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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/04 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
B65D43/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019147287
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021028229
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】396000422
【氏名又は名称】リスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳田 紀彦
(72)【発明者】
【氏名】眞嶋 大介
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-059711(JP,A)
【文献】特開2012-081965(JP,A)
【文献】特許第6454042(JP,B1)
【文献】特開平10-278952(JP,A)
【文献】特開平10-218213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器側フランジ部を有する平面視略多角形の容器本体と、蓋体側フランジ部を有する平面視略多角形の蓋体と、を備えた包装用容器であって、
前記容器本体の各辺の前記容器側フランジ部には、前記容器本体の周方向に沿って嵌合溝を備え、前記嵌合溝の端部は前記容器本体のコーナー部側に位置し、前記嵌合溝の中央は前記容器本体の辺の中央側に位置しており、
前記蓋体の各辺の前記蓋体側フランジ部には、前記容器側フランジ部の前記嵌合溝に嵌合する嵌合部を備え、
前記嵌合溝には、当該嵌合溝を横断するリブを備え、
前記容器本体の辺において、前記リブは、前記嵌合溝の端部側に設けられ、前記嵌合溝の中央側には設けられていない、ことを特徴とし、さらに、
前記嵌合溝の内壁に、嵌合用凹部を備え、
前記嵌合部の内壁に、前記嵌合用凹部に嵌合する嵌合用凸部を備え、
前記嵌合溝の中央側における前記嵌合用凹部の高さは、前記嵌合溝の端部側における前記嵌合用凹部の高さよりも高く、前記嵌合溝の中央側における前記嵌合用凹部内では、前記嵌合用凸部が上下に移動できる範囲が大きいこと、を特徴とする包装用容器。
【請求項2】
前記容器側フランジ部の外縁には、下方へ延出するスカート部を備え、
当該スカート部は、前記嵌合溝の外側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の包装用容器。
【請求項3】
前記容器側フランジ部は、前記容器本体の辺の中央側が高くなるように、側面視アーチ状をしていることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、容器本体と蓋体とからなる包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、惣菜やご飯等の食品を収容する容器本体と、当該容器本体に嵌合可能な蓋体とからなる包装用容器が、スーパーやコンビニエンスストア等で使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1や特許文献2の包装用容器は、容器本体と蓋体とを備えた包装用容器であり、容器本体の外縁には嵌合溝が設けられ、蓋体の外縁には嵌合溝に嵌合する嵌合部が設けられている。そして、蓋体の嵌合部が容器本体の嵌合溝に嵌合することで、蓋体は容器本体にしっかりと嵌合し、包装用容器は密閉された状態を維持できるのである。
【0004】
ただ、食品等が収容された包装用容器は、箱やカゴ等に横並びに詰められて運搬される際に、横方向からの衝撃による強い外力を受ける場合がある。そして、隣り合った包装用容器が互いに強く衝突すると、容器本体と蓋体との嵌合部分が変形したり、ズレたりして、蓋体が外れてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4929320
