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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】便器装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/02 20060101AFI20241031BHJP
   E03D 11/08 20060101ALI20241031BHJP
   E03D 5/10 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
E03D11/02 A
E03D11/08
E03D5/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019238637
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107625
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-10-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】神谷 昭範
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/038362(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/056709(WO,A1)
【文献】特開2019-137994(JP,A)
【文献】特開2019-027138(JP,A)
【文献】特開2013-044178(JP,A)
【文献】特開2009-174274(JP,A)
【文献】特開2007-224593(JP,A)
【文献】特開2019-143299(JP,A)
【文献】特開2004-100331(JP,A)
【文献】特開2009-079426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便鉢部を有する便器本体と、
前記便鉢部内に吐出孔から周方向の一方側に洗浄媒体を吐き出す吐出部と、を備え、
前記洗浄媒体は、洗浄泡、アルカリ性液体及び酸性液体の何れかからなる特定洗浄媒体であり、
平面視において、前記便鉢部の上端開口部の左右寸法を二等分する左右中心線と、前記上端開口部の前後寸法を二等分する前後中心線とを想定し、これらの線で前記便鉢部を四つの分割領域に区分けし、前記前後中心線に対して前記周方向の一方側に隣り合う前側の分割領域を第1分割領域とし、前記第1分割領域に対して前記周方向の一方側に順に設けられる三つの分割領域のそれぞれを第2分割領域、第3分割領域及び第4分割領域としたとき、
次の条件(a)及び(b)の何れか一方を満たし、
前記条件(a)は、前記吐出孔は、前記第1分割領域及び前記第2分割領域の何れかに設けられることであり、
前記条件(b)は、前記吐出孔は、前記第3分割領域に設けられ、後向きに前記特定洗浄媒体を吐き出すことであり、
前記特定洗浄媒体を前記吐出部に供給する供給装置と、
前記供給装置を制御する制御部と、を備え、
前記供給装置は、洗剤を用いて前記特定洗浄媒体を生成可能であり、
前記制御部は、第1洗剤濃度の前記特定洗浄媒体を供給する第1供給モードと、前記第1洗剤濃度よりも大きい第2洗剤濃度の前記特定洗浄媒体を供給する第2供給モードとを前記供給装置に実行させることが可能である便器装置。
【請求項2】
前記便鉢部は、前記便鉢部の上端側部分を構成するリム部を備え、
前記リム部の内周面は、平面視において、前記吐出孔から前記左右中心線を跨がる周方向範囲に設けられ、一定曲率の曲線状及び緩和曲線状の何れかである曲げ領域を備える請求項1に記載の便器装置。
【請求項3】
前記吐出孔は、前記第1分割領域に設けられる請求項1からのいずれか1項に記載の便器装置。
【請求項4】
前記吐出孔は、前記第1分割領域に設けられる第1吐出孔であり、
前記吐出部は、第1吐出部であり、
前記便鉢部内に第2吐出孔から周方向の一方側に洗浄媒体を吐き出す第2吐出部を備え、
前記第2吐出孔は、前記第1分割領域とは異なる分割領域に設けられる請求項に記載の便器装置。
【請求項5】
前記第2吐出孔は、特定洗浄媒体を吐き出す請求項に記載の便器装置。
【請求項6】
前記第2吐出孔は、前記第2分割領域及び前記第3分割領域の何れかに設けられる請求項からのいずれか1項に記載の便器装置。
【請求項7】
前記便鉢部は、前記便鉢部の上端側部分を構成するリム部を備え、
前記リム部の内周面は、平面視において、前記第2吐出孔から前記左右中心線を跨がる周方向範囲に設けられ、一定曲率の曲線状及び緩和曲線状の何れかである曲げ領域を備える請求項に記載の便器装置。
【請求項8】
前記便鉢部は、前記便鉢部の上端側部分を構成するリム部を備え、
前記リム部には中実構造のオーバーハング部が設けられる請求項1からのいずれか1項に記載の便器装置。
【請求項9】
前記特定洗浄媒体を前記吐出部に供給する供給装置と、
前記供給装置を制御する制御部と、
ユーザの特定動作として、便座に対する着座動作及び着座前動作の何れか一方を検出可能な動作検出部と、を備え、
前記制御部は、前記動作検出部により前記特定動作を検出したとき、前記特定洗浄媒体を前記供給装置に供給させる請求項1からのいずれか1項に記載の便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、便鉢部を有する便器本体を備える便器装置が記載される。この便器装置は、便鉢部内に吐出孔から周方向の一方側に洗浄媒体を吐き出す吐出部を備え、洗浄泡を洗浄媒体として用いて便鉢部内を洗浄している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-100331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、従来技術に関して検討を進めた結果、次の新たな認識を得た。洗浄泡、アルカリ性液体及び酸性液体の何れかからなる洗浄媒体を特定洗浄媒体という。便鉢部の前側中央領域(後述する)は小便により汚れ易くなっている。同様に、便鉢部の後側中央領域(後述する)は、小便及び大便のそれぞれにより汚れ易くなっている。このように汚れ易い箇所を清潔に維持するうえでは、前側中央領域及び後側中央領域の少なくとも何れかに特定洗浄媒体を届かせ易くできると好ましい。特定洗浄媒体との関係で、このような工夫を講じた技術は未だ提案されていない。
【0005】
