IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイサイ オサケユキチュアの特許一覧

特許7579485地球監視システムおよび衛星コンステレーションの管理方法
<>
  • 特許-地球監視システムおよび衛星コンステレーションの管理方法 図1
  • 特許-地球監視システムおよび衛星コンステレーションの管理方法 図2
  • 特許-地球監視システムおよび衛星コンステレーションの管理方法 図3
  • 特許-地球監視システムおよび衛星コンステレーションの管理方法 図4
  • 特許-地球監視システムおよび衛星コンステレーションの管理方法 図5
  • 特許-地球監視システムおよび衛星コンステレーションの管理方法 図6
  • 特許-地球監視システムおよび衛星コンステレーションの管理方法 図7
  • 特許-地球監視システムおよび衛星コンステレーションの管理方法 図8A
  • 特許-地球監視システムおよび衛星コンステレーションの管理方法 図8B
  • 特許-地球監視システムおよび衛星コンステレーションの管理方法 図9
  • 特許-地球監視システムおよび衛星コンステレーションの管理方法 図10
  • 特許-地球監視システムおよび衛星コンステレーションの管理方法 図11
  • 特許-地球監視システムおよび衛星コンステレーションの管理方法 図12
  • 特許-地球監視システムおよび衛星コンステレーションの管理方法 図13
  • 特許-地球監視システムおよび衛星コンステレーションの管理方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-29
(45)【発行日】2024-11-07
(54)【発明の名称】地球監視システムおよび衛星コンステレーションの管理方法
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/10 20060101AFI20241030BHJP
【FI】
B64G1/10 335
B64G1/10 600
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2024519752
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-16
(86)【国際出願番号】 EP2022076590
(87)【国際公開番号】W WO2023052270
(87)【国際公開日】2023-04-06
【審査請求日】2024-03-29
(31)【優先権主張番号】2113949.8
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523132594
【氏名又は名称】アイサイ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】モドルゼフスキ ラファル
(72)【発明者】
【氏名】ラウリラ ペッカ
(72)【発明者】
【氏名】チェチーレ イグナシオ
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-18715(JP,A)
【文献】特表2020-507992(JP,A)
【文献】国際公開第2021/022253(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0034536(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0192095(US,A1)
【文献】米国特許第9857475(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上管制における地球観測衛星のコンステレーションの管理方法であって、各衛星は地球を画像化するための合成開口レーダーを含み、前記方法は、
位置の画像を取得するための打ち上げ後要求を受信するステップと、
前記衛星コンステレーションから、時間ウィンドウ内で前記位置の画像化を可能にするパスを有する適格な衛星を識別するステップと、
適格な衛星毎に、1つまたは複数の実行セットを識別するステップであって、各実行セットは、前記適格な衛星と、前記適格な衛星と通信するための通信チャネルとを含み、前記実行セットのうちの少なくとも1つは、複数の衛星を使用して前記位置を画像化するための1つまたは複数のさらに適格な衛星を含む、ステップと、
前記衛星の既存のスケジュールを再計算して、前記位置の画像化を含む更新スケジュールを提供するステップと、
更新スケジュールを前記衛星の1つまたは複数送信するために提供するステップと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記衛星コンステレーションは、前記既存のスケジュールを記憶する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記適格な衛星を識別するために衛星パスをシミュレートするステップ、任意選択で、前記位置を画像化するための最適な実行セットを選択するステップ、
前記位置を画像化するための実行セットを選択するステップ、および、
地上局利用可能データを使用して、前記実行セットの前記通信チャネルを識別するステップ、任意選択で、地上局プロバイダーから地上局利用可能データを取得するステップ
のうちの1つまたは複数を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つまたは複数の通信チャネルは、異なる地上局を使用するアップリンクおよびダウンリンク、ならびに、宇宙間通信、のうちの1つまたは両方を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項5】
実行セットは、所定時間内に前記位置の画像をダウンリンクすることができる、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記位置を画像化するための最適な実行セットを選択するステップと、オーダターンアラウンドタイムおよび要求された画像化時間と予定された画像化時間との間の差のうちの1つまたは両方を最小化するステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
最適な実行セットを選択することは、
前記衛星コンステレーションの更新スケジュールを最適化することを含
前記更新スケジュールを最適化することは、
前記衛星コンステレーション全体に亘る利用率分布を最適化すること
星のそれぞれの能力に基づいて前記衛星コンステレーションにタスクを割り当てること
ータ通信トラヒックを予測することと、その予測に基づいて前記更新スケジュールを最適化すること、ならびに、
存のスケジュールにおいて以前にスケジュールされたタスクを再スケジュールすることであって、任意選択で、実行予定時刻までに所定の時間が残っている場合にのみ、および/または、合意されたサービスレベルがまだ満たされている場合にのみ、以前にスケジュールされたタスクを再スケジュールすること、
のうちの1つまたは複数を任意選択で含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
更新コンステレーションスケジュールに従って、地上局プロバイダーから地上局サービスを予約するステップ
前記更新スケジュールを前記衛星の1つまたは複数送信するステップ
