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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】複合容器およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/40 20060101AFI20241031BHJP
   B29C 49/22 20060101ALI20241031BHJP
   B29C 49/06 20060101ALI20241031BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65D1/40 100
B29C49/22
B29C49/06
B65D1/02 230
B65D1/02 110
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021081855
(22)【出願日】2021-05-13
(65)【公開番号】P2022175465
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2024-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 大地
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】須賀 勇介
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-028507(JP,A)
【文献】特開平05-193636(JP,A)
【文献】特開2005-047538(JP,A)
【文献】特開2015-067290(JP,A)
【文献】国際公開第99/05035(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/40
B29C 49/22
B29C 49/06
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合容器において、
プラスチック材料製の容器本体と、
前記容器本体の外側を取り囲むように密着して設けられ、前記容器本体と別体に構成されたプラスチック製部材とを備え、
前記容器本体、および前記容器本体と別体に構成された前記プラスチック製部材は、ブロー成形により一体として膨張され、前記容器本体と前記容器本体と別体に構成された前記プラスチック製部材との間に空間が形成され、当該空間内に流体が充填され、
前記容器本体は、口部と首部と肩部と胴部と底部とを有し、前記プラスチック製部材は、前記容器本体の少なくとも前記肩部と前記胴部と前記底部とを覆うように設けられ、
前記空間は前記容器本体の底部周縁と前記プラスチック製部材が密封してその下端が規定され、前記胴部と前記肩部との間の境界と前記プラスチック製部材が密封してその上端が規定される、
複合容器。
【請求項2】
複合容器において、
プラスチック材料製の容器本体と、
前記容器本体の外側を取り囲むように密着して設けられ、前記容器本体と別体に構成されたプラスチック製部材とを備え、
前記容器本体、および前記容器本体と別体に構成された前記プラスチック製部材は、ブロー成形により一体として膨張され、前記容器本体と前記容器本体と別体に構成された前記プラスチック製部材との間に空間が形成され、当該空間内に流体が充填され、
前記容器本体は、口部と首部と肩部と胴部と底部とを有し、前記プラスチック製部材は、前記容器本体の少なくとも前記首部と前記肩部と前記胴部と前記底部とを覆うように設けられ、
前記空間は前記容器本体の底部周縁と前記プラスチック製部材が密封してその下端が規定され、前記首部と前記プラスチック製部材が密封してその上端が規定される、
複合容器。
【請求項3】
前記プラスチック製部材のうち、前記底部に対応する部分に、流体充填用開口が設けられている、請求項1または2記載の複合容器。
【請求項4】
前記流体は気体である、請求項1乃至3のいずれか記載の複合容器。
【請求項5】
前記流体は空気である、請求項記載の複合容器。
【請求項6】
前記容器本体内に炭酸ガス含有内容液が充填され、前記流体は炭酸ガスである、請求項記載の複合容器。
【請求項7】
複合容器の製造方法において、
プラスチック材料製のプリフォームを準備する工程と、
前記プリフォームの外側を取り囲むように、前記プリフォームと別体に構成されたプラスチック製部材を設けることにより、前記プリフォームと、前記プリフォームの外側に密着して設けられ前記プリフォームと別体に構成されたプラスチック製部材とを有する複合プリフォームを作製する工程と、
ブロー成形金型内で前記複合プリフォームに対してブロー成形を施すことにより、前記複合プリフォームの前記プリフォーム、および前記プリフォームと別体に構成された前記プラスチック製部材を一体として膨張させて、容器本体と前記容器本体と別体に構成された前記容器本体を取り囲むように密着して設けられたプラスチック製部材とを有する複合容器を成形する工程と、
前記容器本体と前記容器本体と別体に構成された前記プラスチック製部材との間の空間に流体を充填させる工程と、を備え、
前記容器本体は、口部と首部と肩部と胴部と底部とを有し、前記プラスチック製部材は、前記容器本体の少なくとも前記肩部と前記胴部と前記底部とを覆うように設けられ、
前記空間は前記容器本体の底部周縁と前記プラスチック製部材が密封してその下端が規定され、前記胴部と前記肩部との間の境界と前記プラスチック製部材が密封してその上端が規定される、
複合容器の製造方法。
【請求項8】
複合容器の製造方法において、
プラスチック材料製のプリフォームを準備する工程と、
前記プリフォームの外側を取り囲むように、前記プリフォームと別体に構成されたプラスチック製部材を設けることにより、前記プリフォームと、前記プリフォームの外側に密着して設けられ前記プリフォームと別体に構成されたプラスチック製部材とを有する複合プリフォームを作製する工程と、
