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特許7579731車両の制御装置、車両の制御システム、プログラム、及び車両の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】車両の制御装置、車両の制御システム、プログラム、及び車両の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20241031BHJP
   G06V 20/59 20220101ALI20241031BHJP
【FI】
G06T7/00 660B
G06T7/00 350B
G06V20/59
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021053146
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022150512
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳住 友稜
【審査官】伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-047273(JP,A)
【文献】特開2011-123733(JP,A)
【文献】特開2020-007878(JP,A)
【文献】特開2020-013341(JP,A)
【文献】運転環境における高精度関節位置推定と姿勢評価システム,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2016)シンポジウム論文集,2016年06月29日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
G08G 1/00 - 99/00
H04N 23/00
H04N 23/40 - 23/76
H04N 23/90 - 23/959
CSDB(日本国特許庁)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシートに着座している人物を撮像した画像から取得される、前記人物の骨格の位置を示す骨格座標が動き得る領域として予め設定された設定領域を記憶する記憶装置と、
前記設定領域を設定するためのキャリブレーション処理、及び、車室内を撮像した画像から、前記車両に乗車した利用者がシートに着座したか否かを判定する着座判定処理を実行する処理装置とを備え、
前記キャリブレーション処理は、前記人物を撮像した画像から前記人物の骨格座標を一定期間取得し、その取得された骨格座標が前記一定期間に動いた領域に基づいて、前記人物の骨格座標が動き得る領域を前記設定領域として設定し、
前記着座判定処理は、
前記車室内を撮像した画像から前記利用者の骨格座標を取得し、
その取得された前記利用者の骨格座標が前記設定領域内に所定期間含まれている場合に、前記利用者がシートに着座したものと判定する処理を含む、車両の制御装置。
【請求項2】
前記キャリブレーション処理は、前記人物の所定の部位毎に、各部位の骨格座標が動き得る領域を前記設定領域として設定し、
前記着座判定処理は、
前記車室内を撮像した画像から前記利用者の前記各部位の骨格座標を取得し、
その取得された前記利用者の前記各部位の骨格座標が前記設定領域内に所定期間含まれている場合に、前記利用者がシートに着座したものと判定する処理を含む、請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記キャリブレーション処理は、前記車両のシート毎に前記設定領域を設定する、請求項1又は請求項2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記処理装置は、前記着座判定処理により前記利用者がシートに着座したものと判定された場合に、前記利用者が前記車両に乗車した後に予定されている処理を実行する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記予定されている処理は、前記車両のドアを自動で閉めるための処理を含む、請求項4に記載の車両の制御装置。
【請求項6】
車両の車室内を撮像する撮像装置と、
前記車両のシートに着座している人物を前記撮像装置により撮像した画像から取得される、前記人物の骨格の位置を示す骨格座標が動き得る領域として予め設定された設定領域を記憶する記憶装置と、
前記設定領域を設定するためのキャリブレーション処理、及び、前記撮像装置により撮像された画像から、前記車両に乗車した利用者がシートに着座したか否かを判定する着座判定処理を実行する処理装置とを備え、
前記キャリブレーション処理は、前記人物を撮像した画像から前記人物の骨格座標を一定期間取得し、その取得された骨格座標が前記一定期間に動いた領域に基づいて、前記人物の骨格座標が動き得る領域を前記設定領域として設定し、
前記着座判定処理は、
前記撮像装置により撮像された画像から前記利用者の骨格座標を取得し、
その取得された前記利用者の骨格座標が前記設定領域内に所定期間含まれている場合に、前記利用者がシートに着座したものと判定する処理を含む、車両の制御システム。
【請求項7】
車両のシートに着座している人物を撮像した画像から前記人物の骨格の位置を示す骨格座標を一定期間取得し、その取得された骨格座標が前記一定期間に動いた領域に基づいて、前記人物の骨格座標が動き得る領域を設定するステップと、
前記設定するステップにより設定された設定領域を取得するステップと、
車室内を撮像した画像から、前記車両に乗車した利用者の骨格座標を取得するステップと、
