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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】無線通信装置及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/21 20230101AFI20241031BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20241031BHJP
   H04W 72/0457 20230101ALI20241031BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20241031BHJP
   H04B 7/022 20170101ALI20241031BHJP
【FI】
H04W72/21
H04W84/12
H04W72/0457 110
H04W16/28
H04B7/022
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021542738
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 JP2020030815
(87)【国際公開番号】W WO2021039428
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】P 2019157100
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金谷 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】浦部 嘉夫
(72)【発明者】
【氏名】美濃谷 潤
(72)【発明者】
【氏名】高田 智史
(72)【発明者】
【氏名】岩井 敬
(72)【発明者】
【氏名】中野 隆之
【審査官】望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/122818(WO,A1)
【文献】特開2016-029861(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02410696(EP,A1)
【文献】特開2011-142516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-H04W99/00
H04B7/24-H04B7/26
H04B7/022
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の送信元が送信した複数の無線信号を受信する受信回路と、
前記複数の無線信号の受信品質の差異に応じて、フィードバック情報のどの種別が前記複数の無線信号に対するフィードバックの設定に含まれるかを選択することによって、前記フィードバックの前記設定を制御する制御回路と、
を備え
前記フィードバックの前記設定は、Coordinated Spatial Reuse(CSR)、Coordinated Beamforming(CBF)、Joint Transmission(JT)、および、Dynamic point Blanking(DPB)のそれぞれに対応する設定のいずれか2つ以上を含む、
無線通信装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記複数の送信元の中から選択した第1の送信元と他の第2の送信元との間の前記受信品質の差分と、閾値との比較結果に基づいて、前記設定を制御する、
請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記第1の送信元は、前記複数の送信元のうち、最良の受信品質を示す前記無線信号の送信元である、
請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記第1の送信元は、前記無線通信装置とアソシエーションを確立した送信元である、
請求項2に記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記フィードバックの前記設定が前記CSRに対応する設定である場合、前記フィードバックに、周波数領域を複数に区分したブロックのそれぞれにおける受信品質に関する情報を含める、
請求項に記載の無線通信装置。
【請求項6】
複数の送信元が送信した複数の無線信号を受信し、
前記複数の無線信号の受信品質の差異に応じて、フィードバック情報のどの種別が前記複数の無線信号に対するフィードバックの設定に含まれるかを選択することによって、前記フィードバックの前記設定を制御
前記フィードバックの前記設定は、Coordinated Spatial Reuse(CSR)、Coordinated Beamforming(CBF)、Joint Transmission(JT)、および、Dynamic point Blanking(DPB)のそれぞれに対応する設定のいずれか2つ以上を含む、
無線通信方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信装置及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE(the Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11の規格である802.11ax(以下、「11ax」と呼ぶ)の後継規格として、802.11be(以下、「11be」と呼ぶ)の技術仕様策定が進められている。
【0003】
11beでは、データの送信側の複数の無線通信制御装置が協調して、受信側の無線通信装置へデータを送信する協調通信の適用が検討されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】IEEE 802.11-19/0103r1, AP Coordination in EHT, 2019-03-11
【文献】NTT DOCOMOテクニカル・ジャーナルVol.21 No.2, LTE/LTE-Advanced 高度化におけるヘテロジーニアスネットワーク容量拡大技術, Jul.2013
【文献】IEEE 802.11-19/0448r1, Multi-AP Transmission Procedure, 2019-03-11
【文献】IEEE P802.11ax/D4.0, February 2019
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、協調通信におけるフィードバック情報について十分に検討されていない。
【0006】
本開示の非限定的な実施例は、複数の送信元に対するフィードバックの設定を適切に制御できる無線通信装置及び無線通信方法の提供に資する。
【0007】
本開示の一実施例に係る無線通信装置は、複数の送信元が送信した複数の無線信号を受信する受信回路と、前記複数の無線信号の受信品質の差異に応じて、前記複数の無線信号に対するフィードバックの設定を制御する制御回路と、を備える。
【0008】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0009】
本開示の一実施例によれば、複数の送信元に対するフィードバックの設定を適切に制御できる。
【0010】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】協調方式の一例を示す図
図2】信号の送受信のシーケンスの一例を示す図
図3】11axに規定されたフィードバック情報の一例を示す図
図4】無線通信制御装置の一部の構成例を示すブロック図
図5】無線通信装置の一部の構成例を示すブロック図
図6】一実施の形態に係る信号の送受信のシーケンスの一例を示す図
図7】一実施の形態に係るAPの構成例を示すブロック図
図8】一実施の形態に係るSTAの構成例を示すブロック図
図9】閾値との比較結果に対応するフィードバック情報の種別の一例を示す図
図10】一実施の形態におけるフィードバック情報の種別の選択処理の一例を示すフローチャート
