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特許7579509画像形成装置、制御方法、およびカートリッジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】画像形成装置、制御方法、およびカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20241031BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20241031BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B41J29/38 204
G03G21/16 176
G03G21/18 182
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020061156
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021160097
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】京谷 忠雄
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-174679(JP,A)
【文献】特開2014-191247(JP,A)
【文献】特開2017-072656(JP,A)
【文献】特開2005-250197(JP,A)
【文献】特開2007-118490(JP,A)
【文献】特開2003-182107(JP,A)
【文献】特開2000-112317(JP,A)
【文献】特開2019-117344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
B41J 2/01 - 2/215
G03G 21/16 - 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
感光体ドラムを含むドラムカートリッジであって、前記ドラムカートリッジが新品であるか、使用済みの製品を示す旧品であるか、を示す情報であるドラム使用状態情報を記憶するドラムメモリを有するドラムカートリッジと、
トナーを収容可能なカートリッジ筐体を有するトナーカートリッジであって、前記トナーカートリッジが新品であるか、使用済みの製品を示す旧品であるか、を示す情報であるトナー使用状態情報を記憶するトナーメモリを有するトナーカートリッジと、
前記ドラムカートリッジおよび前記トナーカートリッジを装着するための開口を有する、本体筐体と、
前記開口を開ける開位置と、前記開口を閉じる閉位置との間を移動可能なカバーと、
前記画像形成に関する処理を実行するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記ドラムカートリッジおよび前記トナーカートリッジが前記本体筐体に装着されたことを検出する装着検出処理と、
前記装着検出処理において、前記ドラムカートリッジが前記本体筐体に装着されたことが検出された場合、前記本体筐体に装着されたドラムカートリッジのドラムメモリに記憶されたドラム使用状態情報を読み出す読み出し処理であって、前記装着検出処理において、前記トナーカートリッジが前記本体筐体に装着されたことが検出された場合、前記本体筐体に装着されたトナーカートリッジのトナーメモリに記憶されたトナー使用状態情報を読み出す読み出し処理と、
前記読み出し処理において読み出したドラム使用状態情報に基づき、前記本体筐体に装着されたドラムカートリッジが新品であるか、旧品であるか、を判定する判定処理であって、前記読み出し処理において読み出したトナー使用状態情報に基づき、前記本体筐体に装着されたトナーカートリッジが新品であるか、旧品であるか、を判定する判定処理と、
前記判定処理において、前記本体筐体に装着されたドラムカートリッジが新品であると判定された場合、前記ドラム使用状態情報を、前記ドラムカートリッジが旧品であることを示す情報に書き替える書き替え処理であって、前記判定処理において、前記本体筐体に装着されたトナーカートリッジが新品であると判定された場合、前記トナー使用状態情報を、前記トナーカートリッジが旧品であることを示す情報に書き替える書き替え処理と、
前記ドラムカートリッジの前記感光ドラムを回転させるウォーミングアップ処理であって、前記トナーカートリッジの前記カートリッジ筐体に収容されたトナーを使用するウォーミングアップ処理と、を実行し、
前記ドラム使用状態情報を、前記ドラムカートリッジが旧品であることを示す情報に書き替える場合、前記書き替え処理は、前記ウォーミングアップ処理において、前記ドラムカートリッジの前記感光ドラムを回転させる前に実行される処理であり、
前記トナー使用状態情報を、前記トナーカートリッジが旧品であることを示す情報に書き替える場合、前記書き替え処理は、前記ウォーミングアップ処理において、前記トナーカートリッジの前記カートリッジ筐体に収容されたトナーを使用する前に実行される処理であることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、管理装置と通信する通信部をさらに備え、
前記コントローラは、
前記ドラム使用状態情報を、前記ドラムカートリッジが旧品であることを示す情報に書き替える前記書き替え処理の後に、前記管理装置からのリクエストに応じて、前記通信部を介して、新品の前記ドラムカートリッジを検出したことを前記管理装置に通知する通知処理であって、前記トナー使用状態情報を、前記トナーカートリッジが旧品であることを示す情報に書き替える前記書き替え処理の後に、前記管理装置からのリクエストに応じて、前記通信部を介して、新品の前記トナーカートリッジを検出したことを前記管理装置に通知する通知処理を実行することを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、前記本体筐体に新品の前記ドラムカートリッジが装着された回数を新品ドラム検出回数として記憶する第2メモリであって、前記本体筐体に新品の前記トナーカートリッジが装着された回数を新品トナー検出回数として記憶する第2メモリをさらに備え、
前記コントローラは、
前記ドラム使用状態情報を、前記ドラムカートリッジが旧品であることを示す情報に書き替える前記書き替え処理の後に、前記第2メモリに記憶された前記新品ドラム検出回数をインクリメントする更新処理であって、前記トナー使用状態情報を、前記トナーカートリッジが旧品であることを示す情報に書き替える前記書き替え処理の後に、前記第2メモリに記憶された前記新品トナー検出回数をインクリメントする更新処理を実行し、
