(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 50/04 20060101AFI20241031BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20241031BHJP
B60W 30/09 20120101ALI20241031BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20241031BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
B60W50/04
B60W50/14
B60W30/09
B60W30/06
G08G1/00 D
(21)【出願番号】P 2021039455
(22)【出願日】2021-03-11
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷澤 良盛
(72)【発明者】
【氏名】福永 滉
(72)【発明者】
【氏名】津金 翔
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-151879(JP,A)
【文献】特開2020-52801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
B60K 35/00-37/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転支援システムによる運転支援の作動履歴情報及び前記車両の運動履歴情報を前記車両から取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記作動履歴情報及び前記運動履歴情報に基づいて、前記運転支援が作動された状況における前記車両の経時的な挙動を示す挙動情報を表示装置に表示させる表示制御手段と、を備
え、
前記挙動情報は、前記車両の挙動を再現した動画を含む、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の情報処理装置であって、
前記動画は、前記車両の挙動を俯瞰した動画である、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の情報処理装置であって、
前記表示制御手段は、地図情報に前記動画を重畳して前記表示装置に表示させる、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項
1乃至請求項
3のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記取得手段は、前記車両の運転者の操作履歴情報を取得し、
前記表示制御手段は、
前記動画と共に、前記操作履歴情報に基づいて、前記運転支援が作動された状況における前記運転者の運転操作を示す情報を表示する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の情報処理装置であって、
前記運動履歴情報は、前記車両の車速と操舵角とを含み、
前記操作履歴情報は、運転者のアクセル操作、ブレーキ操作及び操舵操作に関する情報を含む、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項
1乃至請求項
5のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記表示制御手段は、
前記動画と共に、前記運転支援の作動タイミングで、前記運転支援の種類を示す情報を表示する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項
1乃至請求項
6のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記運転支援の作動時に前記車両が走行していた道路の走行環境を示すアイテムの選択を受け付ける受付手段を備え、
前記表示制御手段は、
前記動画と共に、前記受付手段で選択を受け付けた前記アイテムを表示する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項
7のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記運転支援には、自動ブレーキ、自動操舵及び運転者に対する報知の少なくともいずれか一つが含まれる、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項
1又は請求項
2に記載の情報処理装置であって、
前記運転支援は、前記車両の駐車支援を含み、
前記駐車支援時の前記動画には、駐車枠を示す画像が含まれる、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータを、
車両の運転支援システムによる運転支援の作動履歴情報及び前記車両の運動履歴情報を前記車両から取得する取得手段、
前記取得手段が取得した前記作動履歴情報及び前記運動履歴情報に基づいて、前記運転支援が作動された状況における前記車両の経時的な挙動を示す挙動情報を表示装置に表示させる表示制御手段、
として機能させるプログラム
であって、
前記挙動情報は、前記車両の挙動を再現した動画を含む、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の走行時の情報を車両内に保存しておき、保存された情報を点検・整備時に活用する技術が知られている(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の運転支援システムの発展により、自動ブレーキ、自動操舵、注意喚起のための報知等、様々な支援が運転者に対して行われており、車両の安全性の向上に寄与している。一方、運転支援が作動した場合に、運転者がその作動原因を即座に認識できない場合があり、運転支援の作動に運転者が違和感を感じる場合がある。違和感を感じた運転者は、車両の故障ではないかと考えて、車両の販売店においてその説明を求める場合がある。
【0005】
販売店の担当者は、車両に蓄積された情報を元に運転支援システムの状態を判断し、正常であれば運転者に異常がないことを説明している。しかし、説明には専門技術的な内容も含まれるため、口頭による説明や技術的な事項を示した書面だけでは運転者にとって分かり難い場合もある。
【0006】
本発明の目的は、運転支援システムの作動状況を、より分かりやすく説明できるツールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
車両の運転支援システムによる運転支援の作動履歴情報及び前記車両の運動履歴情報を前記車両から取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記作動履歴情報及び前記運動履歴情報に基づいて、前記運転支援が作動された状況における前記車両の経時的な挙動を示す挙動情報を表示装置に表示させる表示制御手段と、を備え、
前記挙動情報は、前記車両の挙動を再現した動画を含む、
ことを特徴とする情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、運転支援システムの作動状況を、より分かりやすく説明できるツールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置及び情報の取得対象である車両例を示すブロック図。
【
図2】(A)~(C)は運転支援の例を示す説明図。
【
図3】
図1の情報処理装置の処理例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<第一実施形態>
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置1及び情報の取得対象である車両Vの例を示すブロック図である。車両Vは一例としてセダンタイプの四輪の乗用車である。車両Vは制御ユニット7を備える。制御ユニット7は、CPUに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェース等を含む。記憶デバイスにはプロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。制御ユニット7はプロセッサ、記憶デバイスおよびインタフェース等を複数備えていてもよい。
【0012】