本開示の目的の1つは、特定洗浄媒体により便鉢部を良好に洗浄できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するための本開示の第1態様は便器装置である。第1態様の便器装置は、便鉢部を有する便器本体と、前記便鉢部内に吐出孔から周方向の一方側に洗浄媒体を吐き出す吐出部と、を備え、前記洗浄媒体は、洗浄泡、アルカリ性液体及び酸性液体の何れかからなる特定洗浄媒体であり、平面視において、前記便鉢部の上端開口部の左右寸法を二等分する左右中心線と、前記上端開口部の前後寸法を二等分する前後中心線とを想定し、これらの線で前記便鉢部を四つの分割領域に区分けし、前記前後中心線に対して前記周方向の一方側に隣り合う前側の分割領域を第1分割領域とし、前記第1分割領域に対して前記周方向の一方側に順に設けられる三つの分割領域のそれぞれを第2分割領域、第3分割領域及び第4分割領域としたとき、次の条件(a)及び(b)の何れか一方を満たし、前記条件(a)は、前記吐出孔は、前記第1分割領域及び前記第2分割領域の何れかに設けられることであり、前記条件(b)は、前記吐出孔は、前記第3分割領域に設けられ、後向きに前記特定洗浄媒体を吐き出すことである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の便器装置の一部を示す側面断面図である。
図2】第1実施形態の便器装置の一部を示す平面図である。
図3】第1実施形態の便器本体を示す平面図である。
図4】第1実施形態の便器装置の一部の機能を示すブロック図である。
図5】第1実施形態の供給装置の構成図である。
図6A】第1実施形態の洗浄モードでの洗浄媒体の流れ方を示す模式図である。
図6B】第1実施形態の第1供給モードでの洗浄媒体の流れ方を示す模式図である。
図6C】第1実施形態の第2供給モードでの洗浄媒体の流れ方を示す模式図である。
図7】第1実施形態の洗浄モードでの洗浄媒体の流れ方を模式的に示す平面図である。
図8】第1実施形態の第1供給モードでの洗浄媒体の流れ方を模式的に示す平面図である。
図9】第1実施形態の第2供給モードでの洗浄媒体の流れ方を模式的に示す平面図である。
図10】第2実施形態の第1供給モードでの洗浄媒体の流れ方を模式的に示す平面図である。
図11】第2実施形態の第2供給モードでの洗浄媒体の流れ方を模式的に示す平面図である。
図12】第3実施形態の第1供給モードでの洗浄媒体の流れ方を模式的に示す平面図である。
図13】第3実施形態の第2供給モードでの洗浄媒体の流れ方を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は、符号の向きに合わせて見るものとする。本明細書で言及する形状には、言及している形状に厳密に一致する形状のみでなく、寸法誤差及び製造誤差等の誤差の分だけずれた形状も当然に含まれる。
【0009】
(第1実施形態)図1図2を参照する。図1は、図2のA-A断面図でもある。図2では、便器装置10の一部の機能ブロックを併せて示す。本明細書では、互いに直交する三つの方向を用いて説明する。この方向とは、前後方向X、左右方向Y及び上下方向Zである。前後方向X、左右方向Yは水平方向であり、後述する便座16に通常の姿勢で座るユーザの前後左右と対応する。上下方向Zは鉛直方向である。
【0010】
便器装置10は、便鉢部12を有する便器本体14と、便器本体14に取り付けられる便座16と、便鉢部12の底部に接続される排水管路18と、を備える。
【0011】
本実施形態の便座16は、便器本体14の後部に搭載されるケーシング19を介して便器本体14に取り付けられる。ケーシング19には、不図示の局部洗浄装置等の種々の機械装置が収容される。
【0012】
排水管路18は、建物に設置される不図示の排水管に接続され、便鉢部12内から排水管に排出される汚物及び水の通り道となる。本実施形態の排水管路18は、便器本体14に設けられるとともに排水管に接続される便器排水路21を備える。便器排水路21は、たとえば、不図示の排水ソケットを介して排水管に接続される。排水管路18には、封水貯留部20を構成する上昇流路22が設けられる。封水貯留部20には、排水管路18内での空気の流れを遮断する封水24が貯留される。
【0013】
本実施形態の便器本体14は陶器を素材とする。便器本体14の素材は特に限られず、たとえば、樹脂等でもよい。本実施形態の便器本体14は便鉢部12を有する洋風大便器である。便鉢部12は、汚物を受ける鉢状の汚物受け面26と、便鉢部12の上端側部分を構成するリム部28と、汚物受け面26の下端縁から下方に窪む溜水部30とを備える。リム部28の内周面は、便鉢部12の上端開口部32から下方に向かう一部の範囲、本実施形態では、便鉢部12の上端開口部32から汚物受け面26の上端縁部までの範囲を構成する。溜水部30は、便鉢部12の底部を形成するとともに有底状をなす。溜水部30には、排水管路18の入口18aが開口し、溜水25が溜められる。
【0014】
便器装置10は、便鉢部12内を洗浄する洗浄媒体を便鉢部12内に吐出孔34から吐き出す吐出部36を備える。本実施形態の吐出部36は便器本体14の一部が構成する。本実施形態の便器装置10は、この他に、排水管路18の下流側に向けて水を吐き出すジェット吐水部38を備える。
【0015】
本実施形態の吐出部36には、第1吐出孔34Aを備える第1吐出部36Aと、第2吐出孔34Bを備える第2吐出部36Bとが含まれる。第1吐出孔34A及び第2吐出孔34Bは便鉢部12の内周面に開口する。第1吐出孔34Aは、周方向の一方側かつ前向きに開放する。ここでの「周方向の一方側」とは、図2の紙面では反時計回りであり、以下では単に反時計回りともいう。第1吐出部36Aは、便鉢部12内に第1吐出孔34Aから反時計回りかつ前向きに洗浄媒体を吐き出す。第2吐出孔34Bは、反時計回りかつ後向きに開放する。第2吐出部36Bは、便鉢部12内に第2吐出孔34Bから反時計回りかつ後向きに洗浄媒体を吐き出す。第1吐出孔34A及び第2吐出孔34Bは、洗浄媒体を吐き出すことによって、便鉢部12内を反時計回りに旋回する旋回流を形成する。
【0016】
第1吐出部36Aは、洗浄媒体として、供給装置56(後述する)から供給される特定洗浄媒体を吐き出すことができる。ここでの特定洗浄媒体とは、洗浄泡、アルカリ性液体及び酸性液体の何れかからなる。本実施形態での特定洗浄媒体は洗浄泡である。この他に、本実施形態の第1吐出部36Aは、洗浄媒体として、供給装置56から供給される洗浄水を吐き出すことができる。本実施形態の第2吐出部36Bは、洗浄媒体として、供給装置56から供給される洗浄水を吐き出すことができる。
【0017】
