(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】水中ミキサ及びフレーム
(51)【国際特許分類】
B01F 27/23 20220101AFI20241031BHJP
B01F 35/00 20220101ALI20241031BHJP
B01F 27/231 20220101ALI20241031BHJP
【FI】
B01F27/23
B01F35/00
B01F27/231
(21)【出願番号】P 2021076236
(22)【出願日】2021-04-28
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 剛久
(72)【発明者】
【氏名】眞島 薫
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-089092(JP,A)
【文献】実開昭63-152636(JP,U)
【文献】特開2002-361062(JP,A)
【文献】特開2019-171263(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 27/00 - 27/96
B01F 35/00 - 35/95
C02F 11/00 - 11/20
B65D 88/00 - 90/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽に設置された昇降ガイドに沿って昇降するスライダと、
前記スライダの第1取付部に取り付けられる第2取付部を有し、かつ前記スライダに対し、回転軸が第1角度となる姿勢で、
着脱可能に取り付け
られる水中ミキサ本体と、
前記水中ミキサ本体と前記スライダとの間に介在しかつ、前記水中ミキサ本体を前記スライダに取り付けるフレームと、を備え、
前記フレームは、
前記スライダの前記第1取付部に取り付けられることによって、前記水中ミキサ本体を、前記第1角度とは異なる姿勢で、前記スライダに取り付ける、
水中ミキサ。
【請求項2】
請求項1に記載の水中ミキサにおいて、
前記フレームは、前記水中ミキサ本
体に取り付けられる第3取付部と、前記スライダの前記第1取付部に取り付けられる第4取付部とを有している、
水中ミキサ。
【請求項3】
請求項2に記載の水中ミキサにおいて、
前記フレームは、前記スライダの前記第1取付部に取り付けられる第5取付部をさらに有し、
前記第4取付部が前記スライダに取り付けられた場合は、前記水中ミキサ本体は、回転軸が、前記第1角度とは異なる第2角度となる姿勢で前記スライダに取り付けられ、
前記第5取付部が前記スライダに取り付けられた場合は、前記水中ミキサ本体は、回転軸が、前記第1角度及び前記第2角度とは異なる第3角度となる姿勢で前記スライダに取り付けられる、
水中ミキサ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の水中ミキサにおいて、
前記スライダは、前記昇降ガイドに対する角度を変更可能に取り付けられる、
水中ミキサ。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の水中ミキサにおいて、
前記フレームは、前記水中ミキサの吊り下げチェーンが係止する係止部を有している、水中ミキサ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の水中ミキサにおいて、
前記第1角度は、水平方向
であり、
前記フレームは、前記水中ミキサ本体を、前記
水平方向よりも下向きの姿勢で、前記スライダに取り付ける、
水中ミキサ。
【請求項7】
水中ミキサ本体を、水槽に設置された昇降ガイドに沿って昇降するスライダに対し取り付けるためのフレームであって、
前記フレームは、前記水中ミキサ本体
に取り付けられる第3取付部と、前記スライダの第1取付部に取り付けられる第4取付部とを有し、
前記水中ミキサ本体の第2取付部が前記第1取付部に取り付けられたときの前記水中ミキサ本体の回転軸の角度と、前記第3取付部が前記水中ミキサ本体に取り付けられかつ前記第4取付部が前記第1取付部に取り付けられたときの前記水中ミキサ本体の回転軸の角度とが異なる
よう、前記第3取付部と前記第4取付部との角度が設定されている、
フレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、水中ミキサ、及び、水中ミキサの取付用のフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水槽内の水を撹拌するために使用される水中ミキサが記載されている。特許文献1の水中ミキサは、水槽内での水中ミキサの姿勢を変更する変更機構を備えている。水槽内には、水面よりも上方位置から底部近くまでガイドが上下方向に伸びて設置されており、変更機構は、そのガイドに沿って昇降するスライダを有している。スライダは、ガイドに対する取り付け角度を、水平角度と、水平よりも上向きの角度と、水平よりも下向きの角度との三つの角度に変更可能に構成されている。スライダに取り付けられる水中ミキサは、スライダの角度が変更されることに伴い、その回転軸が水平方向となった水平姿勢と、回転軸が、水平に対して20°だけ斜め上向きになった上向き姿勢と、回転軸が、水平に対して20°だけ斜め下向きになった下向き姿勢との変更可能になる。
【0003】
特許文献1に記載された技術は、水中ミキサを概ね横向きに設置する技術に係る。これに対し、特許文献2には、水中ミキサを鉛直下向きに設置する技術が記載されている。具体的に特許文献2には、水槽内に、その底部から水面付近にわたって上下方向に伸びる水流案内管を設置し、その水流案内管の中に、水中ミキサを下向きに設置することが記載されている。水中ミキサが運転をすると、水流案内管の上から水中案内管内に水が吸い込まれ、水流案内管の下から水が吐出される。これより、水槽内の全体に、上下方向の大きな水流を発生させることができる。この構成は特に、深さがある程度深い水槽内において、水を十分に撹拌することを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-361062号公報
【文献】特開2004-290854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、特許文献1に記載された技術は、水中ミキサを真横、又は、真横に近い斜め上向きや斜め下向きの姿勢に配設することはできるが、水中ミキサを真下、又は、真下に近い斜め下向きの姿勢に配設することはできない。また、特許文献2に記載された技術は、水中ミキサを、真下を向く姿勢で設置することができるが、水槽内に水流案内管を設置しなければならず、設備が大がかりになってしまう。特に、水深の深い水槽内の全体を撹拌しようとすると、水流案内管を水面近くから底壁近くまで長く設置しなければならないため、設備が大がかりになることが避けられない。
【0006】
ここに開示する技術は、簡易な構造で、水中ミキサの姿勢を変えて設置できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
具体的に、ここに開示する技術は、水中ミキサに係り、この水中ミキサは、
水槽に設置された昇降ガイドに沿って昇降するスライダと、
前記スライダの第1取付部に取り付けられる第2取付部を有し、かつ前記スライダに対し、回転軸が第1角度となる姿勢で、着脱可能に取り付けられる水中ミキサ本体と、
前記水中ミキサ本体と前記スライダとの間に介在しかつ、前記水中ミキサ本体を前記スライダに取り付けるフレームと、を備え、
前記フレームは、前記スライダの前記第1取付部に取り付けられることによって、前記水中ミキサ本体を、前記第1角度とは異なる姿勢で、前記スライダに取り付ける。
【0008】
この構成によると、水中ミキサ本体は、スライダに対して着脱可能に取り付けられる。スライダと水中ミキサ本体とは、第1取付部と第2取付部とを使って、取り付けできる。水中ミキサ本体が、スライダに対して取り付けられると、水中ミキサ本体は、回転軸が第1角度となる姿勢になる。第1角度は、一例として、従来の構成と同様に、回転軸が水平となる角度としてもよい。
【0009】
水中ミキサ本体は、フレームを介して、スライダに対して取り付け可能である。フレームはスライダの第1取付部に取り付けられる。フレームを使うと、水中ミキサ本体を、第1角度とは異なる姿勢でスライダに取り付けることができる。例えば、フレームを使うことによって、水中ミキサ本体が、真下又は斜め下向きの姿勢でスライダに取り付けられるようにしてもよい。
【0010】