【文献】特開平09-226797
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本願発明は、上記問題に鑑み、横方向からの外力がかかっても、蓋体が外れにくい包装用容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項1に係る包装用容器は、容器側フランジ部を有する平面視略多角形の容器本体と、蓋体側フランジ部を有する平面視略多角形の蓋体と、を備えた包装用容器であって、前記容器本体の各辺の前記容器側フランジ部には、前記容器本体の周方向に沿って嵌合溝を備え、前記嵌合溝の端部は前記容器本体のコーナー部側に位置し、前記嵌合溝の中央は前記容器本体の辺の中央側に位置しており、前記蓋体の各辺の前記蓋体側フランジ部には、前記容器側フランジ部の前記嵌合溝に嵌合する嵌合部を備え、前記嵌合溝には、当該嵌合溝を横断するリブを備え、前記容器本体の辺において、前記リブは、前記嵌合溝の端部側に設けられ、前記嵌合溝の中央側には設けられていない、ことを特徴とし、さらに、前記嵌合溝の内壁に、嵌合用凹部を備え、前記嵌合部の内壁に、前記嵌合用凹部に嵌合する嵌合用凸部を備え、前記嵌合溝の中央側における前記嵌合用凹部の高さは、前記嵌合溝の端部側における前記嵌合用凹部の高さよりも高く、前記嵌合溝の中央側における前記嵌合用凹部内では、前記嵌合用凸部が上下に移動できる範囲が大きいこと、を特徴とする。
【0008】
上記特徴によれば、包装用容器の横方向から外力がかかった場合、嵌合溝は外力に押されて、嵌合溝の幅が狭くなるように内側に撓むように弾性変形するため、嵌合溝は外力を吸収することが出来る。さらに、嵌合溝は、容器本体の周方向に沿って延出しているので、嵌合溝は周方向に沿ってしなやかに撓み、外力による応力を周方向に分散して効率的に吸収することが出来る。したがって、外力が蓋体と容器本体との嵌合箇所の一部に局所的にかかり、蓋体が外れてしまうことを防止出来るのである。また、嵌合溝には、当該嵌合溝を横断するリブが設けられているので、外力がかかっても嵌合溝が変形し過ぎないように、嵌合溝の形状を維持でき、蓋体が外れてしまうことを防止している。なお、容器本体に蓋体を嵌合させる際には、蓋体側フランジ部を左右の指4本(例えば、両手の親指と人指指)で下方に押圧させることにより、軽い音を発してワンタッチで嵌合させることができる。
【0009】
さらに、本願発明の請求項1に係る包装用容器は、前記嵌合溝の内壁に、嵌合用凹部を備え、前記嵌合部の内壁に、前記嵌合用凹部に嵌合する嵌合用凸部を備えることを特徴とする。
【0010】
上記特徴によれば、嵌合用凸部と嵌合用凹部は、外力から遠い側の嵌合部の内壁及び嵌合溝の内壁にそれぞれ設けられているので、嵌合用凸部と嵌合用凹部との嵌合は外力の影響を受けにくく、嵌合状態をより強固に維持でき、蓋体が外れることをより効果的に防止出来るのである。
【0011】
さらに、本願発明の請求項2に係る包装用容器は、前記容器側フランジ部の外縁には、下方へ延出するスカート部を備え、当該スカート部は、前記嵌合溝の外側に配置されていることを特徴とする。
【0012】
上記特徴によれば、横方向から外力がかかった際は、嵌合溝よりも先に、嵌合溝の外側に配置されたスカート部が弾性変形して外力を吸収するため、嵌合溝へかかる外力を軽減することができ、蓋体が外れることをより効果的に防止出来るのである。
【0013】
さらに、本願発明の請求項3に係る包装用容器は、前記容器側フランジ部は、前記容器本体の辺の中央側が高くなるように、側面視アーチ状をしていることを特徴とする。
【0014】
上記特徴によれば、容器側フランジ部を中央側が高くなるようにアーチ状とすることで、容器本体の剛性を高め、外力による捻れを防止できる。その結果、横方向から外力がかかっても、容器本体が捻れて蓋体が外れてしまうことを防止できるのである。
【0015】
さらに、本願発明の請求項1に係る包装用容器は、前記嵌合溝の中央側における前記嵌
合用凹部の高さは、前記嵌合溝の端部側における前記嵌合用凹部の高さよりも、高いことを特徴とする。
【0016】
上記特徴によれば、包装用容器に横方向からの外力がかかっても、中央側に集中する応力を、蓋体の嵌合用凸部が嵌合用凹部内で上下に移動するように弾性変形して効果的に吸収でき、蓋体が外れてしまうことを効果的に防止出来るのである。
