(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】エレベータの行先階登録装置
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20241031BHJP
B66B 1/46 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B66B3/00 K
B66B1/46 Z
(21)【出願番号】P 2024028418
(22)【出願日】2024-02-28
【審査請求日】2024-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】井上 元太
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-093211(JP,A)
【文献】特開2017-186146(JP,A)
【文献】特開2023-020070(JP,A)
【文献】特開2015-176270(JP,A)
【文献】特開2005-247547(JP,A)
【文献】特開平01-203189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00
B66B 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位階に対応した行先階を入力可能な単位入力部を複数個備え、前記単位入力部を1回又は複数回操作することで1つの行先階を入力可能な行先階入力部と、
前記行先階入力部で前記単位入力部を複数回操作して1つの行先階を入力する場合に、前記単位入力部に対する先の操作を受け付けた後、後の操作の受け付けを許容する許容時間の時間経過を利用者に報知する報知部と、を備える、エレベータの行先階登録装置。
【請求項2】
前記報知部は、画像、音、振動のうち少なくとも1つを用いて前記時間経過を報知する、請求項1に記載のエレベータの行先階登録装置。
【請求項3】
前記許容時間は、時刻に応じて長さが変更され、
前記報知部は、変更された前記許容時間の前記時間経過を報知する、請求項1又は2に記載のエレベータの行先階登録装置。
【請求項4】
利用者に関する利用者情報を入力する利用者入力部を備え、
前記許容時間は、前記利用者入力部から入力された前記利用者情報に基づいて長さが変更され、
前記報知部は、変更された前記許容時間の前記時間経過を報知する、請求項1又は2に記載のエレベータの行先階登録装置。
【請求項5】
前記許容時間を変更するための変更情報を入力する変更入力部を備え、
前記許容時間は、前記変更入力部から入力された前記変更情報に基づいて長さが変更され、
前記報知部は、変更された前記許容時間の前記時間経過を報知する、請求項1又は2に記載のエレベータの行先階登録装置。
【請求項6】
前記許容時間は、前記単位入力部を複数回操作する場合における前記先の操作から前記後の操作までの操作時間に基づいて長さが変更され、
前記報知部は、変更された前記許容時間の前記時間経過を報知する、請求項1又は2に記載のエレベータの行先階登録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗場やかごで2桁以上の行先階を登録するエレベータの行先階登録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータの行先階をテンキーにより、1桁の行先階及び2桁の行先階を登録する行先階登録装置が知られている(特許文献1)。この行先階登録装置は、例えば、テンキーのボタン「1」が長押されると、「1」階を行先階として呼び登録する。また、行先階登録装置は、テンキーのボタン「1」が長押されずに押され、さらに所定の入力待ち時間が経過すると、「1階」を行先階として呼び登録する。一方、行先階登録装置は、テンキーのボタン「1」が長押されずに押された後に、所定の入力待ち時間の間に、テンキーのボタン「0」が入力されれば、「10階」を行先階として呼び登録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記行先階登録装置では、利用者は、最初にテンキーのボタンを押した後に、入力待ち時間の経過を知ることができないため、2桁の行先階を入力したい場合であっても、入力待ち時間内に必要な操作を行うことができないことがあり、操作性が悪かった。
【0005】
そこで、本発明は、的確に操作を行うことができるエレベータの行先階登録装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエレベータの行先階登録装置は、
単位階に対応した行先階を入力可能な単位入力部を複数個備え、前記単位入力部を1回又は複数回操作することで1つの行先階を入力可能な行先階入力部と、
前記行先階入力部で前記単位入力部を複数回操作して1つの行先階を入力する場合に、前記単位入力部に対する先の操作を受け付けた後、後の操作の受け付けを許容する許容時間の時間経過を利用者に報知する報知部と、を備える。
【0007】
かかる構成によれば、許容時間の時間経過が報知されるので、先の操作後の許容時間の時間経過を知りつつ後の操作ができるので、的確な操作ができ、操作性がよい。
【0008】
前記エレベータの行先階登録装置では、
前記報知部は、画像、音、振動のうち少なくとも1つを用いて前記時間経過を報知してもよい。
【0009】
かかる構成によれば、利用者の視覚、聴覚、触覚の少なくとも1つに対して報知するため、確実に時間経過を伝えることができる。
【0010】
前記エレベータの行先階登録装置では、
前記許容時間は、時刻に応じて長さが変更され、
前記報知部は、変更された前記許容時間の前記時間経過を報知してもよい。
【0011】
かかる構成によれば、朝、昼、夕などの時刻に応じて許容時間を変更することで、エレベータの利用状況に応じた設定ができ、利便性が向上する。
【0012】
前記エレベータの行先階登録装置は、
利用者に関する利用者情報を入力する利用者入力部を備え、
前記許容時間は、前記利用者入力部から入力された前記利用者情報に基づいて長さが変更され、
前記報知部は、変更された前記許容時間の前記時間経過を報知してもよい。
【0013】
かかる構成によれば、利用者に適した許容時間とでき、利便性が向上する。
【0014】
前記エレベータの行先階登録装置は、
前記許容時間を変更するための変更情報を入力する変更入力部を備え、
前記許容時間は、前記変更入力部から入力された前記変更情報に基づいて長さが変更され、
前記報知部は、変更された前記許容時間の前記時間経過を報知してもよい。
【0015】
かかる構成によれば、利用者が許容時間を変更するかどうかを選択でき、利便性が向上する。
【0016】
前記エレベータの行先階登録装置では、
前記許容時間は、前記単位入力部を複数回操作する場合における前記先の操作から前記後の操作までの操作時間に基づいて長さが変更され、
前記報知部は、変更された前記許容時間の前記時間経過を報知してもよい。
【0017】
かかる構成によれば、過去の操作時間に基づいた許容時間とでき、利便性が向上する。
【発明の効果】
【0018】
以上より、本発明によれば、的確に操作を行うことができるエレベータの行先階登録装置の提供を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るエレベータの行先階登録装置を備えた行先階登録システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、前記行先階登録システムでの一連の処理を説明するためのフローチャート図である。
【
図3】
図3は、前記行先階登録装置で単位入力部の複数回の操作により行先階を登録する際の表示を示す模式図である。
【
図4】
図4は、前記行先階登録装置で単位入力部の1回の操作により行先階を登録する際の表示を示す模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2の実施形態に係るエレベータの行先階登録装置を備えた行先階登録システムのブロック図である。
【
図6】
図6は、前記行先階登録システムでの一連の処理を説明するためのフローチャート図である。
【
図7】
図7は、本発明の第3の実施形態に係るエレベータの行先階登録装置を備えた行先階登録システムのブロック図である。
【
図8】
図8は、前記行先階登録システムでの一連の処理を説明するためのフローチャート図である。