ブロー成形金型内で前記複合プリフォームに対してブロー成形を施すことにより、前記複合プリフォームの前記プリフォーム、および前記プリフォームと別体に構成された前記プラスチック製部材を一体として膨張させて、容器本体と前記容器本体と別体に構成された前記容器本体を取り囲むように密着して設けられたプラスチック製部材とを有する複合容器を成形する工程と、
前記容器本体と前記容器本体と別体に構成された前記プラスチック製部材との間の空間に流体を充填させる工程と、を備え、
前記容器本体は、口部と首部と肩部と胴部と底部とを有し、前記プラスチック製部材は、前記容器本体の少なくとも前記首部と前記肩部と前記胴部と前記底部とを覆うように設けられ、
前記空間は前記容器本体の底部周縁と前記プラスチック製部材が密封してその下端が規定され、前記首部と前記プラスチック製部材が密封してその上端が規定される、
複合容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合プリフォームおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、飲食品等の内容液を収容するボトルとして、プラスチック製のものが一般化してきており、このようなプラスチックボトルには内容液が収容される。
【0003】
このような内容液を収容するプラスチックボトルは、金型内にプリフォームを挿入し、2軸延伸ブロー成形することにより製造される。
【0004】
ところで、従来の2軸延伸ブロー成形法では、例えばPETやPP等の単層材料、多層材料又はブレンド材料等を含むプリフォームを用いて容器形状に成形している。しかしながら、従来の2軸延伸ブロー成形法においては、単にプリフォームを容器形状に成形するだけであるのが一般的である。このため、容器に対して様々な機能や特性(バリア性や保温性等)を持たせる場合、例えばプリフォームを構成する材料を変更する等、その手段は限定されてしまう。とりわけ、容器の部位(例えば胴部や底部)に応じて、異なる機能や特性を持たせることは難しい。このためプリフォームの外側に色々の機能をもつプラスチック製部材を設け、プリフォームとプラスチック製部材を一体としてブロー成形することにより複合容器を製造する技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-128858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような構成をもつ複合容器において、内容液が炭酸ガスを含む場合、この内容液中の炭酸ガスが外部へ放出することを防止する機能、あるいは断熱性をより高める機能が求められている。
【0007】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、内容液中の炭酸ガスの放出を防止する機能、あるいは断熱性を高める機能を有する、複合プリフォームおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、複合容器において、プラスチック材料製の容器本体と、前記容器本体の外側を取り囲むように密着して設けられたプラスチック製部材とを備え、前記容器本体、および前記プラスチック製部材は、ブロー成形により一体として膨張され、前記容器本体と前記プラスチック製部材との間に空間が形成され、当該空間内に流体が充填されている、複合容器である。
【0009】
本開示は、前記容器本体は、口部と首部と肩部と胴部と底部とを有し、前記プラスチック製部材は、前記容器本体の少なくとも、前記肩部と前記胴部と前記底部とを覆うように設けられ、前記空間は前記容器本体の少なくとも前記胴部と前記プラスチック製部材との間に形成されている、複合容器である。
【0010】
本開示は、前記空間は前記容器本体の底部周縁から、前記胴部と前記肩部との間の境界まで延びる、複合容器である。
【0011】
本開示は、前記空間は容器本体の底部周縁から、前記首部まで延びる、複合容器である。
【0012】
本開示は、前記プラスチック製部材のうち前記底部に対応する部分に、流体充填用開口が設けられている、複合容器である。
【0013】
本開示は、前記流体は気体である、複合容器である。
【0014】
本開示は、前記流体は空気である、複合容器である。
【0015】
本開示は、前記容器本体内に炭酸ガス含有内容液が充填され、前記流体は炭酸ガスである、複合容器である。
【0016】
本開示は、複合容器の製造方法において、プラスチック材料製のプリフォームを準備する工程と、前記プリフォームの外側を取り囲むようにプラスチック製部材を設けることにより、前記プリフォームと、前記プリフォームの外側に密着して設けられたプラスチック製部材とを有する複合プリフォームを作製する工程と、ブロー成形金型内で前記複合プリフォームに対してブロー成形を施すことにより、前記複合プリフォームの前記プリフォーム、および前記プラスチック製部材を一体として膨張させて、容器本体と前記容器本体を取り囲むように密着して設けられたプラスチック製部材とを成形する工程と、前記容器本体と前記プラスチック製部材との間に流体を充填させる工程と、を備えた複合容器の製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複合容器に内容液中の炭酸ガスの放出を防止する機能、あるいは断熱性を高める機能をもたせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本開示の実施の形態による空気充填後の複合容器を示す部分垂直断面図。
図2図2は、本開示の実施の形態による複合容器を示す水平断面図(図1のII-II線断面図)。
図3図3は、本開示の実施の形態による空気充填前の複合容器を示す部分垂直断面図。
図4図4は、本開示の実施の形態による複合容器を示す水平断面図(図3のIV-IV線断面図)。
図5図5は、複合プリフォームを示す垂直断面図。
図6図6は、プラスチック製部材を示す斜視図。
図7A図7Aは、ブロー成形方法を示す図。
図7B図7Bは、ブロー成形方法を示す図。
図7C図7Cは、ブロー成形方法を示す図。
図7D図7Dは、ブロー成形方法を示す図。
図7E図7Eは、ブロー成形方法を示す図。
図7F図7Fは、ブロー成形方法を示す図。
図8図8は、本開示の実施の形態による空気充填後の複合容器を示す斜視図。
