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特許7579455回転機械の欠陥を総合的に診断する方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】回転機械の欠陥を総合的に診断する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20241030BHJP
   G01H 17/00 20060101ALI20241030BHJP
【FI】
G01M99/00 A
G01H17/00 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023540867
(86)(22)【出願日】2021-12-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 KR2021020137
(87)【国際公開番号】W WO2022146020
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0189558
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518442000
【氏名又は名称】コリア ハイドロ アンド ニュークリアー パワー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】523251150
【氏名又は名称】エーティージー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・キュ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・フン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ミョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ハン・ジョ
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ヘ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョ・ヨン・メン
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ホ・キム
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2015-0058928(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0115953(KR,A)
【文献】特開2013-224853(JP,A)
【文献】特開2017-173321(JP,A)
【文献】特開2018-179977(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0129679(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-2028845(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 1/00 -17/00
G01M13/00 -13/045
99/00
G01R31/327-31/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械の状態を診断したデータに基づいて欠陥レベルを決定するものの、
前記回転機械の状態を診断したデータは、前記回転機械の振動信号に関連した特徴ベクトル、前記回転機械の欠陥と連携した周波数または前記回転機械の全体振動値の少なくとも1つを含む段階;
前記回転機械の状態履歴データ上の欠陥に関する情報又は前記回転機械の運転情報に関連したアラームの発生有無の少なくとも1つに基づいて、前記欠陥レベルに加重値を適用する段階;及び
前記加重値が適用された欠陥レベルに基づいて前記回転機械の欠陥深刻度を決定する段階を含
前記回転機械の状態履歴データは前記回転機械の整備履歴と同種設備に関連した情報を含み、及び
前記回転機械の状態履歴データ上の欠陥は前記同種設備において最も頻度が高い欠陥である、回転機械の欠陥診断方法。
【請求項2】
前記回転機械の運転情報と関連した監視項目が事前に設定された基準値を超過することに基づいてアラームが発生する、請求項1に記載の回転機械の欠陥診断方法。
【請求項3】
前記回転機械の運転情報は、前記回転機械に関連したポンプの流量、前記回転機械に関連した前後段圧力、または前記回転機械に関連した流体温度の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の回転機械の欠陥診断方法。
【請求項4】
前記欠陥レベルに加重値を適用する段階は、
前記回転機械と関連した同種設備において最も頻度の高い欠陥と前記欠陥レベルに関連した前記回転機械の欠陥状態が一致することに基づいて、前記欠陥レベルに加重値を加算する段階を含むものの、請求項に記載の回転機械の欠陥診断方法。
【請求項5】
前記欠陥レベルに加重値を適用する段階は、
前記回転機械の運転情報に関連したアラームが発生したことに基づいて、前記欠陥レベルに加重値を加算する段階を含む、請求項1に記載の回転機械の欠陥診断方法。
【請求項6】
