(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】半導体部品を製造するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
H01L21/66 H
H01L21/66 N
(21)【出願番号】P 2023540713
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2021085397
(87)【国際公開番号】W WO2022144163
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】102021200001.0
(32)【優先日】2021-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】モンテイロ・ディニツ・ライス,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シャッツ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ミューズ,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】シャリー,ティモ
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-342946(JP,A)
【文献】特開2007-227854(JP,A)
【文献】特開2016-144289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01R 31/26
G01R 31/28
H10N 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体部品(100)を製造するための方法において、
前記半導体部品(100)の第1の電極(102)と第2の電極(104)の間に誘電層
(106)を配置するステップ(302,902)であって、前記誘電層(106)内に第1の欠陥種の欠陥(D1)が存在するステップ(302,902)と、
前記第1の欠陥種の欠陥(D1)を前記誘電層(106)内の目標位置に移動させるための期間を決定するステップ(304,904)と、
前記誘電層(106)内で前記欠陥(D1)を移動させるための第1の電圧を決定するステップ(306,906)と、
前記第1の電圧で負荷をかけるための温度を決定するステップ(306,906)と、
前記温度で、前記期間で、前記第1の電極(102)と前記第2の電極(104)の間に前記第1の電圧を印加するステップ(308,908)と、
を含み
前記第1の電圧または前記期間が、前記第1の欠陥種の欠陥(D1)の出発位置を特徴づける前記誘電層(106)の特性および前記誘電層(106)内での前記第1の欠陥種の欠陥(D1)の移動の速度を特徴づける特性に依存して決定され、前記第1の電圧または前記期間が、前記出発位置と前記目標位置の間の距離に依存して決定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
半導体部品(100)を製造するための方法において、
前記半導体部品(100)の第1の電極(102)と第2の電極(104)の間に誘電層(106)を配置するステップ(302,902)であって、前記誘電層(106)内に第1の欠陥種の欠陥(D1)が存在するステップ(302,902)と、
前記第1の欠陥種の欠陥(D1)を前記誘電層(106)内の目標位置に移動させるための期間を決定するステップ(304,904)と、
前記誘電層(106)内で前記欠陥(D1)を移動させるための第1の電圧を決定するステップ(306,906)と、
前記第1の電圧で負荷をかけるための温度を決定するステップ(306,906)と、
前記温度で、前記期間で、前記第1の電極(102)と前記第2の電極(104)の間に前記第1の電圧を印加するステップ(308,908)と、を含み、
前記温度が決定され、前記温度が、前記誘電層内での前記第1の欠陥種の欠陥の移動の速度を一緒に決定し、前記第1の電圧が、前記速度に依存して、前記期間で前記第1の電圧を印加する場合に前記第1の欠陥種の欠陥(D1)が前記期間内にもしくは前記期間の最後に前記目標位置に到達するように決定され、かつ/または前記期間が、前記速度に依存して、前記期間で前記第1の電圧を印加する場合に前記第1の欠陥種の欠陥が前記期間内にもしくは前記期間の最後に前記目標位置に到達するように決定されることを特徴とする方法。
【請求項3】
半導体部品(100)を製造するための方法において、
前記半導体部品(100)の第1の電極(102)と第2の電極(104)の間に誘電層(106)を配置するステップ(302,902)であって、前記誘電層(106)内に第1の欠陥種の欠陥(D1)が存在するステップ(302,902)と、
前記第1の欠陥種の欠陥(D1)を前記誘電層(106)内の目標位置に移動させるための期間を決定するステップ(304,904)と、
前記誘電層(106)内で前記欠陥(D1)を移動させるための第1の電圧を決定するステップ(306,906)と、
前記第1の電圧で負荷をかけるための温度を決定するステップ(306,906)と、
前記温度で、前記期間で、前記第1の電極(102)と前記第2の電極(104)の間に前記第1の電圧を印加するステップ(308,908)と、を含み
前記第1の欠陥種の欠陥(D1)が、前記第1の電極(102)と前記第2の電極(104)の間に第1の極性をもつ前記第1の電圧を印加すると、第1の方向に前記第1の電極(102)に向かって移動可能であり、前記第1の欠陥種の欠陥(D1)が、前記第1の電極(102)と前記第2の電極(104)の間に前記第1の極性とは反対の第2の極性をもつ第2の電圧を印加すると、第2の方向に前記第2の電極(104)に向かって移動可能であって、
前記方法は、
前記第2の電圧を印加するステップと、
前記第1および前記第2の電極を通って流れる電流の変化を、ならびに/または前記第1の電極(102)の表面性質の変化および/もしくは前記第1の電極(102)と前記誘電層(106)の間の境界層の性質の変化を検出するステップと、
前記検出までの前記第2の電圧の印加の継続期間を測定するステップと、
前記継続期間に依存して前記目標位置または前記期間を決定するステップと、
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
半導体部品(100)を製造するための方法において、
前記半導体部品(100)の第1の電極(102)と第2の電極(104)の間に誘電層(106)を配置するステップ(302,902)であって、前記誘電層(106)内に第1の欠陥種の欠陥(D1)が存在するステップ(302,902)と、
前記第1の欠陥種の欠陥(D1)を前記誘電層(106)内の目標位置に移動させるための期間を決定するステップ(304,904)と、
前記誘電層(106)内で前記欠陥(D1)を移動させるための第1の電圧を決定するステップ(306,906)と、
前記第1の電圧で負荷をかけるための温度を決定するステップ(306,906)と、
前記温度で、前記期間で、前記第1の電極(102)と前記第2の電極(104)の間に前記第1の電圧を印加するステップ(308,908)と、を含み
前記誘電層(106)が、前記第1の電圧を印加すると前記第2の電極(104)に向かう方向に移動可能な第2の欠陥種の欠陥(D2)を含み、
前記方法は、
前記第1の電圧を印加する場合に前記第1もしくは前記第2の電極を通って流れる電流の変化を、ならびに/または前記第1の電圧を印加する場合に発生する、前記第2の電極の表面性質の変化および/もしくは前記第2の電極と前記誘電層の間の境界層の性質の変化を検出するステップ(900-B)と、
前記検出までの前記第1の電圧の印加の継続期間を測定するステップ(900-C)と、
前記継続期間に依存して前記目標位置または前記期間を決定するステップ(900-D)と、
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
半導体部品(100)を製造するための方法において、
前記半導体部品(100)の第1の電極(102)と第2の電極(104)の間に誘電層(106)を配置するステップ(302,902)であって、前記誘電層(106)内に第1の欠陥種の欠陥(D1)が存在するステップ(302,902)と、