その取得された前記利用者の骨格座標が前記設定領域内に所定期間含まれている場合に、前記利用者がシートに着座したものと判定するステップとをコンピュータにより実行するためのプログラム。
【請求項8】
前記設定するステップは、前記人物の所定の部位毎に、各部位の骨格座標が動き得る領域を前記設定領域として設定するステップを含み
前記骨格座標を取得するステップは、前記車室内を撮像した画像から前記利用者の前記各部位の骨格座標を取得するステップを含み、
前記判定するステップは、取得された前記利用者の前記各部位の骨格座標が前記設定領域内に所定期間含まれている場合に、前記利用者がシートに着座したものと判定するステップを含む、請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記設定するステップは、前記車両のシート毎に前記設定領域を設定するステップを含む、請求項7又は請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記判定するステップにおいて前記利用者がシートに着座したものと判定された場合に、前記利用者が前記車両に乗車した後に予定されている処理を実行するステップをさらに含む、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項11】
前記予定されている処理は、前記車両のドアを自動で閉めるための処理を含む、請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
車両のシートに着座している人物を撮像した画像から前記人物の骨格の位置を示す骨格座標を一定期間取得し、その取得された骨格座標が前記一定期間に動いた領域に基づいて、前記人物の骨格座標が動き得る領域を設定するステップと、
前記設定するステップにより設定された設定領域を取得するステップと、
車室内を撮像した画像から、前記車両に乗車した利用者の骨格座標を取得するステップと、
その取得された前記利用者の骨格座標が前記設定領域内に所定期間含まれている場合に、前記利用者がシートに着座したものと判定するステップとを含む、車両の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の制御装置、車両の制御システム、車両の制御に用いられるプログラム、及び車両の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2011-32782号公報(特許文献1)は、セキュリティを向上可能なキーレスエントリー装置を開示する。このキーレスエントリー装置では、カメラで撮像された顔画像と、予め登録されている顔画像とを比較することにより顔照合が行なわれる。さらに、人物の手がドアノブに触れると、当該人物が携帯している電子鍵と車両の人体通信認証部との間で当該人物を介して人体通信が行なわれ、電子鍵の認証が行なわれる。そして、顔照合が確認され、かつ、電子鍵の認証が成立した場合に、ドアの開錠が行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-32782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ライドシェアやカーシェアリングが普及しており、将来的には、自動運転の乗合タクシーや乗合バスの普及が予想される。このような車両では、車両に乗り込んだ利用者がシートに着座した後に車両の走行を開始可能とすることが求められる可能性がある。
【0005】
それゆえに、本開示の目的は、車両に乗り込んだ利用者がシートに着座したことを精度良く判定可能な車両の制御装置、車両の制御システム、プログラム、及び車両の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における車両の制御装置は、記憶装置と、処理装置とを備える。記憶装置は、車両のシートに着座している人物を撮像した画像から取得される、当該人物の骨格の位置を示す骨格座標が動き得る領域として予め設定された設定領域を記憶する。処理装置は、車室内を撮像した画像から、車両に乗車した利用者がシートに着座したか否かを判定する着座判定処理を実行する。着座判定処理は、車室内を撮像した画像から利用者の骨格座標を取得し、その取得された利用者の骨格座標が上記設定領域内に所定期間含まれている場合に、利用者がシートに着座したものと判定する処理を含む。
【0007】
また、本開示における車両の制御システムは、撮像装置と、記憶装置と、処理装置とを備える。撮像装置は、車両の車室内を撮像する。記憶装置は、車両のシートに着座している人物を撮像装置により撮像した画像から取得される、当該人物の骨格の位置を示す骨格座標が動き得る領域として予め設定された設定領域を記憶する。処理装置は、撮像装置により撮像された画像から、車両に乗車した利用者がシートに着座したか否かを判定する着座判定処理を実行する処理装置とを備える。着座判定処理は、撮像装置により撮像された画像から利用者の骨格座標を取得し、その取得された利用者の骨格座標が上記設定領域内に所定期間含まれている場合に、利用者がシートに着座したものと判定する処理を含む。
【0008】
また、本開示におけるプログラムは、車両のシートに着座している人物を撮像した画像から取得される、当該人物の骨格の位置を示す骨格座標が動き得る領域として設定される設定領域を取得するステップと、車室内を撮像した画像から、車両に乗車した利用者の骨格座標を取得するステップと、その取得された利用者の骨格座標が上記設定領域内に所定期間含まれている場合に、利用者がシートに着座したものと判定するステップとをコンピュータにより実行するためのプログラムである。
