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特許7579489室内異常検出方法、そのシステム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】室内異常検出方法、そのシステム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/02 20060101AFI20241031BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20241031BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20241031BHJP
【FI】
G08B21/02
G08B25/04 K
G06Q50/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024023474
(22)【出願日】2024-02-20
【審査請求日】2024-02-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506291313
【氏名又は名称】株式会社エーワン
(74)【代理人】
【識別番号】100108006
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】福間 二郎
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-071621(JP,A)
【文献】登録実用新案第3230534(JP,U)
【文献】特開2016-202773(JP,A)
【文献】特開2021-135905(JP,A)
【文献】特開2021-082201(JP,A)
【文献】特開2017-016185(JP,A)
【文献】特開2017-168098(JP,A)
【文献】特開2010-019484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 21/02
G08B 25/04
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内の濃度センサが検出した二酸化炭素濃度を受信する第1の工程と、
前記第1の工程で受信した前記室内の二酸化炭素濃度の濃度変化を検出する第2の工程と、
前記第2の工程で検出した濃度変化を基に、前記室内にいる人の状態を判定する第3の工程と
をコンピュータが実行する室内異常検出方法であって、
前記第3の工程は、
所定期間の濃度変化を基に前記室内の人の行動パターンを特定し、当該特定した行動パターンを基に前記人が前記室内にいると推定される時間帯を特定し、
当該特定した前記人が前記室内にいると推定される時間帯に、前記所定期間の濃度変化を基に換気扇による所定の換気が行われたか否かを判定する第11の工程と、
前記第11の工程で前記所定の換気が行われていないと判定し、且、前記二酸化炭素濃度が生存濃度から非生存濃度に変化するという第1の条件を満たしたか否かを判定する第12の工程と、
前記第11の工程で前記所定の換気が行われたと判定し、且つ、前記検出した二酸化炭素濃度が一定基準まで落ちた後に前記二酸化炭素濃度が所定の範囲で変動しないという第2の条件を満たしたか否かを判定する第13の工程と、
前記第12の工程で前記第1の条件を満たした、又は前記第13の工程で前記第2の条件を満たしたと判断した場合に、前記人に異常が発生したと判定する第14の工程と、
を有し、
前記所定の範囲は、前記換気扇による換気をした状態で前記室内に人がいた場合の二酸化炭素濃度の変化量を基に予め規定された範囲である
室内異常検出方法。
【請求項2】
前記第3の工程は、
同じ居住空間又は企業内の複数の部屋に、それぞれ設けられた複数の前記濃度センサが検出した前記二酸化炭素濃度の前記濃度変化と、当該濃度変化のタイミングとを基に、前記複数の部屋における前記人の移動に応じた行動パターンを予め特定し、
前記特定した行動パターンと、前記複数の濃度センサが検出した二酸化炭素濃度の濃度変化を基に、前記人に異常が発生したか否かを判定する
請求項1に記載の室内異常検出方法。
【請求項3】
前記第3の工程は、
前記行動パターン及び前記濃度センサが検出した前記二酸化炭素濃度を基に、前記室内に人が一人いるか、複数いるかを特定し、前記室内に一人しかいない状態であることを条件に、前記異常が発生したと判定する
請求項2に記載の室内異常検出方法。
【請求項4】
室内の濃度センサが検出した一酸化炭素濃度を受信する第4の工程と、