前記回転機械と関連した同種設備において最も頻度の高い欠陥と前記欠陥レベルに関連した前記回転機械の欠陥状態の不一致に基づいて、前記回転機械の運転情報に関連したアラームの発生有無が判断される、請求項1に記載の回転機械の欠陥診断方法。
【請求項7】
前記欠陥深刻度を決定する段階は、
前記回転機械の振動信号と関連した特徴ベクトルに基づいてマシンラーニングにより前記回転機械に対する第1欠陥値を診断する段階;
前記回転機械の欠陥と連携した周波数及び前記第1欠陥値に基づいて第2欠陥値を診断する段階;
前記回転機械の全体振動値及び前記第2欠陥値に基づいて第3欠陥値を診断する段階;及び
前記第1欠陥値、前記第2欠陥値または前記第3欠陥値の少なくとも1つに基づいて前記回転機械の欠陥レベルを決定する段階を含む、請求項1に記載の回転機械の欠陥診断方法。
【請求項8】
前記第1欠陥値を診断する段階は、
前記マシンラーニングにより前記回転機械の欠陥有無を決定する段階を含む、請求項に記載の回転機械の欠陥診断方法。
【請求項9】
前記回転機械の欠陥が存在することに基づいて、前記第1欠陥値が前記回転機械に関連した全体サンプル及び前記回転機械に関連した欠陥サンプルに基づいて決定され、及び
前記回転機械の欠陥と連携した周波数が事前に設定された範囲内であることに基づいて、前記第2欠陥値が事前に設定された第1値に決定される、請求項に記載の回転機械の欠陥診断方法。
【請求項10】
前記回転機械の全体振動値が第1臨界値より小さいことに基づいて、前記第3欠陥値が前記第2欠陥値に決定され、及び
前記欠陥レベルは前記第2欠陥値に決定される、請求項に記載の回転機械の欠陥診断方法。
【請求項11】
前記回転機械の全体振動値が第1臨界値より大きいことに基づいて、前記第3欠陥値が事前に設定された第2値に決定され、及び
前記欠陥レベルは前記事前に設定された第2値に決定される、請求項に記載の回転機械の欠陥診断方法。
【請求項12】
前記回転機械の全体振動値が第2臨界値より大きいことに基づいて、前記第3欠陥値が事前に設定された第3値に決定され、及び
前記欠陥レベルは前記事前に設定された第3値に決定される、請求項に記載の回転機械の欠陥診断方法。
【請求項13】
回転機械の状態を診断したデータに基づいて欠陥レベルを決定するものの、
前記回転機械の状態を診断したデータは、前記回転機械の振動信号に関連した特徴ベクトル、前記回転機械の欠陥と連携した周波数または前記回転機械の全体振動値の少なくとも1つを含み、
前記回転機械の状態履歴データ上の欠陥に関する情報又は前記回転機械の運転情報に関連したアラームの発生有無の少なくとも1つに基づいて、前記欠陥レベルに加重値を適用し、及び
前記加重値が適用された欠陥レベルに基づいて前記回転機械の欠陥深刻度を決定し、
前記回転機械の状態履歴データは前記回転機械の整備履歴と同種設備に関連した情報を含み、及び
前記回転機械の状態履歴データ上の欠陥は前記同種設備において最も頻度が高い欠陥である、回転機械の欠陥診断システム。
【請求項14】
回転機械の状態を診断したデータに基づいて欠陥レベルを決定するものの、
前記回転機械の状態を診断したデータは、前記回転機械の振動信号に関連する特徴ベクトル、前記回転機械の欠陥と連携した周波数または前記回転機械の全体振動値の少なくとも1つを含み、
前記回転機械の状態履歴データ上の欠陥に関する情報又は前記回転機械の運転情報に関連したアラームの発生有無の少なくとも1つに基づいて、前記欠陥レベルに加重値を適用し、及び
前記加重値が適用された欠陥レベルに基づいて前記回転機械の欠陥深刻度を決定し、
前記回転機械の状態履歴データは前記回転機械の整備履歴と同種設備に関連した情報を含み、及び
前記回転機械の状態履歴データ上の欠陥は前記同種設備において最も頻度が高い欠陥である、回転機械の欠陥診断システムの演算プロセッサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転機械の欠陥診断方法及びシステムに関し、より詳しくは、多様な直接診断技法及び間接診断技法を同時に連携する回転機械の欠陥診断方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、回転機械の状態を診断するための診断システムは設備振動及び運転変数の傾向を監視することができる。また、診断システムは回転機械の異常有無に応じて監視周期を変更することができ、このような変動推移を分析することにより設備状態を予測することができる。
【0003】
回転機械の状態を診断するために多様な直接診断技法及び間接診断技法が利用される。例えば、診断システムは、欠陥周波数帯域を細かく区分して設備を監視することができる。または、例えば、診断システムは、検証された診断規則により欠陥特性及び/又は設備情報に基づいて設備を自動的に診断することができる。または、例えば、診断システムは、複数のデータに基づいて特徴を抽出し、学習により分類モデルを実現するマシンラーニングを活用することにより設備を診断することができる。または、例えば、診断システムは、同種設備をグループ化することにより相互設備を比較して診断することができる。または、例えば、診断システムは、運転情報を活用して診断することができる。
【0004】
