(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】マルチチャネルのマイクロ及び/又はサブ波長光学投影ユニットの品質を評価する方法及びテストシステム
(51)【国際特許分類】
G01M 11/02 20060101AFI20241031BHJP
G01N 21/896 20060101ALI20241031BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G01M11/02 B
G01N21/896
H01L21/66 J
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020147060
(22)【出願日】2020-09-01
【審査請求日】2023-08-04
(32)【優先日】2019-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】521458476
【氏名又は名称】フォーカスライト・スイッツァランド・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Focuslight Switzerland SA
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】イザベル・アギレーン
(72)【発明者】
【氏名】カトリン・シンドラー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンフリート・ノエル
(72)【発明者】
【氏名】ソフィアーヌ・トゥルノワ
(72)【発明者】
【氏名】ズザンネ・ヴェステンヘーファー
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-198863(JP,A)
【文献】登録実用新案第3186077(JP,U)
【文献】特開2019-039874(JP,A)
【文献】特開2012-084117(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0135667(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00-11/08
G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/61
G01N 21/84-21/958
G01J 3/00- 4/04
G01J 7/00- 9/04
G06T 7/00- 7/90
G06N 20/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチチャネルのマイクロ及び/又はサブ波長光学投影ユニット(28)の品質を評価する方法であって、
前記方法は、
前記マルチチャネルのマイクロ及び/又はサブ波長光学投影ユニット(28)の所定の部分の少なくとも2つのチャネルによって画像を生成するために、前記マイクロ及び/又はサブ波長光学投影ユニット(28)の、少なくとも所定の部分を照明するステップと、
前記投影ユニット(28)の前記所定の部分によって生成される前記画像を取得するステップと、
前記画像を分析するステップと、
前記画像の前記分析に基づいて少なくとも1つの特性量を決定するステップであって、
前記特性量の値は、前記投影ユニット(28)の少なくとも1つの特徴的な形質、前記投影ユニット(28)の少なくとも1つの欠陥、及び/又は前記投影ユニット(28)の少なくとも1つの欠陥クラスと関連する、ステップと、を含み、
前記少なくとも1つの特性量は、前記画像の鮮明さを含み、
前記方法はさらに、
前記投影ユニット(28)の前記品質を評価するステップを含み、
前記投影ユニット(28)の前記画像が、統計的方法を介して、及
び、機械学習モジュールを介して分析され、前記機械学習モジュールは事前学習済みの人工ニューラルネットワークを含み、
前記機械学習モジュールがラベル付き教師データで事前学習済みであり、前記ラベル付き教師データは、サンプル光学投影ユニットの所定の部分によって生成されるサンプル画像を含み、前記ラベル付き教師データはそれぞれの前記サンプル画像、及び/又はそれぞれのサンプル投影ユニットの品質クラスに対応する前記少なくとも1つの特性量を含み、
それぞれの前記サンプル画像に対応する前記少なくとも1つの特性量が、前記サンプル画像に前記統計的方法を適用することにより取得さ
れ、
前記統計的方法は、
前記画像の高速フーリエ変換を求めるステップと、
フーリエ変換された画像を自己相関するステップと、
自己相関された画像の逆高速フーリエ変換を求めるステップと、
逆フーリエ変換の結果の平均強度、正規化強度、及び/又は平均正規化強度を求めるステップと、