前記第1の工程で受信した前記一酸化炭素濃度を基に、前記室内において火災が発生したかを判定する
請求項3に記載の室内異常検出方法。
【請求項5】
室内の濃度センサが検出した二酸化炭素濃度を受信する第1の工程と、
前記第1の工程で受信した前記室内の二酸化炭素濃度の濃度変化を検出する第2の工程と、
前記第2の工程で検出した濃度変化を基に、前記室内にいる人の状態を判定する第3の工程と
をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記第3の工程は、
所定期間の濃度変化を基に前記室内の人の行動パターンを特定し、当該特定した行動パターンを基に前記人が前記室内にいると推定される時間帯を特定し、
当該特定した前記人が前記室内にいると推定される時間帯に、前記所定期間の濃度変化を基に換気扇による所定の換気が行われたか否かを判定する第11の工程と、
前記第11の工程で前記所定の換気が行われていないと判定し、且、前記二酸化炭素濃度が生存濃度から非生存濃度に変化するという第1の条件を満たしたか否かを判定する第12の工程と、
前記第11の工程で前記所定の換気が行われたと判定し、且つ、前記検出した二酸化炭素濃度が一定基準まで落ちた後に前記二酸化炭素濃度が所定の範囲で変動しないという第2の条件を満たしたか否かを判定する第13の工程と、
前記第12の工程で前記第1の条件を満たした、又は前記第13の工程で前記第2の条件を満たしたと判断した場合に、前記人に異常が発生したと判定する第14の工程と、
を有し、
前記所定の範囲は、前記換気扇による換気をした状態で前記室内に人がいた場合の二酸化炭素濃度の変化量を基に予め規定された範囲である
プログラム。
【請求項6】
前記第3の工程は、
同じ居住空間又は企業内の複数の部屋に、それぞれ設けられた複数の前記濃度センサが検出した前記二酸化炭素濃度の前記濃度変化と、当該濃度変化のタイミングとを基に、前記複数の部屋における前記人の移動に応じた行動パターンを予め特定し、
前記特定した行動パターンと、前記複数の濃度センサが検出した二酸化炭素濃度の濃度変化を基に、前記人に異常が発生したか否かを判定する
請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
室内の濃度センサが検出した二酸化炭素濃度を受信する第1の手段と、
前記第1の手段で受信した前記室内の二酸化炭素濃度の濃度変化を検出する第2の手段と、
前記第2の手段で検出した濃度変化を基に、前記室内にいる人の状態を判定する第3の手段と
を有する室内異常検出システムであって、
前記第3の手段は、
所定期間の濃度変化を基に前記室内の人の行動パターンを特定し、当該特定した行動パターンを基に前記人が前記室内にいると推定される時間帯を特定し、
当該特定した前記人が前記室内にいると推定される時間帯に、前記所定期間の濃度変化を基に換気扇による所定の換気が行われたか否かを判定する第11の手段と、
前記第11の手段で前記所定の換気が行われていないと判定し、且、前記二酸化炭素濃度が生存濃度から非生存濃度に変化するという第1の条件を満たしたか否かを判定する第12の手段と、
前記第11の手段で前記所定の換気が行われたと判定し、且つ、前記検出した二酸化炭素濃度が一定基準まで落ちた後に前記二酸化炭素濃度が所定の範囲で変動しないという第2の条件を満たしたか否かを判定する第13の手段と、
前記第12の手段で前記第1の条件を満たした、又は前記第13の手段で前記第2の条件を満たしたと判断した場合に、前記人に異常が発生したと判定する第14の手段と、
を有し、
前記所定の範囲は、前記換気扇による換気をした状態で前記室内に人がいた場合の二酸化炭素濃度の変化量を基に予め規定された範囲である
室内異常検出システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内異常検出方法、そのシステム及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢者の居住空間にカメラ等を設置して、高齢者等の居住者の生存確認等をするシステムがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-131832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したようにカメラを用いた場合、居住者のプライバシーの侵害が懸念される。居住者は、自立した生活を送る権利があり、常時監視されることはその権利を侵害する可能性がある。
また、カメラが故障したりハッキングされたりすると、個人情報や生活の様子が第三者に漏れるリスクがある。
