦点曲線には2つの目視点がある。原理上、多焦点曲線には複数の目視点がある。したがって、多焦点自由曲面反射器は複数のユーザによる観覧が実施されるように設計されることができる。
【0050】
図3は本出願に係る別の映像生成ユニット101の構造の概略図である。
図3に示されている映像生成ユニット101と
図2に示されている映像生成ユニット101との違いは以下にある。
【0051】
映像生成ユニット101が偏光処理要素1015をさらに含むことができる。この場合、イメージングユニット1013は偏光に関係するイメージングチップ、たとえば、リキッド・クリスタル・オン・シリコン(Liquid Crystal on Silicon,LCOS)であってもよい。偏光処理要素1015は偏光ビームスプリッタ(polarization beam splitter,PBS)であっても1/4波長板であっても1/2波長板であっても偏光子であっても回転子であってもよい。偏光処理要素1015はイメージングユニット1013に導かれた光ビームの偏光状態を調節するように構成されている。
【0052】
映像生成ユニット101は回析光学要素1016をさらに含んでもよい。回析光学要素1016は回折格子であってもよい。回析光学要素1016は主に光源1011によって出射された光ビームを分割するように構成される。複数の原色光源がある場面では、複数の回析光学要素1016があってもよい。各原色光源の前に1つの回析光学要素1016がある。各回析光学要素1016は、各原色光源によって出射された光ビームがプリズムによって結合されるように、各原色光源の光ビームを分割する角度を調節することができる。
【0053】
拡散スクリーン102は反射拡散スクリーンであっても透過拡散スクリーンであってもよい。
図1の場面では、拡散スクリーン102は反射拡散スクリーンである。拡散スクリーン102が透過拡散スクリーンである場合、映像生成ユニット101、拡散スクリーン102及び曲面ミラー103の位置だけが調節されればよい。
図4は本出願に係る別の表示システムの構造の概略図である。
図4の場面では、拡散スクリーン102は透過拡散スクリーンである。
【0054】
拡散スクリーン102上に偏光膜104が配置されてもよい。
図4に示されているように、偏光膜104は干渉光(interference light)、たとえば、周囲光やシステムの迷光を除去するように構成されている。
【0055】
拡散スクリーンの後にフレネルレンズ107がさらに配置されてもよい。
図5に示されているように、フレネルレンズ107は映像の倍率倍数(magnification multiple)をさらに増加させることができる。拡散スクリーン102の後に裸眼3Dスクリーンが配置されてもよい。
【0056】
図6に示されているように、裸眼3Dスクリーンは両眼視差を実施するように構成されており、これにより、ユーザは3D効果を体感することができる。裸眼3Dスクリーンは白黒回折格子(black-and-white grating)であってもシリンドリカルレンズアレイであってもマイクロレンズアレイであってもよい。
【0057】
拡散スクリーンから離れた既定の位置に周期性を持つ白黒回折格子が置かれ、適切な回折格子周期を選択することによってユーザの左眼及び右眼の既定の目視点に映像源の奇数列及び偶数列の画素が個別に投写されて、両眼視差を実施し、裸眼3D表示体感を実施することができる。しかし、白黒回折格子では表示映像源の輝度が損なわれる。上記の代わりに、シリンドリカルレンズアレイを用いて裸眼3Dスクリーンの効果が実施されてもよい。シリンドリカルレンズアレイの適切な周期、焦点距離及び厚さを選択することによって、ユーザの左眼及び右眼の1つの目視点に映像源の奇数列及び偶数列の画素が個別に投写されて、両眼視差を実施し、裸眼3D表示体感を実施することができる。2次元マイクロレンズアレイを用いて2次元裸眼3D表示が実施されてもよい。マイクロレンズアレイの適切な周期、焦点距離及び厚さを選択することによって、ユーザの左眼及び右眼の1つの目視点に映像源の異なる位置の画素が個別に投写されて、2次元裸眼3D表示体感を実施することができる。
【0058】
拡散スクリーンに加えて、システムの映像源として表示スクリーンやタブレットコンピュータが用いられることもでき、裸眼3Dスクリーンが重畳されて裸眼3D表示体感を実施することができる。
【0059】
図7は本出願の実施形態に係るさらに別の表示システムの構造の概略図である。表示システムは映像生成ユニット101、拡散スクリーン102、曲面ミラー103及び回析光学要素105を含む。