図9図9は、本開示の実施の形態による空気充填前の複合容器を示す斜視図。
図10図10は、容器本体とプラスチック製部材との間の空間を示す図。
図11図11は、本開示の変形例による空気充填前の複合容器を示す側面図。
図12図12は、本開示の変形例による空気充填前の複合容器の底部を示す斜視図。
図13図13は、本開示の変形例による空気充填後の複合容器を示す側面図。
図14図14は、本開示の更なる変形例による複合容器を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<本実施の形態>
以下、図面を参照して本開示の第1の実施の形態について説明する。図1乃至図10は本開示の第1の実施の形態を示す図である。
【0020】
まず、図1および図2により、本実施の形態による複合容器の概要について説明する。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ複合容器10Aを正立させた状態(図1)における上方および下方のことをいう。
【0021】
図1および図2に示す複合容器10Aは、後述するように、ブロー成形金型50を用いてプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを含む複合プリフォーム70(図5参照)に対して2軸延伸ブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させて得られたものである。
【0022】
このような複合容器10Aは、内側に位置するプラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40とを備えている。さらに容器本体10とプラスチック製部材40との間に空間60が形成され、この空間60内には流体、例えば空気のような気体が充填されている。
【0023】
容器本体10は、口部11と、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた肩部12と、肩部12下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。
【0024】
また、プラスチック製部材40は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しないほどに密着されている。
【0025】
プラスチック製部材40は、その少なくとも一部が半透明又は透明であることが考えられ、この場合、この半透明又は透明な部分を介して、容器本体10を外方から視認できる。なお、プラスチック製部材40は、その全体が半透明又は透明であっても良く、あるいは不透明な部分と半透明又は透明な部分(例えば窓部)とを有していても良い。なお、本実施の形態ではプラスチック製部材40の全体が透明である場合を例にとって説明する。
【0026】
次に容器本体10について詳述する。容器本体10は、上述したように口部11と、首
部13と、肩部12と、胴部20と、底部30とを有している。
【0027】
このうち口部11は、図示しないキャップに螺着されるねじ部14と、ねじ部14下方に設けられたフランジ部17とを有している。なお、口部11の形状は、従来公知の形状であっても良い。
【0028】
首部13は、フランジ部17と肩部12との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。また、肩部12は、首部13と胴部20との間に位置しており、首部13側から胴部20側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。
【0029】
さらに、胴部20は、全体として略均一な径をもつ円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部20が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。あるいは、胴部20が上方から下方に向けて均一でない水平断面をもつ筒形状を有していても良い。また、本実施の形態において、胴部20は、凹凸が形成されておらず、略平坦な表面を有しているが、これに限られるものではない。例えば、胴部20にパネル又は溝等の凹凸が形成されていても良い。
【0030】
一方、底部30は、中央に位置する凹部31と、この凹部31周囲に設けられた接地部32とを有している。なお、底部30の形状についても特に限定されるものではなく、従来公知の底部形状(例えばペタロイド底形状や丸底形状等)を有していても良い。また底部30は接地部32の外方に設けられ、胴部20との間の境界を形成する底部周縁33を有する。
【0031】
また胴部20における容器本体10の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば50μm~250μm程度に薄くすることができる。さらに、容器本体10の重量についても、これに限定されるものではないが、10g~20gとすることができる。このように容器本体10の肉厚を薄くすることにより、容器本体10の軽量化を図ることができる。
【0032】
このような容器本体10は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォーム10a(後述)を二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。なおプリフォーム10a、すなわち容器本体10の材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)を使用することが好ましい。
【0033】
また、容器本体10は、2層以上の多層成形ボトルとして形成することもできる。すなわち押し出し成形または射出成形により、例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性及び遮光性を有する樹脂(中間層)として3層以上からなるプリフォーム10aを押出成形後、ブロー成形することによりガスバリア性及び遮光性を有する多層ボトルとして形成しても良い。
【0034】