さらに、高齢者が自由に動き回る空間であるべきであるため、カメラの設置によって居住者の行動が制限される可能性もある。
このような点から、個々のプライバシー権や尊厳を保護しつつ、高齢者の安全を確保する方法が求められている。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、居住者等のプライバシーを保護しながら、居住者の身体的な状態を遠隔から判定可能な室内異常検出方法、そのシステム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、室内の濃度センサが検出した二酸化炭素濃度を受信する第1の工程と、 前記第1の工程で受信した前記室内の二酸化炭素濃度の濃度変化を検出する第2の工程と、前記第2の工程で検出した濃度変化を基に、前記室内にいる人の状態を判定する第3の工程とをコンピュータが実行する室内異常検出方法であって、前記第3の工程は、所定期間の濃度変化を基に前記室内の人の行動パターンを特定し、当該特定した行動パターンを基に前記人が前記室内にいると推定される時間帯を特定し、当該特定した前記人が前記室内にいると推定される時間帯に、前記所定期間の濃度変化を基に換気扇による所定の換気が行われたか否かを判定する第11の工程と、前記第11の工程で前記所定の換気が行われていないと判定し、且、前記二酸化炭素濃度が生存濃度から非生存濃度に変化するという第1の条件を満たしたか否かを判定する第12の工程と、前記第11の工程で前記所定の換気が行われたと判定し、且つ、前記検出した二酸化炭素濃度が一定基準まで落ちた後に前記二酸化炭素濃度が所定の範囲で変動しないという第2の条件を満たしたか否かを判定する第13の工程と、前記第12の工程で前記第1の条件を満たした、又は前記第13の工程で前記第2の条件を満たしたと判断した場合に、前記人に異常が発生したと判定する第14の工程と、を有し、前記所定の範囲は、前記換気扇による換気をした状態で前記室内に人がいた場合の二酸化炭素濃度の変化量を基に予め規定された範囲である、室内異常検出方法である。

【0009】
好適には、前記第3の工程は、同じ居住空間又は企業内の複数の部屋に、それぞれ設けられた複数の前記濃度センサが検出した前記二酸化炭素濃度の前記濃度変化と、当該濃度変化のタイミングとを基に、前記複数の部屋における前記人の移動に応じた行動パターンを予め特定し、
前記特定した行動パターンと、前記複数の濃度センサが検出した二酸化炭素濃度の濃度変化を基に、前記人に異常が発生したか否かを判定する。
【0010】
好適には、前記第3の工程は、前記行動パターン及び前記濃度センサが検出した前記二酸化炭素濃度を基に、前記室内に人が一人いるか、複数いるかを特定し、前記室内に一人しかいない状態であることを条件に、前記異常が発生したと判定する。
【0011】
好適には、室内の濃度センサが検出した一酸化炭素濃度を受信する第4の工程と、前記第1の工程で受信した前記一酸化炭素濃度を基に、前記室内において火災が発生したかを判定する。
【0012】
本発明は、 室内の濃度センサが検出した二酸化炭素濃度を受信する第1の工程と、 前記第1の工程で受信した前記室内の二酸化炭素濃度の濃度変化を検出する第2の工程と、前記第2の工程で検出した濃度変化を基に、前記室内にいる人の状態を判定する第3の工程とをコンピュータに実行させるプログラムであって、前記第3の工程は、所定期間の濃度変化を基に前記室内の人の行動パターンを特定し、当該特定した行動パターンを基に前記人が前記室内にいると推定される時間帯を特定し、当該特定した前記人が前記室内にいると推定される時間帯に、前記所定期間の濃度変化を基に換気扇による所定の換気が行われたか否かを判定する第11の工程と、前記第11の工程で前記所定の換気が行われていないと判定し、且、前記二酸化炭素濃度が生存濃度から非生存濃度に変化するという第1の条件を満たしたか否かを判定する第12の工程と、前記第11の工程で前記所定の換気が行われたと判定し、且つ、前記検出した二酸化炭素濃度が一定基準まで落ちた後に前記二酸化炭素濃度が所定の範囲で変動しないという第2の条件を満たしたか否かを判定する第13の工程と、前記第12の工程で前記第1の条件を満たした、又は前記第13の工程で前記第2の条件を満たしたと判断した場合に、前記人に異常が発生したと判定する第14の工程と、を有し、前記所定の範囲は、前記換気扇による換気をした状態で前記室内に人がいた場合の二酸化炭素濃度の変化量を基に予め規定された範囲である、プログラムである。
【0013】
好適には、前記第3の工程は、前記所定期間の濃度変化を基に前記室内の居住者の行動パターンを特定し、予め特定した前記行動パターンを基に、前記人が前記室内にいると推定される時間帯に、前記二酸化炭素濃度が生存濃度から非生存濃度に変化した場合に、前記人に異常が発生したと判定する。
