(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-30
(45)【発行日】2024-11-08
(54)【発明の名称】NKp30に結合する抗体分子およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20241031BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20241031BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20241031BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20241031BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20241031BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20241031BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20241031BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20241031BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20241031BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241031BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20241031BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241031BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241031BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20241031BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C07K19/00
C07K16/46
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P37/02
A61P29/00
(21)【出願番号】P 2021549484
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(86)【国際出願番号】 US2020019329
(87)【国際公開番号】W WO2020172605
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-02-21
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521131317
【氏名又は名称】マレンゴ・セラピューティクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】レーウ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】マルホトラ,ニディ
(72)【発明者】
【氏名】カトラガッダ,マダン
(72)【発明者】
【氏名】バシュ,ブライアン・エドワード
(72)【発明者】
【氏名】マイオッコ,ステファニー・ジェイ
【審査官】吉門 沙央里
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/165464(WO,A1)
【文献】特表2011-524743(JP,A)
【文献】M. Draghi, et al.,Immunotherapy of Caner,2018年,Vol.6, Issue Suppl1, P530
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)NKp30に結合
してNK細胞を活性化する抗体分子またはその抗原結合性断片;および
(ii)サイトカイン分子
を含む、多特異性分子であって、
抗体分子またはその抗原結合性断片が、
(a)各々、配列番号7313,配列番号6001,および配列番号7315の重鎖相補性決定領域1(VHCDR1)、重鎖相補性決定領域2(VHCDR2)、および重鎖相補性決定領域3(VHCDR3)を含む重鎖可変領域(VH);および各々、配列番号7326,配列番号7327,および配列番号7329の軽鎖相補性決定領域1(VLCDR1)、軽鎖相補性決定領域2(VLCDR2)、および軽鎖相補性決定領域3(VLCDR3)を含む軽鎖可変領域(VL);
(b)各々、配列番号7313,配列番号6008,および配列番号6009のVHCDR1,VHCDR2,およびVHCDR3を含むVH;および各々、配列番号6070,配列番号6071,および配列番号6072のVLCDR1,VLCDR2,およびVLCDR3を含むVL;または
(c)各々、配列番号7313,配列番号7385,および配列番号7315のVHCDR1,VHCDR2,およびVHCDR3を含むVH;および各々、配列番号6070,配列番号6064,および配列番号7321のVLCDR1,VLCDR2,およびVLCDR3を含むVL
を含む、多特異性分子。
【請求項2】
抗体分子またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号:6122の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、および配列番号:6136の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号:6129の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、および配列番号:6142の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL;
(iii)配列番号:6130の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、および配列番号:6143の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL;
(iv)配列番号:6131の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、および配列番号:6144の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL;
(v)配列番号:6132の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、および配列番号:6145の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL;
(vi)配列番号:6133の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、および配列番号:6146の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL;
(vii)配列番号:6134の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、および配列番号:6147の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL;
(viii)配列番号:7295の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、および配列番号:7296の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL;
(ix)配列番号:7298の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、および配列番号:7299の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL;
(x)配列番号:7300の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、および配列番号:7305の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL;
(xi)配列番号:7301の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、および配列番号:7306の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL;
(xii)配列番号:7302の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、および配列番号:7307の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL;
(xiii)配列番号:7303の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、および配列番号:7308の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL;
(xiv)配列番号:7304の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVH、および配列番号:7309の配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むVL;
を含む、請求項1に記載の多特異性分子。
【請求項3】
抗体分子またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号:6122のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:6136のアミノ酸配列を含むVL;
(ii)配列番号:6129のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:6142のアミノ酸配列を含むVL;
(iii)配列番号:6130のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:6143のアミノ酸配列を含むVL;
(iv)配列番号:6131のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:6144のアミノ酸配列を含むVL;
(v)配列番号:6132のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:6145のアミノ酸配列を含むVL;
(vi)配列番号:6133のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:6146のアミノ酸配列を含むVL;
(vii)配列番号:6134のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:6147のアミノ酸配列を含むVL;
(viii)配列番号:7295のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:7296のアミノ酸配列を含むVL;
(ix)配列番号:7298のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:7299のアミノ酸配列を含むVL;
(x)配列番号:7300のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:7305のアミノ酸配列を含むVL;
(xi)配列番号:7301のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:7306のアミノ酸配列を含むVL;
(xii)配列番号:7302のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:7307のアミノ酸配列を含むVL;
(xiii)配列番号:7303のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:7308のアミノ酸配列を含むVL;
(xiv)配列番号:7304のアミノ酸配列を含むVHおよび配列番号:7309のアミノ酸配列を含むVL;
を含む、
請求項2に記載の多特異性分子。
【請求項4】
抗体分子またはその抗原結合性断片が、
(i)配列番号6151の配列または配列番号6152の配列に対して少なくとも
90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖;
および
(ii)配列番号6153の配列に対して少なくとも
90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖
を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の多特異性分子。
【請求項5】
抗体分子またはその抗原結合性断片が、
配列番号6151の配列または配列番号6152の配列を含む重鎖;および配列番号6153の配列を含む軽鎖
を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の多特異性分子。
【請求項6】
抗体分子またはその抗原結合性断片が、配列番号7310の配列または配列番号7311の配列に対して少なくとも
90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む一本鎖Fvを含む、
請求項1に記載の多特異性分子。
【請求項7】
抗体分子またはその抗原結合性断片が、配列番号7310の配列または配列番号7311の配列を含む一本鎖Fvを含む、
請求項1または6に記載の多特異性分子。
【請求項8】
抗体分子またはその抗原結合性断片が、全長抗体、Fab、F(ab’)
2、Fv、一本鎖Fv、単一ドメイン抗体分子またはその単一ドメインバリアント、ダイアボディ、二価抗体、または二重特異性抗体分子、またはラクダ抗体である、
請求項1~7のいずれか1項に記載の多特異性分子。
【請求項9】
腫瘍標的化部分、T細胞エンゲージャー、またはウイルスまたは細菌感染細胞に結合する結合特異性の一つまたはそれ以上をさらに含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載の多特異性分子。
【請求項10】
(i)IgG1またはその断片、IgG2またはその断片、IgG3またはその断片、およびIgG4またはその断片からなる群から選択される、重鎖定常領域;
(ii)カッパ軽鎖定常領域またはその断片、またはラムダ軽鎖定常領域またはその断片;または
(iii)それらの任意の組合せ
を含む、
請求項1~9のいずれか1項に記載の多特異性分子。
【請求項11】
多特異性分子が第1の免疫グロブリン鎖定常領域および第2の免疫グロブリン鎖定常領域を含み、
抗体分子またはその抗原結合性断片が第1の免疫グロブリン鎖定常領域に連結し、
第1の免疫グロブリン鎖定常領域が第1のFc領域であり、および第2の免疫グロブリン鎖定常領域が第2のFc領域であり、
第1のFc領域および第2のFc領域が二量体化する、
請求項1~10のいずれか1項に記載の多特異性分子。
【請求項12】
第1のFc領域および第2のFc領域の二量体化が、第1のFc領域および第2のFc領域のFc境界部に、対になった孔と突起、静電相互作用、または鎖交換のうちの1つまたは複数を提供することにより増強され、操作されていない境界部と比較して、より高い比のヘテロ多量体:ホモ多量体が形成される、
請求項11に記載の多特異性分子。
【請求項13】
第1のFc領域が、T366S、L368A、
およびY407Vからなる群から選択されるアミノ酸置換を含み、第2のFc領域が、T366Wのアミノ酸置換を含む、または第1のFc領域が、T366Wのアミノ酸置換を含み、第2のFc領域が、T366S、L368A、
およびY407Vからなる群から選択されるアミノ酸置換を含む、
請求項12に記載の多特異性分子。
【請求項14】
サイトカイン分子が、インターロイキン-2(IL-2)またはその機能的バリアント、インターロイキン-7(IL-7)またはその機能的バリアント、インターロイキン-12(IL-12)またはその機能的バリアント、インターロイキン-15(IL-15)またはその機能的バリアント、インターロイキン-18(IL-18)またはその機能的バリアント、インターロイキン-21(IL-21)またはその機能的バリアント、およびインターフェロンガンマまたはその機能的バリアントからなる群から選択される、
請求項1~13のいずれか1項に記載の多特異性分子。
【請求項15】
抗体分子またはその抗原結合性断片とサイトカイン分子との間のリンカー、腫瘍標的化部分とサイトカイン分子との間のリンカー、サイトカイン分子とT細胞エンゲージャーとの間のリンカー、サイトカイン分子と第1の免疫グロブリン鎖定常領域との間のリンカー、サイトカイン分子と第2の免疫グロブリン鎖定常領域との間のリンカー、腫瘍標的化部分と第1の免疫グロブリン鎖定常領域との間のリンカー、腫瘍標的化部分と第2の免疫グロブリン鎖定常領域との間のリンカー、T細胞エンゲージャーと第1の免疫グロブリン鎖定常領域との間のリンカー、またはT細胞エンゲージャーと第2の免疫グロブリン鎖定常領域との間のリンカーのうちの1つまたは複数をさらに含む、
請求項1~14のいずれか1項に記載の多特異性分子。
【請求項16】
リンカーが、切断性リンカー、非切断性リンカー、ペプチドリンカー、可撓性リンカー、剛性リンカー、ヘリックスリンカー、および非ヘリックスリンカーからなる群から選択される、
請求項15に記載の多特異性分子。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の多特異性分子
のポリペプチド鎖をコードする配列を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか1項に記載の多特異性分子の作製方法であって、遺伝子発現、ホモもしくはヘテロ二量体化、またはそれらの組合せのために適した条件で、
請求項17に記載の組換えポリヌクレオチドを含む宿主細胞を培養することを含む、方法。
【請求項19】
請求項1~16のいずれか1項に記載の多特異性分子、および薬学的に許容される担体、賦形剤または安定化剤を含む医薬。
【請求項20】
がん、自己免疫障害、または炎症性障害、または感染症の処置において使用するための、
請求項1~16のいずれか1項に記載の多特異性分子を含む医薬組成物。
【請求項21】
(i)がんが固形腫瘍がんまたは転移性病変である;または
(ii)がんが血液がんである
請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
対象に第2の治療処置と組み合わせて投与され、第2の治療処置が、
治療剤、放射線、または外科手術を含む、
請求項20または21に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年2月21日に出願された米国仮出願第62/808,582号に対する優先権を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている配列表を含む。2020年2月20日に作製された前記ASCIIコピーは、E2070-7025WO_SL.txtと命名され、サイズは517,567バイトである。
【背景技術】
【0003】
ナチュラルキラー(NK)細胞は、抗体非依存性の方式で腫瘍およびウイルス感染細胞を認識および破壊する。NK細胞の調節は、NK細胞表面上の受容体を活性化および阻害することによって媒介される。活性化受容体の1つのファミリーは、NKp30、NKp44およびNKp46を含む天然細胞傷害性受容体(NCR)である。
【0004】
免疫応答の制御における免疫チェックポイント経路の重要性を考慮すると、免疫抑制タンパク質、例えば、PD-1の活性をモジュレートし、それにより免疫系の活性化をもたらす新規薬剤を開発する必要がある。このような薬剤は、例えば、がん免疫療法、および他の状態、例えば、慢性感染症の処置に使用することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
高い親和性および特異性でNKp30に結合する抗体分子(例えば、ヒト化抗体分子)が本明細書に開示される。抗体分子をコードする核酸分子、発現ベクター、宿主細胞、および抗体分子を作製する方法もまた提供される。抗体分子を含む多特異性もしくは二重特異性または多機能性抗体分子および医薬組成物もまた提供される。本明細書に開示される抗NKp30抗体分子は、がん性障害(例えば、固形腫瘍および軟部組織腫瘍)、ならびに自己免疫疾患および感染症などの障害を処置、予防および/または診断するために(単独で、または他の薬剤もしくは治療モダリティと組み合わせて)使用することができる。したがって、抗NKp30抗体分子を用いて、NKp30を検出するための組成物および方法、ならびにがん、自己免疫疾患および/または感染症を含む種々の障害を処置する方法が、本明細書に開示される。
【0006】
したがって、一態様では、本発明は、以下の列挙された実施形態に従って、1つまたは複数の配列を含む抗体分子(例えば、単離されたまたは組換え抗体分子)を特徴とする。開示される抗体分子、多機能性分子、核酸、ベクター、宿主細胞、または方法のいずれかのさらなる特徴は、以下の列挙された実施形態のうちの1つまたは複数を含む。
【0007】
当業者であれば、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多数の同等物を、日常的な実験のみを使用して認識するかまたは確認することができる。このような同等物は、以下の列挙された実施形態によって包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、NK92細胞に対するNKp30抗体の結合を示すグラフである。パーセント-AF747陽性集団としてデータを算出した。
【
図2】
図2は、NKp30抗体によるNK92細胞の活性化を示すグラフである。ハムスター抗NKp30 mAbを使用してデータを生成した。
【発明を実施するための形態】
【0009】
列挙された実施形態
1.NKp30に結合する単離された抗体分子であって、
(i)配列番号7313の重鎖相補性決定領域1(VHCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6001のVHCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号7315のVHCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH);ならびに/あるいは
(ii)配列番号7326の軽鎖相補性決定領域1(VLCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号7327のVLCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号7329のVLCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む、抗体分子。
【0010】
2.抗原結合性ドメインが、
(i)配列番号7298もしくは7300~7304のいずれかのアミノ酸配列(または配列番号7298もしくは7300~7304のいずれかと少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVH、および/または
(ii)配列番号7299もしくは7305~7309のいずれかのアミノ酸配列(または配列番号7299もしくは7305~7309のいずれかと少なくとも約93%、95%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVL
を含む、実施形態1の抗体分子。
【0011】
3.抗原結合性ドメインが、
(i))配列番号7302のアミノ酸配列(または7302と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVH、および配列番号7305のアミノ酸配列(または7305と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVL;または
(ii)配列番号7302のアミノ酸配列(または7302と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVH、および配列番号7309のアミノ酸配列(または7309と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVL
を含む、実施形態2の抗体分子。
【0012】
4.抗原結合性ドメインが、
(i)配列番号7310のアミノ酸配列(または7310と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列);または
(ii)配列番号7311のアミノ酸配列(または7311と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)
を含む、実施形態1から3のいずれかの抗体分子。
【0013】
5.NKp30に結合する単離された抗体分子であって、
(i)配列番号6000の重鎖相補性決定領域1(VHCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6001のVHCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6002のVHCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに
(ii)配列番号6063の軽鎖相補性決定領域1(VLCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6064のVLCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号7293のVLCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む、抗体分子。
【0014】
6.抗原結合性ドメインが、
(i)配列番号6000の重鎖相補性決定領域1(VHCDR1)アミノ酸配列、配列番号6001のVHCDR2アミノ酸配列、および/または配列番号6002のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに
(ii)配列番号6063の軽鎖相補性決定領域1(VLCDR1)アミノ酸配列、配列番号6064のVLCDR2アミノ酸配列、および/または配列番号7293のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む、実施形態5の抗体分子。
【0015】
7.抗原結合性ドメインが、
(1)配列番号6003の重鎖可変領域1(VHFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6004のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6005のVHFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、または配列番号6006のVHFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH);および/あるいは
(2)配列番号6066の軽鎖可変領域1(VLFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6067のVLFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号7292のVLFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、または配列番号6069のVLFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む、実施形態5または6の抗体分子。
【0016】
8.抗原結合性ドメインが、
(1)配列番号6003の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6004のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6005のVHFWR3アミノ酸配列、または配列番号6006のVHFWR4アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);および
(3)配列番号6066の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6067のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号7292のVLFWR3アミノ酸配列、または配列番号6069のVLFWR4アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む、実施形態7の抗体分子。
【0017】
9.抗原結合性ドメインが、
(i)配列番号6121のアミノ酸配列(または配列番号6121と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVH、および/または
(ii)配列番号7294のアミノ酸配列(または配列番号7294と少なくとも約93%、95%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVL
を含む、実施形態5から8のいずれか1つの抗体分子。
【0018】
10.抗原結合性ドメインが,配列番号6148または6149のアミノ酸配列(または配列番号6148もしくは6149と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含む重鎖を含む、実施形態5から9のいずれか1つの抗体分子。
【0019】
11.抗原結合性ドメインが、配列番号6150のアミノ酸配列(または配列番号6150と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含む軽鎖を含む、実施形態5から10のいずれかの抗体分子。
【0020】
12.抗原結合性ドメインが、配列番号6148または6149のアミノ酸配列(または配列番号6148もしくは6149と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含む重鎖、および配列番号6150のアミノ酸配列(または配列番号6150と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含む軽鎖を含む、実施形態5から11のいずれかの抗体分子。
【0021】
13.抗原結合性ドメインが、配列番号6014の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6015のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6016のVHFWR3アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、または配列番号6017のVHFWR4アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態5から12のいずれかの抗体分子。
【0022】
14.抗原結合性ドメインが、配列番号6014の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6015のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6016のVHFWR3アミノ酸配列、または配列番号6017のVHFWR4アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態13の抗体分子。
【0023】
15.抗原結合性ドメインが、配列番号6123のアミノ酸配列(または配列番号6123と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVHを含む、実施形態14の抗体分子。
【0024】
16.抗原結合性ドメインが、配列番号6018の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6019のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6020のVHFWR3アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、または配列番号6021のVHFWR4アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態5から15のいずれかの抗体分子。
【0025】
17.抗原結合性ドメインが、配列番号6018の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6019のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6020のVHFWR3アミノ酸配列、または配列番号6021のVHFWR4アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態16の抗体分子。
【0026】
18.抗原結合性ドメインが、配列番号6124のアミノ酸配列(または配列番号6124と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVHを含む、実施形態17の抗体分子。
【0027】
19.抗原結合性ドメインャーが、配列番号6022の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6023のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6024のVHFWR3アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、または配列番号6025のVHFWR4アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態5から18のいずれかの抗体分子。
【0028】
20.抗原結合性ドメインが、配列番号6022の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6023のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6024のVHFWR3アミノ酸配列、または配列番号6025のVHFWR4アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態19の抗体分子。
【0029】
21.抗原結合性ドメインが、配列番号6125のアミノ酸配列(または配列番号6125と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVHを含む、実施形態20の抗体分子。
【0030】
22.抗原結合性ドメインが、配列番号6026の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6027のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6028のVHFWR3アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、または配列番号6029のVHFWR4アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態5から21のいずれかの抗体分子。
【0031】
23.抗原結合性ドメインが、配列番号6026の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6027のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6028のVHFWR3アミノ酸配列、または配列番号6029のVHFWR4アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態22の抗体分子。
【0032】
24.抗原結合性ドメインが、配列番号6126のアミノ酸配列(または配列番号6126と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVHを含む、実施形態23の抗体分子。
【0033】
25.抗原結合性ドメインが、配列番号6030の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6032のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6033のVHFWR3アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、または配列番号6034のVHFWR4アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態5から24のいずれかの抗体分子。
【0034】
26.抗原結合性ドメインが、配列番号6030の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6032のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6033のVHFWR3アミノ酸配列、または配列番号6034のVHFWR4アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態25の抗体分子。
【0035】
27.抗原結合性ドメインが、配列番号6127のアミノ酸配列(または配列番号6127と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVHを含む、実施形態26の抗体分子。
【0036】
28.抗原結合性ドメインが、配列番号6035の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6036のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6037のVHFWR3アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、または配列番号6038のVHFWR4アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態5から27のいずれかの抗体分子。
【0037】
29.抗原結合性ドメインが、配列番号6035の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6036のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6037のVHFWR3アミノ酸配列、または配列番号6038のVHFWR4アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態28の抗体分子。
【0038】
30.抗原結合性ドメインが、配列番号6128のアミノ酸配列(または配列番号6128と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVHを含む、実施形態29の抗体分子。
【0039】
31.抗原結合性ドメインが、配列番号6077の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6078のVLFWR2アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6079のVLFWR3アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、または配列番号6080のVLFWR4アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態5、6、または13から30のいずれかの抗体分子。
【0040】
32.抗原結合性ドメインが、配列番号6077の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6078のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6079のVLFWR3アミノ酸配列、または配列番号6080のVLFWR4アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態31の抗体分子。
【0041】
33.抗原結合性ドメインが、配列番号6137のアミノ酸配列(または配列番号6137と少なくとも約93%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVLを含む、実施形態32の抗体分子。
【0042】
34.抗原結合性ドメインが、配列番号6081の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6082のVLFWR2アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6083のVLFWR3アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、または配列番号6084のVLFWR4アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態5、6、または13から30のいずれかの抗体分子。
【0043】
35.抗原結合性ドメインが、配列番号6081の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6082のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6083のVLFWR3アミノ酸配列、または配列番号6084のVLFWR4アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態34の抗体分子。
【0044】
36.抗原結合性ドメインが、配列番号6138のアミノ酸配列(または配列番号6138と少なくとも約93%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVLを含む、実施形態35の抗体分子。
【0045】
37.抗原結合性ドメインが、配列番号6085の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6086のVLFWR2アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6087のVLFWR3アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、または配列番号6088のVLFWR4アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態5、6、または13から30のいずれかの抗体分子。
【0046】
38.抗原結合性ドメインが、配列番号6085の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6086のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6087のVLFWR3アミノ酸配列、または配列番号6088のVLFWR4アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態37の抗体分子。
