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特許7579547販売員評価装置、販売員評価方法および販売員評価用プログラム
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  • 特許-販売員評価装置、販売員評価方法および販売員評価用プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】販売員評価装置、販売員評価方法および販売員評価用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0207 20230101AFI20241031BHJP
   G06Q 10/0639 20230101ALI20241031BHJP
【FI】
G06Q30/0207
G06Q10/0639
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021544030
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(86)【国際出願番号】 JP2020033465
(87)【国際公開番号】W WO2021045160
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2019/035002
(32)【優先日】2019-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】518320867
【氏名又は名称】株式会社バニッシュ・スタンダード
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】小野里 寧晃
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-084138(JP,A)
【文献】特開2006-172329(JP,A)
【文献】特開2017-102846(JP,A)
【文献】特開2016-024479(JP,A)
【文献】特開2002-318976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の商品の販売に関する状況を表す販売状況データであって、企業の販売対象商品のうち、販売員が販売促進の対象として選んだ商品について上記販売員が自身の販売促進用のECサイトまたはウェブページを通じて行った販売促進施策の実施内容である実施状況を示す情報を含む販売状況データを取得する販売状況データ取得部と、
上記販売状況データ取得部により取得された上記販売状況データに基づいて、上記販売員に対して、所定のルールで定められた状況ポイントを付与する状況ポイント付与部とを備え
上記販売促進施策は、複数の商品を組み合わせて構成したコーディネートを商品販売サイトに投稿するコーディネート投稿処理、商品について販売員視点の分かりやすいポイントまたは特徴に関するコメントを商品販売サイトに投稿するコメント投稿処理、および、商品および当該商品に関するコメントを販売員個人のSNSに投稿するSNS投稿処理の少なくとも1つを含み、
上記状況ポイント付与部は、上記コーディネート投稿処理、上記コメント投稿処理および上記SNS投稿処理の少なくとも1つによって上記ECサイトまたは上記ウェブページに掲載されたコンテンツの総数を説明変数として含み、当該説明変数が大きくなるほど目的変数が大きくなるように設計された所定の関数を用いて上記状況ポイントを算出する
ことを特徴とする販売員評価装置。
【請求項2】
上記販売状況データ取得部は、上記販売促進施策に対する消費者の商品購入以外の反応内容である反応状況を示す情報を更に含む販売状況データを取得し、
上記状況ポイント付与部は、上記反応状況を示す情報を説明変数として更に含む上記所定の関数を用いて上記状況ポイントを算出することを特徴とする請求項1に記載の販売員評価装置。
【請求項3】
上記販売状況データ取得部は、上記販売促進施策を行った商品を消費者が購入した実績である販売実績を示す情報を更に含む販売状況データを取得し、
上記状況ポイント付与部は、上記販売実績を示す情報を説明変数として更に含む上記所定の関数を用いて上記状況ポイントを算出することを特徴とする請求項1または2に記載の販売員評価装置。
【請求項4】
上記販売状況データ取得部により取得される上記販売状況データは、販売員および当該販売員が販売した商品を示す情報を含んでおり、
上記販売状況データ取得部により取得される上記販売状況データに基づいて、上記商品を販売した販売員に対して、所定のルールで定められた販売ポイントを付与する販売ポイント付与部を更に備え
上記販売ポイント付与部は、上記商品を販売した販売員に対して、上記商品を1つ販売するごとに所定のポイントを付与し、単位期間当たりに販売した商品のそれぞれについて付与したポイントを総計することによって上記販売ポイントを算出する