【0009】
また、本開示における車両の制御方法は、車両のシートに着座している人物を撮像した画像から取得される、当該人物の骨格の位置を示す骨格座標が動き得る領域として設定される設定領域を取得するステップと、車室内を撮像した画像から、車両に乗車した利用者の骨格座標を取得するステップと、その取得された利用者の骨格座標が上記設定領域内に所定期間含まれている場合に、利用者がシートに着座したものと判定するステップとを含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示における車両の制御装置、車両の制御システム、プログラム、及び車両の制御方法によれば、シートに着座している人物の骨格座標が動き得る領域として予め設定された設定領域に基づいて、車両に乗り込んだ利用者がシートに着座したことを精度良く判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施の形態に従う制御装置が適用される車両の全体構成の一例を示す図である。
図2】認証ECUの構成を機能的に示すブロック図である。
図3】シートに着座している人物の骨格が検出された様子を示す図である。
図4】キャリブレーション処理部により設定されて記憶装置に記憶されるデータの一例を示した図である。
図5】認証ECUにより実行されるキャリブレーション処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図6】認証ECUにより実行される着座判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図7】利用者が乗車した後に予定されている所定の処理の実行条件を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0013】
以下では、本開示の実施の形態に従う制御装置が適用される車両(移動サービス)として、自動運転により運行される小型乗合車両を用いた例について説明する。
【0014】
図1は、本開示の実施の形態に従う制御システムが適用される車両の全体構成の一例を示す図である。図1を参照して、車両1は、自動運転により運行される電動の小型乗合車両である。車両1は、モータジェネレータ(以下「MG(Motor Generator)」と称する。)10と、動力伝達ギヤ20と、ドライブシャフト30と、駆動輪40と、パワーコントロールユニット(以下「PCU(Power Control Unit)」と称する。)50と、バッテリ60とを備える。また、車両1は、カメラ80と、制御装置100と、HMI(Human Machine Interface)装置200と、GPS(Global Positioning System)装置300とをさらに備える。
【0015】
MG10は、例えばロータに永久磁石が埋め込まれた同期電動機であって、電動機(モータ)としての機能と、発電機(ジェネレータ)としての機能とを有する。MG10の出力トルクは、減速機及び差動装置等を含んで構成された動力伝達ギヤ20並びにドライブシャフト30を介して駆動輪40に伝達される。
【0016】
車両1の制動時には、駆動輪40によりMG10が駆動され、MG10が発電機として動作する。これにより、MG10は、車両1の運動エネルギを電力に変換する回生制動を行なう制動装置として機能する。MG10における回生制動力により生じた回生電力は、バッテリ60に蓄えられる。
【0017】
PCU50は、MG10とバッテリ60との間で双方向に電力を変換する電力変換装置である。PCU50は、例えば、制御装置100に含まれるMGECU(Electronic Control Unit)140(後述)からの制御信号に基づいて動作するインバータとコンバータとを含む(何れも図示せず)。
【0018】
コンバータは、バッテリ60の放電時に、バッテリ60から受ける電圧を昇圧してインバータに出力する。インバータは、コンバータから供給される直流電力を交流電力に変換してMG10を駆動する。
【0019】
他方、インバータは、バッテリ60の充電時に、MG10により発電された交流電力を直流電力に変換してコンバータに供給する。コンバータは、インバータから受ける電力をバッテリ60の充電に適した電圧に降圧してバッテリ60に供給する。
【0020】
また、PCU50は、MGECU140からの制御信号に基づいてインバータ及びコンバータの動作を停止することにより充放電を休止する。なお、PCU50は、コンバータを省略した構成であってもよい。
【0021】
バッテリ60は、MG10を駆動するための電力を蓄える。バッテリ60は、再充電可能な直流電源(二次電池)であり、複数個の単電池(電池セル)が積層され、例えば電気的に直列に接続されて構成される。バッテリ60は、図示しない充電装置により、車両外部の電源から供給される電力により充電可能に構成されている。
【0022】
車両1は、車体2の左右の一方に乗降用ドア3を備えている。乗降用ドア3は、ドアアクチュエータ90によって開閉される。車室4には、車室4内を撮像するカメラ80が設けられている。カメラ80は、車両1に乗車した人物(被写体)を撮像して、画像データを取得するものである。カメラ80は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子と、撮像素子上に被写体の像を結像させる光学系(レンズ、絞り、シャッター等)とを備えるデジタルカメラである。
【0023】