を含み、それにより前記画像の鮮明さの指標を取得する、
方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの特性量が
、暗さレベル、均一性、明度の変動、及び局所的な欠陥のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マイクロ及び/又はサブ波長光学投影ユニット(28)が、前記少なくとも1つの特性量に基づいて、少なくとも2つの品質クラスの1つに分類される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記投影ユニット(28)が多くのマイクロ及び/又はサブ波長光学要素(30)、特にマイクロレンズ及び/又はサブ波長レンズを含み、特に前記光学要素(30)はサイズ、曲率、マスキング、及び/又は前記投影ユニット(28)内の位置を有し、サイズ、曲率、及び/又は位置は、前記投影ユニット(28)の前記少なくとも1つの特徴的な形質の少なくとも1つである、請求項1-3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記光学要素(30)がアレイを形成し、前記アレイが前記投影ユニットの少なくとも1つの特徴的な形状の少なくとも1つである2つの近隣の光学要素(30)間の距離を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記投影ユニット(28)の前記品質が前記投影ユニット(28)の製造中に、特にラインの最後で評価される、請求項1-5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
製造パラメータ、特に少なくとも1つの特徴的な形質が、前記投影ユニット(28)の品質評価に基づいて適合される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
マルチチャネルのマイクロ及び/又はサブ波長光学投影ユニット(28)の品質を評価するためのテストシステムであって、
前記テストシステムは、
照明ユニット(12)と、
画像取得デバイス(18)と、
画像分析モジュール(24)と、
制御モジュール(22)と、を含み、
前記制御モジュール(22)は、前記テストシステム(10)に、請求項1-7のいずれか1つに記載の方法を実行させるように構成される、テストシステム。
【請求項9】
前記テストシステム(10)がテストされるデバイス(14)を含み、特に、前記テストされるデバイス(14)がマルチチャネルのマイクロ及び/又はサブ波長光学投影ユニット(28)である、請求項8に記載のテストシステム。
【請求項10】
命令を含む、コンピュータプログラムであって、プログラムが請求項8又は9に記載の前記テストシステム(10)の制御モジュール(22)の処理ユニットによって実行されるとき、前記テストシステム(10)に請求項1-7のいずれか1つに記載の方法のステップを実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチチャネルのマイクロ及び/又はサブ波長光学投影ユニットの品質を評価する方法及びテストシステムに関する。本発明はさらに、マルチチャネルのマイクロ及び/又はサブ波長光学投影ユニットの品質を評価するテストシステム、及びその方法を実行するためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ光学投影ユニット及びサブ波長光学投影ユニットは、通常それぞれ多くのマイクロ光学要素及び/又はサブ波長光学要素を含む。通常、投影ユニットはこれらの光学要素を数百個又は数千個含み、個々の光学要素の直径は1ミリメートル以下であり(マイクロ光学投影ユニット)、特に1ミクロンよりも小さく(サブ波長光学投影ユニット)、数ナノメートルくらいであり得る。
【0003】
伝統的な光学と比較すると、光学的に動作する要素に要求されるパッケージ密度は著しく高いため、マイクロ光学及び/又はサブ波長光学器具の製造技術は全く異なるものであり得る。
【0004】
投影ユニットの製造において、1つ又は多くの生産工程パラメータにばらつきが発生し得る。例えば、光学要素のサイズ、曲率、及び/又は位置は、製造公差及び工程のばらつきにより変化し得る。特に、個々の光学要素間の距離が変化し得る。
【0005】
さらに、ウェハ(wafer)にピンホールがあり得て、光学要素の外の領域で投影ユニットを光が通過してしまう結果となる。
【0006】
概して、投影ユニットの個々の光学要素の位置の正確さ、及び上述のようなピンホールなどの他の欠陥に、高い要求がある。
【0007】
