(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】空洞調査システム
(51)【国際特許分類】
G01C 7/06 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
G01C7/06
(21)【出願番号】P 2021147544
(22)【出願日】2021-09-10
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】592257620
【氏名又は名称】東邦地水株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100136995
【氏名又は名称】上田 千織
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】出口 裕二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英樹
(72)【発明者】
【氏名】後藤 成毅
(72)【発明者】
【氏名】鳥屋尾 晃一
(72)【発明者】
【氏名】平井 タケル
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-130641(JP,A)
【文献】特開2018-091721(JP,A)
【文献】特開2010-175462(JP,A)
【文献】特開2021-025919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00- 1/14
G01C 5/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上に配される地上機器と、前記地上機器と接続され地下空洞内を計測する地下計測機器と、を備え、前記地下空洞に連通する通路を介して前記地下空洞内を計測する空洞調査システムであって、
前記地上機器は、
前記地下空洞内及び前記地下空洞に連通する通路内において、前記地下計測機器を移動可能とする移動手段と、
前記地下計測機器の調査地点の平面位置情報を取得する位置検出手段と、
前記地上機器及び前記地下計測機器を制御する制御手段と、
を有し、
前記地下計測機器は、
所定の深度において、前記地下空洞の壁面の有無及び前記壁面までの距離を含む壁面情報を取得する壁面検出手段と、
前記壁面検出手段が検出した、前記壁面情報に関連付けられて検出される方位情報を取得する方位検出手段と、
を有し、
前記制御手段は、
前記平面位置情報と、前記壁面情報と、前記方位情報と、に基づいて、前記地下空洞に連通する通路の次調査地点を報知することを特徴とする空洞調査システム。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記壁面情報及び前記方位情報を構成する、前記地下空洞の前記壁面までの距離が検出されなかった方位の中央部、かつ、前記壁面情報及び前記方位情報を構成する、前記壁面までの距離が検出されなかった方位を挟んで、前記壁面までの距離が検出された最も遠い位置にある二点の中央部、となる値を導き出すことで、前記地下空洞に連通する通路の次調査地点を報知することを特徴とする請求項1記載の空洞調査システム。
【請求項3】
前記地下空洞内に貯留する液体の流向、流速を測定可能な流向・流速測定手段を備え、
前記制御手段は、測定された前記液体の流向、流速を参照して、前記地下空洞に連通する通路の次調査地点を報知することを特徴とする請求項1又は2記載の空洞調査システム。
【請求項4】
前記地下空洞内を撮像可能な撮像手段と、
前記地下空洞内を照射可能な光源と、
を備え、
前記光源は、白色、緑色、青色、赤色、黄色の単色光、それらの混合光、を発光することを特徴とする請求項1、2又は3記載の空洞調査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空洞を調査するための空洞調査システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の空洞調査システムとして、特許文献1に記載されるものがあった。