前記第1の欠陥種の欠陥(D1)を前記誘電層(106)内の目標位置に移動させるための期間を決定するステップ(304,904)と、
前記誘電層(106)内で前記欠陥(D1)を移動させるための第1の電圧を決定するステップ(306,906)と、
前記第1の電圧で負荷をかけるための温度を決定するステップ(306,906)と、
前記温度で、前記期間で、前記第1の電極(102)と前記第2の電極(104)の間に前記第1の電圧を印加するステップ(308,908)と、を含み
前記誘電層(106)内にさらなる欠陥種の欠陥(D2)が存在し、
前記方法は、
前記誘電層(106)に負荷をかけるための、前記第1の電圧とは反対の極性をもつさらなる電圧を決定するステップと、
前記負荷のための期間および温度を決定するステップと、
前記温度で、前記期間で、前記第1の電極(102)と前記第2の電極(104)の間に前記さらなる電圧を印加するステップと、
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
前記第2の欠陥種の欠陥(D2)の出発位置を特徴づける前記誘電層(106)の特性が決定され、前記第1の電圧または前記期間が、前記第2の欠陥種の欠陥(D2)の前記出発位置と前記第2の電極との距離に依存して決定されることを特徴とする請求項
4に記載の方法。
【請求項7】
温度が決定され、前記温度が、前記誘電層内での前記第2の欠陥種の欠陥(D2)の移動の速度を一緒に決定し、前記第1の電圧が、前記第2の欠陥種の欠陥(D2)の移動の前記速度に依存して、前記温度で、前記期間で、前記第1の電圧を印加する場合に前記第2の欠陥種の欠陥(D2)が前記期間内にもしくは前記期間の最後に前記第2の電極(104)に到達するように決定され、かつ/または前記期間が、前記第2の欠陥種の欠陥(D2)の移動の前記速度に依存して、前記温度で、前記期間で、前記第1の電圧を印加する場合に前記第2の欠陥種の欠陥(D2)が前記期間内にもしくは前記期間の最後に前記第2の電極(104)に到達するように決定されることを特徴とする請求項
4または6に記載の方法。
【請求項8】
メモリまたはアクチュエータ、とりわけMEMS、マイクロミラー、印刷ヘッド、もしくはスピーカ内に前記半導体部品を配置するステップを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
半導体部品またはアクチュエータまたはメモリを製造するための装置(200)において、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法におけるステップを実行するよう形成されている調節および/または制御機構(202)を含むことを特徴とする装置(200)。
【請求項10】
前記装置(200)が、ウエハのための接触機構(204,206)を含み、
前記ウエハが、第1の電極(102)、第2の電極(104)、および前記第1の電極(102)と前記第2の電極(104)の間に配置された誘電層(106)を含み、
前記接触機構(204,206)が、前記調節および/または制御機構(202)の設定に基づいて、前記ウエハの前記第1の電極(102)と前記第2の電極(104)の間に電圧を印加するよう形成されている、
ことを特徴とする請求項9に記載の装置(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体部品を製造するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような半導体部品は、欠陥を有する誘電層を内包し得る。欠陥は、半導体部品の規定通りの動作中に、半導体部品の電極の間の誘電層内を動き得る。欠陥は、これらの電極の一方の傍に蓄積し得る。これにより、この電極の傍で、半導体部品の寿命を短くする誘電破壊が発生し得る。
【0003】
誘電破壊の後、半導体部品の機能は特定の条件下で再び実現可能である。これは例えば、J.Wang、C.Salm,E.Houwman,M.Nguyen,J.Schmitz,「Humidity and polarity influence on MIM PZT capacitor degradation and breakdown(MIM PZTコンデンサの劣化と破壊に対する湿度と極性の影響)」2016 IEEE International Integrated Reliability Workshop(IIRW),South Lake Tahoe,CA,2016,65~68頁,doi:10.1109/IIRW.2016.7904903で説明されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】J.Wang、C.Salm,E.Houwman,M.Nguyen,J.Schmitz,“Humidity and polarity influence on MIM PZT capacitor degradation and breakdown”,2016 IEEE International Integrated Reliability Workshop(IIRW),South Lake Tahoe,CA,2016,65~68頁,doi:10.1109/IIRW.2016.7904903
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
独立形式請求項に基づく方法および装置は、寿命の延びた半導体部品を製造するために、欠陥の移動を可能にする。
誘電層内での欠陥の移動によって発生する物理的な劣化メカニズムに狙い通りの影響を及ぼすことで、電気的な前処理によって寿命を延ばす。
【0006】
これは、顧客に引き渡す前の、狙い通りの電気的な事前負荷によって可能になる。この狙い通りの電気的な事前負荷により、半導体部品の誘電層内の欠陥の初期位置および/または欠陥分布を操作する。これにより、半導体部品の寿命を調整できる。
【0007】
1つの態様では、半導体部品の規定通りの動作に関連する劣化していくインターフェイスでの欠陥の蓄積を遅延させる。
この半導体部品を製造するための方法は、半導体部品の第1の電極と第2の電極の間に誘電層を配置し、この誘電層内に第1の欠陥種の欠陥が存在するステップ、第1の欠陥種の欠陥を誘電層内の目標位置に移動させるための期間を決定するステップ、誘電層内でこれらの欠陥を移動させるための第1の電圧を決定するステップ、第1の電圧で負荷をかけるための温度を決定するステップ、その温度で、その期間で、第1の電極と第2の電極の間に第1の電圧を印加するステップを含む。
【0008】
第1の電圧または期間が、第1の欠陥種の欠陥の出発位置を特徴づける誘電層の特性および誘電層内での第1の欠陥種の欠陥の移動の速度を特徴づける特性に依存して決定され、第1の電圧または期間が、出発位置と目標位置の間の距離に依存して決定されるのが好ましい。
【0009】
温度が決定され、この温度が、誘電層内での第1の欠陥種の欠陥の移動の速度を一緒に決定し、第1の電圧が、速度に依存して、その期間で第1の電圧を印加する場合に第1の欠陥種の欠陥がその期間内にもしくはその期間の最後に目標位置に到達するように決定され、かつ/または期間が、速度に依存して、その期間で第1の電圧を印加する場合に第1の欠陥種の欠陥がその期間内にもしくはその期間の最後に目標位置に到達するように決定されるのが好ましい。
【0010】
第1の欠陥種の欠陥は、第1の電極と第2の電極の間に第1の極性をもつ第1の電圧を印加すると、第1の方向に第1の電極に向かって移動可能であり、第1の欠陥種の欠陥は、第1の電極と第2の電極の間に第1の極性とは反対の第2の極性をもつ第2の電圧を印加すると、第2の方向に第2の電極に向かって移動可能であり、本方法は、以下のステップ、すなわち第2の電圧を印加するステップ、第1および第2の電極を通って流れる電流の変化を、ならびに/または第1の電極の表面性質の変化および/もしくは第1の電極と誘電層の間の境界層の性質の変化を検出するステップ、この検出までの第1の電圧の印加の継続期間を測定するステップ、この継続期間に依存して目標位置または期間を決定するステップを含むことが企図されていてもよい。
【0011】
1つの態様では欠陥が準備され、この欠陥は、この欠陥がなければ規定通りの動作中にインターフェイスを劣化させる別の欠陥を相殺する。
