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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】高密度自動保管および回収システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B65G1/04 565
B65G1/04 555A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021569070
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 US2020033790
(87)【国際公開番号】W WO2020236926
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】62/850,191
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504337958
【氏名又は名称】カーネギー メロン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン,ハーマン
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドマン,ガブリエル
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03927773(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0129455(US,A1)
【文献】実開昭59-078305(JP,U)
【文献】特表2017-536314(JP,A)
【文献】実開昭63-122551(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トートの複数の列が保管される保管構造内でトートを配置および操作する方法であって、
第1のロボットキャリア上で第1の列の第1の端部から第1のトートを受け取るステップと、
第1のトートを第2の列に移動させるステップと、
第1のトートを第2の列の第1の端部に押し込むステップと、
第1のロボットキャリア上で第1の列の第1の端部から対象トートが受け取られるまで、方法を繰り返すステップと、
を備え、
第1のトートは、第1のロボットキャリアによる第1のトートへの引っ張り動作によって第1のロボットキャリア上で受け取られ、
引っ張り動作により、第1のトートに直接的または間接的に結合された第1の列のすべてのトートが第1の列の第1の端部に向かって移動し、
トートの第2の列には、1つ以上のトートの長さの単一のギャップが存在し、該ギャップは、第2の列を、第2の列の第1の端部に位置する第1のセグメントと、第1の端部とは反対側の第2の列の第2の端部に位置する第2のセグメントとに分割し、
トートを第2の列の第1の端部に繰り返し押し込むと、第1のセグメントと第2のセグメントが互いに結合されるまで、ギャップが1つのトート長さ分だけ減少する、方法。
【請求項2】
方法は、対象のトートが第1の列から受け取られるまで繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
対象のトートを、保管システムの出口ポイントに移動するステップをさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1の列の第1の端部から第1のロボットキャリア上で受け取られた第1のトートは、トートを第1のロボットキャリア上の第1の位置から第1のロボットキャリア上の第2の位置にシフトさせることによって第2の列の第1の端部と位置合わせされる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第1の列の第1の端部から第1のロボットキャリア上で受け取られた第1のトートは、第1のロボットキャリアを第2の列に移動させることによって第2の列の第1の端部に位置合わせされる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第1のトートを第2の列の第1の端部に押し込むことにより、第1のトートが第2の列の第1の端部に既に存在するトートに自動的に結合機構を介して結合される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第1のトートを第2の列に移動させることで、第1のトートを第1の列内の別のトートから分離するように、自動的に結合機構を解放する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第1のロボットキャリア上の第1の位置から第1のロボットキャリア上の第2の位置へ第1のトートをシフトすることは、第1の列の縦軸線に対して垂直な方向における第1のトートの移動によって、第1の列内の次のトートから第1のトートを分離する、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
第1のロボットキャリア上の第1の位置から第2の位置への第1のトートの移動は、第1のトートを第2の列内の別のトートに結合させるように、自動的に結合機構を係合させる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第1の列から第2の列への第1のロボットキャリアの移動は、第1の列の縦軸線に対して垂直な方向における第1のトートの移動によって、第1の列の別のトートから第1のトートを分離するように、自動的に結合機構を解放する、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
第2の列は満たされておらず、さらに、第2のトートは、第2の列を満たすのに十分に第1のロボットキャリアがいくつかのトートを第2の列に押し込んでしまうまで、第2の列の第2の端部から押し出されない、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
トートを第2の列の第1の端部に押し込むことにより、第1のトートに直接または間接的に結合されたすべてのトートが第2の列の第2の端部に向かって移動する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
第2の列が満たされており、第2の列の第1の端部にトートを押し込むことにより、第2のトートが第2の列の第2の端部から押し出され、方法がさらに、
第2の列の第2の端部から第2のトートを受け取るステップを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第2のトートが、第2のロボットキャリアによって第2の列から受け取られる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第2の列の第2の端部から第2のロボットキャリア上で受け取られた第2のトートは、トートを第2のロボットキャリア上の第1の位置から第2のロボットキャリア上の第2の位置へとシフトさせることによって、第1の列の第2の端部と位置合わせされる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第2の列の第2の端部から第2のロボットキャリア上で受け取られた第2のトートは、第2のロボットキャリアを第1の列に移動させることによって、第1の列の第2の端部と位置合わせされる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
方法はさらに、
第2のトートを第1の列に移動させるステップと、
第2のトートを第1の列の第2の端部に押し込むステップと、
を備え、
第2のトートを第1の列の第2の端部に押し込むことにより、第2のトート上の結合機構が第1の列の第2の端部のトート上の結合機構と係合する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
第1の列が満たされており、第1の列の第2の端部に第2のトートを押し込むことにより、第3のトートが第1の列の第1の端部から押し出され、方法がさらに、
第1の列の第1の端部から第3のトートを受け取るステップを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第3のトートが、第1のロボットキャリアによって受け取られる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