【0014】
本発明は、室内の濃度センサが検出した二酸化炭素濃度を受信する第1の手段と、 前記第1の手段で受信した前記室内の二酸化炭素濃度の濃度変化を検出する第2の手段と、前記第2の手段で検出した濃度変化を基に、前記室内にいる人の状態を判定する第3の手段とを有する室内異常検出システムであって、前記第3の手段は、所定期間の濃度変化を基に前記室内の人の行動パターンを特定し、当該特定した行動パターンを基に前記人が前記室内にいると推定される時間帯を特定し、当該特定した前記人が前記室内にいると推定される時間帯に、前記所定期間の濃度変化を基に換気扇による所定の換気が行われたか否かを判定する第11の手段と、前記第11の手段で前記所定の換気が行われていないと判定し、且、前記二酸化炭素濃度が生存濃度から非生存濃度に変化するという第1の条件を満たしたか否かを判定する第12の手段と、前記第11の手段で前記所定の換気が行われたと判定し、且つ、前記検出した二酸化炭素濃度が一定基準まで落ちた後に前記二酸化炭素濃度が所定の範囲で変動しないという第2の条件を満たしたか否かを判定する第13の手段と、前記第12の手段で前記第1の条件を満たした、又は前記第13の手段で前記第2の条件を満たしたと判断した場合に、前記人に異常が発生したと判定する第14の手段と、を有し、前記所定の範囲は、前記換気扇による換気をした状態で前記室内に人がいた場合の二酸化炭素濃度の変化量を基に予め規定された範囲である、室内異常検出システムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、居住者等のプライバシーを保護しながら、居住者の身体的な状態を遠隔から判定可能な室内異常検出方法、そのシステム及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係る室内異常検出を説明するためのシステム構成図である。
図2図2は、監視対象の家屋の室内12に配置された濃度センサ13を説明するための図である。
図3図3は、図1に示す室内異常検出装置11の機能ブロック図である。
図4図4は、人間が行動している時の二酸化炭素の差分等を表記したグラフ図である。
図5図5は、人間が行動している時の二酸化炭素の差分等を表記したグラフ図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る室内異常検出装置11の動作例を説明するためのフローチャート図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る室内異常検出装置11の変形例の動作例を説明するためのフローチャート図である。
図8図8は、窓開け換気をした場合の室内の二酸化炭素の変化を説明するための図である。
図9図9は、窓開け換気なしの睡眠状態における室内の二酸化炭素の変化を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る室内異常検出方法について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る室内異常検出を説明するためのシステム構成図である。
図1に示すように、本実施形態では、居住空間又は企業の室内12(12_1~12_4等)に濃度センサ13(13_1~13_4等)が配置されている。
室内異常検出装置11は、濃度センサ13が検出した二酸化炭素濃度を受信し、後述する判定処理をして、必要に応じて関係者端末装置21にメッセージを送信する。
【0018】
図2は、監視対象の家屋の室内12に配置された濃度センサ13を説明するための図である。
濃度センサ13は、家屋等の複数の室内12のうち、予め決められた室内12に設置される。
【0019】
図3は、図1に示す室内異常検出装置11の機能ブロック図である。
図2に示すように、室内異常検出装置11は、例えば、操作部53,通信部55、メモリ59及び処理部61を有する。
【0020】
操作部53は、タッチパネル、キーボードやマウス等の操作手段である。
通信部55は、濃度センサ13及び関係者端末装置21と通信を行う。
入力部57は、外部からデータを入力する端子等である。
メモリ59は、処理部61が実行するプログラムを記憶する。
処理部61は、メモリ59に記憶されたプログラムPRGを実行して、本実施形態で規定する室内異常検出装置11の処理を行う。
【0021】
室内異常検出装置11は、居住空間内の濃度センサ13から、当該濃度センサ13が検出した二酸化炭素濃度を示す二酸化炭素濃度データを受信する。