また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5~100μmの発泡セル径を持つ発泡プリフォームを成形し、この発泡プリフォームをブロー成形することによって、容器本体10を作製しても良い。このような容器本体10は、発泡セルを内蔵しているため、容器本体10全体の遮光性を高めることができる。
【0035】
このような容器本体10は、例えば満注容量が150ml~1500mlのボトルからなっていても良い。
【0036】
次にプラスチック製部材40について説明する。プラスチック製部材40(40a)は後述するように容器本体10の外側を取り囲むように設けられ、プリフォーム10aと一体となって2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
【0037】
プラスチック製部材40は容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。このプラスチック製部材40は、容器本体10の外面において薄く引き延ばされて容器本体10を覆っている。図2に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
【0038】
この場合、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11および首部13を除く、肩部12、胴部20および底部30を覆うように設けられている。これにより、容器本体10の肩部12、胴部20および底部30に対して所望の機能や特性を付与することができる。なお本実施の形態において、プラスチック製部材40のうち、底部30の凹部31に対応する部分に開口45が形成され、この開口45は後述のように空間60内に空気60aを充填する際、用いられる。
【0039】
このようなプラスチック製部材40としては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。後者の場合、プラスチック製部材40は、それ自体が収縮性ないし弾力性を持ち、外的な作用を加えることなく収縮可能なものであっても良い。あるいは、プラスチック製部材40は、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮(例えば熱収縮)するものであっても良い。
【0040】
またプラスチック製部材40の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば50μm~500μm程度とすることができる。
【0041】
次に図5により、本実施の形態による複合プリフォームの構成について説明する。
【0042】
図5に示すように、複合プリフォーム70は、プラスチック材料製のプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着して設けられた有底円筒状のプラスチック製部材40aとを備えている。
【0043】
このうちプリフォーム10aは、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを備えている。このうち口部11aは、上述した容器本体10の口部11に対応するものであり、口部11と略同一の形状を有している。また、胴部20aは、上述した容器本体10の首部13、肩部12および胴部20に対応するものであり、略円筒形状を有している。底部30aは、上述した容器本体10の底部30に対応するものであり、略半球形状を有している。
【0044】
一方、プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されている。プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
【0045】
この場合、プラスチック製部材40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分13aを除く全域と、底部30aとを覆うように設けられている。またプラスチック製部材40aのうち底部30の凹部31に対応する部分に開口45が形成されている。
【0046】
このようなプラスチック製部材40aとしては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。
【0047】
プラスチック製部材40aとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹旨、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フタル酸ジアリル樹脂、フッ素系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリブタジエン、ポリブテン-1、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロンMXD6、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリテレフタル酸エチレン、ポリテレフタル酸ブチレン、ポリナフタレン酸エチレン、Uポリマー、液晶ポリマー、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリブロビレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂等を挙げる
ことができる。このうちポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の熱可塑性非弾性樹脂を用いることが好ましい。またそれらのブレンド材料や多層構造、部分的多層構造のものであってもよい。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5~100μmの発泡セル径を持つ発泡部材を使用し、この発泡プリフォームを成形することによって、遮光性を高めることができる。
【0048】