トートの複数の列が保管される保管構造内でトートを配置および操作する方法であって、前記方法は、
第1の列の第1の端部から第1のトートを受け取るステップと、
第1のトートを第2の列に移動させるステップと、
第1のトートを第2の列の第1の端部に押し込むステップであって、第1のトートを第2の列の第1の端部に押し込むことで、第2のトートを第2の列の第2の端部から押し出させるステップと、
第2の列の第2の端部から第2のトートを受け取るステップと、
を備え、
第1の列の第1の端部から第1のトートを受け取るステップが、第1の列の第1の端部から第1のトートを引っ張るステップを含み、1つ以上の結合されたトートを第1の列の第1の端部に向かって移動させるように、或る列の中の1つ以上のトートが互いに結合され、
トートの第2の列には、1つ以上のトートの長さの単一のギャップが存在し、該ギャップは、第2の列を、第2の列の第1の端部に位置する第1のセグメントと、第1の端部とは反対側の第2の列の第2の端部に位置する第2のセグメントとに分割し、
トートを第2の列の第1の端部に繰り返し押し込むと、第1のセグメントと第2のセグメントが互いに結合されるまで、ギャップが1つのトート長さ分だけ減少する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年5月20日に出願された米国特許仮出願第62/850,191号の利益を主張し、その内容は、全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
企業は、その注文履行プロセスにおける自動保管および回収システム(AS/RS)の保管密度および効率を最大化することを推進している。AS/RSシステムは、典型的に品または製品で満たされたトートを保持する構造の間または上を移動する、自動キャリアを使用する。キャリアが製品および/またはトートの通路間を移動するシステム(Schaefer iCube、Cuby、Miliload Crane、Dematic Multishuttle、Venderlande ADAPTO、およびOPEX Perfect Pick)の場合、キャリアの移動に必要とされる空間がシステムの全体的な潜在的保管密度を低下させるという点で、システムの密度をどれだけ高められるかについて制限がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一部のシステム(AutostoreおよびCimCorp)は、製品またはトートを垂直に積み重ねることによって密度を最大化し、これにより保管密度を最大化するが、スタックの下方に埋もれた製品またはトートを回収するときに効率が低下する可能性がある。CimCorpシステムの場合、ガントリは、床に積み重ねられた様々なトートにサービス提供し、これによりインフラストラクチャを最小化するのに役立つが、結局、同じ作業空間に重なる限られた数のガントリアームに基づいて、性能に限界がある。Autostoreシステムは、高さのある構造内でトートを垂直に積み重ねる。回収ロボットは、上から1つずつトートを持ち上げる必要がある。これにより、スタック内でより低いトートを回収するための性能が制限され、各リフトは、持ち上げられているトートスタックまたは製品の高さに比例してより長い時間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に記載される実施形態は、高レベルの性能を提供しながら高密度の保管ソリューションの能力を提供し、これにより、従来技術のシステムよりも回収の密度および速度の両方を改善する。トートを垂直に積み重ねる代わりに(これには機械的制限およびトートの重量による内在的な高さ制限がある)、トートは支持構造内で水平な列に配置される。他のシステムとは異なり、列の端部にあるトートを引っ張るかまたは押し、これにより互いに接続された同じ列内の他のすべてのトートもまた引っ張られるかまたは押されることによって、水平に接続されたトートの列が一単位としてまとめて引っ張られおよび/または押されるように、トートは機械的に結合されている。この配置により、目的のトートが回収されるまで列から1つまたは複数の外側のトートを繰り返し引っ張って分離することにより、列内の任意のトートが回収されることができる。また、トートの容易な保管も可能になる。トートは、空のスポットがある列にトートを押し込むだけで、このAS/RSシステム内に保管されることが可能である。そのトートがその列に押し込まれると、既にその列にあるトートに接触したときに自動的に縦方向に結合する。この効率的な保管手法は、回収される必要があるトートにアクセスするために列から取り出された外側のトートを保管するためにも使用されることが可能である。
【0005】
説明される実施形態は、層状の支持構造内にトートを保管する。この構造は、全てのトートの重量を支持するとともに、トートが保管され得る構造内に列を提供する。トートは、他のラックベースの保管ソリューションと同様の方法で、水平移動を通じて構造列内に配置される。新規な保管構造により、多数のトートが1列に保管されることができるが、より標準的なラック構造では、列の奥に配置されたトートにアクセスする効率的な方法がないため、少数のトートまたはパッケージしか所与の棚に保管されることができない。説明される実施形態は、他の高密度保管ソリューションと比較して、高レベルの性能で要求に応じて列内のどこからでもトートを回収することができる。これが可能なのは、列内のどれほど奥に配置されていても、対象のトートが列の端になるまで外側のトートを引っ張るだけで、全てのトートがアクセスされることができるからである。1つまたは複数の外側のトートを引っ張ることで、結合されている他のトートも引っ張り、回収される必要のあるトートが列の外側に引っ張られることができる。
【0006】
本発明の一実施形態は、列の端部に引っ張られるかまたは押されたときにシステム内のトートを回収し、トートは、列の縦軸線方向以外の方向に移動させられると分離される。好適な実施形態では、トートは、列の縦軸に直交する方向に移動させられると、自動的に分離される。これにより、引っ張られるかあるいは押されそして分離される列内の次のトートを露出する。このプロセスはその後、回収される目的のトートが列の端部に引っ張られるかまたは押されて分離されるまで繰り返されることが可能である。目的のトートにアクセスする前に取り出されて列から分離されたトートは、一度に1つ以上別の列に移動させられることが可能である。これらのトートはその後、列に押し込まれ/引っ張り込まれる際に、以前は新しい列内にあったトートに結合されることが可能である。
【0007】
新規なトート結合実施形態は、結合方向の線形運動を通じてトートが互いに結合される方法も提供する。トートが互いに押し込まれると、列の長さに沿ったトート間の力の伝達を可能にするために、トート上の特徴部が互いに結合する。一実施形態では、結合は、列の方向でのみ達成されることができるが、分離は、列の縦軸に沿った方向以外の任意の方向でのみ行うことができる。別の実施形態では、能動的な結合および分離機構が提供されてもよい。
【0008】
トートが支持構造内にどのように保管されることができるかについて複数の実施形態がある。一実施形態は、単一のトート高さの列に配置され、列の長さに沿って一緒に結合されたトートを有する。別の実施形態は、スタック内のトートの1つ以上が列内の次のトートスタックに結合された、2つ以上のトートの高さでスタックに配置されたトートを有する。この実施形態では、列内のトートの隣り合うスタックがそのスタック内に異なる数のトートを有することが可能であり、その結果、1つ以上のトートが列内の次のトートスタックに結合される。
【0009】
1つ以上の自動キャリアが支持構造内のトートにアクセスできる新規な技術には、複数の実施形態がある。新規な技術の一実施形態は、トートの(左右の)複数の列の中心を移動する1つ以上の自動ロボットキャリアを有する。これは、送達のために回収するか、または目的のトートが回収されるまでいずれかの側の別の列に押し込むために、いずれかの側の列からトートを引っ張るかまたは押すことができる。
【0010】
新規な技術の別の実施形態は、トート列の端部に沿った保管構造の1つ以上の面の外側に沿って移動する1つ以上のキャリアを特徴とする。この実施形態では、自動キャリアは、列からトートを押すかまたは引っ張り、これらをその列から分離し、別の列に移動させるかまたはキャリアの片側からトートを回収することができる。構造の(1つまたは複数の)外面にキャリアを有することで、保守またはその他の作業のために保管構造の外側から自動キャリア構成要素にアクセスすることを依然として可能にしながら、高密度の保管スペースを可能にする。
