(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】交通渋滞マップ生成装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20241031BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20241031BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20241031BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G08G1/01 A
G08G1/13
G09B29/00 Z
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2021047752
(22)【出願日】2021-03-22
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【氏名又は名称】中村 知公
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲
(72)【発明者】
【氏名】大崎 新太郎
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-180667(JP,A)
【文献】特開2020-135827(JP,A)
【文献】特開2021-039450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両インナーデータに基づき、渋滞原因イベント地点を特定するイベント地点特定部と、
特定された
前記渋滞原因イベント地点に基づき、指定ルールに従い、前記渋滞原因イベント地点の周囲の観察交差点を指定する観察交差点指定部と、及び
前記観察交差点の渋滞情報を生成する渋滞情報生成部と、
を備える
交差点渋滞マップ生成装置であって、
指定ルール特定部が更に備えられ、該指定ルール特定部は、前記渋滞原因イベント地点の位置に基づき前記指定ルールを特定する、交差点渋滞マップ生成装置。
【請求項2】
交差点の渋滞情報履歴を保存する交差点渋滞情報履歴保存部及び渋滞情報修正部が更に備えられ、
前記渋滞情報修正部は、前記観察交差点の渋滞情報と前記交差点渋滞情報履歴保存部に保存された前記観察交差点の渋滞情報履歴に基づき
前記観察交差点において生成される渋滞情報を修正する、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記指定ルールは、前記観察交差点の指定の終了も含む、
請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記渋滞情報生成部は、前記観察交差点への進入路の方路単位で渋滞情報を生成する、
請求項1~3の何れかに記載の装置。
【請求項5】
前記渋滞情報生成部は、前記進入路の車線単位で渋滞情報を生成する。
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記渋滞情報生成部は、渋滞の成長状況を特定する渋滞状況特定部を更に備える、
請求項1~5の何れかに記載の装置。
【請求項7】
前記指定ルール特定部は、前記渋滞状況特定部の特定結果に基づき前記指定ルールを変更する、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記渋滞状況特定部により前記観察交差点の渋滞がプラスの成長状況にあると特定されたとき、指定すべき観察交差点を追加する、
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記渋滞状況特定部により前記観察交差点の渋滞が解消状況にあると特定されたとき、前記観察交差点の周囲にある観察交差点であって渋滞を示さないものを観察交差点から外す、
請求項7に記載の装置。
【請求項10】
イベント地点特定部、観察交差点指定部及び渋滞情報生成部を備える交差点渋滞マップ生成装置を用いる交差点渋滞マップ生成方法であって、
前記イベント地点特定部に、車両インナーデータに基づき、渋滞原因イベント地点を特定させ、
前記観察交差点指定部に、特定された
前記渋滞原因イベント地点に基づき、指定ルールに従い、前記渋滞原因イベント地点の周囲の観察交差点を指定させ、
前記渋滞情報生成部に、前記観察交差点の渋滞情報を生成させる、
交差点渋滞マップ生成方法であって、
前記交差点渋滞マップ生成装置には指定ルール特定部が更に備えられ、
該指定ルール特定部に前記渋滞原因イベント地点の位置に基づき前記指定ルールを特定させる、交差点渋滞マップ生成方法。
