(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】半固形栄養組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20241031BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20241031BHJP
A61K 31/718 20060101ALI20241031BHJP
A61K 31/047 20060101ALI20241031BHJP
A61K 31/205 20060101ALI20241031BHJP
A61K 31/14 20060101ALI20241031BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20241031BHJP
A23L 33/10 20160101ALN20241031BHJP
【FI】
A61K45/06
A61P3/02
A61P3/02 101
A61K31/718
A61K31/047
A61K31/205
A61K31/14
A61K9/06
A23L33/10
(21)【出願番号】P 2021056975
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2024-03-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500580677
【氏名又は名称】ニュートリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098121
【氏名又は名称】間山 世津子
(74)【代理人】
【識別番号】100107870
【氏名又は名称】野村 健一
(72)【発明者】
【氏名】河江 信幸
(72)【発明者】
【氏名】井樋 康次郎
(72)【発明者】
【氏名】谷口 泰代
(72)【発明者】
【氏名】西谷 弘
【審査官】伊藤 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-188415(JP,A)
【文献】特開平08-322509(JP,A)
【文献】特開2015-160822(JP,A)
【文献】特開2011-004702(JP,A)
【文献】特開2020-156435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
たんぱく源、脂質、糖質及び食物繊維を含有し、熱量が1~2.5kcal/g、25℃における粘度が15,000~30,000mPa・s、浸透圧が400~500mOsm/Lの半固形栄養組成物であって、前記糖質としてDEが15~25である遅消化性デキストリンを10~25質量%、前記食物繊維として重量平均分子量が1,000~25,000、かつ5質量%溶液の粘度が10mPa・s以下である食物繊維を1~5質量%含有
し、かつゼリー強度が10~50g/cm
2
の寒天及びエステル化度が50~75%のペクチンを含み、前記ゼリー強度10~50g/cm
2
の寒天の配合量が前記半固形栄養組成物の全量に対して0.1~0.7質量%、前記エステル化度が50~75%のペクチンの配合量が前記半固形栄養組成物の全量に対して0.3~1質量%である半固形栄養組成物。
【請求項2】
pHが3.0~4.5である請求項1に記載の半固形栄養組成物。
【請求項3】
ビタミン様物質であるカルニチン、イノシトール及びコリンの少なくとも一つを含む請求項1
または2に記載の半固形栄養組成物。
【請求項4】
請求項1ないし
3のいずれか1項に記載の半固形栄養組成物と、前記半固形栄養組成物を充填した容器とを有することを特徴とする包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半固形栄養組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
経腸栄養法は、消化管を経由する生理的な栄養投与経路であり、高カロリー輸液法の問題点を解決できるため、咀嚼・嚥下機能の著しい低下や意識障害などによって、食物の経口摂取が困難な患者向けの重要な栄養投与法である。
【0003】
経管栄養法には、胃瘻経管栄養投与法や経鼻経管栄養法などがある。
【0004】
胃瘻経管栄養投与法においては、下記(1)~(3)の点から経腸栄養組成物に粘度や保形性を付与する手法が検討されている。(1)液体の経腸栄養組成物を胃に急速に投与することにより胃食道逆流が生じ、誤嚥性肺炎が発症することを防ぐ。(2)液体の経腸栄養組成物を胃に急速に投与することにより胃から腸に一気に経腸栄養組成物が落下し(ダンピング)、糖質が急速に吸収されて高血糖となったり、下痢の症状を引き起こすことを防止する。(3)液状の経腸栄養組成物は(2)に記載の症状を防止するために、患者に同一体位で長時間投与する必要があったが、経腸栄養組成物に粘度や保形性を付与した場合、短時間で投与が可能になる。結果として、褥瘡を防止したり、患者の負担を軽減し、患者のQOLの向上に貢献できる。
【0005】
経腸栄養組成物に粘度を付与する方法としては、従来種々の方法が検討されてきた。例えば、特許文献1では、経腸栄養組成物に寒天を添加する方法が開示されている。また、寒天、キサンタンガム及びカラギーナンを含むゲル状流動食(特許文献2)、タンパク質の等電点ゲルとペクチン、キサンタンガムなどのゲル化剤ゲルとの複合ゲルからなる嚥下障害者に適したゲル状組成物(特許文献3)などが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-201230号公報
