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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】圧電発振器
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/32 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H03B5/32 J
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021028445
(22)【出願日】2021-02-25
(65)【公開番号】P2022129670
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390009667
【氏名又は名称】セイコーNPC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正敏
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-300605(JP,A)
【文献】特開2001-217649(JP,A)
【文献】特開2003-152454(JP,A)
【文献】特開平1-264302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03B 5/00-5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動子を有する発振回路と、レベルシフト用インバータを有するレベルシフト回路とが、カップリング容量を介して結合された圧電発振器であって、
前記レベルシフト回路は、前記発振回路から発振信号が入力される入力部と、前記発振信号をレベルシフトした信号を外部に出力する出力部とを備え、
電圧偏差緩和用インバータとフィードバック容量の直列回路で構成され、前記レベルシフト回路の出力信号を反転させた信号を生成し、前記レベルシフト回路の前記入力部に戻す電圧偏差緩和回路を備える
圧電発振器。
【請求項2】
記フィードバック容量の値は、前記レベルシフト回路の前記レベルシフト用インバータの入出力間のミラー容量に相当する値である、
請求項1に記載の圧電発振器。
【請求項3】
記フィードバック容量の値は、前記レベルシフト回路の前記レベルシフト用インバータの入出力間のミラー容量の値と等しい、
請求項2に記載の圧電発振器。
【請求項4】
前記フィードバック容量の値は、前記レベルシフト回路の前記レベルシフト用インバータの入出力間のミラー容量の値より小さい、
請求項2に記載の圧電発振器。
【請求項5】
前記電圧偏差緩和用インバータの入力部は、前記レベルシフト回路の前記レベルシフト用インバータの出力部に接続され、
前記電圧偏差緩和用インバータの出力部は、前記フィードバック容量の一方の端部に接続され、
前記フィードバック容量の他方の端部は、前記レベルシフト回路の前記レベルシフト用インバータの入力部に接続されている、
請求項1または請求項2に記載の圧電発振器。
【請求項6】
前記電圧偏差緩和回路は、前記レベルシフト回路の前記レベルシフト用インバータの入出力間のミラー容量の電源電圧による変動を補償する、
請求項1に記載の圧電発振器。
【請求項7】
前記フィードバック容量は、前記レベルシフト回路の前記レベルシフト用インバータの入出力間のミラー容量と同等で逆位相である、
請求項1または請求項2に記載の圧電発振器。
【請求項8】
前記レベルシフト回路は、前記レベルシフト用インバータと、レベルシフト用帰還抵抗とを有し、
前記レベルシフト用インバータの入力部は、前記カップリング容量の一方の端部に接続されている、
請求項1または請求項2に記載の圧電発振器。
【請求項9】
前記発振回路は、前記圧電振動子と、発振用インバータと、発振用帰還抵抗と、前記発振用インバータを駆動する定電圧回路と、第1容量と、第2容量とを有し、
前記圧電振動子の一方の端部は、前記第1容量を介して接地され、
前記圧電振動子の他方の端部は、前記第2容量を介して接地され、
前記発振用インバータの入力部は、前記圧電振動子の一方の端部に接続され、
前記発振用インバータの出力部は、前記圧電振動子の他方の端部と前記カップリング容量の他方の端部とに接続されている、
請求項8に記載の圧電発振器。
【請求項10】
前記発振回路が、クラップ発振回路である、
請求項1に記載の圧電発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水晶振動子と発振部増幅用インバータと帰還抵抗とを有する発振部と、第2増幅回路用インバータと帰還抵抗とを有する第2増幅回路とが、結合コンデンサを介して結合されている水晶発振器が知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載された水晶発振器は、換言すれば、圧電振動子(水晶振動子)の発振用アンプを定電圧回路で安定化させた発振回路(発振部)と、結合コンデンサとレベルシフト用インバータ(第2増幅回路用インバータ)と帰還抵抗とによるレベルシフト回路とから構成されている。
【0003】