しかし、投影ユニットの応用によっては、ある程度までの欠陥は許容されるかもしれない。このように、投影ユニットによって、それぞれの品質クライテリアが満たされることが保証されるためには、投影ユニットの品質を評価する必要がある。
【0008】
このように、本発明の目的は、マイクロ及び/又はサブ波長光学投影ユニットの品質を評価する方法及びシステムを提供することである。
【発明の概要】
【0009】
本発明によれば、マルチチャネルのマイクロ及び/又はサブ波長光学投影ユニットの品質を評価する方法によって問題が解決される。方法は、次のステップを含む:マイクロ及び/又はサブ波長光学投影ユニットの、少なくとも所定の部分が照明され、マルチチャネルのマイクロ及び/又はサブ波長光学投影ユニットの所定の部分の少なくとも2つのチャネルによって画像が生成される。画像が取得され、分析される。少なくとも1つの特性量(characteristic quantity)が画像の分析に基づいて決定され、特性量の値は、投影ユニットの少なくとも1つの特徴的な形質、投影ユニットの少なくとも1つの欠陥、及び/又は投影ユニットの少なくとも1つの欠陥クラスと関連する。投影ユニットの品質は少なくとも1つの特性量に基づいて評価される。
【0010】
サブ波長光学要素、特にサブ波長レンズはナノ光学要素、特にナノレンズとも呼ばれる。
【0011】
本発明は、投影ユニットの欠陥は、投影ユニットによって生成された画像内の特定の欠陥と直接リンクしているという発見に基づく。例えば、投影ユニットの光学的に活性な領域の位置の誤差、及び光学的に活性な個々の領域の望ましい曲率からの誤差、及び/又はウェハ内のピンホール、のそれぞれは、それぞれが関連した特性の欠陥につながる。
【0012】
さらに、投影ユニットの望ましくないピンホールは、画像内に明るく円形のスポットを生じさせる。製造工程中の意図しない位置ずれは、ぼやけた輪郭につながる。レンズの機械的な欠陥(例えば傷及び/又はひび)は、円形の黒い輪、及び/又は暗いスポットにつながる。製造工程内の望ましくない不純物混合は、例えばパターンの不均一などの暗い斑点(暗いスポット)につながる。
【0013】
投影ユニットによって生成された画像中の欠陥を分析することにより、投影ユニットの品質が、取得した画像に画像処理技術を適用することにより、特に早く便利な方法で評価可能である。当業において、よく開発された多くの異なる画像処理技術が現在知られている。
【0014】
投影ユニットの少なくとも所定の部分で生成され、取得され、続いて分析される画像は、投影ユニットが生成することを意図したもの、又はその一部と同じ画像でもよい。
【0015】
代わりに、又は加えて、取得され、分析される画像は、投影ユニットの意図する使用中と同じ方法で、少なくとも所定の部分を照明することにより生成されてもよい。
【0016】
例えば、投影ユニットは、表面の、特に投影ユニットに関して所定の配置の表面の上のモチーフの投影を作成するように構成される。
【0017】
本発明の1つの態様によれば、少なくとも1つの特性量は、鮮明さ、暗さレベル、均一性、明度の変動、及び局所的な欠陥の少なくとも1つを含む。これらの量は、投影ユニットの製造中に通常発生する特定の欠陥と直接関連しているから投影ユニットの品質を評価するために特に適していることがわかった。
【0018】
本発明のさらなる態様によれば、マイクロ光学投影ユニットは、少なくとも1つの特性量に基づいて、少なくとも2つの品質クラスの1つに分類される。このように、投影ユニットは、例えば「品質テスト合格」又は「品質テスト不合格」の、ちょうど2個のクラスの1つに分類されてもよい。あるいは、投影ユニットは、「A級」、「B級」、などの多くのクラスの1つに分類されてもよい。クラスのそれぞれは、満足されなければならない特定の品質要求、特に、満足されなければならない特性量の1つ又は多くの特定の閾値と関連する。
【0019】
本発明のさらなる実施形態において、投影ユニットは、多くのマイクロ、及び/又はサブ波長光学要素、特にマイクロレンズ及び/又はサブ波長レンズを含み、特に光学要素はサイズ、曲率、マスキング、及び/又は投影ユニット内の位置を有し、サイズ、曲率、及び/又は位置は、投影ユニットの少なくとも1つの特徴的な形質の少なくとも1つである。光学要素の位置の誤差及び/又は個々の光学要素の望ましい曲率からの誤差は、取得される画像の特定の欠陥に関連する。言うまでもなく、取得される画像の欠陥は投影ユニットの及び/又は光学要素の欠陥とリンクし得て、取得される画像の欠陥は投影ユニットの品質評価のために使用可能である。
【0020】
一般的に述べると、光学要素それぞれは、光を回折(diffract)、屈折(refract)、及び/又は、誘導(guide)するように構成される。このように、回折、屈折、及び/又は誘導する性能を有する光学要素は、同じ投影ユニット上、特に共通の基板上に装備され得る。