これによれば、電動ウインチと、コントローラユニットと、モニターテレビと、電動ウインチによりケーブルを介してボーリング孔内を昇降される撮影計測用ゾンデとを備え、該撮影計測用ゾンデに地下空洞内部を写真撮影するスチルカメラと、方位計と、空洞内の側壁までの距離を計測する距離計とを搭載していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の空洞調査システムでは、その運用にあたり、ボーリング等調査により、その地点における地下空洞の有無を確認し、ボーリング地点を碁盤目状に配置することにより、平面的な地下空洞の分布を推定していたので、効率的かつ迅速に地下空洞調査を行うことができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑み、効率的かつ迅速に地下空洞調査を行うことができる空洞調査システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、地上に配される地上機器と、前記地上機器と接続され地下空洞内を計測する地下計測機器と、を備え、前記地下空洞に連通する通路を介して前記地下空洞内を計測する空洞調査システムであって、
前記地上機器は、
前記地下空洞内及び前記地下空洞に連通する通路内において、前記地下計測機器を移動可能とする移動手段と、
前記地下計測機器の調査地点の平面位置情報を取得する位置検出手段と、
前記地上機器及び前記地下計測機器を制御する制御手段と、
を有し、
前記地下計測機器は、
所定の深度において、前記地下空洞の壁面の有無及び前記壁面までの距離を含む壁面情報を取得する壁面検出手段と、
前記壁面検出手段が検出した、前記壁面情報に関連付けられて検出される方位情報を取得する方位検出手段と、
を有し、
前記制御手段は、
前記平面位置情報と、前記壁面情報と、前記方位情報と、に基づいて、前記地下空洞に連通する通路の次調査地点を報知する。
【0007】
これによれば、平面位置情報と、壁面情報と、方位情報に基づいて、調査地点における地下空洞の拡がりを確認して、地下空洞に連通する通路の次調査地点を、地下空洞上に配置することが可能となる。よって、効率的かつ迅速に地下空洞調査を行うことが可能となる。
【0008】
また、前記制御手段は、
前記壁面情報及び前記方位情報を構成する、前記地下空洞の前記壁面までの距離が検出されなかった方位の中央部、かつ、前記壁面情報及び前記方位情報を構成する、前記壁面までの距離が検出されなかった方位を挟んで、前記壁面までの距離が検出された最も遠い位置にある二点の中央部、となる値を導き出すことで、前記地下空洞に連通する通路の次調査地点を報知する。
【0009】
これによれば、地下空洞の壁面までの距離が検出されなかった方位の中央部、かつ、壁面までの距離が検出されなかった方位を挟んで、壁面までの距離が検出された最も遠い位置にある二点の中央部、となる値を導き出すことで、調査地点における地下空洞の拡がりを確認して、地下空洞に連通する通路の次調査地点を、地下空洞上に配置することが可能となる。よって、効率的かつ迅速に地下空洞調査を行うことが可能となる。
【0010】
また、前記地下空洞内に貯留する液体の流向、流速を測定可能な流向・流速測定手段を備え、
前記制御手段は、測定された前記液体の流向、流速を参照して、前記地下空洞に連通する通路の次調査地点を報知する。
【0011】
これによれば、測定された液体の流向、流速を参照することで、地下空洞に連通する通路の次調査地点の精度を向上させることができる。
【0012】
また、前記地下空洞内を撮像可能な撮像手段と、
前記地下空洞内を照射可能な光源と、
を備え、
前記光源は、白色、緑色、青色、赤色、黄色の単色光、それらの混合光、を発光する。
【0013】
これによれば、撮像手段により、地下空洞内を可視化したうえで、白色光によるハレーションが発生しても、鮮明な画像を得ることできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態の空洞調査システムの概略構成図である。
【
図3】計測情報と画像情報の重ね合わせた状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明における空洞調査システムの一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
空洞調査システム10は、
図1に示すように、地上に配される地上機器20と、地上機器20と接続され地下空洞210内を計測する地下計測機器100と、を備え、地下空洞210に連通する通路としてのボアホール200を介して地下空洞210内を計測するものである。
【0017】
地上機器20は、制御装置30と、モニタ・PC40と、記録装置50と、昇降装置60と、GPSレシーバ70と、から構成されている。
【0018】