【0011】
新規なシステムのさらなる実施形態は、構造の反対側で2つ以上のペアで動作するキャリアを有し、各ペアの両方の自動キャリアは、同じ列の両端に揃えられるか、または同じもしくは近くの列からトートを保管および回収することができる。この実施形態は、列の両端部からトートを押すためおよび/または引っ張るために両方の自動キャリアを利用する。自動キャリアは、回収される必要がある(1つまたは複数の)トートが保管構造列から取り出されて列内の隣り合うトートから分離されるまで、互いに協調して列から列にトートを移動させることができ、列内にトートの「円形」運動を提供する。
【0012】
この新規なプロセスは、複数の理由により、他のソリューションよりも高い性能を有することができる。第一に、互いに結合された列内にトートを有することにより、その列内の結合されたトートの全てを移動させるために、自動キャリアは、列の端部の、または端部の付近のトートに対して作用するだけでよい。第二に、列の縦軸の方向とは異なる方向の移動を通じて分離することが可能なトートを有することにより、プロセスは、効率的かつ迅速となり、保管時間および回収時間を短縮することができる。最後に、ある列から分離するためにトートが移動させられる際に、これらは同じ動作で新しい列に結合されることが可能である。トートが新しい列に結合されると、これは押されるかまたは引っ張られて、結果的に列全体が動くことになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】トートが一体型キャリアを備える、トートの第1の実施形態の図である。
図1B】トートが一体型キャリアを備える、トートの第1の実施形態の図である。
図1C】トートが一体型キャリアを備える、トートの第1の実施形態の図である。
図2A】結合機構を示す、図1のトートの内面図である。
図2B】結合機構を示す、図1のトートの内面図である。
図3A】トートが商品を収容する容器または箱が積み重ねられ得る平坦なキャリアを備える、トートの第2の実施形態の図である。
図3B】トートが商品を収容する容器または箱が積み重ねられ得る平坦なキャリアを備える、トートの第2の実施形態の図である。
図4A】トートの受動的な端部同士の結合プロセスを示す図である。
図4B】トートの受動的な端部同士の結合プロセスを示す図である。
図4C】トートの受動的な端部同士の結合プロセスを示す図である。
図4D】トートの受動的な端部同士の結合プロセスを示す図である。
図5A】偏心ローラを利用する能動的な分離プロセスの一実施形態を示す図である。
図5B】偏心ローラを利用する能動的な分離プロセスの一実施形態を示す図である。
図5C】偏心ローラを利用する能動的な分離プロセスの一実施形態を示す図である。
図5D】偏心ローラを利用する能動的な分離プロセスの一実施形態を示す図である。
図6A】列に押し込まれることによる縦方向移動によって結合されているトートを示す図である。
図6B】列に押し込まれることによる縦方向移動によって結合されているトートを示す図である。
図6C】列に押し込まれることによる縦方向移動によって結合されているトートを示す図である。
図7A】列に直交する方向に移動することによって分離され、直交運動に基づいて隣接する列に再結合されるトートを示す図である。
図7B】列に直交する方向に移動することによって分離され、直交運動に基づいて隣接する列に再結合されるトートを示す図である。
図7C】列に直交する方向に移動することによって分離され、直交運動に基づいて隣接する列に再結合されるトートを示す図である。
図8A】垂直な直交方向に結合/分離するトートを示す図である。
図8B】垂直な直交方向に結合/分離するトートを示す図である。
図8C】垂直な直交方向に結合/分離するトートを示す図である。
図9】水平な直交方向に結合/分離されるトートを示す図である。
図10A】列内に保管されたトートスタックの結合および分離を示す図である。
図10B】列内に保管されたトートスタックの結合および分離を示す図である。
図10C】列内に保管されたトートスタックの結合および分離を示す図である。
図11】トート用の保管構造の第1の実施形態を示す図である。
図12図11に示される保管構造の第1の実施形態の単一の層を示す図である。
図13図11の保管構造の外部のキャリアの位置決めを示す図である。
図14】トート用の保管構造の第2の実施形態を示す図である。
図15図14の保管構造の外部のキャリアの位置決めを示す図である。
図16図14の保管構造と共に使用するための入力/出力機構を示す図である。
図17図11の保管構造と共に使用するためのキャリアの一実施形態を示す図である。
図18】保管構造図11と共に使用するための図17に示されるキャリアを支持するための支持構造を示す図である。
図19図14の保管構造と共に使用するためのキャリアの一実施形態を示す図である。
図20図14の保管構造と共に使用するための図19に示されるキャリアを支持するための支持構造を示す図である。
図21図20に示される支持構造の一部の詳細図である。
図22図11または図14の保管構造内のトートの列を押すためまたは引っ張るためのプッシュ/プル機構の第1の実施形態を示す図である。
図23A図11または図14の保管構造内のトートの列を押すためまたは引っ張るためのプッシュ/プル機構の第2の実施形態を示す図である。
図23B図11または図14の保管構造内のトートの列を押すためまたは引っ張るためのプッシュ/プル機構の第2の実施形態を示す図である。
図24A】トートを列から列に移動させるためにトートを押すかまたは引っ張るプロセスを示す図である。
図24B】トートを列から列に移動させるためにトートを押すかまたは引っ張るプロセスを示す図である。
図24C】トートを列から列に移動させるためにトートを押すかまたは引っ張るプロセスを示す図である。
図24D】トートを列から列に移動させるためにトートを押すかまたは引っ張るプロセスを示す図である。
図24E】トートを列から列に移動させるためにトートを押すかまたは引っ張るプロセスを示す図である。
図24F】トートを列から列に移動させるためにトートを押すかまたは引っ張るプロセスを示す図である。
図24G】トートを列から列に移動させるためにトートを押すかまたは引っ張るプロセスを示す図である。
図25図11の保管構造と共に使用するための入力/出力機構の出力部分を示す図である。
図26図11の保管構造と共に使用するための入力/出力機構の入力部分を示す図である。
図27図14の保管構造と共に使用するための入力/出力機構の出力部分を示す図である。
図28図14の保管構造と共に使用するための機構の入力/タイプの入力部分を示す図である。
図29】トート保持構造の斜視図である。
図30】列の外側に沿って移動するタンデムキャリアを有する構造構成を示す図である。
図31】列内部に位置するトートにアクセスするための隣接する列間のトートの円運動を示す図である。
図32A】列の内部からのトートの回収の概略的な例を示す図である。
図32B】列の内部からのトートの回収の概略的な例を示す図である。
図32C】列の内部からのトートの回収の概略的な例を示す図である。
図32D】列の内部からのトートの回収の概略的な例を示す図である。
図32E】列の内部からのトートの回収の概略的な例を示す図である。
図32F】列の内部からのトートの回収の概略的な例を示す図である。
図33】トートを保管および回収するためのプロセスの概略図である。
図34A】列の中央のトートを回収するための列から列へのトートの移動を示す、層内の2つの隣接する列を示す図である。
図34B】列の中央のトートを回収するための列から列へのトートの移動を示す、層内の2つの隣接する列を示す図である。
図34C】列の中央のトートを回収するための列から列へのトートの移動を示す、層内の2つの隣接する列を示す図である。
図34D】列の中央のトートを回収するための列から列へのトートの移動を示す、層内の2つの隣接する列を示す図である。
図35A】トートを回収するためのプロセスの最適化を示す図である。
図35B】トートを回収するためのプロセスの最適化を示す図である。
図35C】トートを回収するためのプロセスの最適化を示す図である。
図36】説明されるシステムのための制御システムのソフトウェアアーキテクチャの一実施形態を示す図である。
図37】説明されるシステムのための制御システムのソフトウェアアーキテクチャの代替実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
本明細書で使用される際に、「キャリア」という用語は、トート支持および保管構造の周りで垂直、水平、または両方の方向に移動することができ、1つ以上のトートを受け入れ、搬送、および搬出することができる、局所的または遠隔的に制御されるロボットまたは機構を指す。
