IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】CDC7阻害剤を含む癌の治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/496 20060101AFI20241031BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 31/5025 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 31/203 20060101ALI20241031BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20241031BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20241031BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20241031BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
A61K31/496
A61P35/00
A61P35/02
A61P35/04
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K31/519
A61K31/5377
A61K31/5025
A61P43/00 111
A61K31/203
A61K31/192
G01N33/50 P
G01N33/48 M
G01N33/48 P
G01N33/574 A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021516638
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 US2019048657
(87)【国際公開番号】W WO2020068347
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】62/760,638
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/735,778
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2019/019676
(32)【優先日】2019-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591002957
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】ハシグ,クリスチャン,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,ライアン,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ミルティノヴィッチ,スネジャナ
(72)【発明者】
【氏名】ストラウス,ブライアン,ウィリアム
【審査官】田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/115355(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/133802(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
45/00
A61P 1/00-43/00
G01N 33/48-33/98
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌を治療する方法における使用のための組成物であって、前記組成物が、式(I-D)で表されるSRA141化合物を含み、
前記方法が、前記癌を有する対象に、式(I-D)で表されるSRA141化合物の治療有効量を投与することを含み、
【化1】
前記治療有効量が、100~400mg/日の絶対用量である、
組成物。
【請求項2】
前記対象が、表4:
【表1】
の包含基準のうちの1つ以上を有すると特定されるか、または
前記対象が、Cdc7阻害剤療法を以前に受けたことがない、
請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
前記治療有効量が、少なくとも160mg/日、または少なくとも320mg/日であるか、または
前記治療有効量が、少なくとも150mg/日、少なくとも200mg/日、少なくとも250mg/日、少なくとも300mg/日、または少なくとも350mg/日であるか、または
前記治療有効量が、少なくとも200mg/日、または少なくとも300mg/日である、
請求項1または2に記載の使用のための組成物。
【請求項4】
前記組成物が、経口投与される、ならびに/または
前記組成物が、毎日投与され、任意選択的に、前記組成物が、少なくとも連続5日間、少なくとも連続7日間、もしくは少なくとも連続14日間投与される、ならびに/または
前記組成物が、各週5日の投与に続いて2日の非投与、1週間の毎日の投与に続いて1、2、もしくは3週間の非投与、2もしくは3週間の毎日の投与に続いて1もしくは2週間の非投与、ならびに週間サイクルの2日目および3日目の投与、からなる群から選択される投与スケジュールに従って投与される、
請求項1~3のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項5】
前記治療有効量が、1日1回単一用量で投与されるか、または
前記治療有効量の半分が、1日2回投与される、
請求項1~4のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項6】
前記癌が、黒色腫、子宮癌、甲状腺癌、血液癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、大腸癌(CRC)、胃癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、脳癌、肉腫、小細胞肺癌、神経芽腫、および頭頸部癌からなる群から選択されるか、または
前記癌が、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好酸球性白血病、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)からなる群から選択される血液癌であるか、または
前記癌が、AMLであるか、または
前記癌が、転移性大腸癌(mCRC)である、
請求項1~5のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項7】
前記癌が、高いマイクロサテライト不安定性(MSI-H)状態を有するものとして分類されず、任意選択的に、前記MSI-H状態が、モノヌクレオチド反復マーカー、ジヌクレオチド反復マーカー、準単型性マーカー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される反復DNA配列の検出によって決定されるか、または、
前記癌が、マイクロサテライト安定性(MSS)状態を有すると分類される、
請求項1~6のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項8】
前記癌に関連する腫瘍が、染色体不安定性(CIN)、主軸チェックポイントアセンブリ欠陥、有糸分裂欠陥、G1/Sチェックポイント欠陥、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される表現型を含むか、または
前記癌に関連する腫瘍が、Wntシグナル伝達経路変異を含み、任意選択的に、前記Wntシグナル伝達経路変異が、大腸腺腫症(APC)遺伝子変異、FAT1変異、FAT4変異、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項1~7のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項9】
前記方法が、アーカイブもしくは新鮮腫瘍生検のいずれかを使用して、前記癌に関連する腫瘍をスクリーニングすることをさらに含み、任意選択的に、前記スクリーニングすることが、組織化学染色による染色体分離のパターンを検査すること、組織化学染色による薬物動態マーカーを検査すること、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~8のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項10】
前記方法が、投与後の前記対象において600ng/mL超、1000ng/mL超、もしくは1400ng/mL超の前記SRA141化合物の血漿Cmaxをもたらす、および/または
前記方法が、投与後の前記対象において5800ng-h/mL超、11900ng-h/mL超、もしくは16400ng-h/mL超の前記SRA141化合物のAUClastもたらす、および/または
前記方法が、投与後の前記対象において500ng/mL超、600ng/mL超、900ng/mL超、もしくは1300ng/mL超の前記SRA141化合物の腫瘍内濃度をもたらす、
請求項1~9のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項11】
前記方法が、MCM2リン酸化のインビボ阻害をもたらし、任意選択的に、前記MCM2リン酸化のインビボ阻害が、アミノ酸残基Ser40および/またはSer53にある、請求項1~10のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項12】
前記方法が、前記癌に関連する腫瘍または病変の成長阻害をもたらす、請求項1~11のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項13】
前記成長阻害が、SRA141の投与後の標的病変の第2の直径を、SRA141の投与前の前記標的病変の第1の直径と比較することによって決定されるか、または
前記成長阻害が、SRA141の投与後の標的病変群の第2の直径の合計を、SRA141の投与前の前記標的病変群の第1の直径の合計と比較することによって決定される、請求項12に記載の使用のための組成物。
【請求項14】
前記腫瘍または病変の成長が、未治療の腫瘍と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%阻害されるか、または
前記腫瘍の前記成長阻害が、未治療の腫瘍と比較して、少なくとも47%の最小成長阻害であるか、または
前記腫瘍の前記成長阻害が、未治療の腫瘍と比較して、少なくとも93%の最小成長阻害である、
請求項12または13に記載の使用のための組成物。
【請求項15】
前記方法が、前記癌に関連する腫瘍の退縮をもたらすか、または
前記方法が、前記癌に関連する腫瘍の細胞毒性をもたらすか、または
前記方法が、前記癌に関連する腫瘍の直径の合計の少なくとも30%の減少をもたらすか、または
前記方法が、前記対象において部分奏効、完全奏効、または安定性疾患をもたらす、
請求項1~14のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項16】
前記方法が、前記対象に、第2の治療有効量の1つ以上の追加の治療剤を投与することをさらに含み、前記癌が、血液癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫からなる群から選択される、請求項1~15のいずれかに記載の使用のための組成物。
【請求項17】
前記1つ以上の追加の治療剤が、抗腫瘍剤を含み、
前記抗腫瘍剤が、DNAポリメラーゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、哺乳動物ラパマイシン標的(mTOR)経路阻害剤からなる群から選択されるか、または
前記抗腫瘍剤が、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路阻害剤を含むか、または
前記抗腫瘍剤が、レチノイド経路調節因子を含むか、または
前記抗腫瘍剤が、アポトーシス調節因子を含むか、または
前記抗腫瘍剤が、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3キナーゼ(PI3K)経路阻害剤を含むか、または
前記抗腫瘍剤が、PARP阻害剤を含むか、または
前記抗腫瘍剤が、オーロラBキナーゼ阻害剤を含む、
請求項16に記載の使用のための組成物。
【請求項18】
前記MAPK阻害剤が、トラメチニブであり、
前記レチノイド経路調節因子が、RXRアゴニストであるベキサロテン、またはRARアゴニストであるトレチノイン(オールトランスレチノイン酸、ATRA)であり、
前記アポトーシス調節因子が、BCL-2阻害剤を含み、
前記BCL-2阻害剤が、ABT-199であり、
前記PI3K経路阻害剤が、コパンリシブであり、
前記PARP阻害剤が、BMN673であり、
前記オーロラBキナーゼ阻害剤が、バラセルチブである、
請求項17に記載の使用のための組成物。
【請求項19】
前記SRA141化合物および前記1つ以上の追加の治療の組み合わせが、相乗効果を示す、請求項16~18のいずれかに記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月24日に提出された米国仮出願第62/735,778号、2018年11月13日に提出された米国仮出願第62/760,638号、および2019年2月26日に提出されたPCT出願第PCT/US2019/019676号の利益および優先権を主張する。上記参照出願の各々の内容は、それらの全体が参照によって組み込まれる。
【0002】
配列表
該当なし
【背景技術】
【0003】
癌は、生体内の細胞の制御されない無制限の成長によって引き起こされる疾患のグループである。癌細胞は通常、正常細胞よりも速く成長するため、癌は、細胞分裂中、特に染色体分裂中にDNAの複製を制御することによって治療することができる。
【0004】
Cdc7は、細胞周期におけるDNA複製の開始に不可欠なセリン-スレオニンタンパク質キナーゼ酵素である。具体的には、Cdc7は、Dbf4(ASK)などの補因子と複合体を形成し、その基質であるMCM(ミニ染色体維持)タンパク質をリン酸化する。このリン酸化により、DNA上にCdc45およびDNAポリメラーゼが組み立てられ、MCM複合体を形成し、それによってDNA複製を開始すると言われている。
【0005】
Cdc7の発現レベルは、様々な癌細胞株およびヒト腫瘍組織において頻繁に上昇するため、抗癌剤標的としてCdc7に顕著な関心が生じている。Cdc7は、ヒト腫瘍に由来する一般に確立された細胞株だけでなく、生体組織から採取された細胞においても過剰発現することが見出されている。
【0006】
特定のCdc7阻害剤は、HelaおよびHCT116細胞などのヒト腫瘍細胞の成長に影響を及ぼすことが実証されているが、正常な細胞に対して限定的な効果のみを示す。
【0007】
現在、Cdc7阻害剤を使用した癌の治療に有用な有効な治療組成物および方法はない。
【発明の概要】
【0008】
癌を治療する方法であって、当該方法が、
癌を有する対象に、治療有効量の式(I-D)で表されるSRA141化合物を投与することを含み、
【化1】
治療有効量が、10~400mg/日または10~1000mg/日の絶対用量である、方法を本明細書に記載する。
【0009】
いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0010】
いくつかの実施形態では、治療有効量は、少なくとも10mg/日、少なくとも20mg/日、少なくとも40mg/日、少なくとも80mg/日、少なくとも160mg/日、または少なくとも320mg/日である。いくつかの実施形態では、治療有効量は、少なくとも15mg/日、少なくとも25mg/日、少なくとも50mg/日、少なくとも100mg/日、少なくとも150mg/日、少なくとも200mg/日、少なくとも250mg/日、少なくとも300mg/日、または少なくとも350mg/日である。
【0011】
いくつかの実施形態では、SRA141化合物は、経口投与される。
【0012】
いくつかの実施形態では、SRA141化合物は、毎日投与される。いくつかの実施形態では、SRA141化合物は、少なくとも連続5日間、少なくとも連続7日間、または少なくとも連続14日間投与される。いくつかの実施形態では、SRA141化合物は、各週5日の投与、続いて2日の非投与、1週間の毎日の投与、続いて1、2、または3週間の非投与、2または3週間の毎日の投与、続いて1または2週間の非投与、ならびに週間サイクルの2日目および3日目の投与からなる群から選択される投与スケジュールに従って投与される。いくつかの実施形態では、治療有効量は、1日1回単一用量で投与される。いくつかの実施形態では、治療有効量の半分は、1日2回投与される。
【0013】
いくつかの実施形態では、癌は、黒色腫、子宮癌、甲状腺癌、血液癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、大腸癌(CRC)、胃癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、脳癌、肉腫、小細胞肺癌、神経芽細胞腫、および頭頸部癌からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、癌は、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好酸球性白血病、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)からなる群から選択される血液癌である。いくつかの実施形態では、癌は、AMLである。
【0014】
いくつかの実施形態では、癌は、転移性大腸癌(mCRC)である。いくつかの実施形態では、mCRCは、高いマイクロサテライト不安定性(MSI-H)状態を有すると分類されない。いくつかの実施形態では、MSI-H状態は、モノヌクレオチド反復マーカー、ジヌクレオチド反復マーカー、準単型性マーカー、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される反復DNA配列の検出によって決定される。いくつかの実施形態では、検出は、PCR分析、多重PCR分析、毛細血管電気泳動、DNA配列決定、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される方法によって実行される。
【0015】
いくつかの実施形態では、癌に関連する腫瘍は、染色体不安定性(CIN)、主軸チェックポイントアセンブリ欠陥、有糸分裂欠陥、G1/Sチェックポイント欠陥、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される表現型を含む。いくつかの実施形態では、癌に関連する腫瘍は、Wntシグナル伝達経路変異を含む。いくつかの実施形態では、Wntシグナル伝達経路変異は、大腸腺腫症(APC)遺伝子変異、FAT1変異、FAT4変異、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0016】
いくつかの実施形態では、方法は、アーカイブまたは新鮮な腫瘍生検のいずれかを使用して関連する腫瘍をスクリーニングすることをさらに含む。いくつかの実施形態では、スクリーニングすることは、組織化学染色による染色体分離のパターンを検査すること、組織化学染色による薬物動態マーカーを検査すること、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、スクリーニングすることは、腫瘍が、異常な有糸分裂を示すかどうかを決定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、スクリーニングすることは、SRA141化合物の投与前に実行される。いくつかの実施形態では、スクリーニングすることは、SRA141化合物の投与後に実行される。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法は、投与後の対象において600超、1000超、または1400ng/mL超のSRA141化合物の血漿Cmaxをもたらす。いくつかの実施形態では、方法は、投与後の対象において5800超、11900超、または16400ng-h/mL超のSRA141化合物のAUClastをもたらす。いくつかの実施形態では、方法は、投与後の対象において500ng/mL超、600ng/mL超、900ng/mL超、または1300ng/mL超のSRA141化合物の腫瘍内濃度をもたらす。いくつかの実施形態では、腫瘍内濃度は、SRA141化合物の複数回投与後に到達する。いくつかの実施形態では、腫瘍内濃度は、SRA141化合物の単一用量の後に到達する。
【0018】
いくつかの実施形態では、方法は、MCM2リン酸化のインビボ阻害をもたらす。いくつかの実施形態では、MCM2リン酸化のインビボ阻害は、アミノ酸残基Ser40またはSer53である。いくつかの実施形態では、MCM2リン酸化のインビボ阻害は、癌に関連する腫瘍にある。いくつかの実施形態では、癌に関連する腫瘍におけるMCM2リン酸化のインビボ阻害は、未治療の腫瘍試料と比較して、少なくとも50%である。いくつかの実施形態では、未治療の腫瘍試料は、対象にSRA141化合物を投与する前に得られる生検である。いくつかの実施形態では、MCM2リン酸化のインビボ阻害は、SRA141化合物の単一用量の後である。いくつかの実施形態では、MCM2リン酸化のインビボ阻害は、対象の皮膚にある。いくつかの実施形態では、MCM2リン酸化のインビボ阻害は、ウェスタンブロット分析、免疫組織化学(IHC)、または液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)によって測定される。いくつかの実施形態では、MCM2リン酸化のインビボ阻害は、対象の生検で測定される。いくつかの実施形態では、MCM2リン酸化のインビボ阻害は、SRA141化合物の複数回投与後に測定される。いくつかの実施形態では、MCM2リン酸化のインビボ阻害は、SRA141化合物が定常状態の血漿濃度に到達した後に測定される。
【0019】
いくつかの実施形態では、方法は、癌に関連する腫瘍の成長阻害をもたらす。いくつかの実施形態では、腫瘍の成長阻害は、未治療の腫瘍と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の最小成長阻害である。いくつかの実施形態では、腫瘍の成長阻害は、未治療の腫瘍と比較して、少なくとも47%の最小成長阻害である。いくつかの実施形態では、腫瘍の成長阻害は、未治療の腫瘍と比較して、少なくとも93%の最小成長阻害である。いくつかの実施形態では、方法は、癌に関連する腫瘍の退縮をもたらす。いくつかの実施形態では、退縮は、完全退縮である。いくつかの実施形態では、方法は、癌に関連する腫瘍の細胞毒性をもたらす。いくつかの実施形態では、方法は、癌に関連する腫瘍の直径の合計の少なくとも30%の減少をもたらす。いくつかの実施形態では、方法は、対象において部分奏効、完全奏効、または安定性疾患をもたらす。
【0020】
いくつかの実施形態では、方法は、癌に関連する腫瘍または病変の成長阻害レベルを決定することをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法は、SRA141の投与後の標的病変の第2の直径を、SRA141の投与前の標的病変の第1の直径と比較して、標的病変成長が阻害されるかどうかを決定することを含む。いくつかの事例では、腫瘍または病変の成長は、未治療の腫瘍または病変と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%阻害されることが確認される。
【0021】
いくつかの実施形態では、方法は、第2の治療有効量の1つ以上の追加の治療を対象に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の治療は、抗腫瘍剤を含む。いくつかの実施形態では、抗腫瘍剤は、DNAポリメラーゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、ラパマイシン(mTOR)経路阻害剤の哺乳動物標的からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗腫瘍剤は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、MAPK阻害剤は、トラメチニブである。いくつかの実施形態では、抗腫瘍剤は、レチノイド経路調節因子を含む。いくつかの実施形態では、レチノイド経路調節因子は、RXRアゴニストであるベキサロテンまたはRARアゴニストであるトレチノイン(オールトランスレチノイン酸、ATRA)である。いくつかの実施形態では、抗腫瘍剤は、アポトーシス調節因子を含む。いくつかの実施形態では、アポトーシス調節因子は、アポトーシス誘導因子を含む。いくつかの実施形態では、アポトーシス誘導剤は、BCL-2阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、BCL-2阻害剤は、ABT-199である。いくつかの実施形態では、抗腫瘍剤は、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3キナーゼ(PI3K)経路阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、PI3K経路阻害剤は、コパンリシブである。いくつかの実施形態では、抗腫瘍剤は、PARP阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、PARP阻害剤は、BMN673である。いくつかの実施形態では、抗腫瘍剤は、オーロラBキナーゼ阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、オーロラBキナーゼ阻害剤は、バラセルチブである。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の治療は、毎日投与される。いくつかの実施形態では、SRA141化合物および1つ以上の追加の治療は、相乗効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の図面に関してよりよく理解されるであろう。
【0023】
図1A】急性骨髄性白血病のマウス異種移植片モデルにおけるSRA141単剤療法で治療された動物の腫瘍体積を示すグラフである。
図1B】急性骨髄性白血病のマウス異種移植片モデルにおいてSRA141単剤療法で治療された動物の腫瘍重量を示すグラフである。
図1C】急性骨髄性白血病のマウス異種移植片モデルにおいてSRA141単剤療法で治療された動物の体重変化を示すグラフである。
図2A】急性骨髄性白血病のラット異種移植片モデルにおいてSRA141単剤療法で治療された動物の平均腫瘍体積を示すグラフである。
図2B】急性骨髄性白血病のラット異種移植片モデルにおいてSRA141単剤療法で治療された動物の体重変化を示すグラフである。
図2C】急性骨髄性白血病のラット異種移植片モデルにおいてSRA141単剤療法で治療された個々の対象の腫瘍体積を示すグラフである。
図3A】血液癌由来細胞株のパネルにおけるSRA141の半数最大阻害濃度(IC50)を示すグラフである。
図3B】癌の種類によって分類される決定されたIC50値の要約を示す。
図3C】癌と正常細胞との間のSRA141に対する感受性を例示する。
図3D】多数の細胞株におけるCdc7阻害剤SRA141、TAK-931、およびLY-3177833の活性を示す。
図3E】72時間(左カラム)および144時間(右カラム)後の7つの細胞株におけるATPレベル(CTG)、代謝活性(CellTiter-Blue(CTB))、細胞のDNA含有量(CyQuant)、ならびにエステラーゼ活性(カルセインAM)を測定するように設計された4つの直交アッセイを使用したIC50値を示す。
図3F】SRA141への異なる曝露時間後の144時間におけるCTGおよびCyQuantによって決定されるIC50値を示す。
図4A】大腸癌(CRC)の患者由来異種移植片(PDX)モデルにおいてSRA141単剤療法で治療された動物の平均腫瘍体積を示すグラフである。
図4B】大腸癌(CRC)の患者由来異種移植片(PDX)モデルにおいてSRA141単剤療法で治療された動物の体重変化を示すグラフである。
図5】大腸癌(CRC)の患者由来異種移植片(PDX)モデルにおいてSRA141単剤療法で治療された動物の個々の対象の腫瘍体積を示すグラフである。
図6】大腸癌(CRC)の患者由来異種移植片(PDX)モデルにおける治療の32日目(D32)のSRA141単剤療法で治療された動物の平均腫瘍体積を示すグラフである。
図7A】大腸癌のラット異種移植片モデルにおけるSRA141で治療した動物の平均腫瘍体積を示すグラフである。