【発明の効果】
【0017】
本願発明の包装用容器は、横方向からの外力がかかっても、蓋体が外れにくい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)は、本願発明の包装用容器の蓋体の平面図、(b)は、蓋体の側面図である。
図2】(a)は、図1(a)のA-A端面図、(b)は、蓋体のコーナー部周辺を拡大した平面図である。
図3】(a)は、本願発明の包装用容器の容器本体の平面図、(b)は、容器本体の側面図である。
図4】(a)は、図3(a)のB-B端面図、(b)は、図3(a)のC-C端面図、(c)は、容器本体のコーナー部周辺を拡大した平面図である。
図5】(a)は、本願発明の包装用容器の平面図、(b)は、包装用容器の側面図である。
図6】(a)は、図5(a)のD-D端面図、(b)は、包装用容器のコーナー部周辺を拡大した平面図である。
【符号の説明】
【0019】
100 蓋体
140 蓋体側フランジ部
150 嵌合部
200 容器本体
240 容器側フランジ部
250 嵌合溝
255 リブ
300 包装用容器
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本願発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本明細書において、「上方」とは、包装用容器の容器本体の開口面を上にして水平面上に載置した際に、鉛直方向における上方に向かう方向のことであり、「下方」とは鉛直方向における下方に向かう方向のことであり、「横」とは水平方向に向かう方向のことであり、「縦」とは、水平面において「横」に対して直角の方向のことである。
【0021】
まず、図1には、本願発明の蓋体100を示す。なお、図1(a)は蓋体100の平面図、図1(b)は、蓋体100の側面図、図2(a)は、図1(a)のA-A端面図、図2(b)は、蓋体100のコーナー部周辺を拡大した平面図である。
【0022】
図1及び図2に示すように、蓋体100は下方に開口した浅皿型形状であり、平面視略長方形の平坦な天板110と、当該天板110の外周111の四隅に横ズレ防止用突起120が設けられている。この横ズレ防止用突起120は、天板110の表面から上方へ突
出しているもので、後述するように、包装用容器300を段積みした際に、段積みされた上方の包装用容器300が横ずれしないようにしている。さらに、天板110の外周111から斜め下方へ向けて連続する側壁130と、当該側壁130から外側へ延出する蓋体側フランジ部140と、蓋体100の周方向に沿って延出する嵌合部150とを備える。そして、この側壁130、蓋体側フランジ部140、及び嵌合部150は、蓋体100の周方向へ全周にわたり連続して設けられている。なお、蓋体100は平面視略長方形となっているが、これに限定されず、平面視略多角形や平面視略円形等、任意の形状とすることができる。
【0023】
また、図2(a)に示すように、蓋体側フランジ部140の外縁は、下方へ延出するスカート部141となっている。さらに、嵌合部150と側壁130の間には、上方へ突出した補強部142が設けられている。この蓋体側フランジ部140の補強部142は、嵌合部150に沿って周方向へ延出している。
【0024】
さらに、蓋体側フランジ部140に設けられた嵌合部150は、下方へ突出した形状をしており、後述する容器本体200の嵌合溝250に嵌合できるように構成されている。具体的には、嵌合部150は、平坦な底壁151と、当該底壁151の内側において立ち上がる内壁152と、底壁151の外側において立ち上がる外壁153とを備える。さらに、内壁152は、蓋体100の内側に向けて突出する嵌合用凸部154を備えており、この嵌合用凸部154は、後述する容器本体200の嵌合溝250の嵌合用凹部254に外嵌合できる。
【0025】
また、図1及び図2に示すように、嵌合部150は、長辺101、短辺102、及びコーナー部103にわたり、蓋体100の周方向へ一周するように連続して形成されている。そして、長辺101側の嵌合部150の端部156側には、後述する容器本体200の嵌合溝250に設けられた凸状のリブ255を収容する凹状リブ155が、設けられている。同様に、短辺102側の嵌合部150の端部156側にも、後述する容器本体200の嵌合溝250に設けられたリブ255を収容する凹状リブ155が設けられている。