ことを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の販売員評価装置。
【請求項5】
上記販売員ごとに、上記販売状況データに基づいて上記状況ポイント付与部により付与された単位期間当たりの上記状況ポイントを用いて上記販売員の販売成績に関する評価値を求める評価値算出部を更に備えたことを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の販売員評価装置。
【請求項6】
上記販売員ごとに、上記販売状況データに基づいて上記販売ポイント付与部により付与された上記単位期間当たりの上記販売ポイントと、上記販売状況データに基づいて上記状況ポイント付与部により付与された上記単位期間当たりの上記状況ポイントとを用いて、上記販売員の販売成績に関する評価値を求める評価値算出部を更に備えたことを特徴とする請求項に記載の販売員評価装置。
【請求項7】
上記評価値算出部は、上記販売ポイントが上記評価値に反映される割合が、上記状況ポイントが上記評価値に反映される割合と同じまたはそれ以上となるような関数に基づいて、上記評価値を算出することを特徴とする請求項に記載の販売員評価装置。
【請求項8】
コンピュータの販売状況データ取得部が、複数の商品の販売に関する状況を表す販売状況データであって、企業の販売対象商品のうち、販売員が販売促進の対象として選んだ商品について上記販売員が自身の販売促進用のECサイトまたはウェブページを通じて行った販売促進施策の実施内容である実施状況を示す情報を含む販売状況データを取得する第1のステップと、
上記コンピュータの状況ポイント付与部が、上記販売状況データ取得部により取得された上記販売状況データに基づいて、上記販売員に対して、所定のルールで定められた状況ポイントを付与する第2のステップとを実行し、
上記販売促進施策は、複数の商品を組み合わせて構成したコーディネートを商品販売サイトに投稿するコーディネート投稿処理、商品について販売員視点の分かりやすいポイントまたは特徴に関するコメントを商品販売サイトに投稿するコメント投稿処理、および、商品および当該商品に関するコメントを販売員個人のSNSに投稿するSNS投稿処理の少なくとも1つを含み、
上記第2のステップにおいて上記状況ポイント付与部は、上記コーディネート投稿処理、上記コメント投稿処理および上記SNS投稿処理の少なくとも1つによって上記ECサイトまたは上記ウェブページに掲載されたコンテンツの総数を説明変数として含み、当該説明変数が大きくなるほど目的変数が大きくなるように設計された所定の関数を用いて上記状況ポイントを算出する
ことを特徴とする販売員評価方法。
【請求項9】
複数の商品の販売に関する状況を表す販売状況データであって、企業の販売対象商品のうち、販売員が販売促進の対象として選んだ商品について上記販売員が自身の販売促進用のECサイトまたはウェブページを通じて行った販売促進施策の実施内容である実施状況を示す情報を含む販売状況データを取得する販売状況データ取得手段、および
上記販売状況データ取得手段により取得された上記販売状況データに基づいて、上記販売員に対して、所定のルールで定められた状況ポイントを付与する状況ポイント付与手段
としてコンピュータを機能させ
上記販売促進施策は、複数の商品を組み合わせて構成したコーディネートを商品販売サイトに投稿するコーディネート投稿処理、商品について販売員視点の分かりやすいポイントまたは特徴に関するコメントを商品販売サイトに投稿するコメント投稿処理、および、商品および当該商品に関するコメントを販売員個人のSNSに投稿するSNS投稿処理の少なくとも1つを含み、
上記状況ポイント付与手段は、上記コーディネート投稿処理、上記コメント投稿処理および上記SNS投稿処理の少なくとも1つによって上記ECサイトまたは上記ウェブページに掲載されたコンテンツの総数を少なくとも1つの説明変数として含み、当該説明変数が大きくなるほど目的変数が大きくなるように設計された所定の関数を用いて上記状況ポイントを算出する
ことを特徴とする販売員評価用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、販売員評価装置、販売員評価方法および販売員評価用プログラムに関し、特に、商品を販売する販売員を所定のルールに基づいて評価するシステムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、商品を販売する販売員に対して、販売実績などに基づいてポイントやボーナスなどのインセンティブを付与することにより、販売に対するモチベーションの向上を図るようにしたシステムが知られている(例えば、特許文献1~3参照)。
【0003】