図7B】大腸癌のラット異種移植片モデルにおけるSRA141を用いた治療後12時間のリン酸化MCM2の低減を示す、体重変化パーセント、SRA141の腫瘍濃度、および免疫ブロットのグラフを示す。
図8】抗腫瘍剤と組み合わせてSRA141で連続処理(前処理)された細胞株の細胞成長の阻害(0時間および72時間の未処理対照と比較した細胞生存率)を示すグラフである。
図9】抗腫瘍剤と組み合わせてSRA141(「シエラ化合物1」)で共処理された細胞株の成長阻害の相乗効果スコアを示す表を示す。
図10A】抗腫瘍剤と組み合わせてSRA141(「シエラ化合物1」)で共処理された細胞株の成長阻害の相乗効果スコアを示す表を示す。
図10B】ゲムシタビン単独またはSRA141と組み合わせて処理したHT-29細胞の成長阻害パーセントを示すグラフである。
図11A】インビトロ生化学アッセイにおけるSRA141によるCdc7の強力な阻害を示す。
図11B】Cdc7へのSRA141結合および解離動態の滞在時間を示す。
図12】SRA141およびTAK931のキノムスクリーニングアッセイの結果を示す。
図13】0.033および3.3μMの濃度で8時間(図13A)~24時間(図13B)、ならびに0.1および1μMの濃度で3時間、6時間、および24時間(図13C)SRA141で処理したColo-205細胞、ならびにCdc7の下流標的のリン酸化状態の後続評価を用いて0.5および3.3μMの濃度でSRA141で処理したMV411細胞(図13D)を示す。
図14】24時間0.1μMおよび1μMでのSRA141を用いた治療後のMCM2のSer53上のリン酸化の定量化を示すグラフである。
図15】S相中(図15A)およびM相の開始時(図15B)にSRA141で処理した細胞からのフローサイトメトリデータ、SRA141で処理した細胞における細胞周期およびDNAマーカーの評価(図15C)、ならびにCdc7阻害剤で処理した細胞集団における有糸分裂細胞の割合の評価(図15D)を示す。
図16】APC変異を有する、かつ有さない細胞株におけるSRA141感受性の要約を示す。
図17】Colo-205腫瘍異種移植片を有するBALB/cマウスにおけるSRA141単剤療法で治療された動物の平均腫瘍体積を示すグラフである。
図18】SW620腫瘍異種移植片を有するBALB/cマウスにおいてSRA141単剤療法で治療した動物の平均腫瘍体積を示すグラフである。
図19】A20腫瘍異種移植片を有するBALB/cマウスにおいてSRA141単剤療法で治療された動物の平均腫瘍体積を示すグラフである。
図20】MDA-MB-486乳房腫瘍異種移植片を有するCB-17 SCIDマウスにおけるSRA141単剤療法で治療された動物の平均腫瘍体積を示すグラフである。
図21】皮下SW620腫瘍を有するBALB/cマウスにおける単回SRA141投与後に減少したpMCM2レベルを示す(図21Aに示されるpMCM2レベル、図21Bにアクチンに対して定量化および正規化された阻害%)。
図22】皮下Colo-205腫瘍を有する雌RowettヌードラットにおけるSRA141治療後のpMCM2レベルを示す。
図23】雌ヌードラットを有する非腫瘍におけるLC-MS/MSによって決定されるSRA141血漿濃度を示す。
図24A】SRA141を用いて、かつ用いずに治療した白血病のラット異種移植片モデル由来の腫瘍および代替組織における全MCM2、リン酸化MCM2、およびgH2AXの免疫組織化学評価を示す。
図24B】白血病のラット異種移植片モデル由来の腫瘍および代替組織におけるリン酸化MCM2の免疫組織化学評価を示す。
図24C】SRA141およびビヒクルで治療された白血病のラット異種移植片モデルからの腫瘍の免疫組織化学およびH&E評価を示す。
図25A】様々な投与量でのSRA141を用いた治療後の異種移植片腫瘍におけるpMCM2-S40発現の評価結果を示す。
図25B】様々な投与量でのSRA141を用いた治療後のラット異種移植片由来の皮膚試料におけるpMCM2-S40発現の評価結果を示す。
図26】正常なヒト皮膚における全MCM2、pMCM2-S53、pMCM2-S40、およびgH2AXの評価結果を示す。
図27】Colo-205細胞(図27A図27G)、SW620細胞(図27B)、A375細胞(図27C)、KG-1細胞(図27D)、MOLM-13細胞(図27E図27H)、およびMV411細胞(図27F)における様々な追加の抗腫瘍剤と組み合わせてSRA141により行われる細胞生存率アッセイの結果を示す。
図28】RNAiノックダウンによる抗アポトーシス遺伝子の阻害(図28A)またはABT-199での処理(図28B)後の細胞におけるSRA141を用いた治療の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
有効量のCdc7阻害剤SRA141の投与によって、対象、例えば、ヒトにおいて、腫瘍成長を阻害する方法が、本明細書に開示される。有効量のCdc7阻害剤SRA141の投与によって、対象、例えば、ヒトにおいて、腫瘍成長を阻害する方法も、本明細書に開示される。併用療法における有効量のCdc7阻害剤SRA141の投与によって、対象、例えば、ヒトにおいて、腫瘍成長を阻害する方法もまた、本明細書に開示される。
【0025】
定義
特許請求の範囲および明細書で使用される用語は、別段明記されない限り、以下に記載されるように定義される。
【0026】
本発明の実施は、有機化学、分子生物学(組換え技法を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来の技法の使用を含み、これらは当該技術分野の範囲内である。
【0027】
本願では、多くの技術的表示が参照されるであろう。全ての数字表示、例えば、それらの各々の範囲を含む、適切に、例えば、0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、5.0、または10.0の増分による典型的には様々な(+)または(-)であり得る近似値である。全ての数字表示は「約」という用語が先行するものと理解され得る。本明細書に記載される試薬は例示であり、その同等物は当該技術分野で既知であり得る。
【0028】
本発明で利用される化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有し、ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、位置異性体、および個々の異性体(例えば、別々のエナンチオマー)は全て、本発明の範囲内に包含されることが意図される。本発明の化合物はまた、そのような化合物を構成する原子のうちの1つ以上で不自然な割合の原子同位体を含有し得る。例えば、化合物は、例えば、限定なしに、トリチウム(H)、ヨウ素-125(125I)、または炭素-14(14C)などの放射性同位体で放射標識され得る。本発明の化合物の全ての同位体変形は、放射性かどうかにかかわらず、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0029】
「対象」という用語は、ヒト、ならびにサル、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、および齧歯類を含むがこれらに限定されない獣医学および研究上関心のある動物などの哺乳動物を含む、任意の哺乳動物を指す。
【0030】
対象への薬物および/または療法を「投与すること」またはその「投与」という用語(およびこの句の文法的同等物)は、直接または間接投与の両方を指し、これは医療専門家による対象への投与であり得、自己投与、および/または間接投与であり得、これは対象に薬物および/または療法を処方するか、または処方するように説得する行為であり得る。
【0031】
「同時投与」という用語は、同じ期間中にそれらの薬理学的効果を発揮する方法で投与される2つ以上の化合物を指す。そのような同時投与は、2つ以上の化合物の同時(simultaneous)、同時(contemporaneous)、または連続投与のいずれかにより達成することができる。
【0032】
障害または疾患を「治療すること」またはその「治療」という用語は、障害もしくは疾患、例えば、腫瘍成長もしくは癌の症状を緩和するか、またはそうでなければ臨床結果を含む対象についての何らかの有益なもしくは所望の結果を得るための措置を講じることを指す。任意の有益なまたは所望の臨床結果には、これらに限定されないが、癌の1つ以上の症状の緩和もしくは改善または条件付き生存および腫瘍細胞量もしくは腫瘍体積の低減、疾患の程度の減退、腫瘍進行もしくは疾患進行の遅延もしくは減速、腫瘍および/もしくは疾患状態の改善、緩和、もしくは安定化、または他の有益な結果が含まれ得る。
【0033】
「インサイチュ」または「インビトロ」という用語は、生存生物とは別に成長する、例えば、組織培養で成長する生存細胞中で起こるプロセスを指す。
【0034】
「インビボ」という用語は、生存生物中で起こるプロセスを指す。
【0035】
「Cdc7」という用語は、CDC7遺伝子によってコードされる細胞分裂サイクル7セリン/トレオニンタンパク質キナーゼを指す。
【0036】
1つ以上の症状(およびこの句の文法的同等物)の「低減」という用語は、症状(複数可)の重症度もしくは頻度の減少、または症状(複数可)の除去を指す。
【0037】
明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別段明確に示さない限り、複数の指示物を含むことに留意しなければならない。
【0038】
本発明の方法
Cdc7阻害剤であるSRA141の投与により、対象、例えばヒトにおいて、腫瘍成長を阻害する方法が、本明細書に開示される。化合物、化合物を含むキット、およびそれらの使用方法の詳細な説明は以下に見い出される。
【0039】
投与
本明細書に開示されるように、本発明の方法は、有効量のSRA141の投与を含む。本開示は、有効量のSRA141が対象に投与される治療方法を提供する。「有効量」または「治療有効量」という用語は、疾患の症状を改善するのに有効な量、例えば、腫瘍の成長を阻害するのに有効な量を指す。いくつかの態様では、SRA141の有効量は、最大忍容用量(MTD)未満である。いくつかの態様では、SRA141の有効量は、1000mg/日未満、500mg/日未満、または400mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA141の有効量は、300mg/日未満、200mg/日未満、150mg/日未満、100mg/日未満、または75mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA141の有効量は、324mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA141の有効量は、324mg/日である。いくつかの態様では、SRA141の有効量は、少なくとも10mg/日である。いくつかの態様では、SRA141の有効量は、10~400mg/日である。いくつかの態様では、SRA141の有効量は、10~324mg/日である。いくつかの態様では、SRA141の有効量は、40~400mg/日である。いくつかの態様では、SRA141の有効量は、少なくとも10mg/日、少なくとも20mg/日、少なくとも40mg/日、少なくとも80mg/日、少なくとも160mg/日、または少なくとも320mg/日である。いくつかの態様では、SRA141の有効量は、少なくとも15mg/日、少なくとも25mg/日、少なくとも50mg/日、少なくとも75mg/日、少なくとも100mg/日、少なくとも150mg/日、少なくとも200mg/日、少なくとも250mg/日、少なくとも300mg/日、または少なくとも350mg/日である。いくつかの態様では、SRA141の有効量は、10mg/日、20mg/日、40mg/日、80mg/日、160mg/日、320mg/日、325mg/日、350mg/日、または400mg/日である。いくつかの態様では、SRA141の有効量は、15mg/日、25mg/日、50mg/日、75mg/日、100mg/日、150mg/日、200mg/日、250mg/日、300mg/日、または350mg/日である。
【0040】
単剤療法
一実施形態では、有効量のCdc7阻害剤は、単剤療法として投与される。
【0041】
いくつかの態様では、Cdc7阻害剤単剤療法の有効量は、最大忍容用量(MTD)未満である。いくつかの態様では、Cdc7阻害剤単剤療法の有効量は、1000mg/日未満、500mg/日未満、または400mg/日未満である。いくつかの態様では、Cdc7阻害剤単剤療法の有効量は、300mg/日未満、200mg/日未満、150mg/日未満、100mg/日未満、または75mg/日未満である。いくつかの態様では、Cdc7阻害剤単剤療法の有効量は、324mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA141単剤療法の有効量は、324mg/日である。いくつかの態様では、Cdc7阻害剤単剤療法の有効量は、少なくとも10mg/日である。いくつかの態様では、Cdc7阻害剤単剤療法の有効量は、10~400mg/日である。いくつかの態様では、Cdc7阻害剤単剤療法の有効量は、10~324mg/日である。いくつかの態様では、Cdc7阻害剤単剤療法の有効量は、40~400mg/日である。いくつかの態様では、Cdc7阻害剤単剤療法の有効量は、少なくとも10mg/日、少なくとも20mg/日、少なくとも40mg/日、少なくとも80mg/日、少なくとも160mg/日、または少なくとも320mg/日である。いくつかの態様では、Cdc7阻害剤単剤療法の有効量は、少なくとも15mg/日、少なくとも25mg/日、少なくとも50mg/日、少なくとも75mg/日、少なくとも100mg/日、少なくとも150mg/日、少なくとも200mg/日、少なくとも250mg/日、少なくとも300mg/日、または少なくとも350mg/日である。いくつかの態様では、SRA141単剤療法の有効量は、10mg/日、20mg/日、40mg/日、80mg/日、160mg/日、320mg/日、325mg/日、350mg/日、または400mg/日である。いくつかの態様では、SRA141単剤療法の有効量は、15mg/日、25mg/日、50mg/日、75mg/日、100mg/日、150mg/日、200mg/日、250mg/日、300mg/日、または350mg/日である。
【0042】
併用療法
また、本明細書に開示されるように、本発明の方法は、有効量のSRA141を投与し、第2の有効量の1つ以上の追加の治療を同時投与する併用療法を含む。
【0043】
さらなる治療は、化学療法剤の投与、抗体または抗体断片(免疫チェックポイント阻害剤など)の投与、放射線治療の投与、およびそれらの組み合わせの投与を含むが、これらに限定されない。さらなる治療はまた、DNAポリメラーゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ阻害剤、ラパマイシン(mTOR)経路阻害剤の哺乳動物標的などの抗腫瘍剤の投与を含むが、これらに限定されない。抗腫瘍剤はまた、トラメチニブなどの有糸分裂原活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路阻害剤を含むことができる。抗腫瘍剤はまた、RXRアゴニストであるベキサロテン、およびRARアゴニストであるトレチノインなどのレチノイド経路調節因子を含むことができる。抗腫瘍剤はまた、抗Bcl-2剤(例えば、ABT-199)を含むがこれらに限定されない、アポトーシス誘導因子を含むなど、アポトーシス調節因子を含むことができる。抗腫瘍剤はまた、コパンリシブなどのホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3キナーゼ(PI3K)経路阻害剤を含むことができる。抗腫瘍剤はまた、BMN673などのPARP阻害剤を含み得る。抗腫瘍剤はまた、KU-60019などのATMキナーゼ阻害剤を含むことができる。抗腫瘍剤はまた、バラセルチブなどのオーロラBキナーゼ阻害剤を含むことができる。抗腫瘍剤はまた、単極主軸1キナーゼ(Mps1)(例えば、CFI-402257)の阻害剤などのチロシントレオニンキナーゼ(TTK)阻害剤を含むことができる。抗腫瘍剤はまた、エルロチニブなどの上皮成長因子(EGF)の阻害剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、抗腫瘍剤は、ゲムシタビンである。いくつかの実施形態では、抗腫瘍剤は、ゲムシタビンではない。
【0044】
追加の治療はまた、抗腫瘍剤の組み合わせなどの追加の治療の組み合わせを含むことができる。
【0045】
本発明の特定の実施形態では、有効量のSRA141は、第2の有効量のさらなる治療との併用療法として対象に投与される。いくつかの態様では、第2の有効量は、約0.001mg/kg~約15mg/kgの量である。いくつかの実施形態では、追加の治療の第2の有効量は、0.001、0.005、0.010、0.020、0.050、0.1、0.2、0.5、1.0、2.0、5.0、10.0、または15.0mg/kgである。いくつかの実施形態では、さらなる治療の第2の有効量は、10~2000mg/m/日である。いくつかの実施形態では、さらなる治療の第2の有効量は、50~1250mg/m/日である。いくつかの実施形態では、追加の治療の第2の有効量は、50mg/m/日、100mg/m/日、150mg/m/日、200mg/m/日、300mg/m/日、400mg/m/日、500mg/m/日、600mg/m/日、700mg/m/日、800mg/m/日、900mg/m/日、1000mg/m/日、1100mg/m/日、または1250mg/m/日である。
【0046】
同時投与されるは、SRA141および追加の治療が同時に行われる方法、SRA141および追加の治療が連続的に行われる方法、ならびにSRA141および追加の治療の一方または両方のいずれかが断続的にもしくは継続的に、または同時に、連続的に、断続的に、および/もしくは継続的にの任意の組み合わせで行われる方法を包含する。当業者は、断続的投与が、薬剤の第1の投与および次いでその同じ薬剤の後の時間での別の投与も含むため、断続的投与が、必ずしも連続的投与と同じではないことを認識するであろう。また、当業者は、断続的投与が、第1の薬剤が再び投与される前に異なる薬剤の投与での薬剤の第1の投与の中断を含むため、断続的投与が、いくつかの態様では連続的投与も包含することを理解する。さらに、当業者は、静脈注射または栄養チューブなどを含む多くの経路によって連続投与を達成することができることも知っているであろう。
【0047】
その上、より一般的な方法では、「同時投与される」という用語は、対象へのCdc7阻害剤の個々の投与および追加の治療の個々の投与が任意の時間枠の間で重複するあらゆる全ての方法を包含する。
【0048】
投与経路
いくつかの態様では、本開示は、SRA141および/または追加の治療のいずれか一方、または両方、またはそれらの任意の組み合わせが、静脈内、皮下、皮膚、経口、筋肉内、および腹腔内からなる群から選択される経路により投与される方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、SRA141および/または追加の治療のいずれか一方、または両方、またはそれらの任意の組み合わせが静脈内投与される方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、SRA141および/または追加の治療のいずれか一方、両方、またはそれらの任意の組み合わせが経口投与される方法を提供する。
【0049】
本開示の単位用量形態は、同じまたは異なる物理的形態で、すなわち、カプセルもしくは錠剤を介して経口で、および/または経口で、または静脈内注入を介して液体などによって投与され得ることが、当業者によって理解される。また、各投与の単位用量形態は、特定の投与経路によって異なり得る。いくつかの様々な剤形が、Cdc7阻害剤およびさらなる治療の一方または両方について存在し得る。異なる医学的状態は、異なる投与経路の根拠となり得るため、本明細書に記載されるCdc7阻害剤とさらなる治療との組み合わせの同じ成分は、組成および物理的形態が全く同じであり得るが、状態を緩和するために異なる方法で、またおそらく異なる時間に与えられる必要があり得る。例えば、特に嘔吐を伴う、持続性悪心などの状態は、経口剤形の使用を困難にする可能性があり、そのような場合、別の単位用量形態、おそらく以前またはその後に使用される他の剤形と同一のものを、代わりにまたは加えて吸入、口腔内、舌下、または坐剤経路で投与することが必要であり得る。化学的安定性または薬物動態のような様々な因子に問題があり得るため、特定の剤形が、SRA141と追加の治療との特定の組み合わせの要件であり得る。
【0050】
投与スケジュール
一態様では、対象へのSRA141または追加の治療の投与の頻度は、Q1d、Q2d、Q3d、Q4d、Q5d、Q6d、Q7d、Q8d、Q9d、Q10d、Q14d、Q21d、Q28d、Q30d、Q90d、Q120d、Q240d、またはQ365dを含むが、これらに限定されない。「QnDまたはqnd」という用語は、「n」日毎に1回の薬物投与を指す。例えば、QD(またはqd)は、1日毎に1回または1日1回の投与を指し、Q2D(またはq2d)は、2日毎に1回の投与を指し、Q7Dは、7日毎に1回または1週間に1回の投与を指し、Q5Dは、5日毎に1回の投与などを指す。一態様では、SRA141および追加の治療は、異なるスケジュールで投与される。
【0051】
別の態様では、対象へのSRA141もしくは追加の治療の投与の頻度は、各週5日の投与、続いて2日の非投与、1週間の毎日の投与、続いて1、2、もしくは3週間の非投与、2もしくは3週間の毎日の投与、続いて1もしくは2週間の非投与、1日2回の投与、または週間サイクルの2日目および3日目の投与を含むが、これらに限定されない。一態様では、SRA141および追加の治療は、異なるスケジュールで投与される。
【0052】
一態様では、本開示は、SRA141および/またはさらなる治療の一方もしくは両方のいずれか、またはそれらの任意の組み合わせが断続的に投与される方法を提供する。一態様では、本開示は、投与間の少なくとも10分、15分、20分、30分、40分、60分、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、18時間、24時間、36時間、48時間、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週間、または4週間の遅延を有する対象に、SRA141または追加の治療のうちの1つまたは両方、またはこれらの任意の組み合わせのいずれかを投与することを含む方法を提供する。そのような態様では、遅延を伴う投与は、SRA141および/またはさらなる治療の一方、両方、またはそれらの任意の組み合わせが、約10分~約365日の所与の期間にわたって連続的に投与され、次いで約10分~約30日の所与の期間にわたって投与されないパターンに従う。一態様では、本開示は、SRA141および/または追加の治療のいずれか一方または任意の組み合わせが、他方が連続的に与えられる間に断続的に投与される方法を提供する。
【0053】
一態様では、本開示は、有効量のSRA141の組み合わせが第2の有効量のさらなる治療と連続的に投与される方法を提供する。
【0054】
一態様では、本開示は、SRA141および追加の治療が同時に投与される方法を提供する。一態様では、本開示は、有効量のSRA141の組み合わせが第2の有効量のさらなる治療と連続的に投与される方法を提供する。そのような態様では、用語が、対象が組み合わせにおける両方の成分に曝露されるあらゆる全ての方法を含むため、組み合わせは、「同時投与される」とも言われる。しかしながら、そのような態様は、1つの配合物または組成物のみで与えられる組み合わせに限定されない。特定の濃度のSRA141および追加の治療は、特定の間隔で送達するのにより有利であり得、そのようなものとして、SRA141の有効量および追加の治療の第2の有効量は、投与される配合物に応じて変わり得る。
【0055】
いくつかの態様では、本開示は、SRA141および追加の治療が同時にまたは連続的に投与される方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、有効量のSRA141が第2の有効量の追加の治療の後に続いて投与される方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、第2の有効量の追加の治療が有効量のSRA141の後に続いて投与される方法を提供する。
【0056】
いくつかの態様では、本開示は、組み合わせが1つの配合物で投与される方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、組み合わせが2つの組成物で投与され、有効量のSRA141が第2の有効量のさらなる治療の配合物とは別の配合物で投与される方法を提供する。
【0057】
いくつかの態様では、本開示は、有効量のSRA141が第2の有効量の追加の治療の後に続いて投与される方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、第2の有効量の追加の治療が有効量のSRA141の後に続いて投与される方法を提供する。いくつかの態様では、SRA141および追加の治療が投与され、その後、SRA141および追加の治療の両方が少なくとも24時間断続的に投与される。いくつかの態様では、SRA141および追加の治療は、重複しない1日おきのスケジュールで投与される。いくつかの態様では、追加の治療は、1日目に投与され、SRA141は、週間スケジュールの2日目および3日目に投与される。
【0058】
いくつかの態様では、本開示は、有効量のSRA141が第2の有効量のさらなる治療の4時間以上後に投与される方法を提供する。一態様では、本開示は、有効量のSRA141が、第2の有効量の追加の治療の10分以上、15分以上、20分以上、30分以上、40分以上、60分以上、1時間以上、2時間以上、4時間以上、6時間以上、8時間以上、10時間以上、12時間以上、24時間以上、2以上、4日以上、6日以上、8日以上、10日以上、12日以上、14日以上、21日以上、30日以上後に投与される方法を提供する。一態様では、本開示は、第2の有効量の追加の治療が、有効量のSRA141の10分以上、15分以上、20分以上、30分以上、40分以上、60分以上、1時間以上、2時間以上、4時間以上、6時間以上8時間以上、10時間以上、12時間以上、24時間以上、2日以上、4日以上、6日以上、8日以上、10日以上、12日以上、14日以上、21日以上、30日以上後に投与される方法を提供する。
【0059】
癌および腫瘍
癌の治療のための方法が開示される。したがって、本開示は、癌の治療を、それを必要とする対象(すなわち、癌を有する対象または癌に罹患している対象)において行う方法であって、本方法は、有効量のSRA141を癌を有する対象に投与することを含み、癌は、黒色腫、子宮癌、甲状腺癌、血液癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、大腸癌(CRC)、胃癌、子宮内膜癌、胆管癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、脳癌、肉腫、小細胞肺癌、神経芽腫、または頭頸部癌である、方法を提供する。いくつかの態様では、癌は、血液癌、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好酸球性白血病、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。いくつかの態様では、癌は、AMLである。
【0060】
いくつかの態様では、癌は、マイクロサテライト不安定性高(MSI-H)状態を有しないと分類され得る。「マイクロサテライト不安定性」という用語は、特定の反復DNA配列(例えば、短いタンデムリピートまたは単純な配列リピート)においてゲノム不安定性を有することを特徴とする腫瘍を指す。マイクロサテライト不安定性の検出方法は、Wang M.et al.,Screening for Microsatellite Instability in Colorectal Cancer and Lynch Syndrome-A Mini Review;NAJ Med Sci.2016;9(1):5-11に記載されるそれらの方法を含むが、これらに限定されない、当該技術分野で既知の任意の方法を含む。特定の実施形態において、マイクロサテライト不安定性は、モノヌクレオチドリピートマーカー(例えば、BAT-25、BAT-26、NR-21、NR-24、およびMONO-27、別名、Promega MSI多重システム)の検出によって特徴付けられる。特定の実施形態において、マイクロサテライト不安定性は、準単型性マーカーおよびジヌクレオチドリピートマーカー(例えば、BAT25、BAT26、D2S123、D5S346、およびD17S250、別名、Bathesdaパネル)の検出によって特徴付けられる。MSIは、2つ以上のマーカーにおける不安定性がMSI-H、1つのみにおける不安定性がMSI-Lとして分類され、MSSとして5つのマーカーにおいて観察された不安定性がない場合を使用して、MSI-high(MSI-H)、MSI-Low(MSI-L)、およびMS-Stable(MSS)として分類され得る。試験したマーカーの30%超が不安定性を示す場合(MSI-H)、試験したマーカーの10~30%が不安定性を示す場合はMSI-L、および試験したマーカーの10%未満が不安定性を示す場合はMSSとしても分類することができる。MSIステータスは、5、6、7、8、9、10、または10個以上のマーカーを使用して試験することができる。いくつかの実施形態では、癌は、MSSとして分類される。癌は、未知のMSI状態を有することもでき、すなわち、腫瘍は、MSI-H状態を有することが知られていない。
