(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】空調用接続部材及び接続構造、並びに接続方法
(51)【国際特許分類】
F24F 13/02 20060101AFI20241031BHJP
F16L 13/10 20060101ALI20241031BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20241031BHJP
【FI】
F24F13/02 A
F16L13/10
C09J7/38
(21)【出願番号】P 2021061443
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【氏名又は名称】原田 三十義
(72)【発明者】
【氏名】村田 孝友
(72)【発明者】
【氏名】小池 甲一
(72)【発明者】
【氏名】京井 貴史
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0156049(US,A1)
【文献】特開2009-079838(JP,A)
【文献】特開昭55-164271(JP,A)
【文献】国際公開第2019/224519(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/02
F16L 13/10
C09J 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質の空調管の外周に軟質の空調ダクトの端部を接続する空調用接続部材であって、
内径が前記空調管の外径より小さく、外径が前記空調ダクトの端部の内径より大きい
平らで周方向に切れ目の無い閉環状かつ軟質のシートと、
前記シートの第1面の内周側部に設けられた環状の第1粘着層と、
前記第1粘着層を覆う環状の第1剥離層と、
前記シートの前記第1面とは反対側の第2面の外周側部に設けられた環状の第2粘着層と、
前記第2粘着層を覆う環状の第2剥離層と、
を備えたことを特徴とする空調用接続部材。
【請求項2】
前記第1、第2剥離層の少なくとも一方の剥離層には、径方向に延びる切込みと、前記切込みに隣接して前記シートよりも径方向に突出されたツマミ突片とが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の空調用接続部材。
【請求項3】
前記第1粘着層が、防水性粘着剤によって構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の空調用接続部材。
【請求項4】
前記シートの外周が、周方向に連続する複数の波部分からなる波形状に形成されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の空調用接続部材。
【請求項5】
空調用接続部材による硬質の空調管と軟質の空調ダクトとの空調接続構造であって、
前記空調用接続部材は、内径が前記空調管の外径より小さく、外径が前記空調ダクトの端部の内径より大きい環状かつ軟質のシートと、前記シートの第1面の内周側部に設けられた環状の第1粘着層と、前記シートの前記第1面とは反対側の第2面の外周側部に設けられた環状の第2粘着層と、を備えており、
前記空調管の外周に前記空調ダクトの端部が被さり、
前記空調用接続部材が、前記第2面を前記空調ダクトへ向けて、径方向の中間部分より内周側の部分が前記空調管の外周面と前記空調ダクトの内周面との間に介在され、かつ前記中間部
分より外周側の部分が前記空調ダクトの外周面又は端面に沿わされており、
前記第1粘着層が前記空調管に粘着され、
前記第2粘着層が前記空調ダクトに粘着されて
おり、
前記空調用接続部材の前記内周側の部分の周長が、内周縁に近いほどより大きく伸ばされていることを特徴とする空調接続構造。
【請求項6】
空調用接続部材によって硬質の空調管と軟質の空調ダクトとを接続する方法であって、
前記空調用接続部材は、内径が前記空調管の外径より小さく、外径が前記空調ダクトの端部の内径より大きい環状かつ軟質のシートと、前記シートの第1面の内周側部に設けられた環状の第1粘着層と、前記第1粘着層を覆う環状の第1剥離層と、前記シートの前記第1面とは反対側の第2面の外周側部に設けられた環状の第2粘着層と、前記第2粘着層を覆う環状の第2剥離層と、を備えており、
前記第1面を差し込み方向の前方へ向けて、前記空調用接続部材を
、当該空調用接続部材の径方向の中間部分より内周側の部分の周長を前記空調管によって伸ばしながら、前記空調管の外周に差し込み、これによって、前記内周側の部分を前記空調管の外周面に密着させ、
前記第1剥離層を剥がして、前記第1粘着層を前記空調管に粘着させ、
前記空調ダクトの端部を前記空調管の外周に被せて、前記空調用接続部材の内周側の部分を前記空調管と前記空調ダクトとの間に介在させ、
