(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F24H 9/00 20220101AFI20241031BHJP
F24H 1/14 20220101ALI20241031BHJP
F24H 9/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F24H9/00 C
F24H1/14 B
F24H9/02 301Z
(21)【出願番号】P 2021035881
(22)【出願日】2021-03-05
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】福元 津留美
(72)【発明者】
【氏名】上田 庸孝
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-282919(JP,A)
【文献】特開2001-336887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00-15/493
F28F 9/00-9/26
F28D 7/00-7/16
F23M 5/00-5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排気を生成するバーナが収容された燃焼箱と、燃焼箱に連結されて燃焼排気により加熱される伝熱フィン及び伝熱管を有するフィンチューブ式の熱交換器とを備える燃焼装置であって、
熱交換器は、略箱状の熱交換器本体と、熱交換器本体の少なくとも1側面に設けられた開放部と、開放部を覆う脱着可能な蓋体とを備え、
蓋体と伝熱フィンとの間には制限板が設けられ、
制限板は、蓋体に取り付けられて
おり、伝熱フィン側に向かって突出して伝熱フィンの側端部に当接する凸部と、蓋体側に向かって突出して蓋体の内側面に当接する小凸部とを有し、前記凸部が蓋体と伝熱フィンとの間に形成される隙間を閉塞し、
当該凸部によりバーナの燃焼排気が前記隙間を通過しないように制限する構成を有する燃焼装置。
【請求項2】
燃焼排気を生成するバーナが収容された燃焼箱と、燃焼箱に連結されて燃焼排気により加熱される伝熱フィン及び伝熱管を有するフィンチューブ式の熱交換器とを備える燃焼装置であって、
熱交換器は、略箱状の熱交換器本体と、熱交換器本体の少なくとも1側面に設けられた開放部と、開放部を覆う脱着可能な蓋体とを備え、
蓋体と伝熱フィンとの間には制限板が設けられ、
制限板は、蓋体に取り付けられて当該制限板の一部が蓋体と伝熱フィンとの間に形成される隙間を閉塞し、当該閉塞部分によりバーナの燃焼排気が前記隙間を通過しないように制限する構成を有し、
前記燃焼箱は、略箱状の燃焼箱本体と、燃焼箱本体の少なくとも1側面に設けられた開放部とを備えており、
前記蓋体は、熱交換器本体と燃焼箱本体の両方の同じ側面に配置された開放部を覆う大きさに形成され、
前記制限板は、熱交換器本体の開放部を覆い、燃焼箱本体の開放部まで延設されている燃焼装置。
【請求項3】
燃焼排気を生成するバーナが収容された燃焼箱と、燃焼箱に連結されて燃焼排気により加熱される伝熱フィン及び伝熱管を有するフィンチューブ式の熱交換器とを備える燃焼装置であって、
熱交換器は、略箱状の熱交換器本体と、熱交換器本体の少なくとも1側面に設けられた開放部と、開放部を覆う脱着可能な蓋体とを備え、
蓋体と伝熱フィンとの間には制限板が設けられ、
制限板は、蓋体に取り付けられて当該制限板の一部が蓋体と伝熱フィンとの間に形成される隙間を閉塞し、当該閉塞部分によりバーナの燃焼排気が前記隙間を通過しないように制限する構成を有し、
前記制限板は、少なくとも上下一方向のスライドが許容されるように前記蓋体に係止されており、
前記制限板又は前記伝熱フィンの少なくとも一方は、他方の前記制限板又は前記伝熱フィンに向かって突設する凸部を備えており、