【文献】特開2008-237186号公報
【文献】国際公開第99/34690号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の経腸栄養組成物は、ある種の疾患の患者、乳幼児、高齢者、要介護者等を様々な状態を一括して、標準となる熱量及び栄養成分の濃度になるように配合されているのが現状である。この場合、ある栄養成分が不足の場合は追加投与は可能であるが、過剰の場合は抜き出すことはできない。このため、過剰に投与される栄養成分、特に三大栄養素であるたんぱく質、脂質、糖質で合併症を引き起こす可能性がある。経管栄養療法を受ける患者は、年齢、性別、病歴、病勢等は様々であるが、一般的に高齢者が多い。高齢者は、生理機能が低下しており、各臓器の予備能力も低下している。その中でも、特に耐糖能が低下している。通常の糖質であれば、血糖値が高くなる場合がある。この状態が長期間続くと、糖尿病に罹患している場合は病状を悪化したり、罹患していない場合は糖尿病を合併する可能性がある。加えて、経腸栄養組成物の浸透圧は高いものが多くなり、下痢の原因となっている可能性もある。
【0008】
また、食物繊維は、便の体積を増やす材料となるとともに、大腸内の環境を改善する腸内細菌に利用され、これらの菌を増殖させる。食物繊維を栄養組成物への配合を考えた場合、通常は高分子であるため、栄養組成物の粘度を上昇させ、PEGカテーテルから栄養組成物を胃内へ投与する際の注入抵抗が高いため、栄養組成物を押し出す際に大きな力が必要となり、医療従事者や介護者等の身体的負担が大きい場合があった。
【0009】
さらに、ビタミン様物質であるカルニチンは骨格筋などの組織中に分布し、血中にプールされている量は1%にも満たない。したがって、骨格筋量が少ない高齢者では、体内カルニチンプールも少ないため、カルニチン欠乏症に陥りやすい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は以下の本発明により解決される。
(1)たんぱく源、脂質、糖質及び食物繊維を含有し、熱量が1.0~2.5kcal/g、25℃における粘度が15,000~30,000mPa・s、浸透圧が400~500mOsm/Lの半固形栄養組成物であって、前記糖質としてDEが15~25である遅消化性デキストリンを10~25質量%、前記食物繊維として重量平均分子量が1,000~25,000、かつ5質量%溶液の粘度が10mPa・s以下である食物繊維を1~5質量%を含有する半固形栄養組成物。
(2)ゼリー強度が10~50g/cm2の寒天及びエステル化度が50~75%のペクチンを含み、前記ゼリー強度10~50g/cm2の寒天の配合量が前記半固形栄養組成物の全量に対して0.1~0.7質量%、前記エステル化度が50~75%のペクチンの配合量が前記半固形栄養組成物の全量に対して0.3~1質量%である上記(1)に記載の半固形栄養組成物。
(3)pHが3.0~4.5である上記(1)または(2)に記載の半固形栄養組成物。
(4)カルニチンを含む(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の半固形栄養組成物。
(5)(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の半固形栄養組成物と、前記半固形栄養組成物を充填した容器とを有することを特徴とする包装体。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半固形栄養組成物は、たんぱく質、脂質、糖質及び食物繊維を含有し、かつ適度な粘度を有するため、投与された患者が胃食道逆流を起こすことなく、確実に安心かつ容易に栄養を摂取することが可能となる。また、糖質としてDEが15~25である遅消化性デキストリンを10~25質量%配合していることで、血糖値が高くなることを抑え、さらに重量平均分子量が1,000~25,000、かつ5質量%溶液の粘度が10mPa・s以下である食物繊維を1~5質量%胃内へ投与する際の注入抵抗が高くなることを抑えつつ、浸透圧を適切な範囲に保つことができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の半固形栄養組成物を詳細に説明する。
【0013】
本発明の半固形栄養組成物の熱量は、1~2.5kcal/g以下、好ましくは1~2kcal/gである。熱量が1kcal/gより少ないと、濃度が薄いため、投与する量が多くなり、好ましくない。熱量が2.5kcal/gを超えると、水分不足となり、患者等が脱水状態となる可能性があるため、好ましくない。
【0014】
本発明の半固形栄養組成物は、25℃における粘度が15,000~30,000mPa・s、好ましくは17,500~25,000mPa・sである。半固形栄養組成物の粘度が15,000mPa・sより小さいと、胃食道逆流や誤嚥性肺炎等が生じるため、好ましくない。一方、半固形栄養組成物の粘度が30,000mPa・sを越えるとと、半固形栄養組成物をPEGカテーテルから投与する際の注入抵抗が高くなるため、好ましくない。
【0015】