またプラスチック製部材40aが容器本体10(プリフォーム10a)と同一の材料からなっていても良い。この場合、複合容器10Aのうち、例えば強度を高めたい部分に重点的にプラスチック製部材40を配置し、当該箇所の強度を選択的に高めることができる。例えば、容器本体10の肩部12周辺および底部30周辺にプラスチック製部材40を設け、この部分の強度を高めても良い。このような材料としては、熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)を挙げることができる。
【0049】
またプラスチック製部材40aは、酸素バリア性又は水蒸気バリア性等のガスバリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aのガスバリア性を高め、酸素や水蒸気によって内容液が劣化することを防止することができる。例えば、容器本体10のうち、肩部12、首部13、胴部20および底部30にプラスチック製部材40を設け、この部分のガスバリア性を高めても良い。このような材料としては、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、MXD-6(ナイロン)、またはこれらの材料に脂肪酸塩などの酸素吸収材を混ぜることも考えられる。
【0050】
またプラスチック製部材40aは、紫外線等の光線バリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aの光線バリア性を高め、紫外線等により内容液が劣化することを防止することができる。例えば、容器本体10のうち、肩部12、首部13、胴部20および底部30にプラスチック製部材40を設け、この部分の紫外線バリア性を高めても良い。このような材料としては、ブレンド材料、またはPETやPE、PPに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることにより作製された、0.5~100μmの発泡セル径を持つ発泡部材を使用しても良い。
【0051】
またプラスチック製部材40aは、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも保温性又は保冷性の高い材料(熱伝導性の低い材料)からなっていても良い。この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保温性又は保冷性が高められる。例えば、容器本体10にプラスチック製部材40を設け、胴部20の保温性又は保冷性を高めても良い。また、使用者が複合容器10Aを把持した際、熱すぎたり冷たすぎたりすることにより複合容器10Aを持ちにくくなることが防止される。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが考えられる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることにより作製された、0.5~100μmの発泡セル径を持つ発泡部材を使用しても良い。
【0052】
またプラスチック製部材40aは、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも滑りにくい材料からなっていても良い。この場合、容器本体10の
材料を変更することなく、使用者が複合容器10Aを把持しやすくすることができる。例えば、容器本体10のうち胴部20の全部又は一部にプラスチック製部材40を設け、胴部20を持ちやすくしても良い。
【0053】
さらに、プラスチック製部材40aには、予めデザイン又は印字が施されていても良い。例えば、図柄や商品名等のほか、内容液の名称、製造者、原材料名等の文字情報が記載されていても良い。
【0054】
次にプラスチック製部材40aの形状について説明する。
【0055】
図5および図6に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aの底部42がプリフォーム10aの底部30aを覆うので、複合容器10Aの胴部20に加え、底部30に対しても様々な機能や特性を付与することができる。なお、図5および図6に示すように、プラスチック製部材40aの底部42の中央部に開口45が形成されている。
【0056】
次に複合プリフォームの製造方法について説明する。
【0057】
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(図7A参照)。この場合、例えば図示しない射出成形機を用いて、射出成形法によりプリフォーム10aを作製しても良い。
【0058】
次に、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設ける。これにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70を作製する(図7B参照)。この場合、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有し、底部42に開口45が形成されている。このプラスチック製部材40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分を除く全域と、底部30aのうち開口45を除く全域とを覆うように装着される。またプラスチック製部材40aは、その少なくとも一部が半透明又は透明になっていても良い。
【0059】
この際、プリフォーム10aの外径と同一又はわずかに小さい内径をもつプラスチック製部材40aをプリフォーム10aに対して押し込むことにより、プリフォーム10aの外面に密着させても良い。あるいは、熱収縮性をもつプラスチック製部材40aをプリフォーム10aの外面に設け、このプラスチック製部材40aを50℃乃至100℃に加熱することにより熱収縮させてプリフォーム10aの外面に密着させても良い。
【0060】
このように、予めプリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図7A図7B)と、複合容器10Aをブロー成形により作製する一連の工程(図7C図7F)とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
【0061】
次に、複合プリフォーム70は、加熱装置51によって加熱される(図7C参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