【0047】
39.抗原結合性ドメインが、配列番号6139のアミノ酸配列(または配列番号6139と少なくとも約93%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVLを含む、実施形態38の抗体分子。
【0048】
40.抗原結合性ドメインが、配列番号6089の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6090のVLFWR2アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6091のVLFWR3アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、または配列番号6092のVLFWR4アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態5、6、または13から30のいずれかの抗体分子。
【0049】
41.抗原結合性ドメインが、配列番号6089の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6090のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6091のVLFWR3アミノ酸配列、または配列番号6092のVLFWR4アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態40の抗体分子。
【0050】
42.抗原結合性ドメインが、配列番号6140のアミノ酸配列(または配列番号6140と少なくとも約93%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVLを含む、実施形態41の抗体分子。
【0051】
43.抗原結合性ドメインが、配列番号6093の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6094のVLFWR2アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6095のVLFWR3アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、または配列番号6096のVLFWR4アミノ酸配列(またはそれから1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態5、6、または13から30のいずれかの抗体分子。
【0052】
44.抗原結合性ドメインが、配列番号6093の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6094のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6095のVLFWR3アミノ酸配列、または配列番号6096のVLFWR4アミノ酸配列を含む、実施形態43の抗体分子。
【0053】
45.抗原結合性ドメインが、配列番号6141のアミノ酸配列(または配列番号6141と少なくとも約93%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVLを含む、実施形態44の抗体分子。
【0054】
46.NKp30に結合する単離された抗体分子であって、
(i)配列番号6007の重鎖相補性決定領域1(VHCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6008のVHCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6009のVHCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに
(ii)配列番号6070の軽鎖相補性決定領域1(VLCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6071のVLCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6072のVLCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む、抗体分子。
【0055】
47.抗原結合性ドメインが、
(i)配列番号6007の重鎖相補性決定領域1(VHCDR1)アミノ酸配列、配列番号6008のVHCDR2アミノ酸配列、および/または配列番号6009のVHCDR3アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH);ならびに
(ii)配列番号6070の軽鎖相補性決定領域1(VLCDR1)アミノ酸配列、配列番号6071のVLCDR2アミノ酸配列、および/または配列番号6072のVLCDR3アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む、実施形態46の抗体分子。
【0056】
48.抗原結合性ドメインが、
(1)配列番号6010の重鎖フレームワーク変域1(VHFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6011のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6012のVHFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、または配列番号6013のVHFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに/あるいは
(2)配列番号6073の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6074のVLFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6075のVLFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、または配列番号6076のVLFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)、
を含む、実施形態46または47の抗体分子。
【0057】
49.抗原結合性ドメインが、
(1)配列番号6010の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6011のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6012のVHFWR3アミノ酸配列、または配列番号6013のVHFWR4アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)、および
(3)配列番号6073の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6074のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6075のVLFWR3アミノ酸配列、または配列番号6076のVLFWR4アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む、実施形態48の抗体分子。
【0058】
50.抗原結合性ドメインが、
(i)配列番号6122のアミノ酸配列(または配列番号6122と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVH、および/または
(ii)配列番号6136のアミノ酸配列(または配列番号6136と少なくとも約93%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVL
を含む、実施形態46から49のいずれか1つの抗体分子。
【0059】
51.抗原結合性ドメインが、配列番号6151または6152のアミノ酸配列(または配列番号6151もしくは6152と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含む重鎖を含む、実施形態46から50のいずれかの抗体分子。
【0060】
52.抗原結合性ドメインが,配列番号6153のアミノ酸配列(または配列番号6153と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含む軽鎖を含む、実施形態46から51のいずれかの抗体分子。
【0061】
53.抗原結合性ドメインが、配列番号6151または6152のアミノ酸配列(または配列番号6151もしくは6152と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含む重鎖、および配列番号6153のアミノ酸配列(または配列番号6153と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含む軽鎖を含む、実施形態46から51のいずれかの抗体分子。
【0062】
54.抗原結合性ドメインが、配列番号6039の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6040のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6041のVHFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、または配列番号6042のVHFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態46または47の抗体分子。
【0063】
55.抗原結合性ドメインが、配列番号6039の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6040のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6041のVHFWR3アミノ酸配列、または配列番号6042のVHFWR4アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態54の抗体分子。
【0064】
56.抗原結合性ドメインが、配列番号6129のアミノ酸配列(または配列番号6129と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVHを含む、実施形態55の抗体分子。
【0065】
57.抗原結合性ドメインが、配列番号6043の重鎖可変領域1(VHFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6044のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6045のVHFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、または配列番号6046のVHFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態46または47の抗体分子。
【0066】
58.抗原結合性ドメインが、配列番号6043の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6044のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6045のVHFWR3アミノ酸配列、または配列番号6046のVHFWR4アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態57の抗体分子。
【0067】
59.抗原結合性ドメインが、配列番号6130のアミノ酸配列(または配列番号6130と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVHを含む、実施形態58の抗体分子。
【0068】
60.抗原結合性ドメインが、配列番号6047の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6048のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6049のVHFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、または配列番号6050のVHFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態46または47の抗体分子。
【0069】
61.抗原結合性ドメインが、配列番号6047の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6048のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6049のVHFWR3アミノ酸配列、または配列番号6050のVHFWR4アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態60の抗体分子。
【0070】
62.抗原結合性ドメインが、配列番号6131のアミノ酸配列(または配列番号6131と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVHを含む、実施形態61の抗体分子。
【0071】
63.抗原結合性ドメインが、配列番号6051の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6052のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6053のVHFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、または配列番号6054のVHFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態46または47の抗体分子。
【0072】
64.抗原結合性ドメインが、配列番号6051の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6052のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6053のVHFWR3アミノ酸配列、または配列番号6054のVHFWR4アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態63の抗体分子。
【0073】
65.抗原結合性ドメインが、配列番号6132のアミノ酸配列(または配列番号6132と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVHを含む、実施形態64の抗体分子。
【0074】
66.抗原結合性ドメインが、配列番号6055の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6056のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6057のVHFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、または配列番号6058のVHFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態46または47の抗体分子。
【0075】
67.抗原結合性ドメインが、配列番号6055の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6056のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6057のVHFWR3アミノ酸配列、または配列番号6058のVHFWR4アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態66の抗体分子。
【0076】
68.抗原結合性ドメインが、配列番号6133のアミノ酸配列(または配列番号6133と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVHを含む、実施形態67の抗体分子。
【0077】
69.抗原結合性ドメインが、配列番号6059の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6060のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6061のVHFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、または配列番号6062のVHFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態46または47の抗体分子。
【0078】
70.抗原結合性ドメインが、配列番号6059の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6060のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6061のVHFWR3アミノ酸配列、または配列番号6062のVHFWR4アミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)を含む、実施形態69の抗体分子。
【0079】
71.抗原結合性ドメインが、配列番号6134のアミノ酸配列(または配列番号6134と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVHを含む、実施形態70の抗体分子。
【0080】
72.抗原結合性ドメインが、配列番号6097の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6098のVLFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6099のVLFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、または配列番号6100のVLFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態46、47、または54から71のいずれかの抗体分子。
【0081】
73.抗原結合性ドメインが、配列番号6097の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6098のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6099のVLFWR3アミノ酸配列、または配列番号6100のVLFWR4アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態72の抗体分子。
【0082】
74.抗原結合性ドメインが、配列番号6142のアミノ酸配列(または配列番号6142と少なくとも約93%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVLを含む、実施形態73の抗体分子。
【0083】
75.抗原結合性ドメインが、配列番号6101の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6102のVLFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6103のVLFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、または配列番号6104のVLFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態46、47、または54から74のいずれかの抗体分子。
【0084】
76.抗原結合性ドメインが、配列番号6101の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6102のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6103のVLFWR3アミノ酸配列、または配列番号6104のVLFWR4アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態75の抗体分子。
【0085】
77.抗原結合性ドメインが、配列番号6143のアミノ酸配列(または配列番号6143と少なくとも約93%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVLを含む、実施形態76の抗体分子。
【0086】
78.抗原結合性ドメインが、配列番号6105の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6106のVLFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6107のVLFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、または配列番号6108のVLFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態46、47、または54から77のいずれかの抗体分子。
【0087】
79.抗原結合性ドメインが、配列番号6105の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6106のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6107のVLFWR3アミノ酸配列、または配列番号6108のVLFWR4アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態78の抗体分子。
【0088】
80.抗原結合性ドメインが、配列番号6144のアミノ酸配列(または配列番号6144と少なくとも約93%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVLを含む、実施形態79の抗体分子。
【0089】
81.抗原結合性ドメインが、配列番号6109の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6110のVLFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6111のVLFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、または配列番号6112のVLFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態46、47、または54から80のいずれかの抗体分子。
【0090】
82.抗原結合性ドメインが、配列番号6109の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6110のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6111のVLFWR3アミノ酸配列、または配列番号6112のVLFWR4アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態81の抗体分子。
【0091】
83.抗原結合性ドメインが、配列番号6145のアミノ酸配列(または配列番号6145と少なくとも約93%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVLを含む、実施形態78の抗体分子。
【0092】
84.抗原結合性ドメインが、配列番号6113の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6114のVLFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6115のVLFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、または配列番号6116のVLFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態46、47、または54から83のいずれかの抗体分子。
【0093】
85.抗原結合性ドメインが、配列番号6113の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6114のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6115のVLFWR3アミノ酸配列、または配列番号6116のVLFWR4アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態84の抗体分子。
【0094】
86.抗原結合性ドメインが、配列番号6146のアミノ酸配列(または配列番号6146と少なくとも約93%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVLを含む、実施形態85の抗体分子。
【0095】
87.抗原結合性ドメインが、配列番号6117の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6118のVLFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6119のVLFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、または配列番号6120のVLFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態46、47、または54から86のいずれかの抗体分子。
【0096】
88.抗原結合性ドメインが、配列番号6117の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6118のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6119のVLFWR3アミノ酸配列、または配列番号6120のVLFWR4アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、実施形態87の抗体分子。
【0097】
89.抗原結合性ドメインが、配列番号6147のアミノ酸配列(または配列番号6147と少なくとも約93%、95%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVLを含む、実施形態88の抗体分子。
【0098】
90.抗原結合性ドメインが、
(i)配列番号6122のアミノ酸配列(または配列番号6122と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVH、および/または
(ii)配列番号6136のアミノ酸配列(または配列番号6136と少なくとも約93%、95%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVL
を含む、先行する実施形態のいずれか1つの抗体分子。
【0099】
91.実施形態1から90のいずれかの抗体分子を含む多特異性分子。
92.a.例えば、本明細書に記載される腫瘍標的化部分;
b.例えば、本明細書に記載されるサイトカイン分子;
c.例えば、本明細書に記載されるT細胞エンゲージャー;または
d.例えば、本明細書に記載される間質改変部分
のうちの1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上をさらに含む、実施形態91の多特異性分子。
【0100】
93.自己反応性T細胞、例えば、炎症性障害または自己免疫障害に関連する自己反応性T細胞の表面に存在する抗原に結合する結合特異性をさらに含む、実施形態91の多特異性分子。
【0101】
94.感染細胞、例えば、ウイルスまたは細菌感染細胞に結合する結合特異性をさらに含む、実施形態91の多特異性分子。
95.単一特異性抗体分子、二特異性抗体分子、または三特異性抗体分子である、先行する実施形態のいずれかの抗体分子または多特異性分子。
【0102】
96.一価抗体分子、二価抗体分子、または三価抗体分子である、先行する実施形態のいずれかの抗体分子または多特異性分子。
97.全長抗体(例えば、少なくとも1つ、好ましくは2つの完全重鎖と、少なくとも1つ、好ましくは2つの完全軽鎖とを含む抗体)、または抗原結合性断片(例えば、Fab、F(ab’)2、Fv、一本鎖Fv、単一ドメイン抗体、ダイアボディ(dAb)、二価抗体、または二重特異性抗体もしくはその断片、その単一ドメインバリアント、またはラクダ抗体)である、先行する実施形態のいずれかの抗体分子または多特異性分子。
【0103】
98.IgG1、IgG2、IgG3、もしくはIgG4から選択される重鎖定常領域、またはその断片を含む、先行する実施形態のいずれかの抗体分子または多特異性分子。
99.カッパもしくはラムダの軽鎖定常領域から選択される軽鎖定常領域、またはその断片を含む、先行する実施形態のいずれかの抗体分子または多特異性分子。
【0104】
100.免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)が、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能、または補体機能のうちの1つまたは複数を増加または減少させるために、変更、例えば、突然変異される、先行する実施形態のいずれかの抗体分子または多特異性分子。
【0105】
101.第1および第2の免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)の境界部が、例えば、操作されていない境界部と比較して、二量体化を増加または減少させるために、変更、例えば、突然変異される、先行する実施形態のいずれかの抗体分子または多特異性分子。
【0106】
102.免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)の二量体化が、第1および第2のFc領域のFc境界部に、対になった孔と突起(「ノブ・イン・ホール」)、静電相互作用、または鎖交換のうちの1つまたは複数を提供し、それによって、例えば、操作されていない境界部と比較して、より高い比のヘテロ多量体:ホモ多量体が形成されることにより、増強される、実施形態101の抗体分子または多特異性分子。
【0107】
103.免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)が、例えば、ヒトIgG1のFc領域の、347、349、350、351、366、368、370、392、394、395、397、398、399、405、407、または409のうちの1つまたは複数から選択される位置にアミノ酸置換を含む、実施形態101または102の抗体分子または多特異性分子。
【0108】
104.免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)が、T366S、L368A、もしくはY407V(例えば、孔またはホールに対応する)、またはT366W(例えば、突起またはノブに対応する)、あるいはそれらの組合せから選択されるアミノ酸置換を含む、実施形態103の抗体分子または多特異性分子。
【0109】
105.リンカー、例えば、標的化部分とサイトカイン分子もしくは間質改変部分、標的化部分と免疫細胞エンゲージャー、サイトカイン分子もしくは間質改変部分、および免疫細胞エンゲージャー、サイトカイン分子もしくは間質改変部分と免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)、標的化部分と免疫グロブリン鎖定常領域、または免疫細胞エンゲージャーと
免疫グロブリン鎖定常領域のうちの1つまたは複数の間にリンカーをさらに含む、実施形態1から104のいずれかの抗体分子または多特異性分子。
【0110】
106.リンカーが、切断性リンカー、非切断性リンカー、ペプチドリンカー、可撓性リンカー、剛性リンカー、ヘリックスリンカー、または非ヘリックスリンカーから選択される、実施形態105の抗体分子または多特異性分子。
【0111】
107.リンカーがペプチドリンカーである、実施形態106の抗体分子または多特異性分子。
108.ペプチドリンカーがGlyおよびSerを含む、実施形態107の抗体分子または多特異性分子。
【0112】
109.本明細書に記載される抗体分子または多特異性もしくは多機能性分子のいずれかをコードするヌクレオチド配列、あるいはそれらに対して実質的に相同である(例えば、それらに対して少なくとも95%~99.9%同一である)ヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
【0113】
110.実施形態1から108のいずれかの抗体分子または多特異性分子をコードする単離された核酸。
111.実施形態109または110のいずれかの核酸分子のうちの1つまたは複数を含む、ベクター、例えば、発現ベクター。
【0114】
112.実施形態111の核酸分子またはベクターを含む宿主細胞。
113.実施形態1から108のいずれかの抗体分子または多特異性もしくは多機能性分子ポリペプチドを作製する、例えば、産生する方法であって、適切な条件、例えば、遺伝子発現および/またはホモもしくはヘテロ二量体化に適した条件下で、実施形態112の宿主細胞を培養するステップを含む、方法。
【0115】
114.実施形態1から108のいずれかの抗体分子または多特異性もしくは多機能性分子ポリペプチドと、薬学的に許容される担体、賦形剤または安定化剤とを含む医薬組成物。
【0116】
115.がんを処置する方法であって、それを必要とする対象に、先行する実施形態の抗体分子または多特異性もしくは多機能性分子ポリペプチドを投与するステップを含み、多特異性抗体ががんを処置するのに有効な量で投与される、方法。
【0117】
116.がんを処置する際における使用のための、先行する実施形態のいずれかの抗体分子または多特異性もしくは多機能性分子ポリペプチド。
117.がんが固形腫瘍がんまたは転移性病変である、実施形態115の方法または実施形態116の使用。
【0118】
118.固形腫瘍がんが、膵臓がん(例えば、膵臓腺癌)、乳がん、結腸直腸がん、肺がん(例えば、小細胞もしくは非小細胞肺がん)、皮膚がん、卵巣がん、または肝臓がんのうちの1つまたは複数である、実施形態117の方法または実施形態117の使用。
【0119】
119.がんが血液がんである、実施形態115の方法または実施形態116の使用。
120.第2の治療処置を施すステップをさらに含む、実施形態115もしくは116から119のいずれかの方法または実施形態116から119のいずれかの使用。
【0120】
121.第2の治療処置が、治療剤(例えば、化学療法剤、生物剤、ホルモン療法)、放射線、または外科手術を含む、実施形態120の方法または実施形態120の使用。
122.治療剤が、化学療法剤または生物剤から選択される、実施形態121の方法または実施形態121の使用。
【0121】
123.自己免疫障害または炎症性障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に、先行する実施形態のいずれかの抗体分子または多特異性もしくは多機能性分子ポリペプチドを投与するステップを含み、多特異性抗体が自己免疫障害または炎症性障害を処置するのに有効な量で投与される、方法。
【0122】
124.自己免疫障害または炎症性障害を処置する際における使用のための、先行する実施形態のいずれかの抗体分子または多特異性もしくは多機能性分子ポリペプチド。
125.感染性障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に、先行する実施形態のいずれかの抗体分子または多特異性もしくは多機能性分子ポリペプチドを投与するステップを含み、多特異性抗体が感染性障害を処置するのに有効な量で投与される、方法。
【0123】
126.感染性障害を処置する際における使用のための、先行する実施形態のいずれかの抗体分子または多特異性もしくは多機能性分子ポリペプチド。
定義
特定の用語を以下に定義する。
【0124】
本明細書で使用される場合、冠詞「ある(a)」および「ある(an)」は、冠詞の文法的対象物の1つまたは複数、例えば、少なくとも1つを指す。用語「ある(a)」または「ある(an)」の使用は、本明細書における用語「含んでいる」と共に使用される場合、「1つ」を意味し得るが、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」および「1または1を超える」の意味とも一致する。
【0125】
本明細書で使用される場合、「約」および「ほぼ」は、一般に、測定の性質または精度を与えられて測定された量についての許容可能な誤差の程度を意味する。誤差の例示的な程度は、所定の範囲の値の20パーセント(%)以内であり、典型的には10%以内であり、より典型的には5%以内である。
【0126】
本明細書で使用される場合、例えば、抗体分子、サイトカイン分子、受容体分子において使用される用語「分子」は、改変されていない(例えば、天然に存在する)分子の少なくとも1つの機能および/または活性化が残る限り、全長の天然に存在する分子、ならびにバリアント、例えば、機能性バリアント(例えば、切断、断片、突然変異(例えば、実質的に類似の配列)またはその誘導体化された形態)を含む。
【0127】
本明細書で使用される「抗体分子」とは、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメイン配列を含む、タンパク質、例えば、免疫グロブリン鎖またはその断片を指す。抗体分子は、抗体(例えば、全長抗体)および抗体断片を包含する。ある実施形態では、抗体分子は、全長抗体の抗原結合もしくは機能的断片、または全長免疫グロブリン鎖を含む。例えば、全長抗体は、天然に存在するか、または正常な免疫グロブリン遺伝子断片の組換えプロセスによって形成される免疫グロブリン(Ig)分子(例えば、IgG抗体)である。実施形態では、抗体分子は、免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な抗原結合部分、例えば、抗体断片を指す。抗体断片、例えば、機能性断片は、抗体の一部、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、F(ab)2、可変断片(Fv)、ドメイン抗体(dAb)、または一本鎖可変断片(scFv)である。機能性抗体断片は、インタクトな(例えば、全長)抗体によって認識されるものと同じ抗原に結合する。用語「抗体断片」または「機能性断片」はまた、重鎖および軽鎖の可変領域からなる「Fv」断片、または軽鎖および重鎖の可変領域がペプチドリンカーによって連結されている組換え一本鎖ポリペプチド分子(「scFvタンパク質」)などの可変領域からなる単離された断片を含む。一部の実施形態では、抗体断片は、抗原結合活性を有さない抗体の部分、例えば、Fc断片または単一アミノ酸残基を含まない。例示的な抗体分子は、全長抗体および抗体断片、例えば、dAb(ドメイン抗体)、一本鎖、Fab、Fab’、およびF(ab’)2断片、ならびに一本鎖可変断片(scFv)を含む。
【0128】
本明細書で使用される場合、「免疫グロブリン可変ドメイン配列」とは、免疫グロブリン可変ドメインの構造を形成することができるアミノ酸配列を指す。例えば、配列は、天然に存在する可変ドメインのアミノ酸配列の全部または一部を含み得る。例えば、配列は、1個、2個、もしくはそれ以上のN末端またはC末端アミノ酸を含むかまたは含まない場合があり、あるいはタンパク質構造の形成に適合する他の改変を含む場合がある。
【0129】
実施形態では、抗体分子は、単一特異性であり、例えば、単一のエピトープに対する結合特異性を含む。一部の実施形態では、抗体分子は、多特異性であり、例えば、それは、複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第1のエピトープに対して結合特異性を有し、第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第2のエピトープに対して結合特異性を有する。一部の実施形態では、抗体分子は、二特異性抗体分子である。「二特異性抗体分子」とは、本明細書で使用される場合、1を超える(例えば、2、3、4、またはそれを超える)エピトープおよび/または抗原に対する特異性を有する抗体分子を指す。
【0130】
本明細書で使用される「抗原」(Ag)とは、例えば、ある種の免疫細胞の活性化および/または抗体生成を伴う、免疫応答を引き起こすことができる分子を指す。ほとんどすべてのタンパク質またはペプチドを含む任意の高分子は、抗原であり得る。抗原はまた、ゲノム組換え体またはDNAから誘導され得る。例えば、免疫応答を誘導することができるタンパク質をコードするヌクレオチド配列または部分的ヌクレオチド配列を含む任意のDNAは、「抗原」をコードする。実施形態では、抗原は、遺伝子の全長ヌクレオチド配列によってのみコードされる必要はなく、また、抗原は、遺伝子によって全くコードされる必要もない。実施形態では、抗原は、合成され得るか、または他の生体成分を有する生体試料、例えば、組織試料、腫瘍試料、細胞、もしくは流体に由来し得る。本明細書で使用される場合、「腫瘍抗原」または同義的に「がん抗原」は、がん、例えば、がん細胞もしくは免疫応答を引き起こすことができる腫瘍微小環境上に存在するか、またはそれと関連する任意の分子を含む。本明細書で使用される場合、「免疫細胞抗原」とは、免疫応答を引き起こすことができる免疫細胞上に存在するか、またはそれと関連する任意を含む。
【0131】
抗体分子の「抗原結合部位」または「結合部位」とは、抗原結合に関与する抗体分子、例えば、免疫グロブリン(Ig)分子の一部を指す。実施形態では、抗原結合部位は、重鎖(H)および軽鎖(L)の可変領域(V)のアミノ酸残基によって形成される。超可変領域と呼ばれる、重鎖および軽鎖の可変領域内の3つの高度に分岐ストレッチは、「フレームワーク領域」(FR)と呼ばれる、より保存された隣接領域間に配置される。FRは、免疫グロブリン中の超可変領域の間で、およびそれに隣接して天然に見出されるアミノ酸配列である。実施形態では、抗体分子において、軽鎖の3つの超可変領域および重鎖の3つの超可変領域は、三次元空間において互いに対して配置されて、結合抗原の三次元表面に相補的な抗原結合表面を形成する。重鎖および軽鎖のそれぞれの3つの超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」と呼ばれる。フレームワーク領域およびCDRは、例えば、Kabat,E.A.ら(1991年)Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S.Department of Health and Human Services、NIH公開番号91-3242、およびChothia,C.ら(1987年)J.Mol.Biol.196巻:901~917ページにおいて定義され、記載されている。各可変鎖(例えば、可変重鎖および可変軽鎖)は、典型的には、3つのCDRおよび4つのFRから構成され、アミノ酸の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4でアミノ末端からカルボキシ末端に配列される。
【0132】
本明細書で使用される場合、「がん」は、すべてのタイプの発がんプロセスおよび/またはがん性増殖を包含することができる。実施形態では、がんは、原発性腫瘍、ならびに転移性組織、または悪性に形質転換された細胞、組織、もしくは臓器を含む。実施形態では、がんは、がんのすべての組織病理学および病期、例えば、浸潤性/重症度の病期を包含する。実施形態では、がんは、再発がんおよび/または抵抗性がんを含む。用語「がん」および「腫瘍」は、互換的に使用することができる。例えば、両方の用語は、固形腫瘍および液性腫瘍を包含する。本明細書で使用される場合、用語「がん」または「腫瘍」は、前がん、ならびに悪性がんおよび腫瘍を含む。