前記空調用接続部材の前記中間部分より外周側の部分を前記空調ダクトの端部の外周面又は端面に添わせるとともに、前記第2剥離層を剥がして、前記第2粘着層を前記空調ダクトに粘着させることを特徴とする空調ダクト接続方法。
【請求項7】
空調用接続部材によって硬質の空調管と軟質の空調ダクトとを接続する方法であって、
前記空調用接続部材は、内径が前記空調管の外径より小さく、外径が前記空調ダクトの端部の内径より大きい環状かつ軟質のシートと、前記シートの第1面の内周側部に設けられた環状の第1粘着層と、前記第1粘着層を覆う環状の第1剥離層と、前記シートの前記第1面とは反対側の第2面の外周側部に設けられた環状の第2粘着層と、を備えており、
前記空調用接続部材の
前記第2粘着層を前記空調ダクトの端部の外周面又は端面に粘着させた状態で、前記空調ダクトの端部を前記空調管の外周に差し込み、これによって、前記空調用接続部材の径方向の中間部分より内周側の部分
の周長を前記空調管によって伸ばしながら、前記内周側の部分を前記空調管の外周面に密着させ、
前記第1剥離層を剥がして、前記第1粘着層を前記空調管に粘着させることを特徴とする空調ダクト接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調用の接続部材及び接続構造、並びに接続方法に関し、特に、硬質の空調管と軟質の空調ダクトとを接続する接続部材等に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の空調設備においては、例えば、空調機本体や分配チャンバーから接続用の短い金属管からなる硬質の空調管が突出されており、これに軟質(フレキシブル)の空調ダクトが接続され、該空調ダクトが各室などの空調領域へ配管されている。硬質空調管と軟質空調ダクトとは、金属製の筒形状の接続部材を介して接続されている(特許文献1等参照)。特許文献1の接続部材には爪が設けられており、硬質空調管の周壁には、前記爪が引っ掛かる係止部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属製の筒形状の接続部材は、材料コストが嵩むうえに、構造が複雑で製造に手間がかかる。硬質空調管に係止部を形成する必要もある。さらに、施工時には、爪と係止部を位置合わせして接続する必要があり、一定の技能を要する。硬質空調管に角度が付いていることもあり、そうすると接続作業が容易でない。
本発明は、かかる事情に鑑み、硬質空調管と軟質空調ダクトとを、簡易な構造の接続部材で簡便に接続可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決するために、本発明部材は、硬質の空調管の外周に軟質の空調ダクトの端部を接続する空調用接続部材であって、
内径が前記空調管の外径より小さく、外径が前記空調ダクトの端部の内径より大きい環状かつ軟質のシートと、
前記シートの第1面の内周側部に設けられた環状の第1粘着層と、
前記第1粘着層を覆う環状の第1剥離層と、
前記シートの前記第1面とは反対側の第2面の外周側部に設けられた環状の第2粘着層と、
前記第2粘着層を覆う環状の第2剥離層と、
を備えたことを特徴とする。
【0006】
前記第1、第2剥離層の少なくとも一方の剥離層には、径方向に延びる切込みと、前記切込みに隣接して前記シートよりも径方向に突出されたツマミ突片とが形成されていることが好ましい。
【0007】
前記第1粘着層が、防水性粘着剤によって構成されていることが好ましい。前記防水性粘着剤として、ブチルゴム等が挙げられる。
【0008】
前記シートの外周は、円形状であってもよく、周方向に連続する複数の波部分からなる波形状に形成されていてもよい。
【0009】
本発明構造は、前記空調用接続部材による硬質の空調管と軟質の空調ダクトとの空調接続構造であって、
前記空調管の外周に前記空調ダクトの端部が被さり、
前記空調用接続部材が、前記第2面を前記空調ダクトへ向けて、径方向の中間部分より内周側の部分が前記空調管の外周面と前記空調ダクトの内周面との間に介在され、かつ前記中間部より外周側の部分が前記空調ダクトの外周面又は端面に沿わされており、
前記第1粘着層が前記空調管に粘着され、
前記第2粘着層が前記空調ダクトに粘着されていることを特徴とする。
【0010】
本発明方法は、前記空調用接続部材によって硬質の空調管と軟質の空調ダクトとを接続する方法であって、
前記第1面を差し込み方向の前方へ向けて、前記空調用接続部材を前記空調管の外周に差し込み、これによって、前記空調用接続部材の径方向の中間部分より内周側の部分を前記空調管の外周面に密着させ、
前記第1剥離層を剥がして、前記第1粘着層を前記空調管に粘着させ、
前記空調ダクトの端部を前記空調管の外周に被せて、前記空調用接続部材の内周側の部分を前記空調管と前記空調ダクトとの間に介在させ、