特許文献1に記載のシステムでは、販売支援サーバは、予め定めたポイント付与ルールに従って、販売担当者の販売実績に応じたポイントを付与し、ポイントの獲得数に応じて報奨としての記念品を提供するようにしている。
【0004】
特許文献2に記載のシステムでは、複数の期間を設定し、期間ごとに、取り扱う商品の中でその期間に重点的に販売したい商品を対象商品としてそれぞれ指定し、各店舗の販売員に対して対象商品の販売目標個数を設定する。そして、販売目標達成率に応じて所定のポイント数を販売員に付与することを期間経過時点ごとに行い、一連のポイント付与対象期間終了後、販売員が獲得した総ポイント数に応じて所定の景品を付与するようにしている。
【0005】
特許文献3に記載のシステムでは、利用者がECサイトを利用して商品を購入するきっかけとなった販売員にインセンティブ(報奨)を付与するようにしている。例えば、受注情報記憶部からレコメンド商品(商品管理担当者が選定した商品)の商品コードに関連付けられている販売員コードを読み出し、当該販売員コードに対応する販売員に対してインセンティブ(レコメンド商品の受注額の所定の割合の金額や、レコメンド商品の注文個数に応じた所定の金額など)を付与する。
【0006】
【文献】特開2003-6422号公報
【文献】特開2001-22821号公報
【文献】特開2014-182760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1~3に記載されているように、販売員に対して販売実績に応じたインセンティブを付与するのは、各販売員のやる気を引き出して、企業全体の売上向上を図ることを目的としたものである。
【0008】
しかしながら、上記特許文献1~3に記載の技術では、販売員が商品をどのようなやり方で販売したかによらず、最終的な販売実績に基づいてインセンティブを付与するものであり、販売員のモチベーションを引き上げるという点で課題がある。すなわち、特許文献1~3に記載の技術では、商品の販売実績だけが評価され、販売の過程において有用な成果を上げたとしてもそれが評価の対象とされないため、販売員のモチベーションを効果的に引き上げることができないという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、販売員のモチベーションをより効果的に上げることによって商品の販売実績を向上させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するために、本発明では、販売員が行った販売促進施策の実施状況、販売促進施策に対する消費者の反応状況、および、販売促進施策を行った商品の販売実績を示す情報を含む販売状況データに基づいて、商品を販売した販売員に対して、所定のルールで定められた状況ポイントを付与するようにしている。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した本発明によれば、販売員が独自に販売促進施策を実施すると、その販売促進施策の実施状況、販売促進施策に対する消費者の反応状況、および、販売促進施策を行った商品の販売実績を示す情報を含む販売状況データに基づいて、その販売員に対して状況ポイントが付与される。すなわち、販売促進施策の実施によって販売の過程において有用な成果を上げた場合にも、それが評価の対象とされてポイントが付与されることとなる。これにより、販売員のモチベーションをより効果的に上げることができ、商品の販売実績を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態による販売員評価システムの全体構成例を示す図である。
図2】本実施形態による販売員評価システムの機能構成例を示すブロック図である。
図3】商品マスタ記憶部が記憶するマスタデータの一例を示す図である。
図4】販売状況データ記憶部に記憶される販売状況データ(対象商品販売実績データ)の一例を示す図である。
図5】販売状況データ記憶部に記憶される販売状況データ(販促状況データ)の一例を示す図である。
図6】本実施形態による評価管理サーバの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による販売員評価装置を備えた販売員評価システムの全体構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態による販売員評価システムは、販売管理サーバ100、評価管理サーバ300、販売員端末400および消費者端末500を備えて構成されている。販売管理サーバ100、評価管理サーバ300、販売員端末400および消費者端末500は、インターネットおよび携帯電話網などの通信ネットワーク1000を介して互いに通信可能に接続されている。
【0014】
