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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】力率改善回路の制御回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020168299
(22)【出願日】2020-10-05
(65)【公開番号】P2022060692
(43)【公開日】2022-04-15
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前島 聡
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-295800(JP,A)
【文献】特開平11-103571(JP,A)
【文献】特開2012-182968(JP,A)
【文献】米国特許第08525501(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
DC/DCコンバータを有する力率改善回路の制御回路であって、
全波整流波形を有する第1電圧を受けるように構成される入力電圧検出端子と、
前記DC/DCコンバータの出力電圧に応じた第1検出電圧と基準電圧との誤差を増幅し、第2電圧を生成するように構成される誤差増幅回路と、
前記第1電圧と前記第2電圧を乗算することによって第3電圧を生成し、前記第3電圧にオフセット電圧を加えて第4電圧を生成するように構成される演算回路と、
前記DC/DCコンバータのスイッチングトランジスタに流れる電流に応じた第2検出電圧と、前記第4電圧とを比較するように構成されるコンパレータと、
前記スイッチングトランジスタをオン/オフ駆動し、前記コンパレータの出力に応じて、前記第2検出電圧が前記第4電圧より高くなるごとに前記スイッチングトランジスタをオフするように構成される駆動回路と、
を備え
前記演算回路は、前記第1電圧に応じて前記オフセット電圧を可変するように構成される、制御回路。
【請求項2】
前記演算回路は、前記第1電圧が高いほど、前記オフセット電圧が小さくなるように前記オフセット電圧を可変するように構成される、請求項に記載の制御回路。
【請求項3】
前記演算回路は、前記第1電圧が高いほど、前記オフセット電圧が線形的に小さくなるように前記オフセット電圧を可変するように構成される、請求項に記載の制御回路。
【請求項4】
前記オフセット電圧の最小値が零以上である、請求項1~のいずれか一項に記載の制御回路。
【請求項5】
前記演算回路は、
定電流を生成するように構成される定電流回路と、前記第1電圧に応じた第1電流を生成するように構成される第1電流生成回路と、を備え、
前記定電流から前記第1電流を引き抜いた後の電流に基づき前記オフセット電圧を生成するように構成される、請求項のいずれか一項に記載の制御回路。
【請求項6】
スイッチングトランジスタを含むDC/DCコンバータの出力回路と、
前記スイッチングトランジスタを駆動するように構成される請求項1~のいずれか一項に記載の制御回路と、
を備える、力率改善回路。
【請求項7】
交流電圧を全波整流するように構成される整流回路と、
前記整流回路の出力電圧を受けるように構成される請求項に記載の力率改善回路と、
を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、力率改善回路の制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
力率改善回路は、AC/DC(交流/直流)変換する電源装置の交流入力電圧と交流入力電流をモニタし、それらの位相を略一致させて力率を1(すなわち100%)に近い状態に近づける(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-182968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
交流入力電流の歪は、全高調波歪(THD:Total Harmonic Distortion)として表される。THDが大きいと、力率改善回路を搭載する電子機器以外の他機器に悪影響が及ぶおそれがある。つまり、力率改善回路においてTHDを小さくする制御が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書中に開示されている制御回路は、DC/DCコンバータを有する力率改善回路の制御回路であって、全波整流波形を有する第1電圧を受けるように構成される入力電圧検出端子と、前記DC/DCコンバータの出力電圧に応じた第1検出電圧と基準電圧との誤差を増幅し、第2電圧を生成するように構成される誤差増幅回路と、前記第1電圧と前記第2電圧を乗算することによって第3電圧を生成し、前記第3電圧にオフセット電圧を加えて第4電圧を生成するように構成される演算回路と、前記DC/DCコンバータのスイッチングトランジスタに流れる電流に応じた第2検出電圧と、前記第4電圧とを比較するように構成されるコンパレータと、前記スイッチングトランジスタをオン/オフ駆動し、前記コンパレータの出力に応じて、前記第2検出電圧が前記第4電圧より高くなるごとに前記スイッチングトランジスタをオフするように構成される駆動回路と、を備える構成(第1の構成)とする。