前記の構成は、フレームを用いるだけの簡易な構造で、水中ミキサ本体の姿勢を変えて設置できる。
【0011】
前記フレームは、前記水中ミキサ本体に取り付けられる第3取付部と、前記スライダの前記第1取付部に取り付けられる第4取付部とを有している、としてもよい。
【0012】
フレームは、第3取付部を水中ミキサ本体に取り付けることができる。
【0013】
また、フレームは、第4取付部をスライダの第1取付部に取り付けることができる。つまり、水中ミキサ本体が取り付けられるための第1取付部を利用して、フレームを、スライダに取り付けることができる。
【0014】
従って、水中ミキサ本体、及び、スライダは、フレームを取り付けるための専用の構成を有しておらず、水中ミキサ本体、フレーム、及び、スライダ間における取り付け構造が簡略化する。また、例えば水中ミキサ本体をスライダに対して取り付ける既存の構造に対して、フレームを追加することだけで、水中ミキサ本体の姿勢を変えて設置できる。
【0015】
前記フレームは、前記スライダの前記第1取付部に取り付けられる第5取付部をさらに有し、
前記第4取付部が前記スライダに取り付けられた場合は、前記水中ミキサ本体は、回転軸が、前記第1角度とは異なる第2角度となる姿勢で前記スライダに取り付けられ、
前記第5取付部が前記スライダに取り付けられた場合は、前記水中ミキサ本体は、回転軸が、前記第1角度及び前記第2角度とは異なる第3角度となる姿勢で前記スライダに取り付けられる、としてもよい。
【0016】
フレームに複数の取付部を設けることによって、水中ミキサ本体の設置姿勢を、複数の姿勢の中から、適宜選択できる。水槽の形状に応じて、水中ミキサ本体を最適な姿勢で設置できる。
【0017】
前記スライダは、前記昇降ガイドに対する角度を変更可能に取り付けられる、としてもよい。
【0018】
スライダと昇降ガイドとの角度を変更することと、フレームを使って、水中ミキサ本体とスライダとの角度を変更することとが組み合わさって、水槽内における水中ミキサ本体の姿勢を、さらに多くの姿勢に変更できる。水中ミキサ本体を、より一層、最適な姿勢で、水槽内に設置できる。
【0019】
前記フレームは、前記水中ミキサの吊り下げチェーンが係止する係止部を有している、としてもよい。
【0020】
フレームに係止部を設けることによって、第1角度とは異なる姿勢で、スライダに取り付けられた水中ミキサ本体の重心位置に対し、適切な位置で、吊り下げチェーンを係止することができる。水中ミキサ本体を、昇降ガイドに沿ってスムースに昇降できる。また、フレームに係止部を設けることによって、水中ミキサ本体の改造が不要になるから、水中ミキサの構造が簡略化する。
【0021】
前記第1角度は、水平方向であり、
前記フレームは、前記水中ミキサ本体を、前記水平方向よりも下向きの姿勢で、前記スライダに取り付ける、としてもよい。
【0022】
フレームを使用しない場合は、水中ミキサ本体を水平方向に設置できる。フレームを使用する場合は、水中ミキサ本体を下向きの姿勢で設置できる。水中ミキサ本体の姿勢を大きく変えることができる。
【0023】
ここに開示する技術は、水中ミキサ本体を、水槽に設置された昇降ガイドに沿って昇降するスライダに対し取り付けるためのフレームに係る。
【0024】
前記フレームは、前記水中ミキサ本体に取り付けられる第3取付部と、前記スライダの第1取付部に取り付けられる第4取付部とを有し、
前記水中ミキサ本体の第2取付部が前記第1取付部に取り付けられたときの前記水中ミキサ本体の回転軸の角度と、前記第3取付部が前記水中ミキサ本体に取り付けられかつ前記第4取付部が前記第1取付部に取り付けられたときの前記水中ミキサ本体の回転軸の角度とが異なるよう、前記第3取付部と前記第4取付部との角度が設定されている。
【0025】