【
図9】
図9は、本発明の第4の実施形態に係るエレベータの行先階登録装置を備えた行先階登録システムのブロック図である。
【
図10】
図10は、前記行先階登録システムでの一連の処理を説明するためのフローチャート図である。
【
図11】
図11は、本発明の第5の実施形態に係るエレベータの行先階登録装置を備えた行先階登録システムのブロック図である。
【
図12】
図12は、前記行先階登録システムでの一連の処理を説明するためのフローチャート図である。
【
図13】
図13は、本発明の第6の実施形態に係るエレベータの行先階登録装置を備えた行先階登録システムでの一連の処理を説明するためのフローチャート図である。
【
図14】
図14は、前記一連の処理を説明するためのフローチャート図である。
【
図15】
図15は、前記行先階登録装置で単位入力部の1回の操作により行先階を登録する際の表示を示す模式図である。
【
図16】
図16は、前記行先階登録装置で単位入力部の複数回の操作により行先階を登録する際の表示を示す模式図である。
【
図17】
図17は、本発明の第7の実施形態に係るエレベータの行先階登録装置を備えた行先階登録システムでの一連の処理を説明するためのフローチャート図である。
【
図18】
図18は、前記行先階登録装置で単位入力部に対する後の操作を行わず、キャンセルする際の表示を示す模式図である。
【
図19】
図19は、変形例に係るエレベータの行先階登録装置の時間経過の表示を示す模式図であり、(a)は時間経過とともに長くなるプログレスサークルを示し、(b)は連続的なプログレスバーを示し、(c)離散的なプログレスバーを示し、(d)は許容時間のうち残りの秒数を表す画像を示す。
【
図20】
図20は、変形例に係るエレベータの行先階登録装置の補助表示を示す模式図であり、(a)はグレーアウト表示であり、(b)は後の操作を補助する文章の表示である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第1の実施形態について、
図1~
図4を参照しつつ説明する。
【0021】
図1に示すように、エレベータの行先階登録システム1は、エレベータの行先階登録装置2と、エレベータのかごの運行等を制御する制御手段3と、を備える。本実施形態では、行先階登録システム1には、複数のかごが設けられ、具体的には、A号機、B号機、C号機に対応する三台のかごが設けられている。なお、行先階登録システム1に、一台のかごのみが設けられていてもよい。この行先階登録システム1では、かごは、地下2階から13階までの間で昇降可能であり、地下2階から13階までの各階床に停止可能である。
【0022】
この行先階登録システム1では、利用者は、エレベータの乗場に設けられた行先階登録装置2に対して入力操作を行うことにより、行先階の登録が可能である。また、行先階登録システム1には、一階床当たり一台の行先階登録装置2が設けられているが、一階床当たり複数の行先階登録装置2が設けられてもよい。
【0023】
行先階登録装置2は、利用者の入力操作により行先階を登録する(乗場呼びを行う)ための装置である。また、行先階登録装置2は、行先階入力部4と、利用者に各種報知を行う報知部5と、を備える。
【0024】
本実施形態では、行先階登録装置2は、
図3及び
図4に示すように、利用者の手が接触したことを検知する物理ディスプレイであるタッチパネルを含んで構成されている。なお、
図3及び
図4における手(指)は、利用者の手の動作を示している。このタッチパネルは、行先階入力部4及び報知部5を兼ねている。
【0025】
行先階入力部4は、利用者の手を検知することにより入力操作を受け付ける。また、行先階登録装置2は、入力操作が行われたとき、入力操作信号を制御手段3に出力する。
【0026】
さらに、行先階入力部4は、単位階に対応した行先階を入力可能な単位入力部40を複数個備える。本実施形態では、行先階入力部4は、単位入力部40を1回又は2回操作することで1つの行先階を入力可能であるが、これに加えて、単位入力部40を3回以上操作することで1つの行先階を入力可能であってもよい。
【0027】
行先階入力部4は、タッチパネルのうち単位階を入力可能なテンキーが表示されている部分である。この行先階登録装置2では、行先階入力部4に対する入力操作は、利用者の手がタッチパネルのテンキーに接触する操作である。単位入力部40は、テンキーに含まれる各キーである。このテンキーは、例えば、「0」~「9」の数字を示すキー、地下を示す「-」キー、及び、非常階を示す「☆」キーを含む。
【0028】
本実施形態では、行先階入力部4は、地下2階から13階までの各階を行先階として受け付ける。また、行先階入力部4は、「0」~「9」及び「-」を単位階として受け付ける。また、行先階入力部4は、先の単位階を受け付けてから所定時間内において、後の単位階を受け付け可能である。本実施形態では、先の操作を受け付けた後、後の操作の受け付けを許容する許容時間は、固定値(例えば、3秒)である。なお、許容時間として、0.5秒以上10秒以下の任意の時間が設定される。
【0029】
行先階として「1階」を入力する場合には、例えば、利用者が指等により「1」のキーを触ればよい。また行先階として「13階」を入力する場合には、利用者が指等により「1」のキーを触れた後、許容時間内に「3」のキーを触ればよい。行先階として「地下2階」を入力する場合には、利用者が指等により「-」のキーを触れた後、許容時間内に「2」のキーを触ればよい。
【0030】
報知部5は、入力操作後の入力結果や行先階の登録結果等の各種情報を報知する。本実施形態では、報知部5は、タッチパネルの全体で構成されている。また、報知部5は、行先階入力部4を示すテンキーを表示する。
【0031】
また、報知部5は、利用者に行先階の入力操作を促す情報(例えば、「Please enter destination」といったメッセージ)を表示する。さらに、報知部5は、先の入力操作で入力された単位階に関する情報(例えば、「1」)を表示する。報知部5は、決定された行先階を示す行先階情報(例えば、「Floor 13」や「Floor 1」)を表示する。本実施形態では、報知部5は、行先階情報に加えて、行先階の決定の際に割り当てられる割当号機を示す号機情報(例えば、「A」)も表示するが、号機情報を表示しなくてもよい。
【0032】
さらに、報知部5は、行先階入力部4の単位入力部40を1回又は複数回操作して1つの行先階を入力する場合に、許容時間の時間経過を利用者に報知する。本実施形態では、報知部5は、2桁の行先階及び地下の行先階を入力する場合に、単位入力部40に対する先の操作を受け付けた後、単位入力部40に対する後の操作の受け付けを許容する許容時間の時間経過を利用者に報知する。
【0033】
報知部5は、画像を用いて時間経過を報知する。本実施形態では、報知部5は、円環状の線が時間経過とともに周方向に短くなっていくプログレスサークルを用いて時間経過を表示する。このプログレスサークルは、単位入力部40の先の操作直後には円環状であり、この先の入力から許容時間を経過するまでの間、欠けた円環状(円弧状)となり、先の入力から許容時間を経過したときに消える。なお、報知部5は、図形を用いて時間経過を報知してもよく、例えば、ソフトウェアにて作図した図形を組み合わせて一つの画像データと同等の見た目としたものを用いて時間経過を報知してもよい。
【0034】
制御手段3は、各種制御を行う制御装置30を備える(
図1参照)。本実施形態では、制御装置30は、行先階の決定に関する制御を行う階制御部31と、かごの運行を制御する運行制御部32と、を備える。また、制御装置30は、エレベータのA号機、B号機、C号機に対応する三台のかごの全てを制御する。
【0035】
階制御部31は、行先階登録装置2の単位入力部40の操作に応じて、行先階を決定する。本実施形態では、階制御部31は、計測部33と、行先階決定部34と、を備える。
【0036】
計測部33は、単位入力部40に対する先の操作の受け付けからの経過時間を計測する。本実施形態では、計測部33には、経過時間を計測するためのタイマー330が設けられている。
【0037】
行先階決定部34は、かごが停止可能な許可階を示す情報である許可階情報を記憶している。本実施形態では、行先階決定部34は、行先階入力部4に対して入力された行先階が許可階であるときに、入力された行先階を、かごの行先階として決定する。また、行先階決定部34は、入力された行先階が許可階でないときに、入力された行先階を却下する。本実施形態では、行先階決定部34は、許可階情報として、「-2」、「-1」、「1」~「12」を記憶している。
