(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】収納庫の棚、および棚を備えている冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 25/02 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
F25D25/02 L
(21)【出願番号】P 2020206921
(22)【出願日】2020-12-14
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】仲村 鴻輝
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-158283(JP,A)
【文献】米国特許第05332611(US,A)
【文献】特開平09-229550(JP,A)
【文献】中国実用新案第201819503(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00 ~ 31/00
A47B 96/00 ~ 96/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納庫の庫内に配置される棚であって、
ガラス板と、
前記ガラス板の端部を保持する第1溝部
と前記第1溝部の前方側に突出する前方突出部とを有している樹脂部材と、
前記樹脂部材の
前記前方突出部の前面、上面および下面を覆う補強部材と
を備えて
おり、
前記樹脂部材には、前記ガラス板の上面側および下面側の少なくとも何れか一方に、上面視で前記第1溝部と部分的に重なるように第2溝部が設けられており、
前記補強部材の上面部および下面部の少なくとも何れか一方は、前記前方突出部から前記第2溝部に亘って延在しており、前記補強部材の端部は、前記第2溝部に差し込まれている、棚。
【請求項2】
前記補強部材は、
前記樹脂部材の上方側に位置する端部および前記樹脂部材の下方側に位置する端部の少なくとも何れか一方が、折り返されている、
請求項1に記載の棚。
【請求項3】
前記補強部材における、前記第2溝部に差し込まれている端部は、
前記ガラス板の前記端部よりも後方に位置している、
請求項1または2に記載の棚。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の棚を備えている冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫などの収納庫の内部に備えられている棚、および、この棚を備えている冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫などの収納庫の貯蔵室内には、庫内を小空間に区分けするために棚が設けられている。例えば、特許文献1には、貯蔵室と、貯蔵室内に配置してガラスで形成した棚20と、棚の端部保護部材16と、を備え、端部保護部材16は、透光性材料で構成されている冷蔵庫が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷蔵庫内に配置される棚をガラス板で形成する場合には、例えば、特許文献1などに示されているように、ガラス板の端部を保護したり、意匠性を向上させたりするために、樹脂製の保護部材がガラス板の端部に取り付けられる。しかしながら、樹脂製の保護部材は、比較的変形しやすいため、棚の上面に物を置いたときにガラス板のたわみを抑制することが困難である。
【0005】
そこで、本発明では、物を置いたときのたわみを抑制することのできる棚を提供することを目的とする。また、本発明では、庫内に配置される棚のたわみを抑制することのできる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面にかかる棚は、収納庫の庫内に配置される。この棚は、ガラス板と、前記ガラス板の端部を保持する第1溝部を有している樹脂部材と、前記樹脂部材の前方部分を覆う補強部材とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一局面によれば、物を置いたときのたわみを抑制することのできる棚を提供することができる。また、本発明のもう一つの局面によれば、庫内に配置される棚のたわみを抑制することのできる冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる冷蔵庫の正面部の構成を示す平面図である。