前記通知処理は、前記管理装置からのリクエストに応じて、前記通信部を介して、前記新品ドラム検出回数および前記新品トナー検出回数を前記管理装置に通知することを特徴とする、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記画像形成装置の電源がオンされた、または、前記カバーにより前記開口が閉じられたことをトリガとして、前記装着検出処理を実行することを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成装置を制御する制御方法であって、
感光体ドラムを含むドラムカートリッジと、トナーを収容可能なカートリッジ筐体を有するトナーカートリッジと、が画像形成装置の本体筐体に装着されたことに応じて、前記ドラムカートリッジが有するドラムメモリに記憶された、前記ドラムカートリッジが新品であるか、使用済みの製品を示す旧品であるか、を示す情報であるドラム使用状態情報を読み出す読み出し工程であって、前記トナーカートリッジが有するトナーメモリに記憶された、前記トナーカートリッジが新品であるか、使用済みの製品を示す旧品であるか、を示す情報であるトナー使用状態情報を読み出す読み出し工程と、
前記読み出し工程において読み出したドラム使用状態情報に基づき、前記本体筐体に装着されたドラムカートリッジが新品であるか、旧品であるか、を判定する判定工程であって、前記読み出し工程において読み出したトナー使用状態情報に基づき、前記本体筐体に装着されたトナーカートリッジが新品であるか、旧品であるか、を判定する判定工程と、
前記判定工程において、前記本体筐体に装着されたドラムカートリッジが新品であると判定された場合、前記ドラム使用状態情報を、前記ドラムカートリッジが旧品であることを示す情報に書き替える書き替え工程であって、前記判定工程において、前記本体筐体に装着されたトナーカートリッジが新品であると判定された場合、前記トナー使用状態情報を、前記トナーカートリッジが旧品であることを示す情報に書き替える書き替え工程と、
前記ドラムカートリッジの前記感光ドラムを回転させるウォーミングアップ工程であって、前記トナーカートリッジの前記カートリッジ筐体に収容されたトナーを使用するウォーミングアップ工程と、を含み、
前記ドラム使用状態情報を、前記ドラムカートリッジが旧品であることを示す情報に書き替える場合、前記書き替え工程は、前記ウォーミングアップ工程において、前記ドラムカートリッジの前記感光ドラムを回転させる前に実行される工程であり、
前記トナー使用状態情報を、前記トナーカートリッジが旧品であることを示す情報に書き替える場合、前記書き替え工程は、前記ウォーミングアップ工程において、前記トナーカートリッジの前記カートリッジ筐体に収容されたトナーを使用する前に実行される工程であることを特徴とする、画像制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置、制御方法、およびカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の画像形成装置は、画像形成のためにカートリッジを使用する。カートリッジには、インクまたはトナーが収容されている。インクまたはトナーは、画像形成の度に消費される。インクまたはトナーの残量が無くなると、インクカートリッジまたはトナーカートリッジの交換が必要となる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の技術では、画像形成装置のコントローラは、新品のカートリッジが画像形成装置に装着されると、トリガイベントの発生を監視する。トリガイベントが発生した場合、コントローラは、画像形成装置に装着されたカートリッジのメモリに記憶された、カートリッジの状態を示すデータを、使用済みの製品の状態であることを示すデータに書き替える。ここで、「トリガイベント」とは、カートリッジを使用する、またはカートリッジを使用したことを示すイベントである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開2004/0207865号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、新品のカートリッジが実際に使用されるときではなく、新品のカートリッジが画像形成装置に装着されたタイミングで、画像形成装置に、装着されたカートリッジが新品から旧品になったと認識させたい、という需要も存在する。
【0006】
本開示は、新品のカートリッジが画像形成装置に装着されたタイミングで、画像形成装置に、装着されたカートリッジのメモリに記憶された使用状態情報を、旧品に書き替えさせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の第1態様の画像形成装置は、画像形成装置であって、画像形成を行うために使用される材料または部品を含むカートリッジであって、前記カートリッジが新品であるか、使用済みの製品を示す旧品であるか、を示す情報である使用状態情報を記憶する第1メモリを有するカートリッジを装着するための開口を有する、本体筐体と、前記開口を開ける開位置と、前記開口を閉じる閉位置との間を移動可能なカバーと、前記画像形成に関する処理を実行するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記カートリッジが前記本体筐体に装着されたことを検出する装着検出処理と、前記装着検出処理において、前記カートリッジが前記本体筐体に装着されたことが検出された場合、前記本体筐体に装着されたカートリッジの第1メモリに記憶された使用状態情報を読み出す読み出し処理と、前記読み出し処理において読み出した使用状態情報に基づき、前記本体筐体に装着されたカートリッジが新品であるか、旧品であるか、を判定する判定処理と、前記判定処理において、前記本体筐体に装着されたカートリッジが新品であると判定された場合、前記使用状態情報を、前記カートリッジが旧品であることを示す情報に書き替える書き替え処理と、を実行し、前記書き替え処理は、前記コントローラが印刷指令を受ける前であって、且つ、前記カートリッジの前記材料または前記部品を消費する前に実行される処理であることを特徴とする。
【0008】
第2態様は、第1態様の画像形成装置であって、前記画像形成装置は、管理装置と通信する通信部をさらに備え、前記コントローラは、前記書き替え処理の後に、前記管理装置からのリクエストに応じて、前記通信部を介して、新品の前記カートリッジを検出したことを前記管理装置に通知する通知処理を実行する。