【0038】
運行制御部32は、各かごに対して乗場呼びの割当等の群管理制御を行う。この群管理では、運行制御部32は、所定の階床の乗場において行先階登録装置2の単位入力部40の入力操作の結果、行先階決定部34により行先階が決定されたときに、利用者等の輸送効率が高くなるように、複数の号機のかごから決定された行先階に適したかごを選択する。また、運行制御部32は、この選択されたかごを操作された行先階登録装置2がある乗場に向かわせ、その後、決定された行先階に向かわせる。この行先階登録システム1には、一つの運行制御部32が設けられている。
【0039】
この行先階登録システム1では、行先階登録装置2は、単位入力部40に入力操作が行われると、制御装置30に、入力操作信号として入力操作で入力された単位階を示す単位階情報を出力するように構成されている。即ち、行先階登録装置2は、単位入力部40に対する先の入力操作が行われたとき、及び、単位入力部に対する後の入力操作が行われたときに、制御装置30に、入力操作信号として単位階情報を出力するように構成されている。
【0040】
制御装置30は、行先階登録装置2から単位階情報が出力されると、単位階情報が出力された行先階登録装置2を識別する装置識別情報と単位階情報とを関連付けて記憶する。また、制御装置30は、行先階登録装置2から単位階情報が出力されたとき、この行先階登録装置2に対応する単位階情報を記憶していない場合には、出力された単位階情報を記憶するとともに、計測部33に、先の入力操作時点を起点とする経過時間を計測するよう指示する計測開始情報、及び、単位階情報が出力された行先階登録装置2を識別する装置識別情報を出力するように構成されている。また、制御装置30は、行先階登録装置2から単位階情報が出力されると、この行先階登録装置2の報知部5に、許容時間の時間経過の報知を行うよう指示する報知開始情報を出力するように構成されている。
【0041】
さらに、制御装置30は、行先階登録装置2から単位階情報が出力されたとき、この行先階登録装置2に対応する単位階情報を記憶している場合には、階制御部31の行先階決定部34に、単位入力部40の複数回の操作による1つの行先階を示す行先階情報、及び、この行先階登録装置に対応する装置識別情報を出力するように構成されている。具体的には、制御装置30は、この場合、行先階決定部34に、単位入力部40に対する後の入力操作による単位階情報である出力されたばかりの単位階情報と、単位入力部40に対する先の入力操作による単位階情報である記憶していた単位階情報とを組み合わせて、1つの行先階を示す行先階情報として出力するとともに、装置識別情報を出力するように構成されている。また、制御装置30は、この場合、計測部33に、先の入力操作時点を起点とする経過時間の計測を終了するよう指示する計測終了情報、及び、対応する行先階登録装置2の装置識別情報を出力するとともに、記憶していた単位階情報を消去するように構成されている。
【0042】
なお、制御装置30は、単位入力部40に対する後の入力操作が行われない状態で先の入力操作から許容時間が経過したとき、行先階決定部34に、単位入力部40の1回の操作による1つの行先階を示す行先階情報、及び、この行先階登録装置に対応する装置識別情報を出力するように構成されている。具体的には、制御装置30は、このとき、行先階決定部34に、記憶していた単位階情報を出力するとともに、装置識別情報を出力するように構成されている。さらに、制御装置30は、このとき、対応する行先階登録装置2の報知部5に、許容時間の時間経過の報知の終了を指示する報知終了情報を出力するとともに、記憶していた単位階情報を消去するように構成されている。
【0043】
計測部33は、報知開始情報を出力されてから報知終了情報が出力されるまで、対応する行先階登録装置の報知部5に、単位入力部40に対する先の入力操作からの経過時間を示す経過時間情報を出力するように構成されている。
【0044】
行先階決定部34は、制御装置30から出力された行先階情報の示す行先階が許可階であるとき、運行制御部32に、行先階情報及び装置識別情報を出力するように構成されている。また、行先階決定部34は、入力された行先階が許可階でないとき、報知部5に行先階の受け付け解除を指示する受付解除情報を出力するように構成されている。さらに、行先階決定部34は、後述のように運行制御部32から号機情報及び装置識別情報を出力されると、この装置識別情報に対応する行先階登録装置2の報知部5に、号機情報を出力するように構成されている。
【0045】
運行制御部32は、群管理により号機を割り当てると、行先階決定部34に、割り当てられた割当号機を示す号機情報及び装置識別情報を出力するように構成されている。
【0046】
以下、エレベータの行先階登録システム1における一連の処理について、
図2のフローチャートを用いて説明する。
【0047】
行先階登録システム1が起動すると(ステップS01)、制御装置30は、行先階登録装置2からの入力操作情報があるか否かを判断することで、単位入力部40に対する先の入力操作があるか否かを判断する(ステップS02)。単位入力部40に対して先の入力操作が行われていないとき、報知部5は、デフォルト表示を行っている(
図3参照)。デフォルト表示では、報知部5は、入力補助情報(「Please enter destination」といったメッセージ)、及び、行先階入力部4を構成するテンキーを表示する。
【0048】
単位入力部40に対する入力操作がないとき(ステップS02においてNo)、制御装置30は、単位入力部40に対する先の入力操作があるか否かの判断(ステップS02)を繰り返す(
図2参照)。
【0049】
単位入力部40に対する先の入力操作があったとき(ステップS02においてYes)、制御装置30が、階制御部31の計測部33に計測開始情報を出力することにより、計測部33は、単位入力部40に対する先の入力操作からの経過時間の計測を開始する(ステップS03)。例えば、制御装置30は、単位階情報を記憶していない状態で、単位入力部40に対して先の入力操作が行われることにより行先階登録装置2から単位階情報「1」が入力されたとき、単位階情報「1」記憶する。
【0050】
さらに、制御装置30は、計測部33に、計測開始情報及び装置識別情報を出力し、単位階情報「1」が出力された行先階登録装置2の報知部5に、報知開始情報を出力する。また、計測部33は、この報知部5に、単位入力部40に対する先の入力操作からの経過時間を示す経過時間情報を出力する。これにより、報知部5は、画像を用いて許容時間の時間経過を報知する(ステップS04)。本実施形態では、報知部5は、プログレスサークルを用いて先の入力操作の時点を起点とする許容時間の時間経過を表示する。
【0051】
なお、本実施形態では、制御装置30は、報知部5に、報知開始情報に加えて、単位階情報も出力する。この単位階情報を用いて、報知部5は、時間経過の報知中に、単位入力部40に対する先の入力操作を示す入力操作後表示を行う(
図3参照)。
【0052】
入力操作後表示では、報知部5は、行先階入力部4の先の入力操作に対応する部分を、行先階入力部4の入力操作が無い部分と区別できるよう表示する。具体的には、入力操作後表示では、報知部5は、テンキーのうち先の入力操作の際に手が接触した部分である「1」のキーを、テンキーのうち先の入力操作の際に手が接触していない部分である「1」のキー以外のキーと区別できるよう表示する。本実施形態では、行先階入力部4の先の入力操作に対応する部分を区別する表示として、入力操作があったキーの色を異ならせる表示を行う。なお、このような区別する表示は、入力操作に対応するキーを点滅させる表示、このキーに記載されている数字の太さを異ならせる表示や、このキーを大きく表示したりする表示等であってもよい。
【0053】
次に、制御装置30は、行先階登録装置2からの入力操作情報があるか否かを判断することで、単位入力部40に対する後の入力操作があるか否かを判断する(
図2のステップS05)。単位入力部40に対する後の入力操作がないとき(ステップS05においてNo)、制御装置30は、先の入力操作からの経過時間が許容時間を過ぎているか否かを判断する(ステップS06)。先の入力操作からの経過時間が許容時間を過ぎていないとき(ステップS06においてNo)、単位入力部40に対する後の入力操作があるか否かの判断(ステップS05)に戻る。
【0054】