本発明の半固形栄養組成物に示される「半固形」とは、15,000~30,000mPa・sの粘度を有することである。本明細書において、粘度は、第8版食品添加物公定書「B.一般試験法、28.粘度測定法 第2法 回転粘度計法」に記載された方法に準じて測定される。例えば、B形回転粘度計DV-II+Pro(Brookfield社)、RB80L(東機産業株式会社)等を用いて測定した値をいう。
【0016】
本発明の半固形栄養組成物の浸透圧は、400~500mOsm/L、好ましくは420~480mOsm/Lである。半固形栄養組成物の浸透圧が400mOsm/Lより小さいと、水分が体内に急速に流入し、浮腫を起こす可能性があるため、好ましくない。一方、半固形栄養組成物の浸透圧が500mOsm/Lを越えると、消化管内に入った物質が吸収されにくく、体液浸出で腸内溶液が増加して下痢を生じるため、好ましくない。
【0017】
本発明の半固形栄養組成物は、糖質として、遅消化性デキストリンを用いる。「遅消化性デキストリン」とは、通常のマルトデキストリンと比較して摂取後の血糖値の上昇が低いデキストリンのことである。具体的には、α-1,6結合からなる分岐構造の多い高分岐デキストリンが好ましい。市販品としては、HBD-20(松谷化学工業株式会社)等がある。
【0018】
本発明の半固形栄養組成物はの糖質のDEとは、Dextrose Equivalentの略称で、デキストリンの加水分解の程度を意味し、式:DE=直接還元糖(グルコース換算)/固形分×100で表される。
【0019】
糖質のDEを求める方法は、当該技術分野における慣用技術ならびに知識がそのまま、もしくは適宜変更を加えた形で適用され、代表的にはソモジ法が挙げられる。
【0020】
本発明の半固形栄養組成物において、遅消化性デキストリンの含有量は、半固形栄養組成物の全量に対して10~25質量%、好ましくは12~24質量%である。遅消化性デキストリンの配合量が10質量%より少ないと、糖質としての熱量が不足するため、好ましくない。一方、半固形栄養組成物の粘度が25質量%を越えるとと、糖質としての熱量が過剰となるため、好ましくない。
【0021】
本発明の半固形栄養組成物は、食物繊維として、重量平均分子量が1,000~25,000、好ましくは1,000~23,000であるものを用いる。重量平均分子量が1,000より小さいと、半固形栄養組成物の浸透圧が上昇し、消化管内に入った物質が吸収されにくく、体液浸出で腸内溶液が増加して下痢を生じるため、好ましくない。重量平均分子量が25,000より大きいと、半固形栄養組成物の粘度が上昇し、半固形栄養組成物をPEGカテーテルから投与する際の注入抵抗が高くなるため、好ましくない。
【0022】
また、本発明の半固形栄養組成物の食物繊維としては、上記の重量平均分子量を有し、かつ5質量%溶液の粘度が10mPa・s以下、好ましくは5mPa・s以下である。5質量%溶液の粘度が10mPa・sを超えると、半固形栄養組成物の粘度が上昇し、半固形栄養組成物をPEGカテーテルから投与する際の注入抵抗が高くなるため、好ましくない。
【0023】
本発明の半固形栄養組成物に使用する食物繊維の配合量は、半固形栄養組成物の全量に対して1~5質量%であり、好ましくは1~4質量%である。食物繊維の配合量が1質量%より少ないと、半固形栄養組成物の粘度が低下するため、好ましくない。食物繊維の配合量が5質量%を超えると、半固形栄養組成物の粘度が上昇して、半固形栄養組成物をPEGカテーテルから投与する際の注入抵抗が高くなるため、好ましくない。
【0024】
本発明の半固形栄養組成物においては、ゼリー強度が10~50g/cm2の寒天及びエステル化度が50~75%のペクチンによって、その粘度が調整されることが好ましい。
【0025】
本発明の半固形栄養組成物に示される「ゼリー強度」とは、寒天1.5%水溶液を20℃で15時間放置し、凝固させたゲルの固さを測定し、寒天ゲルの表面積1cm2あたり20秒間耐える最大重量(g)のことである。ゲルの固さは、通常に使用されるレオメーター等で測定できる。
【0026】
本発明の半固形栄養組成物に使用する寒天は、特に制限されず、従来の方法によって製造されるものが使用できる。一般的に、寒天は、テングサ、オゴノリ等の紅藻類の粘液質を凍結・乾燥したものであり、アガロースやアガロペクチン等の多糖類を主成分として含む。前記アガロースやアガロペクチンは、ガラクトース及び3,6-アンデヒドロガラクトースが交互に重合した構造を有する。寒天は、アガロースやアガロペクチンの重合度や分子量、寒天中の硫酸基及びピルビン酸基の配合量等によって性状が異なる場合があるが、本発明の半固形栄養組成物においては、特に制限されず、いずれのものを用いてもよい。
【0027】
本発明の半固形栄養組成物に使用する寒天のゼリー強度は、10~50g/cm2のものが好ましい。寒天のゼリー強度が10g/cm2より低いと、分子量分布が小さい範囲にある寒天であり、ゲル化力が非常に抑えられているため、半固形栄養組成物の粘度が低下し、PEGカテーテルを急速に流れ、PEGカテーテル周辺から栄養組成物が漏出したり、患者が下痢を起こす可能性があるため、好ましくない。寒天のゼリー強度が50g/cm2を超えると、分子量分布が大きい範囲にある寒天であり、ゲル化力が非常に強いため、半固形栄養組成物の粘度が上昇し、PEGカテーテルから栄養組成物を投与する場合、PEGカテーテルを通過するのに長時間要し、好ましくない。
【0028】