のうちの1つまたは複数を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記衛星コンステレーションのうちの1つまたは複数から前記位置の画像を受信するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記衛星のち1つが利用できないことに応答して、前記更新スケジュールを再計算して調整されたスケジュールを提供するステップ、および、調整されたスケジュールを前記衛星の1つまたは複数送信するために提供するステップ
地上局が利用できないことに応答して、前記更新スケジュールを再計算して調整されたスケジュールを提供するステップ、および、調整されたスケジュールを前記衛星の1つまたは複数送信するために提供するステップ、ならびに、
前記衛星コンステレーションへの衛星の追加に応答して、前記新スケジュールを再計算して調整されたスケジュールを提供するステップ、および、調整されたスケジュールを前記衛星の1つまたは複数送信するために提供するステップ
のうちの1つまたは複数を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項11】
スケジュール計算モジュールのプロセッサに実装されると、スケジュール計算モジュールに請求項1または請求項2に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
地球監視システムであって、
衛星コンステレーションであって、各衛星は地球を画像化するための合成開口レーダーを含む、衛星コンステレーションと、地球上に配置されたスケジュール計算モジュールとを含み、前記スケジュール計算モジュールは、
位置の画像を取得するための打ち上げ後要求を受信し、前記衛星コンステレーションから、時間ウィンドウ内で前記位置の画像化を可能にするパスを有する適格な衛星を識別し、
適格な衛星毎に、1つまたは複数の実行セットを識別するように構成され、各実行セットは、前記適格な衛星と、前記適格な衛星と通信するための通信チャネルとを含み、前記実行セットのうちの少なくとも1つは、複数の衛星を使用して前記位置を画像化するための1つまたは複数のさらに適格な衛星を含み、
前記スケジュール計算モジュールは、
前記コンステレーション内の衛星の既存のスケジュールを再計算して、前記位置の画像化を含む更新スケジュールを提供し、前記衛星の1つまたは複数送信するための更新スケジュールを提供する
ように構成される、
地球監視システム。
【請求項13】
前記スケジュール計算モジュールは、請求項1または請求項2に記載の方法を実装するように構成されたスケジュール計算モジュールを含む、および/または、前記1つまたは複数の衛星は、既存のスケジュールを含むストレージを含む、請求項12に記載の地球監視システム。
【請求項14】
前記合成開口レーダーはフェーズドアレイアンテナを含む、請求項12に記載の地球監視システム。
【請求項15】
前記衛星コンステレーションは、
3個以上の衛星、5個以上の衛星、8個以上の衛星、12個以上の衛星、または18個以上の衛星
00kg未満、または50kg~250kgの衛星、および、
地球低軌道上の衛星、のうちの1つまたは複数を含み、前記システムは、任意選択で、前記衛星コンステレーションの1つまたは複数の衛星と通信するように構成された1つまたは複数の地上局をさらに含む、
請求項12に記載の地球監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、衛星コンステレーションを用いた地球観測のためのシステムおよび方法、並びに一連の地球観測用途のための画像を取得するために衛星コンステレーションを管理およびタスク分配するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
陸上および海上の監視用途の多くは、監視されるイベントの性質上、数時間以内に情報を提供する必要がある。たとえば、これは、迅速な介入を可能にするために十分な速さの情報が必要な、無許可の出荷活動を検出するために使用される船舶識別および追跡用途で必要になる場合がある。ただし、監視用の地球観測衛星は通常、新しいオーダが送信された後、それほど短い時間スケールで画像を返送しない。逆に地球観測衛星は、打ち上げ前にタスクを割り当て、事前にタスクを決めておくことが多い。このため、リアルタイム監視のニーズへの対応に問題が生じている。
【0003】
以下に記載される実装形態は、上記した既知の方法の欠点のいずれかまたはすべてを解決する実装形態に限定されない。
【発明の概要】
【0004】
この概要は、以下の詳細な説明でさらに説明する概念の選択を簡略化した形で説明するために提供されている。本概要は、特許請求された主題の主要な機能または不可欠な機能を特定することを意図されておらず、特許請求された主題の範囲を決定することも意図されていない。
【0005】
本開示は、画像化されるべき位置に対する打ち上げ後の要求に対応するために、地上管制において実行可能な衛星コンステレーションを管理する方法を提供する。いくつかの実装態様は、画像化される位置の実行セットを識別すること、最適な実行セットを選択すること、および衛星コンステレーションの変化に対応することを含む。
【0006】
第1態様では、本開示は、地球観測衛星のコンステレーションの管理方法であって、打ち上げ後に画像化されるべき位置の要求を受信するステップと、前記衛星の既存のスケジュールを再計算して、前記位置の画像化を含む更新スケジュールを提供するステップと、更新スケジュールを前記1つまたは複数の衛星に送信するために提供するステップと、を含む、方法を提供する。
【0007】
この方法は、以下の特徴の任意の組み合わせのうちのいずれかを含んでもよい。
【0008】
前記衛星コンステレーションは、前記既存のスケジュールを記憶してもよい。この方法は、前記衛星コンステレーションから、時間ウィンドウ内で位置の画像化を可能にするパスを有する適格な衛星を識別するステップを含んでもよい。この方法は、前記適格な衛星毎に、1つまたは複数の実行セットを識別するステップを含み、前記各実行セットは、前記適格な衛星と、前記適格な衛星と通信するための通信チャネルとを含んでもよい。この方法は、前記適格な衛星を識別するために前記衛星パスをシミュレートするステップを含んでもよい。
【0009】
この方法は、前記位置を画像化するための実行セットを選択するステップを含んでもよい。地上局利用可能データを使用して、前記実行セットの前記通信チャネルを識別してもよい。地上局プロバイダーから地上局利用可能データを取得してもよい。
【0010】
前記1つまたは複数の通信チャネルは、異なる地上局を使用するアップリンクおよびダウンリンクを含んでもよい。前記1つまたは複数の通信チャネルは宇宙間通信を含んでもよい。
【0011】
前記実行セットのうちの少なくとも1つは、複数の衛星を使用して位置を画像化するための1つまたは複数のさらに適格な衛星を含んでもよい。前記各実行セットは、所定時間内に前記位置の画像をダウンリンクしてもよい。
【0012】
この方法は、位置を画像化するための最適な実行セットを選択するステップを含んでもよい。この方法は、オーダターンアラウンドタイムを最小化するステップを含んでもよい。この方法は、要求された画像化時間と予定された画像化時間との間の差を最小化するステップを含んでもよい。
【0013】
最適な実行セットを決定することは、衛星コンステレーションの更新スケジュールを最適化することを含んでもよい。前記更新スケジュールを最適化することは、衛星コンステレーション全体に亘る利用率分布を最適化することを含んでもよい。
【0014】