室内異常検出装置11は、当該受信した二酸化炭素濃度データが示す二酸化炭素濃度の単位時間の変化量を検出する。例えば、室内異常検出装置11は、図4及び図5に示すように変化量を検出する。
【0022】
室内異常検出装置11は、上記検出した変化量を基に、居住空間内にいる人の状態を判定する。具体的には、居住空間内にいる人の状態が異常であるかどうかを判定する。当該変化量は変化したパーセンテージを用いてもよい。このように変化量を用いることで、居住者の容態変化を高精度に特定できる。
【0023】
室内異常検出装置11は、所定期間の二酸化炭素の濃度変化を基に、居住空間内の居住者の行動パターンを特定する。
具体的には、濃度センサ13_1~13_4が検出した二酸化炭素濃度の濃度変化量とそのタイミングを基に、居住者(人)が室内12_1~12_4にいる時間帯、いない時間帯、部屋間の移動パターン等を特定する。これにより、居住者が、居住空間にいると推定される時間帯を特定する。
当該移動パターンは、二酸化炭素の濃度、濃度変化量を取得する期間が長いほど、データが多く蓄積され、信頼性を高めることができる。
【0024】
室内異常検出装置11は、居住者が、居住空間に居る時間帯に、室内12_1~12_4のいずれかにおいて、二酸化炭素濃度が生存濃度から非生存濃度に変化した場合に、当該居住者に異常が発生したと判定する。
ここで、生存濃度とは、室内12_1~12_4において、人が生存しているときの二酸化炭素の濃度を予め所定期間検出し、その結果を基に規定された濃度である。
また、非生存濃度は、室内12_1~12_4において、人がいないときの二酸化炭素の濃度を予め所定期間検出し、その結果を基に規定された濃度である。
【0025】
室内異常検出装置11は、上記特定した行動パターン及び二酸化炭素濃度を基に、居住区間に人が一人いるか、複数いるかを特定し、居住空間に一人しかいない状態であることを条件に、異常が発生したと判定する。
【0026】
図4及び図5において、人間が行動している時の二酸化炭素の差分(変化量のみ)がグラフ表記されている。当該グラフの線が激しく動いている時は人間が動いている状態である。
当該状態は、二酸化炭素の濃度でも把握できる。二酸化炭素の濃度と、その変化を基に居住者の行動や室内の空気環境を把握できる。
【0027】
また、室内異常検出装置11は室内の濃度センサが検出した一酸化炭素濃度を受信し、当該一酸化炭素濃度を基に、室内において火災が発生したかを判定するようにしてもよい。
また、コンロの消し忘れや寒い地域のストーブによる一酸化炭素中毒に対する安全機能を発揮する。もちろん火災になればいち早くCO,CO2,温度に著しい変化が生じる。
【0028】
図6は、本発明の実施形態に係る室内異常検出装置11の動作例を説明するためのフローチャート図である。
各ステップについて説明する。
【0029】
ステップST11:
室内異常検出装置11は、居住空間内の濃度センサ13_1~13_4から、当該濃度センサ13_1~13_4が検出した二酸化炭素濃度を示す二酸化炭素濃度データを受信する。
【0030】
ステップST12:
室内異常検出装置11は、ステップST11で受信した二酸化炭素濃度データが示す二酸化炭素濃度の単位時間の変化量を検出する。
室内異常検出装置11は、二酸化炭素濃度又はその変化量を基に、居住空間内に人がいるか否かを判定する。当該判定は、室内12_1~12_4毎に行ってもよい。
室内異常検出装置11は、人がいると判断した場合にはステップST13に進む。
また、室内異常検出装置11は、室内12_1~12_4を持つ居住空間内の濃度センサ13_1~13_4が検出した過去の二酸化炭素濃度又はその変化量を基に、居住空間内に人がいるか否かを判定してもよい。
例えば、 室内異常検出装置11は、過去の二酸化炭素濃度又はその変化量を基に、居住者が居住空間に居る時間帯を特定する(行動パターンを特定する)。当該時間帯は、例えば、所定の確率(90%等)の確率で居住者が居住空間や特定の室内12_1~12_4にいる時間帯を予め特定する。
そして、濃度センサ13_1~13_4が検出した二酸化炭素濃度又はその変化量と、上記特定した居住者が居住空間に居る時間帯とを基に、人(居住者)が居住空間にいるか否かを判定する。
室内異常検出装置11は、居住者が居住空間に居る時間帯であり、且つ二酸化炭素濃度又はその変化量が一定値を超えた場合に、居住空間に人がいると判定する。
【0031】
ステップST13:
室内異常検出装置11は、室内12_1~12_4の二酸化炭素濃度の濃度又は変化量を基に、二酸化炭素濃度が予め規定した人の生存濃度から非生存濃度に変化したことを検出すると、ステップST14に進む。