【
図2】
図1に示す冷蔵庫の冷蔵室内を示す平面図である。
【
図3】第1の実施形態にかかる冷蔵庫に備えられている棚の外観を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示す冷蔵庫に備えられている棚の外観を示す上面図である。
【
図5】
図4に示す棚の前方側の部品を分解した状態で示す斜視図である。
【
図6】
図5に示す前方樹脂部材および補強部材を拡大して示す斜視図である。
【
図7】
図4に示す棚のA-A線部分の構成を示す断面図である。
【
図8】第2の実施形態にかかる冷蔵庫に備えられている棚の外観を示す上面図である。
【
図9】
図8に示す棚を構成する前方樹脂部材および補強部材を示す斜視図である。
【
図10】
図7に示す棚のB-B線部分の構成を示す断面図である。
【
図11】第3の実施形態にかかる冷蔵庫に備えられている棚の前方部分の内部構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0010】
<第1の実施形態>
(冷蔵庫の全体構成)
先ず、第1の実施形態にかかる冷蔵庫1の全体構成を説明する。
図1には、冷蔵庫1を正面から見た外観を示す。
図2には、冷蔵庫1の上段側の庫内(すなわち、冷蔵室11内)を示す。
図2は、
図1に示す冷蔵庫1の冷蔵室扉11aおよび11bを取り外した状態を示す。
【0011】
冷蔵庫1の外形は、主として断熱箱体50で構成されている。この断熱箱体50によって冷蔵庫1の貯蔵空間が形成される。断熱箱体50によって形成される貯蔵空間は、上下方向の略中央部において水平方向に延びる仕切り部55によって、上段部の貯蔵空間である冷蔵室11と、下段部の貯蔵空間である冷凍室とに区分けされている。
【0012】
このように、本実施形態にかかる冷蔵庫1は、貯蔵空間として、冷蔵室11および冷凍室を備えている。冷蔵室11は、冷蔵庫1の上段側に位置している。冷凍室は、冷蔵庫1の下段側に位置している。
【0013】
冷蔵室11には、左右に分割された観音開き式の冷蔵室扉11aおよび11bが設けられている。冷凍室には、左右に分割された観音開き式の冷凍室扉12aおよび12bが設けられている。
【0014】
以上のように、本実施の形態にかかる冷蔵庫1は、上段部及び下段部に区分けされて、冷蔵室11と冷凍室とが設けられている。但し、各貯蔵空間の配置位置については、これに限定はされない。また、各貯蔵空間に設けられている扉の構成も、上記のものに限定はされない。
【0015】
本実施形態では、扉が設けられている面を冷蔵庫の正面または前面と呼ぶ。そして、前面を基準にして、冷蔵庫1を通常の状態で設置した場合に存在する位置に基づいて、冷蔵庫1の各面を、上面、側面、背面、及び底面とする。また、冷蔵庫1を設置面に載置した状態で、冷蔵庫1を正面から見て左右の方向(上下方向と直交する横方向)のことを、冷蔵庫1の左右方向という。また、冷蔵庫1を設置面に載置した状態で、冷蔵庫1の上下の方向(左右方向と直交する縦方向)のことを、冷蔵庫1の上下方向という。
【0016】
冷蔵庫1の内部には、冷凍サイクルが設けられている。冷凍サイクルは、冷媒が流通する冷媒管(冷媒流路)を介して、圧縮機、凝縮器、膨張器、及び、冷却器などが接続されて構成されている。
【0017】
冷却器は、冷蔵庫1の背面側に設けられた冷却室内に配置されている。冷却室内には、冷却器の他に、冷却ファン、除霜ヒータなどが備えられている。冷却ファンは、冷却室と各貯蔵空間との間で空気を循環させるために設けられている。
【0018】
(冷蔵室内の構成)
続いて、冷蔵庫1の上段側の庫内空間である冷蔵室11の構成について説明する。
【0019】
冷蔵室11の内壁は、断熱箱体50の内箱70、および背面部材71などで形成されている。背面部材71は、冷蔵室11の背面側の内壁の中央部を構成している。背面部材71の背面側には、上下方向に延びる冷気ダクト(図示せず)が設けられている。
【0020】
冷却室内の冷却器によって冷やされた空気(冷気)は、冷却ファンによって、冷気ダクトを通過して冷蔵室11へ送出される。背面部材71には、冷蔵室11内へ冷気を流入させる複数の吐き出し口が設けられている。