【請求項11】
イベント地点特定部、観察交差点指定部及び渋滞情報生成部を備える交差点渋滞マップ生成装置を制御するコンピュータ用のプログラムであって、
前記イベント地点特定部に、車両インナーデータに基づき、渋滞原因イベント地点を特定させ、
前記観察交差点指定部に、特定された
前記渋滞原因イベント地点に基づき、指定ルールに従い、前記渋滞原因イベント地点の周囲の観察交差点を指定させ、
前記渋滞情報生成部に、前記観察交差点の渋滞情報を生成させる、
プログラムであって、
前記交差点渋滞マップ生成装置には指定ルール特定部が更に備えられ、
該指定ルール特定部に前記渋滞原因イベント地点の位置に基づき前記指定ルールを特定させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は交通渋滞マップ生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置の利用態様として自車両の現在位置の把握がある。ディスプレイ上のマップに自車両の位置を動的に表示することで、走行中の道路の先の状態や並行する道路の状態を把握することができる。
ドライバにとっての関心事の一つとして、交差点の渋滞情報がある。例えば、走行中の道路の先の交差点に長い渋滞が発生していたときには、並行する道路などに迂回することを考える。勿論、そのときには並行する道路の交差点の渋滞情報も気になることとなる。
【0003】
そこで、プローブデータを利用して、交差点の渋滞情報を把握しやすくする技術が提案されている(特許文献1参照)。この技術では、交差点の進入路の車線毎に渋滞情報を特定し、その渋滞情報に応じてディスプレイ上で車線毎に色を変え、もってドライバへより詳細な渋滞情報を提供している。
その他、本願発明に関連する技術を開示する特許文献2及び特許文献3も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-197724号公報
【文献】特開2010-044526号公報
【文献】特開2009-140292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドライバに対して常に渋滞情報を提供するには、すべての交差点の進入路についてプローブデータを処理し、その渋滞情報を特定しておく必要がある。換言すれば、ナビゲーション用のマップにある全交差点に対応した交差点渋滞マップの生成が求められる。
そのためには、プローブデータを保存するメモリに大容量が必要となり、そのデータ処理装置にも高い処理速度が要求され、システムにかかる負担が大きくなる。このことはまた、詳細な渋滞情報を作成することの抵抗にもなる。詳細な渋滞情報として、例えば、交差点進入路の車線毎の渋滞情報、渋滞が成長状態にあるか解消状態にあるかの情報などを挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明はかかる課題を解決すべくなされたものであり、その第1局面は次のように規定される。
即ち、車両インナーデータに基づき、渋滞原因イベント地点を特定するイベント地点特定部と、
特定された前記イベント地点に基づき、指定ルールに従い、前記渋滞原因イベント地点の周囲の観察交差点を指定する観察交差点指定部と、及び
前記観察交差点の渋滞情報を生成する渋滞情報生成部と、
を備える交差点渋滞マップ生成装置。
【0007】
このように規定される第1局面の交差点渋滞マップ生成装置(以下、単に「生成装置」ということがある)によれば、イベント地点特定部により特定された渋滞原因イベント地点の周囲にある観察交差点につき渋滞情報を生成するので、渋滞情報の生成対象が観察交差点に限定される。その結果、交差点渋滞マップ生成装置にかかる負担が小さくなる。
また、限定された観察交差点のみの渋滞情報を生成すればよいので、そこに交差点渋滞マップ生成装置の資源を集中させることで、詳細な渋滞情報の作成も容易になる。
【0008】
この発明の第2局面の生成装置は次のように規定される。即ち、第1局面に規定の生成装置において、指定ルール特定部が更に備えられ、該指定ルール特定部は、前記渋滞原因イベント地点の位置に基づき前記指定ルールを特定する。
このように規定される第2局面の生成装置によれば、観察交差点を指定する指定ルールが指定ルール特定部により特定される。この指定ルールは渋滞原因イベント地点の位置に基づき特定されるので、例えば、渋滞原因イベント地点を中心に所定半径(例えば1km)以内に存在する交差点を観察交差点としたり、渋滞原因イベント地点から延びる道路(この道路から分枝する道路も含む)に存在する交差点であって当該渋滞原因イベント地点から路面距離において所定距離(例えば1km)以内に存在する交差点を観察交差点としたりすることができる。