販売管理サーバ100は、企業が販売対象とする商品(以下、販売対象商品という)の販売に関する管理を行うものである。販売に関する管理とは、販売対象商品をECサイトに掲載して販売するために必要な各処理、販売対象商品に関して各種の販売促進施策を実施するために必要な各処理、ECサイトを通じて販売された販売対象商品の販売状況(ECサイトに掲載した販売対象商品に対する消費者の反応状況を含む)を集計するために必要な各処理である。これら各処理の詳細については、追って順次説明する。
【0015】
評価管理サーバ300は、本発明の販売員評価装置に相当するものであり、販売管理サーバ100により管理されている販売員による販売対象商品の販売状況に基づいて、販売員に対してポイントを付与して評価する処理を行うものである。評価管理サーバ300の処理の詳細については後述する。
【0016】
販売員端末400は、販売対象商品を販売する企業の販売員が使用する端末であり、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどである。消費者端末500は、販売対象商品を購入する消費者が使用する端末であり、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどである。なお、図1では区別しやすいように、販売員端末400がスマートフォンであり、消費者端末500がパーソナルコンピュータであるものとして図示しているが、これに限定する趣旨ではない。
【0017】
なお、図1では、販売管理サーバ100および評価管理サーバ300の2つにサーバを分けて構成する例を示しているが、これに限定されるものではない。例えば、販売管理サーバ100および評価管理サーバ300を1つのサーバにまとめて構成するようにしてもよい。
【0018】
図2は、本実施形態による販売員評価システムの機能構成、具体的には販売管理サーバ100および評価管理サーバ300の機能構成例を示すブロック図である。図2に示すように、販売管理サーバ100は、機能構成として、販売管理部11および販売状況記録部12を備えている。また、販売管理サーバ100は、記憶媒体として、商品マスタ記憶部101および販売状況データ記憶部102を備えている。
【0019】
上記各機能ブロック11~12は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック11~12は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0020】
商品マスタ記憶部101は、複数の販売対象商品に関するマスタデータを記憶する。図3は、商品マスタ記憶部101が記憶するマスタデータの一例を示す図である。図3に示すように、商品マスタ記憶部101は、複数の販売対象商品のそれぞれ毎に、商品名、商品コード、商品属性、販売単価、在庫数などのデータを記憶する。なお、ここに挙げたデータは一例であり、マスタデータがこれ以外のデータを含んでもよい。
【0021】
商品属性は、同じ商品でも異なる属性が存在する場合にその属性を特定するための情報である。本実施形態では、販売対象商品の一例として衣服を挙げて説明する。この場合、商品属性は、商品の色やサイズなどである。在庫数は、企業が販売する見込みとして仕入れた販売対象商品の数である。同じ販売対象商品を複数回に分けて仕入れた場合は、その仕入れの合計数が在庫数となる。
【0022】
販売管理部11は、販売対象商品をECサイトに掲載して販売するために必要な各処理、および、販売対象商品に関して各種の販売促進施策を実施するために必要な各処理を実行する。本実施形態において、販売管理部11は、販売員が販売員端末400を操作することにより、商品マスタ記憶部101に記憶されている複数の販売対象商品の中から任意の販売対象商品を選んでECサイトに掲載する処理を実行する。この場合のECサイトは、販売員が自分で販売する商品を選んで掲載した個人のECサイトである。販売員端末400には、販売管理サーバ100にアクセスしてこのような処理を行うことを可能にした支援用のアプリケーション(以下、販売支援アプリという)がインストールされている。
【0023】
このように、販売管理部11は、販売員端末400からの要求に応じて、複数の販売員のそれぞれ毎に個人のECサイトを作成し、各販売員が選んだ販売対象商品を掲載する処理を行う。販売管理部11は、どの販売員のECサイトにどの販売対象商品を掲載しているか(言い換えると、どの販売員がどの販売対象商品を販売しているか)の情報を、販売状況データの1つとして販売状況データ記憶部102に記憶して管理する。また、販売管理部11は、どの販売員がどのECサイトでどんな販売促進施策を実施しているかの情報も、販売状況データの1つとして販売状況データ記憶部102に記憶して管理する。
【0024】
なお、ここでは販売員ごとにECサイトを作成する例について説明したが、これに限定されない。例えば、ECサイトは企業により用意されるものが1つで、そのECサイトの中に販売員ごとの販売ページを作成し、個々の販売員が選んだ販売対象商品を各販売員の販売ページに掲載するようにしてもよい。