単位入力部40に対する後の入力操作があったとき(ステップS05においてYes)、制御装置30は、単位入力部40の複数回の操作による1つの行先階の入力を受け付け、階制御部31の行先階決定部34に、単位入力部40の複数回の操作による1つの行先階に関する行先階情報、及び、行先階登録装置2を識別する装置識別情報を出力する(ステップS07)。
図3の例では、「1」のキーの操作、及び、「3」のキーの操作による「13」の行先階の入力が受け付けられる。また、このとき、制御装置30が、計測部33に計測終了情報及び装置識別情報を出力することにより、計測部33は、1回目の入力操作からの経過時間の計測を終了する。さらに、制御装置30が、報知部5に報知終了情報を出力することにより、報知部5は、プログレスサークルを用いた報知開始情報の取得時を起点とする許容時間の時間経過の表示を終了する。また、制御装置30は、記憶していた単位階情報を消去する。
【0055】
次に、行先階決定部34は、行先階登録装置2から出力された行先階情報と、記憶している許可階情報を比較し、入力された行先階が許可階か否かを判断する(
図2のステップS08)。
【0056】
入力された行先階が許可階である場合(ステップS08においてYes)、行先階決定部34は、行先階を決定する(ステップS09)。具体的には、行先階決定部34が、運行制御部32に行先階情報及び装置識別情報を出力する。これにより、運行制御部32は、群管理により複数の号機のかごから行先階情報に適したかごを選択し、この選択されたかごを装置識別情報の示す行先階登録装置2が設置された乗場に向かわせ、その後、決定された行先階に向かわせる。
【0057】
また、運行制御部32が、行先階決定部34に、割り当てられる割当号機に関する号機情報(例えば、「A」)及び装置識別情報を出力し、行先階決定部34は、装置識別情報の示す行先階登録装置2の報知部5に、号機情報を出力する。これにより、報知部5は、登録結果表示として、号機情報(例えば、「A」)及び行先階に関する行先階情報(例えば、「Floor 13」)を表示し終了する(
図3参照)。
【0058】
入力された行先階が許可階でない場合(
図2のステップS08においてNo)、行先階決定部34は、行先階の受け付けを解除する(ステップS10)。具体的には、行先階決定部34が、報知部5に行先階の受け付け解除を指示する受付解除情報を出力することにより、報知部5は、行先階の受け付け解除の報知を行う(ステップS11)。具体的には、報知部5は、「入力された階は受付できません」と表示し終了する。
【0059】
なお、単位入力部40に対して後の入力操作が行われないまま、先の入力操作からの経過時間が許容時間を過ぎたとき(ステップS06においてYes)、制御装置30は、単位入力部40の1回の操作による1つの行先階の入力を受け付け、階制御部31の行先階決定部34に、単位入力部40の1回の操作による1つの行先階に関する行先階情報及び装置情報を出力する(ステップS07)。
図4の例では、「1」のキーの操作による「1」の行先階の入力が受け付けられる。その後、
図2のステップS08の入力された行先階が許可階であるか否かの判断に進み、許可階であるとき(ステップS08においてYes)、ステップS09の行先階決定の処理を行い終了する。許可階でないとき(ステップS08においてNo)、ステップS10の行先階入力の受け付け解除の処理、ステップS11の受け付け解除の報知の処理を順に行い終了する。
【0060】
以上の行先階登録装置2によれば、報知部5により許容時間の時間経過が報知されるので、利用者が先の操作後の許容時間の時間経過を知りつつ、許容時間が経過するまでに後の操作ができるので、的確な操作ができ、操作性がよい。
【0061】
本実施形態の行先階登録装置2によれば、報知部5が、画像(例えば、プログレスサークル)を用いて、利用者の視覚に対して許容時間の時間経過を報知するため、確実に時間経過を伝えることができる。
【0062】
以下、本発明の第2の実施形態について、
図5及び
図6を用いて説明する。第1の実施形態では、許容時間は、固定値であったが、可変であってもよい。本実施形態では、許容時間は、時刻に応じて長さが変更され、報知部5は、変更された許容時間の時間経過を報知する。
【0063】
本実施形態では、一部の時間帯で、許容時間がデフォルトの時間と異なる時間に変更される。具体的には、エレベータの利用が多い時間帯に、許容時間がデフォルトの時間(例えば3秒)と比べて短い時間(例えば、1秒)に変更される。より具体的には、エレベータがオフィスビル等に設置される場合、出勤時間帯(例えば、7時~9時)、昼食時間帯(例えば、12時~13時)、退勤時間帯(例えば、17時~19時)において、許容時間がデフォルトの時間(例えば、3秒)と比べて短い時間(例えば、1秒)に変更される。なお、一部の時間帯で、許容時間がデフォルトの時間より長い時間に変更されてもよい。
【0064】
本実施形態では、行先階登録装置2の構成は、第1の実施形態での構成と同じである(
図5参照)。制御手段3の階制御部31は、計測部33及び行先階決定部34に加えて、許容時間を設定する時間設定部35を備える。時間設定部35には、時刻と変更後の許容時間とを関連付けて記憶したデータベースが設けられている。このデータベースは、例えば、7時~9時、12時~13時、17時~19時と、変更後の許容時間である1秒とを関連付けて記憶している。また、時間設定部35は、現在時刻に応じた変更後の許容時間がこのデータベースにあるとき、計測部33に、変更後の許容時間を示す変更許容時間情報及び装置識別情報を出力するように構成されている。
【0065】
また、本実施形態では、行先階登録システム1の起動直後に、時間設定の処理が追加される。以下、時間設定の処理について、
図6を用いて具体的に説明する。
【0066】
行先階登録システム1が起動すると(ステップS21)、制御手段3の時間設定部35は、現在時刻を取得する(ステップS22)。次に、時間設定部35は、時刻と変更後の許容時間とを関連付けたデータベースに、現在時刻に応じた変更後の許容時間があるか否かを判断する(ステップS23)。
【0067】
現在時刻に応じた変更後の許容時間がデータベースにあるとき(ステップS23でYes)、時間設定部35は、許容時間を変更後の許容時間に設定する(ステップS24)。具体的には、時間設定部35は、変更後の許容時間を示す変更許容時間情報及び装置識別情報を計測部33に出力し、
図2のフローチャートにおけるステップS02に進む。本実施形態では、現在時刻が、7時~9時、12時~13時、17時~19時のうちいずれかに含まれるとき、許容時間が変更後の許容時間(例えば、1秒)に設定される。
【0068】
現在時刻に応じた変更後の許容時間がデータベースにないとき(ステップS23でNo)、
図2のフローチャートにおけるステップS02以降の処理に進む。本実施形態では、現在時刻が、7時~9時、12時~13時、17時~19時のうちいずれかに含まれないとき、許容時間はデフォルトの時間(例えば、3秒)のままとなる。
【0069】
この構成では、朝、昼、夕などの時刻に応じて許容時間を変更することで、エレベータの利用状況に応じた設定ができ、利便性が向上する。具体的には、エレベータの利用者の混雑状況に応じて、エレベータの利用状況に応じた設定ができ、利便性が向上する。
【0070】
以下、本発明の第3の実施形態について、
図7及び
図8を用いて説明する。本実施形態では、行先階登録装置2が、行先階入力部4及び報知部5に加えて、利用者に関する利用者情報を入力する利用者入力部6を備える。また、制御装置30に加えて、利用者情報を認証する認証サーバ36を備える。
【0071】
本実施形態では、所定の利用者情報を入力する利用者に対して、許容時間がデフォルトの時間(例えば、3秒)と比べて長い時間(例えば、5秒)に変更される。なお、所定の利用者情報を入力する利用者に対して、許容時間がデフォルトの時間(例えば、3秒)よりも短い時間(例えば、1秒)に変更されてもよい。このように、許容時間は、利用者入力部6から入力された利用者情報に基づいて長さが変更される。また、報知部5は、変更された許容時間の時間経過を報知する。
【0072】
利用者入力部6は、IDカードから利用者情報を読み取るカードリーダである。なお、利用者入力部6としてのカードリーダは、行先階登録装置2に設けられる以外に、エレベータが設けられた建物の入口のセキュリティゲート等に設けられてもよい。また、利用者入力部6は、利用者入力があるときには、利用者情報及び装置識別情報を認証サーバ36に出力するように構成されている。
