IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -車両に設けられているアウトリガー用の盤木 図1
  • -車両に設けられているアウトリガー用の盤木 図2
  • -車両に設けられているアウトリガー用の盤木 図3
  • -車両に設けられているアウトリガー用の盤木 図4
  • -車両に設けられているアウトリガー用の盤木 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車両に設けられているアウトリガー用の盤木
(51)【国際特許分類】
   B60S 9/02 20060101AFI20241031BHJP
   B66C 23/78 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B60S9/02
B66C23/78 F
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024058679
(22)【出願日】2024-04-01
【審査請求日】2024-04-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522102376
【氏名又は名称】株式会社エコスティック
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(74)【代理人】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(72)【発明者】
【氏名】出口 秀夫
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3241841(JP,U)
【文献】特開2011-168148(JP,A)
【文献】実開平03-124976(JP,U)
【文献】実開昭52-052221(JP,U)
【文献】特開昭58-174052(JP,A)
【文献】実開昭58-087655(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の側方に張りだされるようになっている梁部と、該梁部に設けられ鉛直方向に駆動されるようになっているシリンダ部と、該シリンダ部の下端に設けられ所定の接地面を備えているジャッキベースとを備えたアウトリガーにおいて、前記ジャッキベースに対して取り付けられるようになっている盤木であって、
前記盤木は、前記盤木の側部から前記盤木の底面と平行にくり抜きが開けられ、
前記くり抜きは、前記盤木の側部から前記盤木の中央部近傍まで形成されたメクラ穴状になっており、
前記くり抜きには前記盤木の上面において開口してスリットが形成されており、
前記ジャッキベースが前記くり抜きに入れられるとき、前記ジャッキベースの上部の細い部分あるいは前記シリンダ部が前記スリットに配置されると共に実質的に前記ジャッキベースの全体が前記くり抜きに収納されるようになっている、盤木。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートポンプ車、クレーン車等の工事車両、高所作業車等の作業車両のアウトリガーに使用される盤木に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンクリートポンプ車等の工事車両は、作業中に車両が転倒しないようにアウトリガーにより車両を安定させるようになっている。アウトリガーは、車両の側方に張りだされるようになっている梁部と、この梁部に設けられ鉛直方向に駆動されるようになっているシリンダ部と、このシリンダ部の下端に設けられ所定の接地面を備えているジャッキベースとを備えている。
【0003】
アウトリガーの使用時には、例えば特許文献1、2に記載されているような盤木を使用する。具体的には次のようにする。車両を作業場所において停止させ、梁部を水平に張りだす、あるいは旋回させてジャッキベースを所望の位置に移動する。次いでジャッキベースの位置に整合するように地面に盤木を置く。シリンダ部を駆動してジャッキベースを鉛直方向に下ろす。そうするとジャッキベースが盤木に載る。つまりジャッキベースの接地面が盤木に載ることになる。引き続き所定長さだけシリンダ部を駆動してジャッキベースによって車両を支持させる。そうすると車両を安定させることができる。盤木はジャッキベースの接地面に比して面積が広いので、地面にのめり込むことなく、車両を安定させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平2-124758号公報
【文献】特開平10-114259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の盤木は地面にめり込むことなく車両を安定させることができるが、課題も見受けられる。具体的には、盤木を地面に置く作業の労力が大きいという課題である。盤木は上で説明したようにジャッキベースの位置に整合させるように地面に設置する必要があるが盤木は重量が大きく作業の労力が大きい。また、盤木を地面に設置するとき設置場所として相応しく場合があり、その場合には梁部を駆動して設置場所を変更しなければならない。そうすると、一旦地面に設置した盤木を移動させなければならならず労力が大きい。さらには、盤木をジャッキベースの位置に整合させるように地面に設置しても、シリンダ部を駆動してジャッキベースを下ろしたとき、ジャッキベースが盤木の中心に載らない場合もある。そうすると一旦シリンダ部を駆動してジャッキベースを上げ、盤木の設置位置を調整する必要がある。