【0009】
この発明の第3局面の生成装置は次のように規定される。即ち、第1又は第2局面に規定の生成装置において、交差点の渋滞情報履歴を保存する交差点渋滞情報履歴保存部、及び渋滞情報修正部が更に備えられ、
前記渋滞情報修正部は、前記観察交差点の渋滞情報と前記交差点渋滞情報履歴保存部に保存された前記観察交差点の渋滞情報履歴に基づき前記観察交差点において生成される渋滞情報を修正する。
【0010】
このように規定される第3局面の生成装置によれば、渋滞情報生成部が生成した観察交差点の現在の渋滞情報と、交差点渋滞情報履歴保存部に保存された当該観察交差点の過去の渋滞情報履歴とを比較する。かかる比較を実行することにより、例えば渋滞履歴のない観察交差点において渋滞が発生していたときには、その観察交差点での渋滞情報をより詳細なものに修正することができる。
他方、常に渋滞している観察交差点であれば、その渋滞が渋滞原因イベントに起因しないことも考えられるので、当該観察交差点にける渋滞情報をより簡易化したり、または渋滞情報の作成を停止したりすることができる。
【0011】
この発明の第4局面は次のように規定される。即ち、第1~3局面に規定の生成装置において、前記指定ルールは、前記観察交差点の指定の終了も含む。
このように規定される第4局面の生成装置によれば、指定ルールが観察交差点の指定の終了も含んでいる。これにより、渋滞情報生成部による観察交差点における渋滞情報の生成の終了が担保され、もって生成装置にかかる負担が制御される。
指定ルールにおける指定の終了は、例えば、渋滞原因イベント発生から所定期間(例えば24時間)経過した時としてもよいし、また渋滞原因イベントの種類に応じてその終了の時を定めることもできる。
【0012】
この発明の第5局面は次のように規定される。即ち、第1~4局面に規定の生成装置において、前記渋滞情報生成部は、前記観察交差点への進入路の方路単位で渋滞情報を生成する。
このように規定される第5局面の生成装置によれば、観察交差点への進入路の方路単位で渋滞情報が生成されるので、ドライバへより詳細な渋滞情報を提供可能となる。
【0013】
この発明の第6局面は次のように規定される。即ち、第5局面に規定の生成装置において、前記渋滞情報生成部は、前記進入路の車線単位で渋滞情報を生成する。
このように規定される第6局面の生成装置によれば、観察交差点への進入路の車線単位で渋滞情報が生成されるので、ドライバへより詳細な渋滞情報を提供可能となる。
【0014】
この発明の第7局面は次のように規定される。即ち、第1~6局面に規定の生成装置において、前記渋滞情報生成部は、渋滞の成長状況を特定する渋滞状況特定部を更に備える。
このように規定される第7局面の生成装置によれば、渋滞状況特定部により、渋滞の成長状況が特定される。これにより、渋滞が成長状況(プラスの成長状況)にあるか、定常状況(ゼロの成長状況)にあるか、又は解消状況(マイナスの成長状況)にあるかをドライバに提示可能となる。渋滞の成長状況はドライバにとって交差点を選択する重要な指標となり得る。
【0015】
この発明の第8局面は次のように規定される。即ち、第7局面に規定の生成装置において、前記指定ルール特定部は、前記渋滞状況特定部の特定結果に基づき前記指定ルールを変更する。
このように規定される第8局面の生成装置によれば、観察交差点における渋滞の成長状況(プラス、ゼロ、又はマイナスの成長状態)に基づき、指定ルールを変更できる。これにより、渋滞の成長状況に応じて観察交差点での渋滞情報の生成をダイナミックに制御できる。
【0016】
例えば、前記渋滞状況特定部により前記観察交差点の渋滞がプラスの成長状況にあると特定されたとき、前記指定ルール特定部が指定すべき観察交差点を追加することができる(第9局面)。ここに、観察交差点の追加は、例えば、渋滞がプラスの成長状態にある観察交差点を中心として所定半径以内に存在する交差点であって観察交差点に指定されていない交差点を、新たに観察交差点に指定することによる。
前記渋滞状況特定部により前記観察交差点の渋滞が解消状況にあると特定されたとき、前記指定ルール特定部が前記観察交差点の周囲にある観察交差点であって渋滞を示さないものを観察交差点から外すことができる(第10局面)。
【0017】
この発明の第11局面は次のように規定される。即ち、第1~10局面に規定の生成装置において、案内情報生成部が更に備えられ、
該案内情報生成部は、前記観察交差点の渋滞情報が所定の第1閾値を超えたとき、及び/又は前記観察交差点の渋滞状況が所定の第2閾値割合で成長状態若しくは所定の第3閾値値割合で解消状態にあるとき、ナビゲーション装置で読み出し可能なガイダンス情報を生成する。