【0015】
本明細書で使用される際に、「トート」という用語は、ある場所から別の場所へのキャリアによる輸送のために商品を搬送することができる装置を指す。トートは、保管システムの保管場所と出口または入口ポイントとの間の移動を目的として、キャリアによって操作されるように構成され得る。トートは、容器として、または他の容器が配置され得る平坦な構造として、構成され得る。
【0016】
本明細書で使用される際に、「保管構造」という用語は、トートを保管し、キャリアによる保管構造内のトートの配置および回収を容易にするための構造を指す。
【0017】
本明細書で使用される際に、「列」は、互いに縦方向に整列された複数のトートを保管することができ、列の縦方向に移動することが可能な保管構造の一部として定義される。列は、保管構造内で水平、垂直、または任意の配向としてもよいが、トートの列を水平方向に引っ張る力は結合されたトートを垂直方向に持ち上げるために必要とされる力よりもはるかに小さいので、水平配向が好適な実施形態である。
【0018】
詳細な説明
本明細書に記載される実施形態は、特定のトートを効率的に回収するため、またはトートを保管するために、保管構造からトートまたはその他の保管製品を操作するように協調して動作する複数のキャリアを利用する。プロセスは、単一の線形方向(正または負の方向)でトートの列の間で力が共有されることを可能にするトートまたはキャリアのシステムを利用するが、電気機械式アクチュエータを使用して、または列の縦軸線方向(正または負の方向)以外の方向に移動させることによって、トートが機械的に分離されることも可能にする。新規な技術は、目的のトート(および結果として、目的のトートに結合された全てのトート)を、列から分離され得る列の端部に向かって移動させるために、トートまたはその他の製品を両方向に操作することができる。
【0019】
トートの構成
本発明の一態様は、保管構造内に保管するためのトートの様々な構成を対象とする。トートの第1の実施形態は図1の図(A)に示され、トートは、保管用の商品を受け入れるための容器構造100を具体化する。本発明の代替実施形態では、トートは、図3の図(A)に示されるように、結合および移動構成要素を有し、図3の図(B)に示されるように、商品または商品を積み重ねるための容器を受け入れることが可能な、平坦なプラットフォームとして構成されてもよい。
【0020】
トートは、保管構造内のトートの列として操作され得るように、保管構造の任意の列の縦軸に沿った方向で前後に移動されることができることが必要とされる。一実施形態では、図1の図(B)に示されるように、トート100は、保管構造内に設けられたレール104に沿って摺動するホイールまたはキャスタ102を備えて構成されてもよい。代替実施形態では、トート100は、図1の図(C)に示されるようにレール106に沿って摺動する傾斜したホイール104を備えて構成されてもよい。図に示されないさらに別の実施形態では、トート100は、保管構造内の合わせ面と係合する低摩擦摺動面を備えて構成され得る。図1の図(B~C)に示される実施形態の移動構成要素は、図1の図(A)または図3の図(A)に示されるタイプのトートに適合されてもよい。
【0021】
本発明の第2の態様は、トートが互いに押し込まれるときに端部同士で結合されることを可能にし、その後、結合されたトートの列全体が列の端部のトートから押されるかまたは引っ張られることを可能にする、結合システムを対象とする。
【0022】
本発明のこの態様の一実施形態は図2の図(A)に示され、トートの端部の片側がフックを備えて構成され、反対側は隣接するトートのフックを受け入れるためのフックレセプタクルを備えて構成される、トート100の側面図を示している。図4の図(A~D)は、分離プロセスの一実施形態を示し、トート100は互いに押され、傾斜面を有する第1のトート上のフック400が隣接するトート上のフックレセプタクル402のリップによって上方に押される。図4の図(C)に示される実施形態では、フック400がフックレセプタクル402内に摺動できるようにするために、トート全体が持ち上げられる。代替実施形態では、フック402は、トート100全体を持ち上げずにフックレセプタクル402内への配置のために持ち上げられることが可能なように、ばね荷重式であってもよい。図4の図(D)は、完全に結合された位置にあるトート100を示す。結合機構の他の実施形態も、本発明の範囲内であると考えられる。
【0023】
トートの分離は、2つの方法のいずれかで行われ得る。第1の実施形態では、トートは、列の縦軸の方向以外の方向に移動させられたときに分離され、フック400がフックレセプタクル402の側から摺動することを可能にする。図1の図(A)および図2の図(A)に示されるように、フックレセプタクル402は、互いに対するトートの垂直運動に応答してフック400がフックレセプタクル402から摺動できるようにするために、両端が開放している。
【0024】
本発明の第2の実施形態では、トートは、能動的または受動的な機構のいずれかによって分離されてもよい。図5の図(A~D)は、トート100を持ち上げるために偏心ローラが提供され、これによりフック400がフックレセプタクル402から持ち上がる、能動的な分離機構の例を示す。なお、図5の図(B)に示されるように、偏心ローラ500がフック400を有するトート100上にあるとき、トート100はトートを分離するために持ち上げられなければならず、図5の図(D)に示されるように、偏心ローラ500がフックレセプタクル402を有するトート100上にある場合には、トート100は、トートを分離するために降下されなければならないことに留意されたい。図5図Cは、トートの能動的な結合を可能にするために中立位置にある偏心ローラ500を示す。他の分離機構も、本発明の範囲内であると考えられる。
【0025】
図6は、トートが保管構造の列内に挿入されるときにどのように結合されるかを示す。図(A)は、トート600が押し込まれようとしている列の端部にギャップ604が存在する状況を示す。トート600が列602に押し込まれると、これはトート606と結合し、空のスポット604を満たすが、列602内のトート606、608、610のいずれも縦方向に押されない。図(B)は、列602の端部にトート606が存在する状況を示す。この場合、トート600が列602に押し込まれると、これは直ちにトート606と結合し、トート606が列602に押し込まれるときにトート606、608、610を列602に押し込むことになる。いずれの場合も、最終結果は図(C)に示され、トート600、606、608、610が列602内に存在している。その後、図(C)に示されるように、トート600が引っ張られた場合、これは列602内でこれに結合されたトート606、608、および610も引っ張る。同様に、トート600に押し込むことで、接続されたトートの列全体が反対の縦方向に移動する。
【0026】
トートが列の端部で結合され、次いで特定の列内に挿入されると、結合されたトートは、その列内のギャップを埋めることができる。列内に最も遠いトートがこのギャップを横切って既に列内にある別のトートに遭遇した場合、キャリアによる押し込み動作がこれらを結合させるので、これらは結合ユニットとして移動することになる。
【0027】
図7は、トートの受動的な分離に必要とされる動作を示す。図(A)は、現在列nの端部にあるトート700を示す。列nは、トート700をキャリア上に運ぶために、キャリア(図示せず)によって矢印の方向に引っ張られる。図(B)は、キャリアによる列に直交する方向へのトート700のシフトを示し、これは、列nのトート701からのトート700の受動的な分離を引き起こす。図(C)に示されるように、トート700は、垂直運動の結果として、列n+1の隣接するトート702に直ちに受動的に結合される。代替実施形態では、たとえば、トート702が列n+1の端部になかった場合、トート700は、単に列n+1に押し込まれることが可能であり、列内のその縦方向移動により、列の端部にある第1のトートと結合する。さらに別の実施形態では、図(B)に示されるようにトート700が列nから分離された後、これはキャリアによってシステムの出口ポイントまで取り出される。
【0028】
トートは、列の縦軸以外の任意の方向(たとえば、垂直、水平、対角)に分離されることができるように結合されることが可能である。図8は、トートが垂直な直交方向に分離/結合されることができる別個の実施形態を示し、図9は、トートが水平な直交方向に分離/結合されることができる代替実施形態を示す。トートはまた、電気機械式アクチュエータを使用して結合機構を無効化することによって分離されることも可能である。
