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▶ 株式会社ササキコーポレーションの特許一覧

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  • 特許-ブレード装置 図1
  • 特許-ブレード装置 図2
  • 特許-ブレード装置 図3A
  • 特許-ブレード装置 図3B
  • 特許-ブレード装置 図3C
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  • 特許-ブレード装置 図4
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  • 特許-ブレード装置 図6
  • 特許-ブレード装置 図7
  • 特許-ブレード装置 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ブレード装置
(51)【国際特許分類】
   E01H 5/06 20060101AFI20241031BHJP
   E02F 3/815 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
E01H5/06 C
E02F3/815 Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021080852
(22)【出願日】2021-05-12
(65)【公開番号】P2022174850
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078949
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 勝美
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真也
(72)【発明者】
【氏名】梅田 洵平
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-272327(JP,A)
【文献】登録実用新案第3140032(JP,U)
【文献】特開平08-246487(JP,A)
【文献】実開昭51-078608(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0101621(US,A1)
【文献】米国特許第3659730(US,A)
【文献】中国実用新案第201756717(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第104120749(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 5/06
E02F 3/815
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の押出作業をする装置であって、
第1ブレードと第2ブレードとからなり、
第1ブレードは水平方向に長尺に形成された板状部材からなり、進行方向後方に向かって弯曲に形成された弯曲部を有し、
第2ブレードは扁平板状の可撓性部材からなり、上端部が上記第1ブレードの上端部に摺動自在に設けられ、下端部が上記第1ブレードの下端部に設けられ、上端部が上記第1ブレードの内弯曲面に沿って摺動する際扁平板状の中間部が上記第1ブレードの内弯曲面に沿って変形することを特徴とするブレード装置。
【請求項2】
請求項1記載のブレード装置において、上記第2ブレードの一端部が上記第1ブレードの一端部に当接され、上記第2ブレードの他端部が上記第1ブレードの他端部に固着されることを特徴とするブレード装置。
【請求項3】
請求項1記載のブレード装置において、上記第2ブレードの両端部が上記第1ブレードに遊嵌されることを特徴とするブレード装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか記載のブレード装置において、上記第1ブレードは摩擦係数が上記第2ブレードの摩擦係数以上の素材からなることを特徴とするブレード装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか記載のブレード装置において、上記第1ブレードが走行可能な自走機に設けられることを特徴とするブレード装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか記載のブレード装置において、上記第1ブレードが手押し可能なロッドに設けられることを特徴とするブレード装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は雪や土砂等の対象物を押出し排出する作業機に付設するブレード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種装置は、押出面が弯曲されたブレードを有し、該ブレードにて雪や土砂等の対象物を押出し排出する作業をしていた。
【0003】
この種のブレード装置は、雪や土砂等の対象物を押出し排出した後、続けて後進する場合、ブレードの押出面に対象物が付着したまま残存することがある。
【0004】
かかる場合、前進による押出作業を続行すると、ブレードの押出面が抱え込める容積量が減少するため、作業効率が著しく低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭58-134457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は上記背景に鑑み、除雪作業等対象物の排出において、対象物を効率的に取り除くブレード装置を供することを目的とする。
【0007】
