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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 3/36 20060101AFI20241031BHJP
   B41J 11/04 20060101ALI20241031BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B41J3/36 T
B41J11/04
B41J29/13
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020219182
(22)【出願日】2020-12-28
(65)【公開番号】P2022104152
(43)【公開日】2022-07-08
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 将太郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄士
(72)【発明者】
【氏名】浅井 翔
(72)【発明者】
【氏名】池本 友亮
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 武彦
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-168029(JP,A)
【文献】特開2019-031033(JP,A)
【文献】特開2016-087913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 3/01 - 3/54
B41J 11/00 - 11/70
B41J 15/00 - 15/24
B41J 29/00 - 29/70
B41J 2/315 - 2/345
B41J 2/42 - 2/425
B41J 2/475 - 2/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ヘッドを有し、被印刷媒体に印刷を行う印刷装置であって、
前記被印刷媒体を収容可能な収容部を有する本体部と、
前記収容部を覆う閉位置と開放する開位置とに亙って揺動可能に前記本体部に支持される開閉カバーと、
前記開閉カバーに設けられた支持部材と、
前記支持部材に設けられ、前記開閉カバーが前記閉位置のときに前記印刷ヘッドと対向する位置で前記被印刷媒体を搬送するプラテンローラを回転可能に支持するプラテンホルダと、
を備え
前記支持部材は、
前記開閉カバーに固定される土台部を有し、
前記支持部材の前記土台部は、
前記プラテンローラの軸心方向に平行な第1方向の両側にそれぞれ設けられており、
前記両側の土台部それぞれの前記第1方向における位置は、対応する前記プラテンローラの端部の前記第1方向における位置よりも、当該第1方向における外方側である
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記開閉カバーは、
支持軸により揺動可能に前記本体部に枢支され、
前記支持部材は、さらに、
前記プラテンホルダが取り付け固定される受け部を有し、
前記受け部は、
前記土台部よりも前記支持軸から離れた位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記プラテンホルダは、
前記支持部材の前記受け部に対し取り付け固定される取付部を有し、
前記プラテンホルダは、
前記取付部よりも前記支持軸から離れた位置で前記プラテンローラを支持することを特徴とする請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記支持部材の前記受け部は、
前記第1方向の両側にそれぞれ設けられており、
前記両側の受け部それぞれの前記第1方向における位置は、対応する前記プラテンローラの端部の前記第1方向における位置よりも、当該第1方向における内方側である
ことを特徴とする請求項3記載の印刷装置。
【請求項5】
前記プラテンホルダの前記取付部は、
前記第1方向の両側にそれぞれ設けられており、
前記両側の取付部それぞれの前記第1方向における位置は、対応する前記プラテンローラの端部の前記第1方向における位置よりも、当該第1方向における内方側である
ことを特徴とする請求項4記載の印刷装置。
【請求項6】
前記支持部材の前記土台部は、