【0029】
トート接続の新規な技術は、列内の単一のトートに限定されない。この概念は、図10に示されるように、複数のトートが列内で互いに積み重ねられる実施形態にも及ぶことができる。少なくとも1つのトートの高さまたは幅で構成されることができるスタックは、列の方向に結合される能力を維持する。末端スタックのトートのうちの1つ以上が引っ張られると、列内の全てのトートスタックも移動する。トートが直交方向に沿って移動させられ、前の列の全てのトートがなくなると、これらは分離される。
【0030】
保管構造の構成
本発明の第2の態様は、トートが保管される保管構造を伴う。本発明は、保管構造の2つの基本的な構成を提供する。
【0031】
本明細書において「単層ボット」と呼ばれる、本発明の第1の好適な実施形態では、図11に示される、層状保管構造の概念が使用される。この構成では、保管構造は、図12に示されるように、接続されたトートの複数の層を備える。なお、図12は完全にトートで満たされているものとして単一の層を示すが、動作中、トートの任意の列内で任意のサイズの単一のギャップが見つけられる可能性があることに留意されたい。本発明のこの実施形態では、目的のトートを保管および回収するようにトートの列を操作することが可能な1つ以上のロボットキャリアを支持するために、各列の一端または両端でキャリア支持構造が利用される。
【0032】
単層ボット実施形態では、キャリアは、図13に示されるように、これらがサービス提供する支持構造の層(これらの「ホーム」層)内でのみの移動に制限される(ただし、この実施形態の変形例では、単層ボットはコンベヤによって層の間を移動されることができる)。理論的には、単層ボット実施形態は、保管構造の片側で層ごとに1つのボット、または層ごとに一対のロボットで動作し、各対の1つのボットは保管構造の反対側の同じ層に設けられ、構造の両側からトートを挿入および取り出しすることなどができる。より現実的には、より効率的な動作のために、層ごとに複数のロボットが提供されてもよい。この構成では、ロボットは、そのホーム層内でのみ移動し得る。なお、図11および図13は水平方向に重ねられた層を示すが、層は垂直にも積み重ねられ得ると考えられることに留意されたい。しかし、少なくとも、列内の任意のトートにアクセスするために、1つまたは複数の外側のトートに対して引っ張るためには単一のロボットキャリアのみが必要とされる。
【0033】
キャリアはこれらのホーム層内のみの移動に制限されるので、保管構造の単層ボット実施形態はまた、構造の一端または両端に位置する垂直な入力/出力コンベヤも必要とし、これは、トートが回収される層から入力/出力コンベヤまでのトートの移動を可能にし、入力/出力コンベヤから入ってくるトートをこれらが保管される層のレベルまで持ち上げることも可能にする。入力/出力コンベヤについては、以下でより詳細に説明される。
【0034】
保管構造の第2の実施形態は、図14に示されており、本明細書では「多層ボット」実施形態と呼ばれる。この実施形態では、図15に示されるように、キャリアは、垂直および水平の両方に移動することができる。したがって、多層ボットキャリアは、任意の層の任意の列から、または入力/出力システムからトートを回収し、任意の層の任意の列に、または入力/出力システムにトートを送達することができる。
【0035】
この実施形態では、入力/出力システムは、図14および図15の両方に示されるように、支持構造の中央を縦方向に通る一対のコンベヤからなるものとしてもよい。入力/出力システムの他の構成もまた、この実施形態で使用されてもよい。入力/出力システムの詳細は、図16に示されており、以下でより詳細に説明される。
【0036】
キャリアの構成
このセクションでは、単層ボットおよび多層ボット保管構造と共に使用するためのキャリア構成が説明される。
【0037】
図17は、単層ボット保管構造と共に使用するためのキャリア1700の第1の実施形態を示す。キャリア1700は、駆動ホイール1710によって駆動され、アイドラホイール1706によって支持されて、縦方向で前後に移動することができる。図17に示されるキャリアは、一度にそのホーム層の2列にサービス提供することができる。つまり、第1のトートは、第2のトートが第2の列に押し込まれるのと同時に、第1の列から引っ張られることが可能である。プッシュ/プルアクチュエータ1704は、列の第1のトートがコンベヤローラ1712上の第1の位置に載るように、層状ボット保管構造からトートのロール全体を引っ張ることができる。トートはその後、コンベヤローラ1712を使用して第2の位置にシフトされてもよく、そこでプッシュ/プルアクチュエータ1704によって第2の列に押し込まれてもよい。
【0038】
なお、この実施形態では、キャリア1700上のコンベヤローラ1712を介した第1から第2の位置へのトートの移動は、回収された列からのトートの受動的な分離を可能にすることに留意されたい。その後トートがその目的列に押し込まれると、トートは、列の端部にトートがあれば、目的列の第1のトートに受動的に結合される。目的列にギャップがある場合、トートは、ギャップが閉じられて目的列の全てのトートがその縦方向移動を介して受動的に結合され、トートの結合機構の接触を引き起こすまで、目的列に押し込まれ続けてもよい。
【0039】
第2の実施形態では、キャリア1700はまた、トートをその列から分離するために、図5を参照して上述されたように、ラッチ解除ローラ1702を備えて構成されてもよい。
【0040】
なお、図17は、2つのトートを同時に処理することが可能なキャリア1700を示すが、本発明はこれによって限定されることを意味しないことに留意されたい。キャリアは、トートを受け入れるための場所をいくつ備えて構成されてもよく、単一の場所を有する実施形態を含み、この場合、キャリアは、トートをその目的列に配置するために移動しなければならない。理論的には、キャリア1700は、そのホーム層内の列の数に等しい数の場所を備えて構成されることが可能である。このような実施形態では、キャリアはそのホーム層内で移動しないので、駆動ホイール1710およびアイドラホイール1706は不要となる。
【0041】
図18は、キャリア1700と、単層ボット型の保管構造1802および外郭フレーム構造1806との相互作用を示す。キャリア支持構造1806は、そのホーム層の列にアクセスするためにキャリア1700が転動または摺動するトラック1808を含む。なお、この構成では、2つの外郭キャリア支持構造1806があり、1つは図示されるように保管構造1802の一端に位置しており、2つ目は保管構造1802の反対端に位置していることに留意されたい。
【0042】
図19は、保管構造の多層ボット構成と共に使用するためのキャリア1900の第2の実施形態を示す。この実施形態では、キャリア1900は、図20に示されるキャリア支持構造2002と共に垂直および水平の両方に移動することができる。図19は、支持フレーム構造上に設けられたラックと係合するローラピニオン1910を含むキャリア1900の二次元移動を可能にする機構を示している。ローラピニオン1910は、X軸または水平駆動部1906およびZ軸または垂直駆動部1908によって駆動される。キャリア1900はまた、キャリア支持構造2002との相互作用のためのステアリングアセンブリ1904および格納式ローラ1902も含んでもよい。
【0043】
図20は、保管構造2004にサービス提供するキャリア支持構造2002上の所定位置のキャリア1900を示す。図21は、垂直および水平ピニオン1910を受け入れるための歯付きラック(垂直および水平の両方)を示す、キャリア支持構造2002の詳細を示す。
【0044】
図22は、列内の第1のトートがキャリアのコンベヤ上に位置されるように保管構造から接続されたトートの列を引っ張るための、ならびに既にキャリア上のトートを目的列に押し込むための、プッシュ/プル機構の第1の実施形態を示す。図22は、プッシュ/プル機構として使用するための伸縮アクチュエータ2200の使用を示す。伸縮アクチュエータ2200は、トート上の結合機構と相互作用することができる一端のフックを備えて構成されることとなろう。アクチュエータ2200は、たとえば空気圧式、油圧式、電気式など、いずれのタイプのアクチュエータであってもよい。
【0045】