【0061】
特定の実施形態における「マイクロサテライト不安定性」という用語はまた、少なくとも1つの参照試料と比較して、ミスマッチ修復(MMR)の喪失と相関することが当該技術分野で知られる1つ以上の反復DNA配列を有することによって特徴付けられる腫瘍を指す。
【0062】
いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長を阻害する方法であって、腫瘍は、黒色腫、子宮癌、甲状腺癌、血液癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、大腸癌(CRC)、胃癌、子宮内膜癌、胆道癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、脳癌、肉腫、小細胞肺癌、神経芽腫、または頭頸部癌である、方法を提供する。腫瘍は、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好酸球性白血病、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)などの血液癌に由来し得る。腫瘍は、AML癌由来であり得る。腫瘍は、転移性大腸癌(mCRC)に由来し得る。腫瘍は、MSI-H状態を有すると分類されない転移性大腸癌(mCRC)に由来し得る。腫瘍は、Wntシグナル伝達経路変異、例えば、大腸腺腫症(APC)遺伝子変異、FAT1変異、FAT4変異、またはそれらの組み合わせを有することができる。腫瘍は、FBXW7変異を有することができる。
【0063】
いくつかの態様では、癌に関連する腫瘍は、アーカイブまたは新鮮な腫瘍生検のいずれかを使用し、ヘマトキシリンおよびエオシン(または同様の染色)による腫瘍切片の組織化学染色を使用して染色体分離のパターンを検査し、腫瘍が異常な有糸分裂(例えば、遅延染色体、後期ブリッジ、多極主軸)を呈するかどうかを、例えば、顕微鏡下で手動または自動化方法のいずれかで判定することによって前向きにスクリーニングされる表現型を含む。いくつかの態様では、異常な有糸分裂の薬物動態マーカーは、SRA141投与後に治療後の腫瘍生検を使用して組織化学染色によって決定される。治療後の生検は、SRA141投与の数日後に取得することができ、例えば、pMCM2モニタリングのために同日に生検を取得する(下記参照)。
【0064】
対象
本開示は、有効量のSRA141を、それを必要とする対象に投与することを提供する。本開示は、さらなる治療との併用療法において有効量のSRA141を、それを必要とする対象に投与することを提供する。いくつかの態様では、対象からの腫瘍は、投与前に遺伝子検査および/シーケンシングでスクリーニングされる。いくつかの態様では、対象からの腫瘍は、投与後に遺伝子検査および/シーケンシングでスクリーニングされる。いくつかの態様では、対象からの腫瘍は、投与後および前の両方にスクリーニングされる。いくつかの態様では、対象からの健康な細胞は、投与前、投与後、または両方に遺伝子検査および/シーケンシングでスクリーニングされる。いくつかの態様では、対象からの腫瘍は、マイクロサテライトまたは反復DNAなどの特定のバイオマーカーの発現のレベルを決定するために他の生物学的試験またはアッセイでスクリーニングされる。いくつかの態様では、対象からの腫瘍は、遺伝子検査および/シーケンシングならびに他のバイオマーカー試験またはアッセイの両方でスクリーニングされる。
【0065】
いくつかの態様では、本開示は、対象が哺乳動物である方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、対象が霊長類である方法を提供する。
【0066】
いくつかの態様では、本開示は、対象がマウスである方法を提供する。
【0067】
いくつかの態様では、本開示は、対象がヒトである方法を提供する。
【0068】
いくつかの態様では、本開示は、腫瘍が、黒色腫、子宮癌、甲状腺癌、血液癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、大腸癌(CRC)、胃癌、子宮内膜癌、胆道癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、脳癌、肉腫、小細胞肺癌、神経芽腫、または頭頸部癌からなる群から選択される癌に罹患しているヒトにある方法を提供する。いくつかの態様では、癌は、血液癌、例えば、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好酸球性白血病、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)である。いくつかの態様では、癌は、AMLである。いくつかの態様では、癌は、転移性大腸癌(mCRC)である。mCRCは、MSI-H状態を有しないと分類することができる。
【0069】
いくつかの態様では、対象は、MSI-H状態を有しない、染色体不安定性(CIN)表現型を有する(例えば、CRC CIN表現型は、一般に、マイクロサテライト不安定性(MSI)CRC腫瘍から互いに排他的である)、主軸チェックポイントアセンブリ欠損症、有糸分裂欠損症、G1/Sチェックポイント欠損症、Wntシグナル伝達経路変異(例えば、大腸腺腫症(APC)遺伝子変異、FAT1変異、FAT4変異、またはそれらの組み合わせ)、またはそれらの組み合わせを有するなど、Cdc7阻害に対する感受性を付与すると予想されるゲノム変化を有する腫瘍を有する。
【0070】
薬物動態
癌の治療のための本明細書に記載の方法は、400ng/mL超、600ng/mL超、1000ng/mL超、または1400ng/mL超のSRA141化合物の血漿Cmaxをもたらすことができる。癌の治療のための本明細書に記載の方法は、少なくとも500ng/mL、少なくとも600ng/mL、少なくとも700ng/mL、少なくとも800ng/mL、少なくとも900ng/mL、少なくとも1000ng/mL、少なくとも1100ng/mL、少なくとも1100ng/mL、少なくとも1200ng/mL、少なくとも1300ng/mL、少なくとも1400ng/mL、または少なくとも1500ng/mLのSRA141化合物の血漿Cmaxをもたらすことができる。
【0071】
癌の治療のための本明細書に記載の方法は、3000ng.h/mL超、5800ng.h/mL超、11900ng.h/mL超、または16400ng.h/mL超のSRA141化合物のAUClastをもたらし得る。癌の治療のための本明細書に記載の方法は、少なくとも5000ng.h/mL、少なくとも6000ng.h/mL、少なくとも7000ng.h/mL、少なくとも8000ng.h/mL、少なくとも9000ng.h/mL、少なくとも10000ng.h/mL、少なくとも11000ng.h/mL、少なくとも12000ng.h/mL、少なくとも13000ng.h/mL、少なくとも14000ngh/mL、少なくとも15000ngh/mL、または少なくとも16000ngh/mLのSRA141化合物のAUClastをもたらすことができる。
【0072】
癌の治療のための本明細書に記載の方法は、500ng/mL超、600ng/mL超、900ng/mL超、または1300ng/mL超のSRA141化合物の腫瘍内濃度をもたらし得る。癌の治療のための本明細書に記載の方法は、少なくとも500ng/mL、少なくとも600ng/mL、少なくとも700ng/mL、少なくとも800ng/mL、少なくとも900ng/mL、少なくとも1000ng/mL、少なくとも1100ng/mL、少なくとも1100ng/mL、少なくとも1200ng/mL、少なくとも1300ng/mL、少なくとも1400ng/mL、または少なくとも1500ng/mLのSRA141化合物の腫瘍内濃度をもたらすことができる。
【0073】
キナーゼ阻害
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、インビボキナーゼ阻害、例えば、MCM2リン酸化の阻害をもたらす。当該技術分野で既知であるように、S相およびその後のDNA複製に入る前に、ゲノムにわたって複製の複数の起源が確立される。これらの複製起点は、複製前複製複合体(pre-RC)と総称される6つのミニ染色体維持タンパク質(MCM2-7)を含む複数の成分から構成される。プレRCが確立されると、Cdc7はMCM2をリン酸化し、これはS相エントリおよびDNA複製を開始する。S相が進行すると、Cdc7は、細胞周期の次の相に入る前にDNA複製が完了するまで、追加の複製起点でMCM2をリン酸化する。したがって、MCM2リン酸化は、Cdc7活性の代替マーカーとして使用することができる。
【0074】
アミノ酸残基Ser40またはSer53でのリン酸化などのMCM2リン酸化のインビボ阻害をもたらす癌の治療方法が、本明細書に開示される。MCM2リン酸化のインビボ阻害は、癌に関連する腫瘍であり得る。腫瘍におけるMCM2リン酸化のインビボ阻害は、未治療の腫瘍試料と比較して、少なくとも50%であり得る。腫瘍におけるMCM2リン酸化のインビボ阻害は、未治療の腫瘍試料と比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%であり得る。MCM2リン酸化のインビボ阻害は、対象の皮膚にあり得る。MCM2リン酸化のインビボ阻害は、ウエスタンブロット分析、免疫組織化学(IHC)、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC/MS)、またはLC/MS/MSを含むが、これらに限定されない、当業者に既知のアッセイによって測定することができる。MCM2リン酸化のインビボ阻害は、対象の生検において測定することができる。
【0075】
癌の治療のための本明細書に記載の方法は、対象におけるオフターゲットキナーゼの特異的阻害をもたらさない(すなわち、回避し得る)場合があり、オフターゲットキナーゼは、WEE1、CDK7、CDK8、CDK9、およびLATS2からなる群から選択される。癌の治療のための本明細書に記載の方法は、オフターゲットキナーゼの90%未満の阻害をもたらし得る。
【0076】
腫瘍阻害
本開示は、有効量の化合物、例えば、SRA141を使用して、腫瘍の進行を阻害、その凝集の凝集体のサイズを低減、その体積を低減、その直径を低減、および/またはそうでなければその成長を阻害する方法を対象とする。したがって、癌の治療のための本明細書に記載の方法は、癌に関連する腫瘍の成長阻害をもたらすことができる。癌の治療のための本明細書に記載の方法は、癌に関連する腫瘍の細胞毒性をもたらすことができる。癌の治療のための本明細書に記載の方法は、癌に関連する腫瘍の成長阻害および細胞毒性をもたらすことができる。癌の治療のための本明細書に記載の方法は、癌に関連する腫瘍の成長阻害または細胞毒性をもたらすことができる。癌の治療のために本明細書に記載の方法は、癌に関連する腫瘍の退縮をもたらすことができ、完全退縮または部分退縮を含む。また本明細書で提供されるものは、基礎疾患、例えば、癌を治療し、対象の生存を延長する方法である。
【0077】
一実施形態では、腫瘍の成長の阻害を、それを必要とする対象において行う方法であって、対象に有効量のSRA141を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長を阻害するために有効量のSRA141を対象に投与する方法であって、腫瘍成長が、少なくとも47%低減される、方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長を阻害するために有効量のSRA141を対象に投与する方法であって、腫瘍成長が、少なくとも93%低減される、方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長を阻害するために有効量のSRA141を対象に投与する方法であって、腫瘍成長が、腫瘍体積によって測定される場合、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%減少する、方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長を阻害するために有効量のSRA141を対象に投与する方法であって、腫瘍の成長が、腫瘍の絶対サイズによって測定される場合、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%減少する、方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長を阻害するために有効量のSRA141を対象に投与する方法であって、腫瘍成長が、その種類の腫瘍の腫瘍マーカーの発現レベルによって測定される場合、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%減少する。本開示はまた、有効量の化合物SRA141および第2の有効量の追加の治療を使用して、腫瘍の進行を阻害、その凝集のサイズを低減、その体積を低減、その直径を低減、および/またはそうでなければその成長を阻害する方法を対象とする。また本明細書で提供されるものは、基礎疾患、例えば、癌を治療し、対象の生存を延長する方法である。
【0078】
一実施形態では、腫瘍の成長の阻害を、それを必要とする対象において行う方法であって、本方法は、対象に有効量のSRA141および第2の有効量の追加の治療を投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長を阻害するために有効量のSRA141および第2の有効量の追加の治療を対象に投与する方法であって、腫瘍成長が、腫瘍体積によって測定される場合、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%減少する。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長を阻害するために有効量のSRA141および第2の有効量の追加の治療を対象に投与する方法であって、腫瘍の成長が、腫瘍の絶対サイズによって測定される場合、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%減少する。いくつかの態様では、本開示は、対象に、腫瘍の成長を阻害するための有効量のSRA141および第2の有効量の追加の治療を投与する方法であって、腫瘍成長が、その種類の腫瘍の腫瘍マーカーの発現レベルによって測定される場合、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%減少する。
【0079】
臨床評価項目
癌を治療するための方法であり、例えば、対象において腫瘍の成長を阻害する、および/または腫瘍細胞の成長を阻害するための方法であり、方法は、臨床的に関連する評価項目をもたらす。
【0080】
腫瘍成長は、1つ以上の生体細胞がはるかに急速に成長および分裂する場合に起こり、細胞分裂の正常かつ健康なプロセスと比較して細胞数の増加をもたらす。この現象は、細胞が癌または前癌などの疾患状態にあるという徴候である。また、腫瘍成長はしばしば、凝集した細胞が腫瘍を形成する前の別個の段階で起こる。
【0081】
当業者が細胞複製速度を測定するために使用することができるいくつかの方法がある。細胞内の全体的な代謝活性は、標識された生物学的製品を介して測定することができる。例えば、細胞に浸透し、特定の酵素および他の因子と相互作用して、検出可能な生成物を生成することができるいくつかの市販の色素(例えば、MTT)がある。また、細胞バイオマーカーは、細胞において測定することができる。例えば、BrdUアッセイは、チミジン誘導体を細胞DNAに組み込み、抗体で検出することができる。増殖細胞核抗原(PCNA)は、別のそのような検出のためのバイオマーカーである。タグ付け技法の他に、当業者は、細胞計数を可能にするために、例えば、顕微鏡検査またはフローサイトメトリーを使用することもできる。
【0082】
一態様では、細胞複製は、生活の質(QOL)スコア、奏効期間(DOR、臨床的有効率(CBR)、患者報告転帰(PRO)、客観的奏効率(ORR)スコア、無病生存率(DFS)もしくは無増悪生存率(PFS)、無増悪期間(TTP)、全生存率、治療成功時間(TTF)、RECIST基準、部分奏効(PR)、安定疾患(SD)、進行性疾患(PD)、および/または完全奏効(CR)を含む臨床評価項目によって測定される。臨床評価項目は、当業者に周知の方法を使用して決定することができる。
【0083】
いくつかの態様では、CRは、任意の病理学的リンパ節(標的または非標的のいずれか)が短軸が<10mmに低減する、全ての標的病変の消失である。いくつかの態様では、PRは、ベースライン合計直径を参照して、標的病変の直径の合計の少なくとも30%減少である。いくつかの態様では、PDは、最小合計を参照として、標的病変の直径の少なくとも20%増加である(最小である場合、ベースライン合計を含む)。いくつかの態様では、合計は、20%の相対的な増加に加えて、少なくとも5mmの絶対的な増加を示すことができる。いくつかの態様では、最小合計直径を参照として、SDはPRに適格であるのに十分な収縮もPDに適格であるのに十分な増加もない。
【0084】
いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長が、有効量のSRA141の投与後に、少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、80、90、95、97、99、または99.9%低減する方法を提供する。
【0085】
いくつかの態様では、本開示は、低減%が1つ以上の臨床評価項目の測定(複数可)に基づいて計算される方法を提供する。
【0086】
いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長が、MTTアッセイにおける総細胞計数の増加もしくは減少によって、またはctDNAアッセイにより測定した遺伝子プロファイルの変化によって測定して、有効量のSRA141の投与後に、少なくとも5、10、20、30、40、50、60、80、90、95、97、99、もしくは99.9%、またはそれらの値以下で低減する方法を提供する。
【0087】
いくつかの一般的な態様では、本開示は、腫瘍の成長が、有効量のSRA141の投与後に、少なくとも5、10、20、30、40、50、60、80、90、95、97、99、または99.9%低減する方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長が、MTTアッセイにおける総細胞計数の増加もしくは減少によって、またはctDNAアッセイにより測定した遺伝子プロファイルの変化によって測定して、有効量のSRA141の投与後に少なくとも5、10、20、30、40、50、60、80、90、95、97、99、または99.9%低減する方法を提供する。
【0088】
いくつかの態様では、本開示は、投与が10μM未満のIC50値および/または1μM未満のGI50値をもたらす方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、投与が投与後24時間で10μM未満のIC50値および/または1μM未満のGI50値をもたらす方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、投与が投与後48時間で10μM未満のIC50値および/または1μM未満のGI50値をもたらす方法を提供する。
【0089】
いくつかの態様では、本開示は、投与が少なくとも1、10、25、50、100、200、400、600、800、または1000のAUCをもたらす方法を提供する。
【0090】
いくつかの態様では、投与が0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、1、3、5、10、20、40、50、60、80、90、100、200、250、300、350、または400μM以下のIC50値をもたらす方法を提供する。
【0091】
いくつかの態様では、本開示は、投与が少なくとも0.01、0.1、1、3、5、10、20、40、50、60、80、90、100、200、250、300、350、または400μMのEC50値をもたらす方法を提供する。
【0092】
いくつかの態様では、本開示は、投与が約1.001:1~約50:1、約1.1:1~約15:1、約1.2:1~約12:1、約1.2:1~約10:1、約1.2:1~約5:1、または約1.2:1~約3:1の範囲の治療指数(TI)値をもたらす方法を提供する。
【0093】
いくつかの態様では、本開示は、投与が少なくとも0.1μM、0.3μM、0.5μM、0.7μM、1μM、1.5μM、2μM、2.5μM、3μM、4μM、5μM、または10μMのGI50値をもたらす方法を提供する。
【0094】
いくつかの態様では、本開示は、投与が0.1、0.5、1、2μM、2.5μM、3μM、4μM、5μM、または10μM以下の最大応答観察(最大応答)値をもたらす方法を提供する。
【0095】
腫瘍成長は、総腫瘍体積を単位として表すことができる。当業者が、固形腫瘍がだいたい球形であるという仮定に基づいて腫瘍体積を計算するために使用することができる、一般的および特定の腫瘍モデルに特異的な両方の式が存在する。これに関して、当業者は、腫瘍体積を測定するために、超音波イメージング、手動もしくはデジタルキャリパー、超音波検査、コンピュータ断層撮影(CT)、マイクロCT、18F-FDG-マイクロPET、または磁気共鳴イメージング(MRI)などの実験ツールを使用することができる。例えば、Monga SP,Wadleigh R,Sharma A,et al.Intratumoral therapy of cisplatin/epinephrine injectable gel for palliation in patients with obstructive esophageal cancer.Am.J.Clin.Oncol.2000;23(4):386-n392;Mary M.Tomayko C.,Patrick Reynolds,1989.Determination of subcutaneous tumor size in athymic(nude)mice.Cancer Chemotherapy and Pharmacology,Volume 24,Issue 3,pp 148-154;E Richtig,G Langmann,K Mullner,G Richtig and J Smolle,2004.Calculated tumour volume as a prognostic parameter for survival in choroidal melanomas.Eye(2004)18,619-623;Jensen et al.BMC Medical Imaging 2008.8:16;Tomayko et al.Cancer Chemotherapy and Pharmacology September 1989,Volume 24,Issue 3,pp 148-154、およびFaustino-Rocha et al.Lab Anim(NY).2013 Jun;42(6):217-24(それらの各々は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0096】
いくつかの態様では、本開示は、投与が、有効量のSRA141の投与後に、少なくとも5、10、20、30、40、50、60、80、90、95、97、99、または99.9%の腫瘍体積の低減をもたらす方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、投与が、有効量のSRA141の投与後に、少なくとも5、10、20、30、40、50、60、80、90、95、97、99、または99.9%の腫瘍サイズの低減をもたらす方法を提供する。
【0097】
いくつかの態様では、本開示は、投与が、1、2、3、4、6、8、12、16、20、24、36、または52週間後に、少なくとも5%の腫瘍体積の低減をもたらす方法をもたらす方法を提供する。
【0098】
客観的奏効または腫瘍成長を評価するために、ベースラインでの全体的な腫瘍負荷は、推定され、その後の測定にコンパレータとして使用され得る。測定可能な疾患は、少なくとも1つの測定可能な病変の存在によって定義され得る。
【0099】
いくつかの態様では、本開示は、複数の測定可能な病変がベースラインで存在する場合、全ての関与する臓器を代表する合計最大5つの病変(および臓器あたり最大2つの病変)までの全ての病変が標的病変として特定され、ベースラインで記録および測定される方法を提供する。いくつかの態様では、標的病変は、それらのサイズ(最長直径を有する病変)に基づいて選択され、全ての関与臓器を代表する。いくつかの態様では、標的病変は、再現可能な繰り返し測定に適したものである。いくつかの場合において、図3のEisenhauer,et.al.(2009)に例示されるように、再現可能に測定することができる次に大きな病変が選択される状況では、最大の病変は、再現可能な測定に適さない。
【0100】
病理学的リンパ節は、結節がCTスキャンによって15mm以上の短軸を有する場合に測定可能と定義され、いくつかの場合において、標的病変として特定され得る。いくつかの実施形態では、結節の短軸はベースライン合計に寄与する。いくつかの実施形態では、結節の短軸は、結節が固形腫瘍によって関与されるかを判断するために放射線科医によって使用される直径である。いくつかの実施形態において、結節サイズは、画像が取得される平面における2つの寸法として報告される(例えば、CTスキャンについての軸平面、MRIスキャンについての軸平面、矢状面、または冠状面、スキャンの取得の平面に応じて)。いくつかの実施形態では、寸法のうちの小さい方が短軸である。いくつかの実施形態では、10mm以上であるが<15mmの短軸を有する病理学的結節は、非標的病変とみなされる。いくつかの実施形態では、<10mmの短軸を有する結節は、非病理学的とみなされ、記録も追跡もされない。
【0101】
いくつかの態様では、全ての標的病変についての直径(非結節性病変では最長、結節性病変では短軸)の合計は計算され、ベースライン合計直径として報告される。いくつかの態様では、リンパ節を合計に含める場合、短軸のみが合計に追加される。いくつかの態様において、ベースライン合計直径は、客観的な腫瘍成長または退縮を特徴付けるために、参照として使用される。
【0102】
いくつかの態様では、疾患の全ての他の病変または部位(病理学的リンパ節を含む)は、非標的病変として特定され、ベースラインで記録される。いくつかの場合において、測定が必要とされず、病変は「存在する」、「不在」、または「明確な進行」として追跡される。「場合によっては、同じ臓器に関与する複数の非標的病変(例えば、「複数の骨盤リンパ節の拡大」または「複数の肝転移」)が記録され得る。
【0103】
治療有効量および単位用量形態
一般に、本技術の化合物は、同様の有用性を提供する薬剤の許容される投与様式のいずれかにより治療有効量で投与されることになる。本技術の化合物、すなわち、活性成分の実際の量は、治療される疾患の重症度、対象の年齢および相対的な健康状態、使用される化合物の効力、投与の経路および形態、ならびに当業者に周知の他の因子などの多数の因子に依存することになる。薬物は、少なくとも1日1回、好ましくは1日1回または2回投与することができる。
【0104】
そのような薬剤の有効量は、最も効果的で便利な投与経路および最も適切な配合と同様に、日常的な実験により容易に決定することができる。様々な配合物および薬物送達システムが当該技術分野で利用可能である。例えば、Gennaro,A.R.,ed..(1995)Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.,Mack Publishing Co.を参照されたい。
【0105】
治療有効用量は、当該技術分野で周知の様々な技法を使用して最初に推定することができる。動物実験で使用される初期用量は、細胞培養アッセイで確立された有効濃度に基づく場合がある。ヒト対象に適した投与量範囲は、例えば、動物実験および細胞培養アッセイから得られたデータを使用して決定することができる。
【0106】
