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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/241 20180101AFI20241031BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20241031BHJP
   F21S 43/20 20180101ALI20241031BHJP
   F21S 43/251 20180101ALI20241031BHJP
   F21W 103/15 20180101ALN20241031BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20241031BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20241031BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20241031BHJP
   F21W 103/45 20180101ALN20241031BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20241031BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20241031BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241031BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S43/14
F21S43/20
F21S43/251
F21W103:15
F21W103:00
F21W103:35
F21W103:20
F21W103:45
F21W103:55
F21W103:10
F21Y115:10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021038674
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138661
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2024-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 一貴
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2005-0044894(KR,A)
【文献】特開2020-205147(JP,A)
【文献】特開2018-181479(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0219181(US,A1)
【文献】特開2005-190669(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0009952(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一面側に設けられた光源と、
前記光源から出射された光を導光させる導光体とを備え、
前記導光体は、前記基板の一面と対向する側に位置して、前記光源から出射された光を内部へと入射する入射部と、
前記基板の一面と対向する側とは反対側に位置して、前記入射部から入射した光を外部へと出射する出射部と、
前記入射部と前記出射部との間に位置して、前記入射部から前記出射部に向けて光を導光させる少なくとも第1の導光部、第2の導光部、第3の導光部、第4の導光部、第5の導光部及び第6の導光部と、
前記第1の導光部と前記第2の導光部との間に位置して、前記入射部から入射して前記第1の導光部の内部で導光される光を前記第2の導光部に向けて反射する第1の反射部と、
前記第2の導光部と前記第3の導光部との間に位置して、前記第2の導光部の内部で導光される光を前記第3の導光部に向けて反射する第2の反射部と、
前記第3の導光部と前記第4の導光部との間に位置して、前記第3の導光部の内部で導光される光を前記第4の導光部に向けて反射する第3の反射部と、
前記第4の導光部の背面側に位置して、前記第4の導光部の内部で導光される光を前記第4の導光部の正面側に向けて反射する第4の反射部と、
前記第4の導光部と前記第5の導光部との間に位置して、前記第4の導光部の正面側に向かって導光される光を前記第5の導光部に向けて反射する第5の反射部と、
前記第5の導光部と前記第6の導光部との間に位置して、前記第5の導光部の内部で導光される光を前記第6の導光部に向けて反射する第6の反射部とを有し、
前記入射部は、前記基板と平面視で重なる領域の内側に配置され、