このように規定される第11局面の生成装置によれば、特定の渋滞状況のときのみナビゲーション装置に読み出されるガイダンス情報が生成される。渋滞情報の第1閾値として、渋滞中の車両の平均速度(例えば2km/時間)や、渋滞の距離(例えば500m)を用いることができる。
【0018】
また、成長状態の割合(第2閾値割合)や解消状態の割合(第3閾値割合)も平均速度の変化や渋滞距離の変化を指標とすることができる。
これにより、激しい渋滞状況にある交差点にその旨のガイダンス付し、もって、ドライバにとって把握のしやすい交差点渋滞マップを提供できる。
また、渋滞状況の変化の割合に応じて、渋滞状況が変化していることをガイダンスすることで、ドライバへ提供できる渋滞情報の質が向上する。
【0019】
この発明の第12局面は次のように規定され、第1局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、イベント地点特定部、観察交差点指定部及び渋滞情報生成部を備える交差点渋滞マップ生成装置を用いる交差点渋滞マップ生成方法であって、
前記イベント地点特定部に、車両インナーデータに基づき、渋滞原因イベント地点を特定させ、
前記観察交差点指定部に、特定された前記イベント地点に基づき、指定ルールに従い、前記渋滞原因イベント地点の周囲の観察交差点を指定させ、
前記渋滞情報生成部に、前記観察交差点の渋滞情報を生成させる、交差点渋滞マップ生成方法。
【0020】
この発明の第13局面は次のように規定され、第2局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、第12局面に規定の方法において、前記交差点渋滞マップ生成装置には指定ルール特定部が更に備えられ、
該指定ルール特定部に前記渋滞原因イベント地点の位置に基づき前記指定ルールを特定させる。
【0021】
この発明の第14局面は次のように規定され、第3局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、第12又は13に規定の方法において、前記交差点渋滞マップ生成装置には交差点の渋滞情報履歴を保存する交差点渋滞情報履歴保存部及び渋滞情報修正部が更に備えられ、
前記渋滞情報修正部に、前記観察交差点の渋滞情報と前記交差点渋滞情報履歴保存部に保存された前記観察交差点の渋滞情報履歴に基づき前記観交差点において生成される渋滞情報を修正させる。
【0022】
この発明の第15局面は次のように規定され、第4局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、第12~14の何れかの局面に規定の方法において、前記指定ルールは、前記観察交差点の指定の終了も含む。
【0023】
この発明の第16局面は次のように規定され、第5局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、第12~15の何れかの局面に規定の方法において、前記渋滞情報生成部は、前記観察交差点への進入路の方路単位で渋滞情報を生成させる。
【0024】
この発明の第17局面は次のように規定され、第6局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、第16局面に規定の方法において、前記渋滞情報生成部は、前記進入路の車線単位で渋滞情報を生成させる。
【0025】
この発明の第18局面は次のように規定され、第7局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、第12~17の何れかの局面に規定の方法であって、前記渋滞情報生成部は渋滞状況特定部を更に備え、該渋滞状況特定部に渋滞の成長状況を特定させる。
【0026】
この発明の第19局面は次のように規定され、第8局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、第18の局面に規定の方法であって、前記指定ルール特定部に、前記渋滞状況特定部の特定結果に基づき前記指定ルールを変更させる。
【0027】
この発明の第20局面は次のように規定され、第9局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、第19局面に規定の方法であって、前記渋滞状況特定部により前記観察交差点の渋滞がプラスの成長状況にあると特定されたとき、前記観察交差点指定部に観察交差点を追加させる。
【0028】