ところで、電源電圧には偏差が発生する可能性がある。また、レベルシフト回路のレベルシフト用インバータの入出力間には、ミラー容量が存在する。そのため、特許文献1に記載されているような圧電発振器では、電源電圧を変化させたり、電源電圧が変動したりすると、出力の振幅が変化するためミラー容量も変化し、周波数電圧偏差が悪化してしまうおそれがある。すなわち、特許文献1に記載されているような圧電発振器では、電源電圧を増加させるとミラー容量が大きくなり、発振周波数が低下するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平1-300605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した問題点に鑑み、本発明は、電源電圧の変化に伴うレベルシフト回路のレベルシフト用インバータの入出力間のミラー容量の変化の影響を緩和し、電源電圧の変化に伴う発振周波数偏差を緩和することができる圧電発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意研究において、レベルシフト回路の出力信号を反転させた信号を生成してレベルシフト回路の入力部に戻すことによって、電源電圧の変化に伴うレベルシフト回路のレベルシフト用インバータの入出力間のミラー容量の変化の影響を緩和できることを見い出した。
【0007】
本発明の一態様は、圧電振動子を有する発振回路と、レベルシフト用インバータを有するレベルシフト回路とが、カップリング容量を介して結合された圧電発振器であって、前記レベルシフト回路は、前記発振回路から発振信号が入力される入力部と、前記発振信号をレベルシフトした信号を外部に出力する出力部とを備え、電圧偏差緩和用インバータとフィードバック容量の直列回路で構成され、前記レベルシフト回路の出力信号を反転させた信号を生成し、前記レベルシフト回路の前記入力部に戻す電圧偏差緩和回路を備える圧電発振器である。
【0008】
本発明の一態様の圧電発振器では前記フィードバック容量の値は、前記レベルシフト回路の前記レベルシフト用インバータの入出力間のミラー容量に相当する値であってもよい。
【0009】
本発明の一態様の圧電発振器では、前記フィードバック容量の値は、前記レベルシフト回路の前記レベルシフト用インバータの入出力間のミラー容量の値と等しくてもよい。
【0010】
本発明の一態様の圧電発振器では、前記フィードバック容量の値は、前記レベルシフト回路の前記レベルシフト用インバータの入出力間のミラー容量の値より小さくてもよい。
【0011】
本発明の一態様の圧電発振器では、前記電圧偏差緩和用インバータの入力部は、前記レベルシフト回路の前記レベルシフト用インバータの出力部に接続され、前記電圧偏差緩和用インバータの出力部は、前記フィードバック容量の一方の端部に接続され、前記フィードバック容量の他方の端部は、前記レベルシフト回路の前記レベルシフト用インバータの入力部に接続されていてもよい。
【0012】
本発明の一態様の圧電発振器では、前記電圧偏差緩和回路は、前記レベルシフト回路の前記レベルシフト用インバータの入出力間のミラー容量の電源電圧による変動を補償してもよい。
【0013】
本発明の一態様の圧電発振器では、前記フィードバック容量は、前記レベルシフト回路の前記レベルシフト用インバータの入出力間のミラー容量と同等で逆位相であってもよい。
【0014】
本発明の一態様の圧電発振器では、前記レベルシフト回路は、前記レベルシフト用インバータと、レベルシフト用帰還抵抗とを有し、前記レベルシフト用インバータの入力部は、前記カップリング容量の一方の端部に接続されていてもよい。
【0015】
本発明の一態様の圧電発振器では、前記発振回路は、前記圧電振動子と、発振用インバータと、発振用帰還抵抗と、前記発振用インバータを駆動する定電圧回路と、第1容量と、第2容量とを有し、前記圧電振動子の一方の端部は、前記第1容量を介して接地され、前記圧電振動子の他方の端部は、前記第2容量を介して接地され、前記発振用インバータの入力部は、前記圧電振動子の一方の端部に接続され、前記発振用インバータの出力部は、前記圧電振動子の他方の端部と前記カップリング容量の他方の端部とに接続されていてもよい。
【0016】
本発明の一態様の圧電発振器では、前記発振回路が、クラップ発振回路であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電源電圧の変化に伴うレベルシフト回路のレベルシフト用インバータの入出力間のミラー容量の変化の影響を緩和し、電源電圧の変化に伴う発振周波数偏差を緩和することができる圧電発振器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態の圧電発振器の一例を示す回路図である。
図2図1に示す圧電振動子の等価回路図である。
図3】特許文献1の図1に記載された水晶発振器に相当する圧電発振器の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の圧電発振器の実施形態を説明する前に、特許文献1の図1に記載された水晶発振器に相当する圧電発振器について説明する。
図3は特許文献1の図1に記載された水晶発振器に相当する圧電発振器の回路図である。
図3に示すように、特許文献1の図1に記載された水晶発振器に相当する圧電発振器には、圧電振動子Pと、発振用インバータXAと、発振用帰還抵抗RAと、容量CA、CBと、定電圧回路RGが含まれる。また、特許文献1の図1に記載された水晶発振器に相当する圧電発振器には、カップリング容量CCと、レベルシフト用インバータXBと、レベルシフト用帰還回路RBとが含まれる。
図3に示す圧電発振器のコルピッツ発振周波数fは、下記の(1)式によって表される。(1)式において、L1は圧電振動子Pの等価回路図(図2参照)における直列インダクタンスを表しており、C0は圧電振動子Pの等価回路図における並列容量を表しており、C1は圧電振動子Pの等価回路図における直列容量を表している。
【0020】
【数1】
【0021】
(1)式中の容量Cは、下記の(2)式によって表される。(2)式において、Cmはレベルシフト用インバータXBの入出力間に存在するミラー容量を表しており、VDDは電源電圧を表しており、VOSC図3に「VOSC」で示す電圧(電位)を表している。
【0022】
【数2】
【0023】