前記凸部は、前記蓋体と前記伝熱フィンとの間の前記閉塞部分となっている燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナが収容された燃焼箱と、燃焼箱に連結されるフィンチューブ式熱交換器とを備える燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の燃焼装置として、例えば、給湯装置は、熱交換器の伝熱フィンによりバーナの燃焼排気から熱を奪い、伝熱フィンを貫通する伝熱管内に流れる水を加熱して湯を生成する。従来の燃焼装置において、熱交換器の熱効率の低下防止や熱交換器の側板の過熱防止等のため、伝熱フィンと熱交換器側板との間に燃焼排気流を流さないように制限する整流板又は排気抜け防止板等の別部材を熱交換器の上部に設けたものがある(特許文献1、2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-189491号公報
【文献】特開2003-329308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の燃焼装置では、熱交換器が箱状に形成されているために熱交換器の上部に排気ダクトを組み付けてしまうと、整流板又は排気抜け防止板等の別部材が付け忘れられていないか、熱交換器内の適切な位置に配置されているか等の配置状況を確認できないという問題があった。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、熱交換器に排気ダクトを組み付けた状態であっても、熱交換器内における伝熱フィンと熱交換器側板との間に燃焼排気流を流さないように制限する部材の配置状況を把握可能とする燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る燃焼装置は、
燃焼排気を生成するバーナが収容された燃焼箱と、燃焼箱に連結されて燃焼排気により加熱される伝熱フィン及び伝熱管を有するフィンチューブ式の熱交換器とを備える燃焼装置であって、
熱交換器は、略箱状の熱交換器本体と、熱交換器本体の少なくとも1側面に設けられた開放部と、開放部を覆う脱着可能な蓋体とを備え、
蓋体と伝熱フィンとの間には制限板が設けられ、
制限板は、蓋体に取り付けられており、伝熱フィン側に向かって突出して伝熱フィンの側端部に当接する凸部と、蓋体側に向かって突出して蓋体の内側面に当接する小凸部とを有し、前記凸部が蓋体と伝熱フィンとの間に形成される隙間を閉塞し、当該凸部によりバーナの燃焼排気が前記隙間を通過しないように制限する構成を有する。
【0007】
前記構成によれば、熱交換器の蓋体が取り外し可能で、その蓋体には蓋体と伝熱フィンとの間の隙間に燃焼排気流を流さないようにするための制限板が取り付けられているから、この蓋体を確認することで熱交換器に排気ダクトを組み付けた状態であっても制限板の取り付け状態や付け忘れ等の配置状況が確実に把握できる。また、制限板を熱交換器本体の開放部を覆う蓋体に取り付けることで、熱交換器本体への蓋体の組み付けによって蓋体と伝熱フィンとの間の所定位置に制限板を容易に配設することができる。そして、前記凸部により、伝熱フィンの側端部と蓋体との間に形成される隙間を確実に閉塞することができる。また、前記小凸部は、蓋体の内側面に当接して凸部が伝熱フィンの側端部に密接するように作用する。これにより、伝熱フィンの側端部と蓋体との間において、前記凸部による閉塞部分の密閉性が高められる。従って、熱交換器への制限板の取り付けを確実に行うことができるから、蓋体と伝熱フィンとの間に形成される隙間を燃焼排気が通過することを制限して、熱交換器の熱効率の向上を適切に図ることが可能となる。
【0008】
また、本発明に係る燃焼装置の態様は、
燃焼排気を生成するバーナが収容された燃焼箱と、燃焼箱に連結されて燃焼排気により加熱される伝熱フィン及び伝熱管を有するフィンチューブ式の熱交換器とを備える燃焼装置であって、
熱交換器は、略箱状の熱交換器本体と、熱交換器本体の少なくとも1側面に設けられた開放部と、開放部を覆う脱着可能な蓋体とを備え、
蓋体と伝熱フィンとの間には制限板が設けられ、
制限板は、蓋体に取り付けられて当該制限板の一部が蓋体と伝熱フィンとの間に形成される隙間を閉塞し、当該閉塞部分によりバーナの燃焼排気が前記隙間を通過しないように制限する構成を有し、
前記燃焼箱は、略箱状の燃焼箱本体と、燃焼箱本体の少なくとも1側面に設けられた開放部とを備えており、
前記蓋体は、熱交換器本体と燃焼箱本体の両方の同じ側面に配置された開放部を覆う大きさに形成され、
前記制限板は、熱交換器本体の開放部を覆い、燃焼箱本体の開放部まで延設されている構成とすることができる。
【0009】