【0006】
また、上記第1の構成の制御回路において、前記演算回路は、前記第1電圧に応じて前記オフセット電圧を可変するように構成される構成(第2の構成)であってもよい。
【0007】
また、上記第2の構成の制御回路において、前記演算回路は、前記第1電圧が高いほど、前記オフセット電圧が小さくなるように前記オフセット電圧を可変するように構成される構成(第3の構成)であってもよい。
【0008】
また、上記第3の構成の制御回路において、前記演算回路は、前記第1電圧が高いほど、前記オフセット電圧が線形的に小さくなるように前記オフセット電圧を可変するように構成される構成(第4の構成)であってもよい。
【0009】
また、上記第1~第4いずれかの構成の制御回路において、前記オフセット電圧の最小値が零以上である構成(第5の構成)であってもよい。
【0010】
また、上記第2~第5いずれかの構成の制御回路において、前記演算回路は、定電流を生成するように構成される定電流回路と、前記第1電圧に応じた第1電流を生成するように構成される第1電流生成回路と、を備え、前記定電流から前記第1電流を引き抜いた後の電流に基づき前記オフセット電圧を生成するように構成される構成(第6の構成)であってもよい。
【0011】
本明細書中に開示されている力率改善回路は、スイッチングトランジスタを含むDC/DCコンバータの出力回路と、前記スイッチングトランジスタを駆動するように構成される上記第1~第6いずれかの構成の制御回路と、を備える構成(第7の構成)とする。
【0012】
本明細書中に開示されている電子機器は、交流電圧を全波整流するように構成される整流回路と、前記整流回路の出力電圧を受けるように構成される上記第7の構成の力率改善回路と、を備える構成(第8の構成)とする。
【発明の効果】
【0013】
本明細書中に開示されている制御回路は、力率改善回路のTHDを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一実施形態に係る電子機器の構成を示す図
図2】力率改善回路の一例を示す図
図3】オフセット電圧生成回路の一例を示す図
図4】第1演算回路の一例を示す図
図5】第1変換回路の一例を示す図
図6】第2変換回路の一例を示す図
図7】第2演算回路の一例を示す図
図8】交流電圧及び入力電流の波形図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において、基準電圧とは、理想的な状態において一定である電圧を意味しており、実際には温度変化等により僅かに変動し得る電圧である。
【0016】
本明細書において、定電流とは、理想的な状態において一定である電流を意味しており、実際には温度変化等により僅かに変動し得る電流である。
【0017】
本明細書において、定電圧とは、理想的な状態において一定である電圧を意味しており、実際には温度変化等により僅かに変動し得る電圧である。
【0018】
図1は、一実施形態に係る電子機器1の構成を示す回路図である。電子機器1としては、例えばテレビ、冷蔵庫、空気調和機などの家電製品、又はコンピュータなどを挙げることができる。電子機器1は、ヒューズ2、コンデンサ3、フィルタ4、整流回路5、コンデンサ6、及び力率改善(PFC:Power Factor Correction)回路7を備える。電子機器1は、DC/DCコンバータ8、マイコン9、及び信号処理回路10をさらに備える。電子機器1は、DC/DCコンバータ8の絶縁トランス(不図示)を境界として、互いに絶縁される1次側と2次側に分けられる。
【0019】
整流回路5は、例えばダイオードブリッジの整流回路である。商用交流電圧などの交流電圧VACは、ヒューズ2、コンデンサ3、及びフィルタ4を経由して整流回路5に供給される。整流回路5は、交流電圧VACを全波整流して第1電圧Vを生成する。したがって、第1電圧Vは、全波整流波形を有する。
【0020】
第1電圧Vは、コンデンサ6を経由してPFC回路7に供給される。PFC回路7は、第1電圧Vから出力電圧VDCを生成する昇圧型のDC/DCコンバータ(スイッチングレギュレータ)を有する。PFC回路7は、第1電圧Vと入力電流IACの位相を略一致させることにより力率を改善する。
【0021】
DC/DCコンバータ8は、PFC回路7の出力電圧VDCを受け、これを降圧して負荷であるマイコン9及び信号処理回路10それぞれに供給する。
【0022】