図23は、プッシュ/プル機構の好適な実施形態を示し、図23の図(A)には斜視図で、図23の図(B)には内面図で示されている。トートを引っ張るために、線形アクチュエータ2314は、プルバー2302を持ち上げた状態で、プルバープラットフォーム2310をトートに向かって押す。プルバー2302は所定位置にもたらされ、ラッチアクチュエータ2304によって所定位置に落下される。次いで、線形アクチュエータ2314は、トートを反転させてキャリア上に引っ張り、その一方で、ラッチアクチュエータ2304はプルバー2302をロック位置に押さえつける。複数のプルバーを位置合わせさせることで、トートはキャリアに沿ってシフトされることができる。トートを異なる列に挿入するために、線形アクチュエータ2314は、プルバー2302をロック解除位置にしたままプッシュバンパ2306でトートを押すように作動される。
【0046】
なお、図22および図23に示されるプッシュ/プル機構は多層ボットバージョンのキャリアと共に使用するように示されているが、どちらの構成も図17に示される単層ボット型のキャリアと共に使用されてもよいことに留意されたい。また、代替実施形態では、キャリアは、プッシュ機能のみ、またはプル機能のみを備えてもよいことに留意すべきである。
【0047】
図24は、キャリア作動動作を示す。図(A)では、アクチュエータは、保管構造内の指定された列に到着すると格納される。図(B)は、列の端部でトートを掴むアクチュエータAの伸張を示す。図(C)は、トートをキャリア上に引き込む(そして列内の接続されたトートの全てをキャリアに向かって移動させる)、アクチュエータAの後退を示す。図(D)は、トートを隣接する列にシフトさせるコンベヤを示す。なお、その列に対するトートの垂直移動は、トートをその列から受動的に分離し、自動的に次の列に結合させてもよいことに留意されたい。あるいは、トートは、アクチュエータBによって列上に押されたときに自動的に次の列に結合されてもよい。図(E)は、伸張された両方のアクチュエータA&Bを示す。アクチュエータAは次のトートを掴み、その一方でアクチュエータBは前のトートを隣接する列に押し込む。図(F)は、両方のアクチュエータA&Bの後退を示し、これにより、キャリア上に次のトートを引っ張る。図(G)は、図17に示されるラッチローラ1712を使用してその列から分離されているトートを示す。
【0048】
入力/出力機構
トートの回収、保管、およびシャッフルに加えて、システムは、システムからトートを出力し、システムにトートを取り込むことが可能でなければならない。保管構造の両方の実施形態において、これは入力/出力機構を介して達成される。
【0049】
図11は、保管構造の単層ボット構成のための入力/出力機構を示す。トートは、コンベヤを介して入力/出力機構との間で送達される。なお、本発明の特定の実施形態では、入力/出力機構は保管構造の両側に位置されてもよいが、他の実施形態では、入力/出力機構は保管構造の片側にのみ位置されてもよいことに留意されたい。さらに別の実施形態では、1つ以上の入力/出力機構が、たとえば保管構造の内部、保管構造の下、または保管構造の上を含む、保管構造の近傍の任意の便利な場所に位置されてもよい。
【0050】
図25は、保管構造からトートを出力するためのプロセスの1つの可能な実施形態を示す。この実施形態では、キャリア1700は、回収されたトートを出力バッファランプ2504に搬送する。ランプは、トートがキャリア1700に最も近いランプの端部に配置されると、ランプ2502を下方に転動または摺動するように傾斜している。垂直コンベヤ2502上の開放スポットがランプの底部に到達するまでトートの下降運動を停止するための機構(図示せず)が提供されてもよく、この時点で、機構は、トートが垂直コンベヤ2502へのその下降運動を継続することを可能にする。垂直コンベヤ2502は円形運動で回転し、回収されたトートが垂直コンベヤ2502の底部に到達すると、これは図11に示されるコンベヤ上に押される。
【0051】
図26は、トートを保管構造に入力するためのプロセスの1つの可能な実施形態を示す。この実施形態では、トートは、図11に示される水平コンベヤを介して垂直コンベヤ2502の底部に到達する。垂直コンベヤ2502上のスポットが利用可能であるとき、トートはコンベヤ上に押され、その目的の層のレベルよりもわずかに高いレベルまで持ち上げられる。次いで、トートは、入力バッファランプ2602上に押され、ランプを受動的に転動または摺動する。キャリア1700がランプの底部に到達するまでトートの下降運動を停止するための機構(図示せず)が提供されてもよく、この時点で、機構は、トートがキャリア1700上へのその下降運動を継続することを可能にする。キャリア1700はその後、そのホーム層内の適切な列にトートを配置するように進む。
【0052】
図27は、多層ボット構成の保管構造からトートを出力するための機構の1つの可能な実施形態を示す。この実施形態、多層ボット構成では、保管構造の下の2列は、入力および出力バッファのために確保されてもよい。出力バッファは、構造の両側の交互の列からなる。図27の挿入図は、機構の側面図を示す。トートは、二次元キャリア1900によってそのソース層から回収され、保管構造の一端に位置する出力バッファへ垂直に輸送される。トートは、図27の挿入図および図16に示されるように、キャリア1900から下向きのランプ1600上に押され、そこで下方に転動または摺動する。コンベヤ1604上の開放スポットがランプの底部に到達するまでトートの下降運動を停止するための機構(図示せず)が提供されてもよく、この時点で、機構は、トートがコンベヤ1604へのその下降運動を継続することを可能にする。次に、コンベヤ1604は、トートを構造の端部に輸送し、そこで、図11に示されるように、トートは水平コンベヤ上に押される。
【0053】
多層ボット構成の入力プロセスの1つの可能な実施形態が、図28に示されている。この実施形態では、トートは、図11に示される水平コンベヤを介してコンベヤ1604に送達される。コンベヤ1604は、保管構造の第1の列に位置する入力バッファにトートを送達する。次にトートは、図28の挿入図および図16に示されるように、下向きのランプ1602上に押され、ランプを下方に転動または摺動する。二次元キャリア1900がランプの底部に到達するまでトートの下降運動を停止するための機構(図示せず)が提供されてもよく、この時点で、機構は、トートが保管構造の外側のキャリア1900上へのその下降運動を継続することを可能にする。二次元キャリア1900は、トートをピックアップし、これを目的の層まで垂直に、そしてその目的列まで水平に輸送する。トートは、ランプを受動的に、またはこれらはアクチュエータによって支援されて下方に転動または摺動してもよい。
【0054】
保管および回収スキーム
本明細書に記載されるキャリアは、限られた範囲内の列にサービス提供できるようにするために目的の列の場所まで保管構造の1つまたは複数の外面に沿って、または保管構造の全面に沿って、移動することができる。このような保管構造は、多層構成で図29に示されている。
【0055】
図30に示される単層ボット構成の実施形態では、キャリアは、支持構造の両側に沿ってペアで動作する。トートを操作するためのロボットシステムの動作は、図31に示される支持構造の上面図に示されている。キャリアは、その列に対して直交する水平方向に移動させることでトートを分離すること、および同じ動作で隣接する列にこれを結合することによって、その原列からトートを取り出すことができる。あるいは、上述のように、トートは、図5に示される受動ローラ機構によってその原列から分離されてもよい。次に、列は、保管構造の両側のキャリアによって反対方向に押され、所望のトートが列のうちの1つの端部に現れるまで、列の端部のトートがそれぞれのキャリアによって結合解除されて隣接する列内に配置される。隣接する列を押し引きすることは、目的のトートが列のどちらの端部に最も近いかに応じて、双方向性であり得る。なお、列がトートで完全に占有されている場合、第2のキャリアが列を押す間に第1のキャリアが列を引く必要はないことに留意されたい。
【0056】
