(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
F24D 3/00 20220101AFI20241031BHJP
F24D 3/18 20060101ALI20241031BHJP
F24D 5/12 20060101ALI20241031BHJP
F24F 11/41 20180101ALI20241031BHJP
F24F 11/80 20180101ALI20241031BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20241031BHJP
F24F 140/20 20180101ALN20241031BHJP
【FI】
F24D3/00 S
F24D3/00 J
F24D3/18
F24D5/12
F24F11/41
F24F11/80
F24F110:12
F24F140:20
(21)【出願番号】P 2021188395
(22)【出願日】2021-11-19
【審査請求日】2024-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】下司 大弥
(72)【発明者】
【氏名】川上 岳彦
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-046692(JP,A)
【文献】特開2018-066502(JP,A)
【文献】特開2006-046700(JP,A)
【文献】特開2003-172523(JP,A)
【文献】特開2021-071250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 3/00 - 5/12
F24F 11/00 - 11/89
F25B 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調対象空間の室内空気と冷媒との熱交換を行う室内熱交換器を備えた室内機と、
前記空調対象空間の床面を加温する熱交換端末と、
冷媒通路と水通路とを備え、前記冷媒通路内の前記冷媒と前記水通路内の水との熱交換を行う水冷媒熱交換器、前記冷媒と外気との熱交換を行う空気熱交換器、及び、圧縮機を備えた室外機と、
を有し、
外気温度を検知する外気温検知手段と、前記空気熱交換器の温度を検出する空気熱交換器温度検出手段とを備え、
前記水冷媒熱交換器の前記水通路と前記熱交換端末とを湯水配管によって環状に接続して湯水循環回路を形成し、前記室内熱交換器、前記水冷媒熱交換器の前記冷媒通路、前記空気熱交換器、及び、前記圧縮機を冷媒配管で接続して冷媒循環回路を形成して、前記室内機により室内空気を加熱する温風暖房運転と前記熱交換端末により前記床面を加温する床暖房運転との連動運転を実行可能な空調システムにおいて、
前記外気温度と前記空気熱交換器の温度との差に応じて、前記空気熱交換器の着霜を判断し、前記空気熱交換器に着霜が生じた場合、前記空気熱交換器に生じた着霜を解消する除霜運転を行い、前記除霜運転の前に、前記室内機により室内空気を蓄熱対象とし、この蓄熱対象の温度を所定温度上昇させる第一の蓄熱運転と、前記熱交換端末を循環する湯水を蓄熱対象とし、この蓄熱対象の温度を所定温度上昇させる第二の蓄熱運転と、の二種の蓄熱運転を共に行う併用蓄熱運転を行う事を特徴とする空調システム。
【請求項2】
前記第一の蓄熱運転のみの蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を行う際に蓄熱対象の温度を上昇させる温度である第一所定温度よりも、前記併用蓄熱運転を行う際に前記第一の蓄熱運転の蓄熱対象の温度を上昇させる温度である第二所定温度を小さい値とし、及び/又は、前記第二の蓄熱運転のみの蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を行う際に蓄熱対象の温度を上昇させる温度である第三所定温度よりも、前記併用蓄熱運転を行う際に前記第二の蓄熱運転の蓄熱対象の温度を上昇させる温度である第四所定温度を小さい値とした事を特徴とする請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記第一の蓄熱運転と前記第二の蓄熱運転とのうち、少なくとも一方が行われる蓄熱運転が開始されてから、前記蓄熱運転が終了し、前記除霜運転を開始するまでの時間である蓄熱時間は、前記第一の蓄熱運転と前記第二の蓄熱運転とのうち、何れか一方のみの蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を行う際の蓄熱時間である第一蓄熱時間よりも、前記併用蓄熱運転を行う際の蓄熱時間である第二蓄熱時間を短い時間とした事を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記第一の蓄熱運転のみの蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を行う際に蓄熱対象の温度を上昇させる温度である第一所定温度と、前記併用蓄熱運転を行う際に前記第一の蓄熱運転の蓄熱対象の温度を上昇させる温度である第二所定温度と、前記第二の蓄熱運転のみの蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を行う際に蓄熱対象の温度を上昇させる温度である第三所定温度と、前記併用蓄熱運転を行う際に前記第二の蓄熱運転の蓄熱対象の温度を上昇させる温度である第四所定温度と、を有し、前記第一所定温度と、前記第二所定温度と、前記第三所定温度と、前記第四所定温度と、のうち少なくとも何れか一つは、暖房運転時の蓄熱対象の目標温度から蓄熱運転開始時の前記蓄熱対象の温度を引いて算出される蓄熱温度係数に応じて決定され、この前記蓄熱温度係数が大きいほど、高い値となるように決定される事を特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の空調システム。
【請求項5】
前記蓄熱運転は、前記空気熱交換器の温度から前記外気温度を引いて算出される温度差に応じて前記蓄熱運転の開始が判断され、前記第一の蓄熱運転と前記第二の蓄熱運転とのうち、何れか一方のみの前記蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を開始する温度差である第一温度差よりも、前記併用蓄熱運転を開始する温度差である第二温度差を大きい値とした事を特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、室内機の温風暖房運転と熱交換端末の床暖房運転との連動運転を行う空調システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気熱交換器についた霜を取り除く除霜運転を行うもので、除霜運転の前には除霜前運転を行い、予め室温を上げておくことで暖房感の喪失が防止されるものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来のものにおいては、除霜前運転を行う事で予め室温を上げるように制御される。しかしながら、除霜時の暖房感喪失を防止するために、室温のみを上昇させた際に、室温が上昇しすぎてしまい、暑さを感じたり、また、室温が大きく上昇すると相対湿度が低下するため、部屋が乾燥してしまい、快適性を損ねる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、空調対象空間の室内空気と冷媒との熱交換を行う室内熱交換器を備えた室内機と、前記空調対象空間の床面を加温する熱交換端末と、冷媒通路と水通路とを備え、前記冷媒通路内の前記冷媒と前記水通路内の水との熱交換を行う水冷媒熱交換器、前記冷媒と外気との熱交換を行う空気熱交換器、及び、圧縮機を備えた室外機と、を有し、外気温度を検知する外気温検知手段と、前記空気熱交換器の温度を検出する空気熱交換器温度検出手段とを備え、前記水冷媒熱交換器の前記水通路と前記熱交換端末とを湯水配管によって環状に接続して湯水循環回路を形成し、前記室内熱交換器、前記水冷媒熱交換器の前記冷媒通路、前記空気熱交換器、及び、前記圧縮機を冷媒配管で接続して冷媒循環回路を形成して、前記室内機により室内空気を加熱する温風暖房運転と前記熱交換端末により前記床面を加温する床暖房運転との連動運転を実行可能な空調システムにおいて、前記外気温度と前記空気熱交換器の温度との差に応じて、前記空気熱交換器の着霜を判断し、前記空気熱交換器に着霜が生じた場合、前記空気熱交換器に生じた着霜を解消する除霜運転を行い、前記除霜運転の前に、前記室内機により室内空気を蓄熱対象とし、この蓄熱対象の温度を所定温度上昇させる第一の蓄熱運転と、前記熱交換端末を循環する前記湯水を蓄熱対象とし、この蓄熱対象の温度を所定温度上昇させる第二の蓄熱運転と、の二種の蓄熱運転を共に行う併用蓄熱運転を行うものである。
【0006】
また、請求項2では、前記蓄熱運転は、前記第一の蓄熱運転のみの蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を行う際に蓄熱対象の温度を上昇させる温度である第一所定温度よりも、前記併用蓄熱運転を行う際に前記第一の蓄熱運転の蓄熱対象の温度を上昇させる温度である第二所定温度を小さい値とし、及び/又は、前記第二の蓄熱運転のみの蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を行う際に蓄熱対象の温度を上昇させる温度である第三所定温度よりも、前記併用蓄熱運転を行う際に前記第二の蓄熱運転の蓄熱対象の温度を上昇させる温度である第四所定温度を小さい値としたものである。
【0007】
また、請求項3では、前記第一の蓄熱運転と前記第二の蓄熱運転とのうち、少なくとも一方が行われる前記蓄熱運転が開始されてから、前記蓄熱運転が終了し、前記除霜運転を開始するまでの時間である蓄熱時間は、前記第一の蓄熱運転と前記第二の蓄熱運転とのうち、何れか一方のみの蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を行う際の蓄熱時間である第一蓄熱時間よりも、前記併用蓄熱運転を行う際の蓄熱時間である第二蓄熱時間を短い時間としたものである。
【0008】
また、請求項4では、前記第一の蓄熱運転のみの蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を行う際に蓄熱対象の温度を上昇させる温度である第一所定温度と、前記併用蓄熱運転を行う際に前記第一の蓄熱運転の蓄熱対象の温度を上昇させる温度である第二所定温度と、前記第二の蓄熱運転のみの蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を行う際に蓄熱対象の温度を上昇させる温度である第三所定温度と、前記併用蓄熱運転を行う際に前記第二の蓄熱運転の蓄熱対象の温度を上昇させる温度である第四所定温度と、を有し、前記第一所定温度と、前記第二所定温度と、前記第三所定温度と、前記第四所定温度と、のうち少なくとも何れか一つは、暖房運転時の前記蓄熱対象の目標温度から蓄熱運転開始時の前記蓄熱対象の温度を引いて算出される蓄熱温度係数に応じて決定され、この前記蓄熱温度係数が大きいほど、高い値となるように決定されるものである。
【0009】
また、請求項5では、前記蓄熱運転は、前記空気熱交換器の温度から前記外気温度を引いて算出される温度差に応じて前記蓄熱運転の開始が判断され、前記第一の蓄熱運転と前記第二の蓄熱運転とのうち、何れか一方のみの前記蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を開始する温度差である第一温度差よりも、前記併用蓄熱運転を開始する温度差である第二温度差を大きい値としたものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明の請求項1によれば、除霜運転前に、室内機により室内空気を蓄熱対象とし、この蓄熱対象の温度を所定温度上昇させる第一の蓄熱運転と、熱交換端末を循環する湯水を蓄熱対象とし、この蓄熱対象の温度を所定温度上昇させる第二の蓄熱運転と、の二種の蓄熱運転を共に行う併用蓄熱運転が行われる。
これにより、複数の蓄熱対象に分散して蓄熱する事ができるため、暖房感を損ねる事無く快適性を維持する事ができる。
【0011】
また、請求項2によれば、第一所定温度よりも、第二所定温度を小さい値とし、及び/又は、第三所定温度よりも、第四所定温度を小さい値としたことで、複数の蓄熱対象に分散して蓄熱する際に、蓄熱対象の温度を上昇させすぎる事が無く快適性を維持する事ができる。
【0012】
また、請求項3によれば、蓄熱時間を、第一蓄熱時間よりも、第二蓄熱時間を短い時間としたことで、複数の蓄熱対象に分散して蓄熱する際に、蓄熱対象の温度を上昇させすぎる事が無く快適性を維持する事ができる。
【0013】
また、請求項4によれば、第一所定温度と、第二所定温度と、第三所定温度と、第四所定温度と、のうち少なくとも何れか一つは、暖房運転時の蓄熱対象の目標温度から蓄熱運転開始時の蓄熱対象の温度を引いて算出される蓄熱温度係数に応じて決定され、この蓄熱温度係数が大きいほど、高い値となるように決定されることで、蓄熱対象の温度を上昇させすぎる事が無く快適性を維持する事ができる。