【0073】
利用者入力部6にかざされるIDカードは、エレベータが設けられた建物への入館用のIDカード(ビル入館用のセキュリティ認証カード)である。このIDカードは、例えばICタグを内蔵したICカードにより構成されている。なお、本実施形態において、この建物の入居テナントの社員、管理者、エレベータシステムのメンテナンス員に、それぞれ専用のIDカードが常時貸与される。なお、IDカードは、利用者情報を入力する媒体の一例であり、IDカードの代わりに、QRコード(登録商標)等の情報を記録した利用者のスマートフォンを用いてもよい。
【0074】
認証サーバ36は、利用者入力部6から利用者情報及び装置識別情報が出力されると、認証データベースを参照して、利用者情報が認証OKか否かを判断する。また、認証サーバ36は、利用者情報が認証OKであるとき、利用者情報及び装置識別情報を時間設定部35に出力するように構成されている。
【0075】
本実施形態では、行先階登録システム1の起動直後に、時間設定の処理が追加される。以下、時間設定の処理について、
図8を用いて具体的に説明する。
【0076】
行先階登録システム1が起動すると(ステップS31)、認証サーバ36は、利用者入力があるか否かを判断する(ステップS32)。具体的には、認証サーバ36は、利用者入力部6にIDカードがかざされることによる利用者情報及び装置識別情報の出力があるか否かを判断する。利用者入力があるときには(ステップS32でYes)、認証サーバ36は、認証データベースを参照して、利用者入力部6から出力された利用者情報が認証OKか否かを判断する(ステップS33)。
【0077】
認証OKであるときには(ステップS33でYes)、認証サーバ36は利用者情報及び装置識別情報を時間設定部35に出力し、時間設定部35は、利用者情報と変更後の許容時間とを関連付けたデータベースに、利用者情報に応じた変更後の許容時間があるか否かを判断する(ステップS34)。
【0078】
利用者情報に応じた変更後の許容時間があるとき(ステップS34でYes)、時間設定部35は、許容時間を変更後の許容時間に設定する(ステップS35)。具体的には、時間設定部35は、変更後の許容時間を示す変更許容時間情報及び装置識別情報を計測部33に出力し、
図2のフローチャートにおけるステップS02に進む。本実施形態では、所定の利用者について、許容時間が変更後の許容時間(例えば、5秒)に設定される。
【0079】
利用者入力がないとき(ステップS32でNo)、認証OKでないとき(ステップS33でNo)、及び、利用者情報に応じた変更後の許容時間がないとき(ステップS34でNo)、
図2のフローチャートにおけるステップS02に進む。このとき、許容時間はデフォルトの時間(例えば、3秒)のままとなる。
【0080】
この構成では、利用者入力部6への利用者情報に応じて利用者に適した許容時間とでき、利便性が向上する。例えば、車椅子利用者やVIP利用者が、長い許容時間を示す利用者情報を利用者入力部6に入力することで、単位入力部40に対して先の入力操作を行った後に、余裕をもって後の入力操作を行うことができる。なお、地下階、及び、10階~12階を利用しない利用者が、短い許容時間を示す利用者情報を利用者入力部6に入力する構成では、この利用者は、行先階登録装置2への行先階の入力を素早く行うことができる。
【0081】
なお、本実施形態では、利用者入力部6は認証サーバ36と直接情報をやり取りしていたが、これに限定されない。例えば、利用者入力部6が、制御装置30を介して認証サーバ36と情報をやり取りしてもよい。また、本実施形態では、認証サーバ36は、行先階登録装置2と別構成であったが、行先階登録装置2とともに一つの端末を構成していてもよい。
【0082】
また、制御手段3が認証サーバ36を備える場合、認証サーバ36が許可階情報を記憶していてもよく、例えば、認証サーバ36が利用者情報毎に許可階情報を記憶していてもよい。この場合、特定の利用者やVIP利用者のみに特定の行先階の登録を許可するような構成とすることができる。
【0083】
以下、本発明の第4の実施形態について、
図9及び
図10を用いて説明する。本実施形態では、行先階登録装置2が、行先階入力部4及び報知部5に加えて、許容時間を変更するための変更情報を入力する変更入力部7を備える。
【0084】
本実施形態では、変更情報の入力に応じて、許容時間がデフォルトの時間(例えば、3秒)よりも長い時間(例えば、5秒)に変更される。なお、変更情報の入力に応じて、許容時間がデフォルトの時間(例えば、3秒)と比べて短い時間(例えば、1秒)に変更されてもよい。
【0085】
変更入力部7は、例えば、行先階登録装置2に設けられた車椅子利用者を示す押しボタンである。また、変更入力部7に変更入力があるとき、制御装置30は、時間設定部35に時間変更指示情報及び装置識別情報を出力するように構成されている。許容時間は、変更入力部7から入力された変更情報に基づいて長さが変更される。また、報知部5は、変更された許容時間の時間経過を報知する。
【0086】
本実施形態においても、行先階登録システム1の起動直後に、時間設定の処理が追加される。以下、時間設定の処理について、
図10を用いて具体的に説明する。
【0087】
行先階登録システム1が起動すると(ステップS41)、制御装置30は、変更入力があるか否かを判断する(ステップS42)。具体的には、制御装置30は、変更入力部7としての車椅子利用者用ボタンが押下されたことによる変更情報が出力されたか否かを判断する。変更入力部7に変更入力があるとき(ステップS42でYes)、制御装置30は時間設定部35に時間変更指示情報及び装置識別情報を出力し、時間設定部35は許容時間を変更後の許容時間に設定する(ステップS43)。具体的には、時間設定部35は、変更後の許容時間を示す変更許容時間情報及び装置識別情報を計測部33に出力し、
図2のフローチャートにおけるステップS02に進む。本実施形態では、許容時間が変更後の許容時間(例えば、5秒)に設定される。
【0088】
変更入力部7に変更入力がないとき(ステップS42でNo)、
図2のフローチャートにおけるステップS02に進む。このとき、許容時間はデフォルトの時間(例えば、3秒)のままとなる。
【0089】
かかる構成によれば、利用者が許容時間を変更するかどうかを選択でき、利便性が向上する。例えば、車椅子利用者用ボタンの押下に応じて、単位入力部40への先の入力の後に後の入力を許容する許容時間を長く変更することができ、利便性が向上する。
【0090】
なお、第2、第3、第4の実施形態では、許容時間をデフォルトの時間から、一種類の別の許容時間に変更可能であったが、二種類以上の別の許容時間に変更可能であってもよい。例えば、第2の実施形態において、第一の時間帯で、デフォルト時間よりも短い許容時間に変更し、第二の時間帯でデフォルト時間よりも長い許容時間に変更してもよい。
【0091】
以下、本発明の第5の実施形態について、
図11及び
図12を用いて説明する。本実施形態では、制御手段3の階制御部31が、計測部33、行先階決定部34、及び、時間設定部35に加えて、変更後の許容時間の長さを算出する操作入力分析部37を備える。操作入力分析部37は、操作時間取得部370と、分析部371と、を備える。
【0092】
本実施形態では、許容時間は、単位入力部40を複数回操作する場合における先の操作から後の操作までの操作時間に基づいて長さが変更される。具体的には、許容時間は、単位入力部40を複数回操作する場合における先の操作から後の操作までの操作時間の平均値に基づいて長さが変更される。この先の操作から後の操作までの操作時間の平均値は、操作入力分析部37により定期的に算出され、更新される。また、報知部5は、変更された許容時間の時間経過を報知する。
【0093】
操作時間取得部370は、単位入力部40を複数回操作する場合における先の操作から後の操作までの操作時間を取得する。また、操作時間取得部370には、取得した先の操作から後の操作までの操作時間を取得時刻と関連付けて記憶する操作時間記憶部が設けられている。本実施形態では、操作時間記憶部には、取得した先の操作から後の操作までの操作時間と、取得時刻と、休日か否かを示す休日情報と、が関連付けて記憶されている。
【0094】