これにより、蓋体が熱交換器本体及び燃焼箱本体の各々の側板を形成し、蓋体に取り付けた制限板によって熱交換器本体及び燃焼箱本体の各々の側板となる蓋体の過熱を防止できる。すなわち、制限板は、熱交換器及び燃焼箱における熱が外部に伝わらないように遮熱するための遮熱板の機能を併用できる。従って、制限板を取り付けた蓋体を熱交換器本体及び燃焼箱本体の両方の開放部に組み付けることで熱交換器及び燃焼箱における遮熱構造が形成されるから、遮熱構造を備えた熱交換器及び燃焼箱の組立が容易となる。
【0010】
また、本発明に係る燃焼装置の態様は、
燃焼排気を生成するバーナが収容された燃焼箱と、燃焼箱に連結されて燃焼排気により加熱される伝熱フィン及び伝熱管を有するフィンチューブ式の熱交換器とを備える燃焼装置であって、
熱交換器は、略箱状の熱交換器本体と、熱交換器本体の少なくとも1側面に設けられた開放部と、開放部を覆う脱着可能な蓋体とを備え、
蓋体と伝熱フィンとの間には制限板が設けられ、
制限板は、蓋体に取り付けられて当該制限板の一部が蓋体と伝熱フィンとの間に形成される隙間を閉塞し、当該閉塞部分によりバーナの燃焼排気が前記隙間を通過しないように制限する構成を有し、
前記制限板は、少なくとも上下一方向のスライドが許容されるように前記蓋体に係止されており、
前記制限板又は前記伝熱フィンの少なくとも一方は、他方の前記制限板又は前記伝熱フィンに向かって突設する凸部を備えており、
前記凸部は、前記蓋体と前記伝熱フィンとの間の前記閉塞部分となっている構成とすることができる。
【0011】
これにより、製造時の公差などで蓋体を熱交換器に組み付ける際に制限板と伝熱フィンとが干渉する場合でも、蓋体に対して制限板がスライド移動して凸部が蓋体と伝熱フィンとの隙間を閉塞させる所定位置に配設されるように対応できる。従って、制限板を熱交換器の適切な位置に組み付けることが容易であり、凸部により蓋体と伝熱フィンとの間に形成される隙間を燃焼排気が通過することを確実に制限できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態による燃焼装置(給湯装置)を示す正面図である。
【
図2】蓋体を取り外した状態の燃焼装置(給湯装置)を示す正面図である。
【
図3】熱交換器及び燃焼箱の内部構成を示す側面図である。
【
図4】熱交換器の部分を上から見た状態を示す上面図である。
【
図5】熱交換器本体の前面における制限板を取り付けた状態の蓋体を示す構成図である。
【
図6】熱交換器本体の前面における蓋体及び制限板を示す斜視図である。
【
図7】熱交換器本体の後面における制限板を取り付けた状態の蓋体を示す構成図である。
【
図8】熱交換器本体の後面における蓋体及び制限板を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1、
図2に示すように、実施形態の燃焼装置は、給水管61から供給される水をバーナ22の燃焼排気により加熱する熱交換器3を備える給湯装置1に適用したものである。
【0014】
給湯装置1は、燃焼箱2と、熱交換器3と、排気ダクト4とがこの順で下から配設された構成を備える。排気ダクト4には、送風機41が取り付けられており、送風機41の上部には、給湯装置1の外部に燃焼排気を排出する排気筒42が接続されている。
【0015】
燃焼箱2は、略箱状の燃焼箱本体21内に、燃焼排気を生成するバーナ22が収容されている。バーナ22には、燃料ガスを供給するガス供給管(図示省略)が接続され、また、バーナ22の炎口部には、点火電極24及び炎検知器23が配設されている。
【0016】
熱交換器3は、フィンチューブ式熱交換器として構成され、略箱状の熱交換器本体31内には、縦向きにして多数枚に集積された薄板の伝熱フィン5と、伝熱フィン5を貫通して配置される伝熱管6とが設けられている。伝熱管6は、蛇行状に延設されて伝熱フィン5の上段部位51と下段部位52とに上下方向に重ならないように配設されている(
図3参照)。伝熱管6の一端側には給水管61が接続され、伝熱管6の他端側には出湯管62が接続されている。熱交換器3の下端は、燃焼箱2の上端と接続され、熱交換器3の上端は、排気ダクト4の下端と接続されている。
【0017】