【0014】
また、請求項5によれば、蓄熱運転は空気熱交換器の温度から外気温度を引いて算出される温度差に応じて蓄熱運転の開始が判断され、第一の蓄熱運転と第二の蓄熱運転とのうち、何れか一方のみの蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を開始する温度差である第一温度差よりも、併用蓄熱運転を開始する温度差である第二温度差を大きい値としたことで、適切なタイミングで蓄熱運転を開始する事ができるため、蓄熱対象の温度を上昇させすぎる事が無くさらに、蓄熱対象の温度の上昇が不足する事が無いため、快適性を維持する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の空調システム全体の回路構成図
【
図6】温風暖房運転時の蓄熱運転の作動を説明するフローチャート
【
図7】床暖房運転時の蓄熱運転の作動を説明するフローチャート
【
図8】本発明の一実施形態の連動運転時の蓄熱運転の作動を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を
図1~
図8に基づいて説明する。
【0017】
本実施形態の空調システム1全体の回路構成を
図1に示す。
図1に示すように、空調システム1は、空調システム1の熱源である室外機4と、室内機17と、熱交換端末27と、を有している。本実施形態では、熱交換端末27は、室内機17が設けられた部屋と同一の部屋の床に敷設されており、室内機17と熱交換端末27は同じ部屋の室内(空調対象空間)に併設されている。
【0018】
<加熱循環回路>
室外機4は、冷媒を流通させる冷媒通路としての冷媒側の流路7bと水通路としての水側の流路7aとを有し、高温高圧の冷媒と熱交換端末27への湯水とを熱交換する凝縮器として機能する水冷媒熱交換器7と、回転数可変の循環ポンプ34と、を備えている。すなわち、水冷媒熱交換器7の水側の流路7aと熱交換端末27とが湯水配管としての往き管28(往き管路に相当)及び戻り管29(戻り管路に相当)によって環状に接続され、湯水循環回路としての加熱循環回路33が形成されている。
【0019】
水冷媒熱交換器7から熱交換端末27に向かって延びる往き管28の途中には、1つの往きヘッダ30が設けられている。往き管28のうち往きヘッダ30より上流側部分は、1つの共通往き管28aとして構成され、水冷媒熱交換器7にて加熱された温水(不凍液等を含む水以外の循環液であってもよい。以下同様)が供給される。そして、往き管28のうち往きヘッダ30より下流側部分は複数(図示の例では4本)の個別往き管28bに分岐している。分岐した個別往き管28bには、それぞれ開閉弁である熱動弁31が付設されている。
【0020】
往き管28と同様に、熱交換端末27から水冷媒熱交換器7に向かって延びる戻り管29の途中には、1つの戻りヘッダ32が設けられており、戻り管29のうち戻りヘッダ32より上流側部分は、複数(ここでは4本)の個別戻り管29bに分岐している。そして、戻り管29のうち戻りヘッダ32より下流側部分は、1つの共通戻り管29aとして構成され、個別戻り管29bを介して導入された温水が水冷媒熱交換器7へと戻される。
【0021】
なお、本実施形態では、説明を簡略化するため、1つの熱交換端末27が接続された例を示しているが、上記のように分岐した4本の個別往き管28bそれぞれに熱交換端末27を接続(すなわち4台接続)としてもよい。
【0022】
循環ポンプ34は、共通戻り管29aの途中に設けられ、水側の流路7aを介し戻り管29からの湯水を往き管28へ流通させつつ、熱交換端末27の湯水を循環させる。共通戻り管29aのうち循環ポンプ34の上流側には、温水を貯留し加熱循環回路33の圧力を調整するシスターン35が備えられている。戻り管29の個別戻り管29bのそれぞれには、水冷媒熱交換器7の水側の流路7aに流入する湯水の戻り温度としての入水温度T1を検出する、入水温度センサ123(戻り温度検出手段に相当)が設けられている。
【0023】
<冷媒循環回路>
一方、室外機4から室内機17にかけて、水冷媒熱交換器7における熱交換(詳細は後述)によって熱交換端末27内の湯水を加熱可能な冷媒循環回路130が設けられている。冷媒循環回路130は、主ヒートポンプ回路部130Aと、床暖側ヒートポンプ回路部130Bと、空調側ヒートポンプ回路部130Cと、を含んでいる。
【0024】
<主ヒートポンプ回路部>
主ヒートポンプ回路部130Aは、冷媒の流路となる冷媒配管11を備えており、冷媒を圧縮する圧縮機5と、四方弁6と、冷媒と外気との熱交換により凝縮器又は蒸発器として選択的に機能する空気熱交換器10とを有する。それらは、冷媒配管11によって接続されている。なお、空気熱交換器10は、例えばフィンチューブ式の熱交換器であり、当該空気熱交換器10に外気を通じるための室外ファン9が設けられている。
【0025】
詳細には、冷媒配管11は、圧縮機5の吐出側となる配管部11aと、床暖房運転時(後述の
図3等参照)等において四方弁6を介し配管部11aに接続される配管部11bとを含んでいる。
【0026】
また冷媒配管11は、圧縮機5の吸入側となる配管部11cを含んでいる。さらに、冷媒配管11は、床暖房運転時(後述の
図3参照)等において空気熱交換器10の圧縮機5側(言い替えれば床暖房運転時等における出口側、以下同様、後述の
図3等参照)を四方弁6を介し配管部11cに接続する配管部11dを含んでいる。さらに、冷媒配管11は、空気熱交換器10の反圧縮機5側(言い替えれば床暖房運転時等における入口側、以下同様、後述の
図3等参照)に接続される配管部11eとを含んでいる。
【0027】
四方弁6は4つのポートを備える弁であり、冷媒配管11のうち(冷媒主経路を構成する)配管部11b,11d用の2つのポートのそれぞれに対して、残りの配管部11a,11c用の2つのポートの何れを接続するかを切り替える。配管部11a,11c用の2つのポートどうしは、ループ状に配置された配管部11a,11cからなる冷媒副経路によって接続されており、この冷媒副経路上に圧縮機5が設けられている。例えば四方弁6は、後述する
図3の状態に切り替えられた場合は、圧縮機5の吐出側である配管部11aを水冷媒熱交換器7の入口側である配管部11bに連通させる。その一方、後述する冷風冷房運転の実行時は、配管部11aを空気熱交換器10側である配管部11dに連通させる。外気温検知手段としての外気温度センサ12は空気熱交換器10に設けられ、外気温度を検出する。空気熱交換器温度検出手段としての冷媒温度センサ13は空気熱交換器10から圧縮機5までの配管部11dに設けられ、空気熱交換器10の出口側の冷媒の温度を検出する。
【0028】
<床暖側ヒートポンプ回路部>
床暖側ヒートポンプ回路部130Bは、冷媒の流路となる冷媒配管125を備えており、水冷媒熱交換器7の冷媒側の流路7bが、冷媒配管125に接続されている。
【0029】
詳細には、冷媒配管125は、配管部11bから分岐して接続される。それと共に、冷媒配管125は、反配管部11b側が水冷媒熱交換器7(詳細には冷媒側の流路7b)の入口側に接続される配管部125bと、水冷媒熱交換器7(詳細には冷媒側の流路7b)の出口側に接続される配管部125cとを含んでいる。配管部125cは、全閉機能付きの膨張弁8を備えており、膨張弁8より下流側で、配管部11eに連通している。
【0030】
<空調側ヒートポンプ回路部>
空調側ヒートポンプ回路部130Cは、冷媒の流路となる冷媒配管126を備えており、冷媒と室内空気との熱交換により凝縮器又は蒸発器として選択的に機能する室内熱交換器14が冷媒配管126に接続されている。室内熱交換器14には、室内熱交換器14に室内空気を通じるための室内ファン18が設けられている。室内ファン18の作動により送られる室内空気が室内熱交換器14にて熱交換され、熱交換により加熱又は冷却された空気が室内に供給される。
【0031】
空調側ヒートポンプ回路部130Cにおいて、詳細には、冷媒配管126は、配管部125b同様、配管部11bから分岐して接続される。それと共に、冷媒配管126は、反配管部11b側が室内熱交換器14の温風暖房運転時等における入口側(後述の
図4等参照)に接続される配管部126aと、配管部125cと同様に一方側が配管部11eに連通する。それと共に、冷媒配管126は、反配管部11e側が室内熱交換器14の温風暖房運転時等における出口側(後述の
図4等参照)に接続される配管部126bと、を含んでいる。配管部126aは、配管部11bと室内熱交換器14との間の連通を開閉可能な二方弁16を備えており、配管部126bは、全閉機能付きの膨張弁15を備えている。二方弁16は、空調側ヒートポンプ回路部130Cを循環する冷媒の流れを、開弁することで流通可能状態とし、また、閉弁することで遮断状態とする。
【0032】
なお、圧縮機5、四方弁6、空気熱交換器10、室外ファン9、二方弁16、膨張弁8,15、水冷媒熱交換器7等は、室外機4に設けられている(
図1の破線参照)。
【0033】
<冷媒・各種検出信号等>
冷媒循環回路130内には、冷媒として例えばHFC冷媒や二酸化炭素冷媒等の任意の冷媒が用いられ、ヒートポンプサイクルを構成している。そして、主ヒートポンプ回路部130Aの冷媒配管11において、配管部11aには、圧縮機5から吐出される冷媒吐出温度Toutを検出する吐出温度センサ120が設けられている。この吐出温度センサ120の検出結果は、室外機4に設けられた室外機制御部44に入力される。室外機制御部44は、主にCPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータで構成され、後述のように室外機4内の各種センサ、室内機制御部20、床暖房リモコン36等からの信号を受けて、空調システム1の動作を制御する。
【0034】
また、空調側ヒートポンプ回路部130Cの冷媒配管126に関して、室内熱交換器14には、空調対象空間の室内温度Trを検出する室内温度センサ19が設けられている。この室内温度センサ19の検出結果は、室内機17に設けられた室内機制御部20に入力され、さらに適宜、室外機4に設けられた室外機制御部44へも入力される(室内機制御部20を介し受信しても良いし、室内温度センサ19から直接受信してもよい)。
【0035】
そして、室外機4の室外機制御部44と、室内機17の室内機制御部20とは、互いに通信可能に接続されており、各センサの検出結果に基づき、相互に連携しつつ、室外機4内の各機器・アクチュエータの動作を制御する。特に、室内機制御部20は、四方弁6、二方弁16、及び膨張弁8,15の開閉動作や開度を制御することで、室内機制御部20は、冷媒の流れる経路を切り替える。このことにより、室内機制御部20は、熱交換端末27により空調対象空間の床面を加温する床暖房運転を行う。それと共に、室内機制御部20は、室内機17により空調対象空間の室内空気を加熱する温風暖房運転を行う。それと共に、室内機制御部20は、床暖房運転と温風暖房運転とを互いに連動して行う連動運転(詳細は後述)を行う。それと共に、室内機制御部20は、室内機17により空調対象空間の室内空気を冷却する冷風冷房運転を行う。また室内機制御部20は、それらの運転を選択的に実行することができる。
【0036】
<室内機リモコン>
ここで、室内機17は、この例ではワイヤレスリモコンとして構成される室内機リモコン21によって操作可能である。すなわち、この室内機リモコン21の送信部(図示せず)と室内機制御部20の受信部(図示せず)とは、赤外線等により無線通信を行い、室内機リモコン21の送信部から室内機制御部20の受信部への一方向通信により情報の伝達を行う。室内機リモコン21の送信部より発信された信号は、室内機制御部20の受信部で受信され、室内機制御部20は、室内機リモコン21から送られてきた情報を読み取り、指示された制御を行う。なお、室内機制御部20は、室外機制御部44との間で制御信号S11のやり取りを行い双方向通信により情報の伝達を行うことができる。さらに、室外機制御部44は、室内機リモコン21から送信される制御信号S1に対応する情報も室内機制御部20を介して取得可能である。
【0037】
室内機リモコン21は、室内機17に対して、室内に温風を供給する温風暖房運転を実行させる暖房スイッチ22を備えている。さらに、室内機リモコン21は、室内機17に対して、室内に冷風を供給する冷風冷房運転を実行させる冷房スイッチ23を備えている。さらに、室内機リモコン21は、温風暖房運転又は冷風冷房運転を停止させる停止スイッチ24を備えている。さらに、室内機リモコン21は、温風暖房運転又は冷風冷房運転時に室内温度を設定する、すなわちエアコン設定温度Tconを設定するための室内温度設定スイッチ25を備えている。さらに、室内機リモコン21は、エアコン設定温度Tconや各種運転状態を表示する表示部26と、室内機17に対しタイマーによる運転を指示するためのタイマースイッチ45と、を備えている。
【0038】