図11】通知された協調方式とサポートする協調方式との対応の一例を示す図
図12図11に示した対応の場合のフィードバック情報の選択の一例を示す図
図13】AP間での同期確立の一例を示す図
図14】閾値の変更の一例を示す図
図15】APからSTAへのNDPの数の通知例1を示す図
図16】Trigger Type subfield valueの一例を示す図
図17】一実施の形態におけるTrigger Type subfield valueの一例を示す図
図18】APからSTAへのNDPの数の通知例2を示す図
図19】APからSTAへのNDPの数の通知例2の変形例を示す図
図20】非特許文献4のSTA info subfield formatの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
(一実施の形態)
[協調方式]
11beでは、例えば、信号の送信側の複数の無線通信制御装置であるアクセスポイント(「基地局」とも呼ばれる、以下「AP(Access Point)」と呼ぶ))が、受信側の無線通信装置である端末(以下「STA(Station)」と呼ぶ))へデータを送信するDL Multi-AP coordination(以下「下り協調通信」と呼ぶ)の適用が検討されている。11beにおいて、下り協調通信では、例えば、Coordinated Spatial Reuse(以下「CSR」と呼ぶ)、Coordinated Beamforming(以下「CBF」と呼ぶ)、Joint Transmission(以下「JT」と呼ぶ)、および、Dynamic point Blanking(以下「DPB」と呼ぶ)という協調方式の利用が検討されている(例えば、非特許文献1を参照)。なお、DPBは、Dynamic point selectionと併用してもよい(例えば、非特許文献2を参照)。
【0014】
図1は、協調方式の一例を示す図である。図1には、CSR又はCBFと、DPBと、JTとをそれぞれ用いた場合の2つのAP(AP1、AP2)とSTAの動作例が示される。なお、図1の動作例は、或る時間、かつ、或る周波数において、送受信される下り信号の向きが、実線の矢印によって示される。
【0015】
図1のCSR又はCBFの動作例では、同一の時間、かつ、同一の周波数において、AP1がSTA1に下り信号(Downlink(DL)信号)を送信し、AP2がSTA2に下り信号を送信する。また、図1のDPBの動作例では、AP1がSTA1に下り信号を送信する。なお、図1では省略されるが、DPBの動作例において、AP2は、AP1がSTA1への信号送信に用いる周波数と異なる周波数を用いて、STA2に下り信号を送信してもよい。また、図1のJTの動作例では、同一の時間、かつ、同一の周波数において、AP1とAP2とが共にSTA1に下り信号を送信する。
【0016】
CSR又はCBFでは、AP2が送信したSTA2宛の下り信号は、STA1への干渉波(例えば、図1の破線の矢印)となり、AP1が送信したSTA1宛の下り信号は、STA2への干渉波となる。なお、干渉波は、干渉信号と呼ばれてもよい。CSRの場合、AP1およびAP2は、干渉波が小さくなるように、送信電力を制御する。CBFの場合、AP1およびAP2は、干渉波が小さくなるように、送信先のSTAにビームを向ける(または、送信先と異なるSTAにヌルを向ける)ビームフォーミングを行う。
【0017】
DPBでは、AP1とAP2とは、同じ周波数で下り信号を送信しないため、干渉は発生しない。
【0018】
JTでは、AP1とAP2とは、STA1へ下り信号を送信するため、STA1への干渉波は発生せず、AP1が送信したSTA1宛の下り信号とAP2が送信したSTA1宛の下り信号とが、ゲインを高め合う。
【0019】
上述した協調方式を用いた下り協調通信では、STAは、APから信号(例えば、既知信号)を受信し、受信した信号の受信品質に関する情報をAPへ送信することが検討されている。以下、STAが送信する受信品質に関する情報は、「フィードバック情報」と呼ばれる。
【0020】
11beの下り協調通信では、11axにおいて規定された、STAが既知信号の送信元のAPに対してフィードバック情報を送信する機能を拡張することによって、STAが複数のAPのフィードバック情報を送信する方法が提案されている(例えば、非特許文献3)。
【0021】
ここで、「APのフィードバック情報」とは、STAが、APから信号(例えば、既知信号)を受信することによって決定される、受信した信号の受信品質に関する情報を示す。例えば、「AP1及びAP2のフィードバック情報」は、STAが、AP1とAP2とのそれぞれから信号を受信することによって決定される、受信した各信号の受信品質に関する情報を示す。「複数のAPのフィードバック情報」は、STAが、複数のAPのそれぞれから信号を受信することによって決定される、受信した各信号の受信品質に関する情報を示す。
【0022】
図2は、信号の送受信のシーケンスの一例を示す図である。図2には、STA1およびSTA2が、S-AP1、S-AP2およびS-AP3のフィードバック情報を送信する例が示される。なお、S-AP1、S-AP2およびS-AP3は、マスタAP(Master-AP(M-AP))の制御により協調する3つのスレーブAP(Slave-AP(S-AP))の一例である。また、図2において、S-AP1は、STA1と無線接続を確立したAPであり、STA1のアソシエーションAPに相当する。また、図2において、S-AP2は、STA2のアソシエーションAPに相当する。
【0023】
M-APは、下り協調通信用サウンディング処理開始トリガ(例えば、図2における、MAP(Multi-AP)Trigger)をS-AP1、S-AP2およびS-AP3へ送信する。S-AP1は、フィードバックの制御情報を含んだパケット(例えば、図2における、AP1 NDPA(null data packet Announcement))および既知信号を含んだパケット(例えば、図2における、AP1 NDP(null data packet))をSTA1およびSTA2へ送信する。なお、フィードバックの制御情報は、例えば、STAがAPに対してフィードバックする情報の種別および粒度を示す。また、既知信号は、例えば、11axでは、LTF(Long Training field)と呼ばれる。
【0024】
M-APは、NDPA送信開始トリガ(例えば、図2における、MAP Poll)をS-AP2へ送信する。S-AP2は、NDPA(図2のAP2 NDPA)およびNDP(図2のAP2 NDP)をSTA1およびSTA2へ送信する。M-APは、MAP PollをS-AP3へ送信する。S-AP3は、NDPA(図2のAP3 NDPA)およびNDP(図2のAP3 NDPA)をSTA1およびSTA2へ送信する。STA1は、S-AP1、S-AP2およびS-AP3から受信した既知信号(例えば、NDPに含まれるLTF)に基づいて、各APのフィードバック情報を生成する。STA1は、各APのフィードバック情報を含んだ情報(例えば、図2における、MAP(Multi-AP)reference feedback)をアソシエーションAP(例えば、図2におけるS-AP1)へ送信する。STA2は、アソシエーションAP(例えば、図2におけるS-AP2)から、MAP Pollを受信する。STA2は、MAP reference feedbackをS-AP2へ送信する。なお、図2では、STA1は、AP3 NDPAおよびAP3 NDPを受信した後に、MAP reference feedbackを送信する一方で、STA2は、MAP Pollを受信した後に、MAP reference feedbackを送信する。別言すると、MAP reference feedbackの送信のトリガとなる受信パケットがSTAによって異なる。例えば、MAP reference feedbackの送信タイミング(例えば、MAP reference feedbackの送信のトリガとなる受信パケット)は、NDPAによって指示されてよい。
【0025】
次に、図2に例示した、STAがAPに対してフィードバックする情報の一例を説明する。
【0026】