ここでの「洗浄水」は、その水素イオン指数(以下、pHという)が6以上8未満の水の単相流をいう。「洗浄泡」は、液体とエアの混相流をいう。この液体は、pHが6以上8未満の水でもよいし、アルカリ性液体及び酸性液体の何れかでもよい。「アルカリ性液体」は、pHが6未満の液体の単相流をいう。このアルカリ性液体は、例えば、重曹、酸素系漂白剤(例えば、過炭酸ナトリウム)、塩素系漂白剤等の溶液である。この他のアルカリ性液体は、例えば、アルカリ性酵素を含有する液体である。アルカリ性液体は、水垢の除去に用いられる。「酸性液体」は、pHが8以上の液体の単相流をいう。この酸性液体は、例えば、クエン酸、尿石除去剤等の溶液である。この他の酸性液体は、例えば、塩酸、有機酸、酸性酵素等を含有する液体である。酸性液体は、黒カビの除去に用いられる。
【0018】
吐出部36は、供給装置56(後述する)から供給される洗浄媒体が流入する通路40を備える。通路40には、第1吐出部36Aが備える第1通路40Aと、第2吐出部36Bが備える第2通路40Bとが含まれる。第1通路40Aは、便鉢部12の後方から反時計回りに延びるように形成され、その終端部に第1吐出孔34Aが形成される。第2通路40Bは、便鉢部12の後方から周方向の他方側(以下、「時計回り」ともいう)に延びるように形成される。第2通路40Bの中間部には折り返し部41が形成され、その終端部に第2吐出孔34Bが形成される。各吐出部36A、36Bは、供給装置56から供給される洗浄媒体を自らの吐出孔34A、34Bから吐き出す。
【0019】
第2通路40Bには、折り返し部41よりも下流側に整流部42が形成される。整流部42は、折り返し部41を経由した洗浄媒体の流れを整流可能である。これを実現するうえで、整流部42の流れ方向に沿った寸法は、第2吐出孔34Bの横幅Lwよりも大きくなるように設定され、好ましくは、横幅Lwの5倍以上に設定される。これにより、折り返し部41を経由する過程で洗浄媒体の流れが乱れても、整流部42により整流された洗浄媒体を第2吐出孔34Bから吐き出せる。この流れ方向は、整流部42の中心軸線に沿った方向である。この横幅Lwは、平面視において流れ方向に直交する方向に沿った第2吐出孔34Bの寸法をいう。ここでの横幅Lwは、第2吐出孔34Bを上下方向に四等分する1/4位置、2/4位置及び3/4位置の横幅に関する測定値の平均値をいう。
【0020】
図3を参照する。便鉢部12の上端開口部32の左右寸法Dyを二等分する左右中心線Lc1と、その前後寸法Dxを二等分する前後中心線Lc2とを想定する。左右中心線Lc1は、前後方向Xに沿って延びる直線であり、前後中心線Lc2は、左右方向Yに沿って延びる直線である。左右寸法Dyは、便鉢部12の上端開口部32の内面部分に関する左右方向Yの最大寸法をいう。前後寸法Dxは、便鉢部12の上端開口部32の内面部分に関する前後方向Xの最大寸法をいう。左右中心線Lc1と前後中心線Lc2の交点をPiという。
【0021】
便鉢部12に関して、これら左右中心線Lc1と前後中心線Lc2で四つの分割領域Da1~Da4に区分けする。四つの分割領域Da1~Da4は、平面視において、左右中心線Lc1及び前後中心線Lc2を境界として分けられる便鉢部12の別々の部位である。四つの分割領域Da1~Da4のうち、前後中心線Lc2に対して反時計回り(周方向の一方側)に隣り合う前側の分割領域を第1分割領域Da1とする。四つの分割領域Da1~Da4のうち、第1分割領域Da1から反時計回り(周方向の一方側)に順に設けられる残りの分割領域を、それぞれ第2分割領域Da2、第3分割領域Da3、第4分割領域Da4とする。本実施形態での第1~第4分割領域Da1~Da4は、数学における第1~第4象限の位置にあると捉えられる。
【0022】
第1吐出孔34Aは、第1分割領域Da1に設けられる。第2吐出孔34Bは、第1分割領域Da1とは異なる分割領域に設けられる。本実施形態の第2吐出孔34Bは、前述の交点Piに対して第1分割領域Da1とは反対側の後側の第3分割領域Da3に設けられる。本実施形態において、第1吐出孔34Aは、左右中心線Lc1に対して片側に設けられ、第2吐出孔34Bは、左右中心線Lc1に対して第1吐出孔34Aとは反対側に設けられることになる。第2吐出孔34Bは、前後中心線Lc2よりも後側に設けられる。
【0023】
リム部28の内周面は、平面視において、第1吐出孔34Aから左右中心線Lc1を跨がる周方向範囲に設けられる第1曲げ領域43と、第2吐出孔34Bから左右中心線Lc1を跨がる周方向範囲に設けられる第2曲げ領域44とを備える。本実施形態において、第1曲げ領域43の始端部43aは第1分割領域Da1に設けられ、その終端部43bは第2分割領域Da2に設けられる。本実施形態において、第2曲げ領域44の始端部44aは第3分割領域Da3に設けられ、その終端部44bは第4分割領域Da4に設けられる。
【0024】
第1曲げ領域43は、その第1曲げ領域43が設けられる周方向範囲において緩和曲線状をなす。第2曲げ領域44は、その第2曲げ領域44が設けられる周方向範囲において緩和曲線状をなす。ここでの緩和曲線とは、平面視において、言及している吐出孔34から反時計回り(周方向の一方側)に遠ざかるに連れて曲率が単調変化する曲線をいう。単調変化とは、単調増加及び単調減少の何れかをいい、本実施形態では、単調増加である。この緩和曲線は、本実施形態では、一様に曲率が大きくなるクロソイド曲線である。緩和曲線の具体例は、これに限定されず、3次放物線、サイン半波長遁減曲線等でもよい。本明細書での「状」とは、直前に付く用語が指す形に対して、幾何学的に厳密に一致する形のみでなく、その用語が指す形と似たような形も含む。
【0025】
第1曲げ領域43は、第2分割領域Da2においてリム部28の内周面に設けられる第1定曲率領域46に連なっている。第1定曲率領域46は、平面視において、一定曲率の曲線状をなす。一定曲率の曲線は、円弧である。第2曲げ領域44は、第4分割領域Da4においてリム部28の内周面に設けられる第2定曲率領域48に連なっている。第2定曲率領域48は、平面視において、一定曲率の曲線状をなす。
【0026】
以上の工夫点の効果を説明する。第1吐出孔34Aは、便鉢部12の第1分割領域Da1に設けられる。よって、便鉢部12の第4分割領域Da4に第1吐出孔34Aを設ける場合と比べ、第1吐出孔34Aから吐き出される特定洗浄媒体の多くを、汚れ易い便鉢部12の前側中央領域12bに届かせ易くなる。ひいては、特定洗浄媒体により便鉢部12を良好に洗浄できる。こでの前側中央領域12bとは、便鉢部12の溜水部30よりも前側に設けられる左右中心線Lc1寄りの領域をいい、座位姿勢のユーザが小便する場合に尿が当たり易い箇所となる。