動作例は、図32に示されている。図(A)では、列nおよび列n+1として示される、2列対のトートの中央に収まっているトート番号5が目的のトートである。列nおよび列n+1の両方にギャップがあることに留意されたい。図(B)では、列の左側の左キャリアおよび列の右側の右キャリアとして示される一対のキャリアは、目的のトートを含む列、ならびに隣接する列に移動させられる。キャリアは、列nおよびn-1(図示せず)の端部に位置するように移動済みであってもよいことに留意されたい。図(C)では、その列により多くのトート用の空間を作るために、左キャリアは列nからトートを引っ張り、右キャリアは列n+1からトートを引っ張る。なお、右キャリアは、トートGとトートHとの間のギャップが閉じられ、トートGおよびトートHが互いに結合された後にのみ、列n+1からのトートの取り出しを開始する必要があることに留意されたい。図(D)では、所望のトート(トート5)が左キャリアによって捕捉されるまで、左キャリアは列nから列n+1にトートを押し込み、右キャリアは列n+1から列nにトートを押し込む。このプロセスは逆順で行われることも可能であり、その場合、右キャリアがトート5を捕捉するまで、列nのトートは右に押され、列n+1のトートは左に押される。図(E)では、左キャリアは、トート5がキャリア上に残っている唯一のトートとなるように、トート4を列n+1に押し込み、図(H)では、左キャリアは、他の全てのトートがなくなるとすぐに、システムの出口ポイントにトートを送達するように移動する。右キャリアは、次の回収場所まで移動させられてもよい。左キャリアおよび右キャリアが、固定されたキャリアの対のメンバーである必要はなく、保管および回収を最適化するのに便利なように、他のキャリアと対になってもよい。なお、説明された保管および回収スキームは、保管構造の単層ボット構成および多層ボット構成の両方において有用であることに留意されたい。
【0057】
本明細書に記載されるキャリアは、構造の反対面で、個別にまたは対で動作することができる。構造の反対面で動作するとき、複数のキャリアが、協力してその保管列に沿って線形に結合されたトートを押す/引くように、ならびに直交する方向にそれらの列からトートを分離するように動作し、これらを別の列に配置してその列に押し込む/引き込むか、またはシステムの出口ポイントに送達するためにそのトートを回収することになる。
【0058】
図33は、トートの保管および回収のためのプロセスを示す概略図である。このプロセスは、回収されるのを待っているトートの回収キュー3302および保管されるのを待っているトートの保管キュー3303の両方を利用する。プロセスを開始するために、トートは回収キュー3302から取り出され、3304において、プロセスはトートの場所を回収する。全てのトートの場所はデータベースに保存され、各場所は、層、層内の列、および列内の深さを備える。回収プロセスは3306で開始し、3308で、キャリアは、回収されるトートを含む列に移動する。トート回収プロセスの詳細は、ボックス3310に示されている。キャリアは、所望のトートを含む列を保管構造から引っ張り、今やキャリア状にある列内の第1のトートを隣接する列にシフトさせる。次に、キャリアは、所望のトートを含む列を再び引っ張り、同時に、キャリア上のトートを隣接する列に押し込む。このプロセスは、所望のトートがキャリア上にあるまで繰り返され、この時点で、所望のキャリアは、能動的分離によって、または上述のように、キャリアがその列に対して垂直にトートをシフトさせることによってもたらされる受動的分離によって、その列から分離されなければならない。この時点で、キャリア上の任意の他のトートは、層内の隣接する列に押し込まれてもよく、キャリアは、保管システムの出口ポイントに進む。単層ボット構成の場合、トートはそのホーム層の端部まで進み、そこで所望のトートは、垂直コンベヤ2502につながるランプに押し込まれる。多層ボット構成の場合、上述のように、トートは保管構造の底部に輸送され、そこでトートは、内部コンベヤ1604につながるランプに押し込まれる。
【0059】
なお、このプロセスは、所望のトートを回収するキャリアと協力して動作する保管構造の反対側のキャリアを必要としてもよいことに留意すべきである。所望のトートを含む列からトートが取り出されると、これらは隣接する列にシフトされ、そこで隣接する列に押し込まれて結合される。隣接する列が満たされている場合、トートは、保管構造の反対側に押し出される。この場合、そのトートを回収し、トートを隣接する列(所望のトートを含む列)にシフトさせ、これを列に押し込むために、第2のキャリアがなければならない。いくつかの実施形態では、キャリアがトートを受け取るために存在するまで列から押し出されるのを防止するために、列の端部に電気的または機械的停止部が設けられてもよい。キャリアは停止部を無効化し、これによってトートが列から押し出され、キャリアによって受け取られることを可能にすることができる。
【0060】
2つのキャリアが、同時に協力して動作する構造上の位置に到着する必要はない場合がある。たとえば、所望のトートを含む列から回収された後にトートが押し込まれる隣接する列が完全に満たされていない場合、列内のいずれのギャップも満たされるまで、トートは反対側の保管構造から押し出されない。したがって、第2のキャリアは、隣接する列から押し出されているトートを捕捉するために必要な位置にあることが必要になるまで、他のタスクで占有されてもよい。
【0061】
図33に戻ると、3312で、キャリアはドロップオフポイントに移動し、回収されたトートを入力/出力機構に送達する。この時点で、キャリアは、保管構造内に保管するために、入力/出力機構からトートを回収することができる。保管される第1のトートは、キュー3303から取り出され、3305で保管場所が割り当てられる。ここでも、保管場所は、トートが保管される層、層内の列、および列内の深さからなる必要がある。ほとんどの場合、トートは列の端部に保管されることに留意すべきである。3316で、キャリアは必要とされる場所に移動し、トートは割り当てられた列に押し込まれる。3318で、回収キューから次のトートが取り出され、プロセスが繰り返される。
【0062】
図34は、列の中央からキャリアがピックアップする列の端部に所望のトートを移動させるプロセスを示す。図(A)は、列内の5つ分の深さにあるものとして所望のトートを示す。図(B)では、キャリアは列の端部を引っ張り、これにより、保管構造の反対側からトートを回収する。図(C)では、各列の端のトートが横にシフトされ、これによりその列からこれを受動的に分離し、図(D)では、シフトされたトートが隣接する列に押し込まれ、これに結合される。代替実施形態では、所望のトートを含む列のみが引っ張られてもよく、トートが隣接する列にシフトされて列に押し込まれると、列の反対側のトートが保管構造からキャリア上に押し出されてもよい。そのため、構造の反対側の第2のキャリアは列を引っ張る必要がない場合があり、第2のキャリアは、第1のキャリアによって列から押し出されたトートを受動的に受け取ることができる。ここで、所望のトートは、列の端部に近づくようにトート1つ分移動し、所望のトートがキャリア上に位置されるまでプロセスが繰り返され、その時点でトートはその列から分離され、システムの出口ポイントに搬送される。
【0063】
回収の最適化
保管および回収プロセスをより効率的にする、いくつかの可能な最適化がある。図35は、このような最適化の1つを示す。このプロセスは、キャリアがトートを回収する方向を定義する。保管構造の両側にキャリアがあるので、トートは、回収のためにいずれかのキャリアに引っ張られることが可能である。最適化されたアルゴリズムは、トートをキャリアに移動させるために必要とされるプッシュ/プルサイクルの数を最小限に抑える。列の水平な層の上面図を示す図35の図(A)では、目的のトートは、底部キャリアよりも最上部キャリアに近く、したがって、最上部キャリアは列を引っ張り、7回のプル/シフトサイクルを使用してトートを回収することができるようになる。図(B)は、同様のケースを示すが、最上部キャリアの所望のトート間の列にギャップがある。このため、所望のトートが物理的に最上部キャリアに対してより近い位置にあっても、最上部キャリアは所望のトートを含む列の部分を引っ張ることができないので、列は底部キャリアによって引っ張られ、図(C)に示されるように、トートを底部キャリアに移動させるために13回のプル/シフトサイクルが必要となる。
【0064】
他の最適化も可能である。一実施形態では、トートが保管キューから取り出され、保管スペースが割り当てられると、保管スペースは、回収キュー内の次のトートの場所に基づいて割り当てられることが可能である。割り当てられるトートは、次に回収されるトートと同じ位置に、あるいは同じ層および列に保管されることが可能である。キャリアが目的の列に移動すると、保管されるトートが列に押し込まれ、その一方で第1のトートが引っ張られる。これにより、キャリアの移動時間を短縮する。
【0065】
別の実施形態では、トートの保管および回収用のキューが最適化されてもよい。回収キューの第1のトートを回収する代わりに、キューの全てのトートの推定回収時間が比較され、最も短い推定回収時間を有するトートが最初に回収されてもよい。これは、回収プロセスごとに繰り返される。
【0066】