前記出射部は、前記基板と平面視で重なる領域の外側に配置され、
前記第1乃至第6の導光部は、前記基板と平面視で重なる領域の内側と外側との間に亘って配置され、なお且つ、前記基板と平面視で重なる領域の外側に位置して、少なくとも前記基板の厚み方向において、前記基板を挟んだ一方側から他方側に向かって延在する前記第3の導光部を有し、
前記第4の反射部は、前記第4の導光部の背面側に、前記第4の導光部の一端側から他端側に向かって導光される光を前記第4の導光部の正面側に向かって反射する複数の反射カットを有し、
前記第6の反射部は、前記第6の導光部の正面側における一の方向に向かって反射する第1の反射カットと、前記第6の導光部の正面側における前記一の方向とは異なる他の方向に向かって反射する第2の反射カットとが交互に並ぶことによって構成される複数の反射カットを有することを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記第4の導光部の他端側に対応した前記第6の導光部の端部には、光を透過させる透過面が設けられていることを特徴とする請求項に記載の車両用灯具。
【請求項3】
基板の一面側に設けられた光源と、
前記光源から出射された光を導光させる導光体とを備え、
前記導光体は、前記基板の一面と対向する側に位置して、前記光源から出射された光を内部へと入射する入射部と、
前記基板の一面と対向する側とは反対側に位置して、前記入射部から入射した光を外部へと出射する出射部と、
前記入射部と前記出射部との間に位置して、前記入射部から前記出射部に向けて光を導光させる少なくとも第1の導光部、第2の導光部、第3の導光部、第4の導光部、第5の導光部及び第6の導光部と、
前記第1の導光部と前記第2の導光部との間に位置して、前記入射部から入射して前記第1の導光部の内部で導光される光を前記第2の導光部に向けて反射する第1の反射部と、
前記第2の導光部と前記第3の導光部との間に位置して、前記第2の導光部の内部で導光される光を前記第3の導光部に向けて反射する第2の反射部と、
前記第3の導光部と前記第4の導光部との間に位置して、前記第3の導光部の内部で導光される光を前記第4の導光部に向けて反射する第3の反射部と、
前記第4の導光部の背面側に位置して、前記第4の導光部の内部で導光される光を前記第4の導光部の正面側に向けて反射する第4の反射部と、
前記第4の導光部と前記第5の導光部との間に位置して、前記第4の導光部の正面側に向かって導光される光を前記第5の導光部に向けて反射する第5の反射部と、
前記第5の導光部と前記第6の導光部との間に位置して、前記第5の導光部の内部で導光される光を前記第6の導光部に向けて反射する第6の反射部とを有し、
前記入射部は、前記基板と平面視で重なる領域の内側に配置され、
前記出射部は、前記基板と平面視で重なる領域の外側に配置され、
前記第1乃至第6の導光部は、前記基板と平面視で重なる領域の内側と外側との間に亘って配置され、なお且つ、前記基板と平面視で重なる領域の外側に位置して、少なくとも前記基板の厚み方向において、前記基板を挟んだ一方側から他方側に向かって延在する前記第3の導光部を有し、
なお且つ、前記第4の導光部と前記第6の導光部との間に前記第5の導光部を介した段差部が設けられ、
前記光源から出射される光の方向と、前記出射部から出射される光の方向とが互いに一致していることを特徴とする車両用灯具。
【請求項4】
前記第4の反射部は、前記第4の導光部の背面側に、前記第4の導光部の一端側から他端側に向かって導光される光を前記第4の導光部の正面側に向かって反射する複数の反射カットを有し、
前記第6の反射部は、前記第6の導光部の正面側における一の方向に向かって反射する第1の反射カットと、前記第6の導光部の正面側における前記一の方向とは異なる他の方向に向かって反射する第2の反射カットとが交互に並ぶことによって構成される複数の反射カットを有することを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第5の反射部と前記第6の反射部との何れかで反射される光を拡散させるための拡散機能を持たせた構成、若しくは、前記第1の反射カット及び前記第2の反射カットで反射される光を拡散させるための形状を有した構成であることを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記第4の導光部の他端側に対応した前記第6の導光部の端部には、光を透過させる透過面が設けられていることを特徴とする請求項3~5の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記導光体の厚み方向において、前記基板を挟んだ一方側から他方側に向かって延在する部分の寸法が最も大きいことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記導光体の前記出射部に対向して配置された拡散レンズを備え、