前記第1方向と直交する第2方向の一方側に設けられた第1土台部と、前記第2方向の他方側に設けられた第2土台部と、を含む
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の印刷装置。
【請求項7】
長尺状の台紙に複数のラベルが離散的に貼付された被印刷媒体を使用する場合に対応する剥離機構であって、前記プラテンローラと協働して前記台紙から前記ラベルを剥離させる剥離ローラを有する剥離機構をさらに備え、
前記プラテンホルダは、
前記プラテンローラに対する前記剥離ローラの相対位置を所定位置に保持する位置決め部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被印刷媒体が巻回されたロールを内部に保持し、ロールから被印刷媒体を繰り出して印刷を行う印刷装置が知られている。例えば特許文献1には、開閉するカバーの前端部に、プラテンローラを回転可能に支持するプラテンホルダが設けられた印刷装置が記載されている。プラテンホルダは、複数のネジによりカバーに強固に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-181764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の印刷装置が、カバーが閉じた状態で落下した場合、落下の衝撃でプラテンローラに荷重がかかる可能性がある。ここで、プラテンホルダとカバーが直接固定されているため、落下の衝撃の分散がされずにプラテンホルダのネジ締め部などが破損するおそれがあった。これは落下以外でも何かが当たるなど衝撃が加わったときに同様に生じる恐れがある。
【0005】
本発明の目的は、印刷装置の落下等により大きな衝撃が加わった際における破損を防止することができる印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明の印刷装置は、印刷ヘッドを有し、被印刷媒体に印刷を行う印刷装置であって、前記被印刷媒体を収容可能な収容部を有する本体部と、前記収容部を覆う閉位置と開放する開位置とに亙って揺動可能に前記本体部に支持される開閉カバーと、前記開閉カバーに設けられた支持部材と、前記支持部材に設けられ、前記開閉カバーが前記閉位置のときに前記印刷ヘッドと対向する位置で前記被印刷媒体を搬送するプラテンローラを回転可能に支持するプラテンホルダと、を備えることを特徴とする。
【0007】
本願発明の印刷装置は、印刷ヘッドと、本体部と、開閉カバーと、支持部材と、プラテンホルダと、を備える。プラテンホルダは、開閉カバーが閉位置のときに印刷ヘッドと対向する位置で被印刷媒体を搬送するプラテンローラを回転可能に支持する。開閉カバーは、被印刷媒体を収容した収容部を開閉する。支持部材は開閉カバーに対し固定され、プラテンホルダは支持部材に対し固定される。
【0008】
本願発明によれば、プラテンホルダは、開閉カバーに直接固定されるのではなく、支持部材を介して開閉カバーに固定される。例えば印刷装置が不用意に落下した場合等でプラテンローラに対し大きな衝撃が加わった際、衝撃はプラテンホルダから直接開閉カバーへ伝達されるのではなく、プラテンホルダから支持部材を介して開閉カバーへ伝達される。本願発明によれば、プラテンホルダと支持部材とを固定する部材、支持部材、支持部材と開閉カバーとを固定する部材、等がそれぞれ変形することで、落下の衝撃を分散させて破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、印刷装置の落下等によりプラテンローラに大きな衝撃が加わった際に、落下の衝撃を分散させることで破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】開閉カバーを開放した状態の印刷装置の全体構成を表す、上側右前方からの斜視図である。
図2】開閉カバーを閉じた状態の印刷装置の断面構成を表す断面図である。
図3】プラテンホルダ及びセンサホルダの開閉カバーに対する固定構造を表す、下側左後方からの分解斜視図である。
図4】開閉カバーの内側の構成を表す下面図である。
図5図4中V-V断面による断面図である。
図6図4中VI-VI断面による断面図である。
図7】剥離機構を表す下側右前方からの斜視図である。
図8】剥離機構を取り付けた状態の開閉カバーの内側の構成を表す断面図である。