本発明の半固形栄養組成物に使用する寒天の配合量は、半固形栄養組成物の全量に対して0.1~0.7質量%であり、好ましくは0.1~0.5質量%である。寒天の配合量が0.1質量%より少ないと、半固形栄養組成物の固形分が分散されずに沈澱し、PEGカテーテルの閉塞を起こす可能性があるため、好ましくない。寒天の配合量が0.5質量%を超えると、半固形栄養組成物の粘度が上昇し、PEGカテーテルから半固形栄養組成物を投与する場合、PEGカテーテルを通過するのに長時間要し、好ましくない。
【0029】
本発明の半固形栄養組成物に使用することのできる寒天として、具体的には、ウルトラ寒天UX-30(伊那食品工業株式会社、ゼリー強度:30g/cm2)などがあげられる。
【0030】
本発明の半固形栄養組成物に使用するペクチンは、原材料は広く植物組織中に存在するが、主にライム、レモン、オレンジなどの柑橘類の皮、リンゴの絞りかす、ビートのパルプから抽出したものが使用できる。また、通常市販されているものを用いることもできる。
【0031】
本発明の半固形栄養組成物に使用するペクチンのエステル化度は、50~75%、好ましくは68~75%の高メトキシルペクチンであることが好ましい。エステル化度が50%より低い低メトキシルペクチンでは、半固形栄養組成物がゲル化するため、好ましくない。
【0032】
本発明の半固形栄養組成物に使用するペクチンの配合量は、半固形栄養組成物の全量に対して0.3~1質量%であり、好ましくは0.3~0.8質量%である。ペクチンの配合量が0.3質量%より少ないと、半固形栄養組成物の固形分が分散されずに沈澱し、PEGカテーテルの閉塞を起こす可能性があるため、好ましくない。ペクチンの配合量が1質量%を超えると、半固形栄養組成物の粘度が上昇し、PEGカテーテルから半固形栄養組成物を投与する場合、PEGカテーテルを通過するのに長時間要し、好ましくない。
【0033】
本発明の半固形栄養組成物に使用することのできる具体的なペクチンとしては、具体的に、GENUペクチンYM-150-LJ、GENUペクチンYM-115-LJ、GENUペクチンJM-115-H-J、GENUペクチンJM-150-J、GENUペクチンJMJ-J(CP Kelco社)、UNIPECTINE AYD 30T、UNIPECTINE AYD 358、UNIPECTINE AYD 380B(ユニテックフーズ株式会社)が挙げられる。
【0034】
本発明の半固形栄養組成物のpHは、3.0~4.5であり、好ましくは3.5~4.0である。pHが3.0より低いと、酸性が強くなり、清涼感が得られないため、好ましくない。pHが4.5を超えると、栄養組成物使用時のPEGカテーテル内の細菌の増殖を抑制しづらくなるため、好ましくない。
【0035】
本発明の半固形栄養組成物のpHは、pH調整剤や酸味料等の添加量を適宜設定することで調節することができる。なお、本明細書において、pHは、第8版食品添加物公定書「B.一般試験法、31.pH測定法」に記載された方法に準じて測定された値である。
【0036】
本発明の半固形栄養物に使用するビタミン様物質は、体内においてビタミンと似た重要な働きをするが、体内で合成でき、欠乏症が起こらないため、ビタミンと区別されている物質のことである。具体的には、カルニチン、イノシトール、コリンなどが挙げられ、これら1種類、あるいは複数を組み合わせて配合するのが好ましい。
【0037】
本発明のビタミン様物質の配合量は、半固形栄養組成物100g中、次の範囲が適当である。カルニチンは、好ましくは10~1000mg、より好ましくは20~1000mgである。イノシトールは、好ましくは10~1000mg、より好ましくは20~1000mgである。コリンは、好ましくは10~1000mg、より好ましくは20~1000mgである。
【0038】
本発明の半固形栄養組成物に使用するたんぱく源は、従来より栄養組成物で利用されている公知のたんぱく質、ペプチド及びアミノ酸のいずれも使用できる。
【0039】
たんぱく質としては、植物性たんぱく質及び動物性たんぱく質が使用できる。
【0040】
動物性たんぱく質としては、卵、肉類、魚介類、牛乳等に含まれるたんぱく質が挙げられる。植物性たんぱく質としては、米等の穀類、大豆、豆腐等の豆類等に含まれるたんぱく質が挙げられる。
【0041】
これらのうち、牛乳(乳清)を原料とするホエイたんぱく質、牛乳に含まれるカゼインたんぱく質、大豆たんぱく質を用いることが好ましく、ホエイたんぱく質を用いることがより好ましい。当該ホエイたんぱく質としては、ホエイプロテインコンセントレート(WPC)、ホエイプロテインアイソレート(WPI)、加水分解ホエイペプチド(WPH)等が挙げられる。WPCやWPI、大豆たんぱく等は市販されているものを用いてもよく、市販品としては、WPC392(Fonterra社製)、WPC80(Fonterra社製)、WPC7009(Fonterra社製)、WPC164(Fonterra社製)、WPC162(Fonterra社製)、WPC132(Fonterra社製)、WPC472(Fonterra社製)、WPI8855(Fonterra社製)、WPI8899(Fonterra社製)、WPI895(Fonterra社製)、プロリーナ900(不二製油株式会社製)、ニューフジプロ3000(不二製油株式会社製)、ニューフジプロ1700N(不二製油株式会社製)等が挙げられる。
【0042】
上述のたんぱく質、アミノ酸またはペプチドは、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0043】
本発明の半固形栄養組成物中のたんぱく源の配合量は、適用する対象者によって適宜調節されうるが、半固形栄養組成物全量に対して3~15質量%であることが好ましい。