前記拡散レンズは、前記出射部から出射された光を拡散しながら透過させる拡散面を有することを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載される車両用灯具として、発光ダイオード(LED)などの光源と、インナーレンズなどの導光体とを組み合わせたものが知られている(例えば、下記特許文献1,2を参照。)。
【0003】
このような車両用灯具では、光源から出射された光を導光体の入射面から導光体の内部へと入射し、導光体の内部で光を導光させながら、導光体の出射面から導光体の外部へと光を出射する。これにより、導光体の出射面を車両用灯具の発光面として発光させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公昭63-48884号公報
【文献】特開2015-185296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した車両用灯具の中には、車両の側方に向けて橙色発光させるサイドマーカーがある。サイドマーカーは、車両側方の狭小なスペースに設置されることが多く、その設置スペースに合わせて、灯具全体を薄型化することが求められている。
【0006】
例えば、上記特許文献1に記載の発明では、光源から出射された光をリフレクタにより反射しながら、レンズを発光させている。しかしながら、このような構成の場合、リフレクタにより灯具全体の厚みが厚くなってしまう。また、レンズの光源と対向する位置が周囲に比べて強く光って見える、いわゆる点光りによって、車両用灯具の点灯時における見栄えが悪くなってしまう。
【0007】
一方、上記特許文献2に記載の発明では、光源から出射された光を導光体の一端側から入射し、導光体の他端側に向けて光を導光させながら、導光体の背面側に設けられた複数の反射カットにより導光体の正面側に向けて光を反射し、導光体の発光面を均一に発光させている。しかしながら、このような構成の場合、光源が実装された基板を導光体の光を出射する側の主面に対して直交した向きに配置しなければならず、灯具全体の厚みが厚くなってしまう。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、全体の薄型化を図ると共に、発光時の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 基板の一面側に設けられた光源と、
前記光源から出射された光を導光させる導光体とを備え、
前記導光体は、前記基板の一面と対向する側に位置して、前記光源から出射された光を内部へと入射する入射部と、
前記基板の一面と対向する側とは反対側に位置して、前記入射部から入射した光を外部へと出射する出射部と、
前記入射部と前記出射部との間に位置して、前記入射部から前記出射部に向けて光を導光させる少なくとも第1の導光部、第2の導光部、第3の導光部、第4の導光部、第5の導光部及び第6の導光部と、
前記第1の導光部と前記第2の導光部との間に位置して、前記入射部から入射して前記第1の導光部の内部で導光される光を前記第2の導光部に向けて反射する第1の反射部と、
前記第2の導光部と前記第3の導光部との間に位置して、前記第2の導光部の内部で導光される光を前記第3の導光部に向けて反射する第2の反射部と、
前記第3の導光部と前記第4の導光部との間に位置して、前記第3の導光部の内部で導光される光を前記第4の導光部に向けて反射する第3の反射部と、
前記第4の導光部の背面側に位置して、前記第4の導光部の内部で導光される光を前記第4の導光部の正面側に向けて反射する第4の反射部と、
前記第4の導光部と前記第5の導光部との間に位置して、前記第4の導光部の正面側に向かって導光される光を前記第5の導光部に向けて反射する第5の反射部と、
前記第5の導光部と前記第6の導光部との間に位置して、前記第5の導光部の内部で導光される光を前記第6の導光部に向けて反射する第6の反射部とを有し、
前記入射部は、前記基板と平面視で重なる領域の内側に配置され、
前記出射部は、前記基板と平面視で重なる領域の外側に配置され、
前記第1乃至第6の導光部は、前記基板と平面視で重なる領域の内側と外側との間に亘って配置され、なお且つ、前記基板と平面視で重なる領域の外側に位置して、少なくとも前記基板の厚み方向において、前記基板を挟んだ一方側から他方側に向かって延在する前記第3の導光部を有し、
前記第4の反射部は、前記第4の導光部の背面側に、前記第4の導光部の一端側から他端側に向かって導光される光を前記第4の導光部の正面側に向かって反射する複数の反射カットを有し、