マイコン9は、電子機器1全体を統合的に制御する。信号処理回路10は、特定の信号処理を行うブロックであり、例えば外部機器との通信を行うインタフェース回路、画像処理回路、音声処理回路などを挙げることができる。現実の電子機器1においては、その機能に応じて複数の信号処理回路10が設けられることはいうまでもない。
【0023】
以上が電子機器1の構成に関する説明である。このように、交流電圧VACを全波整流する整流回路5と、全波整流された第1電圧Vを昇圧して出力電圧VDCを生成するPFC回路7と、を備える電子機器によりAC/DC変換を行う。次に、電子機器1に搭載されるPFC回路7の詳細について説明する。
【0024】
図2は、一実施形態に係るPFC回路7の構成を示す回路図である。PFC回路7は、上述した通り昇圧型のDC/DCコンバータ(スイッチングレギュレータ)を有する。なお、本実施形態とは異なり、PFC回路7は、昇圧型以外のDC/DCコンバータを有してもよい。
【0025】
PFC回路7は、IC700と、抵抗R1~R9と、キャパシタC1~C6と、ダイオードD1及びD2と、インダクタL1及びL2と、スイッチングトランジスタM1と、を備える。本実施形態では、スイッチングトランジスタM1は、NMOSトランジスタである。
【0026】
IC700は、PFC回路7の制御回路である。IC700は、端子VCCと、端子GNDと、端子ZCDと、端子OUTと、端子CSと、端子MULTと、端子EOと、端子VSと、を備える。
【0027】
抵抗R1の一端に第1電圧Vが印加される。抵抗R1の他端は、抵抗R2の一端、キャパシタC5の一端、及び端子MULTに接続される。抵抗R2の他端及びキャパシタC5の他端はグラウンド電位に接続される。このような構成により、第1電圧Vの抵抗R1及びR2による分圧である第1電圧VMULTが端子MULTに供給される。
【0028】
抵抗R1の一端は、インダクタL1の一端及びダイオードD1のアノードに接続される。インダクタL1の他端はダイオードD2のアノード及びスイッチングトランジスタM1のドレインに接続される。ダイオードD1及びD2の各カソードは、キャパシタC1の一端に接続される。キャパシタC1の他端はグラウンド電位に接続され、スイッチングトランジスタM1のゲートは抵抗R8を介して端子OUTに接続され、スイッチングトランジスタM1のソースは抵抗R9を介してグラウンド電位に接続される。このような構成により、PFC回路7は、昇圧型のDC/DCコンバータ(スイッチングレギュレータ)を備えることになる。昇圧型のDC/DCコンバータ(スイッチングレギュレータ)の出力電圧である電圧VDCはキャパシタC1の一端から出力される。
【0029】
インダクタL1とインダクタL2とは磁気結合する。インダクタL2の一端は抵抗R7を介して端子ZCDに接続される。インダクタL2の他端はグラウンド電位に接続される。このような構成により、IC700は、端子ZCDに供給される電圧を監視することでインダクタL1を流れる電流のゼロクロスを検出することが可能となる。
【0030】
抵抗R3の一端に電圧VDCが印加される。抵抗R3の他端は、抵抗R4の一端、キャパシタC2の一端、及び端子VSに接続される。抵抗R4の他端及びキャパシタC2の他端はグラウンド電位に接続される。このような構成により、電圧VDCの抵抗R3及びR4による分圧である第1検出電圧Vが端子VSに供給される。
【0031】
抵抗R9の一端はスイッチングトランジスタM1のソースに接続され、抵抗R9の他端はグラウンド電位に接続される。抵抗R9の両端間には、スイッチングトランジスタM1に流れる電流(スイッチングトランジスタM1のドレイン電流)に比例した電圧が生ずる。抵抗R9の両端間に生ずる電圧は、抵抗R6及びキャパシタC6によって構成されるRC回路(ローパスフィルタ)は、抵抗R9の両端間に生ずる電圧の高周波成分を除去して第2検出電圧VCSを生成し、第2検出電圧VCSをCSに供給する。第2検出電圧VCSは、スイッチングトランジスタに流れる電流に応じた電圧である。
【0032】
抵抗R5の一端及びキャパシタC3の一端は、端子EOに接続される。抵抗R5の他端はキャパシタC4の一端に接続される。キャパシタC3の他端及びキャパシタC4の他端はグラウンド電位に接続される。端子VCCに電源電圧VCCが供給され、端子GNDはグラウンド電位に接続される。
【0033】
以下、IC700の具体的な構成を説明する。
【0034】
IC700は、ツェナーダイオード701、コンパレータ702、バンドギャップ基準電圧回路703、定電圧回路704、及び過熱保護回路705を備える。ツェナーダイオード701のアノードはグラウンド電位に接続され、ツェナーダイオード701のカソードは端子VCCに接続される。
【0035】
ツェナーダイオード701は、電源電圧VCCをツェナー電圧にクランプする。コンパレータ702の反転入力端子、バンドギャップ基準電圧回路703、及び定電圧回路704は端子VCCに接続される。