HMI装置200は、車両1に関する各種情報をユーザに提供する装置である。HMI装置200は、代表的には、車室4内に設けられたディスプレイであり、スピーカ等も含む。また、HMI装置200は、ユーザが操作可能なタッチパネルやマイクとしても作動し、ユーザのタッチパネル操作や音声によって、例えば乗員の要望を車両1や車両外部のサーバ400に伝えることができる。
【0024】
GPS装置200は、GPS情報に基づいて、車両1の現在位置(自車位置)を算出する。車両1は、現在位置と車両1の周囲情報とを用いて、走行径路を自動運転によって走行するように構成されている。なお、車両1の周囲情報は、例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging)装置、白線認識カメラ、ミリ波レーダ等(いずれも図示せず)から取得される。
【0025】
制御装置100は、認証ECU110と、通信装置120と、記憶装置125と、ドアECU130と、MGECU140とを含む。認証ECU110は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリ(ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory))とを含む。CPUは、ROMに格納されているプログラムをRAM等に展開して実行する。ROMに格納されているプログラムには、認証ECU110により実行される各種処理が記述されている。
【0026】
認証ECU110は、カメラ80により撮像された画像を用いて、車両1に乗車した利用者の顔認証を行なう。そして、乗車した利用者の顔認証が行なわれると、認証ECU110は、さらに、カメラ80により撮像された画像を用いて、乗車した利用者がシートに着座したかを判定する。
【0027】
具体的には、認証ECU110は、カメラ80により撮像された画像から、乗車した利用者の骨格(肩、首、顔等)の位置を示す骨格座標を取得する。そして、認証ECU110は、その取得された各部位(肩、首、顔等)の骨格座標が、シート毎に設定された所定の設定領域内に所定期間含まれている場合に、当該利用者がシートに着座したものと判定する。
【0028】
上記の設定領域は、後述のキャリブレーション処理によってシート毎に設定され、記憶装置125に記憶されている。この設定領域は、シートに人物が着座している場合に、カメラ80により撮像された画像から取得される当該人物の骨格座標が動き得る領域として、予め設定される。記憶装置125は、そのようにシート毎に予め設定された設定領域を記憶している。記憶装置125は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等である。認証ECU110の構成については、後ほど詳しく説明する。
【0029】
通信装置120は、各種通信I/F(インターフェース)を含んで構成される。通信装置120は、DCM(Data Communication Module)を含んでもよいし、5G(第5世代移動通信システム)対応の通信I/Fを含んでもよい。認証ECU110は、通信装置120を通じて車両外部のサーバ400と無線通信を行なうことができる。
【0030】
ドアECU130も、認証ECU110と同様に、CPUと、メモリ(ROM及びRAM)とを含む。ドアECU130は、認証ECU110の指令を受けてドアアクチュエータ90を駆動し、乗降用ドア3の開閉を制御する。
【0031】
MGECU140も、認証ECU110と同様に、CPUと、メモリ(ROM及びRAM)とを含む。MGECU140は、認証ECU110やGPS装置300等からの信号や指令を受け、メモリに記憶されたマップ及びプログラム等の情報に基づいて、PCU50の動作を制御する。
【0032】
サーバ400は、車両1と通信を行なうことができる。また、サーバ400は、利用者の携帯端末500と通信を行なうことができる。そして、小型乗合車両である車両1の利用者は、携帯端末500から車両1の利用予約を行なうことができる。例えば、携帯端末500において、利用者がアプリケーションを立ち上げ、乗車場所、乗車日時、降車場所等を入力して予約ボタンをタップすると、それらの予約情報が携帯端末500からサーバ400へ送信される。サーバ400は、携帯端末500から予約情報を受信すると、当該利用者の予約を完了する。
【0033】
図2は、認証ECU110の構成を機能的に示すブロック図である。図2を参照して、認証ECU110は、顔認証部111と、骨格検出部112と、キャリブレーション処理部113と、判定部114とを含む。
【0034】
顔認証部111は、カメラ80で撮像した画像から顔画像を検出し、通信装置120を通じてサーバ400(図1)から取得される利用者の顔画像と照合することにより、車両1に乗車した利用者の顔認証を行なう。カメラ80で撮像した画像からの顔画像の検出方法としては、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)を用いた深層学習(ディープラーニング)等の機械学習アルゴリズムを用いて検出することができる。サーバ400から取得される利用者の顔画像は、利用者の利用登録時或いは利用予約時にサーバ400に登録される。
【0035】
骨格検出部112は、カメラ80で撮像した画像から、シートに着座している人物の骨格を検出する。骨格検出は、例えば、深層学習(ディープラーニング)等の機械学習を用いた公知の骨格検出アルゴリズムを用いて行なうことができる。骨格検出により、シートに着座している人物の各部位(肩、首、顔等)の位置(座標)を取得することができる。以下では、骨格検出により得られる人物の骨格における各部位の位置(座標)を「骨格座標」と称する。