暖房スイッチ22が操作され温風暖房運転が実行されているとき、又は冷房スイッチ23が操作され冷風冷房運転が実行されているときは、表示部26にはエアコン設定温度Tconや運転状態等が表示されている。また、停止スイッチ24が操作され温風暖房運転又は冷風冷房運転が停止されたときは、表示部26のエアコン設定温度Tconや運転状態に関する表示は消え、非表示状態となる。
【0039】
<床暖房リモコン>
また、熱交換端末27は、この例ではワイヤードリモコンとして室内の壁面に取り付けられる、床暖房リモコン36によって操作可能である。床暖房リモコン36は、室外機制御部44との間で制御信号S2のやり取りを行い双方向通信によりの情報の伝達を行うことができる。これにより、床暖房リモコン36は、室内機17の作動情報(運転中か停止中かなど)を取得可能である。
【0040】
<床暖房リモコンの詳細>
図2に示すように、床暖房リモコン36は、表示部37と、熱交換端末27の運転開始・停止を指示するための運転/停止スイッチ38と、熱交換端末27に対しタイマーによる運転を指示するためのタイマースイッチ39と、が備えられている。また、床暖房リモコン36は、熱交換端末27の運転態様(通常モード・セーブモード等)の切替を指示する運転切替スイッチ40と、画面表示を1つ前の画面に戻すための戻るスイッチ41と、メニュー/決定スイッチ42と、が備えられている。また、床暖房リモコン36は、上下左右方向への十字キー43と、が備えられている。また、図示を省略しているが、床暖房リモコン36には、熱交換端末27の動作制御や、各種の表示を行うための、CPUや記憶手段としてのメモリ等が内蔵されている。
【0041】
表示部37は、CPUの制御により、複数の設定画面(後述の設定画面100~101)を切替可能に表示することができる。すなわち、表示部37は、
図2(a)に示す例では、空調システム1全体に係わる設定を行うための設定画面100を表示している。また、
図2(b)に示す例では、表示部37は、室内に設けられた熱交換端末27の運転開始・停止設定を含む、熱交換端末27に係わる設定を行うための設定画面101を表示している。
【0042】
このとき、表示部37に表示される各設定画面100~101の上部の右端寄りには、設定画面100を選択するための、「メイン」表記のタブTMが上方へ突出するように設けられている。また、各設定画面100~101の設定画面100~101上部の左端には、設定画面101を選択するための「A」表記のタブTAが設けられている。十字キー43等を介し、タブTM、TAの何れかを操作することにより、操作されたタブTM、TAを備えた設定画面100~101を表示することができる。
【0043】
<床暖房運転>
まず、
図3を用いて、床暖房運転について説明する。この
図3に示す床暖房運転時においては、四方弁制御部44Aにより、四方弁6は、配管部11aを配管部11bに連通させると共に配管部11cを配管部11dに連通させる位置に切り替えられる。また二方弁制御部44Fにより、二方弁16が閉じ状態に切り替えられる。さらに膨張弁制御部44Cにより膨張弁8が開き状態かつ膨張弁15が全閉状態に制御される。
【0044】
この結果、圧縮機5の吐出側の配管部11a→配管部11b→配管部125b→水冷媒熱交換器7の冷媒側の流路7b→配管部125c(膨張弁8)→配管部11e→空気熱交換器10→配管部11d→圧縮機5の吸入側の配管部11cの冷媒経路が形成される。これにより、凝縮器として機能する水冷媒熱交換器7において、冷媒側の流路7bを流れる冷媒からの熱で水側の流路7aを流れる水が加熱され、熱交換端末27内へ高温水(加熱水)が供給され、空調対象空間の床面を加温する。
【0045】
<温風暖房運転>
次に、
図4を用いて、温風暖房運転について説明する。この
図4に示す温風暖房運転時においては、四方弁制御部44Aにより、四方弁6は、床暖房運転と同じ側に切り替えられる。また二方弁制御部44Fにより、二方弁16が開き状態に切り替えられる。さらに膨張弁制御部44Cにより膨張弁8が全閉状態かつ膨張弁15が開き状態に制御される。
【0046】
この結果、圧縮機5の吐出側の配管部11a→配管部11b→配管部126a→室内機17の室内熱交換器14→配管部126b(膨張弁15)→配管部11e→空気熱交換器10→配管部11d→圧縮機5の吸入側の配管部11cの冷媒経路が形成される。これにより、凝縮器として機能する室内熱交換器14において冷媒が室内空気と熱交換して熱を放出し、空調対象空間の空気を加熱する。
【0047】
<リモコンによる連動運転の実行可否の設定>
前記したように、本実施形態では、室内機17による温風暖房運転と熱交換端末27による床暖房運転とを共に連動して運転する連動運転を実行することができ、床暖房リモコン36によって連動運転を行うか否かを設定することができる。
【0048】
<連動運転>
前記のようにして実行される連動運転(但し、詳細には後述の「立上げ運転2」の状態である)を、
図5を用いて説明する。この連動運転時においても、四方弁制御部44Aにより、四方弁6は、床暖房運転と同じ側に切り替えられる。また、二方弁制御部44Fにより、二方弁16が開き状態に切り替えられる。さらに膨張弁制御部44Cにより膨張弁8及び膨張弁15が開き状態(詳細には後述の吐出制御が行われている)に制御される。
【0049】
この結果、冷媒経路は、圧縮機5の吐出側の配管部11a→配管部11bを経て2つに分かれる。この一方は、配管部125b→水冷媒熱交換器7の冷媒側の流路7b→配管部125c(膨張弁8)を経て配管部11eに至る。また、この他方は、配管部126a→室内熱交換器14→配管部126b(膨張弁15)を経て配管部11eへと合流する。その後の経路は、配管部11e→空気熱交換器10→配管部11d→圧縮機5の吸入側の配管部11cとなる。
【0050】
これにより、水冷媒熱交換器7における水側の流路7aの水の加熱による熱交換端末27の床暖房運転と、室内熱交換器14からの熱の放出による室内機17の温風暖房運転とが並行して実行される。
【0051】
<温風暖房運転時の除霜運転>
次に、温風暖房運転時の除霜運転について説明する。温風暖房運転時の除霜運転は、温風暖房運転時と逆方向に冷媒を循環させる形態(いわゆる逆サイクル除霜)である。圧縮機5から吐出された冷媒は、空気熱交換器10を介して膨張弁8を通過し、水冷媒熱交換器7に供給されて空気熱交換器10に発生した霜を溶かす。
【0052】
なお、除霜運転は、先に説明してきた除霜開始条件が成立したか否かを除霜制御部44Gが判断して、除霜開始条件が成立したと判断したら除霜運転が開始される。除霜運転の完了は、所定の除霜終了条件が成立したか否かを除霜制御部44Gが判断して、除霜開始条件が成立したと判断したら、除霜運転の完了となる。除霜終了条件は、例えば、冷媒温度センサ13で検出される空気熱交換器10の出口側の冷媒の温度が、予め設定された除霜終了温度(例えば、5℃)に達することである。
【0053】
除霜運転が開始されると、除霜制御部44Gから圧縮機制御部44Bに除霜運転中である旨の信号が出力され、圧縮機制御部44Bは、その信号を受け、圧縮機5を予め設定された除霜時回転数(一定回転数)で制御する。なお、ここでは、除霜制御部44Gからの指示に基づき圧縮機制御部44Bが圧縮機5の回転数を制御するようにしているが、除霜運転時において、除霜制御部44Gが、直接、圧縮機5の回転数を制御するようにしても、同様の制御を実施することができる。
【0054】
また、除霜運転が開始されると、除霜制御部44Gから膨張弁制御部44Cに除霜運転中である旨の信号が出力される。膨張弁制御部44Cは、その信号を受け、膨張弁8を温風暖房運転時の開度よりも大きい所定の開度(例えば全開)まで拡大させ、膨張弁8を通過する冷媒が膨張弁8で減圧されないようにする。なお、ここでは、除霜制御部44Gからの指示に基づき膨張弁制御部44Cが膨張弁8の開度を制御するようにしているが、除霜運転時において、除霜制御部44Gが、直接、膨張弁8の開度を制御するようにしても、同様の制御を実施することができる。なお、温風暖房運転時の除霜運転について、温風暖房運転時と逆方向に冷媒を循環させる形態(いわゆる逆サイクル除霜)を例に挙げて説明した。これによらず、温風暖房運転時の除霜運転は、温風暖房運転時と同方向に冷媒を循環させる形態(いわゆる正サイクル除霜)でもよい。その際、圧縮機5から吐出された冷媒は、水冷媒熱交換器7を介して、膨張弁8を通過し、空気熱交換器10に供給され、空気熱交換器10に発生した霜を溶かして圧縮機5に戻される。
【0055】
<温風暖房運転時の蓄熱運転>
次に温風暖房運転時の蓄熱運転について説明する。温風暖房運転時の蓄熱運転は、温風暖房運転時の除霜運転の前に行われ、除霜運転時に室温が低下してしまい、暖房感を損ねる事を防止する、室温を蓄熱対象とした第一の蓄熱運転が行われるものである。
【0056】
次に、連動運転時の蓄熱運転について説明し、ここでは、室内機17とによる温風暖房運転が行われる場面に基づいて説明を行う。蓄熱運転は、温風暖房運転時に所定の蓄熱運転開始条件が成立した場合に、室内機17を用いて強制暖房による、ユーザーが設定した設定温度より室温を上昇させる第一の蓄熱運転を行うものである。なお、蓄熱運転開始条件は、外気温度と空気熱交換器10の出口側の冷媒温度とに基づいて設定される条件である。すなわち、外気温度と空気熱交換器10の出口側の冷媒温度とから、じきに除霜運転が開始されると推測される条件(除霜開始条件が成立するよりも手前で成立する条件)である。
【0057】
温風暖房運転時、蓄熱制御部44Hは、蓄熱運転開始条件が成立したか否かを判断し、蓄熱運転開始条件が成立したと判断した場合、蓄熱運転を開始する。この蓄熱運転の開始と同時にカウント部44H1のカウントも開始される。蓄熱運転が開始されると、蓄熱制御部44Hから蓄熱運転中である旨の信号が出力される。目標室温決定部44Jは、その信号を受け、それまで設定されていた温風暖房運転時のエアコン設定温度Tconより高い第一所定温度としての蓄熱目標室温Ta1を新たな目標室温として設定する。また、室内空気の温度を上昇させる温度である、蓄熱目標室温Ta1は、蓄熱温度係数に応じて決定される。この蓄熱温度係数は、温風暖房運転時の目標室温から蓄熱運転開始時の室内空気の温度を引いて算出される。この蓄熱温度係数が大きいほど、蓄熱目標室温Ta1は、高い値となるように決定される。
【0058】
この時、圧縮機制御部44Bは、室内温度センサ19により検出される室内空気の温度が、目標室温決定部44Jにより設定された蓄熱目標室温Ta1になるように、圧縮機5の回転数を制御するものである。実際の動きとして、蓄熱運転開始直後は、目標室温がそれまで設定されていた温風暖房運転時の目標室温(エアコン設定温度Tcon)よりも高い温度である蓄熱目標室温Ta1に変更される。このことから、室内温度センサ19により検出される室内空気の温度と目標室温(蓄熱目標室温Ta1)との温度差が、蓄熱運転直前の温風暖房運転時よりも大きくなるので、圧縮機制御部44Bは、圧縮機5の回転数を増加させるようにする。そして、室内温度センサ19により検出される室内空気の温度が目標室温(蓄熱目標室温Ta1)に到達してきたら、室内温度センサ19により検出される室内空気の温度を目標室温に維持するために、圧縮機5の回転数を減少させるようにする。
【0059】
また、蓄熱運転が開始されると、蓄熱制御部44Hから蓄熱運転中である旨の信号が目標吐出温度設定部44Iにも出力される。目標吐出温度設定部44Iは、その信号を受けると、蓄熱運転を開始する直前の温風暖房運転時に設定されていた目標吐出温度を維持するよう制御する。すなわち、蓄熱運転時は、温風暖房運転時のように、目標室温(エアコン設定温度Tcon)に応じて目標吐出温度を変更するといった設定方法をとらない。また、蓄熱運転時は、目標室温が温風暖房運転時より高い所定の蓄熱目標室温Ta1に変更されたとしても、蓄熱運転を開始する直前の温風暖房運転時に設定されていた目標吐出温度をそのまま維持する。このことにより、蓄熱運転時は、蓄熱運転が終了するまでその目標吐出温度が維持される。
【0060】
このとき、目標吐出温度は、蓄熱運転を開始する直前の温風暖房運転時に設定されていたものが、そのまま維持される。このため、膨張弁制御部44Cは、膨張弁8と、膨張弁15と、の開度を大きく変更することはなく、蓄熱運転開始直後は蓄熱運転を開始する直前の温風暖房運転時の開度を維持する。蓄熱運転中、圧縮機5から吐出される冷媒の温度は多少の高低はあれども、目標吐出温度は蓄熱運転を開始する直前の温風暖房運転時より高くされることはない。このことから、膨張弁制御部44Cは、膨張弁8と、膨張弁15と、の開度を大きく絞る(閉じる)という動作は発生せず、空気熱交換器10に循環される冷媒温度が大きく低下することもない。
【0061】
また、蓄熱運転が開始されると、蓄熱制御部44Hから蓄熱運転中である旨の信号が室内機制御部20にも出力される。室内機制御部20は、その信号を受けると、室内機制御部20は、室内ファン18の回転数を温風暖房運転時よりも高い回転数の蓄熱運転回転数に上昇させるように制御する。
【0062】
ここで、室内熱交換器14に流入する冷媒の温度が一定で、室内熱交換器14において冷媒から室内空気に一定の熱量が与えられた場合を想定する。このとき、室内ファン18の回転数を上昇させたときの方が、単位時間当たりの室内空気の循環流量が増加し、熱交換効率が上がるため、室内熱交換器14から室内空気に与えようとする熱量は増加する。