前記前記空調用接続部材の前記中間部分より外周側の部分を前記空調ダクトの端部の外周面又は端面に添わせるとともに、前記第2剥離層を剥がして、前記第2粘着層を前記空調ダクトに粘着させることを第1の特徴とする。
【0011】
本発明方法は、前記空調用接続部材によって硬質の空調管と軟質の空調ダクトとを接続する方法であって、
前記空調用接続部材の第2粘着層を前記空調ダクトの端部の外周面又は端面に粘着させた状態で、前記空調ダクトの端部を前記空調管の外周に差し込み、これによって、前記空調用接続部材の径方向の中間部分より内周側の部分を前記空調管の外周面に密着させ、
前記第1剥離層を剥がして、前記第1粘着層を前記空調管に粘着させることを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、硬質空調管と軟質空調ダクトとを、簡易な構造の接続部材で簡便に接続可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1(a)は、本発明の第1実施形態に係る空調用接続部材の正面図である。
図1(b)は、前記第1実施形態に係る空調用接続部材の背面図である。
【
図2】
図2は、
図1(a)のII-II線に沿う断面図である。
【
図3】
図3は、前記空調用接続部材による空調ダクト接続方法を、前記空調用接続部材を空調管の外周に嵌める段階で示す側面断面図である。
【
図4】
図4は、前空調ダクト接続方法を、前記空調用接続部材を空調管の外周に粘着させる段階で示す側面断面図である。
【
図5】
図5は、前空調ダクト接続方法を、前記空調管の外周に空調ダクトを嵌め込む段階で示す側面断面図である。
【
図6】
図6は、空調管と空調ダクトとの接続構造を含む空調設備の側面断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態に係る空調用接続部材の正面図である。
【
図8】
図8は、前記第2実施形態の空調用接続部材による空調ダクト接続方法を、前記空調用接続部材付きの空調ダクトを空調管の外周に嵌める直前の段階で示す側面断面図である。
【
図9】
図9は、前記第2実施形態の空調用接続部材による空調ダクト接続方法を、前記空調ダクトを空調管の外周に嵌めた段階で示す側面断面図である。
【
図10】
図10は、前記第2実施形態の空調用接続部材による空調接続構造を含む空調設備の側面断面図である。
【
図11】
図11(a)は、本発明の第3実施形態に係る空調用接続部材の正面図である。
図11(b)は、前記第3実施形態に係る空調用接続部材の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態(
図1~
図6)>
図6に示すように、オフィスビル、工場、集合住宅、戸建て住宅などの建物には、空調設備1が設けられている。空調設備1は、空調機2と、空調ダクト4を備えている。空調ダクト4が各室等の空調領域を延びている。空調機2から短い筒状の空調管3が突出されている。空調管3は、金属からなり、硬質である。空調ダクト4は、フレキシブルダクトによって構成され、軟質である。空調管3の外周に空調ダクト4の端部が被せられている。これら空調管3と空調ダクト4の間に空調用接続部材5が介在されている。接続部材5によって、空調管3と空調ダクト4とが接続され、空調接続構造6が構成されている。
【0015】
図2に示すように、接続部材5は、シート10と、粘着層21,22と、剥離層31,32を備えている。
シート10は軟質である。ひいては接続部材5は軟質である。シート10の材質は、樹脂であり、好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンによって構成されている。シート10を構成する樹脂は、発泡樹脂であってもよく、この場合、独立気泡の発泡樹脂であることが好ましい。
シート10は、好ましくは気体の透過を阻止する気密性及び防水性を有している。
なお、
図2において、接続部材5の厚みは、径方向寸法に対して誇張されている。
【0016】
図1(a)に示すように、自然状態(初期状態)におけるシート10の形状は、平らな環状である。シート10の内径は、空調管3の外径より小さい。シート10の外径は、空調ダクト4の端部の内径より大きい。好ましくは、シート10の外径は、空調ダクト4の端部の外径より大きい。
【0017】
図1(a)及び
図2に示すように、シート10の第1面11の内周側部11aには、第1粘着層21が設けられている。第1粘着層21は、内周側部11aを覆う環状になっている。第1粘着層21の内径は、シート10の内径と同等であり、第1粘着層21の内周縁は、シート10の内周縁と面一になっている。第1粘着層21の外径は、シート10の外径と内径の中間の大きさである。シート10の第1面11の外周側部11bには、粘着層が設けられておらず、シート10の表面が露出されている。