前述したように、フレームを用いた簡易な構造で、姿勢を変えて水中ミキサ本体を水槽内に設置できる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、前記の水中ミキサ及びフレームによると、簡易な構造で、水中ミキサ本体の姿勢を変えて設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る水中ミキサを例示する図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る、水中ミキサ本体の設置例を示す図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態に係る水中ミキサを例示する図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係る、水中ミキサ本体の設置例を示す図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る、水中ミキサ本体の設置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、水中ミキサの実施形態について、図面を参照しながら説明する。ここで説明する水中ミキサは例示である。
【0029】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る水中ミキサ1を示している。水中ミキサ1は、水槽、例えば下水処理場、各種工場等での貯水場、池湖水、濠、養魚場等内に設置され、水槽内の水を撹拌する。
【0030】
水中ミキサ1は、水中ミキサ本体2と、フレーム3と、を備えている。水中ミキサ本体2とフレーム3とは、別体であり、例えばボルト・ナットを含む締結部材を利用して、一体化される。フレーム3は、水中ミキサ本体2に対して、脱着可能に取り付けられる。
【0031】
水中ミキサ本体2は、従来の水中ミキサと同じ構造を有している。尚、
図1に示す姿勢を、水中ミキサ本体2の基準姿勢とし、以下の説明では、
図1における紙面右を水中ミキサ本体2の前、
図1における紙面左を水中ミキサ本体2の後と呼ぶ。
【0032】
水中ミキサ本体2は、羽根車21と、羽根車21を回転させるモータを収容するケーシング22と、を備えている。モータは、回転軸が水平方向に伸びるように設けられ、羽根車21は、モータの回転軸の先端に取り付けられている。羽根車21は、水中ミキサ本体2の基準姿勢においては、水平方向の前方へ水を吐出するように構成されている。尚、符号23は案内板であり、案内板23は、羽根車21の周囲を囲むように配設されている。
【0033】
ケーシング22の上部には、ケーブル24が接続されている。ケーブル24は、モータに給電等を行うためのケーブルである。また、ケーシング22の上部には、係止部25が設けられている。係止部25には、吊り下げチェーン26の下端が係止される(
図2参照)。吊り下げチェーン26は、水中ミキサ1を昇降する際に水中ミキサ1を吊り下げるために用いられる。尚、
図2等では、吊り下げチェーン26を簡略して描いている。係止部25は、基準姿勢にある水中ミキサ本体2の、重心位置を通過する鉛直線の付近に設けられている。
【0034】
ケーシング22の後端部には、後述するスライダ41に水中ミキサ本体2を取り付けるための取付部27(つまり、第2取付部)が設けられている。取付部27がスライダ41に取り付けられると、水中ミキサ本体2は、基準姿勢で水槽内に設置される(
図2の(c)参照)。
【0035】
フレーム3は、第1スライダ取付部31と、第2スライダ取付部32と、水中ミキサ取付部33と、係止部34と、を備えている。水中ミキサ取付部33は、基準姿勢にある水中ミキサ本体2の、ケーシング22の後ろに位置する。水中ミキサ取付部33は、ケーシング22の後端面に当接し、水中ミキサ本体2の取付部27に対して、ボルト・ナットを含む締結部材を使って、取り付けられる。水中ミキサ取付部33は、第3取付部に対応する。ここで、前述したように、水中ミキサ本体2の取付部27は、水中ミキサ本体2を、スライダ41に取り付けるための取付部であるから、当該取付部27には、スライダ41及びフレーム3の両方を選択的に取り付けることができる。
【0036】
係止部34は、水中ミキサ取付部33の後ろ側に設けられている。係止部34には、吊り下げチェーン26が係止する(
図2(a)(b)参照)。吊り下げチェーン26は、フレーム3を介して、水中ミキサ本体2を吊り下げる。係止部34には、第1係止部341と第2係止部342とが、上下に並んで設けられている。第1係止部341は、フレーム3が水中ミキサ本体2に取り付けられた状態において、モータの回転軸の延長線上に位置している。第2係止部342は、フレーム3が水中ミキサ本体2に取り付けられた状態において、モータの回転軸の延長線に対して上方に位置がずれている。