よって、蓄熱運転時に室内ファン18の回転数を上昇させると、室内空気の温度を上昇させることができる。さらに、蓄熱運転時の目標室温は、温風暖房運転時の目標室温よりも高い蓄熱目標室温Ta1に設定されるため、圧縮機5の回転数が増加する方向に制御される。その結果、室内熱交換器14を通過する冷媒の循環流量が増加し、室内熱交換器14において冷媒から室内空気に与えようとする熱量が増加するので、室内空気の温度を上昇させやすくなる。
【0063】
温風暖房運転中及び蓄熱運転中において、外気温度が低い場合、空気熱交換器10は徐々に着霜する。蓄熱運転中に、所定の除霜開始条件が成立した場合、蓄熱運転を終了した後に、除霜制御部44Gは空気熱交換器10の霜を溶かすための除霜運転の実行を開始するものである。
【0064】
上記の蓄熱運転時における制御を実現するために、室外機制御部44によって実行される制御手順を、
図6のフローチャートにより説明する。ここでは、室内機17による温風暖房運転が行われる場面について説明を行う。
【0065】
温風暖房運転時、蓄熱制御部44Hは、蓄熱運転開始条件が成立したか否か判定する。ここで、蓄熱運転開始条件の成立は、外気温度と空気熱交換器10の出口側の冷媒温度とに基づいて設定される条件である。この蓄熱運転開始条件は、例えば、外気温度が所定温度(例えば2℃)以下、且つ、第一温度差としての外気温度-空気熱交換器10の出口側の冷媒温度>4℃という条件である。蓄熱制御部44Hは、蓄熱運転開始条件が成立したと判断した場合(ステップST1:YES)、蓄熱運転を開始し(ステップST2)、カウント部44H1による蓄熱運転の時間のカウントが開始される(ステップST3)。
【0066】
その後、目標室温決定部44Jは、目標室温として蓄熱目標室温Ta1を設定し(ステップST4)、ステップST5に移行する。
【0067】
ステップST5において、目標吐出温度設定部44Iは、蓄熱運転を開始する直前の温風暖房運転時に設定されていた目標吐出温度と同じ温度を、継続して目標吐出温度として設定する。
【0068】
ステップST6において、室内機制御部20は、室内ファン18の回転数を温風暖房運転時よりも高い回転数の蓄熱運転回転数に上昇させ、ステップST7に移行する。
【0069】
ステップST7において、蓄熱制御部44Hは、室内温度センサ19で検出される室内空気の温度がステップST4で設定した目標室温(蓄熱目標室温Ta1)に到達したか否かを判定する。室内温度センサ19で検出される室内空気の温度が蓄熱目標室温Ta1に到達していなければ判定が満たされず(ステップST7:NO)、ステップST8に移行し、ステップST8おいて、除霜制御部44Gは、所定の除霜開始条件が成立したか否か判定する。ここで、除霜開始条件の成立は、外気温度と空気熱交換器10の出口側の冷媒温度とに基づいて設定される条件である。この除霜開始条件は、例えば、外気温度が所定温度(例えば2℃)以下、且つ、外気温度-空気熱交換器10の出口側の冷媒温度>8℃という条件とする。又は蓄熱運転を開始してから第一蓄熱時間(例えば、40分)が経過すること、すなわちカウント部44H1のカウントする時間が一定時間を超えるという条件とする。除霜開始条件は、このうち、何れか一方の条件が成立することである。
【0070】
ステップST8において、所定の除霜開始条件が成立していなければ判定が満たされず(ステップST8:NO)、ステップST7に移行する。
【0071】
上記のように、室内温度センサ19で検出される室内空気の温度が目標室温(蓄熱目標室温Ta1)に到達しておらず(ステップST7:NO)、除霜開始条件も成立しない(ステップST8:NO)場合がある。この場合は、ステップST7:NO→ステップST8:NO→ステップST7をループする。
【0072】
ステップST7において、室内温度センサ19で検出される室内空気の温度が目標室温(蓄熱目標室温Ta1)に到達していない(ステップST8:NO)が、除霜開始条件は成立(ステップST8:YES)した場合がある。この場合は、蓄熱制御部44Hは蓄熱運転を終了させる(ステップST9)。そして、除霜制御部44Gは除霜運転を開始させる。
【0073】
また、ステップST7において、室内温度センサ19で検出される室内空気の温度が目標室温(蓄熱目標室温Ta1)に到達したら判定が満たされ(ステップST7:YES)、蓄熱制御部44Hは、蓄熱運転を終了させる(ステップST10)。その後、蓄熱制御部44Hは、ステップST11に移行する。
【0074】
ステップST11において、除霜制御部44Gは、所定の除霜開始条件が成立したか否か判定する。除霜開始条件が成立するまでは、ステップST11の判定が満たされず(ステップST11:NO)ループ待機し、除霜開始条件が成立したら判定が満たされ(ステップST11:YES)、除霜制御部44Gは除霜運転を開始させる。
【0075】
<床暖房運転時の除霜運転>
次に、床暖房運転時の除霜運転について説明する。床暖房運転時の除霜運転は、床暖房運転時と同方向に冷媒を循環させる形態(いわゆる正サイクル除霜)であり、圧縮機5から吐出された冷媒は、水冷媒熱交換器7を介して膨張弁8を通過し、空気熱交換器10に供給されて空気熱交換器10に発生した霜を溶かす。
【0076】
なお、除霜運転は、先に説明してきた除霜開始条件が成立したか否かを除霜制御部44Gが判断して、除霜開始条件が成立したと判断したら除霜運転が開始される。除霜運転の完了は、所定の除霜終了条件が成立したか否かを除霜制御部44Gが判断して、除霜開始条件が成立したと判断したら、除霜運転の完了となる。除霜終了条件は、例えば、冷媒温度センサ13で検出される空気熱交換器10の出口側の冷媒の温度が、予め設定された除霜終了温度(例えば、5℃)に達することである。
【0077】
除霜運転が開始されると、除霜制御部44Gから圧縮機制御部44Bに除霜運転中である旨の信号が出力され、圧縮機制御部44Bは、その信号を受け、圧縮機5を予め設定された除霜時回転数(一定回転数)で制御する。なお、ここでは、除霜制御部44Gからの指示に基づき圧縮機制御部44Bが圧縮機5の回転数を制御するようにしているが、除霜運転時において、除霜制御部44Gが、直接、圧縮機5の回転数を制御するようにしても、同様の制御を実施することができる。
【0078】
また、除霜運転が開始されると、除霜制御部44Gから膨張弁制御部44Cに除霜運転中である旨の信号が出力される。膨張弁制御部44Cは、その信号を受け、膨張弁8を床暖房運転時の開度よりも大きい所定の開度(例えば全開)まで拡大させ、膨張弁8を通過する冷媒が膨張弁8で減圧されないようにする。なお、ここでは、除霜制御部44Gからの指示に基づき膨張弁制御部44Cが膨張弁8の開度を制御するようにしているが、除霜運転時において、除霜制御部44Gが、直接、膨張弁8の開度を制御するようにしても、同様の制御を実施することができる。
【0079】
さらに、除霜運転が開始されると、除霜制御部44Gからポンプ制御部44Dに除霜運転中である旨の信号が出力され、ポンプ制御部44Dは、その信号を受け、冷媒温度センサ13の検出する冷媒温度に基づいて循環ポンプ34の駆動を制御する。なお、ここでは、除霜制御部44Gからの指示に基づきポンプ制御部44Dが循環ポンプ34の駆動を制御するようにしている。これによらず、除霜運転時において、除霜制御部44Gが、直接、循環ポンプ34の駆動を制御するようにしても、同様の制御を実施することができる。説明を簡単化するため、以下、除霜運転時においては、除霜制御部44Gが、直接、循環ポンプ34の駆動を制御するものとする。
【0080】
ここで、除霜運転時における循環ポンプ34の駆動制御(回転数制御)について説明する。除霜運転中において、除霜制御部44Gは、膨張弁8を全開にして空気熱交換器10に高温冷媒が流れるようにして空気熱交換器10の除霜を行いながら、冷媒温度センサ13で検出される温度に基づいて循環ポンプ34の駆動を制御する。以下、詳細について説明する。
【0081】
まず、除霜運転開始時に、除霜制御部44Gは、それまで駆動中であった循環ポンプ34の駆動を停止させ、温水の循環を停止させる。これは、除霜運転開始時に、循環ポンプ34を駆動させた状態だと、水冷媒熱交換器7において冷媒と温水との熱交換により、冷媒の保有熱量の一部が温水側に吸熱されてしまう。これにより、空気熱交換器10を除霜するための熱量が奪われ、空気熱交換器10の除霜が進まなくなってしまうので、除霜運転開始時に循環ポンプ34の駆動を停止させるのである。特に、除霜運転開始時は、空気熱交換器10の着霜量が多いため、冷媒の保有熱量が除霜のためだけに使用されるように、除霜運転開始時に循環ポンプ34の駆動を停止させるのがよい。なお、上記の温水の循環停止とは、実質的に温水の流れが止まることである。
【0082】
そして、除霜運転中において、除霜制御部44Gは、冷媒温度センサ13で検出される温度が、除霜終了条件が成立する手前で必ず成立する所定の循環ポンプ駆動開始条件である所定の条件に到達したかを判断する。除霜制御部44Gは、この所定の条件を満たした場合、循環ポンプ34の回転数を床暖房運転時よりも低い回転数で駆動させ、温水の循環を行わせるようにする。
【0083】
循環ポンプ駆動開始条件は、例えば、冷媒温度センサ13で検出される空気熱交換器10の出口側の冷媒の温度が予め設定された循環ポンプ駆動開始温度(0℃より高く且つ除霜終了温度の5℃より低い、例えば1℃)以上になったか否かとされる。除霜制御部44Gは、循環ポンプ駆動開始条件が成立したと判断すると、循環ポンプ34を床暖房運転時よりも低い所定回転数(例えば1000rpm)で駆動を開始させる。除霜制御部44Gは、冷媒温度センサ13で検出される空気熱交換器10の出口側の冷媒の温度が、上昇に伴って除霜終了条件の成立する方向に近づくにつれ、循環ポンプ34の回転数を増加させるように制御するものである。
【0084】
除霜運転中に空気熱交換器10の霜が溶け始めると、除霜に必要な熱量に対して冷媒の保有熱量が過剰となり、冷媒温度センサ13で検出される冷媒温度が上昇してくる。何もしなければ除霜に必要な熱量以外の余剰の熱量は空気熱交換器10から単に放熱されるだけであり、放熱ロスとなってしまう。その放熱ロス分を暖房用の熱量にするために、冷媒温度センサ13で検出される空気熱交換器10の出口側の冷媒の温度が上昇してきて予め設定された所定温度以上になったときに、循環ポンプ34を床暖房運転時よりも低回転数で駆動を開始させる。さらに、除霜制御部44Gは、水冷媒熱交換器7において冷媒の保有熱量の一部を温水側に吸熱させ、それまで除霜のためだけに用いられていた熱量の一部を暖房に用いるのである。また、冷媒温度センサ13で検出される空気熱交換器10の出口側の冷媒の温度が上昇していき、除霜終了条件の成立する方向に近づくということは、除霜に必要な熱量以外の余剰の熱量が増加したということである。そうした場合は、冷媒温度センサ13で検出される空気熱交換器10の出口側の冷媒の温度が除霜終了条件の成立する方向に近づくにつれて、循環ポンプ34の回転数を増加させ、暖房に用いる熱量を増やすように制御するものである。
【0085】
除霜運転開始時は、空気熱交換器10の着霜量が多いため、冷媒の保有熱量が除霜のためだけに使用されるように循環ポンプ34の駆動を停止させている。これによらず、除霜運転中に冷媒温度センサ13で検出される冷媒温度が所定温度まで上昇してきたら、循環ポンプ34の駆動を開始させて、除霜を継続しながらも、温水を熱交換端末27に循環させ暖房も行えるものである。
【0086】
なお、除霜制御部44Gには、空気熱交換器10の出口側の冷媒温度rと循環ポンプ34の駆動回転数の対応関係を示すテーブルデータが予め記憶されており、このテーブルデータに基づき、循環ポンプ34の回転数を決定するようにしている。ここでは、冷媒温度センサ13で検出された冷媒温度が1℃未満の場合、循環ポンプ34の回転数は0rpmに決定、すなわち停止状態とされる。冷媒温度センサ13で検出された冷媒温度が1℃以上且つ2℃未満の場合、循環ポンプ34の回転数は1000rpmに決定される。さらに、冷媒温度センサ13で検出された冷媒温度が2℃以上且つ3℃未満の場合、循環ポンプ34の回転数は1200rpmに決定される。また、冷媒温度センサ13で検出された冷媒温度が3℃以上且つ5℃未満の場合、循環ポンプ34の回転数は1500rpmに決定される。
【0087】
以上説明したように、空調システム1は、除霜運転(正サイクル除霜)開始時に、温水の循環を停止さる。また、正サイクル除霜中は、空気熱交換器10の除霜を継続しながら、冷媒温度センサ13で検出される冷媒温度に基づき所定の条件に到達したと判断したら、温水の循環を行わせる。このことで、除霜運転中に、除霜を行いつつも、空気熱交換器10の出口側の冷媒温度に応じて、適宜、循環ポンプ34を駆動させて温水を循環させ、熱交換端末27による暖房も行えるものである。
【0088】