ここで、それぞれの診断技法は、回転機械の状態に対する結果を独立的に出力し、その結果もまた定性的な評価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、回転機械から取得された情報に基づいて多様な診断技法を同時に連携して実行することにより、設備状態を自動的に定量化する回転機械欠陥診断方法及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示による回転機械の欠陥診断方法は、回転機械の状態を診断したデータに基づいて欠陥レベルを決定するものの、前記回転機械の状態を診断したデータは、前記回転機械の振動信号に関連した特徴ベクトル、前記回転機械の欠陥と連携された周波数または前記回転機械の全体振動値の少なくとも1つを含む段階と、前記回転機械の状態履歴データ上の欠陥に関する情報または前記回転機械の運転情報に関連したアラームの発生有無の少なくとも1つに基づいて、前記欠陥レベルに加重値を適用する段階と、前記加重値が適用された欠陥レベルに基づいて前記回転機械の欠陥深刻度を決定する段階とを含む。
【0007】
例えば、前記回転機械の状態履歴データは前記回転機械の整備履歴と同種設備に関連した情報を含み、前記回転機械の状態履歴データ上の欠陥は前記同種設備において最も頻度が高い欠陥でありうる。
【0008】
例えば、前記回転機械の運転情報に関連した監視項目が事前に設定された基準値を超過することに基づいてアラームが発生する。
【0009】
例えば、前記回転機械の運転情報は、前記回転機械に関連したポンプの流量、前記回転機械に関連した前後段圧力、または前記回転機械に関連した流体温度の少なくとも1つを含んでもよい。
【0010】
例えば、前記回転機械と関連した同種設備において最も頻度の高い欠陥と前記欠陥レベルに関連した前記回転機械の欠陥状態が一致することに基づいて、前記欠陥レベルに加重値を加算することができる。
【0011】
例えば、前記回転機械の運転情報と関連したアラームが発生したことに基づいて、前記欠陥レベルに加重値を加算することができる。
【0012】
例えば、前記回転機械と関連した同種設備において最も頻度の高い欠陥と前記欠陥レベルに関連した前記回転機械の欠陥状態との不一致に基づいて、前記回転機械の運転情報と関連したアラームが発生するか否かが判断される。
【0013】
例えば、前記回転機械の振動信号と関連した特徴ベクトルに基づいてマシンラーニングにより前記回転機械に対する第1欠陥値を診断する。前記マシンラーニングにより前記回転機械の欠陥有無を決定する。前記マシンラーニングは、前記回転機械の振動信号と関連した特徴ベクトルに基づいて行われる。
【0014】
例えば、前記回転機械の欠陥と連携した周波数及び前記第1欠陥値に基づいて第2欠陥値を診断することができる。
【0015】
例えば、前記回転機械の全体振動値及び前記第2欠陥値に基づいて前記第3欠陥値を診断することができる。
【0016】
例えば、前記第1欠陥値、前記第2欠陥値または前記第3欠陥値の少なくとも1つに基づいて前記回転機械の欠陥レベルを決定することができる。
【0017】
例えば、前記回転機械の欠陥が存在しないことに基づいて、前記第1欠陥値が0に決定され、前記欠陥深刻度は0に決定されることができる。
【0018】
例えば、前記回転機械の欠陥が存在することに基づいて、前記第1欠陥値が、前記回転機械に関連した全体サンプル及び前記回転機械に関連した欠陥サンプルに基づいて決定されることができる。
【0019】
例えば、前記回転機械の欠陥と連携した周波数が事前に設定された範囲内であることに基づいて、前記第2欠陥値が事前に設定された第1値に決定されてもよい。
【0020】
例えば、前記回転機械の欠陥と連携した周波数が事前に設定された範囲外であることに基づいて、前記第2欠陥値が前記第1欠陥値に決定され、前記欠陥レベルは前記第1欠陥値に決定されてもよい。
【0021】
例えば、前記回転機械の全体振動値が第1臨界値より小さいことに基づいて、前記第3欠陥値が前記第2欠陥値に決定され、前記欠陥レベルは前記第2欠陥値に決定されてもよい。
【0022】
例えば、前記回転機械の全体振動値が第1臨界値より大きいことに基づいて、前記第3欠陥値が事前に設定された第2値に決定され、前記欠陥レベルは前記事前に設定された第2値に決定されてもよい。
【0023】
例えば、前記回転機械の全体振動値が第2臨界値より大きいことに基づいて、前記第3欠陥値が事前に設定された第3値に決定され、前記欠陥レベルは前記事前に設定された第3値に決定されてもよい。
【0024】
一方、本開示による回転機械の欠陥診断システムは、回転機械の状態を診断したデータに基づいて欠陥レベルを決定するものの、前記回転機械の状態を診断したデータは、前記回転機械の振動信号に関連した特徴ベクトル、前記回転機械の欠陥と連携した周波数または前記回転機械の全体振動値の少なくとも1つを含み、前記回転機械の状態履歴データ上の欠陥に関する情報または前記回転機械の運転情報に関するアラームの発生有無の少なくとも1つに基づいて、前記欠陥レベルに加重値を適用し、前記加重値が適用された欠陥レベルに基づいて前記回転機械の欠陥深刻度を決定することができる。
【0025】
一方、本開示による回転機械の欠陥診断システムの演算プロセッサは、回転機械の状態を診断したデータに基づいて欠陥レベルを決定するものの、前記回転機械の状態を診断したデータは、前記回転機械の振動信号に関連した特徴ベクトル、前記回転機械の欠陥と連携した周波数または前記回転機械の全体振動値の少なくとも1つを含み、前記回転機械の状態履歴データ上の欠陥に関する情報または前記回転機械の運転情報に関連したアラームの発生有無の少なくとも1つに基づいて、前記欠陥レベルに加重値を適用し、前記加重値が適用された欠陥レベルに基づいて前記回転機械の欠陥深刻度を決定することができる。