さらに別の最適化では、キャリアは並行して使用されてもよい。単層ボット構成では、他のキャリアが他のトートを拾うかまたはステージピッキングを自由に行うように、1つのキャリアのみがトートを拾うために使用されてもよい。層が完全に満たされていない場合(すなわちギャップを有する列がある場合)、この最適化のみが有用である。多層ボット構成では、並列化により、回収速度を改善し、保管施設を操作するために必要なボットの数を削減する。
【0067】
さらに最適化された実施形態では、トートのレイアウトが最適化されてもよい。トートは、人気のないトートを列のより奥の方に適切に「埋めて」、人気のあるトートを列の縁により近くなるように「露出」するように、回収シーケンスをストックするように最適化されてもよい。初期の望ましいレイアウトは、たとえば入力/出力機構により近い、アクセスしやすい保管構造の部分により人気のあるトートを保持することを必要とする。システムは、人気のあるトートを保管構造のよりアクセスしやすいスポットにシャッフルすることによって、忙しい時間に備えて暇な時間にレイアウトを再構成することができる。なお、トートの人気は、事前定義された最新期間内に特定のトートが回収された回数に基づいて測定されることができることに留意されたい。
【0068】
さらに最適化された実施形態では、1日または1週間の時間帯に基づいて異なる注文人気に合わせて最適化するように望ましいレイアウトをカスタマイズするために、予測レイアウト最適化が使用されてもよい。保管構造内のトートのレイアウトは、ピッカーにより良く適合するように修正されることが可能である。システムは、ピッカーのための複数の並列注文履行を考慮することができ、必要なキューイングの量を削減するためのピッカーの効率(およびアイテムの効率)を考慮するために、機械学習を使用してもよい。
【0069】
ソフトウェアアーキテクチャ
図36は、このシステム内のトートを保管および回収するために使用される、保管および回収プロセスを管理および最適化するためのソフトウェアアーキテクチャの一実装形態を示す。倉庫実行システム(WES)3600は、保管されるトートの所望のキューおよび回収されるトートの所望のキューの両方を提供する。これらのキューの各々は、トート配置アルゴリズム3602にて処理される。これらのアルゴリズムは、ロボットキャリアの最大移動効率および保管構造内のトートの最適な配置/保管を含むがこれらに限定されないいくつかの要因に基づいて、キューを最適化および並べ替えする。トート配置アルゴリズム3602は、ロボットシステムコントローラに、トートを配置および/または回収するための(1つまたは複数の)所望の列を提供する。この情報は、動作経路を決定し、トートの保管および回収プロセスを実行するために、ロボットシステムコントローラ3604によって使用される。
【0070】
保管構造内のトートの状態はまた、最大効率のためにキャリアの動作およびトートの配置/保管場所を更新し続けることができるように、トートの場所の保管状態および自律キャリア状態の場所の両方ならびに内容を更新してトート配置アルゴリズムに戻すロボットシステムコントローラ3604によって監視される。加えて、ロボットシステムコントローラ3604は、キューが適切に更新されるように、保管時間および回収時間ならびにトートの保管および回収の確認の推定を提供するために、動作情報をWES3600に送り返す。
【0071】
このソフトウェアシステムは、どのトートがシステム内での回収のために優先されるべきか決定すること、優先度または製品がシステムから回収される必要がある頻度のいずれかに基づく製品の最適な在庫配置、システムに保管されているトートの最適な配置の計画、ならびに他の操作のためにシステムから回収されているトートに起因するシステム内の「穴またはギャップ」を管理する方法を含むがこれらに限定されない最適化を含むことができる。なお、いずれの列にも単一のギャップしかあり得ないことに留意することが重要である。
【0072】
ソフトウェアアーキテクチャの代替実施形態が、図37に示されている。倉庫管理システム(WMS)3700は、送達スケジュール、注文、およびサービスレベル合意(SLA)に基づいて、倉庫の在庫データベース3702を監視および更新する。WMS3700は、自動キャリアのキャリア運行および安全コントローラ3704、ならびにトートの外部輸送システムの全て(コンベヤ、リフト、ピックステーション、ローディングステーションなど)と通信する。外部トート輸送部3706は、システムに入る送達の物流、ならびにシステムから出て行く履行済み注文を処理することができる。外部トート輸送制御部3708は、トートが保管構造に流入または流出するときのキャリア交通および安全コントローラ3704へのトートの輸送の制御を引き渡すことができる。ハンドオフコントローラ3710は、各々が通信、動作制御、およびトート操作ロジックコントローラからなる自身のキャリアコントローラ3714を有するキャリア3712の特定のセットに、システム内に配置または回収されているトートを割り当てることができる。キャリアがトートを保管または回収する際に、これはオンボード位置特定3716を介してその場所を継続的に更新し、オンボード低レベルコントローラ3718を介して所望の動作を実行することができる。キャリアがそのプロセスを実行する際には、これらは、システムの最上位動作要件に基づいて必要な軌道および動作を更新するキャリア運行および安全コントローラと通信する。
【0073】
好適な実施形態では、システムのハードウェア構成要素は、1つ以上のプロセッサ上で実行されるソフトウェアを介して制御される。ソフトウェアは、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。本発明の様々な実施形態では、ソフトウェアを含むプロセス、システム、および非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が請求されてもよい。
【0074】
本明細書に記載される構成要素に加えて、キャリアの各々との間で命令を送信して状況を受信する手段、ならびに入力/出力機構の各々との間で命令を送信して状況を受信する手段が必要となるだろう。これらのインターフェースは、好適な実施形態では、キャリアがキャリア支持構造の周りを移動する際の有線接続の絡み合いを回避するために、無線となる。
【0075】
加えて、本発明の様々な実施形態は、保管システム内に保管されている各トートの現在位置を記憶するためのデータベースを必要とする。様々な実施形態において、位置は、各トートが保管されている保管システム内の層を示す層インジケータ、各トートが保管されている層内の列を示す列インジケータ、および列内で各トートが保管されている深さインジケータを含み得る。
【0076】
ソフトウェアは、キャリアの移動およびトートが保管および回収される順序を最適化するためにデータベース内の情報および入力/出力機構内のキャリアの現在の状況を使用し得る、様々な最適化ルーチンを含んでもよい。本発明の好適な実施形態では、システムは、保管システムから任意の特定のトートを回収するための最短時間を取得するように、または代替例では、システムの単位時間あたりの回収回数を最大化するように、最適化されてもよい。
【0077】
システムのいくつかの実施形態では、トートには、保管システムに出入りする際にトートの位置を確認するためにシステム内のセンサによって読み取られ得る識別手段、たとえばRFタグまたはバーコードが設けられてもよい。
【0078】
システムの特定の実施形態では、トートは、本質的に一方向性である。つまり、トートは、各列内でトートを別のトートに結合できるようにするために、システム内で特定の配向で保管されなければならない。したがって、システムには、トートが保管される前に適切な方向に配向されるようにトートを配向する手段、あるいは、不適格な配向でシステム内に配置されるトートを拒絶する手段が設けられてもよい。
【0079】
本発明は、特定の実施形態の文脈で説明されてきたが、これらは本発明の模範としてのみ意図される。理解されるように、説明された実施形態の多くの変形が可能である。たとえば、ソフトウェア構成要素およびハードウェア構成要素の両方を含む、様々な構成要素の設計、形状、サイズ、位置、機能、および動作の変形は、以下の請求項によって定義される本発明の範囲内にあると、依然として見なされる。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図24A
図24B
図24C
図24D
図24E
図24F
図24G
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32A
図32B
図32C
図32D
図32E
図32F
図33
図34A
図34B
図34C
図34D
図35A
図35B
図35C
図36
図37