図2には、2つの吐き出し口(第1吐き出し口72a、第2吐き出し口72b)が図示されているが、吐き出し口の個数はこれに限定はされない。
【0021】
冷蔵室11内には、複数の収納ケース(例えば、野菜ケース20、第1小型ケース21a、および第2小型ケース21bなど)、および複数の棚40(例えば、第1棚40a、および第2棚40bなど)などが備えられている。これらの各部材によって、冷蔵室11内は、小空間に区分けされる。
【0022】
各収納ケースは、前後方向に摺動可能な構成となっている。また、各収納ケースは、冷蔵庫1から取り外し可能な構成となっている。各棚は、冷蔵庫1から取り外し可能な構成となっており、取り付け位置(高さ)を適宜変更することができる。
【0023】
収納ケースの個数および棚の個数、並びにこれらの配置の仕方は、特に限定はされず、適宜変更することができる。
図2に示す例では、冷蔵室11の上段側から順に、第1棚40a、第2棚40b、野菜ケース20、並びに、第1小型ケース21aおよび第2小型ケース21bが配置されている。
【0024】
野菜ケース20は、主として、箱型形状のケース本体と、ケース本体の上方の開口部分を覆う蓋部とで構成されている。これにより、野菜ケース20の内部に閉鎖空間を形成することができる。蓋部の上面は、第1棚40aおよび第2棚40bと同様に、収容物を載置する棚として利用できる。
【0025】
第1小型ケース21aと第2小型ケース21bとは、左右に隣り合って配置されている。第1小型ケース21aおよび第2小型ケース21bは、箱型の形状を有している。第1小型ケース21aおよび第2小型ケース21bは、例えば、チルドケースとして利用される。
【0026】
(棚の構成)
続いて、冷蔵室11内に備えられている棚40の詳細な構成について説明する。
図3には、棚40の外観を示す。
図4は、棚40の上面図である。
図5には、棚40の前方側の部品を分解した状態を示す。
図6は、
図5に示す前方樹脂部材42および補強部材43を拡大して示す図である。
図7は、棚40の前方部分の内部構成を示す図である。
図7は、
図4のA-A線部分に相当する断面図である。
【0027】
棚40は、主として、ガラス板41、前方樹脂部材(樹脂部材)42、補強部材43、後方樹脂部材44、並びに側方樹脂部材45aおよび45bなどを有している。
【0028】
ガラス板41は、四角形の平板状の部材である。ガラス板41は、棚40の本体部分を形成している。以下では、便宜上、棚40が冷蔵室11に取り付けられた状態での位置を基準として、ガラス板41の各面の名称を、上面部41a、下面部41b、前方端面41c、側方端面、および後方端面と呼ぶ。
【0029】
前方樹脂部材42は、ガラス板41の前方端面41cを覆って保護する部材である。前方樹脂部材42は、ガラス板41の前方端面41cの形成位置に沿って、左右方向(具体的には、棚40が冷蔵室11に取り付けられた状態での左右方向)に延びている。前方樹脂部材42は、主として、本体部42a、左側端部42b、右側端部42c、前方突出部42d、第1溝部25、第2溝部26、および凹部27などを有している。前方樹脂部材42の各部の名称は、棚40が冷蔵室11に取り付けられた状態での位置を基準として規定されている。
【0030】
補強部材43は、前方樹脂部材42の前方部分(具体的には、前方突出部42d)を包み込んで覆うように設けられている。補強部材43は、前方樹脂部材42の形状に沿って、左右方向(具体的には、棚40が冷蔵室11に取り付けられた状態での左右方向)に延びている。補強部材43は、主として、上面部31、下面部32、上面側端部34、および下面側端部35などを有している。補強部材43の各部の名称は、棚40が冷蔵室11に取り付けられた状態での位置を基準として規定されている。
【0031】
後方樹脂部材44は、ガラス板41の後方端面を覆って保護する部材である。後方樹脂部材44は、ガラス板41の後方端面の形成位置に沿って、左右方向(具体的には、棚40が冷蔵室11に取り付けられた状態での左右方向)に延びている。後方樹脂部材44には、ガラス板41の後方端部を保持する溝部が設けられている。
【0032】