また、除霜制御部44Gは、除霜開始時に循環ポンプ34を停止させ、除霜運転中に、冷媒温度センサ13で検出される冷媒温度が、除霜終了条件成立前に成立する循環ポンプ駆動開始条件に到達したと判断する。この場合、除霜制御部44Gは、循環ポンプ34の回転数を床暖房運転時よりも低い回転数で駆動させる。このことで、除霜運転開始時は、空気熱交換器10の着霜量が多いため、冷媒の保有熱量が除霜のためだけに使用されるように循環ポンプ34の駆動を停止させて集中的に除霜を行う。そして、冷媒温度センサ13で検出される冷媒温度が上昇してきて、循環ポンプ駆動開始条件まで上昇してきたら、循環ポンプ34を床暖房運転時よりも低回転数で駆動開始させて除霜に必要な熱量を奪いすぎないようにする。これにより、除霜を継続しながらも、温水を熱交換端末27に循環させ暖房も行うことができ、除霜運転時の無暖房の時間を短縮することができる。
【0089】
さらに、除霜制御部44Gは、循環ポンプ駆動開始条件に到達したと判断した後、冷媒温度センサ13で検出される冷媒温度が、除霜終了条件の成立する方向(除霜終了温度)に近づくにつれ、循環ポンプ34の回転数を増加するようにした。このことで、冷媒温度センサ13で検出される冷媒温度が、循環ポンプ駆動条件に到達してから除霜終了条件の成立する方向に近づく。すなわち、空気熱交換器10の出口側の冷媒の温度が上昇している。また、空気熱交換器10の除霜に必要な熱量以外の余剰の熱量が増加したということである。その場合、冷媒温度センサ13で検出される空気熱交換器10の出口側の冷媒の温度が除霜終了条件の成立する方向に近づくにつれて、循環ポンプ34の回転数を増加させて、暖房に用いる熱量を増やすことができる。さらに、除霜運転時における暖房感の低下を抑制することができる。
【0090】
なお、床暖房運転時の除霜運転について、床暖房運転時と同方向に冷媒を循環させる形態(いわゆる正サイクル除霜)を例に挙げて説明したが、床暖房運転時の除霜運転は、冷風冷房運転時と同方向に冷媒を循環させる形態(いわゆる逆サイクル除霜)でもよい。その際、圧縮機5から吐出された冷媒は、空気熱交換器10に供給され、空気熱交換器10に発生した霜を溶かし、膨張弁8を通過し、水冷媒熱交換器7を介して圧縮機5に戻される。
【0091】
<床暖房運転時の蓄熱運転>
次に、床暖房運転時の蓄熱運転について説明し、ここでは、熱交換端末27による床暖房運転が行われる場面に基づいて説明を行う。床暖房運転時の蓄熱運転は、床暖房運転時の除霜運転の前に行われ、除霜運転時に室温が低下してしまい、暖房感を損ねる事を防止する、温水冷媒を蓄熱対象とした第二の蓄熱運転が行われるものである。第二の蓄熱運転は、床暖房運転時に所定の蓄熱運転開始条件が成立した場合に、熱交換端末27に供給される循環液の温度を上昇させるものである。なお、蓄熱運転開始条件は、外気温度と空気熱交換器10の出口側の冷媒温度とに基づいて設定される条件である。すなわち、外気温度と空気熱交換器10の出口側の冷媒温度とから、じきに除霜運転が開始されると推測される条件(除霜開始条件が成立するよりも手前で成立する条件)である。
【0092】
床暖房運転時、蓄熱制御部44Hは、蓄熱運転開始条件が成立したか否かを判断し、蓄熱運転開始条件が成立したと判断した場合、蓄熱運転を開始する。この蓄熱運転の開始と同時にカウント部44H1のカウントも開始される。蓄熱運転が開始されると、蓄熱制御部44Hから蓄熱運転中である旨の信号が出力される。目標戻り温度決定部44Eは、その信号を受け、それまで設定されていた床暖房運転時の目標戻り温度(目標温水温度)より高い第三所定温度としての蓄熱目標水温Tb1を新たな目標戻り温度(目標温水温度)として設定する。また、温水の温度を上昇させる温度である、蓄熱目標水温Tb1は、蓄熱温度係数に応じて決定される。この蓄熱温度係数は、床暖房運転時の目標戻り温度から蓄熱運転開始時の温水の温度を引いて算出される。この蓄熱温度係数が大きいほど、蓄熱目標水温Tb1は、高い値となるように決定される。
【0093】
この時、圧縮機制御部44Bは、入水温度センサ123により検出される温水の温度が、目標戻り温度決定部44Eにより設定された蓄熱目標水温Tb1になるように、圧縮機5の回転数を制御する。実際の動きとして、蓄熱運転開始直後は、目標戻り温度(目標温水温度)がそれまで設定されていた床暖房運転時の目標戻り温度よりも高い温度である蓄熱目標水温Tb1に変更される。このことから、入水温度センサ123により検出される温水温度と目標戻り温度(蓄熱目標水温Tb1)との温度差が、蓄熱運転直前の床暖房運転時よりも大きくなるので、圧縮機制御部44Bは、圧縮機5の回転数を増加させるようにする。そして、入水温度センサ123により検出される温水温度が目標戻り温度(蓄熱目標水温Tb1)に到達してきたら、入水温度センサ123により検出される温水温度を目標戻り温度に維持するために、圧縮機5の回転数を減少させるようにする。
【0094】
また、蓄熱運転が開始されると、蓄熱制御部44Hから蓄熱運転中である旨の信号が目標吐出温度設定部44Iにも出力される。目標吐出温度設定部44Iは、その信号を受けると、蓄熱運転を開始する直前の床暖房運転時に設定されていた目標吐出温度を維持するよう制御する。すなわち、蓄熱運転時は、床暖房運転時のように、目標戻り温度(目標温水温度)に応じて目標吐出温度を変更するといった設定方法をとらない。また、目標戻り温度が床暖房運転時より高い所定の蓄熱目標水温Tb1に変更されたとしても、蓄熱運転を開始する直前の床暖房運転時に設定されていた目標吐出温度をそのまま維持し、蓄熱運転が終了するまでその目標吐出温度が維持される。
【0095】
このとき、目標吐出温度は、蓄熱運転を開始する直前の床暖房運転時に設定されていたものが、そのまま維持される。このため、膨張弁制御部44Cは、膨張弁8の開度を大きく変更することはなく、蓄熱運転開始直後は蓄熱運転を開始する直前の床暖房運転時の開度を維持する。蓄熱運転中、圧縮機5から吐出される冷媒の温度は多少の高低はあれども、目標吐出温度は蓄熱運転を開始する直前の床暖房運転時より高くされることはない。なので、膨張弁8の開度を大きく絞る(閉じる)という動作は発生せず、空気熱交換器10に循環される冷媒温度が大きく低下することもない。
【0096】
また、蓄熱運転が開始されると、蓄熱制御部44Hから蓄熱運転中である旨の信号がポンプ制御部44Dにも出力され、ポンプ制御部44Dは、その信号を受けると、ポンプ制御部44Dは、循環ポンプ34の回転数を床暖房運転時よりも低下させるように制御する。
【0097】
ここで、水冷媒熱交換器7に流入する温水の温度が一定で、水冷媒熱交換器7において冷媒から温水に一定の熱量が与えられた場合を想定する。循環ポンプ34の回転数を低下させたときの方が、単位時間当たりの温水の循環流量が減少し、温度効率が上がるため、水冷媒熱交換器7から流出する温水の温度は高くなる。よって、蓄熱運転時に循環ポンプ34の回転数を低下させると、熱交換端末27に供給される温水の温度を上昇させることができる。さらに、蓄熱運転時の目標温水温度は、床暖房運転時の目標温水温度よりも高い蓄熱目標水温Tb1に設定されるため、圧縮機5の回転数が増加する方向に制御される。その結果、水冷媒熱交換器7を通過する冷媒の循環流量が増加し、水冷媒熱交換器7において冷媒から温水に与えようとする熱量が増加するので、水冷媒熱交換器7から流出する温水の温度を上昇させやすくなる。また、循環ポンプ34の回転数は床暖房運転時より低下しているため、水冷媒熱交換器7において冷媒から温水に与えられる熱量は減り、水冷媒熱交換器7から流出する冷媒の温度が高くなる。そうすると、空気熱交換器10へ循環される冷媒の温度も高くなり、空気熱交換器10への霜の付着の進行を抑えることができる。その上、蓄熱運転時に循環ポンプ34の回転数を低下させて熱交換端末27に供給される温水の温度を高くしているが、循環ポンプ34の回転数を低下させていることで、温水の循環流量は下がり、熱交換端末27で放熱されにくくなる。このことにより、温水の温度自体は高くなるが、熱交換端末27に対応する部屋の室温が上がりすぎることはなく、ユーザに不快感を与えることがない。
【0098】
蓄熱運転時の循環ポンプ34の回転数低下制御について、より具体的に説明する。ポンプ制御部44Dは、蓄熱運転の際、入水温度センサ123で検出される温水温度が蓄熱目標水温Tb1に到達するまで、循環ポンプ34の回転数を所定時間毎に所定値ずつ徐々に低下させるように制御する。なお、蓄熱運転時に低下させることのできる循環ポンプ34の下限回転数は予め設定されている。循環ポンプ34の回転数を徐々に低下させ、入水温度センサ123で検出される温水温度が蓄熱目標水温Tb1に到達するまでの間に、循環ポンプ34の回転数が予め設定された下限回転数に到達する場合がある。この場合、下限回転数に到達後は、循環ポンプ34を下限回転数で制御するようにする。
【0099】
床暖房運転中及び蓄熱運転中において、外気温度が低い場合、空気熱交換器10は徐々に着霜する。蓄熱運転中に、所定の除霜開始条件が成立した場合、蓄熱運転を終了した後に、除霜制御部44Gは空気熱交換器10の霜を溶かすための除霜運転の実行を開始するものである。除霜運転の詳細については後述する。
【0100】
上記の蓄熱運転時における制御を実現するために、室外機制御部44によって実行される制御手順を、
図7のフローチャートにより説明する。ここでは、熱交換端末27による床暖房運転が行われる場面について説明を行う。
【0101】
床暖房運転時、蓄熱制御部44Hは、蓄熱運転開始条件が成立したか否か判定する。ここで、蓄熱運転開始条件の成立は、外気温度と空気熱交換器10の出口側の冷媒温度とに基づいて設定される条件である。この蓄熱運転開始条件は、例えば、外気温度が所定温度(例えば2℃)以下、且つ、第一温度差としての外気温度-空気熱交換器10の出口側の冷媒温度>4℃という条件である。蓄熱制御部44Hは、蓄熱運転開始条件が成立したと判断した場合(ステップST12:YES)、蓄熱運転を開始し(ステップST13)、カウント部44H1による蓄熱運転の時間のカウントが開始される(ステップST14)。
【0102】
その後、目標戻り温度決定部44Eは、目標温水温度(目標戻り温度)として蓄熱目標水温Tb1を設定し(ステップST15)、ステップST16に移行する。
【0103】
ステップST16において、目標吐出温度設定部44Iは、蓄熱運転を開始する直前の床暖房運転時に設定されていた目標吐出温度と同じ温度を、継続して目標吐出温度として設定する。ステップST17で、ポンプ制御部44Dは、循環ポンプ34の回転数を床暖房運転時の回転数(例えば、3500rpm)から所定値(例えば、100rpm)低下させる。
【0104】
その後、ステップST18で、蓄熱制御部44Hにて所定時間(ここでは、1分)が経過したか否かが判定される。1分が経過していなければ判定が満たされずループ待機し(ステップST18:NO)、1分が経過したら判定が満たされ(ステップST18:YES)、ステップST19に移行する。
【0105】
ステップST19において、蓄熱制御部44Hは、入水温度センサ123で検出される温水温度がステップST15で設定した目標温水温度(蓄熱目標水温Tb1)に到達したか否かを判定する。入水温度センサ123で検出される温水温度が蓄熱目標水温Tb1に到達していなければ判定が満たされず(ステップST19:NO)、ステップST20に移行し、ステップST20において、除霜制御部44Gは、所定の除霜開始条件が成立したか否か判定する。ここで、除霜開始条件の成立は、外気温度と空気熱交換器10の出口側の冷媒温度とに基づいて設定される条件である。例えば、外気温度が所定温度(例えば2℃)以下、且つ、外気温度-空気熱交換器10の出口側の冷媒温度>8℃という条件である。又は蓄熱運転を開始してから第一蓄熱時間(例えば、40分)が経過すること、すなわちカウント部44H1のカウントする時間が一定時間を超えるという条件である。除霜開始条件の成立は、この条件のうち、何れか一方の条件が成立することである。
【0106】
ステップST20において、所定の除霜開始条件が成立していなければ判定が満たされず(ステップST20:NO)、ステップST21に移行し、ステップST21で、ポンプ制御部44Dは、現在の循環ポンプ34の回転数が下限回転数か否か判定する。現在の循環ポンプ34の回転数が下限回転数ではない場合は判定が満たされず(ステップST21:NO)、ステップST17に移行し、循環ポンプ34の回転数を100rpm低下させる。
【0107】
上記のように、入水温度センサ123で検出される温水温度が目標温水温度(蓄熱目標水温Tb1)に到達していない(ステップST19:NO)場合がある。且つ、除霜開始条件も成立せず(ステップST20:NO)、現在の循環ポンプ34の回転数が下限回転数ではない場合(ステップST21:NO)がある。この時、ステップST19:NO→ステップST20:NO→ステップST21:NO→ステップST17→ステップST18→ステップST19をループし、循環ポンプ34の回転数は1分毎に100rpmずつ低下していく。そして、入水温度センサ123で検出される温水温度が目標温水温度(蓄熱目標水温Tb1)に到達しておらず(ステップST19:NO)、除霜開始条件も成立していない(ステップST20:NO)場合がある。且つ、現在の循環ポンプ34の回転数が下限回転数に到達した場合(ステップST21:YES)は、ステップST19に移行し、以後、蓄熱運転が終了するまでは、循環ポンプ34の回転数は下限回転数で維持される。