【発明の効果】
【0026】
本開示による回転機械の欠陥診断方法及びシステムは、設備の微小な状態変化を定量的に評価することができ、評価結果値(例えば、欠陥深刻度)を活用することにより、設備の欠陥進行程度を正確に確認し、設備状態の整備時期、寿命などをより正確に判断できる効果がある。
【0027】
以上のような本開示の技術的効果は、以上で言及した効果に限定されず、言及されていないまた他の技術的効果は、以下の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示の一実施形態による回転機械の欠陥診断システムを示した構成図である。
図2】本開示の一実施形態による欠陥診断システムの演算プロセッサを示した構成図である。
図3】本開示の一実施形態による回転機械に対する欠陥を総合的に診断する方法を示したフローチャートである。
図4】本開示の一実施形態による回転機械に対する欠陥レベルを計算するための段階を示したフローチャートである。
図5】本開示の一実施形態による回転機械に対する欠陥レベルに基づいて加重値を適用するための段階を示したフローチャートである。
図6】本開示の一実施形態による回転機械に対する診断結果に基づいて総合的に欠陥深刻度を導出する方法を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。しかしながら、本実施形態は以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、多様な形態で実現されることができ、ただ本実施形態は本発明の開示を完全にし、通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。図面での要素の形状などは、より明確な説明のために誇張して表現された部分もあり、図面上において同一符号で表示された要素は同一要素を意味する。
【0030】
図1は、本開示の一実施形態による回転機械の欠陥診断システムを示した構成図である。図2は、本開示の一実施形態による欠陥診断システムの演算プロセッサを示した構成図である。
【0031】
ここで、回転機械10はポンプ、圧縮機及びファンなどの様々な回転機器であり得る。ただし、これは本開示を説明するためのもので、回転機械10の種類は限定されない。
【0032】
一方、欠陥診断システム100は、回転機械10からデータを取得してデータを構築し、再び回転機械10の欠陥診断が必要な時には構築されたデータを活用して自動予測診断を実行することができる。また、欠陥診断システム100は診断された欠陥値を出力して検査者が回転機械10の異常有無を直観的に把握し、交換及びメンテナンス時期を決定できるようにする。
【0033】
まず、回転機械10には回転機械10の運転情報を含む多様な情報を取得するためのセンサが装着されてもよい。そして、センサは欠陥診断システム100に連動されて、取得されたデータが欠陥診断システム100に提供されるようにする。ただし、これは本開示を説明するためのもので、回転機械10に関するデータはセンサにより取得されず、作業者により直接取得されて予測診断システムに入力できることを明らかにする。
【0034】
そして、欠陥診断システム100は、回転機械10から提供されるデータが格納される格納部110、回転機械10から取得されたデータに基づいて予測診断を行う演算プロセッサ120、及び欠陥情報をディスプレイする出力部130を含む。ここで、演算プロセッサ120はコンピュータに設けられる演算装置、演算のためのソフトウェア及び演算のためのコンピュータ言語(computer language)などを含み、演算プロセッサ120は以下のプロセスを実行することができる。
【0035】
一方、以下では本開示の多様な実施形態による回転機械の欠陥診断方法について詳しく説明する。ただし、前述の構成要素については詳細な説明を省略し、同一の参照符号を付与して説明する。
【0036】
例えば、欠陥診断システム100は設備振動及び設備に関連した運転変数に対する傾向を監視する。欠陥診断システム100は設備に対する異常有無に応じて監視周期を変更することができる。欠陥診断システム100は変動推移を分析し、欠陥診断システム100は分析された変動推移から設備の状態を予測することができる。欠陥診断システム100は監視対象及び監視周期を設定する。欠陥診断システム100は設備ポイント別の振動傾向を監視する。欠陥診断システム100は同時間帯の運転変数を監視する。
【0037】
例えば、欠陥診断システム100は狭帯域診断に基づいて欠陥を診断することができる。すなわち、欠陥診断システム100は設備別の欠陥周波数帯域を細かく区分することにより、設備を監視する。欠陥診断システム100は欠陥の有無だけでなく、欠陥の種類を予測する。欠陥診断システム100は各設備が有する欠陥周波数の帯域を導出する。欠陥診断システム100は、欠陥周波数の帯域別許容範囲を設定する。例えば、欠陥診断システム100は基準値から2σ以内であれば警告(alert)に設定し、基準値から3σ以内であれば誤謬(fault)に設定する。欠陥診断システム100は周期別に欠陥周波数を診断する。このような狭帯域診断技法は初期欠陥の検出に効果的である。
【0038】