【0009】
第3態様は、第2態様の画像形成装置であって、前記画像形成装置は、前記本体筐体に新品の前記カートリッジが装着された回数を新品検出回数として記憶する第2メモリをさらに備え、前記コントローラは、前記書き替え処理の後に、前記第2メモリに記憶された前記新品検出回数をインクリメントする更新処理を実行し、前記通知処理は、前記管理装置からのリクエストに応じて、前記通信部を介して、前記新品検出回数を前記管理装置に通知する。
【0010】
第4態様は、第1態様から第3態様のいずれか1つの画像形成装置であって、前記コントローラは、前記画像形成装置の電源がオンされた、または、前記カバーにより前記開口が閉じられたことをトリガとして、前記装着検出処理を実行する。
【0011】
第5態様の制御方法は、画像形成装置を制御する制御方法であって、画像形成を行うために使用される材料または部品を含むカートリッジが、画像形成装置の本体筐体に装着されたことに応じて、前記本体筐体に装着された前記カートリッジが有する第1メモリに記憶された、前記カートリッジが新品であるか、使用済みの製品を示す旧品であるか、を示す情報である使用状態情報を読み出す読み出し工程と、前記読み出し工程において読み出した使用状態情報に基づき、前記本体筐体に装着されたカートリッジが新品であるか、旧品であるか、を判定する判定工程と、前記判定工程において、前記本体筐体に装着されたカートリッジが新品であると判定された場合、前記使用状態情報を、前記カートリッジが旧品であることを示す情報に書き替える書き替え工程と、を含み、前記書き替え工程は、前記画像形成装置が印刷指令を受ける前であって、且つ、前記カートリッジの前記材料または前記部品を消費する前に実行される工程であることを特徴とする。
【0012】
第6態様のカートリッジは、画像形成を行うために使用される材料または部品を含むカートリッジ筐体と、前記カートリッジが新品であるか、使用中の製品または使用済みの製品である旧品であるか、を示す情報である使用状態情報を記憶する第1メモリと、を備え、前記使用状態情報は、前記画像形成を行うための画像形成装置に前記カートリッジが装着された場合に、前記カートリッジが新品であることを示す情報から、前記カートリッジが旧品であることを示す情報へ書き替えられ、前記書き替えは、前記画像形成装置のコントローラが印刷指令を受ける前であって、且つ、前記カートリッジの前記材料または前記部品を消費する前に実行されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1態様の画像形成装置によれば、本体筐体へ新品のカートリッジが装着されてから、カートリッジの材料または部品が消費されるまでの間に、カートリッジのメモリに記憶された使用状態情報が書き替えられる。したがって、画像形成装置は、カートリッジの材料または部品が装着後すぐには消費または消耗されない場合であっても、新品のカートリッジの使用状態情報を、旧品を示す情報に書き替えることができる。
【0014】
第2態様の画像形成装置によれば、管理装置に、新品のカートリッジを検出したことを通知することができる。
【0015】
第3態様の画像形成装置によれば、新品検出回数を計測して第2メモリに記憶させるとともに、計測した新品検出回数を管理装置に通知する。これにより、管理装置で、画像形成装置の新品検出回数を管理することができる。
【0016】
第4態様の画像形成装置によれば、電源オンまたはカバー閉という、画像形成装置の動作に必須の動作をトリガとして、装着検出処理を実行する。これにより、新品のカートリッジが画像形成装置に装着されたことを、漏れなく検出することができる。
【0017】
第5態様の制御方法によれば、本体筐体へ新品のカートリッジが装着されてから、カートリッジの材料または部品が消費されるまでの間に、カートリッジのメモリに記憶された使用状態情報が書き替えられる。したがって、画像形成装置は、カートリッジの材料または部品が装着後すぐには消費または消耗されない場合であっても、新品のカートリッジの使用状態情報を、旧品を示す情報に書き替えることができる。
【0018】
第6態様のカートリッジによれば、画像形成装置にカートリッジが装着されてから、カートリッジの材料または部品が消費されるまでの間に、カートリッジのメモリに記憶された使用状態情報が書き替えられる。したがって、材料または部品を画像形成装置への装着後すぐに消費または消耗しない場合であっても、カートリッジの使用状態情報は、旧品を示す情報に書き替えられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の一実施形態の画像形成装置の概略図である。
図2】画像形成装置、ドラムカートリッジ、トナーカートリッジ、およびサーバの内部構造と、各部材の接続関係を示す図である。
図3】上記画像形成装置のコントローラが実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図4】上記コントローラが実行する新品検出処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔実施形態1〕
以下、本開示の実施形態について図1~4を参照しつつ説明する。本実施形態では、一例として、画像形成装置がレーザープリンタである場合について説明する。しかしながら、画像形成装置1は、レーザープリンタ以外のプリンタであってもよい。例えば、画像形成装置1は、インクジェットプリンタであってもよい。
【0021】
図1は、画像形成装置1の概略図である。図1には、画像形成装置1と通信するサーバ40も併せて記載している。サーバ40は、管理装置の一例である。図2は、画像形成装置1、ドラムカートリッジ20、トナーカートリッジ30、およびサーバ40の内部構造と、各部材の接続関係を示す図である。
【0022】
≪画像形成装置の構造概要≫
画像形成装置1は、電子写真方式のプリンタである。画像形成装置1の例としては、LEDプリンタが挙げられる。
【0023】
図1および図2に示すように、画像形成装置1は、本体筐体10と、カバー11と、転写ベルト70と、コントローラ80とを備えている。また、画像形成装置1には、カートリッジの一例としてのドラムカートリッジ20と、カートリッジの一例としてのトナーカートリッジ30と、が装着される。
【0024】
なお、本実施形態の画像形成装置1では、画像形成を行うために、それぞれ4個ずつのドラムカートリッジ20およびトナーカートリッジ30の装着が必要であることとする。しかしながら、本開示の画像形成装置に装着されるドラムカートリッジ20およびトナーカートリッジ30の個数は限定されない。