【0108】
ステップST19において、入水温度センサ123で検出される温水温度が目標温水温度(蓄熱目標水温Tb1)に到達していない(ステップST19:NO)した場合は、ステップST20に移行する。ステップST20において、除霜開始条件が成立(ステップST20:YES)した場合は、蓄熱制御部44Hは蓄熱運転を終了させる(ステップST22)。そして、除霜制御部44Gは除霜運転を開始させる。
【0109】
また、ステップST19において、入水温度センサ123で検出される温水温度が目標温水温度(蓄熱目標水温Tb1)に到達したら判定が満たされる(ステップST19:YES)。その後、蓄熱制御部44Hは蓄熱運転を終了させ、(ステップST23)、ステップST24に移行する。ステップST24において、除霜制御部44Gは、所定の除霜開始条件が成立したか否か判定する。除霜開始条件が成立するまでは、ステップST24の判定が満たされず(ステップST24:NO)ループ待機し、除霜開始条件が成立したら判定が満たされ(ステップST24:YES)、除霜制御部44Gは除霜運転を開始させる。
【0110】
<連動運転時の除霜運転>
次に、連動運転時の除霜運転について説明する。連動運転時の除霜運転は、連動運転時と同方向に冷媒を循環させる形態(いわゆる正サイクル除霜)であり、四方弁制御部44Aにより、四方弁6は、配管部11aを配管部11bに連通させると共に配管部11cを配管部11dに連通させる位置に切り替えられる。また二方弁制御部44Fにより、二方弁16が閉じ状態に切り替えられる。さらに膨張弁制御部44Cにより膨張弁8が開き状態かつ膨張弁15が全閉状態に制御される。圧縮機5から吐出された冷媒は、水冷媒熱交換器7を介して膨張弁8を通過し、空気熱交換器10に供給されて空気熱交換器10に発生した霜を溶かす。
【0111】
なお、除霜運転は、先に説明してきた除霜開始条件が成立したか否かを除霜制御部44Gが判断して、除霜開始条件が成立したと判断したら除霜運転が開始される。除霜運転の完了は、所定の除霜終了条件が成立したか否かを除霜制御部44Gが判断して、除霜開始条件が成立したと判断したら、除霜運転の完了となる。除霜終了条件は、例えば、冷媒温度センサ13で検出される空気熱交換器10の出口側の冷媒の温度が、予め設定された除霜終了温度(例えば、5℃)に達することである。
【0112】
除霜運転が開始されると、除霜制御部44Gから圧縮機制御部44Bに除霜運転中である旨の信号が出力され、圧縮機制御部44Bは、その信号を受け、圧縮機5を予め設定された除霜時回転数(一定回転数)で制御する。なお、ここでは、除霜制御部44Gからの指示に基づき圧縮機制御部44Bが圧縮機5の回転数を制御するようにしているが、除霜運転時において、除霜制御部44Gが、直接、圧縮機5の回転数を制御するようにしても、同様の制御を実施することができる。
【0113】
また、除霜運転が開始されると、除霜制御部44Gから膨張弁制御部44Cに除霜運転中である旨の信号が出力される。膨張弁制御部44Cは、その信号を受け、膨張弁8を連動運転時の開度よりも大きい所定の開度(例えば全開)まで拡大させ、膨張弁8を通過する冷媒が膨張弁8で減圧されないようにする。なお、ここでは、除霜制御部44Gからの指示に基づき膨張弁制御部44Cが膨張弁8の開度を制御するようにしているが、除霜運転時において、除霜制御部44Gが、直接、膨張弁8の開度を制御するようにしても、同様の制御を実施することができる。
【0114】
さらに、除霜運転が開始されると、除霜制御部44Gからポンプ制御部44Dに除霜運転中である旨の信号が出力され、ポンプ制御部44Dは、その信号を受け、冷媒温度センサ13の検出する冷媒温度に基づいて循環ポンプ34の駆動を制御する。なお、ここでは、除霜制御部44Gからの指示に基づきポンプ制御部44Dが循環ポンプ34の駆動を制御するようにしている。これによらず、除霜運転時において、除霜制御部44Gが、直接、循環ポンプ34の駆動を制御するようにしても、同様の制御を実施することができる。説明を簡単化するため、以下、除霜運転時においては、除霜制御部44Gが、直接、循環ポンプ34の駆動を制御するものとする。
【0115】
ここで、除霜運転時における循環ポンプ34の駆動制御(回転数制御)について説明する。除霜運転中において、除霜制御部44Gは、膨張弁8を全開にして空気熱交換器10に高温冷媒が流れるようにして空気熱交換器10の除霜を行いながら、冷媒温度センサ13で検出される温度に基づいて循環ポンプ34の駆動を制御する。以下、詳細について説明する。
【0116】
まず、除霜運転開始時に、除霜制御部44Gは、それまで駆動中であった循環ポンプ34の駆動を停止させ、温水の循環を停止させる。これは、除霜運転開始時に、循環ポンプ34を駆動させた状態だと、水冷媒熱交換器7において冷媒と温水との熱交換により、冷媒の保有熱量の一部が温水側に吸熱されてしまう。このことにより、空気熱交換器10を除霜するための熱量が奪われ、空気熱交換器10の除霜が進まなくなってしまうので、除霜運転開始時に循環ポンプ34の駆動を停止させるのである。特に、除霜運転開始時は、空気熱交換器10の着霜量が多いため、冷媒の保有熱量が除霜のためだけに使用されるように、除霜運転開始時に循環ポンプ34の駆動を停止させるのがよい。なお、上記の温水の循環停止とは、実質的に温水の流れが止まることである。
【0117】
そして、除霜運転中において、除霜制御部44Gは、冷媒温度センサ13で検出される温度が、除霜終了条件が成立する手前で必ず成立する所定の循環ポンプ駆動開始条件に到達したと判断される場合がある。この場合、除霜制御部44Gは、循環ポンプ34の回転数を連動運転時よりも低い回転数で駆動させ、温水の循環を行わせるようにする。
【0118】
循環ポンプ駆動開始条件は、例えば、冷媒温度センサ13で検出される空気熱交換器10の出口側の冷媒の温度が予め設定された循環ポンプ駆動開始温度(0℃より高く且つ除霜終了温度の5℃より低い、例えば1℃)以上になったか否かとされる。除霜制御部44Gは、循環ポンプ駆動開始条件が成立したと判断すると、循環ポンプ34を連動運転時よりも低い所定回転数(例えば1000rpm)で駆動を開始させる。冷媒温度センサ13で検出される空気熱交換器10の出口側の冷媒の温度が、上昇に伴って除霜終了条件の成立する方向に近づくにつれ、循環ポンプ34の回転数を増加させるように制御するものである。
【0119】
除霜運転中に空気熱交換器10の霜が溶け始めると、除霜に必要な熱量に対して冷媒の保有熱量が過剰となり、冷媒温度センサ13で検出される冷媒温度が上昇してくる。何もしなければ除霜に必要な熱量以外の余剰の熱量は空気熱交換器10から単に放熱されるだけであり、放熱ロスとなってしまう。その放熱ロス分を暖房用の熱量にするために、冷媒温度センサ13で検出される空気熱交換器10の出口側の冷媒の温度が上昇してきて予め設定された所定温度以上になったときに、循環ポンプ34の駆動を開始させる。このとき、循環ポンプ34は連動運転時よりも低回転数で駆動を開始され、水冷媒熱交換器7において冷媒の保有熱量の一部を温水側に吸熱させ、それまで除霜のためだけに用いられていた熱量の一部を暖房に用いるのである。また、冷媒温度センサ13で検出される空気熱交換器10の出口側の冷媒の温度が上昇していき、除霜終了条件の成立する方向に近づくということは、除霜に必要な熱量以外の余剰の熱量が増加したということである。そうした場合は、冷媒温度センサ13で検出される空気熱交換器10の出口側の冷媒の温度が除霜終了条件の成立する方向に近づくにつれて、循環ポンプ34の回転数を増加させ、暖房に用いる熱量を増やすように制御するものである。
【0120】
除霜運転開始時は、空気熱交換器10の着霜量が多いため、冷媒の保有熱量が除霜のためだけに使用されるように循環ポンプ34の駆動を停止させている。これによらず、除霜運転中に冷媒温度センサ13で検出される冷媒温度が所定温度まで上昇してきたら、循環ポンプ34の駆動を開始させて、除霜を継続しながらも、温水を熱交換端末27に循環させ暖房も行えるものである。
【0121】
なお、除霜制御部44Gには、空気熱交換器10の出口側の冷媒温度rと循環ポンプ34の駆動回転数の対応関係を示すテーブルデータが予め記憶されており、このテーブルデータに基づき、循環ポンプ34の回転数を決定するようにしている。ここでは、冷媒温度センサ13で検出された冷媒温度が1℃未満の場合、循環ポンプ34の回転数は0rpmに決定、すなわち停止状態とされる。さらに、冷媒温度センサ13で検出された冷媒温度が1℃以上且つ2℃未満の場合、循環ポンプ34の回転数は1000rpmに決定される。また、冷媒温度センサ13で検出された冷媒温度が2℃以上且つ3℃未満の場合、循環ポンプ34の回転数は1200rpmに決定される。また、冷媒温度センサ13で検出された冷媒温度が3℃以上且つ5℃未満の場合、循環ポンプ34の回転数は1500rpmに決定される。
【0122】
以上説明したように、空調システム1は、除霜運転(正サイクル除霜)開始時には、温水の循環を停止させる。正サイクル除霜中は、空気熱交換器10の除霜を継続しながら、冷媒温度センサ13で検出される冷媒温度に基づき所定の条件に到達したと判断したら、温水の循環を行わせる。このことで、除霜運転中に、除霜を行いつつも、空気熱交換器10の出口側の冷媒温度に応じて、適宜、循環ポンプ34を駆動させて温水を循環させ、熱交換端末27による暖房も行えるものである。
【0123】
また、除霜制御部44Gは、除霜開始時に循環ポンプ34を停止させ、除霜運転中に、冷媒温度センサ13で検出される冷媒温度が、除霜終了条件成立前に成立する循環ポンプ駆動開始条件に到達したと判断したら、循環ポンプ34を駆動させる。この時、循環ポンプ34は回転数を連動運転時よりも低い回転数で駆動されるようにした。このことで、除霜運転開始時は、空気熱交換器10の着霜量が多いため、冷媒の保有熱量が除霜のためだけに使用されるように循環ポンプ34の駆動を停止させて集中的に除霜を行う。そして、冷媒温度センサ13で検出される冷媒温度が上昇してきて、循環ポンプ駆動開始条件まで上昇してきたら、循環ポンプ34を連動運転時よりも低回転数で駆動開始させる。これにより、除霜に必要な熱量を奪いすぎないようにして、除霜を継続しながらも、温水を熱交換端末27に循環させ暖房も行うことができ、除霜運転時の無暖房の時間を短縮することができる。
【0124】
さらに、除霜制御部44Gは、循環ポンプ駆動開始条件に到達したと判断した後、冷媒温度センサ13で検出される冷媒温度が、除霜終了条件の成立する方向(除霜終了温度)に近づくにつれ、循環ポンプ34の回転数を増加するようにした。このことで、冷媒温度センサ13で検出される冷媒温度が、循環ポンプ駆動条件に到達してから除霜終了条件の成立する方向に近づくということは、すなわち、空気熱交換器10の出口側の冷媒の温度が上昇している。また、空気熱交換器10の除霜に必要な熱量以外の余剰の熱量が増加したということである。その場合、冷媒温度センサ13で検出される空気熱交換器10の出口側の冷媒の温度が除霜終了条件の成立する方向に近づくにつれて、循環ポンプ34の回転数を増加させる。このことで、暖房に用いる熱量を増やすことができ、除霜運転時における暖房感の低下を抑制することができる。
【0125】
なお、連動運転時の除霜運転について、連動運転時と同方向に冷媒を循環させる形態(いわゆる正サイクル除霜)を例に挙げて説明した。これによらず、連動運転時の除霜運転は、冷風冷房運転時と同方向に冷媒を循環させる形態(いわゆる逆サイクル除霜)でもよい。その際、圧縮機5から吐出された冷媒は、空気熱交換器10に供給され、空気熱交換器10に発生した霜を溶かし、膨張弁8を通過し、水冷媒熱交換器7を介して圧縮機5に戻される。
【0126】
<連動運転時の蓄熱運転>
次に本実施形態における連動運転時の蓄熱運転について説明する。連動運転時の蓄熱運転は、連動運転時の除霜運転の前に行われ、除霜運転時に室温が低下してしまい、暖房感を損ねる事を防止する。この蓄熱運転は、前述した、温風暖房運転時の蓄熱運転時と同様に室温を蓄熱対象とした第一の蓄熱運転と、前述した、床暖房運転時の蓄熱運転時と同様に温水冷媒を蓄熱対象とした第二の蓄熱運転と、の二種の蓄熱運転が共に行われるものである。
【0127】
次に、連動運転時の蓄熱運転について説明し、ここでは、室内機17と、熱交換端末27と、の両方による暖房運転が行われる場面に基づいて説明を行う。連動運転時の蓄熱運転は、連動運転時に所定の蓄熱運転開始条件が成立した場合に、室内機17を用いて強制暖房による、ユーザーが設定した設定温度より室温を上昇させる第一の蓄熱運転を行う。さらに、連動運転時の蓄熱運転は、熱交換端末27に供給される循環液の温度を上昇させる第二の蓄熱運転を行う。連動運転時の蓄熱運転は、この、第一の蓄熱運転と第二の蓄熱運転とを両方を行うものである。これにより、この連動運転時の蓄熱運転は、複数の蓄熱対象に分散して蓄熱する事ができるため、暖房感を損ねる事無く快適性を維持する事ができる。また、連動運転時の蓄熱運転は、第一の蓄熱運転又は、第二の蓄熱運転のみを行う場合よりも、上昇させる室温及び/又は、循環液の温度を低い温度に上昇させるものである。なお、蓄熱運転開始条件は、外気温度と空気熱交換器10の出口側の冷媒温度とに基づいて設定される条件である。すなわち、外気温度と空気熱交換器10の出口側の冷媒温度とから、じきに除霜運転が開始されると推測される条件(除霜開始条件が成立するよりも手前で成立する条件)である。第一の蓄熱運転又は、第二の蓄熱運転のみを行う場合よりも、じきに除霜運転が開始されると推測される条件は、例えば、外気温度と空気熱交換器10の出口側の冷媒温度の条件をより大きく差のある値とする。このことにより、連動運転時の蓄熱運転は、除霜開始条件が成立するタイミングにより近いタイミングで蓄熱運転開始条件が成立するものである。