側方樹脂部材45aおよび45bは、ガラス板41の側方端面を覆って保護する部材である。側方樹脂部材45aは、ガラス板41の左側端面の形成位置に沿って、前後方向(具体的には、棚40が冷蔵室11に取り付けられた状態での前後方向)に延びている。側方樹脂部材45bは、ガラス板41の右側端面の形成位置に沿って、前後方向(具体的には、棚40が冷蔵室11に取り付けられた状態での前後方向)に延びている。側方樹脂部材45aおよび45bには、ガラス板41の側方端部を保持する溝部が設けられている。
【0033】
以下では、ガラス板41の先方側に取り付けられる前方樹脂部材42および補強部材43のより詳細な構成について説明する。
【0034】
前方樹脂部材42は、ガラス板41の前方端面41cに沿って延びる本体部42aと、本体部42aの左側に設けられている左側端部42bと、本体部42aの右側に設けられている右側端部42cとを有している。前方突出部42dは、本体部42aの前方側に位置している。
【0035】
前方樹脂部材42には、ガラス板41の前方端部を保持する第1溝部25が設けられている。第1溝部25は、後方側から前方側へ向かって切り込まれた溝である(
図7参照)。ここで、第1溝部25の最深部(棚40が冷蔵室11に取り付けられた状態で最も前方の部分)の位置をP1とする。
【0036】
また、前方樹脂部材42は、第1溝部25とは反対の方向(すなわち、前方側から後方側)に切り込まれた第2溝部26を有している(
図7参照)。ここで、第2溝部26の最深部(棚40が冷蔵室11に取り付けられた状態で最も後方の部分)の位置をP2とする。
【0037】
第2溝部26は、本体部42aの形状に沿って左右方向(具体的には、棚40が冷蔵室11に取り付けられた状態での左右方向)に延びている(
図6参照)。本実施形態では、第2溝部26は、本体部42aの下面側に設けられている。この第2溝部26には、補強部材43の下面側端部35が差し込まれる。
【0038】
また、前方樹脂部材42の本体部42aの上面側には、凹部27が設けられている。凹部27は、本体部42aの形状に沿って左右方向(具体的には、棚40が冷蔵室11に取り付けられた状態での左右方向)に延びている(
図5参照)。この凹部27には、補強部材43の上面側端部34が配置される。
【0039】
補強部材43は、前方樹脂部材42を形成する樹脂材料よりも硬い材料で形成されている。このような材料としては、例えば、ステンレスなどの金属材料が挙げられる。例えば、補強部材43は、ステンレスの板材を所定形状に折り曲げ加工して形成することができる。この折り曲げ加工によって、上面部31と下面部32との間に形成される空間33内に、前方樹脂部材42の前方突出部42dが配置される(
図7参照)。
【0040】
また、補強部材43は、上面部31の後方側に上面側端部34を有しており、下面部32の後方側に下面側端部35を有している。本実施形態では、上面側端部34は、板材の端部を内側に折り返すことによって形成された折り返し形状を有している。一方、下面側端部35は、平坦な形状となっている。
【0041】
上記のような構成を有する前方樹脂部材42に対して補強部材43を取り付ける際には、補強部材43の空間33内に前方樹脂部材42の前方突出部42dを嵌め込むように補強部材43をスライドさせ、補強部材43の下面側端部35を、前方樹脂部材42に設けられた第2溝部26へ嵌め込む。そして、補強部材43の上面側端部34を、前方樹脂部材42の凹部27内に嵌め込む。
【0042】
このようにして、補強部材43が棚40の前方側に取り付けられると、棚40の前方側の端部は、樹脂よりも硬い金属製の部材で保護されることになる。そのため、棚40上に物品を置いたときのたわみを抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態では、補強部材43の下面側端部35は、その上面と下面とが前方樹脂部材42によって挟まれた状態となる。そのため、前方樹脂部材42が補強部材43の下面側端部35から浮き上がるなど離間してしまうことで補強部材43がたわみ抑制の効果を発揮しても前方樹脂部材42がたわんでしまうことを防止することができるため、棚40のたわみの抑制効果をより向上させることができる。
【0044】
さらに、補強部材43の上面側端部34が折り返された形状となっていることで、補強部材43の長手方向がより曲がりにくい構造となる。そのため、よりたわみにくい構造の棚40を得ることができる。