前記更新スケジュールを最適化することは、衛星のそれぞれの能力に基づいて衛星コンステレーションにタスクを割り当てることを含んでもよい。
【0015】
前記更新スケジュールを最適化することは、データ通信トラヒックを予測することと、その予測に基づいて前記更新スケジュールを最適化することとを含んでもよい。例えば、予測には機械学習を用いるなど、過去の交通データを用いてもよい。
【0016】
前記更新スケジュールを最適化することは、既存のスケジュールにおいて以前にスケジュールされたタスクを再スケジュールすることを含んでもよい。この方法は、実行予定時刻までに所定の時間が残っている場合にのみ、以前にスケジュールされたタスクを再スケジュールするステップを含んでもよい。この方法は、合意されたサービスレベルがまだ満たされている場合にのみ、以前にスケジュールされたタスクを再スケジュールするステップを含んでもよい。
【0017】
この方法は、更新コンステレーションスケジュールに従って、地上局プロバイダーから地上局サービスを予約するステップを含んでもよい。この方法は、前記更新スケジュールを1つまたは複数の衛星に送信するステップを含んでもよい。この方法は、前記衛星コンステレーションのうちの1つまたは複数から位置の画像を受信するステップを含んでもよい。
【0018】
この方法は、前記衛星ののうち1つが利用できないことに応答して、前記更新スケジュールを再計算して調整されたスケジュールを提供するステップと、調整されたスケジュールを1つまたは複数の衛星に送信するために提供するステップとを含んでもよい。
【0019】
この方法は、地上局が利用できないことに応答して、前記更新スケジュールを再計算して調整されたスケジュールを提供するステップと、調整されたスケジュールを1つまたは複数の衛星に送信するために提供するステップとを含んでもよい。
【0020】
前記衛星コンステレーションへの衛星の追加に応答して、前記して更新スケジュールを再計算して調整されたスケジュールを提供するステップと、調整されたスケジュールを1つまたは複数の衛星に送信するために提供するステップとを含んでもよい。
【0021】
本明細書では、本明細書に記載されたいずれかの方法を実装するように構成されたスケジューリング計算モジュールも提供される。
【0022】
本明細書はまた、地球上に配置された衛星コンステレーションおよびスケジュール計算モジュールを含む地球監視システムを提供し、スケジュール計算モジュールは、打ち上げ後に画像化されるべき位置の要求を受信し、位置の画像化を含む更新スケジュールを提供するために衛星コンステレーションの既存スケジュールを再計算し、1つまたは複数の衛星に送信するための更新スケジュールを提供するように構成される。
【0023】
本明細書に記載の方法は、例えば、機械可読形式の有形記憶媒体上のソフトウェアによって実行してもよい。コンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムの形態では、プログラムがコンピュータ上で実行され、コンピュータプログラムがコンピュータ可読媒体上に具現化され得るときに、本明細書に記載されたいずれかの方法の全てのステップを実行するように適合されている。有形(または非一時的)記憶媒体の例としては、磁気ディスク、サムドライブ、メモリカードなどが挙げられるが、伝播信号は含まれていない。ソフトウェアは、方法ステップを任意の適切な順序でまたは同時に実行することができるように、パラレルプロセッサまたはシリアルプロセッサ上で実行するように適合されていてもよい。
【0024】
したがって、別の態様では、スケジュール計算モジュール内のプロセッサに実装されたときに、スケジュール計算モジュールに本明細書に記載されたいずれかの方法を実行させる命令を含むコンピュータ可読媒体が提供される。
【0025】
本用途では、ファームウェアおよびソフトウェアが個別に取引可能な価値のある商品であることを認識している。これは、必要な機能を実行するために、「ダム」または標準的なハードウェア上で演算または制御されるソフトウェアを含むように設計されている。また、所望の機能を実行するためにシリコンチップを設計したり汎用プログラマブルチップを構成したりするHDL(ハードウェア記述言語)ソフトウェアなど、ハードウェア構成を「記述」したり定義したりするソフトウェアも含まれることを目指している。
【0026】
好ましい特徴は、当業者にとって自明であるように適切に組み合わされ、本発明の任意の態様と組み合わされ得る。
本発明の実施形態は、例として、以下の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】地球と衛星の斜視図である。
図2】24時間で1つの衛星がカバーする範囲を示す地球地図である。
図3】地球、衛星の一例、およびコンステレーションを管理するシステムの概略図である。
図4】3時間で18個の衛星がカバーされる範囲を示す地球地図である。
図5】24時間で18個の衛星のカバー範囲を示す地球地図である。
図6】上記システムのスケジュール計算モジュール、衛星データベース、およびチャネルデータベースの概略図である。
図7】位置の画像のオーダの概略図である。
図8A】上記スケジュール計算モジュールの詳細を示す模式図である。
図8B】それぞれ1個および18個の地球観測衛星を有するそれぞれのシナリオにおいて東京の画像を取得する取得機会を示す一対の表である。
図9】上記衛星データベースの詳細を示す模式図である。
図10】上記チャンネルデータベースの詳細を示す模式図である。
図11】コンステレーションにアップロードされるスケジュール情報を示す概略図である。
図12】コンステレーションを管理する方法を示すフローチャートである。
図13】上記の方法の実装例を示すフローチャートである。
図14】上記のスケジュール計算モジュールを実装するのに適したハードウェアの概略図である。
【0028】
図面全体を通して共通の符号を用いて、類似の特徴を表す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を一例として説明する。これらの実装形態は、これを可能にする唯一の方法ではないが、出願人が現在知っている、本発明を実行するための最良のパターンを表す。この説明では、サンプルの機能と、サンプルを構築および操作するための一連の手順について説明する。しかしながら、同じまたは同等の機能およびシーケンスは、異なる例によって実装されてもよい。
【0030】
図1は、地球106の周囲を周回する軌道104内の衛星102を示している。衛星の軌跡は、衛星102によって画像化される位置108を通過することと、衛星102との間でデータを送信するように構成された地上局110とを含む。衛星102が打ち上げられた後、位置108の画像を取得するための新たなコマンドを地上管制局110に送信することができる。この場合、命令されたタスク割り当ては、地球からのアップリンクを介して衛星102に送信されなければならない。図1は地上局を示している。実際の実装形態では、複数の地上局が地球上に分散しており、多くの顧客が自分たちの衛星と通信するために使用することができる。地上局で時間を「予約」する命令が送信されると、地上局の職員は通常、アップリンクまたはダウンリンクに必要な送信をキューに入れるために時間を要する。
【0031】
例では、衛星102は地球低軌道上を地球の周りを周回する。地球低軌道は、地球の表面から160kmから1000km上空にある。地球監視衛星の例は、地球上450kmから650kmの軌道を持つことができる。いくつかの実施形態では、衛星の軌道は地球表面の約550km上にある。例えば、地球の上空550kmの軌道では、衛星は毎秒約7.5km、すなわち毎時27,000kmで効果的に地上を横断している。この軌道上のほとんどの衛星は、毎秒7~8kmの速度で地球を横断する。