前記第6の反射部は、前記第6の導光部の正面側における一の方向に向かって反射する第1の反射カットと、前記第6の導光部の正面側における前記一の方向とは異なる他の方向に向かって反射する第2の反射カットとが交互に並ぶことによって構成される複数の反射カットを有することを特徴とする車両用灯具
〕 前記第4の導光部の他端側に対応した前記第6の導光部の端部には、光を透過させる透過面が設けられていることを特徴とする前記〔〕に記載の車両用灯具。
〔3〕 基板の一面側に設けられた光源と、
前記光源から出射された光を導光させる導光体とを備え、
前記導光体は、前記基板の一面と対向する側に位置して、前記光源から出射された光を内部へと入射する入射部と、
前記基板の一面と対向する側とは反対側に位置して、前記入射部から入射した光を外部へと出射する出射部と、
前記入射部と前記出射部との間に位置して、前記入射部から前記出射部に向けて光を導光させる少なくとも第1の導光部、第2の導光部、第3の導光部、第4の導光部、第5の導光部及び第6の導光部と、
前記第1の導光部と前記第2の導光部との間に位置して、前記入射部から入射して前記第1の導光部の内部で導光される光を前記第2の導光部に向けて反射する第1の反射部と、
前記第2の導光部と前記第3の導光部との間に位置して、前記第2の導光部の内部で導光される光を前記第3の導光部に向けて反射する第2の反射部と、
前記第3の導光部と前記第4の導光部との間に位置して、前記第3の導光部の内部で導光される光を前記第4の導光部に向けて反射する第3の反射部と、
前記第4の導光部の背面側に位置して、前記第4の導光部の内部で導光される光を前記第4の導光部の正面側に向けて反射する第4の反射部と、
前記第4の導光部と前記第5の導光部との間に位置して、前記第4の導光部の正面側に向かって導光される光を前記第5の導光部に向けて反射する第5の反射部と、
前記第5の導光部と前記第6の導光部との間に位置して、前記第5の導光部の内部で導光される光を前記第6の導光部に向けて反射する第6の反射部とを有し、
前記入射部は、前記基板と平面視で重なる領域の内側に配置され、
前記出射部は、前記基板と平面視で重なる領域の外側に配置され、
前記第1乃至第6の導光部は、前記基板と平面視で重なる領域の内側と外側との間に亘って配置され、なお且つ、前記基板と平面視で重なる領域の外側に位置して、少なくとも前記基板の厚み方向において、前記基板を挟んだ一方側から他方側に向かって延在する前記第3の導光部を有し、
なお且つ、前記第4の導光部と前記第6の導光部との間に前記第5の導光部を介した段差部が設けられ、
前記光源から出射される光の方向と、前記出射部から出射される光の方向とが互いに一致していることを特徴とする車両用灯具。
〔4〕 前記第4の反射部は、前記第4の導光部の背面側に、前記第4の導光部の一端側から他端側に向かって導光される光を前記第4の導光部の正面側に向かって反射する複数の反射カットを有し、
前記第6の反射部は、前記第6の導光部の正面側における一の方向に向かって反射する第1の反射カットと、前記第6の導光部の正面側における前記一の方向とは異なる他の方向に向かって反射する第2の反射カットとが交互に並ぶことによって構成される複数の反射カットを有することを特徴とする前記〔3〕に記載の車両用灯具。
〔5〕 前記第5の反射部と前記第6の反射部との何れかで反射される光を拡散させるための拡散機能を持たせた構成、若しくは、前記第1の反射カット及び前記第2の反射カットで反射される光を拡散させるための形状を有した構成であることを特徴とする前記〔4〕に記載の車両用灯具。
〕 前記第4の導光部の他端側に対応した前記第6の導光部の端部には、光を透過させる透過面が設けられていることを特徴とする前記〔3〕~〔5〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔7〕 前記導光体の厚み方向において、前記基板を挟んだ一方側から他方側に向かって延在する部分の寸法が最も大きいことを特徴とする前記〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
〔8〕 前記導光体の前記出射部に対向して配置された拡散レンズを備え、
前記拡散レンズは、前記出射部から出射された光を拡散しながら透過させる拡散面を有することを特徴とする前記〔1〕~〔7〕の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、全体の薄型化を図ると共に、発光時の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用灯具の構成を示す背面図である。
図2図1に示す車両用灯具の構成を示す側面図である。
図3図1中に示す線分A-Aによる車両用灯具の断面図である。
図4図1中に示す線分B-Bによる車両用灯具の断面図である。
図5図1中に示す線分C-Cによる車両用灯具の断面図である。
図6図1中に示す線分D-Dによる車両用灯具の断面図である。