【0062】
続いて、加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる(図7D参照)。
【0063】
複合容器10Aは、このブロー成形金型50を用いて成形される。この場合、ブロー成形金型50は互いに分割された一対の胴部金型50a、50bと、底部金型50cとからなる(図7D参照)。図7Dにおいて、一対の胴部金型50a、50b間は互いに開いており、底部金型50cは上方に上がっている。この状態で一対の胴部金型50a、50b間に、複合プリフォーム70が挿入される。
【0064】
次に図7Eに示すように、底部金型50cが下がったのちに一対の胴部金型50a、50bが閉鎖され、一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cにより密閉されたブロー成形金型50が構成される。次にプリフォーム10a内に空気が圧入され、複合プリフォーム70に対して2軸延伸ブロー成形が施される。
【0065】
このことにより、ブロー成形金型50内でプリフォーム10aから容器本体10が得られる。この間、胴部金型50a、50bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部金型50cは5℃乃至25℃まで冷却される。この際、ブロー成形金型50内では、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aが一体として膨張される。これにより、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aは、一体となってブロー成形金型50の内面に対応する形状に賦形される。
【0066】
このようにして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられたプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aが得られる。
【0067】
次に図7Fに示すように、一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cが互いに離れ、ブロー成形金型50内から複合容器10Aが取出される(図3図4および図9)。
【0068】
このように複合容器10Aに対して、容器本体10とプラスチック製部材40との間にエアノズル75から空気60aが噴射される。
【0069】
具体的には、図3図4および図9に示す複合容器10Aに対して、エアノズル75からプラスチック製部材40の底部42に設けられた開口45を介して空気60aが噴射される。エアノズル75から噴射された空気60aはプラスチック製部材40の底部42内に入り、その後、空気60aは容器本体10の底部30と胴部20との間の底部周縁33から容器本体10の胴部20外側へ送られる。このように容器本体10の胴部20外側へ送られた空気60aはプラスチック製部材40を引き伸ばし、胴部20外側へ送られた空気60aにより胴部20とプラスチック製部材40との間に空間60が形成されるとともに、この空間60内に空気60aが充填される。
【0070】
このようにして容器本体10の胴部20と、プラスチック製部材40との間に空間60が形成され、この空間60内に空気が充填された複合容器10Aが得られる(図1図2および図8参照)。
【0071】
ここで図8は容器本体10の胴部20と、プラスチック製部材40との間の空間60内に空気が充填された複合容器10Aを示す斜視図であり、図9は容器本体10の胴部20とプラスチック製部材40との間の空間に空気を充填する前の複合容器10Aを示す斜視図である。
【0072】
また図10は、容器本体10の胴部20とプラスチック製部材40との間の空間60内に空気が充填された複合容器10Aであって、容器本体10とプラスチック製部材40との間の空間60を示す図である。
【0073】
本実施の形態において、プラスチック製部材40の開口45を介してプラスチック製部材40内に噴射された空気60aは、容器本体10の底部30と胴部20との間の底部周縁33から容器本体10の胴部20外側へ送られる。次に胴部20外側へ送られた空気60aは胴部20外側を上昇し、肩部12と胴部20との間の境界をなす肩部周縁12aに達し、空気60aは肩部周縁12aで停止する。
【0074】
この間、開口45を介してプラスチック製部材40内に噴射された空気60aは効果的に底部周縁33からプラスチック製部材40を引き離して胴部20の外側へ進入することができる。底部周縁33から胴部20の外側へ空気60aが進入した後、プラスチック製部材40は再び底部周縁33上に密着して、底部周縁33とプラスチック製部材40との間を密封する。
【0075】
なお本実施の形態において、容器本体10の底部周縁33の曲率半径は、5mm~12mmとなっている。この場合、底部周縁33の曲率半径が12mm以上となると、底部周縁33とプラスチック製部材40との間の密封性が低下する。
【0076】
他方、底部周縁33の曲率半径が5mm未満となると、空気60aが容器本体10の胴部20とプラスチック製部材40との間に侵入できず、胴部20とプラスチック製部材40との間に空間60を形成することができない。
【0077】
また胴部20の上方において、肩部周縁12aとプラスチック製部材40との間が密封され、このことにより容器本体10とプラスチック製部材40との間に形成された空間60は、上方において肩部周縁12aとプラスチック製部材40との間で密封され、下方において底部周縁33とプラスチック製部材40との間で密封される。
【0078】
以上のように本実施の形態によれば、容器本体10の胴部20とプラスチック製部材40との間に空間60が形成され、この空間60内に空気60aが充填される。この場合、胴部20とプラスチック製部材40との間に充填された空気60aは断熱性に優れているため、複合容器10Aの容器本体10内に高温の内容液を充填した場合であっても、プラスチック製部材40を介して複合容器10Aを問題なく把持することができる。
【0079】
