(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】食品用の容器本体
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20241031BHJP
B65D 1/36 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B65D85/50 100
B65D1/36
(21)【出願番号】P 2020156936
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】396000422
【氏名又は名称】リスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛田 旭
(72)【発明者】
【氏名】沖村 真一郎
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-030843(JP,A)
【文献】特開2016-182988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面と、食品を支持するための凸部とを備えた巻きずし又はロールケーキの食品用の容器本体であって、
前記凸部は、前記底面上に前記食品が自重で撓まない程度の間隔をもって少なくとも2つ以上設けられており、
隣接する前記凸部に設けられた各凹状支持面は、同一直線上に並んでいる
と共に、同じ高さであることを特徴とする食品用の容器本体。
【請求項2】
前記凹状支持面は、円弧形状をしていることを特徴とする請求項1に記載の食品用の容器本体。
【請求項3】
前記凸部は、互いに平行に配置されると共に、前記凸部の側面に傾斜面部を備えており、
前記各傾斜面部も、互いに平行に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品用の容器本体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、包装用容器の容器本体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、細長い食品を収容する包装用容器の容器本体が、スーパーやコンビニエンスストア等で使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1や特許文献2の包装用容器の容器本体は、細長い棒状の食品を支持する凸部が底面上に2つ設けられており、細長い棒状の食品を2点で支持している。しかしながら、恵方巻やロールケーキのように、太くて重い棒状の食品は、単に2点で支持しても、食品自体が自重で撓んでしまうため、見栄えが良くないという問題があった。また、食品自体が自重で撓んで変形するため、食品を容器本体から取り出しにくくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-98029
【文献】特開昭61-98217
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本願発明は、上記問題に鑑み、太くて重い棒状の食品であっても、見栄えを良く収容することが出来ると共に、食品を取り出しやすい容器本体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項1に係る容器本体は、底面と、食品を支持するための凸部とを備えた巻きずし又はロールケーキの食品用の容器本体であって、前記凸部は、前記底面上に前記食品が自重で撓まない程度の間隔をもって少なくとも2つ以上設けられており、隣接する前記凸部に設けられた各凹状支持面は、同一直線上に並んでいると共に、同じ高さであることを特徴とする。
【0007】
上記特徴によれば、容器本体に収容された食品は、2つ以上の凸部によって支持されているので、自重で撓むことなく綺麗に収容され、見栄えが良い状態を維持できる。さらに、食品は、凸部によって底面よりも高い位置で収容されているため、容器本体から取り出しやすい。
【0008】
さらに、本願発明の請求項2に係る容器本体は、前記凹状支持面は円弧形状をしていることを特徴とする。
【0009】
上記特徴によれば、凹状支持面は、棒状の食品の形状に合わせて円弧形状をしているので、棒状の食品が転がりにくい。
【0010】
さらに、本願発明の請求項3に係る容器本体は、前記凸部は、互いに平行に配置されると共に、前記凸部の側面に傾斜面部を備えており、前記各傾斜面部も、互いに平行に配置されていることを特徴とする。