【0032】
一例では、衛星102は、合成開口レーダー「SAR」を使用して、雲、霧、煙の中、および夜間を含むあらゆる種類の条件で地球を画像化する。衛星102は、合成開口レーダービームの方向付けを支援するために、反射板またはフェーズドアレイアンテナを使用することもできる。本明細書に記載される任意のコンステレーションにおいて、1つまたは複数の衛星、または各衛星はSARを使用することができる。
【0033】
現在、地球を周回する軌道上にはさまざまな種類の衛星があるが、一般的には重みの範囲によって定義されている。ただし、各種類の衛星間の境界は多少不定であり、自由ではない。
【0034】
立方体衛星:1kg~10kg
【0035】
超小型衛星:50km~250km
【0036】
小型衛星:500kg
【0037】
通常の衛星:800~1200kg
【0038】
小型衛星は打ち上げ費用が安く済むため、地球表面の広範囲をカバーする衛星コンステレーションの構築に利用しやすくなる。例えば、コンステレーション内の衛星の数が増えることで、より多くの選択肢を提供し、地球上の特定のエリアや特徴の画像を監視する間の時間を大幅に短縮することができる。
しかし、非常に小型の立方体衛星は現在、現在の合成開口レーダーペイロードを搭載する能力を備えていない。重い衛星は通常、高価で柔軟性も低い。本明細書に記載された衛星コンステレーションおよび動作方法の実施形態は、50kgから250kgの超小型衛星を使用して試験に成功した。
【0039】
図1の例では、地球低軌道上の衛星102へのアップリンクは、地上局110によって提供される。衛星102がその軌道104に沿って矢印112で示される方向に移動するとき、衛星102は最初に位置108を通過し、次に地上局110を通過する。その結果、この例では、新規オーダは、衛星102が次に画像化される位置108を通過するまで、衛星102にアップリンクすることができない。このため、プロセスの遅延が発生している。衛星102が地上局110を通過すると、地上局110から衛星に送信されてオーダがアップリンクされる。次に衛星102が位置108を通過するとき、画像を取得することができる。
【0040】
衛星102が次に位置108を通過するまでには、かなりの時間がある可能性がある。衛星102が完全な軌道を完了すると、地球106は小さな角度で回転するので、衛星は位置108を直接越えることはなくなる。衛星102が再び位置108を通過して画像を取得できるようになる前に、地球106は(数日を要する)完全な回転を数回経験する必要がある可能性がある。
【0041】
このことは、衛星パスが24時間で地球上をカバーする範囲を示した図2のカバーマップを見ると容易にわかった。地球の半分以下が24時間以内にカバーされていることは、完全なカバーを提供するのに数日かかる可能性があることを示しており、図1の衛星102は、要求された画像を取得するために再び位置108を直接通過する。このような状況では、新規オーダの提出から画像の納品までの間に約1週間の遅れが生じやすい。
【0042】
図1の例では、新しいオーダが提出されてから最終的に二度目に位置108を通過した後、衛星102はその後すぐに地上局110の上空を通過して、捕捉された画像をダウンリンクする。地上局110によって受信されると、画像はエンドユーザに配信され、および/またはエンドユーザに配信するために陸上監視パラメータなどの他の使用可能な情報を抽出するために処理されてもよい。
【0043】
オーダの送信と配信の間には最大で1週間以上のタイムラグが発生する可能性があるため、地球観測衛星は通常、数時間または数分などのより速い応答時間を必要とする用途には使用されない。その代わりに、地球観測ミッションは、所定のイベントの特定の画像を提供したり、事前にスケジュールできる既知の場所の定期監視などの継続的な既知のパフォーマンスを提供したりするために、打ち上げ前に事前に定義されるのが一般的である。
【0044】
打ち上げ後にもとのスケジュールに追加オーダを加えようとすると、上記で述べたように追加オーダに最大1週間の遅延が生じる可能性があり、さらに追加オーダのタスクを既存のスケジュールの空白の中に配置しなければならず、遅延を助長するだけでなく、ミッション全体のリソースの非効率的な使用を招く可能性がある。
【0045】
別の方法を使用すると、新規オーダの納期を短縮し、リソースを有効に活用できる。図3を参照すると、衛星コンステレーションを管理するためのシステムは、衛星コンステレーションがタスクを実行するためのスケジュールを計算するためのスケジュール計算モジュール302を含む。スケジュール計算モジュール302は、地上局306およびエンドユーザ308のネットワークと通信するように構成された衛星通信事業者アプリケーションプログラミングインターフェース(API)304内に提供することができる。地上局306は、セットの衛星310との間で通信するためのアップリンクおよびダウンリンクを提供する。(セットの代表的な衛星310を図3に示す。セットの他の衛星は図には示されていないが、セットは、それぞれが地上局306と通信するように構成されたいくつか以上の衛星310を含むことができる。)
【0046】
スケジュール計算モジュールおよび/またはAPIは、APIの分野で知られているように、コンピューティングシステム内に含まれる。計算システムは、地球上の複数の位置に分散してもよいし、単一の位置に分散してもよい。例えば、スケジュール計算モジュール302は、地上局、または複数の地上局と通信する別の位置に配置されてもよい。
【0047】
衛星コンステレーション、例えば18個の衛星からなるコンステレーションを使用することにより、所与の期間における集合体の地球への全体的なカバレッジが改善される。これにより、画像化すべき位置を衛星が通過するのを待つことによる遅延を低減することができる。このことは、図4および図5に示す図を参照することにより理解できる。図4は、3時間以内に18個の衛星パスが地球上をカバーした範囲を示し、図5は、同じ18個の衛星が24時間以内に地球上をカバーした範囲を示している。図2のような地球観測衛星単体でのカバー状況とは異なり、24時間でほぼ完全な地球カバーを実現している。
【0048】
衛星コンステレーション内の衛星の数が多いほど、一定期間における衛星コンステレーションの全体的な範囲が大きくなる(つまり、地球上の同じ地域または地物の連続画像間の時間が短くなる)。例えば、コンステレーションに衛星が1つしかない場合に比べて、2つ以上の衛星を持つことで、カバー範囲が大幅に増加している。3個以上の衛星はより良いカバレッジを提供し、5個以上の衛星、または12個以上の衛星も同様である。この例で説明されている18個以上の衛星は、優れたカバレッジを提供する。5個以上の衛星を持つ衛星コンステレーションでさえ、地球モニタリングではあまり知られていない反復時間(地球上のエリアや特徴の可能な連続画像間の時間)を実現することができる。しかし、衛星コンステレーションに含まれる衛星の数が増加するにつれて、打ち上げ後に割り当てられたタスクを完了するすべての衛星のスケジューリング、最適化、割り当ての複雑さは指数関数的に増加している。一例では、これらの複雑な処理およびタスク割り当てアクティビティは、スケジューリング計算モジュールおよびサポートデータベースを有するシステムを使用して処理される。
【0049】
