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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】車両用サンバイザ
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/02 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
B60J3/02 J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023544827
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(86)【国際出願番号】 JP2021031856
(87)【国際公開番号】W WO2023032022
(87)【国際公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000124454
【氏名又は名称】河西工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】瓦 大樹
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-066386(JP,A)
【文献】特開2002-192947(JP,A)
【文献】特開2015-083403(JP,A)
【文献】特許第4133196(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状に且つ一辺に凹部が形成されたサンバイザ本体と前記凹部に取り付けられたノブとを備えた車両用サンバイザであって、
前記サンバイザ本体は、板厚方向に分割された複数の芯材と、前記ノブの両端側と前記複数の芯材の少なくとも一部とを覆う表皮と、を有し、
前記複数の芯材は、前記ノブの一端部が挿入される一端側リング部及び前記ノブの他端部が挿入される他端側リング部を有する第1芯材と、前記第1芯材に対して組み付けられる第2芯材と、を有し、
前記ノブの前記一端部の外表面と前記一端側リング部の内側面は、前記ノブに対して回転方向への力が作用した場合に互いに接触して前記ノブの回転を規制する回転規制部を有し、
前記ノブは、前記一端部に突出部又は窪み部により構成される係合部を有し、
前記一端側リング部は、前記ノブの前記突出部が嵌り込む窪み部、又は、前記ノブの前記窪み部に嵌り込む突出部により構成される被係合部を有し、
前記回転規制部は、前記ノブの前記外表面に形成された角部を有する平面部を有し、
前記係合部は、前記ノブの前記外表面のうち前記平面部を除く円弧部に形成されている
ことを特徴とする車両用サンバイザ。
【請求項2】
前記第1芯材は、前記ノブの長手方向に沿って延び、前記一端側リング部と前記他端側リング部のうち少なくとも一方のリング部に接続される支持壁をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用サンバイザ。
【請求項3】
前記支持壁は、前記リング部に対して前記ノブの挿入側に接続され、前記ノブの挿入側に広がる2枚の挿入ガイドとされている
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用サンバイザ。
【請求項4】
前記第2芯材は、前記第1芯材に組み付けられた状態で、前記ノブに略接触する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用サンバイザ。
【請求項5】
前記第1芯材は、前記一端側リング部と前記他端側リング部の一方側に、前記ノブの端部位置を規定するための規定部を備え、
前記第2芯材は、前記第1芯材に組み付けられた状態で、前記一端側リング部と前記他端側リング部の他方側に、前記ノブの前記端部位置と反対側の端部位置を規定するための規定壁を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用サンバイザ。
【請求項6】
前記規定壁は、前記ノブの前記反対側の端部位置が適正位置よりも所定距離未満で過剰挿入されている場合、前記第2芯材を前記第1芯材に組み付ける際に過剰挿入される前記ノブを前記適正位置に誘導するための誘導面を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の車両用サンバイザ。
【請求項7】
前記ノブは、前記一端部及び前記他端部が中央部より前記表皮の厚み分だけ縮径されている