この給湯装置1の給湯運転は、送風機41を作動させ、燃焼箱2の底部から取り込まれた燃焼用の空気をバーナ22に供給し、点火電極24を火花放電させてバーナ22を点火すると、バーナ22の燃焼により燃焼排気が生成される。バーナ22で生成された燃焼排気は、熱交換器3に供給されて熱交換された後、排気ダクト4を通って排気筒42から給湯装置1の外部に排出される。熱交換器3では、伝熱フィン5によりバーナ22で生成された燃焼排気から熱を回収して給水管61から伝熱管6内に流れる水を加熱し、出湯管62を通じてシャワーやカランなどの給湯端末に湯を供給する。なお、水の代わりに他の熱媒を用いてもよい。
【0018】
本実施形態では、
図3、
図4に示すように、熱交換器本体31内には、伝熱フィン5の集積方向と平行な熱交換器本体31の2つの側面(前面と後面)において、伝熱フィン5と熱交換器本体31の側板となる蓋体8との間に燃焼排気流を流さないように制限する制限板7が配設されている。なお、蓋体8及び制限板7は、熱交換器本体31の前面と後面とで略同様の構成を有するので、以下では、特に言及しない限り、前面のもの(
図5及び
図6)と、後面のもの(
図7及び
図8)とを区別せずに説明する。
【0019】
制限板7は、熱交換器本体31の高さ全体にわたって蓋体8に重ね合わせて配設され、制限板7の一部には、伝熱フィン5の側端部50(伝熱フィン5の横幅側の端部)に当接する凸部70が設けられており、この凸部70は、一群の伝熱フィン5の側端部50と蓋体8との間に形成される隙間Sを閉塞する閉塞部分となり、バーナ22の燃焼排気が前記隙間Sを通過しないように制限する。
【0020】
これにより、燃焼排気は、伝熱フィン5の側端部50と蓋体8との隙間Sを通り抜けることなく伝熱フィン5を通過することとなる。従って、制限板7により、熱交換器本体31の側板となる蓋体8の過熱を防止しながら、熱交換器3の熱効率の向上を図ることができる。
【0021】
熱交換器本体31は、伝熱フィン5の集積方向と平行な2つの側面(前面と後面)が開放した開放部30(
図2参照)となっており、これら開放部30には、四角形状の蓋体8が開放部30を覆ってネジNにより脱着可能に取り付けられている。蓋体8の内側面には制限板7が脱着可能に取り付けられている。
【0022】
図5及び
図6には、熱交換器本体31の前面に配設する蓋体8A及び制限板7Aを示し、前面側の蓋体8A及び制限板7Aでは、制限板7Aは、四角形状を有し、その上辺と下辺とに係止ツメ75が形成されており、また、蓋体8Aには、制限板7Aの各係止ツメ75に対応した上部と下部の位置に係止孔81が設けられている。制限板7Aの下辺側の係止ツメ75は、予め下向きに折り曲げ形成されており、上辺側の係止ツメ75は、蓋体8への取り付け前では横向きに水平に形成されている。
【0023】
制限板7Aを蓋体8Aに取り付けるには、制限板7Aを蓋体8Aの内側面に対面させるように配置し、制限板7Aの下辺側の係止ツメ75を蓋体8Aの下部側の係止孔81に差し込み、次いで制限板7Aの上辺側の係止ツメ75を蓋体8Aの上部側の係止孔81に差し込んで下方へ折り曲げる。これにより、制限板7Aが落下しないように蓋体8Aの内側面の所定位置に取り付けられる。そして、蓋体8Aの縁部に設けられたネジ挿通孔82にネジNを通して、制限板7Aを取り付けた蓋体8Aを熱交換器本体31の前面の開放部30にネジ止めにより取り付けると、制限板7Aの凸部70が一群の伝熱フィン5の側端部50に当接し、この凸部70によって蓋体8Aと伝熱フィン5との間の隙間Sを閉塞する閉塞部分が形成される(
図3参照)。なお、本実施形態における前面側の蓋体8A及び制限板7Aでは、係止ツメ75と係止孔81は、上下に2つずつ設けられているが、上下それぞれに任意の数で設けられてもよい。また、制限板7Aが落下することなく蓋体8Aに取り付けられるように、蓋体8Aには係止ツメ75を設け、制限板7Aには係止孔81を設けるようにしてもよい。
【0024】
図7及び
図8には、熱交換器本体31の後面に配設する蓋体8B及び制限板7Bを示し、後面側の蓋体8B及び制限板7Bでは、制限板7Bの上部を折り曲げて形成した水平フランジ部76に下向きに折り曲げた係止ツメ75が形成され、また、蓋体8Bの上部を折り曲げて形成した水平フランジ部83に係止孔81が形成されたものである。この後面側の蓋体8B及び制限板7Bは、下部には係止ツメ75や係止孔81を有しないが、制限板7Bの上部の係止ツメ75を蓋体8Bの上部の係止孔81に差し込むことにより、蓋体8Bに対して制限板7Bが吊り持ち状態に取り付けられる。そして、この後面側の蓋体8Bの外周部に設けられたネジ挿通孔82にネジNを通して、制限板7Bを取り付けた蓋体8Bを熱交換器本体31の後面の開放部30にネジ止めにより取り付けると、制限板7Bの凸部70が一群の伝熱フィン5の側端部50に当接し、この凸部70によって蓋体8Bと伝熱フィン5との間の隙間Sを閉塞する閉塞部分が形成される(