第2の欠陥種の欠陥の出発位置を特徴づける誘電層の特性が決定され、第1の電圧または期間が、第2の欠陥種の欠陥の出発位置と第2の電極との距離に依存して決定されるのが好ましい。これにより、誘電層内の第2の欠陥種の欠陥の位置を調整できる。
【0012】
温度が決定され、この温度が、誘電層内での第2の欠陥種の欠陥の移動の速度を一緒に決定し、第1の電圧が、第2の欠陥種の欠陥の移動の速度に依存して、その温度で、その期間で、第1の電圧を印加する場合に第2の欠陥種の欠陥がその期間内にもしくはその期間の最後に第2の電極に到達するように決定され、かつ/または期間が、第2の欠陥種の欠陥の移動の速度に依存して、その温度で、その期間で、第1の電圧を印加する場合に第2の欠陥種の欠陥がその期間内にもしくはその期間の最後に第2の電極に到達するように決定されるのが好ましい。
【0013】
1つの態様では、誘電層内に第2の欠陥種の欠陥が存在し、本方法は加えて、誘電層に負荷をかけるための、第1の電圧とは反対の極性をもつ第2の電圧を決定するステップ、この負荷のための期間および温度を決定するステップ、その温度で、その期間で、第1の電極と第2の電極の間に第2の電圧を印加するステップを含む。第1の欠陥種の欠陥が、第2の欠陥種の欠陥とは違う速度で移動する場合には、第2の欠陥が、第1の欠陥に対して相対的に変位可能になる。これにより、誘電層内の欠陥の所望の分布が調整され得る。第2の欠陥種の欠陥は、第1の電圧での負荷下で第1の欠陥種の欠陥と同じ方向に移動し得る。さらに、第2の欠陥種の欠陥は、第1の電圧での負荷下で第1の欠陥種の欠陥が移動する方向とは反対の方向に移動し得る。
【0014】
本方法は、アクチュエータ、とりわけMEMS、マイクロミラー、印刷ヘッド、またはスピーカ内にこの半導体部品を配置することを企図し得る。
半導体部品またはアクチュエータを製造するための装置は、本方法におけるステップを実行するよう形成されている調節および/または制御機構を含む。
【0015】
この装置は、ウエハのための接触機構を含むことが好ましく、ウエハは、第1の電極、第2の電極、および第1の電極と第2の電極の間に配置された誘電層を含み、接触機構は、調節および/または制御機構の設定に基づいて、ウエハの第1の電極と第2の電極の間に電圧を印加するよう形成されている。
【0016】
さらなる有利な実施形態は以下の説明および図面から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】半導体部品の第1の実施形態の概略図である。
【
図2】半導体部品を製造するための装置の概略図である。
【
図3a】
図3aは第1の実施形態を製造するための方法におけるステップを示す図である。
【
図3b】
図3bは第1の実施形態を製造するための方法におけるステップを示す図である。
【
図3c】
図3cは第1の実施形態を製造するための方法におけるステップを示す図である。
【
図3d】
図3dは第1の実施形態を製造するための方法におけるステップを示す図である。
【
図4】出発位置での欠陥の分布の密度を示すグラフである。
【
図5】最終位置での欠陥の分布の密度を示すグラフである。
【
図6】規定通りの動作中の分布の密度を示すグラフである。
【
図8】半導体部品の第2の実施形態の概略図である。
【
図9】第2の実施形態を製造するための方法におけるステップを示す図である。
【
図12】移動の最後での欠陥の分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、第1の実施形態に基づく半導体部品100の概略図を示している。半導体部品100は、第1の電極102、第2の電極104、および誘電層106を含む。
誘電層106は、第1の電極102と第2の電極104の間に配置されている。この例では、第1の電極102および第2の電極104は、誘電層106の互いに反対の側に配置されている。
【0019】
誘電層内には第1の欠陥種の欠陥D1が存在している。これらの欠陥D1は、この例では出発位置に配置されている。出発位置は、この例では誘電層の製造プロセスによって定義されている。欠陥D1は、とりわけ第1の電極102より第2の電極104の近くに配置されている。
【0020】
第1の欠陥種の欠陥D1は、第1の電極102と第2の電極104の間に電位が印加されると、その電荷に応じて、誘電層106と第1の電極102または第2の電極104との間のそれぞれの境界層へと移動する荷電欠陥である。この境界層を以下に「インターフェイス」と言う。荷電欠陥のこの輸送は、欠陥特性および「ホッピングメカニズム」によって決定される。
【0021】
ホッピングメカニズムはこの関連では、それぞれの印加された電圧Uによって厚さdの誘電層106内で作用している電界E内で、欠陥の移転、つまりホッピングが起こることを意味する。欠陥種iの欠陥は、平均実効間隔aiで局在した欠陥状態に沿って移動する。これは、欠陥種iの欠陥の移動の速度viをもたらす。速度viは、可変領域ホッピングの既知のアプローチを介して説明される。
【0022】
【0023】
式中、C0,i(ai)は、場所に関する欠陥分布が、誘電層106内での欠陥iの特徴的な速度viに及ぼす影響を示す関数を表している。この欠陥分布は誘電層106の特性を表している。この特性が、誘電層106内での欠陥種iの欠陥の移動を一緒に決定する。欠陥種iの欠陥のパラメータである減衰長さα、平均実効間隔ai、活性化エネルギーEA,0,i、電荷Nq,iは物理的特性である。kBでボルツマン定数を表している。Tにより、考察される欠陥の周囲の温度、とりわけ誘電層106内の温度を表している。
【0024】
誘電破壊までのリーク電流密度JTEDの経時的推移は、CrowellおよびSzeによる熱電子放出拡散理論の方程式によって決定され得る。
【0025】
【0026】
式中、qは単位電荷、NCは伝導帯内の実効状態密度、vRは実効再結合速度、vDは実効拡散速度、
【0027】
【0028】
は実効ショットキー障壁、kBはボルツマン定数、Tは周囲の温度、およびUは誘電層106にかかる電圧を表している。
正電荷をもつ欠陥iは負電位をもつ電極へと動いていってインターフェイスに蓄積する。負電荷をもつ欠陥iは正電位をもつ電極へと移動してインターフェイスに蓄積する。これにより、実効ショットキー障壁
【0029】
【0030】
が変化する。
欠陥iによって生成される障壁高さ変化ΔФiは、その最大高さδФiおよび特徴的な時定数τiを特徴とする。特徴的な時定数τiは、障壁高さ変化ΔФiが時間tに沿って最も強く変化するまでの継続期間を定義する。
【0031】
【0032】
最大高さδФiは、欠陥iの数Ziの関数であり、インターフェイスの種類に依存する。項
【0033】
【0034】
により、材料中の欠陥iの統計的分布の時間依存の蓄積が説明され、とりわけそれぞれの出発位置の蓄積の時点が説明される。出発位置は、この例では分布の重心である。欠陥種iの欠陥の複数の山がある場合には、重心の代わりに、これらの山のうち出発位置を定義する1つが選択され得る。寿命の延長に最大の影響を有する山が選択されることが好ましい。
【0035】
誘電層106内には様々な欠陥種の欠陥が存在し得る。その電荷に基づいて、実効ショットキー障壁
【0036】
【0037】
を上昇させる障壁高さ変化ΔФiを引き起こす欠陥が存在し得る。これによりリーク電流レベルは低下する。この文脈では、欠陥は例示的に「修復する」欠陥と呼ばれる。その電荷に基づいて、実効ショットキー障壁
【0038】
【0039】
を低下させる障壁高さ変化ΔФiを引き起こす欠陥が存在し得る。これによりリーク電流レベルは上昇する。この文脈では、欠陥は例示的に「劣化させる」欠陥と呼ばれる。
以下では、場合によっては移り変わる温度および電圧の下での、狙い通りの電気的負荷により、「修復する」および「劣化させる」欠陥の欠陥重心の場所を操作するための手法を詳述する。
【0040】
活性化エネルギーEA,0,iおよび電荷Nq,iの違いにより、温度および/または電圧を変えることで、関与する欠陥の輸送速度を互いに対して非常に明確に変化させることができ、それにより欠陥分布の相対位置を変えることができる。層厚Dの誘電層106内の欠陥分布の開始位置を狙い通りに操作することができる。
【0041】