【0025】
また、販売管理部11は、販売対象商品に関して販売員が販売促進施策を実施するために必要な処理の一例として、いくつかの販売対象商品を組み合わせて構成したコーディネートをECサイトに投稿する処理、販売対象商品について販売員視点の分かりやすいポイントや特徴に関するコメントをECサイトに投稿する処理、販売対象商品およびそれに関するコメントなどを販売員個人のSNS(Instagram、facebook、LINEなど。何れも登録商標)に投稿する処理などを行う。上述の販売支援アプリには、これらのコーディネート投稿機能、コメント投稿機能、SNS投稿機能も実装されている。
【0026】
また、販売管理部11は、消費者端末500からECサイトへのアクセスを通じて行われる販売対象商品の購買に関する処理も実行する。消費者は、所望のECサイト上で複数の販売対象商品を閲覧し、その中から所望の販売対象商品を選んで購入するための一連の手続を行うことができ、この一連の手続に関する処理を販売管理部11が実行する。
【0027】
販売状況記録部12は、各販売員のECサイトを通じて販売された販売対象商品の販売状況、販売員が実施した販売促進施策の実施状況などに関する情報を販売状況データ記憶部102に記録する処理を実行する。
【0028】
例えば、販売状況記録部12は、消費者がECサイトを通じて販売対象商品を購入した場合に、どの販売員のECサイトからどの販売対象商品がいつ、いくつ売れたのかを示す情報を販売管理部11から得て、販売状況データの1つとして販売状況データ記憶部102に記録する。
【0029】
図4は、販売状況データ記憶部102に記憶される販売状況データの一例を示す図である。図4に示すように、販売状況データ記憶部102は、複数の販売員ごとおよび当該販売員が選んで販売している販売対象商品ごとに、販売員コード、商品コード、販売対象商品の販売日および販売数を関連付けて1つのレコードに記憶する。このデータを記憶するレコードは、販売対象商品が消費者によって購入されたことが販売管理部11により検出されるたびに、1つずつ追加されていく。
【0030】
なお、図4は、販売状況データ記憶部102に対する販売状況データの記憶方法の一例を示したものであり、これに限定されるものではない。要は、どの販売員が販売するどの販売対象商品がいつ何個売れたのかが把握できるような形態でデータが記憶されていればよい。
【0031】
さらに、販売状況記録部12は、販売状況データとして、販売員が行った販売促進施策の実施状況に関するデータと、販売促進施策に対する消費者の反応状況に関するデータと、販売促進施策を行った販売対象商品の販売実績に関するデータとを販売状況データ記憶部102に記録する。図5は、販売状況データ記憶部102に記憶されるこれらの販売状況データの一例を示す図である。
【0032】
販売員が行った販売促進施策の実施状況に関するデータ(以下、販促実施状況データという)は、販売員が販売支援アプリのコーディネート投稿機能、コメント投稿機能、SNS投稿機能を利用して実施した販売促進施策の実施状況を示すデータである。具体的には、販促実施状況データは、図5(a)に示すように、販売員コード、販売員が販売対象商品を投稿したECサイトを示す投稿サイトコード、投稿の対象とした販売対象商品を示す情報(商品コードや商品名)などを含む。コーディネート投稿機能を利用して複数の販売対象商品を投稿した場合、そのコーディネートに含まれる複数の商品の商品コードが記録される。このデータを記憶するレコードは、例えば、販売員が投稿を行うたびに1つずつ追加されていく。
【0033】
図5(b)に示すように、販売促進施策に対する消費者の反応状況に関するデータ(以下、販促反応状況データという)は、販売員コード、販売員が販売対象商品を投稿したECサイトを示す投稿サイトコード、販売員が投稿した販売対象商品の商品コード、PV数などの情報を含む。このデータを記憶するレコードは、例えば、販売員が投稿を行うたびに1つずつ追加されていき、各レコードに記録されるPV数は、該当の投稿サイトが消費者により閲覧されるたびに加算されていく。
【0034】
PV数は、販売対象商品の掲載されたページが開かれた回数である。例えば、複数の販売対象商品の一覧が掲載されたページにおいて、何れかの販売対象商品を選択する操作が消費者により行われたことに応じて、当該販売対象商品の詳細情報などを掲載した個別ページに遷移するようにECサイトが構成されている場合、個別ページが開かれた回数をPV数とすることが可能である。
【0035】
また、図5(c)に示すように、販売対象商品の販売実績に関するデータ(以下、販促商品販売実績データという)は、販売員コード、販売された販売対象商品の商品コード、販売日、販売数、どのECサイト(投稿サイト)へのアクセスに基づいて販売対象商品が売れたかの流入元を示す投稿サイトコードなどの情報を含む。このデータを記憶するレコードは、販売対象商品が消費者によって購入されたことが販売管理部11により検出されるたびに、1つずつ追加されていく。