【0133】
本明細書で使用される場合、「免疫細胞」とは、免疫系において機能する、例えば、感染および異物の作用物質に対して防御する、種々の細胞のいずれかを指す。実施形態では、この用語は、白血球、例えば、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、および単球を含む。先天性白血球には、食細胞(例えば、マクロファージ、好中球、および樹状細胞)、肥満細胞、好酸球、好塩基球、およびナチュラルキラー細胞が含まれる。先天性白血球は、接触を通じてより大きな病原体を攻撃するか、微生物を飲み込んで殺滅させることによって病原体を特定し、排除し、適応免疫応答の活性化のメディエーターである。適応免疫系の細胞は、リンパ球と呼ばれる特殊なタイプの白血球である。B細胞およびT細胞は、重要なタイプのリンパ球であり、骨髄の造血幹細胞に由来する。B細胞は、体液性免疫応答に関与し、T細胞は、細胞性免疫応答に関与する。用語「免疫細胞」は、免疫エフェクター細胞を含む。
【0134】
「免疫エフェクター細胞」という用語は、本明細書で使用される場合、免疫応答、例えば、免疫エフェクター応答の促進に関与する細胞を指す。免疫エフェクター細胞の例は、限定されないが、T細胞、例えば、アルファ/ベータT細胞およびガンマ/デルタT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT細胞、および肥満細胞を含む。
【0135】
用語「エフェクター機能」または「エフェクター応答」は、細胞の特殊化された機能を指す。T細胞のエフェクター機能は、例えば、細胞溶解活性、またはサイトカインの分泌を含むヘルパー活性であり得る。
【0136】
本発明の組成物および方法は、特定の配列、またはそれに対して実質的に同一もしくは類似の配列、例えば、特定の配列に対して少なくとも80%、85%、90%、95%同一である、またはそれ以上同一である配列を有するポリペプチドおよび核酸を包含する。アミノ酸配列との関連で、用語「実質的に同一」が本明細書において使用され、第1および第2のアミノ酸配列が共通の構造ドメインおよび/または共通の機能活性を有し得るように、i)第2のアミノ酸配列と同一であるか、あるいはii)第2アミノ酸配列における整列されたアミノ酸残基の保存的置換である、十分な数または最小限の数のアミノ酸残基を含有する第1アミノ酸を指す。例えば、共通の構造ドメインを含有するアミノ酸配列は、参照配列、例えば、本明細書で提供される配列に対して少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。
【0137】
ヌクレオチド配列との関連で、用語「実質的に同一」が本明細書において使用され、第1および第2ヌクレオチド配列が、共通の機能活性を有するポリペプチドをコードする、または共通のポリペプチド構造ドメインまたは共通のポリペプチド機能活性をコードするように、第2核酸配列におけるアラインされたヌクレオチドと同一である、十分な数または最小限の数のヌクレオチドを含有する第1核酸配列を指す。例えば、参照配列、例えば本明細書で提供される配列に対して少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するヌクレオチド配列。
【0138】
用語「バリアント」とは、参照アミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するか、または実質的に同一のヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドを指す。一部の実施形態では、バリアントは、機能的バリアントである。
【0139】
用語「機能的バリアント」とは、参照アミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または実質的に同一のヌクレオチド配列によりコードされ、参照アミノ酸配列の1つまたは複数の活性化を有し得るポリペプチドを指す。
【0140】
配列間の相同性または配列同一性(これらの用語は本明細書において互換的に使用される)の計算は以下のように行われる。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性パーセントを決定するため、最適な比較目的のために配列がアラインメントされる(例えば、最適アラインメントのために、第1および第2アミノ酸または核酸配列の1つまたは両方にギャップが導入され得、非相同配列は比較目的のために無視され得る)。好ましい実施形態では、比較目的のためにアラインされた参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、さらに好ましくは少なくとも50%、60%、なおさらに好ましくは少なくとも70%、80%、90%、100%である。次に、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドが比較される。第1配列の位置が、第2配列での対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占められる場合、分子は、その位置にて同一である(本明細書で使用される場合、アミノ酸または核酸「同一性」は、アミノ酸または核酸「相同性」と等しい)。
【0141】
2つの配列間の同一性パーセントは、配列によって共有される同一位置の数の関数であり、2つの配列の最適アラインメントのために導入する必要がある、ギャップ数および各ギャップの長さが考慮に入れられる。
【0142】
配列の比較および2つの配列間の同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。好ましい実施形態では、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、Blossum62マトリックスまたはPAM250マトリックス、および16、14、12、10、8、6、または4のギャップの重みおよび1、2、3、4、5、または6の長さの重みのいずれかを用いて、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comにて入手可能である)のGAPプログラムに組み込まれているNeedlemanおよびWunsch((1970年)J.Mol.Biol.48巻:444~453ページ)アルゴリズムを用いて決定される。さらに別の好ましい実施形態では、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(www.gcg.comにて入手可能である)のGAPプログラムを使用して、NWSgapdna.CMPマトリックスおよび40、50、60、70、または80のギャップの重みおよび1、2、3、4、5、または6の長さの重みを用いて決定される。特に好ましいセットのパラメーター(および別段の指定がない限り使用されるべきであるもの)は、ギャップペナルティ12、ギャップ伸張ペナルティ4、およびフレームシフトギャップペナルティ5を有するBlossum62スコアマトリックスである。
【0143】
2つのアミノ酸配列間またはヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、PAM120残基重み付け表、ギャップ長ペナルティ12およびギャップペナルティ4を用いて、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれたE.MeyersおよびW.Miller((1989年)CABIOS、4巻:11~17ページ)のアルゴリズムを使用して決定することができる。
【0144】
本明細書に記載される核酸およびタンパク質配列は、例えば、他のファミリーメンバーまたは関連配列を同定するために、公開データベースに対する検索を行うための「クエリー配列」として用いることができる。このような検索は、Altschulら(1990年)J.Mol.Biol.215巻:403~10ページのNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を用いて行うことができる。BLASTヌクレオチド検索は、本発明の核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、ワードレングス=12を用いて行うことができる。BLASTタンパク質検索は、本発明のタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワードレングス=3を用いて行うことができる。比較目的のためのギャップドアラインメントを得るために、ギャップドBLASTは、Altschulら(1997年)Nucleic Acids Res.25巻:3389~3402ページに記載されているように利用することができる。BLASTおよびギャップドBLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを使用することができる。www.ncbi.nlm.nih.govを参照。
【0145】
本発明の分子は、それらの機能に実質的な影響を及ぼさない、さらなる保存的または非必須アミノ酸置換を有し得ることが理解される。
用語「アミノ酸」は、天然または合成のいずれであっても、アミノ官能性と酸官能性の両方を含み、天然に存在するアミノ酸のポリマーに含まれ得るすべての分子を包含することを意図する。例示的なアミノ酸には、天然に存在するアミノ酸;そのアナログ、誘導体および同族体;バリアント側鎖を有するアミノ酸アナログ;ならびに先述のいずれかのすべての立体異性体が含まれる。本明細書で使用される場合、用語「アミノ酸」は、DまたはL光学異性体とペプチド模倣体の両方を含む。
【0146】
「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分枝側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。
【0147】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」(一本鎖の場合)は、本明細書において互換的に使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは、直鎖状または分枝鎖状であり得て、修飾アミノ酸を含み得、非アミノ酸により割り込まれ得る。これらの用語はまた、修飾されているアミノ酸ポリマー;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識成分とのコンジュゲーションなどの任意の他の操作を包含する。ポリペプチドは、天然源から単離することができ、真核生物もしくは原核生物宿主からの組換え技術により産生することができ、または合成手法の産生物であり得る。
【0148】
用語「核酸」、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」、または「ポリヌクレオチド配列」、および「ポリヌクレオチド」は、互換的に使用される。それらは、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、またはそれらのアナログのいずれかの長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖のいずれかであり得、一本鎖である場合、コード鎖または非コード(アンチセンス)鎖であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログなどの修飾ヌクレオチドを含み得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって割り込まれ得る。ポリヌクレオチドは、重合後、例えば、標識成分とのコンジュゲーションによってさらに修飾され得る。核酸は、組換えポリヌクレオチド、またはゲノム、cDNA、天然に存在しないかもしくは非天然配列で別のポリヌクレオチドに連結されている半合成、または合成起源のポリヌクレオチドであり得る。
【0149】
用語「単離された」とは、本明細書で使用される場合、その元の環境または天然の環境(例えば、天然に存在する場合には自然環境)から取り出される材料を指す。例えば、生きている動物に存在する天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されないが、天然系の共存物質の一部または全部からヒトの介入によって分離された同一のポリヌクレオチドまたはポリペプチドが単離される。このようなポリヌクレオチドは、ベクターの一部であり得、および/またはこのようなポリヌクレオチドもしくはポリペプチドは、組成物の一部であり得、このようなベクターまたは組成物は、天然に見出される環境の一部ではないという点で依然として単離され得る。
【0150】
本発明の種々の態様を以下にさらに詳細に説明する。追加の定義は、明細書全体にわたって記載される。
ナチュラルキラー細胞エンゲージャー
ナチュラルキラー(NK)細胞は、抗体非依存性の方式で腫瘍およびウイルス感染細胞を認識および破壊する。NK細胞の調節は、NK細胞表面上の受容体を活性化および阻害することによって媒介される。活性化受容体の1つのファミリーは、NKp30、NKp44およびNKp46を含む天然細胞傷害性受容体(NCR)である。NCRは、がん細胞上のヘパラン硫酸の認識によって腫瘍標的化を開始させる。NKG2Dは、活性化キラー(NK)細胞において刺激性および共刺激性の両方の自然免疫応答を提供する受容体であり、細胞傷害活性に繋がる。DNAM1は、細胞間接着、リンパ球シグナル伝達、細胞傷害性ならびに細胞傷害性Tリンパ球(CTL)およびNK細胞によって媒介されるリンホカイン分泌に関与する受容体である。DAP10(HCSTとしても公知)は、リンパ球様および骨髄性細胞においてKLRK1と会合して活性化受容体KLRK1-HCSTを形成する膜貫通アダプタータンパク質であり、この受容体は、MHCクラスI鎖関連MICAおよびMICB、ならびにU(必要に応じてL1)6結合性タンパク質(ULBP)などの細胞表面リガンドを発現する標的細胞に対する細胞傷害性の誘発において大きな役割を果たし、KLRK1-HCST受容体は、腫瘍に対する免疫サーベイランスにおいて役割を果たし、腫瘍細胞の細胞溶解のために要求され、実際に、KLRK1リガンドを発現しない黒色腫細胞は、NK細胞によって媒介される免疫サーベイランスを免れる。CD16は、IgGのFc領域に対する受容体であり、複合体化または凝集IgG、そして単量体IgGにも結合し、それによって、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)およびファゴサイトーシスなどの他の抗体依存性応答を媒介する。
【0151】
本開示は、特に、NK細胞への結合および/またはNK細胞の活性化を媒介する1つまたは複数のNK細胞エンゲージャーを含有するように操作された抗体分子、例えば、多特異性(例えば、二、三、四特異性)または多機能性分子を提供する。したがって、一部の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、NKp30、NKp40、NKp44、NKp46、NKG2D、DNAM1、DAP10、CD16(例えば、CD16a、CD16b、または両方)、CRTAM、CD27、PSGL1、CD96、CD100(SEMA4D)、NKp80、CD244(SLAMF4または2B4としても公知である)、SLAMF6、SLAMF7、KIR2DS2、KIR2DS4、KIR3DS1、KIR2DS3、KIR2DS5、KIR2DS1、CD94、NKG2C、NKG2E、またはCD160に結合する(例えば、活性化する)抗原結合性ドメインまたはリガンドから選択される。
【0152】
一部の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、NKp30に結合する抗原結合性ドメイン(例えば、NK細胞の表面上に存在する、例えば、発現するかまたは提示されるNKp30)であり、表7~10に開示される任意のCDRアミノ酸配列、フレームワーク領域(FWR)アミノ酸配列、または可変領域アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、NKp30に結合する抗原結合性ドメイン(例えば、NK細胞の表面上に存在する、例えば、発現するかまたは提示されるNKp30)であり、米国特許第6,979,546号、米国特許第9,447,185号、PCT出願公開第2015/121383A1号、PCT出願公開第2016/110468A1号、PCT出願公開第2004/056392A1号、または米国出願公開第20070231322A1号に開示される任意のCDRアミノ酸配列、フレームワーク領域(FWR)アミノ酸配列、または可変領域アミノ酸配列を含み、それらの配列は参照により本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、NK細胞エンゲージャー、例えば、NKp30に結合する抗原結合性ドメインの、NK細胞への結合は、NK細胞を活性化する。NKp30(例えば、NK細胞の表面上に存在する、例えば、発現するかまたは提示される、NKp30)に結合する抗原結合性ドメインは、NKp30、NK細胞、またはその両方を標的化すると言うことができる。
【0153】
一部の実施形態では、NKp30に結合する抗原結合性ドメインは、表7、表18、または表8に開示される1つまたは複数のCDR(例えば、VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、VLCDR1、VLCDR2、および/またはVLCDR3)、またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、NKp30に結合する抗原結合性ドメインは、表7、表18、または表8に開示される1つまたは複数のフレームワーク領域(例えば、VHFWR1、VHFWR2、VHFWR3、VHFWR4、VLFWR1、VLFWR2、VLFWR3、および/またはVLFWR4)、またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、NKp30に結合する抗原結合性ドメインは、表9に開示されるVHおよび/もしくはVL、またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%の同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、表9に開示されるVHドメインのいずれかは、表9に開示されるVLドメインのいずれかと対を形成して、NKp30に結合する抗原結合性ドメインを形成することができる。一部の実施形態では、NKp30に結合する抗原結合性ドメインは、表10に開示されるアミノ酸配列、またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%の同一性を有する配列を含む。
【0154】
一部の実施形態では、NKp30に結合する抗原結合性ドメインは、重鎖相補性決定領域1(VHCDR1)、VHCDR2、およびVHCDR3を含むVH、ならびに軽鎖相補性決定領域1(VLCDR1)、VLCDR2、およびVLCDR3を含むVLを含む。
【0155】
一部の実施形態では、VHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3は、それぞれ、配列番号7313、6001、および7315のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%の同一性を有する配列)を含む。一部の実施形態では、VHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3は、それぞれ、配列番号7313、6001、および6002のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%の同一性を有する配列)を含む。一部の実施形態では、VHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3は、それぞれ、配列番号7313、6008、および6009のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%の同一性を有する配列)を含む。一部の実施形態では、VHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3は、それぞれ、配列番号7313、7385、および7315のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%の同一性を有する配列)を含む。一部の実施形態では、VHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3は、それぞれ、配列番号7313、7318、および6009のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%の同一性を有する配列)を含む。
【0156】
一部の実施形態では、VLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3は、それぞれ、配列番号7326、7327、および7329のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%の同一性を有する配列)を含む。一部の実施形態では、VLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3は、それぞれ、配列番号6063、6064、および7293のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%の同一性を有する配列)を含む。一部の実施形態では、VLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3は、それぞれ、配列番号6070、6071、および6072のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%同一性を有する配列)を含む。一部の実施形態では、VLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3は、それぞれ、配列番号6070、6064、および7321のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%同一性を有する配列)を含む。
【0157】
一部の実施形態では、VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、VLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3は、それぞれ、配列番号7313、6001、7315、7326、7327、および7329のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%同一性を有する配列)を含む。一部の実施形態では、VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、VLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3は、それぞれ、配列番号7313、6001、6002、6063、6064、および7293のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%同一性を有する配列)を含む。一部の実施形態では、VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、VLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3は、それぞれ、配列番号7313、6008、6009、6070、6071、および6072のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%同一性を有する配列)を含む。一部の実施形態では、VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、VLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3は、それぞれ、配列番号7313、7385、7315、6070、6064、および7321のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%同一性を有する配列)を含む。一部の実施形態では、VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、VLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3は、それぞれ、配列番号7313、7318、6009、6070、6064、および7321のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%同一性を有する配列)を含む。
【0158】
一部の実施形態では、VHは、配列番号7298もしくは7300~7304からなる群から選択されるアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%同一性を有する配列)を含み、および/またはVLは、配列番号7299もしくは7305~7309からなる群から選択されるアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%同一性を有する配列)を含む。一部の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号7302および7305のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%の同一性を有する配列)を含む。一部の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号7302および7309のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%の同一性を有する配列)を含む。
【0159】
一部の実施形態では、VHは、配列番号6121または6123~6128からなる群から選択されるアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%同一性を有する配列)を含み、および/またはVLは、配列番号7294または6137~6141からなる群から選択されるアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%同一性を有する配列)を含む。一部の実施形態では、VHは、配列番号6122または6129~6134からなる群から選択されるアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%同一性を有する配列)を含み、および/またはVLは、配列番号6136または6142~6147からなる群から選択されるアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%同一性を有する配列)を含む。一部の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号7295および7296のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%の同一性を有する配列)を含む。一部の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号7297および7296のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%の同一性を有する配列)を含む。一部の実施形態では、VHおよびVLは、それぞれ、配列番号6122および6136のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%の同一性を有する配列)を含む。
【0160】
一部の実施形態では、NKp30に結合する抗原結合性ドメインは、配列番号7310のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%の同一性を有する配列)を含む。一部の実施形態では、NKp30に結合する抗原結合性ドメインは、配列番号7311のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%の同一性を有する配列)を含む。一部の実施形態では、NKp30に結合する抗原結合性ドメインは、配列番号6187、6188、6189または6190のアミノ酸配列(またはそれと少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%同一性を有する配列)を含む。
【0161】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6000の重鎖相補性決定領域1(VHCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6001のVHCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6002のVHCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含むVHを含む。一部の実施形態では、NKp30抗原結合性ドメインは、配列番号6000のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号6001のVHCDR2アミノ酸配列、および/または配列番号6002のVHCDR3アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0162】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6063の軽鎖相補性決定領域1(VLCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6064のVLCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号7293のVLCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含むVLを含む。一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6063のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号6064のVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号7293のVLCDR3アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0163】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6000の重鎖相補性決定領域1(VHCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6001のVHCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6002のVHCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含むVH、ならびに配列番号6063の軽鎖相補性決定領域1(VLCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6064のVLCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号7293のVLCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含むVLを含む。一部の実施形態では、NKp30抗原結合性ドメインは、配列番号6000のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号6001のVHCDR2アミノ酸配列、および/または配列番号6002のVHCDR3アミノ酸配列を含むVH、ならびに配列番号6063のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号6064のVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号7293のVLCDR3アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0164】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6007の重鎖相補性決定領域1(VHCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6008のVHCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6009のVHCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含むVHを含む。一部の実施形態では、NKp30抗原結合性ドメインは、配列番号6007のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号6008のVHCDR2アミノ酸配列、および/または配列番号6009のVHCDR3アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0165】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6070の軽鎖相補性決定領域1(VLCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6071のVLCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6072のVLCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば置換、付加、または欠失を有する配列)を含むVLを含む。一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6070のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号6071のVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号6072のVLCDR3アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0166】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6007の重鎖相補性決定領域1(VHCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6008のVHCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6009のVHCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含むVH、ならびに配列番号6070の軽鎖相補性決定領域1(VLCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6071のVLCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6072のVLCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含むVLを含む。一部の実施形態では、NKp30抗原結合性ドメインは、配列番号6007のVHCDR1アミノ酸配列、配列番号6008のVHCDR2アミノ酸配列、および/または配列番号6009のVHCDR3アミノ酸配列を含むVH、ならびに配列番号6070のVLCDR1アミノ酸配列、配列番号6071のVLCDR2アミノ酸配列、および配列番号6072のVLCDR3アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0167】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6003の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6004のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6005のVHFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6006のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0168】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6066の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6067のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号7292のVLFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6069のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0169】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6003の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6004のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6005のVHFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6006のVHFWR4アミノ酸配列を含むVH、ならびに配列番号6066の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6067のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号7292のVLFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6069のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0170】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6003のVHFWR1アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6004のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6005のVHFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくは11個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6006のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0171】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6066のVLFWR1アミノ酸配列(または1、2、もしくは3個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6067のVLFWR2アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号7292のVLFWR3アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、および/または配列番号6069のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0172】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6003のVHFWR1アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6004のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6005のVHFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしく11個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6006のVHFWR4アミノ酸配列を含むVH、ならびに配列番号6066のVLFWR1アミノ酸配列(または1、2、もしくは3個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6067のVLFWR2アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号7292のVLFWR3アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、および/または配列番号6069のVLFWR4のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0173】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6010の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6011のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6012のVHFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6013のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0174】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6073の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6074のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6075のVLFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6076のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0175】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6010の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6011のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6012のVHFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6013のVHFWR4アミノ酸配列を含むVH、ならびに配列番号6073の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6074のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6075のVLFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6076のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0176】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6010のVHFWR1アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6011のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6012のVHFWR3アミノ酸配列(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくは11個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6013のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0177】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6073のVLFWR1アミノ酸配列(または1、2、もしくは3個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6074のVLFWR2アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6075のVLFWR3アミノ酸配列(または、1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、および/または配列番号6076のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0178】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6010のVHFWR1アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6011のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6012のVHFWR3アミノ酸配列(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしく11個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6013のVHFWR4アミノ酸配列を含むVH、ならびに配列番号6073のVLFWR1アミノ酸配列(または1、2、もしくは3個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6074のVLFWR2アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6075のVLFWR3アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、および/または配列番号6076のVLFWR4のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0179】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6014の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6015のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6016のVHFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6017のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0180】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6014のVHFWR1アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6015のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6016のVHFWR3アミノ酸配列(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくは11個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6017のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0181】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6077の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6078のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6079のVLFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6080のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0182】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6077のVLFWR1アミノ酸配列(または1、2、もしくは3個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6078のVLFWR2アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6079のVLFWR3アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、および/または配列番号6080のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0183】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6018の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6019のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6020のVHFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6021のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0184】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6018のVHFWR1アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6019のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6020のVHFWR3アミノ酸配列(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくは11個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6021のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0185】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6081の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6082のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6083のVLFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6084のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0186】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6081のVLFWR1アミノ酸配列(または1、2、もしくは3個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6082のVLFWR2アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6083のVLFWR3アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、および/または配列番号6084のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0187】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6022の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6023のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6024のVHFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6025のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0188】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6022のVHFWR1アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6023のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6024のVHFWR3アミノ酸配列(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくは11個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6025のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0189】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6085の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6086のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6087のVLFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6088のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0190】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6085のVLFWR1アミノ酸配列(または1、2、もしくは3個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6086のVLFWR2アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6087のVLFWR3アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、および/または配列番号6088のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0191】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6026の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6027のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6028のVHFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6029のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0192】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6026のVHFWR1アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6027のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6028のVHFWR3アミノ酸配列(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくは11個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6029のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0193】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6089の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6090のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6091のVLFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6092のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0194】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6089のVLFWR1アミノ酸配列(または1、2、もしくは3個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6090のVLFWR2アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6091のVLFWR3アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、および/または配列番号6092のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0195】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6030の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6032のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6033のVHFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6034のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0196】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6030のVHFWR1アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6032のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6033のVHFWR3アミノ酸配列(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくは11個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6034のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0197】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6093の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6094のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6095のVLFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6096のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0198】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6093のVLFWR1アミノ酸配列(または1、2、もしくは3個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6094のVLFWR2アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6095のVLFWR3アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、および/または配列番号6096のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0199】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6035の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6036のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6037のVHFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6038のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0200】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6035のVHFWR1アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6036のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6037のVHFWR3アミノ酸配列(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくは11個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6038のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0201】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6039の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6040のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6041のVHFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6042のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0202】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6039のVHFWR1アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6040のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6041のVHFWR3アミノ酸配列(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくは11個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6042のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0203】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6097の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6098のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6099のVLFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6100のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0204】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6097のVLFWR1アミノ酸配列(または1、2、もしくは3個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6098のVLFWR2アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6099のVLFWR3アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、および/または配列番号6100のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0205】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6043の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6044のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6045のVHFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6046のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0206】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6043のVHFWR1アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6044のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6045のVHFWR3アミノ酸配列(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくは11個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6046のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0207】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6101の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6102のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6103のVLFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6104のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0208】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6101のVLFWR1アミノ酸配列(または1、2、もしくは3個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6102のVLFWR2アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6103のVLFWR3アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、および/または配列番号6104のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0209】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6047の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6048のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6049のVHFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6050のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0210】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6047のVHFWR1アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6048のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6049のVHFWR3アミノ酸配列(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくは11個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6050のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0211】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6105の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6106のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6107のVLFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6108のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0212】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6105のVLFWR1アミノ酸配列(または1、2、もしくは3個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6106のVLFWR2アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6107のVLFWR3アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、および/または配列番号6108のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0213】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6051の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6052のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6053のVHFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6054のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0214】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6051のVHFWR1アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6052のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6053のVHFWR3アミノ酸配列(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくは11個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6054のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0215】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6109の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6110のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6111のVLFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6112のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0216】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6109のVLFWR1アミノ酸配列(または1、2、もしくは3個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6110のVLFWR2アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6111のVLFWR3アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、および/または配列番号6112のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0217】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6055の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6056のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6057のVHFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6058のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0218】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6055のVHFWR1アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6056のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6057のVHFWR3アミノ酸配列(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくは11個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6058のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0219】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6113の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6114のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6115のVLFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6116のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0220】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6113のVLFWR1アミノ酸配列(または1、2、もしくは3個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6114のVLFWR2アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6115のVLFWR3アミノ酸配列(または1個以下の突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、および/または配列番号6116のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0221】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6059の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列、配列番号6060のVHFWR2アミノ酸配列、配列番号6061のVHFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6062のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0222】
一部の実施形態では、NKp30を標的とする抗原結合性ドメインは、配列番号6059のVHFWR1アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6060のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6061のVHFWR3アミノ酸配列(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくは11個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6062のVHFWR4アミノ酸配列を含むVHを含む。
【0223】
一部の実施形態では、NKp30を標的化する抗原結合性ドメインは、配列番号6117の軽鎖フレームワーク領域1(VLFWR1)アミノ酸配列、配列番号6118のVLFWR2アミノ酸配列、配列番号6119のVLFWR3アミノ酸配列、および/または配列番号6120のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0224】
一部の実施形態では、NKp30を標的化する抗原結合性ドメインは、配列番号6117のVLFWR1アミノ酸配列(もしくは1つ、2つ、もしくは3つだけの突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6118のVLFWR2アミノ酸配列(もしくは1つだけの突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、配列番号6119のVLFWR3アミノ酸配列(もしくは1つだけの突然変異、例えば、置換、付加、もしくは欠失を有する配列)、および/または配列番号6120のVLFWR4アミノ酸配列を含むVLを含む。
【0225】
一部の実施形態では、NKp30を標的化する抗原結合性ドメインは、配列番号6148のアミノ酸配列(または配列番号6148に対して少なくとも約77%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVHを含む。一部の実施形態では、NKp30を標的化する抗原結合性ドメインは、配列番号6149のアミノ酸配列(または配列番号6149に対して少なくとも約77%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVHを含む。一部の実施形態では、NKp30を標的化する抗原結合性ドメインは、配列番号6150のアミノ酸配列(または配列番号6150に対して少なくとも約93%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVLを含む。一部の実施形態では、NKp30を標的化する抗原結合性ドメインは、配列番号6148のアミノ酸配列を含むVHを含む。一部の実施形態では、NKp30を標的化する抗原結合性ドメインは、配列番号6149のアミノ酸配列を含むVHを含む。一部の実施形態では、NKp30を標的化する抗原結合性ドメインは、配列番号6150のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0226】
一部の実施形態では、NKp30を標的化する抗原結合性ドメインは、配列番号6148のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号6150のアミノ酸配列を含むVLを含む。一部の実施形態では、NKp30を標的化する抗原結合性ドメインは、配列番号6149のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号6150のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0227】
一部の実施形態では、NKp30を標的化する抗原結合性ドメインは、配列番号6151のアミノ酸配列(または配列番号6151に対して少なくとも約77%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVHを含む。一部の実施形態では、NKp30を標的化する抗原結合性ドメインは、配列番号6152のアミノ酸配列(または配列番号6152に対して少なくとも約77%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVHを含む。一部の実施形態では、NKp30を標的化する抗原結合性ドメインは、配列番号6153のアミノ酸配列(または配列番号6153に対して少なくとも約93%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVLを含む。一部の実施形態では、NKp30を標的化する抗原結合性ドメインは、配列番号6151のアミノ酸配列を含むVHを含む。一部の実施形態では、NKp30を標的化する抗原結合性ドメインは、配列番号6152のアミノ酸配列を含むVHを含む。一部の実施形態では、NKp30を標的化する抗原結合性ドメインは、配列番号6153のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0228】
一部の実施形態では、NKp30を標的化する抗原結合性ドメインは、配列番号6151のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号6153のアミノ酸配列を含むVLを含む。一部の実施形態では、NKp30を標的化する抗原結合性ドメインは、配列番号6152のアミノ酸配列を含むVH、および配列番号6153のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0229】
一部の実施形態では、NKp30を標的化する抗原結合性ドメインはscFvを含む。一部の実施形態では、scFvは、配列番号:6187~6190から選択されるアミノ酸配列、またはそれに対して少なくとも約93%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0230】
【0231】
【0232】
【0233】
【0234】
【0235】
【0236】
【0237】
【0238】
【0239】
【0240】
【0241】
【0242】
【0243】
【0244】
【0245】
一部の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、NKp46(例えば、NK細胞の表面上に存在する、例えば、発現または提示されるNKp46)に結合する抗原結合性ドメインであり、表15において開示される任意のCDRアミノ酸配列、フレームワーク領域(FWR)アミノ酸配列、または可変領域アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、NK細胞へのNK細胞エンゲージャー、例えば、NKp46に結合する抗原結合性ドメインの結合はNK細胞を活性化させる。NKp46(例えば、NK細胞の表面上に存在する、例えば、発現または提示されるNKp46)に結合する抗原結合性ドメインは、NKp46、NK細胞、または両方を標的化すると言及され得る。
【0246】
一部の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、NKG2D(例えば、NK細胞の表面上に存在する、例えば、発現または提示されるNKG2D)に結合する抗原結合性ドメインであり、表15において開示される任意のCDRアミノ酸配列、フレームワーク領域(FWR)アミノ酸配列、または可変領域アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、NK細胞へのNK細胞エンゲージャー、例えば、NKG2Dに結合する抗原結合性ドメインの結合はNK細胞を活性化させる。NKG2D(例えば、NK細胞の表面上に存在する、例えば、発現または提示されるNKG2D)に結合する抗原結合性ドメインは、NKG2D、NK細胞、または両方を標的化すると言及され得る。
【0247】
一部の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、CD16(例えば、NK細胞の表面上に存在する、例えば、発現または提示されるCD16)に結合する抗原結合性ドメインであり、表15において開示される任意のCDRアミノ酸配列、フレームワーク領域(FWR)アミノ酸配列、または可変領域アミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、NK細胞へのNK細胞エンゲージャー、例えば、CD16に結合する抗原結合性ドメインの結合はNK細胞を活性化させる。CD16(例えば、NK細胞の表面上に存在する、例えば、発現または提示されるCD16)に結合する抗原結合性ドメインは、CD16、NK細胞、または両方を標的化すると言及され得る。
【0248】
【0249】
【0250】
一実施形態では、NK細胞エンゲージャーはNKp30のリガンドであり、例えば、B7-6であり、例えば、
DLKVEMMAGGTQITPLNDNVTIFCNIFYSQPLNITSMGITWFWKSLTFDKEVKVFEFFGDHQEAFRPGAIVSPWRLKSGDASLRLPGIQLEEAGEYRCEVVVTPLKAQGTVQLEVVASPASRLLLDQVGMKENEDKYMCESSGFYPEAINITWEKQTQKFPHPIEISEDVITGPTIKNMDGTFNVTSCLKLNSSQEDPGTVYQCVVRHASLHTPLRSNFTLTAARHSLSETEKTDNFS(配列番号7233)のアミノ酸配列、その断片、またはそれに対して実質的に同一の(例えば、それに対して95%~99.9%同一、もしくは配列番号7233のアミノ酸配列に対して少なくとも1つのアミノ酸変更であるが、5個、10個もしくは15個以下の変更(例えば、置換、欠失、もしくは挿入、例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列を含む。