【0026】
次に、図3及び図4には、本願発明の蓋体100によって被蓋される容器本体200を示す。なお、図3(a)は容器本体200の平面図、図3(b)は、容器本体200の側面図、図4(a)は、図3(a)のB-B端面図、図4(b)は、図3(a)のC-C端面図、図4(c)は、容器本体200のコーナー部周辺を拡大した平面図である。
【0027】
図3及び図4に示すように、容器本体200は、上方に開口した浅皿型形状であり、平面視略長方形の平坦な底壁210と、当該底壁210の外周211において下方に膨出した脚部220が設けられている。この脚部220の角部は内側へ窪んだ凹部221となっており、包装用容器300を段積みした際に、段積みされた下方の蓋体100の横ズレ防止用突起120が凹部221に当接して、段積みされた包装用容器300が横ずれしないようになっている。さらに、底壁210の外周211から立ち上がるように形成された側壁230と、当該側壁230から外側へ延出する容器側フランジ部240と、容器本体200の周方向に沿って延出する嵌合溝250とを備える。そして、この側壁230、容器側フランジ部240、嵌合溝250は、容器本体200の周方向へ全周にわたり連続して設けられている。なお、容器本体200は平面視略長方形となっているが、これに限定されず、平面視略多角形や平面視略円形等、任意の形状とすることができる。
【0028】
また、図4(a)に示すように、容器側フランジ部240の外縁は、下方へ延出するスカート部241となっている。さらに、嵌合溝250と側壁230の間には、上方へ突出した凸部242が設けられている。この容器側フランジ部240の凸部242は、嵌合溝250に沿って周方向へ延出している。
【0029】
さらに、容器側フランジ部240に設けられた嵌合溝250は、蓋体100の嵌合部150に嵌合できるように構成されている。具体的には、嵌合溝250は、平坦な底壁251と、当該底壁251の内側において立ち上がる内壁252と、底壁251の外側において立ち上がる外壁253とを備える。さらに、内壁252は、容器本体200の内側に向けて窪んだ嵌合用凹部254を備えており、この嵌合用凹部254は、蓋体100の嵌合部150の嵌合用凸部154が外嵌合できるようになっている。
【0030】
また、図3及び図4に示すように、嵌合溝250は、容器本体200の長辺201、短辺202、及びコーナー部203にわたり、容器本体200の周方向へ一周するように連続して形成されている。そして、長辺201側の嵌合溝250の端部256側には、嵌合溝250を横断する凸状のリブ255が設けられている。同様に、短辺202側の嵌合溝250の端部256側にも、嵌合溝250を横断するリブ255が設けられている。
【0031】
また、長辺201側及び短辺202側に設けられた各嵌合溝250では、当該嵌合溝250の端部256側にリブ255が設けられ、嵌合溝250の中央257側にはリブ255が設けられていない。そのため、嵌合溝250の中央257側は内側に撓みやすく、横方向からの外力を効果的に吸収できる。なお、リブ255は、嵌合溝250の端部256側及び中央257側の両方にも設けてもよく、嵌合溝250の任意の箇所に、任意の数を適宜設けてもよい。
【0032】
また、図3(b)に示すように、容器側フランジ部240の凸部242は、中央204側が端部205側よりも上方へ盛り上がるように、側面視アーチ状をしている。このように、容器側フランジ部240を、中央204側が高くなるようにアーチ状とすることで、容器本体200の剛性を高め、外力による捻れを防止できる。その結果、横方向から外力がかかっても、容器本体200が捻れて蓋体100が外れてしまうことを防止できるのである。
【0033】