図3は、11axに規定されたフィードバック情報の一例を示す図である。図3には、非特許文献4のTable 9-93bに示されたフィードバック情報がテーブル形式で示される。
【0027】
図3における、「Average SNR of Space-Time Stream X(X=1~Nc)」は、SNR(Signal to Noise Ratio)を示す情報(以下、「SNR情報」と記載する)である。「Average SNR of Space-Time Stream X(X=1~Nc)」は、例えば、-10dBから53.75dBまでの範囲を0.25dBステップで表す。「Compressed beamforming feedback matrix V for subcarrier k = scidx(Y)(Y=0~Ns-1)」は、ビームフォーミングを行うためのマトリクス情報である。
【0028】
図3に示す情報の中で、フィードバックする情報は、NDPAに含まれるフィードバックの制御情報において指定されてよい。また、「Compressed beamforming feedback matrix V for subcarrier k = scidx(Y)(Y=0~Ns-1)」は、NDPAに含まれるフィードバックの制御情報において指定された粒度(例えば、ビット数)によって量子化されてよい。
【0029】
上述したように、11beの下り協調通信では、STAが複数のAPのフィードバック情報を送信することが検討される。例えば、1つのAPについて図3に例示したような情報のそれぞれが、フィードバック情報に含まれる場合、複数のAPのフィードバック情報の情報量が増大してしまう可能性がある。
【0030】
そこで、本開示の非限定的な実施例は、フィードバック情報の情報量を削減することによって、下り協調通信におけるフィードバック情報を適切に通知する方法について説明する。
【0031】
[無線通信システムの構成]
本開示の一実施例に関わる無線通信システムは、少なくとも2つの送信元のAPと1つのSTAとを含む。以下の説明において、例えば、「無線通信制御装置」は、APに対応し、「無線通信装置」は、STAに対応する。
【0032】
図4は、無線通信制御装置10の一部の構成例を示すブロック図である。図4に示す無線通信制御装置10は、制御部11と、送信部12とを備える。
【0033】
制御部11は、既知信号を含む信号を生成する。送信部12は、既知信号を含む無線信号を送信する。
【0034】
図5は、無線通信装置20の一部の構成例を示すブロック図である。図5に示す無線通信装置20は、受信部21と、制御部22とを備える。
【0035】
受信部21は、複数の送信元(例えば、無線通信制御装置10)から複数の無線信号を受信する。
【0036】
制御部22は、複数の無線信号の受信品質の差異に応じて、複数の無線信号に対するフィードバックの設定を制御する。
【0037】
以下、一例として、11axにおける下り通信のためのフィードバック情報送信をベースにして、下り協調通信を行う場合の例を説明する。
【0038】
図6は、本実施の形態に係る信号の送受信のシーケンスの一例を示す図である。図6には、図2と同様に、STA1およびSTA2が、S-AP1、S-AP2およびS-AP3のフィードバック情報を送信する例が示される。なお、図6において、図2と同様の箇所については、説明を省略する。
【0039】
例えば、図6において、MAP Trigger送信からAP3 NDP送信までの処理は、図2に示した例と同様であるので、説明を省略する。
【0040】
STA1は、S-AP1、S-AP2およびS-AP3から受信したNDPに含まれる既知信号に基づいて、フィードバック情報の種別を選択する。STA1は、選択された種別を有する、S-AP1、S-AP2およびS-AP3のフィードバック情報を生成し、S-AP1、S-AP2及びS-AP3のフィードバック情報を含んだ情報(例えば、図6における、MAP(Multi-AP)selected reference feedback)をアソシエーションAP(例えば、図6におけるS-AP1)へ送信する。なお、フィードバック情報の種別の選択の例については、後述する。
【0041】
S-AP2(例えば、図6ではSTA2のアソシエーションAP)は、MAP PollをSTA2に送信する。STA2は、STA1と同様に、S-AP1、S-AP2およびS-AP3から受信した既知信号に基づいて、S-AP1、S-AP2およびS-AP3のフィードバック情報の種別を選択する。STA2は、選択された種別を有する、S-AP1、S-AP2およびS-AP3のフィードバック情報を生成し、S-AP1、S-AP2、S-AP3のフィードバック情報を含んだ情報(例えば、図6における、MAP selected reference feedback)をアソシエーションAP(例えば、図6におけるS-AP2)へ送信する。
【0042】
なお、図6に示した、S-AP2からSTA2へ送信するMAP Pollは、11axにおけるBFRP(Beamforming Report Poll) Triggerとしてもよい。また、S-AP3からSTA1へ送信するAP3 NDPの後に、S-AP1からSTA1にMAP PollまたはBFRP Triggerが送信されてもよい(例えば、非特許文献4の26.7.3節参照)。
【0043】
[無線通信制御装置の構成]
図7は、本実施の形態に係る無線通信制御装置100の構成例を示すブロック図である。図7において、無線通信制御装置100は、既知信号生成部101と、送信パケット生成部102と、無線送受信部103と、受信パケット復号部104とを有する。
【0044】
図7に示す無線通信制御装置100は、図4に示した無線通信制御装置10の一例に相当する。また、図7の無線送受信部103は、図4の送信部12の一例に相当し、図7の既知信号生成部101および送信パケット生成部102は、図4の制御部11の一例に相当してよい。
【0045】
既知信号生成部101は、既知信号を生成する。既知信号は、例えば、11axでは、LTF(Long Training field)と呼ばれてよい。
【0046】
送信パケット生成部102は、既知信号生成部101において生成された既知信号、および、送信データに基づいて、送信パケットを生成する。生成された送信パケットには、例えば、図6に示したMAP Trigger、NDPA、NDPおよびMAP Pollのいずれか少なくとも1つが含まれる。
【0047】
無線送受信部103は、送信パケットに対して、所定の無線送信処理を施して無線送信信号に変換する。無線送受信部103は、無線送信信号をアンテナから送信する。
【0048】
無線送受信部103は、アンテナから無線受信信号を受信する。無線送受信部103は、受信した無線送受信信号に対して、所定の無線受信処理を施して、受信パケットを生成する。受信パケットには、例えば、図6に示したMAP Trigger、MAP PollおよびMAP selected reference feedbackのいずれか少なくとも1つが含まれてよい。
【0049】
受信パケット復号部104は、受信パケットを復号し、受信データを生成する。
【0050】
[無線通信装置の構成]
図8は、本実施の形態に係る無線通信装置200の構成例を示すブロック図である。図8において、無線通信装置200は、無線送受信部201と、受信パケット復号部202と、受信品質測定部203と、フィードバック情報選択部204と、フィードバック情報生成部205と、送信パケット生成部206とを有する。
【0051】
図8に示す無線通信装置200は、図5に示した無線通信装置20の一例に相当する。また、図8の無線送受信部201は、図5の受信部21の一例に相当し、図8の受信品質測定部203と、フィードバック情報選択部204とは、図5の制御部22の一例に相当してよい。
【0052】
無線送受信部201は、アンテナから無線受信信号を受信する。無線送受信部201は、受信した無線送受信信号に対して、所定の無線受信処理を施して、受信パケットを生成する。受信パケットには、例えば、NDPA、NDPおよびMAP Pollのいずれか少なくとも1つが含まれてよい。
【0053】
受信パケット復号部202は、受信パケットを復号し、受信データを生成する。
【0054】