制御ユニット7は、車両Vの周囲状況を検知する検知ユニット10A~10Dの検知結果に基づいて、車両Vの走行環境を認識可能である。本実施形態の場合、検知ユニット10Aは、車両Vの前方を撮影するカメラであり、検知ユニット10Bは車両Vの後方を撮影するカメラである。検知ユニット10A及び10Bが撮影した画像の解析により、物標の輪郭抽出や、道路上の車線の区画線(白線等)を抽出可能である。検知ユニット10Cはミリ波レーダであり、車両Vの前方の物標を検知したり、物標との距離を測距する。検知ユニット10Dは超音波センサであり、車両Vの後方の物標を検知したり、物標との距離を測距する。検知ユニット10A~10Dとしては、カメラ、ミリ波レーダ、超音波センサ以外のセンサも利用可能であり、また、それらの配置や検知範囲も適宜設計可能である。
【0013】
制御ユニット7は、また、慣性センサ11、車輪速センサ12、アクセルペダルセンサ13、ブレーキペダルセンサ14の検知結果を取得可能である。慣性センサ11は、たとえば加速度センサ、ヨーレートセンサ等を含み、その検知結果により例えば車両Vの姿勢を、車輪速センサ12により例えば車両Vの車速を演算可能である。アクセルペダルセンサ13、ブレーキペダルセンサ14の検知結果により運転者のアクセル操作量、ブレーキ操作量をそれぞれ演算可能である。
【0014】
制御ユニット7は、駆動源17、ブレーキ装置18及び電動パワーステアリング19を制御可能である。駆動源17は例えば内燃機関と自動変速機を含み、制御ユニット7は駆動源17の制御によって車両Vの加減速を制御可能である。ブレーキ装置18は例えばディスクブレーキ装置であり、制御ユニット7はブレーキ装置18によって車両Vのブレーキを制御可能である。
【0015】
電動パワーステアリング19は、ステアリングホイールに対する運転者の運転操作(操舵操作)に応じて前輪を操舵する機構である。電動パワーステアリング19は、操舵操作をアシストするための駆動力(操舵アシストトルクと呼ぶ場合がある。)を発揮するモータ、操舵角センサ、運転者が負担する操舵トルクを検知するトルクセンサ等を含む。制御ユニット7は電動パワーステアリング19によって車両Vの操舵を制御可能であり、また、運転者の操舵量を演算可能である。
【0016】
制御ユニット7は、また、音出力装置15やメータパネル16を制御可能である。音出力装置15により、運転者に警告音などの報知が可能である。メータパネル16に各種の情報を表示することが可能である。
【0017】
制御ユニット7は、運転支援システムを構成する。運転支援として、制御ユニット7は、例えば、衝突軽減ブレーキ、車線逸脱抑制、駐車支援等を行うことができる。
図2(A)は衝突軽減ブレーキの説明図である。衝突軽減ブレーキは、自動ブレーキであり、車両Vの前方に障害物100が検知ユニット10Aや10Cで検知され、制御ユニット7が障害物100と車両Vとの衝突を予測した場合、制御ユニット7は音出力装置15により報知したり、ブレーキ装置18を作動して車両Vの減速を行う。
【0018】
図2(B)は車線逸脱抑制の説明図である。車線逸脱抑制は、自動操舵であり、制御ユニット7は、車両Vが走行車線を逸脱する可能性が高まった場合、音出力装置15により報知したり、電動パワーステアリン
グ19を制御して、車両Vが走行車線内を維持するように車両Vを操舵する。
図2(C)は駐車支援の説明図である。制御ユニット7は、検知ユニット10A及び10Bの検知結果から駐車枠102を認識し、駆動源17、電動パワーステアリング19を制御して車両Vを駐車枠102に移動する。
【0019】
制御ユニット7は、こうした運転支援の作動履歴情報と、作動の前後の一定期間での車両Vの運動履歴情報及び操作履歴情報を内部の記憶デバイスに保存する(ドライブレコーダ)。作動履歴情報は、衝突軽減ブレーキや車線逸脱抑制等、運転者の指示なく作動した過去の運転支援の全てと、駐車支援を途中で中止した場合等、運転者の指示で開始したが、完了しなかった過去の運転支援を含む。作動履歴情報は、例えば、車両Vの総走行距離と関連付けて保存され、運転支援に関わる情報(作動契機、作動タイミング、制御量等)を含む。運動履歴情報は、車両Vの運動に関わる情報であり、車速、加速度、減速度、角速度、操舵角、駆動源17等の制御量を含む。操作履歴情報は、運転者の運転操作に関わる情報(アクセル操作量、ブレーキ操作量、操舵角等)である。
【0020】