例えば、欠陥診断システム100は規則ベースの診断に基づいて欠陥を診断することができる。すなわち、欠陥診断システム100は欠陥特性及び/又は設備情報に基づいて自動的に設備を診断する。欠陥診断システム100は検証された診断規則を意思決定ツリー(decision tree)形態のロジックで実現できる。欠陥診断システム100はデータが入力されると、専門家レベルの診断結果を自動的に導出することができる。このような規則ベースの診断は検証された診断規則を使用することにより、診断結果の信頼度が高くなり、診断結果に対する過程と内容を追跡することができる。
【0039】
例えば、欠陥診断システム100は同種設備間の比較により欠陥を診断することができる。すなわち、欠陥診断システム100は同種設備をグループ化し、欠陥診断システム100は同種設備を相互比較することにより、欠陥を診断することができる。欠陥診断システム100は同種設備別に発生頻度の高い欠陥を導出する。欠陥診断システム100は、同一機能を果たす同一形態の設備を同種設備にグルーピングする。欠陥診断システム100が同種設備別に発生頻度の高い欠陥を導出することにより、脆弱な部品を事前に確保することができ、設備の突発故障時に緊急に備えることができる。欠陥診断システム100は同種設備の特性を反映することにより、整備周期を最適化する。
【0040】
例えば、欠陥診断システム100はマシンラーニングにより欠陥を診断することができる。すなわち、欠陥診断システム100は多量のデータを活用する人工知能を介して欠陥を診断する。欠陥診断システム100は多様なデータから特徴を抽出し、欠陥診断システム100は学習により分類モデルを実現する。例えば、欠陥診断システム100は正常、異常及び欠陥の種類に基づいて分類モデルを決定することができる。このようなマシンラーニングに基づいた少数の診断モデルが多様な設備に適用できる。
【0041】
図3は、本開示の一実施形態による回転機械に対する欠陥を総合的に診断する方法を示したフローチャートである。
【0042】
図3を参照すると、段階S310で、欠陥診断システム100は回転機械の状態を診断したデータに基づいて欠陥レベルを決定する。段階S330で、欠陥診断システム100は回転機械の状態履歴データ上の欠陥に関する情報または回転機械の運転情報に関連したアラームの発生有無に基づいて、欠陥レベルに加重値を適用する。段階S350で、欠陥診断システム100は加重値が適用された欠陥レベルに基づいて回転機械の欠陥深刻度を決定する。
【0043】
例えば、回転機械の状態履歴データは、回転機械の整備履歴と回転機械に関する同種設備情報を含む。回転機械の状態履歴データ上の欠陥は、前記同種設備において最も頻度の高い欠陥であってもよい。
【0044】
例えば、回転機械の運転情報と関連した監視項目が事前に設定された基準値を超過することに基づいてアラームが発生することがある。回転機械の運転情報は、前記回転機械に関連したポンプの流量、前記回転機械に関連した前後段圧力、または前記回転機械に関連した流体温度の少なくとも1つを含んでもよい。
【0045】
例えば、回転機械と関連した同種設備において最も頻度の高い欠陥と欠陥レベルと関連した回転機械の欠陥状態が一致することに基づいて、欠陥診断システム100は欠陥レベルに加重値を加算することができる。または、回転機械の運転情報と関連したアラームが発生したことに基づいて、欠陥診断システム100は欠陥レベルに加重値を加算することができる。例えば、回転機械と関連した同種設備において最も頻度の高い欠陥が欠陥レベルと関連した回転機械の欠陥状態と不一致することに基づいて、欠陥診断システム100は回転機械の運転情報に関連したアラームの発生有無を判断することができる。
【0046】
例えば、欠陥診断システム100は、回転機械の状態を診断したデータは、回転機械の振動信号に関連した特徴ベクトル、回転機械の欠陥と連携した周波数または回転機械の全体振動値の少なくとも1つを含む。ここで、マシンラーニングは回転機械の振動信号と関連した特徴ベクトルに基づいて行われることができる。例えば、欠陥診断システム100は回転機械の欠陥が存在しないことに基づいて、第1欠陥値を0に決定する。この時、欠陥診断システム100は第1欠陥値が0であることに基づいて、欠陥レベルを0に決定する。または、欠陥診断システム100は、回転機械の欠陥が存在することに基づいて、第1欠陥値を回転機械に関連した全体サンプル及び回転機械に関連した欠陥サンプルに基づいて決定することができる。
【0047】
例えば、欠陥診断システム100は回転機械の欠陥と連携した周波数が事前に設定された範囲内であることに基づいて、第2欠陥値を事前に設定された第1値に決定する。または、欠陥診断システム100は回転機械の欠陥と連携した周波数が事前に設定された範囲外であることに基づいて、第2欠陥値を第1欠陥値に決定する。この時、欠陥診断システム100は欠陥レベルを第1欠陥値に決定する。
【0048】
例えば、欠陥診断システム100は回転機械の全体振動値が第1臨界値より小さいことに基づいて、第3欠陥値を第2欠陥値に決定する。この時、欠陥診断システム100は欠陥レベルを第2欠陥値に決定する。または、欠陥診断システム100は回転機械の全体振動値が第1臨界値より大きいことに基づいて、第3欠陥値を事前に設定された第2値に決定する。この時、欠陥診断システム100は欠陥レベルを事前に設定された第2値に決定する。または、欠陥診断システム100は回転機械の全体振動値が第2臨界値より大きいことに基づいて、第3欠陥値を事前に設定された第3値に決定する。この時、欠陥診断システム100は欠陥レベルを事前に設定された第3値に決定する。