【0036】
コンパレータ702は、ヒステリシスコンパレータであり、電源電圧VCCを閾値電圧と比較し、比較結果を示す低電圧ロックアウト信号UVLOを出力する。電源電圧VCCが閾値電圧以上であれば低電圧ロックアウト信号UVLOはローレベル(正常状態を示すレベル)になり、電源電圧VCCが閾値電圧未満であれば低電圧ロックアウト信号UVLOはハイレベル(異常状態を示すレベル)になる。コンパレータ702で用いられる閾値電圧は、低電圧ロックアウト信号UVLOのレベルに応じて、第1閾値電圧VTH1(例えば8[V])と第2閾値電圧VTH2(例えば13[V])とを遷移する。
【0037】
バンドギャップ基準電圧回路703は、電源電圧VCCを用いて基準電圧を生成して定電圧回路704に供給する。
【0038】
定電圧回路704は、電源電圧VCC及び基準電圧を用いて定電圧を生成し、IC700の各部に供給する。
【0039】
過熱保護回路705は、周辺温度を検知し、周辺温度が閾値温度以上であればハイレベル(異常状態を示すレベル)の過熱保護信号TSDを出力し、周辺温度が閾値温度未満であればローレベル(正常状態を示すレベル)の過熱保護信号TSDを出力する。
【0040】
IC700は、コンパレータ706、起動時過昇圧低減回路707、コンパレータ708、及びコンパレータ709をさらに備える。
【0041】
コンパレータ706は、第1検出電圧Vを閾値電圧VTH3(例えば2.25[V])と比較し、比較結果を起動時過昇圧低減回路707に出力する。第1検出電圧Vが閾値電圧VTH3以上であればコンパレータ706の出力信号はハイレベル(異常状態を示すレベル)になり、第1検出電圧Vが閾値電圧VTH3未満であればコンパレータ706の出力信号はローレベル(正常状態を示すレベル)になる。
【0042】
起動時過昇圧低減回路707は、起動時過昇圧低減信号OVRを出力する。起動時過昇圧低減回路707は、コンパレータ706の出力信号及び後述するコンパレータ30の出力電圧VCOMPに基づき、起動時に第1検出電圧Vが閾値電圧VTH3まで上昇すると、後述する第2電圧V2が下降して後述する定電圧VBURSTになるまで、起動時過昇圧低減信号OVRをハイレベル(異常状態を示すレベル)にし、それ以外のときには起動時過昇圧低減信号OVRをローレベル(正常状態を示すレベル)にする。
【0043】
コンパレータ708は、第1検出電圧Vを閾値電圧VTH4(例えば0.3[V])と比較し、比較結果である短絡保護信号SPを出力する。第1検出電圧Vが閾値電圧VTH4以上であれば短絡保護信号SPはローレベル(正常状態を示すレベル)になり、第1検出電圧Vが閾値電圧VTH4未満であれば短絡保護信号SPはハイレベル(異常状態を示すレベル)になる。
【0044】
コンパレータ709は、ヒステリシスコンパレータであり、第1検出電圧Vを閾値電圧と比較し、比較結果を示す静的過電圧保護信号SOVPを出力する。第1検出電圧Vが閾値電圧以上であれば静的過電圧保護信号SOVPはハイレベル(異常状態を示すレベル)になり、第1検出電圧Vが閾値電圧未満であれば静的過電圧保護信号SOVPはハイレベル(異常状態を示すレベル)になる。コンパレータ709で用いられる閾値電圧は、静的過電圧保護信号SOVPのレベルに応じて、第5閾値電圧VTH5(例えば2.6[V])と第6閾値電圧VTH6(例えば2.7[V])とを遷移する。
【0045】
IC700は、誤差増幅回路710、ORゲート711、NMOSトランジスタ712、演算回路713、ツェナーダイオード714、コンパレータ715、及び駆動回路DRV1をさらに備える。
【0046】
誤差増幅回路710は、PFC回路7に設けられる昇圧型のDC/DCコンバータ(スイッチングレギュレータ)の出力電圧VDCに応じた第1検出電圧Vと、基準電圧VREFとの誤差を増幅し、第2電圧V2を生成する。なお、誤差増幅回路710での増幅率は1であっても構わない。誤差増幅回路710は、第2電圧V2を端子EO及び演算回路713に供給する。
【0047】
ORゲート711は、低電圧ロックアウト信号UVLOと起動時過昇圧低減信号OVRとの論理和をNMOSトランジスタ712のゲートに出力する。NMOSトランジスタ712のドレインは端子EOに接続され、NMOSトランジスタ712のソースはグラウンド電位に接続される。NMOSトランジスタ712は、端子EOに印加される第2電圧を放電するためのスイッチである。したがって、低電圧ロックアウト信号UVLO及び起動時過昇圧低減信号OVRの少なくとも一方がローベルであるときに、NMOSトランジスタ712がオンになって第2電圧V2が下降する。
【0048】
演算回路713は、交流電圧(第1電圧)VMULTと第2電圧V2を乗算することによって第3電圧を生成し、当該第3電圧にオフセット電圧VOFFSETを加えて第4電圧V4を生成する。
【0049】