(1)式および(2)式では、説明のため、カップリング容量CCは他の容量(CA、CB、Cm)に対し充分に大きく、影響は無視できると仮定する。
(1)式および(2)式で示すように、容量Cは、電源電圧VDDに依存してミラー容量Cmの影響により大きくなる。容量Cが大きくなると、コルピッツ発振周波数fは低下する。
【0024】
このように、特許文献1に記載されているような圧電発振器(図3に示す圧電発振器)では、電源電圧VDDを増加させるとミラー容量Cmが大きくなり、コルピッツ発振周波数fが低下するおそれがある。
そこで、第1実施形態の圧電発振器1では、後述するような対策が施されている。
【0025】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の圧電発振器1の一例を示す回路図である。図2図1に示す圧電振動子111の等価回路図である。
図1および図2に示す例では、圧電発振器1が、発振回路11と、カップリング容量CCと、レベルシフト回路12と、電圧偏差緩和回路13とを備えている。カップリング容量CCは、発振回路11とレベルシフト回路12とを結合する。
発振回路11は、圧電振動子111と、発振用インバータX1と、発振用帰還抵抗R11と、定電圧回路112と、容量CA、CBとを備えている。
【0026】
図1および図2に示す例では、圧電振動子111が、水晶振動子である。図2に等価回路図で示すように、圧電振動子111は、並列容量C0と、直列容量C1と、直列抵抗R1と、直列インダクタンスL1とによって等価的に表される。
発振用インバータX1は、圧電振動子111の出力信号を増幅する。発振用インバータX1は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)インバータである。定電圧回路112は、発振用インバータX1を駆動する。
圧電振動子111の一方の端部(図1の左側の端部)は、容量CAを介して接地されている。圧電振動子111の他方の端部(図1の右側の端部)は、容量CBを介して接地されている。
発振用インバータX1の入力部は、圧電振動子111の一方の端部(図1の左側の端部)に接続されている。発振用インバータX1の出力部は、圧電振動子111の他方の端部(図1の右側の端部)と、カップリング容量CCの一方の端部(図1の左側の端部)とに接続されている。
【0027】
レベルシフト回路12は、レベルシフト用インバータX2と、レベルシフト用帰還抵抗R2とを備えている。レベルシフト用インバータX2の入力部は、カップリング容量CCの他方の端部(図1の右側の端部)に接続されている。図1に破線で示すように、レベルシフト用インバータX2の入出力間には、ミラー容量Cmが存在する。
【0028】
電圧偏差緩和回路13は、レベルシフト回路12のレベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmの電源電圧による変動を補償する。電圧偏差緩和回路13は、電圧偏差緩和用インバータX3と、フィードバック容量Cfとを備えている。
電圧偏差緩和用インバータX3の入力部は、レベルシフト回路12のレベルシフト用インバータX2の出力部に接続されている。電圧偏差緩和用インバータX3の出力部は、フィードバック容量Cfの一方の端部(図1の右側の端部)に接続されている。フィードバック容量Cfの他方の端部(図1の左側の端部)は、レベルシフト回路12のレベルシフト用インバータX2の入力部に接続されている。
電圧偏差緩和回路13は、レベルシフト回路12の出力信号を反転させた信号を生成し、レベルシフト回路12の入力部に戻す。
【0029】
図1に示す圧電発振器1のコルピッツ発振周波数fは、上述した(1)式によって表される。
図1および図2に示す例では、(1)式中の容量Cは、下記の(3)式によって表される。
【0030】
【数3】
【0031】
フィードバック容量Cfの値は、レベルシフト回路12のレベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmに相当する値である。つまり、フィードバック容量Cfは、レベルシフト回路12のレベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmと同等であって、逆位相である。その結果、電圧偏差緩和回路13によって、圧電発振器1のコルピッツ発振周波数fの電源電圧依存性を改善することができる。
【0032】
第1実施形態の圧電発振器1では、フィードバック容量Cfの値が、レベルシフト回路12のレベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmの値と等しい(Cm=Cf)。そのため、上述した(3)式は、下記の(4)式によって表される。
【0033】
【数4】
【0034】
(3)式および(4)式で示すように、フィードバック容量Cfの値が、レベルシフト回路12のレベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmの値と等しい場合(Cm=Cf)、レベルシフト用インバータX2の入出力間に存在するミラー容量Cmが、フィードバック容量Cfによってキャンセルされる。その結果、電源電圧の変化に伴うレベルシフト回路12のレベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmの変化の影響を緩和することができ、電源電圧の変化に伴う発振周波数偏差を緩和することができる。
つまり、フィードバック容量Cfの値が、レベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmの値と等しい場合(Cm=Cf)、レベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmの電源電圧VDD起因の影響が無くなるため、圧電発振器1のコルピッツ発振周波数fの電源電圧依存性が良化する。