図1に戻り、情報処理装置1は通信アダプタ8を介して制御ユニット7に通信可能に接続され、制御ユニット7に保存されている作動履歴情報、運動履歴情報及び操作履歴情報を読み出して取得することが可能である。情報処理装置1は、処理部2、記憶部3、外部デバイスと処理部2とのインタフェース4とを含む。処理部2は、CPUに代表されるプロセッサであり、記憶部3に記憶されたプログラムを実行する。記憶部3は、RAM、ROM、ハードディスクなどの記憶デバイスである。記憶部3には、処理部2が実行するプログラムの他、各種のデータが格納される。各種のデータは、後述する挙動情報の表示に用いるデータを含む。処理部2が実行するプログラムはCD-ROM等の記憶媒体を用いて情報処理装置1にインストールすることも可能である。
【0021】
情報処理装置1には表示装置5と入力装置6とが接続されている。表示装置5は例えば液晶表示装置であり、情報処理装置1は後述する挙動情報を表示装置5に表示させる。入力装置6はマウスやキーボード等であり、情報処理装置1は入力装置6に入力されたオペレータの指示を受付可能である。情報処理装置1、表示装置5及び入力装置6は、デスクトップ形式のパソコン、ノート形式のパソコン、或いはタッチパネルを備えたタブレットであってもよい。
【0022】
<処理例>
情報処理装置1の処理例について説明する。車両Vの点検・整備時等において、情報処理装置1は通信アダプタ8を介して車両Vの制御ユニット7に接続される。
図3はこうした状況において処理部
2が実行する処理例を示すフローチャートである。S1では、情報処理装置1と制御ユニット7との通信により、制御ユニット7に保存されている履歴情報(上記の作動履歴情報、運動履歴情報及び操作履歴情報)を情報処理装置1が制御ユニット7から取得する。
【0023】
S2では取得した履歴情報を解析し、表示装置5に表示させる情報を生成する。S3ではS2で生成した情報を表示装置5に表示する表示制御を実行する。S3での表示は、車両販売店のサービススタッフが車両Vの状態確認を行うための表示の他、車両Vのオーナの要請により、車両Vの運転支援時の説明のための表示を含む。車両Vのオーナは、過去の運転支援の作動に違和感を感じた場合、その説明を求める場合がある。サービススタッフは表示装置5の表示を用いてオーナに説明する。
【0024】
図4は、表示装置5の表示例を示し、運転支援が作動された状況における車両Vの経時的な挙動を示す挙動情報21の例を示している。
【0025】
挙動情報21は、総走行距離表示領域22を含む。上記の通り、本実施形態では作動履歴情報が車両Vの総走行距離と関連付けられている。総走行距離表示領域22は、運転支援が作動したときの走行距離のリストを表示しており、再現させたい過去の運転支援の情報を、このリストの中から選択することができる。
【0026】
例えば、サービススタッフは、オーナとの対話により、オーナに説明を求められている運転支援作動時のおおよその走行距離を聞き出し、総走行距離表示領域22の中から、聞き出した走行距離に近い一の走行距離を選択する。図示の例ではカーソル22aにより1352km走行時の履歴が選択されている。走行距離を選択すると、対応する履歴情報が確定する。
【0027】
挙動情報21は、設定表示領域23を含む。設定表示領域23には、運転支援の作動時における車両Vの各種の設定が示される。図示の例では、「警報距離設定」が通常、「車線維持制御」がOFF(作動しない)、「オートクルーズ」がOFFであったことが例示されている。「警報距離設定」とは、障害物と車両Vとが所定の距離まで近接した場合に、これを運転者報知する際の、所定の距離の長さの設定である。「車線維持制御」とは上記の車線逸脱抑制と同じであり、これがOFFの場合、車線逸脱抑制に関わる運転支援は実行されない。「オートクルーズ」は先行車に対する自動追従制御であり、これがOFFの場合は作動しない。
【0028】
挙動情報21は、車両Vの挙動を再現した動画を表示する再現動画表示領域24を含む。本実施形態では、挙動情報として、車両Vの経時的な挙動を動画で表示する。図示の例では、車両Vに相当する車両画像VIが平面視で表示されており、車両Vの挙動を俯瞰した動画が表示される。車両画像VIは実車の写真画像であってもよい。
図4の段階での表示は、再現開始前の初期表示であり、再生ボタン21aの選択操作を行うと動画による再現が開始され、停止ボタン21bの選択操作を行うと動画が停止する。
【0029】