【0027】
便鉢部12の第4分割領域Da4に第1吐出孔34Aを設ける場合と比べ、便鉢部12の前側中央領域12bに多くの洗浄泡を溜め易くなる。これに伴い、座位姿勢のユーザが小便をするとき、この溜めた洗浄泡に尿を当てることで、その飛沫の飛散を抑えられる。
【0028】
(A)リム部28の内周面は、第1吐出孔34Aから左右中心線Lc1を跨がる範囲に設けられる飽和曲線状の第1曲げ領域43を備える。よって、第1吐出孔34Aから左右中心線Lc1までの周方向範囲の途中位置にリム部28の内周面に変曲点を設ける場合と比べ、第1吐出孔34Aから吐き出された特定洗浄媒体が勢いを保ち易くなる。これに伴い、第1吐出孔34Aから吐き出される特定洗浄媒体を遠くまで届かせ易くなる。ひいては、その特定洗浄媒体による便鉢部12内の洗浄範囲を広くできる。この他にも、リム部28の内周面に変曲点を設ける場合と比べ、急激な曲率変化により特定洗浄媒体に大きい遠心力が付与される事態を避けられる。これに伴い、特定洗浄媒体の飛び出しを防止できる。
【0029】
(B)第2吐出孔34Bは、便鉢部12の第1分割領域Da1とは異なる分割領域に設けられる。よって、第2吐出部36Bがない場合と比べ、洗浄媒体による便鉢部12内の洗浄範囲を広くできる。
【0030】
第2吐出孔34Bは第3分割領域Da3に設けられる。よって、便鉢部12の他の分割領域に第2吐出孔34Bを設ける場合と比べ、汚れ易い便鉢部12の後側中央領域12cに多くの洗浄媒体を届かせ易くなる。ひいては、その後側中央領域12cを洗浄媒体により良好に洗浄できる。ここでの後側中央領域12cとは、溜水25の水面よりも後側に設けられる左右中心線Lc1寄りの領域をいう。後側中央領域12cは、立位姿勢のユーザが小便する場合、及び、座位姿勢のユーザが大便する場合に汚れ易い箇所となる。
【0031】
(C)リム部28の内周面は、第2吐出孔34Bから左右中心線Lc1を跨がる範囲に設けられる飽和曲線状の第2曲げ領域44を備える。よって、第2吐出孔34Bから左右中心線Lc1までの周方向範囲の途中位置にリム部28の内周面に変曲点を設ける場合と比べ、第2吐出孔34Bから吐き出された洗浄媒体が勢いを保ち易くなる。これに伴い、第2吐出孔34Bから吐き出される洗浄媒体を遠くまで届かせ易くなる。ひいては、その洗浄媒体による便鉢部12内の洗浄範囲を広くできる。この他にも、リム部28の内周面に変曲点を設ける場合と比べ、急激な曲率変化により洗浄媒体に大きな遠心力が付与される事態を避けられる。これに伴い、洗浄媒体の急激な飛び出しを防止できる。
【0032】
便器装置10の他の特徴を説明する。図1図3を参照する。リム部28は、吐出孔34から吐き出された洗浄媒体を旋回させるように導く導路50を備える。導路50には、第1吐出孔34Aに対応する第1導路50Aと、第2吐出孔34Bに対応する第2導路50Bが含まれる。導路50は、対応する吐出孔34から反時計回りに延びるようにリム部28に形成される。導路50は、対応する吐出孔34から吐き出された洗浄媒体を受ける上向きの棚面52を備える。本実施形態において、リム部28の内周面には、曲げ領域43、44を含む周方向範囲において導路50が設けられる。
【0033】
リム部28の内周面の上部には内側に向けて突き出るオーバーハング部54が設けられる。本実施形態のオーバーハング部54は、曲げ領域43、44の上流端から下流端までの周方向範囲にのみ設けられ、他の周方向範囲には設けられない。別の観点からいうと、オーバーハング部54は、吐出孔34から反時計回りに向かう一部の周方向範囲にのみ設けられ、他の周方向範囲には設けられない。ここでのオーバーハング部54とは、鉛直面Vpに対する角度θ(図1参照)が60°以上となる下向き面54aを持つ部位をいう。
【0034】
オーバーハング部54は中実構造かつ板状である。これは、上下方向から見て、オーバーハング部54の内周面と重なる位置にてオーバーハング部54に中空部が設けられていないことを意味する。便器本体14には、リム部28の内周面に対して径方向外側において、オーバーハング部54以外の箇所Pa(図1参照)では、中実構造及び中空構造の何れが設けられてもよい。
【0035】
(D)これにより、オーバーハング部54に中空部を設ける場合に比べ、オーバーハング部54の高さ寸法を小さくできる。これに伴い、洗浄媒体が届き難い箇所(例えば、便鉢部の上端開口部32に近い箇所)の高さ範囲を狭めることができる。これは、汚れが溜まり易い箇所の高さ範囲を狭めることができることを意味しており、清潔性を向上できる。
【0036】
図4を参照する。本明細書のブロック図に示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)をはじめとする機械装置(回路素子を含む)で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現される。各ブロックは、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも何れかによって、いろいろな態様により実現できる。
【0037】
便器装置10は、洗浄媒体を便器本体14に供給する供給装置56(図2も参照)と、供給装置56を制御する制御部58と、制御部58に指令を出力する指令出力部60と、ユーザの特定動作を検出可能な動作検出部62とを備える。供給装置56及び制御部58は後述する。
【0038】
指令出力部60には、後述する洗浄モードを実行するための洗浄指令を出力する洗浄指令出力部60Aが含まれる。指令出力部60には、この他に、後述する第1供給モードを実行するための第1供給指令を出力する第1供給指令出力部60Bと、後述する第2供給モードを実行するための第2供給指令を出力する第2供給指令出力部60Cと、が含まれる。各指令出力部60は、コントローラ、携帯端末等の操作機器に設けられる。コントローラは、たとえば、便器装置10の周辺、及び、ケーシング19(図1参照)のいずれかに設置される。このような指令出力部60は、ユーザによる押し操作を受けると、自らに対応する指令を生成のうえ制御部58に出力する。
【0039】
本実施形態の動作検出部62は、ユーザの特定動作として、便座16に対する着座動作を検出可能である。ここでの着座動作とは、便座に着座する動作そのものをいう。本実施形態の動作検出部62は、たとえば、光電センサ、タッチセンサ、感圧センサ等で構成される。光電センサは、たとえば、赤外線センサ等である。動作検出部62は、たとえば、ケーシング19に設置される。動作検出部62は、ユーザの特定動作を検出すると、そのことを示す動作検出信号を生成のうえ制御部58に出力する。