【0035】
<第2実施形態>
以下、本発明の圧電発振器の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の圧電発振器1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の圧電発振器1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の圧電発振器1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の圧電発振器1と同様の効果を奏することができる。
【0036】
上述したように、第1実施形態の圧電発振器1では、フィードバック容量Cfの値が、レベルシフト回路12のレベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmの値と等しい(Cm=Cf)。
本発明者等は、鋭意研究において、フィードバック容量Cfの値と、レベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmの値とが完全に一致しなくても、フィードバック容量Cfの値と、レベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmの値とが略等しく、かつ、フィードバック容量Cfの値が、レベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmの値より小さい場合には、フィードバック容量Cfの値と、レベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmの値とが完全に一致する場合のように、電源電圧の変化に伴うレベルレベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmの変化の影響を緩和し、電源電圧の変化に伴う発振周波数偏差を緩和することができることを見い出した。
そこで、第2実施形態の圧電発振器1では、フィードバック容量Cfの値が、レベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmに相当する値であり、かつ、レベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmの値より小さい。
そのため、第2実施形態の圧電発振器1では、第1実施形態の圧電発振器1のように、電源電圧の変化に伴うレベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmの変化の影響を緩和し、電源電圧の変化に伴う発振周波数偏差を緩和することができる。
【0037】
<第3実施形態>
以下、本発明の圧電発振器の第3実施形態について説明する。
第3実施形態の圧電発振器1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の圧電発振器1と同様に構成されている。従って、第3実施形態の圧電発振器1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の圧電発振器1と同様の効果を奏することができる。
【0038】
第1実施形態の圧電発振器1では、図1に示すように、発振回路11が、コルピッツ発振回路である。
一方、第3の実施形態の圧電発振器1では、発振回路11が、クラップ発振回路(図示せず)である。
本発明者等は、鋭意研究において、発振回路11がクラップ発振回路である場合においても、フィードバック容量Cfの値を、レベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmに相当する値に設定することによって、電源電圧の変化に伴うレベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmの変化の影響を緩和し、電源電圧の変化に伴う発振周波数偏差を緩和することができることを見い出した。
そのため、第3実施形態の圧電発振器1では、第1実施形態の圧電発振器1と同様に、電源電圧の変化に伴うレベルシフト用インバータX2の入出力間のミラー容量Cmの変化の影響を緩和し、電源電圧の変化に伴う発振周波数偏差を緩和することができる。
【0039】
<第4実施形態>
以下、本発明の圧電発振器の第4実施形態について説明する。
第4実施形態の圧電発振器1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の圧電発振器1と同様に構成されている。従って、第4実施形態の圧電発振器1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の圧電発振器1と同様の効果を奏することができる。
【0040】
上述した第1実施形態の圧電発振器1では、圧電振動子111が水晶振動子である。一方、第4実施形態の圧電発振器1では、圧電振動子111が、水晶振動子以外の圧電振動子(例えば表面弾性波振動子など)である。
【0041】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1…圧電発振器
11…発振回路
111…圧電振動子
C0…並列容量
C1…直列容量
R1…直列抵抗
L1…直列インダクタンス
X1…発振用インバータ
R11…発振用帰還抵抗
112…定電圧回路
CA…容量
CB…容量
CC…カップリング容量
12…レベルシフト回路
X2…レベルシフト用インバータ
Cm…ミラー容量
R2…レベルシフト用帰還抵抗
13…電圧偏差緩和回路
X3…電圧偏差緩和用インバータ
Cf…フィードバック容量
図1
図2
図3