【0006】
本発明は、設置に要する労力を軽減することができる盤木を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両のアウトリガーに使用される盤木を対象としている。アウトリガーは車両の側方に張りだされるようになっている梁部と、この梁部に設けられ鉛直方向に駆動されるシリンダ部と、このシリンダ部の下端に設けられ所定の接地面を備えているジャッキベースとを備えている。本発明に係る盤木は、盤木の側部から盤木の底面と平行にくり抜きが開けられ、くり抜きは、盤木の側部から盤木の中央部近傍まで形成されたメクラ穴状になっている。そして、くり抜きには盤木の上面において開口してスリットが形成されている。ジャッキベースがくり抜きに入れられるとき、ジャッキベースの上部の細い部分あるいはシリンダ部がスリットに配置されると共に実質的にジャッキベースの全体がくり抜きに収納されるようになっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、盤木はジャッキベースに対して着脱自在に取り付けられるようになっている。すなわち盤木をジャッキベースに取り付けた状態にすることができる。そうすると、アウトリガーの梁部を張りだしたり旋回させたりするとき、盤木がジャッキベースに取り付けられた状態でジャッキベースと共に移動することになる。そして、シリンダ部を駆動してジャッキベースを下ろすと、自動的に盤木が地面に設置されることになる。つまり盤木を設置する労力を軽減することができる。盤木は、盤木の側部から盤木の底面と平行にくり抜きが開けられ、くり抜きは、盤木の側部から盤木の中央部近傍まで形成されたメクラ穴状になっている。そして、くり抜きには盤木の上面において開口してスリットが形成されている。ジャッキベースがくり抜きに入れられるとき、ジャッキベースの上部の細い部分あるいはシリンダ部がスリットに配置されると共に実質的にジャッキベースの全体がくり抜きに収納されるようになっている。従って、くり抜きにジャッキベースをそれぞれ対応させて盤木をスライドさせるだけで盤木をジャッキベースに取り付けることができる。取り付けを容易に実施することができ、さらに労力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施の形態に係る盤木によって地面に支持された状態のコンクリートポンプ車を示す斜視図である。
図2】本実施の形態に係る盤木の斜視図である。
図3】本実施の形態に係る盤木の使用方法を説明する図で、その(A)、(B)はそれぞれアウトリガーの一部と盤木とを示す正面図であり、その(C)、(D)は側面図である。
図4】本実施の形態の変形例に係る盤木の斜視図である。
図5】第2の実施の形態に係る盤木の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本実施の形態]
以下、本実施の形態を説明する。本実施の形態に係る盤木1、1、…は、図1に示されているように、コンクリートポンプ車2のアウトリガー3、3、…に設けられている。本実施の形態に係る盤木1、1、…については後で詳しく説明するが、コンクリートポンプ車2、クレーン車等の工事車両や、高所作業車等の作業車両のアウトリガー3、3、…に設けられるようになっている。ここではアウトリガー3、3、…を備えた車両の例としてコンクリートポンプ車2ついて簡単に説明する。
【0013】
<コンクリートポンプ車>
コンクリートポンプ車2は、自走する車両5と、この車両5に設けられているホッパ6と、多段式ブーム8と、車両5と多段式ブーム8とに設けられているコンクリート圧送管10と、図には示されていないコンクリートポンプ等、から構成されている。ホッパ6にコンクリートを供給し、コンクリートポンプを駆動する。そうするとコンクリートがコンクリート圧送管10により圧送されることになる。多段式ブーム8を駆動してコンクリート圧送管の先端を所望の位置に移動させ、コンクリートを打設することができる。
【0014】
<アウトリガー>
このようなコンクリートポンプ車2は、コンクリート打設の作業中において、アウトリガー3、3、…によって支持されて倒れが防止されている。アウトリガー3、3、…は、車両5の側方に張りだされるようになっている梁部11、11と、この梁部11、11、…に設けられ鉛直方向に駆動されるようになっているシリンダ部13、13、…とを備えている。梁部11、11、…は横方向に伸張させたり旋回させたりできるようになっており、所望の位置にシリンダ部13、13、…を移動させるようになっている。
【0015】
これらのシリンダ部13、13、…には、その下端にジャッキベース14、14、…が設けられている。ジャッキベース14、14、…は、図1においては一部しか示されていないが、所定面積の接地面を備え、シリンダ部13、13、…に対して若干の首振りが許容されている。従って、シリンダ部13、13、…を駆動してジャッキベース14、14、…を地面に置くとき、地面の傾斜に合わせて首振りして、ジャッキベース14、14、…が地面に密着することになる。ただし、ジャッキベース14、14、…は次に説明する本実施の形態に係る盤木1、1、…が取り付けられた状態になっているので、盤木1、1、…を介して地面に接触することになる。
【0016】
<盤木>