【0040】
図2図5を参照する。供給装置56は、洗浄水を供給する給水機構64と、特定洗浄媒体を供給する供給機構66とを備える。本実施形態の供給機構66は、特定洗浄媒体として洗浄泡を供給する。この他に、供給装置56は、給水機構64及び供給機構66のそれぞれから供給される洗浄媒体を便器本体14に供給する供給管68を備える。
【0041】
給水機構64は、水源から供給される水を洗浄水として供給管68に供給する給水路70と、給水路70を開閉する第1開閉弁72と、を備える。ここでの水源とは、たとえば、上水道及びタンクの何れかである。第1開閉弁72は、電磁弁等の電気駆動弁であり、制御部58により開閉状態が切り替えられる。給水路70から供給管68への洗浄水の供給の有無は、第1開閉弁72の開閉により切り替えられる。第1開閉弁72が開弁状態にあるとき、給水路70から供給管68に洗浄水が供給され、第1開閉弁72が閉弁状態にあるとき、給水路70から供給管68への洗浄水の供給が停止する。
【0042】
供給機構66は、水源から水が供給される供給路74と、供給路74を開閉する第2開閉弁76と、第2開閉弁76よりも下流側にて供給路74の途中に設けられるエゼクタ78と、を備える。供給機構66は、更に、液体洗剤を貯留する洗剤タンク80と、洗剤タンク80とエゼクタ78を接続する洗剤供給路82と、洗剤供給路82に設けられる洗剤ポンプ84とを備える。
【0043】
第2開閉弁76は、電磁弁等の電気駆動弁であり、制御部58により開閉状態が切り替えられる。第2開閉弁76を開状態にすると、供給路74の上流側部分を通してエゼクタ78に水が送り込まれる。洗剤ポンプ84の動作は制御部58により制御される。洗剤ポンプ84を駆動すると、洗剤供給路82を通してエゼクタ78に洗剤が送り込まれる。エゼクタ78は、洗剤と水が送り込まれると、エゼクタ効果を利用して外気を取り込みつつ、洗剤、水及び外気を混合させることで洗浄泡を生成し、その生成した洗浄泡を供給路74の下流側部分に送り出す。これにより、供給路74から供給管68に洗浄泡が供給される。この洗浄泡は、水、洗剤、空気が混じった気液混合体として構成される。
【0044】
供給装置56は、給水機構64から供給管68に洗浄水が供給されると、その洗浄水を供給管68を介して吐出部36に供給する。本実施形態では、洗浄水を分配して各吐出部36A、36Bに供給する。供給装置56は、供給機構66から供給管68に特定洗浄媒体が供給されると、その特定洗浄媒体を供給管68を介して第1吐出部36Aに主に供給する。供給装置56は、洗剤を用いて特定洗浄媒体を生成し、その生成した特定洗浄媒体を第1吐出部36Aに供給可能であるということである。
【0045】
図6A図6Cを参照する。制御部58は、次に説明する洗浄モード、第1供給モード及び第2供給モードを供給装置56に実行させることが可能である。洗浄モードは、図6Aに示すように、供給装置56から所定量の洗浄水Wを吐出部36A、36Bに供給することで、便鉢部12内の汚物を排出するモードである。
【0046】
第1供給モードは、図6Bに示すように、第1洗剤濃度の特定洗浄媒体Fを第1吐出部36Aに供給するモードである。本実施形態では、供給装置56から洗浄水Wを第2吐出部36Bにも供給する。ここでの洗剤濃度とは、単位時間当たりに言及している吐出部36に供給される洗浄媒体において、洗剤の質量を洗浄媒体の全質量で除した洗剤の質量濃度をいう。
【0047】
第2供給モードは、図6Cに示すように、第1洗剤濃度より大きい第2洗剤濃度の特定洗浄媒体Fを第1吐出部36Aに供給するモードである。本実施形態では、第2吐出部36Bには、供給装置56から洗浄媒体を供給しない。
【0048】
各モードの詳細を説明する。洗浄モードは、所定の洗浄条件を満たしたときに行われる。本実施形態の洗浄条件は、洗浄指令出力部60Aから出力される洗浄指令を制御部58が取得することである。
【0049】
洗浄モードは、予め定められた時間の間、洗浄水を供給するように給水機構64を制御することで実行される。これは、詳しくは、給水機構64の第1開閉弁72を開状態に切り替えるように制御することで実行される。これにより、供給装置56から便器本体14の各吐出部36に洗浄水Wが供給され、各吐出部36の吐出孔34から洗浄媒体として洗浄水Wが吐き出される。
【0050】
第1供給モードは、所定の第1供給条件を満たしたときに実行される。本実施形態の第1供給条件は、洗浄条件と同じく、洗浄指令を制御部58が取得することである。制御部58は、制御部58が洗浄指令を取得することを契機として、第1供給モード、洗浄モードの順で供給装置56に実行させる。第1供給モードを供給装置56が先に実行することにより、特定洗浄媒体Fにより便鉢部12が洗浄される。第1供給モード後に洗浄モードを供給装置56が実行することにより、便鉢部12内に残る特定洗浄媒体が洗浄水により洗い落されたうえで排水管路18を通して排出される。
【0051】
本実施形態の第1供給モードは、予め定められた時間の間、洗浄水Wを供給するように給水機構64を制御し、かつ、第2洗剤濃度の特定洗浄媒体Fを供給するように供給機構66を制御することで実行される。このとき、給水機構64は、第1開閉弁72を開状態に切り替えるように制御される。供給機構66は、第2開閉弁76を開状態に切り替え、かつ、洗剤ポンプ84を駆動するように制御される。
【0052】
これにより、供給管68の内部で洗浄水Wと第2洗剤濃度の特定洗浄媒体F(洗浄泡)が混合され、特定洗浄媒体Fが第1洗剤濃度まで低下する。供給装置56から第1吐出部36Aには、洗浄媒体として、第1洗剤濃度の特定洗浄媒体Fが供給され、第1吐出部36Aの第1吐出孔34Aからこの特定洗浄媒体Fが吐き出される。これにより、第1吐出部36Aは、洗剤濃度の小さい低粘性の特定洗浄媒体Fを吐き出せる。供給装置56から第2吐出部36Bには、洗浄媒体として洗浄水Wが供給され、第2吐出部36Bの第2吐出孔34Bから洗浄水Wが吐き出される。
【0053】
第2供給モードは、所定の第2供給条件を満たしたときに実行される。本実施形態の第2供給条件は、動作検出部62から出力される動作検出信号を制御部58が取得することである。つまり、制御部58は、動作検出部62によりユーザの特定動作が検出されたときに、供給装置56に第2供給モードを実行させる。
【0054】
本実施形態の第2供給モードは、予め定められた時間の間、第2洗剤濃度の特定洗浄媒体Fを供給するように供給機構66を制御することで実行される。このとき、制御部58は、洗浄水Wの供給を停止するように給水機構64を制御する。これにより、第1供給モードと異なり、供給装置56から第1吐出部36Aには、供給機構66が供給する第2洗剤濃度の特定洗浄媒体Fがそのまま供給される。このとき、第1吐出部36Aは、第1供給モードと異なり、洗剤濃度の大きい高粘性の特定洗浄媒体Fを吐き出せる。