受信品質測定部203は、受信パケットにNDPが含まれる場合、NDPに含まれる既知信号から受信品質を測定する。受信品質測定部203は、測定した受信品質を、フィードバック情報選択部204およびフィードバック情報生成部205に通知する。なお、通知する受信品質には、受信品質の対象となるNDPの送信元のAPが関連付けられてよい。
【0055】
フィードバック情報選択部204およびフィードバック情報生成部205は、通知された受信品質を保存する。なお、受信品質測定部203から複数の通知を受ける場合、フィードバック情報選択部204およびフィードバック情報生成部205は、通知された複数の受信品質を保存する。
【0056】
フィードバック情報選択部204は、受信品質測定部203から取得する受信品質に基づいて、フィードバックの設定を制御する。フィードバックの設定の制御は、例えば、フィードバック情報の種別の選択を含む。また、フィードバックの設定の制御は、フィードバック情報を送信するか否かの選択を含んでよい。また、フィードバックの設定の制御は、フィードバック情報の送信先の設定、及び/又は、フィードバック情報の構成の設定の制御を含んでよい。
【0057】
例えば、フィードバック情報選択部204は、トリガとなる受信パケットを受信した場合(例えば、図6の例において、STA1がAP3 NDPを受信した場合およびSTA2がMAP Pollを受信した場合)、受信品質に基づいて、フィードバック情報の種別を選択する。そして、フィードバック情報選択部204は、選択した種別をフィードバック情報生成部205へ通知する。また、フィードバック情報選択部204は、フィードバック情報の送信先、フィードバック情報の構成に関する設定情報を、フィードバック情報生成部205へ通知してもよい。
【0058】
ここで、フィードバック情報選択部204によって選択された種別は、NDPAに含まれるフィードバックの制御情報が指定する種別と異なってもよい。
【0059】
フィードバック情報生成部205は、図6の例において、STA1がAP3 NDPを受信した場合およびSTA2がMAP Pollを受信した場合、フィードバック情報選択部204から通知された種別に基づいて、S-AP1、S-AP2及びS-AP3のフードバック情報を生成する。なお、フィードバック情報生成部205は、フィードバック情報選択部204から通知された設定情報に基づいて、フィードバック情報の送信先及び/又は構成を設定してよい。
【0060】
送信パケット生成部206は、フィードバック情報生成部205において生成されたS-AP1、S-AP2及びS-AP3のフードバック情報を含む送信パケット(例えば、図6におけるMAP selected reference feedback)を生成する。
【0061】
無線送受信部201は、送信パケットに対して、所定の無線送信処理を施して無線送信信号に変換する。無線送受信部201は、無線送信信号をアンテナから送信する。
【0062】
[フィードバック情報の種別選択の例]
複数のAPが協調して、STAと通信を行う協調通信では、STAが複数のAPのそれぞれから受信する信号の受信品質の差異に応じて、有効な協調方式が異なる。ここで、受信する信号の受信品質とは、例えば、受信レベル(例えば、受信電力)であってよいし、他の受信品質に関する情報であってもよい。
【0063】
以下では、図1の例を用いて、受信レベル差と協調方式との関係の一例を説明する。なお、図1の例の場合、STA1における受信レベル差とは、STA1がAP1から受信する信号の受信レベル(以下、「AP1の受信レベル」)とSTA1がAP2から受信する信号の受信レベル(以下、「AP2の受信レベル」)との差に相当する。以下では、受信レベル差が、AP1の受信レベルからAP2の受信レベルを減算した値である例を説明する。
【0064】
図1において、CSR又はCBFでは、AP2からSTA2への下り信号がSTA1への干渉波になるため、CSR又はCBFは、STA1におけるAP2の受信レベルがAP1の受信レベルより十分小さい場合(例えば、受信レベル差が或る閾値よりも大きい場合)に有効である。また、CSRとCBFとのうち、CBFでは、各APがビームフォーミングを行うため、CSRよりも、干渉波の低減効果が高い。別言すると、CSRは、CBFと比べて、干渉波の低減効果が低いため、受信レベル差が、CBFの場合よりも大きいことが望ましい。
【0065】
また、JTでは、AP1とAP2とがSTA1へ下り信号を送信するため、STA1における受信レベル差が相対的に小さい場合に、受信レベル差が相対的に大きい場合よりも有効である。
【0066】
上述したように、受信レベル差に応じて、有効な協調方式が異なる。例えば、受信レベル差と協調方式との関係では、有効な協調方式は、受信レベル差が大きい順番に、CSR、CBF、DPB、JTであってよい。
【0067】
また、各協調方式において用いられる情報が異なるため、各協調方式において適切なフィードバック情報は異なる。
【0068】
例えば、CSRの場合、送信電力制御および下り信号の送信におけるMCS(Modulation and Coding Scheme)選択に干渉波の受信レベルが用いられる。そのため、干渉波となる信号の送信元のAPのフィードバック情報には、受信レベルに関する情報が含まれる。ここで、干渉波となる信号の送信元のAPとは、例えば、図1の例のSTA1においては、AP2に相当する。また、受信レベルに関する情報とは、例えば、図3における、SNR情報に相当する。
【0069】
CBFの場合、干渉波となる信号の送信元のAP(例えば、図1のAP2)は、干渉を与え得るSTA(例えば、図1のSTA1)にヌルを向けるビームフォーミングを実行する(指向性ビームを形成する)。そのため、干渉波となる信号の送信元のAPのフィードバック情報には、干渉波となる信号の送信元のAPがビームフォーミングを実行するための情報が含まれる。APがビームフォーミングを実行するための情報とは、例えば、図3における、SNR情報およびマトリクス情報に相当する。以下では、APがビームフォーミングを実行するための情報は、ビームフォーミングに関する情報と記載される場合がある。
【0070】
DPBおよびJTの場合、送信元となるAP以外のAPのフィードバック情報は不要である。ただし、DPBの場合、送信元となるAPが1つに対し、JTの場合、送信元となるAPは複数である。そのため、JTの場合、複数APのフィードバック情報が望まれる。
【0071】
上述したように、受信レベル差に応じて有効な協調方式が異なり、また、協調方式において望まれるフィードバック情報は異なることから、受信レベル差に応じて、適切な(あるいは、有効な)フィードバック情報が異なってよい。以下では、受信レベル差と、フィードバック情報の種別との対応の例を説明する。
【0072】
例えば、図6の例において、STA1における各S-APの受信レベルの関係が、「S-AP1の受信レベル」>「S-AP2の受信レベル」>「S-AP3の受信レベル」の場合の、フィードバック情報選択部204の動作例を示す。
【0073】
フィードバック情報選択部204は、保存したS-AP1、S-AP2およびS-AP3のそれぞれの受信レベルから最も受信レベルが高いS-AP1を基準送信元に設定する。フィードバック情報選択部204は、ΔPn(n=2,3)=「S-AP1の受信レベル」―「S-APnの受信レベル」によって、S-AP1とS-AP2との受信レベル差ΔP2、および、S-AP1とS-AP3との受信レベル差ΔP3を算出する。
【0074】
フィードバック情報選択部204は、閾値Xcsr、XcbfおよびXjtとΔPnとを比較することによって、フィードバックの設定を制御する。例えば、フィードバック情報選択部204は、S-AP2のフィードバック情報の種別とS-AP3のフィードバック情報の種別とを選択する。
【0075】
図9は、閾値との比較結果に対応するフィードバック情報の種別の一例を示す図である。図9には、基準送信元(上述した例ではS-AP1)とAPn(上述した例ではn=2,3)との受信レベル差ΔPnと閾値との比較結果に対応する、APnのフィードバック情報の種別が示される。例えば、フィードバック情報選択部204は、図9の例に基づいて、APnのフィードバック情報の種別を選択する。
【0076】