【0036】
キャリブレーション処理部113は、シートに人物が着座している場合に、人物の骨格座標が動き得る領域を設定するための処理(キャリブレーション処理)を実行する。キャリブレーション処理部113により設定される上記領域(以下「設定領域」と称する。)は、車両1の利用予約をした利用者が車両1に乗車して顔認証が行なわれた後に実行される後述の着座判定に用いられる。キャリブレーション処理は、車両1の運行に先立って事前に行なわれ、設定領域の情報は記憶装置125に記憶される。
【0037】
キャリブレーション処理部113は、シートに人物が着座している場合に、カメラ80で撮像した画像から骨格検出部112により検出される骨格座標を骨格検出部112から取得する。キャリブレーション処理部113は、骨格検出部112から骨格座標を一定期間取得し、その期間に骨格座標が動いた領域に基づいて、人物が着座しているシートにおいて当該人物の骨格座標が動き得る領域を設定する。
【0038】
このような領域は、シートに着座している人物の部位毎(肩、首、顔等)に設定される。顔を例に説明すると、一定期間に取得される顔の骨格座標は変動するところ、その間の座標の最大値と最小値とから矩形の領域が設定される。キャリブレーション処理部113は、このような骨格座標が動き得る領域をシート毎に設定し、シート毎の設定領域(部位毎)を記憶装置125に記憶する。
【0039】
判定部114は、車両1の利用者が車両1に乗車して顔認証部111による顔認証が行なわれた後に、当該利用者のシートへの着座が完了したか否かを判定する。具体的には、カメラ80で撮像した画像から、顔認証部111により車両1に搭乗した利用者の顔認証が行なわれ、顔認証をパスした利用者に対して骨格検出部112により骨格が検出されると、判定部114は、骨格検出部112から当該利用者の各部位の骨格座標を取得する。また、判定部114は、利用者が着座したシートに対してキャリブレーション処理部113により予め設定された上記設定領域の情報を記憶装置125から取得する。
【0040】
そして、判定部114は、骨格検出部112から取得される当該利用者の骨格座標が、記憶装置125から取得される設定領域内に所定期間含まれている場合に、当該利用者のシートへの着座が完了したものと判定する。なお、利用者の骨格座標が設定領域内に所定期間含まれているか否かは、利用者の部位毎に行なわれ、各部位(例えば、肩、首、顔)の骨格座標が対応の設定領域内に所定期間含まれている場合に、当該利用者のシートへの着座が完了したものと判定される。判定部114は、このような着座判定をシート毎に行なう。
【0041】
判定部114は、車両1に乗車した利用者全員のシートへの着座が完了したものと判定すると、利用者が車両1に乗車した後に予定されている処理(乗降用ドア3(図1)のクローズや走行開始等)の実行を指示する指令をドアECU130及びMGECU140等に出力する。
【0042】
ドアECU130は、判定部114から実行指令を受信すると、ドアアクチュエータ90を駆動して、乗降用ドア3を閉じる。MGECU140は、判定部114から実行指令を受信すると、乗降用ドア3が閉じていることを条件として、PCU50(図1)を制御し、車両1の走行を開始する。
【0043】
図3は、シートに着座している人物の骨格が検出された様子を示す図である。図3を参照して、上述のように、シートに着座している人物の骨格検出は、骨格検出部112により行なわれ、その検出結果が、例えばHMI装置200の表示画面210に、カメラ80の撮像画像に重畳して表示される。
【0044】
表示画面210の表示画像における位置は、例えばXY座標で示される。この例では、表示画像の横方向及び縦方向に沿ってそれぞれX軸及びY軸が設定され、適当な位置(例えば表示画像の左下)に原点が設定される。
【0045】
表示画像において、点212は、骨格検出により検出された右肩の骨格座標を示し、点214は、骨格検出により検出された左肩の骨格座標を示す。また、点216は、骨格検出により検出された首の骨格座標を示し、点218は、骨格検出により検出された顔の骨格座標を示す。
【0046】
領域222は、シートに着座している人物の右肩の骨格座標が動き得る領域としてキャリブレーション処理部113により設定された領域である。この例では、右肩の骨格座標が一定期間取得され、その期間におけるX座標の最大値及び最小値、並びにY座標の最大値及び最小値とから、矩形の領域222が設定される。
【0047】
領域224は、シートに着座している人物の左肩の骨格座標が動き得る領域としてキャリブレーション処理部113により設定された領域である。右肩の場合と同様に、左肩の骨格座標が一定期間取得され、その期間におけるX座標の最大値及び最小値、並びにY座標の最大値及び最小値とから、矩形の領域224が設定される。
【0048】
領域226は、シートに着座している人物の首の骨格座標が動き得る領域としてキャリブレーション処理部113により設定された領域である。右肩の場合と同様に、首の骨格座標が一定期間取得され、その期間におけるX座標の最大値及び最小値、並びにY座標の最大値及び最小値とから、矩形の領域226が設定される。
【0049】
領域228は、シートに着座している人物の顔の骨格座標が動き得る領域としてキャリブレーション処理部113により設定された領域である。右肩の場合と同様に、顔の骨格座標が一定期間取得され、その期間におけるX座標の最大値及び最小値、並びにY座標の最大値及び最小値とから、矩形の領域228が設定される。
【0050】
車両1に乗車した利用者の各部位(右肩、左肩、首、顔)の骨格座標212~218がそれぞれ領域222~228内に所定期間含まれている場合に、判定部114(図2)により、当該利用者のシートへの着座が完了したものと判定される。