【0251】
他の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、ウイルスHAである、NKp44またはNKp46のリガンドである。ウイルスヘマグルチニン(HA)は、ウイルスの表面上にある糖タンパク質である。HAタンパク質は、シアル酸糖部分を介してウイルスが細胞の膜に結合することを可能とし、これは細胞膜とのウイルス膜の融合に寄与する(例えば、Eur J Immunol. 2001 Sep;31(9):2680~9ページ、「Recognition of viral hemagglutinins by NKp44 but not by NKp30」;およびNature 2001 Feb 22;409(6823):1055~60ページ、「Recognition of haemagglutinins on virus-infected cells by NKp46 activates lysis by human NK cells」(これらのそれぞれの内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる)を参照)。
【0252】
他の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、MICA、MICB、またはULBP1から選択されるNKG2Dのリガンドであり、例えば、
(i)MICAは、
EPHSLRYNLTVLSWDGSVQSGFLTEVHLDGQPFLRCDRQKCRAKPQGQWAEDVLGNKTWDRETRDLTGNGKDLRMTLAHIKDQKEGLHSLQEIRVCEIHEDNSTRSSQHFYYDGELFLSQNLETKEWTMPQSSRAQTLAMNVRNFLKEDAMKTKTHYHAMHADCLQELRRYLKSGVVLRRTVPPMVNVTRSEASEGNITVTCRASGFYPWNITLSWRQDGVSLSHDTQQWGDVLPDGNGTYQTWVATRICQGEEQRFTCYMEHSGNHSTHPVPSGKVLVLQSHW(配列番号7234)のアミノ酸配列、その断片、もしくはそれに対して実質的に同一の(例えば、それに対して95%~99.9%同一、もしくは配列番号7234のアミノ酸配列に対して少なくとも1つのアミノ酸変更であるが、5個、10個もしくは15個以下の変更(例えば、置換、欠失、もしくは挿入、例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列
を含み、
(ii)MICBは、
AEPHSLRYNLMVLSQDESVQSGFLAEGHLDGQPFLRYDRQKRRAKPQGQWAEDVLGAKTWDTETEDLTENGQDLRRTLTHIKDQKGGLHSLQEIRVCEIHEDSSTRGSRHFYYDGELFLSQNLETQESTVPQSSRAQTLAMNVTNFWKEDAMKTKTHYRAMQADCLQKLQRYLKSGVAIRRTVPPMVNVTCSEVSEGNITVTCRASSFYPRNITLTWRQDGVSLSHNTQQWGDVLPDGNGTYQTWVATRIRQGEEQRFTCYMEHSGNHGTHPVPSGKVLVLQSQRTD(配列番号7235)のアミノ酸配列、その断片、もしくはそれに対して実質的に同一の(例えば、それに対して95%~99.9%同一、もしくは配列番号7235のアミノ酸配列に対して少なくとも1つのアミノ酸変更であるが、5個、10個もしくは15個以下の変更(例えば、置換、欠失、もしくは挿入、例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列
を含み、または
(iii)ULBP1は、
GWVDTHCLCYDFIITPKSRPEPQWCEVQGLVDERPFLHYDCVNHKAKAFASLGKKVNVTKTWEEQTETLRDVVDFLKGQLLDIQVENLIPIEPLTLQARMSCEHEAHGHGRGSWQFLFNGQKFLLFDSNNRKWTALHPGAKKMTEKWEKNRDVTMFFQKISLGDCKMWLEEFLMYWEQMLDPTKPPSLAPG(配列番号7236)のアミノ酸配列、その断片、もしくはそれに対して実質的に同一の(例えば、それに対して95%~99.9%同一、もしくは配列番号7236のアミノ酸配列に対して少なくとも1つのアミノ酸変更であるが、5個、10個もしくは15個以下の変更(例えば、置換、欠失、もしくは挿入、例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列
を含む。
【0253】
他の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、NECTIN2またはNECL5から選択されるDNAM1のリガンドであり、例えば、
(i)NECTIN2は、
QDVRVQVLPEVRGQLGGTVELPCHLLPPVPGLYISLVTWQRPDAPANHQNVAAFHPKMGPSFPSPKPGSERLSFVSAKQSTGQDTEAELQDATLALHGLTVEDEGNYTCEFATFPKGSVRGMTWLRVIAKPKNQAEAQKVTFSQDPTTVALCISKEGRPPARISWLSSLDWEAKETQVSGTLAGTVTVTSRFTLVPSGRADGVTVTCKVEHESFEEPALIPVTLSVRYPPEVSISGYDDNWYLGRTDATLSCDVRSNPEPTGYDWSTTSGTFPTSAVAQGSQLVIHAVDSLFNTTFVCTVTNAVGMGRAEQVIFVRETPNTAGAGATGG(配列番号7237)のアミノ酸配列、その断片、もしくはそれに対して実質的に同一の(例えば、それに対して95%~99.9%同一、もしくは配列番号7237のアミノ酸配列に対して少なくとも1つのアミノ酸変更であるが、5個、10個もしくは15個以下の変更(例えば、置換、欠失、もしくは挿入、例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列を含み、または
(ii)NECL5は、
WPPPGTGDVVVQAPTQVPGFLGDSVTLPCYLQVPNMEVTHVSQLTWARHGESGSMAVFHQTQGPSYSESKRLEFVAARLGAELRNASLRMFGLRVEDEGNYTCLFVTFPQGSRSVDIWLRVLAKPQNTAEVQKVQLTGEPVPMARCVSTGGRPPAQITWHSDLGGMPNTSQVPGFLSGTVTVTSLWILVPSSQVDGKNVTCKVEHESFEKPQLLTVNLTVYYPPEVSISGYDNNWYLGQNEATLTCDARSNPEPTGYNWSTTMGPLPPFAVAQGAQLLIRPVDKPINTTLICNVTNALGARQAELTVQVKEGPPSEHSGISRN(配列番号7238)のアミノ酸配列、その断片、もしくはそれに対して実質的に同一の(例えば、それに対して95%~99.9%同一、もしくは配列番号7238のアミノ酸配列に対して少なくとも1つのアミノ酸変更であるが、5個、10個もしくは15個以下の変更(例えば、置換、欠失、もしくは挿入、例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列を含む。
【0254】
さらに他の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、NKG2Dのアダプターである、DAP10のリガンドである(例えば、Proc Natl Acad Sci U S A. 2005 May 24;102(21):7641~7646ページ;およびBlood、15 September 2011 Volume 118、Number 11(これらのそれぞれの全内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる)を参照)。
【0255】
他の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、CD16a/bリガンドである、CD16のリガンド、例えば、抗体Fc領域をさらに含むCD16a/bリガンドである(例えば、Front Immunol. 2013;4:76を参照;これは、CD16を通じてNK細胞を誘発するために抗体がFcをどのように使用するのかを議論しており、その内容の全体は本明細書に組み込まれる)。
【0256】
他の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、NECL2である、CRTAMのリガンドであり、例えば、NECL2は、アミノ酸配列:
QNLFTKDVTVIEGEVATISCQVNKSDDSVIQLLNPNRQTIYFRDFRPLKDSRFQLLNFSSSELKVSLTNVSISDEGRYFCQLYTDPPQESYTTITVLVPPRNLMIDIQKDTAVEGEEIEVNCTAMASKPATTIRWFKGNTELKGKSEVEEWSDMYTVTSQLMLKVHKEDDGVPVICQVEHPAVTGNLQTQRYLEVQYKPQVHIQMTYPLQGLTREGDALELTCEAIGKPQPVMVTWVRVDDEMPQHAVLSGPNLFINNLNKTDNGTYRCEASNIVGKAHSDYMLYVYDPPTTIPPPTTTTTTTTTTTTTILTIITDSRAGEEGSIRAVDH(配列番号7239)、その断片、またはそれに対して実質的に同一の(例えば、それに対して95%~99.9%同一、もしくは配列番号7239のアミノ酸配列に対して少なくとも1つのアミノ酸変更であるが、5個、10個もしくは15個以下の変更(例えば、置換、欠失、もしくは挿入、例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列を含む。
【0257】
他の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、CD70である、CD27のリガンドであり、例えば、CD70は、アミノ酸配列:
QRFAQAQQQLPLESLGWDVAELQLNHTGPQQDPRLYWQGGPALGRSFLHGPELDKGQLRIHRDGIYMVHIQVTLAICSSTTASRHHPTTLAVGICSPASRSISLLRLSFHQGCTIASQRLTPLARGDTLCTNLTGTLLPSRNTDETFFGVQWVRP(配列番号7240)、その断片、またはそれに対して実質的に同一の(例えば、それに対して95%~99.9%同一、もしくは配列番号7240のアミノ酸配列に対して少なくとも1つのアミノ酸変更であるが、5個、10個もしくは15個以下の変更(例えば、置換、欠失、もしくは挿入、例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列を含む。
【0258】
他の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、L-セレクチン(CD62L)である、PSGL1のリガンドであり、例えば、L-セレクチンは、アミノ酸配列:
WTYHYSEKPMNWQRARRFCRDNYTDLVAIQNKAEIEYLEKTLPFSRSYYWIGIRKIGGIWTWVGTNKSLTEEAENWGDGEPNNKKNKEDCVEIYIKRNKDAGKWNDDACHKLKAALCYTASCQPWSCSGHGECVEIINNYTCNCDVGYYGPQCQFVIQCEPLEAPELGTMDCTHPLGNFSFSSQCAFSCSEGTNLTGIEETTCGPFGNWSSPEPTCQVIQCEPLSAPDLGIMNCSHPLASFSFTSACTFICSEGTELIGKKKTICESSGIWSNPSPICQKLDKSFSMIKEGDYN(配列番号7241)、その断片、またはそれに対して実質的に同一の(例えば、それに対して95%~99.9%同一、もしくは配列番号7241のアミノ酸配列に対して少なくとも1つのアミノ酸変更であるが、5個、10個もしくは15個以下の変更(例えば、置換、欠失、もしくは挿入、例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列を含む。
【0259】
他の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、NECL5である、CD96のリガンドであり、例えば、NECL5は、アミノ酸配列:
WPPPGTGDVVVQAPTQVPGFLGDSVTLPCYLQVPNMEVTHVSQLTWARHGESGSMAVFHQTQGPSYSESKRLEFVAARLGAELRNASLRMFGLRVEDEGNYTCLFVTFPQGSRSVDIWLRVLAKPQNTAEVQKVQLTGEPVPMARCVSTGGRPPAQITWHSDLGGMPNTSQVPGFLSGTVTVTSLWILVPSSQVDGKNVTCKVEHESFEKPQLLTVNLTVYYPPEVSISGYDNNWYLGQNEATLTCDARSNPEPTGYNWSTTMGPLPPFAVAQGAQLLIRPVDKPINTTLICNVTNALGARQAELTVQVKEGPPSEHSGISRN(配列番号7238)、その断片、またはそれに対して実質的に同一の(例えば、それに対して95%~99.9%同一、もしくは配列番号7238のアミノ酸配列に対して少なくとも1つのアミノ酸変更であるが、5個、10個もしくは15個以下の変更(例えば、置換、欠失、もしくは挿入、例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列を含む。
【0260】
他の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、CD72である、CD100(SEMA4D)のリガンドであり、例えば、CD72は、アミノ酸配列:
RYLQVSQQLQQTNRVLEVTNSSLRQQLRLKITQLGQSAEDLQGSRRELAQSQEALQVEQRAHQAAEGQLQACQADRQKTKETLQSEEQQRRALEQKLSNMENRLKPFFTCGSADTCCPSGWIMHQKSCFYISLTSKNWQESQKQCETLSSKLATFSEIYPQSHSYYFLNSLLPNGGSGNSYWTGLSSNKDWKLTDDTQRTRTYAQSSKCNKVHKTWSWWTLESESCRSSLPYICEMTAFRFPD(配列番号7242)、その断片、またはそれに対して実質的に同一の(例えば、それに対して95%~99.9%同一、もしくは配列番号7242のアミノ酸配列に対して少なくとも1つのアミノ酸変更であるが、5個、10個もしくは15個以下の変更(例えば、置換、欠失、もしくは挿入、例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列を含む。
【0261】
他の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、CLEC2B(AICL)である、NKp80のリガンドであり、例えば、CLEC2B(AICL)は、アミノ酸配列:
KLTRDSQSLCPYDWIGFQNKCYYFSKEEGDWNSSKYNCSTQHADLTIIDNIEEMNFLRRYKCSSDHWIGLKMAKNRTGQWVDGATFTKSFGMRGSEGCAYLSDDGAATARCYTERKWICRKRIH(配列番号7243)、その断片、またはそれに対して実質的に同一の(例えば、それに対して95%~99.9%同一、もしくは配列番号7243のアミノ酸配列に対して少なくとも1つのアミノ酸変更であるが、5個、10個もしくは15個以下の変更(例えば、置換、欠失、もしくは挿入、例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列を含む。
【0262】
他の実施形態では、NK細胞エンゲージャーは、CD48である、CD244のリガンドであり、例えば、CD48は、アミノ酸配列:
QGHLVHMTVVSGSNVTLNISESLPENYKQLTWFYTFDQKIVEWDSRKSKYFESKFKGRVRLDPQSGALYISKVQKEDNSTYIMRVLKKTGNEQEWKIKLQVLDPVPKPVIKIEKIEDMDDNCYLKLSCVIPGESVNYTWYGDKRPFPKELQNSVLETTLMPHNYSRCYTCQVSNSVSSKNGTVCLSPPCTLARS(配列番号7244)、その断片、またはそれに対して実質的に同一の(例えば、それに対して95%~99.9%同一、もしくは配列番号7244のアミノ酸配列に対して少なくとも1つのアミノ酸変更であるが、5個、10個もしくは15個以下の変更(例えば、置換、欠失、もしくは挿入、例えば、保存的置換)を有するアミノ酸配列を含む。
【0263】
一部の実施形態では、NK細胞エンゲージャーはウイルスヘマグルチニン(HA)であり、HAは、インフルエンザウイルスの表面上に見出される糖タンパク質である。それは、上気道中の細胞または赤血球などの膜上にシアル酸を有する細胞へのウイルスの結合の原因となる。HAは、少なくとも18の異なる抗原を有する。これらのサブタイプは、H1~H18と命名されている。NCRはウイルスタンパク質を認識することができる。NKp46は、インフルエンザのHAならびにセンダイウイルスおよびニューカッスル病ウイルスを含むパラミクソウイルスのHA-NAと相互作用できることが示されている。NKp46の他に、NKp44もまた、異なるインフルエンザサブタイプのHAと機能的に相互作用することができる。
【0264】
抗体分子
ある実施形態では、抗NKp30抗体分子は、単一特異性抗体分子であり、NKp30上の単一のエピトープに結合する。例えば、単一特異性抗体分子は、それぞれが同じエピトープに結合する複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を有する。
【0265】
別の実施形態では、抗NKp30抗体分子は、多特異性または多機能性抗体分子であり、例えば、それは複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列のうちの第1のものは第1のエピトープに対する結合特異性を有し、複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列のうちの第2のものは第2のエピトープに対する結合特異性を有する。一実施形態では、第1および第2のエピトープは、同じ抗原、例えば、同じタンパク質(または多量体タンパク質のサブユニット)上にある。一実施形態では、第1および第2のエピトープはオーバーラップする。一実施形態では、第1および第2のエピトープはオーバーラップしない。一実施形態では、第1および第2のエピトープは、異なる抗原、例えば、異なるタンパク質(または多量体タンパク質の異なるサブユニット)上にある。一実施形態では、多特異性抗体分子は、第3、第4または第5の免疫グロブリン可変ドメインを含む。一実施形態では、多特異性抗体分子は、二特異性抗体分子、三特異性抗体分子、または四特異性抗体分子である。
【0266】
一実施形態では、多特異性抗体分子は二特異性抗体分子である。二特異性抗体は、2つだけの抗原に対して特異性を有する。二特異性抗体分子は、第1のエピトープに対して結合特異性を有する第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列および第2のエピトープに対して結合特異性を有する第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列により特徴付けられる。一実施形態では、第1および第2のエピトープは、同じ抗原、例えば、同じタンパク質(または多量体タンパク質のサブユニット)上にある。一実施形態では、第1および第2のエピトープはオーバーラップする。一実施形態では、第1および第2のエピトープはオーバーラップしない。一実施形態では、第1および第2のエピトープは、異なる抗原、例えば、異なるタンパク質(または多量体タンパク質の異なるサブユニット)上にある。一実施形態では、二特異性抗体分子は、第1のエピトープに対して結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列および軽鎖可変ドメイン配列ならびに第2のエピトープに対して結合特異性を有する重鎖可変ドメイン配列および軽鎖可変ドメイン配列を含む。一実施形態では、二特異性抗体分子は、第1のエピトープに対して結合特異性を有する半抗体および第2のエピトープに対して結合特異性を有する半抗体を含む。一実施形態では、二特異性抗体分子は、第1のエピトープに対して結合特異性を有する半抗体、またはその断片、および第2のエピトープに対して結合特異性を有する半抗体、またはその断片を含む。一実施形態では、二特異性抗体分子は、第1のエピトープに対して結合特異性を有するscFvもしくはFab、またはその断片、および第2のエピトープに対して結合特異性を有するscFvもしくはFab、またはその断片を含む。
【0267】
一実施形態では、抗体分子は、ダイアボディ、および一本鎖分子の他に、抗体の抗原結合性断片(例えば、Fab、F(ab’)2、およびFv)を含む。例えば、抗体分子は、重(H)鎖可変ドメイン配列(本明細書でVHと略記される)、および軽(L)鎖可変ドメイン配列(本明細書でVLと略記される)を含むことができる。一実施形態では、抗体分子は、重鎖および軽鎖を含むかまたはからなる(本明細書で半抗体と称される。別の例では、抗体分子は、2つの重(H)鎖可変ドメイン配列および2つの軽(L)鎖可変ドメイン配列を含み、それによって、2つの抗原結合性部位、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fc、Fd、Fd’、Fv、一本鎖抗体(例えばscFv)、単一可変ドメイン抗体、ダイアボディ(Dab)(二価および二特異性)、ならびにキメラ(例えば、ヒト化)抗体を形成し、これらは全長抗体の修飾によって産生されるか、または組換えDNA技術を使用してde novoで合成されるものであってもよい。これらの機能的抗体断片は、それらの各々の抗原または受容体と選択的に結合する能力を保持する。抗体および抗体断片は、IgG、IgA、IgM、IgD、およびIgEが挙げられるがそれに限定されない抗体の任意のクラスから、ならびに抗体の任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4)からのものであり得る。抗体分子の調製物は、モノクローナルまたはポリクローナルであり得る。抗体分子はまた、ヒト、ヒト化、CDRグラフト化、またはin vitroで生成された抗体であり得る。抗体は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4から選択される重鎖定常領域を有し得る。抗体はまた、例えば、カッパまたはラムダから選択される軽鎖を有し得る。「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書で「抗体」という用語と交換可能に使用される。
【0268】
抗体分子の抗原結合性断片の例としては、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片である、Fab断片、(ii)ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価断片である、F(ab’)2断片、(iii)VHおよびCH1ドメインからなる、Fd断片、(iv)抗体の単一のアームのVLおよびVHドメインからなる、Fv断片、(v)VHドメインからなる、ダイアボディ(dAb)断片、(vi)ラクダまたはラクダ化可変ドメイン、(vii)一本鎖Fv(scFv)、例えば、Birdら、(1988) Science 242:423~426ページ;およびHustonら、(1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879~5883ページを参照)、(viii)単一ドメイン抗体が挙げられる。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来技術を使用して得られ、断片は、インタクトな抗体と同じ方式で有用性についてスクリーニングされる。
【0269】
抗体分子としては、インタクトな分子の他に、その機能的断片が挙げられる。抗体分子の定常領域は、抗体の特性を修飾するため(例えば、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能、または補体機能のうちの1つまたは複数を増加または減少させるため)に変更、例えば、突然変異され得る。
【0270】
抗体分子はまた単一ドメイン抗体であり得る。単一ドメイン抗体は、その相補性(complementary)決定領域が単一ドメインポリペプチドの部分である抗体を含むことができる。例としては、重鎖抗体、軽鎖を天然に欠いている抗体、従来の4鎖抗体に由来する単一ドメイン抗体、操作された抗体および抗体に由来するもの以外の単一ドメインスキャフォールドが挙げられるがそれに限定されない。単一ドメイン抗体は、当該技術分野における任意のもの、または任意の将来的な単一ドメイン抗体であってもよい。単一ドメイン抗体は、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、魚、サメ、ヤギ、ウサギ、およびウシが挙げられるがそれに限定されない任意の種に由来してもよい。本発明の別の態様によれば、単一ドメイン抗体は、軽鎖を欠いている重鎖抗体として公知の天然に存在する単一ドメイン抗体である。そのような単一ドメイン抗体は、例えば、WO9404678に開示されている。明確性の理由から、軽鎖を天然に欠いている重鎖抗体に由来するこの可変ドメインは、4鎖免疫グロブリンの従来のVHからそれを区別するためにVHHまたはナノボディとして本明細書で知られる。そのようなVHH分子は、ラクダ科の種、例えば、ラクダ、ラマ、ヒトコブラクダ、アルパカおよびグアナコにおいて産生された抗体に由来することができる。ラクダ科以外の他の種が、軽鎖を天然に欠いている重鎖抗体を産生することがあり、そのようなVHHは本発明の範囲内である。
【0271】
VHおよびVL領域は、「フレームワーク領域」(FRまたはFW)と称されるより保存された領域が差し挟まれた、「相補性決定領域」(CDR)と称される超可変性の領域にさらに分割することができる。
【0272】
フレームワーク領域およびCDRの範囲は、多数の方法によって精密に定義されている(Kabat, E. A.ら、(1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、U.S. Department of Health and Human Services、NIH Publication No. 91-3242;Chothia, C.ら、(1987) J. Mol. Biol. 196:901~917ページ;およびOxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されるAbMの定義を参照。一般に、例えば、「Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains」、Antibody Engineering Lab Manual(Duebel, S.およびKontermann, R.編、Springer-Verlag、Heidelberg)を参照)。
【0273】
「相補性決定領域」、および「CDR」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原特異性および結合親和性を付与する抗体可変領域内のアミノ酸の配列を指す。一般に、各重鎖可変領域中に3つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3)および各軽鎖可変領域中に3つのCDR(LCDR1、LCDR2、LCDR3)がある。
【0274】
所与のCDRの精密なアミノ酸配列の境界は、Kabatら、(1991)、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD(「Kabat」番号付けスキーム)、Al-Lazikaniら、(1997) JMB 273、927~948ページ(「Chothia」番号付けスキーム)に記載のものを含む、多数の公知のスキームのいずれかを使用して決定することができる。本明細書で使用される場合、「Chothia」番号スキームに従って定義されるCDRは、「超可変ループ」と称されることもある。
【0275】
例えば、Kabatの下で、重鎖可変ドメイン(VH)中のCDRアミノ酸残基は、31~35(HCDR1)、50~65(HCDR2)、および95~102(HCDR3)と番号付けされ、軽鎖可変ドメイン(VL)中のCDRアミノ酸残基は、24~34(LCDR1)、50~56(LCDR2)、および89~97(LCDR3)と番号付けされる。Chothiaの下で、VH中のCDRアミノ酸は、26~32(HCDR1)、52~56(HCDR2)、および95~102(HCDR3)と番号付けされ、VL中のアミノ酸残基は、26~32(LCDR1)、50~52(LCDR2)、および91~96(LCDR3)と番号付けされる。
【0276】
各VHおよびVLは、典型的には、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4でアミノ末端からカルボキシ末端へと並んだ3つのCDRおよび4つのFRを含む。
【0277】
抗体分子は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体であり得る。
「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、本明細書で使用される場合、単一の分子組成の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を表し示す。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術によって、またはハイブリドーマ技術を使用しない方法(例えば、組換え法)によって作製することができる。
【0278】
抗体は、組換えによって産生することができ、例えば、ファージディスプレイまたはコンビナトリアル法によって産生することができる。
抗体を生成するためのファージディスプレイおよびコンビナトリアル法は、当該技術分野において公知である(例えば、Ladnerら、米国特許第5,223,409号;Kangら、国際公開WO92/18619;Dowerら、国際公開WO91/17271;Winterら、国際公開WO92/20791;Marklandら、国際公開WO92/15679;Breitlingら、国際公開WO93/01288;McCaffertyら、国際公開WO92/01047;Garrardら、国際公開WO92/09690;Ladnerら、国際公開WO90/02809;Fuchsら、(1991) Bio/Technology 9:1370~1372ページ;Hayら、(1992) Hum Antibod Hybridomas 3:81~85ページ;Huseら、(1989) Science 246:1275~1281ページ;Griffthsら、(1993) EMBO J 12:725~734ページ;Hawkinsら、(1992) J Mol Biol 226:889~896ページ;Clacksonら、(1991) Nature 352:624~628ページ;Gramら、(1992) PNAS 89:3576~3580ページ;Garradら、(1991) Bio/Technology 9:1373~1377ページ;Hoogenboomら、(1991) Nuc Acid Res 19:4133~4137ページ;およびBarbasら、(1991) PNAS 88:7978~7982ページ(これらのすべての内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる)に記載される通りである)。
【0279】
一実施形態では、抗体は、完全ヒト抗体(例えば、ヒト免疫グロブリン配列からの抗体を産生するように遺伝子操作されたマウスにおいて作製される抗体)、または非ヒト抗体、例えば、齧歯動物(マウスもしくはラット)、ヤギ、霊長動物(例えば、サル)、ラクダ抗体である。好ましくは、非ヒト抗体は齧歯動物(マウスまたはラット抗体)である。齧歯動物抗体を産生する方法は当該技術分野において公知である。
【0280】
ヒトモノクローナル抗体は、マウス系ではなくヒト免疫グロブリン遺伝子を持つトランスジェニックマウスを使用して生成することができる。目的の抗原を用いて免疫化されたこれらのトランスジェニックマウスからの脾臓細胞を使用して、ヒトタンパク質からのエピトープに対して特異的親和性を有するヒトmAbを分泌するハイブリドーマが産生される(例えば、Woodら、国際出願WO91/00906、Kucherlapatiら、PCT国際公開WO91/10741;Lonbergら、国際出願WO92/03918;Kayら、国際出願92/03917;Lonberg, N.ら、1994 Nature 368:856~859ページ;Green, L.L.ら、1994 Nature Genet. 7:13~21ページ;Morrison, S.L.ら、1994 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851~6855ページ;Bruggemanら、1993 Year Immunol 7:33~40ページ;Tuaillonら、1993 PNAS 90:3720~3724ページ;Bruggemanら、1991 Eur J Immunol 21:1323~1326ページを参照)。
【0281】
抗体分子は、可変領域、またはその部分、例えば、CDRが、非ヒト生物、例えば、ラットまたはマウスにおいて生成されたものであり得る。キメラ、CDRグラフト化、およびヒト化抗体は、本発明の範囲内である。非ヒト生物、例えば、ラットまたはマウスにおいて生成され、次に、ヒトにおける抗原性を減少させるために、例えば、可変フレームワークまたは定常領域において修飾された抗体分子は、本発明の範囲内である。
【0282】
「有効ヒト」タンパク質は、中和抗体応答、例えば、ヒト抗マウス抗体(HAMA)応答を実質的に誘起しないタンパク質である。HAMAは、多数の状況において、例えば、例えば慢性または再発性の疾患状態の処置において、抗体分子が繰り返し投与される場合に、問題となり得る。HAMA応答は、血清からの抗体クリアランスの増加(例えば、Salehら、Cancer Immunol. Immunother.、32:180~190ページ(1990)を参照)のため、そしてまた潜在的なアレルギー性反応(例えば、LoBuglioら、Hybridoma、5:5117~5123ページ(1986)を参照)のため、繰返しの抗体投与を潜在的に有効でないものとさせることがある。
【0283】
キメラ抗体は、当該技術分野において公知の組換えDNA技術によって産生することができる(Robinsonら、国際公開PCT/US86/02269;Akiraら、欧州特許出願第184,187号;Taniguchi, M.、欧州特許出願第171,496号;Morrisonら、欧州特許出願第173,494号;Neubergerら、国際出願WO86/01533;Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Cabillyら、欧州特許出願第125,023号;Betterら、(1988 Science 240:1041~1043ページ);Liuら、(1987) PNAS 84:3439~3443ページ;Liuら、1987、J. Immunol. 139:3521~3526ページ;Sunら、(1987) PNAS 84:214~218ページ;Nishimuraら、1987、Canc. Res. 47:999~1005ページ;Woodら、(1985) Nature 314:446~449ページ;およびShawら、1988、J. Natl Cancer Inst. 80:1553~1559ページを参照)。
【0284】
ヒト化またはCDRグラフト化抗体は、ドナーCDRで置き換えられた(重およびまたは軽免疫グロブリン(immuoglobulin)鎖のうちの)少なくとも1つまたは2つであるが一般に3つすべてのレシピエントCDRを有する。抗体は、非ヒトCDRの少なくとも部分で置き換えられていてもよく、またはCDRの一部のみが非ヒトCDRで置き換えられていてもよい。抗原への結合のために要求されるCDRの数を置き換えることのみが必要である。好ましくは、ドナーは、齧歯動物抗体、例えば、ラットまたはマウス抗体であり、レシピエントは、ヒトフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークである。典型的には、CDRを提供する免疫グロブリンは「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを提供する免疫グロブリンは「アクセプター」と呼ばれる。一実施形態では、ドナー免疫グロブリンは非ヒト(例えば、齧歯動物)である。アクセプターフレームワークは、天然に存在する(例えば、ヒト)フレームワークもしくはコンセンサスフレームワーク、またはそれに対して約85%もしくはより高い、好ましくは、90%、95%、99%もしくはそれ以上同一である配列である。
【0285】
本明細書で使用される場合、「コンセンサス配列」という用語は、関連配列のファミリーにおいて最も頻繁に生じるアミノ酸(またはヌクレオチド)から形成される配列を指す(例えば、Winnaker、From Genes to Clones(Verlagsgesellschaft、Weinheim、Germany 1987)を参照。タンパク質のファミリーにおいて、コンセンサス配列中の各位置は、ファミリーにおいてその位置において最も頻繁に生じるアミノ酸によって占有される。2つのアミノ酸が等しく頻繁に生じる場合、いずれかをコンセンサス配列に含めることができる。「コンセンサスフレームワーク」は、コンセンサス免疫グロブリン配列中のフレームワーク領域を指す。
【0286】
抗体分子は、当該技術分野において公知の方法によってヒト化させることができる(例えば、Morrison, S. L.、1985、Science 229:1202~1207ページ、Oiら、1986、BioTechniques 4:214、ならびにQueenら、米国特許第5,585,089号、米国特許第5,693,761号および米国特許第5,693,762号(これらのすべての内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる)を参照)。
【0287】
ヒト化またはCDRグラフト化抗体分子は、CDRグラフト化またはCDR置換によって産生することができ、それにおいて免疫グロブリン鎖の1つ、2つ、またはすべてのCDRを置き換えることができる。例えば、米国特許第5,225,539号;Jonesら、1986 Nature 321:552~525ページ;Verhoeyanら、1988 Science 239:1534;Beidlerら、1988 J. Immunol. 141:4053~4060ページ;Winter、米国特許第5,225,539号(これらのすべての内容はこれにより明示的に参照により本明細書に組み込まれる)を参照。Winterは、本発明のヒト化抗体を調製するために使用され得るCDRグラフト化方法を記載する(1987年3月26日に出願された英国特許出願第2188638A号;Winter、米国特許第5,225,539号)(その内容は明示的に参照により本明細書に組み込まれる)。
【0288】
具体的なアミノ酸が置換、欠失または付加されたヒト化抗体分子もまた本発明の範囲である。ドナーからのアミノ酸を選択する基準は、米国特許第5,585,089号、例えば、米国特許第5,585,089号の第12~16欄、例えば、米国特許第5,585,089号の第12~16欄に記載されている(その内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる)。抗体をヒト化する他の技術は、1992年12月23日に公開されたPadlanら、EP519596A1に記載されている。
【0289】
抗体分子は一本鎖抗体であり得る。一本鎖抗体(scFV)は操作されていてもよい(例えば、Colcher, D.ら、(1999) Ann N Y Acad Sci 880:263~80ページ;およびReiter, Y.、(1996) Clin Cancer Res 2:245~52ページを参照)。一本鎖抗体は、二量体化または多量体化して、同じ標的タンパク質の異なるエピトープに対して特異性を有する多価抗体を生成することができる。
【0290】
さらに他の実施形態では、抗体分子は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、およびIgEの重鎖定常領域から選択される、特に、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4の(例えば、ヒト)重鎖定常領域から選択される重鎖定常領域を有する。別の実施形態では、抗体分子は、例えば、カッパまたはラムダの(例えば、ヒト)軽鎖定常領域から選択される軽鎖定常領域を有する。定常領域は、抗体の特性を修飾するため(例えば、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能、および/または補体機能のうちの1つまたは複数を増加または減少させるため)に変更、例えば、突然変異され得る。一実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有し、かつ補体を固定することができる。他の実施形態では、抗体は、エフェクター細胞をリクルートせず、かつ補体を固定しない。別の実施形態では、抗体は、Fc受容体に結合する低減した能力を有し、または該能力を有しない。例えば、それは、Fc受容体への結合をサポートしないアイソタイプまたはサブタイプ、断片または他の突然変異体であり、例えば、それは、突然変異誘発されたFc受容体結合性領域を有し、またはそれを欠失している。
【0291】
抗体定常領域を変更する方法は当該技術分野において公知である。変更された機能、例えば、エフェクターリガンド、例えば、細胞上のFcR、または補体のC1成分に対する変更された親和性を有する抗体は、抗体の定常部分中の少なくとも1つのアミノ酸残基を異なる残基で置き換えることによって産生することができる(例えば、EP388,151A1、米国特許第5,624,821号および米国特許第5,648,260号(これらのすべての内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる)を参照)。マウス、または他の種の免疫グロブリンに応用された場合にこれらの機能を低減または排除する類似の種類の変更が記載され得る。
【0292】
抗体分子は、誘導体化または別の機能分子(例えば、別のペプチドもしくはタンパク質)に連結させることができる。本明細書で使用される場合、「誘導体化」された抗体分子は、修飾された抗体分子である。誘導体化の方法としては、蛍光部分、放射性ヌクレオチド、毒素、酵素または親和性リガンド、例えば、ビオチンの付加が挙げられるがそれに限定されない。よって、本発明の抗体分子は、免疫接着分子を含む、本明細書に記載の抗体の誘導体化および他に修飾された形態を含むことが意図される。例えば、抗体分子は、1つまたは複数の他の分子実体、例えば、別の抗体(例えば、二特異性抗体もしくはダイアボディ)、検出可能な剤、細胞傷害剤、医薬剤、および/または抗体もしくは抗体部分の別の分子(例えば、ストレプトアビジンコア領域もしくはポリヒスチジンタグ)との会合を媒介することができるタンパク質もしくはペプチドに(化学的カップリング、遺伝子融合、非共有結合的会合またはその他によって)機能的に連結させることができる。
【0293】
1つの種類の誘導体化された抗体分子は、(例えば、二特異性抗体を作出するために、同じ種類または異なる種類の)2つまたはより多くの抗体を架橋することによって産生される。好適なクロスリンカーとしては、適切なスペーサー(例えば、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)またはホモ二官能性(例えば、スベリン酸ジサクシンイミジル)によって分離された2つの別個に反応性の基を有するヘテロ二官能性のものが挙げられる。そのようなリンカーは、Pierce Chemical Company、Rockford、Illから入手可能である。