【0037】
第1スライダ取付部31は、フレーム3が水中ミキサ本体2に取り付けられた状態において、水中ミキサ本体2のケーシング22の下方に位置している。第1スライダ取付部31は、モータの回転軸に沿う方向に伸びる取付面311を有している。第1スライダ取付部31は、ボルト・ナットを含む締結部材を利用して、スライダ41に、脱着可能に取り付けられる。
【0038】
第2スライダ取付部32は、第1スライダ取付部31と水中ミキサ取付部33との間に位置している。第2スライダ取付部32は、モータの回転軸に対して傾いた方向に伸びる取付面321を有している。第2スライダ取付部32は、ボルト・ナットを含む締結部材を利用して、スライダ41に、脱着可能に取り付けられる。
【0039】
第1スライダ取付部31及び第2スライダ取付部32はそれぞれ、第4取付部に対応する。
【0040】
次に、水中ミキサ1の水槽内への設置について
図2を参照しながら説明する。水中ミキサ1は、フレーム3を使って設置する場合と、フレーム3を使わないで設置する場合とで、その向きが変わる。また、フレーム3を使って設置する場合、水中ミキサ1の向きは、2つの向きに変えることができる。
【0041】
ここで、
図2に示すように、水槽内には、昇降ガイド51が予め設置されている。昇降ガイド51は、横断面四角形の角パイプであって、鉛直方向に伸びている。昇降ガイド51には、スライダ41が取り付けられている。スライダ41は、昇降ガイド51に沿って上下方向に往復移動する。スライダ41は、取付部411を有している(つまり、第1取付部)。取付部411は、鉛直方向に伸びる昇降ガイド51の前側で、水平方向を向いている。取付部411には、前述した、水中ミキサ本体2の取付部27、又は、フレーム3の第1スライダ取付部31、若しくは、第2スライダ取付部32が、選択的に取り付けられる。
【0042】
図2(a)は、スライダ41の取付部411に、フレーム3の第1スライダ取付部31が取り付けられた場合を例示している。この場合、水中ミキサ本体2のモータの回転軸は、鉛直下向きに伸びており、水中ミキサ本体2は、鉛直下向きの姿勢で、水槽内に設置される。この場合に、吊り下げチェーン26の下端は、フレーム3の第1係止部341に係止されている。水中ミキサ本体2の係止部25は、使用されない。吊り下げチェーン26は、鉛直下向きの姿勢の水中ミキサ本体2の重心又は重心近くを通る位置を吊り下げることができる。水中ミキサ本体2を、安定的に昇降させることができる。
【0043】
図2(b)は、スライダ41の取付部411に、フレーム3の第2スライダ取付部32が取り付けられた場合を例示している。この場合、水中ミキサ本体2のモータの回転軸は、斜め下向きに伸びており、水中ミキサ本体2は、斜め下向きの姿勢で、水槽内に設置される。この場合に、吊り下げチェーン26は、フレーム3の第2係止部342に係止されている。水中ミキサ本体2の係止部25は、使用されない。吊り下げチェーン26は、斜め下向きの姿勢の水中ミキサ本体2の重心又は重心近くを通る位置を吊り下げることができる。水中ミキサ本体2を、安定的に昇降させることができる。
【0044】
図2(c)は、スライダ41の取付部411に、水中ミキサ本体2の取付部27が取り付けられた場合を例示している。この場合、水中ミキサ本体2のモータの回転軸は、水平方向に伸びており、水中ミキサ本体2は、真横を向いた姿勢で、水槽内に設置される。この場合、吊り下げチェーン26は、水中ミキサ本体2の係止部25に係止されている。吊り下げチェーン26は、横向きの姿勢の水中ミキサ本体2の重心又は重心近くを通る位置を吊り下げることができる。水中ミキサ本体2を、安定的に昇降させることができる。
【0045】
このように、フレーム3を有する水中ミキサ1は、モータの回転軸が水平方向に伸びた姿勢を0°とした場合(
図2(c))に、水中ミキサ本体2の姿勢を、-90°(
図2(a))及び-70°(
図2(b))に変更して、水槽内に設置できる。水中ミキサ本体2の姿勢を大きく変えることができる。
【0046】
特にフレーム3が、第1スライダ取付部31及び第2スライダ取付部32の二つの取付部を有しているため、水中ミキサ本体2の姿勢を、3方向に変えることができる。水中ミキサ1は、フレーム3を用いるだけの簡易な構造で、真下、又は、斜め下向きに設置することができる。