【0051】
図4は、キャリブレーション処理部113により設定されて記憶装置125に記憶されるデータの一例を示した図である。図4を参照して、この例では、複数あるシートのうち、第1シート(シート1)に対してキャリブレーション処理部113により部位毎に設定された領域のデータが示されている。
【0052】
具体的には、キャリブレーション処理部113により、第1シートに着座した人物の右肩の骨格座標が一定期間取得され、その期間におけるX座標の最大値X1及び最小値X2、並びにY座標の最大値Y1及び最小値Y2が記憶されている。これらのデータX1,X2,Y1,Y2から図3に示した領域222が設定される。
【0053】
左肩、首、及び顔の各データについても同様である。また、その他のシートについても、第1シートと同様のデータが記憶されている。
【0054】
図5は、認証ECU110により実行されるキャリブレーション処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、プログラムに記述されて認証ECU110のメモリに格納されている。このフローチャートの処理は、例えば車両1の開発時や納車時等、車両1の運行に先立って事前に行なわれる。また、このフローチャートの処理は、車両1のシート毎に実施される。
【0055】
図5を参照して、認証ECU110は、シートに着座している人物をカメラ80により撮像した画像をカメラ80から取得する(ステップS10)。次いで、認証ECU110は、取得された画像からシートに着座している人物の骨格を検出する骨格検出処理を実行する(ステップS15)。上述のように、骨格検出は、例えば、深層学習(ディープラーニング)等の機械学習を用いた公知の骨格検出アルゴリズムを用いて行なうことができる。なお、このキャリブレーション処理においては、図2に示した顔認証部111による顔認証は行なわれない。
【0056】
認証ECU110は、骨格検出処理が実行されることにより、シートに着座している人物の各部位(肩、首、顔等)の骨格座標を取得する(ステップS20)。次いで、認証ECU110は、取得された骨格座標が、記憶装置125に保存されている骨格座標の最大値よりも大きいか否かを判定する(ステップS25)。
【0057】
このステップS25から後述のステップS50までの各処理は、ステップS20において取得された部位毎に実施される。以下では、ステップS25からステップS50までの各処理において、「骨格座標」とは、対象の部位の骨格座標を示すものとする。すなわち、ステップS25の処理について詳しく説明すると、認証ECU110は、ステップS20において取得された対象部位(例えば右肩)の骨格座標(X,Y)が、記憶装置125に保存されている上記対象部位(右肩)の骨格座標の最大値(図2のX1,Y1)よりも大きいか否かを判定する。
【0058】
ステップS25において、取得された骨格座標が、記憶装置125に保存されている骨格座標の最大値よりも大きいと判定されると(ステップS25においてYES)、認証ECU110は、取得された骨格座標で、記憶装置125に保存されている骨格座標の最大値を更新(保存)する(ステップS30)。例えば、取得された対象部位(例えば右肩)の骨格座標Xの値が最大値X1よりも大きい場合、その骨格座標Xの値で最大値X1が更新される。骨格座標Yについても同様の処理が実行される。
【0059】
なお、取得された骨格座標が、記憶装置125に保存されている骨格座標の最大値以下であるときは(ステップS25においてNO)、認証ECU110は、ステップS30を実行することなくステップS35へ処理を移行する。なお、骨格座標の最大値が記憶装置125に保存されていない場合は、ステップS25,S30の処理は実行されずに、ステップS20において取得された骨格座標が仮の最大値として記憶装置125に保存される。
【0060】
次いで、認証ECU110は、ステップS20において取得された骨格座標が、記憶装置125に保存されている骨格座標の最小値よりも小さいか否かを判定する(ステップS35)。より詳しくは、認証ECU110は、ステップS20において取得された対象部位(例えば右肩)の骨格座標(X,Y)が、記憶装置125に保存されている上記対象部位(右肩)の骨格座標の最小値(図2のX2,Y2)よりも小さいか否かを判定する。
【0061】
ステップS35において、取得された骨格座標が、記憶装置125に保存されている骨格座標の最小値よりも小さいと判定されると(ステップS35においてYES)、認証ECU110は、取得された骨格座標で、記憶装置125に保存されている骨格座標の最小値を更新(保存)する(ステップS40)。例えば、取得された対象部位(例えば右肩)の骨格座標Xの値が最小値X2よりも小さい場合、その骨格座標Xの値で最小値X2が更新される。骨格座標Yについても同様の処理が実行される。
【0062】
なお、取得された骨格座標が、記憶装置125に保存されている骨格座標の最小値以上であるときは(ステップS35においてNO)、認証ECU110は、ステップS40を実行することなくステップS45へ処理を移行する。なお、骨格座標の最小値が記憶装置125に保存されていない場合は、ステップS35,S40の処理は実行されずに、ステップS20において取得された骨格座標が仮の最小値として記憶装置125に保存される。
【0063】