【0128】
連動運転時、蓄熱制御部44Hは、蓄熱運転開始条件が成立したか否かを判断し、蓄熱運転開始条件が成立したと判断した場合、蓄熱運転を開始する。この蓄熱運転の開始と同時にカウント部44H1のカウントも開始される。蓄熱運転が開始されると、蓄熱制御部44Hから蓄熱運転中である旨の信号が出力される。目標室温決定部44Jは、その信号を受け、それまで設定されていた連動運転時のエアコン設定温度Tconより高く、蓄熱目標室温Ta1より低い第二所定温度としての蓄熱目標室温Ta2を新たな目標室温として設定する。それと共に、目標戻り温度決定部44Eは、その信号を受け、それまで設定されていた連動運転時の目標戻り温度より高く、蓄熱目標水温Tb1よりも、低い第四所定温度としての蓄熱目標水温Tb2を新たな目標戻り温度として設定する。このことにより、複数の蓄熱対象に分散して蓄熱する際に、蓄熱対象の温度を上昇させすぎる事が無く相対湿度が大きく低下しないため、部屋が乾燥することなく、快適性を維持する事ができる。
【0129】
この時、圧縮機制御部44Bは、室内温度センサ19により検出される室内空気の温度が、目標室温決定部44Jにより設定された蓄熱目標室温Ta2になる。それと共に、入水温度センサ123により検出される温水の温度が、目標戻り温度決定部44Eにより設定された蓄熱目標水温Tb2になるように、圧縮機5の回転数を制御する。実際の動きとして、蓄熱運転開始直後は、目標室温がそれまで設定されていた連動運転時の目標室温(エアコン設定温度Tcon)よりも高い温度である蓄熱目標室温Ta2に変更される。また、室内空気の温度を上昇させる温度である、蓄熱目標室温Ta2は、蓄熱温度係数に応じて決定される。この蓄熱温度係数は、温風暖房運転時の目標室温から蓄熱運転開始時の室内空気の温度を引いて算出される。この蓄熱温度係数が大きいほど、蓄熱目標室温Ta2は、高い値となるように決定される。それと共に、目標戻り温度(目標温水温度)がそれまで設定されていた連動運転時の目標戻り温度よりも高い温度である蓄熱目標水温Tb2に変更される。また、温水の温度を上昇させる温度である、蓄熱目標水温Tb2は、蓄熱温度係数に応じて決定される。この蓄熱温度係数は、床暖房運転時の目標戻り温度から蓄熱運転開始時の水温の温度を引いて算出される。この蓄熱温度係数が大きいほど、蓄熱目標水温Tb2は、高い値となるように決定される。これにより、蓄熱対象の温度を上昇させすぎる事が無く快適性を維持する事ができる。このことから、室内温度センサ19により検出される室内空気の温度と蓄熱目標室温Ta2との温度差と、入水温度センサ123により検出される温水温度と蓄熱目標水温Tb2との温度差と、は、蓄熱運転直前の連動運転時よりも大きくなる。これにより、圧縮機制御部44Bは、圧縮機5の回転数を増加させるようにする。そして、室内温度センサ19により検出される室内空気の温度が目標室温(蓄熱目標室温Ta2)に到達してきたら、室内温度センサ19により検出される室内空気の温度を目標室温に維持する。それと共に、入水温度センサ123により検出される温水温度が目標戻り温度(蓄熱目標水温Tb2)に到達してきたら、入水温度センサ123により検出される温水温度を目標戻り温度に維持する。そために、圧縮機制御部44Bは、圧縮機5の回転数を減少させるようにする。
【0130】
また、蓄熱運転が開始されると、蓄熱制御部44Hから蓄熱運転中である旨の信号が目標吐出温度設定部44Iにも出力される。目標吐出温度設定部44Iは、その信号を受けると、蓄熱運転を開始する直前の連動運転時に設定されていた目標吐出温度を維持するよう制御する。すなわち、蓄熱運転時は、連動運転時のように、目標室温(エアコン設定温度Tcon)や目標戻り温度(目標温水温度)に応じて目標吐出温度を変更するといった設定方法をとらない。これにより、目標室温が連動運転時より高い所定の蓄熱目標室温Ta2に変更されたり、目標戻り温度が連動運転時より高い所定の蓄熱目標水温Tb2に変更されたとしても、蓄熱運転を開始する直前の連動運転時に設定されていた目標吐出温度をそのまま維持する。すなわち、蓄熱運転が終了するまでその目標吐出温度が維持される。
【0131】
このとき、目標吐出温度は、蓄熱運転を開始する直前の連動運転時に設定されていたものが、そのまま維持される。このため、膨張弁制御部44Cは、膨張弁8と、膨張弁15と、の開度を大きく変更することはない。また、蓄熱運転開始直後は蓄熱運転を開始する直前の連動運転時の開度を維持する。蓄熱運転中、圧縮機5から吐出される冷媒の温度は多少の高低はあれども、目標吐出温度は蓄熱運転を開始する直前の連動運転時より高くされることはない。なので、膨張弁8と、膨張弁15と、の開度を大きく絞る(閉じる)という動作は発生せず、空気熱交換器10に循環される冷媒温度が大きく低下することもない。
【0132】
また、蓄熱運転が開始されると、蓄熱制御部44Hから蓄熱運転中である旨の信号が室内機制御部20にも出力される。室内機制御部20は、その信号を受けると、室内機制御部20は、室内ファン18の回転数を連動運転時よりも高い回転数の蓄熱運転回転数に上昇させるように制御する。さらに、蓄熱制御部44Hから蓄熱運転中である旨の信号がポンプ制御部44Dにも出力され、ポンプ制御部44Dは、その信号を受けると、ポンプ制御部44Dは、循環ポンプ34の回転数を連動運転時よりも低下させるように制御する。
【0133】
ここで、室内熱交換器14に流入する冷媒の温度が一定で、室内熱交換器14において冷媒から室内空気に一定の熱量が与えられた場合を想定する。室内ファン18の回転数を上昇させたときの方が、単位時間当たりの室内空気の循環流量が増加し、熱交換効率が上がるため、室内熱交換器14から室内空気に与えようとする熱量は増加する。よって、蓄熱運転時に室内ファン18の回転数を上昇させると、室内空気の温度を上昇させることができる。さらに、蓄熱運転時の目標室温は、連動運転時の目標室温よりも高く、蓄熱目標室温Ta1よりも、低い所定の蓄熱目標室温Ta2に設定されるため、圧縮機5の回転数が増加する方向に制御される。その結果、室内熱交換器14を通過する冷媒の循環流量が増加し、室内熱交換器14において冷媒から室内空気に与えようとする熱量が増加するので、室内空気の温度を上昇させやすくなる。その上、蓄熱運転時に室内ファン18の回転数を上昇させて室内空気に供給される温風の温度を高くしているが、温水への蓄熱も併用して行われる。このため、室内空気の温度のみを上昇させて蓄熱を行う場合に対して、室内空気の温度を上昇させる温度は低く抑えられるため、室内機17に対応する部屋の室温が上がりすぎることはなく、ユーザに不快感を与えることがない。
【0134】
ここで、水冷媒熱交換器7に流入する温水の温度が一定で、水冷媒熱交換器7において冷媒から温水に一定の熱量が与えられた場合を想定する。循環ポンプ34の回転数を低下させたときの方が、単位時間当たりの温水の循環流量が減少し、温度効率が上がるため、水冷媒熱交換器7から流出する温水の温度は高くなる。よって、蓄熱運転時に循環ポンプ34の回転数を低下させると、熱交換端末27に供給される温水の温度を上昇させることができる。さらに、蓄熱運転時の目標温水温度は、連動運転時の目標温水温度よりも高い蓄熱目標水温Tb2に設定されるため、圧縮機5の回転数が増加する方向に制御される。その結果、水冷媒熱交換器7を通過する冷媒の循環流量が増加し、水冷媒熱交換器7において冷媒から温水に与えようとする熱量が増加するので、水冷媒熱交換器7から流出する温水の温度を上昇させやすくなる。また、循環ポンプ34の回転数は連動運転時より低下しているため、水冷媒熱交換器7において冷媒から温水に与えられる熱量は減り、水冷媒熱交換器7から流出する冷媒の温度が高くなる。そうすると、空気熱交換器10へ循環される冷媒の温度も高くなり、空気熱交換器10への霜の付着の進行を抑えることができる。その上、蓄熱運転時に循環ポンプ34の回転数を低下させて熱交換端末27に供給される温水の温度を高くしているが、循環ポンプ34の回転数は低下させている。このことで、温水の循環流量は下がり、熱交換端末27で放熱されにくくなり、温水の温度自体は高くなるが、室内空気への蓄熱も併用して行われる。このため、温水の温度のみを上昇させて蓄熱を行う場合に対して、温水温度を上昇させる温度は低く抑えられるため、熱交換端末27に対応する部屋の室温が上がりすぎることはなく、ユーザに不快感を与えることがない。
【0135】
蓄熱運転時の循環ポンプ34の回転数低下制御について、より具体的に説明する。ポンプ制御部44Dは、蓄熱運転の際、入水温度センサ123で検出される温水温度が蓄熱目標水温Tb2に到達するまで、循環ポンプ34の回転数を所定時間毎に所定値ずつ徐々に低下させるように制御する。なお、蓄熱運転時に低下させることのできる循環ポンプ34の下限回転数は予め設定されている。また、循環ポンプ34の回転数は徐々に低下させ、入水温度センサ123で検出される温水温度が蓄熱目標水温Tb2に到達するまでの間に、循環ポンプ34の回転数が予め設定された下限回転数に到達した場合がある。その場合、到達後は、循環ポンプ34を下限回転数で制御するようにする。
【0136】
連動運転中及び蓄熱運転中において、外気温度が低い場合、空気熱交換器10は徐々に着霜する。蓄熱運転中に、所定の除霜開始条件が成立した場合、蓄熱運転を終了した後に、除霜制御部44Gは空気熱交換器10の霜を溶かすための除霜運転の実行を開始するものである。
【0137】
上記の蓄熱運転時における制御を実現するために、室外機制御部44によって実行される制御手順を、
図8のフローチャートにより説明する。ここでは、室内機17と、熱交換端末27と、を併用する、連動運転が行われる場面について説明を行う。
【0138】
連動運転時、蓄熱制御部44Hは、蓄熱運転開始条件が成立したか否か判定する(ステップST25)。ここで、蓄熱運転開始条件の成立は、外気温度と空気熱交換器10の出口側の冷媒温度とに基づいて設定される条件である。この蓄熱運転開始条件は、例えば、外気温度が所定温度(例えば2℃)以下、且つ、第一温度差よりも大きい第二温度差としての外気温度-空気熱交換器10の出口側の冷媒温度>6℃という条件である。また、蓄熱制御部44Hは、第一温度差よりも大きい第二温度差としたことで、蓄熱対象の温度を上昇させすぎる事が無くさらに、蓄熱対象の温度の上昇が不足する事が無いため、快適性を維持する事ができる。蓄熱制御部44Hは、蓄熱運転開始条件が成立したと判断した場合、蓄熱運転を開始し(ステップST26)、カウント部44H1による蓄熱運転の時間のカウントが開始される(ステップST27)。
【0139】
その後、目標室温決定部44Jは、目標室温として蓄熱目標室温Ta2を設定し(ステップST28)、ステップST29に移行する。なお、ステップST28で行われる蓄熱目標室温Ta2はST4の蓄熱目標室温Ta1よりも低い温度である。
【0140】
その後、目標戻り温度決定部44Eは、目標温水温度(目標戻り温度)として蓄熱目標水温Tb2を設定し(ステップST29)、ステップST30に移行する。なお、ステップST29で行われる蓄熱目標水温Tb2はステップST15で行われる蓄熱目標水温Tb1よりも低い温度である。
【0141】
ステップST30において、目標吐出温度設定部44Iは、蓄熱運転を開始する直前の連動運転時に設定されていた目標吐出温度と同じ温度を、継続して目標吐出温度として設定する。
【0142】
ステップST31において、室内機制御部20は、室内ファン18の回転数を連動運転時よりも高い回転数の蓄熱運転回転数に上昇させる。
【0143】
ステップST32で、ポンプ制御部44Dは、循環ポンプ34の回転数を連動運転時の回転数(例えば、3500rpm)から所定値(例えば、100rpm)低下させる。
【0144】
その後、ステップST33で、蓄熱制御部44Hにて所定時間(ここでは、1分)が経過したか否かが判定される。1分が経過していなければ判定が満たされずループ待機し(ステップST33:NO)、1分が経過したら判定が満たされ(ステップST33:YES)、ステップST34に移行する。
【0145】