【0045】
また、本実施形態では、前方樹脂部材42に設けられている第1溝部25と第2溝部26とは、上面視で部分的に重なるように設けられている。ここで、第1溝部25と第2溝部26が上面視で部分的に重なっているとは、ともに前後方向に延び、かつ、切り込みの向きが互いに逆になっている2つの溝部の形成位置が、前後方向で部分的に重複していることを意味する。
【0046】
この構成によれば、後方側から前方側へ向かって切り込まれた第1溝部25の最深部の位置P1は、前方側から後方側へ向かって切り込まれた第2溝部26の最深部の位置P2よりも前方に位置することとなる。この構成によれば、ガラス板41の前方端面41cにかかる荷重によって第1溝部25が上下に変形しようとすると、第1溝部25の直下に重なる第2溝部26も一緒に変形しようとする。しかしながら、第2溝部26には補強部材43の下面側端部35が挟まれているため、第2溝部26の変形が抑制され、その結果、第1溝部25の変形が抑制される。すなわち、第1溝部25と第2溝部とが上下方向に重なることで上下方向の変形に対して密に連動するため、補強部材43の下面側端部35によって、ガラス板41の前方端面41cのたわみが効果的に抑制できる。
【0047】
これらの構成により、前方樹脂部材42を覆うように取り付けられた補強部材43によって、ガラス板41の前方端面41cをより確実に保持することができるため、補強部材43による補強効果を向上させることができる。
【0048】
(第1の実施形態のまとめ)
以上のように、本実施形態にかかる冷蔵庫1は、冷蔵室11内に配置される棚40を備えている。棚40は、ガラス板41と、ガラス板41の前方端面41cを覆うように設けられている前方樹脂部材42と、前方樹脂部材42の前方部分を覆う補強部材43とを備えている。前方樹脂部材42には、ガラス板41の前方端面41cが差し込まれる第1溝部25が設けられている。補強部材43は、前方樹脂部材42よりも剛性の高い材料で形成されている。
【0049】
棚40の前方側に、前方樹脂部材42よりも剛性の高い補強部材43を設けることで、棚40上に物品を置いたときのたわみを抑制することができる。
【0050】
さらに、本実施形態にかかる構成では、補強部材43を前方樹脂部材42へ取り付ける際に、補強部材43の下面側端部35を、前方樹脂部材42に設けられた第2溝部26へ嵌め込んで固定する。これにより、補強部材43の下面側端部35は、その上面と下面とが前方樹脂部材42によって挟まれた状態となる。そのため、補強部材43がたわみ抑制の効果を発揮することで、前方樹脂部材42のたわみ量をより小さくすることができるため、たわみの抑制効果をより向上させることができる。
【0051】
本実施形態にかかる棚40に設けられている補強部材43は、上面側端部34が折り返し形状を有しており、下面側端部35が平坦な形状となっている。そして、前方樹脂部材42には、本体部42aの下面側に第2溝部26が設けられ、本体部42aの上面側に凹部27が設けられている。但し、本発明はこのような構成に限定はされない。
【0052】
すなわち、本発明の別の実施態様では、補強部材43は、上面側端部34が平坦な形状を有しており、下面側端部35が折り返し形状となっていてもよい。この場合には、前方樹脂部材42には、本体部42aの上面側に第2溝部26が設けられてもよい。
【0053】
さらに別の実施態様では、補強部材43は、上面側端部34および下面側端部35の両方の端部が平坦な形状を有していてもよい。またあるいは、補強部材43は、上面側端部34および下面側端部35の両方の端部が折り返し形状となっていてもよい。
【0054】
なお、本実施形態では、本発明にかかる棚の一例として、冷蔵庫1の庫内に備えられている棚40(例えば、第1棚40a、および第2棚40bなど)を例に挙げて説明した。但し、本発明にかかる棚は、冷蔵庫に備えられているものに限定はされない。本発明の一実施形態にかかる構成は、冷蔵庫以外の収納庫に備えらえている棚にも適用できる。
【0055】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、棚40の構成が第1の実施形態とは異なっている。それ以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0056】