【0036】
なお、以下では、図4に示す販売状況データを「対象商品販売実績データ」といい、図5に示す販売状況データを「販促状況データ」といって、両者を区別する。ここでは、販売状況データを図4および図5に分けて説明したが、単に説明の便宜によるものであり、物理的に2つの記憶媒体に分けて記憶することを必須とするものではない。
【0037】
次に、評価管理サーバ300の構成について説明する。図2に示すように、評価管理サーバ300は、機能構成として、販売状況データ取得部31、販売ポイント付与部36、状況ポイント付与部38および評価値算出部37を備えている。また、評価管理サーバ300は、記憶媒体として、評価データ記憶部302を備えている。
【0038】
上記各機能ブロック31,36~38は、ハードウェア、DSP、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック31,36~38は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。このプログラムは、特許請求の範囲の販売員評価用プログラムに相当する。
【0039】
販売状況データ取得部31は、企業が販売対象とする複数の販売対象商品の販売に関する状況を表す販売状況データ(販売状況データ記憶部102に記憶された販売状況データ)を販売管理サーバ100から取得する。販売状況データ取得部31が取得する販売状況データは、図4に示す対象商品販売実績データおよび図5に示す販促状況データ(販促実施状況データ、販促反応状況データおよび販促商品販売実績データの少なくとも1つ)である。販売状況データ取得部31は、対象商品販売実績データを販売ポイント付与部36に供給し、販促状況データを状況ポイント付与部38に供給する。
【0040】
販売状況データ取得部31は、販売管理サーバ100から販売状況データを取得する処理を、例えば所定の時間間隔ごとに定期的に実行する。所定の時間間隔は、例えば1ヵ月置きとする。ここで、販売状況データ取得部31は、直近の時間間隔の間(以下、評価対象期間という)に販売状況データ記憶部102に記憶された販売状況データだけを取得する。
【0041】
後述する販売ポイント付与部36、状況ポイント付与部38および評価値算出部37は、販売状況データ取得部31が販売状況データを取得するたびに、評価対象期間中の販売状況データに基づいて、以下に述べるポイントを付与する処理および評価値を算出する処理を実行する。ポイントの付与および評価値の算出を行うインターバル(評価対象期間の長さ)は、販売員に対して所定のインセンティブ(例えば、評価値に応じた給与やボーナス、景品など)を付与するタイミングに合わせて設定するとよい。
【0042】
販売ポイント付与部36は、販売状況データ取得部31により取得された対象商品販売実績データに基づいて、販売対象商品を販売した販売員に対して、販売した販売対象商品のそれぞれについて所定のルールで定められたポイントを付与する。例えば、販売ポイント付与部36は、販売対象商品を1つ販売するごとに、所定のポイントを販売員に付与する。
【0043】
ここで、ポイントとは、評価値算出部37において販売員の評価値を算出する際に用いる数値であり、スコアと呼び換えてもよい。所定のルールとは、例えば、販売対象商品の販売に対して固定値のポイントを付与するといったルールである。なお、異なる販売対象商品に対して異なるポイントを付与するといったルールを設定してもよい。ルールの内容は任意に設定可能である。
【0044】
販売ポイント付与部36は、販売員ごとに、単位期間当たりに販売した販売対象商品のそれぞれについて上述のように付与されたポイントを総計することによって販売ポイントを算出する。そして、販売ポイント付与部36は、販売員ごとに、算出した販売ポイントを評価データ記憶部302に記憶して管理する。
【0045】
状況ポイント付与部38は、販売状況データ取得部31が取得した販促状況データ(販促実施状況データ、販促反応状況データおよび販促商品販売実績データの少なくとも何れか一のデータ)に基づいて、販売促進施策の実施状況、消費者の反応状況および販売対象商品の販売実績の少なくとも1つから状況ポイントを算出する。
【0046】
ここで、状況ポイント付与部38は、例えば、以下の(A)~(G)に示すパラメータの少なくとも1つを用いて状況ポイントを算出する。
(A)販売員の売上:単位期間中に販売員が販売した販促対象商品の総売上
(B)コンテンツ投稿数:コーディネート投稿、コメント投稿、SNS投稿によって掲載したコンテンツの総数。コンテンツとは、複数の販売対象商品の組み合わせをコーディネートとして投稿した場合は当該コーディネートを意味し、1つの販売対象商品を投稿した場合は当該1つの販売対象商品を意味する。