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車両用サンバイザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用サンバイザに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両天井部等に取り付けられる車両用サンバイザが提案されている。この車両用サンバイザは板状のサンバイザ本体によって車両乗員が眩しくないように遮光するものであり、サンバイザ本体の一辺に凹部が形成されている。凹部には円柱状のノブが配置され、ノブは車両天井側に設けられたフック部に着脱可能とされる(例えば特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-66386号公報
【文献】特許第4133196号公報
【文献】実開平1-68915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1~3に記載の車両用サンバイザは、円柱状のノブをサンバイザ本体側のリング部材等によって回転可能に保持している。このため、サンバイザ本体を回転動作等させた場合にノブが回転して低級音が発生したり、サンバイザ本体やノブに巻かれる表皮に傷や破れが発生したりする懸念がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノブの回転による低級音の発生及び表皮の傷や破れの発生を防止することができる車両用サンバイザを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、本発明に係る車両用サンバイザは、板状に且つ一辺に凹部が形成されたサンバイザ本体と前記凹部に取り付けられたノブとを備えた車両用サンバイザであって、前記サンバイザ本体は、板厚方向に分割された複数の芯材と、前記ノブの両端側と前記複数の芯材の少なくとも一部とを覆う表皮と、を有し、前記複数の芯材は、前記ノブの一端部が挿入される一端側リング部及び前記ノブの他端部が挿入される他端側リング部を有する第1芯材と、前記第1芯材に対して組み付けられる第2芯材と、を有し、前記ノブの前記一端部の外表面と前記一端側リング部の内側面は、前記ノブに対して回転方向への力が作用した場合に互いに接触して前記ノブの回転を規制する回転規制部を有し、前記ノブは、前記一端部に突出部又は窪み部により構成される係合部を有し、前記一端側リング部は、前記ノブの前記突出部が嵌り込む窪み部、又は、前記ノブの前記窪み部に嵌り込む突出部により構成される被係合部を有し、前記回転規制部は、前記ノブの前記外表面に形成された角部を有する平面部を有し、前記係合部は、前記ノブの前記外表面のうち前記平面部を除く円弧部に形成されている
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ノブの一端部と一端側リング部、及び、ノブの他端部と他端側リング部の少なくとも一方は、ノブに対して回転方向への力が作用した場合に互いに接触してノブの回転を規制する回転規制部を有する。このため、サンバイザ本体を回転動作等させたとしても、ノブはサンバイザ本体に対する相対的な回転が防止される。従って、ノブの回転による低級音の発生及び表皮の傷や破れの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る車両用サンバイザを示す平面図である。
図2図2は、図1に示した車両用サンバイザの一部構成を示す分解斜視図である。
図3図3は、図1に示したノブを示す構成図であり、(a)が斜視図を示し、(b)が(a)のA矢視図である。
図4図4は、図2に示した第1芯材の凹部付近を示す詳細構成図である。
図5図5は、ノブの一端部が挿入された状態の一端側リング部近傍を示す第1の詳細構成図である。
図6図6は、ノブの一端部が挿入された状態の一端側リング部近傍を示す第2の詳細構成図である。
図7図7は、一端側リング部及び他端側リング部にノブを挿入し、第1芯材と第2芯材とを組み付けたときのノブの長手方向に沿った断面を示す断面図である。
図8図8は、図7に示した一端側リング部付近を示す拡大断面図である。
図9図9は、第2芯材の凹部付近を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0010】
図1は、本実施形態に係る車両用サンバイザを示す平面図である。図2は、図1に示した車両用サンバイザの一部構成を示す分解斜視図である。なお、図2においては詳細構成の図示を省略している。
【0011】
本実施形態に係る車両用サンバイザ1は、車両天井部等に取り付けられ、車両乗員が眩しくないように遮光するものである。この車両用サンバイザ1は、サンバイザ本体10と、ノブ20とを備えている。
【0012】