電圧を印加すると欠陥が移動する。活性化エネルギーおよび電荷により、特定の欠陥が圧倒的に速くなり得る。電圧、電圧極性、および温度の変化によって欠陥をあっちに移動させたりこっちに移動させたりすることで、欠陥の分布の狙い通りの操作が可能である。
【0042】
欠陥iの開始位置は、この例では、欠陥iの分布の重心と、半導体部品100の規定通りの動作中に欠陥iが目指すインターフェイスとの間隔diによって定義されている。
したがって、
a)欠陥構成、つまり欠陥iの蓄積のタイムシーケンスまたは出発位置の配置を変化させ得る。
b)寿命またはリーク電流レベルを最適化するため、劣化と結びついた欠陥iの欠陥中心を、半導体部品100の規定通りの動作中に目指すインターフェイスから遠ざけ得る。
c)リーク電流レベルを最適化するため、またはインターフェイスの安定化を達成するため、修復と結びついた欠陥iの欠陥中心を、既にインターフェイスに蓄積させ得る。
【0043】
狙い通りの負荷が実施される電圧、電界強度、および/または温度の選択は、それぞれの欠陥構成に対して最適化され得る。上昇した電界強度下では、および上昇した温度下では、プロセスが決定的に加速され得る。ただし一般的には比較的低い電圧下でより多くの欠陥が蓄積され得る。なぜなら比較的高い電圧の場合より、誘電破壊に対しての、インターフェイスでの欠陥密度の電圧依存の閾値が高いからである。時間および作用の最適状態を得るため、存在している欠陥種の、温度および電圧下での異なる速度/集合も考慮され得る。
【0044】
製造プロセスを実現する効果的な手法は、ウエハレベルで負荷を実施することである。つまり、例えば少なくとも2つの電極およびその間の誘電層を含んでおり、全面で堆積している積層体には、各々の製造された部品の層要素に個々に負荷をかける代わりに、ウエハ全体に事前負荷をかけ得る。
【0045】
第1の電圧U1の影響下での移動に関する時定数τiは、第2の電圧U2の影響下での移動に関する時定数τiとは違い得る。時定数τiは、誘電層106内での電界Eの影響下での欠陥iの可動性と、誘電層106内でそれぞれのインターフェイスに到達するまでに進む経路とによって定義され得る。誘電層106の内部で移転する際、欠陥種iはその分布の重心とインターフェイスとの間隔diを進まなければならない。速度viと一緒に、欠陥iの蓄積プロセスに関する特徴的な時定数τiが、
【0046】
【0047】
でもたらされる。
時間に沿ったリーク電流の測定と、CrowellおよびSzeによる熱電子放出拡散理論の方程式を使った時間依存の推移の評価と、障壁高さ変化の時間依存の挙動とから、時定数τiが決定され得る。様々な温度Tおよび電圧Uの下でのτiの複数の測定により、欠陥種iの欠陥の活性化エネルギーEA,0,iおよび電荷Nq,iが決定され得る。
【0048】
第1の極性をもつ第1の電圧U1を印加すると、第1の欠陥種の荷電欠陥D1は第1の方向に第1の電極102に向かって移動する。第1の電圧U1とは反対の極性をもつ第2の電圧U2を印加すると、この第1の欠陥種の荷電欠陥D1が第2の方向に第2の電極102に向かって移動する。
【0049】
第1の電極102または第2の電極104でのインターフェイスに到達する第1の欠陥種の荷電欠陥D1は、インターフェイスに蓄積する。
第1の実施形態に基づく半導体部品100は、2つより多い電極を有し得る。この半導体部品100は、それぞれ2つの電極の間にある1つより多い誘電層を有し得る。
【0050】
このような半導体部品では、電圧を印加して動作させる場合に誘電破壊の可能性がある。誘電破壊が発生すると、インターフェイスが部分的にまたは全体的に破壊される。誘電破壊が発生すると、半導体部品100の寿命が短くなる。誘電破壊は、例えば、インターフェイスに蓄積される荷電欠陥の数が、電圧依存の閾値を上回る場合に発生する。
【0051】
誘電層106を製造する際のプロセス条件および/またはプロセス管理を最適化することで、物理的特性に、およびこの物理的特性への製造上の影響に、影響を及ぼすことができる。これにより寿命を延ばすことができる。
【0052】
プロセス条件および/またはプロセス管理により、例えば、成長、成長条件、材料組成が影響を及ぼされる。プロセス条件および/またはプロセス管理により、例えば、成長プロセス中にまたは後続プロセスにおいて、意図したまたは意図しないドーピングおよび/または汚染が生じる。
【0053】
半導体部品100の寿命は、以下に説明するように、上記の物理的特性をもつ誘電層106の製造後に、第1の欠陥種の欠陥D1の出発位置を狙い通りに変化させることで長くなる。
【0054】
図2では、第1の実施形態に基づく半導体部品100を製造するための装置200を概略的に示している。
装置200は、第1の実施形態に基づく半導体部品100を製造するための以下に説明する方法におけるステップを実行するよう形成された調節および/または制御機構202を含む。装置200は、第1の導体204を介し、半導体部品100の第1の電極102と少なくとも一時的に接続可能である。装置200は、第2の導体206を介し、半導体部品100の第2の電極104と少なくとも一時的に接続可能である。
【0055】
調節および/または制御機構202は、この例では、第1の極性をもつ第1の電圧U1を出力するよう形成されている。この例では、第1の電極102および第2の電極104がそれぞれの導体によって装置200と接続されており、かつ調節および/または制御機構202が第1の電圧U1を出力する場合に、第1の電極102と第2の電極104の間に第1の電圧U1が印加される。
【0056】
調節および/または制御機構202は、この例では、第1の極性とは反対の極性をもつ第2の電圧U2を出力するよう形成されている。この例では、第1の電極102および第2の電極104がそれぞれの導体によって装置200と接続されており、かつ調節および/または制御機構202が第2の電圧U2を出力する場合に、第1の電極102と第2の電極104の間に第2の電圧U2が印加される。
【0057】
制御機構は、第1の電圧U1および/または第2の電圧U2の実質的に一定の値を出力するよう形成され得る。この値は、例えば1ボルト~80ボルトの範囲内にあり、好ましくは1ボルト、2ボルトまたは5ボルトまたは10ボルトまたは20ボルトまたは40または80ボルトである。
【0058】
誘電層106は、多結晶酸化物であるhigh-κ絶縁体として形成されることが好ましい。
誘電層106は、とりわけPZT層として形成されている。PZTはこの場合、Pb(ZrxTi1-x)O3を意味する。
【0059】
誘電層106は、とりわけKNN層として形成されている。KNNはこの場合、(KxNa1-x)NbO3を意味する。
誘電層106は、とりわけHfO2層、HfZrO2層、ZrO2層、BaTiO3層、SrTiO3層、または(BaxSr1-x)TiO3層として形成され得る。
【0060】
誘電層106がドーピングされることが好ましい。誘電層106は、例えばニッケルでドーピングされたPZT層である。
Pb(ZrxTi1-x)O3Niy
PZT層もKNN層も、ニッケルとは違うドーピング、例えばNb、La、Mn、Mgを有し得る。
【0061】
誘電層は、スパッタリングされたPZT層として形成されることが好ましい。この場合、いわゆるターゲット材料が、プラズマ中で基板上に堆積される。ターゲット材料としては例えばPZTが使用される。スパッタリングされたPZT層は、この関連では500℃未満の堆積温度を有することが好ましい。
【0062】
誘電層の厚さは500nm~4μmの範囲内であることが好ましい。これは、アクチュエータ機器にとって有意義な範囲である。層厚は1μmまたは4μmであることが好ましい。より大きな層厚も可能である。前述の手順は、すべての層厚のために実行可能である。
【0063】
より小さな層厚も可能である。例えばアクチュエータ機器から離れた用途には、誘電層の厚さが500nm未満の範囲内であることが好ましい。これに関する一例は、high-κ絶縁体の、例えばメモリとしての用途である。メモリは、抵抗変化型メモリReRAMまたは強誘電体メモリFeRAMであり得る。これらの別の用途には、用途に応じて15nm~200nmの厚さが有意義である。
【0064】
これに加え、例えばゲート酸化物としての層を有する非常に薄いhigh-κ絶縁体が、非常に多くの用途で使用可能である。誘電層106として、例えば層厚が50nm以下のHfO2またはSiO2が企図され得る。