第1粘着層21の材質は、好ましくはブチルゴム等の防水性粘着剤である。
【0018】
第1粘着層21は、第1剥離層31によって覆われている。第1剥離層31は、第1粘着層21と同じ内径及び外径の環状になっている。第1剥離層31の一箇所には、線状の切込み33が形成されている。切込み33は、第1剥離層31の径方向に延びて、第1剥離層31の外周縁及び内周縁に達している。第1剥離層31の内周縁における切込み33に隣接して、ツマミ突片35が形成されている。ここでは、第1剥離層31の切込み33を挟んで両側にそれぞれツマミ突片35が設けられている。ツマミ突片35は、第1剥離層31の内周縁から径方向内方へ突出されている。
【0019】
図1(b)及び
図2に示すように、シート10の第2面12の外周側部12bには、第2粘着層22が設けられている。第2粘着層22は、外周側部12bを覆う環状になっている。第2粘着層22の外径は、シート10の外径と同等であり、第2粘着層22の外周縁は、シート10の外周縁と面一になっている。第2粘着層22の内径は、シート10の外径と内径の中間の大きさであり、好ましくは第1粘着層21の外径と同等である。シート10の第2面12の内周側部12aには、粘着層が設けられておらず、シート10の表面が露出されている。
第2粘着層22の材質は、第1粘着層21と同様にブチルゴムであることが好ましい。
なお、粘着層21,22の材質は、ブチルゴムに限らず、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム等であってもよい。
【0020】
第2粘着層22は、第2剥離層32によって覆われている。第2剥離層32は、第2粘着層22と同じ内径及び外径の環状になっている。第2剥離層32の一箇所には、線状の切込み34が形成されている。切込み34は、第2剥離層32の径方向に延びて、第2剥離層32の外周縁及び内周縁に達している。第2剥離層32の内周縁における切込み34に隣接して、ツマミ突片36が形成されている。ここでは、第2剥離層32の切込み34を挟んで両側にそれぞれツマミ突片36が設けられている。ツマミ突片36は、第2剥離層32の外周縁から径方向外方へ突出されている。
粘着層21,22は、好ましくは、気密性、防水性を有している。
【0021】
図6に示すように、空調設備1の空調接続構造6における接続部材5は、シート10の第2面12を空調ダクト4へ向けて、径方向の中間部分5cにおいて折り返されて、断面U字状になっている。該接続部材5の中間部分5cが空調ダクト4の端面4eに沿わされている。接続部材5の中間部分5cより内周側の部分5aが、空調管3の外周面と空調ダクト4の内周面4aとの間に介在されている。かつ、第1粘着層21が、空調管3の外周面に粘着されている。かつ接続部材5の中間部分5cより外周側の部分5bが空調ダクト4の端部の外周面4bに沿わされている。そして、第2粘着層22が空調ダクト4の端部の外周面4bに粘着されている。
空調接続構造6においては、剥離層31,32(
図2)は除去されている。
【0022】
第1実施形態においては、前記の空調用接続部材5によって、空調設備1における硬質の空調管3と軟質の空調ダクト4とが、次のようにして接続される。
図3において二点鎖線にて示すように、まず、第1面11を差し込み方向の前方へ向けて、空調用接続部材5を空調管3の外周に差し込む。これによって、
図3の実線にて示すように、接続部材5の内周側の部分5aが空調管3の外周面に密着される。この段階では、第1粘着層21には第1剥離層31が被さっているから、第1粘着層21が空調管3に粘着されることはない。
【0023】
次に、
図3~
図4に示すように、第1剥離層31を剥がす。ツマミ突片35(
図3)が接続部材5の内周縁から外部に突出されているから、該ツマミ突片35をつまんで引っ張ることで、第1剥離層31を容易に剥がすことができる。これによって、
図4に示すように、第1粘着層21が空調管3と粘着される。
【0024】
次に、
図5に示すように、空調ダクト4の端部を空調管3の外周に被せる。これによって、接続部材5の内周側の部分5aが、空調管3と空調ダクト4との間に介在される。
【0025】
さらに、接続部材5の外周側の部分5bを折り返して空調ダクト4の端部の外周面に添わせる。かつ、第2剥離層32を剥がす。ツマミ突片36が接続部材5の外周縁から外部に突出されているから、該ツマミ突片36をつまんで引っ張ることで、第2剥離層32を容易に剥がすことができる。これによって、
図6に示すように、第2粘着層22が空調ダクト4と粘着される。ひいては、接続部材5を介して、空調管3と空調ダクト4とが接続される。
このようにして、硬質空調管3と軟質空調ダクト4とを、簡易な構造の接続部材5で簡便に接続することができる。
好ましくは接続部材5のシート10及び粘着層21は、気密性を有しているから、空調管3の外周面と空調ダクト4の端部の内周面との間の気密を確保できる。