【0025】
画像形成装置1は、各ドラムカートリッジ20に対応した光源ユニット50を備える。つまり、画像形成装置1は、4つの光源ユニット50を備える。トナーカートリッジ30は、ドラムカートリッジ20に装着されることで、ドラムカートリッジ20と一体となる。つまり、トナーカートリッジ30は、トナーカートリッジ30がドラムカートリッジ20に装着された状態で、ドラムカートリッジ20と共に、本体筐体10へ装着される。
【0026】
本体筐体10は、例えば矩形の箱状に形成されている。4つのドラムカートリッジ20、4つのトナーカートリッジ30、転写ベルト70、およびコントローラ80は、本体筐体10に収容される。本体筐体10は、4つのカートリッジ保持部13を有する。カートリッジ保持部13は、凹状に形成されており、開口を有する。ドラムカートリッジ20およびトナーカートリッジ30は、カートリッジ保持部13のそれぞれに保持されることで本体筐体10に装着される。
【0027】
本体筐体10の外表面には、液晶ディスプレイやランプなどの表示部、および、ボタンなどの入力部が設けられていてもよい。液晶ディスプレイは、タッチパネルと一体に構成されることにより、入力部として機能するように構成されてもよい。
【0028】
カバー11は、本体筐体10の上端に設けられた開口10Aを開閉する。カバー11は、図1において実線で示す開口10Aを開ける開位置と、図1において二点鎖線で示す開口10Aを閉じる閉位置との間で、第1方向に延びる回動軸11Aを中心に回動可能(移動可能)である。なお、「第1方向」とは、トナーカートリッジにおける現像ローラの回転中心軸(現像軸)が延びる方向を示す。カバー11が開位置に配置されたときには、カートリッジ保持部13のそれぞれの開口が開放される。カバー11が閉位置に配置されたときには、カートリッジ保持部13のそれぞれの開口が、カバー11により覆われる。
【0029】
本体筐体10には、開口10Aに図示しない閉センサが設けられている。閉センサは、カバー11が閉位置にあることを検知するセンサである。閉センサは、例えば、接触型のセンサであってもよいし、光学型のセンサであってもよい。
【0030】
≪ドラムカートリッジ≫
ドラムカートリッジ20は、本体筐体10に装着可能なカートリッジ筐体を有している。カートリッジ筐体は、画像形成を行うために使用される部品として、感光体ドラム21を含む。感光体ドラム21は、使用に伴って、表面の磨耗などの劣化が生じるために交換が必要となる交換部品である。感光体ドラム21は、第1方向に延びる円筒状の感光体である。感光体ドラム21は、第1方向に延びるドラム軸を中心に回転可能である。感光体ドラム21の外周面は、感光材料に覆われている。
【0031】
また、ドラムカートリッジ20は、第1メモリの一例としてのドラムメモリ22を有している。ドラムメモリ22は、情報の読み出しおよび書き込みが可能なメモリである。ドラムメモリ22は、例えばフラッシュROM(Read Only Memory)またはEEPROM(登録商標,Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)である。
【0032】
ドラムメモリ22は、ドラムカートリッジ20の感光体ドラム21に関する情報を記憶するために、第1領域221と、第2領域222と、第3領域223と、を有している。第1領域221は、ドラムIDを記憶している。第2領域222は、ドラム寿命情報を記憶している。第3領域223は、使用状態情報の一例としてのドラム使用状態情報を記憶している。
【0033】
ドラムIDは、個々のドラムカートリッジ20を識別するための固有のシリアルナンバーである。ドラム寿命情報は、感光体ドラム21の寿命を示す情報である。ドラム寿命情報は、例えば、感光体ドラム21の累積回転数、および、感光体ドラム21を用いての累積印刷枚数のうち少なくとも1つである。感光体ドラム21の累積回転数は、ドラムIDにより特定されるドラムカートリッジ20において、印刷の度にインクリメントまたはデクリメントされて算出される。また、感光体ドラム21を用いての累積印刷枚数は、ドラムIDにより特定されるドラムカートリッジ20において、印刷の度にインクリメントまたはデクリメントされて算出される。
【0034】
ドラム使用状態情報は、ドラムカートリッジ20が新品であるか、使用済みの製品を示す旧品であるか、を示す情報である。なお、本開示において「使用済みの製品」とは、あくまで新品(すなわち、未使用)でない製品全てを示す。すなわち、「使用済みの製品」とは、感光体ドラム21の寿命が無くなるまで使い切ったドラムカートリッジ20だけではなく、新品ではないが、感光体ドラム21の寿命がまだ残っている使用中のドラムカートリッジ20のことも指している。
【0035】
ドラムメモリ22は、ドラムID、ドラム寿命情報、およびドラム使用状態情報以外に、次のような情報を記憶していてもよい。すなわち、ドラムメモリ22は、ドラムカートリッジ20の適合機種、ドラムカートリッジ20の仕様、ドラムカートリッジ20が純正品であるか否かを示す情報、ドラムカートリッジ20のエラー履歴などの情報を記憶していてもよい。
【0036】
≪トナーカートリッジ≫
トナーカートリッジ30は、現像ローラ31と、印刷材の一例としての現像剤、例えばトナーとを収容可能なカートリッジ筐体を有する。カートリッジ筐体は、本体筐体10に装着可能である。4つのトナーカートリッジ30は、画像形成を行うために使用される材料として、互いに異なる色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各色)の現像剤を収容する。現像材は、使用に伴ってなくなる消耗品である。現像ローラ31は、第1方向に延びる円筒状の部材であり、第1方向に延びる現像軸を中心に回転可能である。トナーカートリッジ30がドラムカートリッジ20に装着されると、感光体ドラム21の外周面は、現像ローラ31の外周面と接触する。
【0037】
また、トナーカートリッジ30は、第1メモリの一例としてのトナーメモリ32を有する。トナーメモリ32は、トナーカートリッジ30の第1方向における一方側の外表面に配置される。トナーメモリ32は、情報の読み出しおよび書き込みが可能なメモリ、例えば、フラッシュROMまたはEEPROM(登録商標)である。
【0038】
トナーメモリ32は、トナーカートリッジ30に関する情報を記憶するために、第1領域321と、第2領域322と、第3領域323と、を有している。第1領域321は、トナーIDを記憶している。第2領域322は、トナー寿命情報を記憶している。第2領域は、書き替え可能なデータであってよい。第3領域323は、使用状態情報の一例としてのトナー使用状態情報を記憶している。