図3に示すスケジューリング計算モジュール302は、新規オーダを受信すると、送信衛星310のタスク割り当てを能動的に管理する。新規オーダが受信されると、全衛星コンステレーションのスケジュールが再計算され、新たなタスクと許容可能な納期とを組み合わせながら、全体的なタスク割り当ての効率が維持される。この方法では、打ち上げた後に提出されるオーダのターンアラウンド時間を数時間以内に抑えることができる。
【0050】
図6には、新規オーダ602、衛星データベース604、チャネルデータベース606、および新しいスケジュール608に関連するスケジュール計算モジュール302が示されている。スケジュール計算モジュール302、衛星データベース604、およびチャネルデータベース606は、地上制御局または衛星通信事業者APIの一部を形成し、新規オーダ602を受信するたびに新しいスケジュール608を一緒に計算することができる。スケジュール計算モジュール302は、衛星パス、衛星利用可能性、地上局位置および利用可能性、ならびに衛星と地上局との間の利用可能な通信チャネルなどのデータを格納する衛星データベース604およびチャネルデータベース606からのデータを使用してスケジュールを再計算するように構成される。これらのデータの詳細とその利用方法を以下に説明する。
【0051】
図7を参照すると、新規オーダ602は、一般に、画像化されるべき1つまたは複数の地理的位置と、1つまたは複数の画像が取得されるときの時間的要件とを定義する。例えば、時間要件は、画像が直ちにまたはできるだけ早く必要とされることであってもよく、または画像が撮影されるべき将来の1つまたは複数の期間を含んでいてもよい。一般的なオーダでは、毎日撮影するなど、定期的な画像撮影が求められる場合がある。他の取得パラメータもオーダで規定することができる。たとえば、顧客は「スポットライト」や「ストリップマップ」などの取得モードを指定したい場合がある。これらは、解像度とカバーされるエリアとの間のトレードオフになる(スポットライトはカバーされるエリアが小さくなる代わりに高い解像度が得られるが、ストリップマップはその逆である)。これは、画像に対して実行したいさらなる処理(たとえば、オブジェクトの分類、変化の検出など)に依存する場合がある。したがって、図7を参照すると、新規オーダ602は、位置702の表示、時間制約704、および任意の組み合わせの他の取得パラメータ706のいずれかを含むことができる。
【0052】
新規オーダ602が受信されるたびに、スケジュール計算モジュール302は、新規オーダ602に定義された1つまたは複数の位置の画像化を含む衛星の更新スケジュールを計算する。これを実現するために、図8Aに示されるように、スケジュール計算モジュールは、新規オーダ602のオプションに適合するようにスケジュールを更新する方法を決定するように構成されたシミュレーションモジュール802と、利用可能なオプションに基づいて適切な更新スケジュールを決定するように構成された最適化モジュール804とを含むことができる。
【0053】
シミュレーションモジュール802は、衛星の軌道位置および投影パスに基づいて、要求された画像を取得することができる衛星を識別するように構成された衛星識別子806を含む。要求された画像には、新規オーダ602において要求された画像と、以前のオーダにおいて要求された画像であって取得されていない画像とが含まれる。画像を取得可能な衛星は、コマンドに規定された時間制限に従って画像を所望の位置に持っていくパスを有する衛星である。どの衛星がどのコマンドを実行することができるかを識別するために、衛星識別子806は、どの衛星が次に関連する地理的位置を通過するかを決定するために、衛星パスのシミュレーションを実行するように構成することができる。任意の捕捉が完全には実行されない可能性があることは理解されるであろうが、衛星識別子は、他の捕捉パラメータを可能な限り維持しながら、指定された時間制約の妥当な閾値内の位置に任意の順序を照合できる衛星を探している。
【0054】
図8Bを参照すると、衛星識別子806は、東京のような位置の画像を取得するための取得機会テーブルを生成することができる。第1シナリオ例では、1つの画像化衛星が存在し、衛星識別子806は、その衛星を使用して3日間の東京画像を取得する可能性のある機会を詳細に記述する第1テーブル810を生成する。第2シナリオ例では、18個の衛星が存在し、衛星識別子は、18個の衛星のうちの1つまたは複数を使用して3日間にわたって東京の画像を取得する可能性のある機会を詳細に示す第2テーブル812を生成する。
【0055】
図示されるように、第1のテーブル810は2つの行を有し、それぞれが3日間の東京の画像を取得する機会を表す。衛星は1個であるが、3日間に東京上空を2回通過するため、チャンスは2回ある。各取得機会の詳細は、表810のそれぞれの行に提供される。第1列「Anx」814には、協定世界時としても知られ、UTCと略される協定世界時が示されている。これは、画像が収集される日時を示す収集のタイムスタンプを提供する。第2列「カバーエリア」816は、取得時に画像化される要求されたエリアの割合を示す。第3列の「継続時間」818には、衛星画像化装置が画像を取得するためにどのくらいの時間オンになるかを示す秒単位の継続時間が示されている。この例では10秒である。4番目の列「終了」820は、画像化装置が画像化を完了した日時、すなわち10秒の期間の終わりを示す。5列目の「交差点エリア」822には、撮影要求エリアと撮影対象の実エリアとの平方km単位での重なりが示されている。6列目の「長さ」824は、10秒間の画像化動作中に衛星が地上に投影した距離を示す。7列目の「観察角度」826には、スクロール軸を中心とした画像化装置の傾きが度数で表されている。8列目の「パス」828は、撮影が行われたときに、撮影衛星が地球表面に投影されたように北極(上昇)に向かって進行しているか、南極(下降)に向かって進行しているかを示している。9番目の「衛星」830列には、衛星の識別情報が示されている。表810のシナリオでは、衛星は1つだけであるので、2つの行は同じ衛星を表す。最後に、10番目の列「センサー」832は、衛星の左センサーまたは右センサーのどちらが画像化を実行するかを示す。第2例示的なシナリオに関連するテーブル812は、同様の列を有し、3日間の期間中に18個の衛星のうちの1つまたは複数を使用する獲得機会を示す。全部で15行あり、3日間で15件の取得機会を表している。9列目の「衛星」に示すように、いくつかの行は同じ衛星を表しており、いくつかの衛星が3日間に1回以上東京を通過していることを示している。例えば、2行目と3行目はいずれも衛星「ICEYE-BLOCK 1.2.2」の画像収集に関係している。概して、18個のうち10個が3日間に1回以上東京を通過し、表812に示す15個の取得機会を提供している。
【0056】
図8Aに戻ると、シミュレーションモジュール802は、コマンドを完了するために地上局を識別するように構成された実行セット識別子808をさらに含む。地上局は、新しいスケジュールを衛星にアップリンクし、画像データまたは衛星画像から導き出されたデータをダウンリンクする必要がある。したがって、取得される画像ごとに、実行セット識別子808は、衛星と、アップリンクを提供することができる地上局と、ダウンリンクを提供することができる地上局とを含む1つまたは複数の実行セットを識別するように構成される。実行セットを識別することにより、シミュレーションモジュール802は、コマンドをどのように実行するかに関するオプションのセットを生成する。例えば、図8Bのテーブル810の場合、潜在的な取得を表す各行は、取得前の90分間にアップリンクオプションを提供する5つの地上局と、取得後の90分間にダウンリンクオプションを提供する5つの地上局と関連付けることができる。その結果、可能な取得ごとに(すなわち、テーブル810の各行ごとに)5*5=25個の実行セットを有することができる。2つの潜在的な取得があるので、このシナリオでは、東京の画像を取得するために2*25=50個の実行可能なセットがあってもよい。一般に、取得する各イメージに適した実行セットを利用可能なオプションから選択する必要がある。例えば、実行セットの適切な選択は、衛星および地上局間のリソースの効率的な使用を提供し、また、許容可能な配信時間内に新規オーダを実行することができる。