この発明の第21局面は次のように規定され、第10局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、第19局面に規定の方法であって、前記渋滞状況特定部により前記観察交差点の渋滞が解消状況にあると特定されたとき、前記観察交差点指定部に、前記観察交差点の周囲にある観察交差点であって渋滞を示さないものを観察交差点から外させる。
【0029】
この発明の第22局面は次のように規定され、第11局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、第12~21局面のいずれかに記載の方法において、前記交差点渋滞マップ生成装置には案内情報生成部が更に備えられ、
該案内情報生成部に、前記観察交差点の渋滞情報が所定の第1閾値を超えたとき、及び/又は前記観察交差点の渋滞状況が所定の第2閾値割合で成長状態若しくは所定の第3閾値値割合で解消状態にあるとき、ナビゲーション装置で読み出し可能なガイダンス情報を生成させる。
【0030】
この発明の第23局面は次のように規定され、第1局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、イベント地点特定部、観察交差点指定部及び渋滞情報生成部を備える交差点渋滞マップ生成装置を制御するコンピュータ用のプログラムであって、
前記イベント地点特定部に、車両インナーデータに基づき、渋滞原因イベント地点を特定させ、
前記観察交差点指定部に、特定された前記イベント地点に基づき、指定ルールに従い、前記渋滞原因イベント地点の周囲の観察交差点を指定させ、
前記渋滞情報生成部に、前記観察交差点の渋滞情報を生成させる、プログラム。
【0031】
この発明の第24局面は次のように規定され、第2局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、第23局面に規定のプログラムにおいて、前記交差点渋滞マップ生成装置には指定ルール特定部が更に備えられ、
該指定ルール特定部に前記渋滞原因イベント地点の位置に基づき前記指定ルールを特定させる。
【0032】
この発明の第25局面は次のように規定され、第3局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、第23又は24に規定のプログラムにおいて、前記交差点渋滞マップ生成装置には交差点の渋滞情報履歴を保存する交差点渋滞情報履歴保存部及び渋滞情報修正部が更に備えられ、
前記渋滞情報修正部に、前記観察交差点の渋滞情報と前記交差点渋滞情報履歴保存部に保存された前記観察交差点の渋滞情報履歴に基づき前記観交差点において生成される渋滞情報を修正させる。
【0033】
この発明の第26局面は次のように規定され、第4局面と同じ作用及び効果を奏する。即ち、第23~25の何れかの局面に規定のプログラムにおいて、前記指定ルールは、前記観察交差点の指定の終了も含む。
【0034】
この発明の第27局面は次のように規定され、第5局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、第23~26の何れかの局面に規定のプログラムにおいて、前記渋滞情報生成部は、前記観察交差点への進入路の方路単位で渋滞情報を生成させる。
【0035】
この発明の第28局面は次のように規定され、第6局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、第27局面に規定のプログラムにおいて、前記渋滞情報生成部は、前記進入路の車線単位で渋滞情報を生成させる。
【0036】
この発明の第29局面は次のように規定され、第7局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、第23~28の何れかの局面に規定のプログラムであって、前記渋滞情報生成部は渋滞状況特定部を更に備え、該渋滞状況特定部に渋滞の成長状況を特定させる。
【0037】
この発明の第30局面は次のように規定され、第8局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、第29の局面に規定のプログラムであって、前記指定ルール特定部に、前記渋滞状況特定部の特定結果に基づき前記指定ルールを変更させる。
【0038】
この発明の第31局面は次のように規定され、第9局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、第30局面に規定のプログラムであって、前記渋滞状況特定部により前記観察交差点の渋滞がプラスの成長状況にあると特定されたとき、前記観察交差点指定部に観察交差点を追加させる。
【0039】