図7図4中に示す囲み部分Eを拡大した断面図である。
図8図6中に示す囲み部分Fを拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0013】
本発明の一実施形態として、例えば図1図8に示す車両用灯具1について説明する。
なお、図1は、車両用灯具1の構成を示す背面図である。図2は、車両用灯具1の構成を示す側面図である。図3は、図1中に示す線分A-Aによる車両用灯具の断面図である。図4は、図1中に示す線分B-Bによる車両用灯具の断面図である。図5は、図1中に示す線分C-Cによる車両用灯具の断面図である。図6は、図1中に示す線分D-Dによる車両用灯具の断面図である。図7は、図4中に示す囲み部分Eを拡大した断面図である。図8は、図6中に示す囲み部分Fを拡大した断面図である。
【0014】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を車両用灯具1の左右方向(幅方向)、Y軸方向を車両用灯具1の前後方向(長さ方向)、Z軸方向を車両用灯具1の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0015】
本実施形態の車両用灯具1は、例えば、車両(図示せず。)の前端側の両コーナー部(本実施形態では左前端側のコーナー部)に搭載されると共に、車両の側方において橙色発光するサイドマーカーに本発明を適用したものである。
【0016】
なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具1を正面(車両の側方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。
【0017】
具体的に、この車両用灯具1は、図1及び図2に示すように、光源2と、光源2から出射された光Lを導光させる導光体3とを備えている。
【0018】
光源2は、橙色光(以下、単に「光」という。)Lを発する発光ダイオード(LED)からなる。光源2は、このLEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板4の一面(本実施形態では正面)側に実装されている。また、回路基板4は、その一面を車両の側方(+X軸側)に向けた状態で配置されている。これにより、光源2は、光Lを車両の側方(+X軸側)に向けて出射する。
【0019】
なお、回路基板4は、上述したLEDを駆動する駆動回路が設けられた構成となっているが、LEDが設けられた実装基板と、駆動回路が設けられた回路基板とを別々に配置し、これら実装基板と回路基板とをハーネスと呼ばれる配線コードを介して電気的に接続し、LEDが発する熱から駆動回路を保護する構成としてもよい。
【0020】
導光体3は、光源2から出射された光Lを導光させる光透過性部材からなる。光透過性部材には、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなど、空気よりも屈折率の高い材質のものを用いることができる。
【0021】
導光体3は、第1の導光部5a、第2の導光部5b、第3の導光部5c、第4の導光部5dと、第5の導光部5e及び第6の導光部5fと、入射部6と、第1の反射部7と、第2の反射部8と、第3の反射部9と、第4の反射部10と、第5の反射部11と、第6の反射部12と、出射部13とを有している。
【0022】
第1の導光部5aは、図2及び図3に示すように、その一端側(-X軸側)に位置する入射部6と、その他端側(+X軸側)に位置する第1の反射部7との間で、光Lを車両の側方(+X軸側)に向けて導光させる部分を構成している。
【0023】
第2の導光部5bは、図2及び図3に示すように、その一端側(-Z軸側)に位置する第1の反射部7と、その他端側(+Z軸側)に位置する第2の反射部8との間で、光Lを車両の上方(+Z軸側)に向けて導光させる部分を構成している。
【0024】
第3の導光部5cは、図2図3及び図4に示すように、その一端側(+X軸側)に位置する第2の反射部8と、その他端側(-X軸側)に位置する第3の反射部9との間で、光Lを車両の側方とは反対方向(-X軸側)に向けて導光させる部分を構成している。
【0025】
第4の導光部5dは、図2及び図4に示すように、その一端側(-Y軸側)から他端側(+Y軸側)に向かって第3の反射部9で反射された光Lを車両の後方(+Y軸側)に向けて導光させると共に、その背面側(-X軸側)に位置する第4の反射部10と、その正面側(+X軸側)に位置する第5の反射部11との間で、第4の反射部10で反射された光Lを車両の側方(+X軸側)に向けて導光させる部分を構成している。
【0026】
第5の導光部5eは、図2及び図5に示すように、その一端側(-Z軸側)に位置する第5の反射部11と、その他端側(+Z軸側)に位置する第6の反射部12との間で、光Lを車両の上方(+Z軸側)に向けて導光させる部分を構成している。