Xcsrは、CSRが有効となる受信レベル差に基づいて規定される。例えば、S-AP1とS-AP2との受信レベル差ΔP2がXcsrより大きい場合、CSRは、S-AP1とS-AP2とが使用する協調方式において有効である。
【0077】
Xcbfは、CBFが有効となる受信レベル差に基づいて規定される。例えば、S-AP1とS-AP2との受信レベル差ΔP2がXcbfより大きい場合、CBFは、S-AP1とS-AP2とが使用する協調方式において有効である。
【0078】
Xjtは、JTが有効となる受信レベル差に基づいて規定される。例えば、S-AP1とS-AP2との受信レベル差ΔP2がXjt以下の場合、JTは、S-AP1とS-AP2とが使用する協調方式において有効である。
【0079】
なお、上述したように、CSR又はCBFは、受信レベル差が相対的に大きい場合により有効となるため、受信レベル差が閾値(Xcsr又はXcbf)より大きい場合に有効である。一方で、JTは、受信レベル差が相対的に小さい場合により有効となるため、受信レベル差が閾値(Xjt)より小さい場合に有効となる。また、CSRは、CBFと比べて、受信レベル差がより大きいことが望ましいため、XcsrはXcbfより大きくてよい。協調方式が有効となる受信レベル差の違いから、3つの閾値は、Xcsr>Xcbf>Xjtの関係を有してよい。
【0080】
図9の例では、「ΔPn>Xcsr」が成立する場合、APnのフィードバック情報の種別は、受信レベルである、という選択を行う。受信レベルは、CSRに対応するフィードバック情報の一例である。また、「Xcsr≧ΔPn>Xcbf」が成立する場合、APnのフィードバック情報の種別は、ビームフォーミングに関する情報である、という選択を行う。ビームフォーミングに関する情報は、CBFに対応するフィードバック情報の一例である。また、「Xcbf≧ΔPn>Xjt」が成立する場合、APnのフィードバック情報は、不要である、という選択を行う。このフィードバック情報不要という選択は、DPBに対応するフィードバック情報の一例と捉えてよい。また、「Xjt≧ΔPn」が成立する場合、APnのフィードバック情報は、NDPAにて指定された種別である、という選択を行う。NDPAにて指定された種別のフィードバック情報は、JTに対応するフィードバック情報の一例である。
【0081】
なお、基準送信元と異なるAPが複数存在する場合、各APについて受信レベル差の決定、受信レベル差と閾値との比較が行われ、各APのフィードバック情報の種別が選択されてよい。
【0082】
また、図9に示す「受信レベル」は、図3に示したSNR情報としてもよい。また、図9に示すビームフォーミングに関する情報は、図3で示したSNR情報およびマトリクス情報としてもよい。
【0083】
なお、基準送信元(上述した例ではS-AP1)のフィードバック情報は、図9に示すNDPAで指定された種別としてもよい。
【0084】
また、「ΔPn>Xcsr」および「Xcsr≧ΔPn>Xcbf」では、受信レベル差が大きい(干渉となる受信レベルが小さい)ほど、干渉波が受信処理に与える影響が少ない。そのため、受信レベル差が大きい場合に、フィードバック情報の情報量を削減してもよい。
【0085】
情報量の削減方法は、特に限定されない。例えば、フィードバック情報がSNR情報を含む場合、図3に示したSNR情報のステップを大きくすることによって情報量を削減してよい。また、例えば、フィードバック情報がマトリクス情報を含む場合、マトリクス情報の量子化ビット数を減らすことによって情報量を削減してよい。
【0086】
また、フィードバックの設定がCSRに対応する場合(例えば、「ΔPn>Xcsr」の場合)、フィードバック情報を周波数領域を複数に区分したブロック(例えば、複数のサブキャリア)のそれぞれの受信レベルの情報としてもよい。これにより、APは、CSRがより有効となるサブキャリアを判定できる。さらに、サブキャリアにおいて受信レベルが大きく変動する場合でも、適切なMCSの選択および送信電力制御ができ、スループットが向上する。
【0087】
上述した選択により、状況に適応したフィードバック情報を選択することでフィードバック情報を削減でき、下り協調通信によるシステム改善効果が向上する。
【0088】
また、上述した例において、受信レベルが最も大きいAPが基準送信元に設定される例を示したが、アソシエーションAPが基準送信元に設定されてもよい。これにより、CSR、CBF、DPBのデータ通信での送信元APをアソシエーションAPにできる。また、受信レベルが最も大きいAPが基準送信元であり、アソシエーションAPであってもよい。
【0089】
また、基準送信元は、APによって指定されてもよい。例えば、APが、STAへの通知によって、STAが基準送信元を最も受信レベルが高いAPを基準送信元に設定するか、または、基準送信元をアソシエーションAPに設定するか、を指定してよい。基準送信元を指定する通知は、APが一定周期で送信する報知情報(ビーコン)に含まれてもよいし、図6に示したNDPAまたはMAP Pollに含まれてもよい。
【0090】
次に、本実施の形態におけるフィードバック情報の種別の選択処理の一例を説明する。
【0091】
図10は、本実施の形態におけるフィードバック情報の種別の選択処理の一例を示すフローチャートである。図10に示すフローは、例えば、STAが、複数のAPから既知信号を受信した後に実行される。例えば、図10に示すフローは、図6において、STA1及びSTA2が、AP3 NDPを受信した後に実行される。
【0092】
STAは、受信した既知信号の受信レベルの中から、受信レベルの最大値を検出する(S101)。
【0093】
STAは、受信した既知信号の受信レベルの全てにおいてフィードバック情報の種別を選択する処理が完了したか否かを判定する(S102)。
【0094】
処理が完了している場合(S102にてYes)、別言すると、未処理の受信レベルが存在しない場合、STAは、フィードバック情報の種別を選択する処理を終了する。
【0095】
処理が完了していない場合(S102にてNo)、別言すると、未処理の受信レベルが存在する場合、STAは、未処理の受信レベルの中の1つを処理対象の受信レベルに設定する(S103)。なお、受信レベルのそれぞれは、当該受信レベルに該当する既知信号の送信元と関連づけられてよい。以下、受信レベルに対応する既知信号の送信元は、「受信レベルの送信元」と略記されてよい。
【0096】
STAは、処理対象の受信レベルが最大値であるか否かを判定する(S104)。ここで、最大値は、S101にて検出した値である。
【0097】
処理対象の受信レベルが最大値である場合(S104にてYes)、STAは、フィードバック情報の種別が、「NDPAで指定された種別」である、という選択を行う(S105)。そして、フローは、S102へ移行する。
【0098】
処理対象の受信レベルが最大値でない場合(S104にてNo)、STAは、受信レベルの最大値から処理対象の受信レベルを除算した値を、受信レベル差ΔPnに設定する(S106)。ここで、nは、処理対象の受信レベルの送信元に付されたインデックスであってよい。
【0099】
STAは、「ΔPn>Xcsr」が成立するか否かを判定する(S107)。
【0100】
「ΔPn>Xcsr」が成立する場合(S107にてYes)、STAは、フィードバック情報の種別が、「受信レベル」である、という選択を行う(S108)。そして、フローは、S102へ戻る。
【0101】
「ΔPn>Xcsr」が成立しない場合(S107にてNo)、STAは、「ΔPn>Xcbf」が成立するか否かを判定する(S109)。
【0102】
「ΔPn>Xcbf」が成立する場合(S109にてYes)、STAは、フィードバック情報の種別が、「ビームフォーミングに関する情報」である、という選択を行う(S110)。そして、フローは、S102へ戻る。
【0103】
「ΔPn>Xcbf」が成立しない場合(S109にてNo)、STAは、「ΔPn>Xjt」が成立するか否かを判定する(S111)。
【0104】
「ΔPn>Xjt」が成立する場合(S111にてYes)、STAは、フィードバック情報無し、という選択を行う(S112)。そして、フローは、S102へ戻る。
【0105】