【0049】
図4は、本開示の一実施形態による回転機械に対する欠陥レベルを計算するための段階を示したフローチャートである。
【0050】
まず、欠陥診断システム100は回転機械の状態を診断したデータを受信し、回転機械の状態を診断したデータに基づいてマシンラーニングを行うことができる。
【0051】
以後、図4を参照すると、段階S410で、欠陥診断システム100はマシンラーニングの結果に基づいて回転機械に対する欠陥の発生有無を判断する。例えば、回転機械に欠陥が発生した場合、欠陥診断システム100は欠陥を示すサンプルの割合を計算することができる。例えば、欠陥を示すサンプルの割合は、回転機械に関連した欠陥サンプルの回転機械に関連した全体サンプルに対する割合であり得る。欠陥診断システム100は、欠陥を示すサンプルの割合に基づいて第1の欠陥値を決定する。または、例えば、回転機械に対する欠陥が発生していない場合、欠陥診断システム100は第1欠陥値を0に決定する。
【0052】
段階S430で、欠陥診断システム100は回転機械の欠陥と連携した周波数に対するアラームの発生有無を判断する。段階S410で、第1欠陥値が0でない値に決定された場合、欠陥診断システム100は回転機械の欠陥と連携した周波数に対するアラーム発生有無を判断することができる。例えば、回転機械の欠陥と連携した周波数に対するアラームは、回転機械の欠陥と連携した周波数が事前に設定された範囲内である場合に発生する。例えば、回転機械の欠陥と連携した周波数に対するアラームは、回転機械の欠陥と連携した周波数が事前に設定された範囲外である場合に発生しない。回転機械の欠陥と連携した周波数に対するアラームが発生した場合、欠陥診断システム100は第2欠陥値を事前に設定された第1値に決定する。または、回転機械の欠陥と連携した周波数に対するアラームが発生しない場合、欠陥診断システム100は第2欠陥値を第1欠陥値に決定する。
【0053】
段階S450で、欠陥診断システム100は回転機械の全体振動値が許容基準を超過するか否かを判断する。段階S430で、回転機械の欠陥と連携した周波数に対するアラームが発生した場合、欠陥診断システム100は回転機械の全体振動値が許容基準を超過するか否かを判断する。例えば、欠陥診断システム100は回転機械の全体振動値が第1臨界値より小さいことに基づいて、第3欠陥値を第2欠陥値に決定する。または、欠陥診断システム100は回転機械の全体振動値が第1臨界値より大きいことに基づいて、第3欠陥値を事前に設定された第2値に決定する。または、欠陥診断システム100は回転機械の全体振動値が第2臨界値より大きいことに基づいて、第3欠陥値を事前に設定された第3値に決定する。例えば、第2臨界値は第1臨界値より大きい値であり得る。
【0054】
段階S470で、欠陥診断システム100は回転機械に対する欠陥レベルを決定する。例えば、段階S430で、回転機械の欠陥と連携した周波数に対するアラームが発生しない場合、欠陥診断システム100は第2欠陥値を第1欠陥値に決定し、欠陥レベルを第1欠陥値に決定する。例えば、段階S450で回転機械の全体振動値が第1臨界値より小さい場合、欠陥診断システム100は第3欠陥値を第2欠陥値に決定し、欠陥レベルを第2欠陥値に決定する。例えば、段階S450で回転機械の全体振動値が第1臨界値より大きい場合、欠陥診断システム100は第3欠陥値を事前に設定された第1値に決定し、欠陥レベルを第3欠陥値に決定する。例えば、段階S450で回転機械の全体振動値が第2臨界値より大きい場合、欠陥診断システム100は第3欠陥値を事前に設定された第2値に決定し、欠陥レベルを第3欠陥値に決定する。
【0055】
段階S490で、欠陥診断システム100は回転機械を正常状態に決定する。例えば、段階S410で、マシンラーニングに基づいて回転機械に対する欠陥が発生していないと診断された場合、欠陥診断システム100は回転機械を正常状態に決定することができる。例えば、回転機械が正常状態であることは欠陥レベルが0であることである。
【0056】
例えば、欠陥診断システム100が回転機械を正常状態に決定した場合、段階S430及び段階S450は省略されてもよい。例えば、回転機械の欠陥と連携した周波数に対するアラームが発生しない場合、段階S450は省略できる。
【0057】
図5は、本開示の一実施形態による回転機械に対する欠陥レベルに基づいて加重値を適用するための段階を示したフローチャートである。
【0058】
図5を参照すると、段階S510で、欠陥診断システム100は回転機械の状態履歴データ上の欠陥と欠陥レベルに関連した回転機械の欠陥状態が一致するか否かを決定する。例えば、欠陥診断システム100は回転機械と関連した同種設備において最も頻度の高い欠陥と欠陥レベルに関連した前記回転機械の欠陥状態が一致するか否かを決定する。ここで、回転機械の状態履歴データは、前記回転機械の整備履歴と同種設備に関連した情報を含んでもよい。
【0059】
段階S530で、欠陥診断システム100は運転情報に関連したアラームの発生有無を決定する。例えば、回転機械の状態履歴データ上の欠陥と欠陥レベルに関連した回転機械の欠陥状態が一致しない場合、欠陥診断システム100は運転情報に関連したアラームの発生有無を決定することができる。例えば、回転機械の状態履歴データ上の欠陥と欠陥レベルに関連する回転機械の欠陥状態が一致しない場合、欠陥診断システム100は回転機械の運転情報に関連した監視項目が事前に設定された基準値を超過するか否かを決定することができる。すなわち、欠陥診断システム100は回転機械の運転情報と関連した監視項目が事前に設定された基準値を超過することに基づいてアラームを発生させることができる。ここで、回転機械の運転情報は、回転機械に関連したポンプの流量、回転機械に関連した前後段圧力又は回転機械に関連した流体温度の少なくとも1つを含む。
