(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】エレベーター
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20241031BHJP
B66B 13/14 20060101ALI20241031BHJP
B66B 1/50 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B66B3/00 L
B66B3/00 F
B66B3/00 G
B66B13/14 M
B66B1/50 Z
(21)【出願番号】P 2020146672
(22)【出願日】2020-09-01
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 誠基
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-087949(JP,A)
【文献】特開2006-341956(JP,A)
【文献】特開2005-126184(JP,A)
【文献】特開2008-184256(JP,A)
【文献】特開2003-267642(JP,A)
【文献】特開2006-062770(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0248623(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00- 1/52
B66B 3/00- 3/02
B66B 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カゴと、
前記カゴ内に設けられて、前記カゴを降りたい人がいると人が認識できる報知を行う報知部と、
前記カゴの幅方向の一方側を構成する第1側壁部、前記カゴの前記幅方向の他方側を構成する第2側壁部、及び前記カゴの開口に奥行方向に対向する奥壁部のうちの少なくとも1つにカゴ室に露出するように設けられる1以上の操作部と、
前記操作部が操作されると、前記報知を前記報知部に実行させる制御装置と、を備え、
前記1以上の操作部における最も低い位置が、前記カゴ内に設置されていると共に行先階を指定する複数の行先階指定釦、カゴ扉を開かせるカゴ扉開釦、及び前記カゴ扉を閉じるカゴ扉閉釦のうちで最も低い位置にある低位置設置釦の最も低い位置よりも高い位置に存在し、
前記1以上の操作部における最も低い位置が、前記複数の行先階指定釦のうちで最も高い位置にある高位置設置釦の最も高い位置よりも高い位置に存在している、エレベーター。
【請求項2】
カゴと、
前記カゴ内に設けられて、前記カゴを降りたい人がいると人が認識できる報知を行う報知部と、
前記カゴの幅方向の一方側を構成する第1側壁部、前記カゴの前記幅方向の他方側を構成する第2側壁部、及び前記カゴの開口に奥行方向に対向する奥壁部のうちの少なくとも1つにカゴ室に露出するように設けられる1以上の操作部と、
前記操作部が操作されると、前記報知を前記報知部に実行させる制御装置と、
前記カゴ内に露出する撮影面を有する撮影装置と、を備え、
前記操作部が操作されると、前記制御装置が、前記操作部を操作した人を前記撮影装置が撮影した撮影情報に基づいて特定し、続いて、その撮影情報に基づいてその人が前記カゴから降りたと判断するまでカゴ扉を閉じるのを禁止する、エレベーター。
【請求項3】
カゴと、
前記カゴ内に設けられて、前記カゴを降りたい人がいると人が認識できる報知を行う報知部と、
前記カゴの幅方向の一方側を構成する第1側壁部、前記カゴの前記幅方向の他方側を構成する第2側壁部、及び前記カゴの開口に奥行方向に対向する奥壁部のうちの少なくとも1つにカゴ室に露出するように設けられる1以上の操作部と、
前記操作部が操作されると、前記報知を前記報知部に実行させる制御装置と、を備え、
身長がAcm以下の人の専用のエレベーターであり、
前記操作部が、1以上の投光器、及び1以上の受光器を有して、前記受光器が、前記投光器が出射した光の少なくとも一部を受光し、
前記受光器が受光する光の全ては、前記カゴ内におけるカゴ底からの高さがAcmよりも高いBcm以上の個所を進行し、
前記制御装置は、少なくとも1つの前記受光器が光を受光しなかったことに基づいて前記操作部が操作されたことを認識し、
前記カゴ内における前記カゴ底からの高さが前記Acmよりも高い前記Bcmの箇所を進行している光を手で遮ると、前記カゴから降りる意思表示ができるという情報を報知する操作方法報知部を備える、エレベーター。
【請求項4】
カゴと、
前記カゴ内に設けられて、前記カゴを降りたい人がいると人が認識できる報知を行う報知部と、
前記カゴの幅方向の一方側を構成する第1側壁部、前記カゴの前記幅方向の他方側を構成する第2側壁部、及び前記カゴの開口に奥行方向に対向する奥壁部のうちの少なくとも1つにカゴ室に露出するように設けられる1以上の操作部と、
前記操作部が操作されると、前記報知を前記報知部に実行させる制御装置と、を備え、
前記カゴ内を上から見たときの平面視において前記カゴ内に位置する互い異なる複数の経路から選択された少なくとも1つの前記経路に関して、その経路に沿うように下から光を照射することができる発光装置を備え、
前記制御装置は、少なくとも1つの前記操作部の操作が行われたときにその操作が行われた少なくとも1つの位置を特定することで、その操作を行った少なくとも1人の人が前記カゴを降りるまでの少なくとも1つの前記経路を特定し、その少なくとも1つの経路に沿って下から光を照射するように前記発光装置を制御する、エレベーター。
【請求項5】
カゴと、
前記カゴ内に設けられて、前記カゴを降りたい人がいると人が認識できる報知を行う報知部と、
前記カゴの幅方向の一方側を構成する第1側壁部、前記カゴの前記幅方向の他方側を構成する第2側壁部、及び前記カゴの開口に奥行方向に対向する奥壁部のうちの少なくとも1つにカゴ室に露出するように設けられる1以上の操作部と、
前記操作部が操作されると、前記報知を前記報知部に実行させる制御装置と、を備え、
前記カゴ内を上から見たときの平面視において前記カゴ内に位置する互い異なる複数の経路から選択された少なくとも1つの前記経路に関して、その経路に沿うように上から風を吹き付けることができる送風装置を備え、
前記制御装置は、少なくとも1つの前記操作部の操作が行われたときにその操作が行われた少なくとも1つの位置を特定することで、その操作を行った少なくとも1人の人が前記カゴを降りるまでの少なくとも1つの前記経路を特定し、その少なくとも1つの経路に沿って上から風を吹き付けるように前記送風装置を制御する、エレベーター。
【請求項6】
前記報知部が表示部を含んで、前記報知において、前記表示部が前記カゴを降りたい人がいることを表す文言を表示することと、前記報知部が音声出力装置を含んで、前記報知において、前記音声出力装置が前記カゴを降りたい人がいることを表す音声を出力することの少なくとも一方を実行する、請求項1
、2、4又は5に記載のエレベーター。
【請求項7】
前記1以上の操作部における最も低い位置が、前記カゴ内に設置されていると共に行先階を指定する複数の行先階指定釦、カゴ扉を開かせるカゴ扉開釦、及び前記カゴ扉を閉じるカゴ扉閉釦のうちで最も低い位置にある低位置設置釦の最も低い位置よりも高い位置に存在している、請求項
2、4又は5に記載のエレベーター。
【請求項8】
前記1以上の操作部が、前記第1側壁部に配置される1以上の第1釦、前記第2側壁部に配置される1以上の第2釦、及び前記奥壁部に配置される1以上の第3釦を含む、請求項1
、2、4又は5に記載のエレベーター。
【請求項9】
前記1以上の操作部が、前記第1側壁部、前記第2側壁部、及び前記奥壁部に配置される1以上の帯状の操作部である、請求項1
、2、4又は5に記載のエレベーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、エレベーターにおいては、利用者が多い混雑時に、乗場が利用者で溢れたり、カゴ内が利用者で溢れたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
係る背景において、カゴ内混雑の際、目的階に着いても、人は、状況によっては扉から離れた場所に移動する必要があるが、そのような場合、人は、他の利用者に声を掛けて、経路を譲って頂かないとカゴを降りれないことがある。しかし、遠慮して声を出しにくい人、声を出すのが恥ずかしい人がいる。
【0005】
そこで、本開示の目的は、カゴ内混雑時において人が目的階についたときに、人が声を出さなくてもカゴ降車の意思表示をすることができるエレベーターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示に係るエレベーターは、カゴと、前記カゴ内に設けられて、前記カゴを降りたい人がいると人が認識できる報知を行う報知部と、前記カゴの幅方向の一方側を構成する第1側壁部、前記カゴの前記幅方向の他方側を構成する第2側壁部、及び前記カゴの開口に奥行方向に対向する奥壁部のうちの少なくとも1つにカゴ室に露出するように設けられる1以上の操作部と、前記操作部が操作されると、前記報知を前記報知部に実行させる制御装置と、を備える。