「ΔPn>Xjt」が成立しない場合(S111にてNo)、すなわち、「Xjt≧ΔPn」が成立する場合、STAは、フィードバック情報の種別が、「NDPAで指定された種別」である、という選択を行う(S113)。そして、フローは、S102へ戻る。
【0106】
以上説明したフローによって、STAは、各APのフィードバック情報の種別を選択し、選択した種別のフィードバック情報を生成する。
【0107】
上述したように、フィードバック情報の種別の選択には、あらかじめ決められた閾値と受信品質の差(例えば、受信レベルの差)の比較結果が用いられてよい。これにより、通信環境等の状況に適応した適切なフィードバック情報を通知できる。また、これにより、フィードバック情報を削減でき、下り協調通信によるシステム改善効果が向上する。
【0108】
[フィードバック情報の種別選択のバリエーション1]
上述した例では、4つの協調方式(CSR、CBF、DPBおよびJT)を対象に、有効なフィードバック情報を選択する例を示したが、本開示はこれに限定されない。対象となる協調方式は、5つ以上であってもよいし、3つ以下であってもよい。例えば、CSR、CBF、DPBおよびJTと異なる協調方式が対象の協調方式に含まれてもよいし、CSR、CBF、DPBおよびJTのいずれかが対象の協調方式から除外されてもよい。
【0109】
例えば、APによっては、上述した4つの協調方式の一部の協調方式に対応していない場合がある。この場合、APは、対応している協調方式をSTAに通知することによって、STAが有効なフィードバック情報を選択してよい。
【0110】
例えば、APは、サポートする協調方式(例えば、対応している協調方式又は動作可能な協調方式)の中で、少なくとも1つの協調方式を示す情報を通知してよい。この場合、STAは、通知された協調方式に基づいて、APがサポートする協調方式を判定してよい。あるいは、この場合、STAは、通知された協調方式に基づいて、フィードバック情報の種別の選択処理を変更してよい。
【0111】
図11は、通知された協調方式とサポートする協調方式との対応の一例を示す図である。
【0112】
例えば、図11の例では、通知された協調方式がJTである場合、通知を行ったAPは、CSR、CBF、DPB、および、JTが動作可能である。また、図11の例では、通知された協調方式がCBFである場合、通知を行ったAPは、CSR、CBF、および、DPBが動作可能である。また、図11の例では、通知された協調方式がCSRである場合、通知を行ったAPは、CSRおよびDPBが動作可能である。
【0113】
なお、協調方式DPBは、基準送信元以外のフィードバック情報が不要なのですべての通知で動作可能としてよい。
【0114】
図12は、図11に示した対応の場合のフィードバック情報の選択の一例を示す図である。
【0115】
通知された協調方式がCSRの場合、APが、CBFおよびJTに対応しないため、STAは、XcbfとΔPnとの比較、および、XjtとΔPnとの比較を行わず、XcsrとΔPnとの比較を行って、フィードバック情報の種別を決定する。
【0116】
通知された協調方式がCBFの場合、APが、JTに対応しないため、STAは、XjtとΔPnとの比較を行わず、XcbfとΔPnとの比較、および、XcsrとΔPnとの比較を行って、フィードバック情報の種別を決定する。
【0117】
通知された協調方式がDPBの場合、APが、CSR、CBRおよびJTに対応しないため、STAは、XcbfとΔPnとの比較、XjtとΔPnとの比較、および、XcsrとΔPnとの比較を行わず、フィードバック情報が不要である、と決定する。
【0118】
通知された協調方式がJTの場合、APが、4つの協調方式に対応するため、図9と同様に、3つの閾値とΔPnとの比較を行い、フィードバック情報の種別を決定する。
【0119】
協調方式を通知することにより、受信品質(例えば、受信レベル)とAPがサポートする協調方式に基づいて、適切なフィードバック情報の種別を選択できる。
【0120】
なお、JTでは、STAが送信元となる複数のAPからの送信信号を同時に受信するため、協調するAP間での同期がとられる。
【0121】
図13は、AP間での同期確立の一例を示す図である。
【0122】
図13では、AP1とAP2との同期をとるためにAP1、AP2と通信可能なSTA1との送受信信号が用いられる。この同期方法では、同期をとる複数のAPと通信可能なSTAが存在しない場合、同期がとられない。
【0123】
例えば、JTに対応しているが、AP間の同期がとれない状態の場合、APは、通知する協調方式をCBFとしてもよい。これにより、同期がとれない場合、「Xjt>ΔPn」が成立するか否かの比較および、「Xjt>ΔPn」が成立する場合に対応する種別を選択しない。そのため、より状態にあったフィードバック情報を選択できる。
【0124】
なお、APからの協調方式の通知情報は、APが一定周期で送信する報知情報(ビーコン)または図6において示したNDPAまたはMAP Pollに含まれてもよい。
【0125】
また、APが協調方式を通知する代わりに、STAが、閾値Xcsr、Xcbf、Xjtの少なくとも一部の値を変更してもよい。例えば、変更された閾値を示す情報は、APからSTAに通知されてよい。
【0126】
図14は、閾値の変更の一例を示す図である。図14には、図12において示した通知する協調方式に対応する、当該通知と同等の動作を規定する閾値の例が示される。
【0127】
例えば、通知する協調方式がCSRの場合と同等の動作をサポートする閾値の設定は、Xcbfを最大値に変更し、Xjtを最小値に変更する設定であってよい。なお、ここで、最大値とは、ΔPnの取り得る値の中で最大であってもよいし、ΔPnの取り得る値よりも十分に大きい値であってよい。また、最小値とは、ΔPnの取り得る値の中で最小の値であってもよいし、ΔPnの取り得る値よりも十分に小さい値であってよい。
【0128】
この場合、例えば、Xcbfが最大値に変更されるため、図9の「Xcsr≧ΔPn>Xcbf」という条件は、ΔPnがどのような値であっても、成立しない。また、例えば、Xjtが最小値に変更されるため、図9の「Xjt>ΔPn」という条件は、ΔPnがどのような値であっても、成立しない。これらの条件が成立しないということは、図9に示した、「ビームフォーミングに関する情報」および「NDPAにて指定された種別」が選択されないことに相当するため、通知する協調方式がCSRの場合と同等の動作が規定される。
【0129】
例えば、CSR、CBFによって下り協調通信を行う場合、システムスループットは向上する一方で、協調対象となるSTAのユーザースループットは低下する。また、例えば、JTにより下り協調通信を行う場合、下り信号の受信元となったSTAのユーザースループットは向上する一方で、システムスループットは低下する。そのため、システムスループットを向上させる場合には、3つの閾値の値が調整されることによって、CSR、CBFが協調方式に適用され易くしてよい。例えば、Xcsr、Xcbf、Xjtがより小さな値に調整されることによって、「ΔPn>Xcsr」、及び、「Xcsr≧ΔPn>Xcbf」という条件が成立する可能性が向上し、「Xjt≧ΔPn」という条件が成立する可能性が低下する。
【0130】
また、例えば、ユーザースループットを高くしたい場合には、3つの閾値の値が調整されることによって、JTが協調方式に適用され易くしてよい。例えば、Xcsr、Xcbf、Xjtが大きな値に調整されることによって、「ΔPn>Xcsr」、及び、「Xcsr≧ΔPn>Xcbf」という条件が成立する可能性が低下し、「Xjt≧ΔPn」という条件が成立する可能性が向上する。
【0131】
閾値は、APによって調整され、調整後の閾値は、APからSTAに通知されてよい。これにより、適切なフィードバック情報の種別の選択を行うことができる。
【0132】
なお、Xcsr、Xcbf、Xjtは、APが一定周期で送信する報知情報(ビーコン)または図6で示したNDPAまたはMAP Pollに含めてもよい。
【0133】
上述したバリエーション1では、フィードバック情報の選択の対象となる候補が、APから通知された情報によって限定される例を示した。例えば、APから通知された情報は、APがサポートする協調方式に関する情報であってよい。この場合、協調する複数APの同期状態により通知する情報が変更されてよい。