【0294】
多特異性または多機能性抗体分子
本明細書で定義される多特異性および多機能性分子の例示的な構造は、全体を通じて記載されている。例示的な構造は、Weidle Uら、(2013) The Intriguing Options of Multispecific Antibody Formats for Treatment of Cancer. Cancer Genomics & Proteomics 10: 1~18ページ(2013);およびSpiess Cら、(2015) Alternative molecular formats and therapeutic applications for bispecific antibodies. Molecular Immunology 67: 95~106ページ(これらのそれぞれの全内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる)にさらに記載されている。
【0295】
実施形態では、多特異性抗体分子は、異なる部位が異なる抗原に特異的である1つより多くの抗原結合性部位を含むことができる。実施形態では、多特異性抗体分子は、同じ抗原上の1つより多く(例えば、2つまたはより多く)のエピトープに結合することができる。実施形態では、多特異性抗体分子は、標的細胞(例えば、がん細胞)に特異的な抗原結合性部位、および免疫エフェクター細胞に特異的な異なる抗原結合性部位を含む。一実施形態では、多特異性抗体分子は二特異性抗体分子である。二特異性抗体分子は、5つの異なる構造群:(i)二特異性免疫グロブリンG(BsIgG)、(ii)追加の抗原結合性部分を付加されたIgG、(iii)二特異性抗体断片、(iv)二特異性融合タンパク質、および(v)二特異性抗体コンジュゲートに分類することができる。
【0296】
BsIgGは、各抗原について一価のフォーマットである。例示的なBsIgGフォーマットとしては、crossMab、DAF(two-in-one)、DAF(four-in-one)、DutaMab、DT-IgG、ノブ・イン・ホール(knobs-in-holes)共通LC、ノブ・イン・ホールアセンブリー、電荷対、Fabアーム交換、SEEDボディ、triomab、LUZ-Y、Fcab、κλボディ、直交Fabが挙げられるがそれに限定されない。Spiessら、Mol. Immunol. 67(2015):95~106ページを参照。例示的なBsIgGとしては、抗CD3アームおよび抗EpCAMアームを含有するカツマキソマブ(Fresenius Biotech、Trion Pharma、Neopharm)、ならびにCD3およびHER2を標的化するエルツマキソマブ(Neovii Biotech、Fresenius Biotech)が挙げられる。一部の実施形態では、BsIgGは、ヘテロ二量体化のために操作された重鎖を含む。例えば、重鎖は、「ノブ・イントゥー・ホール」(knobs-into-holes)戦略、SEEDプラットフォーム、(例えば、κλボディ中の)共通重鎖、およびヘテロ二量体Fc領域の使用を使用してヘテロ二量体化のために操作することができる。Spiessら、Mol. Immunol. 67(2015):95~106ページを参照。BsIgGにおけるホモ二量体の重鎖対合を回避するために使用されてきた戦略としては、ノブ・イン・ホール、デュオボディ(duobody)、アジメトリック(azymetric)、電荷対、HA-TF、SEEDボディ、および差次的なプロテインA親和性が挙げられる。同文献を参照。BsIgGは、異なる宿主細胞中での成分抗体の別々の発現およびその後の精製/BsIgGへのアセンブリーによって産生することができる。BsIgGはまた、単一の宿主細胞中での成分抗体の発現によって産生することができる。BsIgGは、例えば、プロテインAおよび逐次的pH溶出を使用する、親和性クロマトグラフィーを使用して精製することができる。
【0297】
追加の抗原結合性部分を付加されたIgGは、二特異性抗体分子の別のフォーマットである。例えば、単一特異性IgGは、例えば、重鎖または軽鎖のいずれかのNまたはC末端において、追加の抗原結合性単位を単一特異性IgGに付加することによって二特異性を有するように操作することができる。例示的な追加の抗原結合性単位としては、単一ドメイン抗体(例えば、可変重鎖または可変軽鎖)、操作されたタンパク質スキャフォールド、および対合した抗体可変ドメイン(例えば、単鎖可変断片または可変断片)が挙げられる。同文献を参照。付加されたIgGフォーマットの例としては、二重可変ドメインIgG(DVD-Ig)、IgG(H)-scFv、scFv-(H)IgG、IgG(L)-scFv、scFv-(L)IgG、IgG(L,H)-Fv、IgG(H)-V、V(H)-IgG、IgG(L)-V、V(L)-IgG、KIH IgG-scFab、2scFv-IgG、IgG-2scFv、scFv4-Ig、ザイボディ(zybody)、およびDVI-IgG(4-in-1)が挙げられる。Spiessら、Mol. Immunol. 67(2015):95~106ページを参照。IgG-scFvの例は、IGF-1RおよびHER3に結合するMM-141(Merrimack Pharmaceuticals)である。DVD-Igの例としては、IL-1αおよびIL-1βに結合するABT-981(AbbVie)、ならびにTNFおよびIL-17Aに結合するABT-122(AbbVie)が挙げられる。
【0298】
二特異性抗体断片(BsAb)は、抗体定常ドメインの一部またはすべてを欠いた二特異性抗体分子のフォーマットである。例えば、一部のBsAbはFc領域を欠いている。実施形態では、二特異性抗体断片は、単一の宿主細胞中でのBsAbの効率的な発現を許容するペプチドリンカーによって接続された重鎖および軽鎖領域を含む。例示的な二特異性抗体断片としては、ナノボディ、ナノボディ-HAS、BiTE、ダイアボディ、DART、TandAb、scDiabody、scDiabody-CH3、ダイアボディ-CH3、トリプルボディ、ミニ抗体、ミニボディ、TriBiミニボディ、scFv-CH3 KIH、Fab-scFv、scFv-CH-CL-scFv、F(ab’)2、F(ab’)2-scFv2、scFv-KIH、Fab-scFv-Fc、四価HCAb、scDiabody-Fc、ダイアボディ-Fc、タンデムscFv-Fc、およびイントラボディが挙げられるがそれに限定されない。同文献を参照。例えば、BiTEフォーマットはタンデムscFvsを含み、成分scFvsは、T細胞上のCD3、およびがん細胞上の表面抗原に結合する。
【0299】
二特異性融合タンパク質としては、例えば、追加の特異性および/または機能性を加えるために、他のタンパク質に連結された抗体断片が挙げられる。二特異性融合タンパク質の例は、HLA提示ペプチドを認識する親和性成熟したT細胞受容体に連結された抗CD3 scFvを含むimmTACである。実施形態では、より高い価数を有する二特異性抗体分子を生成するためにドック-アンド-ロック(dock-and-lock)(DNL)法を使用することができる。また、アルブミン結合性タンパク質またはヒト血清アルブミンへの融合は、抗体断片の血清半減期を延長させることができる。同文献を参照。
【0300】
実施形態では、BsAb分子を作出するために化学的コンジュゲーション、例えば、抗体および/または抗体断片の化学的コンジュゲーションを使用することができる。同文献を参照。例示的な二特異性抗体コンジュゲートとしては、CovXボディフォーマットが挙げられ、該フォーマットでは、低分子量薬物が、各Fabアームまたは抗体もしくはその断片中の単一の反応性リシンに部位特異的にコンジュゲートしている。実施形態では、コンジュゲーションは、低分子量薬物の血清半減期を向上させる。例示的なCovXボディは、VEGFまたはAng2のいずれかを阻害する2つの短いペプチドにコンジュゲートした抗体を含むCVX-241(NCT01004822)である。同文献を参照。
【0301】
抗体分子は、例えば、宿主系中での少なくとも1つまたは複数の成分の、組換え発現によって産生することができる。例示的な宿主系としては、真核細胞(例えば、哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞、または昆虫細胞、例えば、SF9もしくはS2細胞)および原核細胞(例えば、E. coli)が挙げられる。二特異性抗体分子は、異なる宿主細胞中での成分の別々の発現およびその後の精製/アセンブリーによって産生することができる。代替的に、抗体分子は、単一の宿主細胞中での成分の発現によって産生することができる。二特異性抗体分子の精製は、例えば、プロテインAおよび逐次的pH溶出を使用する、親和性クロマトグラフィーなどの、様々な方法によって行うことができる。他の実施形態では、親和性タグ、例えば、ヒスチジン含有タグ、mycタグ、またはストレプトアビジンタグを精製のために使用することができる。
【0302】
CDRグラフト化スキャフォールド
実施形態では、抗体分子は、CDRグラフト化スキャフォールドドメインである。実施形態では、スキャフォールドドメインは、フィブロネクチンドメイン、例えば、フィブロネクチンIII型ドメインに基づく。フィブロネクチンIII型(Fn3)ドメインの全体的なフォールドは、最小の機能的抗体断片、抗体重鎖の可変ドメインのそれに密接に関係する。Fn3の末端には3つのループがあり、BC、DEおよびFGループの位置は、抗体のVHドメインのCDR1、2および3のそれにおおよそ対応する。Fn3はジスルフィド結合を有さず、したがって、Fn3は、抗体およびそれらの断片とは異なり、還元条件下で安定である(例えば、WO98/56915、WO01/64942、WO00/34784を参照)。Fn3ドメインは、例えば、本明細書に記載の抗原/マーカー/細胞に結合するドメインを選択するために、(例えば、本明細書に記載のCDRまたは超可変ループを使用して)修飾または変更することができる。
【0303】
実施形態では、スキャフォールドドメイン、例えば、フォールディングしたドメインは、抗体、例えば、モノクローナル抗体の重鎖可変ドメインから3つのベータ鎖を欠失させることにより作出される「ミニボディ」スキャフォールドに基づく(例えば、Tramontanoら、1994、J Mol. Recognit. 7:9、およびMartinら、1994、EMBO J. 13:5303~5309ページを参照)。「ミニボディ」は、2つの超可変ループを提示するために使用することができる。実施形態では、スキャフォールドドメインは、V様ドメイン(例えば、Coiaら、WO99/45110を参照)、または2つのジスルフィド結合によって一緒に保持された74残基の6鎖ベータシートサンドイッチであるテンダミスタチン(tendamistatin)に由来するドメインである(例えば、McConnellおよびHoess、1995、J Mol. Biol. 250:460を参照)。例えば、テンダミスタチンのループは、例えば、本明細書に記載のマーカー/抗原/細胞に結合するドメインを選択するために、(例えば、CDRまたは超可変ループを使用して)修飾または変更することができる。別の例示的なスキャフォールドドメインは、CTLA-4の細胞外ドメインに由来するベータ-サンドイッチ構造である(例えば、WO00/60070を参照)。
【0304】
他の例示的なスキャフォールドドメインとしては、T細胞受容体、MHCタンパク質、細胞外ドメイン(例えば、フィブロネクチンIII型リピート、EGFリピート)、プロテアーゼ阻害剤(例えば、Kunitzドメイン、エコチン、およびBPTIなど)、TPRリピート、トリフォイル(trifoil)構造、ジンクフィンガードメイン、DNA結合性タンパク質、特に、単量体DNA結合性タンパク質、RNA結合性タンパク質、酵素、例えば、プロテアーゼ(特に、不活性化プロテアーゼ)、RNase、シャペロン、例えば、チオレドキシン、および熱ショックタンパク質、ならびに細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、SH2およびSH3ドメイン)が挙げられるがそれに限定されない。例えば、米国特許出願公開第20040009530号および米国特許第7,501,121号(参照により本明細書に組み込まれる)を参照。
【0305】
実施形態では、スキャフォールドドメインは、例えば、以下の基準:(1)アミノ酸配列、(2)いくつかの相同ドメインの配列、(3)三次元構造、および/または(4)pH、温度、塩分、有機溶媒、酸化剤濃度の範囲にわたる安定性データのうちの1つまたは複数によって評価および選択される。実施形態では、スキャフォールドドメインは、小さい、安定なタンパク質ドメイン、例えば、100個、70個、50個、40個または30個未満のアミノ酸のタンパク質である。ドメインは、1つもしくは複数のジスルフィド結合を含んでもよく、または金属、例えば、亜鉛をキレートしてもよい。
【0306】
抗体ベースの融合物
抗体のNまたはC末端に取り付けられた追加の結合性実体を含有する様々なフォーマットを生成することができる。単鎖またはジスルフィド安定化FvもしくはFabを有するこれらの融合物は、各抗原に対して二価の結合特異性を有する四価分子の生成をもたらす。IgGとのscFvおよびscFabの組合せは、3つまたはより多くの異なる抗原を認識することができる分子の産生を可能にする。
【0307】
抗体-Fab融合物
抗体-Fab融合物は、第1の標的に対する伝統的な抗体および抗体重鎖のC末端に融合した第2の標的に対するFabを含む二特異性抗体である。一般的に、抗体およびFabは共通の軽鎖を有する。抗体融合物は、(1)標的融合物のDNA配列を操作すること、および(2)標的DNAを好適な宿主細胞にトランスフェクトして融合タンパク質を発現させることにより産生させることができる。Coloma, Jら、(1997) Nature Biotech 15:159によって記載されるように、抗体-scFv融合物は、CH3ドメインのC末端とscFvのN末端との間の(Gly)-Serリンカーによって連結されてもよいようである。
【0308】
抗体-scFv融合物
抗体-scFv融合物は、伝統的な抗体および抗体重鎖のC末端に融合した特有の特異性のscFvを含む二特異性抗体である。scFvは、直接的にまたはリンカーペプチドを通じてscFvの重鎖を通じてC末端に融合させることができる。抗体融合物は、(1)標的融合物のDNA配列を操作すること、および(2)標的DNAを好適な宿主細胞にトランスフェクトして融合タンパク質を発現させることにより産生させることができる。Coloma, Jら、(1997) Nature Biotech 15:159によって記載されるように、抗体-scFv融合物は、CH3ドメインのC末端とscFvのN末端との間の(Gly)-Serリンカーによって連結されてもよいようである。
【0309】
可変ドメイン免疫グロブリンDVD
関連するフォーマットは、より短いリンカー配列によってVドメインのN末端に配置された第2の特異性のVHおよびVLドメインから構成される二重可変ドメイン免疫グロブリン(DVD)である。
【0310】
他の例示的な多特異性抗体フォーマットとしては、例えば、以下:米国特許出願公開第20160114057A1号、米国特許出願公開第20130243775A1号、米国特許出願公開第20140051833号、米国特許出願公開第20130022601号、米国特許出願公開第20150017187A1号、米国特許出願公開第20120201746A1号、米国特許出願公開第20150133638A1号、米国特許出願公開第20130266568A1号、米国特許出願公開第20160145340A1号、WO2015127158A1、米国特許出願公開第20150203591A1号、米国特許出願公開第20140322221A1号、米国特許出願公開第20130303396A1号、米国特許出願公開第20110293613号、米国特許出願公開第20130017200A1号、米国特許出願公開第20160102135A1号、WO2015197598A2、WO2015197582A1、米国特許第9359437号、米国特許出願公開第20150018529号、WO2016115274A1、WO2016087416A1、米国特許出願公開第20080069820A1号、米国特許第9145588B号、米国特許第7919257号、および米国特許出願公開第20150232560A1号に記載のものが挙げられる。全長抗体-Fab/scFabフォーマットを利用する例示的な多特異性分子としては、以下:米国特許第9382323B2号、米国特許出願公開第20140072581A1号、米国特許出願公開第20140308285A1号、米国特許出願公開第20130165638A1号、米国特許出願公開第20130267686A1号、米国特許出願公開第20140377269A1号、米国特許第7741446B2号、およびWO1995009917A1に記載のものが挙げられる。ドメイン交換フォーマットを利用する例示的な多特異性分子としては、以下:米国特許出願公開第20150315296A1号、WO2016087650A1、米国特許出願公開第20160075785A1号、WO2016016299A1、米国特許出願公開第20160130347A1号、米国特許出願公開第20150166670号、米国特許第8703132B2号、米国特許出願公開第20100316645号、米国特許第8227577B2号、米国特許出願公開第20130078249号に記載のものが挙げられる。
【0311】
Fc含有実体(ミニ抗体)
ミニ抗体としても公知のFc含有実体は、scFvを定常重鎖領域ドメイン3のC末端(CH3-scFv)および/または異なる特異性を有する抗体のヒンジ領域(scFv-ヒンジ-Fc)に融合させることにより生成することができる。IgGのCH3ドメインのC末端に融合した(ペプチドリンカーを有さない)ジスルフィド安定化可変ドメインを有する三価の実体もまた作製することができる。
【0312】
Fc含有多特異性分子
一部の実施形態では、本明細書に開示される多特異性分子は、免疫グロブリン定常領域(例えば、Fc領域)を含む。例示的なFc領域は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4の重鎖定常領域、より特には、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4の重鎖定常領域から選択することができる。
【0313】
一部の実施形態では、免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)は、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能、または補体機能のうちの1つまたは複数を増加または減少させるために、変更、例えば、突然変異される。
【0314】
他の実施形態では、第1および第2の免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、第1および第2のFc領域)の境界部は、例えば、操作されていない境界部、例えば、天然に存在する境界部と比較して、二量体化を増加または減少させるために、変更、例えば、突然変異される。例えば、免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)の二量体化は、第1および第2のFc領域のFc境界部に、対になった孔と突起(「ノブ・イン・ホール」)、静電相互作用、または鎖交換のうちの1つまたは複数を提供し、それによって、例えば、操作されていない境界部と比較して、より高い比のヘテロ多量体:ホモ多量体が形成されることにより、増強させることができる。
【0315】
一部の実施形態では、多特異性分子は、例えば、ヒトIgG1のFc領域の、347、349、350、351、366、368、370、392、394、395、397、398、399、405、407、または409のうちの1つまたは複数から選択される位置において、対になったアミノ酸置換を含む。例えば、免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)は、T366S、L368A、またはY407V(例えば、孔またはホールに対応する)、およびT366W(例えば、突起またはノブに対応する)から選択される対になったアミノ酸置換を含むことができる。
【0316】
他の実施形態では、多機能性分子は、半減期延長剤、例えば、ヒト血清アルブミンまたはヒト血清アルブミンに対する抗体分子を含む。
ヘテロ二量体化抗体分子および作製方法
正しくない重鎖対合の問題に対処するために多特異性抗体を産生する様々な方法が開示されてきた。例示的な方法は以下に記載される。例示的な多特異性抗体フォーマットおよび前記多特異性抗体を作製する方法もまた、例えば、Speissら、Molecular Immunology 67(2015)95~106ページ、およびKleinら、mAb 4:6、653~663ページ、2012年11月/12月(これらのそれぞれの内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0317】
ヘテロ二量体化二特異性抗体は天然のIgG構造に基づき、2つの結合性アームが異なる抗原を認識する。定義された一価(および同時の)抗原結合を可能にするIgG由来のフォーマットは、軽鎖誤対合を最小化する技術(例えば、共通軽鎖)と組み合わせた強制的な重鎖ヘテロ二量体化により生成される。強制的な重鎖ヘテロ二量体化は、例えば、ノブ・イン・ホールまたは鎖交換操作ドメイン(SEED)を使用して、得ることができる。
【0318】
ノブ・イン・ホール
米国特許第5,731,116号、米国特許第7,476,724号およびRidgway, Jら、(1996)Prot. Engineering 9(7):617~621ページに記載されるノブ・イン・ホールは、概して、(1)1つまたは両方の抗体のCH3ドメインを突然変異させてヘテロ二量体化を促進すること、および(2)ヘテロ二量体化を促進する条件下で突然変異した抗体を組み合わせることを伴う。「ノブ」または「突起」は、典型的には、親抗体中の小さいアミノ酸をより大きいアミノ酸で置き換えること(例えば、T366YまたはT366W)により作出され、「ホール」または「孔」は、親抗体中のより大きい残基をより小さいアミノ酸で置き換えること(例えば、Y407T、T366S、L368Aおよび/またはY407V)により作出される。
【0319】
Fcドメインを含む二特異性抗体のために、Fc部分の正しいヘテロ二量体化を促進するための重鎖の定常領域への特定の突然変異の導入を利用することができる。いくつかのそのような技術は、Kleinら(mAb(2012)4:6、1~11ページ)(その内容はこれにより参照により全体が本明細書に組み込まれる)において総説されている。これらの技術としては、抗体重鎖のうちの1つのCH3ドメインのうちの1つへのバルク残基の導入を伴う「ノブ・イントゥー・ホール」(KiH)アプローチが挙げられる。このバルク残基は、対になった重鎖の他のCH3ドメイン中の相補的な「ホール」にフィットし、それによって、重鎖の正しい対合が促進される(例えば、米国特許第7642228号を参照)。
【0320】
例示的なKiH突然変異としては、「ノブ」重鎖中のS354C、T366Wおよび「ホール」重鎖中のY349C、T366S、L368A、Y407Vが挙げられる。他の例示的なKiH突然変異は、追加の必要に応じた安定化性Fcシステイン突然変異と共に、表1において提供される。
【0321】
【0322】
他のFc突然変異はIgawaおよびTsunodaにより提供されており、彼らは、他の鎖のCH3ドメイン中の3つの正に荷電した残基と対合する1つの鎖のCH3ドメイン中の3つの負に荷電した残基を同定した。これらの特定の荷電した残基対は、E356-K439、E357-K370、D399-K409およびその逆である。単独でまたは新たに同定されたジスルフィド架橋と組み合わせて、以下の3つの鎖A中の突然変異:E356K、E357KおよびD399Kの他に、鎖B中のK370E、K409D、K439Eのうちの少なくとも2つを導入することにより、それらは、同時にホモ二量体化を抑制しながら非常に効率的なヘテロ二量体化に有利に働くことができた(Martens Tら、「A novel one-armed antic- Met antibody inhibits glioblastoma growth in vivo.」、Clin Cancer Res 2006;12:6144~52ページ;PMID:17062691)。Xencorは、構造算出および配列情報の組合せに基づいて41個のバリアント対を定義し、それをその後に最大のヘテロ二量体化についてスクリーニングして、鎖A上のS364H、F405A(HA)および鎖B上のY349T、T394F(TF)の組合せを定義した(Moore GLら、「A novel bispecific antibody format enables simultaneous bivalent and monovalent co-engagement of distinct target antigens.」、MAbs 2011;3:546~57ページ;PMID:22123055)。
【0323】
多特異性抗体のヘテロ二量体化を促進するための他の例示的なFc突然変異としては、以下の参考文献(これらのそれぞれの内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる):WO2016071377A1、米国特許出願公開第20140079689A1号、米国特許出願公開第20160194389A1号、米国特許出願公開第20160257763号、WO2016071376A2、WO2015107026A1、WO2015107025A1、WO2015107015A1、米国特許出願公開第20150353636A1号、米国特許出願公開第20140199294A1号、米国特許第7750128B2号、米国特許出願公開第20160229915A1号、米国特許出願公開第20150344570A1号、米国特許第8003774A1号、米国特許出願公開第20150337049A1号、米国特許出願公開第20150175707A1号、米国特許出願公開第20140242075A1号、米国特許出願公開第20130195849A1号、米国特許出願公開第20120149876A1号、米国特許出願公開第20140200331A1号、米国特許第9309311B2号、米国特許第8586713号、米国特許出願公開第20140037621A1号、米国特許出願公開第20130178605A1号、米国特許出願公開第20140363426A1号、米国特許出願公開第20140051835A1号および米国特許出願公開第20110054151A1号に記載のものが挙げられる。
【0324】
安定化性システイン突然変異もまた、KiHおよび他のFcヘテロ二量体化促進性バリアントと組み合わせて使用されている(例えば、米国特許第7183076号を参照)。他の例示的なシステイン修飾としては、例えば、米国特許出願公開第20140348839A1号、米国特許第7855275B2号、および米国特許第9000130B2号に開示されるものが挙げられる。
【0325】
鎖交換操作ドメイン(SEED)
鎖交換操作ドメイン(SEED)C(H)3ヘテロ二量体を工作することによって二特異性かつ非対称性の融合タンパク質の設計をサポートするヘテロ二量体Fcプラットフォームが公知である。ヒトIgGおよびIgA C(H)3ドメインのこれらの誘導体は、ヒトIgAおよびIgG C(H)3配列の交互のセグメントから構成される相補的なヒトSEED C(H)3ヘテロ二量体を作出する。もたらされるSEED C(H)3ドメインの対は、哺乳動物細胞中で発現された場合に優先的に会合してヘテロ二量体を形成する。SEEDボディ(Sb)融合タンパク質は、1つまたは複数の融合パートナーに遺伝子連結されていてもよい[IgG1ヒンジ]-C(H)2-[SEED C(H)3]からなる(例えば、Davis JHら、「SEEDbodies: fusion proteins based on strand exchange engineered domain (SEED) CH3 heterodimers in an Fc analogue platform for asymmetric binders or immunofusions and bispecific antibodies.」、Protein Eng Des Sel 2010;23:195~202ページ;PMID:20299542および米国特許第8871912号(これらのそれぞれの内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる)を参照)。
【0326】
デュオボディ
正しい重鎖対合を有する二特異性抗体を産生するための「デュオボディ」技術は公知である。デュオボディ技術は、産生後交換反応において安定な二特異性ヒトIgG1抗体を生成するための3つの基本的なステップを伴う。第1のステップにおいて、第3の定常(CH3)ドメイン中に単一のマッチした突然変異をそれぞれ含有する2つのIgG1が、標準的な哺乳動物組換え細胞系を使用して別々に産生される。その後に、これらのIgG1抗体は、回収および精製のための標準的な方法に従って精製される。産生および精製後(産生後)、2つの抗体は調整された実験室条件下で組み換えられて、非常に高い収率(典型的には>95%)で二特異性抗体産物をもたらす(例えば、Labrijnら、PNAS 2013;110(13):5145~5150ページおよびLabrijnら、Nature Protocols 2014;9(10):2450~63ページ(これらのそれぞれの内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる)を参照)。
【0327】
静電相互作用
ホモ二量体形成が静電気的に不都合であるように荷電性アミノ酸を有するCH3アミノ酸変化を使用して多特異性抗体を作製する方法が開示されている。EP1870459およびWO2009089004は、宿主細胞中での異なる抗体ドメインの共発現の際のヘテロ二量体形成に有利に働くための他の戦略を記載する。これらの方法において、重鎖定常ドメイン3(CH3)、両方のCH3ドメイン中のCH3-CH3境界部を作り上げる1つまたは複数の残基は、ホモ二量体形成が静電気的に不都合であり、かつヘテロ二量体化が静電気的に好都合であるように荷電性アミノ酸で置き換えられる。静電相互作用を使用して多特異性分子を作製する追加の方法は、米国特許出願公開第20100015133号、米国特許第8592562B2号、米国特許第9200060B2号、米国特許出願公開第20140154254A1号、および米国特許第9358286A1号を含む参考文献(これらのそれぞれの内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0328】
共通軽鎖
軽鎖誤対合は、二特異性IgGの均質な調製物を生成するために回避される必要がある。これを達成する1つのやり方は、共通軽鎖の原理、すなわち、1つの軽鎖を共有するが依然として別々の特異性を有する2つのバインダーを組み合わせることの使用を通じたものである。単量体の混合物からの所望の二特異性抗体の形成を増強する例示的な方法は、二特異性抗体のヘテロマー可変重鎖領域のそれぞれと相互作用するための共通の可変軽鎖を提供することによる。共通軽鎖を有する二特異性抗体の組成物およびその産生方法は、例えば、米国特許第7183076B2号、米国特許出願公開第20110177073A1号、EP2847231A1、WO2016079081A1、およびEP3055329A1(これらのそれぞれの内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0329】
CrossMab
軽鎖誤対合を低減するための別のオプションはCrossMab技術であり、これは、二特異性抗体の1つの半分のFab中のCH1およびCLドメインを交換することによって非特異的L鎖誤対合を回避する。そのようなクロスオーバーバリアントは結合特異性および親和性を保持するが、L鎖誤対合が予防されるように2つのアームを異なるものとさせる。(Kleinら、上掲に総説されるように)CrossMab技術は、正しい対合の形成を促進するように重鎖と軽鎖との間のドメインスワッピングを伴う。簡潔に述べれば、2つの別個の軽鎖-重鎖対を使用することによって2つの抗原に結合し得る二特異性IgG様CrossMab抗体を構築するために、2ステップ修飾プロセスが応用される。最初に、二量体化境界部は、ヘテロ二量体化アプローチ、例えば、ノブ・イントゥー・ホール(KiH)技術を使用して各重鎖のC末端中に操作されて、1つの抗体(例えば、抗体A)および第2の抗体(例えば、抗体B)からの2つの別個の重鎖のヘテロ二量体のみが効率的に形成されることが確実にされる。次に、可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)ドメインを一貫したままに保って、1つの抗体の定常重鎖1(CH1)および定常軽鎖(CL)ドメインが交換される(抗体A)。CH1およびCLドメインの交換は、修飾抗体(抗体A)軽鎖は修飾抗体(抗体A)重鎖とのみ効率的に二量体化し、非修飾抗体(抗体B)軽鎖は非修飾抗体(抗体B)重鎖とのみ効率的に二量体化するため、所望の二特異性CrossMabのみが効率的に形成されることを確実にした(例えば、Cain, C.、SciBX 4(28);doi:10.1038/scibx.2011.783(その内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる)を参照)。
【0330】
共通重鎖
単量体の混合物からの所望の二特異性抗体の形成を増強する例示的な方法は、二特異性抗体のヘテロマー可変軽鎖領域のそれぞれと相互作用するための共通の可変重鎖を提供することによる。共通重鎖を有する二特異性抗体の組成物およびその産生方法は、例えば、米国特許出願公開第20120184716号、米国特許出願公開第20130317200号、および米国特許出願公開第20160264685A1号(これらのそれぞれの内容はこれにより参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0331】
アミノ酸修飾
正しい軽鎖対合を有する多特異性抗体の代替的な組成物およびその産生方法としては、様々なアミノ酸修飾が挙げられる。例えば、Zymeworksは、軽鎖と重鎖との間の境界部の部分であり、各重鎖と所望の軽鎖との優先的な対合を作製する、CH1および/もしくはCLドメイン中の1つもしくは複数のアミノ酸修飾、VHおよび/もしくはVLドメイン中の1つもしくは複数のアミノ酸修飾、またはこれらの組合せを有し、それによって、ヘテロ二量体対の2つの重鎖および2つの軽鎖が細胞中で共発現された場合に、第1のヘテロ二量体の重鎖が、他のものよりも軽鎖の1つと優先的に対合する、ヘテロ二量体を記載する(例えば、WO2015181805を参照)。他の例示的な方法は、WO2016026943(Argen-X)、米国特許出願公開第20150211001号、米国特許出願公開第20140072581A1号、米国特許出願公開第20160039947A1号、および米国特許出願公開第20150368352号に記載されている。
【0332】
ラムダ/カッパフォーマット
ラムダ軽鎖ポリペプチドおよびカッパ軽鎖ポリペプチドを含む多特異性分子(例えば、多特異性抗体分子)は、ヘテロ二量体化を可能とするために使用することができる。ラムダ軽鎖ポリペプチドおよびカッパ軽鎖ポリペプチドを含む二特異性抗体分子を生成する方法は、2017年9月22日に出願されたPCT/US17/53053(これにより参照により全体が本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0333】
実施形態では、多特異性分子は、多特異性抗体分子、例えば、2つの結合特異性を含む抗体分子、例えば、二特異性抗体分子を含む。多特異性抗体分子は、
第1のエピトープに特異的なラムダ軽鎖ポリペプチド1(LLCP1)、
第1のエピトープに特異的な重鎖ポリペプチド1(HCP1)、
第2のエピトープに特異的なカッパ軽鎖ポリペプチド2(KLCP2)、および
第2のエピトープに特異的な重鎖ポリペプチド2(HCP2)
を含む。
【0334】
「ラムダ軽鎖ポリペプチド1(LLCP1)」は、その用語が本明細書で使用される場合、コグネイト重鎖可変領域と組み合わせられた場合に、そのエピトープへの特異的結合を媒介し、HCP1と複合体化することができる十分な軽鎖(LC)配列を含むポリペプチドを指す。一実施形態では、それは、CH1領域のすべてまたは断片を含む。一実施形態では、LLCP1は、LC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3、FR1、FR2、FR3、FR4、およびCH1、またはそのエピトープの特異的結合を媒介し、HCP1と複合体化するために十分なこれらからの配列を含む。LLCP1は、そのHCP1と共に、第1のエピトープに対する特異性を提供する(KLCP2は、そのHCP2と共に、第2のエピトープに対する特異性を提供する)。本明細書の他の箇所に記載されるように、LLCP1は、HCP2に対してよりもHCP1に対してより高い親和性を有する。
【0335】
「カッパ軽鎖ポリペプチド2(KLCP2)」は、その用語が本明細書で使用される場合、コグネイト重鎖可変領域と組み合わせられた場合に、そのエピトープへの特異的結合を媒介し、HCP2と複合体化することができる十分な軽鎖(LC)配列を含むポリペプチドを指す。一実施形態では、それは、CH1領域のすべてまたは断片を含む。一実施形態では、KLCP2は、LC-CDR1、LC-CDR2、LC-CDR3、FR1、FR2、FR3、FR4、およびCH1、またはそのエピトープの特異的結合を媒介し、HCP2と複合体化するために十分なこれらからの配列を含む。KLCP2は、そのHCP2と共に、第2のエピトープに対する特異性を提供する(LLCP1は、そのHCP1と共に、第1のエピトープに対する特異性を提供する)。
【0336】
「重鎖ポリペプチド1(HCP1)」は、その用語が本明細書で使用される場合、コグネイトLLCP1と組み合わせられた場合に、そのエピトープへの特異的結合を媒介し、HCP1と複合体化することができる十分な重鎖(HC)配列、例えば、HC可変領域配列を含むポリペプチドを指す。一実施形態では、それは、CH1領域のすべてまたは断片を含む。一実施形態では、それは、CH2および/またはCH3領域のすべてまたは断片を含む。一実施形態では、HCP1は、HC-CDR1、HC-CDR2、HC-CDR3、FR1、FR2、FR3、FR4、CH1、CH2、およびCH3、または(i)そのエピトープの特異的結合を媒介し、LLCP1と複合体化し、(ii)本明細書に記載されるように、KLCP2とは対照的にLLCP1に対して優先的に複合体化し、かつ(iii)本明細書に記載されるように、HCP1の別の分子とは対照的にHCP2に対して優先的に複合体化するために十分なこれらからの配列を含む。HCP1は、そのLLCP1と共に、第1のエピトープに対する特異性を提供する(KLCP2は、そのHCP2と共に、第2のエピトープに対する特異性を提供する)。
【0337】
「重鎖ポリペプチド2(HCP2)」は、その用語が本明細書で使用される場合、コグネイトLLCP1と組み合わせられた場合に、そのエピトープへの特異的結合を媒介し、HCP1と複合体化することができる十分な重鎖(HC)配列、例えば、HC可変領域配列を含むポリペプチドを指す。一実施形態では、それは、CH1領域のすべてまたは断片を含む。一実施形態では、それは、CH2および/またはCH3領域のすべてまたは断片を含む。一実施形態では、HCP1は、HC-CDR1、HC-CDR2、HC-CDR3、FR1、FR2、FR3、FR4、CH1、CH2、およびCH3、または(i)そのエピトープの特異的結合を媒介し、KLCP2と複合体化し、(ii)本明細書に記載されるように、LLCP1とは対照的にKLCP2に対して優先的に複合体化し、かつ(iii)本明細書に記載されるように、HCP2の別の分子とは対照的にHCP1に対して優先的に複合体化するために十分なこれらからの配列を含む。HCP2は、そのKLCP2と共に、第2のエピトープに対する特異性を提供する(LLCP1は、そのHCP1と共に、第1のエピトープに対する特異性を提供する)。
【0338】
本明細書に開示される多特異性抗体分子の一部の実施形態では、
LLCP1は、HCP2に対してよりもHCP1に対してより高い親和性を有し、かつ/または
KLCP2は、HCP1に対してよりもHCP2に対してより高い親和性を有する。
【0339】
実施形態では、HCP1に対するLLCP1の親和性は、HCP2に対するその親和性より十分に高く、それによって、予め選択された条件下、例えば、例えばpH7の水性緩衝液中、例えばpH7の生理食塩水中、または生理的条件下で、多特異性抗体分子の少なくとも75、80、90、95、98、99、99.5、または99.9%は、HCP1と複合体化した、または結び付けられたLLCP1を有する。
【0340】
本明細書に開示される多特異性抗体分子の一部の実施形態では、
HCP1は、HCP1の第2の分子に対してよりもHCP2に対してより高い親和性を有し、かつ/または
HCP2は、HCP2の第2の分子に対してよりもHCP1に対してより高い親和性を有する。
【0341】
実施形態では、HCP2に対するHCP1の親和性は、HCP1の第2の分子に対するその親和性より十分に高く、それによって、予め選択された条件下、例えば、例えばpH7の水性緩衝液中、例えばpH7の生理食塩水中、または生理的条件下で、多特異性抗体分子の少なくとも75%、80、90、95、98、99 99.5または99.9%は、HCP2と複合体化した、または結び付けられたHCP1を有する。
【0342】
別の態様では、多特異性抗体分子を作製、または産生する方法が本明細書に開示される。方法は、(i)~(iv)が会合する条件下で、
(i)第1の重鎖ポリペプチド(例えば、第1の重鎖可変領域(第1のVH)、第1のCH1、第1の重鎖定常領域(例えば、第1のCH2、第1のCH3、または両方)のうちの1つ、2つ、3つまたはすべてを含む重鎖ポリペプチド)を提供するステップ、
(ii)第2の重鎖ポリペプチド(例えば、第2の重鎖可変領域(第2のVH)、第2のCH1、第2の重鎖定常領域(例えば、第2のCH2、第2のCH3、または両方)のうちの1つ、2つ、3つまたはすべてを含む重鎖ポリペプチド)を提供するステップ、
(iii)第1の重鎖ポリペプチド(例えば、第1のVH)と優先的に会合するラムダ鎖ポリペプチド(例えば、ラムダ軽鎖可変領域(VLλ)、ラムダ軽鎖定常鎖(VLλ)、または両方)を提供するステップ、および
(iv)第2の重鎖ポリペプチド(例えば、第2のVH)と優先的に会合するカッパ鎖ポリペプチド(例えば、ラムダ軽鎖可変領域(VLκ)、ラムダ軽鎖定常鎖(VLκ)、または両方)を提供するステップ
を含む。
【0343】
実施形態では、第1および第2の重鎖ポリペプチドは、ヘテロ二量体化を増強するFc境界部を形成する。
実施形態では、(i)~(iv)(例えば、(i)~(iv)をコードする核酸)は、単一の細胞、例えば、単一の哺乳動物細胞、例えば、CHO細胞に導入される。実施形態では、(i)~(iv)は、細胞中で発現される。
【0344】
実施形態では、(i)~(iv)(例えば、(i)~(iv)をコードする核酸)は、異なる細胞、例えば、異なる哺乳動物細胞、例えば、2つまたはより多くのCHO細胞に導入される。実施形態では、(i)~(iv)は、細胞中で発現される。
【0345】
一実施形態では、方法は、例えば、ラムダおよび/またはカッパ特異的精製、例えば、親和性クロマトグラフィーを使用して、細胞発現抗体分子を精製するステップをさらに含む。
【0346】
実施形態では、方法は、細胞発現多特異性抗体分子を評価することをさらに含む。例えば、精製された細胞発現多特異性抗体分子は、質量分析を含む、当該技術分野において公知の技術によって分析することができる。一実施形態では、精製された細胞発現抗体分子は、切断、例えば、パパインを用いて消化されて、Fab部分をもたらし、質量分析を使用して評価される。
【0347】