第4電圧V4は、コンパレータ715の反転入力端子に接続される。ツェナーダイオード714のカソードはコンパレータ715の反転入力端子に接続され、ツェナーダイオード714のアノードはグラウンド電位に接続される。ツェナーダイオード714は、第4電圧V4をツェナー電圧にクランプする。
【0050】
コンパレータ715は、スイッチングトランジスタM1に流れる電流に応じた第2検出電圧VCSと第4電圧V4とを比較し、比較結果を示す電圧VCOMPを出力する。
【0051】
駆動回路DRV1は、スイッチングトランジスタM1をオン/オフ駆動し、コンパレータ715の出力である電圧VCOMPに応じて、第2検出電圧VCSが第4電圧V4より高くなるごとにスイッチングトランジスタM1をオフする。すなわち、駆動回路DRV1は、コンパレータ715の出力である電圧VCOMPに基づき、スイッチングトランジスタM1をオフする。駆動回路DRV1の構成は特に限定されず、公知の技術を用いればよい。
【0052】
図2には、駆動回路DRV1の一例が示される。駆動回路DRV1は、コンパレータ716、ワンショット回路717、タイマー718、ORゲート719、フリップフロップ720、ANDゲート721、プリドライバ722、ゲートクランプ回路723、PMOSトランジスタ724、NMOSトランジスタ725、及び抵抗726を含む。
【0053】
コンパレータ716は、ヒステリシスコンパレータであり、端子ZCDに印加される電圧を閾値電圧と比較し、比較結果をワンショット回路717に出力する。端子ZCDに印加される電圧が閾値電圧以上であればコンパレータ716の出力信号はローレベルになり、端子ZCDに印加される電圧が閾値電圧未満であればコンパレータ716の出力信号はハイレベルになる。コンパレータ716で用いられる閾値電圧は、コンパレータ716の出力信号のレベルに応じて、第7閾値電圧VTH7(例えば0.67[V])と第8閾値電圧VTH8(例えば0.9[V])とを遷移する。
【0054】
ワンショット回路717は、コンパレータ716の出力信号はハイレベルになると、ワンショットパルスをORゲート719の第1入力端子に供給する。
【0055】
タイマー718は、一定時間を計時すると、ハイレベルの信号をORゲート719の第2入力端子に供給する。タイマー718の計時は、プリドライバ722がANDゲートからハイレベルの信号を受け取る度にリセットされる。
【0056】
ORゲート719は、ワンショット回路717の出力信号とタイマー718の論理和をRSフリップフロップ720のセット端子(S)に供給する。RSフリップフロップ720のリセット端子(R)にはコンパレータ715の出力である電圧VCOMPが供給される。RSフリップフロップ48の出力(Q)は、セット端子(S)に印加される電圧のポジティブエッジごとにハイレベルに遷移し、リセット端子(R)に印加される電圧のポジティブエッジごとにローレベルに遷移する。
【0057】
ANDゲート720は、低電圧ロックアウト信号UVLOと、RSフリップフロップ720の出力信号と、静的過電圧保護信号SOVPの反転信号と、短絡保護信号SPの反転信号と、過熱保護信号TSDの反転信号との論理積をプリドライバ722に供給する。
【0058】
プリドライバ722は、ANDゲート720の出力に基づき、PMOSトランジスタ724及びNMOSトランジスタ725を相補的にオン/オフ駆動する。
【0059】
PMOSトランジスタ724のソースはゲートクランプ回路723に接続され、PMOSトランジスタ724のドレインはNMOSトランジスタ725のドレイン、端子OUT、及び抵抗726の一端に接続される。NMOSトランジスタ725のソースはグラウンド電位及び抵抗726の他端に接続される。ゲートクランプ回路723は、電源電圧VCCから端子OUTに印加されるハイレベルの電圧を生成する。ゲートクランプ回路723は、端子OUTに印加されるハイレベルの電圧を一定電圧にクランプして、端子OUTに印加されるハイレベルの電圧が、電源電圧VCCが上昇した際にスイッチングトランジスタM1のゲート-ソース間耐圧を超えないようにする。
【0060】
以上がPFC回路7の構成に関する説明である。続いて、演算回路713内に設けられるオフセット電圧生成回路713Aの具体的な構成例を説明する。
【0061】
図3には、オフセット電圧生成回路713Aの一例が示される。オフセット電圧生成回路713Aは、定電流生成回路713A1、第1電流生成回路713A2、及び抵抗R10を含む。
【0062】