【0007】
なお、少なくとも1人の人が、カゴを降りたい人がいると認識できる報知であれば、上記「カゴを降りたい人がいると人が認識できる報知」とみなされるものとする。例えば、報知部は、表示部を含んでもよく、その場合において、表示部が、降りる人がいることを意味する文言、例えば、「降る方有り」とった文言等を表示することで、カゴを降りたい人がいると認識できる報知を行ってもよい。また、この場合において、表示部は、操作盤上部や出入口上板等に設置されてもよく、液晶パネル、又は有機パネル等を含んでもよい。
【0008】
又は、報知部は、音声出力装置を含んでもよく、その場合において、音声出力装置が、降りる人がいることを意味する文言、例えば、「降りる方がいらっしゃいます」とった文言等を出力することで、カゴを降りたい人がいると認識できる報知を行ってもよい。また、この場合において、音声出力装置は、非常時にカゴ内の人がカゴ外の人と会話をするために設置されている非常電話の音声出力装置でもよく、それ以外の音声出力装置でもよい。
【0009】
又は、報知部は、発光部及び案内板(案内シール)を含んでいてもよく、例えば、カゴ内の上部等に設置された案内板(案内シール)に、降る人がいる場合に発光部が点灯することを意味する文言、例えば、「降る方がおられる場合発光部が点灯します」といった文言等が記載されていてもよく、その場合において発光部が発光することで、カゴを降りたい人がいると認識できる報知を行ってもよい。これらの例のように、報知部は、カゴを降りたい人がいると認識できる報知を行うことができる如何なる構成でもよい。
【0010】
本開示によれば、カゴを降りたい人がいることを表す報知を報知部に実行させる操作部が、カゴの幅方向の一方側を構成する第1側壁部、カゴの幅方向の他方側を構成する第2側壁部、及びカゴの開口に奥行方向に対向する奥壁部のうちの少なくとも1つにカゴ室に露出するように設けられる。したがって、カゴの混雑時に人が目的階でカゴから容易に出にくくなった場合でも、その人がカゴの側壁部及び奥壁部の少なくとも1つに設置された操作部に近い位置にいた場合、その人が操作部を操作するだけで、声を出さなくても、その階で降りることを意思表示できる。よって、カゴの混雑時においても、降車希望者が目的階で降車し易い。更には、人がカゴの混雑時に目的階でカゴから降りれないかもしれないと心配になる心理的な負担(圧迫感)を抱くことを抑制でき、カゴの混雑時においても人が快適にエレベーターを利用し易くなる。
【0011】
また、前記報知部が表示部を含んで、前記報知において、前記表示部が前記カゴを降りたい人がいることを表す文言を表示することと、前記報知部が音声出力装置を含んで、前記報知において、前記音声出力装置が前記カゴを降りたい人がいることを表す音声を出力することの少なくとも一方を実行してもよい。
【0012】
本構成によれば、カゴ内の人にカゴから降りたい人がいることを確実に報知できる。
【0013】
また、前記1以上の操作部における最も低い位置が、前記カゴ内に設置されていると共に行先階を指定する複数の行先階指定釦、カゴ扉を開かせるカゴ扉開釦、及び前記カゴ扉を閉じるカゴ扉閉釦のうちで最も低い位置にある低位置設置釦の最も低い位置よりも高い位置に存在してもよい。
【0014】
なお、上記行先階指定釦、上記カゴ扉開釦、及び上記カゴ扉閉釦は、車椅子用操作盤に設けられているものではなく、全てのカゴにおいて、その前側壁部に設置される操作盤に設けられている行先階指定釦、カゴ扉開釦、及びカゴ扉閉釦であるものとする。
【0015】
操作部が低い位置にあると、特にカゴの混雑時において人の手荷物が操作部に接触し易く、意図しない操作部の操作が実行されることがある。これに対し、本構成によれば、操作部が、複数の行先階指定釦、カゴ扉を開かせる釦、及び前記カゴ扉を閉じる釦のうちで最も低い位置にある低位置設置釦の最も低い位置よりも高い位置に存在するので、そのような手荷物との接触による操作を抑制でき、降りたい人がいるときのみ報知を行い易くなる。
【0016】
また、前記1以上の操作部における最も低い位置が、前記複数の行先階指定釦のうちで最も高い位置にある高位置設置釦の最も高い位置よりも高い位置に存在してもよい。
【0017】
本構成によれば、操作部が、複数の行先階指定釦のうちで最も高い位置にある高位置設置釦の最も高い位置よりも高い位置に存在するので、操作部の設置高さを更に高くすることができて、手荷物との接触による意図せぬ操作を確実に防止できる。
【0018】
また、前記1以上の操作部が、前記第1側壁部に配置される1以上の第1釦、前記第2側壁部に配置される1以上の第2釦、及び前記奥壁部に配置される1以上の第3釦を含んでもよい。
【0019】
本構成によれば、2つの側壁部と1つの奥壁部の夫々に操作部が設置されるので、カゴの混雑時において人がカゴ内のどの位置にいても操作部を操作し易くなる。よって、カゴの混雑時において人が目的階で降り損ねることを大きく抑制できる。
【0020】
また、前記1以上の操作部が、前記第1側壁部、前記第2側壁部、及び前記奥壁部に配置される1以上の帯状の操作部でもよい。
【0021】
本構成によれば、操作部を操作できる位置を格段に広げることができ、カゴの混雑時において人がカゴ内のどの位置にいようと操作部を更に操作し易くなる。よって、カゴの混雑時において人が目的階で降り損ねることを更に確実に防止できる。
【0022】
また、本開示のエレベーターは、前記カゴ内に露出する撮影面を有する撮影装置を備え、前記操作部が操作されると、前記制御装置が、前記操作部を操作した人を前記撮影装置が撮影した撮影情報に基づいて特定し、続いて、その撮影情報に基づいてその人が前記カゴから降りたと判断するまでカゴ扉を閉じるのを禁止してもよい。
【0023】
本構成によれば、人が目的階で操作部を操作した場合、人が必ず目的階でカゴを降りることができ、人が目的階で降り損なうことがない。
【0024】
また、本開示のエレベーターは、身長がAcm以下の人の専用のエレベーターであり、前記操作部が、1以上の投光器、及び1以上の受光器を有して、前記受光器が、前記投光器が出射した光の少なくとも一部を受光し、前記受光器が受光する光の全ては、前記カゴ内におけるカゴ底からの高さがAcmよりも高いBcm以上の個所を進行し、前記制御装置は、少なくとも1つの前記受光器が光を受光しなかったことに基づいて前記操作部が操作されたことを認識し、前記カゴ内における前記カゴ底からの高さが前記Acmよりも高い前記Bcmの箇所を進行している光を手で遮ると、前記カゴから降りる意思表示ができるという情報を報知する操作方法報知部を備えてもよい。
【0025】
カゴ底面の面積が広いエレベーターでは、カゴ中央にいる人がカゴの混雑時にカゴの内壁側に移動しにくい場合がある。したがって、そのような場合、操作部が内壁部に設置されていると、カゴの中央にいる人が操作部を操作できない状況が起こり得る。
【0026】
これに対し、本構成によれば、人が手を挙げた上、その上げた手を、光線を遮断するように動かすだけで、操作を行うことができる。よって、カゴの混雑時にカゴ中央にいる人でも、確実かつ容易に操作を行うことができ、そのような人が目的階でカゴから降り損ねることを確実に防止できる。
【0027】
また、本開示のエレベーターは、前記カゴ内を上から見たときの平面視において前記カゴ内に位置する互い異なる複数の経路から選択された少なくとも1つの前記経路に関して、その経路に沿うように下から光を照射することができる発光装置を備えてもよく、前記制御装置が、少なくとも1つの前記操作部の操作が行われたときにその操作が行われた少なくとも1つの位置を特定することで、その操作を行った少なくとも1人の人が前記カゴを降りるまでの少なくとも1つの前記経路を特定し、その少なくとも1つの経路に沿って下から光を照射するように前記発光装置を制御してもよい。
【0028】
最近、人がカゴ内でイヤホンを用いて音声(例えば音楽)を聞いている状態でスマートフォンを操作している光景をよく見かける。そのような背景において、報知が音声や表示で行われた場合、人が目的階で操作部を用いてカゴを降りる意思表示をした場合であっても、その人以外の人がその報知に気づかず、カゴから降りたい人がカゴを降りる経路を確保しにくい場合がある。
【0029】
これに対し、本構成によれば、そのような場合において、降りたい人が効率的にカゴを降りることができる経路に沿うように、下から光を照射させることができる。したがって、カゴから降りたい人がカゴを効率的に降りることができる経路上にいる人が、イヤホンを用いて音声を聞いている状態でスマートフォンを操作しているような状態でも、その人にカゴから降りたい人がいることを報知でき、その人に少し移動して欲しいことを知らせることができる。よって、カゴから降りたい人がカゴから円滑に降り易くなる。
【0030】
また、本開示のエレベーターは、前記カゴ内を上から見たときの平面視において前記カゴ内に位置する互い異なる複数の経路から選択された少なくとも1つの前記経路に関して、その経路に沿うように上から風を吹き付けることができる送風装置を備えもよく、前記制御装置は、少なくとも1つの前記操作部の操作が行われたときにその操作が行われた少なくとも1つの位置を特定することで、その操作を行った少なくとも1人の人が前記カゴを降りるまでの少なくとも1つの前記経路を特定し、その少なくとも1つの経路に沿って上から風を吹き付けるように前記送風装置を制御してもよい。