また容器本体10の胴部20とプラスチック製部材40との間の空間60は、肩部周縁12aとプラスチック製部材40との間、および底部周縁33とプラスチック製部材40との間で密封されるため、空間60内の空気60aが外方へ漏れることはなく、この空間60を空気60aにより長時間維持することができる。
【0080】
なお、上記実施の形態において、容器本体10の胴部20と、プラスチック製部材40との間の空間60内に空気60aを充填した例を示したが、これに限らず空気60aの代わりに他の気体、例えばアルゴンを空間60内に充填してもよい。アルゴンは安定した不活性ガスであり、熱伝導率は空気より小さい。このため空間60による断熱効果を大きくすることができる。あるいは、空間60内に気体の代わりに液体(例えば、炭酸液体)を充填してもよい。このように空間60内に炭酸液体を充填することにより、後述のように複合容器10Aの容器本体10内に炭酸ガス含有内容液を充填した場合に、容器本体10内の炭酸ガス含有内溶液中の炭酸ガス濃度が低下することを抑えることができる。
【0081】
<変形例>
次に図11乃至図13により本開示による変形例について説明する。
【0082】
図11乃至図13に示す変形例は、容器本体10の外側に設けられたプラスチック製部材40が容器本体10の首部13、肩部12、胴部20および底部30を覆うものであり、他の構成は図1乃至図10に示す実施の形態と略同一である。図11乃至図13に示す変形例において、図1乃至図10に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0083】
図11および図12に示すように、ブロー成形により、容器本体10と、容器本体10の首部13、肩部12、胴部20および底部30を覆って設けられたプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aが得られる。この場合、複合容器10Aの容器本体10は、凹部31と接地部32と底部周縁33とを有する底部30を有し、プラスチック製部材40のうち、容器本体10の底部30中央に対応する部分に開口45が形成されている。
【0084】
このような構成からなる複合容器10Aに対してエアノズル75から開口45を介してプラスチック製部材40内に空気が噴射される(図12参照)。
【0085】
具体的には、図13に示すように、複合容器10Aに対して、エアノズル75(図3参照)からプラスチック製部材40の底部42に設けられた開口45を介して空気60aが噴射される。エアノズル75から噴射された空気60aはプラスチック製部材40の底部42内に入り、その後空気60aは容器本体10の底部30と胴部20との間の底部周縁33から容器本体10外側へ送られる。このように容器本体10外側へ送られた空気60aはプラスチック製部材40を引き伸ばし、容器本体10外側へ送られた空気60aにより容器本体10とプラスチック製部材40との間に空間60が形成されるとともに、この空間60内に空気60aが充填される。
【0086】
このようにして容器本体10と、プラスチック製部材40との間に空間60が形成され、この空間60内に空気が充填された複合容器10Aが得られる(図13参照)。
【0087】
ここで図13は容器本体10の胴部20と、プラスチック製部材40との間の空間60内に空気が充填された複合容器10Aを示す図であり、他方、図11および図12は容器本体10とプラスチック製部材40との間の空間に空気を充填する前の複合容器10Aを示す斜視図である。
【0088】
本変形例において、プラスチック製部材40の開口45を介してプラスチック製部材40内に噴射された空気60aは容器本体10の底部30と胴部20との間の底部周縁33から容器本体10外側へ送られる。次に容器本体10外側へ送られた空気60aは胴部20外側を上昇し、肩部12と胴部20との間の境界をなす肩部周縁12aを通過して首部13に達し、空気60aはこの首部13で停止する。
【0089】
この間、開口45を介してプラスチック製部材40内に噴射された空気60aは効果的に底部周縁33からプラスチック製部材40を引き離して胴部20の外側へ進入することができる。底部周縁33から胴部20の外側へ空気60aが進入した後、プラスチック製部材40は再び底部周縁33上に密着して、底部周縁33とプラスチック製部材40との間を密封する。
【0090】
なお本実施の形態において、容器本体10の底部周縁33の曲率半径は、5mm~12mmとなっている。この場合、底部周縁33の曲率半径が12mm以上となると、底部周縁33とプラスチック製部材40との間の密封性が低下する。
【0091】
他方、底部周縁33の曲率半径が5mm未満となると、空気60aが容器本体10の胴部20とプラスチック製部材40との間に侵入できず、胴部20とプラスチック製部材40との間に空間60を形成することができない。
【0092】
また胴部20の上方の首部13において、首部13とプラスチック製部材40との間が密封され、このことにより容器本体10とプラスチック製部材40との間に形成された空間60は、上方において首部13とプラスチック製部材40との間で密封され、下方において底部周縁33とプラスチック製部材40との間で密封される。
【0093】
以上のように本実施の形態によれば、容器本体10とプラスチック製部材40との間に空間60が形成され、この空間60内に空気60aが充填される。この場合、胴部20とプラスチック製部材40との間に充填された空気60aは断熱性に優れているため、複合容器10Aの容器本体10内に高温の内容液を充填した場合であっても、プラスチック製部材40を介して複合容器10Aを問題なく把持することができる。
【0094】
また容器本体10と、プラスチック製部材40との間の空間60は、首部13とプラスチック製部材40との間、および底部周縁33とプラスチック製部材40との間で密封されるため、空間60内の空気60aが外方へ漏れることはなく、この空間60を空気60aにより長時間維持することができる。
【0095】