【0039】
トナーIDは、例えば、個々のトナーカートリッジ30を識別するための固有のシリアルナンバーである。トナー寿命情報は、現像ローラ31の寿命を示す情報である。トナー寿命情報は、例えば、現像ローラ31の累積回転数、現像ローラ31を用いての累積印刷枚数、および、現像ローラ31を用いての累積ドット数のうち、少なくとも1つである。
【0040】
現像ローラ31の累積回転数は、トナーIDにより特定される1つのトナーカートリッジにおいて、印刷の度にインクリメントまたはデクリメントされて算出される。現像ローラ31を用いての累積印刷枚数は、トナーIDにより特定される1つのトナーカートリッジ30において、印刷の度にインクリメントまたはデクリメントされて算出される。現像ローラ31を用いての累積ドット数は、トナーIDにより特定される1つのトナーカートリッジ30において、印刷の度にインクリメントまたはデクリメントされて算出される。
【0041】
トナー使用状態情報は、トナーカートリッジ30が新品であるか、使用済みの製品を示す旧品であるか、を示す情報である。なお、ドラム使用状態情報と同様、トナー使用状態情報においても、「使用済みの製品」とは、新品ではないが、現像ローラ31の寿命がまだ残っている使用中のトナーカートリッジ30のことも指している。
【0042】
≪カートリッジの装着と印刷機構≫
図1に示すように、ドラムカートリッジ20およびトナーカートリッジ30は、カバー11が開位置に配置された状態で、本体筐体10に装着される。この状態で、ドラムカートリッジ20およびトナーカートリッジ30は、開口10Aからカートリッジ保持部13に挿入される。
【0043】
本体筐体10は、コネクタ101とコネクタ102とを有する。ドラムカートリッジ20がカートリッジ保持部13に挿入された状態で、コネクタ101がドラムメモリ22と電気的に接続されることより、本体筐体10のコントローラ80がドラムカートリッジ20のドラムメモリ22と通信可能になる。
【0044】
トナーカートリッジ30が本体筐体10に装着された状態で、コネクタ102がトナーメモリ32と電気的に接続されることより、本体筐体10のコントローラ80がトナーカートリッジ30のトナーメモリ32と通信可能になる。
【0045】
4つの光源ユニット50は、カバー11の内表面に取り付けられている。光源ユニット50は、本体筐体10にドラムカートリッジ20が装着されて、カバー11が閉位置にある状態で、感光体ドラム21の表面と向かい合って配置されている。また、光源ユニット50は、第1方向に配列された複数の光源を有する。光源は、感光体ドラム21の外周面に、光を照射可能である。光源は、例えばLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)である。
【0046】
光源ユニット50は、コントローラ80と電気的に接続されている。コントローラ80は、入力された画像データに応じて、光源ユニット50の複数の光源を発光させる。これにより、光源は、感光体ドラム21の外周面に向けて光を照射する。その結果、感光体ドラム21の外周面の感光材料が、画像データに応じて露光される。
【0047】
転写ベルト70は、感光体ドラムの表面にある現像剤(例えば、トナー)を、印刷用紙へ転写する部品である。転写ベルト70は、使用に伴って、表面の磨耗などの劣化が生じるために交換が必要となる交換部品である。転写ベルト70は、感光体ドラム21と接触可能なベルトであって、環状(無端帯)である。感光体ドラム21の外周面は、転写ベルト70の外周面と接触可能である。印刷処理時には、印刷用紙が、転写ベルト70と感光体ドラム21との間へ搬送される。
【0048】
転写ベルト70は、駆動ローラ71と従動ローラ72との間に掛け渡されている。駆動ローラ71は、転写ベルト70を駆動する。コントローラ80は、駆動ローラ71を回転させる。従動ローラ72は、駆動ローラ71の駆動に伴う転写ベルト70の移動に従い、回転する。
【0049】
≪本体筐体の内部構造≫
コントローラ80は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)を有する。コントローラ80は、本体筐体10に設けられた本体メモリ15および通信部81と電気的に接続されている。本体メモリ15は、第2メモリの一例である。コントローラ80は、種々の処理を実行することによって、画像形成装置1に印刷処理およびそれに付随する処理を行わせる。
【0050】
なお、コントローラ80は、CPU等のプロセッサを備えてもよい。この場合、本体メモリ15に、画像形成制御方法を実現する制御プログラムが保存され、プロセッサが制御プログラムにしたがって動作することによって、コントローラ80が画像形成装置1に印刷処理を行わせてもよい。
【0051】
また、コントローラ80は、制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えていてもよい。当該記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、制御プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを利用してもよい。また、制御プログラムは、当該制御プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本開示の一態様は、制御プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0052】
ドラムカートリッジ20およびトナーカートリッジ30が本体筐体10のカートリッジ保持部13に装着されると、図2に示すように、ドラムメモリ22およびトナーメモリ32は、コントローラ80と電気的に接続される。これにより、コントローラ80は、ドラムメモリ22およびトナーメモリ32からの情報の読出処理と、ドラムメモリ22およびトナーメモリ32への情報の書込処理(書替処理を含む)とを実行することが可能となる。
【0053】
本体メモリ15は、情報の読み出しおよび書き込みが可能なメモリである。本体メモリ15は、例えばフラッシュROMまたはEEPROM(登録商標)である。本体メモリ15は、登録情報を記憶する領域151と、寿命情報を記憶する領域152と、使用状態情報を記憶する領域153と、を有する。
【0054】
登録情報は、ドラムメモリ22から読み出されるドラムIDと、トナーメモリ32から読み出されるトナーIDとを含む。