この発明の第32局面は次のように規定され、第10局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、第30局面に規定のプログラムであって、前記渋滞状況特定部により前記観察交差点の渋滞が解消状況にあると特定されたとき、前記観察交差点指定部に、前記観察交差点の周囲にある観察交差点であって渋滞を示さないものを観察交差点から外させる。
【0040】
この発明の第33局面は次のように規定され、第11局面と同じ作用及び効果を奏する。
即ち、第23~32局面のいずれかに記載のプログラムにおいて、前記交差点渋滞マップ生成装置には案内情報生成部が更に備えられ、
該案内情報生成部に、前記観察交差点の渋滞情報が所定の第1閾値を超えたとき、及び/又は前記観察交差点の渋滞状況が所定の第2閾値割合で成長状態若しくは所定の第3閾値値割合で解消状態にあるとき、ナビゲーション装置で読み出し可能なガイダンス情報を生成させる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】
図1はこの発明の実施形態の交差点渋滞マップ生成装置の機能を示すブロック図である。
【
図2】
図2は渋滞原因イベントの発生地点Xと観察交差点(Cnm)との関係を示す模式図である。
【
図3】
図3は観察交差点C22の各車線における渋滞の状態を示す模式図である。
【
図4】
図4は
図1の生成装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は他の実施形態の交差点渋滞マップ生成装置の機能を示すブロック図である。
【
図6】
図6は他の実施形態の交差点渋滞マップ生成装置の機能を示すブロック図である。
【
図7】
図7は他の実施形態の交差点渋滞マップ生成装置の機能を示すブロック図である。
【
図8】
図8は
図1の生成装置のハード構成を示すブロックである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図例を参照しながら、この発明を更に詳細に説明する。
図1はこの発明の実施形態の交差点渋滞マップ生成装置1の機能を模式的に示すブロック図である。
図1に示すとおり、生成装置1は車両走行データ保存部10、イベント地点特定部20、観察交差点指定部30、渋滞情報生成部40、交差点渋滞マップデータ保存部50を備えてなる。
【0043】
車両走行データ保存部10は車両インナーデータ保存部11及びプローブデータ保存部13を備える。プローブカーの車両インナーデータ及びプローブデータがそれぞれの保存部11、13に順次蓄積されている。この車両走行データ保存部10は、他の要素から物理的に切り離して、ネットワークを介して接続されたサーバとすることができる。
ここに車両インナーデータとは、車両が備えるセンサ、コントロールユニットその他から出力される当該車両の各種状態に関するデータであって、当該車両に搭載されたネットワーク上でCAN(Controller Area Network)をはじめとした各種通信プロトコルにより伝送可能なデータをいう。この車両インナーデータには、エアバックの動作データ、加速度データ、ブレーキ操作データ、ハンドルの切れ角データ、その他の車両の事故や故障を推定させるデータが、その時刻とともに保存される。
プローブデータはプローブカーの位置情報及び時間情報を含み、このプローブデータを周知の方法で解析することにより、交差点への進入路や道路自体が渋滞しているか否かを特定できる。
【0044】
イベント地点特定部20は、この例では、車両インナーデータ保存部11にエアバックの動作データが入力されたことを検出したとき、若しくは、蓄積されたデータをスキャニングして当該データの存在を検出したとき、当該データを出力したプローブカーのIDとその時刻を特定する。プローブカーのIDとその時刻をプローブデータ保存部13に保存されているプローブデータに照らし合わせて、プローブカーがエアバックを動作させた地点を特定する。
エアバックの動作の検出は車両が事故を起こしたことを強く推定させるので、渋滞原因イベントとして好適に採用できる。他方、加速度データ、ブレーキ操作データ、ハンドルの切れ角データも車両の事故や故障を推定させるので、渋滞原因イベントとして採用することができる。
【0045】
観察交差点指定部30は、特定された渋滞原因イベントの地点に基づき、観察交差点を指定する。観察交差点を指定するルールは指定ルール特定部31により、マニュアル若しくは自動的に特定することができる。この例では、
図2に示すとおり、渋滞原因イベントの発生地点Xを中心に、ナビゲーション装置で利用されるマップデータにおいて、半径1kmの円を描き、その円内に存在する交差点(C11、C12、C13、C21、C22、C23、C24、C31、C32及びC33)を観察交差点としている。なお、この観察交差点は、信号機のある交差点に限定することができる。符号60は、マップデータを保存するマップデータ保存部である。