【0031】
本構成によれば、降りたい人がカゴを効率的に降りることができる経路に沿うように、上から風を吹き付けることができる。したがって、カゴから降りたい人がカゴを効率的に降りることができる経路上にいる人が、イヤホンを用いて音声を聞いている状態でスマートフォンを操作しているような状態でも、その人にカゴから降りたい人がいることを報知でき、その人に少し移動して欲しいことを知らせることができる。よって、カゴから降りたい人がカゴから円滑に降り易くなる。
【発明の効果】
【0032】
本開示に係るエレベーターによれば、カゴ内混雑時において人が目的階についたときに、人が声を出さなくてもカゴ降車の意思表示をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るエレベーターの概略構成図である。
【
図2】(a)は、上記エレベーターのカゴ内の前側をその後側(奥側)から見たときの斜視図であり、(b)は、カゴ内の後側(奥側)を前側から見たときの後側端部の斜視図である。
【
図3】上記エレベーターにおいて本開示の一例の制御に関連する部位における信号のやり取りを説明するブロック図である。
【
図4】上記エレベーターのカゴ内混雑時において、人が目的階についたときに、人が声を出さなくてもカゴ降車の意思表示をすることができる制御の一例を表すフローチャートである。
【
図5】(a)は、第1実施形態の変形例のエレベーターにおける
図2(a)に対応する斜視図であり、(b)は、その変形例のエレベーターにおける
図2(b)に対応する斜視図である。
【
図6】第1実施形態の更なる変形例のエレベーターにおける
図2(a)に対応する斜視図である。
【
図7】(a)は、第2実施形態のエレベーターにおける
図2(a)に対応する斜視図であり、
図7(b)は、そのエレベーターにおける
図2(b)に対応する斜視図である。
【
図8】投光器及び受光器の設置位置を説明する模式平面図であり、高さ方向上側から投光器及び受光器を見たときの模式平面図である。
【
図9】第3実施形態のエレベーターにおいて床材に貼り付けられるタイルの構造を説明する模式平面図であり、タイルを高さ方向の上側から見たときの模式平面図である。
【
図10】第3実施形態のエレベーターが備える発光装置に関連する部位の機能ブロック図である。
【
図11】第3実施形態のエレベーターにおける
図3に対応するブロック図である。
【
図12】第3実施形態のエレベーターにおける
図4に対応するフローチャートである。
【
図13】発光ダイオード(LED)を内蔵する変形例のタイルの一部を示すタイルの厚さ方向を含む模式断面図である。
【
図14】(a)は、第4実施形態のエレベーターにおけるカゴの天井を下側から見たときの模式平面図であり、(b)は、
図14(a)のB-B線模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下の説明では、フローチャートにおける同一の処理手続(制御動作)に同一のステップ番号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、各部材における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、以下で説明される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。また、本明細書で、「略」という文言を用いた場合、「大雑把に言って」という文言と同じ意味合いで用いており、「略~」という要件は、人がだいたい~のように見えれば満たされる。例を挙げれば、略円形という要件は、人がだいたい円形に見えれば満たされる。また、図面において、X方向は、カゴ11,111,211,311,411,511の奥行方向を示し、Y方向は、カゴ11,111,211,311,411,511の幅方向を示し、Z方向は、カゴ11,111,211,311,411,511の高さ方向を示す。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交する。以下の実施例では、第1実施形態の変形例のエレベーター101,201及び第2実施形態以下の実施形態のエレベーター301,401,501に関して、第1実施形態のエレベーター1と同一の構成、変形例、及び作用効果については説明を省略する。
【0035】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るエレベーター1の概略構成図である。
図1に示すように、エレベーター1は、カゴ11、巻上機12、釣合錘13、ワイヤーロープ14、カゴ呼び釦15、カゴ内操作盤16、着床位置検出センサ18、及び制御装置としての制御盤19を備える。制御盤19及び巻上機12は、昇降路20上方にある機械室30内に設けられる。なお、エレベーターが機械室を有さない場合、制御盤及び巻上機は、例えば昇降路下方にあるピット上に設けられる。ワイヤーロープ14は、巻上機12に巻回され、例えば、一端部がカゴ11の上部に固定されるのに対して、他端部が釣合錘13に固定される。カゴ呼び釦15は、カゴ11を呼ぶと共にカゴ11の移動方向を指定する釦であり、全ての階の乗場22に設けられる。また、カゴ内操作盤16は、複数の行先階指定釦16a、カゴ扉開釦16b、及びカゴ扉閉釦16cを有する。複数の行先階指定釦16aは、カゴ11の行先階を指定するためにカゴ11内に設けられ、カゴ扉開釦16bは、カゴ11内の人がカゴ扉32を開くためにカゴ11内に設けられ、カゴ扉閉釦16cは、カゴ11内の人がカゴ扉32を閉じるためにカゴ11内に設けられる。
【0036】
カゴ11及び釣合錘13の夫々は、昇降路20内に設けられたガイドレールでガイドされる。カゴ呼び釦15、及び行先階指定釦16aからの信号を受けた制御盤19が巻上機12のモータ12aの回転数及び回転方向を適宜制御することで、カゴ11が昇降路20内を昇降する。着床位置検出センサ18は、カゴ11が着床する乗場22の着床位置を検出する。着床位置検出センサ18は、例えば、各階の着床位置に対応する昇降路位置に設けられた鉄板等のベーン18aと、ベーン18aを検出する磁気方式の検出器18bとを含む。着床位置検出センサ18からカゴ11が乗場22に着床したことを表す信号を受けた制御盤19がカゴ扉開閉用モータ48(
図3参照)を制御することで、カゴ扉32が開くと共に、乗場扉31がカゴ扉32の開き動作に連動して開き、人がカゴ11から乗り降り可能となる。
【0037】
図2(a)は、エレベーター1のカゴ11内の前側をその後側(奥側)から見たときの斜視図であり、
図2(b)は、カゴ11内の後側(奥側)を前側から見たときの後側端部の斜視図である。
図2(a)に示すように、エレベーター1は、カゴ11、カゴ扉32、カゴ内操作盤16の他に、出入口上方表示部41、重量センサ42、及び複数の降車意思表示釦45を更に備える。また、カゴ内操作盤16には、複数の行先階指定釦16a、カゴ扉開釦16b、カゴ扉閉釦16cの他に、操作盤上表示部46、及び音声出力装置47が設置されている。
【0038】
出入口上方表示部41は、文言を表示する表示板、例えば、液晶パネルや有機ELパネルを含み、カゴ扉32の上側に位置する前側上壁部に設置される。出入口上方表示部41は、制御盤19からの信号に基づいて文言を表示する。また、操作盤上表示部46は、文言を表示する表示板、例えば、液晶パネルや有機ELパネルを含み、例えば、カゴ内操作盤16の上側に設置される。操作盤上表示部46は、カゴ11の移動方向を上向矢印又は下向矢印で表示する他、制御盤19からの信号に基づいて文言を表示する。出入口上方表示部41及び操作盤上表示部46が、制御盤19からの信号で表示する文言については後で
図4を用いて説明する。
【0039】
音声出力装置47は、制御盤19による制御で合成音を生成する音声生成部(図示せず)と、音声生成部に電気的に接続されたスピーカ(音出力部)47aとを有する。合成音が、制御盤19からの信号に基づいて音声生成部で合成され、その合成音による自動音声が、スピーカ47aから出力される。スピーカ47aは、カゴ内操作盤16に設置され、高さ方向に関して、例えば、行先階指定釦16aと操作盤上表示部46との間に位置する。
【0040】
複数の降車意思表示釦45は、カゴ11の幅方向の一方側を構成する第1側壁部11a、カゴ11の幅方向の他方側を構成する第2側壁部11b、及びカゴ11の開口に奥行方向に対向する奥壁部11c(
図2(b)参照)のうちの少なくとも1つにカゴ室50に露出するように設けられる。より詳しくは、第1実施形態では、エレベーター1が、同じ高さ位置に設置された6つの略同一の第1乃至第6降車意思表示釦45a,45b,45c,45d,45e,45fを有する。複数の操作部45a,45b,45c,45d,45e,45fは、第1側壁部11aに配置される1以上の第1釦、第2側壁部11bに配置される1以上の第2釦、及び奥壁部11cに配置される1以上の第3釦を含む。
【0041】