【0134】
[フィードバック情報の種別選択に関する通知の例]
例えば、複数のAPのそれぞれがSTAに対してNDPを送信する場合、APは、STAに対して、NDPの送信完了を確認する情報(STAがNDPの受信完了の判定に用いる情報)を通知してよい。例えば、NDPの送信完了を確認する情報とは、送信されるNDPの数(STAにおいては、受信するNDPの数)を示す情報であってもよいし、NDPの送信が後に続くか否かを示す情報であってもよい。例えば、STAは、NDPの送信完了を確認する情報に基づいて、NDPの受信が完了したか否かを判定してよい。そして、STAは、NDPの受信が完了した場合に、図6に示したMAP selected reference feedbackの送信を行ってもよい。以下では、APからSTAへのNDPの送信完了を確認する情報の通知例を示す。
【0135】
<通知例1>
通知例1では、APは、新規に規定するトリガーフレームでNDPの数を通知する。
【0136】
図15は、APからSTAへのNDPの数の通知例1を示す図である。図15には、図2図6と同様に、STA1およびSTA2が、S-AP1、S-AP2およびS-AP3のフィードバック情報を送信する例が示される。なお、図15において、図2及び図6と同様の箇所については、説明を省略する。
【0137】
図15では、図6に示したS-AP2からSTA2へ送信するMAP Pollが、New Pollに置き換わっている。New Pollは、新規に規定するトリガーフレームの一例である。New Pollは、NDPの数を示す情報を含む。
【0138】
トリガーフレームの構成は特に限定されないが、例えば、非特許文献4に記載された規定に対して、新規に規定されてよい。
【0139】
図16は、Trigger Type subfield valueの一例を示す図である。図16は、非特許文献4に記載の、トリガーフレームのタイプと、そのタイプに対するサブフィールドの値との関係が示される(非特許文献4 Table 9-31bを参照)。
【0140】
例えば、非特許文献4では、MAP PollをBFRP(Beamforming Report Poll)とし、図16に示した0から15までの値(例えば、4bitで表される値)のTrigger Type subfield valueでトリガーフレーム番号を規定している。
【0141】
例えば、図15に示す新規に規定するトリガーフレームは、図16における未使用領域(Reserved)を使用して規定されてよい。
【0142】
図17は、本実施の形態におけるTrigger Type subfield valueの一例を示す図である。
【0143】
図17に示すように、トリガーフレーム番号の未使用領域(図16の例では、「8-15」)の1つ(図17の例では、「8」)を新規に規定するトリガーフレーム(図中NDPの数を追加したBeamforming Report Poll)のトリガーフレーム番号としてもよい。
【0144】
なお、図15に示したS-AP3からSTA1へ送信するAP3 NDPの後に、S-AP1からSTA1に新規に規定したトリガーフレームを送信してもよい。
【0145】
また、新規に規定したトリガーフレームで追加する情報はNDPを送信する複数APのIDとしてもよい。
【0146】
<通知例2>
通知例2では、APは、新規に規定したNDPAでNDPの数を通知する。
【0147】
図18は、APからSTAへのNDPの数の通知例2を示す図である。図18には、図2図6と同様に、STA1およびSTA2が、S-AP1、S-AP2およびS-AP3のフィードバック情報を送信する例が示される。なお、図18において、図2及び図6と同様の箇所については、説明を省略する。
【0148】
図6では、S-AP1、S-AP2、S-AP3がそれぞれNDPAおよびNDPを送信する。図18では、「新規NDPA」を規定し、APが、新規NDPAによって、NDPの数またはNDPを送信するAPのIDを通知してもよい。
【0149】
なお、図18では、S-AP1が新規NDPAを送信する例を示したが、複数のS-APまたはM-APが新規NDPAを送信してもよい。
【0150】
図19は、APからSTAへのNDPの数の通知例2の変形例を示す図である。図19には、図2図6と同様に、STA1およびSTA2が、S-AP1、S-AP2およびS-AP3のフィードバック情報を送信する例が示される。なお、図19において、図2及び図6と同様の箇所については、説明を省略する。
【0151】
M-APが新規NDPAを送信する場合、図19に示すように、MAP TriggerおよびS-AP1が送信する新規NDPAを送信しなくてもよい。また、M-APは、新規NDPAを送信した後、S-AP1にMAP Pollを送信してもよい。
【0152】
<通知例3>
通知例1および通知例2では、NDPの送信完了を確認する情報の一例としてNDPの数を通知する例を示した。通知例3では、NDPの数を通知する代わりに、NDPAを用いて、当該NDPAよりも後に続くNDP(以下、後続NDP)が存在するか否かを通知する。例えば、NDPAの未使用の値を用いて、後続NDPの有無を通知する。
【0153】
図20は、非特許文献4のSTA info subfield formatの一例を示す図である。例えば、未使用の値には、11axのNDPAのフォーマットである図20における「STA info subfield」内の「Partial BW info」で示される「RU Start index」または「RU End index」の74~127のいずれかを用いてもよい(非特許文献4のFigure 9-61bおよびFigure 9-61c参照)。
【0154】
例えば、図6のS-AP1、S-AP2、および、S-AP3において、後続NDPがある場合に未使用の値の1つのRU Start indexを127に設定する動作例を示す。S-AP1がNDPAを送信する段階では、後続NDP(図6の例では、S-AP2のNDPおよびS-AP3のNDP)があるため、AP1は、RU Start indexを127に変更したNDPAを送信する。S-AP2がNDPAを送信する段階では、後続NDP(図6の例では、S-AP3のNDP)があるため、S-AP2は、S-AP1と同様に、RU Start indexを127に変更したNDPAを送信する。S-AP3がNDPAを送信する段階では、後続NDPがないため、S-AP3は、RU Start indexを0~126のいずれかの値(たとえば、0)に変更したNDPAを送信する。
【0155】
STA1およびSTA2は、AP1 NDPAおよびAP2 NDPAのRU Start indexが127であるため、後続NDP(例えば、NDPAおよびNDP)があると判断する。また、STA1およびSTA2は、AP3 NDPAのRU Start indexが0であるため、後続NDP(NDPAおよびNDP)がないと判断する。STA1およびSTA2は、後続NDP(NDPAおよびNDP)がないと判断した場合、フィードバック情報の選択を実行する。なお、STA1およびSTA2は、受信したAP1 NDPAおよびAP2 NDPAのRU Start indexの値127をAP3 NDPAで通知された値(たとえば0)に置き換えてよい。
【0156】
上述したように、APがSTAに対してNDPの送信完了を確認する情報を通知することによって、STAは、NDPの受信完了を判定でき、フィードバックの設定の制御を開始できる。これによって、フィードバックの制御に関する処理負荷(例えば、処理時間)を削減できる。
【0157】
なお、フィードバック情報には、既知信号の送信元を特定する情報が含まれてもよい。
【0158】
例えば、図6等に示したフィードバック情報(図中MAP selected reference feedback)は、S-AP1、S-AP2、S-AP3のフィードバック情報を含んだ情報である。一方で、例えば、図6において、「Xcbf≧ΔPn>Xjt」の条件が成立する場合、フィードバック情報が不要となる。この場合、既知信号の送信元の数と、フィードバックする既知信号の受信品質に関する情報の数とが一致しない場合がある。このような場合、既知信号の送信元を特定する情報が、フィードバック情報に含まれることによって、フィードバック情報を受信したAPは、既知信号の受信品質に関する情報と、当該既知信号の送信元とを対応づけることができる。