(C)1コンテンツの平均売上:1つの投稿コンテンツ毎の平均売上
(D)PV数:単位期間中に販売員が投稿した全コンテンツの総PV数
(E)SNSからの集客数:単位期間中に販売員が販売した販売対象商品に関する全顧客のうち、販売員個人のSNSから集客した顧客の数
(F)SNSからの売上:単位期間中に販売員が販売した販売対象商品のうち、販売員個人のSNSから集客して販売した販売対象商品の総売上
(G)他ECサイトへの投稿経由の売上:コーディネート投稿、コメント投稿によって掲載したECサイトから集客して販売した販売対象商品の総売上
【0047】
すなわち、状況ポイント付与部38は、上記(A)~(G)のうち少なくとも1つを説明変数とし、状況ポイントを目的変数とする所定の関数を用いて、状況ポイントを算出する。状況ポイント付与部38が状況ポイントの算出に用いる所定の関数は、例えば、(A)~(G)のパラメータの何れについても、その値が大きくなるほど状況ポイントが大きくなるように設計されている。また、(A)~(G)のパラメータについて優先度を設定し、優先度の高いパラメータの値が大きくなるほど状況ポイントが大きくなるように関数を設計するようにしてもよい。
【0048】
評価値算出部37は、販売ポイント付与部36により算出された販売ポイントと、状況ポイント付与部38により算出された状況ポイントとを用いて、単位期間当たりの販売員の販売成績に関する評価値を求める。例えば、評価値算出部37は、販売ポイントと状況ポイントとを足し算または掛け算することにより、販売員の評価値を求める。このようにすれば、販売員による販売促進施策の実施状況や販売実績を状況ポイントとして評価値に反映しつつ、販売対象商品の販売実績を販売ポイントとして評価値に反映することができる。
【0049】
評価値算出部37は、販売ポイントと状況ポイントとを変数として用いる任意の関数に基づいて、販売員の評価値を求めるようにしてもよい。例えば、評価値算出部37は、販売ポイントと状況ポイントとから販売員の評価値を算出する際に、販売ポイントが評価値に反映される割合が、状況ポイントが評価値に反映される割合と同じまたはそれ以上となるような関数に基づいて、評価値を算出するようにしてもよい。このようにすれば、販売対象商品の全般に関する販売員による販売促進施策の実施状況を反映しつつ、販売対象商品の販売実績をより強く反映した状態で販売員の評価値を算出するようにすることができる。
【0050】
そして、評価値算出部37は、販売員ごとに、算出した評価値を評価データ記憶部302に記憶して管理する。ここで、単位期間とは、販売ポイント付与部36、状況ポイント付与部38および評価値算出部37が処理を実行する所定の時間間隔の評価対象期間(例えば1ヵ月)である。
【0051】
図6は、上記のように構成した本実施形態による販売員評価システムの動作例を示すフローチャートである。この図6は、評価管理サーバ300においてポイントを付与して評価値を算出する動作例を示す。図6に示す評価管理サーバ300の動作は、所定の時間間隔で(例えば、1ヵ月置き)繰り返し実行される。
【0052】
まず、販売状況データ取得部31は、複数の販売対象商品の販売状況データ(図4に示す対象商品販売実績データおよび図5に示す販促状況データ)を販売管理サーバ100から取得する(ステップS1)。次いで、販売ポイント付与部36は、販売状況データ取得部31により取得された対象商品販売実績データに基づいて、販売対象商品を販売した販売員に対して販売ポイントを付与し、評価データ記憶部302に記憶する(ステップS2)。
【0053】
また、状況ポイント付与部38は、販売状況データ取得部31により取得された販促状況データに基づいて、販売対象商品について販売促進施策を実施した販売員に対して状況ポイントを付与し、評価データ記憶部302に記憶する(ステップS3)。
【0054】
さらに、評価値算出部37は、販売員ごとに、販売ポイント付与部36により付与された販売ポイントと、状況ポイント付与部38により算出された状況ポイントとを用いて、単位期間当たりの販売員の販売成績に関する評価値を求め、求めた評価値を評価データ記憶部302に記憶する(ステップS4)。
【0055】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、販売員が行った販売促進施策の実施状況、販売促進施策に対する消費者の反応状況、および、販売促進施策を行った商品の販売実績を示す情報を含む販売状況データに基づいて、販売促進施策を実施した販売員に対して、所定のルールで定められた状況ポイントを付与するようにしている。
【0056】