より詳しくは、第1降車意思表示釦45aと、第2降車意思表示釦45bは、カゴ11の奥行方向に間隔をおいて第1側壁部11aに設けられ、第1釦を構成する。また、第3降車意思表示釦45cと、第4降車意思表示釦45dは、カゴ11の奥行方向に間隔をおいて第2側壁部11bに設けられ、第2釦を構成する。また、
図2(b)に示すように、第5降車意思表示釦45eと、第6降車意思表示釦45fは、カゴ11の幅方向に間隔をおいて奥壁部11cに設けられ、第3釦を構成する。
【0042】
なお、エレベーターは、少なくとも1つの降車意思表示釦を有していればよく、例えば、カゴの大きさや形状に応じて如何なる数の降車意思表示釦を有してもよい。例を挙げれば、カゴの奥行方向の寸法が、カゴの幅方向の寸法よりも大きい場合、第1側壁部(第2側壁部)に設置する降車意思表示釦の数が、奥壁部に設置する降車意思表示釦の数よりも多くてもよい。
【0043】
図2(a)に示すように、複数の降車意思表示釦45a,45b,45c,45d,45e,45fにおける最も低い位置は、カゴ11内に設置されていると共に行先階を指定する複数の行先階指定釦16a、カゴ扉開釦16b、及びカゴ扉閉釦16cのうちで最も低い位置にある低位置設置釦16d(第1実施形態では、カゴ扉開釦16bとカゴ扉閉釦16cが低位置設置釦16dになる)の最も低い位置よりも高い位置に存在している。更に述べると、第1実施形態では、複数の降車意思表示釦45a,45b,45c,45d,45e,45fにおける最も低い位置は、複数の行先階指定釦16a、カゴ扉開釦16b、及びカゴ扉閉釦16cのうちで最も高い位置にある高位置設置釦(第1実施形態では、最も高い階の行先階指定釦16fになる)の最も高い位置よりも高い位置に存在している。
【0044】
重量センサ42は、例えば、エレベーター1の床下に配置されたロードセルを含み、カゴ11内に位置する人と物の総重量を検知する。重量センサ42は、質量を検出すると、それを電気信号に変換して、制御盤19に出力する。制御盤19は、その電気信号からカゴ11内に位置する人と物の総重量を特定し、例えば、総重量がエレベーター1の積載荷重の1.1倍以上になっていると判断すると、カゴ扉32が開いている状態を維持した上で、音声出力装置47に警告音(例えば、ブザー音)を出力させる。
【0045】
図2(b)に示すように、エレベーター1は、カゴ11内に露出する撮影面55aを有する撮影装置(カメラ)55を備える。撮影装置55は、例えば、カゴ11内における後側上方の角部の近傍に設置される。撮影装置55は、カゴ11内上側の一部領域を除くカゴ11内の略全域を撮影できる。撮影装置55は、撮影した画像情報を含む信号を制御盤19に出力する。なお、撮影装置55からの画像情報を含む信号は、制御盤19を介してエレベーター1が設置されている施設の管理人室等に設置された情報処理装置(例えば、ワークステーションやパーソナルコンピュータ)に送信されてもよく、管理人等がその情報処理装置の表示部を用いてカゴ11内の映像を監視することができてもよい。また、場合によっては、カゴ11内の映像を、カゴ11に設置した操作盤上表示部46、より詳しくは、操作盤上表示部46が含む液晶インジケーターの画面に表示して、犯罪抑止効果を高めてもよく、カゴ11内の映像を、乗場22に設置したモニタに表示して防犯効果を高めてもよい。
【0046】
次に、本開示の制御の一例について説明する。
図3は、その一例の制御に関連する部位における信号のやり取りを説明するブロック図である。
図3に示すように、制御盤19は、撮影装置55から画像情報を含む信号を受信し、着床位置検出センサ18からカゴ11がいずれかの階に着床したか否かを判定できる情報を含む信号を受信する。また、制御盤19は、降車意思表示釦45が操作されたとき、その降車意思表示釦45が操作されたことを表す信号を、その降車意思表示釦45から受信する。また、制御盤19は、重量センサ42からカゴ11が収容している人と物の総重量の情報を含む信号を受信する。また、制御盤19は、タイマー59と双方向の信号のやり取りを行う。制御盤19は、タイマー59に計時をスタートさせることができ、タイマー59から計時を開始してから所定時間が経過したことを意味する情報を取得することができる。また、制御盤19は、それらの信号発信部55,18,45,42,59から受けた1以上の信号に基づいて、出入口上方表示部41、操作盤上表示部46、音声出力装置47、カゴ扉開閉用モータ48、タイマー59のうちの1以上の機器を制御する。制御盤19による、これらの機器41,46,47,48,59の詳細な制御については、次の
図4を用いて詳細に説明する。
【0047】
制御盤19は、コンピュータ、例えば、マイクロコンピュータによって好適に構成され、制御部51と、記憶部52を含む。制御部51、すなわち、プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。また、記憶部52は、ハードディスクドライブ(HDD)や、半導体メモリ等で構成され、半導体メモリは、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリや、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリで構成される。記憶部52は、一つのみの記憶媒体で構成されてもよく、複数の異なる記憶媒体で構成されてもよい。CPUは、記憶部52に予め記憶されたプログラム等を読み出して実行する。また、不揮発性メモリは、制御プロラムや所定の閾値等を予め記憶する。また、揮発性メモリは、読み出したプログラムや処理データを一時的に記憶する。制御部51は、着床判定部51a、カゴ扉開閉制御部51b、経過時間判定部51c、降車意思表示釦操作判定部51d、カゴ扉閉釦操作判定部51e、出入口上方表示制御部51f、カゴ扉開釦操作判定部51g、操作盤上表示制御部51h、音声出力制御部51i、釦押圧者追跡部51j、及び釦押圧者降車判定部51kを有する。制御部51におけるこれら各部位の動作については、次の
図4を用いて詳細に説明する。
【0048】
図4は、エレベーター1のカゴ11内混雑時において、人が目的階についたときに、人が声を出さなくてもカゴ降車の意思表示をすることができる制御の一例を表すフローチャートである。
図4を参照して、例えば、新規のエレベーター1が起動するか、又はエレベーター1のメンテナンスモードが通常運転モードに切り替えられると、制御がスタートして、ステップS1で、着床判定部51aが着床位置検出センサ18からの信号に基づいてカゴ11がいずれかの階に着床したか否かを判定する。ここで、着床判定部51aは、着床位置検出センサ18から信号を受信しなかったことをもってカゴ11がいずれの階にも着床していないと判定してもよい。
【0049】
ステップS1で否定判定されると、ステップS1が繰り返される。他方、ステップS1で、肯定判定されると、ステップS2で、カゴ扉開閉制御部51bが、カゴ扉32が全閉状態になっているか否かを判定する。ステップS2で肯定判定されると、ステップS1以下が繰り返される。他方、ステップS2で否定判定されて、カゴ扉開閉制御部51bがカゴ扉32が開き動作を開始したと判定すると、ステップS3に移行して、経過時間判定部51cが、タイマー54による計時をスタートさせ、続くステップS4で、降車意思表示釦操作判定部51dが、降車意思表示釦45が操作されたか否かを判定する。ステップS4で、否定判定されると、ステップS5に移行して、経過時間判定部51cがタイマー54からの信号に基づいてタイマー54による計時をスタートさせてから所定時間経過したか否かを判定する。ステップS5で否定判定されると、ステップS6に移行して、カゴ扉閉釦操作判定部51eが、カゴ扉閉釦16cが操作されたか否かを判定する。
【0050】
ステップS6で否定判定されると、ステップS4以下が繰り返される。他方、ステップS5又はステップS6で肯定判定されると、ステップS7で、経過時間判定部51cがタイマー54により計時を終了させ、続くステップS8で、カゴ扉開閉制御部51bがカゴ扉32の閉じ動作を開始し、続けて、ステップS9で、降車意思表示釦操作判定部51dが、降車意思表示釦45が操作されたか否かを判定する。ステップS9で否定判定されると、ステップS10に移行して、カゴ扉開釦操作判定部51gが、カゴ扉開釦16bが操作されたか否かを判定する。ステップS10で肯定判定されると、ステップS11で、カゴ扉開閉制御部51bがカゴ扉32の開き動作を開始し、ステップS3以下が繰り返される。
【0051】
他方、ステップS10で否定判定されると、ステップS12に移行して、カゴ扉開閉制御部51bが、カゴ扉32が全閉状態になったか否かを判定する。ステップS12で肯定判定されると、制御がリターンとなって、ステップS1以下が繰り返される。他方、ステップS12で否定判定されると、ステップS9以下が繰り返される。
【0052】
ステップS4で肯定判定されると、ステップS13に移行し、ステップS9で肯定判定されると、ステップS14でカゴ扉開閉制御部51bがカゴ扉32の開き動作を開始し、その後、ステップS13に移行する。ステップS13では、出入口上方表示制御部51fが、カゴ11を降りたい人がいることを表す文言、例えば、「降り方有り」といった文言を出入口上方表示部41に表示させ、続く、ステップS15で、操作盤上表示制御部51hが、カゴ11を降りたい人がいることを表す文言、例えば、「降り方有り」といった文言を操作盤上表示部46に表示させる。その後、ステップS16で、音声出力制御部51iが、カゴ11を降りたい人がいることを表す音声、例えば、「降りる方がいらっしゃいます」とった文言等を音声出力装置47に出力させる。