【0021】
少なくともいくつかの光学要素、特に全ての光学要素が互いに同一に設置されてもよい。同様に、少なくともいくつかの光学要素、特に全ての光学要素が互いに異なって設置されてもよく、すなわち光学要素の例えばサイズ及び/又は曲率が異なってもよい。
【0022】
投影ユニットは、例えばスペーサ及び/又は少なくとも1つの突起などの、少なくとも1つの機械的形状を含んでもよい。スペーサ及び/又は少なくとも1つの突起は、投影ユニットの使用に際して投影ユニットとそれぞれのさらなる部品との距離を設定する機能を果たしてもよい。
【0023】
特に、スペーサ及び/又は少なくとも1つの突起の幾何学的特徴は、投影ユニットの特性量であってもよい。例えば、スペーサ及び/又は少なくとも1つの突起の高さ、幅、及び/又は深さが投影ユニットの特性量であってもよい。
【0024】
特に、光学要素はアレイを形成し、アレイは、投影ユニットの少なくとも1つの特徴的な形状の少なくとも1つである2つの近隣の光学要素間の距離を有する。距離は個々の近隣の光学要素間の最低距離、個々の近隣の光学要素間の最大距離、及び/又は個々の近隣の光学要素間の距離でもよい。
【0025】
本発明の別の実施形態において、投影ユニットの品質が投影ユニットの製造中、特にラインの最終工程において評価される。品質評価は投影ユニット製造の多くの中間ステップのあとで繰り返されることが望ましい。製造中の品質評価に基づいて、必要であれば早い段階で投影ユニットが破棄されてもよく、製造時間及び製造資源の節約ができる。
【0026】
発明の別の態様によれば、製造パラメータ、特に少なくとも1つの特徴的な形状が、投影ユニットの品質評価に基づいて適合される。このように、工程パラメータは、投影ユニットの品質が向上するように適合されてもよい。言い換えれば、起こり得るミス及び/又はばらつきが製造中に判明し、それによりこれらの製造のばらつきの影響を抑えることができる。
【0027】
適合され得る製造パラメータは、例えば投影ユニットのベースレイヤー厚み、レンズ形状、及び/又はレンズ曲率である。
【0028】
投影ユニットの画像が統計的な方法を介して、及び/又は、特に機械学習モジュールが事前学習済みの人工ニューラルネットワークを含む機械学習モジュールを介して分析されることが望ましい。言い換えれば、画像は、極伝統的なアルゴリズム、すなわち計算ルール(computational rules)、に基づく純粋に伝統的で決定論的な(deterministic)方法で分析してもよい。また、画像は、機械学習方法のみを介して分析されてもよく、又は両方の折衷を介してもよい。
【0029】
機械学習モジュールは、ラベル付き教師データ(labelled training data)で事前学習済みでもよく、ラベル付き教師データは、サンプル光学投影ユニットの所定の部分によって生成されるサンプル画像を含み、ラベル付き教師データはそれぞれのサンプル画像、及び/又はそれぞれのサンプル投影ユニットの品質クラスに対応する少なくとも1つの特性量を含む。このように、機械学習モジュールは教師付き方法(supervised fashion)によって事前学習する。
【0030】
機械学習モジュールは、例えば畳み込みニューラルネットワーク(CNN)及び/又は画像を分析するように事前学習済みの再帰型ニューラルネットワーク(RNN)などの、人工ニューラルネットワークが少なくとも1つの特性量を決定する、及び/又は投影ユニットの品質を評価することが望ましい。
【0031】
あるいは、機械学習モジュールは、部分的なラベル付きデータで半教師有り(semi-supervised)で、又は教師無しで事前学習してもよい。
【0032】
本発明のさらなる態様によれば、それぞれのサンプル画像に対応する少なくとも1つの特性量は、統計的手法をサンプル画像に適用することにより取得される。このように、サンプル画像ははじめに伝統的な統計的手法を介して分析され、統計的分析の結果、それぞれの画像のラベルが得られる。
【0033】
言い換えれば、統計的手法は、有限数のサンプル画像セットに対して実行される。サンプル画像、及び統計的分析の結果が機械学習モジュールのための教師データを形成する。このように、統計的方法は、機械学習モジュールを訓練するためのみにこの有限の訓練データセット(training set)に適用されてもよく、投影ユニットの製造中の品質評価は機械学習モジュールによって実行される。
【0034】
本発明によれば、問題は、照明ユニット、画像取得デバイス、画像分析モジュール、及び制御モジュールを含むマルチチャネルのマイクロ及び/又はサブ波長光学投影ユニットの品質を評価するためのテストシステムによってさらに解決され、制御モジュールはテストシステムに上述の方法を実行させる。テストシステムの優位点及び特徴に関して、方法に関する上述の説明が参照され、その説明はテストシステムにも成り立ち、その逆も成り立つ。