【0055】
次に、便器本体14内での洗浄媒体の流れ方を説明する。図7図8を参照する。以下、洗浄媒体の流れ方向を矢印を用いて示す。黒塗り矢印Faは洗浄媒体が主に洗浄水Wであることを示し、白抜き矢印Fbは洗浄媒体が特定洗浄媒体Fであることを示す。
【0056】
洗浄モード(図7参照)のように、洗浄水Wを各吐出部36に供給する場合を考える。この場合、各吐出部36は、供給装置56から供給された洗浄水Wを反時計回り(つまり、周方向の一方側)に向けて吐出孔34から便鉢部12内に吐き出す。これにより、便鉢部12内を旋回する旋回流Fwが洗浄水Wにより形成される。旋回流Fwは、便鉢部12内を旋回しつつ便鉢部12内の底側(溜水部30側)に向けて徐々に流れ落ちる。便鉢部12内を洗浄水Wが流れ落ちることで、便鉢部12の溜水部30内の汚物が排水管路18を通して排出される。
【0057】
本実施形態では、給水機構64から洗浄水Wが供給されるときに、給水機構64からジェット吐水部38(図1参照)に洗浄水が供給され、ジェット吐水部38から排水管路18の下流側に向けて洗浄水が吐き出される。ジェット吐水部38は、給水機構64から供給される洗浄水Wによって、排水管路18内で下流側に向けて水が流れている途中に水を吐き出し、排水管路18内で下流側に向かう流れの水勢を増幅させる。これにより、便鉢部12内の汚物が排水管路18を通して効果的に排出される。
【0058】
図8図9を参照する。第1供給モード(図8参照)及び第2供給モード(図9参照)のように、特定洗浄媒体Fを第1吐出部36Aに供給する場合を考える。この場合、第1吐出部36Aは、供給装置56から供給された特定洗浄媒体Fを反時計回り(周方向の一方側)に向けて第1吐出孔34Aから便鉢部12内に吐き出す。
【0059】
第1供給モードのように、洗剤濃度の小さい低粘性の特定洗浄媒体Fが第1吐出孔34Aから吐き出される場合、第1吐出孔34Aから離れた箇所に特定洗浄媒体Fが届き易くなる。本実施形態では、便鉢部12の後側中央領域12cまで特定洗浄媒体Fを届かせることができる。これにより、便鉢部12の後側中央領域12cを特定洗浄媒体Fにより洗浄し易くなる。
【0060】
第1供給モードでは、洗浄モードと同様、各吐出部36は、供給装置56から供給された洗浄媒体を反時計回りに吐出孔34から便鉢部12内に吐き出す。これにより、洗浄モードと同様、便鉢部12内を旋回する旋回流Fwが洗浄媒体により形成される。
【0061】
一方、第2供給モードのように、洗剤濃度の大きい高粘性の特定洗浄媒体Fが第1吐出孔34Aから吐き出される場合、第1吐出孔34Aの近傍にて便鉢部12内に特定洗浄媒体Fとしての洗浄泡がとどまり易くなる。詳しくは、第1吐出孔34Aの近傍にて便鉢部12内の前側中央領域12bに洗浄泡がとどまり易くなり、そこに洗浄泡を溜め易くなる。これにより、座位姿勢のユーザが小便をするときに、その飛沫の飛散を抑えられる。
【0062】
第1吐出孔34Aは、第1供給モードでは低粘性の特定洗浄媒体Fを吐き出し、第2供給モードでは高粘性の特定洗浄媒体Fを吐き出す。よって、第1供給モードの場合に第1吐出孔34Aから吐き出される特定洗浄媒体Fは、第2供給モードの場合と比べ、便鉢部12内を流れるときの旋回速度が速くなる。
【0063】
(E)このように、制御部58は、第1洗剤濃度の特定洗浄媒体Fを供給する第1供給モードと、第2洗剤濃度の特定洗浄媒体Fを供給する第2供給モードとを供給装置56に実行させることが可能である。よって、用途に応じて適切な洗剤濃度の特定洗浄媒体Fを吐出孔34から便鉢部12内に吐き出すことができるようになり、便器装置10の使い勝手が良好となる。
【0064】
(F)制御部58は、動作検出部62により特定動作を検出したとき、特定洗浄媒体Fを供給する供給モードを供給装置56に実行させる。よって、便座16に座位姿勢で用便しようとする前に、特定洗浄媒体Fを事前に便鉢部12内に供給できる。これにより、特定洗浄媒体Fとして洗浄泡を用いる場合、その洗浄泡を便鉢部12内に溜めた状態にし易くなる。このため、座位姿勢で用便するうえで、ユーザが特別な操作をすることなく、便鉢部12内に洗浄泡を溜めた状況を実現し易くなる。この結果、良好な使い勝手を得られる。
【0065】
(G)特に、本実施形態の制御部58は、動作検出部62により特定動作を検出したとき、第2洗剤濃度の洗浄泡を供給する。制御部58は、動作検出部62により特定動作を検出したとき、第1供給モードではなく第2供給モードを供給装置56に実行させているともいえる。よって、第1洗剤濃度の洗浄泡を供給する場合と比べ、便鉢部12内に洗浄泡を溜めた状況をより実現し易くなる。ひいては、より良好な使い勝手を得られる。
【0066】
(第2実施形態)図10図11を参照する。第2実施形態の供給装置56は、前述の実施形態と異なり、特定洗浄媒体Fを第2吐出部36Bに供給する。以下、詳述する。
【0067】
本実施形態の供給装置56は、第1供給モード(図10参照)にあるとき、洗浄水Wを第1吐出部36Aに供給し、特定洗浄媒体Fを第2吐出部36Bに供給する。この結果、第1吐出部36Aは洗浄媒体として洗浄水Wを吐き出し(矢印Fa参照)、第2吐出部36Bは特定洗浄媒体を吐き出す(矢印Fb参照)。このとき、供給装置56は、低粘性の第1洗剤濃度の特定洗浄媒体Fを第2吐出部36Bに供給する。よって、第2吐出部36Bの第2吐出孔34Bから離れた箇所まで、第2吐出孔34Bから吐き出される特定洗浄媒体Fが届き易くなる。本実施形態では、便鉢部12の前側中央領域12bまで洗浄泡Fを届かせることができる。これにより、便鉢部12の前側中央領域12bを含む広範囲を洗浄し易くなる。
【0068】
本実施形態の供給装置56は、第2供給モード(図11参照)にあるとき、洗浄水Wを第1吐出部36Aに供給せず、特定洗浄媒体Fを第2吐出部36Bに供給する。この結果、第1吐出部36Aは洗浄媒体を吐き出さず、第2吐出部36Bは特定洗浄媒体Fを吐き出す(矢印Fb参照)。このとき、供給装置56は、高粘性の第2洗剤濃度の特定洗浄媒体Fを第2吐出部36Bに供給する。よって、第2吐出孔34Bの近傍にて、第2吐出孔34Bから吐き出される特定洗浄媒体Fとしての洗浄泡を便鉢部12内に溜め易くなる。本実施形態では、第2吐出孔34Bの近傍にて便鉢部12の後側中央領域12cに洗浄泡を溜め易くなる。これにより、立位姿勢のユーザが小便する場合、及び、座位姿勢のユーザが大便する場合の少なくとも何れかの場合に、その飛沫の飛散を抑えられる。