【0053】
ステップS16の後のステップS17では、釦押圧者追跡部51jが降車意思表示釦45を押圧した降車意思表示釦押圧者の移動を追跡する。詳しくは、釦押圧者追跡部51jは、信号の受信経路から押圧された降車意思表示釦45を特定し、撮影装置55からの降車意思表示釦45を押圧している人の画像に基づいて降車意思表示釦押圧者を特定する。例えば、釦押圧者追跡部51jが、撮影装置55からの映像データ(画像データ)を時系列的に処理することで降車意思表示釦押圧者の移動を追跡する。
【0054】
ステップS17の後のステップS18では、釦押圧者降車判定部51kが、降車意思表示釦押圧者がカゴ11を降りたか否かを判定する。釦押圧者降車判定部51kは、例えば、釦押圧者追跡部51jからの情報で、画像に基づいて降車意思表示釦押圧者がカゴ11を降りたと判定すると共に、重量センサ42からの信号に基づいてカゴ11内の人及び物の重量が減少したと判定すると、降車意思表示釦押圧者がカゴ11を降りたと認識する。
【0055】
ステップS18で否定判定されると、ステップS17以下が繰り返され、ステップS18で肯定判定されると、ステップS19で、カゴ扉開閉制御部51bがカゴ扉32の閉じ動作を開始する。ステップS19の後のステップS20では、カゴ扉開閉制御部51bが、カゴ扉32が全閉になったか否か判定する。ステップS20で否定判定されると、ステップS20が繰り返される。他方、ステップS20で肯定判定されると、制御がリターンとなって、ステップS1以下が繰り返される。本制御は、例えば、エレベーター1の通常運転モードがメンテナンスモードに切り替えられると終了する。
【0056】
以上、エレベーター1は、カゴ11と、カゴ11内に設けられて、カゴ11を降りたい人がいると人が認識できる報知を行う報知部(出入口上方表示部41、操作盤上表示部46、及び音声出力装置47)と、カゴ11の幅方向の一方側を構成する第1側壁部11a、カゴ11の幅方向の他方側を構成する第2側壁部11b、及びカゴ11の開口に奥行方向に対向する奥壁部11cのうちの少なくとも1つにカゴ室50に露出するように設けられる1以上の操作部(6つの降車意思表示釦45)と、操作部が操作されると、上記報知を、報知部に実行させる制御装置(制御盤19)と、を備える。
【0057】
本開示によれば、カゴ11を降りたい人がいることを表す報知を報知部に実行させる操作部が、カゴ11の幅方向の一方側を構成する第1側壁部11a、カゴ11の幅方向の他方側を構成する第2側壁部11b、及びカゴ11の開口に奥行方向に対向する奥壁部11cのうちの少なくとも1つにカゴ室50に露出するように設けられる。したがって、カゴ11の混雑時に人が目的階でカゴ11から容易に出にくくなった場合でも、その人がカゴ11の側壁部11a,11b及び奥壁部11cの少なくとも1つに設置された操作部に近い位置にいた場合、その人が降車意思表示釦45を操作するだけで、声を出さなくても、その階で降りることを意思表示できる。よって、カゴ11の混雑時においても、降車希望者が目的階で降車し易い。更には、人がカゴの混雑時に目的階でカゴ11から降りれないかもしれないと心配になる心理的な負担(圧迫感)を抱くことを抑制でき、カゴ11の混雑時においても人が快適にエレベーター1を利用し易い。
【0058】
また、報知部が、出入口上方表示部41及び操作盤上表示部46を含んで、報知において、出入口上方表示部41及び操作盤上表示部46がカゴ11を降りたい人がいることを表す文言を表示することと、報知部が音声出力装置47を含んで、報知において、音声出力装置47がカゴ11を降りたい人がいることを表す音声を出力することの少なくとも一方を実行してもよい。
【0059】
本構成によれば、カゴ11内の人にカゴ11から降りたい人がいることを確実に報知できる。なお、第1実施形態では、表示による報知と、音声出力による報知の両方を行い、更に、表示による報知を異なる2つの表示部41,47を用いて行った。しかし、表示による報知は、1つの表示部のみで行ってもよく、例えば、出入口上方表示部41は、存在しなくてもよくて、操作盤上表示部46のみで報知を行ってもよく、又は、出入口上方表示部41が報知を行う一方、操作盤上表示部46は、報知を行わなくてもよい。また、表示による報知と、音声出力による報知とのうちの一方の報知のみ行ってもよく、1以上の表示による報知を行う一方、音声出力による報知を行わなくてもよい。又は、表示による報知を行わない一方、音声出力による報知を行ってもよい。
【0060】
又は、表示による報知と、音声出力による報知の両方を行わなくてもよい。この場合において、報知部は、発光部及び案内板(案内シール)を含んでいてもよく、例えば、カゴ内の上部等に設置された案内板(案内シール)に、降る人がいる場合に発光部が点灯することを意味する文言、例えば、「降る方がおられる場合発光部が点灯します」といった文言等が記載されていてもよく、発光部が発光することで、カゴを降りたい人がいると認識できる報知を行ってもよい。
【0061】
また、全ての操作部である1以上の操作部(複数の降車意思表示釦45)における最も低い位置が、カゴ11内に設置されていると共に行先階を指定する複数の行先階指定釦16a、カゴ扉32を開かせるカゴ扉開釦16b、及びカゴ扉32を閉じるカゴ扉閉釦16cのうちで最も低い位置にある低位置設置釦16d(カゴ扉開釦16b及びカゴ扉閉釦16c)の最も低い位置よりも高い位置に存在してもよい。
【0062】
操作部が低い位置にあると、特にカゴ11の混雑時において人の手荷物が操作部に接触し易く、人が意図しない操作部の操作が行われることがある。これに対し、本構成によれば、操作部が、複数の行先階指定釦16a、カゴ扉開釦16b、及びカゴ扉閉釦16cのうちで最も低い位置にあるカゴ扉開釦16b及びカゴ扉閉釦16cの最も低い位置よりも高い位置に存在するので、そのような手荷物との接触による操作部の操作を抑制でき、実際に降りたい人がいるときのみ報知を行い易くなる。
【0063】
また、1以上の操作部(全ての操作部:複数の降車意思表示釦45)における最も低い位置が、複数の行先階指定釦16aのうちで最も高い位置にある高位置設置釦(行先階指定釦16f)の最も高い位置よりも高い位置に存在してもよい。
【0064】
本構成によれば、全ての操作部が、複数の行先階指定釦16aのうちで最も高い位置にある高位置設置釦の最も高い位置よりも高い位置に存在するので、操作部の設置高さを更に高くすることができて、手荷物との接触による意図せぬ操作を更に確実に防止できる。
【0065】
なお、第1実施形態では、全ての操作部である1以上の操作部に対応する複数の降車意思表示釦45の設置高さを同一にしたが、複数の操作部は、異なる高さに設置された2以上の操作部を含んでもよく、背の高さによらずに誰でも操作部を操作し易くなるようにしてもよい。また、少なくとも1つの操作部は、行先階指定釦、カゴ扉開釦、及びカゴ扉閉釦のうちで最も低い位置にある低位置設置釦16dの最も低い位置以下の高さに設置されてもよく、子供でも操作を行い易くしてもよい。
【0066】
また、複数の操作部(複数の降車意思表示釦45)が、第1側壁部11aに配置される1以上の第1釦(第1及び第2降車意思表示釦45a,45b)、第2側壁部11bに配置される1以上の第2釦(第3及び第4降車意思表示釦45c,45d)、及び奥壁部11cに配置される1以上の第3釦(第5及び第6降車意思表示釦45e,45f)を含んでもよい。
【0067】
本構成によれば、2つの側壁部11a,11bと1つの奥壁部11cの夫々に操作部が設置されるので、カゴ11の混雑時において人がカゴ11内のどの位置にいても降車意思表示釦45を操作し易くなる。よって、カゴ11の混雑時において人が目的階で降り損ねることを大きく抑制できる。
【0068】
なお、上記第1実施形態では、エレベーター1が、複数の操作部(複数の降車意思表示釦45)を備える場合について説明し、より詳しくは、エレベーター1が、間隔をおいて配置される複数の操作部を備える場合について説明した。しかし、本開示のエレベーターは、次に
図5を用いて説明するように1つのみの操作部を有してもよい。
【0069】
図5(a)は、第1実施形態の変形例のエレベーター101における
図2(a)に対応する斜視図であり、
図5(b)は、第1実施形態の変形例のエレベーター101における
図2(b)に対応する斜視図である。この変形例のエレベーター101は、操作部が、帯状の1つの操作部145で構成される点のみが、エレベーター1と異なる。
【0070】
操作部145は、第1側壁部11aに配置されて奥行方向に延在する第1部分145a(
図5(a)参照)と、第2側壁部11bに配置されて奥行方向に延在する第2部分145b(
図5(a)参照)と、奥壁部11cに配置されて幅方向に延在する第3部分145c(
図5(b)参照)とを有する。
【0071】
第1部分145a、第2部分145b、及び第3部分145cは、同じ高さに配置され、例えば、複数の行先階指定釦16aのうちで最も高さが低い位置に存在する行先階指定釦16eの最も低い位置と、複数の行先階指定釦16aのうちで最も高さが高い位置に存在する行先階指定釦16fの最も高い位置との高さ方向の中心位置よりも高い位置に存在する。