【0065】
調節機構は、第1の電圧U1の目標値に調節するよう形成され得る。この目標値は、例えば1ボルト~80ボルトの範囲内にあり、好ましくは1ボルト、2ボルトまたは5ボルトまたは10ボルトまたは20ボルトまたは40または80ボルトである。
【0066】
調節機構は、第2の電圧U2の目標値に調節するよう形成され得る。この目標値は、例えば1ボルト~80ボルトの範囲内にあり、好ましくは1ボルト、2ボルトまたは5ボルトまたは10ボルトまたは20ボルトまたは40または80ボルトである。
【0067】
この場合、第1の電極102と第2の電極104の間の電圧を捕捉するよう形成された電圧測定機構が企図されていてもよい。調節機構はこの場合、この捕捉された電圧と目標値との差に依存して決定されるコントロール偏差を減らすよう形成されている。
【0068】
例えば、誘電層106が第1の電極102と第2の電極104の間に配置されたウエハが製造される。
装置200は、この例では任意選択で加熱機構208を含む。加熱機構208は、この例では誘電層106を加熱するよう形成されている。
【0069】
加熱機構208は加熱炉であることができ、その場合、ウエハが加熱炉内で温度調節される。
加熱機構208は加熱コイルとして実施され得る。加熱機構208は、この例では誘電層106に配置されている。加熱機構208は、この例では誘電層106から電気的および/または電磁的に絶縁されて配置されている。一方の電極の誘電層106に面していない側に相応に配置してもよい。加熱機構208は、取り外し可能に第1の電極102に配置され得る。加熱機構208は、取り外し可能に第2の電極104に配置され得る。加熱機構208は、取り外し可能に誘電層106に配置され得る。
【0070】
加熱機構208は、外側で、半導体部品100の周りのハウジングに配置されていてもよい。このハウジング内には、誘電層106および第1の電極102および第2の電極104が配置され得る。加熱機構208は、取り外し可能にハウジングに配置され得る。
【0071】
この例では、加熱機構208は、第1の接点210および第2の接点212を介して電気的に加熱可能である。
調節および/または制御機構202は、この例では、第3の導体214を介して第1の接点210と、第4の導体216を介して第2の接点212と少なくとも一時的に接続可能である。調節および/または制御機構202は、この例では、加熱機構208を通る電流I1をもたらすために電流I1を出力するよう形成されている。
【0072】
装置200は、この例では、任意選択で電圧および/または電流源218を含む。装置200は、この例では、以下に説明する方法を実行するよう形成された計算機構220、とりわけマイクロプロセッサを含む。
【0073】
制御機構は、電流I1の実質的に一定の値を出力するよう形成され得る。この値は、例えば加熱機構208が誘電層を100℃~200℃の間の温度に加熱する範囲内にある。
調節機構は、電流I1の目標値に調節するよう形成され得る。この目標値は、例えば加熱機構208が誘電層を100℃~200℃の間の温度に加熱する範囲内にある。この場合、誘電層106の温度を捕捉するよう形成された温度測定機構が設けられ得る。調節機構はこの場合、この捕捉された温度と目標値との差に依存して決定されるコントロール偏差を減らすよう形成されている。温度は、別の箇所で、例えばハウジング、加熱機構208で、または誘電層106の周囲の箇所で捕捉されてもよい。
【0074】
第1の実施形態に基づく半導体部品100を製造するための方法を、以下に
図3aに基づいて説明する。
本方法により、製造プロセスにおけるステップとして狙い通りに電気的負荷をかけることで、欠陥重心の場所が調整される。インターフェイスの劣化と結びついた欠陥は、動作条件下で目指すインターフェイスから、つまりこれらの欠陥がその電荷により、半導体部品100の規定通りの動作中に使用される極性に依存して蓄積するインターフェイスから、さらに遠ざけられ得る。これは寿命を延長する。これに関し、動作中に目指すインターフェイスに対する最大間隔は、向かい側のインターフェイスでの実質的にすべての欠陥の完全な蓄積である。
【0075】
本方法は、この例では以下のステップを規定する。
ステップ302 第1の電極102と第2の電極104の間に誘電層106を配置する。
【0076】
誘電層106内には第1の欠陥種の欠陥D1が存在している。
図4では、第1の電圧U1の印加の開始時の分布400の出発位置402、つまり重心のときの、誘電層106の延びxに沿った第1の欠陥種の欠陥D1の分布400の密度ρを概略的に示している。第1の欠陥種の欠陥D1の密度ρは、出発位置402で最も大きく、出発位置402からの間隔が増すにつれて急落する。この例では、第1の電極102の場所408および第2の電極104の場所406では密度ρがゼロに向かっている。第1の欠陥種の欠陥D1は、第1の電圧U1の印加中は第2の電極104の場所406から離れて第1の電極102の場所408に向かう方向404に移動する。
【0077】
ステップ304 誘電層内の目標位置に第1の欠陥種の欠陥D1を移動させるための期間を決定する。
期間は、不変の温度または次第に高くなる温度の場合、第1の電圧U1が増大するにつれてより短く選択され得る。期間は、不変の第1の電圧U1または次第に増大する第1の電圧U1の場合、温度が高くなるにつれてより短く選択され得る。期間は、1分~60分の範囲内、1時間~24時間の範囲内、または1日超で定められ得る。期間は、例えば3時間、1日、2日、または3日の長さであり得る。
【0078】
期間は、第1の欠陥種の欠陥D1の出発位置402を根拠として、最大限可能な寿命のために決定され得る。期間は、本方法が用いられる製造プロセスでの時間制限に基づき、または半導体部品100の寿命へのより低い要求に基づき、または第1の電極102におけるインターフェイスの、そこに第1の欠陥種の欠陥D1が変位した後の安定性に関する考慮に基づき、最大の寿命を達成するための期間より短く選択され得る。
【0079】
温度は、規定通りの動作の条件に基づいて設定することが企図されていてもよい。それより高い温度またはそれより低い温度で動作するための温度を設定することが企図されていてもよい。
【0080】
試験では、欠陥の出発位置、その条件下での速度、ならびに活性化エネルギーおよび電荷を決定することが企図されていてもよい。例えば、使用する第1の電圧U1および温度を変更しながら、適切な条件が見つかるまで試験が実施される。
【0081】
例えば、第1の電圧U1の事前印加なしでの半導体部品100の規定通りの動作において、最初の誘電破壊までの第1の時間が決定される。第1の時間は、誘電破壊に至るほど多くの第1の欠陥種の欠陥D1が出発位置から、劣化していくインターフェイスに蓄積されるまで移動する時間を提示する。試験では、例えば、様々な第1の電圧U1が、様々な継続期間で、様々な温度で、様々な半導体部品100に印加される。例えば、これらの処理された半導体部品100に関し、規定通りの動作中の最初の誘電破壊までの第2の時間がそれぞれ決定される。例えば、製造プロセスのための試験から、第2の時間が第1の時間の3倍である第1の電圧U1、温度、および継続期間が定められる。
【0082】
こうして見つかった継続期間が経済的に実現するには長すぎる場合には、とりわけ第2の時間が短くならずに継続期間がそれより短い条件を見つけることが企図されていてもよい。例えば温度を上げることが企図されていてもよい。例えば第1の電圧U1を上げることが企図されていてもよい。
【0083】
第2の時間に対する継続期間の比率が特に大きくなる第1の電圧U1を探すことが企図されていてもよい。
試験では、例えば1Vの第1の電圧U1および例えば200℃の温度で開始して、その後の試験で第1の電圧U1および/または温度を上げていくことが好ましい。
【0084】
第1の欠陥種のすべての欠陥D1の出発位置または第1の欠陥種の欠陥D1のために選択された1つの出発点と、規定通りの動作中に劣化していくインターフェイスとの間隔が最大である、ゴールとなる欠陥構造が選択されることが企図されていてもよい。これは、向かい側のインターフェイスで蓄積される第1の欠陥種の欠陥D1の割合が臨界閾値より小さいという基本条件下で行われ得る。第1の電圧U1の印加の継続期間として、とりわけ経済的に実施可能な負荷時間が定められることが企図されていてもよい。試験では、その温度で、その継続期間で、電圧U1が印加される際に、向かい側のインターフェイスに蓄積する第1の欠陥種の欠陥D1の数が臨界閾値より少なくなる温度と第1の電圧U1の組合せを探すことが企図されていてもよい。