図9】剥離機構を取り付けた状態の開閉カバーの内側の構成を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。印刷装置1は、信号ケーブルを介して外部端末(図示省略)に接続される。印刷装置1は、外部端末から受信した印刷データに基づいて、被印刷媒体に文字、図形等のキャラクタを印刷する。外部端末は、例えば汎用のパーソナルコンピュータ(PC)である。印刷装置1は、電池駆動が可能である。印刷装置1は、例えばベルトクリップ(図示略)を介して腰ベルトに装着されることによって、作業中のユーザに携帯されて使用される。図1の右下側、左上側、右上側、左下側、上側、及び下側を、それぞれ、印刷装置1の右側、左側、後側、前側、上側、及び下側と定義する。
【0012】
<1.印刷装置の全体構成>
図1に、開閉カバーを開放した状態の印刷装置の全体構成を示す。図2に、開閉カバーを閉じた状態の印刷装置の断面構成を示す。図1及び図2に示すように、印刷装置1は、本体部3及び開閉カバー5を備える。本体部3及び開閉カバー5は、例えば合成樹脂で形成される。本体部3は、略直方体の形状であり、底部7及び前覆部9を有する。底部7は、印刷装置1の内部領域を下側から覆う。前覆部9は、印刷装置1の内部領域のうち前側略半分を上側から覆う。底部7のうち後側略半分の部分に、収容部11が設けられる。図1に示すように、収容部11の上側は、本体部3に形成された開口部13によって開口する。
【0013】
図2に示すように、収容部11には、ロール15が収容される。ロール15は、例えば複数の感熱ラベルが離散的に貼付された長尺状の台紙であるテープが筒状の芯に巻回されて構成される。テープは被印刷媒体の一例である。本体部3のうち開口部13の前端部に、切断刃17が設けられる。切断刃17は、テープのうち印刷された部分を切り離す。切断刃17の下側に、サーマルヘッド19が設けられる。サーマルヘッド19は、加熱により感熱ラベルにキャラクタを印刷する。サーマルヘッド19は、印刷ヘッドの一例である。切断刃17及びサーマルヘッド19は、それぞれ左右方向に延設される。
【0014】
図1に示すように、本体部3のうち開口部13の左右両端部に係止部21が設けられる。各係止部21の下端部は、上端部が揺動可能なように支持される。詳しくは後述するが、開閉カバー5には、プラテンローラ23を回転可能に支持するプラテンホルダ35が設けられる。開閉カバー5が閉位置の場合(図2参照)、各係止部21が開閉カバー5のプラテンローラ23の両端に設けられた軸受25に係止する。本体部3の右側面に設けられたレバー27がユーザによって押し下げられると、各係止部21の上端部が後方に揺動し、軸受25に対する係止を解除する。
【0015】
図1に示すように、開閉カバー5は、本体部3の後壁29の上端部に設けられた左右方向に延びる支持軸31により、閉位置と開位置とに亙って揺動可能に本体部3に支持される。開閉カバー5は、閉位置の場合に収容部11の上側を覆う(図2参照)。開閉カバー5は、開位置の場合に収容部11を開放する(図1参照)。開閉カバー5は、非図示の付勢部材によって、閉位置から開位置に揺動する向きに付勢される。以下では、閉位置の開閉カバー5(図2参照)を基準とし、印刷装置1の各方向を開閉カバー5に適用する。
【0016】
図1及び図2に示すように、開閉カバー5の前端部にプラテンホルダ35が配置されている。プラテンホルダ35は、プラテンローラ23を回転可能に支持する。プラテンローラ23は、開閉カバー5が閉位置のときにサーマルヘッド19と対向する位置でテープを搬送する。プラテンローラ23の回転軸は左右方向に延設される。プラテンローラ23の回転軸は、プラテンローラ23の両端部の左右方向外側に配置された筒状の軸受25により回転可能に支持される。軸受25は、プラテンホルダ35に保持される。
【0017】
プラテンホルダ35は、センサホルダ37に設けられる。センサホルダ37は、開閉カバー5の前側に設けられる。即ち、プラテンホルダ35は、センサホルダ37を介して開閉カバー5に設けられる。センサホルダ37は、プラテンローラ23により搬送されるテープの有無を検出するセンサ39を支持する。センサ39は、例えば光学式の反射センサである。センサホルダ37は支持部材の一例である。
【0018】