【0035】
本発明の一態様によれば、テストシステムは、テストされるデバイスを含み、特にテストされるデバイスはマルチチャネルのマイクロ及び/又はサブ波長光学投影ユニットである。一般的に述べると、テストされるデバイスは、1つ又は多くのマルチチャネルのマイクロ及び/又はサブ波長光学投影ユニットを含むウェハのような基板である。特に、テストされるデバイスは単一の投影ユニットとして設置されてもよい。
【0036】
本発明によれば、問題は、コンピュータプログラムによってさらに解決され、コンピュータプログラムは、プログラムが上述のテストシステムの制御モジュールの処理ユニットによって実行されるとき、テストシステムに上述の方法ステップを実行させる命令(instructions)を含む。コンピュータプログラムの優位点及び特徴に関して、方法に関する上述の説明が参照され、その説明はテストシステムにも成り立ち、その逆も成り立つ。
【0037】
その点で、及び下記において、「命令」という用語は、コンパイルされた形態及び/又はコンパイル前の形態のいずれでもよいプログラムコード及び/又はプログラムコードモジュールの形態を有する命令のことを意味することは明らかであり、命令はいかなるプログラム言語及び/又は機械言語で書かれてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
上述の態様及び発明事項の、付帯する優位点の多くは、添え付けの図面と共に下記の詳細な説明を参照してそれらがよりよく理解されれば、より容易にその真価が認識されるであろう。
【0039】
【
図1】
図1は、本発明に係るテストシステムの模式図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る投影ユニットによって生成された画像の詳細図である。
【
図3】
図3は、本発明に係るマルチチャネルのマイクロ及び/又はサブ波長光学投影ユニットの品質評価方法の模式的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、照明ユニット12、テストされるデバイス14、スクリーン16、及び画像取得デバイス18を含むテストシステム10を模式的に示す。
【0041】
テストシステム10は、制御モジュール22及び画像分析モジュール24を備える制御及び分析ユニット20をさらに含み、制御及び分析ユニット20は、照明ユニット12及び画像取得デバイス18の両方に信号伝達が可能な方法で接続される。
【0042】
テストされるデバイス14は、多くのマルチチャネルのマイクロ及び/又はサブ波長光学投影ユニット28を含む基板26である。
図1に示されるケースにおいて、基板26は4つの投影ユニット28を含む。しかしこの数は例示目的にすぎない。基板26は、他のいかなる個数の投影ユニット28を含んでいてもよい。
【0043】
特に、テストされるデバイス14は、単一の投影ユニット28として設置されてもよい。
【0044】
各投影ユニット28は、多くのマイクロ及び/又はサブ波長光学要素30を含む。各投影ユニット28は、10個から1000個の光学要素30、特に、例えば50個から300個の光学要素30などの、30個から500個の光学要素30を有してもよい。
【0045】
個々の光学要素30の直径は、マイクロ光学投影ユニット28において1ミリメートル以下でもよく、又はサブ波長光学投影ユニット28において1ミクロン以下でもよく、数ナノメートルのレベルでもよい。
【0046】
光学要素30間の領域は不透明であって、光は光学要素30を通ってのみ投影ユニットを通過できる。
【0047】
一般的に述べると、光学要素30それぞれは、所定の方法で光を屈折、回折、及び/又は、誘導するように構成される。言い換えると、光学要素30のそれぞれはマルチチャネル投影ユニット28のチャネルを提供する。
【0048】
より具体的には、光学要素30のそれぞれは所定のサイズ、所定の曲率を有し、及び/又はマスキングが提供され、各光学要素30の望ましい光学特性が得られる。
【0049】
光学要素30は、表面にモチーフの投影を作成するように構成されるマスキングを有してもよい。投影ユニット28に対する表面の位置は、知られている。例えば、投影ユニット28が車両のドアに取り付けられ、投影ユニット28が照明されると自動車メーカーの紋章の投影が車両の横の路面に作成されるマスキングを光学要素30が有する。
【0050】