【0085】
複数の様々な劣化させる欠陥種に関し、とりわけ、数を定義する重み付き和が決定され得る。例えば、第1の欠陥種の欠陥D1に加えて、第1の電圧U1下で第1の欠陥種の欠陥D1と同じ方向に移動するさらなる別の欠陥が半導体部品100に内包されている。とりわけ重み付き和においてこれらの効果の数を考慮することにより、第1の電圧U1の継続期間中に、これらの欠陥の多すぎる数がインターフェイスに蓄積することが回避される。
【0086】
期間は、以下に説明するように、半導体部品100を作製するためのウエハの一部を用いた試験によって決定され得る。
ステップ306 誘電層106内でこれらの欠陥を移動させるための、第1の電圧U1および第1の電圧U1で負荷をかけるための温度を決定する。
【0087】
ステップ302,304,306は、この順番でまたはその他の順番の1つで実行され得る。
ステップ308 第1の電極102と第2の電極104の間にその期間で第1の電圧を印加する。
【0088】
これにより、第1の欠陥種の欠陥D1が方向404に移動する。
図5では、最終位置での、つまり期間の最後での、誘電層106の延びxに沿った第1の欠陥種の欠陥D1の分布400の密度ρを概略的に示している。第1の欠陥種の欠陥D1の密度ρは、位置502、つまり分布400の重心で最も大きく、位置502からの間隔が増すにつれて急落する。この例では、第1の電極102の場所406および第2の電極104の場所406では密度ρがゼロに向かっている。
【0089】
第1の欠陥種の欠陥D1は、規定通りの動作中に第2の電圧U2が印加されている間、第1の電極102の場所408から離れて第2の電極104の場所406に向かう方向504に移動し得る。第1の欠陥種のたいていの欠陥D1は、第2の電極104の場所406に到達するまでに、位置502と第2の電極104の場所406との間の距離506を進まなければならない。
【0090】
第1の電圧U1または期間は、第1の欠陥種の欠陥D1の出発位置を特徴づける誘電層106の特性および誘電層内での第1の欠陥種の欠陥の移動の速度を特徴づける特性に依存して決定され得る。
【0091】
第1の電圧U1または期間は、出発位置と目標位置の間の距離に依存して決定され得る。
この例では、第1の欠陥種の欠陥D1のための期間は、この期間が、第1の電極102に向かう第1の方向での移動に関してこれらの欠陥のために決定された時定数t1より小さいように選択される。
【0092】
本方法は、この時定数t
1を決定するために、例えば以下の、
図3bに示したステップを企図し得る。
3002 とりわけ半導体部品100と同じ製造プロセスでまたは半導体部品100と同じ電荷で製造された別の半導体部品に第1の電圧U1を印加する。第1の電圧U1は、設定された温度で印加されることが好ましい。
【0093】
3004 この別の半導体部品の第1および第2の電極を通って流れる電流の変化を検出する。
図6では、関する、誘電層106の延びxに沿った第1の欠陥種の欠陥D1の分布400の密度ρを概略的に示している。第1の欠陥種の欠陥D1の密度ρは、位置602で最も大きく、位置602からの間隔が増すにつれて急落する。この例では、第2の電極104の場所406では密度ρが増えている。そこでは、第2の電圧U2での半導体部品100の動作中に溜まった第1の欠陥種の欠陥D1が蓄積している。インターフェイスに蓄積した第1の欠陥種の欠陥D1はリーク電流の原因となる。この例では、第1の電極102の場所408では密度ρがゼロに向かっている。
【0094】
3006 誘電破壊が検出されるまでの第1の電圧U1の印加の継続期間を測定する。この継続期間が時定数t1を定義する。
3008 継続期間に依存して目標位置または期間を決定する。
【0095】
ステップ3002,3004,3006,3008は任意選択である。これらのステップは、ステップ302の前に実行されることが企図されていてもよい。
時定数t
1をこのように決定する代わりに、
図3cに示したように、第1の欠陥種の欠陥D1の出発位置を以下のステップで決定することが企図されていてもよい。
【0096】
3102 とりわけ半導体部品100と同じ製造プロセスでまたは半導体部品100と同じ電荷で製造された別の半導体部品に第1の電圧U1を印加する。時間に沿った電流推移から、インターフェイス(102)に欠陥種1の欠陥が蓄積するための特徴的な時間τ1が導出され得るまでの第1の継続期間を決定する。
【0097】
第1の電圧U1は、設定された温度で印加されることが好ましい。
3104 とりわけ半導体部品100と同じ製造プロセスでまたは半導体部品100と同じ電荷で製造された別の半導体部品に第2の電圧U2を印加する。時間に沿った電流推移から、インターフェイス(104)に欠陥種1の欠陥が蓄積するための特徴的な時間τ2が導出され得るまでの第2の継続期間を決定する。第2の電圧U2は、この例では、第1の電圧U1と同じ電圧強度で、第1の電圧U1とは反対の極性で印加される。よって誘電層106内での第1の欠陥種の欠陥D1の予想速度は同じである。
【0098】
3106 第1の継続期間と第2の継続期間の比率から、第1の欠陥種の欠陥D1の出発位置を決定する。第1の継続期間と第2の継続期間の比率は、出発位置から第1の電極102へと出発位置から第2の電極104への両方の部分距離の比率に比例している。この例では、誘電層の既知の層厚を根拠として、この比率から第1の欠陥種の欠陥D1の出発位置が決定される。
【0099】
3108 部分距離の少なくとも一方の長さを決定する。これらの部分距離に関する長さおよび継続期間に依存して、第1の欠陥種の欠陥D1の速度を決定する。層厚および速度に依存して時定数t1を決定する。
【0100】
さらなる代替策として、以下の、
図3dに示した手順が企図されていてもよい。
3202 とりわけ半導体部品100と同じ製造プロセスでまたは半導体部品100と同じ電荷で製造された別の半導体部品に第2の電圧U2を印加する。
【0101】
第1の電圧U2は、設定された温度で印加されることが好ましい。
3204 この別の半導体部品の第1および第2の電極を通って流れる電流の変化を検出する。
【0102】
図6では、関する、誘電層106の延びxに沿った第1の欠陥種の欠陥D1の分布400の密度ρを概略的に示している。第1の欠陥種の欠陥D1の密度ρは、位置602で最も大きく、位置602からの間隔が増すにつれて急落する。この例では、第2の電極104の場所406では密度ρが増えている。そこでは、第2の電圧U2での半導体部品100の動作中に溜まった第1の欠陥種の欠陥D1が蓄積している。インターフェイスに蓄積した第1の欠陥種の欠陥D1はリーク電流の原因となる。この例では、第1の電極102の場所408では密度ρがゼロに向かっている。
【0103】
3206 誘電破壊が検出されるまでの第2の電圧U2の印加の継続期間を測定する。この継続期間が時定数t2を定義する。
3208 継続期間に依存して目標位置または期間を決定する。
【0104】
図7は、この場合に関する、時間tに沿った第1の電流推移702を示している。第1の電流推移702が測定されるウエハの部分は、第1の電圧U1=+5で1日間動作させていた。第1の電流推移702は、150℃の温度および第2の電圧U2に対するものであり、第2の電圧U2は、第1の電極102の負極でE=50kV/cmの電界強度を生成する。この例では、2.2×10
5秒で誘電破壊が生じている。この例では、1×10
-6アンペアへの電流の急上昇が発生する場合に誘電破壊が発生している。
【0105】
図7は、同じ第2の電圧U2および同じ温度で動作されるウエハの別の部分の動作に関する第2の電流推移704を示している。第2の電流推移704は、ウエハのこの部分を、2日間、その他の点ではパラメータを変えずに第1の電圧U1=+5で動作させた場合に生じる。この例では、2.9×10
5秒で誘電破壊が生じている。この例では、1×10
-6アンペアへの電流の急上昇が発生する場合に誘電破壊が発生している。
【0106】