なお、指定ルールは任意に設定可能である。都市部と郊外とでは、円の半径を変えることができる。
【0046】
指定された観察交差点につき、渋滞情報生成部40は渋滞情報を生成する。この渋滞情報生成部40は初めに観察交差点への進入路の座標を特定する。渋滞原因イベントが発生した後において当該進入路に存在したプローブカーのプローブデータをプローブデータ保存部13から逐次読み出し、汎用的な手法をもって渋滞情報を生成する。
渋滞情報は、進入路に存在するプローブカーの平均速度を指標として、分類可能である。例えば、閾値を時速20km、時速10km若しくは時速5kmとして、プローブカーの平均速度が当該閾値以下であるか否かで渋滞の軽重を定めることができる。
【0047】
図3に観察交差点C22の進入路の渋滞状況を示す。進入路において薄墨を付した部分が渋滞を示している。
図3に示すように、観察交差点の進入路においては、その進入方向、即ち方路ごとに渋滞情報を生成することができる。更には、進入路の車線毎にも渋滞情報を生成することができる。
このようにして各観察交差点につき、進入路毎に渋滞情報が生成される。
【0048】
渋滞情報生成部40で生成された渋滞情報は各観察交差点に関連付けられ、交差点渋滞マップデータとして、交差点渋滞マップデータ保存部50に保存される。このようにして生成された交差点渋滞マップデータは、ナビゲーション装置のマップデータに重畳して表示される。
かかる渋滞情報を取得したドライバは、渋滞した交差点を迂回するルートを検討することができる。また、ナビゲーション装置で設定された案内ルートが渋滞した交差点に交差しているときは、当該交差点を避けるようにリルート処理をすることができる。
【0049】
次に、
図4を参照しながら、交差点渋滞マップ生成装置1の動作について説明する。
イベント地点特定部20は定期的に車両インナーデータ保存部11をスキャニングしてそこにエアバック作動に関する車両インナーデータの存在を確認する(ステップ1)。
エアバック作動に関する車両インナーデータを検出したとき(ステップ1:Y)、そこで渋滞原因となる車両の事故が発生したものと推定される。よって、ステップ3において、イベント地点特定部20は当該インナーデータを発生させたプローブカーのIDとその時刻を特定し、このIDと時刻をもとに、プローブデータ保存部13のプローブデータを参照して、エアバック作動に関する車両インナーデータを発生させたプローブカーの位置、即ち事故地点Xを特定する。
【0050】
ステップ5では、観察交差点指定部30が、マップデータ保存部60に保存されているマップデータを参照して、事故地点Xを中心に半径1kmの円を描き(
図2参照)、その中に存在する信号付き交差点を抽出し、観察交差点(Cnm)とする。
ステップ7~ステップ11は渋滞情報生成部40により実行される。即ち、ステップ5で指定された観察交差点の進入路の車線毎にその座標を特定し(ステップ7)、その車線に存在するプローブカーのプローブデータを抽出する(ステップ9)。このようにして得られたプローブデータを汎用的な手法で解析して車線毎の渋滞情報を生成する(ステップ11)。
【0051】
ステップ11において生成された観察交差点の渋滞情報を交差点渋滞マップデータ保存部50へ保存し、交差点渋滞マップデータとする(ステップ13)。
この交差点渋滞マップデータは、ナビゲーション装置のディスプレイに表示されるマップデータに重畳して表示され(ステップ15)、ドライバの参考に供される。
【0052】
図5に他の実施形態の交差点渋滞マップ生成装置100を示す。
図5において、
図1と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
この生成装置100は渋滞情報修正部41と履歴保存部43とを備える。
履歴保存部43には、交差点毎の渋滞履歴が保存されている。この渋滞履歴として、例えば、交差点の進入路の車線における渋滞の頻度を三段階(大、中、小)に分類したものを用いることができる。
【0053】
渋滞情報修正部41は、渋滞情報生成部40の生成した渋滞情報と履歴保存部43に保存された渋滞履歴を比較する。ここに、渋滞履歴として渋滞頻度が中のときは、渋滞情報生成部40の作成した渋滞情報は何ら変更されることなく、そのまま交差点渋滞マップデータ保存部50に書き込まれる。渋滞履歴として渋滞頻度が大のときは、今回の事故に無関係に渋滞が発生しているものとして、渋滞情報の生成を中止する。その一方、VICS(登録商標)等の汎用的な渋滞情報を表示させることが好ましい。渋滞履歴として渋滞頻度が小のときは、渋滞情報の生成の精度を向上することが好ましい。渋滞情報の精度の向上の一つの手法として、プローブデータの抽出頻度の高めることがある(ステップ9参照)。進入路毎の渋滞情報を、方路毎の渋滞情報やさらに車線毎に渋滞情報にすることも精度向上の一態様である。