また操作が容易で連続作業を可能にするブレード装置を供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題解決のため、請求項1記載のブレード装置は、対象物の押出作業をする装置であって、第1ブレードと第2ブレードとからなり、第1ブレードは水平方向に長尺に形成された板状部材からなり、進行方向後方に向かって弯曲に形成された弯曲部を有し、第2ブレードは扁平板状の可撓性部材からなり、上端部が上記第1ブレードの上端部に摺動自在に設けられ、下端部が上記第1ブレードの下端部に設けられ、上端部が上記第1ブレードの内弯曲面に沿って摺動する際扁平板状の中間部が上記第1ブレードの内弯曲面に沿って変形することを特徴とする。
また、請求項1記載のブレード装置において、上記第2ブレードの一端部が上記第1ブレードの一端部に当接され、上記第2ブレードの他端部が上記第1ブレードの他端部に固着されることを特徴とする
また、請求項1記載のブレード装置において、上記第2ブレードの両端部が上記第1ブレードに遊嵌されることを特徴とする。
また、請求項1乃至請求項3のいずれか記載のブレード装置において、上記第1ブレードは摩擦係数が上記第2ブレードの摩擦係数以上の素材からなることを特徴とする。
また、請求項1乃至請求項4のいずれか記載のブレード装置において、上記第1ブレードが走行可能な自走機に設けられることを特徴とする。
また、請求項1乃至請求項4のいずれか記載のブレード装置において、上記第1ブレードが手押し可能なロッドに設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
ブレード装置の前進に伴い、溜まってくる対象物により第2ブレードが押されて撓み、第2ブレードの一端部が第1ブレードの内弯曲面に沿って移動するため、第2ブレードが第1ブレードの内弯曲面まで撓んで変形する。
【0010】
対象物の溜まったところを見計らい、ブレード装置の進行を停止し、後進を開始すると、第1ブレードの摩擦係数が第2ブレードの摩擦係数より大であるため、第2ブレードは第1ブレードより容易に離間するので、後進開始時に第2ブレードから対象物が容易に離れる。離間した第2ブレードは、対象物と第1ブレードの双方からの押圧から解放されるため、可撓性部材の有する復元力により弧状に変形していた部分が元の扁平面に戻る。
【0011】
このように、対象物の排出は、特別の除去動作を要することなく、ブレード装置の前進と後進を繰り返すことにより完了するから、対象物排出のための連続作業が可能となり、作業効率が向上する。
【0012】
また対象物の排出に当たっては、特別の除去動作を要することがないので、対象物の排出のための操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本願発明によるブレード装置の一実施の形態を示す側面図である。
図2図1の要部斜視図である。
図3A】(A)は本願発明によるブレード装置の動作を説明する図、(B)は(A)のB部拡大図である。
図3B】(A)は本願発明によるブレード装置の動作を説明する図、(B)は(A)のB部拡大図である。
図3C】(A)は本願発明によるブレード装置の動作を説明する図、(B)は(A)のB部拡大図である。
図3D】(A)は本願発明によるブレード装置の動作を説明する図、(B)は(A)のB部拡大図である。
図4】本願発明によるブレード装置の他の実施の形態を示す側面図である。
図5図4の要部斜視図である。
図6】(A)は図4VI部の拡大断面図、(B)は(A)の一部断面正面図である。
図7】本願発明によるブレード装置の第1適用例を示す側面図である。
図8】本願発明によるブレード装置の第2適用例を示す側面図である。
【0014】
次に実施の形態を示す本願発明によるブレード装置をさらに詳しく説明する。なお、便宜上同一の機能を奏する部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0015】
図1及び図2は、本願発明によるブレード装置の第1の実施の形態を示す。ブレード装置1は、第1ブレード3及び第2ブレード5からなる。第1ブレード3は水平方向に長尺に形成された板状部材からなり、進行方向後方に向かって円弧状に弯曲に形成された弯曲部4を有する。第2ブレード5は扁平板状の可撓性部材からなり、上端部5aが第1ブレード3の内弯曲面4aに沿って摺動可能に上記第1ブレード3に設けられ、摺動の際中間部5cが変形可能である。第2ブレード5は、上端部5aが第1ブレード3の上端部3aに当接され、下端部5bが第1ブレード3の下端部3bにボルト・ナット6により固着される。7はスクレーパであり、該ボルト・ナット6により、第1ブレード3及び第2ブレード5の各下端部3b、5bとともに固定される。9は支持フレーム8に連結されるリブである。
【0016】
上記第1ブレード3は、摩擦係数が第2ブレード5の摩擦係数以上である、可撓性のない高剛性の鋼板からなる。上記第2ブレード5は、可撓性のある薄い鋼板、あるいは、進行方向前面に低摩擦係数を低くした樹脂からなる。例えば、上記第2ブレード5は、超高分子量ポリエチレンを含むポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂からなる素材、上記の樹脂素材を含んで塗装された鋼板、または上記の樹脂素材を少なくとも第2ブレード5の前面に被膜した鋼板であり、第1ブレード3の摩擦係数以下に形成される。
【0017】
図7及び図8は、かかる構成のブレード装置1を作業機に適用した場合を示す。図7は手押機の場合であり、ブレード装置1はロッド状の支持フレーム8に連結される。8aは該支持フレーム8の作業者側端部に設けられた把持部である。
【0018】
図8はブレード装置1が走行可能な自走機17に連結される場合を示す。自走機17は駆動輪18a、従動輪18b及びクローラ18cからなる走行部18を備え、駆動源としてバッテリ19を有する。20は車体フレーム21に設けられた昇降アームであり、支持フレーム8に連結され、リブ9を介して上記ブレード装置1に昇降可能に連結される。上記支持フレーム8の一端部にはハンドル22が設けられる。23は上記昇降アーム20の支点軸であり、駆動輪18aと従動輪18bの間に設けられる。