サンバイザ本体10は、例えば略長方形の板状に構成された部材であって、一辺に凹部Rが形成されると共に、1つの隅部に切欠き部Cが形成されている。凹部Rは、例えば略長方形状となるサンバイザ本体10の上辺10a1(長辺10aの一方)に形成されている。特に、凹部Rは上辺10a1のうち右辺10b1(短辺10bの一方)寄りの箇所に形成されている。このような凹部Rには、ノブ20が長辺10aと略平行に延びて取り付けられている。ノブ20は車両天井側に設けられたフック(図示せず)に対して着脱可能にされている。サンバイザ本体10は、ノブ20がフックに対して装着された状態でノブ20を中心に回動可能となる。このため、サンバイザ本体10を例えば車両天井部に沿うように配置させたり、ウィンドシールド(図示せず)に沿うように配置させたりすることができる。
【0013】
切欠き部Cは、例えば上辺10a1と左辺10b2(短辺10bの他方)とが交わる隅部を切り欠いて形成されている。この切欠き部Cには、車両天井部から延びる支軸(図示せず)が取り付けられる。支軸は、車両天井部に対して回転可能となっている。このため、サンバイザ本体10は、ノブ20をフックから外した状態において、支軸を中心に例えば水平方向に回転可能とされる。
【0014】
なお、図示を省略するが、サンバイザ本体10は、中央部付近にミラーを備えていてもよい。さらに、ミラーが常時露出することがないよう、ミラー上には開閉可能な蓋部材が設けられていてもよい。
【0015】
以上のようなサンバイザ本体10は、図2に示す複数(2つ)の芯材12と、2つの芯材12の少なくとも一部を覆う表皮11(図1のドット部分参照)とを備えている。表皮11は、車両用サンバイザ1の意匠面を形成するものであって、布製や樹脂製のものによって構成されている。さらに、表皮11は、サンバイザ本体10のみならず、ノブ20の少なくとも一部(ノブ20の中央側を除く両端側)についても覆う構成となっている。
【0016】
2つの芯材12は、図2に示すように、第1芯材12aと、第1芯材12aに対して組み付けられる第2芯材12bとを備えて構成されている。第1芯材12aは、一面が開放された横長お椀形状に形成された部材であって、お椀形状の内側部分に、適宜補強リブや第2芯材12bとの組付を行うための組付部(図示せず)が形成されている。第2芯材12bも同様である。2つの芯材12は、互いの開放面同士が合致するようにして組み付けられる。
【0017】
図3は、図1に示したノブ20を示す構成図であり、(a)が斜視図を示し、(b)が(a)のA矢視図である。図3(a)に示すように、ノブ20は中心部O付近が刳り貫かれた略円筒形の長尺棒状部材であって、一端部21と、他端部22と、中央部23とを備えて構成されている。
【0018】
図3(a)及び図3(b)に示すように、一端部21は、後述する一端側リング部(図4の符号R1参照)に挿入される部位であって、先端側の一側及び他側に平面部21aが形成されて角部(回転規制部)Pを有した角部形状とされている。なお、角部Pは、明確に尖った角である場合に限らず、Rが形成されて丸みを有していてもよい。また、一端部21は、一側及び他側と直交する方向において外径円弧状とされている。
【0019】
他端部22は、後述する他端側リング部(図4の符号R2参照)に挿入される部位である。他端部22は、一端部21と異なる形状であって、平面部21a等を有しない円筒形状(円柱でも可)とされている。
【0020】
中央部23は、一端部21と他端部22とを接続する接続部位である。中央部23は、他端部22よりもやや拡径された太い円筒形状(円柱でも可)となっている。ここで、一端部21及び他端部22は図1に示したように表皮11によって覆われる。よって、中央部23は、一端部21及び他端部22よりも、例えば表皮11の厚み分だけ拡径されている。
【0021】
図4は、図2に示した第1芯材12aの凹部R付近を示す詳細構成図である。図4に示すように、第1芯材12aは、ノブ20の一端部21が挿入される一端側リング部(角部挿入側リング部)R1と、ノブ20の他端部22が挿入される他端側リング部R2とを備えている。
【0022】
図5及び図6は、ノブ20の一端部21が挿入された状態の一端側リング部R1近傍を示す詳細構成図である。図5に示すように、一端側リング部R1は、角部Pを有した角部形状に応じた形状の挿入孔IH1を有している。すなわち、一端側リング部R1の挿入孔IH1は、ノブ20の平面部21aに沿う壁部W1(回転規制部:図4及び図5参照)を有しており、一端部21が挿入されたノブ20の回転を防止する形状(所定角度(例えば10度等)以上の回転を防止する形状)とされている。詳細に説明すると、図4及び図5に示す壁部W1間の距離L1(図4参照)は、図3(b)に示すノブ20の平面部21a間の距離L2よりも長いが、これと直交する距離L3よりも短い。このため、一端部21が挿入孔IH1に挿入された状態でノブ20を回転させようとしてもノブ20の角部Pが壁部W1に接触してノブ20の回転が防止されることとなる。
【0023】