実施形態では、方法は、高い収率、例えば、少なくとも75%、80、90、95、98、99 99.5または99.9%で、正しく対になったカッパ/ラムダ多特異性の、例えば、二特異性の抗体分子を産生する。
【0348】
他の実施形態では、多特異性の、例えば、二特異性の、抗体分子は、
(i)第1の重鎖ポリペプチド(HCP1)(例えば、第1の重鎖可変領域(第1のVH)、第1のCH1、第1の重鎖定常領域(例えば、第1のCH2、第1のCH3、または両方)のうちの1つ、2つ、3つまたはすべてを含む重鎖ポリペプチド)であって、例えば、第1のエピトープに結合する、HCP1、
(ii)第2の重鎖ポリペプチド(HCP2)(例えば、第2の重鎖可変領域(第2のVH)、第2のCH1、第2の重鎖定常領域(例えば、第2のCH2、第2のCH3、または両方)のうちの1つ、2つ、3つまたはすべてを含む重鎖ポリペプチド)であって、例えば、第2のエピトープに結合する、HCP2、
(iii)第1の重鎖ポリペプチド(例えば、第1のVH)と優先的に会合するラムダ軽鎖ポリペプチド(LLCP1)(例えば、ラムダ軽鎖可変領域(VLl)、ラムダ軽鎖定常鎖(VLl)、または両方)であって、例えば、第1のエピトープに結合する、LLCP1、および
(iv)第2の重鎖ポリペプチド(例えば、第2のVH)と優先的に会合するカッパ軽鎖ポリペプチド(KLCP2)(例えば、ラムダ軽鎖可変領域(VLk)、ラムダ軽鎖定常鎖(VLk)、または両方)であって、例えば、第2のエピトープに結合する、KLCP2
を含む。
【0349】
実施形態では、第1および第2の重鎖ポリペプチドは、ヘテロ二量体化を増強するFc境界部を形成する。実施形態では、多特異性抗体分子は、Fc定常、CH2-CH3ドメイン(ノブ修飾を有する)に接続された第1の重鎖可変領域にヘテロ二量体化したハイブリッドVLl-CLlを含む第1の結合特異性、およびFc定常、CH2-CH3ドメイン(ホール修飾を有する)に接続された第2の重鎖可変領域にヘテロ二量体化したハイブリッドVLk-CLkを含む第2の結合特異性を有する。
【0350】
リンカー
本明細書に開示される多特異性または多機能性分子は、リンカー、例えば、抗原結合性ドメインとサイトカイン分子との間、抗原結合性ドメインと免疫細胞エンゲージャーとの間、抗原結合性ドメインと間質改変部分との間、サイトカイン分子と免疫細胞エンゲージャーとの間、サイトカイン分子と間質改変部分との間、免疫細胞エンゲージャーと間質改変部分との間、抗原結合性ドメインと免疫グロブリン鎖定常領域との間、サイトカイン分子と免疫グロブリン鎖定常領域との間、免疫細胞エンゲージャーと免疫グロブリン鎖定常領域との間、または間質改変部分と免疫グロブリン鎖定常領域との間のうちの1つまたは複数におけるリンカーをさらに含み得る。実施形態では、リンカーは、切断性リンカー、非切断性リンカー、ペプチドリンカー、可撓性リンカー、剛性リンカー、ヘリックスリンカー、もしくは非ヘリックスリンカー、またはこれらの組合せから選択される。
【0351】
一実施形態では、多特異性分子は、1つ、2つ、3つ、または4つのリンカー、例えば、ペプチドリンカーを含み得る。一実施形態では、ペプチドリンカーは、GlyおよびSerを含む。一部の実施形態では、ペプチドリンカーは、GGGGS(配列番号42);GGGGSGGGGS(配列番号43);GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号44);およびDVPSGPGGGGGSGGGGS(配列番号45)から選択される。一部の実施形態では、ペプチドリンカーは、A(EAAAK)nA(配列番号6154)ファミリーのリンカー(例えば、Protein Eng. (2001) 14 (8): 529-532に記載される)である。これらは、nが2~5の範囲である剛直なヘリックスリンカーである。一部の実施形態では、ペプチドリンカーは、AEAAAKEAAAKAAA(配列番号75);AEAAAKEAAAKEAAAKAAA(配列番号76);AEAAAKEAAAKEAAAKEAAAKAAA(配列番号77);およびAEAAAKEAAAKEAAAKEAAAKEAAAKAAA(配列番号78)から選択される。
【0352】
標的化部分
一実施形態では、抗NKp30抗体分子は、がん抗原、例えば、腫瘍抗原または間質抗原に結合する第2の抗原結合性部分、例えば、腫瘍標的化部分をさらに含む。一部の実施形態では、がん抗原は、例えば、哺乳動物の、例えば、ヒトの、がん抗原である。他の実施形態では、抗体分子は、免疫細胞抗原、例えば、哺乳動物の、例えば、ヒトの、免疫細胞抗原に結合する第2の結合性部分をさらに含む。他の実施形態では、抗体分子は、ウイルス抗原に結合する第2の結合性部分をさらに含む。例えば、抗体分子は、がん抗原、免疫細胞抗原上のエピトープ、例えば、線状または立体構造エピトープに特異的に結合する。
【0353】
一部の実施形態では、多特異性(例えば、二、三、四特異性)分子は、例えば、分子を腫瘍細胞に指向させる1つまたは複数の腫瘍特異的標的化部分を含有するように操作される。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される多特異性分子は、腫瘍-標的化部分を含む。腫瘍標的化部分は、抗体分子(例えば、本明細書に記載される抗原結合性ドメイン)、受容体もしくは受容体断片、またはリガンドもしくはリガンド断片、またはこれらの組合せから選択され得る。一部の実施形態では、腫瘍標的化部分は、腫瘍細胞(例えば、腫瘍細胞の表面上に存在する分子、例えば、抗原)と会合する、例えば、それに結合する。ある特定の実施形態では、腫瘍標的化部分は、例えば、本明細書に開示される多特異性分子を、がん(例えば、がんまたは腫瘍細胞)へと標的化する、例えば、指向させる。一部の実施形態では、がんは、血液がん、固形がん、転移がん、またはこれらの組合せから選択される。
【0354】
一部の実施形態では、多特異性分子、例えば、腫瘍標的化部分は、固形腫瘍抗原または間質抗原に結合する。固形腫瘍抗原または間質抗原は、固形腫瘍、またはその転移性病変上に存在し得る。一部の実施形態では、固形腫瘍は、膵臓がん(例えば、膵臓腺癌)、乳がん、結腸直腸がん、肺がん(例えば、小細胞がんもしくは非小細胞肺がん)、皮膚がん、卵巣がん、または肝臓がんのうちの1つまたは複数から選択される。一実施形態では、固形腫瘍は、線維性または線維形成性の固形腫瘍である。例えば、固形腫瘍抗原または間質抗原は、腫瘍、例えば、限定された腫瘍潅流、血管の圧縮、または線維性腫瘍間質のうちの1つまたは複数を有することが典型的なクラスの腫瘍上に存在し得る。
【0355】
ある特定の実施形態では、固形腫瘍抗原は、PDL1、CD47、メソセリン、ガングリオシド2(GD2)、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PMSA)、前立腺特異的抗原(PSA)、がん胎児性抗原(CEA)、Ronキナーゼ、c-Met、未成熟ラミニン受容体、TAG-72、BING-4、カルシウム活性化塩化物チャネル2、サイクリン-B1、9D7、Ep-CAM、EphA3、Her2/neu、テロメラーゼ、SAP-1、サバイビン、NY-ESO-1/LAGE-1、PRAME、SSX-2、メラン-A/MART-1、Gp100/pmel17、チロシナーゼ、TRP-1/-2、MC1R、β-カテニン、BRCA1/2、CDK4、CML66、フィブロネクチン、p53、Ras、TGF-B受容体、AFP、ETA、MAGE、MUC-1、CA-125、BAGE、GAGE、NY-ESO-1、β-カテニン、CDK4、CDC27、CD47、αアクチニン-4、TRP1/gp75、TRP2、gp100、メラン-A/MART1、ガングリオシド、WT1、EphA3、上皮成長因子受容体(EGFR)、CD20、MART-2、MART-1、MUC1、MUC2、MUM1、MUM2、MUM3、NA88-1、NPM、OA1、OGT、RCC、RUI1、RUI2、SAGE、TRG、TRP1、TSTA、葉酸受容体アルファ、L1-CAM、CAIX、EGFRvIII、gpA33、GD3、GM2、VEGFR、インテグリン(インテグリンアルファVベータ3、インテグリンアルファ5ベータ1)、炭水化物(Le)、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、またはRANKLのうちの1つまたは複数から選択される。一部の実施形態では、固形腫瘍抗原は、PDL1、メソテリン、CD47、GD2、PMSA、PSCA、CEA、Ronキナーゼ、またはc-Metから選択される。腫瘍標的化部分の例示的なアミノ酸およびヌクレオチド配列は、参照により本明細書に組み込まれWO2017/165464に開示され、例えば、102~108頁、172~290頁を参照されたい。
【0356】
一部の実施形態では、抗NKp30抗体分子(例えば、多特異性抗体分子)は、自己反応性T細胞、例えば、炎症性障害または自己免疫障害に関連する自己反応性T細胞の表面に存在する抗原に結合する標的化部分、例えば、結合特異性をさらに含む。
【0357】
一部の実施形態では、抗NKp30抗体分子(例えば、多特異性抗体分子)は、感染細胞、例えば、ウイルス感染細胞に結合する標的化部分、例えば、結合特異性をさらに含む。
【0358】
T細胞エンゲージャー
他の実施形態では、抗NKp30抗体分子(例えば、多特異性抗体分子)は、T細胞への結合および/またはT細胞の活性化を媒介する1つまたは複数のT細胞エンゲージャーをさらに含む。したがって、一部の実施形態では、T細胞エンゲージャーは、CD3、TCRα、TCRβ、TCRγ、TCRζ、ICOS、CD28、CD27、HVEM、LIGHT、CD40、4-1BB、OX40、DR3、GITR、CD30、TIM1、SLAM、CD2、またはCD226のうちの1つまたは複数に結合する(例えば、一部の実施形態では、活性化する)抗原結合性ドメインまたはリガンドから選択される。他の実施形態では、T細胞エンゲージャーは、CD3、TCRα、TCRβ、TCRγ、TCRζ、ICOS、CD28、CD27、HVEM、LIGHT、CD40、4-1BB、OX40、DR3、GITR、CD30、TIM1、SLAM、CD2、またはCD226のうちの1つまたは複数に結合し、活性化しない抗原結合性ドメインまたはリガンドから選択される。
【0359】
例示的なT細胞エンゲージャーは、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2017/165464号に開示される。
サイトカイン分子
他の実施形態では、抗NKp30抗体分子(例えば、多特異性抗体分子)は、1つまたは複数のサイトカイン分子、例えば、免疫調節性(例えば、炎症促進性)サイトカインおよびそのバリアント、例えば、機能的バリアントをさらに含む。よって、一部の実施形態では、サイトカイン分子は、インターロイキンまたはそのバリアント、例えば、機能的バリアントである。一部の実施形態では、インターロイキンは炎症促進性インターロイキンである。一部の実施形態では、インターロイキンは、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-12(IL-12)、インターロイキン-15(IL-15)、インターロイキン-18(IL-18)、インターロイキン-21(IL-21)、インターロイキン-7(IL-7)、またはインターフェロンガンマから選択される。一部の実施形態では、サイトカイン分子は炎症促進性サイトカインである。ある特定の実施形態では、サイトカインは一本鎖サイトカインである。ある特定の実施形態では、サイトカインは、多鎖サイトカインである(例えば、サイトカインは、2つまたはより多くの(例えば、2つの)ポリペプチド鎖を含む。例示的な多鎖サイトカインはIL-12である。
【0360】
有用なサイトカインの例としては、GM-CSF、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、IL-21、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、MIP-1α、MIP-1β、TGF-β、TNF-α、およびTNFβが挙げられるがそれに限定されない。一実施形態では、多特異性または多機能性ポリペプチドのサイトカインは、GM-CSF、IL-2、IL-7、IL-8、IL-10、IL-12、IL-15、IL-21、IFN-α、IFN-γ、MIP-1α、MIP-1βおよびTGF-βの群から選択されるサイトカインである。一実施形態では、多特異性または多機能性ポリペプチドのサイトカインは、IL-2、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IFN-α、およびIFN-γの群から選択されるサイトカインである。ある特定の実施形態では、サイトカインは、N-および/またはO-グリコシル化部位を除去するために突然変異される。グリコシル化の排除は、組換え産生において得られ得る製造物の均質性を増加させる。
【0361】
一実施形態では、多特異性または多機能性ポリペプチドのサイトカインはIL-2である。詳細な実施形態では、IL-2サイトカインは、活性化Tリンパ球細胞の増殖、活性化Tリンパ球細胞の分化、細胞傷害性T細胞(CTL)活性、活性化B細胞の増殖、活性化B細胞の分化、ナチュラルキラー(NK)細胞の増殖、NK細胞の分化、活性化T細胞またはNK細胞によるサイトカイン分泌、およびNK/リンパ球活性化キラー(LAK)抗腫瘍細胞傷害性からなる群から選択される細胞応答のうちの1つまたは複数を誘発することができる。別の特定の実施形態では、IL-2サイトカインは、IL-2受容体のアルファ-サブユニットに対して低減した結合親和性を有する突然変異体IL-2サイトカインである。ベータおよびガンマ-サブユニット(それぞれCD122およびCD132として公知)と共に、アルファ-サブユニット(CD25としても公知)は、ヘテロ三量体の高親和性IL-2受容体を形成するが、β-およびγ-サブユニットのみからなる二量体受容体は、中親和性IL-2受容体と称される。PCT特許出願番号PCT/EP2012/051991(これにより参照により全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるように、IL-2受容体のアルファ-サブユニットに対して低減した結合を有する突然変異体IL-2ポリペプチドは、野生型IL-2ポリペプチドと比較して、制御性T細胞中でIL-2シグナル伝達を誘導する低減した能力を有し、T細胞中でより少ない活性化誘導性細胞死(AICD)を誘導し、かつin vivoでの低減した毒性プロファイルを有する。低減した毒性を有するそのようなサイトカインの使用は、Fcドメインの存在に起因して長い血清半減期を有する本発明による多特異性または多機能性ポリペプチドにおいて特に有利である。一実施形態では、本発明による多特異性または多機能性ポリペプチドの突然変異体IL-2サイトカインは、突然変異されていないIL-2サイトカインと比較して、IL-2受容体のアルファ-サブユニット(CD25)に対する突然変異体IL-2サイトカインの親和性を低減しまたは消失させるが、中親和性IL-2受容体(IL-2受容体のβおよびγサブユニットからなる)に対する突然変異体IL-2サイトカインの親和性を保存する少なくとも1つのアミノ酸突然変異を含む。一実施形態では、1つまたは複数のアミノ酸突然変異はアミノ酸置換である。詳細な実施形態では、突然変異体IL-2サイトカインは、ヒトIL-2の残基42、45、および72に対応する位置から選択される1つ、2つまたは3つの位置における1つ、2つまたは3つのアミノ酸置換を含む。より詳細な実施形態では、突然変異体IL-2サイトカインは、ヒトIL-2の残基42、45および72に対応する位置における3つのアミノ酸置換を含む。よりいっそう詳細な実施形態では、突然変異体IL-2サイトカインは、アミノ酸置換F42A、Y45AおよびL72Gを含むヒトIL-2である。一実施形態では、突然変異体IL-2サイトカインは、ヒトIL-2の3位に対応する位置におけるアミノ酸突然変異を追加的に含み、これはIL-2のO-グリコシル化部位を排除する。特に、前記追加のアミノ酸突然変異は、スレオニン残基をアラニン残基によって置き換えるアミノ酸置換である。本発明において有用な特定の突然変異体IL-2サイトカインは、ヒトIL-2の残基3、42、45および72に対応する位置における4つのアミノ酸置換を含む。特定のアミノ酸置換は、T3A、F42A、Y45AおよびL72Gである。PCT特許出願番号PCT/EP2012/051991および付加された実施例において実証されるように、前記四重突然変異体IL-2ポリペプチド(IL-2 qm)は、CD25への検出可能な結合を呈さず、T細胞においてアポトーシスを誘導する低減した能力を呈し、制御性T細胞(T.sub.reg cells)においてIL-2シグナル伝達を誘導する低減した能力を呈し、かつin vivoでの低減した毒性プロファイルを呈する。しかしながら、それは、エフェクター細胞においてIL-2シグナル伝達を活性化させ、エフェクター細胞の増殖を誘導し、かつNK細胞により二次的なサイトカインとしてIFN-γを生成させる能力を保持する。
【0362】
上記の実施形態のいずれかによるIL-2または突然変異体IL-2サイトカインは、発現または安定性の増加などのさらなる利点を提供する追加の突然変異を含んでもよい。例えば、125位におけるシステインは、ジスルフィド架橋によるIL-2二量体の形成を回避するために、アラニンなどの中性アミノ酸で置き換えられてもよい。そのため、ある特定の実施形態では、本発明による多特異性または多機能性ポリペプチドのIL-2または突然変異体IL-2サイトカインは、ヒトIL-2の残基125に対応する位置における追加のアミノ酸突然変異を含む。一実施形態では、前記追加のアミノ酸突然変異はアミノ酸置換C125Aである。
【0363】
例示的なサイトカイン分子は、参照により本明細書に組み込まれるWO2017/165464に開示され、例えば、108~118頁、169~172頁を参照されたい。
TGF-β阻害剤
他の実施形態では、抗NKp30抗体分子(例えば、多特異性抗体分子)は、TGF-βの1つまたは複数のモジュレーター(例えば、TGF-β阻害剤)をさらに含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、TGF-βに結合し、それを阻害する、例えば、TGF-βの活性を低減させる。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、TGF-β1を阻害する(例えば、その活性を低減する)。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、TGF-β2を阻害する(例えば、その活性を低減する)。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、TGF-β3を阻害する(例えば、その活性を低減する)。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、TGF-β1およびTGF-β3を阻害する(例えば、それらの活性を低減する)。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、TGF-β1、TGF-β2、およびTGF-β3を阻害する(例えば、それらの活性を低減する)。
【0364】
一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、TGF-β、またはその機能的断片もしくはバリアントを阻害する(例えば、その活性の低減する)ことができるTGF-β受容体(例えば、TGF-β受容体の細胞外ドメイン)の一部を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、TGFBR1ポリペプチド(例えば、TGFBR1の細胞外ドメインまたはその機能的バリアント)を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、TGFBR2ポリペプチド(例えば、TGFBR2の細胞外ドメインまたはその機能的バリアント)を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、TGFBR3ポリペプチド(例えば、TGFBR3の細胞外ドメインまたはその機能的バリアント)を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、TGFBR1ポリペプチド(例えば、TGFBR1の細胞外ドメインまたはその機能的バリアント)およびTGFBR2ポリペプチド(例えば、TGFBR2の細胞外ドメインまたはその機能的バリアント)を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、TGFBR1ポリペプチド(例えば、TGFBR1の細胞外ドメインまたはその機能的バリアント)およびTGFBR3ポリペプチド(例えば、TGFBR3の細胞外ドメインまたはその機能的バリアント)を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、TGFBR2ポリペプチド(例えば、TGFBR2の細胞外ドメインまたはその機能的バリアント)およびTGFBR3ポリペプチド(例えば、TGFBR3の細胞外ドメインまたはその機能的バリアント)を含む。
【0365】
TGF-β阻害剤として使用され得る例示的なTGF-β受容体ポリペプチドは、US8993524、US9676863、US8658135、US20150056199、US20070184052、およびWO2017037634において開示されており、これらのすべては参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0366】
一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、TGFBR1の細胞外ドメインまたはそれに対して実質的に同一の配列(例えば、それに対して少なくとも80%、85%、90%、もしくは95%同一の配列)を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、配列番号3095の細胞外ドメイン、またはそれに対して実質的に同一の配列(例えば、それに対して少なくとも80%、85%、90%、もしくは95%同一の配列)を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、配列番号3096の細胞外ドメイン、またはそれに対して実質的に同一の配列(例えば、それに対して少なくとも80%、85%、90%、もしくは95%同一の配列)を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、配列番号3097の細胞外ドメイン、またはそれに対して実質的に同一の配列(例えば、それに対して少なくとも80%、85%、90%、もしくは95%同一の配列)を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、配列番号3104のアミノ酸配列、またはそれに対して実質的に同一の配列(例えば、それに対して少なくとも80%、85%、90%、もしくは95%同一の配列)を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、配列番号3105のアミノ酸配列、またはそれに対して実質的に同一の配列(例えば、それに対して少なくとも80%、85%、90%、もしくは95%同一の配列)を含む。
【0367】
一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、TGFBR2の細胞外ドメインまたはそれと実質的に同一の配列(例えば、それに対して少なくとも80%、85%、90%、もしくは95%同一の配列)を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、配列番号3098の細胞外ドメイン、またはそれに対して実質的に同一の配列(例えば、それに対して少なくとも80%、85%、90%、もしくは95%同一の配列)を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、配列番号3099の細胞外ドメイン、またはそれに対して実質的に同一の配列(例えば、それに対して少なくとも80%、85%、90%、もしくは95%同一の配列)を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、配列番号3100のアミノ酸配列、またはそれに対して実質的に同一の配列(例えば、それに対して少なくとも80%、85%、90%、もしくは95%同一の配列)を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、配列番号3101のアミノ酸配列、またはそれに対して実質的に同一の配列(例えば、それに対して少なくとも80%、85%、90%、もしくは95%同一の配列)を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、配列番号3102のアミノ酸配列、またはそれに対して実質的に同一の配列(例えば、それに対して少なくとも80%、85%、90%、もしくは95%同一の配列)を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、配列番号3103のアミノ酸配列、またはそれに対して実質的に同一の配列(例えば、それに対して少なくとも80%、85%、90%、もしくは95%同一の配列)を含む。
【0368】
一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、TGFBR3の細胞外ドメインまたはそれと実質的に同一の配列(例えば、それに対して少なくとも80%、85%、90%、もしくは95%同一の配列)を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、配列番号3106の細胞外ドメイン、またはそれに対して実質的に同一の配列(例えば、それに対して少なくとも80%、85%、90%、もしくは95%同一の配列)を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、配列番号3107の細胞外ドメイン、またはそれに対して実質的に同一の配列(例えば、それに対して少なくとも80%、85%、90%、もしくは95%同一の配列)を含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、配列番号3108のアミノ酸配列、またはそれに対して実質的に同一の配列(例えば、それに対して少なくとも80%、85%、90%、もしくは95%同一の配列)を含む。
【0369】
一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、1つだけのTGF-β受容体細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、TGF-β阻害剤は、例えば、リンカーを介して、連結された、2つまたはそれより多く(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれより多く)のTGF-β受容体細胞外ドメインを含む。
【0370】
【0371】
【0372】
【0373】
【0374】
【0375】
【0376】
【0377】
【0378】
【0379】
間質改変部分
他の実施形態では、抗NKp30抗体分子(例えば、多特異性抗体分子)は、1つまたは複数の間質改変部分をさらに含む。本明細書に記載される間質改変部分には、間質の成分、例えば、ECM成分、例えば、グリコサミノグリカン、例えば、ヒアルロナン(ヒアルロン酸またはHAとしても公知である)、コンドロイチン硫酸、コンドロイチン、デルマタン硫酸、ヘパリン硫酸、ヘパリン、エンタクチン、テナシン、アグリカンおよびケラチン硫酸を分解することができる部分(例えば、タンパク質、例えば、酵素);または細胞外タンパク質、例えば、コラーゲン、ラミニン、エラスチン、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、およびビトロネクチンが含まれる。
【0380】
一部の実施形態では、間質改変部分は酵素である。例えば、間質改変部分としては、ヒアルロニダーゼ、コラゲナーゼ、コンドロイチナーゼ、マトリックスメタロプロテイナーゼ(例えば、マクロファージメタロエラスターゼ)を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0381】
間質改変部分についての例示的なアミノ酸配列よびヌクレオチド配列は、参照により本明細書にに組み込まれるWO2017/165464に開示され、例えば、131~136頁、188~193頁を参照されたい。
【0382】
核酸
前述の抗体分子、例えば、多特異性または多機能性分子をコードする核酸もまた開示される。
【0383】
ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される抗体分子の重鎖および軽鎖可変領域およびCDRまたは超可変ループをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を特徴とする。例えば、本発明は、本明細書に開示される抗体分子のうちの1つまたは複数から選択される抗体分子の、重鎖および軽鎖可変領域をそれぞれコードする、第1および第2の核酸を特徴とする。核酸は、本明細書の表に記載されるヌクレオチド配列、またはそれに対して実質的に同一の配列(例えば、それに対して少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはそれ以上同一であるか、または3個、6個、15個、30個、もしくは45個以下のヌクレオチドが、本明細書の表に示される配列と異なる配列を含む。
【0384】
ある特定の実施形態では、核酸は、本明細書の表に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、もしくは3つのCDRもしくは超可変ループをコードするヌクレオチド配列、またはそれに対して実質的に相同である配列(例えば、それに対して少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはそれ以上同一である、かつ/または1つもしくは複数の置換、例えば、保存的置換を有する配列)を含み得る。他の実施形態では、核酸は、本明細書の表に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、もしくは3つのCDRもしくは超可変ループをコードするヌクレオチド配列、またはそれに対して実質的に相同である配列(例えば、それに対して少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはそれ以上同一である、かつ/または1つもしくは複数の置換、例えば、保存的置換を有する配列)を含み得る。なおも別の実施形態では、核酸は、本明細書の表に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖および軽鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つのCDRもしくは超可変ループをコードするヌクレオチド配列、またはそれに対して実質的に相同である配列(例えば、それに対して少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはそれ以上同一である、かつ/または1つもしくは複数の置換、例えば、保存的置換を有する配列)を含み得る。
【0385】
ある特定の実施形態では、核酸は、本明細書の表に記載されるヌクレオチド配列を有する重鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、もしくは3つのCDRもしくは超可変ループをコードするヌクレオチド配列、それに対して実質的に相同である配列(例えば、それに対して少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはそれ以上同一である、かつ/または本明細書に記載されるストリンジェンシー条件下においてハイブリダイズすることができる配列)を含み得る。別の実施形態では、核酸は、本明細書の表に記載されるヌクレオチド配列を有する軽鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、もしくは3つのCDRもしくは超可変ループをコードするヌクレオチド配列、またはそれに対して実質的に相同である配列(例えば、それに対して少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはそれ以上同一である、かつ/または本明細書に記載されるストリンジェンシー条件下においてハイブリダイズすることができる配列)を含み得る。なおも別の実施形態では、核酸は、本明細書の表に記載されるヌクレオチド配列を有する重鎖および軽鎖可変領域に由来する少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、もしくは6つのCDRもしくは超可変ループをコードするヌクレオチド配列、またはそれに対して実質的に相同である配列(例えば、それに対して少なくとも約85%、90%、95%、99%、もしくはそれ以上同一である、かつ/または本明細書に記載されるストリンジェンシー条件下においてハイブリダイズすることができる配列)を含み得る。
【0386】
ある特定の実施形態では、核酸は、本明細書に開示されるサイトカイン分子、免疫細胞エンゲージャー、または間質改変部分をコードするヌクレオチド配列を含み得る。
別の態様では、本出願は、本明細書に記載される核酸を含む宿主細胞およびベクターを特徴とする。核酸は、本明細書において以下により詳細に記載されるように、同じ宿主細胞または別個の宿主細胞に存在する単一のベクターまたは別個のベクターに存在し得る。
【0387】
ベクター
さらに、本明細書に記載される多特異性または多機能性分子をコードするヌクレオチド配列を含むベクターが本明細書で提供される。一実施形態では、ベクターは、本明細書に記載の多特異性または多機能性分子をコードするヌクレオチドを含む。一実施形態では、ベクターは、本明細書に記載のヌクレオチド配列を含む。ベクターとしては、ウイルス、プラスミド、コスミド、ラムダファージ、または酵母人工染色体(YAC)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0388】
多数のベクター系を用いることができる。例えば、1つのクラスのベクターは、動物ウイルス、例えば、ウシパピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、レトロウイルス(ラウス肉腫ウイルス、MMTV、もしくはMOMLV)、またはSV40ウイルスなどに由来するDNAエレメントを利用する。別のクラスのベクターは、RNAウイルス、例えば、セムリキ森林ウイルス、東部ウマ脳炎ウイルス、およびフラビウイルスに由来するRNAエレメントを利用する。
【0389】
加えて、DNAが染色体に安定に組み込まれた細胞を、トランスフェクトされた宿主細胞の選択を可能にする1つまたは複数のマーカーを導入することによって、選択することができる。マーカーは、例えば、栄養要求性宿主に対するプロトトロピー、殺生物剤耐性(例えば、抗生物質)、または重金属、例えば、銅に対する耐性などを提供し得る。選択可能なマーカー遺伝子は、発現させようとするDNA配列に直接的に連結させるか、または共形質転換によって同じ細胞に導入するかのいずれかを行うことができる。最適なmRNAの合成には、追加のエレメントも必要とされ得る。これらのエレメントとしては、スプライスシグナル、ならびに転写プロモーター、エンハンサー、および終結シグナルを挙げることができる。
【0390】
構築物を含む発現ベクターまたはDNA配列を、発現のために調製した後、発現ベクターを、適切な宿主細胞にトランスフェクトまたは導入することができる。例えば、プロトプラスト融合、リン酸カルシウム沈降、エレクトロポレーション、レトロウイルス形質導入、ウイルストランスフェクション、遺伝子銃、脂質に基づくトランスフェクション、または他の従来的な技法など、様々な技法を用いてこれを達成することができる。プロトプラスト融合の場合、細胞を、培地において成長させ、適切な活性に関してスクリーニングする。
【0391】
結果として得られたトランスフェクトした細胞の培養、および産生される抗体分子の回収のための方法および条件は、当業者に公知であり、本明細書に基づいて、用いられる具体的な発現ベクターおよび哺乳動物宿主細胞に応じて変更または最適化することができる。
【0392】
細胞
別の態様では、本出願は、本明細書に記載される核酸を含む宿主細胞およびベクターを特徴とする。核酸は、同じ宿主細胞または別個の宿主細胞に存在する単一のベクターまたは別個のベクターに存在し得る。宿主細胞は、真核生物細胞、例えば、哺乳動物細胞、昆虫細胞、酵母細胞、または原核生物細胞、例えば、大腸菌であってもよい。例えば、哺乳動物細胞は、培養した細胞または細胞系であり得る。例示的な哺乳動物細胞としては、リンパ球細胞系(例えば、NSO)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、COS細胞、卵母細胞、およびトランスジェニック動物に由来する細胞、例えば、乳腺上皮細胞が挙げられる。
【0393】
本発明はまた、本明細書に記載される抗体分子をコードする核酸を含む宿主細胞も提供する。
一実施形態では、宿主細胞は、抗体分子をコードする核酸を含むように遺伝子操作されている。
【0394】
一実施形態では、宿主細胞は、発現カセットを使用することによって遺伝子操作されている。「発現カセット」という語句は、ヌクレオチド配列を指し、そのような配列と適合性のある宿主における遺伝子の発現を達成することができる。そのようなカセットとしては、プロモーター、イントロンありまたはなしのオープンリーディングフレーム、終結シグナルを挙げることができる。例えば、誘導性プロモーターなど、発現を達成するのに必要であるかまたは役に立つ追加の因子もまた、使用することができる。
【0395】
本発明はまた、本明細書に記載されるベクターを含む宿主細胞も提供する。
細胞は、真核生物細胞、細菌細胞、昆虫細胞、またはヒト細胞であり得るが、これらに限定されない。好適な真核生物細胞としては、Vero細胞、HeLa細胞、COS細胞、CHO細胞、HEK293細胞、BHK細胞、およびMDCKII細胞が挙げられるが、これらに限定されない。好適な昆虫細胞としては、Sf9細胞が挙げられるが、これに限定されない。
【0396】
使用
本明細書に記載される方法は、例えば、本明細書に記載される医薬組成物を用いて、抗NKp30抗体分子、例えば、本明細書に記載される多特異性分子を使用して、対象における障害、例えば、がん、自己免疫障害もしくは炎症性障害、または感染性障害を処置するステップを含む。また、対象における障害、例えば、がん、自己免疫障害もしくは炎症性障害、または感染性障害の症状を低減するかまたは改善する方法、ならびに疾患細胞、例えば、がん細胞の増殖を阻害する方法、および/または1つまたは複数の疾患細胞、例えば、がん細胞を殺滅もしくは枯渇させる方法もまた提供される。実施形態では、本明細書に記載される方法は、本明細書に記載されるものまたは本明細書に記載される医薬組成物が投与される対象において、腫瘍のサイズを減少させ、かつ/またはがん細胞の数を減少させる。
【0397】
実施形態では、抗体分子、例えば、多特異性分子または医薬組成物は、対象に非経口投与される。実施形態では、抗体分子または医薬組成物は、静脈内、皮下、腫瘍内、節内、筋肉内、皮内、または腹腔内で、対象に投与される。実施形態では、細胞は、腫瘍またはリンパ節に直接的に、投与される、例えば、注射される。実施形態では、細胞は、注入(例えば、Rosenberg et al., New Eng. J. of Med. 319:1676, 1988に記載される)または静脈内プッシュ(intravenous push)として投与される。実施形態では、細胞は、注射可能なデポー製剤として投与される。
【0398】
実施形態では、対象は、哺乳動物である。実施形態では、対象は、ヒト、サル、ブタ、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、ラット、またはマウスである。実施形態では、対象は、ヒトである。実施形態では、対象は、例えば、18歳未満、例えば、17歳未満、16歳未満、15歳未満、14歳未満、13歳未満、12歳未満、11歳未満、10歳未満、9歳未満、8歳未満、7歳未満、6歳未満、5歳未満、4歳未満、3歳未満、2歳未満、1歳未満、またはそれ未満の小児対象である。実施形態では、対象は、成人、例えば、少なくとも18歳、例えば、少なくとも19歳、20歳、21歳、22歳、23歳、24歳、25歳、25~30歳、30~35歳、35~40歳、40~50歳、50~60歳、60~70歳、70~80歳、または80~90歳である。
【0399】
がん
実施形態では、がんは、血液がん、固形腫瘍またはその転移性病変である。一部の実施形態では、がんを処置するために使用される抗NKp30抗体分子は、腫瘍標的化部分、例えば、本明細書に記載される腫瘍標的化部分をさらに含む。
【0400】
実施形態では、血液がんは、白血病またはリンパ腫である。本明細書で使用される場合、「血液がん」は、造血系またはリンパ系組織の腫瘍、例えば、血液、骨髄、またはリンパ節に罹患する腫瘍を指す。例示的な血液悪性腫瘍としては、白血病(例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病、急性単球性白血病(AMoL)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、もしくは大顆粒リンパ球性白血病)、リンパ腫(例えば、AIDS関連リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫(例えば、古典的なホジキンリンパ腫もしくは結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫))、菌状息肉腫、非ホジキンリンパ腫(例えば、B細胞非ホジキンリンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL))、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前駆体Bリンパ芽球性リンパ腫、もしくはマントル細胞リンパ腫)、またはT細胞非ホジキンリンパ腫(菌状息肉腫、未分化大細胞リンパ腫、もしくは前駆体Tリンパ芽球性リンパ腫))、原発性中枢神経系リンパ腫、セザリー症候群、ワルデンワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症)、慢性骨髄増殖性新生物、ランゲルハンス細胞組織球症、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、骨髄異形成症候群、または骨髄異形成/骨髄増殖性新生物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0401】
実施形態では、がんは、固形がんである。例示的な固形がんとしては、卵巣がん、直腸がん、胃がん、精巣がん、肛門領域のがん、子宮がん、結腸がん、直腸がん、腎細胞癌、肝臓がん、肺の非小細胞癌、小腸のがん、食道のがん、黒色腫、カポジ肉腫、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部のがん、皮膚もしくは眼球の悪性黒色腫、子宮がん、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、類表皮がん、頸部扁平上皮がんの癌、卵管の癌、子宮内膜の癌、膣の癌、軟部組織の肉腫、尿道のがん、外陰部の癌、陰茎のがん、膀胱のがん、腎臓もしくは尿管のがん、腎盂の癌、脊髄軸腫瘍、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、前記がんの転移性病変、またはこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0402】