ステップST34において、蓄熱制御部44Hは、入水温度センサ123で検出される温水温度がステップST29で設定した目標温水温度(蓄熱目標水温Tb2)に到達したか否かを判定する。入水温度センサ123で検出される温水温度が蓄熱目標水温Tb2に到達していなければ判定が満たされず(ステップST34:NO)、ステップST35に移行し、ステップST35において、除霜制御部44Gは、所定の除霜開始条件が成立したか否か判定する。ここで、除霜開始条件の成立は、外気温度と空気熱交換器10の出口側の冷媒温度とに基づいて設定される条件である。例えば、外気温度が所定温度(例えば2℃)以下、且つ、外気温度-空気熱交換器10の出口側の冷媒温度>10℃という単独蓄熱運転を行う場合よりも除霜が開始されにくい条件である。又は蓄熱運転を開始してから、第一蓄熱時間よりも短い時間の第二蓄熱時間(例えば、30分)が経過すること、すなわちカウント部44H1のカウントする時間が一定時間を超えるという条件である。このうち、何れか一方の条件が成立することである。また、第一蓄熱時間よりも短い時間の第二蓄熱時間とすることで、複数の蓄熱対象に分散して蓄熱する際に、短時間で蓄熱する事ができ、蓄熱対象の温度を上昇させすぎる事が無く快適性を維持する事ができる。
【0146】
ステップST35において、所定の除霜開始条件が成立していなければ判定が満たされず(ステップST35:NO)、ステップST36に移行し、ステップST36で、ポンプ制御部44Dは、現在の循環ポンプ34の回転数が下限回転数か否か判定する。現在の循環ポンプ34の回転数が下限回転数ではない場合は判定が満たされず(ステップST36:NO)、ステップST32に移行し、循環ポンプ34の回転数を100rpm低下させる。
【0147】
上記のように、入水温度センサ123で検出される温水温度が目標温水温度(蓄熱目標水温Tb2)に到達していない(ステップST34:NO)場合がある。且つ、除霜開始条件も成立せず(ステップST35:NO)、現在の循環ポンプ34の回転数が下限回転数ではない場合(ステップST36:NO)がある。この場合は、ステップST34:NO→ステップST35:NO→ステップST36:NO→ステップST32→ステップST33→ステップST34をループし、循環ポンプ34の回転数は1分毎に100rpmずつ低下していく。そして、入水温度センサ123で検出される温水温度が目標温水温度(蓄熱目標水温Tb2)に到達していない(ステップST34:NO)場合がある。且つ、除霜開始条件も成立していない(ステップST35:NO)が、現在の循環ポンプ34の回転数が下限回転数に到達した場合(ステップST36:YES)がある。この場合は、ステップST34に移行し、以後、蓄熱運転が終了するまでは、循環ポンプ34の回転数は下限回転数で維持される。
【0148】
ステップST34において、入水温度センサ123で検出される温水温度が目標温水温度(蓄熱目標水温Tb2)に到達していない場合(ステップST34:NO)、ステップST35に移行する。ステップST35において、除霜開始条件は成立(ステップST35:YES)した場合は、蓄熱制御部44Hは蓄熱運転を終了させる(ステップST37)。そして、除霜制御部44Gは除霜運転を開始させる。
【0149】
また、ステップST34において、入水温度センサ123で検出される温水温度が目標温水温度(蓄熱目標水温Tb2)に到達したら判定が満たされ(ステップST34:YES)、ステップST38に移行する。
【0150】
ステップST38において、蓄熱制御部44Hは、室内温度センサ19で検出される室内空気の温度がステップST28で設定した目標室温(蓄熱目標室温Ta2)に到達したか否かを判定する。室内温度センサ19で検出される室内空気の温度が蓄熱目標室温Ta2に到達していなければ判定が満たされず(ステップST38:NO)、ステップST39に移行する。ステップST39おいて、除霜制御部44Gは、所定の除霜開始条件が成立したか否か判定する。ここで、除霜開始条件の成立は、外気温度と空気熱交換器10の出口側の冷媒温度とに基づいて設定される条件である。例えば、外気温度が所定温度(例えば2℃)以下、且つ、外気温度-空気熱交換器10の出口側の冷媒温度>10℃という単独蓄熱運転を行う場合よりも除霜が開始されにくい条件である。又は蓄熱運転を開始してから、第一蓄熱時間よりも短い時間の第二蓄熱時間(例えば、30分)が経過すること、すなわちカウント部44H1のカウントする時間が一定時間を超えるという条件のうち、何れか一方の条件が成立することである。
【0151】
ステップST39において、所定の除霜開始条件が成立していなければ判定が満たされず(ステップST39:NO)、ステップST38に移行する。
【0152】
上記のように、室内温度センサ19で検出される室内空気の温度は目標室温(蓄熱目標室温Ta2)に到達しておらず(ステップST38:NO)、除霜開始条件も成立しない(ステップST39:NO)場合がある。この場合は、ステップST38:NO→ステップST39:NO→ステップST38をループする。
【0153】
ステップST38において、室内温度センサ19で検出される室内空気の温度が目標室温(蓄熱目標室温Ta2)に到達していない場合(ステップST38:NO)、ステップST39に移行する。ステップST39において、除霜開始条件は成立(ステップST39:YES)した場合は、蓄熱制御部44Hは蓄熱運転を終了させる(ステップST37)。そして、除霜制御部44Gは除霜運転を開始させる。
【0154】
また、ステップST38において、室内温度センサ19で検出される室内空気の温度が目標室温(蓄熱目標室温Ta2)に到達したら判定が満たされ(ステップST38:YES)、蓄熱制御部44Hは蓄熱運転を終了させる(ステップST40)。そして、ステップST41に移行する。
【0155】
ステップST41において、除霜制御部44Gは、所定の除霜開始条件が成立したか否か判定する。除霜開始条件が成立するまでは、ステップST41の判定が満たされず(ステップST41:NO)ループ待機し、除霜開始条件が成立したら判定が満たされ(ステップST41:YES)、除霜制御部44Gは除霜運転を開始させる。
【0156】
ここで、従来のものにおいては、空気熱交換器10に着霜が生じた場合、除霜時の暖房感喪失を防止するために蓄熱運転が行われる。その際、行われる蓄熱運転は、前述した、室温を蓄熱対象とした第一の蓄熱運転と、前述した、温水冷媒を蓄熱対象とした第二の蓄熱運転と、の二種の蓄熱運転のうちどちらか一方のみが行われるものである。
【0157】
しかしながら、第一の蓄熱運転のみを行い、室温のみを上昇させた際に、室温が上昇しすぎてしまい、快適性を損ねる場合があった。また、第二の蓄熱運転のみを行い、温水温度のみを上昇させた際に、熱交換端末27内へ供給される温水温度が上昇しすぎてしまい、快適性を損ねる場合があった。
【0158】
<本実施形態の手法の概要>
そこで、本実施形態は、連動運転時、空気熱交換器10に着霜が生じた場合、除霜運転を行い、除霜運転前に、蓄熱運転を行う。この蓄熱運転は、室内機17により室内空気を蓄熱対象とし、この蓄熱対象の温度を所定温度上昇させる第一の蓄熱運転を行う。それと共に、蓄熱運転は、熱交換端末27を循環する湯水を蓄熱対象とし、この蓄熱対象の温度を所定温度上昇させる第二の蓄熱運転を行う。蓄熱運転は、この二種の蓄熱運転を共に行う併用蓄熱運転である。
【0159】
また、併用蓄熱運転を行う際に第一の蓄熱運転の蓄熱対象の温度を上昇させる温度である蓄熱目標室温Ta2は、第一の蓄熱運転のみの蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を行う際に蓄熱対象の温度を上昇させる温度である蓄熱目標室温Ta1よりも小さい値とする。及び/又は、併用蓄熱運転を行う際に第二の蓄熱運転の蓄熱対象の温度を上昇させる温度である蓄熱目標水温Tb2は、第二の蓄熱運転のみの蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を行う際に蓄熱対象の温度を上昇させる温度である蓄熱目標水温Tb1よりも小さい値とする。
【0160】
また、第一の蓄熱運転と第二の蓄熱運転とのうち、少なくとも一方が行われる蓄熱運転が開始されてから、蓄熱運転が終了する。除霜運転を開始するまでの時間である蓄熱時間は、第一の蓄熱運転と第二の蓄熱運転とのうち、何れか一方のみの蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を行う際の蓄熱時間である第一蓄熱時間よりも、併用蓄熱運転を行う際の蓄熱時間である第二蓄熱時間を短い時間とした。
【0161】
また、蓄熱運転は、第一の蓄熱運転のみの蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を行う際に蓄熱対象の温度を上昇させる温度である蓄熱目標室温Ta1と、併用蓄熱運転を行う際に第一の蓄熱運転の蓄熱対象の温度を上昇させる温度である蓄熱目標室温Ta2と、を有する。それと共に、蓄熱運転は、第二の蓄熱運転のみの蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を行う際に蓄熱対象の温度を上昇させる温度である蓄熱目標水温Tb1を有する。さらに、蓄熱運転は、併用蓄熱運転を行う際に第二の蓄熱運転の蓄熱対象の温度を上昇させる温度である蓄熱目標水温Tb2を有する。蓄熱目標室温Ta1と、蓄熱目標室温Ta2と、蓄熱目標水温Tb1と、蓄熱目標水温Tb2と、のうち少なくとも何れか一つは、蓄熱温度係数に応じて決定される。蓄熱温度係数は、暖房運転時の蓄熱対象の目標温度から蓄熱運転開始時の蓄熱対象の温度を引いて算出され、この蓄熱温度係数が大きいほど、蓄熱運転を行う際に蓄熱対象の温度を上昇させる温度は、高い値となるように決定されるものである。
【0162】
また、蓄熱運転は、空気熱交換器10の温度から外気温度を引いて算出される温度差に応じて蓄熱運転の開始が判断される。温度差は、第一の蓄熱運転と第二の蓄熱運転とのうち、何れか一方のみの蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を開始する温度差である第一温度差よりも、併用蓄熱運転を開始する温度差である第二温度差を大きい値としたものである。
【0163】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の空調システム1は、除霜運転前に、蓄熱運転が行われる。この蓄熱運転は、室内機17により室内空気を蓄熱対象とし、この蓄熱対象の温度を所定温度上昇させる第一の蓄熱運転が行われる。それと共に、この蓄熱運転は、熱交換端末27を循環する湯水を蓄熱対象とし、この蓄熱対象の温度を所定温度上昇させる第二の蓄熱運転か行われる。この蓄熱運転は、この二種の蓄熱運転を共に行う併用蓄熱運転が行われる。これにより、この蓄熱運転は、複数の蓄熱対象に分散して蓄熱する事ができるため、暖房感を損ねる事無く快適性を維持する事ができる。
【0164】
また、蓄熱運転は、蓄熱目標室温Ta1よりも、蓄熱目標室温Ta2を小さい値とし、及び/又は、蓄熱目標水温Tb1よりも、蓄熱目標水温Tb2を小さい値とした。このことで、併用蓄熱運転は、複数の蓄熱対象に分散して蓄熱する際に、蓄熱対象の温度を上昇させすぎる事が無く快適性を維持する事ができる。
【0165】
また、蓄熱時間を、第一蓄熱時間よりも、第二蓄熱時間を短い時間としたことで、複数の蓄熱対象に分散して蓄熱する際に、短時間で蓄熱する事ができ、蓄熱対象の温度を上昇させすぎる事が無く快適性を維持する事ができる。
【0166】
また、蓄熱対象の温度を上昇させる温度である、蓄熱目標室温Ta1と、蓄熱目標室温Ta2と、蓄熱目標水温Tb1と、蓄熱目標水温Tb2と、のうち少なくとも何れか一つは、蓄熱温度係数に応じて決定される。蓄熱温度係数は、暖房運転時の蓄熱対象の目標温度から蓄熱運転開始時の蓄熱対象の温度を引いて算出される。この蓄熱温度係数が大きいほど、蓄熱対象の温度を上昇させる温度は、高い値となるように決定されることで、蓄熱対象の温度を上昇させすぎる事が無く快適性を維持する事ができる。
【0167】
また、蓄熱運転は空気熱交換器10の温度から外気温度を引いて算出される温度差に応じて蓄熱運転の開始が判断される。温度差は、第一の蓄熱運転と第二の蓄熱運転とのうち、何れか一方のみの蓄熱運転を行う単独蓄熱運転を開始する温度差である第一温度差よりも、併用蓄熱運転を開始する温度差である第二温度差を大きい値とした。このことで、蓄熱運転は、蓄熱対象の温度を上昇させすぎる事が無くさらに、蓄熱対象の温度の上昇が不足する事が無いため、快適性を維持する事ができる。
【0168】
また、本実施形態では、熱交換端末27は床面を加熱する、いわゆる床暖房パネルとして説明したが、温水パネルや、暖房可能な冷温水パネルを用いてもよい。
【0169】
さらに、本実施形態では、空調対象空間の空気を加熱する端末は、いわゆるエアコンの室内機17として説明した。これによらず、空調対象空間の空気を加熱する端末は、熱交換端末27に室内機17の室内ファンに相当するファンを備えるものでも良い。例えば、この空調対象空間の空気を加熱する端末は、熱交換端末27に温水を通水して熱源とし、室内空気と熱交換して熱を放出し、空調対象空間の空気を加熱する、ファンコイルや、温水ルームヒーターを用いてもよい。
【符号の説明】
【0170】
1 空調システム
4 室外機
5 圧縮機
7 水冷媒熱交換器
7a 水側の流路(水通路)
7b 冷媒側の流路(冷媒通路)
10 空気熱交換器
12 外気温度センサ(外気温検知手段)
13 冷媒温度センサ(空気熱交換器温度検出手段)
14 室内熱交換器
17 室内機
27 熱交換端末
33 加熱循環回路(湯水循環回路)
130 冷媒循環回路