このとき、人に異常事態が発生したおきに、室内の二酸化炭素濃度がどのように変化するかを基に予め決められた時間変化量で変化したかを基に判断する。
【0032】
ステップST14:
室内異常検出装置11は、居住者の関係者の関係者端末装置21に、居住者に異常が発生したことを通知する。
【0033】
図7は、本発明の実施形態に係る室内異常検出装置11の変形例の動作例を説明するためのフローチャート図である。
図7において、図6と同じ符号を付したステップは前述したステップと同じである
【0034】
ステップST21:
室内異常検出装置11は、ステップST13で、室内の二酸化炭素濃度が予め規定した人の生存濃度から非生存濃度に変化(低下)したことを検出すると、次に、所定の換気が行われたか否かを判定する。
すなわち、室内の二酸化炭素の低下が窓を開けたり、換気扇を駆動させる等の換気が要因であるかを確認する。
このとき、室内異常検出装置11は、検出した室内の二酸化炭素濃度が一定の基準より急速に短時間で低下した場合には、換気が行われたと判定する。
【0035】
ステップST22:
室内異常検出装置11は、ステップST21で換気が行われていないと判断した場合には、ステップST15に進む。
また、室内異常検出装置11は、ステップST21で換気が行われたと判定した場合には、室内12_1~12_4の二酸化炭素の濃度又はその変化を基に、換気による二酸化炭素濃度の低下後に、二酸化炭素が所定の範囲で変動しているか否かを判定し、変動している状態から変動していない状態になったことを検出するとステップST15に進む。
換気をしても、室内に人が生きている場合には、室内の二酸化炭素の濃度は所定の範囲で変動する。そのことを室内異常検出装置11で検出することで、換気が行われた場合でも、室内の人が生存しているか否かを判定できる。
上記変動については、換気をした状態で室内に人がいた場合の変化量(又はその時間経過)を基に判定する。
図8は、窓開け換気をした場合の室内の二酸化炭素の変化を説明するための図である。
図9は、窓開け換気なしの睡眠状態における室内の二酸化炭素の変化を説明するための図である。
なお、室内異常検出装置11は、室内12_1~12_4の窓や玄関の開閉センサの検出情報や、換気装置のオンオフ情報を基に、換気状態を特定してもよい。
【0036】
以上説明したように、室内異常検出装置11によれば、室内12にカメラを設置せずに、濃度センサ13を設置し、濃度センサ13が検出した二酸化炭素の濃度を用いて、室内12の居住者の状態を判定することができる。
そのため、居住者のプライバシーを保護することができる。
【0037】
また、室内12に人がいるか否かによって、室内12の温度、湿度も影響を受ける。また、居住者が、意図的に空調をオンにしたか否かも判定でき、生命監視になる。
また、人が増えれば湿度も上がるので、季節的要因によっての変化もあり、それを検出することで、室内12の状態も把握できる。
室内異常検出装置11は、最終的には上記を総合活用し個別にデータ化し在宅、不在を検知したり、行動パターンを読み取ることができる。
【0038】
例えば、マンションに一人暮らしをしている高齢者の行動パターンは寝室、リビング、外出(トイレ風呂除いた場合)のいずれかである。濃度センサ13の設置箇所をリビングと寝室にしかければプライベートをカメラで見られる事なく安否・生活パターンが確認できる。
【0039】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【0040】
上述した実施形態では、居住空間を例示したが、その他企業の職場空間や病棟、施設等に本発明を適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、室内異常検出システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
11…仕様書検証システム
12…室内
13…二酸化炭素濃度センサ
21…関係者端末装置

【要約】
【課題】居住者等のプライバシーを保護しながら、居住者の身体的な状態を遠隔から判定可能な室内異常検出方法を提供する。
【解決手段】 室内の濃度センサが検出した二酸化炭素濃度を受信する第1の工程と、 前記第1の工程で受信した前記室内の二酸化炭素濃度の濃度変化を検出する第2の工程と、前記第2の工程で検出した濃度変化を基に、前記室内にいる人の状態を判定する第3の工程とをコンピュータが実行する。第3の工程は、所定期間の前記濃度変化を基に、前記人の状態が異常であるかどうかを判定する。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9