【0069】
(H)第2吐出孔34Bは、第1実施形態と同様、便鉢部12の第3分割領域Da3に設けられる。よって、便鉢部12の第4分割領域Da4に第2吐出孔34Bを設ける場合と比べ、第2吐出孔34Bから吐き出された特定洗浄媒体の多くを、汚れ易い便鉢部12の後側中央領域12cに届かせ易くなる。ひいては、特定洗浄媒体により便鉢部12を良好に洗浄できる。
【0070】
(I)便鉢部12の第4分割領域Da4に第2吐出孔34Bを設ける場合と比べ、便鉢部12の後側中央領域12cに多くの洗浄泡を溜め易くなる。これに伴い、この溜めた洗浄泡にユーザが汚物を当てることで、その飛沫の飛散を抑えられる。
【0071】
(J)第2吐出孔34Bは、第3分割領域Da3に設けられ、後向きに特定洗浄媒体Fを吐き出す。よって、第3分割領域Da3の第2吐出孔34Bから左右方向に沿って特定洗浄媒体を吐き出す場合と比べ、便鉢部12の後端部12dの周囲において、リム部28の内周面に対して勢いのある特定洗浄媒体Fを当て易くなる。これに伴い、そのリム部28の内周面において、特定洗浄媒体Fが上下に広がり易くなる。ひいては、特定洗浄媒体Fにより便鉢部12を良好に洗浄できる。
【0072】
この他に、本実施形態の便器装置10は、前述した(A)~(G)で説明した構成要素(図示せず)を備え、それらの説明に対応する効果を得られる。
【0073】
(第3実施形態)図12図13を参照する。第3実施形態の供給装置56は、前述の実施形態と異なり、特定洗浄媒体Fを、各吐出部36A、36Bに供給する。以下、詳述する。
【0074】
本実施形態の供給装置56は、第1供給モード(図12参照)にあるとき、低粘性の第1洗剤濃度の特定洗浄媒体Fを、各吐出部36A、36Bに供給する。この結果、各吐出部36A、36Bの吐出孔34A、34Bは特定洗浄媒体Fを吐き出す(矢印Fb参照)。本実施形態では、第1吐出孔34Aから吐き出される特定洗浄媒体Fは、便鉢部12の後側中央領域12cまで届かせることができる。これと同時に、第2吐出孔34Bから吐き出される特定洗浄媒体Fは、便鉢部12の前側中央領域12bまで届かせることができる。
【0075】
本実施形態の供給装置56は、第2供給モード(図13参照)にあるとき、高粘性の第2洗剤濃度の特定洗浄媒体Fを各吐出部36A、36Bに供給する。この結果、各吐出部36A、36Bの吐出孔34A、34Bは特定洗浄媒体Fを吐き出す(矢印Fb参照)。第1吐出孔34Aから吐き出される特定洗浄媒体Fは、便鉢部12の前側中央領域12bに溜め易くなる。これと同時に、第2吐出孔34Bから吐き出される特定洗浄媒体Fは、便鉢部12の後側中央領域12cに溜め易くなる。
【0076】
本実施形態では、各吐出孔34A、34Bが特定洗浄媒体Fを吐き出せる。よって、汚れ易い便鉢部12の前側中央領域12bと後側中央領域12cのそれぞれを特定洗浄媒体Fによって良好に洗浄できる。ここで説明した効果を得るうえで、各吐出孔34A、34Bが特定洗浄媒体Fを吐き出せればよく、その吐き出すタイミングが同時である必要はない。
【0077】
この他に、本実施形態の便器装置10は、前述した(A)~(G)で説明した構成要素(図示せず)を備え、それらの説明に対応する効果を得られる。
【0078】
各構成要素の他の変形例を説明する。
【0079】
実施形態では「周方向の一方側」が反時計回りであり、「周方向の他方側」が時計回りである例を説明した。「周方向の一方側」は時計回りであり、「周方向の他方側」が反時計回りであってもよい。たとえば、吐出孔34の吐出方向は時計回りでもよいということである。この場合、実施形態の「反時計回り」及び「時計回り」の文言は、それぞれ、「時計回り」及び「反時計回り」の文言に置き換えて捉えればよい。
【0080】
便器装置10は、第1分割領域Da1に第1吐出孔34Aを設ける場合、第2吐出部36Bを備えずともよい。
【0081】
便器装置10は、第3分割領域Da3の代替として、第2分割領域Da2に第2吐出孔34Bを設けてもよい。この場合でも、前述の(H)、(I)、(J)等の効果を得られる。この場合、(J)の効果を得るうえでは、後向きに特定洗浄媒体を吐き出すことは必須とはならない。この場合も、リム部28の内周面は、第2吐出孔34Bから左右中心線Lc1を跨がる周方向範囲に設けられる曲げ領域44を備えてもよい。これにより、前述の(C)の効果を得られる。
【0082】
便器装置10は、第2分割領域Da2及び第3分割領域Da3の何れかに第2吐出孔34Bを設ける場合、第1吐出部36Aを備えずともよい。この場合、この他にも、第1吐出部36Aの第1吐出孔34Aを第1分割領域Da1以外の分割領域に設けてもよい。
【0083】
便器装置10は、ジェット吐水部38を備えなくともよい。
【0084】
第1吐出部36Aや第2吐出部36Bは、実施形態とは異なり、便器本体14とは別体に設けられてもよい。
【0085】
導路50は、曲げ領域43、44の上流端から下流端までの周方向範囲にのみ設け、他の周方向範囲には設けなくともよい。
【0086】
オーバーハング部54が設けられる周方向範囲は特に限定されない。たとえば、オーバーハング部54は、リム部28の全周に亘る周方向範囲で設けられてもよい。オーバーハング部54には中空部が設けられていてもよい。
【0087】
前述の(A)の効果を得る観点から、第1曲げ領域43は、平面視において、緩和曲線状をなす代わりに、一定曲率の曲線状をなしてもよい。第1曲げ領域43は、一定曲率の曲線状及び緩和曲線状の何れもなしていなくともよい。
【0088】
前述の(B)の効果を得る観点から、第2吐出孔34Bは、第1分割領域Da1とは異なる分割領域として、第2分割領域Da2及び第4分割領域Da4の何れかに設けられていてもよい。
【0089】
前述の(C)の効果を得る観点から、第2曲げ領域44は、平面視において、緩和曲線状をなす代わりに、一定曲率の曲線状をなしてもよい。第2曲げ領域44は、一定曲率の曲線状及び緩和曲線状の何れもなしていなくともよい。
【0090】
供給装置56は給水機構64を備えなくともよい。供給機構66はエゼクタを利用して洗浄泡を生成する例を説明した。この具体例は特に限定されず、旋回流、多孔質体等を利用して洗浄泡を生成してもよい。
【0091】
特定洗浄媒体は、アルカリ性液体及び酸性液体の何れかでもよい。供給装置56は、アルカリ性及び酸性の何れかの洗剤液体を用いて、特定洗浄媒体としてのアルカリ性液体及び酸性液体を生成してもよい。
【0092】