【0057】
実行セットの適切な選択を行うために、スケジュール計算モジュール302は、実行セットの最適化セットを決定するように構成された最適化モジュール804を含む。最適化モジュール804は、オーダを利用可能な実行能力に一致させようと試み、配信時間、衛星および地上局リソースの効率的な使用、および費用対効果を最適化するように構成され得る。
【0058】
衛星および実行セットを識別するために、シミュレーションモジュールは、衛星データベース604およびチャネルデータベース606に通信可能に接続される。図9に示されるように、衛星データベース604は、衛星軌道902、パワー906、運動量908、およびメモリ910のような衛星リソース904、衛星保守914、衛星強制的な管理措置916、および衛星故障918の結果として容量が減少したデータを含む利用可能な容量912などの衛星データ、および以前にアップロードされたスケジュール920を記憶する。一例では、衛星データベース604またはスケジュール計算モジュール302がアクセスすることができる別のデータベースは、新しいスケジュールを決定するためにも使用され得るビジネスルールを格納することができる。
【0059】
図10に示されるように、チャネルデータベース606は、地上局データ1002のような、衛星からの通信チャネルを含むチャネルデータを格納し、地上局がアップ/ダウンリンクまたは利用可能性の他のメトリックを有する場合のチャネルのような利用可能なパス1004と、地上局とアップ/ダウンリンクとの間の最小時間または利用可能な時間を予約する他のメトリックのような要求予約時間1006と、価格設定1008と、利用可能な宇宙間通信リンク1010と、利用可能なレーザダウンリンク1012とを含む。宇宙間通信リンクは、静止衛星、他の宇宙機などの他の衛星によって提供され得る。
【0060】
スケジューリング計算モジュール302のシミュレーションモジュール802は、衛星データベース604およびチャネルデータベース606のデータを使用して、画像を取得するために使用可能な実行セットを決定する。
【0061】
図11を参照すると、スケジュールが算出されると、スケジュール情報が衛星コンステレーションにアップロードされ、画像データの取得とダウンリンクが指示される。一実施形態では、スケジュール情報は、画像化動作がいつ、どのように実行されるかの詳細を提供する取得コマンド1102と、取得されたデータがいつ、どのようにダウンリンクされるかの詳細を含むダウンリンクコマンド1104とを含む。衛星は、そうするように命令されることなくアップリンク信号を受信するように構成されていることが理解されるべきであるので、アップリンク命令は存在しない。
【0062】
取得コマンド1102は、画像を取得すべき時間の表示1106と、スクロール軸上の画像化装置の角度の表示1108と、左センサーまたは右センサーを使用して画像化するかどうかの表示1110と、画像化動作の継続時間の表示1112(例えば、上記の例の10秒)と、画像タグの表示1114とを含むことができる。画像タグは、画像がダウンリンクされたときに画像を容易に識別できるように、画像に名前や英数字の識別子などの識別子を提供する。
【0063】
ダウンリンクコマンド1104は、ダウンリンクの時間の表示1116と、画像がダウンリンクされるべき地上局の識別または位置の表示1118と、画像タグの表示1120とを含むことができる。これは、ダウンリンクの所定の時間において正しい画像を識別するプロセスを容易にする。
【0064】
図12を参照すると、衛星を管理する方法1200は、新規オーダを受信するステップ1202と、スケジュールを再計算するステップ1204と、新しいスケジュールを衛星にアップロードするステップ1206とを含む。方法1200は、衛星通信事業者APIと衛星へのアップリンクを提供する地上局との組合せによって適切に実行され得る。
【0065】
図13は、衛星通信事業者が図6、8、9、および10の装置を使用して衛星のコンステレーションをどのように管理できるかの実際の例1300を示す。新規オーダが提出されるたびに衛星ミッションのスケジュールを再計算するために、スケジュール計算モジュール302は、利用可能なリソースに関する最新の情報を必要とする。これらのデータは、実行セットの識別および選択を可能にするために、衛星上のデータおよび地上局上のデータを含む。このようにして、衛星データベース604およびチャネルデータベース606に格納されたデータは、最新の状態に維持される。軌道902、パワー906、運動量908などの衛星データは、衛星通信事業者の制御範囲内にあり、衛星通信事業者に知られている。これにより、衛星通信事業者は外部のプロバイダーに頼ることなく、これらのデータをいつでも更新することができる。しかしながら、衛星通信事業者が外部の地上局プロバイダーを使用する場合、チャネルデータベース606に格納された地上局データ1002は、この情報を最新のものに保つために、地上局プロバイダーから定期的に取得しなければならない。このようにして、動作例は、地上局プロバイダーから地上局利用可能性を要求するステップ1302を含む。
ステップ1303で、スケジュール計算モジュールは、新規オーダ602を受信する。この段階では、未決オーダを実行する方法を特定する必要がある。(未決オーダには、新規オーダと、以前に受け取った未決オーダが含まれる。実行を待っている以前のオーダがない場合、スケジュールの再計算ステップは同じであり、単に新しいスケジュールを計算することを含む。)各オーダには、同じパラメータとリソース割り当てが含まれる場合がある。未決オーダを実行する可能な方法を識別するために、ステップ1304において、スケジューリング計算モジュール302は、各オーダについて可能な実行のセットを再計算する。これにより、未決オーダごとに新しい実行セットを選択できるオプションが作成される。その後、ステップ1306において、各オーダに対して適切な実行セットを選択し、選択された実行セットに基づいて衛星のための新しいスケジュールを生成することによって、スケジュールを再計算する。実行セットは、配信時間の最小化、要求された画像取得時間と実際の画像取得時間の差の最小化、衛星全体にわたるリソースの使用効率の最大化、およびコストの最小化などの最適化目標を満たすことに基づいて選択され得る。リソース割り当てのテーブルはこの段階で更新される場合がある。リソース割り当てテーブルには、特定の実装に関する情報が含まれていてもよく、次の情報が含まれていてもよい。
- どの衛星が命令を実行するか
- 衛星上で画像処理タスクに使用できるストレージ
- 衛星が特定の軌道上で画像を撮影する(コマンドを実行する)時間。これは、使用可能な電力(バッテリー容量)と熱パラメータによって制限される。
- 画像の転送には、地上局を経由するどのダウンリンクパスが使用されるか。
【0066】