制御手段としての制御装置30は、CPU、RAM、ROM等から構成されている。制御装置30は、地上機器20を構成する他の機器と、地下計測機器100を構成する機器と接続されて、信号の授受を行う。制御装置30は、地上機器20を構成する他の機器と、地下計測機器100を構成する機器に動作指令信号を送り、地上機器20を構成する他の機器と、地下計測機器100を構成する機器から、検出値、計測値等を受け取る。そして、受け取った信号を解析して、地下空洞210の壁面の有無、地下空洞210に連通する通路の次調査地点を導出するものである。
【0019】
モニタ・PC40は、既存のパーソナルコンピュータが用いられ、制御装置30と接続され、マウス、キーボード等から構成される入力部と、液晶ディスプレイ等から構成される表示部として機能する。
【0020】
記録装置50は、半導体メモリ、ハードディスク装置、コンパクト・ディスク装置等から構成され、制御装置30と接続されている。
【0021】
移動手段としての昇降装置60は、地下空洞210を計測するための、既存の昇降装置が用いられ、制御装置30と接続されている。昇降装置60のカウンタにより、地下計測機器100の深度情報(GL-○○m)を取得する。
【0022】
GPSレシーバ70は、既存のGPSレシーバが用いられ、制御装置30と接続されている。GPSレシーバ70により、平面位置情報(ボアホール孔口の、緯度、経度、標高)を取得する。
【0023】
地下計測機器100は、筐体110と、ケーブル120と、方位検出装置130と、光源140と、カメラ150と、ソナー・レーザー160と、流向流速計170と、を備えて、地下空洞210内を計測するものである。
【0024】
筐体110は、防水性を有し、本実施形態では、図示していないが、固定部と、固定部に対して回動可能な回動部と、を有している。回動部は、固定部に配設されたモータ等の駆動装置により、鉛直方向を軸として回動可能とされている。また、回動部は、方位検出装置130と、光源140と、カメラ150と、ソナー・レーザー160と、流向流速計170と、が配設されている。
【0025】
ケーブル120は、既存のケーブルが用いられ、ボアホール200内を挿通するように配されるとともに、地上に設立されたやぐら80を介して配され、一端が筐体110に、他端が昇降装置60に取り付けられ、ケーブル120の送り出し、巻き戻しにより、筐体110を上下動可能としている。
【0026】
方位検出手段としての方位検出装置130は、既存の方位検出装置が用いられ、制御装置30と接続されている。方位検出装置130は、磁気センサにより、方位情報(北を0度としたときの角度、後述する壁面情報と関連付けられた角度、方位)を取得する。
【0027】
光源140は、既存のLEDライトが用いられ、制御装置30と接続されている。光源140は、方位検出装置130の下、かつ、カメラ150を上下方向において挟み込むように配設されている。光源140は、白色光の他に、青色光や緑色光、赤色光、黄色光など単色光との切り替えや、これらを合わせた混合光の発色、光量調整が可能とされている。
【0028】
撮像手段としてのカメラ150は、既存のカメラが用いられ、制御装置30と接続されている。カメラ150は、地下空洞210内の静止画、動画等を撮影し、その画像情報を取得する。
【0029】
壁面検出手段としてのソナー・レーザー160は、既存のソナー・レーザーが、用いられ、制御装置30と接続されている。ソナー・レーザー160は、地下空洞210の壁面までの距離計測を行い、壁面情報、詳説すれば、各計測点の位置情報(XYZ座標データ)を取得する。取得した、各計測点の位置情報(XYZ座標データ)は、レーダーチャートや3D表示としてモニタ・PC40に表示可能とされている。
【0030】
流向流速計170は、既存の流向流速計が用いられ、制御装置30と接続されている。流向流速計170は、地下空洞210内の地下水の流向、流速を計測し、その情報(北を0度としたときの角度、毎秒m)を取得する。
【0031】
記録装置50に記憶される情報としては、GPSレシーバ70により取得した、平面位置情報(ボアホール孔口の、緯度、経度、標高)、方位検出装置130が計測した、方位情報(北を0度としたときの角度、壁面情報と関連付けられた角度、方位)、カメラ150が撮影した画像情報、ソナー・レーザー160が取得した、壁面情報、詳しくは各計測点の位置情報(XYZ座標データ)、流向流速計170が取得した、地下水の流向と流速情報(北を0度としたときの角度、毎秒m)、が挙げられる。
【0032】
なお、上記の情報は、組み合わされて関連付けがなされて、記録装置50に記憶される。
【0033】
次に、空洞調査システム10の機能作用を、
図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0034】