これに対して、図4に示す他端側リング部R2は、壁部W2間の距離が図3(b)に示す距離L3と略同じ又は若干大きくされた挿入孔IH2とされている。
【0024】
さらに、図4図6に示すように、本実施形態に係る第1芯材12aは、ノブ20の長手方向に沿って延びて一端側リング部R1と他端側リング部R2とのそれぞれに接続される支持壁SWを備えている。ここで、一端側リング部R1及び他端側リング部R2は、ノブ20の長手方向に対する力が加わることで破損する懸念がある。このため、双方のリング部R1,R2は剛性を確保するために所定以上の厚みで形成されており、更に剛性を確保する目的で支持壁SWが接続されることとなる。
【0025】
加えて、支持壁SWの一部は2枚の挿入ガイドGを兼用している。すなわち、一端側リング部R1と他端側リング部R2とのそれぞれの支持壁SWのうち、ノブ20の挿入側(ノブ20の中央部23寄り)のものは、ノブ20の挿入側に広がる壁として形成されて、2枚の挿入ガイドGとされている。後述するように、本実施形態に係るノブ20は、他端部22が他端側リング部R2に深く挿入された後に、一端部21が一端側リング部R1に挿入される。よって、支持壁SWが2枚の挿入ガイドGを兼ねることで、双方のリング部R1,R2の剛性を向上させつつも、他端部22の他端側リング部R2への挿入、及び、一端部21の一端側リング部R1への挿入をスムーズに行うことができる。
【0026】
図7は、一端側リング部R1及び他端側リング部R2にノブ20を挿入し、第1芯材12aと第2芯材12bとを組み付けたときのノブ20の長手方向に沿った断面を示す断面図である。図8は、図7に示した一端側リング部R1付近を示す拡大断面図である。
【0027】
図7に示すように、第2芯材12bが第1芯材12aに組み付けられた場合、第2芯材12bは接触箇所CP(図7に示す例ではお椀形状の開放端部)においてノブ20に略接触(接触又は数ミリ以内の離間状態)している。このため、ノブ20に対して第2芯材12bの方向に荷重が加わった場合に、ノブ20を支える双方のリング部R1,R2に加わる荷重の一部を第2芯材12bに作用させることができ、高荷重等によるリング部R1,R2の破損の可能性を低減することができる。
【0028】
さらに、本実施形態においては第1芯材12aも接触箇所CP’においてノブ20に略接触(接触又は数ミリ以内の離間状態)している。これにより、ノブ20は第1芯材12aと第2芯材12bとの双方に略接触状態となって、双方向からの荷重による破損の可能性を低減することができる。
【0029】
さらに、図3及び図8に示すように、ノブ20は、一端部21に略四角形状の窪み部によって形成された係合部21bを有している。また、図8に示すように、一端側リング部(係合挿入側リング部)R1は、その上壁UWから断面台形状の突出部によって形成された被係合部Eが形成されている。
【0030】
このような係合部21bと被係合部Eとは、ノブ20が一端側リング部R1に対して適正位置まで挿入された場合に、突出部に窪み部が嵌り込むようになっている。すなわち、ノブ20の一端部21が一端側リング部R1に対して適正位置まで挿入された場合、作業者は、係合部21bと被係合部Eとの係合による節度感を得ることができ、適正位置まで挿入されたことを知ることができる。
【0031】
さらに、図5及び図6に示すように、第1芯材12aは、一端側リング部R1側に、ノブ20の端部位置(一端部21側の端部位置)を規定するための規定部RPを備えている。規定部RPは、図7及び図8に示すように、第1芯材12aと第2芯材12bとが組み付けられた状態において、ノブ20の一端部21に接触又は数ミリ以内の離間状態で近接するようにされている。このため、ノブ20の一端部21が一端側リング部R1に対して過剰挿入されることを防止することができる。
【0032】
図9は、第2芯材12bの凹部R付近を示す拡大斜視図である。図7及び図9に示すように、第2芯材12bは、第1芯材12aに組み付けられた状態で、他端側リング部R2側に、ノブ20の反対側の端部位置(他端部22側の端部位置)を規定するための規定壁RWを備えている。規定壁RWは、図7に示すように、第1芯材12aと第2芯材12bとが組み付けられた状態において、ノブ20の他端部22に接触又は数ミリ以内の離間状態で近接するようにされている。このため、ノブ20の他端部22が他端側リング部R2に対して過剰挿入されることを防止することができる。
【0033】