その点で、光学要素30の少なくともいくつか、特に光学要素30の全てが互いに同一に設置されてもよい。同様に、少なくともいくつかの光学要素30、特に全ての光学要素30が互いに異なって設置されてもよく、すなわち光学要素の例えばサイズ、曲率、及び/又はマーキングが異なってもよい。
【0051】
光学要素30は、投影ユニット28の特定の応用分野に基づいて、それぞれの投影ユニット28内で所定の方法で配置される。
【0052】
より正確には、光学要素30は、投影ユニット28が照明されるとき、望ましい画像32が投影ユニット28の裏で得られるように配置される。
【0053】
光学要素30は、投影ユニット28のエリア上で所定のパターンに従って配置される。これらは
図1に示され、投影ユニット28の1つを照明することによって作成される画像32がスクリーン16上に写される。
【0054】
言い換えれば、光学要素30は、照明されるとき、所定の特性を備える画像32を生成するように構成されるマルチチャネルマイクロ及び/又はサブ波長光学アレイを形成する。その点で、個々の光学要素30(「ビームレット」とも呼ばれ得る)によって生成される画像は重ねられ、個々の光学要素30によって生成される画像の統計的な融合につながる。
【0055】
あるいは、光学要素30はそれぞれの投影ユニット28のエリア上でランダムに配置されてもよい。
【0056】
図2は、生成される画像32をより詳細に示す。画像32は、暗いエリア34及び、照明されるエリア36を含む。
図2の具体的な例において、照明されるエリア36は、互いに曲線部分によって接続される2つの直線部分をそれぞれが含むストライプである。
【0057】
投影ユニット28の製造において、1つ又は多くの工程パラメータにばらつきが起こり得る。例えば、光学要素30のサイズ、曲率、及び/又は位置が、製造公差及び工程のばらつきにより変化し得る。特に、個々の光学要素間の距離が変化し得る。
【0058】
さらに、ウェハ26のピンホールのような欠陥があり得て、光学要素30の外の領域で投影ユニット28を光が通過してしまう結果となる。
【0059】
投影ユニット28の応用によっては、そのような欠陥はある程度許容されるかもしれない。したがって、投影ユニット28によって、それぞれの品質クライテリアが満たされることを保証するためには、投影ユニット28の品質が評価される必要がある。
【0060】
テストシステム10は、投影ユニット28の品質評価の方法を実行するように構成され、
図3を参照して下に説明される。
【0061】
より正確には、コンピュータプログラムが制御及び分析ユニット20の中央処理ユニット上で実行され、それによりテストシステム10が下に説明される方法を実行する。
【0062】
第一に、照明ユニット12により投影ユニット28の少なくとも1つの少なくとも所定の部分が照明される(ステップS1)。例えば、投影ユニット28の1つが最大に照明され、ウェハ26上の他の投影ユニットは照明されない。
【0063】
あるいは、例えば、品質評価対象の光学要素30の、ある構造を有する部分などの投影ユニット28の1つの特定の部分のみが照明される。
【0064】
あるいは、多くの投影ユニット28が同時に照明されてもよい。
【0065】
一般性を喪失することなく、投影ユニット28の1つが完全に照明されるケースが下に説明される。
【0066】
投影ユニット28の照明により、投影ユニット28により画像が生成され、スクリーン16上に投影される。言い換えれば、画像32は投影ユニット28により生成されてスクリーン16上に投影される。
【0067】
投影ユニット28の少なくとも所定の部分によって生成される画像は、実際の使用中に投影ユニット28が生成する画像と同じ画像、又はその部分でもよい。
【0068】
あるいは、又は加えて、画像は、投影ユニット28の実際の使用中と同様に、投影ユニット28の少なくとも所定の部分を照明することによって生成されてもよい。
【0069】
投影ユニット28によって生成される画像は次に画像取得デバイス18を介して取得される(ステップS2)。一般的に述べると、取得される画像は、生成された画像32のデジタル表現であり、取得される画像は、それぞれが明度値(brightness value)及び/又は色彩値(color value)を有する多くのピクセルを含む。
【0070】
例えば、画像取得デバイス18は、カメラとして、特に高解像度カメラとして設置されてもよい。
【0071】
画像取得デバイス18がスクリーン16に組み入れられることも考えられる。例えば、スクリーン16が投影ユニット28によって生成された画像を取得するように構成される感光要素を含んでもよい。
【0072】
取得された画像は次に制御及び分析ユニット20に、より正確には画像分析モジュール24に送られ、画像分析モジュール24によって分析される(ステップS3)。
【0073】