ある特定の実施形態では、がんは、上皮性、間葉性または血液性の悪性腫瘍である。ある特定の実施形態では、処置されるがんは、固形腫瘍(例えば、カルチノイド、癌または肉腫)、軟部組織腫瘍(例えば、ヘム悪性腫瘍)、および転移性病変、例えば、本明細書に開示されるがんのいずれかの転移性病変である。一実施形態では、処置されるがんは、線維性または線維形成性の固形腫瘍、例えば、限定された腫瘍潅流、血管の圧縮、線維性腫瘍間質、または増加した間質液圧のうちの1つまたは複数を有する腫瘍である。一実施形態では、固形腫瘍は、膵臓がん(例えば、膵臓腺癌または膵管腺癌)、乳がん、結腸がん、結腸直腸がん、肺がん(例えば、小細胞肺がん(SCLC)もしくは非小細胞肺がん(NSCLC))、皮膚がん、卵巣がん、肝臓がん、食道がん、子宮内膜がん、胃がん、頭頸部がん、腎臓がん、または前立腺がんのうちの1つまたは複数から選択される。
【0403】
がんの例としては、限定されないが、癌、リンパ腫、芽腫、肉腫、および白血病またはリンパ性悪性腫瘍が挙げられる。このようながんのより特定の例が下記に記載され、扁平上皮細胞がん(例えば、上皮扁平上皮細胞がん)、小細胞肺がんを含む肺がん、非小細胞肺がん、肺の腺癌および肺の扁平上皮癌、腹膜がん、肝細胞がん、消化管がんを含む胃(gastric)がんまたは胃(stomach)がん、膵臓がん、神経膠芽細胞腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、肝腫、乳がん、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜がんまたは子宮癌、唾液腺癌、腎臓がんまたは腎がん、前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝がん種、肛門癌、および陰茎癌、ならびに頭頸部がんが含まれる。用語「がん」は、原発性悪性細胞または腫瘍(例えば、細胞が、元の悪性腫瘍または腫瘍の部位以外に対象の身体の部位に移動していないもの)、および二次性悪性細胞または腫瘍(例えば、転移、悪性細胞または腫瘍細胞の、元の腫瘍の部位とは異なる二次部位への移動から生じるもの)を含む。
【0404】
がんまたは悪性腫瘍の他の例としては、限定されないが、急性小児リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、成人(原発性)肝細胞がん、成人(原発性)肝がん、成人急性リンパ性白血病、成人急性骨髄性白血病、成人ホジキン病、成人ホジキンリンパ腫、成人リンパ球性白血病、成人非ホジキンリンパ腫、成人原発性肝がん、成人軟部組織肉腫、AIDS関連リンパ腫、AIDS関連悪性腫瘍、肛門がん、星状細胞腫、胆管がん、膀胱がん、骨がん、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、乳がん、腎盂および尿管のがん、中枢神経系(原発性)リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、小脳星状細胞腫、脳星状細胞腫、頸部がん、小児(原発性)肝細胞がん、小児(原発性)肝臓がん、小児急性リンパ芽球性白血病、小児急性骨髄性白血病、小児脳幹神経膠腫、小児小脳星状細胞腫、小児脳星状細胞腫、小児頭蓋外胚細胞腫瘍、小児ホジキン病、小児ホジキンリンパ腫、小児視床下部および視覚経路神経膠腫、小児リンパ芽球性白血病、小児髄芽腫、小児非ホジキンリンパ腫、小児松果体およびテント上原始神経外胚葉性腫瘍、小児原発性肝臓がん、小児横紋筋肉腫、小児軟部肉腫、小児視覚経路および視床下部神経膠腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸がん、皮膚T細胞リンパ腫、内分泌膵臓膵島細胞癌、子宮内膜がん、上衣腫、上皮がん、食道がん、ユーイング肉腫および関連腫瘍、外分泌膵臓がん、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、眼がん、女性乳がん、ゴーシェ病、胆嚢がん、胃がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管腫瘍、生殖細胞腫瘍、妊娠性栄養芽細胞性腫瘍、毛細胞白血病、頭頸部がん、肝細胞がん、ホジキン病、ホジキンリンパ腫、高ガンマグロブリン血症、下咽頭がん、腸がん、眼内黒色腫、膵島細胞癌、膵島細胞膵臓がん、カポジ肉腫、腎臓がん、喉頭がん、唇および口腔がん、肝臓がん、肺がん、リンパ増殖性疾患、マクログロブリン血症、球男性乳がん、悪性中皮腫、悪性胸腺腫、髄芽細胞腫、メラノーマ、中皮腫、転移性潜在性原発性扁平上皮頚部がん、転移性原発性扁平上皮頚部がん、転移性扁平上皮頚部がん、多発性骨髄腫、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病(Myelogenous Leukemia)、骨髄性白血病(Myeloid Leukemia)、骨髄増殖性障害、鼻腔および傍鼻洞がん、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、妊娠中の非ホジキンリンパ腫、非黒色腫皮膚がん、非小細胞肺がん、潜在性原発性転移性扁平上皮頸部がん、中咽頭がん、骨/悪性線維性肉腫、骨肉腫/悪性線維性組織球腫、骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫、卵巣上皮がん、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性腫瘍、膵臓がん、傍タンパク血症、紫斑病、副甲状腺がん、陰茎がん、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、形質細胞新生物/多発性骨髄腫、原発性中枢神経系リンパ腫、原発性肝臓がん、前立腺がん、直腸がん、腎細胞がん、腎盂および尿管がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、サルコイドーシス肉腫、セザリー症候群、皮膚がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟組織肉腫、扁平上皮頸部がん、胃がん、テント上原始神経外胚葉性および松果体腫瘍、T細胞リンパ腫、精巣がん、胸腺腫、甲状腺がん、腎盂および尿管の移行細胞がん、移行性腎盂および尿管がん、栄養芽細胞性腫瘍、尿管および腎盂細胞がん、尿道がん、子宮がん、子宮肉腫、膣がん、視覚経路および視床下部神経膠腫、外陰がん、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍、および上記で列挙された臓器系にある新生物以外の任意の他の過剰増殖性疾患が挙げられる。
【0405】
他の実施形態では、多特異性分子は、上記され、本明細書に記載されるように、過剰増殖性障害、例えば、過剰増殖性結合組織障害(例えば、過剰増殖性線維性疾患)を処置するために使用される。一実施形態では、過剰増殖性線維性疾患は、多臓器特異的または臓器特異的である。例示的な過剰増殖性線維性疾患は、限定されないが、多臓器特異的障害(例えば、全身性硬化症、多巣性線維硬化症、骨髄移植レシピエントにおける硬化性移植片対宿主疾患、腎性全身性線維症、強皮症)および臓器特異的障害(例えば、眼、肺、肝臓、心臓、腎臓、膵臓、皮膚および他の臓器の線維症)を含む。他の実施形態では、障害は、肝硬変または結核から選択される。他の実施形態では、障害はハンセン病である。
【0406】
実施形態では、多特異性分子(または医薬組成物)は、処置または予防しようとする疾患にとって適切な方式で投与される。投与の回数および頻度は、患者の状態、ならびに患者の疾患の種類および重症度などの因子によって決定される。適切な投薬量は、臨床試験によって決定され得る。例えば、「有効量」または「治療有効量」が示される場合、投与される医薬組成物(または多特異性分子)の正確な量は、腫瘍サイズ、感染または転移の程度、対象の年齢、体重、および状態における個人差を考慮して、医師によって決定され得る。実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、104~109個の細胞/体重kg、例えば、105~106個の細胞/体重kgの投薬量で投与され得、これらの範囲内のすべての整数値が含まれる。実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、これらの投薬量で複数回投与されてもよい。実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、免疫療法において説明されている注入技法を使用して投与してもよい(例えば、Rosenberg et al., New Eng. J. of Med. 319:1676, 1988を参照されたい)。
【0407】
実施形態では、がんは骨髄増殖性新生物、例えば、原発性または特発性骨髄線維症(MF)、本態性血小板増加症(ET)、真性赤血球増加症(PV)、または慢性骨髄性白血病(CML)である。実施形態では、対象は骨髄線維症を有する。実施形態では、対象は、カルレティキュリン突然変異、例えば、本明細書に開示されるカルレティキュリン突然変異を有する。実施形態では、対象はJAK2-V617F突然変異を有さない。実施形態では、対象は、JAK2-V617F突然変異を有する。実施形態では、対象はMPL突然変異を有する。実施形態では、対象はMPL突然変異を有さない。
【0408】
実施形態では、がんは、固形がんである。例示的な固形がんとしては、卵巣がん、直腸がん、胃がん、精巣がん、肛門領域のがん、子宮がん、結腸がん、直腸がん、腎細胞癌、肝臓がん、肺の非小細胞癌、小腸のがん、食道のがん、黒色腫、カポジ肉腫、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部のがん、皮膚もしくは眼球の悪性黒色腫、子宮がん、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、類表皮がん、頸部扁平上皮がんの癌、卵管の癌、子宮内膜の癌、膣の癌、軟部組織の肉腫、尿道のがん、外陰部の癌、陰茎のがん、膀胱のがん、腎臓もしくは尿管のがん、腎盂の癌、脊髄軸腫瘍、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、前記がんの転移性病変、これらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0409】
炎症性および自己免疫障害
一部の実施形態では、本明細書に開示される抗NKp30抗体分子、例えば多特異性抗体分子は、炎症性疾患および自己免疫疾患、ならびに移植片対宿主疾患(GvHD)を処置するために使用することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗体分子、例えば、多特異性抗体分子は、例えば、NK細胞、例えば、NKp30発現細胞を自己反応性T細胞に指向させることによって、自己反応性自己T細胞を枯渇させる。一部の実施形態では、抗NKp30抗体分子は、自己反応性T細胞、例えば、炎症性障害または自己免疫障害に関連する自己反応性T細胞の表面に存在する抗原に結合する結合特異性をさらに含む。
【0410】
本明細書で使用される場合、用語「自己免疫」疾患、障害、または状態は、身体の免疫系が自身の細胞または組織を攻撃する疾患を指す。自己免疫疾患は、自身の抗原または自己抗原に対して不適切に産生され、および/または過剰に産生される自己抗体の産生をもたらすことがある。自己免疫疾患としては、心臓血管疾患、リウマチ性疾患、腺疾患、胃腸疾患、皮膚疾患、肝臓疾患、神経学的疾患、筋肉疾患、腎臓疾患、生殖に関する疾患、結合組織疾患および全身性疾患が挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、自己免疫疾患は、T細胞、B細胞、先天免疫細胞(例えば、マクロファージ、好酸球、もしくはナチュラルキラー細胞)、または補体媒介性経路により媒介される。
【0411】
本発明の抗体を投与することによって処置され得る自己免疫障害の例としては、限定円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アディソン病、副腎腺の自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵胞炎および精巣炎、自己免疫性血小板減少症、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、腹腔スプルー皮膚炎、慢性疲労免疫機能不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、チャーグ-ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、CREST症候群、寒冷凝集素症、クローン病、円板状ループス、本質的な混合クリオグロブリン血症、原発性線維筋痛症、糸球体腎炎、グレイブス病、ギラン-バール、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA神経障害、若年性関節炎、扁平苔癬、全身性エリテマトーデス、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、視神経脊髄炎(NMO)、1型または免疫介在性糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多慢性炎、多腺症候群、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬性関節炎、レイノー現象、ライター症候群、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティフマン症候群、全身性エリテマトーデス、紅斑性狼瘡、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、横脊髄炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、疱疹状皮膚炎血管炎などの血管炎、白斑、およびウェゲナー肉芽腫症が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、自己免疫障害は、SLEまたは1型糖尿病である。
【0412】
本発明の方法に従って予防するか、処置するかまたは管理することができる炎症性障害の例には、限定されないが、喘息、脳炎、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性障害、敗血症性ショック、肺線維症、未分化脊椎関節症、未分化関節症、関節炎、炎症性骨溶解、および慢性ウイルス感染または細菌感染に起因する慢性炎症が含まれる。
【0413】
したがって、本発明の抗NKp30抗体分子、例えば、多特異性分子は、炎症性疾患および自己免疫疾患の処置における有用性を有する。
感染症
一部の実施形態では、本明細書に開示される抗NKp30抗体分子、例えば、多特異性抗体分子は、感染症を処置するために使用することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示される抗体分子、例えば、多特異性抗体分子は、ウイルス抗原または細菌抗原を発現する細胞を枯渇させる。一部の実施形態では、抗NKp30抗体分子は、感染細胞、例えば、ウイルス感染細胞の表面に存在する抗原に結合する結合特異性をさらに含む。
【0414】
方法によって処置可能な感染症を引き起こす病原性ウイルスのいくつかの例は、HIV、肝炎(A、B、またはC)、ヘルペスウイルス(例えば、VZV、HSV-1、HSV-6、HSV-II、およびCMV、エプスタインバーウイルス)、アデノウイルス、インフルエンザウイルス、フラビウイルス、エコーウイルス、ライノウイルス、コクサッキーウイルス、コルノウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、ロタウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、パルボウイルス、ワクシニアウイルス、HTLVウイルス、デングウイルス、パピローマウイルス、軟属腫ウイルス、ポリオウイルス、狂犬病ウイルス、JCウイルスおよびアルボウイルス性脳炎ウイルスを含む。一実施形態では、感染はインフルエンザ感染である。
【0415】
別の実施形態では、感染は、肝炎感染、例えば、B型肝炎またはC型肝炎感染である。
処置することができる例示的なウイルス性疾患としては、エプスタインバーウイルス(EBV)、インフルエンザウイルス、HIV、SIV、結核、マラリアおよびHCMVが含まれる。本発明の方法によって処置可能な感染症を引き起こす病原性細菌のいくつかの例には、梅毒、クラミジア、リケッチア細菌、マイコバクテリア、ブドウ球菌、レンサ球菌、肺炎球菌、髄膜炎菌およびコノコッキ(conococci)、クレブシエラ、プロテウス、セラチア、シュードモナス、レジオネラ、ジフテリア、サルモネラ、桿菌、コレラ、破傷風、ボツリヌス、炭疽、レプトスピラ、およびライム病細菌が挙げられるが、これらに限定されない。抗NKp30抗体分子は、前述の感染のための既存の処置法と組み合わせて使用することができる。例えば、梅毒の処置には、ペニシリン(例えば、ペニシリンG)、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、セフトリアキソンおよびアジスロマイシンが含まれる。
【0416】
診断的使用
一態様では、本発明は、in vitro(例えば、組織生検などの生体試料)、例えば、がん性組織由来のもの)またはin vivo(例えば、対象におけるインビボイメージング)におけるNKp30タンパク質の存在を検出するための診断方法を提供する。本方法は、(i)試料を本明細書に記載される抗体分子と接触させるステップ、または抗体分子を対象に投与するステップ;(必要に応じて)(ii)参照試料、例えば、対照試料(例えば、血漿、組織、生検などの対照生体試料)または対照となる対象)と接触させるステップ;および(iii)抗体分子と試料もしくは対象、または対照飼料もしくは対照との間の複合体の形成を検出するステップを含み、対称試料または対照に対する、試料または対象における複合体の形成における変化、例えば、実質的に有意な変化は、試料中のNKp30の存在を示す。抗体分子は、結合または非結合抗体の検出を容易にするために、検出可能な物質で直接的または間接的に標識することができる。適切な検出可能な物質には、上記され、より詳細には下記に記載されるように、種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光材料および放射性材料が含まれる。
【0417】
用語「試料」は、ポリペプチドを検出するために使用される試料を指す場合、限定されないが、細胞、細胞溶解物、細胞のタンパク質もしくは膜抽出物、体液、または組織試料を含む。
【0418】
抗体分子とNKp30との間の複合体形成は、NKp30抗原に結合した結合分子もしくは結合していない結合分子のいずれかを測定または可視化することによって検出することができる。従来の検出アッセイ、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)または組織免疫組織化学を用いることができる。抗体分子を標識する代わりに、NKp30の存在は、検出可能な物質および非標識抗体分子で標識された標準を利用する競合免疫アッセイによって、試料中でアッセイすることができる。このアッセイでは、生体試料、標識された標準および抗体分子を組み合わせ、標識されていない結合分子に結合した標識された標準の量を決定する。試料中のNKp30の量は、抗体分子に結合した標識された標準の量に反比例する。
【実施例】
【0419】
以下の実施例は、本発明の理解を助けるために記載されるが、いかなる意味においてもその範囲を限定することを意図するものではなく、またそのように解釈されるべきではない。
【0420】
実施例1:抗NKp30抗体を生成するためのアルメニアンハムスターの免疫化
簡潔に述べれば、完全フロイントアジュバント中のヒトNKp30タンパク質の細胞外ドメインを用いてアルメニアンハムスターを免疫化し、不完全フロイントアジュバント(IFA)中のNKp30を用いて14日目および28日目に2回ブーストした。56日目にさらに1回のIFA中のブーストを与え、3日後に動物を回収した。脾臓を収集し、P3X63Ag8.653マウス骨髄腫細胞系と融合させた。125ul中の0.9×10^5細胞/ウェルを96ウェルプレートに入れ、選択用のHATまたはHT、ならびに必要に応じて7日目、11日目およびその後のHybridoma Cloning Factor(最終1%)の非存在または存在下で20%のウシ胎仔血清、4mMのL-グルタミン、1mMのピルビン酸ナトリウム、50Uのペニシリン、50μgのストレプトマイシンおよび50μMの2-MEを補足した125μlのI-20+2ME+HAT(IMDM(4g/Lグルコース)を与えた。融合の約2週後(細胞は約50%コンフルエント)に上清を収集し、結合についてアッセイした。
【0421】
実施例2:NKp30 mAbについてのハイブリドーマスクリーニング
Expi293細胞にBG160(hNKp30細胞抗原)をトランスフェクトし、18時間後にスクリーニングを行った。スクリーニングの日に、トランスフェクトされた細胞を0.05×10^6/mLに希釈し、抗アルメニアンハムスターFc Alexa Fluor 488を0.4ug/mLの最終濃度まで加えた。50uL(2,500細胞)のこの混合物を384ウェルプレートの各ウェルに加えた。二次(secondary)と共に同じ密度の非トランスフェクト293細胞を陰性対照として使用した。5uLのハイブリドーマ上清を細胞混合物に加え、プレートを37℃で1時間インキュベートした。プレートを次にMirrorball上でイメージングした。陽性クローンを同定し、段階希釈によりサブクローニングしてクローン選択ハイブリドーマを得た。同じプロトコールを使用した再確認後にハイブリドーマ細胞を回収し、対応する重鎖および軽鎖配列を取得した。対応する抗体のその後の発現およびさらなる検証のためにDNAをpcDNA3.4にサブクローニングした。
【0422】
実施例3:NK92細胞へのNKp30抗体の結合
0.5%のBSAおよび0.1%のアジ化ナトリウムを含有するPBS(染色緩衝液)を用いてNK-92細胞を洗浄し、200,000細胞/ウェルで96ウェルV底プレートに加えた。ハムスターNKp30抗体を2.0倍段階希釈で細胞に加え、室温で1時間インキュベートした。染色緩衝液を用いてプレートを2回洗浄した。AF647に共役したハムスターFcに対する二次抗体(Jackson、127-605-160)を1:100希釈(1.4mg/mlストック)で加え、細胞と共に4℃で30分間インキュベートし、続いて染色緩衝液を用いて洗浄した。細胞をその後に、4%のパラホルムアルデヒドを用いて室温で10分間固定した。プレートをCytoFLEX LS(Beckman Coulter)上で読み取った。パーセント-AF747陽性集団としてデータを算出した(
図1)。
【0423】
実施例4:NK92細胞系を使用するNKp30抗体の活性を測定するためのバイオアッセイ
NKp30抗体をPBS中で3倍段階希釈し、平底96ウェルプレート中2~8℃で終夜インキュベートした。プレートをPBS中で2回洗浄し、IL-2を含有する増殖培地に40,000個のNK-92細胞を加えた。37℃、5%のCO2の加湿されたインキュベーターでプレートを16~24時間インキュベートした後に上清を収集した。MSDアッセイの使用説明書に従って上清中のIFNγレベルを測定した(
図2)。ハムスターアイソタイプIgGとインキュベートされた細胞から収集した上清を陰性対照として使用し、NKp30モノクローナル抗体(R&D、クローン210847)とインキュベートされた細胞からの上清を陽性対照として利用した。ハムスター抗NKp30 mABを使用してデータを生成した。
【0424】
実施例5:ヒト化抗NKp30抗体の生成および特徴付け
一連のハムスター抗NKp30抗体を選択した。これらの抗体は、ヒトNKp30およびカニクイザルNKp30に結合し、NK-90細胞からのIFNγ産生を誘導することが示された(データ示さず)。例示的なハムスター抗NKp30抗体15E1、9G1、15H6、9D9、3A12、および12D10のVHおよびVL配列を表9に開示する。15E1、9G1、および15H6に基づく例示的なヒト化抗NKp30抗体のVHおよびVL配列も表9に開示する。これらの抗体のKabat CDRを表18および表8に開示する。
【0425】
15E1に基づく2つのヒト化された構築物を選択した。第1の構築物BJM0407は、配列番号7302のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号7305のアミノ酸配列を含むラムダ軽鎖可変領域を含むFabである。その対応するscFv構築物BJM0859は配列番号7310のアミノ酸配列を含む。第2の構築物BJM0411は、配列番号7302のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号7309のアミノ酸配列を含むカッパ軽鎖可変領域を含むFabである。その対応するscFv構築物BJM0860は配列番号7311のアミノ酸配列を含む。BJM0407およびBJM0411は、同等の生物物理学的特徴、例えば、NKp30に対する結合親和性および熱安定性を示した。scFv構築物BJM0859およびBJM0860もまた同等の生物物理学的特性を示した。
【0426】
参考文献による組み込み
本明細書に言及されるすべての刊行物、特許、および受入番号は、個々の刊行物または特許が、参照により組み入れられるように具体的であり、個別に示されているかのように、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0427】
同等物
本発明の特定の実施形態について検討してきたが、上記の明細書は例示的なものであり、制限的なものではない。本発明の多数のバリエーションは、本明細書および以下の特許請求の範囲を考察することにより、当業者に明らかになる。本発明の全範囲は、特許請求の範囲、それらの同等物の全範囲、および本明細書を、このような変形とともに参照することによって決定されるべきである。本明細書は以下の発明の開示を包含する。
[項目1]NKp30に結合する単離された抗体分子であって、
(i)配列番号7313の重鎖相補性決定領域1(VHCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6001のVHCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号7315のVHCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH);ならびに/あるいは
(ii)配列番号7326の軽鎖相補性決定領域1(VLCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号7327のVLCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号7329のVLCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む、抗体分子。
[項目2]抗原結合性ドメインが、
(i)配列番号7298もしくは7300~7304のいずれかのアミノ酸配列(または配列番号7298もしくは7300~7304のいずれかと少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVH、および/または
(ii)配列番号7299もしくは7305~7309のいずれかのアミノ酸配列(または配列番号7299もしくは7305~7309のいずれかと少なくとも約93%、95%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVL
を含む、項目1に記載の抗体分子。
[項目3]抗原結合性ドメインが、
(i))配列番号7302のアミノ酸配列(または7302と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVH、および配列番号7305のアミノ酸配列(または7305と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVL;または
(ii)配列番号7302のアミノ酸配列(または7302と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVH、および配列番号7309のアミノ酸配列(または7309と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVL
を含む、項目2に記載の抗体分子。
[項目4]抗原結合性ドメインが、
(i)配列番号7310のアミノ酸配列(または7310と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列);または
(ii)配列番号7311のアミノ酸配列(または7311と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)
を含む、項目1から3のいずれかに記載の抗体分子。
[項目5]NKp30に結合する単離された抗体分子であって、
(i)配列番号6000の重鎖相補性決定領域1(VHCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6001のVHCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6002のVHCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに
(ii)配列番号6063の軽鎖相補性決定領域1(VLCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6064のVLCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号7293のVLCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む、抗体分子。
[項目6]抗原結合性ドメインが、
(1)配列番号6003の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6004のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6005のVHFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、または配列番号6006のVHFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH)、および/あるいは
(2)配列番号6066の軽鎖フレームワーク領域(VLFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6067のVLFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号7292のVLFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、または配列番号6069のVLFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む、項目5に記載の抗体分子。
[項目7]抗原結合性ドメインが、
(i)配列番号6121のアミノ酸配列(または配列番号6121と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVH、および/または
(ii)配列番号7294のアミノ酸配列(または配列番号7294と少なくとも約93%、95%、もしく99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVL
を含む、項目5または6に記載の抗体分子。
[項目8]抗原結合性ドメインが、
(i)配列番号6007の重鎖相補性決定領域1(VHCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6008のVHCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6009のVHCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然
変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH)、ならびに
(ii)配列番号6070の軽鎖相補性決定領域1(VLCDR1)アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6071のVLCDR2アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、および/または配列番号6072のVLCDR3アミノ酸配列(または1、2、3、もしくは4個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む、項目5から7のいずれかに記載の抗体分子。
[項目9]抗原結合性ドメインが、
(1)配列番号6010の重鎖フレームワーク領域1(VHFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6011のVHFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6012のVHFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、または配列番号6013のVHFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む重鎖可変領域(VH)、および/あるいは
(2)配列番号6073の軽鎖フレームワーク領域(VLFWR1)アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6074のVLFWR2アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、配列番号6075のVLFWR3アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)、または配列番号6076のVLFWR4アミノ酸配列(またはそれからの1、2、3、4、5、もしくは6個以下の突然変異、例えば、置換、付加、または欠失を有する配列)を含む軽鎖可変領域(VL)
を含む、項目5から8のいずれかに記載の抗体分子。
[項目10]抗原結合性ドメインが、
(i)配列番号6122のアミノ酸配列(または配列番号6122と少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVH、および/または
(ii)配列番号6136のアミノ酸配列(または配列番号6136と少なくとも約93%、95%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列)を含むVL
を含む、項目5から9のいずれか1項に記載の抗体分子。
[項目11]項目1から10のいずれかに記載の抗体分子を含む多特異性分子。
[項目12]a.例えば、本明細書に記載される腫瘍標的化部分;
b.例えば、本明細書に記載されるサイトカイン分子;
c.例えば、本明細書に記載されるT細胞エンゲージャー;または
d.例えば、本明細書に記載される間質改変部分
のうちの1つ、2つ、3つ、4つまたはそれ以上をさらに含む、項目11に記載の多特異性分子。
[項目13]自己反応性T細胞、例えば、炎症性障害または自己免疫障害に関連する自己反応性T細胞の表面に存在する抗原に結合する結合特異性をさらに含む、項目11に記載の多特異性分子。
[項目14]感染細胞、例えば、ウイルスまたは細菌感染細胞に結合する結合特異性をさらに含む、項目11に記載の多特異性分子。
[項目15]単一特異性抗体分子、二特異性抗体分子、または三特異性抗体分子である、項目1から10のいずれかに記載の抗体分子または項目11から14のいずれかに記載の多特異性分子。
[項目16]一価抗体分子、二価抗体分子、または三価抗体分子である、項目1から10のいずれかに記載の抗体分子または項目11から14のいずれかに記載の多特異性分子。
[項目17]全長抗体(例えば、少なくとも1つ、好ましくは2つの完全重鎖と、少なくとも1つ、好ましくは2つの完全軽鎖とを含む抗体)、または抗原結合性断片(例えば、Fab、F(ab’)2、Fv、一本鎖Fv、単一ドメイン抗体、ダイアボディ(dAb)、二価抗体、または二重特異性抗体もしくはその断片、その単一ドメインバリアント、またはラクダ抗体)である、項目1から10、15もしくは16のいずれかに記載の抗体分子または項目11から15のいずれかに記載の多特異性分子。
[項目18]IgG1、IgG2、IgG3、もしくはIgG4から選択される重鎖定常領域、またはその断片を含む、項目1から17のいずれかに記載の抗体分子または多特異性分子。
[項目19]カッパもしくはラムダの軽鎖定常領域から選択される軽鎖定常領域、またはその断片を含む、項目1から18のいずれかに記載の抗体分子または多特異性分子。
[項目20]免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)が、Fc受容体結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能、または補体機能のうちの1つまたは複数を増加または減少させるために、変更、例えば、突然変異される、項目1から19のいずれかに記載の抗体分子または多特異性分子。
[項目21]第1および第2の免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)の境界部が、例えば、操作されていない境界部と比較して、二量体化を増加または減少させるために、変更、例えば、突然変異される、項目1から20のいずれかに記載の抗体分子または多特異性分子。
[項目22]免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)の二量体化が、第1および第2のFc領域のFc境界部に、対になった孔と突起(「ノブ・イン・ホール」)、静電相互作用、または鎖交換のうちの1つまたは複数を提供し、それによって、例えば、操作されていない境界部と比較して、より高い比のヘテロ多量体:ホモ多量体が形成されることにより、増強される、項目21に記載の抗体分子または多特異性分子。
[項目23]免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)が、例えば、ヒトIgG1のFc領域の、347、349、350、351、366、368、370、392、394、395、397、398、399、405、407、または409のうちの1つまたは複数から選択される位置にアミノ酸置換を含む、項目21または22に記載の抗体分子または多特異性分子。
[項目24]免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)が、T366S、L368A、もしくはY407V(例えば、孔またはホールに対応する)、またはT366W(例えば、突起またはノブに対応する)、またはそれらの組合せから選択されるアミノ酸置換を含む、項目21に記載の抗体分子または多特異性分子。
[項目25]リンカー、例えば、標的化部分とサイトカイン分子もしくは間質改変部分、標的化部分と免疫細胞エンゲージャー、サイトカイン分子もしくは間質改変部分、および免疫細胞エンゲージャー、サイトカイン分子もしくは間質改変部分と免疫グロブリン鎖定常領域(例えば、Fc領域)、標的化部分と免疫グロブリン鎖定常領域、または免疫細胞エンゲージャーと免疫グロブリン鎖定常領域のうちの1つまたは複数の間にリンカーをさらに含む、項目1から24のいずれかに記載の抗体分子または多特異性分子。
[項目26]リンカーが、切断性リンカー、非切断性リンカー、ペプチドリンカー、可撓性リンカー、剛性リンカー、ヘリックスリンカー、または非ヘリックスリンカーから選択される、項目25に記載の抗体分子または多特異性分子。
[項目27]リンカーがペプチドリンカーである、項目26に記載の抗体分子または多特異性分子。
[項目28]ペプチドリンカーがGlyおよびSerを含む、項目27に記載の抗体分子または多特異性分子。
[項目29]本明細書に記載される抗体分子または多特異性もしくは多機能性分子のいずれかをコードするヌクレオチド配列、あるいはそれらに対して実質的に相同である(例えば、それらに対して少なくとも95%~99.9%同一である)ヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
[項目30]項目1から29のいずれかに記載の抗体分子または多特異性分子をコードする単離された核酸。
[項目31]項目29または30に記載の核酸分子のうちの1つまたは複数を含むベクター、例えば、発現ベクター。
[項目32]項目29から31のいずれか1項に記載の核酸分子またはベクターを含む宿主細胞。
[項目33]項目1から28のいずれかに記載の抗体分子または多特異性もしくは多機能性分子ポリペプチドを作製する、例えば、産生する方法であって、適切な条件、例えば、遺伝子発現および/またはホモもしくはヘテロ二量体化に適した条件下で、項目32に記載の宿主細胞を培養するステップを含む、方法。
[項目34]項目1から28のいずれかに記載の抗体分子または多特異性もしくは多機能性分子ポリペプチドと、薬学的に許容される担体、賦形剤または安定化剤とを含む医薬組成物。
[項目35]がんを処置する方法であって、それを必要とする対象に、項目1から12または15から28のいずれかに記載の抗体分子または多特異性もしくは多機能性分子ポリペプチドを投与するステップを含み、多特異性抗体ががんを処置するのに有効な量で投与される、方法。
[項目36]がんを処置する際における使用のための、項目1から12または15から28のいずれかに記載の抗体分子または多特異性もしくは多機能性分子ポリペプチド。
[項目37]がんが固形腫瘍がんまたは転移性病変である、項目35に記載の方法または項目36に記載の使用。
[項目38]固形腫瘍がんが、膵臓がん(例えば、膵臓腺癌)、乳がん、結腸直腸がん、肺がん(例えば、小細胞もしくは非小細胞肺がん)、皮膚がん、卵巣がん、または肝臓がんのうちの1つまたは複数である、項目37に記載の方法または項目37に記載の使用。
[項目39]がんが血液がんである、項目35に記載の方法または項目36に記載の使用。
[項目40]第2の治療処置を施すステップをさらに含む、項目35もしくは37から39のいずれかに記載の方法または項目36から39のいずれかに記載の使用。
[項目41]第2の治療処置が、治療剤(例えば、化学療法剤、生物剤、ホルモン療法)、放射線、または外科手術を含む、項目40に記載の方法または項目40に記載の使用。
[項目42]治療剤が、化学療法剤または生物剤から選択される、項目41に記載の方法または項目41に記載の使用。
[項目43]自己免疫障害または炎症性障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に、項目1から11、13、または15から28のいずれかに記載の抗体分子または多特異性もしくは多機能性分子ポリペプチドを投与するステップを含み、多特異性抗体が自己免疫障害または炎症性障害を処置するのに有効な量で投与される、方法。
[項目44]自己免疫障害または自己炎症性障害を処置する際における使用のための、項目1から11、13または15から28のいずれかに記載の抗体分子または多特異性もしくは多機能性分子ポリペプチド。
[項目45]感染性障害を処置する方法であって、それを必要とする対象に、項目1から11または14から28のいずれかに記載の抗体分子または多特異性もしくは多機能性分子ポリペプチドを投与するステップを含み、多特異性抗体が感染性障害を処置するのに有効な量で投与される、方法。
[項目46]感染性障害を処置する際における使用のための、項目1から11または14から28のいずれかに記載の抗体分子または多特異性もしくは多機能性分子ポリペプチド。
【配列表】