薬剤、例えば、本明細書に記載の方法で使用される化合物、例えば、Cdc7阻害剤SRA141の有効量または治療有効量または用量は、対象において症状の改善または生存の延長をもたらす薬剤または化合物の量を指す。そのような分子の毒性および治療有効性は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順によって、例えば、LD50(集団の50%に致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療上有効な用量)、ならびに最小有効濃度(MEC)または最小有効用量(MED)を決定することによって決定することができる。毒性対治療効果の用量比は、治療指数であり、これは、MTDまたは重篤な毒性が発現しない最高用量(HNSTD)対MEDの比として表すことができる。高い治療指数を示す薬剤が好ましい。
【0107】
有効量または治療有効量は、研究者、獣医、医師、または他の臨床医によって求められている、組織、システム、動物、またはヒトの生物学的または医学的応答を引き出すであろう化合物または薬学的組成物の量である。投与量は、毒性をほとんどまたは全く有さないED50を含む循環濃度の範囲内に特に含まれる。投与量は、用いられる剤形および/または利用される投与経路に応じてこの範囲内で変動してもよい。正確な配合、投与経路、投与量、および投与間隔は、対象の状態の詳細を考慮して、当該技術分野で既知の方法に従って選択されるべきである。
【0108】
投与量および間隔は、所望の効果を達成するのに十分な活性部分の血漿レベル、すなわち、最小有効濃度(MEC)を提供するために、個別に調整されてもよい。MECは、各化合物について変動するが、例えば、インビトロデータおよび動物実験から推定することができる。MECを達成するために必要な投与量は、個々の特徴および投与経路に依存するであろう。局所投与または選択的摂取の場合、薬物の有効な局所濃度は、血漿濃度に関連しないことがある。
【0109】
投与される薬剤または組成物の量は、治療される対象の性別、年齢、および体重、罹患の重症度、投与方法、ならびに処方医の判断を含む、様々な因子に依存し得る。
【0110】
治療有効量は、有効量のSRA141および第2の有効量の追加の治療のいずれか一方または両方と同じであることも、異なることもできる。これは、本開示が、SRA141の有効量も追加の治療の第2の有効量も、単独で、疾患の症状を改善する量であってはならない場合でも、本明細書に記載される方法が有効であることを提供するためである(例えば、SRA141および/または追加の治療の量は、個々の療法として投与される場合、「治療量以下」の量とみなされ得る)。しかしながら、本開示は、治療有効量の組み合わせが提供されなければならないことを提供し、すなわち、組み合わせは、少なくとも疾患の症状の治療に影響を与える。
【0111】
単位用量形態は、当業者によって一般的に理解される用語である。単位用量形態は、特定の使用のために販売される薬学的製剤である。製剤は、ほとんどの場合、薬学的に許容される担体または賦形剤の形態である、活性成分(複数可)および不活性成分を含む。複数の単位用量形態は異なる製剤であることが理解される。したがって、1つの単位用量形態は、例えば、各成分の特定の比での250mgのSRA141と追加の治療との組み合わせであってもよく、別の完全に異なる単位用量形態は、例えば、上記の各成分の同じ特定の比での750mgのSRA141と追加の治療との組み合わせである。よって、単位用量形態によって、SRA141の有効量およびさらなる治療の第2の有効量は、両方とも同じままであってもよい。もちろん、SRA141の有効量またはさらなる治療の第2の有効量のいずれか一方が変化する場合、単位用量形態は異なる。
【0112】
いくつかの態様では、有効量は、SRA141化合物に特有であり、すなわち、追加の治療の第2の有効量とは異なる。いくつかの態様では、有効量のSRA141は、「治療有効量」に等しい量、または治療効果および/もしくは有益な効果をもたらす量である。いくつかの態様では、SRA141の有効量は、「治療有効量」である。いくつかの態様では、追加の治療の第2の有効量は、「治療有効量」である。いくつかの態様では、SRA141の有効量および追加の治療の第2の有効量の両方は、「治療有効量」ではない。いくつかの態様では、第2の有効量は、追加の治療に特有であり、すなわち、第2の有効量は、異なる追加の治療について異なる量である。
【0113】
いくつかの態様では、SRA141と追加の治療との組み合わせは、1つの単位用量形態で配合される。いくつかの態様では、同じ単位用量形態は、少なくとも4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、1日、2日、3日、7日、10日、14日、21日、または30日間にわたって投与される。
【0114】
いくつかの態様では、SRA141と追加の治療との組み合わせは、少なくとも2つの別々に異なる単位用量形態で配合される。いくつかの態様では、第1の有効量は、第1の単位用量形態では第2の単位用量形態とは異なる。いくつかの態様では、有効量のSRA141は、第1の単位用量形態では第2の単位用量形態と同じである。
【0115】
いくつかの態様では、第1の単位用量形態は、第2の単位用量形態と同じである。いくつかの態様では、第1の単位用量形態は、第2および第3の単位用量形態と同じである。いくつかの態様では、第1の単位用量形態は、第2、第3、および第4の単位用量形態と同じである。
【0116】
本発明の化合物
一態様では、本開示は、化合物SRA141の使用方法を提供する。
【0117】
SRA141
化合物SRA141は、化学名:エチル5-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-イル)メチレン4-オキソ-2-{[4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ピペラジニル]アミノ-4,5-ジヒドロフラン-3-カルボキシレートによっても特定される。
【0118】
SRA141は、それが教示する全てについて参照により本明細書に組み込まれる、国際特許公開第WO2012133802号に開示される化合物である。当業者は、SRA141の合成方法を国際特許公開第WO2012133802号に見出すであろう。
【0119】
SRA141構造は、以下に示される:
【化2】
【0120】
薬学的組成物
腫瘍の成長を阻害するための方法、癌の進行を阻害するための方法、または癌を治療するための方法が本明細書に記載される。該方法は、有効量のSRA141、および任意選択的に、第2の有効量のさらなる治療を投与することを含む。SRA141および追加の治療は、各々、薬学的組成物に配合することができる。これらの薬学的組成物は、活性化合物(複数可)に加えて、薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤、または当業者に周知の他の材料を含み得る。そのような材料は、非毒性であるべきであり、活性成分の有効性に干渉するべきではない。担体または他の材料の正確な性質は、投与経路、例えば、経口、静脈内、皮膚または皮下、鼻腔内、筋肉内、腹腔内経路に依存し得る。
【0121】
経口投与用の薬学的組成物は、錠剤、カプセル、粉末、または液体形態であり得る。錠剤は、ゼラチンなどの固体担体を含むことができる。液体薬学的組成物は、一般に、液体担体、例えば、水、石油誘導体、動物油もしくは植物油、鉱油、または合成油を含む。生理食塩水、デキストロースもしくは他の糖類溶液、またはグリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはポリエチレングリコールを含めることができる。
【0122】
静脈内、皮膚、もしくは皮下注射、または罹患部位での注射について、活性成分は、パイロジェンフリーであり、適切なpH、等張性、および安定性を有する非経口的に許容される水性溶液の形態であろう。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、乳酸リンゲル注射などの等張性ビヒクルを使用して適切な溶液を調製することが十分にできる。必要に応じて、防腐剤、安定剤、緩衝剤、酸化防止剤、および/または他の添加物を含めることができる。
【0123】
組成物は、単独または他の治療と組み合わせて、治療される状態に応じて同時または連続的のいずれかで投与することができる。
【0124】
本技術は、様々であり得るので、任意の特定の組成物または薬学的担体に限定されない。一般に、本技術の化合物は、以下の経路:経口、全身(例えば、経皮、鼻腔内、または坐剤)、または非経口(例えば、筋肉内、静脈内、または皮下)投与のうちのいずれか1つにより薬学的組成物として投与されることになる。好ましい投与方法は、罹患の程度に応じて調整することができる便利な1日投与量レジメンを使用する経口である。組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、半固体、粉末、徐放性配合物、溶液、懸濁液、エリキシル、エアロゾル、または他の適切な組成物の形態をとることができる。本技術の化合物を投与するための別の好ましい方法は、吸入である。
【0125】
配合物の選択は、薬物投与の様式および原薬の生物学的利用能などの様々な因子に依存する。吸入による送達のために、化合物は、液体溶液、懸濁液、エアロゾル噴射剤、または乾燥粉末として配合し、投与に適したディスペンサーに装填することができる。いくつかの種類の薬剤吸入装置、ネブライザー吸入器、定量吸入器(MDI)、および乾燥粉末吸入器(DPI)がある。ネブライザー装置は、治療剤(液体形態で配合される)を対象の気道に運搬されるミストとして噴霧させる高速気流を生成する。MDIは、典型的には、圧縮ガスとパッケージされた配合物である。作動時、装置は、測定された量の治療剤を圧縮ガスによって放出し、よって設定された量の薬剤を投与する信頼できる方法を提供する。DPIは、装置によって呼吸中に対象の吸気流に分散させることができる流動性粉末の形態で治療剤を分配する。流動性粉末を達成するために、治療剤は、ラクトースなどの賦形剤と配合される。測定された量の治療剤は、カプセル形態で貯蔵され、各作動で分配される。
【0126】
本技術の化合物の薬学的剤形は、例えば、従来の混合、ふるい分け、溶解、融解、造粒、糖衣錠作製、打錠、懸濁、押出、噴霧乾燥、水簸、乳化、(ナノ/マイクロ)カプセル化、封入、または凍結乾燥プロセスなど、当該技術分野で周知の方法のいずれかによって製造され得る。上記のように、本技術の組成物は、活性分子の薬学的使用のための調製物への加工を促進する1つ以上の生理学的に許容される不活性成分を含むことができる。
【0127】
最近、表面積を増加させる、すなわち、粒子サイズを減少させることにより生物学的利用能を増加させることができるという原理に基づいて、特に低い生物学的利用能を示す薬物のための薬学的配合物が開発された。例えば、米国特許第4,107,288号は、活性材料が高分子の架橋マトリックス上に支持される10~1,000nmのサイズ範囲の粒子を有する薬学的配合物について記載する。米国特許第5,145,684号は、原薬が表面改質剤の存在下でナノ粒子(400nmの平均粒径)に粉砕され、次いで液体媒体に分散されて著しく高い生物学的利用能を示す薬学的配合物をもたらす、薬学的配合物の製造について記載する。
【0128】
組成物は、一般に、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と組み合わせた本技術の化合物で構成される。許容される賦形剤は、非毒性であり、投与を補助し、特許請求される化合物の治療上の利益に悪影響を及ぼさない。そのような賦形剤は、任意の固体、液体、半固体、またはエアロゾル組成物の場合、一般に当業者に利用可能なガス状賦形剤であり得る。
【0129】
固体薬学的賦形剤には、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、脱脂粉乳などが含まれる。液体および半固体賦形剤は、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール、および石油、動物、または合成由来のものを含む、様々な油、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などから選択され得る。特に注射可能な溶液について、好ましい液体担体には、水、生理食塩水、水性デキストロース、およびグリコールが含まれる。
【0130】
本技術の化合物をエアロゾル形態で分散させるために、圧縮ガスが使用され得る。この目的に適した不活性ガスは、窒素、二酸化炭素などである。他の適切な薬学的賦形剤およびそれらの配合物は、Remington‘s Pharmaceutical Sciences,edited by E.W.Martin(Mack Publishing Company,18th ed.,1990)に記載されている。
【0131】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される塩を含む。「薬学的に許容される塩」という用語は、例としてのみ、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、およびテトラアルキルアンモニウムを含む、当該技術分野で周知の様々な有機および無機対イオンに由来する塩、ならびに分子が塩基性官能基を含有する場合、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、およびシュウ酸塩などの有機または無機酸の塩を指す。好適な塩は、Stahl and Wermuth(Eds.),Handbook of Pharmaceutical Salts Properties,Selection,and Use;2002に記載されるものを含む。
【0132】
本組成物は、所望に応じて、活性成分を含有する1つ以上の単位剤形を含有するパックまたはディスペンサー装置で提供され得る。そのようなパックまたは装置は、例えば、ブリスターパックなどの金属もしくはプラスチック箔、またはガラス、およびバイアルなどのゴム栓を含み得る。パックまたはディスペンサー装置には、投与のための説明書が添付されていてもよい。適合性の薬学的担体中で配合された本技術の化合物を含む組成物はまた、調製され、適切な容器に入れられ、示された状態の治療についてラベル表示され得る。
【0133】
配合物中の化合物の量は、当業者によって使用される全範囲内で変動し得る。典型的には、配合物は、重量パーセント(重量%)ベースで、配合物全体に基づいて約0.01~99.99重量%の本技術の化合物を含有し、残部は、1つ以上の好適な薬学的賦形剤である。好ましくは、化合物は、約1~80重量%のレベルで存在する。代表的な薬学的配合物を以下に記載する。
【0134】
配合物例
以下は、SRA141および追加の治療を単独または組み合わせのいずれかで含有する代表的な薬学的配合物である。
【0135】
組成物は、単独または他の治療と組み合わせて、治療される状態に応じて同時または連続的のいずれかで投与することができる。
【0136】
キット
本開示はまた、SRA141と任意選択的にさらなる治療との組み合わせおよび使用説明書を含むキットを提供する。本開示は、薬学的組成物(複数可)がSRA141およびさらなる治療を含む1つ以上の薬学的組成物、ならびに使用説明書を含むキットをさらに提供し、任意選択的に、この組み合わせは、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。
【0137】
キットの個々の成分は、別々の容器にパッケージし、そのような容器と関連付けることができ、薬剤または生物学的製品の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって規定される形態の通知であり得、この通知は、製造、使用、または販売の機関による承認を反映する。キットは、抗原結合構築物の使用方法または投与レジメンを概説する説明書または指示書を任意に含有し得る。
【0138】
いくつかの態様では、本開示は、SRA141とさらなる治療との組み合わせおよび少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含むキットを提供する。
【0139】
キットの1つ以上の成分が溶液、例えば、水性溶液、または無菌水性溶液として提供される場合、容器手段はそれ自体が、溶液がそれから対象に投与されるか、またはキットの他の成分に適用および混合され得る、吸入器、シリンジ、ピペット、点眼器、または他のそのような同様の装置であり得る。
【0140】
キットの成分はまた、乾燥または凍結乾燥形態で提供され得、キットは、凍結乾燥成分の再構成に好適な溶媒をさらに含有することができる。容器の数またはタイプに関係なく、本明細書に記載されるキットは、患者への組成物の投与を補助するための器具も含み得る。そのような器具は、吸入器、鼻内噴霧装置、シリンジ、ピペット、鉗子、計量スプーン、点眼器、または同様の医学的に承認された送達ビヒクルであり得る。
【0141】
本明細書に記載される別の態様では、本明細書に記載される障害の治療、予防、および/または診断、例えば、腫瘍成長の阻害に有用な材料を含有する製造物品が提供される。製造物品は、容器および容器上のまたはそれと関連したラベルまたは添付文書を含む。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、静脈内溶液バッグなどが含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。容器(複数可)は、単独であるか、または障害の治療、予防、および/もしくは診断に有効な別の組成物と組み合わされた組成物を保持し、無菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであり得る)。
【0142】
本明細書に記載されるこの実施形態における製造物品は、特定の状態を治療するために組成物を使用することができることを示すラベルまたは添付文書をさらに含み得る。あるいは、または加えて、製造物品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル溶液、およびデキストロース溶液などの薬学的に許容される緩衝剤を含む第2(または第3)の容器をさらに含み得る。他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、およびシリンジを含む、商業的およびユーザー観点から所望の他の材料をさらに含み得る。
【0143】
ポリペプチドおよび核酸
本明細書に記載される方法に有用な遺伝子、例えば、Cdc7の遺伝子のポリペプチドおよび核酸配列が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、本明細書において記載されるか、または本明細書においてデータベース受託番号により言及される配列と少なくとも95、96、97、98、または99%同一である。いくつかの実施形態では、本明細書において記載される方法に有用なポリペプチドおよび核酸配列は、本明細書において記載されるか、または本明細書においてデータベース受託番号により言及される配列と100%同一である。
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈における「同一性パーセント」という用語は、以下に記載される配列比較アルゴリズム(例えば、BLASTPおよびBLASTNまたは当業者に利用可能な他のアルゴリズム)のうちの1つを使用して、または目視検査によって測定して、最大対応について比較および整列される場合、同じであるヌクレオチドまたはアミノ酸残基の特定のパーセンテージを有する2つ以上の配列または部分配列を指す。用途に応じて、「同一性」パーセントは、比較される配列の領域にわたって、例えば、機能的ドメインにわたって存在するか、あるいは、比較される2つの配列の全長にわたって存在することができる。配列比較について、典型的には、1つの配列が、試験配列が比較される参照配列として機能する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列および参照配列がコンピュータに入力され、必要に応じて、部分配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。次に、配列比較アルゴリズムは、指定されるプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列(複数可)の配列同一性パーセントを計算する。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith&Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムにより、Needleman&Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムにより、Pearson&Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似法の調査により、これらのアルゴリズム(GAP,BESTFIT,FASTA,and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.)のコンピュータ化実装により、または目視検査(一般的には、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(2003)を参照)により行われ得る。配列同一性および配列類似性パーセントを決定するのに好適なアルゴリズムの一例は、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)に記載される、BLASTアルゴリズムである。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、国立生物工学情報センター(www.ncbi.nlm.nih.gov)によって公開されている。
【実施例
【0144】
以下は、本発明を実施するための特定の実施形態の例である。例は、例示目的のみで提供されており、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力がなされたが、もちろん、いくらかの実験誤差および偏差は許容されるべきである。
【0145】
本発明の実施は、別段示されない限り、当該技術分野の範囲内のタンパク質化学、生化学、組換えDNA技法、および薬理学の従来の方法を使用するであろう。そのような技法は、文献において完全に説明されている。例えば、T.E.Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company,1993);A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,current addition);Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd Edition,1989);Methods In Enzymology(S.Colowick and N.Kaplan eds.,Academic Press,Inc.);Remington‘s Pharmaceutical Sciences,18th Edition(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,1990);Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3rd ED.(Plenum Press) Vols A and B(1992)を参照されたい。
略語
【表1】
【0146】
実施例1:マウスAML異種移植片モデルのSRA141処理
単剤療法としてのCdc7阻害剤(化合物I-D、別名SRA141)単独の有効性を、急性骨髄性白血病細胞株MV-4-11を使用して異種移植片において試験した。MV-4-11異種移植片腫瘍を有する雌BALB/cマウスに、様々な用量でSRA141を投与した。5~6週齢の雌BALB/Cマウス60匹に、MV-4-11腫瘍細胞を皮下接種した。マウスに、マウス1匹あたり5.0×10個の細胞(Matrigel(登録商標)と1:1の比率で混合)を接種した。32匹のマウスを選択し、4つの群に無作為化し、(i)ビヒクル対照(0.2MのHCl/0.5%のMC400)または(ii)SRA141の30または60mg/kgのBIDで3週間、または(iii)SRA141の120mg/kgのQDで3週間経口投与した(治療群あたりn=8)。マウスの体重をグループ化する前に週に1回記録し、マウス条件を治療中に毎日記録した。21日の投与後、マウスを、腫瘍重量測定のために屠殺した。腫瘍成長阻害は、試験の最終日である21日目に計算した。
【0147】
図1Aに示されるように、21日目の4つの群の平均腫瘍体積は、ビヒクルで1612.66mm、655.68mm、300.77mm、および530.83mmであり、それぞれ、30mg/kgのBID、60mg/kgのBID、および120mg/kgのQDmg/kg用量レベルであった。個々のマウスの腫瘍重量も計算した(図1B)。したがって、SRA141投与は、30mg/kgのBID、60mg/kgのBID、および120mg/kgのQDmg/kg用量レベルでそれぞれ59%、81%、および67%の腫瘍成長阻害をもたらした。
【0148】
全ての治療は、顕著な体重減少なしで忍容された(図1C)。21日目の4つの群の平均相対体重変化(RCBW)は、それぞれ、12.11%、16.39%、3.18%、および8.47%であった。
【0149】
これらの結果は、単剤療法としてのSRA141のみが、急性骨髄性白血病の治療のための有効な療法を提供することができることを実証する。
【0150】
実施例2:ラットAML異種移植片モデルのSRA141治療
単剤療法としてのCdc7阻害剤(化合物SRA141)の有効性を、急性骨髄性白血病(AML)のラット異種移植片モデルにおいて試験した(図2)。雌rnu/rnuラットに、1×10MV-4-11ヒト急性骨髄性白血病細胞を皮下接種した。MV-4-11細胞を、1:1のMatrigel(登録商標)中の0.1mLのPBSの全量で注入した。ラットは、腫瘍が300~400mmの平均サイズに到達したときにSRA141治療を開始した。MV-4-11腫瘍異種移植片を有するラットに、(i)ビヒクル対照(0.5%のCMC-Na/1%のポロキサマー188)または(ii)7日間サイクルの連続5日間75mg/kgのBIDのSRA141を4週間、(iii)7日間サイクルの連続5日間150mg/kgのQDのSRA141を4週間経口投与した(治療群あたりn=10)。腫瘍体積測定を隔週で行い、体重測定を隔週で15日目まで行った後、試験終了まで毎日行った。腫瘍成長阻害は、試験の最終日である42日目に計算した。
【0151】
図2Aに示すように、75mg/kgのSRA141(86.1%のTGI)および150mg/kgのSRA141(86.7%のTGI)で治療したラットにおいて、顕著な腫瘍成長阻害(TGI)が観察された。SRA141を75mg/kgで治療したラットにおける追加の研究は、治療の27日目に92%のTGI、および治療の34日目に85%のTGIを観察した。腫瘍体積中央値は、ビヒクル対照群について13247(n=10)であり、SRA141治療群75mg/kgについて1838(n=8)であり、SRA141治療群150mg/kgについて1764(n=9)であった。個々のラットあたりの治療の結果を、治療の経過にわたって示す(図2C)。特に、75mg/kgのBIDでのSRA141を用いた治療は、1回の完全回帰(3回の連続測定では腫瘍体積<13.5mm3)および3回の部分回帰(3回の連続測定では初期体積の<50%の腫瘍体積)をもたらした。完全退縮は、試験終了まで継続した。150mg/kgのQDでSRA141を用いた治療は、試験完了時に測定可能な腫瘍を有しない1匹の動物で2つの部分回帰を生じた。
【0152】
一般に、全ての治療は、顕著な体重減少なしで良好に忍容された(図2B)。試験の経過中に、3つの動物が死んでいることが見出された(それぞれ、75mg/kgのBID投与群においてn=2、および150mg/kgのBID投与群においてn=1)。これらの死亡の原因は、非治療関連に分類された。
【0153】
これらの結果は、単剤療法としてのSRA141がAMLの治療のための有効な療法を提供することができることを実証する。
【0154】
実施例3:様々な癌細胞株のSRA141治療
細胞生存率に対するSRA141の濃度依存的効果は、CellTiter-Glo(商標)発光アッセイ(Promega)を72時間の薬物インキュベーション期間を用いて、235個の癌細胞株のパネルにおいて決定した。SRA141と異なる濃度でインキュベーションした後、Cell Titer-Glo(登録商標)発光細胞生存アッセイを使用して、癌細胞株において50%阻害濃度(IC50)を決定した。
【0155】
SRA141は、膀胱(5673、RT112/84)、肉腫(143B、CADO-ES1、RD-ES、A673)、結腸および盲腸(Colo-205、DLD-1、LS1034、SK-CO-1、SNU-C1)、腎臓(UO.31)、頭頸部(CNE-2Z、RPMI-2650)、黒色腫(A2058、A875)、および胃(HGC-27)系統のものを含む、様々な固形腫瘍細胞株において強力な阻害活性(IC50<3μM)を示した。