【0047】
また、フレーム3は、水中ミキサ本体2の取付部27、つまり、水中ミキサ本体2をスライダ41に取り付ける場合に用いられる取付部を利用して、水中ミキサ本体2に取り付けられる。フレーム3を取り付けるための水中ミキサ本体2の改造が不要であり、水中ミキサ本体2は、従来の水中ミキサをそのまま用いることができる。
【0048】
さらに、フレーム3が、吊り下げチェーン26のための係止部34を有しているため、フレーム3を水中ミキサ本体2に取り付けた場合に、吊り下げチェーン26は、係止部34を使って、水中ミキサ本体2を適切な位置で吊り下げることができる。この点においても、水中ミキサ本体2の改造が不要である。
【0049】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係る水中ミキサ6を示している。水中ミキサ6は、水中ミキサ本体7と、フレーム8と、を備えている。水中ミキサ本体7とフレーム8とは、別体であり、例えばボルト・ナットを含む締結部材を利用して、一体化される。フレーム8は、水中ミキサ本体7に対して、脱着可能に取り付けられる。
【0050】
水中ミキサ本体7は、
図1に示す水中ミキサ本体2と実質的に同じ構成である。水中ミキサ本体7は、羽根車71と、モータを収容するケーシング72と、ケーブル74と、係止部75と、取付部77(つまり、第2取付部)を備えている。尚、
図3に示す姿勢は、水中ミキサ本体7の基準姿勢に対して、上下を反転させた姿勢に相当する。そのため、ケーブル74及び係止部75はそれぞれ、ケーシング72の、
図3における下部に位置している。
【0051】
フレーム8は、スライダ取付部81(つまり、第4取付部)と、水中ミキサ取付部83(つまり、第3取付部)と、係止部84と、を備えている。水中ミキサ取付部83は、前述したフレーム3の水中ミキサ取付部33と同様に、ケーシング72の後端面に当接し、水中ミキサ本体7の取付部77に対して、ボルト・ナットを含む締結部材を使って、取り付けられる。係止部84は、水中ミキサ取付部83の後ろ側に設けられている。係止部84には、第1係止部841、第2係止部842、及び、第3係止部843が、上下方向に並んで設けられている。第1係止部841は、フレーム8が水中ミキサ本体7に取り付けられた状態において、モータの回転軸上に位置している。第2係止部842は、フレーム8が水中ミキサ本体7に取り付けられた状態において、モータの回転軸に対して上方に位置がずれており、第3係止部843は、フレーム8が水中ミキサ本体7に取り付けられた状態において、モータの回転軸に対して、第2係止部842よりも上方に位置がずれている。
【0052】
スライダ取付部81は、水中ミキサ取付部83に隣接して設けられている。スライダ取付部81は、モータの回転軸に対して傾いた方向に伸びる取付面811を有している。スライダ取付部81は、ボルト・ナットを含む締結部材を利用して、可変スライダ43に取り付けられる。
【0053】
第2実施形態に係る水中ミキサ6が取り付けられるスライダ43は、
図4又は
図5に示すように、昇降ガイド51に対する取付角度を変更可能な可変スライダ43である。より詳細に、可変スライダ43は、
図4(a)に示すように、昇降ガイド51の前側に位置する前壁432と、昇降ガイド51の左右両側(つまり、
図4の紙面に直交する左右方向の両側)それぞれに位置する一対の側壁部433と、側壁部433の上端部に設けられた上ガイドローラ434と、下端部に設けられた下ガイドローラ435と、を備えている。
【0054】
図4は、可変スライダ43の取付部431に、水中ミキサ本体7の取付部77が取り付けられた場合を例示している。
図4(a)は、上ガイドローラ434が、昇降ガイド51の前側に位置し、下ガイドローラ435が、昇降ガイド51の後側に位置している。この場合、可変スライダ43は、昇降ガイド51に対して下向きに傾いて取り付けられ、水中ミキサ本体7もまた、モータの回転軸が斜め下向きとなった姿勢で、水槽内に設置される。吊り下げチェーン26は、水中ミキサ本体7に設けられた係止部75の内、第1係止部751に係止される。
【0055】
図4(b)は、上ガイドローラ434及び下ガイドローラ435が共に、昇降ガイド51の後側に位置している。この場合、可変スライダ43は、昇降ガイド51に沿う向きに取り付けられ、水中ミキサ本体7は、モータの回転軸が水平方向を向く姿勢で、水槽内に設置される。吊り下げチェーン26は、水中ミキサ本体7に設けられた係止部75の内、第2係止部752に係止される。