【0072】
操作部145は、例えば、タッチパネルで構成される。詳しくは、操作部145は、指で押した操作位置を電圧変化の測定によって特定できる抵抗膜方式のタッチパネルで構成されることができる。この場合、操作部145の内部構造は、透明電極膜(導電層)を配置したガラス面と、透明電極膜(導電層)を配置したフィルム面を、すき間を設けて張り付けた構造を有し、フィルムの表面を押すと、フィルム側とガラス側の電極同士が接触して電気が流れ、その電圧の変動を検出することで接点の位置を特定する。又は、操作部145は、画面に指で触れると発生する微弱な電流、つまり静電容量(電荷)の変化をセンサーで感知し、タッチした位置を把握する静電容量方式のタッチパネルで構成されることもできる。この場合は、センサーが、人体の静電容量に反応することで、タッチした位置を特定する。
【0073】
本構成によれば、操作部145を操作できる位置を格段に広げることができ、カゴ111の混雑時において人がカゴ111内のどの位置にいようと操作部145を更に操作し易くなる。よって、カゴ111の混雑時において人が目的階で降り損ねることを更に確実に防止できる。なお、この変形例では、帯状の操作部145の第1部分145aと第3部分145cが繋がっていて、帯状の操作部145の第3部分145cと第2部分145bも繋がっていた。しかし、第1部分145aと第3部分145cが間隔をおいて位置すると共に、第3部分145cと第2部分145bも間隔をおいて位置してもよく、エレベーターが、3つの帯状の操作部を有していてもよい。また、エレベーターが、複数の帯状の操作部を有している場合、それらの複数の帯状の操作部は、全て同じ高さに設置されてもよく、又は、複数の帯状の操作部が、異なる高さに設置された2以上の帯状の操作部を含んでもよい。
【0074】
又は、
図6、すなわち、第1実施形態の更なる変形例のエレベーター201における
図2(a)に対応する斜視図に示すように、カゴ211を降りたい人がいると人が認識できる報知を報知部に実行させる操作部245は、カゴ211内に車椅子専用の操作盤255が設置されている場合、その操作盤255に設置されてもよい。車椅子に座っている人のための操作盤255には、複数の行先階指定釦が設置されており、その操作盤255は、カゴ211の少なくとも一方の側壁部211aに設置される(
図6では、両側の第1及び第2側壁部211a,211bの両方に設置されている)。
【0075】
車椅子専用の操作盤255に設置されている複数の行先階指定釦等の釦は、カゴ211の混雑時において車椅子を用いていない人に操作されることが頻繁に見受けられる。本変形例のように、車椅子用の操作盤255上にカゴ211を降りたい人がいると人が認識できる報知を報知部に実行させる操作部245を設けると、カゴ211内混雑時において人が目的階についたときに、人が声を出さなくてもカゴ降車の意思表示をすることができるだけでなく、意匠的に優れたスタイリッシュなエレベーター201を実現することができる。なお、本変形例の場合、操作部245は、釦で構成されると好ましい。
【0076】
(第2実施形態)
第1実施形態では、人が操作部45,145,245を押圧することで報知部41,46,47に報知を実行させる場合について説明し、また、操作部45,145,245が、カゴ11,111,211の側壁部11a,11bや奥壁部11cに設置されている場合について説明した。しかし、操作部は、人が非接触で操作させる構成でもよく、降りたい人が、カゴの中央部付近にいて側壁部や奥壁部に手が届かない場合でも、操作部を操作できると好ましい。第2実施形態では、そのような場合について説明する。
【0077】
図7(a)は、第2実施形態のエレベーター301における
図2(a)に対応する斜視図であり、
図7(b)は、エレベーター301における
図2(b)に対応する斜視図である。
【0078】
このエレベーター301には、身長に関して乗車するための条件があり、身長がAcmよりも大きい人は、エレベーター301に乗車することができなくなっている。このエレベーター301では、操作部345が、投光器381(
図8参照)及び受光器385(
図8参照)を備え、受光器385が、投光器381が出射した光を受光する。受光器385が受光する光の全ては、カゴ311内におけるカゴ底からの高さがAcmよりも高いBcm以上の個所を進行する。カゴ311の第1及び第2側壁部11a,11b(
図7(a)参照)と、カゴ311の奥壁部11cには、カゴ底390から高さがBcmの地点が、実線395(
図7(b)参照)で表示されている。
【0079】
図8は、投光器381及び受光器385の設置位置を説明する模式平面図であり、高さ方向上側から投光器381及び受光器385を見たときの模式平面図である。
図8に示すように、エレベーター301は、赤外線送受信システム350を備える。赤外線送受信システム350は、マルチビームセンサシステムを含み、赤外線を出射する投光器381と、赤外線を受光する受光器385と、複数の赤外線を全反射するミラー388を有する。
【0080】
図8に示すように、投光器381は、出射する赤外線がカゴ311の幅方向一方側に行くにしたがってカゴ311の奥行方向の奥側に進行するようにXY平面上に略平行に赤外線を出射する。上述のように、赤外線が進行するXY平面のカゴ底390(
図7(a)参照)からの距離は、Bcmである。
【0081】
複数のミラー388は、第1側壁部11aの第1側面312aと第2側壁部11bの第2側面312bの一部を構成する。高さBcmの位置にあるXY平面上に障害物である人の手が存在しない場合、投光器381から出射された赤外線は、複数のミラー388で全反射を繰り返した後、受光器385の受光面で受光される。他方、高さBcmの位置にあるXY平面上に障害物である人の手が存在する場合、投光器381から出射された赤外線は、手で遮られ、受光器385の受光面に到達しない。
【0082】
制御盤19(図示せず)は、受光器385が光を受光しなかったことに基づいて操作部が操作されたことを認識する。
図7(a)に示すように、エレベーター301は、カゴ底390からの高さがBcmよりも高い位置に設置された説明板377(シールで構成されてもよく)を備える。この説明板377には、カゴ311内におけるカゴ底390からの高さがBcmの箇所を進行している光を手で遮ると、カゴ311から降りる意思表示ができるという情報と、カゴ底390からの高さがBcmの箇所が実線395で表示されているという情報が記載されている。よって、人は、それらの情報によりBcmの箇所を進行している光を手で遮ることにより操作を行うことができることを認識できる。説明板377は、操作方法報知部の一例であり、エレベーター301の操作部345は、投光器381、受光器385、複数のミラー388、及び1以上の説明板377を備える。
【0083】
カゴ底面の面積が広いエレベーター301では、カゴ中央にいる人がカゴ311の混雑時にカゴ311の内壁側に移動しにくい場合がある。したがって、そのような場合、操作部が内壁部に設置されていると、カゴ311の中央にいる人が操作部を操作できない状況が起こり得る。
【0084】
これに対し、本構成によれば、人が手を挙げた上で、その上げた手を、光線を遮断するように動かすだけで、操作を行うことができる。よって、カゴ311の混雑時にカゴ中央にいる人でも、確実かつ容易に操作を行うことができ、そのような人が目的階でカゴ311から降り損ねることを確実に防止できる。
【0085】
なお、第2実施形態では、赤外線送受信システム350が、マルチビームセンサシステムを含む場合について説明した。しかし、赤外線送受信システムは、シングルビームセンサシステムを含んでもよく、赤外線送受信システムは、例えば、投光器と受光器とで構成される投受光器の複数の組を備えてもよい。そして、例えば、その複数の投受光器の組を、赤外線が進行するXY平面のカゴ底からの距離がBcmの平面上に奥行方向に間隔をおいて略平行に配置してもよく、各組において、投光器が幅方向に進行するように出射した赤外線を、その投光器に対向する受光器で受光するようにしてもよい。
【0086】
(第3実施形態)
最近、人がカゴ内でイヤホンを用いて音声(例えば音楽)を聞いている状態でスマートフォンを操作している光景をよく見かける。そのような背景において、報知が音声や表示で行われた場合、人が目的階で操作部を用いてカゴを降りる意思表示をした場合であっても、その人以外の人がその報知に気づかず、カゴから降りたい人がカゴを降りる経路を確保しにくい場合がある。
【0087】
第3実施形態と、次の第4実施形態では、そのような場合であっても、カゴから降りたい人が操作部を操作した場合に、その人がカゴを降りる経路上にいる人に、カゴから降りたい人がいることを気づかせる技術について説明する。
【0088】
図9は、第3実施形態のエレベーター401において床材(図示せず)に貼り付けられるタイル470の構造を説明する模式平面図であり、タイル470を高さ方向の上側から見たときの模式平面図である。なお、