画像分析モジュール24は次に、画像の分析に基づいて、取得された画像の少なくとも1つの特性量を決定する(ステップS4)。
【0074】
一般的に述べると、少なくとも1つの特性量は投影ユニット28の品質と関連する。これは、ウェハ26の欠陥及び/又は光学要素30の欠陥は、画像内の関連した欠陥、すなわち生成された画像32の欠陥、として現れるという事実によるものである。
【0075】
例えば、個々の光学要素30の位置の誤差、個々の光学要素30の望ましい曲率からの誤差、及び/又はウェハ26のピンホールのそれぞれは、画像内の関連する特徴的な欠陥につながる。
【0076】
投影ユニット28の品質評価に適した多くの主要な画像特徴、すなわち鮮明さ、暗さレベル、及び均一性など、があることがわかり、均一性は、明度の変動、背景の変動、及び局所的な欠陥を含む。これらの画像特徴のより詳細な定義が下に示される。
【0077】
したがって、少なくとも1つの特性量は、次の量の1つ又はそれ以上を含んでもよく、それらは、鮮明さ、暗さレベル、均一性、明度の変動、背景の変動、局所的な欠陥、個々の光学要素30の曲率、個々の光学要素30間の最小距離、個々の光学要素30間の最大距離、及び/又は個々の光学要素30間の平均距離である。
【0078】
画像分析モジュール24は、統計的方法及び/又は機械学習方法に基づく画像の分析を介して、少なくとも1つの特性量を決定する。
【0079】
言い換えれば、画像は伝統的なアルゴリズム、すなわち計算ルールに基づく純粋に伝統的で決定論的な方法で分析してもよい。同時に、画像は、機械学習方法のみを介して分析されてもよく、又は両方の混合を介してもよい。
【0080】
統計的手法の例は、
図4-6を参照して下により詳細に説明される。
【0081】
図4は、画像の鮮明さを決定するためのステップを模式的に示す。
【0082】
図4の最初の列は、同じパターンを有する2つの画像を示す。しかし、1行目の画像は鮮明であり、2行目の画像は不鮮明である。
【0083】
画像の鮮明さの指標は次の手順で得られる。第一に画像の高速フーリエ変換が求められる(
図4の二列目)。次にフーリエ変換された画像が自己相関され(三列目)、自己相関された画像の逆高速フーリエ変換が求められる(四列目)。
【0084】
逆フーリエ変換の結果の平均強度(intensity)、正規化強度、及び/又は平均正規化強度が決定され、元画像の鮮明さの指標を構成する。その点で、より高い平均強度はより鮮明な画像と関連し、より低い平均強度はより不鮮明な画像と関連する。
【0085】
正規化のために、例えば、画像の最大値が画像高さ、画像幅、画像平均値、及び画像標準偏差に関して正規化される。
【0086】
図5は、特性量「暗さレベル」を取得するための主なステップを示す。一般的に述べると、暗さレベルは、スクリーン16の照明されるべきでない領域の明度の指標であり、すなわち暗いエリア34の明度である。
【0087】
図5の左側の画像は、画像取得デバイス18によって取得された元画像を示す。
【0088】
暗さレベルの判断に関して、照明されるエリア36を暗いエリア34から識別するために、背景に関するコントラスト閾値、及び/又は明度閾値が設定され、
図5の右側の画像に図示される。言い換えれば、取得された画像の各ピクセルは、「照明されている」(ドットエリア)、又は「照明されていない」(ハッチングエリア)のいずれかに分類される。
【0089】
その後、「照明されていない」のカテゴリーのピクセルの平均明度レベル、すなわち暗いエリア34の平均明度レベル及び/又は平均コントラスト、が決定される。
【0090】
暗さレベルは、暗いエリア34の特定の領域、すなわちいわゆる興味がある領域、のみについて決定されてもよい。
【0091】
【0092】
第一に、照明されているエリア36のエッジが決定され、個々の照明されているエリア36が個々に分析されてもよい。結果は、
図6の左側に示され、最も上のストライプ状の照明されているエリア36が抜粋されている。
【0093】
次に、マスクフィルタ38が、抜粋された照明されているエリア36に適用され、マスクフィルタは所定のサイズ及び所定の明度閾値を有する。一般的に述べると、マスクフィルタ38は、所定サイズのマスクフィルタ38内の明度レベルの変動レベルを判断する。その点で、マスクフィルタ38は照明されているエリア36全体に連続的に適用される。
【0094】
言い換えれば、特性量「均一性」は、照明されているエリア36内の局所的な明度変動、及び背景の変動の指標を構成し、すなわち、それぞれの投影ユニット28及び/又はそれぞれの光学要素30の局所的な欠陥の指標も構成する。
【0095】
少なくとも1つの決定された特性量に基づいて、投影ユニット28は、少なくとも2つの品質クラスのカテゴリーのうちの1つに分類される(ステップS5)。
【0096】