定電流生成回路713A1は、PMOSトランジスタM2及びM3によって構成されるカレントミラー回路と、電流源IS1と、を含む。定電圧回路704から出力される定電圧VDDは、PMOSトランジスタM2のソース及びバックゲート並びにPMOSトランジスタM3のソース及びバックゲートに印加される。PMOSトランジスタM2のゲート及びドレイン並びにPMOSトランジスタM3のゲートは、電流源IS1の一端に接続される。電流源IS1の他端はグラウンド電位に接続される。PMOSトランジスタM2のドレイン及び抵抗R10の一端はノードN1に接続される。抵抗R10の他端はグラウンド電位に接続される。定電流生成回路713A1は、定電流I0を生成して、ノードN1に定電流I0に供給する。定電流I0の値は特に限定されないが、例えば電流源IS1が出力する定電流の値を1[μA]とし、カレントミラー比を6:1とした場合、定電流I0の値は167[nA]となる。
【0063】
第1電流生成回路713A2は、演算増幅器OP1と、PMOSトランジスタM4及びM5によって構成される掃き出し型カレントミラー回路と、NMOSトランジスタM6と、抵抗R11と、NMOSトランジスタM7及びM8によって構成される引き抜き型カレントミラー回路と、を含む。定電圧回路704から出力される定電圧VDDは、PMOSトランジスタM4のソース及びバックゲート並びにPMOSトランジスタM5のソース及びバックゲートに印加される。PMOSトランジスタM4のゲート及びドレイン並びにPMOSトランジスタM5のゲートは、NMOSトランジスM6のドレインに接続される。NMOSトランジスM6のソース及びバックゲートは、抵抗R11の一端及び演算増幅器OP1の反転入力端子に接続される。抵抗R11の他端はグラウンド電位に接続される。演算増幅器OP1の第1非反転入力端子には第1電圧VMULTが供給され、演算増幅器OP1の第2非反転入力端子には例えば2.5[V]の定電圧が供給される。演算増幅器OP1の出力端子はNMOSトランジスタM6のゲートに接続される。演算増幅器OP1は、第1電圧VMULT及び例えば2.5[V]の定電圧を加算した電圧と反転入力端子に供給される電圧との差を増幅した信号を出力する。PMOSトランジスタM5のゲートは、NMOSトランジスタM7のドレイン及びゲート並びにNMOSトランジスタM8のゲートに接続される。NMOSトランジスタM7のソース及びバックゲート並びにNMOSトランジスタM8のソース及びバックゲートはグラウンド電位に接続される。NMOSトランジスタM8のドレインはノードN1に接続される。第1電流生成回路713A2は、第1電流I1を生成して、ノードN1から第1電流I1を引き抜く。第1電流I1は、交流電圧(第1電圧)VMULTに応じて可変する。具体的には、第1電流I1は、交流電圧(第1電圧)VMULTが高いほど大きくなる。図3に示す例では、第1電流I1は、交流電圧(第1電圧)VMULTが高いほど線形的に大きくなる。
【0064】
ノードN1から抵抗R10に向かって、定電流I0から第1電流I1を引き抜いた後の電流、すなわち差分電流(I0-I1)が流れる。差分電流(I0-I1)と抵抗R10の抵抗値との積がオフセット電圧VOFFSETとなる。したがって、オフセット電圧VOFFSETは、交流電圧(第1電圧)VMULTに応じて可変する。具体的には、オフセット電圧VOFFSETは、交流電圧(第1電圧)VMULTが高いほど小さくなる。図3に示す例では、オフセット電圧VOFFSETは、交流電圧(第1電圧)VMULTが高いほど線形的に小さくなる。
【0065】
オフセット電圧VOFFSETの範囲は特に限定されないが、図3に示す例において例えば定電流I0の値を上述の通り167[nA]とし、第1電流生成回路713A2における掃き出し型カレントミラー回路のカレントミラー比を10:1とし、当該掃き出し型カレントミラー回路に接続される電流源である抵抗R11の抵抗値を2[MΩ]とし、第1電流生成回路713A2における引き抜き型カレントミラー比を1:1とし、抵抗R10の抵抗値を161.2[kΩ]とした場合、オフセット電圧VOFFSETは6.9[mV]以上26.8[mV]以下の範囲で可変する。
【0066】
オフセット電圧VOFFSETの最小値の設計値を例えば上述した例のように6.9[mV]にすれば、回路定数のばらつきによるオフセット電圧VOFFSETの実際の最小値を零以上にすることができる。
【0067】
オフセット電圧VOFFSETの最小値が零より小さくなると、図3に示す例ではオフセット電圧生成回路713Aが正常に動作しないため、オフセット電圧VOFFSETの最小値が零以上であることが望ましい。なお、オフセット電圧VOFFSETの最小値が零より小さくなった場合に不具合が生じないような回路構成にすることも考えられるので、オフセット電圧VOFFSETの最小値を零より小さくすることも考えられる。
【0068】
また、オフセット電圧生成回路713Aに、回路定数を調整するトリミング素子を設け、回路定数のばらつきを抑制し、オフセット電圧VOFFSETの最小値の設計値を零又は零に近づけてもよい。当該トリミング素子としては、例えば第1電流生成回路713A2における掃き出し型カレントミラー回路に接続される電流源である抵抗の抵抗値を調整するために複数の抵抗の並列回路内に設けられる少なとも一つのヒューズを挙げることができる。当該ヒューズは、例えばレーザートリミングにより切断可能である。