【0055】
寿命情報は、ドラム寿命情報とトナー寿命情報とを含む。ドラム寿命情報は、ドラムメモリ22に記憶されるドラム寿命情報と同じく、例えば、感光体ドラム21の累積回転数、および、感光体ドラム21を用いての累積印刷枚数のうち少なくとも1つである。トナー寿命情報は、トナーメモリ32に記憶されるトナー寿命情報と同じく、例えば、現像ローラ31の累積回転数、現像ローラ31を用いての累積印刷枚数、および、現像ローラ31を用いての累積ドット数のうち、少なくとも1つである。
【0056】
使用状態情報は、ドラム使用状態情報と、トナー使用状態情報とを含む。ドラム使用状態情報は、ドラムカートリッジ20に記憶されるドラム使用状態情報と同じく、ドラムカートリッジ20が新品であるか、旧品であるか、を示す情報である。トナー使用状態情報は、トナーカートリッジ30に記憶されるトナー使用状態情報と同じく、トナーカートリッジ30が新品であるか、旧品であるか、を示す情報である。
【0057】
また、本体メモリ15は、プリンタIDを記憶する領域154を有していてもよい。プリンタIDは、画像形成装置1を識別するための識別情報である。プリンタIDとは、例えば画像形成装置のシリアルナンバーである。
【0058】
また、本体メモリ15は、ドラム新品検出回数を記憶する領域155と、トナー新品検出回数を記憶する領域156とを有していてもよい。ドラム新品検出回数は、本体筐体10に新品のドラムカートリッジ20が装着された回数を示す情報である。トナー新品検出回数は、本体筐体10に新品のトナーカートリッジ30が装着された回数を示す情報である。
【0059】
本体メモリ15は、カートリッジ保持部13毎の、新品のドラムカートリッジ20が装着された回数を、ドラム新品検出回数として記憶していてもよい。また、本体メモリ15は、計4つのカートリッジ保持部13に新品のドラムカートリッジ20が装着された回数の合計をドラム新品検出回数として記憶していてもよい。
【0060】
また、本体メモリ15は、カートリッジ保持部13毎の、新品のトナーカートリッジ30が装着された回数を、トナー新品検出回数として記憶していてもよい。また、本体メモリ15は、計4つのカートリッジ保持部13に新品のトナーカートリッジ30が装着された回数の合計を、トナー新品検出回数として記憶していてもよい。
【0061】
通信部81は、画像形成装置1とサーバ40との通信を行う通信インタフェースである。通信部81は、サーバ40から受信したリクエストをコントローラ80に出力する。ここで、「リクエスト」とは、画像形成装置1に状態データを要求するためのリクエストである。通信部81は、コントローラ80から入力された状態データをサーバ40に送信する。ここで、「状態データ」とは、画像形成装置1の稼働状態に関するデータであって、少なくともプリンタの識別情報と、新品検出回数を含むデータである。本実施形態では、状態データは、少なくとも、プリンタIDと、ドラム新品検出回数と、トナー新品検出回数とを含んでいる。状態データは、他にも、画像形成装置1における累計印刷枚数、および、各カートリッジ交換時点からの印刷枚数等の情報を含んでいてもよい。
【0062】
≪サーバ≫
サーバ40は、画像形成装置1の稼働状態を管理する管理装置である。サーバ40は、サーバ通信部41と、サーバメモリ42と、サーバ制御部43を備えている。サーバ通信部41は、サーバ40と画像形成装置1との通信を行う通信インタフェースである。サーバ通信部41は、サーバ制御部43から入力されたリクエストを画像形成装置1に送信する。サーバ通信部41は、送信したリクエストに応じて画像形成装置1から送られてきた状態データを受信し、サーバ制御部43に出力する。
【0063】
サーバ制御部43は、サーバ40を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)である。サーバ制御部43は所定のタイミングで、画像形成装置1に状態データを要求するためのリクエストを作成し、作成したリクエストをサーバ通信部41に出力する。
【0064】
また、サーバ制御部43は、サーバ通信部41を介して受信した状態データを、サーバメモリ42に記憶させる。より詳細には、サーバ制御部43は、送信された状態データを、送信元である画像形成装置のプリンタ情報としてサーバメモリ42に記憶させる。
【0065】
サーバメモリ42は、サーバ40の動作に必要なデータを記憶する記憶装置である。サーバメモリ42は、プリンタ情報を記憶する領域421を有している。プリンタ情報とは、画像形成装置1に関する種々の情報をまとめたデータである。プリンタ情報は、画像形成装置1の1台ごとに分けて記憶される。プリンタ情報は少なくとも、プリンタIDと状態データを含んでいる。他にも、プリンタ情報は、例えば、画像形成装置1の型番、製造年月日、画像形成装置1がサブスクリプション契約済の装置であるか否かを示す情報等を含んでいてもよい。
【0066】
≪画像形成装置の処理の流れ≫
図3は、画像形成装置1における処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、以降の説明では、ドラムカートリッジ20およびトナーカートリッジ30をまとめて「カートリッジ」とも称する。
【0067】
画像形成装置1のコントローラ80は、電源がオン状態にされた場合、または、画像形成装置1のカバー11が閉じられたことをトリガとして(S1でYES)、カートリッジが本体筐体10に装着されたことを検出する装着検出処理を実行する。装着検出処理の方法自体は、特に限定されない。例えば、カートリッジ保持部13に、カートリッジの装着を検知するセンサを設けておいてもよい。カートリッジの装着を検知するセンサを設けた場合、コントローラ80は、センサの検知結果を受信し、検知結果から、カートリッジが本体筐体10に装着されたことを検出してもよい。また、コントローラ80がトナーメモリ32またはドラムメモリ22と電気的に接続されたことに基づいて、コントローラ80は、カートリッジが本体筐体10に装着されたと検出してもよい。コントローラ80が本体筐体10へのカートリッジの装着を検出した場合(S2でYES)、コントローラ80は、新品検出処理を実行する(S3)。一方、コントローラ80が本体筐体10へのカートリッジの装着を検出しなかった場合(S2でNO)、コントローラ80は、カートリッジ無しの旨をエラーとしてユーザに報知する(S4)。例えば、コントローラ80は、画像形成装置1の表示部にメッセージを表示させることで、ユーザにエラーを報知する。
【0068】
≪新品検出処理≫