【0060】
段階S550で、欠陥診断システム100は欠陥レベルに対して加重値を適用しないことがある。例えば、回転機械と関連した同種設備において最も頻度の高い欠陥と欠陥レベルに関連した前記回転機械の欠陥状態が一致する場合、欠陥診断システム100は欠陥レベルに加重値を適用することができる。例えば、回転機械の運転情報に関連したアラームが発生する場合、欠陥診断システム100は欠陥レベルに加重値を適用する。
【0061】
段階S570で、欠陥診断システム100は欠陥レベルに対して加重値を適用する。例えば、回転機械に関連した同種設備において最も頻度の高い欠陥と欠陥レベルに関連した前記回転機械の欠陥状態が不一致する場合、欠陥診断システム100は欠陥レベルに加重値を適用しないことがある。例えば、回転機械の運転情報と関連したアラームが発生しない場合、欠陥診断システム100は欠陥レベルに加重値を適用することができる。例えば、回転機械と関連した同種設備において最も頻度の高い欠陥と欠陥レベルに関連した前記回転機械の欠陥状態が不一致であり、及び回転機械の運転情報に関連したアラームが発生しない場合、欠陥診断システム100は欠陥レベルに加重値を適用することができる。
【0062】
例えば、回転機械と関連した同種設備において最も頻度の高い欠陥と欠陥レベルに関連した前記回転機械の欠陥状態が一致する場合、段階S530及び段階S550は省略できる。
【0063】
図6は、本開示の一実施形態による回転機械に対する診断結果に基づいて総合的に欠陥深刻度を導出する方法を示したフローチャートである。
【0064】
図6を参照すると、深刻度計算プログラムは、微小欠陥から過渡欠陥まで(例えば、欠陥レベル(defect level)(以下、DL)1からDL3まで)設備の状態を自動的に定量化するプログラムであってもよい。例えば、欠陥診断システムは深刻度計算プログラムを含んでもよい。
【0065】
設備の状態を多様な分野の側面で複合的に考慮し、定量化するために、欠陥診断システムに対して各診断技法による診断結果を一括的に照会し、診断結果が欠陥診断システムに入力されることができる。
【0066】
DL1は設備(例えば、回転機械)に対する微小欠陥又は無症状について評価するための段階である。例えば、欠陥診断システムは設備に対するマシンラーニング結果を照会するか、設備に関するデータに基づいてマシンラーニングを行う。以後、マシンラーニング結果が欠陥を示す場合、欠陥診断システムは欠陥を示すサンプルの割合を計算して第1DL値を決定することができる。例えば、欠陥を示すサンプルの割合は、回転機械に関連した全体サンプルに対する回転機械に関連した欠陥サンプルの割合であり得る。例えば、欠陥を示すサンプルの割合は下記の数式1である。
【0067】
【数1】
【0068】
例えば、マシンラーニングの結果が欠陥を示さない場合、欠陥診断システムはDL値を0に決定し、設備の状態を正常状態に決定することができる。
【0069】
例えば、設備の状態に応じて振動信号は固有の特性を有するため、欠陥診断システムはマシンラーニング診断技法により各特性をよく表現できる特徴ベクトルを算出することができる。欠陥診断システムは、同一の状態の特徴間に対して最小化した距離と異なる状態の特徴間に対して最大化した距離をよく表す特徴で分類され、欠陥の状態別に領域化することができる。欠陥診断システムは以前の数多くのデータに対する状態別(例えば、(正常、欠陥種類別)特徴を学習でき、状態別領域を分類することができる。この時、欠陥診断システムは新規データが入力されると、そのデータが入力された領域により設備状態を予測することができる。従って、人の主観的な介入が最小化されるので、先入観なしに欠陥に対する客観的な判断が可能になる。
【0070】
DL2は欠陥の軽重を評価するための段階であり得る。欠陥診断システムは、欠陥連携周波数においてアラームの発生有無を照会することができる。例えば、欠陥連携周波数においてアラームの発生有無は回転機械の欠陥と連携した周波数が事前に設定された範囲内または事前に設定された範囲外であることに基づいて決定される。すなわち、例えば、回転機械の欠陥と連携した周波数が事前に設定された範囲内である場合、アラームが発生することがある。または、回転機械の欠陥と連携した周波数が事前に設定された範囲外である場合、アラームが発生しないことがある。この時、欠陥連携周波数に対するアラームが発生した場合、欠陥診断システムは第2DL値を0.4に決定することができる。ここで、0.4は事前に設定された値であってもよく、本開示の多様な実施形態によって異なる値に設定されてもよい。または、欠陥連携周波数に対するアラームが発生しない場合、欠陥診断システムは第1DL値を最終的なDL値、すなわち、第2DL値に決定することができる。
【0071】
例えば、狭帯域周波数診断技法は全体周波数領域を1つのエネルギー値として評価するのとは異なり、周波数領域を細分化することにより、関心領域に対する周波数を監視して評価する方法でありうる。すなわち、設備で発生する多様な欠陥は特定周波数領域で振幅変化を誘発するため、欠陥診断システムは関心周波数領域をパラメータで区分して許容範囲を設定し、設備を監視することができる。従って、欠陥診断システムは関心周波数領域別に欠陥に関する情報を取得し、欠陥の原因を把握することができる。