【0027】
第6の導光部5fは、図2図5及び図6に示すように、その一端側(-X軸側)に位置する第6の反射部12と、その他端側(+X軸側)に位置する出射部13との間で、光Lを車両の側方(+X軸側)に向けて導光させる部分を構成している。
【0028】
入射部6は、図2及び図3に示すように、回路基板4の一面と対向する側(本実施形態では背面側)に位置して、光源2から出射された光Lを導光体3の内部へと入射する部分を構成している。
【0029】
具体的に、この入射部6は、光源2と対向する部分の中央に位置して、光源2から出射された光Lの一部が入射する第1の集光入射面6aと、第1の集光入射面6aの周囲を囲む位置から光源2側に突出した突出部の内周側に位置して、光源2から出射された光Lの一部が入射する第2の集光入射面6bと、突出部の外周側に位置して、第2の集光入射面6bから入射した光Lを反射する集光反射面6cとを有している。
【0030】
入射部6では、光源2から出射された光Lのうち、第1の集光入射面6aから入射した光Lを光軸寄りに集光させる。一方、第2の集光入射面6bから入射した光Lを集光反射面6cで反射させることによって光軸寄りに集光させる。
【0031】
これにより、入射部6では、光源2から前方に向けて放射状に出射された光Lを平行化(コリメート)しながら、第1の導光部5aの内部へと入射する。第1の導光部5aに入射した光Lは、第1の反射部7に向けて導光される。
【0032】
第1の反射部7は、図2及び図3に示すように、第1の導光部5aと第2の導光部5bとの間で傾斜した第1の反射面7aを有している。第1の反射部7では、この第1の反射面7aに入射した光Lを第2の導光部5bに向けて反射する。第2の導光部5bに入射した光Lは、第2の反射部8に向けて導光される。
【0033】
第2の反射部8は、図2図3及び図4に示すように、第2の導光部5bと第3の導光部5cとの間で傾斜した第2の反射面8aを有している。第2の反射部8では、この第2の反射面8aに入射した光Lを第3の導光部5cに向けて反射する。第3の導光部5cに入射した光Lは、第3の反射部9に向けて導光される。
【0034】
第3の反射部9は、図2図3及び図4に示すように、第3の導光部5cと第4の導光部5dとの間で傾斜した第3の反射面9aを有している。第3の反射部9では、この第3の反射面9aに入射した光Lを第4の導光部5dに向けて反射する。第4の導光部5dに入射した光Lは、第4の反射部10に向けて導光される。
【0035】
第4の反射部10は、図2図4及び図7に示すように、第4の導光部5dの背面側に位置して、この第4の導光部5dの一端側から他端側に向かって導光される光Lを正面側に向けて反射する複数の反射カット10aを有している。また、第4の導光部5dの背面は、この第4の導光部5dの正面側に向かって傾斜している。
【0036】
複数の反射カット10aは、第4の導光部5dの背面を上下方向に切り欠く溝部が第4の導光部5dが延在する方向に周期的に並ぶことによって構成されている。第4の反射部10では、これら複数の反射カット10aに入射した光Lを第4の導光部5dの正面側に向けて反射する。複数の反射カット10aにより反射された光Lは、第5の反射部11に向けて導光される。
【0037】
なお、第4の反射部10については、上述した構成に必ずしも限定されるものではなく、第4の導光部5dの背面側に入射した光Lを第4の導光部5dの正面側から最終的に横長の出射部13に向けて反射させるものであればよい。
【0038】
また、第4の導光部5dの背面は、導光体3の薄型化を図るため、その傾斜させる角度が限られている。したがって、第4の反射部10は、第4の導光部5dの一端側から他端側に向かって導光される光Lを正面側に向けて均一に反射させるように、上述した反射カット10aの形状や大きさ、数等について、適宜調整することが好ましい。
【0039】
第5の反射部11は、図2及び図5に示すように、第4の導光部5dと第5の導光部5eとの間で傾斜した第5の反射面11aを有している。第5の反射部11では、この第5の反射面11aに入射した光Lを第5の導光部5eに向けて反射する。第5の導光部5eに入射した光Lは、第6の反射部12に向けて導光される。
【0040】
第6の反射部12は、図2図5図6及び図8に示すように、第5の導光部5eと第6の導光部5fとの間で傾斜した第6の反射面12aを有している。第6の反射部12では、この第6の反射面12aに入射した光Lを第6の導光部5fに向けて反射する。第6の導光部5fに入射した光Lは、出射部13に向けて導光される。
【0041】
また、第6の反射面12aには、複数の反射カット14a,14bが設けられている。複数の反射カット14a,14bは、第6の反射面12aを縦方向に切り欠く溝部が第6の導光部5fが延在する方向に周期的に並ぶことによって構成されている。