図3参照)。なお、本実施形態における後面側の蓋体8B及び制限板7Bでは、係止ツメ75と係止孔81は、2つずつ設けられているが、任意の数で設けられてもよい。また、蓋体8Bに対して制限板7Bが吊り持ち状態に取り付けられるように、蓋体8Bには上向きに折り曲げ形成又は横向きに水平に形成等した係止ツメ75を設け、制限板7Bには係止孔81を設けるようにしてもよい。
【0025】
このように、制限板7を取り付けた蓋体8は、熱交換器本体31にネジ止めされて熱交換器本体31から取り外し可能となっているから、熱交換器3に排気ダクト4を組み付けた状態であっても、蓋体8を取り外してこの蓋体8を確認することで制限板7の取り付け状態や付け忘れ等の配置状況を確実に把握できる(
図2参照)。また、制限板7を熱交換器本体31の開放部30を覆う蓋体8に取り付けることで、熱交換器本体31への蓋体8の組み付けによって蓋体8と伝熱フィン5との間の所定位置に制限板7を容易に配設することができる。従って、熱交換器3への制限板7の取り付けを確実に行うことができるから、蓋体8と伝熱フィン5との間に形成される隙間Sを燃焼排気が通過することを制限して、熱交換器3の熱効率の向上を適切に図ることが可能となる。
【0026】
前面側の蓋体8A及び制限板7Aでは、蓋体8Aに設けた各係止孔81のサイズは、孔の横径は係止ツメ75の横幅と略一致しているが、孔の縦径は係止ツメ75の板厚よりも長く形成されている。従って、制限板7Aは、蓋体8Aに取り付けた状態でも、係止孔81の縦方向の長さに応じて上下方向にスライド移動できる。また、後面側の蓋体8B及び制限板7Bでは、制限板7Bは、下向きに折り曲げた係止ツメ75を蓋体8Bの水平フランジ部83に設けた係止孔81に差し込んで吊り持ちされているので、制限板7Bは、係止ツメ75の長さの範囲で蓋体8Bに対して上下方向にスライド移動できる。これにより、製造時の公差などで蓋体8を熱交換器3に組み付ける際に制限板7と伝熱フィン5とが干渉する場合でも、蓋体8に対して制限板7がスライド移動して凸部70が蓋体8と伝熱フィン5との間を閉塞させる所定位置に配設されるように対応できる。従って、制限板7を熱交換器3の適切な位置に組み付けることが容易であり、凸部70により蓋体8と伝熱フィン5との間の隙間Sに燃焼排気の通過を制限する閉塞部分を確実に設けることができる。なお、前述した係止ツメ75と係止孔81とによる制限板7の蓋体8への取付構造は、熱交換器本体31の前面のものと後面のものとは異なっているが、前後面ともに同じ取付構造でもよいし、また、前述した前面での蓋体8Aと制限板7Aとの取付構造と後面での蓋体8Bと制限板7Bとの取付構造とを入れ替えてもよい。
【0027】
制限板7の凸部70は、伝熱フィン5と対応した高さ位置に伝熱フィン5の側端部50に向かって突設されている。この凸部70は、
図3に示すように、上側の第1凸部71と、第1凸部71よりも突出高さの低い下側の第2凸部72とにより形成されている。伝熱フィン5は、上段部位51の側端部50に切欠き53が設けられている。第1凸部71は、伝熱フィン5の上段部位51における切欠き53の側端部50に当接し、第2凸部72は、伝熱フィン5の下段部位52の側端部50に当接する。これら第1凸部71と第2凸部72は、制限板7の横幅の全長にわたって設けられている。従って、第1凸部71と第2凸部72とにより、伝熱フィン5の側端部50と熱交換器本体31の側板となる蓋体8との間に形成される隙間Sを確実に閉塞することができる。
【0028】
また、第2凸部72は、第1凸部71よりも高さを低くすることにより、伝熱フィン5は、バーナ22に近い下段部位52の横幅を広幅に形成している。従って、燃焼箱2から熱交換器3の側板となる蓋体8に沿って流れてくる燃焼排気からも熱を効率よく吸収することができる。なお、伝熱フィン5の下端部には切り込み52aが形成されており、これにより、伝熱フィン5の下段部位52で燃焼排気から回収した熱を下段側の伝熱管6に効率よく伝熱できるようにしている。また、伝熱フィン5の上段部位51には、切り起こし51aが形成されており、これにより、伝熱フィン5の上段部位51で燃焼排気から回収した熱を上段側の伝熱管6に効率よく伝熱できるようにしている。