次いで、認証ECU110は、カメラ80から次の画像を取得するか否かを判定する(ステップS45)。そして、次の画像を取得するものと判定されると(ステップS45においてYES)、認証ECU110は、ステップS10へ処理を戻し、カメラ80から次の画像を取得する。なお、カメラ80から次の画像を取得してステップS10以降の処理を再度実行するか否かは、一連の処理の開始から時間で区切ってもよいし、カメラ80から取得される画像の枚数(フレーム数)で区切ってもよい。
【0064】
ステップS45において、カメラ80から次の画像の取得は不要と判定されると(ステップS45においてNO)、認証ECU110は、記憶装置125に保存されている骨格座標(図2)から部位毎に可動領域を作成する(ステップS50)。具体的には、再び図2を参照して、例えば右肩の骨格座標について、X座標の最大値X1及び最小値X2、並びにY座標の最大値Y1及び最小値Y2によって定まる矩形領域が、右肩の可動領域として作成される。
【0065】
そして、認証ECU110は、部位毎に作成される可動領域を対象のシートに対して設定する(ステップS55)。なお、この部位毎の可動領域の設定は、シート毎に記憶装置125に記憶される。
【0066】
図6は、認証ECU110により実行される着座判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理も、プログラムに記述されて認証ECU110のメモリに格納されている。このフローチャートの処理は、顔認証部111による顔認証が行なわれた利用者(搭乗者)が検知されたシート毎に実施される。
【0067】
図6を参照して、認証ECU110は、対象のシートに対して、キャリブレーション処理(図5のステップS55)で設定された部位毎の可動領域を記憶装置125から取得する(ステップS110)。
【0068】
次いで、認証ECU110は、当該シートに着座している利用者の画像をカメラ80から取得する(ステップS115)。そして、認証ECU110は、取得された画像から当該利用者の骨格を検出する骨格検出処理を実行する(ステップS120)。ここでも、キャリブレーション処理で実行される骨格検出処理(図5のステップS15)と同様に、骨格検出は、例えば、深層学習(ディープラーニング)等の機械学習を用いた公知の骨格検出アルゴリズムを用いて行なうことができる。
【0069】
次いで、認証ECU110は、骨格検出処理が実行されることにより、当該シートに着座している利用者の各部位(肩、首、顔等)の骨格座標を取得する(ステップS125)。そして、認証ECU110は、取得された骨格座標が、ステップS110で取得された可動領域の範囲内にあるか否かを判定する(ステップS130)。
【0070】
このステップS130及び後述のステップS135の各処理は、ステップS125において取得された部位毎に実施される。すなわち、ステップS130の処理について詳しく説明すると、認証ECU110は、ステップS125において取得された対象部位(例えば右肩)の骨格座標(X,Y)が、ステップS110で取得された当該対象部位(右肩)の可動領域の範囲内にあるか否かを判定する。取得された骨格座標が可動領域の範囲内にない場合は(ステップS130においてNO)、認証ECU110は、ステップS115へ処理を戻す。
【0071】
ステップS130において、取得された骨格座標が可動領域の範囲内にあると判定されると(ステップS130においてYES)、認証ECU110は、取得された骨格座標が可動領域内にある状態が所定期間経過したか否かを判定する(ステップS135)。所定期間は、一連の処理が開始されてからの時間で規定してもよいし、ステップS115で取得される画像の枚数(フレーム数)で規定してもよい。所定期間経過していない場合(ステップS135においてNO)、認証ECU110は、ステップS115へ処理を戻す。
【0072】
ステップS135において所定期間が経過したと判定されると(ステップS135においてYES)、認証ECU110は、ステップS125において取得された全部位で上記の所定期間が経過したか否かを判定する(ステップS140)。所定期間経過していない部位が存在する場合は(ステップS140においてNO)、認証ECU110は、ステップS115へ処理を戻す。
【0073】
ステップS140において、全部位において上記の所定期間が経過したと判定されると(ステップS140においてYES)、認証ECU110は、当該シートへの着座が完了したものとする(ステップS145)。
【0074】
そして、車両1に乗車した全利用者のシートへの着座が完了したものと判定されると、車両1において、利用者が乗車した後に予定されている所定の処理が実行される。
【0075】
図7は、利用者が乗車した後に予定されている所定の処理の実行条件を説明するフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理も、プログラムに記述されて認証ECU110のメモリに格納されている。このフローチャートの処理は、図6に示した着座判定処理が開始されると実施される。
【0076】
図7を参照して、認証ECU110は、顔認証部111による顔認証が行なわれた利用者(搭乗者)が検知されたシート全てにおいて、着座が完了したか否かを判定する(ステップS210)。上記のシート全てにおいて着座完了していないと判定されると(ステップS210においてNO)、認証ECU110は、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS230)。この所定時間は、着座判定処理によって着座が判定されるまでの平均的な時間に基づいて適宜決定される。
【0077】