まず、調査地点の平面位置情報を取得する(S11)。詳説すれば、ボアホール200孔口で、GPSレシーバ70により平面位置情報、換言すれば、ボアホール200孔口の、緯度、経度、標高を取得する。
【0035】
次に、地下計測機器100を、昇降装置60により、やぐら80を介して、ケーブル120の送り出し、巻き戻しをすることで、ボアホール200空洞内に降下、静置させる(S12)。
【0036】
そして、地下計測機器100の深度情報を取得する(S13)。詳説すれば、昇降装置60のカウンタにより、地下計測機器100の深度情報を取得する。
【0037】
地下計測機器100の深度情報を取得したら、地下計測機器100の方位情報を取得する(S14)。詳説すれば、方位検出装置130により北を0度として水平方向時計回りに方位角度の設定をする。
【0038】
方位角度の設定をしたら、ソナー・レーザー160による多点距離を計測する(S15)。詳説すれば、ソナー・レ-ザ-160を用いて水平角度1~2度毎に0~360度まで距離計測を行い、各計測点の位置情報をXYZ座標データとして取得する。そのとき、方位検出装置130により取得した方位情報と、位置情報とが関連付けられる。
【0039】
ソナー・レーザー160により、多点距離を計測したら、カメラ150、光源140による画像を取得する(S16)。詳説すれば、カメラ150を用いて水平角度0~360度の画像情報を取得する。このとき、光源140の発色や光量を調整して、鮮明な画像情報を取得する。
【0040】
画像情報を取得したら、計測情報と画像情報の重ね合わせをする(S17)。詳説すれば、ソナー・レーザー160で取得した計測点の位置情報とカメラ150が取得した画像情報は、
図3に示すように、地上機器20のモニタ・PC40に並べて表示するとともに、画像情報上に計測結果を重ね合わせて表示する。計測値は取得したXYZ座標から算出した距離と角度を表示する。
【0041】
そして、地下計測機器100の水平0~360度データを取得できたかを判定する(S18)。S18で、YESであれば、S19に進み、NOであれば、S15に戻る。S19で計測が終了する。
【0042】
計測が終了したら、地下空洞210の水平方向の延長や拡がりが特定できたかを判定する(S20)。S20で、YESであればS21に進み、NOであれば処理を終了する。
【0043】
詳説すれば、ソナー・レーザー160を用いた距離計測により取得した各計測点のXYZ座標は、地下計測機器100の周囲水平360度の点群として、レーダーチャートや3D点群としてモニタ・PC40上に表示する。この点群の分布形状から地下計測器周囲の壁の形状を特定する。
【0044】
ソナー・レーザー160を用いた計測では確認できない、岩や木材といった材質の違いや、残柱あるいは支保工のような構造物は、光源140とカメラ150を用いた鮮明な画像情報上に重ね合わせて、表示した計測結果より判定する。
【0045】
さらに流向流速計170により地下空洞210内の地下水の流向と流速情報を取得することで、地下空洞210内の地下水の流動方向、すなわち地下空洞210の延長情報を取得することができる。例えば、流速が遅ければ、地下空洞210が閉塞していると判断し、流速が速ければ、地下空洞210が拡がっていると判断することができる。また、流向方向に、地下空洞210が拡がっていると判断することができる。
【0046】
ソナー・レーザー160計測による地下計測機器100の周囲水平360度の点群情報に、画像情報や流向と流速情報を重ね合わせることで、地下空洞210の水平方向の延長や拡がりの特定精度を上げる。
【0047】
S20において、地下空洞210の水平方向の延長や拡がりが特定できる場合には、次調査地点の水平方向の距離と角度の決定・報知を行う(S21) 。
【0048】
詳説すれば、地下空洞210の水平方向の延長や拡がりを特定した後、ソナー・レーザー160計測点群情報をもとに、地下空洞210の延長上中央部に次調査地点の位置を設定する。
【0049】
本実施形態では、壁面までの距離が検出されなかった方位の中央部、かつ、壁面までの距離が検出されなかった方位を挟んで、壁面までの距離が検出された最も遠い位置にある二点の中央部、となる値を導き出すことで、次調査地点の水平方向の距離と角度の設定が行われる。
【0050】
なお、上記の、壁面までの距離が検出されなかった方位の中央部、かつ、壁面までの距離が検出されなかった方位を挟んで、壁面までの距離が検出された最も遠い位置にある二点の中央部、のそれぞれの「中央部」は、所定の数値だけでなく、一定の幅を持った数値の範囲を含むものとする。
【0051】
次調査地点は、レーダーチャートや3D点群として、モニタ・PC160に表示するとともに、XYZ座標から算出した地下計測機器100からの距離と角度もあわせてモニタ・PCに表示して報知する。