【0156】
顕著な活性は、血液由来の細胞株においても観察された。試験した59個の血液癌細胞株の結果を図3Aに示す。これらの結果は、単剤療法としてのSRA141のみが、急性骨髄性白血病(図3A、「C」と表される細胞株)および慢性好酸球性白血病(図3A、「L」と表される細胞株)等の血液癌の治療のための有効な療法を提供することができることを実証する。顕著な活性は、i全てのライン(RS411、SUP-B15、Reh)、ならびに他の白血病およびリンパ腫(KHYG-1およびJeKo-1)においても観察された。
【0157】
決定されたIC50値の要約を図3Bに要約し、癌の種類別に分類する。全体的に、血液癌株は、固形腫瘍株よりも高い感受性を示し、後者の中で、大腸癌株は最も感受性の高いものであった。
【0158】
Colo-205結腸癌細胞におけるSRA141の正常なヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)との差異的細胞傷害活性を、0.03~33.3μMの範囲の薬物濃度(48時間インキュベーション)で評価した。処理後、ヨウ化プロピジウムで標識された細胞をフローサイトメトリーによって分析して、アポトーシス媒介性DNA断片化の結果としてサブG1画分中に見出される死亡細胞の割合を決定した。図3Cに示されるように、癌細胞と正常細胞との間でSRA141に対する感受性に顕著な差が観察された。特に、癌細胞の62%が死亡しており、1μM~10μMの化合物濃度でサブG1画分に見出されていた。対照的に、正常細胞の10%未満は、サブG1画分によって決定されるようにアポトーシス性であり、Cdc7阻害後の非形質転換細胞の最小細胞毒性を示す公開された報告と一致した(Montagnoli,2004)。したがって、これらの所見は、腫瘍と非形質転換組織との間のSRA141の潜在的な治療指数を支持する。
【0159】
図3CのパートBに示されるように、2つの異なる生存率アッセイを使用した実験は、SRA141が、他のCdc7阻害剤であるTAK-931およびLY-3177833と比較して、多数の細胞株において同等または優れたインビトロ活性を有することを実証した。まとめると、SRA141は、いくつかの適応症にわたって多数の細胞株において強力な抗増殖活性を示した。
【0160】
SRA141の抗増殖活性を、ATPレベル(CTG)、代謝活性(CellTiter-Blue(CTB))、細胞のDNA含有量(CyQuant)、およびエステラーゼ活性(Calcein AM)を測定するように設計された4つの直交アッセイを使用して、7つの細胞株(Colo-205、SW620、SNU-398、NCI-H716、MDA-MB-231、NCI-H1573、およびSW1116)においてさらに特徴付けた。各アッセイフォーマット内の細胞株の相対感受性は、概して一致していた。図3Dに示すように、試験した全てのアッセイおよび細胞株にわたって72時間(左カラム)と比較した場合、SRA141効力の一貫した増加が144時間(右カラム)のより長い治療期間で観察され、最適な抗腫瘍活性のために連続的な標的カバレッジが必要であることを示唆した。単剤療法SRA141 IC50は、SRA141への異なる曝露時間の後、144時間でCTGおよびCyQuantによっても決定された。図3Eに示されるように、前の評価と一致して、SRA141効力は、24時間を超える治療持続時間(24時間左カラム、48時間中カラム、または72時間右カラム)で増加した。
【0161】
実施例4:CRCの患者由来の異種移植マウスモデルのSRA141治療
単剤療法としてのCdc7阻害剤(化合物SRA141)の有効性を、大腸癌(CRC)の患者由来異種移植片(PDX)モデルにおいて試験した。CTG-1009患者由来のAPCおよびTP53変異型大腸腫瘍異種移植片を有する雌nu/nuマウスに、(i)ビヒクル対照(0.1MのHCl/0.5%のMC)または(ii)120mg/kgのQDで28日間SRA141を投与したか、または(iii)7日間サイクルの連続する2日間150mg/kgのQDで28日間SRA141を投与した(SRA141治療群あたりn=8、n=6ビヒクル対照群、チャンピオン研究1250-003)。腫瘍成長阻害は、試験の最終日である32日目に計算した。SRA141の120mg/kgのQDおよび150mg/kgのQD群の多くの動物への投薬は、体重減少に起因して一時的に中断された(図4B)。これらの投与休日は、それぞれ、SRA141の120mg/kgのQDおよび150mg/kgのQD治療群における1~3日(n=1および3匹の動物)、4~8日(n=7および0匹の動物)の範囲であった。
【0162】
図4Aに示されるように、SRA141の投与は、それぞれ、120mg/kgのQDおよび150mg/kgのQD用量レベルで49%および36%の腫瘍成長阻害をもたらした。
【0163】
SRA141後に観察された平均腫瘍成長阻害(TGI)は49.4%(P=0.0057)であった(120mg/kg、5-7Dおよびその後のQD投与の範囲の用量休日でQD 5Dに投与された)。実験中に4回または6回投与されたSRA141は、D32上で35.8%の平均TGIをもたらした(P=0.0385)。SRA141後に観察された平均TGI(120mg/kg、5-7Dの範囲の用量休日でQD5Dを投与し、その後のQD投与)は49.4%であった(P=0.0057)。平均ビヒクル腫瘍体積(TV)からの個々のTGIは、23.5、31.3、47.8、50.8、59.9、63.6、および68.6%であった。実験中に4回または6回投与されたSRA141は、D32上で35.8%の平均TGIをもたらした(P=0.0385)。4用量を有する3匹のマウスは、平均ビヒクルTVからのTGIを12.4、27.2、および53.2%で有した。6回投与を受けた5匹のマウスは、15.6、18.2、48.2、65.2、および71.2%のTGI形態の平均ビヒクルTVを有した。個々のマウスあたりの各治療の結果を、治療の経過にわたって(図5)および32日目(図6)に示す。したがって、SRA141による単剤療法は、試験のD32で決定されるように、顕著な腫瘍成長阻害(TGI)をもたらした。
【0164】
一般に、全ての治療は、治療の終了までに十分に忍容され、ビヒクル(閉じた円)と比較して顕著な体重減少はなかった。120mg/kg群(閉じた正方形)で最初の5日間投与後に適度な体重減少が観察されたが、薬物休日数日後にビヒクルレベルまで回復した(図4B)。
【0165】
これらの結果は、単剤療法としてのSRA141が、APCおよびTP53変異CRC設定における大腸癌の治療のための効果的な療法を提供することができることを実証する。
【0166】
実施例5:CRCの患者由来の異種移植ラットモデルのSRA141治療
単剤療法としてのCdc7阻害剤(化合物SRA141)の有効性を、大腸癌(CRC)のラット異種移植片モデルにおいて試験した(図7)。雌Rowettヌードラットに、2×10COLO-205ヒト大腸癌細胞を皮下接種した。全てのラットを、腫瘍細胞注射の24時間前にγ照射(4Gy)した。COLO-205細胞を、1:1Matrigel(登録商標)中の0.2mLのPBS中に注入した。Colo-205腫瘍異種移植片を有する雌ヌードラットに、(i)ビヒクル対照(0.5%のCMC-Na/1%のLutrol F-68)または(ii)SRA141の150mg/kgを7日サイクルの連続5日間、6週間にわたって1日1回(QD)経口投与した、または(iii)SRA141の75mg/kgを7日サイクルの連続5日間、6週間にわたって1日2回(BID)経口投与した(治療群あたりn=7)。腫瘍成長阻害は、全てのビヒクル対照動物が試験に残った最終日である31日目に計算した。腫瘍体積測定および体重測定を隔週で行った。
【0167】
図7Aに示されるように、SRA141の投与は、150mg/kgのQDおよび75mg/kgのBID用量レベルにおいて、それぞれ50%および93%の顕著な腫瘍成長阻害をもたらした。4/7ラットにおいて、完全な腫瘍退縮が観察された。さらに、7匹の動物のうち4匹において完全な腫瘍退縮(3回の連続測定で測定可能な腫瘍がないと定義される)が観察され、75mg/kgのBID用量で7匹の動物のうち1匹において部分退縮(3回の連続測定で初期体積の<50%の腫瘍体積)が観察された。4つ全ての完全退縮は、試験完了まで継続した。
【0168】
図7Bに示されるように、約1.2μMの腫瘍SRA141濃度は、ビヒクルで治療したラットと比較して、リン酸化MCM2(セリン53)のおよそ50%の減少をもたらし、Cdc7の選択的阻害が腫瘍細胞生存と互換性がないことを示唆した。Colo-205腫瘍を有するラットを単一用量のSRA141またはビヒクルで治療し、腫瘍を12時間後に収集した。治療群あたり3匹の動物から調製した腫瘍ホモジネートを、LC/MSMSまたはウェスタンブロットによって分析した。結果は、単剤療法としてのSRA141が、大腸癌の治療のための有効な療法を提供することができることを実証する。
【0169】
実施例6:SRA141と追加の抗腫瘍剤との組み合わせ
癌細胞を感作するための抗腫瘍剤と組み合わせたCdc7阻害剤の有効性を確認するために、ヒト癌細胞において実験を行った。
【0170】
併用評価方法:
併用スクリーニングは、SRA141およびパートナー化合物の共処理投薬スケジュールを使用して実施した。エンハンサー(SRA141)およびエンハンサー(パートナー化合物)の両方を時間0(0時間)で添加した。細胞を、72時間の治療時間全体にわたってSRA141およびエンハンサーに曝露した。全てのデータポイントは自動化されたプロセスを介して収集され、品質管理の対象となり、独自のソフトウェアを使用して分析された。アッセイプレートは、それらが以下の品質管理基準に合格した場合に受け入れられた:相対生値が実験全体を通して一貫しており、Z因子スコアが0.6を超え、未処理/ビヒクル対照がプレート上で一貫して挙動した。
【0171】
増殖阻害(GI)を細胞増殖の尺度として利用した。GIパーセンテージは、以下の試験および式を適用することによって計算される:
【数1】
式中、Tは、72または96時間における被験試料のシグナル測定値であり、Vは、未処理/ビヒクル処理対照測定値であり、Vは、時間0における未処理/ビヒクル対照測定値である(Tプレートとも口頭で称される)。この式は、国立癌研究所のNCI-60高スループットスクリーニングで使用される成長阻害計算から導出される。0%のGIリーディングは、成長阻害を表さず、72または96時間におけるTリーディングがそれぞれの期間におけるVリーディングと同等である場合に生じるであろう。GI 100%は完全な成長阻害(細胞停滞)を表し、この場合、化合物で72または96時間処理した細胞は、T0対照細胞と同じエンドポイント読み取りを有するであろう。200%のGIは、培養ウェル中の全ての細胞の完全死(細胞毒性)を表し、この場合、72または96時間におけるTリーディングは、T対照(ゼロ付近またはゼロでの値)よりも低くなる。これらのGI計算を、組み合わせ画面の全ての単剤および組み合わせデータ分析に使用した。
【0172】
細胞生存率の尺度としての阻害:0%の阻害レベルは、処理による細胞成長の阻害を表さない。100%の阻害は、治療ウィンドウ中の細胞数の倍増を表さない。細胞増殖抑制および細胞傷害性治療の両方は、100%の阻害率をもたらすことができる。阻害パーセンテージは、以下のように計算される:I=1-T/U(式中、Tが治療され、Uが未治療である)。
【0173】
相乗効果スコア分析
Loewe添加度を超える組み合わせ効果を測定するために、シナジースコアと呼ばれる相乗的相互作用の強さを特徴付けるためにスカラー測定を使用した。相乗効果スコアは次のように計算される。
相乗効果スコア=logf logf Σmax(0,Idata)(Idata-ILoewe
【0174】
マトリックス中の各成分剤および組み合わせ点の分画阻害は、全てのビヒクル処理対照ウェルの中央値と比較して計算される。相乗効果スコア方程式は、相加性のためのLoeweモデルを使用して、成分剤の活性から数値的に導出されるモデル表面を超えて、マトリックスの各点で実験的に観察された活性体積を積分する。相乗効果スコア方程式(上記)の追加の用語は、個々の薬剤に使用される様々な希釈因子について正規化し、実験全体にわたる相乗効果スコアの比較を可能にするために使用される。陽性阻害ゲーティングまたはIdata乗数を含めることで、ゼロ効果レベル付近のノイズを除去し、高い活性レベルで発生する相乗的相互作用の結果をバイアスする。より高い最大成長阻害(GI)効果を有する組み合わせ、または低濃度で相乗的である組み合わせは、より高い相乗効果スコアを有する。ベースライン自己交差値に統計的に優先するシナジースコアとのこれらの組み合わせは、相乗効果と見なすことができる。GI効果の大きさは、検査される各細胞株について変化する細胞の成長速度に連結され得る。
【0175】
効力シフトをアイソボログラムを使用して評価し、これは、その効果に到達するために必要な単剤用量と比較して、所望の効果レベルを達成するために組み合わせてどれだけ少ない薬物が必要であるかを実証した。示された阻害レベルを通過することに対応する濃度の遺伝子座を特定することによって、アイソボログラムを描画した。これは、他の単剤の濃度にわたる用量マトリックス内の各単剤濃度の交差点を見つけることによって行われる。実際には、各垂直濃度Cは、応答面Z(C、C)において選択された効果レベルを与える垂直用量と組み合わされた水平濃度Cを識別するために二項アルゴリズムが使用される間、固定される。次いで、これらの濃度は線形補間によって接続され、アイソボログラムディスプレイを生成する。相乗的相互作用については、アイソボログラム輪郭が相加性閾値を下回り、原点に近づき、拮抗的相互作用が相加性閾値を上回る。エラーバーは、アイソボログラムを生成するために使用される個々のデータポイントから生じる不確実性を表す。各交差点の不確実性は、二項を用いた応答誤差から推定され、Z-σ(C、C)およびZ+σ(C、C)がIcutを交差する濃度を求め、式中、σは、効果スケール上の残留誤差の標準偏差である。
【0176】
相乗効果スコア分析:ロエベボリュームスコア分析
Loeweボリュームスコアは、Loewe添加度モデルを超える組み合わせ相互作用の全体的な大きさを評価するために使用される。Loewe Volumeは、表現型活性(正のLoewe Volume)における相乗的増加と相乗的アンタゴニズム(負のLoewe Volume)を区別する際に特に有用である。現在のデータセットと同様に、アンタゴニズムが観察されると、Loewe Volumeは、アンタゴニズムと特定の薬物標的活性または細胞遺伝子型との間に何らかの相関があるかどうかを検査するように評価される。このモデルは、組み合わせ用量マトリックス表面がそれ自体と交差する薬物のいずれかと区別できない非相乗的組み合わせ相互作用として添加性を定義する。添加性の計算は、(X/X)+(Y/Y)=1を満たすILoeweであり、ここでXおよびYは、観察された組み合わせ効果Iのための単剤有効濃度である。例えば、50%阻害が1μMの薬物Aまたは1μMの薬物Bによって別々に達成される場合、0.5μMのAおよび0.5μMのBの組み合わせも50%阻害されるべきである。Loewe添加度を超えて観察された活性は、相乗的相互作用を特定する。本分析のために、実験的に収集された単剤用量応答曲線から構築されたそれらのそれぞれのLoewe添加度モデルと、経験的に由来する組み合わせマトリックスを比較した。用量応答マトリックスにわたるこの過剰な相加性の要約は、Loewe Volumeと称される。正のLoewe Volumeは相乗効果を示唆し、負のLoewe Volumeは拮抗作用を示唆する。前述のように、シナジースコアはポジティブゲート値であり、潜在的なアンタゴニズムを測定するために使用することはできない。
【0177】
Cdc7阻害剤と抗腫瘍剤との併用で癌細胞を死滅させる有効性を確認するために、Colo-205大腸腺癌細胞および急性骨髄性白血病細胞において、抗腫瘍剤との併用での連続治療またはCdc7阻害剤SRA141を用いた同時治療のいずれかで実験を行った。ラパマイシン(mTOR)経路の哺乳動物標的の阻害剤、DNAポリメラーゼの阻害剤、受容体チロシンキナーゼの阻害剤(RTK)、有糸分裂原活性化タンパク質キナーゼ経路(MAPK)の阻害剤、またはホスファチジルイノシトール-4,5-ビスホスフェート3キナーゼ(PI3K)経路の阻害剤と組み合わせて使用する場合の癌細胞を感作するためのCdc7阻害剤の有効性を確認するために、ヒトColo-205大腸腺癌細胞をSRA141で順次処理し、その後、単一薬剤としてエベロリムス、アフィジコリン、またはミドスタウリンで処理した(図8)。Colo-205細胞のフラスコをSRA141(1μMおよび200nM)およびDMSO対照で48時間前処理し、細胞を洗浄し、384ウェルプレートに播種し、プレートを6時間インキュベートした後、単剤としてプレーティングした6時間後にエベロリムス、アフィジコリンまたはミドスタウリンで処理した。72時間後、ATPレベルをATPliteを使用して測定した。SRA141によるCOLO-205細胞の前処理は、ミドスタウリンに対する感受性の増加に向かってエンハンサーの効力シフトを示し、DMSO前処理と比較して200nMのSRA141前処理で3.19 EC50倍の変化が観察された。アフィジコリンについては、DMSO前処理と比較して、1μMのSRA141前処理で4.60 EC50倍の変化が観察された。エベロリムスについては、DMSO前処理と比較して、200nMのSRA141前処理で3.3 EC50倍の変化が観察された。
【0178】
Cdc7阻害剤とMAPK経路阻害剤またはPI3K経路阻害剤との組み合わせで、癌細胞を死滅させるため、および癌の治療に使用するための有効性を確認するために、Colo-205細胞を、MAPK経路阻害剤、トラメチニブ、PI3K経路阻害剤、コパンリシブ、ならびに抗代謝産物(抗葉酸塩)、メトトレキサートで同時に処理した(図9および10A)。細胞を0日目に384ウェルプレートに播種し、プレートを24時間インキュベートし、細胞にトラメチニブおよびコパンリシブをSRA141と組み合わせて投与し、72時間後、ATPレベルをATPliteを使用して測定した。COLO-205細胞において、MAPK経路およびPI3K経路の阻害剤並びに抗葉酸抗代謝産物、メトトレキサートとの同時併用処理による強力な相乗効果が観察された。
【0179】
有糸分裂原活性化タンパク質キナーゼ経路(MAPK)の阻害剤、レチノイド経路の調節剤、アポトーシス調節剤、PARP阻害剤、またはラパマイシン(mTOR)経路の哺乳動物標的の阻害剤と組み合わせて使用した場合の癌細胞を感作するためのCdc7阻害剤の有効性を確認するために、ヒト急性骨髄性白血病細胞、MOLM-13細胞をSRA141で順次処理し、続いて単一薬剤としてトラメチニブまたはベキサロテンで処理した(図8)。MOLM-13細胞のフラスコをSRA141(1μMおよび200nM)およびDMSO対照で48時間前処理し、細胞を洗浄し、384ウェルプレートに播種し、プレートを残して6時間インキュベートし、その後、単剤としてプレーティングした後6時間、トラメチニブまたはベキサロテンで処理した。72時間後、ATPレベルをATPliteを使用して測定した。トラメチニブについては、DMSO前処理と比較して、200nMのSRA141前処理で2.63 EC50倍の変化が観察された。ベキサロテンについては、DMSO前処理と比較して、200nMのSRA141前処理で2.63 EC50倍の変化が観察された。エベロリムスについては、DMSO前処理と比較して、200nMのSRA141前処理で3.25 EC50倍の変化が観察された。
【0180】
癌細胞を死滅させるための、および癌の治療のための併用療法として使用するためのレチノイド経路の調節因子、アポトーシス調節因子、またはPARP阻害剤と組み合わせたCdc7阻害剤の有効性を確認するために、ヒトMOLM-13およびKG-1細胞を、PARP阻害剤BMN673、アポトーシス調節因子ABT-199、レチノイド経路調節因子、ベキサロテン、またはレチノイド経路調節因子トレチノインで同時に処理した(図9および10A)。細胞を0日目に384ウェルプレートに播種し、プレートを残して24時間インキュベートし、細胞に、SRA141と組み合わせたBMN673、ABT-199、ベキサロテン、またはトレチノインを投与し、72時間後、ATPレベルをATPliteを使用して測定した。MOLM-13細胞は、BMN673(PARP阻害剤)、ABT-199(BCL-2阻害剤)、ベキサロテン、およびトレチノイン(レチノイド経路の調節因子)について強力な相乗効果を示した。これらの結果は、Cdc7阻害剤と、mTOR経路の阻害剤、DNAポリメラーゼの阻害剤、および受容体チロシンキナーゼの阻害剤、ならびにMAPK経路の阻害剤、レチノイド経路の調節剤、アポトーシスの調節剤、またはPARP阻害剤との組み合わせの使用を含む併用療法が、Cdc7阻害剤との連続投与または同時投与のいずれかで癌細胞を死滅させるのに有効であることを確認し、Cdc7阻害剤と、mTOR経路の阻害剤、DNAポリメラーゼの阻害剤、および受容体チロシンキナーゼの阻害剤、ならびにMAPK経路の阻害剤、レチノイド経路の調節剤、アポトーシスの調節剤、またはPARP阻害剤との組み合わせの投与が、有効な癌治療レジメンであることを示す。
【0181】
Cdc7阻害剤と複製ストレス誘発性抗腫瘍剤ゲムシタビンとの組み合わせの有効性を確認するために、ヒトHT-29大腸腺癌細胞を、濃度を増加させるゲムシタビン(0.037~1μM)で96時間処理した。図10Bに示されるデータは、100nmを超えるゲムシタビン用量が、処理された細胞のほぼ100%の成長阻害をもたらしたことを実証する。さらに、1.1μMまたは3.3μMのいずれかの濃度でのSRA141の添加は、ゲムシタビンの阻害効果を実質的に低下させた。
【0182】
実施例7:生化学アッセイにおけるSRA141の有効性および選択性
SRA141によるCdc7の阻害は、インビトロキナーゼアッセイを使用して測定した。
【0183】
図11Aに示されるように、SRA141は、インビトロ生化学アッセイにおいてCdc7の強力な阻害を示した(IC50=4nM)。アッセイ前1時間のCdc7酵素とのSRA141のプレインキュベーションは、化合物の効力が適度に改善され(IC50=1.4nM)、潜在的に有利な阻害剤結合動態によるCdc7の強力な阻害が確認された。これらの所見は、図11Bに示されるように、Cdc7にSRA141結合するための長い滞留時間(t1/2=215分)および遅い解離動態(Koff=5nMで0.0032)を示す急速希釈研究と一致する。
【0184】
Cdc7に対するSRA141の選択性を、約430個の天然および変異体キナーゼを含有するDiscoverXキノムスクリーニングアッセイを使用して評価した。最小限のオフターゲットキナーゼ活性が、500nMの化合物濃度で検出された。Cdc7に対するSRA141の選択性をTAK-931と比較した。キノムスクリーニングアッセイの結果(図12)は、SRA141が、500nMの化合物濃度でのTAK-931と比較してより少ないオフターゲット活性を有することを実証する。
【0185】
実施例8:いくつかの細胞周期キナーゼの細胞基質に対するSRA141の効果
Colo-205細胞を、Cdc7(MCM2、Ser40/41およびSer53)、ならびに推定オフターゲットキナーゼCDK8(STAT1、Ser727)、CDK7および9(RNA polII、Ser2)、LATS2(YAP1、Ser127)、ならびにCDK9(Gregory,2015)によって間接的に制御されることが知られているMCL-1のレベルの下流標的のリン酸化状態のその後の評価を用いて、SRA141(0.033~3.3μMの濃度で)で8~24時間処理した。
【0186】
MV411細胞も用量依存的様式でSRA141で処理し(0.5~3.3μMの濃度で)、その後、Ser40/41およびSer53でMCM2のリン酸化状態について評価した。
【0187】
図13に示すように、これらの研究ではCdc7レベルは変化しなかったが、Ser40/41およびSer53におけるその標的MCM2のリン酸化は、0.033μM(Colo-205)および0.5μM(MV411)から始まる濃度依存的な方法で減少し、細胞における強固なオンターゲット阻害を実証した。
【0188】
SRA141~1μMの濃度では、細胞基質のいずれについてもリン酸化状態(またはMCL-1のタンパク質レベル)に顕著な変化はなかった。STAT1、YAP1、およびMCL-1の最小阻害は、3.3μMで観察されたが、全タンパク質レベルの共事故低減は、これらの所見がSRA141媒介性細胞死に起因していた可能性があることを示唆している。
【0189】
合わせて、これらのデータは、細胞設定におけるSRA141の効力および選択性を確認する。
【0190】
実施例9:AML三次元(3D)培養物中のSRA141の活性
SRA141の活性を、それぞれ、3つのAML細胞株(EOL-1、Molm-16、およびMV-4-11)ならびに3つのAML PDXモデル(AM5512、AM7440およびAM7577)から調製したインビトロおよびエクスビボ3次元(3D)培養で調査した。腫瘍培養物をSRA141(0.08~33μM)で5日間処理した。SRA141は、6つのモデルのうちの5つにおいて強力な抗細胞活性(IC50範囲0.15~1.6μM)を示し、AM5512調製物において減少した活性が認められた(IC50=3.2μM、表1)。この後者のモデルはまた、シタラビンおよびシスプラチン(IC50>8.9μM)に対して比較的耐性であった。
【表2】
【0191】
SRA141(0.3~5μM)の抗増殖活性も、正常なヒト骨髄性(n=3)および14日間インキュベートされたAML-芽細胞前駆体を使用してメチルセルロース成長マトリックスで実施された追加の3D成長研究において評価した。
【0192】
通常の骨髄調製物の平均SRA141 IC50値は0.25μMであったが、AML試料の平均IC50値はおよそ0.16μMであった(耐性前駆体試料AML810を検閲し、表2)。陽性対照、シトシンアラビノシド(Ara C)は、正常骨髄およびAML芽細胞前駆体試料の両方について等電位IC50値(約0.004μM)を有した。各試料[(Primary AML IC50)÷(BMNC対照IC50)]について治療指数も計算した。表2に示されるように、9個の一次AML試料のうち5個は、TI(AML200、AML917、AML915、AML190、およびAML717)でSRA141に応答したが、9個の試料のうち2個のみが、TIでAra-Cに応答した(AML200およびAML250)。
【0193】
まとめると、これらのデータは、SRA141が、AML 3D培養において強力な細胞毒性活性を有し、正常な骨髄前駆体よりも潜在的な治療指数を有することを実証する。
【表3】
【0194】
実施例10:培養細胞におけるSRA141によるCdc7阻害の耐久性
薬物誘発性Cdc7阻害の耐久性を、2つの濃度のSRA141(0.1μMおよび1μM)で48時間処理したColo-205細胞において調査し、続いて、直ちに細胞収穫、または薬物インキュベートの除去、続いて細胞収穫前にさらに24時間のインキュベーションのいずれかを行った。Cdc7活性の標的部位であるSer53におけるMCM2のリン酸化を、2つの条件の間で比較した。
【0195】
図14に示されるように、この研究からのデータは、0.1μMの薬物濃度での化合物ウォッシュアウトの24時間後までにCdc7活性の回復を示し、一方、より高いインキュベーション濃度(1μM)のウォッシュアウトの24時間後に長期のpMCM2阻害が観察された。これらの結果は、標的オフレートが遅く、結果として酵素阻害が延長されることを示した前例の生化学アッセイと一致する。
【0196】
実施例11:SRA141細胞周期感受性分析
細胞周期の様々な段階でのSRA141処理に対する感受性は、二重チミジンブロックと同期したColo-205細胞において決定した。ブロック放出時に、細胞がS相またはM相のいずれかに到達したときに、SRA141(1μM)を添加した。
【0197】
図15に示されるように、ヨウ化プロピジウムで標識された細胞のフローサイトメトリー分析は、細胞が前のS相中にSRA141で処理されることを条件に、アポトーシス細胞を示すサブG1集団がM相を経過するにつれて蓄積されたことを実証したが(図15A)、S相完了後に処理が開始された場合(M相の開始)は蓄積されなかった(図15B)。SRA141を最初にM相で添加した場合、サブG1の蓄積が遅れ、細胞がSRA141の存在下で後続のS相を進行してからアポトーシスの徴候を示す必要があった。
【0198】
これらのデータは、MCM2/MCM4リン酸化によって媒介される可能性が最も高い複製起点発火であるS相におけるCdc7機能の阻害が、細胞が複製不足DNAで有糸分裂に入り、アポトーシス細胞死の誘導をもたらすという仮説を支持する。
【0199】