特定洗浄媒体Fとしての洗浄泡は、実施形態と異なり、洗剤を含まなくともよい。この場合、洗浄泡は、たとえば、洗剤を含まない気泡混入水が構成してもよい。洗浄泡の泡径は特に限定されない。この泡径は、例えば、nmオーダー、μmオーダー及びmmオーダーの何れかでもよい。
【0093】
制御部58は、ユーザの特定動作を検出したとき、特定洗浄媒体Fを供給装置56に供給させることができればよい。たとえば、ユーザの特定動作を検出したときに、第1供給モード及び第2供給モードの中から第1供給モードを供給装置56に実行させてもよい。制御部58は、洗浄媒体の洗剤濃度を変更不能な供給装置56を用いて、このような制御を実行してもよい。制御部58は、ユーザの特定動作を検出したときに供給装置56に実行させる供給モードを、操作機器により切り換えてもよい。
【0094】
動作検出部62は、ユーザの特定動作として、便座16に対する着座前動作を検出可能でもよい。ユーザの特定動作として、着座動作及び着座前動作の何れか一方を検出可能であればよいということである。ここでの着座前動作とは、便座に対して着座しようとする前に行う所定の動作をいう。この着座前動作は、たとえば、便器装置10が設置されている設置室に入室する動作、及び、便座16に近づく動作のいずれかをいう。ここでの設置室とは、少なくとも1つのトイレブースがトイレ室にある場合はトイレブースが該当し、そのようなトイレブースがない場合はトイレ室そのものが該当する。ここでのトイレブースとはトイレ室内に設置される間仕切りにより区画される空間をいう。この着座前動作を検出する場合、動作検出部62は、たとえば、人感センサ等により構成される。
【0095】
洗浄条件は、レバー等の操作部材に対する操作がなされることでもよい。
【0096】
第1供給条件は、実施形態の内容に限定されない。第1供給条件は、たとえば、制御部58が洗浄指令を取得する第1条件と、制御部58が第1供給指令を取得する第2条件との少なくとも何れかを満たすことでもよい。第1供給条件は、洗浄条件とは異なり、洗浄指令を制御部58が取得することでなくともよい。
【0097】
第2供給条件は、実施形態の内容に限定されない。第2供給条件は、たとえば、制御部58が動作検出信号を取得する第1条件と、制御部58が第2供給指令を取得する第2条件との少なくとも何れかを満たすことでもよい。
【0098】
第1供給モードと第2供給モードにおいて特定洗浄媒体Fの洗剤濃度を変更する制御手法は、実施形態の内容に限定されない。たとえば、同様の条件を満たすうえで、供給機構66のみを制御してもよい。これを実現するうえで、たとえば、供給機構66の洗剤ポンプ84の回転数を制御してもよい。詳しくは、第1供給モードでは洗剤ポンプ84を第1回転数で駆動し、第2供給モードでは第1回転数より多い第2回転数で洗剤ポンプ84を駆動してもよい。これにより、第1供給モードでは供給機構66から供給される特定洗浄媒体Fそのものの洗剤濃度を小さくし、第2供給モードでは供給機構66から供給される特定洗浄媒体Fそのものの洗剤濃度を大きくできる。
【0099】
制御部58は、供給モード、洗浄モードの順で供給装置56に実行させる場合、特定洗浄媒体として、実施形態とは異なり、酸性液体を用いてもよい。この場合、便鉢部12内に付着した水垢、尿等に含まれるカルシウムを酸性液体によって洗い落した後、便鉢部12内の汚物を酸性液体によって洗い落とし易くなる。
【0100】
制御部58は、洗浄モード、供給モードの順で供給装置56を実行させてもよい。このような制御を実行するうえで、特定洗浄媒体として洗浄泡、アルカリ性液体及び酸性液体の何れを用いてもよい。特定洗浄媒体として酸性液体を用いる場合を考える。この場合、便鉢部12内の汚物を洗浄水によって洗い落した後、便鉢部12内に付着した水垢、尿等に含まれるカルシウムを酸性液体によって洗い落とし易くなる。この他に、特定洗浄媒体としてアルカリ性液体を用いる場合を考える。この場合、便鉢部12内の汚物を洗浄水によって洗い落した後、便鉢部12内にアルカリ性液体を供給することで、便鉢部12に対するカビ等の付着を防止できる。
【0101】
この他にも、制御部58は、供給モード、洗浄モード、供給モードの順で供給装置56に実行させてもよい。この場合、先の供給モードで用いられる特定洗浄媒体と、後の供給モードで用いられる特定洗浄媒体を変えてもよい。例えば、先の供給モードでは、特定洗浄媒体として酸性液体を供給装置56が供給し、後の供給モードでは、特定洗浄媒体としてアルカリ性液体を供給装置56が供給してもよい。
【0102】
以上、実施形態及び変形例を説明した。実施形態及び変形例は、いずれも具体例を示したものにすぎない。実施形態及び変形例の内容は、いずれも限定解釈すべきものではなく、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。以上の構成要素の任意の組み合わせも有効である。
【0103】
以上の実施形態、変形例から、以下の項目に記載の技術的思想が抽象化され得る。
【0104】
(第1項目)便鉢部を有する便器本体と、前記便鉢部内に吐出孔から周方向の一方側に洗浄媒体を吐き出す吐出部と、洗浄媒体を前記吐出部に供給する供給装置と、前記供給装置を制御する制御部と、を備え、前記供給装置は、洗剤を用いて前記洗浄媒体を生成可能であり、前記制御部は、第1洗剤濃度の洗浄媒体を供給する第1供給モードと、前記第1洗剤濃度より大きい第2洗剤濃度の洗浄媒体を供給する第2供給モードとを前記供給装置に実行させることが可能である便器装置。
【0105】
(第2項目)便鉢部を有する便器本体と、前記便鉢部内に吐出孔から周方向の一方側に洗浄媒体を吐き出す吐出部と、洗浄媒体を前記吐出部に供給する供給装置と、前記供給装置を制御する制御部と、ユーザの特定動作として、便座に対する着座動作及び着座前動作の何れか一方を検出可能な動作検出部と、を備え、前記洗浄媒体は、洗浄泡、アルカリ性液体及び酸性液体の何れかからなる特定洗浄媒体であり、前記制御部は、前記動作検出部により前記特定動作を検出したとき、前記洗浄媒体を前記供給装置に供給させる便器装置。
【符号の説明】
【0106】
Da1~Da4…分割領域、Da1…第1分割領域、Lc1…左右中心線、Lc2…前後中心線、10…便器装置、12…便鉢部、14…便器本体、16…便座、28…リム部、32…上端開口部、34A…第1吐出孔、34B…第2吐出孔、36A…第1吐出部、36B…第2吐出部、43…第1曲げ領域、44…第2曲げ領域、54…オーバーハング部、56…供給装置、58…制御部、62…動作検出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
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図13