【0072】
DL3は、設備を警告または危険状態と評価する段階である。例えば、全体振動値が警告(Alert)の許容基準(例えば、第1臨界値)を超過した場合、欠陥診断システムは第3DL値を0.6に決定することができる。ここで、0.6は事前に設定された値であり、本開示の多様な実施形態によって異なる値に設定されてもよい。例えば、全体振動値が誤謬(Fault)の許容基準(例えば、第2臨界値)を超過した場合、欠陥診断システムは第3DL値を0.8と決定することができる。例えば、全体振動値が許容基準(例えば、第1臨界値)を超過しない場合、欠陥診断システムは第2DL値を最終的なDL値、すなわち、第3DL値に決定することができる。
【0073】
例えば、全体振動値を利用した診断技法は、国際規格や設備の製作会社の勧告事項に従って限界値または許容値の基準根拠で設備から出力する全体振動値を評価する方法でありうる。欠陥診断システムは設備を形態、容量、支持構造などに分類され、該当する設備に適した評価基準を適用することができる。国際標準振動規格(ISO APiなど)のような管理基準は基準の当為性向上のために継続的に改正されているので、欠陥診断システムは改正された管理基準に基づいて欠陥を評価することができる。従って、許容基準異常値が発生した状態に対して欠陥を診断する場合、欠陥診断システムはより正確に欠陥を診断することができる。
【0074】
第1追加加重値(added weight 1)はDL値に追加的な加重値を計算するための段階である。例えば、欠陥診断システムは設備の整備履歴と同種設備を連携して設備の状態履歴データを照会及び/又は決定することができる。この時、最も頻繁に発生した欠陥と現在の設備の診断結果が一致する場合、欠陥診断システムはDL値に加重値を付加することができる。例えば、最も頻繁に発生した欠陥と現在の設備の状態が一致する場合、欠陥診断システムはDL値に1.1倍をすることにより加重値を適用する。例えば、最も頻繁に発生した欠陥と現在の設備の状態が一致しない場合、欠陥診断システムはDL値に加重値を適用しない。
【0075】
例えば、同種設備を比較して診断する技法は、整備履歴と同種設備を連携した設備の状態履歴データを利用する技法でありうる。すなわち、欠陥診断システムは同種設備において最も頻繁に発生した欠陥と現在設備の状態が一致すると、追加的な深刻度を付加することができる。例えば、欠陥診断システムは最も頻繁に発生した欠陥と診断された同種設備を再分類することができ、該当同種設備が有する狭帯域周波数情報またはマシンラーニング情報の少なくとも1つを利用することにより、設備の欠陥に対する予測診断に活用することができる。従って、欠陥診断システムは最も多く発生した欠陥の特性値を集中監視できるため、監視対象を最小化することができる。
【0076】
第2追加加重値(added weight 2)はDL値に追加的な加重値を計算するための段階である。例えば、第2追加加重値は、第1追加加重値が適用されない場合に考慮される。すなわち、欠陥診断システムは同種設備において最も頻繁に発生した欠陥と現在設備の状態が不一致である場合、欠陥診断システムは第2追加加重値を考慮することができる。例えば、欠陥診断システムはPMS(power management system)運転情報に関連した監視項目が許容基準を超過した場合、欠陥診断システムはアラームを発生させるか、アラームが発生した場合を照会することができる。欠陥診断システムはアラームが発生した場合、DL値に1.1倍をすることにより、加重値を適用することができる。例えば、PMS(power management system)運転情報に関連した監視項目が許容基準を超過しない場合、欠陥診断システムはDL値に加重値を適用しない。
【0077】
例えば、運転情報を活用した欠陥診断技法は設備に影響を与える運転情報を活用することができる。例えば、設備に影響を与える運転情報は、設備に関連したポンプ流量、設備に関連した前後段の圧力及び設備に関連した流体温度を含むことができる。振動特性と運転情報を連携した相関関係分析により診断結果の信頼性を向上させることができる。
【0078】
欠陥診断システムは最終的に計算されたDL値を設備の状態を定量的に示す欠陥深刻度として評価することができる。
【0079】
このように、本開示による回転機械の欠陥診断方法及びシステムは設備の微小な状態変化を定量的に評価することができ、評価結果値(深刻度)を活用して設備の欠陥進行程度を正確に確認し、設備状態の整備時期、寿命などをより正確に判断することができる。
【0080】
前記で説明され、図面に示された本開示の一実施形態は、本開示の技術的事象を限定するものと解釈されてはならない。本開示の保護範囲は請求範囲に記載された事項によりのみ制限され、本開示の技術分野で通常の知識を有する者は本開示の技術的事象を様々な形態に改良変更することが可能である。従って、このような改良及び変更は通常の知識を有する者に自明である限り、本開示の保護範囲に属することになるだろう。
【符号の説明】
【0081】
10:回転機械
100:回転機械の欠陥診断システム
110:格納部
120:演算プロセッサ
130:出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6