挙動情報21は、支援内容表示領域25を含む。支援内容表示領域25には、作動した運転支援の種類を示す情報が表示される。この情報の表示は、再現動画表示領域24に表示される再現動画に合わせて、実際の作動タイミングに相当するタイミングで行われ、図示の例では未表示の状態である。
【0030】
挙動情報21は、メータ再現領域26を含む。メータ再現領域26には、運転支援が作動した際のメータパネル16の表示内容を再現する画像が表示される。図示の例では、駆動源17の自動変速機のシフトレンジがDレンジであり、車速が53km/hであることが示されている。
【0031】
挙動情報21は、操作表示領域27を含む。操作表示領域27には運転支援が作動した際の運転者の運転操作等を示す情報が表示される。図示の例では、レベルメータ30により、アクセル操作量が示される。また、レベルメータ30には、内燃機関のスロットル開度(内燃機関の制御情報)が示される。操舵情報29は、ステアリングホイールを示すアイコンを用いて、運転者による操舵量、又は、運転支援による自動操舵の操舵量が表示される。ブレーキ情報28は、ブレーキペダルを示すアイコンを用いて、運転者によるブレーキ操作、又は、運転支援による自動ブレーキの作動の有無が表示される。
【0032】
再生ボタン21aの操作後の挙動情報21の表示の変化について
図5~
図8を参照して説明する。車両画像VIの挙動表示は運動履歴情報に基づいて表示制御される。
図5は、運転支援作動前の段階を示している。車両画像VIが前進している。走行軌跡24aは車両画像VI(つまり車両V)が移動した軌跡を示している。この段階で、メータ再現領域26には先行車に注意を促すアイコン26bが表示されている。つまり、車両Vの実走行において、このタイミングで検知ユニット10Aや10Cによって先行車との近接が検知されていたことを理解することができる。
【0033】
図6は、
図5の状態から時間が経過した段階を示している。車両画像VIが前進しているが、ブレーキ操作は無く、レベルメータ30の表示(アクセル操作量)も変化がない。この段階で、支援内容表示領域25には、前走
車に対する注意を促す警報が発動されたことを示す情報25aが表示されている。また、メータ再現領域26には先行車に注意を促すアイコン26bに加えて、報知が行われていることを示すアイコン26cが表示されている。つまり、車両Vの実走行において、このタイミングで、先行車との近接に注意を促す運転支援がなされていたことを理解することができる。
【0034】
図7は、
図6の状態から時間が経過した段階を示している。車両画像VIが前進しつつも、ブレーキが作動している。この段階で、支援内容表示領域25には、前走
車に対する注意を促す警報が発動されたことを示す情報25aに加えて、自動ブレーキ(衝突軽減ブレーキ)が作動したことを示す情報25bが表示されている。また、メータ再現領域26における車速表示において車速が低下していることが表示され、レベルメータ30の表示(アクセル操作量)に変化はないが(運転者はアクセル操作を継続している)、スロットル開度を示すレベルメータ30の表示においてスロットル開度が低下している(制御により内燃機関の出力を落としている)。操作表示領域27には、ブレーキ情報28に隣接して、自動ブレーキが作動したことを示す情報28aが表示されている。つまり、車両Vの実走行において自動ブレーキの作動による運転支援がなされていたことを理解することができる。
【0035】
図8は、
図7の状態から時間が経過して運転支援が終了した後の段階を示している。車両画像VIが前進し、やや右に旋回している。支援内容表示領域25、メータ再現領域26及び操作表示領域27から運転支援に関わる表示が消えている。操作表示領域27では、操舵情報29により運転者により右への操舵操作がなされていることが示されている。走行軌跡24aには自動ブレーキの作動区間24bが表示されている。
図8の表示から、車両Vの実走行においては、自動ブレーキの作動後、先行車と衝突することなく、車両Vが走行を継続したことが推測される。
【0036】
以上のような挙動情報21を、説明を求めた車両Vのオーナに提示することで、運転支援システムの作動状況を、より分かりやすく説明することができ、誤作動・故障といった誤解を解くことが出来る。特に、再現動画表示領域24に車両Vの挙動を再現した動画を表示することで視覚的に分かりやすい説明ができる。再現動画に加えて、運転支援の作動時における車両Vの動作状況や運転者の操作状況に関する情報も表示されるため、車両Vのオーナに運転支援システムの作動状況と自身の運転操作との関係等をより分かりやすく理解してもらうことができる。