図4は、新品検出処理の流れの一例を示すフローチャートである。新品検出処理において、コントローラ80はまず、本体筐体10に装着されたカートリッジのメモリに記憶された使用状態情報を読み出す読み出し処理を実行する(S101)。本実施形態では、コントローラ80は、ドラムカートリッジ20のドラムメモリ22に記憶された、ドラム使用状態情報を読み出す。また、本実施形態では、コントローラ80は、トナーカートリッジ30のトナーメモリ32に記憶された、トナー使用状態情報を読み出す。
【0069】
次に、コントローラ80は、読み出した各カートリッジの使用状態情報に基づいて、各カートリッジが新品であるか、旧品であるかを判定する判定処理を実行する(S102、S103、S106)。なお、S102以降の処理は全て、使用状態情報毎に、すなわち、カートリッジ毎に実行される。具体的には、コントローラ80は、各カートリッジの使用状態情報について、それぞれ、使用状態情報が新品を示すか否かを判定する(S102)。本実施形態では、コントローラ80は、4個のドラムカートリッジ20のドラム使用状態情報と、4個のトナーカートリッジ30のトナー使用状態情報、それぞれが新品を示すか否かを判定する。
【0070】
使用状態情報が新品を示す情報でない場合(S102でNO)、コントローラ80は、使用状態情報に対応するカートリッジは旧品であると判定し(S106)、新品検出処理を終了する。一方、使用状態情報が新品を示す情報である場合(S102でYES)、コントローラ80は、使用状態情報に対応するカートリッジは新品であると判定する(S106)。
【0071】
カートリッジが新品であると判定した場合、コントローラ80は、新品であると判定したカートリッジの使用状態情報を、旧品であることを示す情報に書き替える書き替え処理を実行する(S104)。書き替え処理の後、コントローラ80は、本体メモリ15に記憶された新品検出回数をインクリメントする更新処理を実行する(S105)。更新処理において、新品と判定したカートリッジがドラムカートリッジ20であれば、コントローラ80は、ドラム新品検出回数を1つインクリメントする。また、新品と判定したカートリッジがトナーカートリッジ30であれば、コントローラ80は、トナー新品検出回数を1つインクリメントする。これにより、全カートリッジについての新品検出処理が終了するときには、本体メモリ15のドラム新品検出回数と、トナー新品検出回数とは、それぞれ、新品のカートリッジが検出された回数分だけインクリメントされた状態になる。なお、画像形成装置1がサーバ40に新品検出回数を送信しない仕様である場合、新品検出処理において、S105の処理は実行しなくてもよい。
【0072】
再び図3に戻り説明する。新品検出処理(S3)が終了すると、コントローラ80は、カートリッジのウォーミングアップに関する処理を実行する(S5)。これにより、カートリッジが使用可能な状態になる。なお、ウォーミングアップに関する処理は、画像形成装置1の仕様によっては、実行しなくてもよい。また、ウォーミングアップに関する処理は、トナーカートリッジ30またはドラムカートリッジ20を使用して、トナーカートリッジ30の現像剤を使用する処理、または、感光体ドラム21を回転する処理を含んでもよい。
【0073】
その後、コントローラ80は印刷指令を受けるまで待機する(S6でNO)。本体筐体10の入力部等を介してユーザが印刷を指示すると、コントローラ80は印刷指令を受け付ける。コントローラ80は印刷指令を受けると(S6でYES)、印刷処理を実行する(S7)。
【0074】
以上の処理によれば、画像形成装置1は、電源オンまたはカバー閉という、画像形成装置の動作に必須の動作をトリガとして、装着検出処理を実行する。これにより、新品のカートリッジが画像形成装置に装着されたことを、漏れなく検出することができる。
【0075】
以上の処理によれば、画像形成装置1は、本体筐体10への新品のカートリッジの装着を検出してから(S2でYES)、ウォーミングアップ(S5)または実際の印刷処理(S7)が行われる前までに、カートリッジの新品検出処理を行って、カートリッジが新品である場合は、使用状態情報を旧品に書き替える(S3)。
【0076】
すなわち、画像形成装置1は、本体筐体10へ新品のカートリッジが装着されてから、カートリッジの材料または部品が消費されるまでの間に、カートリッジのメモリに記憶された使用状態情報を書き替える。したがって、画像形成装置1は、カートリッジの材料または部品が装着後すぐには消費または消耗されない場合であっても、新品のカートリッジの使用状態情報を、旧品を示す情報に書き替えることができる。
【0077】
従来、カートリッジが新品か旧品であるかの判定処理を、実際にカートリッジが使用されるタイミングで行う技術が存在する。本実施形態の画像形成装置1は、実際にカートリッジが使用されるタイミングで判定処理を行う従来技術に比べて、有利な効果を得ることができる。
【0078】
例えば、従来技術の場合、画像形成装置1およびカートリッジの仕様によっては、カートリッジが開封され装着されたタイミングと、該カートリッジが実際に使用されるタイミングとに時間差が生じる場合がある。具体的には、カートリッジを装着してすぐにウォーミングアップ動作を行わないような画像形成装置1であれば、前述の時間差が起こり得る。
【0079】
また、例えばウォーミングアップまたは実際の印刷実行を、カートリッジが新品か旧品であるかの判定処理を行うトリガとなるイベントとした場合、画像形成装置1が動作しているときに、カートリッジのメモリに記憶された使用状態情報を書き替えることになる。そのため、画像形成装置1の動作が原因で起こる振動等の影響を受けて、メモリの書き替えエラーが生じる虞がある。
【0080】
これに対し、本実施形態の画像形成装置1であれば、画像形成装置1およびカートリッジの仕様に関わらず、新品のカートリッジの検出回数を正確にカウントすることができる。
【0081】
また、従来、ドラムカートリッジまたはトナーカートリッジに新品検出用のギアを設けておき、例えば新品のカートリッジの場合に起こるギア回転をセンサ等で検出することで、新品のカートリッジを検出する技術が存在する。本実施形態の画像形成装置1は、ギア回転をセンサで検出する従来技術に比べても、有利な効果を奏する。
【0082】
例えば、ギア回転をセンサで検出する従来技術の場合、旧品のドラムカートリッジまたはトナーカートリッジを一度画像形成装置1から取り外し、カートリッジの一度回転したギアを取り付け直すことができる。そして、ギアを取り付け直したカートリッジを再度、画像形成装置1に装着した場合、再びギア回転が起こるため、画像形成装置1は装着されたカートリッジを再び「新品」と認識してしまう。