【0011】
上記特徴によれば、短い棒状の細巻き等の食品を収容する場合であっても、食品を容器本体に、同じ方向に揃えて綺麗に整列させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本願発明の容器本体は、太くて重い棒状の食品であっても、見栄えを良く収容することが出来ると共に、食品を取り出しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は、蓋体の平面図、(b)は、蓋体の側面図、(c)は、A-A端面図である。
【
図2】(a)は、本願発明の容器本体の平面図、(b)は、容器本体の側面図である。
【
図3】(a)は、
図2(a)のB-B端面図、(b)は、
図2(a)のC-C端面図である。
【
図4】(a)は、包装用容器の平面図、(b)は、包装用容器の側面図、(c)はD-D端面図である。
【
図5】(a)は、容器本体の平面図、(b)はE-E端面図、(c)はF-F端面図である。
【
図6】(a)は、容器本体の平面図、(b)は、G-G端面図である。
【符号の説明】
【0014】
200 容器本体
210 底面
270 凸部
271 凹状支持面
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本明細書において、「上方」とは、容器本体の開口面を上にして水平面上に載置した際に、鉛直方向における上方に向かう方向のことであり、「下方」とは鉛直方向における下方に向かう方向のことである。
【0016】
まず、
図1には、蓋体100を示す。なお、
図1(a)は蓋体100の平面図、
図1(b)は、蓋体100の側面図、
図1(c)は、A-A端面図である。
【0017】
図1に示すように、蓋体100は下方に開口した深皿型形状であり、平面視略長方形の平坦な天面110と、当該天面110の外周111から斜め下方へ向けて連続する側壁120と、当該側壁120から外側へ延出するフランジ部130と、フランジ部130から下方へ延出するスカート部140と、スカート部140の一部に設けられた蓋体側嵌合部150と、スカート部140の下端から側方へ延出する平坦な縁部160とを備える。そして、この側壁120、フランジ部130、スカート部140、及び縁部160は、蓋体100の周方向へ全周にわたり連続して設けられている。なお、側壁120とフランジ部130の間には、直線状に延びる溝部131が設けられており、蓋体100を容器本体200に嵌合させる際に、溝部131を起点に蓋体側嵌合部150全体を僅かに弾性変形させて、嵌合させやすくしている。
【0018】
また、蓋体側嵌合部150は、蓋体100の長辺側のスカート部140の略中央と、蓋体100のコーナー部の四隅のスカート部140にそれぞれ部分的に設けられているが、これに限定されず、蓋体100の周方向の全周に蓋体側嵌合部150を設けるなど、スカート部140の任意の箇所に連続的に又は断続的に蓋体側嵌合部150を設けることができる。また、蓋体100は平面視略長方形となっているが、これに限定されず、平面視略多角形や平面視略円形等、任意の形状とすることができる。
【0019】
次に、
図2、及び
図3には、蓋体100によって被蓋される本願発明の容器本体200を示す。なお、
図2(a)は、容器本体200の平面図、
図2(b)は、容器本体200の側面図、
図3(a)は、
図2(a)のB-B端面図、
図3(b)は、
図2(a)のC-C端面図である。
【0020】
図2及び
図3に示すように、容器本体200は、上方に開口した浅皿型形状であり、平面視略長方形の平坦な底面210と、当該底面210の外周211において下方に膨出した脚部212が設けられている。さらに、底面210の外周211から立ち上がるように形成された側壁220と、当該側壁220から外側へ延出するフランジ部230と、フランジ部230から下方へ延出するスカート部240と、スカート部240の一部に設けられた容器側嵌合部250と、スカート部240の下端から側方へ延出する平坦な縁部260とを備える。そして、この側壁220、フランジ部230、スカート部240、及び縁部260は、容器本体200の周方向へ全周にわたり連続して設けられている。
【0021】