この目的のために、特性量の少なくとも1つについて、特に特性量の多く又は全てについて、少なくとも1つの所定の品質クライテリアが設定される。例えば、少なくとも1つの所定のクライテリアは、画像の鮮明さの閾値、及び/又は残りの特性量それぞれの閾値を含む。
【0097】
投影ユニット28は、2つのクラス、すなわち「品質テスト合格」及び「品質テスト不合格」のうちの1つに分類されてもよい。
【0098】
例えば、少なくとも1つの品質クライテリアが満たされない場合、それぞれの投影ユニット28は、「品質テスト不合格」のクラスに分類される。同様に、少なくとも1つの品質クライテリアが満たされる場合、それぞれの投影ユニット28は、「品質テスト合格」のクラスに分類される。
【0099】
当然2つより多い品質クラスがあってもよい。例えば、1つ以上の品質クライテリアが満たされたか、に基づいて、及び品質クライテリアのどれが満たされたかに基づいて、それぞれの投影ユニットは「A級」、「B級」、などのクラスの1つに分類される。
【0100】
投影ユニット28の異なる応用は、投影ユニット28の品質に、異なる要求を有するかもしれない。したがって、「C級」クラスに分類された投影ユニット28は、投影ユニット28の高品質を要求するある特定の応用に適さないかもしれないが、「C級」で十分である応用もあり得る。したがって、投影ユニット28は、廃棄される必要がなく、単に別の応用に回せるかもしれない。
【0101】
投影ユニット28の品質は投影ユニット28の製造中に評価されることが望ましい。
【0102】
特に、投影ユニット28の品質は、投影ユニット28の製造の最後、すなわち製造ラインの最後尾、で評価される。評価結果に基づいて製造ラインの工程パラメータが適合されてもよい。
【0103】
あるいは、投影ユニット28の品質評価は、投影ユニット28の製造の中間ステップ後に反復される。品質評価に基づいて、必要であれば、それぞれの投影ユニット28は製造の早い段階で廃棄されてもよく、製造時間及び製造資源が節約できる。
【0104】
投影ユニット28が品質の中間評価の結果で廃棄されない場合、その後の製造の生産工程パラメータが適合されてもよい。
【0105】
上の説明は、伝統的な統計的手法を介して実施されるステップS3からS5に関連する。
【0106】
しかし、上述のとおり、これらのステップは機械学習の方法を介しても実施可能である。
【0107】
より正確には、制御及び分析ユニット20、又はむしろ画像分析モジュール24は、上述のステップS3からS5を実施するように構成される機械学習モジュールを含んでもよい。
【0108】
その点で、機械学習モジュールは、例えば畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などの人工ニューラルネットワーク、及び/又は、画像を分析する、少なくとも1つの特性量を決定する、それぞれの投影ユニット28の品質を評価する、及び/又はテスト14の結果でデバイスをクラスに割り当てるように事前学習済みの再帰型ニューラルネットワーク(RNN)を含む。
【0109】
当然、適切な他のいかなるタイプのニューラルネットワークが採用されてもよい。
【0110】
さらに、統計的手法及び機械学習の手法は組み合わせられてもよい。
【0111】
特に、機械学習モジュールは、投影ユニット28の品質を、統計的手法を介して評価して得られたデータを用いて事前学習してもよい。
【0112】
より正確には、上述の方法で統計的手法を介して多くのサンプル画像が分析される。したがって、一方でサンプル画像を、及び他方でそれぞれのサンプル画像、及び/又はそれぞれのサンプル投影ユニット28の品質クラスに対応する少なくとも1つの特性量を含むラベル付き教師データが得られる。
【0113】
機械学習モジュールにはラベル付き教師データがフィードされる。機械学習モジュールは少なくとも1つの特性量を決定する、及び/又はそれぞれの画像を品質クラスの1つに分類する。
【0114】
その後、機械学習モジュールの重み係数(weighting factors)が、決定された少なくとも1つの特性量、及び/又は実際の特性量から決定された品質クラス、及び/又は統計的手法を介して判断された投影ユニット28の実際の品質クラスに基づいて調節される。
【0115】
要約すると、テストシステム10は、個々の、又は多くの投影ユニット28の品質を、投影ユニット28の製造中に評価するように構成される。品質の評価に基づいて、個々の投影ユニット28は統計的手法を介して、機械学習手法を介して、又はそれら両方の組み合わせを介して、品質クラスに分類される。
【0116】
したがって、テストシステム10は、ある品質特性を要求する応用に対する個々の投影ユニット28の適格性を判断する方法を提供する。