図7は、同じ第2の電圧U2および同じ温度で動作されるウエハの別の部分の動作に関する第3の電流推移706を示している。第3の電流推移706は、ウエハのこの部分を、3日間、その他の点ではパラメータを変えずに第1の電圧U1=+5で動作させた場合に生じる。この例では、3.5×10
5秒で誘電破壊が生じている。この例では、1×10
-6アンペアへの電流の急上昇が発生する場合に誘電破壊が発生している。
【0107】
図7は、作製後に処理されずに、同じ第2の電圧U2および同じ温度で動作されるウエハの動作に関する電流推移708を示している。処理されずにとは、この文脈ではウエハが第1の電圧U1で動作されなかったことを意味する。この例では、1.5×10
5秒で誘電破壊が生じている。この例では、1×10
-6アンペアへの電流の急上昇が発生する場合に誘電破壊が発生している。第2の電圧U2の印加から誘電破壊までに過ぎる時間が、第1の欠陥種の欠陥D1の出発位置に関する尺度である。出発位置は、時間、温度、および第2の電圧U2が分かっていれば、誘電層106内での第1の欠陥種の欠陥D1の速度に依存して決定可能である。半導体部品100の最大の寿命のために、目標位置として、第1の電極102におけるインターフェイスを選択することが企図され得る。この出発位置からそこへの第1の欠陥種の欠陥D1の変位が起こる継続期間は、この温度および第2の電圧U2に対してはすぐに分かる。別の第2の電圧U2または別の温度の場合、継続期間は、出発位置と第1の電極102におけるインターフェイスとの間隔に依存して、速度を使って決定され得る。同じ電圧および同じ温度の場合、任意の所望の目標位置が選択され得る。出発位置が分かっていれば、速度を使って、出発位置と目標位置の間の距離、つまり第1の欠陥種の欠陥D1が目標位置に到達するまでに進まなければならない距離から、継続期間が決定され得る。
【0108】
続いて、電流が変化するまでの継続期間が突き止められるかどうか、1日であるかどうかが検査され得る。
期間は、不変の温度または次第に高くなる温度の場合、第2の電圧U2が増大するにつれてより短く選択され得る。期間は、不変の第2の電圧U2または次第に増大する第2の電圧U2の場合、温度が高くなるにつれてより短く選択され得る。期間は、1分~60分の範囲内、1時間~24時間の範囲内、または1日超で定められ得る。このプロセスは、様々な継続期間、例えば3時間または2日または3日に対して実行され得る。
【0109】
電流の変化を検出する代わりに、第1の電極102の表面性質の変化および/または第1の電極102と誘電層106の間の境界層の性質の変化が検出され得る。
誘電層106内での第1の欠陥種の欠陥D1の移動の速度v1を特徴づける温度Tが決定されることが企図されていてもよい。
【0110】
この場合には第1の電圧は、速度v1に依存して、その期間で第1の電圧を印加する場合に第1の欠陥種の欠陥D1がその期間内にもしくはその期間の最後に目標位置に到達するように決定されることが企図されていてもよい。
【0111】
この場合には期間は、速度v1に依存して、その期間で第1の電圧を印加する場合に第1の欠陥種の欠陥D1がその期間内にもしくはその期間の最後に目標位置に到達するように決定されることが企図されていてもよい。
【0112】
第1の欠陥種の欠陥D1は、第1の電圧U1を印加すると、そのために決定された期間で、第1の方向に目標位置に移動する。その後、半導体部品100の規定通りの動作では、第1の欠陥種の欠陥D1は、第2の電圧U2を印加すると第2の方向に、目標位置から第2の電極に向かって移動する。目標位置は、達成されるべく設定されたゴールによって定義されている。ゴールは例えば、半導体部品が、事前処理なしでの寿命より長い、2日超の寿命を有することである。
【0113】
図8は、第2の実施形態に基づく半導体部品100の概略図である。第2の実施形態に基づく半導体部品100は、第1の欠陥種の欠陥D1に関し、第1の実施形態に基づく半導体部品100のように実施されている。第1の実施形態とは違い第2の実施形態では、誘電層内に追加的に第2の欠陥種の欠陥D2が存在している。欠陥D2は、この例では、誘電層106の製造プロセスに基づいて、欠陥D1とは別の出発位置に配置されている。欠陥D2は、とりわけ、第1の電極104より第2の電極104の近くに配置されている。
【0114】
第2の実施形態に基づく半導体部品100は、第1の電圧U1および第2の電圧U2の印加に関し、ならびに誘電層106内での第1の欠陥種の欠陥D1の移動に関し、第1の実施形態に基づく半導体部品100のように形成されている。これに加え第2の欠陥種の荷電欠陥D2が、第1の電圧U1により、第1の欠陥種の欠陥D1と同じ方向にまたはそれとは反対の方向に移動可能であり得る。
【0115】
第2の実施形態に基づく半導体部品100は、2つより多い電極を有し得る。この半導体部品100は、それぞれ2つの電極の間にある1つより多い誘電層を有し得る。
プロセス条件および/またはプロセス管理により、例えば、第1の欠陥種の欠陥D1および/または第2の欠陥種の欠陥D2に関する成長、成長条件、材料組成が影響を及ぼされる。プロセス条件および/またはプロセス管理により、例えば、成長プロセス中にまたは後続プロセスにおいて、意図したまたは意図しないドーピングおよび/または汚染が生じる。
【0116】
半導体部品100の寿命は、以下に説明するように、上記の物理的特性をもつ誘電層106の製造後に、第1の欠陥種の欠陥D1の出発位置を狙い通りに変化させることおよび/または第2の欠陥種の欠陥D2の出発位置を狙い通りに変化させることで長くなる。
【0117】
第2の実施形態に基づく半導体部品100を製造するための方法を、以下に
図9に基づいて説明する。
本方法により、製造プロセスにおけるステップとして狙い通りに電気的負荷をかけることで、「修復する」第2の欠陥種の欠陥D2の欠陥重心の場所が、全体的に、半導体部品100の規定通りの動作中に「劣化していく」インターフェイスに蓄積され得る。本方法により、「修復する」第2の欠陥種の欠陥D2の欠陥重心の場所は、以下に説明する措置によって、半導体部品100の規定通りの動作中、このインターフェイスにおいて維持され得る。加えてリーク電流レベルが下がり得る。これは、信号対雑音比を改善でき、かつ/またはリーク電流によるエネルギー損失を減少させるので、多くの用途のためにも有利である。
【0118】
本方法は、この例では以下のステップを含む。
902 第1の電極102と第2の電極104の間に誘電層106を配置する。
誘電層106内には第1の欠陥種の欠陥D1および第2の欠陥種の欠陥D2が存在している。
【0119】
904 誘電層106内の目標位置に第1の欠陥種の欠陥D1を移動させるための期間を決定する。
期間は、最大限可能な寿命のために決定され得る。期間は、本方法が用いられる製造プロセスでの時間制限に基づき、または半導体部品100の寿命へのより低い要求に基づき、または第1の電極102におけるインターフェイスの、そこに第1の欠陥種の欠陥D1が変位した後の安定性に関する考慮に基づき、最大の寿命を達成するための期間より短く選択され得る。
【0120】
906 誘電層106内でこれらの欠陥を移動させるための、第1の電圧U1および第1の電圧U1で負荷をかけるための温度を決定する。
第1の電圧U1および温度は、規定通りの動作の条件に基づいて設定することが企図されていてもよい。それより高い温度またはそれより高い電圧またはそれより低い温度またはそれより低い電圧で動作するための第1の電圧U1および温度を設定することが企図されていてもよい。
【0121】
第1の電圧U1または期間は、第2の欠陥種の欠陥D2の出発位置と第2の電極102との距離に依存して決定され得る。
とりわけ第2の欠陥種の欠陥D2の周囲の温度Tが決定され、この温度Tが、誘電層106内での第2の欠陥種の欠陥D2の移動の速度v2を一緒に決定することが企図されていてもよい。
【0122】
第1の電圧U1は、第2の欠陥種の欠陥D2の移動の速度v2に依存して、その期間で第1の電圧U1を印加する場合に第2の欠陥種の欠陥D2がその期間内にまたはその期間104の最後に第2の電極104に到達するように決定され得る。
【0123】
期間は、第2の欠陥種の欠陥D2の移動の速度v2に依存して、その期間で第1の電圧U1を印加する場合に第2の欠陥種の欠陥D2がその期間内にまたはその期間の最後に第2の電極104に到達するように決定され得る。
【0124】