図15Cに示すように、0.1μMのSRA141で48時間処理したColo-205細胞を、ウエスタンブロットによって細胞周期およびDNA損傷マーカーについて評価した。結果は、SRA141を用いた治療後のG2/M相の有糸分裂マーカーの存在を実証する。これらの結果は、SRA141で48時間処理したColo-205およびSW620細胞集団が有糸分裂における細胞の蓄積を有することを実証する高含有量イメージングの使用によって得られたデータと一致する(図15D)。有糸分裂における細胞の割合は、他のCdc7阻害剤と比較して、SRA141で処理した集団においてより大きい。
【0200】
実施例12:インビトロ細胞遺伝子感受性分析
235細胞株パネルのSRA141感受性の分析は、大腸癌が最も感受性の高い固形腫瘍株の中にあることを実証した(図16)。さらに、235個の細胞株のゲノムおよびメチル化パターンのバイオインフォマティクス分析は、FAT1の変異がSRA141感受性と相関することを示した。大腸癌において一般的に変化するWntシグナル伝達経路におけるFAT1の役割を考慮して、我々はさらに、16個の大腸癌株の感受性と、他の2つのWnt経路遺伝子、APCおよびFAT4における変異の存在との間の相関を検討した。
【0201】
結果は、染色体不安定(CIN)大腸腫瘍に一般的に見られるAPC変異が、SRA141に対する感受性の増加と関連していたことを示す(p=0.04、図16)。FAT4変異はSRA141感受性と統計的に相関すると判断されなかったが、最も感受性の高い3つの株がFAT4変異を保有することが見出された。これらの予備データは、CIN大腸癌におけるSRA141の使用を支持する。
【0202】
実施例13:Colo-205大腸異種移植片研究(マウス)
Colo-205腫瘍異種移植片を有する雌BALB/cマウスに、(i)ビヒクル(0.2MのHCl/0.5%のMC400)または(ii)SRA141の30または60mg/kgのBIDを17日間経口投与した、または(iii)SRA141の120mg/kgのQDを17日間経口投与した(治療群あたりn=8)。腫瘍成長阻害は、試験の最終日である16日目に計算した。
【0203】
全ての治療は忍容されたが、過度の体重減少(>15%減少)に起因して、SRA141の60mg/kgのBIDから2匹のマウスについては2日間、および120mg/kgのQD治療群から2匹のマウスについては1日および5日間、投薬を一時的に中断した。
【0204】
図17に示されるように、SRA141投与は、30mg/kgのBID、60mg/kgのBID、および120mg/kgのQD用量レベルでそれぞれ15%、58%、および37%の腫瘍成長阻害をもたらした。これらの予備データは、大腸癌におけるSRA141の使用を支持する。
【0205】
実施例14:SW620大腸異種移植片研究(マウス)
SW620腫瘍異種移植片を有する雌BALB/cマウスに、(i)ビヒクル(0.1MのHCl/0.5%のMC400)または(ii)SRA141の60mg/kgを4日間連続して3回投与し(TID)、続いて2日間投与休日を21日間投与した、または(iii)SRA141の120mg/kgのQDを21日間経口投与した(治療群あたりn=10)。腫瘍成長阻害は、試験の最終日である21日目に計算した。全てのビヒクル対照動物は、21日目に試験に残った。
【0206】
60mg/kgのTIDでSRA141で治療した10匹のマウスのうち4匹は、20%を超える最大体重減少を経験した。これらの動物への投薬は、体重減少が20%未満に回復するまで中止した。SRA141の120mg/kgのQDで治療したマウスはいずれも20%の体重減少閾値を満たしていなかった。
【0207】
図18に示されるように、SRA141投与は、60mg/kgのTIDおよび120mg/kgのQDでそれぞれ78%および73%の腫瘍成長阻害をもたらした。これらの予備データは、大腸癌におけるSRA141の使用を支持する。
【0208】
実施例15:MV-4-11ヒト白血病全身生存試験
MV-4-11癌細胞を静脈内に接種した雌NOD SCIDマウスに、(i)ビヒクル対照(0.1MのHCl/0.5%のMC400、経口)または(ii)SRA141を、最初は60mg/kgのBIDで、0日目から21日目の7日間のサイクルの連続5日間投与し、その後、顕著な体重減少に起因して、22日目から73日目の同じスケジュールで40mg/kgのBIDで投与した(治療群あたりn=10)。癌モデルの全身的性質を考慮すると、生存は、この研究における唯一の有効性エンドポイントであった。
【0209】
一般に、SRA141を用いた治療は、体重減少データに基づいて忍容された。10匹のSRA141治療マウスのうちの1匹は、20%超の体重減少を経験した。
【0210】
SRA141治療群の5匹の動物は、恐らく疾患進行ではなく技術的エラーまたは忍容性に起因して試験の17日目および18日目に死亡していることが見出された。早期死亡者を含む全ての動物の生存期間の中央値は、ビヒクルおよびSRA141治療群ではそれぞれ66日および35日であり、早期死亡者が検閲されたSRA141治療群では99日を超えた。したがって、検閲された治療群の生存の増加は、白血病治療におけるSRA141の使用を支持する。
【0211】
実施例16:A20免疫能性リンパ腫異種移植片モデル(マウス)
A20腫瘍異種移植片を有する免疫能のある雌BALB/cマウスに、(i)対照(PBS、腹腔内)または(ii)SRA141の120mg/kgを経口投与した、群あたりn=8匹の動物)。投薬は、0日目~4日目、7日目~11日目、および14日目~18日目に発生した。腫瘍成長阻害は、試験の最終日である23日目に計算した。
【0212】
一般に、SRA141を用いた治療は、忍容された。1匹の動物は、20%を超える体重減少を経験し、その後、安楽死させた。
【0213】
図19に示されるように、SRA141投与は、59%の腫瘍成長阻害をもたらした。これらの予備データは、リンパ腫におけるSRA141の使用を支持する。
【0214】
実施例17:MDA-MB-486乳房異種移植片研究(マウス)
MDA-MB-486乳房腫瘍異種移植片を有する雌CB-17 SCIDマウスに、(i)ビヒクル対照(0.1MのHCl/0.5%のMC400)または(ii)SRA141の30または60mg/kgのBIDを5週間経口投与した(治療群あたりn=10)。腫瘍成長阻害は、試験の最終日である35日目に計算した。
【0215】
ビヒクル対照および30mg/kgのBID処理でのSRA141は、十分に忍容された。SRA141で60mg/kgのBIDで治療した10匹のマウスのうち6匹は、20%を超える最大体重減少を経験した。18日目および19日目にこれらの動物への投薬を一時的に中断し、長引いた体重減少に起因して1匹の動物を安楽死させた。
【0216】
図20に示されるように、SRA141投与は、30mg/kgのBIDおよび60mg/kgのBIDでそれぞれ、26%および53%の腫瘍成長阻害をもたらした。これらの予備データは、乳癌におけるSRA141の使用を支持する。
【0217】
実施例18:マウスSW620大腸異種移植片モデルPK/PD評価
Cdc7の直接基質である腫瘍ホスホ-MCM2(pMCM2)およびCdc7阻害の下流マーカーに対するSRA141治療の効果は、SW620異種移植片を有するマウスにおいて決定した。pMCM2の変化は、原始的なPK/PDモデルを構築するための薬物投与後48時間にわたる腫瘍および血漿中のSRA141濃度と相関した。
【0218】
具体的には、皮下SW620腫瘍を有する雌BALB/cマウスに、30、60、または120mg/kgのSRA141の単一経口用量を投与した(群あたりn=15)。対照動物にビヒクル(0.1MのHCl/0.5%のMC400、n=10)を投与した。治療の2、4、8、24、および48時間後に、各群の3つの動物(対照についてn=2)を終了させ、血漿および腫瘍を分析のためにサンプリングした。
【0219】
図21に示されるように、pMCM2レベルは、単一SRA141投与後に減少し、30mg/kg~60mg/kg用量では2~4時間、120mg/kg用量では2~8時間でピークに達した(図21Aに示されるpMCM2レベル、図21Bでアクチンに定量化および正規化された阻害%)。約1、1.5、および2μg/mLの最大SRA141血漿濃度も、30mg/kg用量、60mg/kg用量、および120mg/kg用量で投与後2~4時間で観察された。薬物の腫瘍濃度は類似していた。この研究からのPKおよびPDデータの相関は、pMCM2を50%阻害するには、約1.1μMの循環血漿濃度および腫瘍内組織濃度が必要であることを示唆した。
【0220】
実施例19:ラットColo-205大腸異種移植片モデルPK/PD評価
SRA141治療後のpMCM2の腫瘍阻害は、皮下Colo-205腫瘍を有する雌Rowettヌードラットにおいても決定された。SRA141の単一経口用量(75または150mg/kg)の12時間後に、動物を終了させ、腫瘍を分析のためにサンプリングした(群あたりn=3)。対照動物に、Colo-205ラットモデルで使用されるのと同じビヒクルを投与した(実施例5を参照されたい、群あたりn=3)。75mg/kg用量および150mg/kg用量のそれぞれの投与後12時間に、約0.5μg/mLおよび0.9μg/mLのSRA141腫瘍濃度を観察した。単一用量のSRA141の12時間後、pMCM2は、対照の約50%~60%阻害された(図22)。これらの結果は、1μMの腫瘍内組織濃度が、MCM2リン酸化(pMCM2)を50%阻害するのに十分であることを示唆している。
【0221】
実施例20:インビボ非臨床薬物動態要約
インビトロ分布研究では、SRA141がヒトおよびラット血漿タンパク質(>90%)に高度に結合したのに対し、マウスおよびイヌマトリックス(58%~77%)において中程度の結合が観察されたことが示された。加えて、SRA141は、任意の種マトリックス中の赤血球に優先的に分画しなかった。
【0222】
前臨床およびヒト肝細胞において実施されるインビトロ代謝研究は、ラット、イヌ、およびヒト調製物においてSRA141の良好な代謝安定性を示す。11個の代謝物が種にわたって特定され、そのうち6個がヒトマトリックスで発生した。1つのヒト特異的な代謝物が特定されたが、微量レベルでのみ特定された。マウス、ラット、およびイヌ肝細胞代謝物プロファイルは、他の全てのヒト代謝物を含有した。
【0223】
臨床的に適切な濃度では、SRA141は、CYP3A4/5のインビトロ時間および代謝依存性阻害(IC50=6.2~6.7μM)、ならびにヒト有機アニオン輸送体OATP1B1、OATP1B3、およびOAT3のインビトロ阻害(10μMで>50%阻害)を示した。まとめると、これらのインビトロCYPおよびトランスポーター阻害データは、SRA141が、このCYPアイソフォームまたはこれらのトランスポーターの基質であることが知られている同時投与薬物の代謝および/または分布を潜在的に変化させ得ることを示唆する。
【0224】
SRA141(遊離塩基懸濁液として提示)は、31%~54%の範囲の絶食マウス、ラットおよびイヌにおける中程度の絶対経口生物学的利用能(F%)とともに、サルにおける明らかなより低い経口生物学的利用能(F%=1%~33%)を実証した。懸濁液中の二塩酸塩としての提示は、どの種においても顕著に曝露を増加させないように見えた。イヌにおけるさらなる研究は、懸濁液中の二塩酸塩の絶対経口生物学的利用能が、食後投与後に改善され得ることを示唆した。しかしながら、イヌにおける別の研究では、2つの提案された臨床薬物製品カプセル提示の投与後に、中程度の絶対経口生物学的利用能が認められ(F%=41%~62%)、食事状態は、経口生物学的利用能に顕著な効果を有さないように見えた。経口投与後の全身曝露(Cmax、AUC)は、一般に用量の増加に伴い増加したが、用量比例法未満で増加した。
【0225】
雌ヌードラットを有する非腫瘍を50mg/kg(QD×12日)または100または150mg/kg(オン5日/オフ2日/オン5日)でSRA141(経路あたりn=3)で経口治療した。ビヒクルは、水中0.5%のCMC-Na/1%ルトロールであった。SRA141血漿濃度は、最後の用量後にLC-MS/MSによって決定した。図23に示すように、全身曝露は、経口用量が50mg/kg~150mg/kgに増加するにつれて増加した。
【0226】
実施例21:インビボ非臨床毒性要約
SRA141を評価する毒性試験は、ラットおよびイヌにおいて、最大4サイクル(1サイクルにつき5日間オン/2日間オフ)の単回経口投与および反復経口投与後に実施した。加えて、SRA141の潜在的な遺伝毒性をインビトロで評価した。表3に示す所見の要約。
【表4】
【0227】
ラットおよびイヌの反復投与毒性試験の所見は、SRA141関連毒性の潜在的な標的臓器、胆嚢/胆道系、リンパ組織(脾臓、胸腺、リンパ節およびGALT)、骨髄、肝臓、腎臓、雄および雌生殖管、末梢白血球、および唾液腺であり、イヌが最も感受性の高い種であるように見える。
【0228】
胆道系への影響は、高発生率で、ラットおよびイヌの両方において一貫して観察された。しかしながら、これらの胆道変化は、一般に、最小~軽度であり、部分的であった(両方の種における胆道過形成)、または完全に可逆的であった(イヌにおける胆嚢、ラットに存在しない組織)。さらに、動物における薬物誘導胆道所見は、ヒトにおける同様の所見を確実に予測していない(Hailey,2013;MacDonald,2004)。
【0229】
胆道およびクッパー細胞の変化は、ラットにSRA141を28日間繰り返し投与した後に認められた唯一の所見であり、血液学的および臨床化学的変化が付随した。しかしながら、ラットにおける用量範囲研究では、肝臓(肝細胞変性)、脾臓(赤血球の減少)および胃(炎症および上皮過形成)を含む他の臓器および組織の変化が特定された。ラットにおける28日間の試験において同等の所見が観察されなかった理由は明らかではないが、枢動試験における薬物の周期的投与は、異なる毒性学的転帰に寄与した可能性がある。7日間のラット研究および28日間のイヌ研究において、製剤、用量および投薬期間の違いにもかかわらず、胆道系を超えたいくつかの組織変化の類似性は、イヌがSRA141に対してラットよりも感受性が高い場合があることを示唆している。
【0230】
接合唾液腺の変化は、罹患したイヌにとって有害であると見なされるが、ヒトにおける同等の唾液腺の発生率が低く、かつ欠如しているため、この潜在的な標的はヒトに不確実な臨床的関連性をもたらす。同様に、間欠投与サイクルに関連する末梢白血球の周期的変化とともに、リンパ系組織における変化の小さな大きさおよび回復可能性は有害ではないと判断され、これらの変化は相互関連であり得、白血球輸送における一過性組織および末梢血の変化を表し得る。骨髄の潜在的に有害な減少した細胞性はまた、白血球輸送におけるこの提案された変化に関連し得る。胸腺の減少は、他のリンパ系組織の変化よりも重度であったが、この組織の変化は、ストレスに部分的または完全に二次的であり、直接的なSR141関連毒性を反映していない可能性がある。
【0231】
28日間のイヌ試験では、胆嚢、腎小管、および骨髄の変化により影響を受ける男性との潜在的な性差があったようである。しかしながら、各試験群の動物の数が少なく、男女差の大きさが低いため、組織応答における特定の性差を確定的に決定することができない。
【0232】
SRA141は、インビトロ細菌逆突然変異およびヒトリンパ球染色体収差アッセイにおける突然変異原性および包成長性の両方において陰性であった。
【0233】
結論として、これらの研究の結果は、SRA141の投与後の毒性所見が、一般に、臨床環境で監視可能であり、支持療法が利用可能であり、かつ/または進行した腫瘍学研究集団ではあまり関連性がないことを示す。具体的には、MTDおよび4週間の5日間の投与スケジュールのオン/2日オフ後の最高非重症毒性用量(HNSTD)は、ラットおよびイヌにおいて、それぞれ100mg/kg/日(600mg/m2/日)および10mg/kg/日(200mg/m2/日)であると見なされた。
【0234】
実施例22:SRA141 CRC臨床試験
臨床試験は、MSI-H状態を有する患者を除外することによって濃縮されたCIN表現型の転移性CRCを有する患者における癌の治療におけるSRA141単剤療法の有効性を確認するために実施されるが、いくつかの場合において、染色体不安定性の高い他の癌は、将来探索される。
【0235】
腫瘍学的臨床試験のためのヒト当量の開始用量は、典型的には、げっ歯類の10%における重篤な毒性用量(STD10)の10分の1、または非げっ歯類における重篤な毒性が発現しない最高用量(HNSTD)の1/6のいずれか低い用量である(ICH S9,2009)。GLP中心毒性試験(実施例21を参照)からのデータは、ラットにおいて100mg/kg/日(600mg/m2/日、試験された最高用量)の最大忍容用量(STD10の代替物としてのMTD)、およびより感受性が高い種としてイヌにおいて10mg/kg/日(200mg/m2/日)のHNSTDを示した。したがって、54mgの絶対用量(60kg患者の場合)に等しい33.3mg/m2/日(0.90mg/kg/日)のヒト当量用量(HED)が利用される。対象の安全性のさらなる保証のために、経口投与されるより低いSRA141開始用量10mgが使用される。
【0236】
臨床投薬スケジュールは、抗腫瘍活性、すなわち、5日オン/2日オフを実証した前臨床投薬スケジュールと一致する。SRA141は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルで供給される。SRA141カプセルは、追加のデータに基づいて治験依頼者から指示がない限り、空腹時に服用される(対象は、投与前少なくとも2時間および投与後1時間絶食する)。
【0237】
用量漸増段階
用量漸増段階が実施される。転移性CRCを有する15~50名の対象が登録される。加速滴定設計が利用される。最初は単一の対象からなるコホートは、漸増する用量のSRA141を受ける。初期用量漸増は、新たな安全性プロファイルに基づいて、臨床的に適切であると見なされる限り、100%まで増加して進行する。SRA141関連のNational Cancer Institute-Common Terminology Criteria for Adverse Events(NCI-CTCAE)グレード2以上の毒性が特定のコホートにおいてサイクル1中に観察されると、そのコホートは3~6人の対象に拡大され、その後の用量レベルコホートはローリング6設計に従う。その後、SRA141の用量は、利用可能な全ての安全性データのレビューの後に決定される増分で漸増される。例えば、代替のスケジュールが追求される場合、治験依頼者によって別段決定されない限り、SRA141の用量は、MTDが特定されるまでエスカレートされる。代替スケジュールを伴う用量漸増は、いつでも開始され、並行して、または元のスケジュールで継続的な用量漸増の代わりに実行される。
【0238】
DLT評価期間は、サイクル1の1日目の第1の用量から治療の第1のサイクルの終了までである。いくつかの場合において、DLT評価に対して評価可能ではない、例えば、SRA141の不忍容性/毒性以外の理由でDLT評価期間を完了しない対象が置き換えられる。
【0239】
DLTは、(NCI-CTCAE v4.03によって)SRA141に非常に関連している、またはおそらく関連しているとみなされる場合、以下のいずれかの事象として定義される:
-投与を控え、および/またはサポートケアを提供しても>7日間続くグレード4の好中球減少症、貧血、または血小板減少症、
-グレード4の発熱性好中球減少症、
-グレード3以上の出血を伴うグレード3以上の血小板減少、
-グレード3以上の非血液毒性、グレード3の吐き気、嘔吐、および/または下痢に関連する例外で、適切な予防または治療、疲労、ならびに一過性および無症候性グレード3の臨床検査異常がない場合。(詳細についてはプロトコルを参照)
-不忍容性または毒性に起因して、計画された用量のSRA141の75%を受けることができない。
【0240】
用量制限毒性は、用量漸増決定の目的で考慮されるが、累積毒性が明らかになった場合、漸増またはRP2Dの次の用量レベルを決定する際に考慮される。
【0241】
用量拡大段階
用量拡大段階も実施される。腫瘍が既知の高マイクロサテライト不安定性(MSI-H)状態ではない転移性CRCを有する約30名の対象を、単一の拡張コホートに登録して、安全性プロファイルをさらに特徴付け、予備的有効性を評価する。いくつかの場合において、拡大コホートの登録は、抗腫瘍活性の証拠がある場合、またはSRA141血漿濃度が、新たな非臨床データに基づいて最小有効閾値に到達する場合、MTDまたはRP2Dの決定の前に開始される。SRA141は、提案されたRP2Dで投与され、試験の用量漸増段階の結果に基づいてスケジュールされる。いくつかの場合において、SRA141のRP2Dは、MTD以下である。あるいは、登録がRP2Dの決定の前に開始される場合、SRA141は、各対象の登録時に用量漸増段階中にクリアされた最高用量で最初に投与される。同じスケジュールのより高い用量レベルがエスカレーションコホートにおいて安全であると決定されると、いくつかの場合において、対象はより高い用量レベルにエスカレートされる。
【0242】
方法論
SRA141治療は、初期コホート(複数可)において、28日間のサイクルで、5日間オン/2日間オフスケジュールで1日1回経口投与される。代替投与スケジュールは、新たな安全性および忍容性データに基づいて考慮される。
【0243】
本治験は、スクリーニング、治療、安全性フォローアップ(SFU)および長期フォローアップから構成される。いくつかの場合において、治療期間は、疾患進行、許容できない毒性、および妊娠を含む所定の基準のうちの1つが満たされるまで継続される。
【0244】
スクリーニングおよびベースライン評価は、WOCBP対象の人口統計学、疾患履歴、ベースライン疾患評価、ベースライン安全性評価、および妊娠試験のために実行される。PDnおよび遡及的ゲノム評価のための前処理(ベースライン)試料を収集する。
【0245】
安全性評価を実施する:
-連続的有害事象(AE)評価および併用治療のレビュー、
-サイクル1中および各後続サイクルの1日目、およびSFUで、投与前および投与後2~3時間で毎週バイタルサイン、
-サイクル1および2中に毎週、およびサイクル3から隔週、次いでサイクル7以降は毎月、およびSFUで臨床生化学、
-サイクル1~3の間は毎週、その後のサイクルの間は隔週、およびSFUで血液学的検査、
-SFUでのトロポニン、各サイクルの1日目およびSFUでの尿検査、
-サイクル2の1日目およびSFUの心エコー図、
-サイクル1、2の1日目、および各第3の後続サイクル、およびSFUで心電図(ECG)(局所読み取り)、
-サイクル1の1日目および19日目の中心ECG(投与後の複数の時点で)、ならびに
-臨床的に示されるように、症状に応じた身体検査。
【0246】
加えて、直立性バイタルサインを含む集中的な血圧モニタリングは、サイクル1の1日目のSRA141の第1の用量の後に行われる。
【0247】
有効性が評価される:
-サイクル1の1日目後およびSFUで8週間毎に、胸部、腹部、骨盤、および全ての疾患の疑われる部位のCT/MRIによる腫瘍評価(文書化された疾患進行のために中止した対象を除く)、
-サイクル1の1日目後およびSFUで4週間毎に臨床評価および血清癌胚性抗原(CEA)レベル、および
-生存ステータス
【0248】
薬物キエクティクスを評価する:
-サイクル1の1日目および19日目の24時間の集中的PKサンプリング。
-C3、4、5、および8の1日目のプレドースサンプリング
【0249】
薬物動態を評価する。代替組織(皮膚パンチ生検)および腫瘍組織を収集し、PDnバイオマーカーpMCM2について分析する。皮膚パンチ試料は、ベースラインおよび投与後4~8時間(すなわち、SRA141の予想Cmax)のサイクル1の18日目または19日目に収集される。いくつかの場合において、SRA141の血漿濃度が谷レベル(Cmin)に到達するときのサイクル1またはそれ以降のサイクルの後期時点における第3の皮膚パンチ生検は、SRA141用量レベルを超える測定可能なバイオマーカー効果が、18日目または19日目から用量後の4~8時間から観察された対象から収集される。第3の皮膚パンチ生検のタイミングは、新たなPKおよびPDnデータに基づいて治験依頼者によって伝達される。皮膚生検試料は、漸増用量段階に登録された全ての被験者および拡張用量段階で少なくとも10名の対象から必要とされる。腫瘍組織は、ベースライン時およびサイクル1の4日目または5日目、投与後4~8時間の拡大用量段階の少なくとも6人の対象から必要とされる。拡大用量段階の追加の対象および漸増用量段階の対象からの腫瘍組織は、任意である。
【0250】
ゲノムを評価する。アーカイブまたは新鮮な腫瘍組織(原発性または転移性)ならびに血液試料は、ベースラインでの遡及的ゲノム分析のために収集され、SRA141治療応答に関連するゲノム変化を探索する。血液試料もSFUで収集される。
【0251】
包含基準
臨床試験の対象は、以下の基準に基づいて選択される:
-任意の治験固有の手順、サンプリング、および分析の前に書面によるインフォームドコンセント
-同意を得た時点で18歳に達した
-組織学的および/または細胞学的に確認された転移性CRC
-フルオロウラシルまたはカペシタビン、オキサリプラチン、およびイリノテカンを含むレジメンでの事前治療
-少なくとも12週間の寿命
-対象がIMPの第1の用量を受ける前1週間以内に測定される、表4に示される範囲内の血液学的および生化学的指標
【表5】
-世界保健機関(WHO)のパフォーマンスステータス0-1
-RECIST基準に従ってラジオグラフィックで測定可能な疾患
-IMPの第1の用量の前18ヶ月以内に収集された、または治験依頼者によって承認され、遡及的腫瘍プロファイリングまたはアクセス可能な腫瘍、ならびに腫瘍組織の収集のための生検に同意する意欲のために利用可能なアーキアーチ腫瘍組織
-拡大段階に登録された最小6名の対象については、アクセス可能な腫瘍、およびPDnアッセイのための腫瘍組織の収集のために最大2回の腫瘍生検に同意する意欲
【0252】
除外基準
対象は、以下の基準に基づいて、臨床試験から除外される:
-CdC7阻害剤を用いた任意の以前の治療
-既知の高マイクロサテライト不安定性、すなわち、MSI-Hを有する大腸癌
-以下の以前または現在の抗癌療法を受けている
a.SRA141の第1の用量の4週間以内の任意の標的病変(測定可能な疾患として使用される病変)の放射線療法(症状対照、および病変が測定可能な疾患として使用されない場合を除く)
b.SRA141の第1の用量の3週間以内の化学療法
c.SRA141の第1の用量の前に、4週間以内に以前の免疫療法、またはそれがより短く、治験依頼者によって承認される場合は5半減期
d.SRA141の初回投与前6週間以内のニトロソウレアまたはマイトマイシンC
e.SRA141の第1の用量の前に、4週間以内に他のIMPまたは標的療法、またはそれがより短く、治験依頼者によって承認されている場合は5半減期
-治験責任医師の見解では、CYP450酵素に影響を及ぼすことが知られている自然療法薬、ハーブサプリメント、または他の代替療法の現在の投与
-治験責任医師の見解で試験のコンプライアンスまたは安全性に影響を及ぼすほど重症である現在の非処方薬またはアルコール依存症
-治験依頼者によって承認されない限り、約95%以上の予想される5年間の無疾患生存率に関連する適切に治療された腫瘍を除く、過去2年以内の他の悪性腫瘍
-NCI-CTCAEグレード1を超える以前の治療の継続的な毒性症状。これの例外は、脱毛症または特定の毒性であり、治験責任医師および治験依頼者または治験依頼者の指定モニターの意見において、対象を除外すべきではない
-新規または進行中の脳転移。過去6か月間の中枢神経系転移の病歴(拡大コホートのみ)。いくつかの場合において8週間にわたって放射線学的に安定している脳転移を有する対象は、漸増コホートに含まれる。
-妊娠中または授乳中の女性。妊娠可能性のある女性(WOCBP)は、血清または尿妊娠検査の陰性スクリーニング(すなわち、初回投与の7日以内)を有し、治験を通じておよびその後6ヶ月間、IMPの初回投与から有効な避妊要件に従うことに同意しない限り、
-妊娠可能性のあるパートナーが、治験中およびその後6ヶ月間、避妊要件に従うことにより、子供を父親にしない措置を講じることに同意しない限り、子供を産むことができる。妊娠中または授乳中のパートナーがいる対象は、試験中およびSRA141の最終投与後6か月間、胎児または新生児への曝露を防ぐためにコンドームと殺精子ゲルを使用することを推奨しなければならない
-対象がまだ回復していない専攻手術
-非悪性全身性疾患による高い医学的リスク(能動的非制御性感染を含む)
-陰性ウイルス負荷で制御され、治験依頼者によって承認されない限り、B型肝炎、C型肝炎、またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)について血清学的に陽性であることが知られている
-治験依頼者によって承認されない限り、同時にうっ血性心不全などの深刻な心または心血管の状態、ニューヨーク心臓協会[NYHA]基準によるクラスIII/IVの心疾患の病歴、ベースラインで左心室駆出率<45%、過去6か月以内の心虚血の病歴、治療を必要とする顕著な心不整脈の病歴、虚血性脳血管疾患または症状性末梢血管疾患の病歴
-成人においてQTcF>450ミリ秒および成人女性において>470ミリ秒