さらに、図7及び図9に示すように、規定壁RWは、ノブ20側に傾斜した誘導面GSが形成されている。このため、ノブ20が他端側リング部R2に過剰挿入されても、第2芯材12bを第1芯材12aに組み付ける際に、過剰挿入が解消される。詳細に説明すると、まず、ノブ20の他端部22側の端部位置が適正位置よりも所定距離未満で過剰挿入されているとする。このような状態で第2芯材12bを第1芯材12aに組み付けようとすると、規定壁RWの誘導面GSが他端部22に接触することとなる。しかも、第2芯材12bを第1芯材12aに近づけるにつれて(組み付けるにつれて)、誘導面GSが他端部22の端部位置をスライドさせながら、ノブ20の全体を一端側リング部R1の方向へ移動させることとなる。これにより、ノブ20を適正位置まで誘導することとなる。
【0034】
次に、本実施形態に係る車両用サンバイザ1の製造方法及び作用について説明する。
【0035】
まず、表皮11、第1芯材12a、第2芯材12b、及びノブ20が用意される。次に、ノブ20の他端部22を他端側リング部R2に挿入する。このとき、作業者は、ノブ20を図7に示す適正位置よりも深く挿入する。また、他端部22の挿入は、支持壁SWが挿入ガイドGとして機能してスムーズに行われる。
【0036】
その後、ノブ20の一端部21を一端側リング部R1に挿入する。このとき、作業者は、ノブ20の一端部21が規定部RPに接触すると共に、係合部21bと被係合部Eとによる節度感が得られるまで挿入を行う。なお、一端部21の挿入についても、支持壁SWが挿入ガイドGとして機能してスムーズに行われる。
【0037】
次に、作業者は、ノブ20が取り付けられた状態の第1芯材12aに対して第2芯材12bを組み付ける。この際、仮にノブ20の一端部21が規定部RPに接触する位置(節度感が得られる位置)まで挿入されていなかったとしても(他端部22が他端側リング部R2に過剰挿入のままであったとしても)、不完全な挿入が多少のものであれば、規定壁RWの誘導面GSによってノブ20は正規位置に誘導されることとなる。
【0038】
その後、作業者は、組付後の第1芯材12a及び第2芯材12bに対して表皮11を貼り付ける。これにより、車両用サンバイザ1が製造される。
【0039】
ここで、このような車両用サンバイザ1においてノブ20の一端部21は角部Pを有する角部形状となっており、一端側リング部R1は、角部形状に応じた形状となっている。このため、ノブ20に対して回転しようとする力が加わったとしても、一端部21の角部Pと一端側リング部R1の壁部W1とが互いに接触してノブ20の回転を規制することとなる。この結果、例えば車両乗員がノブ20を中心に車両用サンバイザ1を回動させたとしても、ノブ20のサンバイザ本体10に対する回転は防止され、ノブ20の回転による低級音の発生や表皮11の傷や破れの発生を防止することとなる。
【0040】
さらに、一端側リング部R1及び他端側リング部R2に対して支持壁SWが接続されていることから、リング部R1,R2の剛性を高めてリング部R1,R2の破損の可能性を低減させている。加えて、第2芯材12bがノブ20に略接触していることから、ノブ20に対して第2芯材12bの方向に荷重が加わったとしても、ノブ20を支えるリング部R1,R2に加わる荷重の一部を第2芯材12bに作用させて更に破損の可能性を低減させることとなる。
【0041】
このようにして、本実施形態に係る車両用サンバイザ1によれば、ノブ20の一端部21と一端側リング部R1は、ノブに対して回転方向への力が作用した場合に互いに接触してノブの回転を規制する角部Rと壁部W1とを有する。このため、サンバイザ本体10を回転動作等させたとしても、ノブ20はサンバイザ本体10に対する相対的な回転が防止される。従って、ノブ20の回転による低級音の発生及び表皮11の傷や破れの発生を防止することができる。
【0042】
また、ノブ20の長手方向に沿って延びてリング部R1,R2に接続される支持壁SWを備えるため、リング部R1,R2は支持壁SWによって剛性が向上することとなる。ここで、例えば薄板状の2つのリング部を備え、薄板状の2つのリング部同士を遠ざける方向に撓ませながらノブを挿入する従来構成のように強度面で劣る薄板状の2つのリング部を採用する場合と比較して剛性を高めることができ、高荷重等によるリング部R1,R2の破損の可能性を低減することができる。
【0043】
また、支持壁SWはノブ20の挿入側に広がる2枚の挿入ガイドGとされているため、ノブ20の挿入にあたりリング部R1,R2への誘導を行いつつも、リング部R1,R2の剛性を高めることができる。
【0044】
また、第2芯材12bは第1芯材12aに組み付けられた状態でノブ20に略接触するため、ノブ20に対して第2芯材12b方向に荷重が加わった場合に、ノブ20を支えるリング部R1,R2に加わる荷重の一部を第2芯材12bに作用させることができ、高荷重等によるリング部R1,R2の破損の可能性を低減することができる。
【0045】
また、ノブ20は窪み部により構成される係合部21bを有し、一端側リング部R1は窪み部に嵌り込む突出部により構成される被係合部Eを有するため、ノブ20を挿入した際に係合部21bと被係合部Eとにより組付時の節度感を得ることができる。このため、例えば節度感が得られる位置をノブ20の挿入の適正位置にすることで適正位置までの挿入が完了したことを作業者に伝達することができる。