【0029】
制限板7は、凸部70(第1凸部71及び第2凸部72)より上側及び下側の部分が蓋体8の内側面に重ね合わされる平坦部74a,74b(
図3参照)となっている。これら平坦部74a,74bが蓋体8の内側面に当接することにより、第1凸部71、第2凸部72が伝熱フィン5の側端部50に密接するように作用する。また、第2凸部72の突出面には、蓋体8側に向かって突出する小円形状の第3凸部73
(小凸部)が横並びに複数設けられている。これら第3凸部73は、蓋体8の内側面に当接して第1凸部71、第2凸部72が横方向にわたって伝熱フィン5の側端部50に密接するように作用する。従って、伝熱フィン5の側端部50と蓋体8との間において、第1凸部71及び第2凸部72による閉塞部分の密閉性が高められている。
【0030】
また、燃焼箱2の燃焼箱本体21は、熱交換器3の2つの開放部30と同じ面側である2つの側面が開放した開放部20を備えている。蓋体8は、熱交換器本体31の開放部30と燃焼箱本体21の開放部20とを覆う大きさに形成されている。また、蓋体8に取り付ける制限板7は、熱交換器本体31の開放部30から燃焼箱本体21の開放部20まで延設されており、制限板7は、熱交換器本体31の開放部30と燃焼箱本体21の開放部20との両方を覆う大きさを有する。なお、熱交換器本体31の前面に配設される蓋体8A及び制限板7Aの各々の下部には、炎検知器23の挿入口86a,78aと、点火電極24の挿入口86b,78bとが設けられている。
【0031】
前記構成より、蓋体8が熱交換器本体31及び燃焼箱本体21の各々の側板を形成し、この蓋体8に取り付ける制限板7によって熱交換器本体31及び燃焼箱本体21の各々の側板となる蓋体8の過熱を防止できる。従って、制限板7は、熱交換器3及び燃焼箱2における熱が外部に伝わらないように遮熱するための遮熱板の機能を併用できる。このような制限板7を取り付けた蓋体8は、上述のとおり、熱交換器本体31及び燃焼箱本体21の両方の開放部20,30にネジ止めにより簡単に取り付けられるから、制限板7による遮熱構造を備えた熱交換器3及び燃焼箱2の組立が容易であり、熱交換器3及び燃焼箱2における遮熱構造を容易に形成できる。
【0032】
また、制限板7は、燃焼箱本体21に配置される延設部分に膨出部77が形成されており、この膨出部77により熱の影響に対する強度が高められている。蓋体8にも、制限板7の膨出部77と対応する位置に蓋体膨出部84が形成されており、熱の影響に対する強度が高められている。なお、蓋体膨出部84には、多数の孔85が設けられており、これらの孔85から外部の空気を取り入れて燃焼箱2部分における蓋体8及び制限板7が高温にならないように冷却される。また、制限板7には、燃焼箱2に延設する部分にバーナ22に向かって突出するガイド部79が設けられており、このガイド部79によりバーナ22の燃焼排気が燃焼箱2の中央側へ誘導される。また、蓋体8及び制限板7は、熱交換器本体31の開放部30と燃焼箱本体21の開放部20との両方を覆うので、燃焼箱2と熱交換器3との連結部分でのつなぎ目が減り密閉性及び強度が高められる。
【0033】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で様々な変更を行うことが可能である。
例えば、蓋体8及び制限板7は、熱交換器本体31の開放部30だけ覆う大きさに形成してもよい。
また、本発明の燃焼装置は、給湯装置に限らず、例えば、暖房装置、温水生成装置等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 給湯装置
2 燃焼箱
3 熱交換器
4 排気ダクト
5 伝熱フィン
6 伝熱管
7 制限板
8 蓋体
20 燃焼箱本体の開放部
21 燃焼箱本体
22 バーナ
23 炎検知器
24 点火電極
30 熱交換器本体の開放部
31 熱交換器本体
41 送風機
42 排気筒
50 側端部
51 上段部位
52 下段部位
53 切欠き
61 給水管
62 出湯管
70 凸部
71 第1凸部
72 第2凸部
73 第3凸部
74a,74b 平坦部
75 係止ツメ
76 水平フランジ部
79 ガイド部
81 係止孔
82 ネジ挿通孔
83 水平フランジ部
N ネジ
S 隙間