-IMPの最初の用量の8週間以内の骨髄の25%超に対する事前の骨髄移植または広範囲の放射線療法
-いくつかの場合においてIMPの吸収を顕著に変化させる胃腸(GI)機能の障害またはGI疾患(例えば、潰瘍性疾患、制御されていない吐き気、嘔吐、下痢、または吸収不良症候群)
噛んだり砕いたりせずにカプセルを飲み込むことができない
-SRA141またはその賦形剤に対する既知のアレルギー、過敏症、または不忍容性
-本臨床試験の参加者であるか、または別の介入臨床試験の参加を計画している。IMPの投与を伴わず、治験責任医師および治験依頼者または治験依頼者の指定者の意見において対象に許容できない負担を課さない観察試験または介入臨床試験への参加は許容される
-治験責任医師または治験依頼者の意見では対象を臨床試験の良好な候補としない任意の他の条件。
【0253】
RECIST基準
この試験における疾患奏効の評価は、改訂されたRECIST基準v1.1に従って行われる。RECIST基準は、それが教示する全てについて参照によって本明細書に組み込まれる、Eisenhauer,et al.(New response evaluation criteria in solid tumours:Revised RECIST guideline(version 1.1).Eur J Cancer[Internet].2009)においてより詳細に記載される。
【0254】
ベースラインでは、腫瘍病変/リンパ節は一般に、以下のように測定可能または測定不能に分類される:
【0255】
測定可能
腫瘍病変:一般に、少なくとも1つの寸法で正確に測定され(測定面での最長直径が記録され)、最小サイズは以下である:
-CTスキャンによる10mm(CTスキャンスライス厚は5mm以下、イメージングガイダンスについてはAppendix II in Eisenhauer,et al.,[Eisenhauer,2009]を参照されたい)
-臨床検査による10mmキャリパー測定(キャリパーで正確に測定することができない病変は測定不能として記録されるべきである)
-胸部X線による20mm
【0256】
悪性リンパ節:病理学的に拡大し、測定可能であるとみなされるには、リンパ節は、CTスキャンによって評価される場合、一般に短軸が15mmである(CTスキャンスライス厚は5mm以下であることが推奨される)。ベースラインおよびフォローアップでは、短軸のみが一般に測定され、追跡される。
【0257】
測定不能
小さな病変(10mm未満の最長直径または10以上~15mm未満の短軸を有する病理学的リンパ節)、および真に測定不能な病変を含む、全ての他の病変。真に測定不能とみなされる病変は、一般に、軟膜疾患、腹水、胸水または心嚢液、炎症性乳房疾患、皮膚または肺のリンパ管性病変、再現可能なイメージング技法によって測定可能ではない身体検査によって特定される腹部腫瘤/腹部臓器肥大を含む。
【0258】
骨病変、嚢胞性病変、および以前に局所療法で治療された病変は、特定のコメントを必要とする:
【0259】
骨病変:
-骨スキャン、PETスキャン、または単純フィルムは、一般に骨病変を測定するための適切なイメージング技法とみなされない。しかしながら、骨病変の存在または消失を確認するために、これらの技法を使用することができる。
-CTまたはMRIのような断面イメージング技法によって評価することができる、特定可能な軟部組織成分を伴う、溶解性骨病変または混合溶解性-芽球性病変は、軟部組織成分が上記の測定可能性の定義を満たす場合、一般に測定可能な病変とみなされる。
-芽球性骨病変は一般に測定不能である。
【0260】
嚢胞性病変:
-放射線写真で定義された単純嚢胞についての基準を満たす病変は、定義によって、単純嚢胞であるため、一般に悪性病変(測定可能でも測定不能でもない)とみなされない。
-嚢胞性転移を表すと考えられる「嚢胞性病変」は、上記の測定可能性の定義を満たす場合、一般に測定可能な病変とみなされる。しかしながら、非嚢胞性病変が同じ対象に存在する場合、これらは標的病変としての選択に好ましい。
【0261】
以前の局所治療を受けた病変:
-以前に照射された領域、または他の局所領域療法を受けた領域にある腫瘍病変は、病変において増悪が示されていない限り、通常は測定可能とみなされない。試験プロトコルは一般に、そのような病変が一般に測定可能とみなされる条件を詳述する。
【0262】
評価の方法
全ての測定は、臨床的に評価される場合キャリパーを使用して、一般にメートル表記で記録される。全てのベースライン評価は、一般に、治療開始にできるだけ近く、治療の開始前の4週間以内に行われる。
【0263】
ベースラインおよびフォローアップ中に特定および報告された各病変を特徴付けるために、同じ評価方法および同じ技法が一般に使用される。追跡される病変(複数可)を画像化することができるが、臨床検査によって評価可能でない限り、臨床検査ではなく、一般に、イメージングに基づく評価が常に行われる。
【0264】
臨床病変は、表面的であり、キャリパーを使用して評価されるように10mm以上の直径(例えば、皮膚結節)である場合、一般に測定可能とみなされる。皮膚病変の症例について、病変のサイズを推定するルーラーを含むカラー写真による文書化が提案される。上記のように、病変が臨床検査およびイメージングの両方によって評価することができる場合、より客観的であり、またいくつかの場合では試験の最後に再調査されるため、イメージング評価が一般に行われる。
【0265】
特に新規病変の特定において、CTはX線よりも感度が高いため、特に増悪が重要なエンドポイントである場合、胸部CTは一般に胸部X線よりも好まれる。しかしながら、いくつかの場合において、胸部X線上での病変は、それらが明確に定義され、含気肺によって囲まれる場合、測定可能とみなされる。
【0266】
CTは、一般に、奏効評価のために選択される病変を測定するために現在利用可能な再現可能な最良の方法である。このガイドラインは、CTスライス厚が5mm以下であるという仮定に基づいて、CTスキャンでの病変の測定可能性を定義している。CTスキャンが5mmを超えるスライス厚を有する場合、測定可能な病変についての最小サイズは、スライス厚の2倍である。MRIはまた、特定の状況において(例えば、ボディスキャンについて)許容される。客観的腫瘍奏効評価のためのCTおよびMRIの両方の使用に関する詳細は、Eisenhauer et alからの刊行物に提供される。
【0267】
超音波は、一般に病変サイズの評価において有用ではなく、一般に測定方法として使用されない。超音波検査は、後日の独立した再調査のためにそれらの全体で再現することができず、オペレーター依存的であるため、一般に、同じ技法および測定が1つの評価から次の評価まで行われることを保証することはできない(Eisenhauer,et al.(2009)においてより詳細に記載される)。試験の経過において超音波によって新規病変が特定される場合、CTまたはMRIによる確認が一般に推奨される。CTでの放射線曝露について懸念がある場合、いくつかの場合において選択された事例においてCTの代わりにMRIが使用される。
【0268】
客観的な腫瘍評価のための内視鏡検査および腹腔鏡検査技法の利用は、一般に推奨されない。しかしながら、それらは一般に、生検が得られる場合に完全な病理学的奏効を確認するために、または完全奏効または外科的切除後の再発がエンドポイントである試験における再発を決定するために有用である。
【0269】
腫瘍マーカー単独は、一般に、客観的な腫瘍奏効を評価するために使用されない。しかしながら、マーカーが初期に正常上限を超える場合、それらは一般に、完全奏効にあるとみなされる対象について正規化される。
【0270】
細胞学および組織学は、プロトコルによって必要とされるまれな場合(例えば、既知の残存良性腫瘍が残り得る胚細胞腫瘍のような腫瘍タイプにおける残存病変)においてPRとCRとを区別するために一般に使用される。滲出液が治療の潜在的な有害効果であることが知られる(例えば、特定のタキサン化合物または血管新生阻害剤を含む)場合、治療中に出現または悪化する任意の滲出液の腫瘍性起源の細胞学的確認は、奏効(または安定性疾患)と進行性疾患とを区別するために、測定可能な腫瘍が奏効または安定性疾患の基準を満たしているか一般に考慮される。
【0271】
腫瘍奏効評価
客観的奏効または将来の進行を評価するために、ベースラインでの全体的な腫瘍負荷は、一般に推定され、その後の測定にコンパレータとして使用される。測定可能な疾患は、一般に、少なくとも1つの測定可能な病変の存在によって定義される。
【0272】
複数の測定可能な病変がベースラインで存在する場合、全ての関与する臓器を代表する合計最大5つの病変(および臓器あたり最大2つの病変)までの全ての病変は、一般に標的病変として特定され、ベースラインで記録および測定される(これは、対象が1つまたは2つの関与する臓器部位のみを有する場合、それぞれ最大2つおよび4つの病変が記録されることを意味する)。標的病変は、一般にそれらのサイズ(最長直径を有する病変)に基づいて選択され、一般に全ての関与臓器を代表するが、加えて一般に再現可能な繰り返し測定に適したものである。いくつかの場合において、図3のEisenhauer,et al.(2009)に例示されるように、再現可能に測定することができる次に大きな病変が一般に選択される状況では、最大の病変は、再現可能な測定に適さない。
【0273】
リンパ節は、正常な解剖学的構造であり、いくつかの場合において腫瘍によって関与されなくてもイメージングによって見ることができるため、特記に値する。測定可能と定義され、いくつかの場合において標的病変として特定される病理学的結節は、一般にCTスキャンによって15mm以上の短軸の基準を満たす。これらの結節の短軸のみが一般にベースライン合計に寄与する。結節の短軸は一般に、結節が固形腫瘍によって関与されるかを判断するために放射線科医によって通常使用される直径である。結節サイズは、通常、画像が取得される平面における2つの寸法として報告される(CTスキャンについて、これはほとんど常に軸平面であり、MRIについて、いくつかの場合において取得の平面は軸平面、矢状面、または冠状面である)。これらの寸法のうちの小さい方が短軸である。例えば、20mm×30mmと報告される腹部結節は、20mmの短軸を有し、悪性の測定可能な結節として適格である。この例では、20mmが結節測定として記録される。全ての他の病理学的結節(10mm以上であるが<15mmの短軸を有するもの)は、一般に非標的病変とみなされる。<10mmの短軸を有する結節は、一般に非病理学的とみなされ、一般に記録も追跡もされない。
【0274】
全ての標的病変についての直径(非結節性病変では最長、結節性病変では短軸)の合計は、一般に計算され、ベースライン合計直径として報告される。リンパ節を合計に含める場合、上記のように、短軸のみが合計に追加される。ベースライン合計直径は、一般に、疾患の測定可能な寸法において任意の客観的な腫瘍退縮をさらに特徴付けるために、参照として使用される。
【0275】
病理学的リンパ節を含む全ての他の病変(または疾患の部位)は、一般に非標的病変として特定され、一般にベースラインで記録される。測定は一般に不要であり、これらの病変は一般に「存在する」、「存在しない」、またはまれな場合「明確な進行」として追跡される(詳細は後述される)。加えて、同じ臓器に関与する複数の非標的病変を症例記録フォームで単一項目(例えば、「複数の骨盤リンパ節の拡大」または「複数の肝転移」)として記録することが可能である。
【0276】
奏効基準
完全奏効(CR):全ての標的病変の消失。任意の病理学的リンパ節(標的か非標的かに関係なく)は、短軸が<10mmに低減する。
【0277】
部分奏効(PR):ベースライン合計直径を参照として、標的病変の直径の合計の少なくとも30%減少。
【0278】
進行性疾患(PD):最小合計を参照として、標的病変の直径の合計の少なくとも20%増加(これは、試験で最小である場合、ベースライン合計を含む)。20%の相対的な増加に加えて、合計は、一般に、少なくとも5mmの絶対的な増加を実証する。(注記:1つ以上の新規病変の出現も、一般に進行とみなされる)。
【0279】
安定性疾患(SD):最小合計直径を参照として、PRに適格であるのに十分な収縮もPDに適格であるのに十分な増加もない。
【0280】
標的病変として特定されるリンパ節は、一般に結節が10mm未満に退縮した場合でも、一般に(ベースライン検査と同じ解剖平面で測定される)実際の短軸測定を記録する。これは、リンパ節が標的病変として含まれる場合、正常なリンパ節は一般に<10mmの短軸を有すると定義されるため、完全奏効基準が満たされる場合でも、いくつかの場合、病変の「合計」がゼロにならないことを意味する。したがって、症例報告書または他のデータ収集方法は、いくつかの場合、CRに適格となるために、各結節が一般に<10mmの短軸を達成する別のセクションに記録される標的結節性病変を有するように設計される。PR、SD、およびPDについて、結節の実際の短軸測定は、好ましくは標的病変の合計に含まれる。
【0281】
試験中、ベースラインで記録される全ての病変(結節および非結節)は、一般に、非常に小さい場合(例えば、2mm)でも、その後の各評価でそれらの実際の測定を記録する。しかしながら、時々ベースラインで標的病変として記録される病変またはリンパ節がCTスキャンで非常に弱くなり、いくつかの場合では放射線科医が正確な寸法を割り当てることに違和感があり、いくつかの場合において、それらを「測定するには小さすぎる」と報告する。これが発生する場合、一般に、値が症例報告書に記録されることが重要である。病変が消失した可能性が高いことが放射線科医の意見である場合、測定は一般に0mmと記録される。病変が存在すると考えられ、かすかに見られるが、測定するには小さすぎる場合、5mmのデフォルト値が一般に割り当てられる。(注記:一般に、リンパ節は通常、正常な場合は定義可能なサイズを有し、後腹膜のように脂肪によって囲まれることが多いため、このルールがリンパ節に使用される可能性は低いが、リンパ節が存在すると考えられ、かすかに見られるが、測定するには小さすぎる場合、5mmのデフォルト値は、一般に、この状況においても割り当てられる)。このデフォルト値は、5mmのCTスライス厚から導出される(ただし、変動するCTスライス厚で一般に変化しない)。これらの病変の測定は、潜在的に再現不能であり、したがって、このデフォルト値を提供することは、測定エラーに基づく偽奏効または進行を防止する。しかしながら、繰り返すが、放射線科医が実際の寸法を提供することができる場合、それが5mm未満であっても、一般に記録される。
【0282】
非結節性病変が「断片化」する場合、断片化した部分の最長直径が一般に加算されて、標的病変合計が計算される。同様に、病変が合体するとき、それらの間の平面は一般に維持され、各個々の病変の最大直径測定を得るのに役立つ。病変が真に合体して、分離できなくなった場合、この場合における最長直径のベクトルは、一般に「合体病変」についての最大の最長直径である。
【0283】
いくつかの非標的病変は、いくつかの場合において実際に測定可能であるが、一般に測定されず、代わりに一般にプロトコルにおいて指定される時点で定性的にのみ評価される。
【0284】
完全奏効(CR):全ての非標的病変の消失および腫瘍マーカーレベルの正常化。全てのリンパ節は、非病理学的なサイズである(<10mmの短軸)。
【0285】
非CR/非PD:1つ以上の非標的病変(複数可)の持続および/または正常限界を超える腫瘍マーカーレベルの維持。
【0286】
進行性疾患(PD):既存の非標的病変の明らかな増悪(下記コメント参照)。(注記:1つ以上の新規病変の出現も増悪とみなされる)。
【0287】
対象が測定可能な疾患を有する場合、非標的疾患に基づいて「明らかな増悪」を達成するために、一般に、非標的疾患における実質的な悪化の全体的なレベルがあり、標的疾患におけるSDまたはPRの存在下でも、全体的な腫瘍負荷は、療法の中止に値するほど十分に増加している。1つ以上の非標的病変のサイズの控えめな「増加」は、通常、明らかな増悪状態に適格となるには不十分である。標的疾患のSDまたはPRにもかかわらず非標的疾患の変化のみに基づいた全体的な増悪の指定は、したがって、一般に極めてまれである。
【0288】
測定不能な疾患のみを有する対象は、測定可能な疾患を有することが試験参加の基準ではない場合、いくつかの第III相試験において発生する。上記と同じ一般的な概念がここで適用されるが、この例では、測定不能な疾患の負荷の増加の解釈に織り込む測定可能な疾患の評価はない。非標的疾患の悪化は一般に容易に定量化されないため(定義により:全ての病変が真に測定不能である場合)、明らかな増悪について対象を評価するときに一般に適用することができる有用な試験は、測定不能な疾患の変化に基づく全体的な疾患負荷の増加の大きさが、測定可能な疾患についてPDを宣言するために必要となるであろう増加、すなわち、「体積」の追加の73%増加(これは測定可能な病変における直径20%増加と同等である)を表す腫瘍負荷の増加に相当するかを考慮することである。例は、胸水の「微量」から「多量」への増加、リンパ管炎性疾患の限局性から広範囲への増加を含むか、またはいくつかの場合において、プロトコルにおいて「療法の変更を必要とするのに十分」と記載される。「明らかな増悪」が見られる場合、対象は、一般にその時点で全体的なPDを有しているとみなされる。測定不能な疾患に適用する客観的な基準を有することが理想的であるが、その疾患の性質は、そうすることを一般に非常に困難にし、したがって、増加は一般に実質的である。
【0289】
新規悪性病変の出現は、一般に疾患増悪を示し、したがって、新規病変の検出に関するいくつかのコメントは一般に重要である。一般に、新規放射線写真病変の特定のための特定の基準はないが、新規病変の発見は一般に明らかであり、すなわち、一般に、スキャン技法の相違、画像診断法の変更、または腫瘍以外のものを表すと考えられる所見(例えば、いくつかの場合において、いくつかの「新規」骨病変は、単に既存病変の治癒または再発である)に起因しない。これは、対象のベースライン病変が部分または完全奏効を示す場合に特に重要である。例えば、肝臓病変の壊死は、CTスキャンレポートで「新規」嚢胞性病変として頻繁に報告されるが、一般にそうではない。
【0290】
ベースラインでスキャンされなかった解剖学的位置におけるフォローアップ試験で特定される病変は、一般に新規病変とみなされ、一般に疾患増悪を示す。この例は、ベースラインで内臓疾患を有し、試験中に脳のCTまたはMRIが指示され、これが転移を明らかにする対象である。対象の脳転移は、ベースラインでの脳イメージングが行われなかった場合でも、一般にPDの証拠であるとみなされる。
【0291】
例えば、その小さなサイズのために、新規病変が明らかでない場合、継続的な療法およびフォローアップ評価は、一般に、それが真に新規疾患を表すかを明らかにする。繰り返しスキャンが確実に新規病変があることを確認する場合、増悪は、一般に、初期スキャンの日付を使用して宣言される。
【0292】
FDG-PET奏効評価は追加の試験を必要とするが、増悪(特に「新規」疾患の可能性)の評価においてCTスキャンを補完するためにFDG-PETスキャンの使用を組み込むことが合理的な場合がある。FDG-PETイメージングに基づく新規病変は、一般に、以下のアルゴリズムに従って特定される:
a.ベースラインでの陰性FDG-PET、フォローアップでの陽性*FDG-PETは、一般に、新規病変に基づくPDの徴候である。*「陽性」FDG-PETスキャン病変は、一般に、減衰補正画像での周囲組織の取り込みの2倍を超える取り込みでFDG avidであるものを意味する。
b.ベースラインでのFDG-PETなし、およびフォローアップでの陽性FDG-PET:
-フォローアップでの陽性FDG-PETがCTによって確認される新規疾患部位に対応する場合、これは一般にPDである。
-フォローアップでの陽性FDG-PETがCTで新規疾患部位として確認されない場合、追加のフォローアップCTスキャンが一般に行われ、その部位で真に増悪が発生しているか決定される(そうである場合、PDの日付は初期異常FDG-PETスキャンの日付となる)。「陽性」FDG-PETスキャン病変は、一般に、減衰補正画像での周囲組織の取り込みの2倍を超える取り込みでFDG avidであるものを意味する。
-フォローアップでの陽性FDG-PETが解剖学的画像に基づいて増悪していないCTの既存の疾患部位に対応する場合、これは一般にPDではない。
【0293】
最良の全体的な奏効の評価
最良の全体的な奏効は、一般に、試験治療の開始から治療の終了までに記録された最良の奏効である。この試験において療法の終了後まで奏効が文書化されない場合、代替の抗癌療法が行われていない限り、一般的に治療後評価が最良の全体的な奏効の決定において考慮される。対象の最良の全体的な奏効の割り当ては、一般に、標的疾患および非標的疾患の両方の所見に依存し、一般に、新規病変の出現も考慮に入れる。
【0294】
一般に、プロトコルで指定された各時点で、奏効評価が行われると想定される。表5は、ベースラインで測定可能な疾患を有する対象についての各時点での全体的な奏効状態計算の要約を提供する。
【0295】
対象が測定不能な(したがって非標的)疾患のみを有する場合、表6が一般に使用される。
【0296】
特定の時点でイメージング/測定が全く行われない場合、対象は、一般にその時点で評価不能(NE)である。評価時に病変測定のサブセットのみが行われる場合、個々の欠損病変(複数可)の寄与が割り当てられた時点の奏効を変化させないという説得力のある議論がなされない限り、通常、その場合は、その時点で一般にNEともみなされる。これはPDの場合に起こる可能性が最も高いであろう。例えば、対象が、3つの測定された病変で50mmのベースライン合計を有し、フォローアップで2つの病変のみが評価されたが、それらが80mmの合計をもたらした場合、対象は、欠損病変の寄与に関係なく、一般にPD状態を達成している。
【0297】
対象についての全てのデータが知られると、最良の全体的な奏効が一般に決定される。
【0298】
完全または部分奏効の確認が一般に必要とされない試験における最良の奏効決定:これらの試験における最良の奏効は、一般に、全ての時点にわたる最良の奏効として定義される(例えば、第1の評価でSD、第2の評価でPR、および最後の評価でPDを有する対象は、PRの最良の全体的な奏効を有する)。SDが最良の奏効であると考えられる場合、これは、一般に、ベースラインからのプロトコル指定最小時間も満たす。SDがそうでなければ最良の時点での奏効であるときに最小時間が満たされない場合、対象の最良の奏効は、一般に、その後の評価に依存する。例えば、第1の評価でSD、第2でPDを有し、SDについての最小期間を満たさない対象は、PDの最良の奏効を有するであろう。第1のSD評価後にフォローアップを受けない同じ対象は、一般に評価不能とみなされる。
【0299】
結節性疾患が標的病変の合計に含まれ、結節が「正常な」サイズ(<10mm)に減少する場合、いくつかの場合において、それらはスキャンで報告された測定を依然として有する。結節のサイズの増加に基づいて増悪を過大評価しないために、結節が正常でも、この測定は一般に記録される。先に述べたように、これは、いくつかの場合において、CRを有する対象が、症例報告書(CRF)に「ゼロ」の合計を有さないことを意味する。
【0300】
その時点での疾患増悪の客観的な証拠なしに治療の中止を必要とする健康状態の全体的な悪化を有する対象は、一般に「症状悪化」として報告される。治療の中止後であっても客観的な増悪を文書化するためのあらゆる努力が一般に行われる。症状悪化は、一般に客観的奏効の記述子ではなく、それは、試験療法を停止するための理由である。そのような対象の客観奏効状態は、一般に、表5~表6に示されるように、標的および非標的疾患の評価によって決定される。
【0301】
「EP、早期死亡および評価不能」を定義する条件は、試験特異的であり、一般に(治療期間、治療周期性に応じて)各プロトコルにおいて明確に記載される。
【0302】
いくつかの状況では、残存疾患と正常組織とを区別することが難しい。完全奏効の評価がこの決定に依存する場合、完全奏効の状態を割り当てる前に、残存病変を調査(穿刺吸引/生検)することが一般に推奨される。いくつかの場合において、残存する放射線写真異常が線維症または瘢痕を表すと考えられる場合における生検と同様の方法でCRへと奏効をアップグレードするために、FDG-PETが使用される。
【0303】
増悪の明らかでない所見(例えば、非常に小さく不確実な新規病変、嚢胞性変化、または既存の病変の壊死)について、いくつかの場合において、治療は、次の予定された評価まで継続される。次の予定された評価で、増悪が確認される場合、増悪の日付は、一般に、増悪が疑われた早い方の日付である。
【表6】
【表7】
【0304】
奏効の期間
全体的な奏効の期間は、一般に、CR/PRの測定基準が最初に満たされる時間(最初に記録される方)から、再発性または進行性疾患が試験で記録される最初の日付まで測定される。
【0305】
全体的な完全奏効の期間は、一般に、CRの測定基準が最初に満たされる時間から、再発性疾患が客観的に文書化される最初の日付まで測定される。
【0306】
安定性疾患は、一般に、治療の開始から(無作為化試験では、無作為化の日から)進行の基準が満たされるまで、試験の最小合計を参照として測定される(ベースライン合計が最小である場合、これがPDの計算の参照である)。
【0307】
実施例23:SRA141 CIN癌臨床試験
染色体不安定性の高い率を有する癌を有する患者の治療におけるSRA141単剤療法の有効性を確認するために、実施例22に記載のように臨床試験を実施する。
【0308】
実施例24:代替のSRA141投与レジメン
十分な臨床安全性および忍容性、PKおよび活性バイオマーカーデータが利用可能になったら、代替スケジュールを調査する。いくつかの場合において、治験依頼者と治験責任医師との間の話し合いの後、治験中の任意の時点で代替投与スケジュールを考慮する。いくつかの場合において、代替スケジュールの必要性は、新たな安全性および忍容性データ、PKおよび/またはPDnデータによって示される。いくつかの場合において、代替のスケジュールは、以下の例を含むが、これらに限定されない:7日オン/7日オフ、14日オン/14日オフ、1日2回投与、または他の変形を含む。代替の投薬スケジュールコホートは、いくつかの場合において、連続スケジュールコホートと並行して、または連続スケジュールコホートの代わりに開始する。
【0309】
代替投与スケジュールの初期開始用量は、以前のコホートからの安全性、忍容性、およびPK結果に依存するであろう。MTDが以前のスケジュールと特定された後に別のスケジュールをテストする場合、新しいスケジュールの開始総週用量は、前のスケジュールのMTDでの総週用量を超えない。MTDが前のスケジュールで特定されていない場合、いくつかの場合において用量漸増ステップが発生するが、用量漸増は、一般に、週あたりの総用量に基づいて50%を超えない。
【0310】
実施例25:ビフェノタイプB骨髄単球性白血病のラットMV-4-11異種移植片モデルにおけるSRA141治療の免疫組織化学評価
皮下二表現型B骨髄単球性白血病MV-4-11腫瘍を有するラットを、75mg/kgのSRA141またはビヒクル、BIDで、または100mg/kgのSRA141、QDで5日間治療した。最後の用量の投与の12時間後に、動物から腫瘍を収集した。ホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍および/または皮膚を、全MCM2、セリン40でのリン酸化MCM2(pMCM2-S40)およびセリン53でのリン酸化MCM2(pMCM2-S53)、セリン41でのリン酸化MCM2(pMCM2-S41)、ならびに定常状態でのセリン139でのリン酸化ヒストンH2A.Xについて免疫組織化学によって評価した。
【0311】
図24Aおよび図24Bに示されるように、腫瘍中のS40およびS53におけるpMCM2の実質的な減少は、皮膚組織の変化と相関し、皮膚生検を利用して、SRA141のオンターゲット活性を実証し得ることを示唆している。Cdc7ではなく、S41がCdkによってリン酸化されるため、予想通り、SRA141治療後にpMCM2-S41の影響は見られなかった。したがって、データは、SRA141がCdc7阻害に対する特異性を有することをさらに実証する。腫瘍を、有糸分裂細胞のマーカーであるpHH3についての免疫組織化学によって、またはヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色することによっても分析した。図24Cに示される結果は、5日間の投与後、SRA141で治療された腫瘍が、ビヒクルと比較してより少ない有糸分裂細胞およびアポトーシス細胞の存在の増加をもたらしたことを実証し、SRA141で治療されたMV-4-11腫瘍における抗腫瘍活性の存在を示唆する。
【0312】
異種移植腫瘍の評価
異種移植片腫瘍(間質または周囲のラット組織ではないが)における腫瘍細胞をスコア化した。スコアリングは、主成分を用いて半定量的に行い、腫瘍細胞を、差動強度およびHスコアでのパーセンテージとして、総MCM2、pMCM2-S53、pMCM2-S40、およびgH2AX反応性についてスコアリングする。パーセンテージおよび強度測定は、各異種移植片試料内の腫瘍の同じ相対領域内の科学者によって推定される(下端から1つの40倍視野)。