本実施の形態に係る盤木1が図2に示されている。本実施の形態において、盤木1は上面形状が正方形で所定高さの直方体状になっている。盤木1は、合板、樹脂等、どのような材料から形成されていてもよいが、コンクリートポンプ車2等の車両5の重量が作用しても破損せず、変形しにくい材料から形成されている。盤木1には、その側部16から盤木1の底面17と平行にくり抜き18が形成されている。くり抜き18は、側部16から盤木1の中央近傍まで形成されている。つまり側部16から見るとメクラ穴になっている。このようなくり抜き18は、盤木1の上面19において開口してスリット20が形成されている。
【0017】
くり抜き18は幅広で容量が大きく、次に説明するようにジャッキベース14(図1参照)が収納されるようになっている。また、くり抜き18の底面つまりくり抜き底面22は平らになっており、ジャッキベース14が接触し加重が作用するようになっている。スリット20はくり抜き18に比して幅が狭くなっており、次に説明するようにアウトリガー3(図1参照)のシリンダ部13が、あるいはジャッキベース14の細くなっている上部分が挿入されるようになっている。
【0018】
<盤木の使用方法>
本実施の形態に係る盤木1の使用方法を説明する。図3の(A)に示されているように、アウトリガー3の近傍に盤木1を持ってくる。そしてジャッキベース14をくり抜き18内に入れるように盤木1を平行に移動させる。そうすると、図3の(に示されているように、ジャッキベース14がくり抜き18内に収納される。このとき、ジャッキベース14の上部の細い部分、あるいはシリンダ部13がスリット20に配置することになる。すなわち、本実施の形態に係る盤木1がアウトリガー3のジャッキベース14に装着された状態になる。
【0019】
ジャッキベース14に本実施の形態に係る盤木1が装着されたアウトリガー3を、図3の(C)に示されているように、横方向あるいは縦方向に駆動しても、盤木1は外れない。スリット20の幅が狭く、ジャッキベース14がスリット20から抜けないからである。アウトリガー3を駆動してジャッキベース14を所望の位置に移動させる。次いで、図3の(D)に示されているように、シリンダ部13を駆動して、ジャッキベース14を下降させる。本実施の形態に係る盤木1の底面17が地面に接触し、ジャッキベース14の下面が盤木1のくり抜き底面22に接触する。
【0020】
もし、盤木1が置かれている地面の状態に問題があれば、シリンダ部13を駆動してジャッキベース14を上げて、梁部11(図1参照)を駆動して位置を変更すればよい。本実施の形態に係る盤木1はジャッキベース14と共に移動するので、容易にこのような作業を実施することができる。盤木1が所望の位置において地面に接触したら、引き続き、所定のストロークだけシリンダ部13を駆動する。アウトリガー3によって車両5(図1参照)が支持され安定する。
【0021】
[本実施の形態の変形例]
本実施の形態は色々な変形が可能である。図4には本実施の変形例に係る盤木1Aが示されている。変形例に係る盤木1Aは、上面19の形状が円盤状になっている。そして、側部16から底面17と平行に形成されているくり抜き18Aが貫通している。従って、スリット20Aも盤木1Aの上面19を完全に二分している。この変形例に係る盤木1Aについても、アウトリガー3(図1参照)のジャッキベース14に容易に取り付けることができる。
【0022】
[第2の実施形態]
図5には第2の実施形態に係る盤木1Bが示されている。第2の実施形態に係る盤木1Bは、上面19において、所定の構造を備えた固定用金具30が設けられている。固定用金具30は、本体部31と、この本体部31に対して蝶番33によって接続されているカバー部34とから構成されている。本体部31は内部が所定容積の中空になっており、上部に半円の開口部36が形成されている。カバー部34も内部が所定の容積の中空に形成され、上部に半円の開口部37が形成されている。本体部31にはフック39が、そしてカバー部34には留め具40がそれぞれ設けられている。
【0023】
図に示さないが、当業者であれば容易に理解されるように第2の実施形態に係る盤木1Bもアウトリガー3(図1参照)のジャッキベース14に取り付けることができる。すなわち、第2の実施形態に係る盤木1Bを持って、ジャッキベース14が本体部31の中空の中に入れるようにし、カバー部34を閉じる。そして留め具40をフック39に固定する。そうすると、ジャッキベース14に盤木1Bを固定することができる。このとき開口部36、37によってアウトリガー3のシリンダ部13が固定用金具30を突き抜けた状態になる。この説明から理解されるように、固定用金具30はジャッキベース14を固定する固定手段になっている。
【符号の説明】
【0024】
1 盤木 2 コンクリートポンプ車
3 アウトリガー 6 ホッパ
8 多段式ブーム 10 コンクリート圧送管
11 梁部 13 シリンダ部
14 ジャッキベース 16 側部
17 底面 18 くり抜き
19 上面 20 スリット
22 くり抜き底面 30 固定用金具
31 本体部 33 蝶番
34 カバー部 36 開口部
37 開口部 39 フック
40 留め具
【要約】
【課題】設置に要する労力を軽減することができる盤木を提供する。
【解決手段】アウトリガー(3)は車両(5)の側方に張りだされるようになっている梁部(11)と、この梁部(11)に設けられ鉛直方向に駆動されるシリンダ部(13)と、このシリンダ部(13)の下端に設けられ所定の接地面を備えているジャッキベース(14)とを備えている。本発明に係る盤木(1)は、ジャッキベース(14)に対して着脱自在に取り付けられるように構成する
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5