こうして見つかった期間が経済的に実現するには長すぎる場合には、期間がそれより短い条件を見つけることが企図されていてもよい。例えば温度を上げることが企図されていてもよい。例えば第1の電圧U1を上げることが企図されていてもよい。
【0125】
第1の欠陥種のすべての欠陥D1の出発位置または第1の欠陥種の欠陥D1のために選択された1つの出発点と、規定通りの動作中に劣化していくインターフェイスとの間隔が最大である、ゴールとなる欠陥構造が選択されることが企図されていてもよい。これは、向かい側のインターフェイスで蓄積される第1の欠陥種の欠陥D1の割合が臨界閾値より小さいという基本条件下で行われ得る。第1の電圧U1の印加の継続期間として、とりわけ経済的に実施可能な負荷時間が定められ得る。その温度で、その継続期間で、電圧U1が印加される際に、向かい側のインターフェイスに蓄積する第1の欠陥種の欠陥D1の数が臨界閾値より少なくなる温度と第1の電圧U1の組合せを探すことが企図されていてもよい。
【0126】
908 第1の電極102と第2の電極104の間にその期間で第1の電圧U1を印加する。
加えて本方法は、以下のステップを、ステップ902の前またはステップ904の前に企図し得る。
【0127】
900-A 半導体部品100に第1の電圧U1を印加する。
900-B 第1および第2の電極を通って流れる電流の変化を検出する。
900-C 検出までの第1の電圧U1の印加の継続期間を測定する。
【0128】
900-D 継続期間に依存して目標位置または期間を決定する。
ステップ900-Dにおいて、第2の欠陥種の欠陥D2の出発位置を提示する誘電層106の特性が決定されることが企図されていてもよい。この場合には、目標位置または期間は、第1の欠陥種の欠陥D1が目標位置に到達するときに、第2の欠陥種のたいていの欠陥D2が誘電層106内の所望の位置にあるように決定される。
【0129】
第1の欠陥種の欠陥D1および/または第2の欠陥種の欠陥D2の所望の位置が、第1の電圧U1の1回の印加では調整できない場合、本方法は、第1の継続期間で第1の電圧U1を第1の温度で印加し、第2の継続期間で第2の電圧U2を第2の温度で印加し、続いて再び第1の電圧U1を第1の温度で印加することを企図し得る。これらのステップの実施は反復的に行われ得る。電圧および/または温度は、反復ごとに変えることができる。例えば、第1の電圧U1を温度T=200℃で印加し、その後、第2の電圧U2を温度T=100℃で印加することができる。これが複数回繰り返され得る。これにより、違う欠陥に生じる異なる電圧加速および温度加速が活用される。
【0130】
複数の負荷反復を考慮することが企図されていてもよい。温度および電圧を変えながらの負荷反復が考慮され得る。これらの電圧および温度は、これらの条件下で劣化していくインターフェイスでの蓄積では最初の誘電破壊が起こらないという基本条件がいつでも満たされているように決定されることが企図されていてもよい。例えば175℃の高い温度および例えば5Vの低い電圧での1回の負荷ステップおよび1回の反復で開始されることが好ましい。目標位置に到達するために必要な継続期間が負荷時間より長い場合、温度を上げることが好ましい。誘電破壊に至る場合は、第1の電圧U1を下げることが好ましい。
【0131】
電流の変化を検出する代わりに、第1の電極102の表面性質の変化および/または第1の電極102と誘電層106の間の境界層の性質の変化が検出され得る。
半導体部品100に第1の電圧U1を印加する代わりに、この半導体部品100と同じ特性をもつ別の半導体部品100にステップ900-A~900-Dを実施してもよい。
【0132】
欠陥の分布の変化を、以下に
図10、
図11、および
図12を参照しながら説明する。
図10では、第2の電極104の場所406の近くにその重心がある第1の欠陥種の欠陥D1の分布1002および第1の電極102の場所408の近くにその重心がある第2の欠陥種の欠陥D2の分布1004を示している。第2の欠陥種の欠陥D2は、第1の電極102におけるインターフェイスのための欠陥バッファとなっている。
【0133】
図11では、第1の欠陥種の欠陥D1の分布1002が、第2の電極104の場所406から離れて第1の電極102の場所408に向かって移動することを示している。
図11では、第2の欠陥種の欠陥D2の分布1004が、第1の電極102の場所408から離れて第2の電極104の場所406の方向に移動することを示している。
【0134】
温度Tで第2の電圧U2を印加する場合、第1の欠陥種の欠陥D1の移動の速度v1は、第2の欠陥種の欠陥D2の移動の速度v2より大きい。この例では、第1の欠陥種の欠陥D1および第2の欠陥種の欠陥D2は、第2の欠陥種の欠陥D2が速度v2でインターフェイスから移動し得るより前に、第1の欠陥種の欠陥D1が第1の電極102と第2の電極の間の距離を克服し得るために、速度v1が十分であるように選択される。
【0135】
図12では、第1の電極102の場所408の近くにその重心がある第1の欠陥種の欠陥D1の分布1002および第1の電極102の場所408の近くにその重心がある第2の欠陥種の欠陥D2の分布1004を示している。第2の欠陥種の欠陥D2は、インターフェイスにおいて第1の欠陥種の欠陥D1を相殺する。これにより、誘電破壊が回避されるかもしくは遅らせられ、かつ/または第2の欠陥種の欠陥D2のこの配置がないより少ないリーク電流が発生する。これによって寿命が長くなる。
【0136】
前述の方法は、「所望の」欠陥の発生およびその発生位置に、つまりその出発位置に、例えばこの欠陥と所望のインターフェイスとの隔たりdiに、影響を及ぼすことによって補充され得る。
【0137】
これは例えば、所望のインターフェイスにおける電極の近くに、誘電層106に使用される材料から成っていて欠陥の多い追加的な層を付加することによって行われる。
変位可能な欠陥の挿入も、ドーピングによって、例えば拡散またはイオン注入によって可能である。
【0138】
欠陥の発生に有利に働くプロセス条件の調整も企図されていてもよい。例えば、最低限の酸素空孔密度の層から、例えばスパッタリング堆積の際の酸素分圧の減少または例えば化学溶液堆積(CSD)の際のゾル組成の変更および/または例えばCSDの際の堆積の最後での温度変更および/または追加的なアニーリングにより、所望のインターフェイスにおける電極の近くに酸素空孔の多い層が発生し得る。この層の欠陥は、その後、狙い通りに多くがバッファとして使用され得る。
【0139】
第2の欠陥種の欠陥D2は、この例では、実効ショットキー障壁を低下させる第1の欠陥種の欠陥D1の作用を相殺できるように選択される。第2の欠陥種の欠陥D2は、本方法により、誘電層106内のある特定の位置に移動して、そこで欠陥バッファになっている。このように製造された誘電層106内のまたは追加的な層内の欠陥バッファは、例えば10^16/cm2~10^18/cm2の密度の欠陥バッファである。修復する欠陥の密度がより低いまたはより高い欠陥バッファが実現可能である。
【0140】
第2の実施形態に基づく半導体部品100の場合、第1の欠陥種の欠陥D1を相殺できる第2の欠陥種の欠陥D2が考慮される。第1の欠陥種の欠陥D1のように誘電破壊の原因となり得る第3の欠陥種の欠陥D3も考慮されることが企図されていてもよい。誘電破壊は、例えば、当該インターフェイスに蓄積する第3の欠陥種の荷電欠陥D3の数が閾値を上回る場合に発生する。この上回りによって誘電破壊が発生すると、当該インターフェイスも部分的にまたは全体的に破壊される。これにより、とりわけ第3の欠陥種の欠陥D3が第1の欠陥種の欠陥D1の前にインターフェイスに到達する場合、半導体部品100の寿命が短くなり得る。
【0141】
第3の欠陥種の欠陥D3の出発位置の決定および出発位置の変位は、第1の欠陥種の欠陥D1のために説明したように行われる。第1の電圧U1が印加される期間は、この例では、規定通りの動作中に、保護されるべきインターフェイスに最初に到達する欠陥に依存して決定される。任意選択で、この期間は、第1の電圧U1によって第3の欠陥種の欠陥D3および第1の欠陥種の欠陥D1が移動できるが、ただし第1の欠陥種の欠陥D1および第3の欠陥種の欠陥D3がインターフェイスに蓄積できない最長期間である。
【0142】
前述の方法は、アクチュエータ、とりわけMEMS、マイクロミラー、印刷ヘッド、またはスピーカ内に半導体部品100が配置されることを企図し得る。