分析部371は、1日1回、操作時間記憶部に記憶された先の操作から後の操作までの操作時間から、先の操作から後の操作までの操作時間の平均時間を算出する。具体的には、分析部371は、操作時間記憶部に記憶された1日分の先の操作から後の操作までの操作時間を合算し、この合算値を1日の操作回数で除することにより、先の操作から後の操作までの操作時間の平均時間を算出する。本実施形態では、本日が平日の場合、分析部371は、直近の平日の先の操作から後の操作までの操作時間の平均時間を算出する。また、本日が休日の場合、分析部371は、直近の休日の先の操作から後の操作までの操作時間の平均時間を算出する。
【0095】
分析部371は、先の操作から後の操作までの操作時間の平均時間を算出すると、時間設定部35に算出した平均時間を示す時間変更指示情報及び装置識別情報を出力するように構成されている。
【0096】
なお、分析部371は、所定時間毎(例えば、2時間毎、1週間毎)に1回、先の操作から後の操作までの操作時間の平均時間を算出してもよいし、単位入力部40に対する所定回数の入力操作毎(例えば、単位入力部40に対する先の入力操作が100回行われる毎)に1回、先の操作から後の操作までの操作時間の平均時間を算出してもよい。
【0097】
本実施形態においても、行先階登録システム1の起動直後に、時間設定の処理が追加される。以下、時間設定の処理について、
図12を用いて具体的に説明する。
【0098】
行先階登録システム1が起動すると(ステップS51)、操作入力分析部37は、先の操作から後の操作までの操作時間の平均時間に基づいて、許容時間を更新するか否かを判断する(ステップS52)。本実施形態では、操作入力分析部37は、1日に1回、所定のタイミングで先の操作から後の操作までの操作時間の平均時間に基づいて、許容時間を更新する。
【0099】
許容時間を更新するときには(ステップS52でYes)、分析部371は先の操作から後の操作までの操作時間の平均時間を算出し、時間設定部35に算出した平均時間を示す時間変更指示情報及び装置識別情報を出力し、時間設定部35は、変更後の許容時間として、平均時間に余裕時間(例えば、1秒)を加算した時間を設定する(ステップS53)。具体的には、時間設定部35は、変更後の許容時間を示す変更許容時間情報及び装置識別情報を計測部33に出力し、
図2のフローチャートにおけるステップS02に進む。
【0100】
許容時間を更新しないとき(ステップS52でNo)、
図2のフローチャートにおけるステップS02に進む。
【0101】
かかる構成によれば、過去の操作時間に基づいた許容時間とでき、利便性が向上する。例えば、単位入力部40に対する先の操作から後の操作までの操作時間が短い利用者が多いエレベータでは、許容時間が短く変更されるため、利便性が向上する。
【0102】
なお、上記実施形態では、分析部371は、所定のタイミング(1日毎、所定時間毎、又は、所定回数毎)に、先の操作から後の操作までの操作時間の平均時間を算出し、時間設定部35に算出した平均時間を示す時間変更指示情報及び装置識別情報を出力していたが、これに限定されない。例えば、分析部371は、所定のタイミングで、操作時間記憶部に記憶された先の操作から後の操作までの操作時間のうち中央に分布する70%~80%の操作が可能となる操作時間を示す中央時間を算出し、時間設定部35に算出した中央時間を示す時間変更指示情報及び装置識別情報を出力してもよい。また、分析部371は、所定のタイミングで、先の操作から後の操作までの操作時間のうち、最も長い時間を算出し、時間設定部35に算出した最も長い時間を示す時間変更指示情報及び装置識別情報を出力してもよい。さらに、分析部371は、所定のタイミングで、先の操作から後の操作までの操作時間のうち、最も短い時間から50%以内に分布する時間を算出し、時間設定部35にこの算出し時間を示す時間変更指示情報及び装置識別情報を出力してもよい。
【0103】
以下、本発明の第6の実施形態について、
図13~
図16を用いて説明する。第1の実施形態では、単位入力部40に対する先の入力操作からの経過時間の計測、及び、許容時間の時間経過の報知は、一旦開始すると、後の入力操作が行われるか、許容時間が経過するまで継続するものであったが、本実施形態では、これらが利用者の入力により停止可能となっている。なお、本実施形態において、行先階登録システム1のブロック図は
図1と同じである。
【0104】
制御装置30は、単位入力部40に対する先の入力操作の後に、時間経過の計測の停止操作があるとき、計測部33に、時間経過の計測停止を指示する計測停止情報及び装置識別情報を出力するように構成されている。また、制御装置30は、この停止操作があるとき、報知部5に経過時間の報知停止情報を出力するように構成されている。
【0105】
さらに、制御装置30は、単位入力部40に対する先の入力操作の後に、行先階の決定操作があるとき、単位入力部40の1回の操作による1つの行先階の入力を受け付ける。具体的には、制御装置30は、単位入力部40に対する先の入力操作の後に、行先階の決定操作があるとき、階制御部31の行先階決定部34に、単位入力部40の1回の操作による1つの行先階に関する行先階情報、及び、行先階登録装置2を識別する装置識別情報を出力するように構成されている。
【0106】
また、制御装置30は、時間経過の計測の停止操作の後に、計測停止の解除操作があるとき、計測部33に、時間経過の計測再開を指示する計測再開情報及び装置識別情報を出力するように構成されている。
【0107】
本実施形態では、計測部33は、単位入力部40に対する先の入力操作からの経過時間の計測を停止可能である。また、報知部5は、先の入力操作が行われた時点を起点とする時間経過の表示を停止可能である。さらに、報知部5は、この時間経過の表示を停止する際に、行先階の入力を決定する決定キーを表示する。
【0108】
また、計測部33は、先の入力操作からの経過時間の計測を停止した後、先の入力操作からの経過時間の計測を再開可能である。さらに、報知部5は、時間経過の表示を停止した後、先の入力操作が行われた時点を起点とする時間経過の表示を再開可能である。
【0109】
以下、エレベータの行先階登録システム1における一連の処理について、
図13及び
図14のフローチャートを用いて説明する。ステップS61~ステップS63までの処理は、第1の実施形態のステップS01~ステップS03の処理と同じであるため説明を省略し、ステップS64以降の処理を説明する。
【0110】
報知部5は、画像を用いて時間経過を報知する(ステップS64)。本実施形態では、報知部5は、
図15に示すように、プログレスサークルを用いて先の入力操作が行われた時点を起点とする時間経過を表示する。また、報知部5は、時間経過の表示箇所の近傍に、時間経過を停止するための停止キーを表示する。停止キーは、例えば、一次停止を示すアイコンが表示されたキーである。
【0111】
次に、制御装置30は、単位入力部40に対する後の入力操作があるか否かを判断する(
図13のステップS65)。単位入力部40に対する後の入力操作がないとき(ステップS65においてNo)、制御装置30は、先の入力操作からの経過時間が許容時間を過ぎているか否かを判断する(ステップS66)。先の入力操作からの経過時間が許容時間を過ぎていないとき(ステップS66においてNo)、停止操作(本実施形態では、停止キーの操作)があるか否かを判断する(ステップS67)。停止操作がないとき(ステップS67においてNo)、単位入力部40に対する後の入力操作があるか否かの判断(ステップS65)に戻る。
【0112】
単位入力部40に対する後の入力操作があったとき(ステップS65においてYes)、制御装置30は、単位入力部40の複数回の操作による1つの行先階の入力を受け付け、階制御部31の行先階決定部34に、単位入力部40の複数回の操作による1つの行先階に関する行先階情報、及び、行先階登録装置2を識別する装置識別情報を出力する(ステップS68)。このとき、制御装置30が、計測部33に計測終了情報及び装置識別情報を出力することにより、計測部33は、先の入力操作からの経過時間の計測を終了する。さらに、制御装置30が、報知部5に経過時間の報知終了情報を出力することにより、報知部5は、プログレスサークルを用いた報知開始情報の取得時を起点とする時間経過の表示を終了する。
【0113】
次に、行先階決定部34は、制御装置30から出力された行先階情報と、記憶している許可階情報を比較し、入力された行先階が許可階か否かを判断し(ステップS69)、入力された行先階が許可階である場合(ステップS69においてYes)、行先階決定部34は、行先階を決定する(ステップS70)。