【0044】
本発明の半固形栄養組成物に配合する脂質は、従来より栄養組成物で利用されてきている公知の各種のもののいずれも使用できる。例えば、アマニ油、エゴマ油、オリーブ油、ごま油、米ぬか油、サフラワー油、シソ油、大豆油、とうもろこし油、ナタネ油、胚芽油、パーム油、パーム核油、ひまわり油、綿実油、やし油、落花生油等の植物性油脂、魚油、乳脂等の動物性油脂、中鎖脂肪酸、高度不飽和脂肪酸などが挙げられる。これらは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。また、その他にDHA、EPA、ジアシルグリセロールなどの加工製剤も添加することができる。
【0045】
本発明の半固形栄養組成物中の脂質の配合量は、適用する対象者によって適宜調節されうるが、半固形栄養組成物全量に対して1~8質量%であることが好ましい。
【0046】
本発明の半固形栄養組成物には、ビタミンを配合することができ、具体的には、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどが挙げられ、これら複数をできる限り組み合わせて配合するのが好ましい。また、ビタミンとして、ビタミン誘導体を使用してもよい。
【0047】
本発明の半固形栄養組成物には、ミネラルを配合することができ、具体的には、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、銅、亜鉛、マンガン、セレン、ヨウ素、クロム及びモリブデンなどが挙げられ、これら複数をできる限り組み合わせて配合するのが好ましい。これらは、無機電解質成分として配合されていても良いし、有機電解質成分、として配合されていてもよい。無機電解質成分としては、例えば、塩化物、硫酸化物、炭酸化物、リン酸化物などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩類が挙げられる。また、有機電解質成分としては、有機酸、例えばクエン酸、乳酸、アミノ酸(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸など)、アルギン酸、リンゴ酸またはグルコン酸と、無機塩基、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属との塩類が挙げられる。例えば、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、水酸化カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアロイル乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、未焼成カルシウム、塩化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、リン酸三マグネシウム、塩化第二鉄、クエン酸第一鉄ナトリウム、クエン酸鉄、クエン酸鉄アンモニウム、グルコン酸第一鉄、乳酸鉄、ピロリン酸第二鉄、硫酸第一鉄、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、グルコン酸銅、硫酸銅などが挙げられる。また、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン、マンガンなどは、高濃度の微量元素化合物を含有する培地内で培養して得られる微量元素蓄積性を有する微生物由来の微量元素含有微生物菌体を用いても良い。
【0048】
本発明の半固形栄養組成物には、食品の加工もしくは保存の目的で、食品添加物を配合することができる。食品添加物としては、保存料、防かび剤、酸化防止剤、着色料、甘味料、pH調整剤、酸味剤、乳化剤、香料等が挙げられる。
【0049】
半固形栄養組成物中の食品添加物の配合量は、適用する対象者等によって適宜調節されうる。
【0050】
本発明の半固形栄養組成物には、ゼリー強度が10~50g/cm2の寒天及びエステル化度が50~75%のペクチン以外の増粘剤を配合することができる。半固形栄養組成物中の増粘剤の配合量は、粘度等を考慮して適宜調節されうる。
【0051】
本明細書において、粘度は、第8版食品添加物公定書「B.一般試験法、28.粘度測定法 第2法 回転粘度計法」に記載された方法に準じて測定される。例えば、B型回転粘度計DV-II+Pro(Brookfield社)、RB80L(東機産業株式会社)などを用いて測定した値をいう。
【0052】
なお、熱量は、糖質、脂質、たんぱく源、及び食物繊維等の添加量を適宜設定することで調節することができる。なお、本明細書において、「熱量」とは、Atwaterのエネルギー換算係数を参考にして算出された値である。具体的には、熱量=(4kcal×糖質含量)+(9kcal×脂質含量)+(4kcal×たんぱく質含量)+(2kcal×食物繊維含量)として計算し、試料g当たりのkcalとして示す。
【0053】
本発明の半固形栄養組成物は、公知の方法によって製造することができる。例えば、加温した水に栄養素、寒天、ペクチン、及びその他所望とする成分を添加し、撹拌することにより製造することができる。また、加温した水に寒天を溶解した溶液と、水にペクチンを溶解した溶液とを準備し、栄養素及びその他所望とする成分をいずれかに添加して、2つの溶液を混合、撹拌することで製造することができる。
【0054】