【0019】
図中、Sは雪等の対象物、Gは走行面を表す。
【0020】
次に図3A乃至図Dに基づき、本実施の形態によるブレード装置1の動作の説明をする。
【0021】
作業員の手押し(図7)又は自走(図8)によるブレード装置1の前進により雪等の対象物Sが第2ブレード5の前面に徐々にかけ上ってくる(図3A)。
【0022】
ブレード装置1の前進に伴い、雪等の対象物Sが第2ブレード5の前面に溜まってくると、第2ブレード5の中間部5cが対象物Sに押されることにより第2ブレード5が撓み、第2ブレード5の上端部5aが第1ブレード3の内弯曲面4aに沿って移動してくる(図3B)。このとき、第2ブレード5は対象物Sと第1ブレード3に挟圧された状態となる。
【0023】
この結果、第2ブレード5が第1ブレード3の内弯曲面4aまで撓んで変形する(図3C)。
【0024】
対象物Sが第1ブレード3の内弯曲面4a一ぱいまで溜まったところを見計らい、ブレード装置1の進行を停止する(図3C)。
【0025】
次いで後進を開始すると、第1ブレード3の摩擦係数が第2ブレード5の摩擦係数より大であるため、第2ブレード5は第1ブレード3より容易に離間する(図3D)。
さらに、第2ブレード5の摩擦係数が小であるため、雪等の対象物Sもまた後進開始時に第2ブレード5から容易に離れる(図3D)。
【0026】
離間した第2ブレード5は、対象物Sと第1ブレード3の双方からの押圧から解放されるため、可撓性部材からなる第2ブレード5の有する復元力により、弧状に変形していた部分が元の扁平面に戻る。この後進時に第2ブレード5が弧状面から元の扁平面に戻ることにより、第2ブレード5では中間部5cにて対象物Sを前方に押し出すと同時に、第1ブレード3に接触している第2ブレード5の上下端部5a、5bが第1ブレード3と共に後方に移動するため、雪等の対象物Sが第2ブレード5から離れるのである。
【0027】
このように、雪等の対象物Sの排出は、特別の除去動作を要することなく、ブレード装置の前進と後進を繰り返すことにより完了するから、対象物S排出のための連続作業が可能となり、作業効率が向上する。
【0028】
また対象物Sの排出に当たっては、特別の除去動作を要することがないので、対象物Sの排出のための操作が容易となるのである。
【0029】
図4乃至図6は本願発明によるブレード装置の第2の実施の形態を示す。この実施の形態の場合、第2ブレード5の上端部5a及び下端部5bに長孔10a、10bが設けられ、この長孔10a、10bを介して第2ブレード5が第1ブレード3に遊嵌される。第2ブレード5を遊嵌するボルト・ナット6a、6bは、押え部材11及びカラー12を介して、第2ブレード5の長孔10a、10bに取り付けられる。この上下両端部における長孔10a、10bの遊び間隙において、対象物Sに押された第2ブレード5が第1ブレード3の内弯曲面4aに沿って摺動する。その余の構成、適用例及び動作説明は前記した第1の実施の形態の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0030】
本願発明によるブレード装置は上記した実施の形態に制限されない。例えば、第1ブレード3に対する第2ブレード5の上端部5a及び下端部5bの固着、当接の関係は、上記実施例とは反対に、第2ブレード5の上端部5aが第1ブレード3の上端部3aに固着され、第2ブレード5の下端部5bが第1ブレード3の下端部3bに当接されてもよい。これらにおいて、上記実施例のように第2ブレード5の下端部5bが第1ブレード3の下端部3bに固着されている場合は、第2ブレード5の下方から第2ブレード5と第1ブレード3との間に異物が進入することを防止することができる。一方第2ブレード5の下端部5bが第1ブレード3の下端部3bに当接されている場合は、第2ブレード5の下方が固定されていないため、仮に第2ブレード5と第1ブレード3の間に異物が入っても、下方を捲ることにより第1ブレード3と第2ブレード5の下方を解放することができるので、異物を容易に排出することができる。
また第2実施の形態のようにすれば、第2ブレード5の上下端部5a、5bを第1ブレード3に常時接触させることができるので、第2ブレード5と第1ブレード3の間への異物の侵入を防止することができる。また、第2ブレード5の両端部5a、5bを第1ブレード3の両端部3a、3bに常時確実に接触させることができるので、第2ブレード5の端部が不測に離間する状態を防ぐことができる。これにより、多少荒っぽく使用したとしても、第2ブレード5の上下端部5a、5bを第1ブレード3に常時接触させつつ、中間部5cに空間を確保して弯曲変形することが可能になるため、上記した連続作業や操作容易、作業効率の向上といった効果が減ぜられることがない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本願発明は除雪作業や土砂の排出作業に活用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 ブレード装置
3 第1ブレード
3a 上端部
3b 下端部
4 弯曲部
4a 内弯曲面
5 第2ブレード
5a 上端部
5b 下端部
5c 中間部
6 ボルト・ナット
6a ボルト・ナット
6b ボルト・ナット
7 スクレーパ
8 支持フレーム
8a 把持部
9 リブ
10a 長孔
10b 長孔
11 押え部材
12 カラー
17 自走機
18 走行部
19 バッテリ
20 昇降アーム
21 車体フレーム
22 ハンドル
23 昇降アーム支点軸
S 対象物
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8