図1に示すように、本体部3の各凹部41は、開閉カバー5を閉位置とした際に、対応する軸受25を下側から受ける。各係止部21は、開閉カバー5を閉位置とした際に、対応する軸受25に上側から係止する。これにより、開閉カバー5は閉位置に維持される。開閉カバー5が閉位置のときにレバー27が押し下げられると、各係止部21は対応する軸受25から外れる。開閉カバー5は、付勢部材の付勢力によって閉位置(図2参照)から開位置(図1参照)まで揺動する。
【0019】
図2に示すように、開閉カバー5が閉位置のとき、サーマルヘッド19とプラテンローラ23とは互いに近接する。プラテンローラ23は、サーマルヘッド19との間にテープが配置された場合、サーマルヘッド19に向けてテープを押し付ける。プラテンローラ23は、非図示のモータの駆動により回転することで、サーマルヘッド19にテープを押し付けながら搬送する。サーマルヘッド19により印刷されたテープは、排出口43を介して外部に排出される。
【0020】
<2.プラテンホルダ及びセンサホルダの固定構造>
図3に、プラテンホルダ35及びセンサホルダ37の開閉カバー5に対する固定構造を示す。図4図6に、開閉カバー5の内側の構成を示す。図3図6では、閉位置の開閉カバー5(図2参照)を基準とし、印刷装置1の各方向を開閉カバー5に適用する。
【0021】
図3及び図4に示すように、センサホルダ37は、土台部45と受け部47とを有する。土台部45は、センサホルダ37の上側において、プラテンローラ23の軸心AX1方向に平行な左右方向の両側にそれぞれ設けられる。左右方向は第1方向の一例である。各土台部45は、左右方向と直交する前後方向の前側に設けられた第1土台部45Aと、前後方向の後側に設けられた第2土台部45Bとを有する。前後方向は第2方向の一例、前側は第2方向の一方側の一例、後側は第2方向の他方側の一例である。図3及び図5に示すように、第1土台部45A及び第2土台部45Bは、ネジ49により開閉カバー5のボス51に固定される。
【0022】
図3及び図4に示すように、受け部47には、プラテンホルダ35が取り付け固定される。受け部47は、センサホルダ37の左右中央において前方向且つ下方向に延設される。受け部47は、左右方向の両側に第1受け部47Aと第2受け部47Bとを有する。第1受け部47Aと第2受け部47Bは、左右方向においてセンサ39を挟んで設けられる。
【0023】
プラテンホルダ35は、センサホルダ37の受け部47に取り付け固定される取付部53を有する。取付部53は、左右方向の両側に第1取付部53Aと第2取付部53Bとを有する。図3及び図6に示すように、第1取付部53Aはネジ55により第1受け部47Aに固定され、第2取付部53Bはネジ55により第2受け部47Bに固定される。
【0024】
図4に示すように、センサホルダ37の受け部47は、前後方向において土台部45よりも支持軸31の軸心AX2から離れた位置に設けられる。プラテンホルダ35は、取付部53よりも支持軸31の軸心AX2から離れた位置でプラテンローラ23を支持する。
【0025】
図4に示すように、左右両側の土台部45それぞれの左右方向における位置は、対応するプラテンローラ23の端部の左右方向における位置P1,P2よりも、当該左右方向における外方側である。センサホルダ37の両側の第1受け部47A及び第2受け部47Bそれぞれの左右方向における位置は、対応するプラテンローラ23の端部の左右方向における位置P1,P2よりも、当該左右方向における内方側である。プラテンホルダ35の両側の第1取付部53A及び第2取付部53Bそれぞれの左右方向における位置は、対応するプラテンローラ23の端部の左右方向における位置P1,P2よりも、当該左右方向における内方側である。
【0026】
<3.実施形態の効果>
以上説明した実施形態の印刷装置1は、サーマルヘッド19と、本体部3と、開閉カバー5と、センサホルダ37と、プラテンホルダ35とを備える。プラテンホルダ35は、開閉カバー5が閉位置のときにサーマルヘッド19と対向する位置でテープを搬送するプラテンローラ23を回転可能に支持する。開閉カバー5は、テープを収容した収容部11を開閉する。センサホルダ37は開閉カバー5に対し固定され、プラテンホルダ35はセンサホルダ37に対し固定される。
【0027】
本実施形態によれば、プラテンホルダ35は、開閉カバー5に直接固定されるのではなく、センサホルダ37を介して開閉カバー5に固定される。例えば印刷装置1が不用意に落下した場合等でプラテンローラ23に対し大きな衝撃が加わった際、衝撃はプラテンホルダ35から直接開閉カバー5へ伝達されるのではなく、プラテンホルダ35からセンサホルダ37を介して開閉カバー5へ伝達される。本実施形態によれば、プラテンホルダ35とセンサホルダ37等がそれぞれ変形することで、プラテンローラ23に加わった落下の衝撃を分散させることができ、破損を防止できる