底面210の上には、底面210から上方へ突出した凸部270が5つ設けられている。この凸部270は、容器本体200の両側の長辺へ向けて直線状に延出しており、縦断面(B-B断面)が略三角形状となっている。なお、この凸部270は5つ設けられているが、これに限定されず、2つや6つなど、少なくとも2つ以上設けられていればよい。より好ましくは、恵方巻やロールケーキのように、太くて重い棒状の食品が自重で撓まない程度に分散させながら支持できるように、凸部270は3つ以上設けられていればよい。また、凸部270の上端には、下方へ窪んだ凹状支持面271が形成されており、この凹状支持面271は、後述する恵方巻等の棒状の食品が転がりにくいように、棒状の食品の形状に合わせて円弧形状をしている。この凸部270の凹状支持面271は、同一直線上に並んでおり(
図2(a)に示すように、B-B直線上に並んでいる)、恵方巻等の棒状の食品をそのまま真っすぐに収容できる。
【0022】
なお、底面210は平坦な水平面であるが、これに限定されず、食品の中身を見やすくするために、全体を傾斜させてもよい。また、各凸部270は互いに平行に配置されているが、これに限定されず、互いに横並びに配置されているのであれば、各凸部270は平行に配置されていなくてもよい。また、各凸部270は互いに等間隔で配置されているが、これに限定されず、互いの間隔は任意に設定でき、等間隔でなくてもよい。また、凸部270の凹状支持面271は円弧形状をしているが、これに限定されず、食品が転がらないように窪んでいるのであれば、略コ字形状など任意の形状であってもよい。また、凸部270の各凹状支持面271の中央部275が同一直線上に位置するように、凸部270の凹状支持面271は同一直線上に並んでいるが、これに限定されず、凹状支持面271の一部が同一直線上に並んでいれば、各凹状支持面271は互いに前後方向に(
図2(a)においてB-B直線に対して直角方向)ずれていてもよい。
【0023】
さらに、凸部270の片側の側面には傾斜面部272が設けられており、
図3(a)に示すように、各傾斜面部272は傾斜角度が等しく、互いに平行に配置されている。また、凸部270において、傾斜面部272の反対側の側面にも傾斜面部273が設けられており、
図3(a)に示すように、各傾斜面部273は傾斜角度が等しく、互いに平行に配置されている。この傾斜面部272又は傾斜面部273には、後述するように細巻き等の食品を寝かせるように収容できる。2つ以上の両端の凸部270には、外側の側面に、傾斜面部よりも傾斜が急な垂直面部274が各々設けられており、傾斜面部に比べて容器本体200から食品を取り出しやすくしている。なお、凸部270は、両側の側面に傾斜面部を備えているので、どちら側からでも食品を寝かせるように収容できるが、これに限定されず、凸部270の片側にのみに傾斜面部を設けてもよい。また、各傾斜面部は互いに平行に配置されているが、これに限定されず、各傾斜面部は任意の傾斜角度で傾かせて、互いに平行にしなくてもよい。
【0024】
なお、容器側嵌合部250は、容器本体200の長辺側のスカート部240の略中央と、容器本体200のコーナー部の四隅のスカート部240にそれぞれ部分的に設けられているが、これに限定されず、容器本体200の周方向の全周に容器側嵌合部250を設けるなど、スカート部240の任意の箇所に連続的に又は断続的に容器側嵌合部250を設けることができる。また、容器本体200は平面視略長方形となっているが、これに限定されず、平面視略多角形や平面視略円形等、任意の形状とすることができる。
【0025】
なお、蓋体100、及び容器本体200は、厚さが約0.1mmから1.00mm程度のシート状の素材を用いて、シート成形(例えば、真空成形、圧空成形、熱盤成形)されたものであり、例えば、蓋体100や容器本体200の素材としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、A-PET、ポリ乳酸や、これらを二軸延伸させた合成樹脂や、紙や金属などを用いることができる。
【0026】
では次に、本願発明の容器本体200へ蓋体100を嵌合させた包装用容器300について、
図4を参照して説明する。なお、
図4では、包装用容器300に食品M1が収容されており、
図4(a)は、包装用容器300の平面図、
図4(b)は、包装用容器300の側面図、
図4(c)はD-D端面図である。
【0027】
図4に示すように、容器本体200の各凸部270の凹状支持面271の上に、恵方巻やロールケーキ等の細長い棒状の食品M1を載置して収容し、その上から蓋体100を被せる。蓋体100の蓋体側嵌合部150は、容器本体200の容器側嵌合部250に外嵌合しているので、包装用容器300は食品M1を収容した状態で密閉されている。そして、包装用容器300はスーパーやコンビニエンスストア等の店頭で陳列されて販売される。この食品M1を購入した顧客は、
図5に示すように包装用容器300から蓋体100を外して、食品M1を食すことになる。なお、