【0052】
次調査地点の水平方向の距離と角度の決定・報知を行ったら、S11に戻る。このとき、空洞調査システム10を、次調査地点に移動させる。
【0053】
以上、説明したように、本実施形態の空洞調査システム10では、地上に配される地上機器20と、地上機器20と接続され地下空洞210内を計測する地下計測機器100と、を備え、地下空洞210に連通する通路としてのボアホール200を介して地下空洞210内を計測する空洞調査システムであって、
地上機器20は、
地下空洞210内及びボアホール200内において、地下計測機器100を移動可能とする移動手段としての昇降装置60と、
地下計測機器100の調査地点の平面位置情報を取得する位置検出手段としてのGPSレシーバ70と、
地上機器20及び地下計測機器100を制御する制御手段としての制御装置30と、
を有し、
地下計測機器100は、
所定の深度において、地下空洞210の壁面の有無及び壁面までの距離を含む壁面情報を取得する壁面検出手段としてのソナー・レーザー160と、
ソナー・レーザー160が検出した、壁面情報に関連付けられて検出される方位情報を取得する方位検出手段としての方位検出装置130と、
を有し、
制御装置30は、
平面位置情報と、壁面情報と、方位情報と、に基づいて、ボアホール200の次調査地点を報知する。
【0054】
これによれば、平面位置情報と、壁面情報と、方位情報と、に基づいて、調査地点における地下空洞210の拡がりを確認して、ボアホール200の次調査地点を、地下空洞210上に配置することが可能となる。よって、効率的かつ迅速に地下空洞調査を行うことが可能となる。
【0055】
また、制御装置30は、
壁面情報及び方位情報を構成する、地下空洞210の壁面までの距離が検出されなかった方位の中央部、かつ、壁面情報及び方位情報を構成する、壁面までの距離が検出されなかった方位を挟んで、壁面までの距離が検出された最も遠い位置にある二点の中央部、となる値を導き出すことで、ボアホール200の次調査地点を報知する。
【0056】
これによれば、地下空洞210の壁面までの距離が検出されなかった方位の中央部、かつ、壁面までの距離が検出されなかった方位を挟んで、壁面までの距離が検出された最も遠い位置にある二点の中央部、となる値を導き出すことで、調査地点における地下空洞210の拡がりを確認して、ボアホール200の次調査地点を、地下空洞210上に配置することが可能となる。よって、効率的かつ迅速に地下空洞調査を行うことが可能となる。
【0057】
また、地下空洞210内に貯留する地下水の流向、流速を測定可能な流向・流速測定手段としての流向流速計170を備え、
制御装置30は、測定された地下水の流向、流速を参照して、地下空洞210に連通する通路の次調査地点を報知する。
【0058】
これによれば、測定された地下水の流向、流速を参照することで、地下空洞210に連通する通路の次調査地点の精度を向上させることができる。
【0059】
また、地下空洞210内を撮像可能な撮像手段としてのカメラ150と、
地下空洞210内を照射可能な光源140と、
を備え、
前記光源140は、白色、緑色、青色、赤色、黄色の単色光、それらの混合光、を発光する。
【0060】
これによれば、カメラ150により、地下空洞210内を可視化したうえで、白色光によるハレーションが発生しても、鮮明な画像を得ることできる。
【0061】
本発明の空洞調査システムは上記構成に限定されるものではない。即ち、本発明の要旨を逸脱しない限り各種の設計変更等が可能である。
【0062】
例えば、地下空洞210に連通する通路として、ボアホール200で説明したが、斜抗、横抗等その他の坑口で実施することができる。
【0063】
また、筐体110は、固定部と、固定部に対して回動可能な回動部と、を備える構成としていたが、そのようにせずに、筐体110自体が回動する構成とすることもできる。
【0064】
また、ソナー・レーザー160の両方を備える構成としたが、いずれか一方で構成することも可能である。
【0065】
また、次調査地点の報知は、モニタ・PCに表示して報知する以外に、音声、光を用いたドット表示、その他の手段による報知を行うことができる。
【0066】
また、液体は、地下水以外の液体を含むものとする。
【符号の説明】
【0067】
10 空洞調査システム
20 地上機器
30 制御装置
60 昇降装置
70 GPSレシーバ
100 地下計測機器
130 方位検出装置
140 光源
150 カメラ
160 ソナー・レーザー
170 流向流速計
200 ボアホール
210 地下空洞