【0056】
図4(c)は、下ガイドローラ435が、昇降ガイド51の前側に位置し、上ガイドローラ434が、昇降ガイド51の後側に位置している。この場合、可変スライダ43は、昇降ガイド51に対して上向きに傾いて取り付けられ、水中ミキサ本体7もまた、モータの回転軸が斜め上向きとなった姿勢で、水槽内に設置される。吊り下げチェーン26は、水中ミキサ本体7に設けられた係止部75の内、第3係止部753に係止される。尚、係止部75には、第1係止部751、第2係止部752及び第3係止部753が、水平方向に並んで設けられている。
【0057】
図4に示すように、可変スライダ43の取付部431に、水中ミキサ本体7の取付部77が取り付けられた場合、水中ミキサ本体7は、モータの回転軸が水平方向に伸びた姿勢を0°とした場合(
図4(b))に、水中ミキサ本体7の姿勢を、-20°(
図4(a))及び+20°(
図4(c))に変更して、設置することができる。
【0058】
図5は、可変スライダ43の取付部431に、フレーム8のスライダ取付部81が取り付けられた場合を例示している。
図5(a)は、
図4(a)と同様に、可変スライダ43が、昇降ガイド51に対して下向きに傾いて取り付けられている。水中ミキサ本体7は、モータの回転軸が、真下に伸びる姿勢で、水槽内に設置される。吊り下げチェーン26は、フレーム8に設けられた係止部84の内、第1係止部841に係止される。
【0059】
図5(b)は、
図4(b)と同様に、可変スライダ43は、昇降ガイド51に沿う向きに取り付けられ、水中ミキサ本体7は、モータの回転軸が真下に対して斜めに傾いた姿勢で、水槽内に設置される。吊り下げチェーン26は、フレーム8に設けられた係止部84の内、第2係止部842に係止される。
【0060】
図5(c)は、
図4(c)と同様に、可変スライダ43は、昇降ガイド51に対して上向きに傾いて取り付けられ、水中ミキサ本体7は、モータの回転軸が、
図5(b)の場合よりもさらに角度が浅くなった姿勢で、水槽内に設置される。吊り下げチェーン26は、フレーム8に設けられた係止部84の内、第3係止部843に係止される。
【0061】
図5に示すように、可変スライダ43の取付部431に、フレーム8の水中ミキサ取付部81が取り付けられた場合、水中ミキサ本体7は、モータの回転軸が水平方向に伸びた姿勢を0°とした場合に、水中ミキサ本体7の姿勢を、-90°(
図5(a))、-70°(
図5(b))及び-50°(
図5(c))に変更して、設置することができる。
【0062】
従って、水中ミキサ6は、フレーム8と、可変スライダ43とを組み合わせた簡易な構造で、真下、斜め下向き、横向き、又は、斜め上向きの、様々な向きに設置することができる。この構成においても、水中ミキサ本体7の改造は不要である。
【0063】
尚、変形例として、フレーム8に、複数のスライダ取付部を設けてもよい。こうすることで、水中ミキサ本体7の姿勢を、さらに細かく変更できる。
【0064】
また、フレーム3、8には、3以上のスライダ取付部を設けてもよい。フレームのスライダ取付部の一つは、モータの回転軸が水平方向となるように、水中ミキサ本体をスライダに対して取り付けるよう構成してもよい。
【0065】
さらに、フレームの水中ミキサ取付部は、水中ミキサ本体の、スライダ用の取付部27、77に取り付ける構成に限らない。水中ミキサ本体は、スライダ用の取付部27、77とは別に、フレーム用の取付部を有してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 水中ミキサ
2 水中ミキサ本体
26 吊り下げチェーン
27 取付部(第2取付部)
3 フレーム
31 第1スライダ取付部(第4取付部)
32 第2スライダ取付部(第5取付部)
33 水中ミキサ取付部(第3取付部)
34 係止部
41 スライダ
411 取付部(第1取付部)
43 可変スライダ
431 取付部(第1取付部)
5 昇降ガイド
6 水中ミキサ
7 水中ミキサ本体
77 取付部(第2取付部)
8 フレーム
81 スライダ取付部(第4取付部)
83 水中ミキサ取付部(第3取付部)
84 係止部