図9には、分かり易いように、後述する経路420の縁を示す実線や、後述する各テープライト430の縁を示す実線が、描かれているが、これらの実線は、実際には視認できないものである。
【0089】
図9を参照して、タイル470は、高さ方向(厚さ方向)いずれかの領域にテープライト固定スペース(図示せず)が設けられ、複数のテープライト430が、そのテープライト固定スペースの底面にカゴ411の奥行方向に略平行に固定されている。テープライト430は、例えば、LED(Light Emitting Diode)テープライト(LEDリボンライト,LEDストリップライト)で構成される。LEDテープライトは、例えば、複数のLED435を一定の間隔で並べ、配線とともに平たいテープ状の形に樹脂でラミネートした構造を有し、好きな長さに切って貼り付けて使用する。
【0090】
LEDテープライトは柔軟性があり、両面テープや固定具を使って、テープライト固定スペースの底面に容易に固定することができる。LEDテープライトは、線状の均一な光を出射し易い。なお、発光装置460が、複数のLEDテープライトを含む場合について説明したが、発光装置は、複数の砲弾型のLEDを含んでもよい。又は、発光装置は、柔軟性のあるチューブの中にLEDや小型電球を並べたチューブライト・ロープライト等を含んでもよい。また、発光装置は、LED以外の発光素子を含んでもよく、半導体レーザ素子や、有機EL素子若しくは無機EL素子等の固体発光素子等を含んでもよい。
【0091】
複数のテープライト430は、複数の長さが異なるテープライトを含む。また、エレベーター401は、エレベーター1と同一の6つの第1乃至第6降車意思表示釦45a,45b,45c,45d,45e,45fを有し、各降車意思表示釦45a,45b,45c,45d,45e,45fにおけるカゴ411の内面における設置位置もエレベーター1と同一になっている。エレベーター401には、視認できない6つの第1乃至第6経路420a,420b,420c,420d,420e,420fが設定されており、複数のテープライト430は、それに含まれる一部のテープライト430を選択的に点灯させることで、各経路420の上面に沿った領域を明るく照らすことができるようになっている。
【0092】
第1経路420aは、
図9に示す平面図において、第1降車意思表示釦45aを含むと共に、カゴ411の開口の幅方向の中心から左右に所定距離移動した2つの位置を追加する帯状の経路である。第1経路420aは、実線R1,R2,R3,R4,R5で囲まれる領域であり、それらの実線R1,R2,R3,R4,R5で画定される。なお、
図9において矢印Aは、カゴ411において開口が形成されている幅方向範囲を示している。
【0093】
また、第2経路420bは、
図9に示す平面図において、第2降車意思表示釦45bを含むと共に、カゴ411の開口の幅方向の中心から左右に所定距離移動した2つの位置を追加する帯状の経路である。第2経路420bは、実線R6,R7,R8,R9,R10で囲まれる領域であり、それらの実線R6,R7,R8,R9,R10で画定される。
【0094】
また、第3経路420cは、
図9に示す平面図において、第5降車意思表示釦45eを含むと共に、カゴ411の奥壁部からカゴ411の開口に奥行方向に延在する帯状の経路である。第3経路420cは、実線R11,R12,R13,R14で囲まれる領域であり、それらの実線R11,R12,R13,R14で画定される。第1、第2及び第5降車意思表示釦45a,45b,45eと、第3、第4及び第6降車意思表示釦45c,45d,45fとは、カゴの底面の幅方向の中心を通過すると共に、奥行方向と高さ方向とを含む平面Pに対して略面対処に配置される。また、複数のテープライト430も、その平面Pに対して略面対称に配置され、第1、第2及び第3経路420a,420b,420cと、第4、第5及び第6経路420d,420e,420fも、その平面Pに対して略面対称に配置される。
【0095】
図9を参照して、第1経路420aの上面に沿った領域を明るく照らすときには、テープライトT1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8,T9,T10,T11を点灯させ、第2経路420bの上面に沿った領域を明るく照らすときには、テープライトT5,T6,T7,T8,T9,T10,T11,T12,T13,T14,T15,T16,T17,T18,T19,T20,T21を点灯させる。また、第3経路420cの上面に沿った領域を明るく照らすときには、テープライトT5,T6,T7,T16,T17,T18,T22,T23,T24を点灯させる。
【0096】
また、第4経路420dの上面に沿った領域を明るく照らすときには、上記平面Pに対して第1経路420aの上面に沿った領域を明るく照らすときに用いたテープライトに面対称に配置される複数のテープライトを点灯させる。また、第5経路420eの上面に沿った領域を明るく照らすときには、上記平面Pに対して第2経路420bの上面に沿った領域を明るく照らすときに用いたテープライトに面対称に配置される複数のテープライトを点灯させる。また、第6経路420fの上面に沿った領域を明るく照らすときには、上記平面Pに対して第3経路420cの上面に沿った領域を明るく照らすときに用いたテープライトに面対称に配置される複数のテープライトを点灯させる。
【0097】
タイル470において高さ方向から見たときに各テープライト430において各LED435が存在している位置に重なる領域を含む円形状の領域は、テープライト固定スペースよりも上側に位置する部分が透光性の素材、例えば、透明のポリカーボネートや強化ガラス等で形成されている。すなわち、タイル470の上面は、上から見たときの平面図において全てのLED435の数と同じ数の円形の透明領域を有する。したがって、上述のように選択的にテープライト430を点灯制御することで、第1乃至第6の経路420a,420b,420c,420d,420e,420f上を選択的に明るく照らすことができる。
【0098】
図10は、エレベーター401が備える発光装置460に関連する部位の機能ブロック図である。
図10に示すように、発光装置460は、複数のテープライトを含む光源モジュール425に加えて、駆動回路480と、電源装置490とを備える。電源装置490は、商用電源415からの交流電力を直流電力に変換すると共に変圧して、変換後の直流電圧を、駆動回路480を介して、光源モジュール425に供給する。駆動回路480は、図示しない回路基板に実装される。駆動回路480は、例えば、発光装置460に含まれる各テープライト430の夫々に対応する複数のスイッチング部を有する。各スイッチング部は、制御盤19からの信号に基づいて独立してオンオフ制御される。各スイッチング部は、例えば、トランジスタ等で構成される。制御盤19にオン制御されたスイッチング部に対応するテープライト430は、電源装置490から電力が供給されて点灯する。このように各テープライト430は、駆動回路480によって個別に電力供給されて、点灯状態(点灯又は消灯)が制御される。
【0099】
図11は、エレベーター401における
図3に対応するブロック図であり、
図12は、エレベーター401における
図4に対応するフローチャートである。
図11に示すように、エレベーター401は、制御部451が発光装置制御部451lを有する点と、制御盤419から制御される対象として発光装置460が追加された点が、エレベーター1と異なる。また、
図12に示すフローは、ステップS17とステップS18との間にステップS21が挿入された点と、ステップS18とステップS19との間にステップS22が挿入された点が、
図4に示すフローと異なる。
【0100】
ステップS21では、発光装置制御部451lが、信号の受信経路に基づいて操作された降車意思表示釦45を特定した後、駆動回路480に制御信号を出力することで、操作された1以上の降車意思表示釦45に対応する1以上の経路420を光らせる複数のテープライト430を点灯させる。具体的に説明すると、発光装置制御部451lは、例えば、第1降車意思表示釦45aのみが操作されたと判定すると、テープライトT1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8,T9,T10,T11のみを点灯制御し、これにより、第1経路420aの上面に沿った領域を明るく照らす。一方、ステップS22では、発光装置制御部451lが、ステップS21で点灯制御した全てのテープライト430を消灯制御する。
【0101】
以上、第3実施形態のエレベーター401は、カゴ411内を上から見たときの平面視においてカゴ411内に位置する互い異なる複数の経路420から選択された少なくとも1つの経路420に関して、その経路420に沿うように下から光を照射することができる発光装置460を備える。また、制御装置としての制御盤419が、少なくとも1つの操作部(降車意思表示釦45)の操作が行われたときにその操作が行われた少なくとも1つの位置を特定することで、その操作を行った少なくとも1人の人がカゴ411を降りるまでの少なくとも1つの経路420を特定し、その少なくとも1つの経路420に沿って下から光を照射するように発光装置460を制御する。
【0102】