【0159】
なお、例えば、図6に示したように、AP毎の既知信号が送信される場合は、既知信号の送信元を特定する情報は、APのIDとしてよい。また、AP毎の既知信号が周波数多重して送信される場合は、既知信号の送信元を特定する情報は、既知信号が多重された周波数の周波数番号としてもよい。また、既知信号が空間多重して送信される場合は、既知信号の送信元を特定する情報は、既知信号が多重されたストリーム番号としてもよい。また、AP毎の既知信号がコード多重して送信される場合、既知信号の送信元を特定する情報は、コード番号としてもよい。
【0160】
なお、複数のAPそれぞれのフィードバック情報が、個別に送信されてもよい。
【0161】
図6に示したフィードバック情報(図中MAP selected reference feedback)は、S-AP1のフィードバック情報と、S-AP2のフィードバック情報と、S-AP3のフィードバック情報とを含むが、S-AP1のフィードバック情報と、S-AP2のフィードバック情報と、S-AP3のフィードバック情報とが、それぞれ、MAP selected reference feedbackにおいて送信されてもよい。
【0162】
なお、フィードバック情報を複数の送信元に送信してもよい。
【0163】
図6に示した例では、STAは、アソシエーションAPへフィードバック情報を送信する。例えば、図6のSTA1は、フィードバック情報をS-AP1へ送信し、STA2は、フィードバック情報をS-AP2に送信する。本開示はこの例に限定されない。
【0164】
例えば、STAは、フィードバック情報を既知信号の複数の送信元に送信してもよい。STAは、フィードバック情報を複数のAP(図4の例では、S-AP1、S-AP2、S-AP3)へ送信してもよい。これにより、複数のAPでフィードバック情報を取得でき、AP間でのフィードバック情報の転送が不要となる。
【0165】
また、例えば、STAは、フィードバック情報をマスタAPに送信してもよい。これにより、マスタAPは、フィードバック情報を管理でき、AP間での情報転送を少なくできる。なお、マスタAPへの送信が困難なSTAは、フィードバック情報の送り先をアソシエーションAPに変更してもよい。
【0166】
上述した実施の形態では、複数のAPがSTAに対して協調通信を行う例を示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、複数のAPのうち、一部がSTAに置き換わってもよい。例えば、本開示は、1以上のAPと1以上のSTAが、別のSTAに対して協調通信を行う場合に適用されてもよい。あるいは、本開示は、2以上のSTAが、別のSTAに対して協調通信を行う場合に適用されてもよい。
【0167】
また、上述した実施の形態における、各信号(各パケット)を表す用語は、一例であり、本開示はこれに限定されない。
【0168】
また、上述した実施の形態における「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0169】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0170】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0171】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0172】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0173】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサー等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
【0174】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0175】
本開示の一実施例に係る無線通信装置は、複数の送信元が送信した複数の無線信号を受信する受信回路と、前記複数の無線信号の受信品質の差異に応じて、前記複数の無線信号に対するフィードバックの設定を制御する制御回路と、を備える。
【0176】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、前記複数の送信元の中から選択した第1の送信元と他の第2の送信元との間の前記受信品質の差分と、閾値との比較結果に基づいて、前記設定を制御する。
【0177】
本開示の一実施例において、前記第1の送信元は、前記複数の送信元のうち、最良の受信品質を示す前記無線信号の送信元である。
【0178】
本開示の一実施例において、前記第1の送信元は、前記無線通信装置とアソシエーションを確立した送信元である。
【0179】
本開示の一実施例において、前記フィードバックの設定は、Coordinated Spatial Reuse(CSR)、Coordinated Beamforming(CBF)、Joint Transmission(JT)、および、Dynamic point Blanking(DPB)のそれぞれに対応する設定のいずれか2つ以上を含む。
【0180】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、前記フィードバックの設定がCoordinated Spatial Reuse(CSR)に対応する設定である場合、前記フィードバックに、周波数領域を複数に区分したブロックのそれぞれにおける受信品質に関する情報を含める。
【0181】
本開示の一実施例において、前記受信回路は、前記複数の送信元がサポートする協調通信の方式を示す制御情報を受信し、前記制御回路は、前記受信品質に関する情報及び前記制御情報に基づいて、前記フィードバックの設定を決定する。
【0182】
本開示の一実施例において、前記制御情報は、前記受信品質に関する情報と比較される閾値である。
【0183】
本開示の一実施例において、前記受信回路は、前記無線信号の受信完了の判定に用いる情報を受信する。
【0184】
本開示の一実施例において、前記受信完了の判定に用いる情報は、前記複数の無線信号の数を示す。
【0185】
本開示の一実施例において、前記受信完了の判定に用いる情報は、Null data packet Announcement(NDPA)又はトリガーフレームに含まれる。
【0186】
本開示の一実施例において、前記フィードバックの設定は、前記無線信号の送信元を特定する情報の設定を含む。
【0187】
本開示の一実施例において、前記フィードバックの設定は、前記複数の送信元それぞれについてのフィードバック情報を個別に送信する設定を含む。
【0188】
本開示の一実施例において、前記フィードバックの設定は、2以上の前記送信元へフィードバック情報を送信する設定を含む。
【0189】
本開示の一実施例に係る無線通信方法は、複数の送信元が送信した複数の無線信号を受信し、前記複数の無線信号の受信品質の差異に応じて、前記複数の無線信号に対するフィードバックの設定を制御する。
【0190】
2019年8月29日出願の特願2019-157100の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本開示の一実施例は、移動通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0192】
10、100 無線通信制御装置
11、22 制御部
12 送信部
101 既知信号生成部
102、206 送信パケット生成部
103、201 無線送受信部
104、202 受信パケット復号部
20、200 無線通信装置
21 受信部
203 受信品質測定部
204 フィードバック情報選択部
205 フィードバック情報生成部
図1
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