図5(a)は、容器本体200の平面図、
図5(b)はE-E端面図、
図5(c)はF-F端面図である。
【0028】
図5に示すように、容器本体200に収容された食品M1は、自重で撓まない程度の間隔をもって2つ以上の凸部270によって支持されているので、自重で撓むことなく綺麗に収容されており、見栄えが良い状態を維持している。この凸部270の間隔は、食品M1の自重との関係で決まるものであり、間隔が小さいほど食品M1が自重で撓むことがないため、間隔が無くてもよく、逆に間隔が大きい場合はその間に凸部270を設けてもよい。また、食品M1は凸部270の凹状支持面271によって支持されているので、食品M1は容器本体200上で転がりにくく、包装用容器300の陳列や運搬を行いやすい。さらに、各凹状支持面271は同一直線上に並んでいるので、細長い棒状の食品M1が曲がることなく真っすぐに収容され、見栄えが良い状態を維持できる。
【0029】
また、食品M1は、底面210から上方に突出した凸部270によって、容器本体200の底面210よりも高い位置で収容されている。そのため、食品M1が包装用容器300内に収容されても外側から視認しやすく、消費者の購買意欲に視覚的に訴えることができる。また、購入者は食品M1を食す際には、食品M1を容器本体200から取り出しやすい。特に、凸部270の上端は、容器本体200の側壁220の上端のフランジ部230よりも高くなっているので、凸部270上に支持された食品M1は、容器本体200の側壁220やフランジ部230に隠れることなく、食品M1全体を外側から視認させることができるため、非常に見栄えが良い。そして、購入者が食品M1を容器本体200から取り出す際も、購入者の指などが容器本体200の側壁220やフランジ部230に邪魔されることなく、食品M1を容易に取り出すことが出来る。なお、食品M1が転がって容器本体200から落下しないように、凸部270の凹状支持面271によって、食品M1はしっかりと保持されている。
【0030】
また、隣接する凸部270の凹状支持面271は互いに離間しており、凸部270の間には隙間Xが存在しているので、その隙間Xから、例えば指等を入れて食品M1を容易に取り出すことができる。また、凸部270の間の隙間Xに向けて、食品M1の上方から包丁等で切り込みを入れれば、食品M1を綺麗に小さく切断することが出来る。また、横並びになった凸部270によって、食品M1の大きさ(量)を認識しやすく便利である。
【0031】
なお、
図5では、各凸部270は1つの凹状支持面271を備えており、各凹状支持面271を跨ぐように、1本の細長い棒状の食品M1を収容していたが、これに限定されない。例えば、各凸部270は、2つ以上の凹状支持面271を備えていてもよく、各凹状支持面271を跨ぐように、2本以上の細長い棒状の食品M1を収容してもよい。さらに、
図5では、細長い棒状の食品M1を容器本体200に収容していたが、これに限定されない。例えば、
図6に示すように、1本の細長い棒状の食品M1の代わりに、短い棒状の細巻き等の食品M2を複数収容してもよい。なお、
図6(a)は、容器本体200の平面図、
図6(b)は、G-G端面図である。
【0032】
図6に示すように、凸部270の各傾斜面部272上に、食品M2を寝かせるように収容することで、複数の食品M2を容器本体200上に、中身が良く見えるように見栄え良く並べることが出来る。特に、凸部270は少なくとも2つ以上設けられているので、複数の食品M2を並べることができる。さらに、凸部270は互いに平行に配置され、傾斜面部272も互いに平行に配置されているので、
図6に示すように、複数の食品M2を同じ方向に揃えて綺麗に整列させることができ、消費者の購買意欲に視覚的に訴えることができる。このように、本願発明の容器本体200は、
図5に示すように、細長い棒状の食品M1を収容する容器としても、
図6に示すように、複数の短い棒状の食品M2を収容する容器としても、利用できるのである。なお、
図4から
図6に示す包装用容器300では、容器本体200に蓋体100を取り付けているが、これに限定されず、蓋体100を取り付ける代わりに、容器本体200の食品を包み込むように袋やシート等を被せてもよい。また、容器本体200に収容される食品として、細長い棒状の食品M1や短い棒状の食品M2を記載したが、これに限定されず、容器本体200に収容される食品はその他の任意の物でもよい。
【0033】
なお、本願発明の容器本体は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。