新しいスケジュールを実装するために、地上局予約は、ステップ1308において、新しい実行セットに一致し、新しいスケジュールに必要なアップリンクおよびダウンリンクを提供するように更新される。これには、新規予約の要求や余分な予約のキャンセルが含まれる場合がある。また、予約を変更するために地上局プロバイダーと通信する必要がある。ステップ1310で、新しいスケジュールが衛星にアップロードされるか、または少なくとも新しいスケジュール内のタスクが古いスケジュールと比較して異なる影響を受けた衛星にアップロードされる。アップロードは、更新された地上局予約で予約された地上局を使用して実装される。この段階で、地上局と衛星は新しいスケジュールに従ってオーダを実行する準備ができており、ステップ1312で配信パラメータを顧客に提供することができる。配信パラメータは、画像取得の任意の1つまたは複数の時間を含むことができる、配信時間、画像が送信される位置、例えば、顧客の安全なファイル転送プロトコル(SFTP)サーバーのアドレス、またはコンステレーション事業者のサービスからアクセスするかどうか、顧客がどのレベルの処理を必要とするか、例えば、検出された地面の範囲(画像が地球儀に登録される)/単視複合体は、反射信号の実際のl/Q値を提供する。
【0067】
ステップ1314において、所望の1つまたは複数の画像を取得すること、および画像データまたは画像から導き出された適切なデータを顧客に配信することを含む新規オーダが実行される。
【0068】
新規オーダを受け取るたびに、またはオーダの実行能力に影響を与えるその他のイベントが発生するたびに、スケジュールを再計算する。たとえば、オーダを実行する能力に影響を与えるイベントには、衛星または地上局の保守、衛星または地上局の障害などがある。
【0069】
本開示は、衛星を管理するための様々な利点を提供する。オーダを出した顧客からすれば、オーダを出してから必要な衛星画像を受け取るまでのターンアラウンドタイムが短縮される。これは、従来の方法を用いるよりも迅速に緊急画像を取得して転送できることを意味する。衛星通信事業者の立場からすれば、新規オーダを受けるたびにスケジュールが再計算されるため、新規オーダが到着した際に、利用可能な衛星とそのリソースをより効率的かつ費用対効果的に活用することができる。チップとキューとは、センサーによって対象エリアまたはオブジェクトを監視し、別の相補的なセンサープラットフォームに「チップ」を要求して、同じエリア上の画像を「キューイング」して取得するプロセスを指す。通常、チップとキューのプロセスは、費用対効果の高い低解像度(ただし視野が広い)センサーで特定された物体または位置から開始される。その後、収集した情報は、より解像度の高い(コストがかかる場合もある)センサーに渡され、その後の調査や分析に利用される。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態は、異なる能力を有する衛星を容易に収容することができ、異なる衛星の異なる能力を考慮して、衛星リソースの効率的な使用を提供するために、新しいスケジュールを計算することができる。衛星が異なる能力を持つ2つの主な理由としては、第1に、単純な進化であり、最近打ち上げられた衛星は通常、より多くのストレージ、より強力な製造技術、ダウンリンクとイメージング用のより洗練された無線、より正確なポインティングシステムなどを備えた「より優れた」ものになる。第2に、宇宙の劣化であり、衛星は高レベルの太陽/宇宙放射線にさらされる傾向があり、サブシステムに損傷を与え、衛星の機能が制限される可能性がある。フリートまたはコンステレーション全体でのこれの分布とタイミングは事実上ランダムである。さらに、衛星が異なれば、解像度能力などの撮像能力が異なり、撮像に異なる波長を使用したり、より優れた処理能力や記憶能力を備えたりすることがある。
【0071】
地上局とそのリソースをより効果的に利用することも可能である。また、現在のアプローチは、衛星や地上局などの資産に障害が発生した場合、スケジュールが再計算され、残りの資産とそのリソースを使用して可能な限り効率的に保留中のオーダに対応するため、障害の影響を受けにくくなる。これは、衛星や地上局に障害が発生してオーダが実行できなくなるよりもはるかに優れている。
【0072】
図14は、本開示による新規オーダを処理する方法を実装するのに適したシステム1400を示している。システム1400は、通信モジュール1402、入力デバイス1404、出力デバイス1406、プロセッサ1408、およびメモリ1410を含む。例えば、プロセッサ1408は、メモリ1410に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって、衛星のスケジュールを再計算するように構成されてもよい。
【0073】
上記の実施形態では、サーバーは、単一サーバーまたはサーバネットワークを含んでもよい。いくつかの例では、サーバーの機能は、地理的エリアに分散されたサーバネットワーク、例えばグローバルに分散されたサーバネットワークによって提供されることができ、ユーザは、ユーザの位置に基づいて、サーバネットワークのうちの適切な1つに接続することができる。
【0074】
明確にするために、上記の説明では、単一のユーザを参照して本発明の実施形態を説明した。実際には、システムは、複数のユーザによって共有されてもよく、また、多くのユーザによって同時に共有されてもよいことが理解されるべきである。
【0075】
上記実施形態は、全自動である。いくつかの例では、システムのユーザまたは事業者は、実行すべき方法のいくつかのステップを手動で指示することができる。
【0076】
本発明に記載された実施形態では、システムは、任意の形態のコンピューティングおよび/または電子デバイスとして実装されてもよい。このようなデバイスは、ルーティング情報を収集および記録するためにデバイスの動作を制御するコンピュータ実行可能命令を処理するためのマイクロプロセッサ、コントローラ、または任意の他の適切なタイプのプロセッサであってもよい1つまたは複数のプロセッサを含んでもよい。いくつかの例では、例えばシステムオンチップアーキテクチャを使用する場合、プロセッサは、(ソフトウェアまたはファームウェアではなく)ハードウェアで方法の一部を実装する1つまたは複数の固定機能ブロック(アクセラレータとも呼ばれる)を含んでもよい。オペレーティングシステムまたは任意の他の適切なプラットフォームソフトウェアを含むプラットフォームソフトウェアは、用途ソフトウェアがデバイス上で実行されることを可能にするために、コンピューティングベースのデバイスにおいて提供され得る。
【0077】