得られた半固形栄養組成物は、例えば、連続殺菌した後に容器に充填して、製品化することができる。当該連続殺菌の方法としては、特に制限されないが、超高温短時間(UHT)殺菌、熱水殺菌、バッチ式殺菌、及びこれらの組み合わせが挙げられる。前記殺菌は、短時間で行うことが好ましい。短時間で殺菌を行うことにより、半固形栄養組成物に含まれる成分の劣化を抑制することができる。
【0055】
半固形栄養組成物を充填する容器としては、特に限定されず、公知の容器が用いられうる。当該容器としては、テトラパック(登録商標)、カート缶、ガラス容器、金属缶、アルミパウチ、プラスチック容器等が挙げられる。これらのうち、プラスチック容器を用いることが好ましい。
【0056】
前記プラスチック容器の原料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-α-オレフィン共重合体、ポリフルオロカーボン、ポリイミド等を用いることが好ましい。
【0057】
前記プラスチック容器には、さらにポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリエステル等を含むガスバリア性樹脂層;アルミ箔、アルミ蒸着フィルム、酸化ケイ素皮膜、酸化アルミ被膜等のガスバリア性無機層を適宜組み合わせて用いてもよい。当該ガスバリア層を設けることによって、酸素や水蒸気等による半固形栄養組成物の劣化を防止しうる。
【0058】
また、前記容器はさらに遮光されていてもよい。当該遮光によって、例えば、半固形栄養組成物に配合されうるビタミンA、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンK等の光による劣化が抑制されうる。
【0059】
上述の容器は市販されているものを用いてもよく、例えば、ソフトパウチ(株式会社フジシール)、ボトルドパウチ(凸版印刷株式会社)、スパウチ(大日本印刷株式会社)、チアーパック(株式会社細川洋行)等が用いられうる。
【0060】
本発明の半固形栄養組成物は、適切な粘度に調整され且つ必要な栄養源をバランスよく配合されているため、加齢に伴い胃が縮小した高齢者、脳血管障害、神経筋障害などにより嚥下・咀嚼能力が低下した患者、意識障害などにより経口摂取が困難である患者、術後の患者等の胃腸管機能の治療用、低栄養状態の治療用、逆流性食道炎予防・治療用、誤嚥性肺炎予防・治療用に適している。投与では下痢や胃食道逆流の恐れがあることから長時間投与を余儀なくされているが、本発明の半固形栄養組成物の使用により、短時間且つ容易に注入することができ、患者のQOL向上及び介護・看護現場における作業効率性上昇に非常に役立つことが期待される。
【実施例】
【0061】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0062】
(実施例1)
以下に4000g仕込み時の調合方法を記す。各原料の配合量は、表1に示す通りである。5Lのステンレスビーカーに調合水700gを計量し、湯浴にて80℃以上に加温した。次いで、寒天(ゼリー強度30g/cm2、ウルトラ即溶性寒天UX-30、伊那食品工業株式会社、配合量0.3質量%)、ペクチン(エステル化度70%、GENUペクチンJM-150-J、CP Kelco社、配合量0.55質量%)を加え、十分に溶解させた後に65℃まで冷却し、乳清たんぱく(アラセン392、Fonterra社)、大豆たんぱく(プロリーナ800、不二製油株式会社)、デキストリン(遅消化性デキストリン、DE20、HBD-20、松谷化学工業株式会社、配合量19質量%)、食物繊維(重量平均分子量20,000、5質量%溶液の粘度4mPa・s、グアーガム分解物、サンファイバーR、太陽化学株式会社、配合量2質量%)を添加した。当該溶液に植物混合油、魚油、グリセリン脂肪酸エステルを70℃で混合した分散液を混合した。さらに、ビタミンとしてビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1塩酸塩、ビタミンB2、ニコチン酸アミド、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ビタミンC、カルニチン、ミネラルとして精製塩、乳酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、グルコン酸カルシウム、塩化マグネシウム、クエン酸三カリウム、塩化カリウム、クエン酸鉄、グルコン酸亜鉛、グルコン酸銅、セレン酵母、モリブデン酵母、クロム酵母、マンガン酵母、昆布抽出物、乳酸、酸味料として乳酸、リンゴ酸、クエン酸、香料を適宜添加して攪拌した。全量が4000gとなるまで水を添加し、均一な状態となるまで溶解分散させた。得られた溶液は、均質化し、1個当たり500gとなるように口栓付きのアルミパウチに充填後、90℃で10分間の殺菌処理を行った。前記殺菌処理の後、冷却することで、半固形栄養組成物を製造した。
【0063】
【0064】
得られた半固形栄養組成物について性状を観察し、各種物性を評価した。評価方法は以下の通りである。
(1)pH:半固形栄養組成物を25℃で24時静置後、pH測定器METTLER TOLEDO MP220(METTLER TOLEDO社)を用いてpHを測定した。
(2)粘度:半固形栄養組成物を25℃で24時静置後、B型回転粘度計(メーカー:BROOKFIELD、型式:DV-II+Pro、測定条件:回転速度6rpm、測定時間1分、ローターNo.64)を用いて測定した。
(3)浸透圧:半固形栄養組成物を25℃のRO水を用いて希釈した溶液を氷点降下式浸透圧計3D3(アドバンス社)で測定した。