第1の実施形態と同様に、本実施形態にかかる冷蔵庫1の冷蔵室11には、棚40(例えば、第1棚40a、および第2棚40bなど)が備えられている。
図8には、第2の実施形態にかかる冷蔵庫1に備えられている棚40の上面側の構成を示す。
図9は、前方樹脂部材142および補強部材43を分解した状態で示す図である。
図10は、棚40の前方部分の内部構成を示す図である。
図10は、
図8のB-B線部分に相当する断面図である。
【0057】
棚40は、主として、ガラス板41、前方樹脂部材(樹脂部材)142、補強部材43、後方樹脂部材44、並びに側方樹脂部材45aおよび45bなどを有している。前方樹脂部材(樹脂部材)142以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0058】
前方樹脂部材142は、ガラス板41の前方端面41cを覆って保護する部材である。前方樹脂部材142は、ガラス板41の前方端面41cの形成位置に沿って、左右方向(具体的には、棚40が冷蔵室11に取り付けられた状態での左右方向)に延びている。前方樹脂部材142は、主として、本体部42a、左側端部42b、右側端部42c、前方突出部42d、第1溝部25、および凹部27などを有している。前方樹脂部材142の各部の名称は、棚40が冷蔵室11に取り付けられた状態での位置を基準として規定されている。
【0059】
図9および
図10に示すように、前方樹脂部材142には、第2溝部26は設けられていない。この点が、第1の実施形態で説明した前方樹脂部材42とは異なる。本実施形態では、補強部材43の下面側端部35は、前方樹脂部材142の下面側に設けられているひだ状部42eの下端に接触した状態で配置される。
【0060】
上記のような構成を有する前方樹脂部材142に対して補強部材43を取り付ける際には、補強部材43の空間33内に前方樹脂部材142の前方突出部42dを嵌め込むように補強部材43をスライドさせる。そして、補強部材43の下面側端部35がひだ状部42eに当接するように、補強部材43の上面側端部34を前方樹脂部材142の凹部27内に嵌め込む。これにより、前方樹脂部材142に対して補強部材43をより容易に取り付けることができる。
【0061】
このようにして、補強部材43が棚40の前方側に取り付けられると、棚40の前方側の端部は、樹脂よりも硬い金属製の部材で保護されることになる。また、ガラス板41の前方端面41cにかかる荷重によって第1溝部25が上下に変形しようとすると、第1溝部25の直下に位置するひだ状部42eも一緒に変形しようとするが、補強部材43の下面側端部35によってひだ状部42eの変形が抑制され、その結果、第1溝部25の変形が抑制される。そのため、棚40上に物品を置いたときのたわみを抑制することができる。
【0062】
<第3の実施形態>
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、棚40の構成が第1の実施形態とは異なっている。それ以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0063】
第1の実施形態と同様に、本実施形態にかかる冷蔵庫1の冷蔵室11には、棚40(例えば、第1棚40a、および第2棚40bなど)が備えられている。
図11は、棚40の前方部分の内部構成を示す図である。
図11は、
図4のA-A線に相当する位置における棚40の断面図である。
【0064】
棚40は、主として、ガラス板41、前方樹脂部材(樹脂部材)242、補強部材43、後方樹脂部材44、並びに側方樹脂部材45aおよび45bなどを有している。前方樹脂部材(樹脂部材)242以外の構成については、第1の実施形態と同様の構成が適用できる。
【0065】
前方樹脂部材242は、ガラス板41の前方端面41cを覆って保護する部材である。前方樹脂部材242は、ガラス板41の前方端面41cの形成位置に沿って、左右方向(具体的には、棚40が冷蔵室11に取り付けられた状態での左右方向)に延びている。前方樹脂部材242は、主として、本体部42a、左側端部42b、右側端部42c、前方突出部42d、第1溝部225、第2溝部26、および凹部27などを有している。前方樹脂部材242の各部の名称は、棚40が冷蔵室11に取り付けられた状態での位置を基準として規定されている。