【0114】
入力された行先階が許可階でない場合(ステップS69においてNo)、行先階決定部34は、行先階の受け付けを解除する(ステップS71)。具体的には、行先階決定部34が、報知部5に行先階の受け付け解除を指示する受付解除情報を出力することにより、報知部5は、行先階の受け付け解除の報知を行う(ステップS72)。
【0115】
なお、先の入力操作からの経過時間が許容時間を過ぎたとき(ステップS66においてYes)、制御装置30は、単位入力部40の1回の操作による1つの行先階の入力を受け付け、階制御部31の行先階決定部34に、単位入力部40の1回の操作による1つの行先階に関する行先階情報及び装置情報を出力する(ステップS68)。その後、ステップS69の入力された行先階が許可階であるか否かの判断に進み、許可階であるとき(ステップS69においてYes)、ステップS70の行先階決定の処理を行い終了する。許可階でないとき(ステップS69においてNo)、ステップS71の行先階入力の受け付け解除の処理、ステップS72の受け付け解除の報知の処理を順に行い終了する。
【0116】
停止操作があるとき(ステップS67においてYes)、制御装置30が、計測部33に計測停止情報及び装置識別情報を出力することにより、計測部33は、1回目の入力操作からの経過時間の計測を停止する(
図14のステップS73)。さらに、制御装置30が、報知部5に経過時間の報知停止情報を出力することにより、報知部5は、プログレスサークルを用いた先の入力操作が行われた時点を起点とする時間経過の表示を停止する(ステップS74)。具体的には、
図15に示すように、報知部5は、プログレスサークルの時間経過の表示を消去する。また、本実施形態では、報知部5は、プログレスサークルの時間経過の表示を消去すると、行先階の入力を決定する決定キーを表示する。次に、制御装置30は、決定操作があるか否かを判断する(ステップS75)。
【0117】
決定操作があるとき(ステップS75においてYes)、
図13のステップS68に進み、制御装置30は、単位入力部40の1回の操作による1つの行先階の入力を受け付け、階制御部31の行先階決定部34に、単位入力部40の1回の操作による1つの行先階に関する行先階情報、及び、行先階登録装置2を識別する装置識別情報を出力する。その後、ステップS69の入力された行先階が許可階であるか否かの判断に進み、許可階であるとき(ステップS69においてYes)、ステップS70の行先階決定の処理を行い終了する。なお、許可階でないとき(ステップS69においてNo)、ステップS71の行先階入力の受け付け解除の処理、ステップS72の受け付け解除の報知の処理を順に行い終了する。
【0118】
また、決定操作がないとき(
図14のステップS75においてNo)、制御装置30は、解除指示があるか否かを判断する(ステップS76)。本実施形態では、解除指示は、停止操作から所定時間(例えば、3秒)が経過することであるが、タッチパネルに表示した解除キーに触れる解除操作であってもよい。
【0119】
解除指示があるとき(ステップS76においてYes)、制御装置30は、計測部33に計測再開情報及び装置識別情報を出力することにより、計測部33は、先の入力操作からの経過時間の計測を再開する(ステップS77)。さらに、単位入力部40に対する後の入力操作があるか否かの判断(
図13のステップS65)に戻る。
【0120】
解除指示がないとき(
図14のステップS76においてNo)、単位入力部40に対する後の入力操作があるか否かの判断を行う(ステップS78)。この状態で、単位入力部40に対する後の入力操作がないとき(ステップS78においてNo)、ステップS75の決定操作があるか否かの判断に戻る。
【0121】
単位入力部40に対する後の入力操作があるとき(ステップS78においてYes)、
図13のステップS68に進み、制御装置30は、単位入力部40の複数回の操作による1つの行先階の入力を受け付け、階制御部31の行先階決定部34に、単位入力部40の複数回の操作による1つの行先階に関する行先階情報、及び、行先階登録装置2を識別する装置識別情報を出力する。その後、ステップS69の入力された行先階が許可階であるか否かの判断に進み、許可階であるとき(ステップS69においてYes)、ステップS70の行先階決定の処理を行い終了する。これにより、報知部5は、
図15に示す表示を行う。なお、許可階でないとき(
図13のステップS69においてNo)、ステップS71の行先階入力の受け付け解除の処理、ステップS72の受け付け解除の報知の処理を順に行い終了する。
【0122】
本実施形態では、利用者の停止操作により、単位入力部40に対する先の入力操作から後の操作を行うまでの許容時間の時間経過を一時停止できるため、利用者が必要に応じて時間をかけて後の入力操作を行うことが可能であり、利便性が向上する。
【0123】
以下、本発明の第7の実施形態について、
図17及び
図18を用いて説明する。本実施形態では、単位入力部40に対する先の入力操作からの経過時間の計測、及び、許容時間の時間経過の報知が、利用者の入力によりキャンセル可能となっている。なお、本実施形態において、行先階登録システム1のブロック図は
図1と同じである。
【0124】
行先階登録装置2は、キャンセル操作があるとき、制御装置30にキャンセル情報を出力するように構成されている。また、制御装置30は、キャンセル情報が出力されると、計測部33に計測終了情報及び装置識別情報を出力するように構成されている。さらに、制御装置30は、キャンセル操作があるとき、行先階登録装置2が、報知部5に経過時間の報知終了情報を出力するように構成されている。キャンセル操作は、例えば、報知部5(タッチパネル)を連続で複数回触れる操作や長押しする操作等である。なお、キャンセル操作は、タッチパネルに表示されたキャンセルキーに触れる操作であってもよい。
【0125】
本実施形態では、計測部33は、先の入力操作からの経過時間の計測をキャンセル可能である。また、報知部5は、プログレスサークルを用いた報知開始情報の取得時を起点とする時間経過の表示をキャンセル可能である。
【0126】
以下、エレベータの行先階登録システム1における一連の処理について、
図17のフローチャートを用いて説明する。ステップS81~ステップS83までの処理は、第1の実施形態のステップS01~ステップS03の処理と同じであるため説明を省略し、ステップS84以降の処理を説明する。
【0127】
報知部5は、画像を用いて許容時間の時間経過を報知する(ステップS84)。本実施形態では、報知部5は、
図18に示すように、プログレスサークルを用いて先の入力操作が行われた時点を起点とする時間経過を表示する。
【0128】
次に、制御装置30は、単位入力部40に対する後の入力操作があるか否かを判断する(
図17のステップS85)。単位入力部40に対する後の入力操作がないとき(ステップS85においてNo)、制御装置30は、先の入力操作からの経過時間が許容時間を過ぎているか否かを判断する(ステップS86)。先の入力操作からの経過時間が許容時間を過ぎていないとき(ステップS86においてNo)、キャンセル操作があるか否かを判断する(ステップS87)。キャンセル操作がないとき(ステップS87においてNo)、単位入力部40に対する後の入力操作があるか否かの判断(ステップS85)に戻る。
【0129】
単位入力部40に対する後の入力操作があったとき(ステップS85においてYes)、ステップS88~ステップS92の処理を進める。ステップS88~ステップS92の処理は、第6の実施形態におけるステップS68~ステップS72の処理と同じであるため、説明を省略する。
【0130】
なお、先の入力操作からの経過時間が許容時間を過ぎたとき(ステップS86においてYes)、制御装置30は、単位入力部40の1回の操作による1つの行先階の入力を受け付ける(ステップS88)。その後のステップS89~ステップS92の処理については、第6の実施形態におけるステップS69~ステップS72の処理と同じであるため、説明を省略する。
【0131】
キャンセル操作があるとき(ステップS87においてYes)、制御装置30は、行先階の入力をキャンセルする(ステップS93)。具体的には、制御装置30は、計測部33に計測終了情報及び装置識別情報を出力することにより、計測部33は、先の入力操作からの経過時間の計測を終了する。また、制御装置30が、報知部5に経過時間の報知終了情報を出力することにより、報知部5は、プログレスサークルを用いた報知開始情報の取得時を起点とする時間経過の表示を終了し、デフォルト表示を行い、一連の処理を終了する。