このように構成した本実施形態によれば、販売促進施策の実施によって販売の過程において有用な成果を上げた場合に、それが評価の対象とされて状況ポイントが付与されることとなる。これにより、販売員のモチベーションをより効果的に上げることができ、商品の販売実績を向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態では、販売対象商品に関する対象商品販売実績データに基づいて、販売対象商品を販売した販売員に対して、所定のルールで定められた販売ポイントも付与するようにしている。このように構成した本実施形態によれば、販売員による販売促進施策の実施状況に応じて状況ポイントが付与されることに加えて、販売対象商品の販売実績に応じて販売ポイントも付与される。これにより、販売員のモチベーションをより効果的に上げることができ、商品の販売実績を向上させることができる。
【0058】
なお、上記実施形態では、販売ポイントと状況ポイントとを算出し、その両方を用いて販売員の評価値を算出する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、販売ポイントは算出せず、状況ポイントのみを算出するようにしてもよい。この場合、状況ポイントをそのまま販売員の評価値として用いるようにしてもよいし、状況ポイントを変数とする任意の関数を用いて評価値を算出するようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、商品マスタの中から販売員が自分で販売対象商品を選んで個人のECサイトを作成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、全ての販売対象商品を掲載した1つのECサイトがあって、これとは別に販売員が販促用サイトを作成して、これをECサイトにリンクさせる構成としてもよい。また、販売員が自分で販売対象商品を選んで販売するのではなく、商品マスタに記憶されている商品を全て販売員による販売対象商品としてもよい。あるいは、商品マスタの中から企業により指定された商品または販売管理部11により所定のルールに基づいて自動的に指定された商品を販売員による販売対象商品としてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、評価値算出部37が、単位期間当たりの評価値を評価対象期間が経過するごとに算出する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、評価対象期間が経過するごとに、販売状況データ記憶部102に記憶されている全期間の販売状況データを用いて全期間に関する販売員の評価値を算出するようにしてもよい。あるいは、評価対象期間が経過するごとに、直近の時間間隔の間に販売状況データ記憶部102に新たに記憶された販売状況データだけを対象として直近の評価値を算出し、これを過去の評価値に累算するようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、販売ポイント付与部36および状況ポイント付与部38が付与するポイントは、評価値算出部37が販売員の評価値を算出する際に用いる単なる数値である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、評価値算出部37を省略し、販売ポイント付与部36および状況ポイント付与部38が付与するポイントを、実際の商取引で使用可能な経済的価値を有するポイントとしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、販売対象商品が衣服である場合を例に挙げて説明したが、販売対象商品は衣服に限定されない。あらゆる商品を対象とすることが可能である。また、取り扱う商品は、物としての商品と、サービスとしての商品とのどちらであってもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、ECサイトで商品を販売する場合を例に挙げて説明したが、実店舗で商品を販売する場合にも適用することが可能である。例えば、実店舗で商品を販売する場合に使用するPOS(Point of sale system)システムから商品の販売実績および担当販売員に関するデータを取得することが可能であり、POSシステムから取得したデータを用いて上記実施形態で説明した処理と同様の処理を実行することが可能である。ここで、担当販売員を示すデータは、例えば二次元コードの読み取りを通じて特定するようにしてもよい。
【0064】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0065】
11 販売管理部
12 販売状況記録部
31 販売状況データ取得部
36 販売ポイント付与部
37 評価値算出部
38 状況ポイント付与部
100 販売管理サーバ
300 評価管理サーバ(販売員評価装置)
400 販売員端末
500 消費者端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6