なお、上記実施の形態において、容器本体10と、プラスチック製部材40との間の空間60内に空気60aを充填した例を示したが、これに限らず空気60aの代わりに他の気体、例えばアルゴンを空間60内に充填してもよい。アルゴンは安定した不活性ガスであり、熱伝導率は空気より小さい。このため空間60による断熱効果を大きくすることができる。あるいは、空間60内に気体の変わりに、液体(例えば、炭酸液体)を充填してもよい。このように空間60内に炭酸液体を充填することにより、後述のように複合容器10Aの容器本体10内に炭酸ガス含有内容液を充填した場合に、容器本体10内の炭酸ガス含有内溶液中の炭酸ガス濃度が低下することを抑えることができる。
【0096】
次に図14により本開示による更なる変形例について説明する。
【0097】
図14に示す変形例は、容器本体10の外側に設けられたプラスチック製部材40が容器本体10の首部13、肩部12、胴部20および底部30を覆うものであり、かつ空間60内に炭酸ガスが充填される。他の構成は図1乃至図10に示す実施の形態と略同一である。図14に示す変形例において、図1乃至図10に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0098】
図14に示すように、ブロー成形により、容器本体10と、容器本体10の首部13、肩部12、胴部20および底部30を覆って設けられたプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aが得られる。この場合、複合容器10Aの容器本体10は、凹部31と接地部32と底部周縁33とを有する底部30を有し、プラスチック製部材40のうち、容器本体10の底部30中央に対応する部分に開口45が形成されている(図1参照)。
【0099】
このような構成からなる複合容器10Aに対して炭酸ガスノズル75Aから開口45を介してプラスチック製部材40内に炭酸ガスが噴射される。
【0100】
具体的には、図14に示すように、複合容器10Aに対して、炭酸ガスノズル75Aからプラスチック製部材40の底部42に設けられた開口45を介して炭酸ガス60bが噴射される。炭酸ガスノズル75Aから噴射された炭酸ガス60bはプラスチック製部材40の底部42内に入り、その後、炭酸ガス60bは容器本体10の底部30と胴部20との間の底部周縁33から容器本体10の外側へ送られる。このように容器本体10外側へ送られた炭酸ガス60bはプラスチック製部材40を引き伸ばし、容器本体10外側へ送られた炭酸ガス10bにより容器本体10とプラスチック製部材40との間に空間60が形成されるとともに、この空間60内に炭酸ガス60bが充填される。
【0101】
このようにして容器本体10の胴部20と、プラスチック製部材40との間に空間60が形成され、この空間60内に炭酸ガスが充填された複合容器10Aが得られる(図14参照)。
【0102】
ここで図14は容器本体10と、プラスチック製部材40との間の空間60内に炭酸ガス60bが充填された複合容器10Aを示す図である。
【0103】
本変形例において、プラスチック製部材40の開口45を介してプラスチック製部材40内に噴射された炭酸ガス60bは容器本体10の底部30と胴部20との間の底部周縁33から容器本体10外側へ送られる。次に容器本体10外側へ送られた炭酸ガス60bは胴部20外側を上昇し、肩部12と胴部20との間の境界をなす肩部周縁12aを通過して首部13に達し、炭酸ガス60bはこの首部13で停止する。
【0104】
この間、開口45を介してプラスチック製部材40内に噴射された炭酸ガス60bは効果的に底部周縁33からプラスチック製部材40を引き離して胴部20の外側へ進入することができる。底部周縁33から胴部20の外側へ炭酸ガス60bが進入した後、プラスチック製部材40は再び底部周縁33上に密着して、底部周縁33とプラスチック製部材40との間を密封する。
【0105】
なお本実施の形態において、容器本体10の底部周縁33の曲率半径は、5mm~12mmとなっている。この場合、底部周縁33の曲率半径が12mm以上となると、底部周縁33とプラスチック製部材40との間の密封性が低下する。
【0106】
他方、底部周縁33の曲率半径が5mm未満となると、空気60aが容器本体10の胴部20とプラスチック製部材40との間に侵入できず、胴部20とプラスチック製部材40との間に空間60を形成することができない。
【0107】
また胴部20の上方の首部13において、首部13とプラスチック製部材40との間が密封され、このことにより容器本体10とプラスチック製部材40との間に形成された空間60は、上方において首部13とプラスチック製部材40との間で密封され、下方において底部周縁33とプラスチック製部材40との間で密封される。
【0108】
以上のように本変形例によれば、容器本体10とプラスチック製部材40との間に空間60が形成され、この空間60内に炭酸ガス60bが充填される。他方、容器本体10内に炭酸ガス含有内容液が充填される。この場合、空間60内に充填された炭酸ガス濃度を容器本体10の内溶液の炭酸ガス濃度より高くしておく。このことにより、容器本体10内の内容液の炭酸ガスが外方へ漏れることを防ぐことができ、容器本体10内の内容液の炭酸ガス濃度を維持することができる。
【0109】
さらにまた、容器本体10内の内容液の炭酸ガスが空間60内の炭酸ガス60bと平衡になろうとするため、容器本体10内の内容液の炭酸ガスの濃度を高めることもできる。
【0110】
また容器本体10の胴部20とプラスチック製部材40との間の空間60は、首部13とプラスチック製部材40との間、および底部周縁33とプラスチック製部材40との間で密封されるため、空間60内の炭酸ガス60bが外方へ漏れることはなく、この空間60を炭酸ガス60bにより長時間維持することができる。
【符号の説明】
【0111】
10 容器本体
10A 複合容器
10a プリフォーム
11 口部
11a 口部
12 肩部
13 首部
20 胴部
20a 胴部
30 底部
30a 底部
31 凹部
32 接地部
33 底部周縁
40 プラスチック製部材
40a プラスチック製部材
45 開口
50 ブロー成形金型
60 空間
60a 空気
60b 炭酸ガス
70 複合プリフォーム
75 エアノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14