【0037】
<第二実施形態>
第一実施形態では、車両Vの挙動を動画で表示したが、本実施形態では、更に、運転支援時の作動時において車両Vが走行していた道路の走行環境についての参考情報を表示可能なツールについて説明する。説明を受ける車両Vのオーナにとっては、運転支援の作動契機となった状況を直感的に認識し易くなる。
【0038】
図9はその一例を示す表示装置5の表示例である。本実施形態では、
図4~
図8で説明した挙動情報21におけるオプションの機能として、様々なアイテムを再現動画表示領域24に表示可能な編集機能を有している。
【0039】
アイテム領域32には、再現動画表示領域24に表示可能なアイテムが列挙されている。アイテム32aは自動車を示すアイコンであり、アイテム32bは歩行者を示すアイコンであり、アイテム32cは自転車とライダを示すアイコンである。アイテム32dは街路樹を示すアイコンであり、アイテム32eは交差路を示すアイコンであり、アイテム32fは道路を示すアイコンである。オペレータは、入力装置6によってアイテム領域32からアイテムの選択操作を行い、再現動画表示領域24にドラッグ操作等を行うことで、その選択が受け付けられ、再現動画表示領域24にこれが表示される。
【0040】
編集領域33には、自由描画ツール33a、消しゴムツール33b、ごみ箱ツール33cが表示されている。オペレータは、入力装置6によって自由描画ツール33aを選択することで、再現動画表示領域24に自由に線図を描くことができる。消しゴムツール33bは再現動画表示領域24に描かれた自由線図を削除するツールであり、ごみ箱ツール33cはアイテム領域32から選択して再現動画表示領域24に表示させたアイコンを削除するツールである。
【0041】
サービススタッフは、運転支援時の作動時において車両Vが走行していた道路の走行環境をオーナから聞き取り、再現動画表示領域24に対して、アイテム領域32のアイテムや編集領域33の各ツールを用いて編集操作を行う。
図10は編集後の表示例を示しており、走行環境の静止画像が再現動画表示領域24に重畳的に表示されている。再生ボタン21aの操作により、
図5~
図8に例示した車両画像VIの再現動画の再生も可能である(走行環境の静止画像はそのままである)。このような表示を参考にしつつ、サービススタッフとオーナとが対話を進めることにより、運転支援の作動契機等の理解を深めることができ、誤作動・故障といった誤解を解くことが出来る。
【0042】
<第三実施形態>
第二実施形態では、道路の走行環境についての参考情報として、オペレータの作画による静止画像を重畳的に表示したが、地図情報を重畳的に表示してもよい。
図11はその一例を示す表示装置5の表示例である。本実施形態においても、
図4~
図8で説明した挙動情報21におけるオプションの機能として、地図情報を再現動画表示領域24に表示可能な編集機能を有している。
【0043】
地図表示領域34には地図情報として航空写真の画像が表示される。航空写真の画像は記憶部3に予め記憶しておいてもよいし、地図情報の提供サーバからインターネット等のネットワークを介して情報処理装置1が取得してもよい。オペレータは、入力装置6によって地図表示領域34から枠34aによって表示範囲の選択操作を行い、再現動画表示領域24にドラッグ操作等を行うことで、その選択が受け付けられ、再現動画表示領域24に枠34aの画像が表示される。地図表示領域34に表示される地図の地域は、入力ボックス35に地域の情報を入力することで切り替えることができる。
【0044】
サービススタッフは、運転支援時の作動時において車両Vが走行していた道路の地点をオーナから聞き取り、入力ボックス35に地点の情報を入力し、地図表示領域34から地図情報を選択して再現動画表示領域24に表示させる。図
12は、地図情報の選択後の表示例を示しており、航空写真の画像24cが再現動画表示領域24に重畳的に表示されている。再生ボタン21aの操作により、
図5~
図8に例示した車両画像VIの再現動画の再生も可能である(航空写真の画像24cはそのままである)。このような表示を参考にしつつ、サービススタッフとオーナとが対話を進めることにより、運転支援の作動契機等の理解を深めることができ、誤作動・故障といった誤解を解くことが出来る。