【0069】
以上がオフセット電圧生成回路713Aの構成に関する説明である。続いて、演算回路713のオフセット電圧生成回路713A以外の回路の具体的な構成例を説明する。演算回路713は、オフセット電圧生成回路713A以外に、第1演算回路713B、第1変換回路713C、第2変換回路713D、及び第2演算回路713Eを含む。
【0070】
図4には、第1演算回路713Bの一例が示される。第1演算回路713Bは、抵抗R12~R15及び演算増幅器OP2を含む。抵抗R12の一端に第2電圧V2が印加される。抵抗R12の他端及び抵抗R13の一端が演算増幅器OP2の非反転入力端子に接続される。抵抗R13の他端はグラウンド電位に接続される。抵抗R14の一端に定電圧VBURSTが印加される。抵抗R14の他端及び抵抗R15の一端が演算増幅器OP2の反転入力端子に接続される。抵抗R15の他端は演算増幅器OP2の出力端子に接続される。第1演算回路713Bは、第2電圧V2から定電圧VBURSTを引いて得られる電圧(V2-VBURST)を出力する。
【0071】
図5には、第1変換回路713Cの一例が示される。第1変換回路713Cは、演算増幅器OP3、抵抗R16、及びNPNバイポーラトランジスタM9を含む。演算増幅器OP3の非反転入力端子には電圧(V2-VBURST)が印加される。演算増幅器OP3の反転入力端子及び出力端子には抵抗R16の一端が接続される。抵抗R16の他端にはグラウンド電位が接続される。演算増幅器OP3の電源端子にはNPNバイポーラトランジスタM9のコレクタ及びベースが接続される。NPNバイポーラトランジスタM9のエミッタはグラウンド電位に接続される。第1変換回路713Cは、電圧(V2-VBURST)を電流(I2-IBURST)に変換し、電流(I2-IBURST)をNPNバイポーラトランジスタM9のベース電流として出力する。
【0072】
図6には、第2変換回路713Dの一例が示される。第2変換回路713Dは、演算増幅器OP4、抵抗R17、及びNPNバイポーラトランジスタM10を含む。演算増幅器OP4の非反転入力端子には交流電圧(第1電圧)VMULTが印加される。演算増幅器OP4の反転入力端子及び出力端子には抵抗R17の一端が接続される。抵抗R17の他端にはグラウンド電位が接続される。演算増幅器OP4の電源端子にはNPNバイポーラトランジスタM10のコレクタ及びベースが接続される。NPNバイポーラトランジスタM10のエミッタはグラウンド電位に接続される。第2変換回路713Dは、交流電圧(第1電圧)VMULTを電流IMULTに変換し、電流IMULTをNPNバイポーラトランジスタM10のベース電流として出力する。
【0073】
図7には、第2演算回路713Eの一例が示される。第2演算回路20Eは、抵抗R18~R24、電流源IS2、NPNバイポーラトランジスタM11~M20、PMOSトランジスタM21及びM22、NMOSトンジスタM23及びM24、PNPバイポーラトランジスタM25、並びにNOTゲートNG1を含む。定電圧回路704から出力される定電圧VDDは、抵抗R18~R22の各一端、NPNバイポーラトランジスタM12のコレクタ、PMOSトランジスタM21のソース及びバックゲート、PMOSトランジスタM22のソース及びバックゲート、PNPバイポーラトランジスタM25のエミッタに印加される。抵抗R18の他端はNPNバイポーラトランジスタM11のコレクタに接続される。NPNバイポーラトランジスタM11のエミッタは、電流源IS2の一端及びNPNバイポーラトランジスタM15のベースに接続される。電流源IS2の他端はグラウンド電位に接続される。NPNバイポーラトランジスタM12のベース及びエミッタは、PNPバイポーラトランジスタM25のベース及びNPNバイポーラトランジスタM13のコレクタに接続される。NPNバイポーラトランジスタM13のエミッタは、NPNバイポーラトランジスタM15のコレクタに接続される。NPNバイポーラトランジスタM15のエミッタは、NPNバイポーラトランジスタM16のエミッタに接続される。抵抗R19の他端は、NPNバイポーラトランジスタM14のコレクタに接続される。NPNバイポーラトランジスタM14のエミッタは、NPNバイポーラトランジスタM11のベース及びNPNバイポーラトランジスタM16のコレクタに接続される。抵抗R20の他端は、NPNバイポーラトランジスタM17のコレクタに接続される。NPNバイポーラトランジスタM17のエミッタは、NPNバイポーラトランジスタM16のベース及びNPNバイポーラトランジスタM18のコレクタに接続される。NPNバイポーラトランジスタM18のエミッタは、グラウンド電位に接続される。NPNバイポーラトランジスタM18のベースは、第2変換回路713D内のNPNバイポーラトランジスタM10のベース及びコレクタに接続される。NPNバイポーラトランジスタM10及びM18は、カレントミラー回路を構成する。