【0060】
図7に示されている表示システムの構造と
図2に示されている表示システムの構造との違いは、曲面ミラー103によって結像が行なわれた後、回析光学要素105によって回析光分割が行なわれ、曲面ミラーによって反射された光が回析光学要素105によって異なる角度の複数の光のビームに分割されることができるということにある。このようにして、複数のユーザが映像を同時に見ることができる。
【0061】
図8は本出願の実施形態に係るまたさらに別の表示システムの構造の概略図である。表示システムは映像生成ユニット101、拡散スクリーン102、曲面ミラー103及び反射器106を含む。
【0062】
図8に示されている表示システムの構造と
図2に示されている表示システムの構造との違いは、最初の拡大イメージングの後に、曲面ミラー103によって光ビームを反射器106に導く必要があるということにある。反射器106が受けた光ビームを反射して曲面ミラー103に戻した後、曲面ミラー103は再度拡大イメージングを行ない、これにより、映像の倍率倍数がさらに増加させられることが可能である。
【0063】
図9は本出願の実施形態に係る別の表示システムの構造の概略図である。
【0064】
上記の映像生成ユニット101、拡散スクリーン102及び曲面ミラー103に加えて、本実施形態で提供されている表示システムは第1の反射要素110をさらに含んでもよい。第1の反射要素110は映像生成ユニット101と拡散スクリーン102との間の光路上に位置し、第1の反射要素110は映像生成ユニット101によって生成された実像を拡散スクリーン102の方に反射するように構成されている。
【0065】
第1の反射要素110は平面ミラー、球面ミラー又は自由曲面ミラーのうちの1つであってもよく、光路を折り返して表示システムのサイズを減らすことができる。第1の反射要素110が自由曲面ミラーである場合、第1の反射要素110は映像生成ユニット101によって生成された映像の形をさらに変化させて、歪み補正を実施することができる。
【0066】
図10は本出願の実施形態に係る別の表示システムの構造の概略図である。
【0067】
映像生成ユニット101、拡散スクリーン102及び曲面ミラー103に加えて、本実施形態で提供されている表示システムは第2の反射要素120をさらに含んでもよい。第2の反射要素120は曲面ミラー103と拡散スクリーン102との間の光路上に位置し、第2の反射要素120は拡散スクリーン102による拡散反射を通じて得られた実像を曲面ミラー103の方に反射するように構成されている。
【0068】
第2の反射要素120は平面ミラー、球面ミラー又は自由曲面ミラーのうちの1つであってもよく、光路を折り返して表示システムのサイズを減らすことができる。これに加えて、第2の反射要素120は歪み補正をさらに実施することができる。たとえば、第2の反射要素120によって引き起こされる映像歪みは曲面ミラー103によって引き起こされる映像歪みと相補的であり、したがって、曲面ミラー103によって引き起こされる映像歪みが取り除かれることが可能である。
【0069】
図11は本出願の実施形態に係る別の表示システムの構造の概略図である。
【0070】
上記の実施形態と比較して、映像生成ユニット101(
図11に示されていない)、拡散スクリーン102及び曲面ミラー103に加えて、本実施形態で提供されている表示システムは拡散膜130をさらに含んでもよい。拡散膜130は拡散スクリーン102の光出射側に位置し、拡散反射を通じて得られた実像の横散乱角(図中で両方向の矢印を用いて示されている角度)を広げるように構成されている。
図10及び
図11に示されている実施形態と比較して、本実施形態の拡散膜130によって横散乱角が広げられた後、曲面ミラー103によって反射された光線は複数のユーザの眼に達することができ、3人のユーザが図中に示されており、すなわち、3人のユーザ全員が拡大された虚像200を見ることができる。本実施形態により、複数のユーザによる観覧という技術的効果を実施することができる。
【0071】
図11を表示システムの上面図として解することができる。図示されていない映像生成ユニット101の構造と、映像生成ユニット101、拡散スクリーン102及び曲面ミラー103の位置関係とについては、
図1から
図10に示されている実施形態を参照する。本説明では重ねて詳細を説明しない。
【0072】