【0045】
地図情報を再現動画表示領域24に重畳的に表示させる別の方式として、再現動画表示領域24の背景の透過を選択可能とし、その背景として地図情報を表示する方式も採用可能である。
図13~
図15はその一例を示す。
【0046】
図13は背景となる地図情報の表示例を示している。図示の例ではインターネットブラウザ等のウィンドウ40を例示している。ウィンドウ40は、インターネット上で提供されている地図情報(航空写真等)が表示されている。オペレータはウィンドウ40に表示させる地点の変更や、拡大・縮小操作を任意に行うことができる。
【0047】
このウィンドウ40に挙動情報21のウィンドウを重ねる。
図14はその一例を示している。
図14の段階では再現動画表示領域24を非透過状態としている。このため、背後のウィンドウ40の地図情報は表示されていない。なお、図示の例では両者の重なり関係を視覚的に分かりやすくする目的で、挙動情報21に模様を付している。
【0048】
挙動情報21には、透過選択ボタン21cが設けられている。オペレータが透過選択ボタン21cを操作すると、
図15に示すように再現動画表示領域24が透過状態となり、背後のウィンドウ40の地図情報が表示される。この状態で、再現動画表示領域24の枠内において、オペレータはウィンドウ40に表示させる地点の変更や、拡大・縮小操作を任意に行うこともできる。また、再生ボタン21aの操作により、
図5~
図8に例示した車両画像VIの再現動画の再生も可能である(地図情報の表示はそのままである)。
【0049】
このように再現動画表示領域24の透過状態、非透過状態を選択可能とすることで、背後に多様なソースの地図情報を表示させることが可能となる。
【0050】
<第四実施形態>
上記各実施形態では、運転支援として衝突軽減ブレーキが作動した場合を例示したが、他の種類の運転支援にも上記各実施形態は適用可能である。本実施形態では運転支援として駐車支援が作動したが、完了しなかった場合の表示例について説明する。
【0051】
図16は表示装置5の表示例を示し、本実施形態における挙動情報21の例を示している。支援内容表示領域25には、作動した運転支援の種類を示す情報として、駐車支援を示す「駐車モード」と表示されており、特に、縦列駐車を自動的に行うことを示す「右縦列空間駐車」との表示がなされている。
【0052】
挙動情報21は、動作結果表示領域36を含み、駐車支援が完了しなかった理由(中止理由)が表示されている。図示の例では規定時間内に駐車が完了しなかったことが理由として表示されている。
【0053】
再現動画表示領域24には、駐車支援時に想定された駐車枠の画像FIが表示されている。再生ボタン21aの操作により動画の再生が開始される。図示の例では、破線で示す位置から実線で示す位置へ車両画像VIが移動する動画が再生されることが想定されている。実線の位置は車両Vの駐車支援が中止された位置である。
【0054】
本実施形態においても、説明を求めた車両Vのオーナに挙動情報21を提示することで、運転支援システムの作動状況を、より分かりやすく説明することができ、誤作動・故障といった誤解を解くことが出来る。特に、再現動画表示領域24に車両Vの挙動を再現した動画を表示することで視覚的に分かりやすい説明ができ、駐車枠の画像FIも表示されることで、当時の状況をサービスマンとオーナとで確認しつつ、システムの理解をオーナに深めてもらうことができる。
【0055】
<第五実施形態>
第一~第四実施形態では、挙動情報21が再現動画表示領域24を含み、車両Vの挙動の再現動画を表示することとしたが、これに代えて、運動履歴情報に含まれる各パラメータの経時的な変化をバーグラフ、折れ線グラフ等で表示する等、他の表示形態であってもよい。
【0056】
<実施形態のまとめ>
上記実施形態は、以下の情報処理装置、プログラム、記憶媒体を少なくとも開示している。
【0057】
1.上記実施形態の情報処理装置(1)は、
車両(V)の運転支援システム(7)による運転支援の作動履歴情報及び前記車両の運動履歴情報を前記車両から取得する取得手段(2,S1)と、
前記取得手段が取得した前記作動履歴情報及び前記運動履歴情報に基づいて、前記運転支援が作動された状況における前記車両の経時的な挙動を示す挙動情報(21)を表示装置(5)に表示させる表示制御手段(2,S3)と、を備える。