【0083】
これに対し、本実施形態の画像形成装置1であれば、カートリッジの装着が検出されると、カートリッジのメモリ内の使用状態情報が書き替えられる。したがって、カートリッジを取り外して画像形成装置1に再装着した場合でも、従来技術のように、新品とダブルカウントされることはない。したがって、本実施形態の画像形成装置1は、新品のカートリッジの検出回数を正確にカウントすることができる。
【0084】
≪サーバでの新品検出回数の管理≫
なお、図3および図4に示した処理とは別の、所定のタイミングで、サーバ40は、画像形成装置1に状態データのリクエストを送信する。具体的には、サーバ制御部43が状態データのリクエストを作成し、サーバ通信部41を介して画像形成装置1にリクエストを送信する。画像形成装置1の通信部81はリクエストを受信し、コントローラ80に出力する。コントローラ80は、該リクエストに応じて、本体メモリ15の新品検出回数(ドラム新品検出回数およびトナー新品検出回数)を読み出す。コントローラ80は読み出した新品検出回数を含む状態データを、通信部81を介してサーバ40に送信する。これにより、コントローラ80は新品検出回数をサーバ40に通知する通知処理を行うことができる。
【0085】
サーバ40のサーバ通信部41は状態データを受信してサーバ制御部43に出力する。サーバ制御部43は、入力された状態データを、サーバメモリ42における、該状態データに含まれるプリンタIDに対応するプリンタ情報の記憶領域に記憶させる。これにより、サーバ40で、画像形成装置1それぞれにおける新品検出回数を管理することができる。
【0086】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、説明を繰り返さないこととする。
【0087】
画像形成装置1は、インクジェットプリンタであってもよい。画像形成装置1がインクジェットプリンタである場合、画像形成装置1のカートリッジ保持部13には、各実施形態において説明したドラムカートリッジ20およびトナーカートリッジ30ではなく、インクカートリッジが装着される。なお、画像形成装置1に装着されるインクカートリッジの個数は、特に限定されない。例えば、画像形成装置1には、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの4色それぞれに対応する、合計4個のインクカートリッジが装着されてよい。
【0088】
インクカートリッジは、インクメモリを内蔵している。インクメモリには、例えば、インクIDと、インク寿命情報と、使用状態情報の一例としてのインク使用状態情報と、が記憶されている。なお、インクIDおよびインク寿命情報は、本開示において必須の情報ではない。インク使用状態情報は、インクカートリッジが新品であるか、使用済みの製品を示す旧品であるか、を示す情報である。なお、「使用済みの製品」とは、新品ではないが、インクカートリッジ内のインクがまだ残っている、使用中のインクカートリッジのことも指している。
【0089】
また、画像形成装置1がインクジェットプリンタである場合、かつ、画像形成装置1がサーバ40に新品検出回数を送信する場合、本体メモリ15は、インク新品検出回数を記憶している。なお、本実施形態において、本体メモリ15は、ドラム新品検出回数およびトナー新品検出回数は記憶していなくてもよい。
【0090】
画像形成装置1がインクジェットプリンタである場合においても、図3図4の処理の流れは同様である。具体的には、画像形成装置1がインクジェットプリンタである場合、図3および図4における、ドラムカートリッジ20またはトナーカートリッジ30を、インクカートリッジに読みかえればよい。また、画像形成装置1がインクジェットプリンタである場合、図3および図4における、ドラムメモリ22またはトナーメモリ32を、インクメモリに読みかえればよい。また、画像形成装置1がインクジェットプリンタである場合、図3および図4における、ドラム使用状態情報およびトナー使用状態情報を、インク使用状態情報に読みかえればよい。また、画像形成装置1がインクジェットプリンタである場合、図3および図4における、ドラム新品検出回数およびトナー新品検出回数を、インク新品検出回数に読みかえればよい。本実施形態の画像形成装置1も、実施形態1の画像形成装置1と同様の効果を奏する。
【0091】
〔変形例1〕
実施形態1および2のコントローラ80は、サーバ40からのリクエストに応じて、新品検出回数の数値ではなく、新品のカートリッジを検出したことを示す通知を送信してもよい。新品のカートリッジを検出したことを示す通知を送信する場合、かつ、図4に示した新品検出処理において新品のカートリッジを複数個検出した場合は、コントローラ80は、新品のカートリッジを検出した個数をサーバ40に通知する。これにより、サーバ40に、新品のカートリッジを検出したことを通知することができる。
【0092】
〔変形例2〕
また、実施形態1および2のコントローラ80は、新品検出回数をインクリメントしたとき、または、全カートリッジに対する新品検出処理の終了時に、サーバ40に新品検出回数(または、新品のカートリッジを検出したことを示す通知)を送信してもよい。全カートリッジに対する新品検出処理の終了時に、新品検出回数または通知を送信する場合、サーバ40のサーバ制御部43は、状態データのリクエストを作成しなくてよい。また、サーバ通信部41はリクエストを送信しなくてよい。
【0093】
〔ソフトウェアによる実現例〕
画像形成装置1およびサーバ40の制御ブロックは、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0094】
後者の場合、画像形成装置1およびサーバ40は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。画像形成装置1およびサーバ40が備えるコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPUを用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0095】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1 画像形成装置
10 本体筐体
10A 開口
11 カバー
15 本体メモリ(第2メモリ)
20 ドラムカートリッジ(カートリッジ)
22 ドラムメモリ(第1メモリ)
30 トナーカートリッジ(カートリッジ)
32 トナーメモリ(第1メモリ)
40 サーバ(管理装置)
80 コントローラ
81 通信部
図1
図2
図3
図4