抵抗R21の他端は、NPNバイポーラトランジスタM19のコレクタに接続される。NPNバイポーラトランジスタM19のエミッタは、NPNバイポーラトランジスタM17のベース及びNPNバイポーラトランジスタM20のコレクタに接続される。NPNバイポーラトランジスタM20のエミッタは、グラウンド電位に接続される。NPNバイポーラトランジスタM20のベースは、第1変換回路713C内のNPNバイポーラトランジスタM9のベース及びコレクタに接続される。NPNバイポーラトランジスタM9及びM20は、カレントミラー回路を構成する。抵抗R22の他端は、抵抗R23の一端、NPNバイポーラトランジスタM13のゲート、NPNバイポーラトランジスタM14のゲート、及びNPNバイポーラトランジスタM19のゲートに接続される。抵抗R23の他端は、グラウンド電位に接続される。PMOSトランジスタM21のゲート及びドレインは、PMOSトランジスタM22のゲートに接続される。PMOSトランジスタM21及びM22は、カレントミラー回路を構成する。PMOSトランジスタM22のドレインは、NMOSトランジスタM23のドレイン及びNOTゲートの入力端子に接続される。NMOSトランジスタM23のゲートにはイネーブル信号ENが供給される。NMOSトランジスタM23のソース及びバッグゲートは、グラウンド電位に接続される。NOTゲートの出力端子は、NMOSトランジスタM24のゲートに接続される。NMOSトランジスタM24のソース及びバックゲートは、グラウンド電位に接続される。NMOSトランジスタM24のドレインは、抵抗R24の一端に接続される。抵抗R24の他端は、PNPバイポーラトランジスタM25のコレクタ及び抵抗R10の一端に接続される。抵抗R10の他端は、グラウンド電位に接続される。第2演算回路713Eは、電流(I2-IBURST)と電流IMULTとを乗算し、その乗算結果である出力電流IOUTを抵抗R10に出力する。抵抗R10は、出力電流IOUTを電圧K×VMULT(V2-VBURST)に変換する。なお、定数Kは、第1変換回路713C内の抵抗R16の抵抗値と抵抗R10の抵抗値との比及び第2変換回路713D内の抵抗R17の抵抗値と抵抗R10の抵抗値との比によって定まる。第2演算回路713E内の電流源IS2が出力する電流I3は、電圧VMULTのピーク値(最大値)に比例する電圧である。なお、第2演算回路713Eは、イネーブル信号ENによってイネーブル状態とディセーブル状態とを切り替えることができる。
【0074】
図7に示される抵抗R10は、図3に示されるオフセット電圧生成回路713A内に設けられる抵抗R10と同一である。したがって、抵抗R10にはオフセット電圧VOFFSETも加わる。したがって、抵抗R10の両端電圧として抵抗R10において生成される第4電圧V4は以下の式で表される。
V4=K×VMULT(V2-VBURST)+VOFFSET
【0075】
ここで、PFC回路7の効果を説明するために、PFC回路7からオフセット電圧生成回路713Aを取り除いた回路とPFC回路7とを比較する。
【0076】
PFC回路7からオフセット電圧生成回路713Aを取り除いた回路では、駆動回路DRV1の動作により、第1電圧Vが0[V]付近でのスイッチングトランジスタM1のオン時間が短くなる。したがって、第1電圧Vが0[V]付近において整流回路5の出力側に設けられるコンデンサ6を十分に放電することができず、その結果として整流回路5から出力される電流が一時的に止まってしまい、入力電流IACに歪が発生する(図8の点線参照)。
【0077】
一方、PFC回路7では、第1電圧Vが0[V]付近においてオフセット電圧VOFFSETが大きくなって第4電圧V4も大きくなるので、駆動回路DRV1の動作により、スイッチングトランジスタM1のオン時間が長くなる。したがって、第1電圧Vが0[V]付近において整流回路5の出力側に設けられるコンデンサ6を十分に放電することができ、その結果として整流回路5から電流がスムーズに出力され、入力電流IACの歪が抑制される(図8の実線参照)。つまり、IC700は、PFC回路7のTHDを抑制することができる。
【0078】
なお、第1電圧Vが0[V]付近以外ではオフセット電圧VOFFSETを大きくする必要がないため、上述した実施形態のようにオフセット電圧VOFFSETが可変することが望ましい。しかしながら、第1電圧Vが0[V]付近以外における不要なオフセット電圧VOFFSETの付加を許容して、オフセット電圧VOFFSETを固定してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 電子機器
5 整流回路
7 力率改善回路
700 IC
710 誤差増幅回路
713 演算回路
715 コンパレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8