エレベーター401によれば、降りたい人が効率的にカゴ411を降りることができる経路420に沿うように、下から光を照射させることができる。したがって、カゴ411から降りたい人がカゴ411を効率的に降りることができる経路420上にいる人が、イヤホンを用いて音声を聞いている状態でスマートフォンを操作しているような状態でも、その人にカゴ411から降りたい人がいることを報知でき、その人に少し移動して欲しいことを知らせることができる。よって、カゴ411から降りたい人がカゴ411から円滑に降り易くなる。
【0103】
更には、テープライト430を用いて、発光装置460を製造しているので、LEDの個別制御を行う必要がなく、テープライト430単位でLEDをグループ制御できる。よって、単純な制御で、所望の経路420の上面に沿った領域を明るく照らすことができる。
【0104】
なお、第3実施形態では、発光装置460が、複数のテープライト430を備える場合について説明した。しかし、例えば、操作部が、
図5で説明したような1つの帯状の操作部145で構成される場合、発光装置は、タイルにマトリクス状に固定される複数のLEDを備えると好ましい。そして、各LEDは、
図13に示すように、円筒状の透明のケース433内に配置されてもよく、ケース433の上面433aが、カゴ411の底面(床面)467におけるケース433以外の個所469と面一となるように、ケース433がタイル488に固定されてもよい。そして、駆動回路が各LED455に対応するスイッチング部を有し、制御盤が、各LED455をそれ以外のLED455と独立に制御する構成でもよい。そして、高さ方向から見たときの平面図において、帯状の操作部145において指に触れられた個所とカゴ491の開口の幅方向の中心とを結ぶ線分を中心線とすると共に、所定幅を有する帯状領域に高さ方向に重なるLED455を点灯制御することで、カゴ491を降りたい人がカゴ491を降りるまでの経路上にいる人にカゴ491を降りたい人がいることを報知するようにしてもよい。
【0105】
(第4実施形態)
第3実施形態では、カゴ411,491を降りたい人がカゴ411,491を降りるまでの経路420上にいる人に、カゴ411,491を降りたい人がいることを光で報知する場合について説明した。しかし、カゴを降りたい人がカゴを降りるまでの経路上にいる人にカゴを降りたい人がいることを風で報知してもよい。
【0106】
図14(a)は、第4実施形態のエレベーター501におけるカゴ511の天井515を下側から見たときの模式平面図であり、
図14(b)は、
図14(a)のB-B線模式断面図である。
図14(a)に示すように、天井515には、マトリクス状に配置された複数の風孔519が設けられている。幅方向(Y方向)は、行方向に一致し、奥行方向(X方向)は、列方向に一致する。複数の風孔519は、奥行方向に複数行に配置され、幅方向に複数列に配置されている。
【0107】
図14(b)に示すように、エレベーター501は、送風器535と、フード540を備える。送風器535は、吹出口537の幅方向の中心がカゴ511の幅方向の中心に略一致すると共に、吹出口537の奥行方向の中心がカゴ511の奥行方向の中心に略一致するように、カゴ511の天井裏564に設置される。また、フード540は、送風器535の吹出口537から吹き出された風がマトリクス状に配置された複数の風孔519の上側に円滑に到達するように風を案内する。
【0108】
フード540の幅方向の寸法は、幅方向の一端に位置する風孔519の幅方向の一端側の端から幅方向の他端に位置する風孔519の幅方向の他端側の端までの幅方向長さよりも僅かに長く設定されている。また、フード540の奥行方向の寸法も、奥行方向の一端に位置する風孔519の奥行方向の一端側の端から奥行方向の他端に位置する風孔519の奥行方向の他端側の端までの奥行方向長さよりも僅かに長く設定されている。フード540は、マトリクス状に配置された複数の風孔519の全ての上端を覆うように設置されている。
【0109】
図14(b)を参照して、各風孔519は、幅方向に移動可能な蓋部で開閉制御されるようになっている。この風孔519の開閉制御は、孔を開閉制御可能な如何なる機構で行われてもよい。例えば、この機構は、各蓋部588に嵌め込み固定された永久磁石を有してもよい。また、この機構では、各蓋部588の幅方向の一端部と天井とを連結すると共に、幅方向に沿うように螺旋状に延びるコイルばね等の付勢部材(図示せず)を有してもよい。そして、各風孔519に対して幅方向の他方側に隣接する個所に電磁石(図示せず)が設けられてもよい。そのような機構を採用すると、電磁石に電流を流していない場合、蓋部が付勢部材の付勢力によって幅方向の一方側に移動して、風孔を塞ぐようにできる一方、電磁石に電流を流した場合、電磁石の磁力によって上記永久磁石を引き付けることで蓋部588を幅方向の他方側に移動させることができ、風孔519を開くことができる。
【0110】
エレベーター501は、送風装置560を備え、送風装置560は、送風器535及び風孔519を開閉制御する機構に加えて、電源装置(図示せず)と、電源装置に電気的に接続されると共に回路基板に実装された駆動回路(図示せず)とを備える。駆動回路は、例えば、風孔519の数と同じ数だけ存在すると共に、各風孔519に対応する電磁石に電流を流すか否かを制御するためのスイッチング部を有する。各スイッチング部は、制御装置としての制御盤からの信号に基づいて独立してオンオフ制御される。この制御により、風孔519と同じ数だけ存在する電磁石のうちの所望の電磁石のみに電流を流すことができ、所望の風孔519のみを開くことができる。
【0111】
エレベーター501は、
図5で説明した帯状の操作部145を有していると好ましい。この場合、送風器535を駆動制御した上で、帯状の操作部145において指に触れられた個所とカゴ511の開口の幅方向の中心とを結ぶ線分を中心線とすると共に、所定幅を有する帯状領域に高さ方向に重なる風孔519を開制御することで、カゴ511を降りたい人がカゴ511を降りるまでの経路上にいる人に、風を吹き付けることができ、その風の吹き付けによってカゴ511を降りたい人がいることを報知することができる。
【0112】
以上、エレベーター501は、カゴ511内を上から見たときの平面視においてカゴ内に位置する互い異なる複数の経路から選択された少なくとも1つの経路に関して、その経路に沿うように上から風を吹き付けることができる送風装置560を備えもよい。そして、制御装置(制御盤)が、少なくとも1つの操作部145の操作が行われたときにその操作が行われた少なくとも1つの位置を特定することで、その操作を行った少なくとも1人の人がカゴ511を降りるまでの少なくとも1つの経路を特定し、その少なくとも1つの経路に沿って上から風を吹き付けるように送風装置560を制御してもよい。
【0113】
本実施形態によれば、降りたい人がカゴ511を効率的に降りることができる経路に沿うように、上から風を吹き付けることができる。したがって、カゴ511から降りたい人がカゴ511を効率的に降りることができる経路上にいる人が、イヤホンを用いて音声を聞いている状態でスマートフォンを操作しているような状態でも、その人にカゴ511から降りたい人がいることを報知でき、その人に少し移動して欲しいことを知らせることができる。よって、カゴ511から降りたい人がカゴ511から円滑に降り易くなる。
【符号の説明】
【0114】
1,101,201,301,401,501 エレベーター、 11,111,211,311,411,491,511 カゴ、 11a,211a 第1側壁部、 11b,211b 第2側壁部、 11c 奥壁部、 16 カゴ内操作盤、 16a,16e,16f 行先階指定釦、 16d 低位置設置釦、 18 着床位置検出センサ、 19,419 制御盤、 32 カゴ扉、 41 出入口上方表示部、 42 重量センサ、 45,45a,45b,45c,45d,45e,45f 降車意思表示釦、 46 操作盤上表示部、 47 音声出力装置、 48 カゴ扉開閉用モータ、 50 カゴ室、 51,451 制御部、 51a 着床判定部、51b カゴ扉開閉制御部、 51c 経過時間判定部、 51d 降車意思表示釦操作判定部、 51e カゴ扉閉釦操作判定部、 51f 出入口上方表示制御部、 51g カゴ扉開釦操作判定部、 51h 操作盤上表示制御部、 51i 音声出力制御部、 51j 釦押圧者追跡部、 51k 釦押圧者降車判定部、 52 記憶部、 54 タイマー、 55 撮影装置、 55a 撮影面、 59 タイマー、 145,245,345 操作部、 255 操作盤、 312a 第1側面、 312b 第2側面、 350 赤外線送受信システム、 377 説明板、 381 投光器、 385 受光器、 388 ミラー、 390 カゴ底、 395 実線、 420,420a,420b,420c,420d,420e,420f 経路、 425 光源モジュール、 430 テープライト、 435,455 LED、 451l 発光装置制御部、 460 発光装置、 470,488 タイル、 480 駆動回路、 490 電源装置、 515 カゴの天井、 519 風孔、 535 送風器、 537 吹出口、 540 フード、 560 送風装置、 564 天井裏、 588 蓋部、 P 平面。