本明細書に記載された様々な機能は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。ソフトウェアで実装される場合、これらの機能は、1つまたは複数の命令またはコードとして、コンピュータ可読媒体上に記憶され、またはコンピュータ可読媒体上で送信され得る。コンピュータ可読媒体は、例えば、コンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータのような情報を記憶するために、任意の方法または技術で実装される揮発性または不揮発性、取り外し可能または取り外し不可能な媒体を含んでもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能な記憶媒体とすることができる。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他の記憶デバイス、CD-ROMまたは他の光ディスク記憶デバイス、磁気ディスク記憶デバイスまたは他の磁気記憶デバイス、または所望のプログラムコードを命令またはデータ構造の形式で搬送または記憶するために使用され、コンピュータによってアクセス可能な任意の他の媒体を含んでもよい。ここで使用される光ディスクおよびディスクには、光ディスク(CD)、レーザーディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク、およびブルーレイディスク(BD)が含まれる。また、伝播された信号は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体の範囲内には含まれない。コンピュータ可読媒体はまた、ある位置から別の位置へのコンピュータプログラムの送信を容易にする任意の媒体を含む通信媒体を含む。接続は、例えば、通信媒体であってもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術を用いてウェブサイト、サーバー、または他の遠隔ソースから送信される場合、通信媒体の定義に含まれる。上記の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0078】
代替的にまたは追加的に、本明細書で説明される機能は、少なくとも部分的に1つまたは複数のハードウェア論理コンポーネントによって実行され得る。例えば、限定されるわけではないが、使用可能なハードウェア論理コンポーネントは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、用途特定用途向け集積回路(ASIC)、用途特定用途向け標準製品(ASSP)、システムオンチップ(SOC)、複雑プログラマブルロジックデバイス(CPLD)など、複雑なプログラマブルロジックデバイス(CPLD)などを含んでもよい。
【0079】
図示は単一のシステムであるが、コンピューティングデバイスは分散システムであり得ることを理解されたい。これにより、例えば、いくつかのデバイスは、ネットワーク接続を介して通信することができ、コンピューティングデバイスによって実行されるものとして説明されているタスクを共同で実行することができる。
【0080】
図示はローカルデバイスであるが、コンピューティングデバイスは、ネットワークまたは他の通信リンクを介して(例えば、通信インターフェースを用いて)遠隔地に配置され、アクセスされてもよいことを理解されたい。
【0081】
用語「コンピュータ」は、それが命令を実行することができるように処理能力を有する任意のデバイスを指すために本明細書で使用される。当業者であれば、このような処理能力は、多くの異なるデバイスに組み込まれ、したがって、「コンピュータ」という用語は、PC、サーバー、携帯電話、携帯情報端末、および多くの他のデバイスを含むことを認識するであろう。
【0082】
当業者は、プログラム命令を記憶する記憶デバイスがネットワーク上に分散されていてもよいことを認識するであろう。例えば、遠隔コンピュータは、ソフトウェアとして記述されたプロセスの例を記憶することができる。ローカルコンピュータまたは端末コンピュータは、リモートコンピュータにアクセスし、ソフトウェアの一部または全部をダウンロードしてプログラムを実行することができる。
代替的に、ローカルコンピュータは、必要に応じてソフトウェア断片をダウンロードしてもよく、またはローカル端末でいくつかのソフトウェア命令を実行してもよく、リモートコンピュータ(またはコンピュータネットワーク)でいくつかのソフトウェア命令を実行してもよい。当業者はまた、当業者に知られている従来技術を利用することによって、ソフトウェア命令のすべてまたは一部が、DSP、プログラマブルロジックアレイなどの専用回路によって実行されてもよいことを認識するであろう。
【0083】
上述の利点や有利性は、ある1つの実施形態に関する場合も、幾つかの実施形態に関する場合もあることが理解されるであろう。複数の実施形態は、言及された問題のいずれかまたは全てを解決するもの、または言及された利点と長所を有するものに限定されるものではない。
【0084】
「1つ」アイテムへの参照とは、当該アイテムの1つまたは複数を指す。用語「含む」は、識別された方法ステップまたは要素を含むことを意味するためにここで使用されるが、これらのステップまたは要素は排他的リストを含まず、方法またはデバイスは追加のステップまたは要素を含んでもよい。
【0085】
本明細書で使用されるように、用語「コンポーネント」および「システム」は、プロセッサによって実行されると特定の機能を実行させるコンピュータ実行可能命令で構成されたコンピュータ可読データストアを含むことを意図している。コンピュータ実行可能命令は、ルーチン、関数などを含んでもよい。また、コンポーネントまたはシステムは、単一のデバイス上に配置されてもよく、または複数のデバイス上に分散されてもよいことが理解されるべきである。
【0086】
さらに、本明細書で使用されるように、用語「例示的な」は、「何かの例示または例として」を意味することを意図している。
さらに、発明の詳細な説明または特許請求の範囲で用語「含む」が使用されている限り、当該の用語は、「備える」が特許請求の範囲で転換語として採用されている場合に、用語「備える」が解釈されるのと同様の方法で包括的であることが意図される。
【0087】
添付の図は、例示的な方法を示す。方法は、特定の順序で実行される一連の演算として示され、説明されているが、方法は順序によって制限されないことを理解し、理解されるべきである。例えば、いくつかの演算は、本明細書に記載されたものとは異なる順序で発生することができる。また、ある行動は、別の行動と同時に発生することができる。さらに、場合によっては、本明細書に記載された方法を実装するためにすべての演算が必要とされないこともある。
【0088】
さらに、本明細書に記載の演算は、1つまたは複数のプロセッサによって実装され、および/または1つまたは複数のコンピュータ可読媒体上に記憶され得るコンピュータ実行可能命令を含んでもよい。コンピュータ実行可能命令は、ルーチン、サブルーチン、プログラム、実行スレッドなどを含んでもよい。さらに、これらの方法の演算の結果は、コンピュータ可読媒体中に記憶され、ディスプレイデバイス上に表示され、および/または同様のデバイス上に表示され得る。
【0089】
本明細書に記載の方法のステップの順序は例示的であるが、これらのステップは任意の適切な順序で実行されてもよいし、適切な場合には同時に実行されてもよい。さらに、ステップは、本明細書に記載された主題の範囲から逸脱することなく、任意の方法に追加または置換されてもよく、または単一のステップは任意の方法から削除されてもよい。上記のいずれかの実装形態の態様は、求められた効果を失うことなく、さらなる実装形態を形成するために、説明された他のいずれかの実装形態の態様と組み合わされてもよい。
【0090】
上記の好ましい実装形態の説明は、例としてのみ示されており、当業者が様々な修正を加えることができることを理解されたい。上記した内容は、1つまたは複数の実装形態の一例を含む。もちろん、上記の態様を説明する目的のために、上記のデバイスまたは方法のそれぞれの考えられる修正および変更を説明することは不可能であるが、当業者は、様々な態様の多くのさらなる修正および配置が可能であることを認識するであろう。したがって、記載された態様は、添付の特許請求の範囲内に含まれるすべてのそのような変更、修正、および変更を含むことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14