本実施形態で提供されている表示システムでは、横アイボックス範囲を拡大して複数のユーザによる観覧を実施することができる。これに加えて、拡散膜130により、横出射角を広げつつ、縦(紙面の方向に垂直)発散角を維持するか減らすことができ、これにより、ユーザによって見られる映像の輝度は大きくは影響を受けず、すなわち基本的には変化しない。
【0073】
図12は本出願の実施形態に係る別の表示システムの構造の概略図である。
【0074】
映像生成ユニット101、拡散スクリーン102及び曲面ミラー103に加えて、本実施形態で提供されている表示システムはシリンドリカルレンズアレイ140をさらに含んでもよい。シリンドリカルレンズアレイ140は拡散スクリーン102の光出射側に配置され、拡散スクリーン102の画素を覆う。
【0075】
シリンドリカルレンズアレイ140は連続する複数のシリンドリカルレンズ(マイクロシリンドリカルレンズとも称される場合がある)を含む。1つのシリンドリカルレンズを通じて異なる画素によって出射された光はシリンドリカルレンズの異なる位置で屈折され、異なる方向に拡散される(異なる屈折効果を生成する)。異なる方向の出射光は自由曲面ミラー上の異なる位置に達し、曲面ミラー103の反射を通じてユーザの眼の異なる位置に入射する。したがって、本実施形態のシリンドリカルレンズアレイ140でも、光線の出射角を広げて、複数のユーザによる観覧という技術的効果を実施することができる。
図13は本出願の実施形態に係る表示システムの複数のユーザによる観覧の概略図である。映像生成ユニット(Picture Generation Unit,PGU)101によって生成された映像が拡散スクリーン102に投写される。拡散スクリーン102によって散乱された映像はシリンドリカルレンズアレイ140によって曲面ミラー103の方に屈折される(上向きの矢印によって示されている方向に屈折される)。曲面ミラー103は映像を3人のユーザの方に反射する(下向きの矢印によって示されている方向に反射する)ことができ、複数のユーザは拡大された虚像を目視することができる。
【0076】
さらに、本実施形態で提供されている表示システムのシリンドリカルレンズアレイ140と拡散スクリーン102との特定の位置関係については、
図14を参照する。
図14は
図12及び
図13の部分拡大図(拡散スクリーン102及びシリンドリカルレンズアレイ140の拡大図)である。
図14に示されているように、シリンドリカルレンズアレイ140の、少なくとも1つのシリンドリカルレンズが拡散スクリーン102の画素の少なくとも2列(図では3列)を覆っている。画素の3列(1021,1022及び1023)によって出射された光がシリンドリカルレンズ1401によって屈折された後、光は3方向(横方向)に広がる。たとえば、画素列1021によって出射された光線は右の方に屈折され、画素列1022によって出射された光線はまっすぐに出射され、画素列1023によって出射された光線は左の方に屈折される。
【0077】
本実施形態で提供されている表示システムでは、映像のアイボックスが調節されるようにシリンドリカルレンズアレイ140のシリンドリカルレンズの曲率及び屈折率が調節されることができ、すなわち、ユーザはユーザの位置に基づいてアイボックスの位置を調節することができる。
【0078】
図15及び
図16は、本出願の実施形態に係る、表示システムのシリンドリカルレンズアレイ140が拡散スクリーン102の画素アレイを覆う概略図である。
【0079】
図15に示されているように、シリンドリカルレンズアレイ140のシリンドリカルレンズ1401によって覆われている複数の画素列が、異なる映像を個別に表示することができ、さらにいえば、図中の画素の3列が異なる映像を個別に表示し、異なるユーザによって見られる映像が異なっている。たとえば、ユーザ1がシリンドリカルレンズ1401によって覆われている3列目(左から3列目)の画素を用いて表示されるコンテンツを見て、ユーザ2がシリンドリカルレンズ1401によって覆われている2列目(中央にある)の画素を用いて表示されるコンテンツを見て、ユーザ3がシリンドリカルレンズ1401によって覆われている1列目(左から1列目)の画素を用いて表示されるコンテンツを見る。
【0080】
図16に示されているように、シリンドリカルレンズアレイ140のシリンドリカルレンズ1402によって覆われている複数の画素列が、同じ映像を表示することができ、さらにいえば、図中のシリンドリカルレンズ1402によって覆われている画素の3列のすべてが同じ映像を表示し、異なるユーザによって見られる映像が同じである。たとえば、ユーザ1がシリンドリカルレンズ1402によって覆われている3列目(左から3列目)の画素を用いて表示されるコンテンツを見て、ユーザ2がシリンドリカルレンズ1402によって覆われている2列目(中央にある)の画素を用いて表示されるコンテンツを見て、ユーザ3がシリンドリカルレンズ1402によって覆われている1列目(左から1列目)の画素を用いて表示されるコンテンツを見る。