また、図4(a)に示すように、嵌合溝250の中央257側における嵌合用凹部254の高さは、H1となっている。一方、図4(b)に示すように、嵌合溝250の端部256側における嵌合用凹部254の高さは、H2となっている。そして、中央257側における嵌合用凹部254の高さH1は、端部256側における嵌合用凹部254の高さH2よりも高くなっている(つまり、H1>H2)。この嵌合用凹部254には、後述するように、蓋体100の嵌合部150の嵌合用凸部154が外嵌合することになるが、中央257側における嵌合用凹部254の高さH1が高くなることで、蓋体100の嵌合部150の嵌合用凸部154が嵌合用凹部254内で上下に移動できる範囲が大きくなる、すなわち、遊びが大きくなる。そのため、包装用容器300に横方向からの外力がかかっても、中央257側に集中する応力を、蓋体100の嵌合用凸部154が嵌合用凹部254内で上下に移動するように弾性変形して効果的に吸収でき、蓋体100が外れてしまうことを効果的に防止出来るのである。
【0034】
なお、蓋体100、及び容器本体200は、厚さが約0.1mmから1.00mm程度のシート状の素材を用いて、シート成形(例えば、真空成形、圧空成形、熱盤成形)されたものであり、例えば、蓋体100や容器本体200の素材としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、A-PET、ポリ乳酸や、これらを二軸延伸させたものを用いることができる。
【0035】
では次に、本願発明の蓋体100を容器本体200へ嵌合させた包装用容器300について、図5及び図6を参照して説明する。なお、図5(a)は、包装用容器300の平面図、図5(b)は、包装用容器300の側面図、図6(a)は、図5(a)のD-D端面
図、図5(b)は、包装用容器300のコーナー部周辺を拡大した平面図である。
【0036】
図5及び図6に示すように、蓋体100は容器本体200の上から被せられ、包装用容器300の周方向の全周にわたり、蓋体100の嵌合部150が容器本体200の嵌合溝250に嵌合して包装用容器300は密閉されている。そのため、容器本体200に収容された内容物の液漏れや、包装用容器300内で結露した水分等が外部に漏れることを防止出来る。さらに、嵌合部150の底壁151と嵌合溝250の底壁251は互いに密着しているので、高い密閉性を確保している。また、嵌合部150の嵌合用凸部154が嵌合溝250の嵌合用凹部254に外嵌合しているので、嵌合部150と嵌合溝250の嵌合力がより強くなっている。
【0037】
ここで、図6に示すように、包装用容器300の横方向から外力Fがかかった場合について説明する。本願発明の包装用容器300によれば、嵌合溝250は外力Fに押されて、嵌合溝250の幅L1が狭くなるように内側に撓むように弾性変形する。そのため、横方向から外力Fがかかっても、嵌合溝250はこの外力Fを吸収することが出来る。さらに、嵌合溝250は、容器本体200の周方向に沿って延出しているので、嵌合溝250は周方向に沿ってしなやかに撓み、応力を周方向に分散して効率的に吸収することが出来る。したがって、外力Fが蓋体100と容器本体200との嵌合箇所の一部に局所的にかかり、蓋体100が外れてしまうことを防止出来るのである。また、嵌合溝250には、当該嵌合溝250を横断するリブ255が設けられているので、外力Fがかかっても嵌合溝250が変形し過ぎないように、嵌合溝250の形状を維持出来る。特に、嵌合溝250が過度に変形すると、蓋体100の嵌合部150が嵌合溝250から外れてしまうので、過度の変形をリブ255で防ぐことで、蓋体100が外れてしまうことを防止しているのである。さらに、外力Fがかからなくなった場合は、リブ255によって、弾性変形した嵌合溝250は元の形状に確実に復帰するので、蓋体100と容器本体200との嵌合状態が強固に維持され、蓋体100が外れることを防止しているのである。また、上述したように、本願発明の包装用容器300では、横方向から外力Fがかかっても蓋体100が外れにくいので、従来から行われている、蓋体100と容器本体200との嵌合箇所をテープ等で止める事は必要なく、利便性が高いのである。なお、容器本体に蓋体を嵌合させる際には、蓋体側フランジ部を左右の指4本(例えば、両手の親指と人指指)で下方に押圧させることにより、軽い音を発してワンタッチで嵌合させることができる。
【0038】