【0042】
また、複数の反射カット14a,14bは、第6の反射面12aに入射した光Lのうち、第6の導光部5fの正面側における一の方向(本実施形態では車両の側方)に向かって光L1を反射する第1の反射カット14aと、第6の導光部5fの正面側における一の方向とは異なる他の方向(本実施形態では車両の側方よりも45°前方)に向かって光L2を反射する第2の反射カット14bとが交互に並ぶことによって構成されている。
【0043】
また、第1の反射カット14a及び第2の反射カット14bは、これら第1の反射カット14a及び第2の反射カット14bにより反射される光L1,L2を拡散させるために、湾曲した形状を有している。
【0044】
なお、第5の反射部11及び第6の反射部12については、反射される光Lを拡散させるための拡散機能を持たせた構成としてもよい。これにより、出射部13に向けて導光される光Lを更に均一化することが可能である。
【0045】
第4の導光部5dの他端側に対応した第6の導光部5fの端部には、透過面15が設けられている。透過面15は、この第6の導光部5fの端部を斜め方向にカットした傾斜面により構成されている。
【0046】
第6の導光部5fでは、この透過面15に入射した光Lを第6の導光部5fの外部へと透過させる。これにより、第6の導光部5fの端部に入射した光Lが第6の導光部5fの正面側にある出射部13に向かって反射されることを防止する。したがって、本実施形態の車両用灯具1では、第6の導光部5fの端部に入射した光Lが出射部13から出射されて見栄えが悪化するといったことを防ぐことが可能である。
【0047】
出射部13は、図2図5図6及び図8に示すように、回路基板4の一面と対向する側とは反対側(本実施形態では正面側)に位置して、入射部5から入射した光Lを導光体3の外部へと出射する部分を構成している。
【0048】
具体的に、この出射部13は、第6の導光部5fの正面側に出射面13aを有している。出射面13aは、第6の導光部5fが延在する方向に亘って湾曲して設けられている。出射部13では、第1の反射カット14aにより反射された光L1を出射面13aから一の方向(本実施形態では車両の側方)に向かって出射すると共に、第2の反射カット14bにより反射された光L2を出射面13aから一の方向とは異なる他の方向(本実施形態では車両の側方よりも45°前方)に向かって出射する。
【0049】
出射面13a(出射部13)の前方には、拡散レンズ16が設けられている。拡散レンズ16は、偏平な光透過性部材からなり、出射面13aに対向して配置されている。拡散レンズ16には、上記導光体3で例示した光透過性部材と同じものを用いることができる。
【0050】
拡散レンズ16は、図5図6及び図8に示すように、出射面13a(出射部13)から出射された光L1,L2を拡散しながら透過させる拡散面16aを有している。本実施形態では、拡散レンズ16の出射面13aと対向する側(背面側)とは反対側(正面側)に拡散面16aが設けられている。なお、拡散面16aについては、拡散レンズ16の出射面13aと対向する側(背面側)に設けられた構成であってもよい。
【0051】
拡散面16aは、光L1,L2を拡散させるための凹凸構造を有している。なお、このような凹凸構造としては、例えば、フルートカットや魚眼カットと呼ばれるレンズカットや、ローレット加工やシボ加工等を施すことによって形成された凹凸構造などを挙げることができる。なお、本実施形態では、拡散面16aとして、魚眼カットが設けられている。
【0052】
拡散レンズ16では、この拡散面16aの形状等を調整することによって、拡散レンズ16から出射される光L1,L2の拡散度合いを制御することが可能である。
【0053】
以上のような構成を有する本実施形態の車両用灯具1では、拡散レンズ16の正面側をサイドマーカーの発光面Sとして橙色発光させることが可能である。
【0054】
なお、本実施形態では、拡散レンズ16を用いた構成を例示しているが、この拡散レンズ16を省略し、上述した導光体3の出射面13a(出射部13)をサイドマーカーの発光面Sとして橙色発光させることも可能である。
【0055】
ところで、本実施形態の車両用灯具1において、導光体3の入射部6は、回路基板4の一面と対向する側(背面側)に位置して、回路基板4と平面視で重なる領域の内側に配置されている。一方、導光体3の出射部13は、回路基板4の一面と対向する側とは反対側(正面側)に位置して、回路基板4と平面視で重なる領域の外側に配置されている。
【0056】