(4)乳化安定性:半固形栄養組成物を25℃で24時静置後、油層と水層の分離状況を目視で確認し、以下の評価によって評価した:
◎:油層と水層の分離が見られない
〇:油層と水層の僅かな分離が見られる
△:油層と水層の分離が散見される
×:油層と水層の明らかな分離が見られる。
(5)凝集性:半固形栄養組成物を25℃で24時静置後、凝集物の状況を目視で確認し、以下の評価によって評価した:
◎:凝集物が見られない
○:細かな凝集物が見られるが、分散している
△:大きな凝集物が見られるが、分散している
×:大きな凝集物が沈殿している。
【0065】
得られた半固形栄養組成物の熱量は1.5kcal/g、粘度は26,000mPa・s、浸透圧は463mOsm/L、pHは3.85、乳化安定性は「◎」、凝集性は「◎」であった。結果を表2に示す。
【0066】
(実施例2)
実施例1において、デキストリンの配合量を12質量%に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して半固形栄養組成物を得た。得られた半固形栄養組成物の熱量は1.2kcal/g、粘度は23,500mPa・s、浸透圧は445mOsm/L、pHは3.87、乳化安定性は「◎」、凝集性は「◎」であった。結果を表2に示す。
【0067】
(実施例3)
実施例1において、デキストリンの配合量を23質量%に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して半固形栄養組成物を得た。得られた半固形栄養組成物の熱量は1.7kcal/g、粘度は28,000mPa・s、浸透圧は480mOsm/L、pHは3.86、乳化安定性は「◎」、凝集性は「◎」であった。結果を表2に示す。
【0068】
(実施例4)
実施例1において、食物繊維の重量平均分子量を2,000、食物繊維の5質量%溶液の粘度を3mPa・s、食物繊維の種類を難消化デキストリン(パインファイバーC、松谷化学工業株式会社)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して半固形栄養組成物を得た。得られた半固形栄養組成物の熱量は1.5kcal/g、粘度は24,800mPa・s、浸透圧は484mOsm/L、pHは3.86、乳化安定性は「◎」、凝集性は「◎」であった。結果を表2に示す。
【0069】
(実施例5)
実施例1において、食物繊維の重量平均分子量を2,000、食物繊維の5質量%溶液の粘度を3mPa・s、食物繊維の種類をイヌリン(Fuji FF、フジ日本精糖株式会社)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して半固形栄養組成物を得た。得られた半固形栄養組成物の熱量は1.5kcal/g、粘度は24,500mPa・s、浸透圧は483mOsm/L、pHは3.85、乳化安定性は「◎」、凝集性は「◎」であった。結果を表2に示す。
【0070】
(実施例6)
実施例1において、食物繊維の重量平均分子量を1,500、食物繊維の5質量%溶液の粘度を3mPa・s、食物繊維の種類をポリデキストロース(ライテスウルトラ、ダニスコジャパン株式会社)、食物繊維の配合量を4質量%に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して半固形栄養組成物を得た。得られた半固形栄養組成物の熱量は1.5kcal/g、粘度は22,500mPa・s、浸透圧は492mOsm/L、pHは3.84、乳化安定性は「◎」、凝集性は「◎」であった。結果を表3に示す。
【0071】
(実施例7)
実施例1において、寒天の配合量を0.2質量%に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して半固形栄養組成物を得た。得られた半固形栄養組成物の熱量は1.5kcal/g、粘度は25,000mPa・s、浸透圧は451mOsm/L、pHは3.87、乳化安定性は「◎」、凝集性は「◎」であった。結果を表3に示す。
【0072】
(実施例8)
実施例1において、寒天の配合量を0.6質量%に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して半固形栄養組成物を得た。得られた半固形栄養組成物の熱量は1.5kcal/g、粘度は27,500mPa・s、浸透圧は475mOsm/L、pHは3.84、乳化安定性は「◎」、凝集性は「◎」であった。結果を表3に示す。
【0073】
(実施例9)
実施例1において、ペクチンのエステル化度を72(GENUペクチンYM-150-LJ、CP Kelco社)、ペクチンの配合量を0.4質量%に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して半固形栄養組成物を得た。得られた半固形栄養組成物の熱量は1.5kcal/g、粘度は24,500mPa・s、浸透圧は455mOsm/L、pHは3.85、乳化安定性は「◎」、凝集性は「◎」であった。結果を表3に示す。
【0074】
(実施例10)
実施例1において、ペクチンのエステル化度を72(GENUペクチンYM-115-H-J、CP Kelco社)、ペクチンの配合量を0.8質量%に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して半固形栄養組成物を得た。得られた半固形栄養組成物の熱量は1.5kcal/g、粘度は28,000mPa・s、浸透圧は465mOsm/L、pHは3.84、乳化安定性は「◎」、凝集性は「◎」であった。結果を表3に示す。