なお、容器本体200の嵌合溝250に嵌合している、蓋体100の嵌合部150も、嵌合溝250に付随して同様の効果を発揮している。具体的には、嵌合部150は、外力Fで変形した嵌合溝250によって内側に押されるように弾性変形するため、嵌合部150も外力Fを吸収することが出来る。さらに、嵌合部150は、蓋体100の周方向に沿って延出しているので、嵌合部150は周方向に沿ってしなやかに撓み、応力を周方向に分散して効率的に吸収することが出来る。また、嵌合部150には、当該嵌合部150を横断する凹状リブ155が設けられているので、外力Fが強くかかっても嵌合部150が変形し過ぎないように、嵌合部150の形状を維持出来る。さらに、外力Fがかからなくなった場合は、凹状リブ155によって、弾性変形した嵌合部150は元の形状に確実に復帰するので、蓋体100と容器本体200との嵌合状態が強固に維持され、蓋体100が外れることを防止しているのである。
【0039】
また、図6(a)に示すように、嵌合部150と嵌合溝250との嵌合状態をより強くするために設けられた、嵌合用凸部154と嵌合用凹部254は、それぞれ嵌合部150の内壁152及び嵌合溝250の内壁252に設けられている。そして、外力Fがかかった際は、外力Fに近い側の嵌合部150の外壁153及び嵌合溝250の外壁253が変形しやすく、一方、外力Fから遠い側の嵌合部150の内壁152及び嵌合溝250の内壁252は変形し難い。そのため、変形し難い嵌合部150の内壁152及び嵌合溝25
0の内壁252に、嵌合用凸部154と嵌合用凹部254をそれぞれ設けることで、嵌合用凸部154と嵌合用凹部254との嵌合は外力Fの影響を受けにくく、嵌合状態をより強固に維持でき、蓋体100が外れることをより効果的に防止出来るのである。
【0040】
なお、図6に示す包装用容器300では、嵌合用凸部154と嵌合用凹部254は、それぞれ嵌合部150の内壁152及び嵌合溝250の内壁252に設けられているが、これに限定されず、それぞれ蓋体側フランジ部140及び容器側フランジ部240の任意の箇所に設けてもよく、例えば、嵌合用凸部154を嵌合部150の外壁153に、嵌合用凹部254を嵌合溝250の外壁253に設けてもよい。また、嵌合用凸部154を蓋体側フランジ部140のスカート部141に、嵌合用凹部254を容器側フランジ部240のスカート部241に設けてもよい。さらに、嵌合用凸部154を嵌合溝250側に設け、嵌合用凹部254を嵌合部150側に設けてもよい。
【0041】
また、図6に示すように、本願発明の包装用容器300によれば、容器本体200の容器側フランジ部240の外縁にスカート部241が設けられ、当該スカート部241は嵌合溝250の外側に配置されているので、横方向から外力Fがかかった際は、嵌合溝250よりも先に、スカート部241が弾性変形して外力を吸収できる。そのため、嵌合溝250へかかる外力Fを軽減することができ、蓋体100が外れることをより効果的に防止出来るのである。
【0042】
なお、蓋体100の蓋体側フランジ部140の外縁にもスカート部141が設けられ、当該スカート部141は嵌合部150の外側に配置されているので、横方向から外力Fがかかった際は、嵌合部150よりも先に、スカート部141が弾性変形して外力を吸収できる。そのため、嵌合部150へかかる外力Fを軽減することができ、蓋体100が外れることをより効果的に防止出来るのである。
【0043】
また、図6(a)に示すように、嵌合部150の外壁153は直線状の傾斜面となっており、相対する嵌合溝250の外壁253は湾曲面となっているので、嵌合部150の外壁153と嵌合溝250の外壁253は、互いに完全に密着しておらず、隙間をあけている。そのため、横方向から外力Fがかかった際は、嵌合部150よりも外側に位置する嵌合溝250の外壁253が先に変形することになるが、外壁153と外壁253の間には隙間が空いているので、嵌合溝250の外壁253が内側に変形可能なスペースが確保され、外力Fを効果的に吸収出来るのである。
【0044】
また、図6(a)に示すように、嵌合部150の内側に配置された補強部142と、嵌合溝250の内側に配置された凸部242は上下に重なっている。そのため、補強部142及び凸部242が、外力Fによって内側に押された嵌合部150及び嵌合溝250を内側から支持することができ、嵌合部150及び嵌合溝250が過度に変形することを防止している。その結果、嵌合部150及び嵌合溝250が過度に変形して、蓋体100が外れしまうことを防止できるのである。
【0045】
なお、本願発明の包装用容器は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6