【0028】
また、本実施形態では特に、センサホルダ37が、土台部45と受け部47とを有している。センサホルダ37は、土台部45において開閉カバー5に固定される。センサホルダ37は、受け部47においてプラテンホルダ35が取り付けられ固定される。受け部47は土台部45よりも支持軸31に対し離れた位置に設けられている。そのため、センサホルダ37において受け部47と土台部45との間にある程度の距離が生じる。本実施形態によれば、前述のようにプラテンホルダ35から受け部47に伝達された衝撃を土台部45を介して開閉カバー5へと伝達する際、上記距離によってセンサホルダ37自体がある程度変形可能となり、落下の衝撃を分散させやすくなる。
【0029】
また、本実施形態では特に、プラテンホルダ35が取付部53を有する。プラテンホルダ35は、取付部53においてセンサホルダ37の受け部47に対し取り付けられ固定される。プラテンホルダ35におけるプラテンローラ23の支持部位が、取付部53よりも支持軸31に対し離れた位置に設けられている。そのため、プラテンホルダ35において上記支持部位と取付部53との間にある程度の距離が生じる。本実施形態によれば、前述のようにプラテンローラ23に加わった衝撃をプラテンホルダ35の上記支持部位で受けて取付部53を介しセンサホルダ37の受け部47へと伝達する際、上記距離によってプラテンホルダ35自体がある程度変形可能となり、落下の衝撃を分散させやすくなる。
【0030】
また、本実施形態では特に、左右方向の両側にそれぞれ設けられるセンサホルダ37の土台部45が、プラテンローラ23の両端部の位置P1,P2よりも、左右方向における外方側に位置している。本実施形態によれば、プラテンローラ23の両端部と土台部45との左右方向位置が互いに同一である場合に比べ、プラテンローラ23に加わった衝撃をセンサホルダ37を介し開閉カバー5に伝達する際の経路を長くすることができ、落下の衝撃を分散させることができる。
【0031】
また、本実施形態では特に、左右方向の両側にそれぞれ設けられるセンサホルダ37の第1受け部47A及び第2受け部47Bが、プラテンローラ23の両端部の位置P1,P2よりも、左右方向における内方側に位置している。本実施形態によれば、プラテンローラ23の両端部と受け部47A,47Bとの左右方向位置が互いに同一である場合に比べ、プラテンローラ23に加わった衝撃をプラテンホルダ35を介しセンサホルダ37に伝達する際の経路を長くすることができ、前述の落下の衝撃を分散させることができる。
【0032】
また、本実施形態では特に、左右方向の両側にそれぞれ設けられるプラテンホルダ35の第1取付部53A及び第2取付部53Bが、プラテンローラ23の両端部の位置P1,P2よりも、左右方向における内方側に位置している。本実施形態によれば、プラテンローラ23の両端部と取付部53A,53Bとの左右方向位置が互いに同一である場合に比べ、プラテンローラ23に加わった衝撃をプラテンホルダ35を介しセンサホルダ37に伝達する際の経路を長くすることができ、前述の落下の衝撃を分散させることができる。
【0033】
また、本実施形態では特に、センサホルダ37の土台部45として、前後方向前側の第1土台部45Aと後側の第2土台部45Bとが設けられる。本実施形態によれば、プラテンホルダ35から伝達された衝撃を第1土台部45A及び第2土台部45Bで前後方向の両側に分けつつ開閉カバー5へと伝達することができるので、衝撃を安定的に分散させることができる。
【0034】
<4.変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0035】
前述のように、印刷装置1の被印刷媒体として、複数の感熱ラベルが離散的に貼付された長尺状の台紙であるテープが使用される。それに対応して、テープの台紙から感熱ラベルを剥離する剥離機構がオプションとして使用される場合がある。本変形例はこの剥離機構を使用する場合の例である。
【0036】
図7に、本体部3に取り付ける前の剥離機構57の構成を示す。図8図9に、剥離機構57を本体部3に取り付けた状態の開閉カバー5の内側の構成を示す。図7図9では、閉位置の開閉カバー5(図2参照)を基準とし、印刷装置1の各方向を開閉カバー5に適用する。なお、図7図9では、本体部3の図示は省略している。