【0081】
画素を用いて表示される異なるコンテンツが、表示映像を前処理する映像生成ユニット101によって実施されることができ、すなわち、画素を用いて表示される特定のコンテンツは映像生成ユニット101によって決定される。たとえば、異なる映像が複数のユーザに表示される場合、映像生成ユニット101によって異なる表示映像に対する分割と、画素行の再グループ化とを行なって、対応するユーザが、対応する映像画素を見ることを可能にしてもよい。詳細は
図15に示されている。同じ映像が複数のユーザに表示される場合、映像生成ユニット101によってシリンドリカルレンズの周期に基づいて映像画素の複製、分割及び結合を行なってもよい。詳細は
図16に示されている。
【0082】
図15及び
図16の破線の矢印は、画素列によって出射される光線の伝播経路ではなく、画素列に表示されるコンテンツとユーザによって目視されるコンテンツとの対応付けを指し示す。画素列によって出射される光線の特定の伝播経路については、
図14を参照する。
【0083】
上記の実施形態には、シリンドリカルレンズアレイ140のシリンドリカルレンズが複数の画素列を覆う例が記載されている。シリンドリカルレンズアレイ140のシリンドリカルレンズは複数の画素行も覆ってもよい。その表示原理は、シリンドリカルレンズが複数の画素列を覆う上記の場面の表示原理と同じである。このときには、シリンドリカルレンズアレイ140が時計回りか反時計回りに90度回転する。複数の画素行によって出射された光がシリンドリカルレンズによって屈折された後、光は異なる方向(縦方向)に広がり、この場合にも複数のユーザが拡大された虚像を目視することができる。
【0084】
本実施形態で提供されている表示システムでは、シリンドリカルレンズアレイ140の光出射側にホログラフィック拡散要素や別の拡散要素がさらに付加されて、シリンドリカルレンズアレイ140によってもたらされる場合がある縞状の表示干渉を緩和し、表示効果をさらに高めてもよい。
【0085】
本出願における用語「第1」、「第2」などは、類似物を区別することが意図されているものであるが、特定の順序又は配列を必ずしも指し示さない。このように用いられるデータが然るべき状況で入れ替えて用いることが可能であることは当然理解されることであり、したがって、本明細書で説明されている実施形態は本出願で説明されていない順序で実施されることが可能である。異なる実施形態の構成要素の関係をより明らかに反映するために、本出願では、異なる実施形態の同じ機能や類似する機能を持つ構成要素を表わすのに同じ参照番号が用いられている。
【0086】
別段明記されていない限り、ある実施形態のいくつかの技術的特徴の特定の説明が別の実施形態に記載されている対応する技術的特徴を説明するのにも使用される得る点にさらに留意するべきである。
【0087】
本出願の実施形態の同じ部分や類似する部分については、これらの実施形態を参照する。特に、
図4から
図8の実施形態については、本実施形態が
図1から
図3に対応する実施形態に基づいているので、説明が簡単になっている。関連する部分については、
図1から
図3に対応する実施形態の説明の一部を参照する。
【0088】
最後に、上記の説明が本出願の特定の実現例にすぎない一方で、本出願の保護範囲を限定することを意図していない点に留意するべきである。本出願で開示されている技術的範囲の当業者によって容易に想到されるあらゆる変形や置換が本出願の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
1 ユーザ
2 ユーザ
3 ユーザ
101 映像生成ユニット
102 拡散スクリーン
103 曲面ミラー
104 偏光膜
105 回析光学要素
106 反射器
107 フレネルレンズ
110 第1の反射要素
120 第2の反射要素
130 拡散膜
140 シリンドリカルレンズアレイ
200 虚像
1011 光源
1012 レンズ
1013 イメージングユニット
1014 投写レンズ
1015 偏光処理要素
1016 回析光学要素
1021 画素列
1022 画素列
1023 画素列
1401 シリンドリカルレンズ
1402 シリンドリカルレンズ