この実施形態によれば、運転支援システムの作動状況を、より分かりやすく説明することができるツールを提供することができる。
【0058】
2.上記実施形態では、
前記挙動情報は、前記車両の挙動を再現した動画(24)を含む。
この実施形態によれば、視覚的に分かりやすい説明ができる。
【0059】
3.上記実施形態では、
前記動画は、前記車両の挙動を俯瞰した動画(24)である。
この実施形態によれば、視覚的に分かりやすい説明ができる。
【0060】
4.上記実施形態では、
前記表示制御手段は、地図情報に前記動画を重畳して前記表示装置に表示させる(
図12,
図15)。
この実施形態によれば、道路の走行環境を参考にしつつ、運転支援システムの作動状況を、より分かりやすく説明することができる。
【0061】
5.上記実施形態では、
前記取得手段は、前記車両の運転者の操作履歴情報を取得し、
前記表示制御手段は、
前記動画と共に、前記操作履歴情報に基づいて、前記運転支援が作動された状況における前記運転者の運転操作を示す情報(27)を表示する。
この実施形態によれば、運転支援システムの作動状況と、運転者の運転操作との関係をより分かりやすく説明することができる。
【0062】
6.上記実施形態では、
前記運動履歴情報は、前記車両の車速と操舵角とを含み、
前記操作履歴情報は、運転者のアクセル操作、ブレーキ操作及び操舵操作に関する情報を含む。
この実施形態によれば、前記車両の挙動をより正確に再現でき、また、運転者の運転操作との関係をより分かりやすく説明することができる。
【0063】
7.上記実施形態では、
前記表示制御手段は、
前記動画と共に、前記運転支援の作動タイミングで、前記運転支援の種類を示す情報(25)を表示する(
図6,
図7)。
この実施形態によれば、運転支援システムの作動契機の理解を深めることができる。
【0064】
8.上記実施形態の情報処理装置は、
前記運転支援の作動時に前記車両が走行していた道路の走行環境を示すアイテムの選択を受け付ける受付手段(32)を備え、
前記表示制御手段は、
前記動画と共に、前記受付手段で選択を受け付けた前記アイテムを表示する(
図10)。
この実施形態によれば、道路の走行環境を参考にしつつ、運転支援システムの作動状況を、より分かりやすく説明することができる。
【0065】
9.上記実施形態では、
前記運転支援には、自動ブレーキ(
図2(A))、自動操舵(
図2(B))及び運転者に対する報知(15)の少なくともいずれか一つが含まれる。
この実施形態によれば、運転者が違和感を感じる可能性のある運転支援システムの作動状況を、より分かりやすく説明することができる。
【0066】
10.上記実施形態では、
前記運転支援は、前記車両の駐車支援を含み(
図2(C))、
前記駐車支援時の前記動画には、駐車枠を示す画像(FI)が含まれる(
図16)。
この実施形態によれば、駐車支援の作動状況を、より分かりやすく説明することができる。
【0067】
11.上記実施形態のプログラム(
図3)は、
コンピュータ(2)を、
車両(V)の運転支援システム(7)による運転支援の作動履歴情報及び前記車両の運動履歴情報を前記車両から取得する取得手段(2,S1)、
前記取得手段が取得した前記作動履歴情報及び前記運動履歴情報に基づいて、前記運転支援が作動された状況における前記車両の経時的な挙動を示す挙動情報(21)を表示装置(5)に表示させる表示制御手段(2,S3)、
として機能させる。
この実施形態によれば、運転支援システムの作動状況を、より分かりやすく説明することができるツールを提供することができる。
【0068】
12.上記実施形態の記憶媒体は、
コンピュータ(2)を、
車両(V)の運転支援システム(7)による運転支援の作動履歴情報及び前記車両の運動履歴情報を前記車両から取得する取得手段(2,S1)、
前記取得手段が取得した前記作動履歴情報及び前記運動履歴情報に基づいて、前記運転支援が作動された状況における前記車両の経時的な挙動を示す挙動情報(21)を表示装置(5)に表示させる表示制御手段(2,S3)、
として機能させるプログラム(
図3)を記憶する。
この実施形態によれば、運転支援システムの作動状況を、より分かりやすく説明することができるツールを提供することができる。
【0069】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
V 車両、1 情報処理装置