したがって、導光体3の第1~第6の導光部5a~5fは、入射部6と出射部13との間に位置して、回路基板4と平面視で重なる領域の内側と外側との間に亘って配置されている。なお且つ、第3の導光部5cは、回路基板4と平面視で重なる領域の外側に位置して、少なくとも回路基板4の厚み方向において、回路基板4を挟んだ一方側(正面側)から他方側(背面側)に向かって延在する部分を構成している。また、第3の導光部5cは、導光体3の厚み方向において、回路基板4を挟んだ一方側から他方側に向かって延在する部分の寸法が最も大きくなっている。
【0057】
すなわち、この導光体3は、入射部6と出射部13との間で導光部(本実施形態では第1~第6の導光部5a~5f)の薄型化を図るため、回路基板4の一面(正面)側から回路基板4の側方を通過し、回路基板4の他面(背面)側へと迂回した後、出射部13から出射される光L1,L2(L)の幅を広げる方向(車両の前後方向)に延在するような形状を有している。
【0058】
これにより、本実施形態の車両用灯具1では、光源2から出射される光Lの方向と、導光体3の出射部13から出射される光L1,L2(L)の方向とを一致させながら、回路基板4の厚み方向において、第1~第6の導光部5a~5f(導光体3)の薄型化を図ることが可能である。また、車両用灯具1の上下方向において、光源2が発光面Sから離れた位置にある場合でも、回路基板4の大きさに関わらず、車両用灯具1の全体の厚みを低く抑えることが可能である。
【0059】
また、本実施形態の車両用灯具1では、導光体3の回路基板4と平面視で重なる領域の外側に位置する第4~第6の導光部5d~5fにおいて、出射部13から出射される光L1,L2(L)の幅を車両の前後方向に広げながら、発光面Sをより均一に発光させることが可能である。
【0060】
具体的に、この車両用灯具1では、上述した導光体3のうち、第3の反射部9で反射されて第4の導光部5dの一端側から他端側に向かって導光される光Lを第4の反射部10により反射することで、出射部13から出射される光L1,L2(L)の幅を車両の前後方向に広げることが可能である。
【0061】
また、本実施形態の車両用灯具1では、上述した導光体3のうち、第6の反射部12に設けられた複数の反射カット14a,14bによって、出射面13aから一の方向(本実施形態では車両の側方)に向かって出射される光L1と、出射面13aから一の方向とは異なる他の方向(本実施形態では車両の側方よりも45°前方)に向かって出射される光L2とをそれぞれ拡散しながら反射することで、発光面Sをより均一に発光させることが可能である。
【0062】
さらに、本実施形態の車両用灯具1では、第4の導光部5dと第6の導光部5fとの間に第5の導光部5eを介した段差部を設けることで、出射部13側から第4の反射部10(複数の反射カット10a)で反射された光Lを直視することがないため、点光りによる見栄えの悪化を防ぐことが可能である。
【0063】
以上のようにして、本実施形態の車両用灯具1では、全体の薄型化を図ると共に、発光時の見栄えを良くすることが可能である。また、1つの光源2によって横長の発光面Sを均一に発光させることが可能である。特に、本実施形態の車両用灯具1では、どの方向から発光面Sを見ても、この発光面Sを均一に発光させることが可能である。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態では、上述したフロント側のサイドマーカーに本発明を適用した場合を例示しているが、本発明が適用される車両用灯具については、上述したフロント側のサイドマーカーに必ずしも限定されるものではなく、リア側のサイドマーカーに適用することも可能である。
【0065】
また、本発明が適用される車両用灯具については、上述したサイドマーカー以外にも、例えば、テールランプやブレーキランプ(ストップランプ)、方向指示器(ターンランプ)、バックランプ、昼間点灯ランプ(DRL)、車幅灯(ポジションランプ)などのリア側又はフロント側の車両用灯具に対して、本発明を幅広く適用することが可能である。また、光源が発する光の色については、上述した橙色光以外にも、赤色光や白色光など、その車両用灯具の用途に応じて適宜変更することが可能である。
【0066】
なお、上述したフロント側のサイドマーカーに本発明を適用した場合、上述した構成の他にも、例えば、アウターレンズやエクステンションなどの他の部材と組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…車両用灯具 2…光源 3…導光体 4…回路基板 5a…第1の導光部 5b…第2の導光部 5c…第3の導光部 5d…第4の導光部 5e…第5の導光部 5f…第6の導光部 6…入射部 7…第1の反射部 8…第2の反射部 9…第3の反射部 10…第4の反射部 11…第5の反射部 12…第6の反射部 13…出射部 14a…第1の反射カット 14b…第2の反射カット 15…透過面 16…拡散レンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8