なお、渋滞履歴は、渋滞原因イベントが発生した時刻より前の時間帯(例えば1時間)における各観察交差点の渋滞情報ももって、これに当てることができる。
【0054】
図6に他の実施形態の交差点渋滞マップ生成装置200を示す。
図6において、
図1と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
この生成装置200は、渋滞情報生成部40に渋滞状況特定部48を備える。
この渋滞状況特定部48は観察交差点における渋滞の成長状況を特定する。成長状況には渋滞が伸びているプラスの成長状況、渋滞が解消しているマイナスの成長状況及び渋滞が安定しているゼロの成長状況がある。
【0055】
渋滞状況特定部48による渋滞状況の特定結果を受けて、指定ルール特定部31はその指定ルールを変更することができる。例えば、ある観察交差点の渋滞状況がプラスの成長状況(単に成長状況ということがある)にあるときは、他の交差点にも渋滞の影響が出るおそれがあるので、その観察交差点の周囲の交差点についても、これを新たな観察交差点として、その渋滞情報を生成する。渋滞状況がマイナスの成長状況(解消状況ということがある)にあるときは、その周囲にある観察交差点であって渋滞していないものを観察交差点から外す。渋滞状況がゼロの成長状況にあるときは、指定ルールの変更はない。
【0056】
図7に他の実施形態の交差点渋滞マップ生成装置250を示す。
図7において、
図6と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
この生成装置250は案内情報生成部55を備える。
この案内情報生成部55は、渋滞情報生成部40の生成する渋滞情報や渋滞状況特定部48が特定する渋滞状況(渋滞の成長状況)に解析して、ドライバへ提示すべきガイダンス(案内情報)を作成する。作成されたガイダンスは渋滞情報等に紐づけして、交差点渋滞マップデータ保存部50に保存され、渋滞情報等ともにドライバへ提示される。
【0057】
ここに、案内情報生成部55は観察交差点の進入路における車両の平均時速が所定の第1閾値を下回ったときに迂回を案内するテキストガイダンスや、激しい渋滞である旨を示すアイコンガイダンスを生成する。
また、観察交差点における渋滞状況がプラスの成長状況にあるときや、マイナスの成長状況にあるときは、その旨のテキストガイダンスやアイコンガイダンスを生成する。
【0058】
図8に交差点渋滞マップ生成装置の1ハード構成を示す。
演算部300はCPU301、ROM303及びRAM305を備え、システム全体の制御をつかさどる。それとともに、イベント地点特定部20、観察交差点指定部30、渋滞情報生成部40、指定ルール特定部31として機能する。ROM303は、演算部300を制御する制御プログラム等が格納された不揮発性メモリである。RAM305は、キーボード等の入力装置330を介して利用者により予め設定された各種設定値を読み出し可能に格納したり、CPU301に対してワーキングエリアを提供したりする。演算部300を制御する制御プログラムはROM303に限らずRAM305や第1、第2記憶装置340及び350に格納されていてもよい。
【0059】
第1記憶装置340は車両走行データ保存部10として機能する。
第2記憶装置350はマップデータ保存部60や交差点渋滞マップデータ保存部50として機能する。
第1、第2記憶装置はハードメモリやフラッシュメモリなど、サーバシステムのメモリ装置の一部の領域を利用することが好ましい。
なお、
図5の交差点渋滞マップ生成装置100では、CPU301は渋滞情報修正部41として機能し、第2記憶装置350は履歴保存部43として機能する。
図6の交差点渋滞マップ生成装置200では、CPU301は渋滞状況特定部48として機能する。
図7の交差点渋滞マップ生成装置250では、CPU301は案内情報生成部55として機能する。
【0060】
本発明は、上記実施形態、実施例、変形例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1、100、200、250 交差点渋滞マップ生成装置
11 車両インナーデータ保存部
13 プローブデータ保存部
20 イベント地点特定部
30 観察交差点指定部
31 指定ルール特定部
40 渋滞情報生成部
41 渋滞情報修正部
43 履歴保存部
48 渋滞状況特定部
55 案内情報生成部