【0313】
異種移植片組織を評価するために使用されるHスコアアプローチは、対応する差動強度で4点半定量尺度(0、1+、2+、3+)で核染色を有する腫瘍細胞の割合を記録することを必要とする。この尺度では、0=ゼロ、陰性または非特異的染色、1+=低または弱い染色、2+=中または中程度の染色、および3+=高または強い染色である。
【0314】
Hスコアは、発現強度(褐色染色)を有する細胞の割合に、それらの対応する差動強度を4点半定量尺度(0、1+、2+、3+)で乗じて合計することによって計算される。したがって、スコアは0~300の範囲である。
【0315】
Hスコア=[(%at<1)×0]+[(%at1+)×1]+[(%at2+)×2]+[(%at3+)×3]
【0316】
ラット皮膚の評価
ラット皮膚試料中の表皮の上皮細胞を、2つの科学者によって共同スコア化した。総MCM2、pMCM2-S53、pMCM2-S40、およびgH2AX反応性について表皮細胞を陽性細胞の計数としてスコアリングするために、主成分を用いて定量的にスコアリングを行った。各皮膚試料について、4つの均等に分布する領域を審査のためにマークした。領域を各皮膚試料中の同じおおよその位置に整列させた。pMCM2-S53およびpMCM2-S40について、4つの代表領域における10倍視野における陽性細胞の数を計数した。gH2AXについては、4つの代表的な領域における20倍視野における陽性細胞の数を計数した。強度に関係なく、染色が10倍または20倍で容易に観察された場合、細胞を計数した。同じ総面積を一貫して捕捉するために、細胞は平坦な表皮内でのみ計数され、陥入領域では計数されなかった。
【0317】
各皮膚試料について分析した領域にわたって計数された陽性皮膚細胞の数を、各バイオマーカーについて平均した。次に、pMCM2-S53およびpMCM2-S40の陽性皮膚細胞の平均数を、全MCM2の陽性皮膚細胞の平均数と比較してパーセンテージとして表した。gH2AXの陽性皮膚細胞の平均数に2を乗じて、20倍対10倍(正規化)でのその評価を説明し、次いで、総MCM2の平均に対するパーセンテージとしても表された。
【0318】
皮膚細胞計数は、各試料について同じおおよその位置にある複数の皮膚領域(総MCM2については2つの領域、pMCM2については4つの領域、およびgH2AX)における2つの独立した科学者によって計数された陽性細胞の数(任意の強度で)を記録することによって実行した。各バイオマーカーについて各皮膚領域で記録された陽性細胞の数を、各試料について平均した。pMCM2-S53、pMCM2-S40、およびgH2AX(倍率について正規化)の平均細胞計数を、合計MCM2のパーセンテージと比較した。gH2AXについては20倍、他の全てのマーカーについては10倍で細胞計数を行った。
【0319】
平均計数(pMCM2、gH2AX)=[領域1pos細胞]+[領域2pos細胞]+[領域3pos細胞]+[領域4pos細胞]/4
【0320】
平均計数(合計MCM2)=[領域1pos細胞]+[領域4pos細胞]/2
【0321】
合計の割合(pMCM2)=[平均計数pMCM2]/[平均計数合計MCM2]×100
【0322】
合計の割合(gH2AX)=[平均計数gH2AX×2(正規化)]/[平均計数合計MCM2]×100
【0323】
図25Aおよび図25Bに示される結果は、ラットMV-4-11異種移植片モデルにおける腫瘍および皮膚の両方におけるpMCM2-S40の用量依存的減少を示す。
【0324】
実施例26:ヒト腫瘍および皮膚の免疫組織化学評価
ホルマリン固定パラフィン包埋ヒト腫瘍およびヒト正常皮膚試料を、総MCM2、pMCM2-S53、pMCM2-S40、およびgH2AXについて免疫組織化学によって評価した。
【0325】
ヒト腫瘍の評価
ヒト転移性結腸癌試料中の腫瘍細胞(間質または周囲の非腫瘍性組織成分ではないが)をスコア化した。Hスコアを、前述の通りに計算した(実施例25)。
【0326】
ヒト皮膚の評価
ヒト皮膚試料中の表皮の上皮細胞を、2つの科学者によって共同スコア化した。総MCM2、pMCM2-S53、pMCM2-S40、およびgH2AX反応性について表皮細胞を陽性細胞の計数としてスコアリングするために、主成分を用いて定量的にスコアリングを行った。各皮膚試料について、2つの均等に分布した領域を審査のためにマークした。各皮膚試料中の同じおおよその位置に領域を整列させ、MCM2およびpMCM2について10倍で評価した。gH2AXについて、2つの領域で出願された20倍における陽性細胞の数を計数した。強度に関係なく、染色が10倍または20倍で容易に観察された場合、細胞を計数した。同じ総面積を一貫して捕捉するために、細胞は平坦な表皮内でのみ計数され、陥入領域では計数されなかった。
【0327】
各皮膚試料について分析した領域にわたって計数された陽性皮膚細胞の数を、各バイオマーカーについて平均した。次に、pMCM2-S53およびpMCM2-S40の陽性皮膚細胞の平均数を、全MCM2の陽性皮膚細胞の平均数と比較してパーセンテージとして表した。gH2AXの陽性皮膚細胞の平均数に2を乗じて、20倍対10倍(正規化)でのその評価を説明し、次いで、総MCM2の平均に対するパーセンテージとしても表された。
【0328】
皮膚細胞計数は、実施例25に記載されるように実施した。
【0329】
平均計数(総MCM2、pMCM2、gH2AX)=[領域1pos細胞]+[領域2pos細胞]/2
【0330】
合計の割合(pMCM2)=[平均計数pMCM2]/[平均計数合計MCM2]×100
【0331】
合計の割合(gH2AX)=[平均計数gH2AX×2(正規化)]/[平均計数合計MCM2]×100
【0332】
正常なヒト組織の免疫組織化学評価は、pMCM-S40のベースラインレベルが測定可能であり、ビヒクルを用いた治療後のラット皮膚試料と同等のレベルであることを実証する(図26)。したがって、ヒト皮膚は、SRA141オンターゲット薬物力学を評価するための合理的な代替組織であるように見える。
【0333】
実施例27:様々な癌細胞株におけるSRA141と追加の抗腫瘍剤との組み合わせ
SRA141と9つの標的抗腫瘍剤との組み合わせ活性を、固形腫瘍細胞株(Colo-205、SW620、A375(V600E黒色腫))、および血液癌細胞株(KG-1、MOLM-13、MV411)において評価した。細胞生存率を、前述のCTGおよびCTBlueアッセイ(実施例3)を使用して評価した。内部対照としてスタウロスポリンを使用して96ウェルプレートでアッセイを行った。細胞を、単一薬剤(第I相)またはSRA141と第2薬剤(第II相)の組み合わせで72時間インキュベートした。
【0334】
第I相では、ABT-199、ATMキナーゼ阻害剤KU-60019、オーロラBキナーゼ阻害剤バラセルチブ、MEK阻害剤トラメチニブ、PI3K経路阻害剤コパンリシブ、レチノイド経路阻害剤ベキサロテンおよびトレチノイン、トレオニンチロシンキナーゼ(TTK)阻害剤CFI-402257、ならびに上皮成長因子阻害剤エルロチニブの6つの細胞株全てにおいて、以下の9つの薬剤のそれぞれについて、20%阻害濃度(IC20)および50%阻害濃度(IC50)を決定した。
【0335】
第II相では、アッセイを、各薬剤の存在下で固定濃度(各薬剤についてはIC20およびIC50)およびSRA141の組み合わせで繰り返し、アッセイは、SRA141の濃度の範囲にわたって行われた。Bliss Independenceモデルを使用して、組み合わせ指数(CI)値を計算した(例えば、Foucquier and Guedj,Pharmacol.Res.Perspect.2015 3(3)(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。CI値が1未満(CI<1)は、組み合わせ効果が予想される付加効果よりも大きいことを示す。
【0336】
Colo-205細胞における併用処理の結果(図27Aおよび図27G)は、SRA141およびバラセルチブが、特に0.012μMのバラセルチブの存在下で相乗的に作用することを実証する。対照的に、SRA141およびベキサロテンとの組み合わせは、拮抗効果を有するように見える。トラメチニブおよびコパンリシブは、Colo-205細胞においてSRA141とわずかな付加効果を有するように見える。
【0337】
SW620細胞における併用処理の結果(図27B)は、バラセルチブ、トラメチニブ、およびコパンリシブが全てSRA141にわずかな添加効果を有することを示す。A375(図27C)およびKG-1(図27D)細胞における併用処理の結果は、バラセルチブではなく、トラメチニブまたはコパンリシブがSRA141とわずかな付加効果を有することを示す。
【0338】
MOLM-13細胞における併用処理の結果(図27E)は、ABT-199およびSRA141が、特に0.1μMのABT-199の存在下で相乗的に作用することを実証する。加えて、バラセルチブ(図27H)、トラメチニブ、コパンリシブ、ベキサロテン、およびトレチノインは全て、MOLM-13細胞においてSRA141によるわずかな添加効果を実証する。
【0339】
MV411細胞における併用処理の結果(図27F)は、バラセルチブ、コパンリシブ、およびトレチノインが全てSRA141でわずかな添加効果を有することを示す。
【0340】
実施例28:SRA141は、抗アポトーシス遺伝子の阻害と相乗作用する
抗アポトーシス遺伝子BCL-XL、BCL-2、およびMCL-1は、RNAiノックダウンを使用してHCT116およびHela細胞で阻害された。細胞を96ウェルプレート中に2000細胞/ウェルで播種し、最終濃度10nMのRNAi/Lipofectamine RNAimax溶液でトランスフェクトした。形質転換細胞を、用量の範囲で72時間SRA141で処理した。CTRL(非毒性対照RNAi)、BCL-2、BCL-XL、またはMCL-1に対するRNAiでトランスフェクトされた処理された細胞の細胞生存率を、前述のCTBlueアッセイを使用して測定した(実施例3)。図28Aに示されるデータは、RNAiによって阻害される抗アポトーシス遺伝子がSRA141と相乗効果を実証する。
【0341】
抗アポトーシス遺伝子BCL-2は、前述の0.1μMのABT-199で処理することによって、Molm-13細胞において阻害された(実施例6および24を参照されたい)。細胞を、0.04μM~3.30μMのSRA141濃度で0.1μMのABT-199およびSRA141で72時間処理した。BCL-2阻害およびSRA141との相乗効果は、1未満の組み合わせ指数値によって示されるように、以下の濃度のSRA141:0.12μM、0.37μM、1.10μM、および3.30μM(図28B)で実証された(実施例24を参照されたい)
【0342】
実施例29:Cdc7阻害剤の臨床試験評価
ヒト患者における癌の治療のためのCdc7阻害剤の有効性をさらに確認するために、臨床試験を実施する。好適な患者としては、癌(例えば、乳癌、結腸癌、肺癌、血液癌、例えば、白血病、リンパ腫、骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性骨髄性白血病(CML)、黒色腫、子宮癌、甲状腺癌、慢性好酸球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、膀胱癌、子宮頸癌、大腸癌(CRC)、胃癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、脳癌、肉腫、小細胞肺癌、神経芽腫ならびに頭頸部癌)と診断された患者が挙げられる。患者には、Cdc7阻害剤SRA-141を経口投与する。最大有効投与量は、上記の動物実験から変換された最適用量から開始して確認される。動物(すなわち、ラットおよび/またはマウス)研究からのヒト当量投与量の決定は、当業者に知られている技術(Nair,A.and Jacob,S.J.Basic Clin.Pharm;March 2016 7(2):27-31)。SRA-141の投与量は、100~5,000mg、100~1,000mg、1,000~2,000mg、2,000~3,000mg、3,000~4,000mg、4,000~5,000mg、1,500~2,500mg、500~1,000mg、1,000~1,500mg、1,500~2,000mg、2,000mg~2,500mg、2,500~3,000mg、3,000~3,500mg、3,500~4,000mg、4,000~4,500mg、または4,500~5,000mgであり得る。SRA-141は、1日1回、1日2回、1日3回、隔日、1週間、1ヶ月、1日1回の投与で1~7日間、続いて1~28日の非投与、1~28日の1日1回の投与、続いて1~28日の非投与を投与することができる。患者は疾患進行についてモニタリングされる。
【0343】
実施例30:追加の抗腫瘍剤(複数可)と組み合わせたCdc7阻害剤の臨床試験評価
ヒト患者におけるmTOR経路の阻害剤、DNAポリメラーゼの阻害剤、および受容体チロシンキナーゼの阻害剤、ならびにMAPK経路の阻害剤、レチノイド経路の調節剤、アポトーシスの調節剤、またはPARP阻害剤と組み合わせたCdc7阻害剤の有効性をさらに確認するために、臨床試験を実施する。好適な患者としては、癌(例えば、乳癌、結腸癌、肺癌、血液癌、例えば、白血病、リンパ腫、骨髄腫、急性骨髄性白血病(AML)、および慢性骨髄性白血病(CML)、黒色腫、子宮癌、甲状腺癌、慢性好酸球性白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、膀胱癌、子宮頸癌、大腸癌(CRC)、胃癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、脳癌、肉腫、小細胞肺癌、神経芽腫ならびに頭頸部癌)と診断された患者が挙げられる。患者には、Cdc7阻害剤SRA-141を経口投与する。患者には、ヒト患者におけるmTOR経路の阻害剤、DNAポリメラーゼの阻害剤、および受容体チロシンキナーゼの阻害剤、ならびにMAPK経路の阻害剤、レチノイド経路の調節剤、アポトーシスの調節剤、PARP阻害剤、または抗葉酸代謝産物が同時に投与される。投与される最大有効投与量は、当該技術分野の一般的な技量に既知の技法を使用して決定される。患者は疾患進行についてモニタリングされる。
【0344】
引用文献
●T.E.Creighton,Proteins: Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company,1993)
●A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,current addition)
●Sambrook,et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual(2nd Edition,1989)
●Methods In Enzymology(S.Colowick and N.Kaplan eds.,Academic Press,Inc.)
●Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition(Easton,Pennsylvania: Mack Publishing Company,1990)
●Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3rd Ed.(Plenum Press) Vols A and B(1992)
●U.S.Patent No.5,145,684
●U.S.Pat.No.4,107,288
●Monga SP,Wadleigh R,Sharma A,et al.Intratumoral therapy of cisplatin/epinephrine injectable gel for palliation in patients with obstructive esophageal cancer.Am.J.Clin.Oncol.2000;23(4):386-392
●Mary M.Tomayko C.,Patrick Reynolds,1989.Determination of subcutaneous tumor size in athymic(nude) mice.Cancer Chemotherapy and Pharmacology,Volume 24,Issue 3,pp 148-154
●E Richtig,G Langmann,K Mullner,G Richtig and J Smolle,2004.Calculated tumour volume as a prognostic parameter for survival in choroidal melanomas.Eye(2004) 18,619-623
●Jensen et al.BMC Medical Imaging 2008.8:16
●Tomayko et al.Cancer Chemotherapy and Pharmacology September 1989,Volume 24,Issue 3,pp 148-154
●Faustino-Rocha et al.Lab Anim(NY).2013 Jun;42(6):217-24
●Bonte D,Lindvall C,Liu H,et al.Cdc7-Dbf4 kinase overexpression in multiple cancers and tumor cell lines is correlated with p53 inactivation.Neoplasia.2008;Sep;10(9):920-31.
●Cadigan KM.Wnt signaling: complexity at the surface.J Cell Sci [Internet].2006;119(3):395-402.Available from: http://jcs.biologists.org/cgi/doi/10.1242/jcs.02826
●Cheng AN,Jiang SS,Fan CC,et al.Increased Cdc7 expression is a marker of oral squamous cell carcinoma and overexpression of Cdc7 contributes to the resistance to DNA-damaging agents.Cancer Lett [Internet].2013;337(2):218-25.Available from: http://dx.doi.org/10.1016/j.canlet.2013.05.008
●Cremolini C,Schirripa M,Antoniotti C,et al.First-line chemotherapy for mCRC-a review and evidence-based algorithm.Nat Rev Clin Oncol [Internet].2015;12(10):607-19.Available from: http://dx.doi.org/10.1038/nrclinonc.2015.129
●Dienstmann R,Vermeulen L,Guinney J,et al.Consensus molecular subtypes and the evolution of precision medicine in colorectal cancer.Nat Rev Cancer [Internet].2017 [cited 2017 Mar 3];17.Available from: http://www.nature.com.proxy.lib.umich.edu/nrc/journal/v17/n2/pdf/nrc.2016.126.pdf
●Ferlay J,Soerjomataram I,Ervik M,Dikshit R,Eser S,Mathers C,Rebelo M,Parkin DM,Forman D,Bray,F.GLOBOCAN 2012 v1.0,Cancer Incidence and Mortality Worldwide: IARC CancerBase No.11 [Internet].Lyon,France:International Agency for Research on Cancer;2013.Available from:http://globocan.iarc.fr,accessed on 14 May 2018.
●Fodde R,Kuipers J,Rosenberg C,et al.Mutations in the APC tumour suppressor gene cause chromosomal instability.Nat Cell Biol [Internet].2001;3(4):433-8.Available from:http://eutils.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/eutils/elink.fcgi?dbfrom=pubmed&id=11283620&retmode=ref&cmd=prlinks%5Cnpapers2://publication/doi/10.1038/35070129
●Gregory GP,Hogg SJ,Kats LM,et al.CDK9 inhibition by dinaciclib potently suppresses Mcl-1 to induce durable apoptotic responses in aggressive MYC-driven B-cell lymphoma in vivo.Leukemia.2015;29:1437-1441.
●Guinney J,Dienstmann R,Wang X,et al.The consensus molecular subtypes of colorectal cancer.Nat Med [Internet].2016 Oct 12 [cited 2017 Mar 17];21(11):1350-6.Available from:http://www.nature.com/doifinder/10.1038/nm.3967
●Hailey JR,Nold JB,Brown RH,et al.Biliary Proliferation Lesions in the Sprague-Dawley Rat Adverse/Non-adverse.Toxicologic Pathology.2013;42(5):844-854
●Hou Y,Wang H-Q,Ba Y.High expression of cell division cycle 7 protein correlates with poor prognosis in patients with diffuse large B-cell lymphoma.Med Oncol [Internet].2012;29(5):3498-503.Available from:http://link.springer.com/10.1007/s12032-012-0223-y
●Howlader N,Noone AM,Krapcho M,Miller D,Bishop K,Kosary CL,Yu M,Ruhl J,Tatalovich Z,Mariotto A,Lewis DR,Chen HS,Feuer EJ,Cronin KA(eds).SEER Cancer Statistics Review,1975-2014,National Cancer Institute.Bethesda,MD,http://seer.cancer.gov/csr/1975_2014/,based on November 2016 SEER data submission,posted to the SEER web site,April 2017
●Huggett MT,Tudzarova S,Proctor I,et al.Cdc7 is a potent anti-cancer target in pancreatic cancer due to abrogation of the DNA origin activation checkpoint.Oncotarget [Internet].2016 Apr;7(14):18495-507.Available from:http://www.oncotarget.com/abstract/7611
●ICH Harmonised Tripartite Guideline:Nonclinical Evaluation For Anticancer Pharmaceuticals S9.International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use.2009.
●Iwai K,Gotou M,Yamanaka K,Ohashi A.Phospho-proteomics analysis to determine the signaling pathways affected by a novel CDC7-selective inhibitor TAK-931.AACR Annual Meeting 2018.Abstract 2312.
●Larasati,& Duncker,B.P.(2016).Mechanisms Governing DDK Regulation of the Initiation of DNA Replication.Genes,8(1),3.https://doi.org/10.3390/genes8010003
●Montagnoli A,Tenca P,Sola F,et al.Cdc7 Inhibition Reveals a p53-Dependent Replication Checkpoint That Is Defective in Cancer Cells.Cancer Res.2004;64(19):7110-6.
●Rodriguez-Acebes S,Proctor I,Loddo M,et al.Targeting DNA replication before it starts:Cdc7 as a therapeutic target in p53-mutant breast cancers.Am J Pathol [Internet].2010 Oct;177(4):2034-45.Available from:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20724597
●Schukken KM,Foijer F.CIN and Aneuploidy:Different Concepts,Different Consequences.BioEssays.2018;40(1):1-9.
●Swords R,Mahalingam D,O’Dwyer M,et al.Cdc7 kinase - A new target for drug development.Eur J Cancer [Internet].2010 Jan;46(1):33-40.Available from:http://dx.doi.org/10.1016/j.ejca.2009.09.020
●Therkildsen C,Bergmann TK,Henrichsen-Schnack T,Ladelund S,Nilbert M.The predictive value of KRAS,NRAS,BRAF,PIK3CA and PTEN for anti-EGFR treatment in metastatic colorectal cancer:A systematic review and meta-analysis.Acta Oncol(Madr).2014;53(7):852-64.
●Xiang SY,Lilly E.A selective CDC7 inhibitor(LY3177833) impacts chromosome dynamics and has robust and durable activity in PDX tumor models.AACR Annual Meeting 2016.Late breaking abstract.
●Zehir A,Benayed R,Shah RH,et al.Mutational landscape of metastatic cancer revealed from prospective clinical sequencing of 10,000 patients.Nat Med [Internet].2017;23(6).Available from:http://www.nature.com/doifinder/10.1038/nm.4333

図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9-1】
図9-2】
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図22
図23
図24A
図24B
図24C
図25A
図25B
図26
図27A
図27B
図27C
図27D
図27E
図27F
図27G
図27H
図28A
図28B