【0066】
第1の実施形態で説明した前方樹脂部材42の構成と、本実施形態の前方樹脂部材242の構成とを比較すると、第1溝部25および第1溝部225の構造が互いに異なっている。第1溝部25の深さよりも第1溝部225の深さの方が、より深くなっている。すなわち、第1溝部225の最深部は、前方樹脂部材242の本体部42aのより前方側にまで達している。
【0067】
上記の構成を有する前方樹脂部材242をガラス板41に取り付け、さらに、前方樹脂部材242の前方突出部42dを覆うように補強部材43を取り付けると、補強部材43の上面側端部34および下面側端部35は、ガラス板41の前方端面41cよりも後方側に位置する。
【0068】
このような構成によれば、ガラス板41の前方端面41cにまで到達するように補強部材43が取り付けられることで、ガラス板41の前方端面41cのたわみがより直接的に第2溝部26、および凹部27に伝わるため、補強部材43の上面側端部34および下面側端部35によって、より効果的にガラス板41の前方端面41cのたわみを抑制できる。したがって、前方樹脂部材242および補強部材43によってガラス板41を保護する効果をより高めることができる。なお、本実施形態では、補強部材43の上面側端部34および下面側端部35の両方がガラス板41の前方端面41cよりも後方側に位置しているが、これに限定されず、例えば、補強部材43の下面側端部35だけがガラス板41の前方端面41cよりも後方側に位置していてもよい。
【0069】
(まとめ)
本発明の一局面にかかる棚(例えば、棚40)は、収納庫(例えば、冷蔵庫1)の庫内に配置される。この棚は、ガラス板(例えば、ガラス板41)と、前記ガラス板の少なくとも一つの端部(例えば、収納庫の前方側に位置する端部(例えば、前方端面41c))を保持する第1溝部(例えば、第1溝部25,225)を有している樹脂部材(例えば、前方樹脂部材42,142,242)と、前記樹脂部材の前方部分を覆う補強部材(例えば、補強部材43)とを備えている。
【0070】
上記の本発明の一局面にかかる棚(例えば、棚40)において、前記樹脂部材(例えば、前方樹脂部材42,242)には、前記ガラス板(例えば、ガラス板41)の上面側および下面側の少なくとも何れか一方に、第2溝部(例えば、第2溝部26)が設けられており、前記補強部材(例えば、補強部材43)の端部(例えば、下面側端部35)は、前記第2溝部に差し込まれていてもよい。
【0071】
上記の本発明の一局面にかかる棚(例えば、棚40)において、前記樹脂部材(例えば、前方樹脂部材42,242)の前記第1溝部(例えば、第1溝部25,225)と前記第2溝部(例えば、第2溝部26)とは、上面視で部分的に重なるように設けられていてもよい。
【0072】
上記の本発明の一局面にかかる棚(例えば、棚40)において、前記補強部材(例えば、補強部材43)は、前記樹脂部材(例えば、前方樹脂部材42,142,242)の上方側に位置する端部(例えば、上面側端部34)および前記樹脂部材の下方側に位置する端部(例えば、下面側端部35)の少なくとも何れか一方が、折り返されていてもよい。
【0073】
上記の本発明の一局面にかかる棚(例えば、棚40)において、前記補強部材(例えば、補強部材43)における、前記樹脂部材(例えば、前方樹脂部材242)の上方側に位置する端部(例えば、上面側端部34)および前記樹脂部材の下方側に位置する端部(例えば、下面側端部35)の少なくとも何れか一方は、前記ガラス板(例えば、ガラス板41)の前記端部(例えば、前方端面41c)よりも後方に位置していてもよい。
【0074】
本発明のもう一つの局面は、冷蔵庫(例えば、冷蔵庫1)に関する。この冷蔵庫は、上記の本発明の一局面にかかる棚(例えば、棚40)を備えている。
【0075】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1 :冷蔵庫
11 :冷蔵室
25 :第1溝部
26 :第2溝部
34 :上面側端部(樹脂部材の上方側に位置する補強部材の端部)
35 :下面側端部(樹脂部材の下方側に位置する補強部材の端部)
40 :棚
41 :ガラス板
41c :(ガラス板の)前方端面(端部)
42 :前方樹脂部材(樹脂部材)
43 :補強部材
142 :前方樹脂部材(樹脂部材)
242 :前方樹脂部材(樹脂部材)