【0037】
図7図9に示すように、剥離機構57は、本体部3の上面の後端に、閉位置にある開閉カバー5の前端部且つ上端部と対向する位置に取り付けられる。図7及び図9に示すように、剥離機構57は、剥離ローラ59と、剥離ローラ59を回転可能に保持する保持部材69とを有する。剥離ローラ59は、左右方向に延びる。プラテンホルダ35は折り曲げ部61を有する。折り曲げ部61は、細長い棒状であり、プラテンローラ23と平行に左右方向に延びる。図9に示すように、開閉カバー5が閉位置のときには、剥離ローラ59はプラテンローラ23に押し付けられる。プラテンローラ23により搬送されるテープの台紙は、折り曲げ部61により折り曲げられ、剥離ローラ59とプラテンローラ23とで挟まれる。プラテンローラ23が回転すると、台紙が搬送されて剥離ローラ59も回転し、台紙は排出される。台紙に貼付されている感熱ラベルは、自己の剛性により折り曲げ部61により折り曲げられることなく搬送される。つまり、感熱ラベルは、台紙から剥離されて排出される。
【0038】
図7図8に示すように、プラテンホルダ35は、位置決め部63を有する。位置決め部63は、プラテンローラ23の左端の上方位置に設けられる。位置決め部63は、付勢部材65と押圧部材67を有する。押圧部材67は、付勢部材65によって前向きに付勢され、剥離ローラ59を保持する保持部材69に当接する。押圧部材67側の当接面は、押圧部材67の前側面であって、側面視前方程上方となる向きに傾斜している。保持部材68側の当接面は、押圧部材67の前側面の傾斜角度と略同角度で傾斜している。双方の当接面は、プラテンローラ23よりも上方位置にある。押圧部材67は付勢部材65により前向きに付勢されているので、双方の当接面の傾斜角度により、保持部材69は下向きに押圧される。位置決め部63は、プラテンローラ23に対する剥離ローラ59の相対位置を所定位置に保持する。位置決め部63は、剥離ローラ59を一定の押圧力でプラテンローラ23に対して押圧する。位置決め部63により、プラテンローラ23と剥離ローラ59で挟まれた台紙を、安定して搬送し排出することができる。
【0039】
前述のように、プラテンローラ23に衝撃が加わった際にプラテンホルダ35は変形し、これによって衝撃の分散が図られる。本変形例によれば、プラテンホルダ35が上記のように変形しても、位置決め部63及びプラテンローラ23がそれぞれプラテンホルダ35に設けられているため、剥離ローラ59とプラテンローラ23との相対位置関係は変わらない。その結果、プラテンホルダ35の変形後においても、剥離ローラ59は変形前と同様の押圧力をプラテンローラ23へ作用させることができる。
【0040】
なお、前述の落下時に限られず、例えばユーザが開閉カバー5を必要以上に強い力で操作した場合等においてもプラテンホルダ35の変形は起こり得る。この場合も上記同様、プラテンホルダ35の変形後においても剥離ローラ59とプラテンローラ23の相対位置関係が変わらず、剥離ローラ59は変形前と同様の押圧力をプラテンローラ23へ作用させることができる。その結果、通常通り、テープへの印刷処理、及び、印刷後のテープにおける台紙からの感熱ラベルの剥離処理、を実行することができる。
【0041】
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0042】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0043】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0044】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0045】
1 印刷装置
3 本体部
5 開閉カバー
11 収容部
19 サーマルヘッド(印刷ヘッド)
23 プラテンローラ
31 支持軸部
35 プラテンホルダ
37 センサホルダ
45 土台部
45A 第1土台部
45B 第2土台部
47 受け部
47A 第1受け部
47B 第2受け部
53 取付部
53A 第1取付部
53B 第2取付部
AX1 軸心
P1,P2 プラテンローラの端部の位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9