【0075】
(比較例1)
実施例1において、デキストリンのDEを11、デキストリンの種類をマルトデキストリン(パインデックス#2、松谷化学工業株式会社)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して半固形栄養組成物を得た。得られた半固形栄養組成物の熱量は1.5kcal/g、浸透圧は455mOsm/L、pHは3.86、乳化安定性は「◎」、凝集性は「◎」であったが、粘度は33,000mPa・sであった。結果を表4に示す。
【0076】
(比較例2)
実施例1において、デキストリンのDEを40、デキストリンの種類をマルトデキストリン(パインデックス#6、松谷化学工業株式会社)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して半固形栄養組成物を得た。得られた半固形栄養組成物の熱量は1.5kcal/g、粘度は23,000mPa・s、pHは3.84、乳化安定性は「◎」、凝集性は「◎」であったが、浸透圧は512mOsm/Lであった。結果を表4に示す。
【0077】
(比較例3)
実施例1において、食物繊維の重量平均分子量を250,000、食物繊維の5質量%溶液の粘度を200mPa・s、食物繊維の種類をグアーガム(GR-10、伊那食品工業株式会社)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して半固形栄養組成物を得た。得られた半固形栄養組成物の熱量は1.5kcal/g、浸透圧は439mOsm/L、pHは3.85、乳化安定性は「◎」、凝集性は「◎」であったが、粘度は48,500mPa・sであった。結果を表4に示す。
【0078】
(比較例4)
実施例1において、食物繊維の重量平均分子量を550,000、食物繊維の5質量%溶液の粘度を30mPa・s、食物繊維の種類を大豆ふすま(FIBRIM2000、デュポン株式会社)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して半固形栄養組成物を得た。得られた半固形栄養組成物の熱量は1.5kcal/g、浸透圧は439mOsm/L、pHは3.86、乳化安定性は「◎」、凝集性は「◎」であったが、粘度は45,500mPa・sであった。結果を表4に示す。
【0079】
(比較例5)
実施例1において、寒天のゼリー強度を100g/cm2(ウルトラ即溶性寒天UX-100、伊那食品工業株式会社)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して半固形栄養組成物を得た。得られた半固形栄養組成物の熱量は1.5kcal/g、浸透圧は432mOsm/L、pHは3.85、乳化安定性は「◎」、凝集性は「◎」であったが、粘度は47,500mPa・sであった。結果を表4に示す。
【0080】
(比較例6)
実施例1において、寒天の配合量を0質量%に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して半固形栄養組成物を得た。得られた半固形栄養組成物の熱量は1.5kcal/g、浸透圧は463mOsm/L、pHは3.82、であったが、粘度は12,600mPa・s、乳化安定性は「×」、凝集性は「×」であった。結果を表5に示す。
【0081】
(比較例7)
実施例1において、寒天の配合量を1.0質量%に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して半固形栄養組成物を得た。得られた半固形栄養組成物の熱量は1.5kcal/g、浸透圧は460mOsm/L、pHは3.81、乳化安定性は「◎」、凝集性は「◎」であったが、粘度は43,000mPa・sであった。結果を表5に示す。
【0082】
(比較例8)
実施例1において、ペクチンのエステル化度を40(GENUペクチンLM-105AS-J、CP Kelco社)に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して半固形栄養組成物を得た。得られた半固形栄養組成物の熱量は1.5kcal/g、浸透圧は463mOsm/L、pHは3.82、乳化安定性は「◎」、凝集性は「◎」であったが、粘度は35,500mPa・sであった。結果を表5に示す。
【0083】
(比較例9)
実施例1において、ペクチンの配合量を0.1質量%に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して半固形栄養組成物を得た。得られた半固形栄養組成物の熱量は1.5kcal/g、浸透圧は445mOsm/L、pHは3.82であったが、粘度は14,500mPa・s、乳化安定性は「×」、凝集性は「×」であった。結果を表5に示す。
【0084】
(比較例10)
実施例1において、ペクチンの配合量を1.2質量%に変えた以外は、実施例1と全く同じ調製法を繰り返して半固形栄養組成物を得た。得られた半固形栄養組成物の熱量は1.5kcal/g、浸透圧は461mOsm/L、pHは3.84、乳化安定性は「◎」、凝集性は「◎」であったが、粘度は30,200mPa・sであった。結果を表5に示す。
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】