さらに好ましくは接続部材5のシート10及び粘着層21は、防水性を有しているから、空調管3の外周面と空調ダクト4の端部の内周面との間を防水できる。
【0026】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態(
図7~
図10)>
図7に示すように、第2実施形態の空調用接続部材5Bにおいては、第1剥離層31のツマミ突片35Bが、第1剥離層31の外周縁から第1面11に沿って径方向外方へ突出されている。
【0027】
図8に示すように、第2実施形態においては、空調ダクト4の製造工場などにおいて、予め、接続部材5Bの第2剥離層32をはがして第2粘着層22を空調ダクト4の端部の外周面4bに粘着させておく。該接続部材5B付きの空調ダクト4を建物内の施工現場に搬入する。
【0028】
そして、接続部材5Bが付いた状態の空調ダクト4の端部を空調管3の外周に差し込む。これによって、
図9に示すように、接続部材5Bの内周側の部分5aが空調管3の外周面に密着される。この段階では、第1粘着層21には第1剥離層31が被さっているから、第1粘着層21が空調管3に粘着されることはない。
【0029】
次に、
図9~
図10に示すように、第1剥離層31を剥がす。ツマミ突片35Bが空調ダクト4の端面4eに沿って外部へ突出されているから、該ツマミ突片35Bをつまんで引っ張ることで、第1剥離層31を容易に剥がすことができる。これによって、
図10に示すように、第1粘着層21が空調管3と粘着される。ひいては、接続部材5Bを介して、空調管3と空調ダクト4とを接続することができる。
【0030】
シート10の外周形状は、円形状(
図1,
図7)に限らない。
<第3実施形態(
図11)>
図11(a)に示すように、第3実施形態の空調用接続部材5Cにおいては、シート10の外周が、複数の波部分13からなるギザギザの波形状に形成されている。各波部分13は、シート10の中央の穴部15へ向かって円弧状に凹んでいる。波部分13の中央部が、最も凹んだ波底部13bとなっている。
【0031】
複数の波部分13どうしが、シート10の周方向に沿って環状に連続している。隣接する波部分13の端部どうしが、シート10の径方向外側へ向かって突出しながら接近して合流することによって、尖り部分13eを形成している。
【0032】
接続部材5Cにおいては、少なくとも、尖り部分13eにおけるシート外径φ
13eが、
図11(a)において二点鎖線にて示す空調ダクト4の端部の内径φ
4bより大きく、かつシート10の内径が空調管3の外径より小さい。好ましくは、波底部13bにおけるシート外径φ
13bが、空調ダクト4の端部の内径φ
4bより大きい。
より好ましくは、尖り部分13eにおけるシート外径φ
13eが、空調ダクト4の端部の外径φ
4aより大きい。一層好ましくは、波底部13bにおけるシート外径φ
13bが、空調ダクト4の端部の外径φ
4aより大きい。
【0033】
図11(b)に示すように、第2剥離層32の外周形状についても、シート部10に合わせた波形状に形成されている。
【0034】
第3実施形態によれば、接続部材5Cを、例えば空調ダクト4の端面から外周面へ向けて折り曲げる際(
図5~
図6参照)、シワができにくく、容易に、かつきれいに折り曲げることができる。
【0035】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、自然状態(初期状態)のシート10は、平坦に限らず、径方向に沿って湾曲されていてもよい。
第3実施形態において、シート10の外周の波形状は、正弦波状でもよく、三角波状でもよく、その他台形波状、矩形波状等でもよい。
切込み33,34は、少なくとも一方の剥離層31,32に形成されていればよい。ツマミ突片35,36は省略してもよい。
各切込み33,34は、一箇所に限らず、各剥離層31,32の周方向の複数箇所に形成されていてもよい。
空調接続構造6においてシート10の外周側の部分5bが、空調ダクト4の端面4eに沿わされていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、オフィスビル、工場、集合住宅、戸建て住宅その他の建物の空調設備に適用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 空調設備
2 空調機
3 空調管
4 空調ダクト
4a 内周面
4e 端面
4b 外周面
5,5B 空調用接続部材
5a 内周側の部分
5c 中間部分
5b 外周側の部分
6 空調接続構造
10 シート
11 第1面
11a 内周側部
11b 外周側部
12 第2面
12a 内周側部
12b 外周側部
21 第1粘着層
22 第2粘着層
31 第1剥離層
32 第2剥離層
33,34 切込み
35,36 ツマミ突片
35B ツマミ突片