【0132】
本実施形態では、利用者のキャンセル操作により、単位入力部40に対して行った誤った先の入力操作をキャンセルできるため、無駄な乗場呼びを抑制することができ、利便性が向上する。
【0133】
なお、本発明のエレベータの行先階登録装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0134】
例えば、第1の実施形態に、第2の実施形態~第7の実施形態の一部を組み合わせてもよい。また、第1の実施形態に、第2の実施形態~第7の実施形態の全てを組み合わせてもよい。
【0135】
具体的には、第1の実施形態と、第3の実施形態と、第5の実施形態と、を組み合わせることが考えられる。これにより、許容時間の長さを時刻及び利用者情報の両方に応じて変更することができる。
【0136】
この構成では、例えば、操作時間記憶部には、取得した先の操作から後の操作までの操作時間と、取得時刻と、利用者情報と、が関連付けて記憶されてもよい。また、分析部371は、1日1回、所定の利用者情報がある場合及び所定の利用者情報がない場合で、それぞれ、先の操作から後の操作までの操作時間の平均時間を算出してもよい。これにより、許容時間の長さは、所定の利用者情報を入力する利用者に対して、この利用者情報を入力した利用者の単位入力部40を複数回操作する場合における先の操作から後の操作までの操作時間の平均値に基づいて変更される。また、許容時間の長さは、所定の利用者情報を入力していない利用者に対して、この利用者情報を入力していない利用者の単位入力部40を複数回操作する場合における先の操作から後の操作までの操作時間の平均値に基づいて変更される。
【0137】
上記実施形態では、報知部5は、円環状の線が時間経過とともに周方向に縮んでいくプログレスサークルを用いて時間経過を表示していたが、
図19(a)~
図19(d)に示すように、別の画像により時間経過を表示してもよい。時間経過を表示する画像は、例えば、時間経過とともに周方向に長くなっていくプログレスサークル、時間経過とともに直線が短くなっていくプログレスバー、時間経過とともに直線が長くなっていくプログレスバーであってもよい。これらのプログレスサークルやプログレスバーは、連続的に延びるものであってもいいし、延伸方向に隙間を空けて離散的に延びるものであってもよい。さらに、時間経過を表示する画像は、
図19(d)に示すように、許容時間のうち残りの秒数を示す数字であってもよい。この数字の画像は、プログレスサークルやプログレスバーとともに用いられてもよいし、プログレスサークルやプログレスバーの代わりに用いられてもよい。
【0138】
なお、報知部5は、画像だけでなく、ブザー音、メロディー音、アナウンス音声といった音、振動等により時間経過を報知してもよい。即ち、報知部5は、画像、音、振動のうち少なくとも1つを用いて時間経過を報知すればよい。
【0139】
報知部5は、時間経過を報知する際に、利用者による入力を補助する補助的な報知を行ってもよい。例えば、
図20(a)に示すように、報知部5が、画像を用いて時間経過を表示する際に、単位階として選択可能なキー(「1」「2」のキー)のみを通常表示とし、単位階として選択不能なキーを通常表示と異なる表示(例えば、グレーアウト表示)としてもよい。また、報知部5は、
図20(b)に示すように、補助的な報知として、後の操作を補助する文章を表示してもよい。なお、報知部5は、補助的な報知として音により報知してもよく、「1階はそのまま、11階は1をタッチ、12階は2をタッチ」といった音声アナウンスにより報知してもよい。報知部5は、時間経過の報知の開始と同時に補助的な報知を行ってもよいし、時間経過の報知の開始から所定時間の経過した際や、単位階として選択不能なキーを操作された際に、補助的な報知を行ってもよい。
【0140】
上記実施形態では、制御手段3の行先階決定部34が、決定された行先階が許可階であるか否かを判断していた。具体的には、単位入力部40の1回又は複数回の入力操作による行先階の入力を受け付けた後に、制御手段3の行先階決定部34が、行先階登録装置2から出力された行先階情報と、記憶している許可階情報を比較し、入力された行先階が許可階か否かを判断していたが、行先階決定部34は、この判断を単位階の入力操作の時点で行ってもよい。
【0141】
例えば、単位入力部40の入力操作があったときに、行先階登録装置2が行先階決定部34に単位階情報及び装置識別情報を出力し、行先階決定部34は入力された単位階が許可階か否かを判断してもよい。この場合、行先階決定部34は、入力された単位階が許可階であるときに許可信号を単位階入力部に出力し、入力された単位階が許可階でないときに解除信号を単位階入力部に出力する。これにより、単位入力部40は、報知部5が許容時間の時間経過を報知している間、単位階として選択可能なキー(具体的には、「1」「2」のキー)に対する入力のみを受け付け、単位階として選択不能なキー(具体的には、「1」「2」以外のキー)に対する入力を受け付けない構成とできる。このような構成とすることで、単位階の入力時点で選択不能な行先階の入力を防ぎ、行先階の決定までの時間を短くすることができる。
【0142】
上記実施形態では、行先階入力部4は、「0」及び「1」~「9」といった1桁の数字を単位階として受け付けていたが、「10」、「20」等の2桁の数字を単位階として受け付けてもよい。例えば、行先階入力部4が、「1」~「10」を単位階として受け付ける構成としたとき、行先階として「13階」を入力したい場合には、利用者が指等により「10」「3」のキーを触るものとしてもよい 。
【0143】
行先階登録装置2のテンキーは、エンターキーを含んでもよい。この構成では、単位階を示すキーで手を検知し、この手が検知されなくなってから所定時間内にエンターキーで手を検知したときに、行先階の入力を行えばよい。
【0144】
上記実施形態では、行先階登録装置2は、乗場に設けられていたが、エレベータの乗場及びかごの少なくとも一方に設けられていればよい。また、上記実施形態では、行先階登録装置2は、各階床の乗場に設けられていたが、エレベータの行先階登録装置2が設けられた建物の各階床のうち一部の階床(例えば、エントランス階)の乗場にのみ設けられていてもよい。この場合、行先階登録装置2が設けられていない階床の乗場には、通常の乗場呼びボタン(上昇するかごを呼ぶ乗場呼びボタン及び下降するかごを呼ぶ乗場呼びボタン)が設けられてもよい。
【0145】
上記実施形態では、行先階入力部4は、テンキータイプであったが、登録可能な単位階の一覧が表示され、利用者がこれを選択することで行先階を入力可能なタイプであってもよい。また、行先階入力部4は、空気中(空間)に映像を結像させる空中タッチディスプレイであってもよい。この空中タッチディスプレイは、例えば、空中画像を生成するための光を出射する光源と、光源からの光を反射及び透過して空中画像を所定の空間に結像する光学部材と、空中画像に対する利用者の入力操作を検知する検知部と、を有する構成としてもよい。
【0146】
また、上記実施形態では、行先階入力部4は、タッチパネルであったが、赤外線センサ等により非接触での行先階の入力が可能な検知部であってもよい。この場合、行先階入力部4は、検知部と、液晶ディスプレイ等の表示部との組み合わせであってもよい。なお、行先階入力部4の単位入力部40は、押下により単位階を入力可能な行先階ボタンで構成されてもよい。
【符号の説明】
【0147】
1…エレベータの行先階登録システム、2…行先階登録装置、3…制御手段、4…行先階入力部、5…報知部、6…利用者入力部、7…変更入力部、30…制御装置、31…階制御部、32…運行制御部、33…計測部、34…行先階決定部、35…時間設定部、36…認証サーバ、37…操作入力分析部、40…単位入力部、330…タイマー、370…操作時間取得部、371…分析部、
【要約】
【課題】的確に操作を行うことができるエレベータの行先階登録装置を提供する。
【解決手段】本発明は、単位階に対応した行先階を入力可能な単位入力部を複数個備え、単位入力部を1回又は複数回操作することで1つの行先階を入力可能な行先階入力部と、前記行先階入力部で前記単位入力部を複数回操作して1つの行先階を入力する場合に、前記単位入力部に対する先の操作を受け付けた後、後の操作の受け付けを許容する許容時間の時間経過を利用者に報知する報知部と、を備える。
【選択図】
図3