所定時間経過していなければ(ステップS230においてNO)、ステップS210へ処理が戻される。他方、ステップS230において所定時間経過したものと判定されると(ステップS230においてYES)、認証ECU110は、車両1に乗車した利用者のシートへの着座が完了していないことを報知するための警報処理の指令を出力する(ステップS240)。例えば、図示しないHMIECUは、そのような警報処理の指令を受信すると、HMI装置200(図1)のディスプレイやスピーカ等を用いて、車両1に乗車した利用者へシートへの着座を促す報知を出力する。
【0078】
他方、ステップS210において、顔認証部111による顔認証が行なわれた利用者(搭乗者)が検知されたシート全てにおいて着座が完了したものと判定されると(ステップS210においてYES)、認証ECU110は、利用者が車両1に乗車した後に予定されている所定の処理の実行指令を出力する(ステップS220)。例えば、当該実行指令を受信したドアECU130(図1)は、乗降用ドア3を閉じ、当該実行指令を受信したMGECU140(図1)は、乗降用ドア3が閉じていることを条件として、MG10を駆動して車両1を発進させる。
【0079】
以上のように、この実施の形態においては、キャリブレーション処理において、車両1のシートに着座している人物をカメラ80で撮像した画像から、骨格検出部112により当該人物の骨格座標が検出される。そして、その検出された骨格座標が動き得る領域としての設定領域が取得され、記憶装置125に記憶される。
【0080】
車両1に利用者が乗車すると、カメラ80で撮像した画像から、乗車した利用者がシートに着座したか否かを判定する着座判定処理が実行される。着座判定処理では、カメラ80で撮像した画像から骨格検出部112により当該利用者の骨格座標が取得され、その取得された利用者の骨格座標が、キャリブレーション処理により取得された設定領域内に所定期間含まれている場合に、利用者がシートに着座したものと判定される。
【0081】
したがって、この実施の形態によれば、シートに着座している人物の骨格座標が動き得る領域として予め設定される設定領域に基づいて、車両1に乗り込んだ利用者がシートに着座したことを精度良く判定することができる。
【0082】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示により示される技術的範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0083】
以上に説明した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例である。
一態様における車両の制御システムは、撮像装置と、記憶装置と、処理装置とを備える。撮像装置は、車室内を撮像する。記憶装置は、シートに着座している人物を撮像装置により撮像した画像から取得される当該人物の骨格座標が動き得る領域として予め設定された設定領域を記憶する。処理装置は、撮像装置により撮像された画像から、乗車した利用者がシートに着座したか否かを判定する着座判定処理を実行する処理装置とを備える。着座判定処理は、撮像装置により撮像された画像から利用者の骨格座標を取得し、その取得された利用者の骨格座標が上記設定領域内に所定期間含まれている場合に、利用者がシートに着座したものと判定する処理を含む。
【0084】
上記の制御システムによれば、シートに着座している人物の骨格座標が動き得る領域として予め設定された設定領域に基づいて、乗車した利用者がシートに着座したかを精度良く判定することができる。
【0085】
上記の設定領域は、人物の所定の部位毎に、各部位の骨格座標が動き得る領域として設定されてもよい。そして、着座判定処理は、車室内を撮像した画像から利用者の各部位の骨格座標を取得し、その取得された利用者の各部位の骨格座標が上記設定領域内に所定期間含まれている場合に、利用者がシートに着座したものと判定する処理を含んでもよい。
【0086】
これにより、シートに着座している人物の各部位(肩、首、顔等)の骨格座標が動き得る領域として予め設定された設定領域に基づいて、乗車した利用者がシートに着座したかをより精度良く判定することができる。
【0087】
上記の設定領域は、人物の骨格座標が一定期間に動いた領域に基づいて設定されてもよい。
【0088】
これにより、設定領域が不必要に拡大され又は小さくなるのを回避することができる。
処理装置は、着座判定処理により利用者がシートに着座したものと判定された場合に、利用者が車両に乗車した後に予定されている処理を実行してもよい。
【0089】
これにより、利用者が乗車した後に予定されている処理が、利用者がシートに着座する前に実行されるのを回避することができる。
【0090】
上記の予定されている処理は、車両のドアを自動で閉めるための処理を含んでもよい。
これにより、利用者がシートに着座する前に車両のドアが閉じられるのを回避することができる。その結果、例えば、利用者がシートに着座する前に、ドアが閉じられたことに連動して車両の走行が開始されることを回避することができる。
【符号の説明】
【0091】
1 車両、2 車体、3 乗降用ドア、4 車室、10 MG、20 動力伝達ギヤ、30 ドライブシャフト、40 駆動輪、50 PCU、60 バッテリ、80 カメラ、90 ドアアクチュエータ、100 制御装置、110 認証ECU、111 顔認証部、112 骨格検出部、113 キャリブレーション処理部、114 判定部、120 通信装置、125 記憶装置、130 ドアECU、140 MGECU、200 HMI装置、210 表示画面、300 GPS装置、400 サーバ、500 携帯端末。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7