【0046】
また、第1芯材12aは、一端側リング部R1側に、ノブ20の一端部21の位置を規定するための規定部RPを備え、第2芯材12bは、第1芯材12aに組み付けられた状態で、他端側リング部R2側に、ノブ20の他端部22の位置を規定するための規定壁RWを備える。このため、第1芯材12aの規定部RPと第2芯材12bの規定壁RWとによってノブ20を正規位置に保持することができる。特に、規定壁RWが第2芯材12bに設けられていることから、例えば、第1芯材12aと第2芯材12bとの組付前に、ノブ20の一端部21を一端側リング部R1に挿入して規定部RPに当接等させ、その後、第2芯材12bを組み付けることで規定壁RWによってノブ20の他端部22の位置を規定でき、ノブ20の両端位置を規定することができる。
【0047】
また、ノブ20の他端部22が適正位置よりも所定距離未満で過剰挿入されている場合、第2芯材12bを第1芯材12aに組み付ける際に過剰挿入されるノブ20を適正位置に誘導するための誘導面GSを有するため、所定距離未満であれば過剰挿入状態であっても第2芯材12bの組付によってノブ20の他端部22が適正位置に誘導され、第2芯材12bの組付前に厳密にノブ20の他端部22を適正位置にしておく必要がなく、作業性の向上に寄与することができる。
【0048】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能であれば公知又は周知の技術を組み合わせてもよい。
【0049】
例えば上記実施形態において、ノブ20は、一端部21のみが角部形状とされているが、特にこれに限らず、他端部22のみが角部形状とされていてもよいし、双方が角部形状とされていてもよい。また、リング部R1,R2についても、他端側リング部R2が角部形状に応じた形状の挿入孔IH2を有していてもよいし、双方のリング部R1,R2が角部形状に応じた形状の挿入孔IH1,IH2を有していてもよい。すなわち、ノブ20の他端部22側で回転規制されてもよいし、ノブ20の一端部21及び他端部22の双方で回転規制されてもよい。特に、ノブ20の一端部21及び他端部22は、断面星型や波型等の様々な形状が適用可能であり、挿入孔IH1,IH2についても一端部21及び他端部22の形状に対応してノブ20の回転を防止できれば、特に形状が限定されるものではない。故に、ノブ20の一端部21及び一端側リング部R1の挿入孔IH1の双方が長円形となっており、ノブ20に角部Rを有しない構成であってもよい。
【0050】
また、上記実施形態において支持壁SWは双方のリング部R1,R2に対して設けられているが、これに限らず、いずれか一方のみに設けられていてもよい。また、挿入ガイドGについても双方のリング部R1,R2に対して設けられているが、これに限らず、いずれか一方のみに設けられていてもよい。
【0051】
さらに、上記実施形態において係合部21bは窪み部であり被係合部Eが突出部であるが、これに限らず、係合部21bが突出部であり被係合部Eが窪み部であってもよい。加えて、係合部21bは、ノブ20の一端部21に限らず他端部22に設けられてもよいし、一端部21と他端部22との双方に設けられてもよい。同様に、被係合部Eは、他端側リング部R2に設けられてもよいし、双方のリング部R1,R2に設けられてもよい。
【0052】
また、上記実施形態においては、一端側リング部R1側に規定部RPを備え、他端側リング部R2側に規定壁RWを備えているが、これに限らず、配置は逆であってもよい。
【0053】
加えて、本実施形態においては第1芯材12aが第2芯材12bと別体で構成され、別体の第1芯材12aに対して第2芯材12bが組み付けられているが、特にこれに限らず、第1芯材12aと第2芯材12bとがヒンジ等の連結部材によって連結され、連結状態にある第1芯材12aに対して第2芯材12bが組み付けられてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 :車両用サンバイザ
10 :サンバイザ本体
11 :表皮
12 :複数の芯材
12a :第1芯材
12b :第2芯材
20 :ノブ
21 :一端部
21b :係合部
22 :他端部
E :被係合部
G :挿入ガイド
GS :誘導面
IH1 :挿入孔
P :角部(回転規制部)
R :凹部
R1 :一端側リング部(角部挿入側リング部,係合挿入側リング部)
R2 :他端側リング部
RP :規定部
RW :規定壁
SW :支持壁
W1 :壁部(回転規制部)
図1
図2
図3
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図8
図9